説明

現金管理装置

【課題】現金管理装置を任意の場所で運用した場合であっても、現金管理の厳正化および業務効率の向上を図ることができる現金管理装置の提供。
【解決手段】現金管理装置本体と、収納物Tが立位状態で収納されるとともに現金管理装置本体に対してスライド開閉可能に設けられた収納庫14と、現金管理装置本体に固定されて、収納庫14の開閉に伴って通過する収納物Tの上下方向の端部から貨幣検出情報を取得する貨幣検出部44と、収納物Tの数量マスタ情報を記憶する記憶部と、貨幣検出情報と数量マスタ情報とを照合して収納庫14における収納物Tの数量検出情報を取得する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補充用の現金の管理に用いられる現金管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人的ミスによって現金管理装置から出金した現金に違算が発生することを未然に防止する現金管理装置として、出納機への現金の補充と出納機からの現金の回収を行う移動可能な現金管理装置であって、出納機と情報の送受信を行う送受信手段を備え、現金を出金するときは、送受信手段により出納機から出金する現金の情報を受信して、その受信した現金の情報に基づいて現金を出金することを特徴とする現金管理装置がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−310519号公報(段落0006,0007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本来現金管理装置から補充のために出金すべき現金と現金管理装置から実際に出金した現金とが一致していない場合があり、そのような場合には後の現金を集計したときに差異がでて、それにより集計のやり直し等を行う必要が生じるが、このような問題を解決し、現金管理の厳正化を図るために特許文献1記載の現金管理装置が開示されている。
【0005】
特許文献1記載の現金管理装置によれば現金管理の厳正化が図れるものの、現金管理装置から出金するに際し、その出金に対応する装置、例えば出納機の側に現金管理装置を移動させ、さらに連結部を介して連結させる必要があり、現金管理装置を出納機から離れた任意の場所で運用するには適さない可能性があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、現金管理装置を任意の場所で運用した場合であっても、現金管理の厳正化および業務効率の向上を図ることができる現金管理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物を入出庫可能な現金管理装置であって、現金管理装置本体と、前記収納物が立位状態で収納されるとともに前記現金管理装置本体に対してスライド開閉可能に設けられた収納庫と、前記現金管理装置本体に固定されて、前記収納庫の開閉に伴って通過する前記収納物の上下方向の端部から貨幣検出情報を取得する貨幣検出部と、前記収納物の数量マスタ情報を記憶する記憶部と、前記貨幣検出情報と前記数量マスタ情報とを照合して前記収納庫における前記収納物の数量検出情報を取得する制御部と、を備えてなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、さらに、前記現金管理装置本体に固定されて前記収納庫の開閉位相情報を取得する位相検出部を有し、前記制御部は、前記開閉位相情報に基づいて前記貨幣検出情報を補正し、該補正された貨幣検出情報と前記数量マスタ情報とを照合して前記数量検出情報を取得することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記制御部は、前記開閉位相情報に基づき前記収納庫が所定位置まで開庫されずに閉庫されたときに警告手段により警告するとともに、前記収納庫が前記所定位置まで再開庫された後に再閉庫されなければ前記警告を解除しないことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記記憶部は、前記収納物の金種マスタ情報を記憶しており、前記制御部は、前記貨幣検出情報と前記金種マスタ情報とを照合して前記収納庫における前記収納物の金種検出情報を取得することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、さらに、前記現金管理装置本体に固定されて前記収納庫の開閉位相情報を取得する位相検出部を有し、前記制御部は、前記開閉位相情報に基づいて前記貨幣検出情報を補正し、該補正された貨幣検出情報と、前記数量マスタ情報および前記金種マスタ情報とを照合して前記数量検出情報および前記金種検出情報を取得することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記制御部は、前記開閉位相情報に基づき前記収納庫が所定位置まで開庫されずに閉庫されたときに警告手段により警告するとともに、前記収納庫が前記所定位置まで再開庫された後に再閉庫されなければ前記警告を解除しないことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項4ないし6のいずれか一項に係る発明において、前記収納庫には、金種毎に前記収納物の収納位置が規定されており、前記制御部は、対応金種の前記収納位置に収納されていない異金種収納物を検出したときに警告手段により警告することを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか一項に係る発明において、さらに、入庫・出庫の区別情報と、前記収納庫に対し入出庫される前記収納物の数量入力情報および金種入力情報とからなる取引入力情報が入力される入力手段と、前記取引入力情報および前記数量検出情報を表示する表示部と、を備え、前記制御部は、前記収納庫に対し入庫および出庫の少なくとも一方を含む一の通常の開閉取引が行われると、前記数量検出情報を取得し、該数量検出情報から割り出される前記一の通常の開閉取引の数量実取引情報と、前記一の通常の開閉取引時に入力された前記数量入力情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報することを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項4ないし7のいずれか一項に係る発明において、さらに、入庫・出庫の区別情報と、前記収納庫に対し入出庫される前記収納物の数量入力情報および金種入力情報とからなる取引入力情報が入力される入力手段と、前記取引入力情報、前記数量検出情報、および前記金種検出情報を表示する表示部と、を備え、前記制御部は、前記収納庫に対し入庫および出庫の少なくとも一方を含む一の通常の開閉取引が行われると、前記数量検出情報および前記金種検出情報を取得し、当該数量検出情報および当該金種検出情報から割り出される前記一の通常の開閉取引の数量実取引情報および金種実取引情報と、前記一の通常の開閉取引時に入力された前記数量入力情報および前記金種入力情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報することを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項8に係る発明において、前記制御部は、通常以外の開閉取引で前記収納庫の開庫が許可された場合であって、該開庫が許可された前記収納庫が開庫されて閉庫された際に、前記数量検出情報を取得し、当該数量検出情報と、当該開庫の直前の前記通常の開閉取引時に入力された前記数量入力情報から割り出される前記直前の通常の開閉取引後にあるべき前記収納物の数量割出情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報することを特徴とする。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項9に係る発明において、前記制御部は、通常以外の開閉取引で前記収納庫の開庫が許可された場合であって、該開庫が許可された前記収納庫が開庫されて閉庫された際に、前記数量検出情報および前記金種検出情報を取得し、当該数量検出情報および当該金種検出情報と、当該開庫の直前の前記通常の開閉取引時に入力された前記数量入力情報および前記金種入力情報から割り出される前記直前の通常の開閉取引後にあるべき前記収納物の数量割出情報および金種割出情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報することを特徴とする。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項8ないし11のいずれか一項に係る発明において、前記制御部は、前記入力手段に前記取引入力情報が入力されることで、前記取引入力情報に対応する前記収納庫の開庫を許可することを特徴とする。
【0019】
請求項13に係る発明は、請求項1ないし12のいずれか一項に係る発明において、さらに、前記収納庫のスライド開閉を駆動する駆動手段を有し、前記制御部は、前記駆動手段を制御して前記収納庫の開閉を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、現金管理装置本体に対して収納庫をスライド開閉すると、現金管理装置本体に固定された貨幣検出部が、収納庫の開閉に伴って通過する収納物の上下方向の端部から貨幣検出情報を取得することになり、制御部が、この貨幣検出情報と記憶部に記憶された数量マスタ情報とを照合して収納庫における収納物の数量検出情報を取得することになる。よって、他の装置を介在させることなく、任意の場所で現金管理の厳正化および業務効率の向上を図ることができる。また、収納庫には収納物が立位状態で収納されるため、棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物を効率良く収納庫に収納することができることになり、収納物の上下方向の端部から貨幣検出部が貨幣検出情報を取得するため、立位状態で収納された収納物を効率良く検出することができる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、制御部が、現金管理装置本体に固定された位相検出部が検出する収納庫の開閉位相情報に基づいて貨幣検出情報を補正し、この補正された貨幣検出情報と数量マスタ情報とを照合して数量検出情報を取得するため、収納庫の開閉速度に関わらず、収納物の数量情報を検出できる。
【0022】
手動で収納庫を開庫する場合、収納物が収納される可能性のある領域全てが貨幣検知部を通過する必要があり、途中で開庫を停止し閉庫したとき等は正確な情報検出ができなくなってしまうことになるが、請求項3に係る発明によれば、制御部が、開閉位相情報に基づき収納庫が所定位置まで開庫されずに閉庫されたときに警告手段により警告することで、収納庫の収納物が収納される可能性のある領域全てが貨幣検知部を通過するまで収納庫が開庫されずに閉庫したときに警告することができ、情報検出漏れを防止できる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、貨幣検出部が、収納庫の開閉に伴って通過する収納物の上下方向の端部から貨幣検出情報を取得すると、制御部が、この貨幣検出情報と、記憶部に記憶された数量マスタ情報および金種マスタ情報とを照合して収納庫における収納物の数量検出情報および金種検出情報を取得することになる。よって、収納物の金種情報も取得できるため、さらなる現金管理の厳正化および業務効率の向上を図ることができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、制御部が、現金管理装置本体に固定された位相検出部が検出する収納庫の開閉位相情報に基づいて貨幣検出情報を補正し、この補正された貨幣検出情報と数量マスタ情報および金種マスタ情報とを照合して数量検出情報および金種検出情報を取得するため、収納庫の開閉速度に関わらず、収納物の数量情報および金種情報を検出できる。
【0025】
手動で収納庫を開庫する場合、収納物が収納される可能性のある領域全てが貨幣検知部を通過する必要があり、途中で開庫を停止し閉庫したとき等は正確な情報検出ができなくなってしまうことになるが、請求項6に係る発明によれば、制御部が、開閉位相情報に基づき収納庫が所定位置まで開庫されずに閉庫されたときに警告手段により警告することで、収納庫の収納物が収納される可能性のある領域全てが貨幣検知部を通過するまで収納庫が開庫されずに閉庫したときに警告することができ、情報検出漏れを防止できる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、制御部が、対応金種の収納位置に収納されていない異金種収納物を検出したときに警告手段により警告するため、異金種収納物の存在を締上げ処理前に発見でき、操作ミスを未然に防止できる。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、制御部は、収納庫に対し入庫および出庫の少なくとも一方を含む一の通常の開閉取引が行われると、数量検出情報を取得し、この数量検出情報から割り出される前記一の通常の開閉取引の数量実取引情報と、前記一の通常の開閉取引時に入力された数量入力情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報するため、操作ミスを速やかに発見し報知することができる。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、制御部は、収納庫に対し入庫および出庫の少なくとも一方を含む一の通常の開閉取引が行われると、数量検出情報および金種検出情報を取得し、これらの数量検出情報および金種検出情報から割り出される前記一の通常の開閉取引の数量実取引情報および金種実取引情報と、前記一の通常の開閉取引時に入力された数量入力情報および金種入力情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報するため、操作ミスを速やかに発見し報知することができる。
【0029】
請求項10に係る発明によれば、制御部は、通常以外の開閉取引で収納庫の開庫が許可された場合であって、該開庫が許可された収納庫が開庫されて閉庫された際に、数量検出情報を取得し、当該数量検出情報と、当該開庫の直前の通常の開閉取引時に入力された数量入力情報から割り出される直前の通常の開閉取引後にあるべき収納物の数量割出情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報するため、復旧操作ミスを速やかに発見し報知することができる。
【0030】
請求項11に係る発明によれば、制御部は、通常以外の開閉取引で収納庫の開庫が許可された場合であって、該開庫が許可された収納庫が開庫されて閉庫された際に、数量検出情報および金種検出情報を取得し、これら数量検出情報および金種検出情報と、開庫の直前の通常の開閉取引時に入力された数量入力情報および金種入力情報から割り出される直前の通常の開閉取引後にあるべき収納物の数量割出情報および金種割出情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報するため、復旧操作ミスを速やかに発見し報知することができる。
【0031】
請求項12に係る発明によれば、入力手段に取引入力情報が入力されることで、取引入力情報に対応する収納庫の開庫を許可するため、取引入力情報に対応しない収納庫が開庫されてしまうこと等の操作ミスを未然に防止できる。
【0032】
請求項13に係る発明によれば、制御部が駆動手段を制御して収納庫の開閉を行うため、不完全開庫等による情報検出漏れを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る現金管理装置を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る現金管理装置の束収納庫と現金管理装置本体に配置されるラインセンサとの対応関係を示す平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る現金管理装置の棒金収納庫と現金管理装置本体に配置される磁気センサとの対応関係を示す平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る現金管理装置の束収納庫と現金管理装置本体に配置される反射センサとの対応関係を示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る現金管理装置の棒金収納庫と現金管理装置本体に配置される反射センサとの対応関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の第1実施形態に係る現金管理装置を図1〜図3を参照して以下に説明する。
【0035】
図1に示す第1実施形態に係る現金管理装置11は、銀行等の金融機関の店舗の担当者側スペースに設置されて担当者により取り扱われるものであり、図2に示す単一金種の紙幣sが所定枚数集積されて結束テープtで結束されてなる束紙幣(収納物)T、および図3に示す単一金種の硬貨が所定枚数集積されて包装紙で包装されてなる棒金(収納物)Bを入出庫可能に収納するものである。
【0036】
図1に示すように、現金管理装置11は、箱型の現金管理装置本体12と、この現金管理装置本体12の上部側にスライド開閉可能に設けられた予備貨幣等収納庫13と、現金管理装置本体12における予備貨幣等収納庫13の下側にスライド開閉可能に設けられた上下に複数段(具体的には二段)の束収納庫(収納庫)14と、現金管理装置本体12における束収納庫14の下側にスライド開閉可能に設けられた上下に複数段(具体的には二段)の棒金収納庫(収納庫)15とを有している。予備貨幣等収納庫13は、結束されていない紙幣、包装されていない硬貨、汚損紙幣や汚損硬貨等を収納するものである。
【0037】
現金管理装置本体12の上端部には、操作者により操作入力がなされる操作入力部(入力手段)16と、操作者に対して視覚的および聴覚的に表示を行う表示部(警告手段,警報手段)17と、現金管理装置11を制御する制御部18と、収納している棒金Bおよび束紙幣Tの数量情報および金種情報や制御用データを記憶する記憶部19とが設けられている。
【0038】
束収納庫14は、束紙幣Tを収納するものである。束収納庫14は、それぞれ、底部20と底部20の外縁部から上方に延出する枠状の囲壁部21とを有する上方開口形状をなしていて、囲壁部21の左右側壁に設けられたスライドレール22を介して現金管理装置本体12に前後方向にのみ所定範囲で移動可能となるように連結されている。
【0039】
束収納庫14内には、図2に示すように、合成樹脂製のトレイ24が固定されており、このトレイ24には、束紙幣Tを立位状態で収納可能な左右二カ所の束収納凹部25が、下方に凹む上方開口形状に形成されている。つまり、トレイ24は、前壁26と、後壁27と、左右両側の一対の側壁28と、一対の側壁28間の仕切壁29と、一対の底部30とを有しており、前壁26、後壁27、一方の側壁28および仕切壁29と、これらで囲まれた部分の下部を閉塞する一方の底部30とで一方の束収納凹部25を形成し、前壁26、後壁27、他方の側壁28および仕切壁29と、これらで囲まれた部分の下部を閉塞する他方の底部30とで、他方の束収納凹部25を形成している。
【0040】
各束収納凹部25には、前壁26と平行をなす束押さえ板33が図示略の個別のスライド機構によって前後移動可能に設けられている。各束押さえ板33は、それぞれ図示略のスプリングにより前壁26に近接する方向に個別に付勢されている。
【0041】
そして、束収納庫14の各束収納凹部25には、それぞれ複数の束紙幣Tが収納可能となっている。束紙幣Tは、束収納凹部25にその上部開口を介して上方から挿入されることになり、その際に、束紙幣Tは、立位状態で長手方向を左右に向けた姿勢で、前壁26と束押さえ板33との間に挿入されることになる。挿入された束紙幣Tは、一つまたは複数のものが前後方向に順次集積されるようにして底部30上に載置されることになり、この状態で前壁26と束押さえ板33とで挟持されて立位状態に維持される。
【0042】
ここで、複数の束収納庫14の各束収納凹部25は、それぞれ収納する束紙幣Tの金種が、一つの束収納凹部25に対して所定の単一金種と決められており、左右方向の幅が収納する金種の束紙幣Tの長さより若干広くなっている。言い換えれば、束収納庫14には、束紙幣Tの収納位置である束収納凹部25が金種毎に規定されている。よって、各束収納凹部25には、設定金種以外の長さの長い金種の束紙幣Tは、適正な収納が困難となり、これにより、一部の誤収納を簡易的に規制するようになっている。また、各束収納凹部25の近傍となる前壁26の上面には、図示は略すがそれぞれ収納対象の金種が目視可能に明示されている。なお、各束収納凹部25の収納金種データは記憶部19に記憶されている。
【0043】
また、各束収納凹部25の底部30は、束収納凹部25に規定金種の束紙幣Tが収納されると、収納された束紙幣Tの上端部の高さを同じ束収納庫14内で一定にするように高さが設定されている。底部30は、高さが低い束紙幣Tを収納する束収納凹部25においては高く、高さが高い束紙幣Tを収納する束収納凹部25においては低い凹凸形状となっている。よって、各束収納凹部25には、設定金種以外の高さの高い金種の束紙幣Tは、適正な収納が困難となり、これによっても、一部の誤収納を簡易的に規制するようになっている。なお、日本国内で流通する紙幣の場合は、全種類、短手方向長さが一定であり収納時の高さが一定であることから、底部30の高さも一定となる。
【0044】
図1に示すように、複数の束収納庫14のそれぞれの囲壁部21の側部には、前後方向に沿ってラックギヤ36が固定されており、現金管理装置本体12の前端部には、このラックギヤ36に噛み合うことでラックギヤ36の移動で回転するピニオンギヤ37を有するロータリエンコーダ(位相検出部)38が固定されている。ロータリエンコーダ38はピニオンギヤ37の回転データである個別の束収納庫14の開閉位相データ(開閉位相情報)を取得する。制御部18は、この開閉位相データから束収納庫14の開閉方向の位置を割り出すことになり、移動量を時間で除算することで束収納庫14の開閉速度を割り出すことになる。
【0045】
複数の束収納庫14のそれぞれの前面には、ロック解除時のみ点灯する表示灯40が設けられている。
【0046】
現金管理装置本体12には、複数の束収納庫14のそれぞれに対して、束収納庫14を閉状態で個別にロックするロック機構41が設けられている。ロック機構41は、束収納庫14が操作者により閉作動されて閉状態になると自動的かつ機械的にこの束収納庫14を現金管理装置本体12に対し閉状態にロックする一方、電気的に駆動されると束収納庫14の閉状態でのロックを解除してその開作動を許容する。
【0047】
現金管理装置本体12の前端部には、一方の束収納庫14の上部位置に、光学反射型のラインセンサ(貨幣検出部)44が水平左右方向に延在する姿勢で固定されている。このラインセンサ44は、図2に示すように、対応する束収納庫14の左右の束収納凹部25の全体を左右両側に越える長さを有している。また、現金管理装置本体12の前端部には、他方の束収納庫14の上部位置にも、光学反射型のラインセンサ(貨幣検出部)44が水平左右方向に延在する姿勢で、この他方の束収納庫14の左右の束収納凹部25の全体を左右両側に越えるように固定されている。
【0048】
これらのラインセンサ44は、各発光素子が検出方向を下方に向けており、下方に発光した光の下方からの反射光を対応する受光素子で受光するようになっている。その結果、上側の束収納庫14の上部位置に設けられたラインセンサ44は、真下で前後にスライドする上側の束収納庫14の各束収納凹部25に収納された束紙幣Tの上端部の反射光データである貨幣検出反射データ(貨幣検出情報)を取得することになり、下側の束収納庫14の上部位置に設けられたラインセンサ44は、真下で前後にスライドする下側の束収納庫14の各束収納凹部25に収納された束紙幣Tの上端部の反射光データである貨幣検出反射データを取得することになる。
【0049】
なお、検出対象となる束収納庫14が最も現金管理装置本体12から引き出されて図示略の前端位置ストッパに当接し停止する前端位置から最も現金管理装置本体12に押し込まれて図示略の後端位置ストッパに当接し停止する後端位置まで移動すると、各ラインセンサ44は、検出対象となる束収納庫14の各束収納凹部25の全範囲を検出できるようになっている。ラインセンサ44は、束収納庫14の開閉に伴って通過する、この束収納庫14内のすべての束紙幣Tの上端部から貨幣検出反射データを取得する。
【0050】
ここで、束紙幣Tには、一束ずつに結束テープtが巻回されており、この結束テープtが上端部にも存在することから、制御部18は、ラインセンサ44の貨幣検出反射データから、反射率が高くなる結束テープtと、結束テープtが巻回されず反射率が低くなる紙幣sと、紙幣sもなく反射率がさらに低くなる他の部分(空間、前壁26、後壁27、側壁28、仕切壁29および束押さえ板33)とを区別することになる。また、制御部18は、隣り合う束紙幣Tの結束テープtと結束テープtとの間の反射率が低くなる部分や、隣り合う束紙幣Tの結束テープtと紙幣sとの間の反射率が低くなる部分を検出することで、隣り合う束紙幣Tの間部分を検出する。なお、束紙幣Tの収納時において、結束テープtの左右方向の位置は、必ずしも所定の一側に予め決める必要はなく、図2に二点鎖線で示すように左右方向逆側になることもある。
【0051】
そして、制御部18は、ラインセンサ44の貨幣検出反射データをロータリエンコーダ38の開閉位相データに基づいて、例えば所定の一定開閉速度での貨幣検出反射データに補正し、この補正された貨幣検出反射データと、記憶部19に記憶された数量マスタデータ(数量マスタ情報)とを照合することで、ラインセンサ44で検出した、束収納庫14内の束紙幣Tの数量である数量検出データ(数量検出情報)を取得する。例えば、補正後の貨幣検出反射データの中で、一つの結束テープtと判断できる、数量マスタデータの結束テープ判断基準光量データ以上の光量があり且つ数量マスタデータの結束テープ判断基準面積データ以上の纏まった面積を有する結束テープ部分を数えて、これを束紙幣Tの数量である数量検出データとする。勿論、制御部18は、貨幣検出反射データを、仕切壁29で両側の束収納凹部25のそれぞれの領域に区分することになり、束紙幣Tの数量検出データを各束収納凹部25毎に取得する。
【0052】
また、制御部18は、補正後の貨幣検出反射データと、記憶部19に記憶された金種マスタデータ(金種マスタ情報)とを照合することで、ラインセンサ44で検出した、束収納庫14内の束紙幣Tの金種である金種検出データ(金種検出情報)を各束収納凹部25毎に取得する。例えば、補正後の貨幣検出反射データの中で、上記のように検出した結束テープ部分のそれぞれについて、結束テープ部分と前後方向位置が同じ部分のデータから、光量が金種マスタデータの紙幣判断基準光量データ以上となる部分と未満となる部分との境界位置を割り出し、左右両側の境界位置間の長さを、金種マスタデータの金種基準長さデータと比較して、許容範囲内で一致する金種基準長さデータに対応する金種を、この結束テープ部分に対応する束紙幣Tの金種とする金種検出データを取得する金種判断を行う。
【0053】
なお、制御部18は、ラインセンサ44で検出される両側の束収納凹部25のそれぞれについて、規定の金種以外の金種の束紙幣Tが収納されていること、つまり対応金種の収納位置に収納されていない異金種束紙幣Tを検出すると、表示部17に警告表示を行わせる。
【0054】
棒金収納庫15は、棒金Bを収納するものである。棒金収納庫15は、図1に示すように、それぞれ、底部50と底部50の外縁部から上方に延出する枠状の囲壁部51とを有する上方開口形状をなしていて、囲壁部51の左右側壁に設けられたスライドレール52を介して現金管理装置本体12に前後方向にのみ所定範囲で移動可能となるように連結されている。棒金収納庫15内には、図3に示すように、合成樹脂製のトレイ54が固定されており、トレイ54には、棒金Bを立位状態で収納可能な複数の棒金収納凹部55が形成されている。棒金収納凹部55は、有底円筒状で下方に凹む上方開口形状をなしている。棒金収納凹部55は、左右方向の位置を合わせて前後に所定の間隔で一列状に形成され、このような棒金収納凹部55の列が左右方向に所定の間隔で複数列形成されている。
【0055】
そして、棒金収納庫15の各棒金収納凹部55には、それぞれ一本のみ棒金Bが収納されることになる。棒金Bは、棒金収納凹部55に、その上部開口を介して上方から挿入されることになり、棒金収納凹部55の内周面で支持されて中心軸線を鉛直配置した立位状態に維持される。
【0056】
ここで、各棒金収納凹部55は、それぞれ収納する棒金Bの金種が、一の棒金収納凹部55に対して所定の単一金種と、決められており、直径が収納する金種の棒金Bの直径より若干大径となっている。言い換えれば、棒金収納庫15には、金種毎に棒金Bの収納位置である棒金収納凹部55が規定されている。よって、各棒金収納凹部55には、設定金種以外の直径の大きい金種の棒金Bは、適正な収納が困難となり、これにより、一部の誤収納を簡易的に規制するようになっている。また、前後方向に並ぶ同列の棒金収納凹部55にはすべて所定の単一金種が収納されるように設定されている。なお、各棒金収納凹部55の高さは、収納した棒金Bを取り出し容易とすべく上方に突出させるように設定されている。
【0057】
また、各棒金収納凹部55の底部56は規定の棒金Bが収納されると、収納された棒金Bの上端部の高さを同じ棒金収納庫15内で一定にするようになっている。つまり、底部56は、高さが低い棒金Bを収納する棒金収納凹部55においては高く、高さが高い棒金Bを収納する棒金収納凹部55においては低い凹凸形状となっている。よって、各棒金収納凹部55には、設定金種以外の高さの高い金種の棒金Bは、収納困難となり、これによっても、一部の誤収納を簡易的に規制するようになっている。さらに、各棒金収納凹部55の底部56は、後述する磁気センサ70と収納された棒金Bの上端部との距離が所定の近接距離になるように配置されている。また、各棒金収納凹部55の近傍には、図示は略すがそれぞれ収納対象の金種が明示されている。
【0058】
図1に示すように、複数の棒金収納庫15のそれぞれの囲壁部51の側部には、前後方向に沿ってラックギヤ60が固定されており、現金管理装置本体12の前端部には、このラックギヤ60に噛み合うことでラックギヤ60の移動で回転するピニオンギヤ61を有するロータリエンコーダ(位相検出部)62が固定されている。ロータリエンコーダ62はピニオンギヤ61の回転データである棒金収納庫15の開閉位相データ(開閉位相情報)を取得する。制御部18は、この開閉位相データから棒金収納庫15の開閉方向の位置を割り出すことになり、移動量を時間で除算することで棒金収納庫15の開閉速度を割り出すことになる。
【0059】
複数の棒金収納庫15のそれぞれの前面には、ロック解除時のみ点灯する表示灯65が設けられている。
【0060】
現金管理装置本体12には、複数の棒金収納庫15のそれぞれに対して、棒金収納庫15を閉状態で個別にロックするロック機構68が設けられている。ロック機構68は、棒金収納庫15が操作者により閉作動されて閉状態になると自動的かつ機械的にこの棒金収納庫15を閉状態にロックする一方、電気的に駆動されると棒金収納庫15の閉状態でのロックを解除してその開作動を許容する。
【0061】
現金管理装置本体12の前端部には、一方の棒金収納庫15の上部位置に、磁気センサ70が固定されている。図3に示すように、磁気センサ70は、対応する棒金収納庫15の棒金収納凹部55の各列と左右方向の位置を合わせて、各列に一つずつ設けられている。これら複数の磁気センサ70は同じ高さとなるように現金管理装置本体12に固定されている。また、現金管理装置本体12の前端部には、他方の棒金収納庫15の上部位置にも、この棒金収納庫15の棒金収納凹部55の各列と左右方向の位置を合わせて、各列に一つずつ磁気センサ70が、同じ高さに固定されて設けられている。
【0062】
これらの磁気センサ70は、検出方向を下方に向けており、下方の磁気データを検出するようになっている。その結果、上側の棒金収納庫15の上部位置に設けられた複数の磁気センサ70は、それぞれが、真下で前後にスライドする上側の棒金収納庫15の同列の棒金収納凹部55に収納された棒金Bの上端部の磁気データである貨幣検出磁気データ(貨幣検出情報)を順次取得することになり、下側の棒金収納庫15の上部位置に設けられた複数の磁気センサ70は、それぞれが、真下で前後にスライドする下側の棒金収納庫15の同列の棒金収納凹部55に収納された棒金Bの上端部の磁気データである貨幣検出磁気データを順次取得することになる。ここで、各棒金収納凹部55の収納金種のデータは記憶部19に記憶されている。
【0063】
なお、検出対象となる棒金収納庫15が最も現金管理装置本体12から引き出されて図示略の前端位置ストッパに当接し停止する前端位置から最も現金管理装置本体12に押し込まれて図示略の後端位置ストッパに当接し停止する後端位置まで移動すると、複数の磁気センサ70によって、検出対象となる棒金収納庫15のすべての棒金収納凹部55の棒金Bの磁気データを検出できるようになっている。つまり、磁気センサ70は、棒金収納庫15の開閉に伴って通過する棒金Bの上端部から貨幣検出磁気データを取得する。
【0064】
ここで、すべての金種の硬貨は金属からなっているため、制御部18は、合成樹脂製のトレイ54や空間部と、棒金Bとを、磁気センサ70の貨幣検出磁気データから区別し、また、硬貨は金種毎に外径および材質の少なくともいずれか一方が異なるため、制御部18は、磁気センサ70の貨幣検出磁気データから各棒金Bの金種も識別する。
【0065】
そして、制御部18は、磁気センサ70の貨幣検出磁気データをロータリエンコーダ62の開閉位相データに基づいて、例えば所定の一定開閉速度での貨幣検出磁気データに補正し、この補正された貨幣検出磁気データと、記憶部19に記憶された数量マスタデータ(数量マスタ情報)とを照合することで、磁気センサ70で検出した、棒金収納庫15内の各棒金収納凹部55の棒金Bの数量検出データ(数量検出情報)を取得する。例えば、補正後の貨幣検出磁気データの中で、所定の棒金収納凹部55の位置に、一つの棒金Bと判断できる、数量マスタデータの磁気基準データ以上の出力データが数量マスタデータの棒金径基準データ以上連続する検出長さを有する棒金部分を検出し、この棒金部分を計数することで、数量検出データを取得する。
【0066】
また、制御部18は、補正後の貨幣検出磁気データと、記憶部19に記憶された金種マスタデータ(金種マスタ情報)とを照合することで、磁気センサ70で検出した、棒金収納庫15内の棒金Bの金種である金種検出データ(金種検出情報)を各棒金収納凹部55毎に取得する。例えば、補正後の貨幣検出磁気データの中で、上記のように検出した棒金部分のそれぞれについて、出力値が金種マスタデータの出力値の基準データと許容範囲内で一致し且つ検出長さが金種マスタデータの検出長さの基準データと許容範囲内で一致する金種を割り出し、この棒金部分に対応する棒金Bの金種検出データを得る金種判断を行う。
【0067】
なお、制御部18は、複数の磁気センサ70のそれぞれで検出される各棒金収納凹部55の棒金Bについて、規定の金種以外の金種の棒金Bが収納されていること、つまり対応金種の収納位置に収納されていない異金種棒金Bを検出すると、表示部17に警告を行わせる。
【0068】
以上の構成の第1実施形態に係る現金管理装置11においては、担当者が、他の入出金機に補充する等の目的で棒金Bおよび束紙幣Tのうちの少なくともいずれか一方を取り出す出庫時、現金管理装置11に棒金Bおよび束紙幣Tのうちの少なくともいずれか一方を収納する入庫時、および入庫と出庫とを同時に行う時には、まず、一の入出庫取引の開始にあたって、現金管理装置11の操作入力部16に担当者識別データを入力する。すると、制御部18が、この入力された担当者識別データと一致するデータが記憶部19に予め記憶された担当者識別のマスタデータにあるか否かを判定し、マスタデータにない場合、表示部17にその旨の警告を発生させる。
【0069】
入力された担当者識別データと一致するデータがマスタデータにある場合、制御部18は、日時情報を含むこの一の入出庫取引の取引識別データを設定するとともに、束収納庫14に対し入出庫される束紙幣Tおよび棒金収納庫15に対し入出庫される棒金Bのうちの少なくともいずれか一方について少なくとも一の金種である金種入力データ(金種入力情報,取引入力情報)の入力と、入力された金種入力データのそれぞれについての入庫であるか出庫であるかの区別データ(区別情報,取引入力情報)の入力と、入力された金種入力データのそれぞれについての数量である数量入力データ(数量入力情報,取引入力情報)の入力とを促す表示を、表示部17に表示させる。すると、担当者は、操作入力部16に、これらの情報を入力することになり、この入力が適正である場合に限り、制御部18は、入力データを確定する確定操作を促す表示を表示部17に表示させて確定操作を許可する。
【0070】
これを見た担当者により確定操作が操作入力部16に入力されると、制御部18は、上記した金種入力データ、区別データおよび数量入力データを表示部17に表示させるとともに、先に設定したこの一の入出庫取引の取引識別データに関連付けて、この一の入出庫取引で入力された担当者識別データと、この一の入出庫取引にて入力された上記の金種入力データ、区別データおよび数量入力データとを記憶部19に記憶する。
【0071】
そして、制御部18は、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに束紙幣Tが含まれる場合は、含まれる金種の束紙幣Tを収納している束収納庫14を、一旦通常の開閉取引としてその開庫を許可し、対応するロック機構41によりロックを解除することによって、入力された金種入力データの束紙幣Tが収納されている束収納庫14を開作動可能とするとともに、開作動可能な束収納庫14の表示灯40を点灯させる。また、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに棒金Bが含まれる場合は、含まれる金種の棒金Bを収納している棒金収納庫15を、一旦通常の開閉取引としてその開庫を許可し、対応するロック機構68によりロックを解除することによって、入力された金種入力データの棒金Bが収納されている棒金収納庫15を開作動可能とするとともに、開作動可能な棒金収納庫15の表示灯65を点灯させる。勿論、束収納庫14および棒金収納庫15のうち、入力された金種入力データの貨幣を収納していないもののロックは解除せず、表示灯40も消灯状態を維持する。
【0072】
例えば、制御部18は、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに、一方の束収納庫14に収納されている束紙幣Tが含まれる場合、この一方の束収納庫14のロックを解除するとともにその表示灯40を点灯させることになり、その後、この一方の束収納庫14の現金管理装置本体12からの引き出しが開始されると、ロータリエンコーダ38の開閉位相データからこの一方の束収納庫14の開閉位置を検出することになり、ロータリエンコーダ38の開閉位相データからこの一方の束収納庫14が前端位置(所定位置)まで移動したか否かを判断する。
【0073】
制御部18は、ロータリエンコーダ38の開閉位相データに基づき、この一方の束収納庫14が前端位置まで開庫された正常開動作を検出すると、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の束収納庫14に対して設けられたラインセンサ44を駆動してラインセンサ44で閉庫時の貨幣検出反射データの取り込みを、ロータリエンコーダ38の開閉位相データに基づき、この一方の束収納庫14が後端位置に閉庫されたことが検出されるまで、行わせる。
【0074】
他方、ロータリエンコーダ38の開閉位相データから、この一方の束収納庫14が前端位置まで開庫されずに後端位置に閉庫された異常開閉動作を検出すると、制御部18は、表示部17に、この一方の束収納庫14の識別表示と、束収納庫14を前端位置まで開庫してから後端位置に閉庫させるように促す警告表示とを表示させて、この一方の束収納庫14のロックを再び解除してロータリエンコーダ38の開閉位相データからこの一方の束収納庫14が前端位置まで開庫してから後端位置に閉庫されるまで待機する。ロータリエンコーダ38の開閉位相データに基づき、この一方の束収納庫14が前端位置まで再開庫された正常開動作を検出すると、上記と同様、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時にラインセンサ44を駆動してラインセンサ44で閉庫時の貨幣検出反射データの取り込みを行わせる。なお、この異常開閉動作の検出時には、制御部18は、この一方の束収納庫14が前端位置まで再開庫された後に後端位置に再閉庫されなければ、上記した表示部17の警告表示を解除せず、この一方の束収納庫14が前端位置まで再開庫された後に後端位置に再閉庫されると上記した警告表示を解除する。
【0075】
そして、一回目の開閉庫の場合および再度の開閉庫の場合のいずれにおいても、この一方の束収納庫14の前端位置から後端位置に閉庫された正常開閉動作が検出されると、制御部18は、この一方の束収納庫14の表示灯40を消灯し、ラインセンサ44で検出した閉庫時の貨幣検出反射データから、上記のようにして、この一方の束収納庫14の各束収納凹部25に収納された束紙幣Tの数量検出データおよび個々の束紙幣Tの金種検出データを取得する。取得後、制御部18は、表示部17に、上記した金種入力データ、区別データおよび数量入力データを表示させるとともに、合わせて、この一方の束収納庫14の識別表示と、この一方の束収納庫14について取得した、数量検出データおよび金種検出データを総合した金種別の数量検出データとを関連付けて表示させる。
【0076】
加えて、制御部18は、今回取得した金種別の数量検出データと、前回の入出庫取引時に記憶部19に記憶されたこの一方の束収納庫14の金種別の数量検出データとから、この一方の束収納庫14における増減分となる、今回の一の入出庫取引での、実取引の数量である数量実取引データ(数量実取引情報)および実取引の金種である金種実取引データ(金種実取引情報)を総合した金種別の数量実取引データを割り出す。そして、制御部18は、この金種別の数量実取引データを、今回の一の入出庫取引で入力された数量入力データと金種入力データとを総合した金種別の数量入力データと照合し、差異が存在したか否かを判定する。つまり、金種別の数量実取引データと、金種別の数量入力データとが一致すれば、差異は存在しないと判定し、それ以外は、差異が発生したと判定する。
【0077】
差異が存在しなければ、制御部18は、各束収納凹部25の束紙幣Tの金種検出データと各束収納凹部25の規定の収納金種とから、対応金種の束収納凹部25に収納されていない異金種束紙幣Tが存在するか否かを判定し、異金種束紙幣Tが存在しなければ、今回割り出した金種別の数量実取引データと、今回取得した金種別の数量検出データとを、この一の入出庫取引の取引識別データと関連付けて記憶部19に記憶し、この一方の束収納庫14に対する開閉取引が終了したと判断する。
【0078】
差異が存在しないものの、異金種束紙幣Tが存在していると、制御部18は、表示部17に、異金種束紙幣Tが存在している旨と、この一方の束収納庫14の識別表示と、異金種束紙幣Tが存在している束収納凹部25の識別表示とを関連付けて、警報として表示させるとともに、再びこの一方の束収納庫14に対する開庫を許可して、そのロックを対応するロック機構41により解除することにより、この一方の束収納庫14を開作動可能とするとともに、その表示灯40を点灯させる。
【0079】
このロック解除後、制御部18は、上記と同様にして、ロータリエンコーダ38の開閉位相データからこの一方の束収納庫14の正常開動作を検出すると、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の束収納庫14に対して設けられたラインセンサ44を駆動して、このラインセンサ44で閉庫時の貨幣検出反射データの取り込みを、この一方の束収納庫14が後端位置に閉庫されたことが検出されるまで、行わせる。この閉庫時の貨幣検出反射データから、この一方の束収納庫14の各束収納凹部25の束紙幣Tの金種検出データを取得する。これを異金種束紙幣Tが存在しなくなるまで行う。
【0080】
他方、この一方の束収納庫14において、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとに差異が存在すると、制御部18は、表示部17に、この一方の束収納庫14の識別表示と、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとが一致しない旨の差異の種類と、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとから割り出される、取り出す束紙幣Tの金種別の数量と装填する束紙幣Tの金種別の数量とを含む差異の解消方法とを、関連付けて警報として表示させる。そして、制御部18は、通常の開閉取引から、通常以外の開閉取引に移行し、再びこの一方の束収納庫14に対する開庫を許可して、そのロックを対応するロック機構41により解除することにより、この一方の束収納庫14を開作動可能とするとともに、その表示灯40を点灯させる。
【0081】
ロック解除後、制御部18は、上記と同様にして、ロータリエンコーダ38の開閉位相データからこの一方の束収納庫14の正常開動作を検出すると、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の束収納庫14に対して設けられたラインセンサ44を駆動して、このラインセンサ44で閉庫時の貨幣検出反射データの取り込みを行わせる。この閉庫時の貨幣検出反射データから、この一方の束収納庫14の各束収納凹部25に収納された束紙幣Tの金種別の数量検出データを取得する。
【0082】
すると、制御部18は、この通常以外の開閉取引の開庫の直前の、今回の一の入出庫取引の通常の開閉取引にて入力された、この一方の束収納庫14の各束収納凹部25の束紙幣Tの金種別の数量入力データと、前回の入出庫取引時に記憶部19に記憶されたこの一方の束収納庫14の束紙幣Tの金種別の数量検出データとから割り出される、この通常以外の開閉取引の開庫の直前の上記した通常の開閉取引後に本来あるべき数量である数量割出データおよび金種である金種割出データを総合した金種別の数量割出データを割り出す。
【0083】
そして、この金種別の数量割出データと、今回の通常以外の開閉取引の閉庫時の貨幣検出反射データに基づくこの一方の束収納庫14の束紙幣Tの金種別の数量検出データとを照合する。その結果、差異が存在しなければ、制御部18は、異金種束紙幣Tが存在するか否かの判定を含む上記と同様の処理を行い、異金種束紙幣Tが存在しない、あるいは異金種束紙幣Tが存在しなくなると、直前の上記した通常の開閉取引にて入力された金種別の数量入力データと、今回の通常以外の開閉取引で取得した金種別の数量検出データとを、この一の入出庫取引の取引識別データと関連付けて記憶部19に記憶し、この一方の束収納庫14に対する開閉取引が終了したと判断する。他方、差異が存在した場合、制御部18は、表示部17に、この一方の束収納庫14の識別表示と、差異の情報とを関連付けて表示させるとともに、上記と同様に、差異に応じた処理を行う。
【0084】
なお、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに他方の束収納庫14に収納されている束紙幣Tの金種が含まれている場合、制御部18は、上記した一方の束収納庫14と同様の処理を他方の束収納庫14に対して行うことになる。
【0085】
また、制御部18は、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに、例えば、一方の棒金収納庫15に収納されている棒金Bが含まれる場合、この一方の棒金収納庫15のロックを解除するとともにその表示灯65を点灯させることになり、その後、この一方の棒金収納庫15の現金管理装置本体12からの引き出しが開始されると、ロータリエンコーダ62の開閉位相データからこの一方の棒金収納庫15の開閉位置を検出することになり、ロータリエンコーダ62の開閉位相データからこの一方の棒金収納庫15が前端位置(所定位置)まで移動したか否かを判断する。
【0086】
制御部18は、ロータリエンコーダ62の開閉位相データに基づき、この一方の棒金収納庫15が前端位置まで開庫された正常開動作を検出すると、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の棒金収納庫15に対して設けられた複数の磁気センサ70を駆動してこれら磁気センサ70で貨幣検出磁気データの取り込みを、ロータリエンコーダ62の開閉位相データに基づき、この一方の棒金収納庫15が後端位置に閉庫されたことが検出されるまで、行わせる。
【0087】
他方、ロータリエンコーダ62の開閉位相データから、この一方の棒金収納庫15が前端位置まで開庫されずに後端位置に閉庫された異常開閉動作を検出すると、制御部18は、表示部17に、この一方の棒金収納庫15の識別表示と、棒金収納庫15を前端位置まで開庫してから後端位置に閉庫させるように促す警告表示とを表示させて、この一方の棒金収納庫15のロックを再び解除してロータリエンコーダ62の開閉位相データからこの一方の棒金収納庫15が前端位置まで開庫してから後端位置に閉庫されるまで待機する。ロータリエンコーダ62の開閉位相データに基づき、この一方の棒金収納庫15が前端位置まで再開庫された正常開動作を検出すると、上記と同様、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、複数の磁気センサ70を駆動してこれら磁気センサ70で貨幣検出磁気データの取り込みを行わせる。なお、この異常開閉動作の検出時には、制御部18は、この一方の棒金収納庫15が前端位置まで再開庫された後に後端位置に再閉庫されなければ、上記した表示部17の警告表示を解除せず、この一方の棒金収納庫15が前端位置まで再開庫された後に後端位置に再閉庫されると上記した警告表示を解除する。
【0088】
そして、一回目の開閉庫の場合および再度の開閉庫の場合のいずれにおいても、この一方の棒金収納庫15の前端位置から後端位置に閉庫された正常開閉動作が検出されると、制御部18は、この一方の棒金収納庫15の表示灯65を消灯し、複数の磁気センサ70で検出した貨幣検出磁気データから、上記のようにして、この一方の棒金収納庫15の各棒金収納凹部55に収納された棒金Bの数量検出データおよび個々の棒金Bの金種検出データを取得する。取得後、制御部18は、表示部17に、上記した金種入力データ、区別データおよび数量入力データを表示させるとともに、合わせて、この一方の棒金収納庫15の識別表示と、この一方の棒金収納庫15について取得した数量検出データおよび金種検出データを総合した金種別の数量検出データとを関連付けて表示させる。
【0089】
加えて、制御部18は、今回取得した金種別の数量検出データと、前回の入出庫取引時に記憶部19に記憶されたこの一方の棒金収納庫15の金種別の数量検出データとから、この一方の棒金収納庫15における増減分となる、今回の一の入出庫取引での、実取引の数量である数量実取引データ(数量実取引情報)および実取引の金種である金種実取引データ(金種実取引情報)を総合した金種別の数量実取引データを割り出す。そして、制御部18は、この金種別の数量実取引データを、今回の一の入出庫取引で入力された数量入力データと金種入力データとを総合した金種別の数量入力データと照合し、差異が存在したか否かを判定する。つまり、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとが一致すれば、差異は存在しないと判定し、それ以外は、差異が発生したと判定する。
【0090】
差異が存在しなければ、制御部18は、各棒金収納凹部55の棒金Bの金種検出データと各棒金収納凹部55の規定の収納金種とから、対応金種の棒金収納凹部55に収納されていない異金種棒金Bが存在するか否かを判定し、異金種棒金Bが存在しなければ、今回割り出した金種別の数量実取引データと、今回取得した金種別の数量検出データとを、この一の入出庫取引の取引識別データと関連付けて記憶部19に記憶し、この一方の棒金収納庫15に対する開閉取引が終了したと判断する。
【0091】
差異が存在しないものの、異金種棒金Bが存在していると、制御部18は、表示部17に、異金種棒金Bが存在している旨と、この一方の棒金収納庫15の識別表示と、異金種棒金Bが存在している棒金収納凹部55の識別表示とを関連付けて、警報として表示させるとともに、再びこの一方の棒金収納庫15に対する開庫を許可して、そのロックを対応するロック機構68により解除することにより、この一方の棒金収納庫15を開作動可能とするとともに、その表示灯65を点灯させる。
【0092】
このロック解除後、制御部18は、上記と同様にして、ロータリエンコーダ62の開閉位相データからこの一方の棒金収納庫15が前端位置まで移動したか否かを判断し、この一方の棒金収納庫15が前端位置まで開庫された正常開動作を検出すると、上記と同様、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の棒金収納庫15に対して設けられた複数の磁気センサ70を駆動して、この複数の磁気センサ70で貨幣検出磁気データの取り込みを行わせる。この貨幣検出磁気データから、この一方の棒金収納庫15の各棒金収納凹部55の棒金Bの金種検出データを取得する。これを異金種棒金Bが存在しなくなるまで行う。
【0093】
他方、この一方の棒金収納庫15において、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとに差異が存在すると、制御部18は、表示部17に、この一方の棒金収納庫15の識別表示と、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとが一致しない旨の差異の種類と、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとから割り出される、取り出す棒金Bの金種別の数量と装填する棒金Bの金種別の数量とを含む差異の解消方法とを、関連付けて警報として表示させる。そして、制御部18は、通常の開閉取引から、通常以外の開閉取引に移行し、再びこの一方の棒金収納庫15に対する開庫を許可して、そのロックを対応するロック機構68により解除することにより、この一方の棒金収納庫15を開作動可能とするとともに、その表示灯65を点灯させる。
【0094】
ロック解除後、制御部18は、上記と同様にして、ロータリエンコーダ62の開閉位相データからこの一方の棒金収納庫15が前端位置まで移動したか否かを判断し、この一方の棒金収納庫15が前端位置まで開庫された正常開動作を検出すると、上記と同様、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の棒金収納庫15に対して設けられた複数の磁気センサ70を駆動して、これら磁気センサ70で貨幣検出磁気データの取り込みを行わせる。この貨幣検出磁気データから、この一方の棒金収納庫15に収納された棒金Bの金種別の数量検出データを取得する。
【0095】
すると、制御部18は、この通常以外の開閉取引の開庫の直前の、今回の一の入出庫取引の通常の開閉取引にて入力された、この一方の棒金収納庫15の棒金Bの金種別の数量入力データと、前回の入出庫取引時に記憶部19に記憶されたこの一方の棒金収納庫15の棒金Bの金種別の数量検出データとから割り出される、この通常以外の開閉取引の開庫の直前の上記した通常の開閉取引後に本来あるべき数量である数量割出データおよび金種である金種割出データを総合した金種別の数量割出データを割り出す。
【0096】
そして、この金種別の数量割出データと、今回の通常以外の開閉取引の貨幣検出磁気データに基づくこの一方の棒金収納庫15の棒金Bの金種別の数量検出データとを照合する。その結果、差異が存在しなければ、制御部18は、異金種棒金Bが存在するか否かの判定を含む上記と同様の処理を行い、異金種棒金Bが存在しない、あるいは異金種棒金Bが存在しなくなると、直前の上記した通常の開閉取引にて入力された金種別の数量入力データと、今回の通常以外の開閉取引で取得した金種別の数量検出データとを、この一の入出庫取引の取引識別データと関連付けて記憶部19に記憶し、この一方の棒金収納庫15に対する開閉取引が終了したと判断する。他方、差異が存在した場合、制御部18は、表示部17に、この一方の棒金収納庫15の識別表示と、差異の情報とを関連付けて表示させるとともに、上記と同様に、差異に応じた処理を行う。
【0097】
なお、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに他方の棒金収納庫15に収納されている棒金Bの金種が含まれている場合、制御部18は、上記した一方の棒金収納庫15と同様の処理を他方の棒金収納庫15に対して行うことになる。
【0098】
最後に、制御部18は、両方の束収納庫14および両方の棒金収納庫15のうち、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データの金種を収納しているものすべてについて、開閉取引が終了したと判断すると、今回の一の入出庫取引が終了したと判断する。
【0099】
以上に述べた第1実施形態に係る現金管理装置11によれば、現金管理装置本体12に対して束収納庫14をスライド開閉すると、現金管理装置本体12に固定されたラインセンサ44が、束収納庫14の開閉に伴って通過する束紙幣Tの上下方向の端部から貨幣検出反射データを取得することになり、制御部18が、この貨幣検出反射データと、記憶部19に記憶された数量マスタデータおよび金種マスタデータとを照合して束収納庫14における束紙幣Tの数量検出データおよび金種検出データを取得することになる。同様に、現金管理装置本体12に対して棒金収納庫15をスライド開閉すると、現金管理装置本体12に固定された複数の磁気センサ70が、棒金収納庫15の開閉に伴って通過する棒金Bの上下方向の端部から貨幣検出磁気データを取得することになり、制御部18が、この貨幣検出磁気データと、記憶部19に記憶された数量マスタデータおよび金種マスタデータとを照合して棒金収納庫15における棒金Bの数量検出データおよび金種検出データを取得することになる。よって、他の装置を介在させることなく、任意の場所で、束収納庫14の束紙幣Tの数量検出データおよび金種検出データと、棒金収納庫15の棒金Bの数量検出データおよび金種検出データとを取得できるため、現金管理の厳正化および業務効率の向上を確実に図ることができる。
【0100】
また、束収納庫14には束紙幣Tが、棒金収納庫15には棒金Bが、いずれも立位状態で収納されるため、束紙幣Tおよび棒金Bを効率良く収納することができることになり、加えて、束紙幣Tの上下方向の端部からラインセンサ44が貨幣検出反射データを取得するため、立位状態で収納された束紙幣Tを効率良く検出することができ、棒金Bの上下方向の端部から複数の磁気センサ70が貨幣検出磁気データを取得するため、立位状態で収納された棒金Bを効率良く検出することができる。
【0101】
また、制御部18が、現金管理装置本体12に固定されたロータリエンコーダ38が検出する束収納庫14の開閉位相データに基づいて貨幣検出反射データを補正し、この補正された貨幣検出反射データと数量マスタデータおよび金種マスタデータとを照合して、束収納庫14の数量検出データおよび金種検出データを取得するため、束収納庫14の開閉速度に関わらず、束紙幣Tの数量検出データおよび金種検出データを検出できる。また、現金管理装置本体12に固定されたロータリエンコーダ62が検出する棒金収納庫15の開閉位相データに基づいて貨幣検出磁気データを補正し、この補正された貨幣検出磁気データと数量マスタデータおよび金種マスタデータとを照合して、棒金収納庫15の数量検出データおよび金種検出データを取得するため、棒金収納庫15の開閉速度に関わらず、棒金Bの数量検出データおよび金種検出データを検出できる。
【0102】
また、手動で束収納庫14を開庫する場合、束紙幣Tが収納される可能性のある領域全てがラインセンサ44を通過する必要があり、途中で開庫を停止し閉庫したとき等は正確な情報検出ができなくなってしまうことになるが、制御部18が、開閉位相データに基づき束収納庫14が所定の前端位置まで開庫されずに閉庫されたときに表示部17により警告することで、束収納庫14の束紙幣Tが収納される可能性のある領域全てがラインセンサ44を通過するまで束収納庫14が開庫されずに閉庫したときに警告することができ、情報検出漏れを防止できる。同様に、制御部18が、開閉位相データに基づき棒金収納庫15が所定の前端位置まで開庫されずに閉庫されたときに表示部17により警告することで、棒金収納庫15の棒金Bが収納される可能性のある領域全てが複数の磁気センサ70を通過するまで棒金収納庫14が開庫されずに閉庫したときに警告することができ、情報検出漏れを防止できる。
【0103】
また、制御部18が、対応金種の収納位置に収納されていない異金種束紙幣Tを検出したとき、および対応金種の収納位置に収納されていない異金種棒金Bを検出したときに、表示部17により警告するため、異金種束紙幣Tおよび異金種棒金Bの存在を締上げ処理前に発見でき、操作ミスを未然に防止できる。
【0104】
また、制御部18は、束収納庫14および棒金収納庫15の少なくともいずれか一方に対し、入庫および出庫の少なくとも一方を含む一の通常の開閉取引が行われると、数量検出データおよび金種検出データを取得し、これらの数量検出データおよび金種検出データから割り出される、この一の通常の開閉取引の数量実取引データおよび金種実取引データと、この一の通常の開閉取引時に入力された数量入力データおよび金種入力データとを照合し、差異が存在したときに表示部17により警報するため、操作ミスを速やかに発見し報知することができる。
【0105】
また、制御部18は、通常以外の開閉取引で、束収納庫14および棒金収納庫15の少なくともいずれか一方の開庫が許可された場合であって、この開庫が許可されたものが開庫されて閉庫された際に、数量検出データおよび金種検出データを取得し、これら数量検出データおよび金種検出データと、開庫の直前の通常の開閉取引時に入力された数量入力データおよび金種入力データから割り出される直前の通常の開閉取引後にあるべき束紙幣Tあるいは棒金Bの数量割出データおよび金種割出データとを照合し、差異が存在したときに表示部17により警報するため、復旧操作ミスを速やかに発見し報知することができる。
【0106】
また、操作入力部16に数量入力データおよび金種入力データが入力されることで、複数の束収納庫14および複数の棒金収納庫15のうち、これらに対応するものの開庫を許可するため、数量入力データおよび金種入力データに対応しないものが開庫されてしまうこと等の操作ミスを未然に防止できる。
【0107】
次に、本発明の第2実施形態に係る現金管理装置を主に図4および図5を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0108】
第1実施形態においては、ラインセンサ44で束収納庫14の束紙幣Tの数量および金種を検出し磁気センサ70で棒金収納庫15の棒金Bの数量および金種を検出する場合を説明したが、第2実施形態では、束収納庫14の束紙幣Tの各束収納凹部25毎の数量を反射センサ74で検出し、棒金収納庫15の各棒金収納凹部55の棒金Bの有無から数量を反射センサ75で検出するようになっている。なお、いずれも金種を直接検出することはなく、束紙幣Tについては、収納先の束収納凹部25に設定された金種と判定するようになっており、棒金Bについては、収納先の棒金収納凹部55に設定された金種と判定するようになっている。
【0109】
つまり、現金管理装置本体12の前端部における一方の束収納庫14の上部位置に、一組の発光素子および受光素子からなる光学反射型の反射センサ(貨幣検出部)74が、各束収納凹部25に二つずつ同じ高さに固定されて設けられている。この場合、束紙幣Tは結束テープtの左右方向の位置を必ずしも所定の一側に予め決めて収納する必要はなく、この結束テープtが左右方向のいずれの側にあっても検出可能となるように、結束テープtの左右方向の両側位置に合わせて反射センサ74が配置されている。現金管理装置本体12の前端部における他方の束収納庫14の上部位置にも、同様の反射センサ(貨幣検出部)74が各束収納凹部25の左右方向所定位置に同じ高さに固定されて設けられている。
【0110】
これらの反射センサ74も、発光素子が下方に発光した光の下方からの反射光を受光素子が受光するようになっている。その結果、上側の束収納庫14の上部位置に設けられた反射センサ74は、一方が、真下で前後にスライドする上側の束収納庫14の一方の束収納凹部25に収納された束紙幣Tの上端部の反射光データである貨幣検出反射データ(貨幣検出情報)を取得することになり、他方が、真下で前後にスライドする上側の束収納庫14の他方の束収納凹部25に収納された束紙幣Tの上端部の反射光データである貨幣検出反射データ(貨幣検出情報)を取得することになる。下側の束収納庫14の上部位置に設けられた反射センサ74も同様である。
【0111】
なお、この場合も、検出対象となる束収納庫14が現金管理装置本体12に対して前端位置から後端位置まで移動すると、各反射センサ74は、それぞれ検出対象となる束収納凹部25の全範囲を検出するようになっている。そして、各反射センサ74は、束収納庫14の閉庫に伴って通過する束収納庫14の束紙幣Tの上下方向の端部から貨幣検出反射データを取得する。
【0112】
ここで、制御部18は、反射センサ74の貨幣検出反射データから、反射率が高くなる結束テープtと、結束テープtが巻回されず反射率が低くなる紙幣sと、紙幣sもなく反射率がさらに低くなる、他の部分(空間、前壁26、後壁27および束押さえ板33)とを区別することになる。また、制御部18は、隣り合う束紙幣Tの結束テープtと結束テープtとの間の反射率が低くなる部分を検出することで、隣り合う束紙幣Tの間部分を検出する。
【0113】
そして、制御部18は、閉庫時の反射センサ74の貨幣検出反射データをロータリエンコーダ38の開閉位相データに基づいて補正し、この補正された閉庫時の貨幣検出反射データと、記憶部19に記憶された数量マスタデータ(数量マスタ情報)とを照合することで、反射センサ74で検出した、束収納庫14の対応する束収納凹部25内の束紙幣Tの数量である数量検出データ(数量検出情報)を取得する。例えば、反射センサ74は、補正後の閉庫時の貨幣検出反射データの中で、一つの結束テープtと判断できる、数量マスタデータの結束テープ判断基準光量データ以上の光量があり且つ数量マスタデータの結束テープ判断基準長さデータ以上の連続する長さを有する結束テープ部分を数えて、これを束紙幣Tの数量である数量検出データとする。
【0114】
現金管理装置本体12の前端部における一方の棒金収納庫15の上部位置に、この棒金収納庫15の棒金収納凹部55の各列と左右方向の位置を合わせて、各列に一つずつ一組の発光素子および受光素子からなる光学反射型の反射センサ(貨幣検出部)75が、同じ高さに固定されて設けられている。
【0115】
これらの反射センサ75も、検出方向を下方に向けており、発光素子が下方に発光した光の下方からの反射光を受光素子が受光するようになっている。その結果、上側の棒金収納庫15の上部位置に設けられた複数の反射センサ75は、それぞれが、真下で前後にスライドする上側の棒金収納庫15の同列の棒金収納凹部55に収納された棒金Bの上端部の閉庫時の反射データである貨幣検出反射データ(貨幣検出情報)を順次取得することになる。下側の棒金収納庫15の上部位置に設けられた複数の反射センサ75も、同様である。
【0116】
なお、この場合も、検出対象となる棒金収納庫15が現金管理装置本体12に対して前端位置から後端位置まで移動すると、各反射センサ75は、検出対象となる同列の全範囲の棒金収納凹部55を順次検出するようになっている。複数の反射センサ75は、棒金収納庫15の閉庫に伴って通過する棒金Bの上下方向の端部から貨幣検出反射データを取得する。
【0117】
そして、制御部18は、閉庫時の反射センサ75の貨幣検出反射データをロータリエンコーダ62の開閉位相データに基づいて補正し、この補正された貨幣検出反射データと、記憶部19に記憶された数量マスタデータ(数量マスタ情報)とを照合することで、反射センサ75で検出した、棒金収納庫15内の各棒金収納凹部55の棒金Bの数量検出データ(数量検出情報)を取得する。例えば、反射センサ75は、補正後の貨幣検出磁気データの中で、所定の棒金収納凹部55の位置に、一つの棒金Bと判断できる、数量マスタデータの反射基準データ以上の出力データが数量マスタデータの棒金径基準データ以上連続する検出長さを有する棒金部分を検出し、この棒金部分を計数することで、数量検出データを取得する。
【0118】
以上の構成の第2実施形態に係る現金管理装置11においては、例えば、一の入出庫取引開始にあたって入力された金種入力データに、一方の束収納庫14に収納されている束紙幣Tが含まれる場合、制御部18は、この一方の束収納庫14のロックを解除するとともにその表示灯40を点灯させることになり、その後、ロータリエンコーダ38の開閉位相データに基づき、この一方の束収納庫14が前端位置まで開庫された正常開動作を検出すると、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の束収納庫14の各束収納凹部25に対して設けられた各反射センサ74を駆動してこれら反射センサ74で貨幣検出反射データの取り込みを、この一方の束収納庫14が後端位置に閉庫されたことが検出されるまで、行わせる。他方、異常開閉動作を検出すると、制御部18は、第1実施形態と同様の処理を行う。
【0119】
そして、この一方の束収納庫14の前端位置から後端位置に閉庫された正常開閉動作が検出されると、制御部18は、この一方の束収納庫14の表示灯40を消灯し、各反射センサ74で検出した貨幣検出反射データから、上記のようにして、この一方の束収納庫14の各束収納凹部25それぞれに収納された束紙幣Tの数量検出データを取得する。取得後、制御部18は、表示部17に、入出庫取引開始にあたって入力された金種入力データ、区別データおよび数量入力データを表示させるとともに、合わせて、この一方の束収納庫14の識別表示と、この一方の束収納庫14について取得した、各束収納凹部25別(金種別)の束紙幣Tの数量検出データとを関連付けて表示させる。
【0120】
加えて、制御部18は、貨幣検出反射データに基づくこの一方の束収納庫14の各束収納凹部25別の束紙幣Tの数量検出データと、前回の入出庫取引時に記憶部19に記憶されたこの一方の束収納庫14の各束収納凹部25別の数量検出データとから、この一方の束収納庫14の各束収納凹部25における増減分となる、今回の一の入出庫取引での各束収納凹部25別(金種別)の、実取引の数量である数量実取引データ(数量実取引情報)を割り出し、この数量実取引データを、今回の一の入出庫取引で入力された金種別の数量入力データと照合し、差異が存在したか否かを判定する。つまり、一方の束収納凹部25の数量実取引データとこの一方の束収納凹部25の金種の数量入力データとが一致し、他方の束収納凹部25の数量実取引データとこの他方の束収納凹部25の金種の数量入力データとが一致すれば、差異は存在しないと判定し、それ以外は、差異が発生したと判定する。
【0121】
差異が存在しなければ、制御部18は、今回割り出した各束収納凹部25別の数量実取引データと、今回取得した各束収納凹部25別の数量検出データとを、この一の入出庫取引の取引識別データと関連付けて記憶部19に記憶し、この一方の束収納庫14に対する開閉取引が終了したと判断する。
【0122】
他方、この一方の束収納庫14において、各束収納凹部25別の数量実取引データと金種別の数量入力データとに差異が存在すると、制御部18は、表示部17に、この一方の束収納庫14の識別表示と、各束収納凹部25別の数量実取引データと各束収納凹部25別の数量入力データとが一致しない旨の差異の種類と、各束収納凹部25別の数量実取引データと各束収納凹部25別の数量入力データとから割り出される、取り出す束紙幣Tの金種別の数量と装填する束紙幣Tの金種別の数量とを含む差異の解消方法とを、関連付けて警報として表示させる。そして、制御部18は、通常の開閉取引から、通常以外の開閉取引に移行し、再びこの一方の束収納庫14に対する開庫を許可して、そのロックを解除することにより、この一方の束収納庫14を開作動可能とするとともに、その表示灯40を点灯させる。
【0123】
ロック解除後、制御部18は、上記と同様にして、ロータリエンコーダ38の開閉位相データからこの一方の束収納庫14の正常開動作を検出すると、上記と同様、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の束収納庫14に対して設けられた各反射センサ74を駆動して、これら反射センサ74で貨幣検出反射データの取り込みを行わせて、この貨幣検出反射データから、この一方の束収納庫14の各束収納凹部25に収納された束紙幣Tの金種別の数量検出データを取得する。
【0124】
すると、制御部18は、この通常以外の開閉取引の開庫の直前の、今回の一の入出庫取引の通常の開閉取引にて入力された、この一方の束収納庫14の束紙幣Tの金種別の数量入力データと、前回の入出庫取引時に記憶部19に記憶されたこの一方の束収納庫14の束紙幣Tの各束収納凹部25別(金種別)の数量検出データとから割り出される、この通常以外の開閉取引の開庫の直前の上記した通常の開閉取引後に本来あるべき数量である、各束収納凹部25別(金種別)の数量割出データを割り出す。そして、この各束収納凹部25別の数量割出データと、今回の通常以外の開閉取引の貨幣検出反射データに基づくこの一方の束収納庫14の束紙幣Tの各束収納凹部25別(金種別)の数量検出データとを照合する。その結果、差異が存在しなければ、制御部18は、直前の上記した通常の開閉取引にて入力された金種別の数量入力データと、今回の通常以外の開閉取引で取得した各束収納凹部25別の数量検出データとを、この一の入出庫取引の取引識別データと関連付けて記憶部19に記憶し、この一方の束収納庫14に対する開閉取引が終了したと判断する。他方、差異が存在した場合、制御部18は、表示部17に、この一方の束収納庫14の識別表示と、差異の情報とを関連付けて表示させるとともに、差異に応じた処理を行う。
【0125】
なお、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに他方の束収納庫14に収納されている束紙幣Tの金種が含まれている場合、制御部18は、上記した一方の束収納庫14と同様の処理を他方の束収納庫14に対して行うことになる。
【0126】
また、制御部18は、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに、例えば、一方の棒金収納庫15に収納されている棒金Bが含まれる場合、この一方の棒金収納庫15のロックを解除するとともにその表示灯65を点灯させることになり、その後、この一方の棒金収納庫15の現金管理装置本体12からの引き出しが開始されると、ロータリエンコーダ62の開閉位相データからこの一方の棒金収納庫15の開閉位置を検出することになり、この開閉位相データに基づき、この一方の棒金収納庫15が前端位置まで開庫された正常開動作を検出すると、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の棒金収納庫15に対して設けられた複数の反射センサ75を駆動してこれら反射センサ75で貨幣検出反射データの取り込みを、この一方の棒金収納庫15が後端位置に閉庫されたことが検出されるまで行わせる。他方、異常開閉動作を検出すると、制御部18は、第1実施形態と同様の処理を行う。
【0127】
そして、この一方の棒金収納庫15の前端位置から後端位置に閉庫された正常開閉動作が検出されると、制御部18は、この一方の棒金収納庫15の表示灯65を消灯し、各反射センサ75で検出した貨幣検出反射データから、上記のようにして、この一方の棒金収納庫15の各棒金収納凹部55に収納された棒金Bの有無を示す数量検出データを取得する。取得後、制御部18は、表示部17に、入出庫取引開始にあたって入力された金種入力データ、区別データおよび数量入力データを表示させるとともに、合わせて、この一方の棒金収納庫15の識別表示と、この一方の棒金収納庫15について取得した、収納金種が設定された各棒金収納凹部55それぞれの棒金Bの有無を示す数量検出データから割り出される金種別の数量データとを関連付けて表示させる。
【0128】
加えて、制御部18は、貨幣検出反射データに基づくこの一方の棒金収納庫15の各棒金収納凹部55の棒金Bの有無を示す数量検出データと、前回の入出庫取引時に記憶部19に記憶されたこの一方の棒金収納庫15の各棒金収納凹部55の棒金Bの有無を示す数量検出データとから、この一方の棒金収納庫15における増減分となる、今回の一の入出庫取引での、金種別の実取引の数量である数量実取引データ(数量実取引情報)を割り出し、この数量実取引データを、今回の一の入出庫取引で入力された金種別の数量入力データと照合し、差異が存在したか否かを判定する。つまり、この一方の棒金収納庫15における金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとが一致すれば、差異は存在しないと判定し、それ以外は、差異が発生したと判定する。
【0129】
差異が存在しなければ、制御部18は、今回割り出したこの一方の棒金収納庫15の金種別の数量実取引データと、今回取得したこの一方の棒金収納庫15の各棒金収納凹部55の棒金Bの有無を示す数量検出データとを、この一の入出庫取引の取引識別データと関連付けて記憶部19に記憶し、この一方の棒金収納庫15に対する開閉取引が終了したと判断する。
【0130】
他方、この一方の棒金収納庫15において、数量実取引データと数量入力データとに差異が存在すると、制御部18は、表示部17に、この一方の棒金収納庫15の識別表示と、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとが一致しない旨の差異の種類と、金種別の数量実取引データと金種別の数量入力データとから割り出される、取り出す棒金Bの金種別の数量と装填する棒金Bの金種別の数量とを含む差異の解消方法とを、関連付けて警報として表示させる。そして、制御部18は、通常の開閉取引から、通常以外の開閉取引に移行し、再びこの一方の棒金収納庫15に対する開庫を許可して、そのロックを解除することにより、この一方の棒金収納庫15を開作動可能とするとともに、その表示灯40を点灯させる。
【0131】
ロック解除後、制御部18は、上記と同様にして、ロータリエンコーダ62の開閉位相データからこの一方の棒金収納庫15の正常開動作を検出すると、上記と同様、その後、閉方向の移動開始を検出すると同時に、この一方の棒金収納庫15に対して設けられた複数の反射センサ75を駆動して、これら反射センサ75で貨幣検出反射データの取り込みを行わせて、この貨幣検出反射データから、この一方の棒金収納庫15の各棒金収納凹部55に収納された棒金Bの各棒金収納凹部55別の有無からなる数量検出データを取得する。
【0132】
すると、制御部18は、この通常以外の開閉取引の開庫の直前の、今回の一の入出庫取引の通常の開閉取引にて入力された、この一方の棒金収納庫15の棒金Bの金種別の数量入力データと、前回の入出庫取引時に記憶部19に記憶されたこの一方の棒金収納庫15の棒金Bの各棒金収納凹部55別の有無からなる数量検出データとから割り出される、この通常以外の開閉取引の開庫の直前の上記した通常の開閉取引後に本来あるべき数量である、この一方の棒金収納庫15の金種別の数量割出データを割り出す。そして、この金種別の数量割出データと、今回の通常以外の開閉取引の貨幣検出反射データに基づくこの一方の棒金収納庫15の棒金Bの各棒金収納凹部55別の有無から割り出される各金種別の数量検出データとを照合する。その結果、差異が存在しなければ、制御部18は、直前の上記した通常の開閉取引にて入力された金種別の数量入力データと、今回の通常以外の開閉取引で取得したこの一方の棒金収納庫15の各棒金収納凹部55別の有無からなる数量検出データとを、この一の入出庫取引の取引識別データと関連付けて記憶部19に記憶し、この一方の棒金収納庫15に対する開閉取引が終了したと判断する。他方、差異が存在した場合、制御部18は、表示部17に、この一方の棒金収納庫15の識別表示と、差異の情報とを関連付けて表示させるとともに、差異に応じた処理を行う。
【0133】
なお、この一の入出庫取引にて入力された金種入力データに他方の棒金収納庫15に収納されている棒金Bの金種が含まれている場合、制御部18は、上記した一方の棒金収納庫15と同様の処理を他方の棒金収納庫15に対して行うことになる。
【0134】
以上に述べた第2実施形態に係る現金管理装置11によれば、現金管理装置本体12に対して束収納庫14をスライド開閉すると、現金管理装置本体12に固定された反射センサ74が、束収納庫14の開閉に伴って通過する束紙幣Tの上下方向の端部から貨幣検出反射データを取得することになり、制御部18が、この貨幣検出反射データと、記憶部19に記憶された数量マスタデータとを照合して束収納庫14における束紙幣Tの数量検出データを取得することになる。同様に、現金管理装置本体12に対して棒金収納庫15をスライド開閉すると、現金管理装置本体12に固定された複数の反射センサ75が、棒金収納庫15の開閉に伴って通過する棒金Bの上下方向の端部から貨幣検出反射データを取得することになり、制御部18が、この貨幣検出反射データと、記憶部19に記憶された数量マスタデータとを照合して棒金収納庫15における棒金Bの数量検出データを取得することになる。よって、他の装置を介在させることなく、任意の場所で、束収納庫14の束紙幣Tの数量検出データと、棒金収納庫15の棒金Bの数量検出データとを取得できるため、現金管理の厳正化および業務効率の向上を確実に図ることができる。
【0135】
また、束紙幣Tの上下方向の端部から反射センサ74が貨幣検出反射データを取得するため、立位状態で収納された束紙幣Tを効率良く検出することができ、棒金Bの上下方向の端部から反射センサ75が貨幣検出磁気データを取得するため、立位状態で収納された棒金Bを効率良く検出することができる。
【0136】
また、制御部18が、現金管理装置本体12に固定されたロータリエンコーダ38が検出する束収納庫14の開閉位相データに基づいて貨幣検出反射データを補正し、この補正された貨幣検出反射データと数量マスタデータとを照合して、束収納庫14の数量検出データを取得するため、束収納庫14の開閉速度に関わらず、束紙幣Tの数量検出データを検出できる。また、現金管理装置本体12に固定されたロータリエンコーダ62が検出する棒金収納庫15の開閉位相データに基づいて貨幣検出磁気データを補正し、この補正された貨幣検出磁気データと数量マスタデータとを照合して、棒金収納庫15の数量検出データを取得するため、棒金収納庫15の開閉速度に関わらず、棒金Bの数量検出データを検出できる。
【0137】
また、制御部18は、束収納庫14および棒金収納庫15の少なくともいずれか一方に対し、入庫および出庫の少なくとも一方を含む一の通常の開閉取引が行われると、数量検出データを取得し、この数量検出データから割り出される、この一の通常の開閉取引の数量実取引データと、この一の通常の開閉取引時に入力された数量入力データとを照合し、差異が存在したときに表示部17により警報するため、操作ミスを速やかに発見し報知することができる。
【0138】
また、制御部18は、通常以外の開閉取引で、束収納庫14および棒金収納庫15の少なくともいずれか一方の開庫が許可された場合であって、この開庫が許可されたものが開庫されて閉庫された際に、数量検出データを取得し、この数量検出データと、開庫の直前の通常の開閉取引時に入力された数量入力データから割り出される直前の通常の開閉取引後にあるべき束紙幣Tあるいは棒金Bの数量割出データとを照合し、差異が存在したときに表示部17により警報するため、復旧操作ミスを速やかに発見し報知することができる。
【0139】
また、操作入力部16に数量入力データが入力されることで、複数の束収納庫14および複数の棒金収納庫15のうち、これらに対応するものの開庫を許可するため、数量入力データに対応しないものが開庫されてしまうこと等の操作ミスを未然に防止できる。
【0140】
なお、以上の第2実施形態において、各棒金収納凹部55の棒金Bの有無を検出するために複数の反射センサ75にかえて棒金収納庫15の左右方向幅にあわせたラインセンサを設けても良い。
【0141】
また、第1,第2の実施形態においては、束紙幣Tを入出庫可能に収納する束収納庫14および棒金Bを入出庫可能に収納する棒金収納庫15の両方を設ける場合を例にとり説明したが、束収納庫14および棒金収納庫15のいずれか一方のみを有する現金管理装置としても良い。
【0142】
また、第1,第2の実施形態においては、束収納庫14および棒金収納庫15を手動で開閉する場合を例にとり説明したが、束収納庫14および棒金収納庫15をそれぞれスライド開閉させるモータ(駆動手段)を設け、制御部18がこのモータの駆動を制御して束収納庫14および棒金収納庫15を一定の基準速度でスライド開閉させるようにしても良い。このように構成すれば、不完全開庫等による情報検出漏れを未然に防止でき、また、貨幣検出反射データを補正せずに済む。
【0143】
また、第1,第2の実施形態においては、束紙幣Tの上端部を上方からラインセンサ44あるいは反射センサ74で、棒金Bの上端部を上方から磁気センサ70あるいは反射センサ75で検出する場合を例にとり説明したが、トレイ24,54の底部および収納庫14,15の底部を透明部材で形成すれば下端部を下方から検出することも可能である。しかしながら、構造の簡素化の観点からは上端部を上方から検出するのが好ましい。
【符号の説明】
【0144】
11 現金管理装置
12 現金管理装置本体
14 束収納庫(収納庫)
15 棒金収納庫(収納庫)
16 操作入力部(入力手段)
17 表示部(警告手段,警報手段)
18 制御部
19 記憶部
38,62 ロータリエンコーダ(位相検出部)
44 ラインセンサ(貨幣検出部)
70 磁気センサ(貨幣検出部)
74,75 反射センサ(貨幣検出部)
B 棒金(収納物)
T 束紙幣(収納物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒金および束紙幣のうちの少なくともいずれか一方からなる収納物を入出庫可能な現金管理装置であって、
現金管理装置本体と、
前記収納物が立位状態で収納されるとともに前記現金管理装置本体に対してスライド開閉可能に設けられた収納庫と、
前記現金管理装置本体に固定されて、前記収納庫の開閉に伴って通過する前記収納物の上下方向の端部から貨幣検出情報を取得する貨幣検出部と、
前記収納物の数量マスタ情報を記憶する記憶部と、
前記貨幣検出情報と前記数量マスタ情報とを照合して前記収納庫における前記収納物の数量検出情報を取得する制御部と、を備えてなることを特徴とする現金管理装置。
【請求項2】
さらに、前記現金管理装置本体に固定されて前記収納庫の開閉位相情報を取得する位相検出部を有し、
前記制御部は、前記開閉位相情報に基づいて前記貨幣検出情報を補正し、該補正された貨幣検出情報と前記数量マスタ情報とを照合して前記数量検出情報を取得することを特徴とする請求項1記載の現金管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記開閉位相情報に基づき前記収納庫が所定位置まで開庫されずに閉庫されたときに警告手段により警告するとともに、前記収納庫が前記所定位置まで再開庫された後に再閉庫されなければ前記警告を解除しないことを特徴とする請求項2記載の現金管理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記収納物の金種マスタ情報を記憶しており、
前記制御部は、前記貨幣検出情報と前記金種マスタ情報とを照合して前記収納庫における前記収納物の金種検出情報を取得することを特徴とする請求項1記載の現金管理装置。
【請求項5】
さらに、前記現金管理装置本体に固定されて前記収納庫の開閉位相情報を取得する位相検出部を有し、
前記制御部は、前記開閉位相情報に基づいて前記貨幣検出情報を補正し、該補正された貨幣検出情報と、前記数量マスタ情報および前記金種マスタ情報とを照合して前記数量検出情報および前記金種検出情報を取得することを特徴とする請求項4記載の現金管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記開閉位相情報に基づき前記収納庫が所定位置まで開庫されずに閉庫されたときに警告手段により警告するとともに、前記収納庫が前記所定位置まで再開庫された後に再閉庫されなければ前記警告を解除しないことを特徴とする請求項5記載の現金管理装置。
【請求項7】
前記収納庫には、金種毎に前記収納物の収納位置が規定されており、
前記制御部は、対応金種の前記収納位置に収納されていない異金種収納物を検出したときに警告手段により警告することを特徴とする請求項4ないし6のいずれか一項記載の現金管理装置。
【請求項8】
さらに、入庫・出庫の区別情報と、前記収納庫に対し入出庫される前記収納物の数量入力情報および金種入力情報とからなる取引入力情報が入力される入力手段と、
前記取引入力情報および前記数量検出情報を表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記収納庫に対し入庫および出庫の少なくとも一方を含む一の通常の開閉取引が行われると、前記数量検出情報を取得し、該数量検出情報から割り出される前記一の通常の開閉取引の数量実取引情報と、前記一の通常の開閉取引時に入力された前記数量入力情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載の現金管理装置。
【請求項9】
さらに、入庫・出庫の区別情報と、前記収納庫に対し入出庫される前記収納物の数量入力情報および金種入力情報とからなる取引入力情報が入力される入力手段と、
前記取引入力情報、前記数量検出情報、および前記金種検出情報を表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記収納庫に対し入庫および出庫の少なくとも一方を含む一の通常の開閉取引が行われると、前記数量検出情報および前記金種検出情報を取得し、当該数量検出情報および当該金種検出情報から割り出される前記一の通常の開閉取引の数量実取引情報および金種実取引情報と、前記一の通常の開閉取引時に入力された前記数量入力情報および前記金種入力情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか一項記載の現金管理装置。
【請求項10】
前記制御部は、通常以外の開閉取引で前記収納庫の開庫が許可された場合であって、該開庫が許可された前記収納庫が開庫されて閉庫された際に、前記数量検出情報を取得し、当該数量検出情報と、当該開庫の直前の前記通常の開閉取引時に入力された前記数量入力情報から割り出される前記直前の通常の開閉取引後にあるべき前記収納物の数量割出情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報することを特徴とする請求項8に記載の現金管理装置。
【請求項11】
前記制御部は、通常以外の開閉取引で前記収納庫の開庫が許可された場合であって、該開庫が許可された前記収納庫が開庫されて閉庫された際に、前記数量検出情報および前記金種検出情報を取得し、当該数量検出情報および当該金種検出情報と、当該開庫の直前の前記通常の開閉取引時に入力された前記数量入力情報および前記金種入力情報から割り出される前記直前の通常の開閉取引後にあるべき前記収納物の数量割出情報および金種割出情報とを照合し、差異が存在したときに警報手段により警報することを特徴とする請求項9に記載の現金管理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記入力手段に前記取引入力情報が入力されることで、前記取引入力情報に対応する前記収納庫の開庫を許可することを特徴とする請求項8ないし11のいずれか一項記載の現金管理装置。
【請求項13】
さらに、前記収納庫のスライド開閉を駆動する駆動手段を有し、
前記制御部は、前記駆動手段を制御して前記収納庫の開閉を行うことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項記載の現金管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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