球面収差の無い屈折率分布型レンズと方法
収差のない屈折率分布型レンズ及びこれに関連するこのようなレンズを作るための方法に関する。この屈折率分布型レンズは、実質的に球形状のレンズであって、焦点の軌跡が平面上にあるように、このレンズが実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有するレンズであってもよい。屈折率分布型レンズを作るための方法は、1)各層が実効屈折率を有する複数の材料層を形成する工程、及び2)該複数の材料層を共に積層して、実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有する実質的に球形状のレンズを形成する工程から成ってもよい。この複数の材料層は、焦点の軌跡が該実質的平面の表面上にあるように勾配屈折率分布を有するものであってもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年10月6日出願の米国特許出願61/249,111の優先権を主張し、その開示全体は参照されて本明細書に取り込まれる。
この発明は、一般的には、屈折率分布型光学系、イメージング及び方法に関し、より詳細には、屈折率分布型レンズ及び幾何学的収差の無い屈折率分布型レンズを作成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレンズにおいては、光の軌跡は光が入る表面と光が出る表面においてのみ変化し、そのレンズの中では光は真直ぐに進む。そのため、人が望む理想的な光デバイスとして作成することは困難である。一般に、屈折光学系において球状やコマなどの単色収差を避けることはできず、せいぜい多くのレンズから成るシステムを使用することによって最小限に抑えることができるだけである。レンズの収差の問題により、特定の高性能画像への応用が制限されている。例えば、広角イメージングシステムは、多層のレンズを利用しているが、まだ多くの場合に、最適化した後においてさえ、かなりの歪みを示す。
屈折率分布型レンズは、レンズ設計への代替アプローチをもたらした。屈折率分布型レンズにおいては、光を操作するために均一な材料の複数の界面に頼らないで、レンズの本体中で屈折率を変化させる。光線は媒体に入射後放置されるのではなく、より大きなコントロールにより、光線の最終目的地へ誘導されることができる。例えば、それは無限遠からの光線を球の表面に集光する、幾何学的収差のない屈折率分布型レンズを作成することが可能であることが古くから知られている。このようなレンズは、発明者にちなんで、ルネベルグレンズ(Luneburg lens)と呼ばれている。
【0003】
屈折率分布型レンズは、通常、屈折率が媒体中で空間的に変化する不均一な材料から成る。マクスウェル"魚眼"レンズは、このクラスの2番目の例であり、屈折率が異なる2つの媒体間の界面を操ることに依存している屈折レンズとは対照的に、複雑で不均一な媒体を介してその機能を達成する。ルネベルグレンズ、マクスウェル"魚眼"レンズ及び同様の屈折率分布型レンズは、広い視野又は大幅に幾何学的収差が減少している等のかなりの利点を持っているが、特定のよく知られた例では、焦点領域が平面ではなく曲面上に存在し、画像を取得するために使用されるほぼすべての電荷結合素子(CCD)配列の平面幾何学と両立しない。さらに、制御された方法で大きな屈折率勾配を達成するためのプロセスは、製造上の困難な課題を提起する。これらの理由から、これらのレンズは商業的に限定的にしか成功していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ルネベルグレンズやマクスウェル"魚眼"レンズなどのレンズはこのような良好な画像特性を持っているが、これらの屈折率分布型デバイスを多くの用途に使用できるようにする設計を開発することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、幾何学的収差のない屈折率分布型レンズと、このようなレンズの製法が提供される。一つの態様において、屈折率分布型レンズが提供される。このレンズは、実質的に球形状の複数のレンズであって、このレンズは、実質的平面の表面になるように平らにされた少なくとも一面を有し、この実質的平面の表面上に焦点の軌跡を有するように勾配屈折率分布を有する。
別の態様では、屈折率分布型レンズは、複数の材料層から成り、この複数の材料層は共に積層されて、実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有する実質的に球形状のレンズを形成する。この複数の材料層の各層は実効屈折率を有し、この複数の材料層は一緒に、焦点の軌跡がこの実質的平面の表面上にあるように勾配屈折率分布を有する。
更に別の態様では、屈折率分布型レンズを製造する方法が提供される。この方法は、
1)各層が実効屈折率を有する複数の材料層を形成する工程、及び
2)該複数の材料層を共に積層して、実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有する実質的に球形状のレンズを形成する工程、から成ってもよい。
この複数の材料層は、焦点の軌跡が該実質的平面の表面上にあるように勾配屈折率分布を有してもよい。
以上、本発明の態様のいくつかを示し、これらの全て又は一部は、本発明によって達成されるが、以下説明が進むにつれて本発明の他の側面が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の特徴及び利点は、単に説明する目的のために記載されている非限定的な例として添付されている図面と併せて読まれるべき以下の詳細な説明からより良く理解されるであろう。
【図1】A:ルネベルグレンズに入射する光線の光跡を示す図である。B:本発明の一つの態様に従った、平坦化されたルネベルグレンズに入射する光線の光跡を示す図である。C:ルネベルグレンズに斜めに入射する光線の光跡を示す図である。D:本発明の一つの態様に従った、平坦化されたルネベルグレンズに斜めに入射する光線の光跡を示す図である。
【図2】A:本発明の一つの態様に従った、平坦化されたルネベルグレンズの準等角写像を示す図である。B:図2Aの準等角写像の逆を示す図である。
【図3】A:本発明の一つの態様に従った、平坦化されたルネベルグレンズの屈折率プロファイルを示す図である。B:本発明の一つの態様に従ったレンズの断面斜視図である。C:本発明の一つの態様に従ったレンズを形成するために使用される複数の積層材料層の斜視図である。
【図4】A〜Dは、本発明の複数の態様に従った、レンズの実験的電磁界マップを示す図である。
【図5】A〜Cは、本発明の一つの態様に従った、レンズの全波シミュレーションの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、幾何学的収差(例えば、球面収差)の無い新規な屈折率分布型レンズとこのレンズの製法である。本発明のレンズは、ルネベルグレンズに基づいて提供することができるが、片側が平面になるように反っている。しかし、このようなレンズを設計するために用いられる方法は、典型的なレンズの設計とは根本的に異なる。本発明の方法は、線光学系の近似を使用して作業を最適化することではなく、まず"完璧な"レンズ設計を行って、その後変換光学の分野の技術を使用して、焦点の軌跡が平面上にあるようなその他の設計基準を満たす。この変換光学は、高度な電磁デバイスを設計するための道筋を提供する方法である。屈折率分布型デバイスのような変換光学材料は、一般に構成テンソルの要素(例えば、電気誘電率と透磁率)内の独立した空間的な勾配を有する複雑な材料特性によって特徴付けられる。変換光学系は、このレンズ設計における全波情報を潜在的に伝達するので、このアプローチは他の方法とは異なる優位性を持つ。
【0008】
レンズ設計に変換光学を適用するには、特定の光学因子に変換を適用して、光学系の全体の有用性を向上させることができる。変換光学系は、マクスウェル方程式は、座標変換に関して"形不変(form invariant)"であるという観察から、導き出される。換言すれば、マクスウェル方程式は、座標変換が行われていても同じ方法で書き込むことができる。このような座標変換の下で、材料パラメータは重みが+1の2次ランクのテンソルとして変換する。
【数1】
【0009】
この不変性は、電磁波の軌道を変更する座標変換を実行し、構成テンソルにその変換を適用して、構成テンソルが材料に達し、予想される機能を達成することが可能であることを示している。例えば、変換光学系のアプローチは、ルネベルグレンズの片側を平らに適用することができる。具体的には、ルネベルグレンズの反りへの変換光学系のアプローチは、球状突起のあるレンズの領域を平坦化することを含む。通常、Y'=0のラインはXY空間で湾曲するが、変換後はこのラインは平坦である。例えば、図1A及び図1Dは、典型的な球状ルネベルグレンズの光線の入射軌跡を示すが、図1B及び図1Cは、修正ルネベルグレンズの光線の入射軌跡を示し、光線は像面に集光している。この変換は、完全なイメージングシステムとして、元のレンズの性質を変更しない。そうではなくて、焦点面の形状のみが変更される。
【0010】
しかし、その結果生じる媒体は、このような変換を可能にし、電気と磁気特性の両方に空間的な勾配を有する強異方性材料を要求することができる。このような材料は、従来の材料を使用して実施することは難しい場合があり、また帯域幅が限定され、磁気応答の必要性のために無視できない程度の吸収がある場合がある。任意の波長においてこの初期設計を物理的に実現することが挑戦されているが、光の可視スペクトルに近いより短波長については特に難しい。
【0011】
従来の屈折率分布型レンズの障害を克服するために、ナノスケールのリソグラフィ技術と組み合わせたメタマテリアルを使用して、この光学素子を製造することができる。メタマテリアルは、電場と磁場の応答と異方性の両方においてかなり広い範囲の材料特性を提供するため、それに応じて広い範囲の潜在的レンズの設計が可能になる。例えば、あるレンズを、パターン化された金属又は金属誘電性の含有物を含む複数の材料層から構成することができ、この媒体の屈折率に対する効果はメタマテリアルの均質化技術を使用して理解することができる。このようなデバイスは、パターン化された金属の正方形のような単純なツールを用いて実現することができ、長年にわたり研究し、よく理解されている。このような材料は、その共振相手に比べて、非常に低い損失を示す。さらに、このような材料は、光学的領域に渡る波長において実現可能である。
【0012】
さらに、準等角変換光学系の技術を用いて、いくつかの変換を行って、標準変換と同一の機能を持つデバイスを作ることができるが、媒体の屈折率の勾配にのみ依存する等方性材料を使用して実施することができる。球面レンズの一部を平坦化した準等角写像の例とその逆の例を、それぞれ図2Aと図2Bに示す。図2Aと図2Bに示すように、円形の突起は、レンズの焦点面を作ることができる直線で示される。
【0013】
準等角変換光学系の設計法は、材料の内部変換を制限しつつ、そのデバイスの効果を決定する境界条件を使用して行うことができる。特に、座標線の間の角度を維持することができ、限定的に異方性である座標"正方形"(すなわち、それらは依然としてほぼ正方形であって、直角な正方形ではない。)である。真の共形質転換とは対照的に、この準等角変換光学技術は、2つのドメインのモジュールが多少異なるようにすることができる。これは、二次元変換により、誘電体のみに応答する材料の処方をもたらすことができる。標準的な等方的格子生成方法を用いて、このような変換を実現することができる。
【0014】
特定の構成において、平坦なルネベルグレンズ設計を実証するために組み立てたレンズを、電磁界を二次元TE偏波に制限する平行平板導波管で動作するように構築することができる。二次元システムでは、敏感な近接場プローブと相機密性の高いネットワーク・アナライザを使用してレンズ内の電磁界の実験的なマッピングを可能にすることができる。しかし、この設計は、2Dの球面収差が無いことを示すためには最も簡単であるが、二次元構造に限定されないことに注意することが重要である。測定装置の例は、Science 314, 997(2006)に記載されており、この開示の全体は本明細書に組み込まれている。このレンズを生産するために使用することができる屈折率プロファイルの例を図3Aに示す。図3Aに示すように、屈折率は、このプロファイルの中心で最も高くすることができ、即ち、約4以上であり、このプロファイルの中心から離れたところの屈折率は1又はそれ以下であることができる。
【0015】
しかし、このレンズの設計にいくつかの近似を使用することができることに注意すべきである。特に、例えば、屈折率プロファイルを、n<1の領域を除去するように調整することができる。例えば、メタマテリアルを用いて1未満の屈折率を達成することは可能であるが、このようなデバイスは内在的に分散性であることができ、このことはその帯域幅を制限することになる可能性がある。この制限を避けるために、その屈折率を、以前には1以下であったあらゆる領域で1に設定することができる。このような近似は、得られたレンズの機能に大きな影響を持つことはないと信じられている。例えば、n<1の領域を含むデバイスの全波シミュレーションと光跡のトレースの結果は、そうではないデバイスの結果に類似した。この結果は、定性的には、光が、最大の入射角に対する低屈折率領域を避けて、レンズの高屈折率領域に強く集光するという事実によるものである。
【0016】
いくつかの特定の配置では、約1.08〜4.1の範囲の屈折率を、本発明の設計の実施に使用することができる。この屈折率プロファイルは、複数の材料層を、互いの上に直接積層することによって達成することができる。例えば、図3Cを参照すると、繊維強化プラスチック基板120上に、金属又は金属誘電性材料110をパターニングして、一つの複数の材料層100を形成することができる。例えば、図3Cに示すように、この構造体は、FR-4基板(例えば、約220μm厚)上にパターニングした銅ストリップを含むことができる。この金属又は金属誘電性材料110は、この媒体において、分極性の含有物として機能することができ、その材料の全体的な分極率を増加させる。この積層構造のコンパクトな設計は、共振粒子を使用することや、過度な空間的な分散を導入することなしに(この両者とも帯域幅を制限することがある)、屈折率を4以上にすることができる。
【0017】
個々の層の特定の寸法を選択することにより、効果的な屈折率を確立することができる。具体的には、補間方式を用いて、各領域内の各ポイントにおいて所望の屈折率を持つように、適切な層の寸法を特定することができる。このようにして、複数の材料層100から形成された積層構造は、前述のように、数値的に生成された準フォーマル空間変換に基づく所望の屈折率分布を有することができる。具体的には、例えば、この積層構造体は、実質的に球形状のレンズを有する一つのレンズであって、このレンズが実質的平面の表面になるように平らにされた少なくとも一面を有し、この実質的平面の表面が焦点の軌跡を有するように勾配屈折率分布を有するレンズであることができる。
【0018】
本明細書中で使用されている"球状"という用語は、レンズの体積形状を記述する場合にのみ使用されるものではない。屈折率プロファイルの周辺が球に一致してもよいが、屈折率プロファイル自体が球である必要はない。これは、屈折率値が球対称分布していることであるが、必ずしも物理的な球、又は球状でなければならないと明確に定義されたインタフェースである必要はない。要するに、ルネベルグレンズ及びマクスウェルレンズは球対称屈折率分布を持つレンズの例であり、本発明は、その分布を変更するために変換光学系を使用して、焦点が曲面ではなく平面にあることを達成するものである。しかし、一般的に開始時の分布が球対称である必要はない。
【0019】
一つのレンズの中で所望の屈折率範囲を達成するために、このレンズは複数の領域(例えば、2つの領域)に分けることができる。複数の領域を持つレンズ200の一例を図3Bに示す。第1の領域210(例えば、図3Bにおける外側部分)は第1の屈折率分布(例えば、約1〜2)を有する材料を含むことができる。第1の領域210は、従来のメタマテリアル屈折率分布型デバイスと同様に作製することができる。第2の領域220(例えば、図3Bにおける内側部分)は、第1の屈折率分布とは異なる第2の屈折率分布(例えば、約2〜4.1)を有する材料を含むことができる。第1の領域210若しくは第2の領域220のいずれか又は両方は、図3Cに示すような積層材料層100の構造体を用いて構築されることができる。
【0020】
図4A〜Fに、本発明の一例のレンズの実験的な電磁界マップを示す。これらの電磁界プロファイルは、典型的なレンズについて、そのレンズの裏面に沿う異なる位置に光源を当てるために誘電体導波路を用いて行ったテスト結果を示す。この設定により、レンズの裏面のインピーダンス不整合の影響を最小限に抑えることができた。これらの図に見られるように、光源の位置を変化させても、地平線に近づく極端な角度を含む、様々な方向に伝播するほぼ平面波を生成することができる。この材料応答は広帯域であることに留意されたい。このレンズの効果は、例えば、7GHzの(例えば、図4E)と15GHz(例えば、図4F)の間では定性的な変化はない。
【0021】
同様に、図5A〜Cは、本発明の一例のレンズの全波シミュレーションの結果を示す。具体的には、図5A、B及びCは、それぞれ入射角が0、20及び45度における電界のz成分を示す。入射角が45度であっても、レンズの裏面にきちっと焦点があることに留意されたい。
【0022】
上記の他の利点に加えて、屈折率のみのデバイスは共振含有物を必要とせずに実施することができることに留意されたい。共振粒子の欠如は、このようなレンズを赤外線や可視の周波数に拡大することを可能にする。更に、一般的に直交マッピングは2次元に限定されるが、本明細書に開示される原理は、3次元レンズの開発に適用することができる。
【0023】
このようなレンズの具体的潜在的応用例の一例は、車載レーダーであろう。今日車載レーダーに用いられているレンズは球面収差によって制限されている。その結果、その視界は極端に狭く、しばしばわずか4〜5度であり、焦点が検出面から外れるか、またはレンズは全く集光しない。本発明の設計のレンズは、多くの実施のために材料技術の更なる進歩を必要とせずに、簡単に100度以上の視野を持つことができる。この特性は飛躍的に既存のデバイスを改良させることができる。しかし、このようなレンズは車載レーダーに限定されない。このレンズは、通信衛星、広範囲のカメラ分野、その他の広視野や高効率を必要とする用途に使用できる。この設計の広帯域の性質は、メタマテリアルを商用に応用する場合に伴う多くの制限を除くことができる。
【0024】
具体的には、短波長の分野において、本発明のレンズを、多くのレンズから成る複雑なシステムの使用することを必要とする光学デバイスの設計変更に使用することができる。より長波長の分野において、このようなシステムは、今まで大きさと重量の制限のため非現実的であったが、本発明の設計を使用すれば実施可能である。マイクロ波周波数の分野において、例えば、本発明のレンズは、フェーズドアレイアンテナ又は平面アンテナアレイデバイスなどのバンド幅に制限のある移動部品や複雑なシステムに基づく従来のシステムを効果的に置き換えることができる。
【0025】
本明細書に開示される発明は、その本質的な特徴から逸脱することなく、他の形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、例示する観点から考慮される必要があり、限定する目的のものではない。本明細書に開示される発明は、特定の好ましい態様に関して記載されているが、当業者に明らかである他の実施形態は本発明の範囲内である。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年10月6日出願の米国特許出願61/249,111の優先権を主張し、その開示全体は参照されて本明細書に取り込まれる。
この発明は、一般的には、屈折率分布型光学系、イメージング及び方法に関し、より詳細には、屈折率分布型レンズ及び幾何学的収差の無い屈折率分布型レンズを作成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレンズにおいては、光の軌跡は光が入る表面と光が出る表面においてのみ変化し、そのレンズの中では光は真直ぐに進む。そのため、人が望む理想的な光デバイスとして作成することは困難である。一般に、屈折光学系において球状やコマなどの単色収差を避けることはできず、せいぜい多くのレンズから成るシステムを使用することによって最小限に抑えることができるだけである。レンズの収差の問題により、特定の高性能画像への応用が制限されている。例えば、広角イメージングシステムは、多層のレンズを利用しているが、まだ多くの場合に、最適化した後においてさえ、かなりの歪みを示す。
屈折率分布型レンズは、レンズ設計への代替アプローチをもたらした。屈折率分布型レンズにおいては、光を操作するために均一な材料の複数の界面に頼らないで、レンズの本体中で屈折率を変化させる。光線は媒体に入射後放置されるのではなく、より大きなコントロールにより、光線の最終目的地へ誘導されることができる。例えば、それは無限遠からの光線を球の表面に集光する、幾何学的収差のない屈折率分布型レンズを作成することが可能であることが古くから知られている。このようなレンズは、発明者にちなんで、ルネベルグレンズ(Luneburg lens)と呼ばれている。
【0003】
屈折率分布型レンズは、通常、屈折率が媒体中で空間的に変化する不均一な材料から成る。マクスウェル"魚眼"レンズは、このクラスの2番目の例であり、屈折率が異なる2つの媒体間の界面を操ることに依存している屈折レンズとは対照的に、複雑で不均一な媒体を介してその機能を達成する。ルネベルグレンズ、マクスウェル"魚眼"レンズ及び同様の屈折率分布型レンズは、広い視野又は大幅に幾何学的収差が減少している等のかなりの利点を持っているが、特定のよく知られた例では、焦点領域が平面ではなく曲面上に存在し、画像を取得するために使用されるほぼすべての電荷結合素子(CCD)配列の平面幾何学と両立しない。さらに、制御された方法で大きな屈折率勾配を達成するためのプロセスは、製造上の困難な課題を提起する。これらの理由から、これらのレンズは商業的に限定的にしか成功していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ルネベルグレンズやマクスウェル"魚眼"レンズなどのレンズはこのような良好な画像特性を持っているが、これらの屈折率分布型デバイスを多くの用途に使用できるようにする設計を開発することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、幾何学的収差のない屈折率分布型レンズと、このようなレンズの製法が提供される。一つの態様において、屈折率分布型レンズが提供される。このレンズは、実質的に球形状の複数のレンズであって、このレンズは、実質的平面の表面になるように平らにされた少なくとも一面を有し、この実質的平面の表面上に焦点の軌跡を有するように勾配屈折率分布を有する。
別の態様では、屈折率分布型レンズは、複数の材料層から成り、この複数の材料層は共に積層されて、実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有する実質的に球形状のレンズを形成する。この複数の材料層の各層は実効屈折率を有し、この複数の材料層は一緒に、焦点の軌跡がこの実質的平面の表面上にあるように勾配屈折率分布を有する。
更に別の態様では、屈折率分布型レンズを製造する方法が提供される。この方法は、
1)各層が実効屈折率を有する複数の材料層を形成する工程、及び
2)該複数の材料層を共に積層して、実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有する実質的に球形状のレンズを形成する工程、から成ってもよい。
この複数の材料層は、焦点の軌跡が該実質的平面の表面上にあるように勾配屈折率分布を有してもよい。
以上、本発明の態様のいくつかを示し、これらの全て又は一部は、本発明によって達成されるが、以下説明が進むにつれて本発明の他の側面が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の特徴及び利点は、単に説明する目的のために記載されている非限定的な例として添付されている図面と併せて読まれるべき以下の詳細な説明からより良く理解されるであろう。
【図1】A:ルネベルグレンズに入射する光線の光跡を示す図である。B:本発明の一つの態様に従った、平坦化されたルネベルグレンズに入射する光線の光跡を示す図である。C:ルネベルグレンズに斜めに入射する光線の光跡を示す図である。D:本発明の一つの態様に従った、平坦化されたルネベルグレンズに斜めに入射する光線の光跡を示す図である。
【図2】A:本発明の一つの態様に従った、平坦化されたルネベルグレンズの準等角写像を示す図である。B:図2Aの準等角写像の逆を示す図である。
【図3】A:本発明の一つの態様に従った、平坦化されたルネベルグレンズの屈折率プロファイルを示す図である。B:本発明の一つの態様に従ったレンズの断面斜視図である。C:本発明の一つの態様に従ったレンズを形成するために使用される複数の積層材料層の斜視図である。
【図4】A〜Dは、本発明の複数の態様に従った、レンズの実験的電磁界マップを示す図である。
【図5】A〜Cは、本発明の一つの態様に従った、レンズの全波シミュレーションの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、幾何学的収差(例えば、球面収差)の無い新規な屈折率分布型レンズとこのレンズの製法である。本発明のレンズは、ルネベルグレンズに基づいて提供することができるが、片側が平面になるように反っている。しかし、このようなレンズを設計するために用いられる方法は、典型的なレンズの設計とは根本的に異なる。本発明の方法は、線光学系の近似を使用して作業を最適化することではなく、まず"完璧な"レンズ設計を行って、その後変換光学の分野の技術を使用して、焦点の軌跡が平面上にあるようなその他の設計基準を満たす。この変換光学は、高度な電磁デバイスを設計するための道筋を提供する方法である。屈折率分布型デバイスのような変換光学材料は、一般に構成テンソルの要素(例えば、電気誘電率と透磁率)内の独立した空間的な勾配を有する複雑な材料特性によって特徴付けられる。変換光学系は、このレンズ設計における全波情報を潜在的に伝達するので、このアプローチは他の方法とは異なる優位性を持つ。
【0008】
レンズ設計に変換光学を適用するには、特定の光学因子に変換を適用して、光学系の全体の有用性を向上させることができる。変換光学系は、マクスウェル方程式は、座標変換に関して"形不変(form invariant)"であるという観察から、導き出される。換言すれば、マクスウェル方程式は、座標変換が行われていても同じ方法で書き込むことができる。このような座標変換の下で、材料パラメータは重みが+1の2次ランクのテンソルとして変換する。
【数1】
【0009】
この不変性は、電磁波の軌道を変更する座標変換を実行し、構成テンソルにその変換を適用して、構成テンソルが材料に達し、予想される機能を達成することが可能であることを示している。例えば、変換光学系のアプローチは、ルネベルグレンズの片側を平らに適用することができる。具体的には、ルネベルグレンズの反りへの変換光学系のアプローチは、球状突起のあるレンズの領域を平坦化することを含む。通常、Y'=0のラインはXY空間で湾曲するが、変換後はこのラインは平坦である。例えば、図1A及び図1Dは、典型的な球状ルネベルグレンズの光線の入射軌跡を示すが、図1B及び図1Cは、修正ルネベルグレンズの光線の入射軌跡を示し、光線は像面に集光している。この変換は、完全なイメージングシステムとして、元のレンズの性質を変更しない。そうではなくて、焦点面の形状のみが変更される。
【0010】
しかし、その結果生じる媒体は、このような変換を可能にし、電気と磁気特性の両方に空間的な勾配を有する強異方性材料を要求することができる。このような材料は、従来の材料を使用して実施することは難しい場合があり、また帯域幅が限定され、磁気応答の必要性のために無視できない程度の吸収がある場合がある。任意の波長においてこの初期設計を物理的に実現することが挑戦されているが、光の可視スペクトルに近いより短波長については特に難しい。
【0011】
従来の屈折率分布型レンズの障害を克服するために、ナノスケールのリソグラフィ技術と組み合わせたメタマテリアルを使用して、この光学素子を製造することができる。メタマテリアルは、電場と磁場の応答と異方性の両方においてかなり広い範囲の材料特性を提供するため、それに応じて広い範囲の潜在的レンズの設計が可能になる。例えば、あるレンズを、パターン化された金属又は金属誘電性の含有物を含む複数の材料層から構成することができ、この媒体の屈折率に対する効果はメタマテリアルの均質化技術を使用して理解することができる。このようなデバイスは、パターン化された金属の正方形のような単純なツールを用いて実現することができ、長年にわたり研究し、よく理解されている。このような材料は、その共振相手に比べて、非常に低い損失を示す。さらに、このような材料は、光学的領域に渡る波長において実現可能である。
【0012】
さらに、準等角変換光学系の技術を用いて、いくつかの変換を行って、標準変換と同一の機能を持つデバイスを作ることができるが、媒体の屈折率の勾配にのみ依存する等方性材料を使用して実施することができる。球面レンズの一部を平坦化した準等角写像の例とその逆の例を、それぞれ図2Aと図2Bに示す。図2Aと図2Bに示すように、円形の突起は、レンズの焦点面を作ることができる直線で示される。
【0013】
準等角変換光学系の設計法は、材料の内部変換を制限しつつ、そのデバイスの効果を決定する境界条件を使用して行うことができる。特に、座標線の間の角度を維持することができ、限定的に異方性である座標"正方形"(すなわち、それらは依然としてほぼ正方形であって、直角な正方形ではない。)である。真の共形質転換とは対照的に、この準等角変換光学技術は、2つのドメインのモジュールが多少異なるようにすることができる。これは、二次元変換により、誘電体のみに応答する材料の処方をもたらすことができる。標準的な等方的格子生成方法を用いて、このような変換を実現することができる。
【0014】
特定の構成において、平坦なルネベルグレンズ設計を実証するために組み立てたレンズを、電磁界を二次元TE偏波に制限する平行平板導波管で動作するように構築することができる。二次元システムでは、敏感な近接場プローブと相機密性の高いネットワーク・アナライザを使用してレンズ内の電磁界の実験的なマッピングを可能にすることができる。しかし、この設計は、2Dの球面収差が無いことを示すためには最も簡単であるが、二次元構造に限定されないことに注意することが重要である。測定装置の例は、Science 314, 997(2006)に記載されており、この開示の全体は本明細書に組み込まれている。このレンズを生産するために使用することができる屈折率プロファイルの例を図3Aに示す。図3Aに示すように、屈折率は、このプロファイルの中心で最も高くすることができ、即ち、約4以上であり、このプロファイルの中心から離れたところの屈折率は1又はそれ以下であることができる。
【0015】
しかし、このレンズの設計にいくつかの近似を使用することができることに注意すべきである。特に、例えば、屈折率プロファイルを、n<1の領域を除去するように調整することができる。例えば、メタマテリアルを用いて1未満の屈折率を達成することは可能であるが、このようなデバイスは内在的に分散性であることができ、このことはその帯域幅を制限することになる可能性がある。この制限を避けるために、その屈折率を、以前には1以下であったあらゆる領域で1に設定することができる。このような近似は、得られたレンズの機能に大きな影響を持つことはないと信じられている。例えば、n<1の領域を含むデバイスの全波シミュレーションと光跡のトレースの結果は、そうではないデバイスの結果に類似した。この結果は、定性的には、光が、最大の入射角に対する低屈折率領域を避けて、レンズの高屈折率領域に強く集光するという事実によるものである。
【0016】
いくつかの特定の配置では、約1.08〜4.1の範囲の屈折率を、本発明の設計の実施に使用することができる。この屈折率プロファイルは、複数の材料層を、互いの上に直接積層することによって達成することができる。例えば、図3Cを参照すると、繊維強化プラスチック基板120上に、金属又は金属誘電性材料110をパターニングして、一つの複数の材料層100を形成することができる。例えば、図3Cに示すように、この構造体は、FR-4基板(例えば、約220μm厚)上にパターニングした銅ストリップを含むことができる。この金属又は金属誘電性材料110は、この媒体において、分極性の含有物として機能することができ、その材料の全体的な分極率を増加させる。この積層構造のコンパクトな設計は、共振粒子を使用することや、過度な空間的な分散を導入することなしに(この両者とも帯域幅を制限することがある)、屈折率を4以上にすることができる。
【0017】
個々の層の特定の寸法を選択することにより、効果的な屈折率を確立することができる。具体的には、補間方式を用いて、各領域内の各ポイントにおいて所望の屈折率を持つように、適切な層の寸法を特定することができる。このようにして、複数の材料層100から形成された積層構造は、前述のように、数値的に生成された準フォーマル空間変換に基づく所望の屈折率分布を有することができる。具体的には、例えば、この積層構造体は、実質的に球形状のレンズを有する一つのレンズであって、このレンズが実質的平面の表面になるように平らにされた少なくとも一面を有し、この実質的平面の表面が焦点の軌跡を有するように勾配屈折率分布を有するレンズであることができる。
【0018】
本明細書中で使用されている"球状"という用語は、レンズの体積形状を記述する場合にのみ使用されるものではない。屈折率プロファイルの周辺が球に一致してもよいが、屈折率プロファイル自体が球である必要はない。これは、屈折率値が球対称分布していることであるが、必ずしも物理的な球、又は球状でなければならないと明確に定義されたインタフェースである必要はない。要するに、ルネベルグレンズ及びマクスウェルレンズは球対称屈折率分布を持つレンズの例であり、本発明は、その分布を変更するために変換光学系を使用して、焦点が曲面ではなく平面にあることを達成するものである。しかし、一般的に開始時の分布が球対称である必要はない。
【0019】
一つのレンズの中で所望の屈折率範囲を達成するために、このレンズは複数の領域(例えば、2つの領域)に分けることができる。複数の領域を持つレンズ200の一例を図3Bに示す。第1の領域210(例えば、図3Bにおける外側部分)は第1の屈折率分布(例えば、約1〜2)を有する材料を含むことができる。第1の領域210は、従来のメタマテリアル屈折率分布型デバイスと同様に作製することができる。第2の領域220(例えば、図3Bにおける内側部分)は、第1の屈折率分布とは異なる第2の屈折率分布(例えば、約2〜4.1)を有する材料を含むことができる。第1の領域210若しくは第2の領域220のいずれか又は両方は、図3Cに示すような積層材料層100の構造体を用いて構築されることができる。
【0020】
図4A〜Fに、本発明の一例のレンズの実験的な電磁界マップを示す。これらの電磁界プロファイルは、典型的なレンズについて、そのレンズの裏面に沿う異なる位置に光源を当てるために誘電体導波路を用いて行ったテスト結果を示す。この設定により、レンズの裏面のインピーダンス不整合の影響を最小限に抑えることができた。これらの図に見られるように、光源の位置を変化させても、地平線に近づく極端な角度を含む、様々な方向に伝播するほぼ平面波を生成することができる。この材料応答は広帯域であることに留意されたい。このレンズの効果は、例えば、7GHzの(例えば、図4E)と15GHz(例えば、図4F)の間では定性的な変化はない。
【0021】
同様に、図5A〜Cは、本発明の一例のレンズの全波シミュレーションの結果を示す。具体的には、図5A、B及びCは、それぞれ入射角が0、20及び45度における電界のz成分を示す。入射角が45度であっても、レンズの裏面にきちっと焦点があることに留意されたい。
【0022】
上記の他の利点に加えて、屈折率のみのデバイスは共振含有物を必要とせずに実施することができることに留意されたい。共振粒子の欠如は、このようなレンズを赤外線や可視の周波数に拡大することを可能にする。更に、一般的に直交マッピングは2次元に限定されるが、本明細書に開示される原理は、3次元レンズの開発に適用することができる。
【0023】
このようなレンズの具体的潜在的応用例の一例は、車載レーダーであろう。今日車載レーダーに用いられているレンズは球面収差によって制限されている。その結果、その視界は極端に狭く、しばしばわずか4〜5度であり、焦点が検出面から外れるか、またはレンズは全く集光しない。本発明の設計のレンズは、多くの実施のために材料技術の更なる進歩を必要とせずに、簡単に100度以上の視野を持つことができる。この特性は飛躍的に既存のデバイスを改良させることができる。しかし、このようなレンズは車載レーダーに限定されない。このレンズは、通信衛星、広範囲のカメラ分野、その他の広視野や高効率を必要とする用途に使用できる。この設計の広帯域の性質は、メタマテリアルを商用に応用する場合に伴う多くの制限を除くことができる。
【0024】
具体的には、短波長の分野において、本発明のレンズを、多くのレンズから成る複雑なシステムの使用することを必要とする光学デバイスの設計変更に使用することができる。より長波長の分野において、このようなシステムは、今まで大きさと重量の制限のため非現実的であったが、本発明の設計を使用すれば実施可能である。マイクロ波周波数の分野において、例えば、本発明のレンズは、フェーズドアレイアンテナ又は平面アンテナアレイデバイスなどのバンド幅に制限のある移動部品や複雑なシステムに基づく従来のシステムを効果的に置き換えることができる。
【0025】
本明細書に開示される発明は、その本質的な特徴から逸脱することなく、他の形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、例示する観点から考慮される必要があり、限定する目的のものではない。本明細書に開示される発明は、特定の好ましい態様に関して記載されているが、当業者に明らかである他の実施形態は本発明の範囲内である。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に球形状のレンズから成る屈折率分布型レンズであって、該レンズが実質的平面の表面になるように平らにされた少なくとも一面を有し、該実質的平面の表面が焦点の軌跡を有するように勾配屈折率分布を有する屈折率分布型レンズ。
【請求項2】
前記レンズが、
1)第1の勾配屈折率分布を有する第1の領域、及び
2)第1の勾配屈折率分布とは異なる第2の勾配屈折率分布を有する第2の領域
を有する請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記第1の勾配屈折率分布が1〜2の屈折率から成り、前記第2の勾配屈折率分布が2〜4.1の屈折率から成る請求項2に記載のレンズ。
【請求項4】
前記レンズが、積層された複数の材料層から成る請求項1に記載のレンズ。
【請求項5】
前記積層された複数の材料層の各層が、メタマテリアル構造から成る請求項4に記載のレンズ。
【請求項6】
前記積層された複数の材料層の各層が、繊維強化プラスチック基板上にパターニングした金属又は金属誘電性の材料から成る請求項4に記載のレンズ。
【請求項7】
前記積層された複数の材料層の各層が、FR−4基板上にパターニングした銅ストリップから成る請求項6に記載のレンズ。
【請求項8】
前記レンズが、100度以上の視野を有する請求項1に記載のレンズ。
【請求項9】
前記勾配屈折率分布が、数値的に生成された、ルネベルグレンズの準フォーマル空間変換に基づく請求項1に記載のレンズ。
【請求項10】
複数の材料層から成る屈折率分布型レンズであって、該複数の材料層の各層が実効屈折率を有し、該複数の材料層が共に積層されて、実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有する実質的に球形状のレンズを形成し、該複数の材料層が、焦点の軌跡が該実質的平面の表面上にあるように勾配屈折率分布を有する屈折率分布型レンズ。
【請求項11】
前記複数の材料層の各層が、繊維強化プラスチック基板上にパターニングした金属又は金属誘電性の材料から成る請求項10に記載のレンズ。
【請求項12】
前記複数の材料層の各層が、FR−4基板上にパターニングした銅ストリップから成る請求項6に記載のレンズ。
【請求項13】
前記複数の材料層の各層が、レンズが所定の屈折率を有するために、所定の寸法を有する請求項10に記載のレンズ。
【請求項14】
前記複数の材料層が、
1)第1の勾配屈折率分布を有する第1の領域を形成するために共に積層された第1の複数の材料層、及び
2)第1の勾配屈折率分布とは異なる第2の勾配屈折率分布を有する第2の領域を形成するために共に積層された第2の複数の材料層
から成る請求項10に記載のレンズ。
【請求項15】
前記第1の勾配屈折率分布が1〜2の屈折率から成り、前記第2の勾配屈折率分布が2〜4.1の屈折率から成る請求項14に記載のレンズ。
【請求項16】
前記勾配屈折率分布が、数値的に生成された、ルネベルグレンズの準フォーマル空間変換に基づく請求項10に記載のレンズ。
【請求項17】
下記工程からなる屈折率分布型レンズを製造する方法。
1)各層が実効屈折率を有する複数の材料層を形成する工程、及び
2)該複数の材料層を共に積層して、実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有する実質的に球形状のレンズを形成する工程であって、該複数の材料層が、焦点の軌跡が該実質的平面の表面上にあるように勾配屈折率分布を有する工程
【請求項18】
前記複数の材料層を形成する工程が、繊維強化プラスチック基板上に金属又は金属誘電性の材料をパターニングすることから成る請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記繊維強化プラスチック基板上に金属又は金属誘電性の材料をパターニングすることが、FR−4基板上に銅ストリップをパターニングすることから成る請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の材料層を形成する工程が、レンズが所定の屈折率を有するために、所定の寸法を有する複数の材料層を形成することから成る請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の材料層を共に積層する工程が、金属誘電性の構造を形成することから成る請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の材料層を共に積層する工程が、
a)第1の複数の材料層を共に積層して、第1の勾配屈折率分布を有する第1の領域を形成する工程、及び
b)第2の複数の材料層を共に積層して、第1の勾配屈折率分布とは異なる第2の勾配屈折率分布を有する第2の領域を形成する工程、
から成る請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の勾配屈折率分布が1〜2の屈折率から成り、前記第2の勾配屈折率分布が2〜4.1の屈折率から成る請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記勾配屈折率分布が、数値的に生成された、ルネベルグレンズの準フォーマル空間変換に基づく請求項17記載の方法。
【請求項1】
実質的に球形状のレンズから成る屈折率分布型レンズであって、該レンズが実質的平面の表面になるように平らにされた少なくとも一面を有し、該実質的平面の表面が焦点の軌跡を有するように勾配屈折率分布を有する屈折率分布型レンズ。
【請求項2】
前記レンズが、
1)第1の勾配屈折率分布を有する第1の領域、及び
2)第1の勾配屈折率分布とは異なる第2の勾配屈折率分布を有する第2の領域
を有する請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記第1の勾配屈折率分布が1〜2の屈折率から成り、前記第2の勾配屈折率分布が2〜4.1の屈折率から成る請求項2に記載のレンズ。
【請求項4】
前記レンズが、積層された複数の材料層から成る請求項1に記載のレンズ。
【請求項5】
前記積層された複数の材料層の各層が、メタマテリアル構造から成る請求項4に記載のレンズ。
【請求項6】
前記積層された複数の材料層の各層が、繊維強化プラスチック基板上にパターニングした金属又は金属誘電性の材料から成る請求項4に記載のレンズ。
【請求項7】
前記積層された複数の材料層の各層が、FR−4基板上にパターニングした銅ストリップから成る請求項6に記載のレンズ。
【請求項8】
前記レンズが、100度以上の視野を有する請求項1に記載のレンズ。
【請求項9】
前記勾配屈折率分布が、数値的に生成された、ルネベルグレンズの準フォーマル空間変換に基づく請求項1に記載のレンズ。
【請求項10】
複数の材料層から成る屈折率分布型レンズであって、該複数の材料層の各層が実効屈折率を有し、該複数の材料層が共に積層されて、実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有する実質的に球形状のレンズを形成し、該複数の材料層が、焦点の軌跡が該実質的平面の表面上にあるように勾配屈折率分布を有する屈折率分布型レンズ。
【請求項11】
前記複数の材料層の各層が、繊維強化プラスチック基板上にパターニングした金属又は金属誘電性の材料から成る請求項10に記載のレンズ。
【請求項12】
前記複数の材料層の各層が、FR−4基板上にパターニングした銅ストリップから成る請求項6に記載のレンズ。
【請求項13】
前記複数の材料層の各層が、レンズが所定の屈折率を有するために、所定の寸法を有する請求項10に記載のレンズ。
【請求項14】
前記複数の材料層が、
1)第1の勾配屈折率分布を有する第1の領域を形成するために共に積層された第1の複数の材料層、及び
2)第1の勾配屈折率分布とは異なる第2の勾配屈折率分布を有する第2の領域を形成するために共に積層された第2の複数の材料層
から成る請求項10に記載のレンズ。
【請求項15】
前記第1の勾配屈折率分布が1〜2の屈折率から成り、前記第2の勾配屈折率分布が2〜4.1の屈折率から成る請求項14に記載のレンズ。
【請求項16】
前記勾配屈折率分布が、数値的に生成された、ルネベルグレンズの準フォーマル空間変換に基づく請求項10に記載のレンズ。
【請求項17】
下記工程からなる屈折率分布型レンズを製造する方法。
1)各層が実効屈折率を有する複数の材料層を形成する工程、及び
2)該複数の材料層を共に積層して、実質的平面の表面を有するように平らにされた少なくとも一面を有する実質的に球形状のレンズを形成する工程であって、該複数の材料層が、焦点の軌跡が該実質的平面の表面上にあるように勾配屈折率分布を有する工程
【請求項18】
前記複数の材料層を形成する工程が、繊維強化プラスチック基板上に金属又は金属誘電性の材料をパターニングすることから成る請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記繊維強化プラスチック基板上に金属又は金属誘電性の材料をパターニングすることが、FR−4基板上に銅ストリップをパターニングすることから成る請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の材料層を形成する工程が、レンズが所定の屈折率を有するために、所定の寸法を有する複数の材料層を形成することから成る請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の材料層を共に積層する工程が、金属誘電性の構造を形成することから成る請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の材料層を共に積層する工程が、
a)第1の複数の材料層を共に積層して、第1の勾配屈折率分布を有する第1の領域を形成する工程、及び
b)第2の複数の材料層を共に積層して、第1の勾配屈折率分布とは異なる第2の勾配屈折率分布を有する第2の領域を形成する工程、
から成る請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の勾配屈折率分布が1〜2の屈折率から成り、前記第2の勾配屈折率分布が2〜4.1の屈折率から成る請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記勾配屈折率分布が、数値的に生成された、ルネベルグレンズの準フォーマル空間変換に基づく請求項17記載の方法。
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5】
【公表番号】特表2013−506884(P2013−506884A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533279(P2012−533279)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051637
【国際公開番号】WO2011/044239
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(507189666)デューク ユニバーシティ (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051637
【国際公開番号】WO2011/044239
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(507189666)デューク ユニバーシティ (25)
【Fターム(参考)】
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