環境に優しい難燃性バイオ複合材料及びその製造方法
【課題】環境に優しい難燃性バイオ複合材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】a)天然繊維を含む高分子マトリックスと、b)高分子マトリックスと圧着されて一体化されたセラミックシートと、を含む環境に優しい難燃性バイオ複合材料に関するものであって、天然繊維を補強材として使って環境に優しく、セラミックシートと一体型で構成されて難燃性問題が解消されただけではなく、貯蔵弾性率、寸法安定性、屈曲特性、軽量特性に優れ、多様な構造で成形が可能であって、自動車及び建築内外装材として活用可能性が非常に高い。
【解決手段】a)天然繊維を含む高分子マトリックスと、b)高分子マトリックスと圧着されて一体化されたセラミックシートと、を含む環境に優しい難燃性バイオ複合材料に関するものであって、天然繊維を補強材として使って環境に優しく、セラミックシートと一体型で構成されて難燃性問題が解消されただけではなく、貯蔵弾性率、寸法安定性、屈曲特性、軽量特性に優れ、多様な構造で成形が可能であって、自動車及び建築内外装材として活用可能性が非常に高い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ複合材料及びその製造方法に係り、より具体的には、環境に優しい特性、貯蔵弾性率、寸法安定性に優れるだけではなく、耐熱性と難燃性とまで有するバイオ複合材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車や建築産業に多く使われている高分子複合材料は、ほとんどガラス繊維を補強材として使っているが、ガラス繊維は、人体に有害であり、リサイクリング(recycling)が難しいために、エネルギー及び環境側面で多くの問題点を引き起こしている。人体に有害なガラス繊維の使用量を減らすために、最近、天然繊維を補強材として使うバイオ複合材料が検討されている。
【0003】
バイオ複合材料は、ガラス繊維強化高分子複合材料に比べて、約30%以上軽いために、自動車部品に適用される場合、燃費向上(1.6%)による省エネを期待することができる先端新素材である。また、天然繊維は、ガラス繊維と異なって機械に対する摩耗率も少なく、軽くて製造工程でも80%の生産エネルギーを節減することができる。コスト面でも、天然繊維(約5ウォン/g)は、ガラス繊維(20ウォン/g)の約1/4程度であり、ガラス繊維(密度:2.6g/cm3)に比べて天然繊維(密度:1.3g/cm3)は、軽くて靭性と比強性(specific modulus)とも優れている。
【0004】
最近までは、ほとんどセルロースを基盤とする補強材として、主に木質系及び天然繊維非木質系から得られた粉末あるいは繊維を含むバイオ複合材料が報告されている。しかし、セルロース系補強材は、木あるいは天然繊維の成長条件、成長部位、成長期間などによって多様な特性を有し、特に、一繊維でも各部位での組成と大きさとが異なる場合が多いために、これら繊維をそのまま補強材として使う場合には、バイオ複合材料の各部位別に相異なる特性を有するようになる場合が多い。また、木質系補強材の使用による山林毀損や最近バイオ複合材の補強材として多く使われる亜麻、大麻など非木質系の特殊植物の栽培による副作用の恐れも存在する。
【0005】
したがって、最近、環境に優しい素材である多様なバイオ素材を高機能性素材として活用するための研究が世界的に活発に進められており、これについての研究がさらに必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする第1の課題は、環境に優しい特性、貯蔵弾性率、寸法安定性に優れ、耐熱性と難燃性とが強化されたバイオ複合材料を提供することにある。本発明が解決しようとする第2の課題は、前記環境に優しい難燃性バイオ複合材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記技術的課題を解決するために、a)天然繊維を含む高分子マトリックスと、b)前記高分子マトリックスと圧着されて一体化されたセラミックシートと、を含み、前記天然繊維の含量は、1〜70重量%であり、前記高分子の含量は、1〜98%であり、前記セラミックシートの含量は、1〜30重量%であることを特徴とする環境に優しい難燃性バイオ複合材料を提供する。
【0008】
本発明で、セラミックシートは、前記天然繊維を含む高分子マトリックスの少なくとも一面または中間に備えられうる。
【0009】
本発明に使われる天然繊維は、木材パルプ、非木材繊維、微細藻類副産物、海藻類副産物、シルク繊維及びヘネケン繊維からなる群から1種以上選択されることが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0010】
木材パルプまたは非木材繊維を使う場合、その長さは、1μm〜3cmであることが望ましく、微細藻類副産物または海藻類副産物を使う場合、その長さは、0.1〜1,000μmであることが望ましい。
【0011】
本発明に使われる高分子は、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)と澱粉とのブレンド体、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate:PBS)のような生分解性高分子とポリプロピレン、ポリエチレン及びポリカーボネートのような汎用性高分子及びこれらのブレンドからなる群から1種以上選択されることが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0012】
本発明に使われるセラミックシートは、SiO2、Al2O3、CaO、MgOまたはこれらの混合物からなる群から選択されたセラミック繊維を含むことを意味し、セラミックシートのうち、セラミック繊維の含量は、50重量%以上であることが望ましい。セラミックシートは、セラミック繊維を含み、60%以上の無機物からなることが望ましい。
【0013】
また、セラミックシートは、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤、無機凝集剤または有機凝集剤のうちから選択された1種以上の添加剤をさらに含むことができ、セラミックシートの厚さは、0.05〜5mmであることが望ましい。
【0014】
本発明による環境に優しい難燃性バイオ複合材料の厚さは、0.1mm〜10cmの範囲が適当である。
【0015】
また、本発明による環境に優しい難燃性バイオ複合材料は、平板型、偏波型、平板及び偏波複合型、ハニカム型の構造またはこれらの多層構造のように多様な形態を有しうる。
【0016】
本発明は、1)セラミックシート上に切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、を含む環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法を提供する。この際、使われる高分子によって変わるが、溶融温度は、100〜200℃が望ましく、圧縮力は、0.1〜10kgf/cm2であることが適当である。
【0017】
本発明において、前記3)段階以後、高分子を再び加熱溶融した後、セラミックシートをさらに積層して加熱圧縮成形することによって、セラミックシートが両面に付着された環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造することもできる。
【0018】
また、本発明は、天然繊維を含む高分子マトリックスの上部に積層されたセラミックシートを製造した後、そのセラミックシート上で、1)切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、をもう一度行うことによって、セラミックシートが中間に位置する環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造することもできる。
【0019】
また、前記方法によってセラミックシートが付着されたバイオ複合材料を製造した後、再加熱し、偏波成形ローラを通過させて連続工程で偏波型の構造を有する環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による環境に優しい難燃性バイオ複合材料は、天然繊維を補強材として使って環境に優しく、軽量特性に優れるだけではなく、セラミックシートと一体型で構成されて天然バイオ複合材料の最も大きな短所と言える難燃性問題を解消した。特に、本発明によるバイオ複合材料は、セラミックシートの結合によって貯蔵弾性率、寸法安定性、屈曲特性がいずれも向上する結果を示し、軽量特性も保持することができた。
【0021】
また、本発明によるバイオ複合材料は、製造過程で多様な形態で容易に成形が可能であるために、偏波型やハニカム型のような立体構造で製造する場合、衝撃吸収率を高めることができて、自動車及び建築内外装材として活用可能性が非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一態様であるバイオ複合材料の写真であって、上部からヘネケン繊維、ケナフ繊維、シルク繊維を使ったバイオ複合材料の写真が表わしている。写真で、左側には、セラミックシートを含まないバイオ複合材料、中間は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料、右側には、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料がそれぞれ表われている。
【図2】図2(a)は本発明の一態様であるバイオ複合材料の写真であって、平板型の構造体を示す。図2(b)は本発明の一態様であるバイオ複合材料の写真であって、偏波型の構造体を示す。図2(c)は本発明の一態様であるバイオ複合材料の写真であって、複合型とハニカム型の構造体を示す。
【図3】本発明の一態様である平板型、偏波型、複合型及びハニカム型のバイオ複合材料の断面図である。
【図4】本発明によるバイオ複合材料の製造工程を示すフローチャートである。
【図5】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の密度(Density)の比較グラフである。
【図6】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の貯蔵弾性率(Storage Modulus)の比較グラフである。
【図7】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の寸法安定性(CTE)の比較グラフである。
【図8】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の屈曲強度(Flexural Strength)の比較グラフである。
【図9】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の屈曲弾性率(Flexural Modulus)の比較グラフである。
【図10】本発明によるバイオ複合材料(ヘネケン繊維を補強材として使用)の難燃特性を示す写真であって、(a)は、天然繊維と高分子マトリックスとでのみ構成されたバイオ複合材料であり、(b)は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料であり、(c)は、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料を示す。
【図11】本発明によるバイオ複合材料(ケナフ繊維を補強材として使用)の難燃特性を示す写真であって、(a)は、天然繊維と高分子マトリックスとでのみ構成されたバイオ複合材料であり、(b)は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料であり、(c)は、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料を示す。
【図12】天然繊維でヘネケン繊維(5%、10%含有)を含むバイオ複合材料において、セラミックシートの有無、両面、単面積層による本発明のバイオ複合材料の燃焼平均速度を測定した結果のグラフである。
【図13】天然繊維でケナフ繊維(10%含有)を含むバイオ複合材料において、セラミックシートの有無、両面、単面積層による本発明のバイオ複合材料の燃焼平均速度を測定した結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面及び実施例を参照して、本発明をより具体的に説明する。
【0024】
本発明による環境に優しい難燃性バイオ複合材料は、a)天然繊維を含む高分子マトリックスと、b)前記高分子マトリックスと圧着されて一体化されたセラミックシートと、を含み、前記天然繊維の含量は、1〜70重量%であり、前記高分子の含量は、1〜98%であり、前記セラミックシートの含量は、1〜30重量%であることが特徴である。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記セラミックシートは、前記天然繊維を含む高分子マトリックスの少なくとも一つの面または中間に備えられうる。
【0026】
本発明によるバイオ複合材料に使われる天然繊維の例としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ;麦わら(straw)、バガス(bagasse)、葦、竹、靭皮繊維、綿、ケナフ繊維などの非木材繊維;微細藻類副産物;緑藻類、褐藻類、紅藻類、淡水藻類などの海藻類副産物;シルク繊維;ヘネケン繊維などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
そのうち、微細藻類副産物は、微細藻類からバイオディーゼルを製造するために、地質抽出工程を経た後、残った副産物を利用することが望ましく、海藻類繊維は、海藻類から不純物の除去、溶媒抽出及び脱色過程によって製造された海藻類繊維を利用することが望ましい。
【0028】
また、天然繊維で木材パルプまたは非木材繊維を使う場合には、長さが0.1mm〜3cmであることが望ましい。その理由は、木材パルプまたは非木材繊維の長さが0.1mm未満である場合には、バイオ複合材料の機械的特性が低下し、3cmを超過する場合には、機械的特性の低下または分散投入が難しいために、均一な機械的特性を有したバイオ複合材料の製造が難しいという問題点が発生することがあるためである。
【0029】
また、微細藻類副産物または海藻類副産物を使う場合、その長さは0.1〜1,000μmであることが望ましい。微細藻類副産物または海藻類副産物の長さが0.1μm未満である場合には、バイオ複合材料の機械的特性が低下し、1,000μmを超過する場合には、機械的特性の低下または分散投入が難しい。
【0030】
本発明によるバイオ複合材料のうち、天然繊維の含量は、1〜70重量%であることが望ましい。天然繊維の含量が1重量%未満である場合には、バイオ複合材料としての環境に優しい特性あるいは機械的特性の向上のための補強材としての役割を期待し難く、70重量%を超過する場合には、天然繊維の間に高分子マトリックスが十分に染みこむことができなくて、界面接着の特性が悪くなり、これによってバイオ複合材料の機械的特性が低下するという問題点が発生することがある。
【0031】
一方、本発明のバイオ複合材料に使われる高分子としては、当技術分野に知られた生分解性高分子、汎用高分子であれば、制限なしに可能である。具体的に、生分解性高分子としては、微生物の活動によって分解される物質であるポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、PCLと澱粉とのブレンド体、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate:PBS)などを挙げることができ、汎用高分子は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0032】
本発明のバイオ複合材料の製造に使われる原料として、高分子粉末の形態は、球型、円筒型、粉末型、繊維型などであり、前記高分子粉末の供給量によって最終的に製造されるバイオ複合材料の厚さを調節することができる。本発明によるバイオ複合材料の厚さは、0.1mm〜10cm程度が適当である。バイオ複合材料の厚さが0.1mm未満である場合には、高分子マトリックス内に天然繊維が十分に含まれず、10cmを超過する場合には、バイオ複合材料を波型あるいはハニカム型で製造するのに難しさがあり得る。
【0033】
本発明によるバイオ複合材料に耐熱性と難燃性とを付与するセラミックシートは、セラミック繊維を主原料として含むシートである。本発明に使われるセラミックシートのうち、セラミック繊維の含量は、50重量%以上であり、セラミック繊維を含んだ無機物の含量が、60重量%以上であるシートを使うことが望ましい。セラミック繊維の含量が50重量%未満であるか、無機物の含量が60重量%未満である場合には、セラミックシートの寸法安定性が低下し、優れた耐熱性を期待し難い。
【0034】
具体的に、セラミック繊維は、SiO2、Al2O3、CaO、MgOまたはこれらの混合物を挙げることができ、本発明に使われるセラミックシートは、セラミック繊維の以外に、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤、無機凝集剤、有機凝集剤などをさらに含みうる。
【0035】
有機繊維は、セラミックシートの製造時、成形性を改善し、セラミックシートの引張強度を向上させるために使われるが、具体例としては、セルロース(パルプ)繊維、シルク繊維、ポリプロピレン繊維などを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0036】
有機繊維は、セラミック繊維100重量部に対して1〜30重量部に添加されることが望ましく、有機繊維の含量がセラミック繊維100重量部に対して1重量部未満または30重量部を超過する場合には、セラミックシートの成形性、引張強度などの特性をより効果的に表わすことができないので、望ましくない。
【0037】
また、無機添加剤は、セラミック繊維と有機繊維との間に分布して、これら繊維間の結合力を増大させるために使うことができる。無機添加剤の具体例としては、セピオライト(sepiolite)、シリカ、アルミナなどを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。無機添加剤は、セラミック繊維100重量部に対して15〜30重量部に添加されることが望ましい。無機添加剤の含量が、セラミック繊維100重量部に対して15重量部未満または30重量部を超過する場合には、前記セラミック繊維と有機繊維との間の結合力の増大の特性をより効果的に表わすことができないので、望ましくない。
【0038】
また、有機添加剤は、セラミックシート製造時、スラリー内で繊維の解離と分散特性とを増大させ、成形性を良くするだけではなく、セラミック繊維と有機繊維との間に分布して、これら繊維間の結合力を増大させるために使うことができる。有機添加剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリ酢酸ビニルなどを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。有機添加剤は、前記セラミック繊維100重量部に対して1〜30重量部に添加されうる。有機添加剤の含量が、1重量部未満または30重量部を超過する場合には、セラミックシートの成形性、セラミック繊維と有機繊維との間の結合力の増大などの特性をより効果的に表わすことができないので、望ましくない。
【0039】
無機凝集剤及び有機凝集剤は、セラミックシートを製造するためのスラリー内に添加された添加物間のイオン結合を促進するか、これら添加物が結合された状態へのスラリー内での分散を増大させるために使うことができる。無機凝集剤の具体例としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、硫酸鉄、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウムなどを挙げることができ、前記有機凝集剤の具体例としては、陽性澱粉、ポリジアリールジメチル塩化アンモ二ウム(PDADMAC)、陰イオンポリアクリルアミド(A−PAM)などを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではなく、スラリー内に添加されている物質を互いに結合するための用途として使う物質と分散用途として添加される物質とを含む。
【0040】
無機凝集剤及び有機凝集剤の添加量は、使われる凝集剤及び分散剤のイオン濃度によって異なり、最終的にスラリーのゼータ電位を測定した時、−100mV〜+100mVになりうる範囲が適当である。前記無機凝集剤または有機凝集剤を添加する時、スラリーのゼータ電位が、この範囲を外れる場合には、スラリー内の凝集及び分散が効果的になされないので、望ましくない。
【0041】
本発明に使われるセラミックシートの製造方法は、a)精製水にセラミック繊維、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤などを添加して1次撹拌した後、無機凝集剤、有機凝集剤などを添加して2次撹拌してスラリーを得る段階、b)前記スラリー内の不純物を除去する段階、及びc)前記不純物を除去したスラリーを抄紙した後、乾燥する段階を含むことが特徴である。
【0042】
本発明によるバイオ複合材料において、セラミックシートの厚さは、0.05〜5mmであることが望ましいが、これにのみ限定されるものではない。セラミックシートの厚さが0.05mm未満である場合には、セラミックシートを製造し難く、5mmを超過する場合には、バイオ複合材料の製造時、セラミックシートと高分子マトリックスとの緻密な結合を成し難い。
【0043】
一方、本発明で、セラミックシートは、バイオ複合材料の何れか一つの面にのみ備えられてもよく、バイオ複合材料の両面に備えられても良い。前記バイオ複合材料の厚さが0.1mm未満である場合には、高分子マトリックス内に天然繊維が十分に含まれず、10cmを超過する場合には、バイオ複合材料を波型あるいはハニカム型で製造し難いという問題点がある。
【0044】
以下、本発明によるバイオ複合材料の製造方法を詳しく説明する。
【0045】
図4には、本発明によるバイオ複合材料の製造工程が順次示されている。
【0046】
具体的に、本発明によるバイオ複合材料の製造方法は、1)セラミックシート上に切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、3)前記圧縮成形された複合材料を冷却する段階と、を含むことが特徴である。
【0047】
本発明の製造方法で、前記2)段階の圧縮成形は、成形圧縮ローラなどを用いて行うことができる。この際、成形圧縮ローラの圧縮力は、0.1kgf/cm2以上であることが望ましく、0.1〜10kgf/cm2であることがさらに望ましい。前記圧縮力が0.1kgf/cm2未満である場合には、天然繊維と高分子マトリックスとの間に結合力が弱くなり、またバイオ複合材料の平滑度が大きく低下し、10kgf/cm2を超過する場合には、溶融された高分子が成形ロールの外部に押されて所望の厚さのバイオ複合材料を製造するのに難しさがある。また、前記圧縮成形時、多数個の成形圧縮ローラを利用する場合には、製造されるシートの緻密度が高くなり、平滑度も向上する。
【0048】
本発明によるバイオ複合材料は、前記2)段階以後、形成された複合材料を冷却させることによって、最終的なバイオ複合材料を製造することができる。
【0049】
また、本発明によるバイオ複合材料の製造方法で、前記3)段階以後、高分子を再び加熱溶融した後、セラミックシートをさらに積層して加熱圧縮成形することによって、セラミックシートが両面に積層されたバイオ複合材料を製造することもできる。
【0050】
また、本発明は、既に高分子マトリックスと一体化されたセラミックシート上で、1)切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、をもう一度行うことによって、セラミックシートが中間に位置する環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造することもできる。
【0051】
本発明によるバイオ複合材料の製造方法において、使われたセラミックシート、天然繊維、高分子マトリックスなどに対する内容は、前述したところと同一であるので、これについての具体的な説明は省略する。
【0052】
一方、本発明によるバイオ複合材料は、多様な形態と構造とで製造することができるということがまた他の特徴である。例えば、本発明によるバイオ複合材料は、平板型、偏波型、平板及び偏波複合型、ハニカム型の構造で製造することができ、これらが積層された多層構造も可能である。本発明によって構成されるバイオ複合材料の多様な形態は、図1及び図2に表われている。
【0053】
そのうち、バイオ複合材料を偏波型に成形する方法は、次の通りである。前記バイオ複合材料の製造過程を通じて製造された平板型シートの表面温度を50〜150℃に保持して波型化ロールを経る工程を通じて波型化の複合材料を製造することができる。特に、この工程は、バイオ複合材料シートの製造装置に偏波成形ローラを装着して、連続工程で成形することもできるということが特徴である。
【0054】
また、前記波型化シートの少なくとも一面の山部分に接着剤を塗布し、ここに、バイオ複合材料平板シートを一面または両面に積層させ、複合構造を有するバイオ複合材料を製造することもできる。このように構成された複合型バイオ複合材料は、単純に二枚の平板シート型のバイオ複合材料を積層させたものより強度に優れている。
【0055】
また、本発明によるバイオ複合材料は、ハニカム型の構造でも製造することができる。具体的に、前記バイオ複合偏波成形体を少なくとも2個以上積層させることで製造することができ、ハニカム型のバイオ複合材料は、引張強度などが非常に優れるために、実際、包装材や建築資材などで広く活用することができる。
【0056】
以下、図面及び実施例を参照して、本発明をより詳しく説明する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであって、本発明が、これに限定されるものと解釈されてはならない。
【実施例1】
【0057】
セラミックシートの製造
スラリータンクにセラミック繊維100重量部を入れ、セラミック繊維100重量部に対して精製水20,000重量部、有機添加剤20重量部をスラリータンクに添加し、その後、セラミック繊維100重量部に対して有機繊維20重量部をスラリータンクに投入した。そして、セラミック繊維100重量部に対して無機添加剤25重量部をスラリータンクに添加した。その後、前記添加物が、スラリータンク内で十分に溶けるように1,500rpmで2時間1次撹拌した。
【0058】
前記で、セラミック繊維は、アルミノケイ酸塩繊維(Al2O3−SiO2)を使い、有機繊維は、セルロース繊維を使い、無機添加剤は、繊維状天然鉱物であるセピオライトを使い、有機添加剤は、ポリエチレングリコールを使った。
【0059】
1次撹拌後、スラリー内の添加物の微細な粒子が、シート製造時にワイヤーメッシュを通じて抜けないようにするために、セラミック繊維100重量部に対して無機凝集剤1.85重量部、有機凝集剤1.85重量部をスラリータンクに添加してスラリーを完成し、その後、スラリー内で凝集されている添加物が強制撹拌によって凝集が解けないようにするために、300rpmで30分間2次撹拌を実施した。
【0060】
前記で、無機凝集剤は、硫酸アルミニウムを使い、有機凝集剤は、ポリジアリルジメチル塩化アンモニウム(PDADMAC)を使った。
【0061】
2次撹拌を終えたスラリーは、定量ポンプを使って比重分離装置に移送してスラリー内のセラミック繊維、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤、無機凝集剤、有機凝集剤のような添加物より相対的に比重が大きい不純物を除去した後、シート製造装置に供給した。
【0062】
比重分離装置を用いて不純物を除去したスラリーは、シート製造装置のワイヤーメッシュに供給されて均一に分布させた後、自然脱水及び吸入脱水の過程を経ながら、含水率が82%であるセラミックシート抄紙を得た。このように成形されたセラミックシート抄紙は、圧縮圧力が6kgf/cm2である4段の圧縮ローラを通過させる圧着脱水の過程を経てセラミックシートの水分を強制脱水させ、含水率が63%になるようにした。自然脱水、吸入脱水及び圧着脱水の過程を経て成形が完了したセラミックシート抄紙の含水率をさらに低めるために、表面温度が150℃に保持されている乾燥ローラを通過させ、含水率12%であるセラミックシートを製造した。
【実施例2】
【0063】
単面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料の製造
本実施例では、天然繊維でヘネケン繊維、ケナフ繊維、シルクをそれぞれ補強材として利用した環境に優しい特性の軽量バイオ複合材料を製造した。高分子マトリックスは、汎用高分子であるポリプロピレン(Polypropylene(PP)、Hanwha Polydreamer Co.Ltd)を使った。本発明では、バイオ複合材料の製造時に、天然繊維の上部に供給される高分子の分散がよくなされるようにポリプロピレンは、直径0.1〜1mmである球型になったものを使った。
【0064】
前記実施例1で製造したセラミックシート上に5〜10mm長さで切ったヘネケン、ケナフまたはシルクのような天然繊維を振動供給装置を用いて供給した後、前記天然繊維上にポリプロピレンの球型粉末を均一に分散されるように供給した。
【0065】
次いで、前記ポリプロピレンの球型粉末が完全に溶融されるように、150〜180℃の温度で加熱した。その後、圧縮力が0.2kgf/cm2である成形圧縮ローラを用いてバイオ複合材料を製造し、空気冷却装置を用いて常温まで冷却して、セラミックシートが付着されたバイオ複合材料を製造した。
【実施例3】
【0066】
両面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料の製造
前記実施例2で、ポリプロピレンが溶融されるように加熱した後、溶融されたポリプロピレン上にセラミックシートをさらに供給した以外には、前記実施例1と同じ方法で両面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料を製造した。
【0067】
図1は、上側からヘネケン、ケナフ、シルクを天然繊維として使ったバイオ複合材料である。左側の写真はセラミックシートが付着されていないバイオ複合材料、中央は単面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料及び右側は両面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料の実際写真が、それぞれ表わされている。
【実施例4】
【0068】
偏波型の構造を有するバイオ複合材料の製造
前記実施例2または実施例3で製造したセラミックシートを含有したバイオ複合材料の表面温度を50〜150℃に保持しながら、波型化ローラを用いて偏波型シートを製造した(図2B)。また、前記波型シートの山部分に接着剤を塗布した後、前記実施例2または実施例3で製造した平板シート型のバイオ複合材料を上部または上下部に追加的に付着させ、板型シートと波型シートとが複合されたバイオ複合材料を製造した(図2C及び図3の(c)、(d))。
【実施例5】
【0069】
ハニカム構造を有するバイオ複合材料の製造
前記実施例4で製造した板型シートと波型シートとが複合されたバイオ複合材料を複数個積層させ、ハニカム型のバイオ複合材料を製造した(図2C及び図3の(e))。このように立体的に構成されたバイオ複合材料は、強度と衝撃吸収力とに優れるために、自動車または建築資材として使うことができる。
<実験例1>
バイオ複合材料の物理的特性分析
A.特性測定方法
本発明によるバイオ複合材料の特性を屈曲強度試験(Flexural Test)、そして、衝撃強度試験(Izod Impact Test)を実施し、動力学的特性分析(Dynamic mechanical Analysis)と熱膨張特性分析(Thermomechanical Analysis)とで実施した。
【0070】
(1)屈曲特性
バイオ複合材料の屈曲特性を測定するために、万能材料試験機(Universal Testing Machine、UTM、Tinius olsen Ltd.、H−50K−S T、Redhill、England)を使った。屈曲試験は、国際標準試験法人ASTM D 790 Method I(three−point loading)に基づいて3点屈曲(three point bending)方法で常温(roomtemperature;23±2℃ and 50±5% relative humidity)で測定し、試片の大きさは、50mm×25mm×2mmで準備した。試片のspan−to−depth比率は16、load cellは50kN、crosshead speedは1mm/minで設定した。
【0071】
(2)動力学的特性分析(Dynamicmechanical Analysis)
バイオ複合材料の動力学的特性を分析するために、動力学的熱特性分析器(Dynamic mechanical Analyzer、DMA Q−800、TA Instrument)を用いて貯蔵弾性率(storage modulus)及びTanδ値を測定し、分析のための試片の大きさは、35.0mm×11.0mm×1.7mmで製造した。BRAF/PLAバイオ複合材料は、30〜150℃まで、BRAF/PP/nano−clayバイオ複合材料は、−100℃〜−30℃〜まで液体窒素雰囲気で測定した。昇温速度は、分当たり5℃でそれぞれの複合材料試片が装置内の加熱炉で熱的に十分に平衡状態に到逹するようにした。試片は、single cantilever modeでsinusoidally oscillating frequencyが動的に作用する条件下で進行した。使われた振動数(frequency)は、1Hzで固定させ、振動幅(oscillating amplitude)は、0.2mmで保持した。
【0072】
(3)熱機械的特性分析(Thermomechanical Analysis)
バイオ複合材料の厚さ方向に対する熱膨張挙動を測定するために、熱機械的特性分析器(Thermomechanical Analyzer、TMA Q−400、TA Instrument)を使い、測定値は、熱膨張係数(Coefficient of thermal expansion、CTE)に変換して表わした。試片の大きさは、7.0mm×7.0mm×1.7mmで製作し、水分吸収を最小化するために、切断されたバイオ複合材料をデシケーターに入れて24時間以上保管した後、測定に使った。昇温速度は、分当たり5℃にして100℃まで加熱させ、試片の膨張程度を測定するprobe周りを100ml/minの窒素雰囲気に保持した。
【0073】
B.特性分析結果
以下、セラミックシートの使用の有無によるバイオ複合材料の密度、貯蔵弾性率、寸法安定性、屈曲弾性率を、図5ないし図9を参照して説明する。図5ないし図9で、PPはポリプロピレン、HQはヘネケン繊維、KEはケナフ繊維、SKはシルク、BRAFは紅藻類繊維を表記したものである。
【0074】
図5は、セラミックシートの有無によるバイオ複合材料の密度変化のグラフを示す。セラミックシートを添加したバイオ複合材料の密度は、バイオ複合材料の密度に比べて大きく増加せず、これは、ガラス繊維補強高分子複合材料の代替用として使われるバイオ複合材料の環境に優しい特性と軽量特性とを保持しながら、難燃性を大きく向上させることができると分析される。
【0075】
図6は、セラミックシートの有無によるバイオ複合材料の貯蔵弾性率変化のグラフを示す。セラミックシートを添加したバイオ複合材料の貯蔵弾性率は、既存バイオ複合材料の貯蔵弾性率に比べて繊維の種類によって類似しているか、増加しており、セラミックシート、高分子及び天然繊維のハイブリッドが緻密によくなされたと分析される。
【0076】
図7は、セラミックシートの有無によるバイオ複合材料の寸法安定性変化のグラフを示す。セラミックシートを添加したバイオ複合材料の寸法安定性を表わす熱膨張係数は、既存バイオ複合材料に比べて減少して温度によるバイオ複合材料の寸法安定性がセラミックシートハイブリッド構造によってさらに向上したと分析される。
【0077】
図8には、セラミックシートの有無によるバイオ複合材料の屈曲強度変化が表われており、図9には、屈曲弾性率グラフが表われている。セラミックシートを添加したバイオ複合材料の屈曲特性は、強度と弾性率とでいずれも類似しているか、増加して、セラミックシート、高分子及び天然繊維のハイブリッドが緻密によくなされて相互補完的な役割をしたと分析される。
<実験例2>
バイオ複合材料の難燃特性分析
以下、本発明によるバイオ複合材料の難燃特性を分析した。バイオ複合シート、単面セラミックシート付着バイオ複合材料(実施例2)及び両面セラミックシート付着バイオ複合材料(実施例3)を製造し、同一条件及び同一時間に各バイオ複合材料の燃焼速度を測定して、難燃特性を分析した。実験は、それぞれの試料に対して5個の同一試料を実験し、平均値を表示した。
【0078】
図10は、ヘネケン繊維を補強材として使ったバイオ複合材料の難燃特性を示す写真であって、(a)は、天然繊維と高分子マトリックスとでのみ構成されたバイオ複合材料であり、(b)は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料であり、(c)は、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料を示す。
【0079】
図11は、ケナフ繊維を補強材として使ったバイオ複合材料の難燃特性を示す写真であって、(a)は、天然繊維と高分子マトリックスとでのみ構成されたバイオ複合材料であり、(b)は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料であり、(c)は、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料を示す。
【0080】
これら図面に示されるように、セラミックシートを使っていないバイオ複合材料は、容易に燃えて形体がなくなるという問題があるが、セラミックシートが結合されたバイオ複合材料は、火炎でもシート構造を保持することができて、難燃性に優れているという事実を肉眼でも確認することができる。
【0081】
図12は、セラミックシートの有無による燃焼平均速度を示すグラフを表わしている。HQNF+PPは、ヘネケン天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わし、HQNF+PP+CESTは、単面にセラミックシートを有するヘネケン天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わし、CEST+HQNF+PP+CESTは、両面にセラミックシートを有するヘネケン天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わしている。また、天然繊維が5重量%より多い場合と、10重量%である場合とをそれぞれ表示した。
【0082】
前記グラフでのように、セラミックシートを含む本発明によるバイオ複合材料が、セラミックシートを含まないバイオ複合材料に比べて燃焼速度が遥かに遅いということを確認することができ、天然繊維の含量が10重量%である場合には、単面にのみセラミックシートを結合した場合にも、燃焼防止効果が非常に優れているということが分かる。
【0083】
図13には、天然繊維でケナフを使った場合の燃焼平均速度を示すグラフが表われている。KENF+PPは、ケナフ天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わし、KENF+PP+CESTは、単面にセラミックシートを有したケナフ天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わし、CEST+KENF+PP+CESTは、両面にセラミックシートを有したケナフ天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わす。ヘネケン使用の場合と同様に、セラミックシートの結合によって燃焼平均速度が著しく減少し、難燃特性に優れているということを確認することができた。
【0084】
本発明の天然繊維を補強材として使用したバイオ複合材料は環境に優しく軽量である。さらに、セラミックシートを積層させた結果、バイオ複合材料は不燃性である。 特に、本発明のバイオ複合材料は貯蔵弾性係数、寸法安定性及び屈曲特性が改善されている。
【0085】
また、本発明のバイオ複合材料は偏波型又はハニカム構造を含む様々な形に容易に成形できる。衝撃吸収力か改善されたため、この3次元構造を持つバイオ複合材料は自動車又は屋内外の建築資材として有用である。
【0086】
本開示は特定の態様に関して記載されているが、当業者にとって、本発明の次の請求項に定められた発明の精神と開示の範囲から離れることなく様々な変更や修正をすることは自明のことであろう。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、環境に優しい難燃性バイオ複合材料及びその製造方法に関連する分野に適用されうる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ複合材料及びその製造方法に係り、より具体的には、環境に優しい特性、貯蔵弾性率、寸法安定性に優れるだけではなく、耐熱性と難燃性とまで有するバイオ複合材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車や建築産業に多く使われている高分子複合材料は、ほとんどガラス繊維を補強材として使っているが、ガラス繊維は、人体に有害であり、リサイクリング(recycling)が難しいために、エネルギー及び環境側面で多くの問題点を引き起こしている。人体に有害なガラス繊維の使用量を減らすために、最近、天然繊維を補強材として使うバイオ複合材料が検討されている。
【0003】
バイオ複合材料は、ガラス繊維強化高分子複合材料に比べて、約30%以上軽いために、自動車部品に適用される場合、燃費向上(1.6%)による省エネを期待することができる先端新素材である。また、天然繊維は、ガラス繊維と異なって機械に対する摩耗率も少なく、軽くて製造工程でも80%の生産エネルギーを節減することができる。コスト面でも、天然繊維(約5ウォン/g)は、ガラス繊維(20ウォン/g)の約1/4程度であり、ガラス繊維(密度:2.6g/cm3)に比べて天然繊維(密度:1.3g/cm3)は、軽くて靭性と比強性(specific modulus)とも優れている。
【0004】
最近までは、ほとんどセルロースを基盤とする補強材として、主に木質系及び天然繊維非木質系から得られた粉末あるいは繊維を含むバイオ複合材料が報告されている。しかし、セルロース系補強材は、木あるいは天然繊維の成長条件、成長部位、成長期間などによって多様な特性を有し、特に、一繊維でも各部位での組成と大きさとが異なる場合が多いために、これら繊維をそのまま補強材として使う場合には、バイオ複合材料の各部位別に相異なる特性を有するようになる場合が多い。また、木質系補強材の使用による山林毀損や最近バイオ複合材の補強材として多く使われる亜麻、大麻など非木質系の特殊植物の栽培による副作用の恐れも存在する。
【0005】
したがって、最近、環境に優しい素材である多様なバイオ素材を高機能性素材として活用するための研究が世界的に活発に進められており、これについての研究がさらに必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする第1の課題は、環境に優しい特性、貯蔵弾性率、寸法安定性に優れ、耐熱性と難燃性とが強化されたバイオ複合材料を提供することにある。本発明が解決しようとする第2の課題は、前記環境に優しい難燃性バイオ複合材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記技術的課題を解決するために、a)天然繊維を含む高分子マトリックスと、b)前記高分子マトリックスと圧着されて一体化されたセラミックシートと、を含み、前記天然繊維の含量は、1〜70重量%であり、前記高分子の含量は、1〜98%であり、前記セラミックシートの含量は、1〜30重量%であることを特徴とする環境に優しい難燃性バイオ複合材料を提供する。
【0008】
本発明で、セラミックシートは、前記天然繊維を含む高分子マトリックスの少なくとも一面または中間に備えられうる。
【0009】
本発明に使われる天然繊維は、木材パルプ、非木材繊維、微細藻類副産物、海藻類副産物、シルク繊維及びヘネケン繊維からなる群から1種以上選択されることが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0010】
木材パルプまたは非木材繊維を使う場合、その長さは、1μm〜3cmであることが望ましく、微細藻類副産物または海藻類副産物を使う場合、その長さは、0.1〜1,000μmであることが望ましい。
【0011】
本発明に使われる高分子は、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)と澱粉とのブレンド体、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate:PBS)のような生分解性高分子とポリプロピレン、ポリエチレン及びポリカーボネートのような汎用性高分子及びこれらのブレンドからなる群から1種以上選択されることが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0012】
本発明に使われるセラミックシートは、SiO2、Al2O3、CaO、MgOまたはこれらの混合物からなる群から選択されたセラミック繊維を含むことを意味し、セラミックシートのうち、セラミック繊維の含量は、50重量%以上であることが望ましい。セラミックシートは、セラミック繊維を含み、60%以上の無機物からなることが望ましい。
【0013】
また、セラミックシートは、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤、無機凝集剤または有機凝集剤のうちから選択された1種以上の添加剤をさらに含むことができ、セラミックシートの厚さは、0.05〜5mmであることが望ましい。
【0014】
本発明による環境に優しい難燃性バイオ複合材料の厚さは、0.1mm〜10cmの範囲が適当である。
【0015】
また、本発明による環境に優しい難燃性バイオ複合材料は、平板型、偏波型、平板及び偏波複合型、ハニカム型の構造またはこれらの多層構造のように多様な形態を有しうる。
【0016】
本発明は、1)セラミックシート上に切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、を含む環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法を提供する。この際、使われる高分子によって変わるが、溶融温度は、100〜200℃が望ましく、圧縮力は、0.1〜10kgf/cm2であることが適当である。
【0017】
本発明において、前記3)段階以後、高分子を再び加熱溶融した後、セラミックシートをさらに積層して加熱圧縮成形することによって、セラミックシートが両面に付着された環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造することもできる。
【0018】
また、本発明は、天然繊維を含む高分子マトリックスの上部に積層されたセラミックシートを製造した後、そのセラミックシート上で、1)切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、をもう一度行うことによって、セラミックシートが中間に位置する環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造することもできる。
【0019】
また、前記方法によってセラミックシートが付着されたバイオ複合材料を製造した後、再加熱し、偏波成形ローラを通過させて連続工程で偏波型の構造を有する環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による環境に優しい難燃性バイオ複合材料は、天然繊維を補強材として使って環境に優しく、軽量特性に優れるだけではなく、セラミックシートと一体型で構成されて天然バイオ複合材料の最も大きな短所と言える難燃性問題を解消した。特に、本発明によるバイオ複合材料は、セラミックシートの結合によって貯蔵弾性率、寸法安定性、屈曲特性がいずれも向上する結果を示し、軽量特性も保持することができた。
【0021】
また、本発明によるバイオ複合材料は、製造過程で多様な形態で容易に成形が可能であるために、偏波型やハニカム型のような立体構造で製造する場合、衝撃吸収率を高めることができて、自動車及び建築内外装材として活用可能性が非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一態様であるバイオ複合材料の写真であって、上部からヘネケン繊維、ケナフ繊維、シルク繊維を使ったバイオ複合材料の写真が表わしている。写真で、左側には、セラミックシートを含まないバイオ複合材料、中間は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料、右側には、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料がそれぞれ表われている。
【図2】図2(a)は本発明の一態様であるバイオ複合材料の写真であって、平板型の構造体を示す。図2(b)は本発明の一態様であるバイオ複合材料の写真であって、偏波型の構造体を示す。図2(c)は本発明の一態様であるバイオ複合材料の写真であって、複合型とハニカム型の構造体を示す。
【図3】本発明の一態様である平板型、偏波型、複合型及びハニカム型のバイオ複合材料の断面図である。
【図4】本発明によるバイオ複合材料の製造工程を示すフローチャートである。
【図5】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の密度(Density)の比較グラフである。
【図6】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の貯蔵弾性率(Storage Modulus)の比較グラフである。
【図7】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の寸法安定性(CTE)の比較グラフである。
【図8】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の屈曲強度(Flexural Strength)の比較グラフである。
【図9】天然繊維の種類及びセラミックシートの有無による本発明のバイオ複合材料の屈曲弾性率(Flexural Modulus)の比較グラフである。
【図10】本発明によるバイオ複合材料(ヘネケン繊維を補強材として使用)の難燃特性を示す写真であって、(a)は、天然繊維と高分子マトリックスとでのみ構成されたバイオ複合材料であり、(b)は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料であり、(c)は、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料を示す。
【図11】本発明によるバイオ複合材料(ケナフ繊維を補強材として使用)の難燃特性を示す写真であって、(a)は、天然繊維と高分子マトリックスとでのみ構成されたバイオ複合材料であり、(b)は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料であり、(c)は、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料を示す。
【図12】天然繊維でヘネケン繊維(5%、10%含有)を含むバイオ複合材料において、セラミックシートの有無、両面、単面積層による本発明のバイオ複合材料の燃焼平均速度を測定した結果のグラフである。
【図13】天然繊維でケナフ繊維(10%含有)を含むバイオ複合材料において、セラミックシートの有無、両面、単面積層による本発明のバイオ複合材料の燃焼平均速度を測定した結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面及び実施例を参照して、本発明をより具体的に説明する。
【0024】
本発明による環境に優しい難燃性バイオ複合材料は、a)天然繊維を含む高分子マトリックスと、b)前記高分子マトリックスと圧着されて一体化されたセラミックシートと、を含み、前記天然繊維の含量は、1〜70重量%であり、前記高分子の含量は、1〜98%であり、前記セラミックシートの含量は、1〜30重量%であることが特徴である。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記セラミックシートは、前記天然繊維を含む高分子マトリックスの少なくとも一つの面または中間に備えられうる。
【0026】
本発明によるバイオ複合材料に使われる天然繊維の例としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ;麦わら(straw)、バガス(bagasse)、葦、竹、靭皮繊維、綿、ケナフ繊維などの非木材繊維;微細藻類副産物;緑藻類、褐藻類、紅藻類、淡水藻類などの海藻類副産物;シルク繊維;ヘネケン繊維などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
そのうち、微細藻類副産物は、微細藻類からバイオディーゼルを製造するために、地質抽出工程を経た後、残った副産物を利用することが望ましく、海藻類繊維は、海藻類から不純物の除去、溶媒抽出及び脱色過程によって製造された海藻類繊維を利用することが望ましい。
【0028】
また、天然繊維で木材パルプまたは非木材繊維を使う場合には、長さが0.1mm〜3cmであることが望ましい。その理由は、木材パルプまたは非木材繊維の長さが0.1mm未満である場合には、バイオ複合材料の機械的特性が低下し、3cmを超過する場合には、機械的特性の低下または分散投入が難しいために、均一な機械的特性を有したバイオ複合材料の製造が難しいという問題点が発生することがあるためである。
【0029】
また、微細藻類副産物または海藻類副産物を使う場合、その長さは0.1〜1,000μmであることが望ましい。微細藻類副産物または海藻類副産物の長さが0.1μm未満である場合には、バイオ複合材料の機械的特性が低下し、1,000μmを超過する場合には、機械的特性の低下または分散投入が難しい。
【0030】
本発明によるバイオ複合材料のうち、天然繊維の含量は、1〜70重量%であることが望ましい。天然繊維の含量が1重量%未満である場合には、バイオ複合材料としての環境に優しい特性あるいは機械的特性の向上のための補強材としての役割を期待し難く、70重量%を超過する場合には、天然繊維の間に高分子マトリックスが十分に染みこむことができなくて、界面接着の特性が悪くなり、これによってバイオ複合材料の機械的特性が低下するという問題点が発生することがある。
【0031】
一方、本発明のバイオ複合材料に使われる高分子としては、当技術分野に知られた生分解性高分子、汎用高分子であれば、制限なしに可能である。具体的に、生分解性高分子としては、微生物の活動によって分解される物質であるポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、PCLと澱粉とのブレンド体、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate:PBS)などを挙げることができ、汎用高分子は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0032】
本発明のバイオ複合材料の製造に使われる原料として、高分子粉末の形態は、球型、円筒型、粉末型、繊維型などであり、前記高分子粉末の供給量によって最終的に製造されるバイオ複合材料の厚さを調節することができる。本発明によるバイオ複合材料の厚さは、0.1mm〜10cm程度が適当である。バイオ複合材料の厚さが0.1mm未満である場合には、高分子マトリックス内に天然繊維が十分に含まれず、10cmを超過する場合には、バイオ複合材料を波型あるいはハニカム型で製造するのに難しさがあり得る。
【0033】
本発明によるバイオ複合材料に耐熱性と難燃性とを付与するセラミックシートは、セラミック繊維を主原料として含むシートである。本発明に使われるセラミックシートのうち、セラミック繊維の含量は、50重量%以上であり、セラミック繊維を含んだ無機物の含量が、60重量%以上であるシートを使うことが望ましい。セラミック繊維の含量が50重量%未満であるか、無機物の含量が60重量%未満である場合には、セラミックシートの寸法安定性が低下し、優れた耐熱性を期待し難い。
【0034】
具体的に、セラミック繊維は、SiO2、Al2O3、CaO、MgOまたはこれらの混合物を挙げることができ、本発明に使われるセラミックシートは、セラミック繊維の以外に、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤、無機凝集剤、有機凝集剤などをさらに含みうる。
【0035】
有機繊維は、セラミックシートの製造時、成形性を改善し、セラミックシートの引張強度を向上させるために使われるが、具体例としては、セルロース(パルプ)繊維、シルク繊維、ポリプロピレン繊維などを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0036】
有機繊維は、セラミック繊維100重量部に対して1〜30重量部に添加されることが望ましく、有機繊維の含量がセラミック繊維100重量部に対して1重量部未満または30重量部を超過する場合には、セラミックシートの成形性、引張強度などの特性をより効果的に表わすことができないので、望ましくない。
【0037】
また、無機添加剤は、セラミック繊維と有機繊維との間に分布して、これら繊維間の結合力を増大させるために使うことができる。無機添加剤の具体例としては、セピオライト(sepiolite)、シリカ、アルミナなどを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。無機添加剤は、セラミック繊維100重量部に対して15〜30重量部に添加されることが望ましい。無機添加剤の含量が、セラミック繊維100重量部に対して15重量部未満または30重量部を超過する場合には、前記セラミック繊維と有機繊維との間の結合力の増大の特性をより効果的に表わすことができないので、望ましくない。
【0038】
また、有機添加剤は、セラミックシート製造時、スラリー内で繊維の解離と分散特性とを増大させ、成形性を良くするだけではなく、セラミック繊維と有機繊維との間に分布して、これら繊維間の結合力を増大させるために使うことができる。有機添加剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリ酢酸ビニルなどを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。有機添加剤は、前記セラミック繊維100重量部に対して1〜30重量部に添加されうる。有機添加剤の含量が、1重量部未満または30重量部を超過する場合には、セラミックシートの成形性、セラミック繊維と有機繊維との間の結合力の増大などの特性をより効果的に表わすことができないので、望ましくない。
【0039】
無機凝集剤及び有機凝集剤は、セラミックシートを製造するためのスラリー内に添加された添加物間のイオン結合を促進するか、これら添加物が結合された状態へのスラリー内での分散を増大させるために使うことができる。無機凝集剤の具体例としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、硫酸鉄、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウムなどを挙げることができ、前記有機凝集剤の具体例としては、陽性澱粉、ポリジアリールジメチル塩化アンモ二ウム(PDADMAC)、陰イオンポリアクリルアミド(A−PAM)などを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではなく、スラリー内に添加されている物質を互いに結合するための用途として使う物質と分散用途として添加される物質とを含む。
【0040】
無機凝集剤及び有機凝集剤の添加量は、使われる凝集剤及び分散剤のイオン濃度によって異なり、最終的にスラリーのゼータ電位を測定した時、−100mV〜+100mVになりうる範囲が適当である。前記無機凝集剤または有機凝集剤を添加する時、スラリーのゼータ電位が、この範囲を外れる場合には、スラリー内の凝集及び分散が効果的になされないので、望ましくない。
【0041】
本発明に使われるセラミックシートの製造方法は、a)精製水にセラミック繊維、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤などを添加して1次撹拌した後、無機凝集剤、有機凝集剤などを添加して2次撹拌してスラリーを得る段階、b)前記スラリー内の不純物を除去する段階、及びc)前記不純物を除去したスラリーを抄紙した後、乾燥する段階を含むことが特徴である。
【0042】
本発明によるバイオ複合材料において、セラミックシートの厚さは、0.05〜5mmであることが望ましいが、これにのみ限定されるものではない。セラミックシートの厚さが0.05mm未満である場合には、セラミックシートを製造し難く、5mmを超過する場合には、バイオ複合材料の製造時、セラミックシートと高分子マトリックスとの緻密な結合を成し難い。
【0043】
一方、本発明で、セラミックシートは、バイオ複合材料の何れか一つの面にのみ備えられてもよく、バイオ複合材料の両面に備えられても良い。前記バイオ複合材料の厚さが0.1mm未満である場合には、高分子マトリックス内に天然繊維が十分に含まれず、10cmを超過する場合には、バイオ複合材料を波型あるいはハニカム型で製造し難いという問題点がある。
【0044】
以下、本発明によるバイオ複合材料の製造方法を詳しく説明する。
【0045】
図4には、本発明によるバイオ複合材料の製造工程が順次示されている。
【0046】
具体的に、本発明によるバイオ複合材料の製造方法は、1)セラミックシート上に切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、3)前記圧縮成形された複合材料を冷却する段階と、を含むことが特徴である。
【0047】
本発明の製造方法で、前記2)段階の圧縮成形は、成形圧縮ローラなどを用いて行うことができる。この際、成形圧縮ローラの圧縮力は、0.1kgf/cm2以上であることが望ましく、0.1〜10kgf/cm2であることがさらに望ましい。前記圧縮力が0.1kgf/cm2未満である場合には、天然繊維と高分子マトリックスとの間に結合力が弱くなり、またバイオ複合材料の平滑度が大きく低下し、10kgf/cm2を超過する場合には、溶融された高分子が成形ロールの外部に押されて所望の厚さのバイオ複合材料を製造するのに難しさがある。また、前記圧縮成形時、多数個の成形圧縮ローラを利用する場合には、製造されるシートの緻密度が高くなり、平滑度も向上する。
【0048】
本発明によるバイオ複合材料は、前記2)段階以後、形成された複合材料を冷却させることによって、最終的なバイオ複合材料を製造することができる。
【0049】
また、本発明によるバイオ複合材料の製造方法で、前記3)段階以後、高分子を再び加熱溶融した後、セラミックシートをさらに積層して加熱圧縮成形することによって、セラミックシートが両面に積層されたバイオ複合材料を製造することもできる。
【0050】
また、本発明は、既に高分子マトリックスと一体化されたセラミックシート上で、1)切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、をもう一度行うことによって、セラミックシートが中間に位置する環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造することもできる。
【0051】
本発明によるバイオ複合材料の製造方法において、使われたセラミックシート、天然繊維、高分子マトリックスなどに対する内容は、前述したところと同一であるので、これについての具体的な説明は省略する。
【0052】
一方、本発明によるバイオ複合材料は、多様な形態と構造とで製造することができるということがまた他の特徴である。例えば、本発明によるバイオ複合材料は、平板型、偏波型、平板及び偏波複合型、ハニカム型の構造で製造することができ、これらが積層された多層構造も可能である。本発明によって構成されるバイオ複合材料の多様な形態は、図1及び図2に表われている。
【0053】
そのうち、バイオ複合材料を偏波型に成形する方法は、次の通りである。前記バイオ複合材料の製造過程を通じて製造された平板型シートの表面温度を50〜150℃に保持して波型化ロールを経る工程を通じて波型化の複合材料を製造することができる。特に、この工程は、バイオ複合材料シートの製造装置に偏波成形ローラを装着して、連続工程で成形することもできるということが特徴である。
【0054】
また、前記波型化シートの少なくとも一面の山部分に接着剤を塗布し、ここに、バイオ複合材料平板シートを一面または両面に積層させ、複合構造を有するバイオ複合材料を製造することもできる。このように構成された複合型バイオ複合材料は、単純に二枚の平板シート型のバイオ複合材料を積層させたものより強度に優れている。
【0055】
また、本発明によるバイオ複合材料は、ハニカム型の構造でも製造することができる。具体的に、前記バイオ複合偏波成形体を少なくとも2個以上積層させることで製造することができ、ハニカム型のバイオ複合材料は、引張強度などが非常に優れるために、実際、包装材や建築資材などで広く活用することができる。
【0056】
以下、図面及び実施例を参照して、本発明をより詳しく説明する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであって、本発明が、これに限定されるものと解釈されてはならない。
【実施例1】
【0057】
セラミックシートの製造
スラリータンクにセラミック繊維100重量部を入れ、セラミック繊維100重量部に対して精製水20,000重量部、有機添加剤20重量部をスラリータンクに添加し、その後、セラミック繊維100重量部に対して有機繊維20重量部をスラリータンクに投入した。そして、セラミック繊維100重量部に対して無機添加剤25重量部をスラリータンクに添加した。その後、前記添加物が、スラリータンク内で十分に溶けるように1,500rpmで2時間1次撹拌した。
【0058】
前記で、セラミック繊維は、アルミノケイ酸塩繊維(Al2O3−SiO2)を使い、有機繊維は、セルロース繊維を使い、無機添加剤は、繊維状天然鉱物であるセピオライトを使い、有機添加剤は、ポリエチレングリコールを使った。
【0059】
1次撹拌後、スラリー内の添加物の微細な粒子が、シート製造時にワイヤーメッシュを通じて抜けないようにするために、セラミック繊維100重量部に対して無機凝集剤1.85重量部、有機凝集剤1.85重量部をスラリータンクに添加してスラリーを完成し、その後、スラリー内で凝集されている添加物が強制撹拌によって凝集が解けないようにするために、300rpmで30分間2次撹拌を実施した。
【0060】
前記で、無機凝集剤は、硫酸アルミニウムを使い、有機凝集剤は、ポリジアリルジメチル塩化アンモニウム(PDADMAC)を使った。
【0061】
2次撹拌を終えたスラリーは、定量ポンプを使って比重分離装置に移送してスラリー内のセラミック繊維、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤、無機凝集剤、有機凝集剤のような添加物より相対的に比重が大きい不純物を除去した後、シート製造装置に供給した。
【0062】
比重分離装置を用いて不純物を除去したスラリーは、シート製造装置のワイヤーメッシュに供給されて均一に分布させた後、自然脱水及び吸入脱水の過程を経ながら、含水率が82%であるセラミックシート抄紙を得た。このように成形されたセラミックシート抄紙は、圧縮圧力が6kgf/cm2である4段の圧縮ローラを通過させる圧着脱水の過程を経てセラミックシートの水分を強制脱水させ、含水率が63%になるようにした。自然脱水、吸入脱水及び圧着脱水の過程を経て成形が完了したセラミックシート抄紙の含水率をさらに低めるために、表面温度が150℃に保持されている乾燥ローラを通過させ、含水率12%であるセラミックシートを製造した。
【実施例2】
【0063】
単面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料の製造
本実施例では、天然繊維でヘネケン繊維、ケナフ繊維、シルクをそれぞれ補強材として利用した環境に優しい特性の軽量バイオ複合材料を製造した。高分子マトリックスは、汎用高分子であるポリプロピレン(Polypropylene(PP)、Hanwha Polydreamer Co.Ltd)を使った。本発明では、バイオ複合材料の製造時に、天然繊維の上部に供給される高分子の分散がよくなされるようにポリプロピレンは、直径0.1〜1mmである球型になったものを使った。
【0064】
前記実施例1で製造したセラミックシート上に5〜10mm長さで切ったヘネケン、ケナフまたはシルクのような天然繊維を振動供給装置を用いて供給した後、前記天然繊維上にポリプロピレンの球型粉末を均一に分散されるように供給した。
【0065】
次いで、前記ポリプロピレンの球型粉末が完全に溶融されるように、150〜180℃の温度で加熱した。その後、圧縮力が0.2kgf/cm2である成形圧縮ローラを用いてバイオ複合材料を製造し、空気冷却装置を用いて常温まで冷却して、セラミックシートが付着されたバイオ複合材料を製造した。
【実施例3】
【0066】
両面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料の製造
前記実施例2で、ポリプロピレンが溶融されるように加熱した後、溶融されたポリプロピレン上にセラミックシートをさらに供給した以外には、前記実施例1と同じ方法で両面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料を製造した。
【0067】
図1は、上側からヘネケン、ケナフ、シルクを天然繊維として使ったバイオ複合材料である。左側の写真はセラミックシートが付着されていないバイオ複合材料、中央は単面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料及び右側は両面にセラミックシートが付着されたバイオ複合材料の実際写真が、それぞれ表わされている。
【実施例4】
【0068】
偏波型の構造を有するバイオ複合材料の製造
前記実施例2または実施例3で製造したセラミックシートを含有したバイオ複合材料の表面温度を50〜150℃に保持しながら、波型化ローラを用いて偏波型シートを製造した(図2B)。また、前記波型シートの山部分に接着剤を塗布した後、前記実施例2または実施例3で製造した平板シート型のバイオ複合材料を上部または上下部に追加的に付着させ、板型シートと波型シートとが複合されたバイオ複合材料を製造した(図2C及び図3の(c)、(d))。
【実施例5】
【0069】
ハニカム構造を有するバイオ複合材料の製造
前記実施例4で製造した板型シートと波型シートとが複合されたバイオ複合材料を複数個積層させ、ハニカム型のバイオ複合材料を製造した(図2C及び図3の(e))。このように立体的に構成されたバイオ複合材料は、強度と衝撃吸収力とに優れるために、自動車または建築資材として使うことができる。
<実験例1>
バイオ複合材料の物理的特性分析
A.特性測定方法
本発明によるバイオ複合材料の特性を屈曲強度試験(Flexural Test)、そして、衝撃強度試験(Izod Impact Test)を実施し、動力学的特性分析(Dynamic mechanical Analysis)と熱膨張特性分析(Thermomechanical Analysis)とで実施した。
【0070】
(1)屈曲特性
バイオ複合材料の屈曲特性を測定するために、万能材料試験機(Universal Testing Machine、UTM、Tinius olsen Ltd.、H−50K−S T、Redhill、England)を使った。屈曲試験は、国際標準試験法人ASTM D 790 Method I(three−point loading)に基づいて3点屈曲(three point bending)方法で常温(roomtemperature;23±2℃ and 50±5% relative humidity)で測定し、試片の大きさは、50mm×25mm×2mmで準備した。試片のspan−to−depth比率は16、load cellは50kN、crosshead speedは1mm/minで設定した。
【0071】
(2)動力学的特性分析(Dynamicmechanical Analysis)
バイオ複合材料の動力学的特性を分析するために、動力学的熱特性分析器(Dynamic mechanical Analyzer、DMA Q−800、TA Instrument)を用いて貯蔵弾性率(storage modulus)及びTanδ値を測定し、分析のための試片の大きさは、35.0mm×11.0mm×1.7mmで製造した。BRAF/PLAバイオ複合材料は、30〜150℃まで、BRAF/PP/nano−clayバイオ複合材料は、−100℃〜−30℃〜まで液体窒素雰囲気で測定した。昇温速度は、分当たり5℃でそれぞれの複合材料試片が装置内の加熱炉で熱的に十分に平衡状態に到逹するようにした。試片は、single cantilever modeでsinusoidally oscillating frequencyが動的に作用する条件下で進行した。使われた振動数(frequency)は、1Hzで固定させ、振動幅(oscillating amplitude)は、0.2mmで保持した。
【0072】
(3)熱機械的特性分析(Thermomechanical Analysis)
バイオ複合材料の厚さ方向に対する熱膨張挙動を測定するために、熱機械的特性分析器(Thermomechanical Analyzer、TMA Q−400、TA Instrument)を使い、測定値は、熱膨張係数(Coefficient of thermal expansion、CTE)に変換して表わした。試片の大きさは、7.0mm×7.0mm×1.7mmで製作し、水分吸収を最小化するために、切断されたバイオ複合材料をデシケーターに入れて24時間以上保管した後、測定に使った。昇温速度は、分当たり5℃にして100℃まで加熱させ、試片の膨張程度を測定するprobe周りを100ml/minの窒素雰囲気に保持した。
【0073】
B.特性分析結果
以下、セラミックシートの使用の有無によるバイオ複合材料の密度、貯蔵弾性率、寸法安定性、屈曲弾性率を、図5ないし図9を参照して説明する。図5ないし図9で、PPはポリプロピレン、HQはヘネケン繊維、KEはケナフ繊維、SKはシルク、BRAFは紅藻類繊維を表記したものである。
【0074】
図5は、セラミックシートの有無によるバイオ複合材料の密度変化のグラフを示す。セラミックシートを添加したバイオ複合材料の密度は、バイオ複合材料の密度に比べて大きく増加せず、これは、ガラス繊維補強高分子複合材料の代替用として使われるバイオ複合材料の環境に優しい特性と軽量特性とを保持しながら、難燃性を大きく向上させることができると分析される。
【0075】
図6は、セラミックシートの有無によるバイオ複合材料の貯蔵弾性率変化のグラフを示す。セラミックシートを添加したバイオ複合材料の貯蔵弾性率は、既存バイオ複合材料の貯蔵弾性率に比べて繊維の種類によって類似しているか、増加しており、セラミックシート、高分子及び天然繊維のハイブリッドが緻密によくなされたと分析される。
【0076】
図7は、セラミックシートの有無によるバイオ複合材料の寸法安定性変化のグラフを示す。セラミックシートを添加したバイオ複合材料の寸法安定性を表わす熱膨張係数は、既存バイオ複合材料に比べて減少して温度によるバイオ複合材料の寸法安定性がセラミックシートハイブリッド構造によってさらに向上したと分析される。
【0077】
図8には、セラミックシートの有無によるバイオ複合材料の屈曲強度変化が表われており、図9には、屈曲弾性率グラフが表われている。セラミックシートを添加したバイオ複合材料の屈曲特性は、強度と弾性率とでいずれも類似しているか、増加して、セラミックシート、高分子及び天然繊維のハイブリッドが緻密によくなされて相互補完的な役割をしたと分析される。
<実験例2>
バイオ複合材料の難燃特性分析
以下、本発明によるバイオ複合材料の難燃特性を分析した。バイオ複合シート、単面セラミックシート付着バイオ複合材料(実施例2)及び両面セラミックシート付着バイオ複合材料(実施例3)を製造し、同一条件及び同一時間に各バイオ複合材料の燃焼速度を測定して、難燃特性を分析した。実験は、それぞれの試料に対して5個の同一試料を実験し、平均値を表示した。
【0078】
図10は、ヘネケン繊維を補強材として使ったバイオ複合材料の難燃特性を示す写真であって、(a)は、天然繊維と高分子マトリックスとでのみ構成されたバイオ複合材料であり、(b)は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料であり、(c)は、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料を示す。
【0079】
図11は、ケナフ繊維を補強材として使ったバイオ複合材料の難燃特性を示す写真であって、(a)は、天然繊維と高分子マトリックスとでのみ構成されたバイオ複合材料であり、(b)は、単面にセラミックシートを含むバイオ複合材料であり、(c)は、両面にセラミックシートを含むバイオ複合材料を示す。
【0080】
これら図面に示されるように、セラミックシートを使っていないバイオ複合材料は、容易に燃えて形体がなくなるという問題があるが、セラミックシートが結合されたバイオ複合材料は、火炎でもシート構造を保持することができて、難燃性に優れているという事実を肉眼でも確認することができる。
【0081】
図12は、セラミックシートの有無による燃焼平均速度を示すグラフを表わしている。HQNF+PPは、ヘネケン天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わし、HQNF+PP+CESTは、単面にセラミックシートを有するヘネケン天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わし、CEST+HQNF+PP+CESTは、両面にセラミックシートを有するヘネケン天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わしている。また、天然繊維が5重量%より多い場合と、10重量%である場合とをそれぞれ表示した。
【0082】
前記グラフでのように、セラミックシートを含む本発明によるバイオ複合材料が、セラミックシートを含まないバイオ複合材料に比べて燃焼速度が遥かに遅いということを確認することができ、天然繊維の含量が10重量%である場合には、単面にのみセラミックシートを結合した場合にも、燃焼防止効果が非常に優れているということが分かる。
【0083】
図13には、天然繊維でケナフを使った場合の燃焼平均速度を示すグラフが表われている。KENF+PPは、ケナフ天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わし、KENF+PP+CESTは、単面にセラミックシートを有したケナフ天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わし、CEST+KENF+PP+CESTは、両面にセラミックシートを有したケナフ天然繊維補強ポリプロピレンバイオ複合材料を表わす。ヘネケン使用の場合と同様に、セラミックシートの結合によって燃焼平均速度が著しく減少し、難燃特性に優れているということを確認することができた。
【0084】
本発明の天然繊維を補強材として使用したバイオ複合材料は環境に優しく軽量である。さらに、セラミックシートを積層させた結果、バイオ複合材料は不燃性である。 特に、本発明のバイオ複合材料は貯蔵弾性係数、寸法安定性及び屈曲特性が改善されている。
【0085】
また、本発明のバイオ複合材料は偏波型又はハニカム構造を含む様々な形に容易に成形できる。衝撃吸収力か改善されたため、この3次元構造を持つバイオ複合材料は自動車又は屋内外の建築資材として有用である。
【0086】
本開示は特定の態様に関して記載されているが、当業者にとって、本発明の次の請求項に定められた発明の精神と開示の範囲から離れることなく様々な変更や修正をすることは自明のことであろう。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、環境に優しい難燃性バイオ複合材料及びその製造方法に関連する分野に適用されうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)天然繊維を含む高分子マトリックスと、
b)前記高分子マトリックスと圧着されて一体化されたセラミックシートと、を含み、
前記天然繊維の含量は、1〜70重量%であり、高分子の含量は、1〜98%であり、前記セラミックシートの含量は、1〜30重量%であることを特徴とする環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項2】
前記セラミックシートは、前記天然繊維を含む高分子マトリックスの少なくとも一面または中間に備えられたことを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項3】
前記天然繊維は、木材パルプ、非木材繊維、微細藻類副産物、海藻類副産物、シルク繊維及びヘネケン繊維からなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項4】
前記木材パルプまたは非木材繊維の長さは、1μm〜3cmであることを特徴とする請求項3に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項5】
前記微細藻類副産物または海藻類副産物の長さは、0.1〜1,000μmであることを特徴とする請求項3に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項6】
前記高分子は、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)と澱粉とのブレンド体、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate:PBS)のような生分解性高分子とポリプロピレン、ポリエチレン及びポリカーボネートのような汎用性高分子及びこれらのブレンドからなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項7】
前記セラミックシートは、SiO2、Al2O3、CaO、MgOまたはこれらの混合物からなる群から選択されたセラミック繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項8】
前記セラミックシートのうち、セラミック繊維の含量は、50重量%以上であることを特徴とする請求項7に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項9】
前記セラミックシートは、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤、無機凝集剤または有機凝集剤のうちから選択された1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項10】
前記セラミックシートの厚さは、0.05〜5mmであることを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項11】
厚さが、0.1mm〜10cmであることを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項12】
平板型、偏波型、平板及び偏波複合型、ハニカム型の構造またはこれらの多層構造を有することを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項13】
1)セラミックシート上に切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、
2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、
3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、
を含むことを特徴とする環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法であって、
前記難燃性バイオ複合材料はセラミックシートが両側に付着され、
前記3)段階以後、高分子を再び加熱溶融した後、セラミックシートをさらに積層して加熱圧縮成形する段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法であって、
前記難燃性バイオ複合材料はセラミックシートが中間に位置し、
前記天然繊維を含む高分子マトリックスの上部に積層されたセラミックシート上に、
1)切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、
2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、
3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、をもう一度行うことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記溶融温度は、100〜200℃であり、圧縮力は、0.1〜0.5kgf/cm2であることを特徴とする請求項13に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法。
【請求項17】
請求項13に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法であって、
前記難燃性バイオ複合材料は偏波型の構造を有し、
前記セラミックシートが付着されたバイオ複合体を再加熱した後、偏波成形ローラを通過させる段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
a)天然繊維を含む高分子マトリックスと、
b)前記高分子マトリックスと圧着されて一体化されたセラミックシートと、を含み、
前記天然繊維の含量は、1〜70重量%であり、高分子の含量は、1〜98%であり、前記セラミックシートの含量は、1〜30重量%であることを特徴とする環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項2】
前記セラミックシートは、前記天然繊維を含む高分子マトリックスの少なくとも一面または中間に備えられたことを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項3】
前記天然繊維は、木材パルプ、非木材繊維、微細藻類副産物、海藻類副産物、シルク繊維及びヘネケン繊維からなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項4】
前記木材パルプまたは非木材繊維の長さは、1μm〜3cmであることを特徴とする請求項3に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項5】
前記微細藻類副産物または海藻類副産物の長さは、0.1〜1,000μmであることを特徴とする請求項3に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項6】
前記高分子は、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)と澱粉とのブレンド体、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate:PBS)のような生分解性高分子とポリプロピレン、ポリエチレン及びポリカーボネートのような汎用性高分子及びこれらのブレンドからなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項7】
前記セラミックシートは、SiO2、Al2O3、CaO、MgOまたはこれらの混合物からなる群から選択されたセラミック繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項8】
前記セラミックシートのうち、セラミック繊維の含量は、50重量%以上であることを特徴とする請求項7に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項9】
前記セラミックシートは、有機繊維、無機添加剤、有機添加剤、無機凝集剤または有機凝集剤のうちから選択された1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項10】
前記セラミックシートの厚さは、0.05〜5mmであることを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項11】
厚さが、0.1mm〜10cmであることを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項12】
平板型、偏波型、平板及び偏波複合型、ハニカム型の構造またはこれらの多層構造を有することを特徴とする請求項1に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料。
【請求項13】
1)セラミックシート上に切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、
2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、
3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、
を含むことを特徴とする環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法であって、
前記難燃性バイオ複合材料はセラミックシートが両側に付着され、
前記3)段階以後、高分子を再び加熱溶融した後、セラミックシートをさらに積層して加熱圧縮成形する段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法であって、
前記難燃性バイオ複合材料はセラミックシートが中間に位置し、
前記天然繊維を含む高分子マトリックスの上部に積層されたセラミックシート上に、
1)切断された天然繊維及び高分子粉末を分散させる段階と、
2)前記天然繊維と高分子とが分散されたセラミックシートを加熱して、前記高分子粉末を溶融させた後、圧縮成形する段階と、
3)前記圧縮成形されたシートを冷却する段階と、をもう一度行うことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記溶融温度は、100〜200℃であり、圧縮力は、0.1〜0.5kgf/cm2であることを特徴とする請求項13に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法。
【請求項17】
請求項13に記載の環境に優しい難燃性バイオ複合材料を製造する方法であって、
前記難燃性バイオ複合材料は偏波型の構造を有し、
前記セラミックシートが付着されたバイオ複合体を再加熱した後、偏波成形ローラを通過させる段階を含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−178157(P2011−178157A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270837(P2010−270837)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(507403551)コリア インスティチュート オブ エナジー リサーチ (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(507403551)コリア インスティチュート オブ エナジー リサーチ (5)
【Fターム(参考)】
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