環境サンプリング用の試料調製
対象の検体について、環境表面を試験するための試料調製のためのシステム及び方法。このシステムは、リザーバを含む変形可能な自己支持型容器と、その変形可能な自己支持型容器のリザーバ内に配置される試料装荷基材と、を含むことができる。この試料装荷基材は、基材と、表面から採取された試料源と、を含むことができる。この方法は、試料装荷基材及び希釈剤を合わせる工程と、試料装荷基材及び希釈剤を攪拌することによって、試料源及び希釈剤を含む液体組成物を形成する工程とを含むことができる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
細菌、真菌、酵母、ウイルス、又はその他の微生物(場合により病原菌と呼ばれる)で表面が汚染されると、病気(病的状態)、及び場合によっては死(死亡)がもたらされることがある。これは、食品加工工場及び医療施設(例えば、病院)において表面が微生物で汚染された場合に、特に該当する。
【0002】
食品加工工場においては、表面(例えば固体表面、装置表面、保護布など)が汚染することがある。そのような汚染は、肉又は他の食品によってもたらされることがあり、また、汚染が肉又は他の食品に付着することがある。特定の環境におけるそのような微生物汚染及び/又は付着は、重大な健康リスクを提起することがある。例えば、汚染された食品加工工場から出荷された食品は、後で誰かが食べることになる。更に、一般住民によって栽培、購入、消費される食品は、それらが位置する場所で、環境に相関して増殖又は成長することができる微生物を含むか、あるいはそれらに感染する場合がある。この成長は、食品の腐敗又は病原体の増殖を加速する原因となる場合があり、それらは毒素を生成し、及び/又は感染をもたらすことがある。
【0003】
医療機関において、微生物は、感染した人又は別の経路から表面(例えば固体表面、装置表面、保護布など)の上に放出され得る。表面がいったん微生物で汚染されると、その汚染された表面に接触することで、微生物が容易かつ直ちに別の場所(例えば別の表面、人間、装置、食物など)に移動し得る。加えて、医療機関の患者の一部は、病原性病原菌に感染しており、その病原性病原菌をその医療機関内に持ち込むことになる。そのような医療機関にいる多くの人(例えば患者)は病気であり、免疫学的に弱っていることがあるため、そのような微生物汚染及び/又は移動が起こると特に問題となり得る。よってそのような人は、汚染病原体の感染により病気になるリスクが高くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のためのシステムを提供する。このシステムは、リザーバを含む変形可能な自己支持型容器と、その変形可能な自己支持型容器のリザーバ内に配置される試料装荷基材と、を含むことができる。この試料装荷基材は、基材と、表面から採取された試料源と、を含むことができる。このシステムは更に、試料装荷基材と流体連通した変形可能な自己支持型容器のリザーバ内に配置された希釈剤と、そのリザーバ内に配置された液体組成物とを含むことができる。液体組成物は、試料源と、希釈剤と、を含むことができる。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のためのシステムを提供する。このシステムは、第1リザーバを含む自立型容器と、この自立型容器の第1リザーバ内に収められる寸法になっており、第2リザーバを含む変形可能な自己支持型容器と、自立型容器及び変形可能な自己支持型容器のうち少なくとも1つに連結している蓋と、を含むことができる。この自立型容器は、変形可能な自己支持型容器よりも堅くなることができる。このシステムは更に、変形可能な自己支持型容器の第2リザーバ内に配置された試料装荷基材と、その試料装荷基材と流体連通した変形可能な自己支持型容器の第2リザーバ内に配置された希釈剤と、第2リザーバ内に配置された液体組成物と、を含むことができる。この試料装荷基材は、基材と、表面から採取された試料源と、を含むことができる。液体組成物は、試料源と、希釈剤と、を含むことができる。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のための方法を提供する。この方法は、試料装荷基材を提供することを含むことができる。この試料装荷基材は、基材と、表面から採取された試料源と、を含むことができる。この方法は更に、リザーバを含む、変形可能な自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程と、リザーバ内で試料装荷基材及び希釈剤を合わせる工程と、試料装荷基材及び希釈剤を攪拌することによって、試料源及び希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、を含むことができる。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のための方法を提供する。この方法は、試料装荷基材を提供する工程と、自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程と、を含むことができる。試料装荷基材は、基材と、表面から採取した試料源とを含むことができ、自己支持型容器は、リザーバと、内側表面と、を含むことができる。この方法は更に、自己支持型容器のリザーバ内に希釈剤を配置する工程と、試料装荷基材が自己支持型容器の内側表面から距離を置いて配置され、試料装荷基材が希釈剤と流体連通するよう、自己支持型容器のリザーバ内に試料装荷基材を配置する工程と、試料装荷基材と希釈剤とを攪拌することによって、試料源及び希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、を含むことができる。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のための方法を提供する。この方法は、試料装荷基材を提供する工程と、試料調製システムを提供する工程と、を含むことができる。この試料装荷基材は、基材と、表面から採取された試料源と、を含むことができる。この試料調製システムは、自立型容器内に収められる寸法になっている変形可能な自己支持型容器を含むことができる。自立型容器は自己支持型容器よりも堅くてよく、変形可能な自己支持型容器はリザーバを含むことができる。この方法は更に、試料装荷基材及び希釈剤を合わせる工程と、試料装荷基材及び希釈剤を攪拌することによって、試料源及び希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、試料調製システムから試料を取り出す工程と、を含むことができる。
【0009】
本発明のその他の特徴及び態様は、「発明を実施するための形態」及び添付図面を熟考することによって、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の一実施形態による試料調製方法を描写する、概略フローチャート。
【図2】本開示の一実施形態による、蓋を含む試料調製システムの分解斜視図。
【図3】図2の線3−3に沿った図2の蓋の拡大断面図。
【図4】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【図5】本開示の別の実施形態による試料調製システムの蓋の底面図。
【図6】図5の線6−6に沿った図5の蓋の断面図。
【図7】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【図8】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【図9】本開示の別の実施形態による試料調製システムの分解組立側面図。この試料調製システムは、フィルタと、蓋及びカバーを含む蓋アセンブリと、を含む。
【図10】フィルタを圧縮した状態の、図9の蓋アセンブリ及びフィルタの斜視図。
【図11】フィルタを開いた状態の、図9及び10の蓋アセンブリ及びフィルタの斜視図。
【図12】図9〜11のカバーの上面斜視図。
【図13】本開示の別の実施形態による試料調製システムの蓋アセンブリの側面図。
【図14】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【図15】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、以下の記述で説明される、又は添付の図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置の用途に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつさまざまな方法で実践又は実行することができる。又、本明細書で使用される専門語及び専門用語は、説明目的のためであり、制限と見なされるべきではないことが理解されるべきである。本明細書で使用される「含める」、「含む」、「含有する」、又は「有する」、及びそれらの変化形は、その後に記載されるもの、その同等物、並びに追加物を包含することを意味する。別の方法で指定又は制限されない限り、用語「支持される」、及び「連結される」、並びにその変化形は、幅広く使用され、直接的及び間接的支持並びに連結の両方を包含する。その他の実施形態を利用することができ、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的又は論理的な変更を行うことができることが理解されるべきである。更に、「前側」、「背側」、「上部」、「底」及びこれらの同等物のような用語は、要素の互いの関係を記載するためにのみ使用され、装置の特定の配向を述べる、若しくは装置に必要である又は要求される配向を指示すること又は暗示すること、あるいは本明細書に記載される本発明が、使用中にどのように使用される、搭載される、表示される、又は設置されるかを特定すること、を決して意味しない。
【0012】
本開示は全般に、対象の検体について、環境表面を試験するための試料調製のためのシステム及び方法を目的とする。この試料は更に、さまざまな検体の存在の有無を調べるため、濃縮、強化、及び/又は分析を行うことができる。
【0013】
用語「表面」又は「環境表面」は全般に、試料源が採取され得る任意の表面を指す。試験する表面はさまざまな場所に存在する可能性があり、これには医療施設(例えば、病院、医院など)、デイケア施設、学校、水泳プール、洗面所(例えば、便器、流し、シャワー区画など)、ロッカールーム、フィットネス施設(例えば、団体フィットネススタジオ、ジムなど)、長期ケア施設(例えば、老人ホームなど)、食品加工工場、住宅、オフィス、食品サービス施設、ホテル、交通機関(例えば、自動車、バス、電車、飛行機、船、クルーズ船など)などが挙げられるが、これらに限定されない。表面の例には、壁(ドアを含む)、床、天井、排水管、冷房装置、ダクト(例えば、エアダクト)、排気口、便座、取っ手、ドアノブ、手すり、ベッドレール(例えば、病院の)、カウンタートップ、テーブル面、食事表面(例えば、トレー、皿など)、作業面、装置表面、衣服など、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。1つ以上の表面を、1つ以上の基材でサンプリングすることができ、その1つ以上の基材を試験のために組み合わせることができる。
【0014】
用語「基材」は一般に、対象の表面から試料を採取するために使用される材料を指す。採取の手段には、電荷相互作用、生化学的反応(例えば、抗原抗体複合体形成)、吸収、吸着、接着、凝集など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。基材は一般に、大きな表面積のサンプリング(試料源の採取)を行うために採用される。例えば、この基材は、いくつかの実施形態では少なくとも10cm2、いくつかの実施形態では少なくとも100cm2、いくつかの実施形態では少なくとも1m2、及びいくつかの実施形態では少なくとも100m2の面積をサンプリングするために採用される。基材はさまざまな形態であってよく、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒(例えば、巻き付けた繊維製品)、フィルム、ブラシ(例えば、堅い又は変形可能な剛毛)、及びこれらの同等物、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。この基材はさまざまな寸法であり得る。例えば、この基材は、いくつかの実施形態では少なくとも10cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも20cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも50cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも100cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも150cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも200cm2であり、及びいくつかの実施形態では少なくとも500cm2である。
【0015】
好適な基材には、織布材料、不織布材料、多孔質材料、膜状材料、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、好適な基材はさまざまな材料から形成することができ、ポリマー、紙、セラミックス、金属、布、接着剤、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な基材の具体的な例としては、フォーム、ポリマーフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルなど)、可溶性フィルム又はウェブ(例えば、ポリビニルアルコール)、セルロース系材料(例えば、セルロースエステル(例えば、酢酸セルロース)及びニトロセルロースなどの変性セルロース)、1つ以上の上記材料(すなわち、ポリマー、紙、セラミックス、金属、布、フォーム、ポリマーフィルム、及びこれらの組み合わせ)の織布ウェブ、1つ以上の上記材料の不織布ウェブ((3M(商標)THINS(登録商標)ULATE(商標)断熱材(3M Company,St.Paul,MN)、3M(商標)EASY TRAP(商標)ダスターシステムクロス(3M Company,St.Paul,MN)など)、金属コーティングされた(例えば、蒸気コーティングされた)ウェブ(このウェブは1つ以上の上記材料を含む)、静電帯電したウェブ(このウェブは1つ以上の上記材料を含む)、1つ以上の上記材料の繊維ウェブ(例えば、溶融吹付け(blown)マイクロファイバー、ステープルファイバー、及びこれらの組み合わせなど)、又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、この基材は更に、親水性又は疎水性の性質をもたらすコーティング又は組成物を含むことができる。さまざまな程度の親水性/疎水性を達成することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、コーティング又は組成物によって基材の水不透過性がもたらされる。
【0016】
いくつかの実施形態では、基材の少なくとも1つの主表面が非平坦である。用語「非平坦」は一般に、表面が比較的粗いトポロジーであることを指す。例えば、基材の主表面の非平坦さは、比較的滑らかであり得る。あるいは、基材の主表面の非平坦さは、比較的粗い、又は「非平坦な」状態であり得る。いくつかの実施形態では、基材は、1つ以上の隆起構造を有する主表面を含むことができ、突起、スパイク、隆起、及びこれらの同等物、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、基材は、1つ以上の凹んだ構造を有する主表面を含むことができ、穴、くぼみ、谷、チャネル、マイクロチャネル、及びこれらの同等物、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、基材の少なくとも1つの主表面は、隆起構造と凹んだ構造との組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、隆起構造、凹んだ構造、又はこれらの組み合わせを含む基材は、試料材料を捕捉することができ、及び/又は対象の表面から材料をすり剥がして採取することができるような構造を提供することによって、環境表面から材料を採取するのに利点をもたらし得る。そのような隆起構造又は凹んだ構造は、基材に一体化して形成されてもよく、又はそのような構造を基材に結合させてもよい。そのような隆起構造又は凹んだ構造は、例えばマイクロ複製によって形成されてもよい。
【0017】
用語「試料源」は一般に、検体の試験を行う対象の表面から採取された物質を指す。いくつかの実施形態では、この試料源は、きれいであるように見える表面から採取されるため、この試料源の内容は、人間の裸眼では見えないことがある。そのような実施形態では、この試料源は小さな又は微細な材料(毛髪、皮膚細胞など)、対象の検体となる可能性のあるもの(例えば、微生物)、ダストなどのみを含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、試料源は、汚れているように見える表面から採取される。そのような実施形態では、試料源には食品又は非食品材料が含まれ得る。試料源は、固体、液体、半固体、ゼラチン状物質、及びこれらの組み合わせであってもよい。試料源物質は、対象の表面の全部又は一部分から採取され得る。試料源が、対象の表面の一部分から採取される場合は、これは、表面の「サンプリング」又は「表面から試料をとる」と一般に呼ばれる。しかしながら、本明細書において用語「試料」は一般に、更に濃縮、インキュベーション、及び/又は分析(例えば、検体の検出)を行うことを目的とした、試料調製システムから抜き取られた物質の体積又は質量を指す。
【0018】
用語「試料装荷基材」は一般に、対象の表面からの試料源物質を収集した基材を指すのに使用され、よって試料装荷基材は、基材と試料源を含む。使用される基材のタイプ、及び採取される試料のタイプによって、この試料源は、試料装荷基材の外部(例えば、外側表面)に存在することが可能であり、及び/又は、この試料源は、試料装荷基材の内部(例えばチャネル又は穴で、これらは浅くてもよく、又は曲がっていてもよい)に存在することが可能である。
【0019】
用語「食品」は一般に、固体、液体(例えば、溶液、分散液、乳濁液、懸濁液など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)、及び/又は半固体の食べられる組成物を指すのに用いられる。食品の例には、肉、鶏肉、卵、魚、魚介類、野菜、果物、加工食品(例えば、スープ、ソース、ペースト)、グレイン製品(例えば、小麦粉、穀物、パン)、缶詰、牛乳、その他の乳製品(例えば、チーズ、ヨーグルト、サワークリーム)、油脂、油、デザート、香辛料、薬味、パスタ、飲料、水、動物の餌、他の好適な食材、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
用語「非食品」は一般に、「食品」の定義には入らず、一般に食べられるものとしては見なされない、対象の試料源を指すのに用いられる。非食品試料源の例には、医学的試料、細胞可溶化物、全血又はその一部(例えば、血清)、その他の体液又は分泌物(例えば、唾液、汗、皮脂、尿)、便、細胞、組織、臓器、バイオプシー、植物材料、木材、土壌、沈降物、医薬品、化粧品、栄養補助食品(例えば、朝鮮人参カプセル)、製剤、感染媒介物、他の好適な食べられない材料、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0021】
用語「感染媒介物」は一般に、感染性の微生物を保持し得る、及び/又はそれらを運搬し得るような、無生命の物品又は基材を指すのに用いられる。感染媒介物には、食事用具、硬貨、紙幣、携帯電話、衣服(靴を含む)、ドアノブ、生理用品、おむつなど、これらの一部分、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0022】
用語「検体」は、一般に、検出される物質(例えば、検査室試験又は現場試験によって)を指すために使用される。試料源は、特定の検体の存在の有無、又は特定の検体の量について、試験することができる。このような検体は、試料源内(例えば、内部)、又は試料源の外部(例えば、外側表面上)に存在することができる。検体の例には、微生物、寄生生物(この一部は微生物でもある)、生体分子、化学物質(例えば、殺菌剤、抗生物質)、金属イオン(例えば、水銀イオン、重金属イオン)、金属イオン含有錯体(例えば、金属イオン及び有機配位子を含む錯体)、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0023】
検体を同定及び/又は定量するために、微生物学的アッセイ、生化学的アッセイ(例えば、イムノアッセイ)、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、さまざまな試験方法を使用することができる。使用できる試験方法の具体的な例には、ラテラルフローアッセイ、滴定、熱分析、顕微鏡検査(例えば、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、免疫蛍光顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM))、分光法(例えば、マススペクトル、核磁気共鳴(NMR)分光法、ラマン分光法、赤外線(IR)分光法、X線分光法、全反射減衰分光法、フーリエ変換分光法、ガンマ線分光法など)、分光測光法(例えば、吸光度、蛍光、発光など)、クロマトグラフィー(例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなど)、電気化学分析、遺伝子学的技法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写媒介性増幅(TMA)、ハイブリダイゼーション保護アッセイ(hybridizationprotectionassay)(HPA)、DNA又はRNA分子認識アッセイなど)、アデノシン三リン酸(ATP)検出アッセイ、免疫アッセイ(例えば、酵素免疫吸着アッセイ(ELISA))、細胞毒性アッセイ、ウイルスプラークアッセイ、細胞病理学的影響を評価する技法、増殖培地(例えば、寒天)及び/又は3M(商標)Petrifilm(商標)Plates(及び、例えば、3M(商標)Petrifilm(商標)Plate Reader(3M Company,St.Paul,MN)で画像化、定量及び/若しくは解釈)を用いて行うことができるものなどの培養技法、その他の好適な検体試験方法、又は、これらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0024】
用語「微生物」は一般に、原核又は真核微生物を指すのに用いられ、細菌(例えば、運動性又は植物性、グラム陽性又はグラム陰性)、ウイルス(例えば、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、DNAウイルス、RNAウイルス、エンベロープウイルス、非エンベロープウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)など)、細菌胞子及び内生胞子、藻類、真菌(酵母、糸状菌、真菌胞子など)、プリオン、マイコプラズマ、及び原生動物のうち1つ以上が挙げられるが、限定されない。場合によっては、特に対象の微生物は病原性のものであり、用語「病原体」は、本明細書において任意の病原微生物を指すために使用される。病原体の例には、腸内細菌科に属する菌、又はミクロコッカス科に属する菌、又はブドウ球菌属、連鎖球菌属、シュードモナス属、腸球菌属、サルモネラ属、レジオネラ属、赤痢菌属、エルシニア属、エンテロバクター属、エシェリキア属、バチルス属、リステリア属、カンピロバクター属、アシネトバクター属、ビブリオ属、クロストリジウム属、及びコリネバクテリウム属に属する菌を挙げることができるが、これらに限定されない。病原体の具体的な例には、大腸菌(例えば、血清型O157:H7といった腸管出血性大腸菌が挙げられる)、緑膿菌、セレウス菌、炭疽菌、腸炎菌、ネズミチフス菌、リステリア・モノサイトゲネス、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、カンピロバクター・ジェジュニ、腸炎エルシニア、ビブリオ・バルニフィカス、クロストリジウム・ディフィシル、バンコマイシン耐性腸球菌、及びエンテロバクター・サカザキを挙げることができるが、これらに限定されない。微生物の増殖に影響を与え得る環境要因には、栄養物の存在の有無、pH、含水量、酸化還元電位、抗菌性化合物、温度、大気ガス組成物及び生物学的構造又はバリヤーが挙げられる。
【0025】
用語「寄生生物」は一般に、第二生物(すなわち、宿主)の内部(すなわち、内部寄生生物)又は表面(すなわち、外部寄生生物)において生息し、典型的にはその第二生物に害をもたらす生物を指すのに用いられる。寄生生物には、微生物、及び蠕虫(回虫、線虫、鉤虫、巨視的多細胞蠕虫、蟯虫、鞭虫など)を挙げることができるが、これらに限定されない。寄生生物の具体的な例には、クリプトスポリジウム、ジアルディア、ブラストシスチス・ホミニス、小形アメーバ(Endolimax nana)、クリプトスポリジウム・パルバム、赤痢アメーバ、大腸アメーバ、ハルトマンアメーバ(Entamoeba hartmanni)、ランブル鞭毛虫、メニール鞭毛虫、サイクロスポラ胞子虫、蠕虫(巨視的多細胞蠕虫)、回虫(ヒト回虫)、糞線虫(線虫)、ズビニ鉤虫(鉤虫)、アメリカ鉤虫(鉤虫)、Enterobius vermicularis(蟯虫)、及びTrichuris trichiura(鞭虫)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「生体分子」は、一般に、生物によって生じる、又は形成される、分子、若しくはその誘導体を指すために使用される。例えば、生体分子は、アミノ酸、核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、糖、多糖、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されない。生体分子の具体的な例には、代謝産物(例えば、ブドウ球菌外毒素)、アレルゲン(例えば、ピーナツアレルゲン、卵アレルゲン、花粉、チリダニ、カビ、フケ、又はこれらに由来するタンパク質など)、ホルモン、毒素(例えば、バチルス菌下痢性毒素、アフラトキシン、クロストリジウム・ディフィシル毒素など)、RNA(例えば、mRNA、全RNA、tRNAなど)、DNA(例えば、プラスミドDNA、植物DNAなど)、標識タンパク質、抗体、抗原、ATP、及びこれらの組み合わせが挙げることができるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「可溶物」及び「不溶物」は、一般に、任意の媒体において、特定の条件下で比較的可溶性又は不溶性の物質を指すために使用される。具体的には、所定の条件下において、「可溶物」は溶液の中に入り、系の溶媒(例えば希釈剤)に溶解可能なものである。「不溶物」は、所定の条件下において、溶液の中に入らず、系の溶媒中に溶けないものである。試料源は、可溶物と不溶物(例えば、細胞破片)を含み得る。不溶物は、微粒子又は残屑と称される場合があり、試料源物質自体の一部分(すなわち、試料源の内側部分又は外側部分(例えば、外側表面)から)、若しくは攪拌プロセスから生じるその他の試料源残基又は残屑を含むことができる。対象の検体は、可溶物中又は不溶物中に存在し得る。
【0028】
用語「攪拌」及びその派生語は一般に、液体組成物に対して例えばその内容を混合する若しくは混ぜるための、又は、液体と混ぜ合わせることによって固体試料源を液化するための、動きを与えるプロセスを指すのに用いられる。手動振盪、機械的振盪(例えば、直線的浸透)、音波処理(例えば、超音波振動)、ボルテックス攪拌、手動攪拌、機械的攪拌(例えば、機械プロペラ、電磁攪拌棒、又はボールベアリングなどの他の攪拌補助手段による)、手動叩解、機械的叩解、混合、混練、混転、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、さまざまな攪拌方法を使用することができる。
【0029】
用語「濾過」は一般に、寸法、電荷、及び/又は機能によって物質を分離するプロセスを指すのに用いられる。例えば、濾過には、可溶物及び溶媒(例えば希釈剤)を不溶物から分離すること、又は可溶物、溶媒及び比較的小さな不溶物を、比較的大きな不溶物から分離することを挙げることができる。さまざまな濾過方法が使用でき、液体組成物をフィルタに通すこと、沈殿させてから吸引又は液体を傾瀉法で移すこと、他の好適な濾過方法、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。「沈殿」は、液体組成物中の不溶物を沈殿させることを指すのに用いられる。沈殿は、重力又は遠心分離によって生じてもよい。不溶物(又は比較的大きな不溶物)は次に、可溶物及び溶媒を不溶物から吸引することにより、又は可溶物及び溶媒を傾瀉法で移すことにより、又はこれらの組み合わせにより、可溶物(又は可溶物及び比較的小さな不溶物)から分離することができる。
【0030】
「フィルタ」は一般に、液体組成物中の可溶物(又は可溶物及び比較的小さな不溶物)及び溶媒を、不溶物(又は比較的大きな不溶物)から分離するために使用される装置を指すのに用いられる。フィルタの例には、織布又は不織布メッシュ(例えば、ワイヤーメッシュ、クロスメッシュ、プラスチックメッシュなど)、織布又は不織布高分子ウェブ(例えば、均一又は不均一プロセスにおいて配置された高分子繊維を含み、これをカレンダーにかけることができる)、表面フィルタ、デプスフィルタ、膜(セラミック膜(例えば、ANOPOREの商品名でWhatman Inc.(Florham Park,NJ)から入手可能なセラミック酸化アルミニウム膜フィルタ)、ポリカーボネート膜(例えば、NUCLEOPOREの商品名でWhatman Inc.から入手可能なトラックエッチングされたポリカーボネート膜フィルタ)、ポリエステル膜(例えば、トラックエッチングされたポリエステルを含む))、ふるい、グラスウール、フリット、濾紙、フォームなど、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0031】
用語「濾液」は一般に、不溶物(又は少なくとも比較的大きな不溶物)が液体組成物から取り出された後に残る液体を示すのに用いられる。濾過には幅広い方法が挙げられるため、用語「濾液」は、不溶物(又は少なくとも比較的大きな不溶物)を混合物中で沈殿させることから生じる上澄みを示すのに使用することもできる。
【0032】
用語「取り出す」及びその派生語は一般に、試料調製システムから試料を取り出すことを指すが、取り出したときにその試料又は試料調製システムが周辺環境にさらされることを必ずしも意味するものではない。すなわち、試料を試料調製システムから取り出し、濃縮、インキュベーション、分析などのために別の装置に直接移動させることができる。いくつかの実施例において、「周辺環境にさらすことなく」という句及びその派生表現は、(例えば、こぼれや汚染を防ぐために)所望されるまで試料調製システムから試料を取り出さないことを指し、しかしながら、その試料調製システムが気体交換に対して閉じていることを必ずしも意味するものではなく、また、所望される場合には、試料調製及びシステム内に他の液体が入ることができないことを必ずしも意味するものではない。
【0033】
図1は、本開示の一実施形態による試料調製方法10を示す。試料調製方法10は、分析が可能な対象表面から得た試料の調製に用いることができる。図1に示されるように、試料調製方法10は、基材11を取得することによって開始することができる。基材11は次に、対象の環境表面から試料源12を採取し、試料源12を含む試料装荷基材15を形成することができる。希釈剤13は、試料装荷基材15のすべて又は一部分と組み合わせ、攪拌して、希釈剤13中に溶解した、分散した、懸濁した、及び/又は乳化した試料源12を含む液体組成物14を形成することができる。このように、一般に、液体組成物14は混合物であり、溶液、乳濁液、分散液、懸濁液、又はこれらの組み合わせであってもよい。基材11/試料装荷基材15は、液体組成物14の存在下で残しておくことができ、あるいは、試料源12のかなりの量をその試料装荷基材15から放出させた後に、基材11/試料装荷基材15を取り出すことができる。
【0034】
基材11は、さまざまな方法で対象表面から試料源12を採取又は収集することができ、これには対象表面に直接接触することと、直接には接触しないこととが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、基材11は対象表面に接触して、試料源12を収集することができる。いくつかの実施形態では、基材11は表面に接触し、表面に沿って移動して、試料源12を収集することができる。いくつかの実施形態では、基材11は表面に接触することなく、対象表面の近くに保持された状態で、試料源12を収集することができる(例えば静電帯電により)。いくつかの実施形態では、基材11は、表面の近くに配置され、表面に沿って動かすことにより、試料源12を収集することができる(例えば静電帯電により)。上記の採取方法はすべて、本明細書において、一般に、表面からの試料源の「採取」を示すものとする。
【0035】
試料源12は、希釈剤13と組み合わせられる際、試料源12の一部分が希釈剤13に溶解する一方、試料源12の別の部分が希釈剤13に懸濁する、分散する、又は乳化するように、可溶物及び不溶物15を含み得る。液体組成物14は次に濾過され、対象の検体(存在する場合)を含む濾液16を形成する。この対象の検体は、液体組成物14の可溶物又は不溶物内に存在し得る。対象の検体が不溶物内に存在する場合で、くず又は不必要な物質から対象の検体を取り出すためにフィルタが採用されている場合、このフィルタは典型的に、対象の検体(及び、おそらくは他の同程度の大きさの不溶物)が濾液16としてフィルタを通過し、同時に比較的大きな不溶物17がフィルタ通過を制限されるように適応される。よって、濾液16がある程度の不溶物を含むことが理解されるべきであり、不溶物17は、単純化のため、及び例としての目的に限定して、液体組成物14から取り出されるものとして図1に示されている。次に試料18は、濾液16の少なくとも一部分から形成することができ、この試料18は濃縮、インキュベーション、分析などのために取り出すことができる。さまざまな試料調製システムから得た試料18は、強化、濃縮、分析などのうち1つ以上のもののために、合わせて保存しておくことができる。
【0036】
本開示全体を通じて、液体組成物14、濾液16、及びこれらの任意の試料18のうち1つ以上が、対象の検体を含むものとして記述され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、液体組成物14は対象の検体を含んでおらず、試料を分析したときに陰性試験結果がもたらされることがある。例えば、試料が調製され、細菌について検査され、その試料を元々採取した表面が細菌を含んでいなかった場合、上記プロセスで形成される液体組成物14、並びにその任意の濾液16及び試料18も、対象の細菌を含まないことになる。よって、液体組成物14、濾液16、及びそれらから得られた任意の試料18のうち1つ以上が対象の検体を含むものとして記述されている場合であっても、それは、対象の検体が存在する場合に限られることが理解されるべきである。
【0037】
図1及び上述の試料調製方法10は、例としての目的に限定して図示及び説明されているものである。しかしながら、本開示の試料調製方法は、図1に示され上述されているすべての工程を必ずしも含む必要はないことが、当業者には理解されよう。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、試料調製方法10は、濾過工程を含まないが、代わりに液体組成物14の試料は、濃縮、インキュベーション、及び/又は分析などを行われる。
【0038】
希釈剤13は、一般に液体であり、いくつかの実施形態では、滅菌液である。いくつかの実施形態では、この希釈剤13は、さまざまな添加剤を含んでいてよく、これには界面活性剤、又は、後続の検体試験のために試料源を分散、溶解、懸濁又は乳化させる助けになる他の好適な添加剤;レオロジー剤;抗菌性中和剤(例えば、保存料又は他の抗菌剤を中和するもの);栄養物(例えば所望の微生物の選択的増殖を促進するもの)及び/又は増殖阻害剤(例えば、所望されない微生物の増殖を阻害するもの)を含む強化剤又は培地;pH緩衝剤;酵素;指示薬分子(例えばpH又は酸化/還元指示薬);胞子発芽剤;消毒剤の中和薬(例えば、塩素に対するチオ硫酸ナトリウムの中和);細菌の回復を促進するための薬剤(例えばピルビン酸ナトリウム);又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、希釈剤13は、滅菌水(例えば、滅菌2重蒸留水(ddH2O))、試料源を選択的に溶解する、分散する、懸濁する、又は乳化する1つ以上の有機溶媒、水溶性有機溶媒、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、希釈剤13は、滅菌緩衝溶液(例えば、バターフィールド緩衝液(Edge Biological,Memphis,TNから入手可能))である。いくつかの実施形態では、希釈剤13は、希釈剤13が所望の検体(例えば、細菌)を選択的又は半選択的に成長するために使用できるような、選択的又は半選択的栄養製剤である。そのような実施形態では、希釈剤13は一定期間(例えば、特定の温度で)試料源12と共にインキュベーションし、望ましい検体のそのような成長を促進させることができる。
【0039】
成長培地の例には、トリプティックソイブロス(TSB)、干渉ペプトン水(BPW)、一般用予備強化ブロス(UPB)、リステリア強化ブロス(LEB)、乳糖ブロス、ボルトンブロス、又は他の、当該技術分野において既知の一般的、非選択的、又は穏やかに選択的な培地が挙げられるが、これらに限定されない。成長培地には、1つを超える所望の微生物の成長を支持する栄養素が含まれ得る。
【0040】
成長阻害剤の例には、胆汁塩、デオキシコール酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化リチウム、亜テルル酸カリウム、四チオン酸ナトリウム、スルファセタミドナトリウム、マンデル酸、亜セレン酸システイン四チオン酸、スルファメタジン、ブリリアント・グリーン、シュウ酸マラカイト・グリーン、クリスタルバイオレット、タージトール4、スルファジアジン、アミカシン、アズトレオナム、ナリジクス酸、アクリフラビン、ポリミキシンB、ノボビオシン、アラフォスファリン、有機酸及び鉱酸、バクテリオファージ、ジクロランローズベンガル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、特定の濃度の塩化ナトリウム、ショ糖、及び他の溶質、並びにこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0041】
いくつかの実施形態では、試料源12は希釈剤13を含み、これにより液体組成物14は試料源12及び希釈剤13を含むが、希釈剤13は別途追加されたものではない。例えば、かなりの量の水又は他の液体を含む食品試料源は、別途に希釈剤13を加える必要なしに、試料源12及び希釈剤13を含む液体組成物14を形成するよう混合することができる。いくつかの実施形態では、試料源12は希釈剤13に実質的に溶解してもよく、その結果液体組成物14が最小限の量の不溶物15を含み、濾過工程が不要となる。
【0042】
いくつかの実施形態では、試料装荷基材15は、希釈剤13を含む。例えば、いくつかの実施形態では、基材11が(すなわち、試料源12を採取する前に)希釈剤13を含んでいるため(例えば、基材11が濡れた状態でパッケージされているか、又は試料源12を採取する前に希釈剤13で予め濡れていた)、試料装荷基材15は希釈剤13を含むことができる。このような実施形態では、例えば、基材11は、湿潤剤又は界面活性剤(例えば、対象表面から試料源12を取り出しやすくするため、又は、基材11による試料源12の捕捉を促進するため)、消毒剤の中和薬(例えば、塩素に対するチオ硫酸ナトリウムの中和)、又は、細菌の回復を促進することを意図された薬剤(例えば、ピルビン酸ナトリウム)が含むことができる。いくつかの実施形態では、試料装荷基材15は、試料装荷基材15に加えられる希釈剤13の結果として、希釈剤13を含むことができる(すなわち、試料源12を採取した後、例えば、試料装荷基材15を希釈剤13ですすぐなど)。いくつかの実施形態では、試料装荷基材15は、試料源12及び希釈剤13が両方とも試験する表面上に存在し、両方とも基材11によって採取された場合の結果として、希釈剤13を含むことができる。いくつかの実施形態では、基材11によって採取された試料源12が希釈剤13を含むため、試料装荷基材15は、希釈剤13を含むことができる。いくつかの実施形態では、この試料装荷基材15は、上記シナリオの1つ以上の組み合わせの結果、希釈剤13を含む。
【0043】
図2は、本開示の一実施形態による試料調製システム100を示す。図2に示されるように、試料調製システム100は、容器102、ライナー104、蓋106、カラー108、及びカバー109を含む。いくつかの実施形態では、蒸気、ガンマ線放射、エチレンオキシド、過酸化水素、過酢酸、ヒドロアルコール性溶液、漂白剤、及びこれらの組み合わせなどの滅菌及び消毒手順によって、試料調製システム100の構成要素の1つ以上を滅菌済み又は減菌可能にすることができる。この試料調製システム100に類似の機能を有するシステムは、PCT国際特許公開第98/32539号、米国特許第6,536,687号及び同第6,588,681号、PCT国際特許公開第2004/060574号、同第2004/060575号、米国特許公開第2004/0164182号、PCT国際特許公開第2004/094072号、同第2007/079143号、同第2007/079188号に記述されており、これらはそれぞれ、参考として全体が本明細書に組み込まれる。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態は、複数の試料調製システム100を採用し、これにより複数の試料調製システム100が平行して(又は試料を蓄積して)試料調製を迅速に行い、生産性/生産高を高めることができる。このような実施形態では、複数の試料調製システム100は、少なくとも部分的に統合して形成されてもよく、又は個別に形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、複数のライナー104を、1つの相対的に大きな容器102(例えば、ライナー104のための複数のリザーバ)内で使用することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、容器102は、自立型及び/又は自己支持型であり、底部127及び側壁129を含む。用語「自立型」は一般に、倒壊又は変形なしに、かつ、他のものによる支えなしに、それ自身で立つことができる物体を指すのに用いられる。用語「自己支持型」は一般に、それ自身の重さで、倒壊又は変形を起こさない物体を指すのに用いられる。例えば、袋は一般にその形状を維持せず、それ自身の重さで倒壊又は変形を起こすため、「自己支持型」ではない。自己支持型の物体は、必ずしも自立型ではない。
【0046】
容器102は、高分子材料、金属(例えば、アルミニウム、ステンレススチールなど)、セラミックス、ガラス、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、さまざまな物質から形成することができる。高分子材料の例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの組み合わせなど)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、自立型及び/又は自己支持型容器を形成することができるその他の好適な高分子材料、又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。容器102は、分析する試料源/試料装荷基材の種類、量、及びサイズにより、半透明(又は更には透明)、又は不透明であってよく、任意の好適なサイズであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、容器102の容量は、50mL、100mL、250mL、又はより大きくてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、試料調製システム100は、容器102の中に収容できる形状及び寸法であるライナー104を含む。ライナー104は、使い捨て(例えば、1回限り使用するように作製された)であってもよく、実質的な汚染のリスクがなく、かつ使用の間で大規模な洗浄を必要とすることなく、容器102を再使用するのを可能にする。後述及び図9で詳しく説明されるように、いくつかの実施形態では、試料調製システムは容器なしでライナーを含む。ライナーが容器なしで使用される場合、それ自体「ライナー」としては機能せず、一般に容器(receptacle or container)を意味し得る。
【0048】
図2に示されるように、容器102は、第1リザーバ120を画定し、ライナー104は、第2リザーバ122を画定する。ライナー104は、容器102の第1リザーバ120の中に収容できるような形状及び寸法である。いくつかの実施形態では、希釈剤113及び、基材111と試料源112とを含む試料装荷基材115を、第1リザーバ120に加えることができる。いくつかの実施形態では、図2に示されるように、ライナー104が採用され、試料装荷基材115及び希釈剤113が第2リザーバ122内に配置され、ライナー104が第1リザーバ120内に配置される。加えられるのが第1リザーバ120であれ第2リザーバ122であれ、試料装荷基材115及び希釈剤113を合わせて(及び攪拌して)、試料源112及び希釈剤113を含む液体組成物114を形成することができる。いくつかの実施形態では、ライナー104は自立型であり、ライナー104又は容器102は自立型容器として機能し、液体組成物114及び試料装荷基材115を収容することができる。
【0049】
図2に示す実施形態では、試料装荷基材115は基材111を含み、この基材111は拭取り布の形態である。拭取り布は平坦又は非平坦であってよく、前述の材料の任意のもので形成することができる。拭取り布は、例としての目的に限定して図2に示されているが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、基材111は前述の任意のもので形成することができ、前述の任意の形態であり得ることが理解されるべきである。
【0050】
図2に示されている時点において、基材111は既に対象表面から試料源112を採取するのに用いられて試料装荷基材115を形成しており、この試料装荷基材115がライナー104の第2リザーバ122内に配置されている。試料装荷基材115が希釈剤113と混合されると、試料源112が希釈剤と合わさってその試料装荷基材115から取り出され、これにより試料装荷基材115が「装荷されてない」状態がもたらされ得る。この試料装荷基材115が試料源112で依然として「装荷されている」か、それとも部分的又は完全に「装荷されていない」状態になっているかどうかは、液体組成物114との平衡、採取された試料源112の種類、どの時点であるかなど、さまざまな要因に依存する。よって単純化のため、基材は、既に採取された試料源112を有していて、試料調製システム100内に配置されているときに、試料装荷基材115として記述されることとする。しかしながら、試料装荷基材115が希釈剤113の存在下にあり、液体組成物114が形成されているとき、この試料装荷基材115は「装荷されていない」状態になり得ることが理解されるべきである。
【0051】
容器102又はライナー104にまず試料装荷基材115を加え、次に希釈剤113を加えることができ、あるいはまず希釈剤113を加え、次に試料装荷基材115を加えることができ、あるいは試料装荷基材115と希釈剤113とを同時に加えることができる(又は、試料装荷基材115及び/又は試料源112は希釈剤113を含むことができる)。別の方法としては、試料装荷基材115及び希釈剤113を予め合わせてから、試料調製システム100に加えることができる。いくつかの実施形態では、希釈剤113は、試料源112を採取するために、基材111を使用する前に表面に適用することができ(例えばスプレーする、注ぐなどにより)、これにより基材111が試料源112を採取する際に、希釈剤113をも採取することになり、試料源112と希釈剤113とを含むこの試料装荷基材115を試料調製システム100に加えることができる。
【0052】
希釈剤113が容器102又はライナー104に最初に加えられるいくつかの実施形態では、計量済みの量の希釈剤113(例えば、滅菌液体希釈剤)を、取り外し可能な連結カバー付きの容器102又はライナー104に封入することができ(例えば、接着剤、熱密封、超音波溶接、又は後述のその他の任意の連結手段1つ以上によって、容器102又はライナー104に連結した、1回使い捨ての取り外し可能バリヤーフィルム)、これによりこのカバーは、試料装荷基材115を加える直前に取り外すことができる。別の方法としては、いくつかの実施形態では、計量済みの量の乾燥粉末培地(例えば、対象検体の栄養培地、及び/又は対象でない検体の成長阻害剤)を、取り外し可能な連結カバー付きの容器102又はライナー104に封入することができ、又は所望の培地を、容器102又はライナー104の内面にコーティング又は吸着させることができる。そのような実施形態では、カバーは取り外すことができ、試料装荷基材115が加えられる前又は加えられると同時に、溶媒(例えば、ddH2O)を加えて希釈剤113を形成することができる。別の方法としては、試料源112及び/又は試料装荷基材115が培地を溶かすことができる液体を十分に含んでいる場合、試料装荷基材115を乾燥粉末培地に加えて、試料源112と希釈剤113とを含む液体組成物114(例えば、試料源112及び/又は試料装荷基材115によって提供される溶媒に溶解した培地)を形成することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、容器102及び/又はライナー104(ライナー104が採用されている場合)は、区画に分けて、1つを超える第1リザーバ120及び/又は1つを超える第2リザーバ122をそれぞれ含むようにすることができる。複数のリザーバ120/122を、例えば、多段階の強化、さまざまな微生物の平行又は同時の強化、又はこれらの組み合わせに用いることができる。例としての目的で、ライナー104は、2つの第2リザーバ122を含むことができる(この実施例において、単純化のためにリザーバA及びBと称する)。第1の強化培地は、ある微生物の第1の強化のために、リザーバA内に配置することができ、第2の強化培地は、同じ微生物の第2の強化のために、リザーバBに配置することができる。リザーバA及びBは、例えば、両方とも培地の配置のためにアクセス可能であるが、試料装荷基材115、又はその一部分、及び希釈剤113を、他方には加えることなく一方だけに加えることができる。液体組成物114が形成され、第1の強化がリザーバAで行われた後、その液体組成物114(及び所望により試料装荷基材115)の任意の部分をリザーバBに移し、第2の強化を行うことができる。液体組成物114、又はその一部分は、さまざまな方法でリザーバBに移すことができ、試料調製システム100を攪拌すること、2つのリザーバA及びBの間にある脆いバリヤーを破ること、などが挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、1つの容器102に複数のライナー104を採用し、これにより1つの容器102が1つ以上の第1リザーバ120を含み、及び/又は1つ以上のライナー104(それぞれが1つ以上の第2リザーバ122を含む)がその容器102内に配置されるようにすることができる。他の構成も可能であり、当業者には、複数の区画を達成するために可能なさまざまな変更が理解されるであろう。構成がどのようなものであれ、複数のリザーバ又は区画は、横並び、縦並び、同心円配列、又はこれらの組み合わせで配置することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、液体組成物114を形成し、試料源112をその試料装荷基材115から取り出そうという試みにおいて、試料装荷基材115を少なくとも部分的に分解することができる。この試料装荷基材115を分解することにより、液体組成物114内の試料源112の濃度が増加し得る。例えば、試料装荷基材115を分解又は切断するような攪拌プロセスを採用して、希釈剤113が試料装荷基材115と反応するための、又は試料装荷基材115に入り込むために利用可能な表面積を増加させることができる。いくつかの実施形態では、試料装荷基材115は、その試料装荷基材115の分解を促進する比較的デリケートな基材111を含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、希釈剤113は、試料装荷基材115の物理的又は化学的分解を促進するよう適合された物理剤又は化学剤を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、希釈剤113は、基材111を溶解可能な溶媒を含むことができる(例えば、基材111が水に可溶であるなど)。
【0056】
ライナー104は、さまざまな物質から形成することができる(これには、さまざまな高分子材料(ポリオレフィン(ポリプロピレン(例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレン、及びポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例えば、NYLON(登録商標))、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)。いくつかの実施形態では、ライナー104は、熱成形プロセス等のモールド成形法で形成される。ライナー104は、半透明(又は更には透明)、又は不透明であってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、ライナー104は、このライナー104を容器102内に配置する前に、ライナー104が倒壊又は変形することなく、試料装荷基材115及び希釈剤113をライナー104に装填できるように、自立型及び/又は自己支持型である。更に、自立型及び/又は自己支持型のライナー104は、重量測定、試料装荷基材115及び/若しくは希釈剤113の添加、輸送、取扱い、並びに/又は試料取り出しの助けになり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、ライナー104は自己支持型及び/又は自立型であり、同時に変形可能でもある。用語「変形可能」は、圧力(例えば、正又は負)又は応力によって、元の形状又は状態から変更することができる構造を指すために使用される。変形可能なライナー104を採用する実施形態では、ライナー104に圧力を印加し、元の寸法(すなわち、応力がない状態)からサイズを小さくすることができる。この圧力は、液体組成物114(又はその濾液)をライナー104から取り出すのを促進するために使用することができる。このような実施形態では、ライナー104は、液体組成物114を収容することができる変形可能な自己支持型容器として機能することができる。いくつかの実施形態では、この変形可能な自己支持型容器は、自立型でもある。
【0059】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、容器102は、底部127に形成される開口124を含み、ユーザーは、この開口を通してライナー104にアクセスし、圧力を印加し、ライナー104を変形することができる。この圧力は、手で直接印加する、又は追加機器によって印加することができ、手動プロセスであっても自動プロセスであってもよい。開口124は、所望の使用用途と一致する形状及び寸法であってよい。いくつかの実施形態では、容器102の底部127は、側壁129の単なる底であり、あるいは側壁129がわずかに内側に突出していて、これによりライナー104が容器102の底から容易にアクセス可能である。この別の方法で、いくつかの実施形態では、容器102の開口124は、容器102の底の大半(例えば、容器102の断面積の大半)を決定しており、かつ底部127は、開口124を取り巻く容器102の小さな部分でしかない。ライナー104を採用しない実施形態では、容器102は、開口124を含む必要がない。
【0060】
いくつかの実施形態では、ライナー104は、ライナー104の長手軸と平行な方向に底部126に圧力が印加される際(例えば、容器102の開口124を介して)、ライナー104が長手方向(例えば、底部126というよりは、側壁128の倒壊の効力により)に変形するように、比較的硬質な底部126及び比較的薄く、かつ変形可能な側壁128を含む。あるいは、又は更に、底部126を側壁128よりも厚くすることができる。例としての目的に限定して、側壁128の厚さは、いくつかの実施形態では少なくとも50μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも100μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも150μmであり、及びいくつかの実施形態では少なくとも200μmである。底部126の厚さは、いくつかの実施形態では少なくとも225μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも275μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも300μmであり、及びいくつかの実施形態では少なくとも350μmである。
【0061】
ライナー104は更に、1つ以上のバッフル、プリーツ、波形、縫目、継ぎ目、まち、弱められた部分(例えば環状の弱められた部分)、又はこれらの組み合わせを含むことができ、これらは、ライナー104の変形性の制御を支援するように組み込まれてもよく、及び/又はライナー104の内部体積を更に減少させることができる。後述及び図9で詳しく説明されるように、いくつかの実施形態では、ライナー104はアコーディオン型の形状を含む。いくつかの実施形態では、ライナー104は、その内側表面上、特に底部126と側壁128との間の内部接合部に、全く溝を含まない。
【0062】
いくつかの実施形態では、ライナー104は、ライナー104の表面形状を分離するために、意図的に変形される。そのような分離された表面形状が、攪拌中に試料源112及び/又は試料装荷基材115の分離を支援することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ライナー104の側壁128に異なる表面形状を形成するために、ライナー104の側壁128と容器102との間に、障害物(例えば、比較的硬質な物質)を配置することができる。
【0063】
図2に示されるように、容器102は、容器102内の内容物のレベル(すなわち、容量)を示すための表示130を含むことができる。好適な表示の一実施例は、米国特許第6,588,681号に記載される。あるいは、又は更に、ライナー104が表示を含むことができる。容器102及び/又はライナー104上の表示130を使用できるようにするために、容器102及び/又はライナー104を半透明、又は更には透明にし、容器102の側壁129及び/又はライナー104の側壁128を通して内容物を見ることができるようにすることができる。側壁128及び129には、商標、ブランド名又はこれらの同等物のような他の種類のマーキングがあってもよい。表示130は、容器102又はライナー104内に収納される寸法のフィルム上に提供することもでき、これは、容器102又はライナー104の内側表面に対して外側に(すなわち半径方向に)フィルムが押し付けられるよう、十分な内部圧力を有する材料で形成することができる。
【0064】
図2に示される実施形態では、蓋106は、ライナー104に取り外し可能に連結され、カラー108は、蓋106を容器102に更にきつく固定するために採用される。例えば、図2では、容器102は、側壁129の外側表面の上端に、容器102の上端にネジで締められるカラー108(容器102上のネジ山131と嵌合できる内部ネジ山133を有する)のための形状及び寸法のネジ山131を含む。蓋106を容器102に固定するためにカラー108を使用する代わりとして、締め付け及び/又は以下に記載されるその他の連結手段を含む、その他の連結手段を採用することができる。いくつかの実施形態では、ライナー104を採用せずに、蓋106を容器102に直接連結することができる。このような実施形態では、カラー108を採用する必要はない。したがって、蓋106は、容器102又はライナー104のいずれかとの密封(例えば気密密封)を形成することができる。いくつかの実施形態では、蓋106及び容器102(又は蓋106及びライナー104)は、一体化して形成される、又は恒久的に互いに連結される。
【0065】
それぞれの構成要素が取り外し可能に互いに連結できるようするために、重力(例えば、1つの構成要素を別の構成要素の上、又はその噛み合う部分に設置することができる)、ネジ山、プレス嵌め(「摩擦嵌め」又は「締まり嵌め」と称される場合もある)、スナップ嵌め、磁石、接着剤、熱密封、他の好適な取り外し可能な連結手段、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されないさまざまな連結手段を、蓋106とライナー104との間、蓋106と容器102との間、及び/又はカラー108と容器102との間のいずれかに採用することができる。いくつかの実施形態では、試料源112及び希釈剤113を添加後、試料調製システム100を再び開ける必要がなく、その結果容器102、ライナー104、蓋106、及びカラー108を取り外し可能に互いに連結する必要がなく、むしろ恒久的に、又は半恒久的に互いに連結されることができる。この恒久的又は半恒久的連結手段には、接着剤、縫合、留め金、スクリュー、釘、リベット、無頭釘、圧着、溶接(例えば、音波(例えば、超音波)溶接)、いずれの熱接着技術(例えば、連結する構成要素の一方又は両方に熱及び/又は圧力が印加される)、スナップ嵌め、プレス嵌合、熱密封、その他の好適な恒久的又は半恒久的連結手段、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。当業者には、これらの恒久的又は半恒久的連結手段のうちのいくつかが、取り外し可能なように適合可能であり、及び逆もまた同様であり、例としての目的に限定して分類されることが認識されるであろう。
【0066】
図2及び3に示されるように、蓋106は、フィルタ134に連結することができるポート132、ライナー104が受け入れられる寸法である円筒形部分136、及び円筒形部分136からポート132に延在するほぼ円錐形の(例えば、円錐台形)部分138を更に含む。円筒形部分136と円錐形の部分138との間の接合部では、蓋106は、円筒形部分136及び円錐形の部分138から放射状に外側に向かって延在するへり140を更に含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、フィルタ134は、蓋106に直接連結される。いくつかの実施形態では、図2〜3に示されるように、フィルタ134は、フレーム135によって支持されることができ、フレーム135を介して蓋106に連結することができる。フレーム135は、フィルタ134の一部分を形成することができ、フレーム135は、蓋106の一部分であってもよく、又はフレーム135は、フィルタ134及び蓋106の両方に連結される別個の要素であってもよい。フレーム135は、さまざまなポリマー、金属、セラミックス、ガラス、及びこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、さまざまな物質から形成することができる。図2〜3に示される実施形態では、フィルタ134は、金属メッシュから形成され、フレーム135は、金属フィルタ134に固着されたポリマーから形成される。フレーム135は、以下により詳細に記載されるように、蓋106に連結される。
【0068】
図2及び3に示される実施形態のフィルタ134並びにフレーム135は、試料調製システム100が組み立てられる際、フィルタ134及びフレーム135がライナー104の第2リザーバ122(又は容器102の第1リザーバ120)の中に延在するように、蓋106の下端の下方に延在するような形状及び寸法である。しかしながら、フィルタ134及びフレーム135は、さまざまな形状及びサイズを呈することができる。いくつかの実施形態では、例えば、フレーム135は、硬質な上部部分(例えば、蓋106に連結される)及び硬質な下部部分を含むことができ、フィルタ134をその間に連結することができ、フィルタ134は、折り畳み可能であってよい。このような実施形態は、後述及び図9で詳しく説明される。
【0069】
蓋106の円筒形部分136は、円筒形部分136がライナー104の内側表面にスナップ嵌め又はプレス嵌めできるようにする、外側に向かって張り出す複数の突出部142を円周方向に含む。いくつかの実施形態では、ライナー104の内側表面は、外側に向かって張り出す突出部142の代わりに、又は外側に向かって張り出す突出部142に加えて(例えば、それらの噛み合う関係を形成するために)、のいずれかで使用される、内側に向かって張り出す突出部を含むことができる。
【0070】
ライナー104は、ライナー104の側壁128から放射状に外側に向かって張り出すへり144を含むことができ、試料調製システム100が組み立てられる際、ライナー104のへり144が蓋106のへり140と容器102の上面146との間に配置されて密封(例えば、密封封止)が形成されるように、へり144は、容器102の上面146及び蓋106のへり140との当接関係を形成できる。図2に示されるように、カラー108は、内側に張り出すへり156を含み、これにより、カラー108が容器102に連結される際、カラー108のへり156は、ライナー104のへり144に接触するように蓋106のへり140を押し込み、ライナー104のへり144は容器102の上面146に接触するように押し込まれる(例えば、より高い一体性密封を形成するために)。例としての目的に限定して、試料調製システム100を組み立てるため、及び試料調製システム100の構成要素間の密封を形成するための上記に述べた手段を記載し、示す。しかしながら当業者は、試料調製システム100の構成要素を組み立てるため、及び試料調製システム100が通常の作業条件下で漏出しないようにする密封(例えば、液密の密封、気密密封、又はこれらの組み合わせ)を形成するためのさまざまなその他の機構を採用できることを理解するであろう。
【0071】
一方、図2及び3に実施形態の蓋106は、ほぼ円錐形又は円錐台形の形状で示される。蓋106は、円筒形状、長方形又は正方形の断面積を有する管状形状、又は試料調製システム100のその他の構成要素との連結に好適なその他の形状を含むが、それらに限定されない、さまざまなその他の形状を有することができることが理解されるべきである。同様に、容器102、ライナー104、及びカラー108は、図2に示される実質的に円筒形状以外のさまざまな形状を有することができる。更に、蓋106は、試料調製システム100のその他の構成要素を収容できる寸法であってもよい。
【0072】
蓋106は、容器102に関して上記に記載された材料を含む、さまざまな材料から形成することができる。蓋106は、使用用途により、半透明(又は更には透明)、又は不透明にすることができる。
【0073】
カラー108は、さまざまな高分子材料、金属材料、及びこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、さまざまな材料から形成することができる。例えば、カラー108は、成形プラスチック構成要素、又は機械加工金属(アルミニウムなど)構成要素から形成することができる。いくつかの実施形態では、カラー108は、ガラス繊維強化ポリプロピレンを含む成形プラスチック構成要素から形成される。
【0074】
図2に示されるように、蓋106のポート132は、ポート132が蓋106の内側表面153の部分152、及び蓋106の開口部154を画定するように、ほぼ円筒形で管状の形状である。蓋106は、中空であり、試料調製システム100が組み立てられる際、第2リザーバ122と流体連通して存在する。ポート132は、円筒形である必要はなく、代わりに、所定の用途に必要な任意の形状を呈することができる。図2及び3に示される実施形態では、フィルタ134は、フィルタ134が第2リザーバ122に加えて、開口部154を有する蓋と流体連通するように、ポート132に連結される(すなわち、フレーム135を介して)。
【0075】
図2に示される実施形態では、カバー109は、ポート132の少なくとも一部分を収容するための形状及び寸法である。結果として、蓋106の開口部154を閉めるため、及び試料調製システム100を環境から密封するため(例えば、気密密封)に、カバー109を蓋106のポート132に連結することができる。カバー109は、上記に記載のいずれかの連結手段を使用して、蓋106に連結することができる。カバー109は蓋106と一体成型することができ(例えば後述及び図13で詳しく説明されるような、フリップトップのスナップオン・カバー)、又はカバー109は蓋106とは別であり得る(例えば、後述及び図9〜12で詳しく説明されるような、スクリューオン・カバー)。カバー109は、容器102又はカラー108に関して上記に記載された材料を含む、さまざまな材料から形成することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、蓋106は、バリヤーに穴をあけ、又は貫通して、又はフィルムを取り外して蓋106の内部にアクセスできるように、蓋106の内部の少なくとも一部分を環境から分離する、脆い若しくは貫通できるバリヤー又は取り外し可能なフィルムを含む。このような実施形態では、カバー109を採用する必要はない。
【0077】
図3に示されるように、蓋106の内側表面153は、その他の構成要素(例えば、概念が図5〜6に示され、以下に記載される、追加又は代替フィルタ)を連結することができる、さまざまな内周縁を含むことができる。内周縁は、縁部に連結を所望するその他の構成要素に応じて、所望する任意の配向を有することができる。いくつかの実施形態では、内周縁は、図3では縁部がほぼ水平になるように、蓋106の中央長手軸とほぼ直交するように向いている。いくつかの実施形態では、基材(図示なし)は蓋106の内側表面153に連結することができる。この概念の一例は、図14に示され、以下に説明される。
【0078】
更に、蓋106は、その他の構成要素(例えば、フィルタ)を連結することができる、内側に向かって延在するさまざまな部材を含むことができる。例えば、図3に示されるように、フィルタ134は、フレーム135によって支持され、蓋106は、上記の連結手段のいずれかが挙げられるが、それらに限定されない、さまざまな連結手段によって、フレーム135を連結することができる、内側に向かって延在する部材155を含む。内側に向かって延在する部材155は、蓋106と一体化して形成することができる。
【0079】
フィルタ134は、液体組成物114を十分に濾過するためのいずれの幾何学的形状であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ134は、変形可能であり、かつ/又は折り畳み可能である(すなわち、フィルタ134がそれ自身の重量で折り重なる)。いくつかの実施形態では、フィルタ134は、硬質であり、その形状を保持する(すなわち、それ自身の重量で折り重ならない)。試料調製システム100に使用されるフィルタ134の寸法及び数、並びにその多孔性は、望ましい検体、試料源112又は試料装荷基材115内の不溶物のタイプと寸法、試料装荷基材115の寸法、及び試料装荷基材115の分解の度合によって異なり得る。
【0080】
例としての目的に限定して、いくつかの実施形態では、液体組成物114は、食品を含み、所望の検体は、細菌であり、不溶物は、食品粒子又は残屑である。このような実施形態では、例えば、後続の分析のために対象の細菌(存在する場合)がフィルタ134を通過できるようにする一方、食品粒子を保持する及び/又は分離するように、フィルタ134を選択することができる。更なる例として、いくつかの実施形態では、液体組成物114は溶解した細菌細胞培養を含み、所望の検体は、DNA、RNA、タンパク質、又は代謝産物のうち1つ以上であり、不溶物は細胞残屑である。このような実施形態では、例えば、細胞残屑を保持及び/又は分離する一方、所望のDNA、RNA、タンパク質、及び/又は代謝産物が後続の分析のためにフィルタ134を通過するよう、フィルタ134を選択又は処理することができる(例えば、抗体などの生体分子結合剤で誘導体化される)。別の方法としては、例えば、所望のDNA、RNA、タンパク質、及び/又は代謝産物が保持される一方、細胞残屑がフィルタ134を通過するよう、フィルタ134を選択又は処理することができる。
【0081】
フィルタ134は、抜き取り及び/又は採取のために、液体組成物114中の所望の検体(存在する場合)がフィルタ134を通過できるようにする一方、液体組成物114から粒子を保持するために十分である、さまざまな孔径を有することができる。別の方法としては、所望の検体を保持する一方、所望されない物質がフィルタ134を通過するように、フィルタ134の寸法調整、帯電、及び/又は機能付加を行うことができる。このような実施形態では、試料は少なくともフィルタ134の一部分を含むことができ、これを更に処理することができる(例えば、強化、濃縮、分析など)。
【0082】
フィルタ134は、いくつかの実施形態では少なくとも2μm、いくつかの実施形態では少なくとも5μm、いくつかの実施形態では少なくとも40μm、いくつかの実施形態では少なくとも80μm、及びいくつかの実施形態では少なくとも120μmの平均孔径又はメッシュサイズを有する。フィルタ134は、いくつかの実施形態では最大2000μm、いくつかの実施形態では最大1000μm、いくつかの実施形態では最大500μm、いくつかの実施形態では最大200μm、いくつかの実施形態では最大50μm、いくつかの実施形態では最大10μm、及びいくつかの実施形態では最大1μm(例えば、細菌がフィルタ134を通過するのを制限したい場合)の平均孔径又はメッシュサイズを有する。
【0083】
図2及び3に示される実施形態では、フィルタ134は、蓋106に設置され、一般に蓋106の中央長手軸と一致する。しかしながら、いくつかの実施形態では、フィルタ134は、蓋106の「軸外」の位置に配置される。例えば、開口158は、蓋106のフィルタ134の可能な「軸外」の位置を示すために、図2に点線で示される。代替又は追加のポートを、開口158の位置に配置し、そこに連結することができる。フィルタ134は、恒久的に、又は取り外し可能に、一方又は両方の位置に連結することができる。
【0084】
いくつかの実施形態、特にライナー104を採用しない実施形態では、フィルタ134は、代わりに、又は追加として、容器102の側壁129の開口160又は容器102の底部127の開口124(又は容器102の底部127の異なる位置に形成される開口)を通って、試料調製システム100の内部(すなわち、容器102の第1リザーバ120)にアクセスすることができる。このような実施形態では、フィルタ134は、恒久的に又は取り外し可能に、容器102の側壁129又は底部127に連結することができる。別又は追加のポートを、開口160及び124の位置に配置し、そこに連結することができる。いくつかの実施形態では、試料調製システム100は、蓋106のポート132、蓋106の開口158の位置での追加のポート、容器102の側壁129の開口160の位置での追加のポート、及び/又は容器102の底部127の開口124の位置での追加のポートなどの、ポートを2つ以上含むことができる。試料調製システム100のいずれかの位置でのいずれかのポートを密封するために、カバー109又は同様の密閉機器を使用することができる。
【0085】
フィルタ134に関しては異なる位置でも可能であるため、フィルタ134は、試料調製システム100及び特定の使用用途において、その位置に収容されるような形状及び寸法であってよい。フィルタ134のいずれかの可能な位置で、所望の濾過の種類、及びフィルタ134が液体組成物114をどのように濾過するように意図されるかに応じて、フィルタ134は、液体組成物114のレベル165の完全に上方又は完全に下方に配置することができる、又はフィルタ134は、一部分を液体組成物114のレベル165の上方に、及び一部分を下方に配置することができる。例えば、図2に示される実施形態では、フィルタ134は、ポート132に連結され、液体組成物114のレベル165がどれだけ高いかに応じて、典型的には、フィルタ134が、一部分を液体組成物114のレベル165の上方に、及び一部分を下方に配置されるように、ポート132から試料調製システム100の内部に延在するであろう。
【0086】
フィルタ134は、ライナー104及び液体組成物114の内部と流体連通し、液体組成物114を濾過するように働き、濾液116を形成する。濾液116は、フィルタ134の容積内に配置され、近接するポート132から抜き取り、及び/又はサンプリングすることができる。複数の位置でフィルタ134を使用する実施形態では、濾液116は、上記のポート又は開口のいずれかからサンプリングすることができる。
【0087】
フィルタ134は、ナイロン、フッ素化ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、セルロース(例えば、酢酸セルロース及びニトロセルロースなどの変性セルロース)、ファイバーグラス、紙、及びこれらの組み合わせの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない、さまざまな物質から形成することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ134は織布ウェブ、不織布ウェブ、成型構造、フォーム、布地、繊維ウェブ、及びこれらの組み合わせで形成することができる。フィルタ134の表面積は、フィルタ134にひだを付けることによって、又は他の類似の技術によって増すことができる。フィルタ134の厚さは、カレンダー又はフェルト化工程によって制御することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、(フィルタ134がどの位置にあるかに関わらず)、フィルタ134は、試料装荷基材115の保有部又は保持部として使用することができる。この概念の一例は、図4に示され、以下に説明される。
【0089】
上記のように、ライナー104は、使い捨てであってもよい。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上の蓋106、カバー109及びフィルタ134は、使い捨てであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、蓋106は、ライナー104と連結することができ、カバー109及びフィルタ134は蓋106と連結することができる。ライナー104、蓋106、フィルタ134及びカバー109は、試料調製システム100の使い捨て部分を形成することができ、これは容器102又はカラー108を汚染することなく使用することができる。使い捨て部分は、容器102から取り外し、廃棄することができる。容器102及びカラー108は次に、新しいライナー104、蓋106、フィルタ134及びカバー109と共に再使用できる。
【0090】
図4は、本開示の別の実施形態による試料調製システム200を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム200は、図2〜3の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、200シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図4に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3に対してなされる。
【0091】
試料調製システム200は、容器202及び蓋206を含む。試料調製システム200は、ライナーを含まず、蓋206は、容器202に直接連結する。試料調製システム200は、容器202の側壁229に形成される開口260に流体で連結されるフィルタ234を更に含む。試料調製システム100のフィルタ134とは違って、フィルタ234は、試料源212と基材211とを含む試料装荷基材215、並びに試料源212と希釈剤213とを含む液体組成物214の、保有部又は保持部として機能する。
【0092】
フィルタ234は折り畳み式であり、試料装荷基材215の寸法に対応した大きさである。図4に示す実施形態では、フィルタ234は織布(例えば、ナイロン)で形成されているが、前述の任意のフィルタ材料を代わりに使用することが可能である。しかしながら、他のタイプのフィルタ(例えば、より堅いもの、又は異なる寸法のもの)を代わりに使用することが可能である。図4に示す試料装荷基材215は、スポンジの形態であり、これは平坦又は非平坦であり得る。しかしながら、このスポンジは、例示のためにのみ図2に示されており、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、基材111は前述の任意の材料で形成することができ、前述の任意の形態であり得ることが理解されるべきである。
【0093】
フィルタ234は、容器202と恒久的に連結することができ、試料装荷基材215は、フィルタ234に加えることができるか、又は、フィルタ234は、容器202に取り外し可能に連結することができ、試料装荷基材215は、フィルタ234が容器202に連結される前、又は後にフィルタ234に加えることができる。いくつかの実施形態では、フィルタ234は、フィルタ234が試料装荷基材215を含み、希釈剤213がフィルタ234の内部に流入又は内部から流出して試料装荷基材215と相互作用できるように、容器202の第1リザーバ220内で浮動性であってもよい。
【0094】
試料装荷基材215は、試料装荷基材215からの試料源212をフィルタ234内で希釈剤213と組み合わせて液体組成物214を形成できるように、フィルタ234内に配置され、フィルタ234は、少なくとも一部分が容器202の希釈剤213のレベルより下方に配置され、容器202の内部と流体連痛している。フィルタ234内に配置された液体組成物214は、希釈剤213中の対象の検体(存在する場合)と、試料源212からの他の可溶物又は不溶物と、を含む。攪拌中には、試料装荷基材215及び希釈剤213が混合され、試料源212を希釈剤213中に溶解、分散、懸濁、及び/又は乳化することができる。フィルタ234の孔径は、希釈剤213及びこの希釈剤213中の対象の検体(存在する場合)がフィルタ234を自由に出入りして流れ、結果として得られる濾液216がフィルタ234の外側で、かつ容器202のリザーバ220の内側に配置され、希釈剤213及び存在する対象の検体を含むように、適合される。
【0095】
濾液216は、蓋206のポート232、蓋206の開口258、容器202の側壁229の追加の開口、及び/又は容器202の底部227の開口224を含むさまざまなポート又は開口のいずれか、からサンプリングすることができる。更に、開口260を介して試料調製システム200に連結する代わりに、フィルタ234は任意のさまざまなポート又は開口部を介して試料調製システム200に連結することができ、これには蓋206のポート232、蓋206の開口258、及び/又は容器202の底部227の開口224が挙げられる。いくつかの実施形態では、図4に示すように、1つ以上のポートが、試料調製システム100のフィルタ134と同様の方法で機能する追加のフィルタ234’を含むことができる。このような実施形態では、濾液216は、フィルタ234’によって更に濾過することができ、生じる濾液216’はフィルタ234’によって処理され、隣接のポート(すなわち、図4のポート232)から抜き取り及び/又はサンプリングされてもよい。
【0096】
試料調製システム200は、ライナーを更に含み、十分な密封が開口260の位置でライナーと容器202との間に提供されると言う条件で、この場合希釈剤213及び生じる濾液216はライナー内に配置され得る。
【0097】
図5〜6は、本開示の別の実施形態による試料調製システム300を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム300は、図2〜3の示された実施形態に関連した、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する、要素及び特徴部は、300シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。図5〜6に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)の更に完全な説明のための図2〜3を伴う上記の説明の参照がなされる。
【0098】
図5〜6は、試料調製システム300の蓋306のみを示す。試料調製システム300の他の構成要素は、前述され図2〜4に示されている試料調製システムの対応する他の構成要素のいずれかを含むと見なすことができ、よって単純化のため、図5〜6には示していない。
【0099】
蓋306が、実質的に平面で、蓋306の内側表面353に連結するフィルタ334を含むことを除き、蓋306は、上記に記載され、図2〜3に示される蓋106と実質的に同様である。蓋306の内側表面353は、上方内部周縁370及び下方内部周縁368を含む。図5に示すように上方内部周縁370は、外周371から内周373へ延在し下方に面する表面を含む。同様に、下方内部周縁368は、外周376から内周378へ延在し下方に面する表面を含む。フィルタ334の外周は、内側表面353の上方内側周縁370と連結する。更に、フィルタ334は、保持壁372と接触する。保持壁372は、フィルタ334の外周を保持するために、蓋106の内側表面353から下方に延在する。
【0100】
フィルタ334は、蓋106に対して上記と同様の連結手段を使用して蓋306と連結されてもよい。フィルタ334は、恒久的、又は取り外し可能に蓋306と連結されてもよい。フィルタ334と蓋306との間の連結の程度は、フィルタ334の材料、蓋306の材料、連結された表面領域の寸法及び構造、及び使用される連結手段の種類が挙げられるが、これらに限定されない多くの要素に応じて、さまざまであることができる。例えば、フィルタ334がほつれた縁部を含む場合、やや幅広い、及び/又は刻み付きの連結表面領域が使用されてもよい(例えば、上方内側周縁縁部370は刻み付きであってもよい)。このような幅広、及び/又は刻み付きの超音波溶接部は、フィルタ334のほつれ縁部を捕捉することができる。ほつれの量を最小限にするために、フィルタ334は、フィルタ334の縁部を融着することができるレーザーを使用して切断できる。これにより生じたレーザー切断されたフィルタ334は、あったとしても、ほつれの最低量を含むため、より狭い幅の連結領域を使用することができる。いくつかの実施形態では、連結領域は、フィルタ334の外周の周囲で全面的に延在する。連結領域は、いくつかの実施形態では最大5.0mmの平均幅(すなわち、同じ平面内の寸法、及び、フィルタ334の外周に実質的に垂直)を有することが可能であり、いくつかの実施形態では、1.0mm〜3.0mmの範囲であることが可能である。あるいは、フィルタ334は、例えば、成形プロセスによって、蓋306内で一体的に形成されることが可能である。
【0101】
フィルタ334は、蓋306と同様の材料、又は異なる材料から形成されてもよい。フィルタ334は、可撓性であるか、又は半剛体であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ334は、ナイロンの不織布又は織布から形成されるが、蓋306は、ポリプロピレンなどのポリマーから形成された射出成形部品である。このような実施形態では、ナイロンフィルタ334は、超音波溶接技術を介し、蓋306に結合されてもよい。超音波溶接の間、上方内側周縁370の少なくとも一部分は、フィルタ334と機械的に固着するために融解できる。ナイロンは、ポリプロピレンよりも高い融解温度を有するため、ナイロンフィルタ334は、超音波溶接プロセスの間、その構造的な一体性を維持することが可能である。このような実施形態では、上方内側周縁370の少なくとも一部分は、フィルタ334の一部分の中に入ってもよく、これによって、フィルタ334の一部分を密封する。
【0102】
フィルタ334は、所定のアプリケーションによってさまざまである寸法及び形状を有することができる。フィルタ334は、これに限定されないが、円形状、正方形状、長方形状、三角形状、多角形状、星型形状、他の好適な形状、及びこれらの組み合わせを含む、あらゆる望ましい形状を有することができる。図5及び6に示す実施形態では、フィルタ334は、実質的に円形状を有する。
【0103】
フィルタ334の寸法は、蓋306の寸法に応じてさまざまであってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ334はより小さい、又はより大きい寸法を有する場合があるが、フィルタ334は、15mm〜100mmの範囲の最大寸法(すなわち、長さ、幅、又は直径)を有する。例えば、いくつかの実施形態では、フィルタ334は、円形状及び56mmの直径を有してもよい。
【0104】
図5及び6を引き続き言及すると、保持壁372は、蓋306と一体的に形成される。いくつかの実施形態では、図5に示すように、蓋306は、2つ以上の保持壁372を含み、(i)それぞれの保持壁372は、その厚さよりも大きい周辺長さを有し、(ii)それぞれの保持壁372は、フィルタ334の外周に沿って配置され、(iii)2つ以上の保持壁372の合計の周辺長さは、フィルタ334の外周の合計の周辺長さよりも短い。
【0105】
図5に示すように、蓋306は、上方内側周縁370の外周371に沿って互いに等しく間隔をおく、4つの保持壁372を含む。いくつかの実施形態では、各保持壁372は、800μm〜1200μmの範囲の厚さ、外周371に沿って1.0mm〜22.0mmの範囲の距離に延在する長さ(すなわち、この例示的な実施形態ではアーク長)、及び1.0mm〜5.0mmの範囲の高さを有する。いくつかの実施形態では、各保持壁372は、保持壁372の周辺の流量を妨げない(又は影響を最小限にする)ように、区画化された構成を有する。
【0106】
蓋306は、開口部354及び内部に延在する部材355を含む。内部に延在する部材355は、図2及び3では、フィルタ134が蓋106に連結するのと同じ方法で、追加のフィルタ(図示せず)が蓋306と連結するために使用することができる。このような実施形態では、フィルタ334は、追加のフィルタの下に位置し、追加のフィルタは、蓋306の上部からフィルタ334の距離よりも短い長さ寸法を有することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、図5及び6に示すように、フィルタ334は、蓋306の最小断面積よりも大きい合計表面積を有する。蓋306では、最小断面積は、蓋開口部354の断面積である。いくつかの実施形態では、1つを超えるフィルタが、フィルタ334と同様の様式で蓋306と連結される。例えば、いくつかの実施形態では、フィルタ334、又は追加のフィルタ(図示せず)は、下方の内側周縁368と連結することができる。すなわち、1つ以上のフィルタ334は、蓋306と連結し、蓋306の内側表面353に沿ったいずれかの場所に配置することができる。1つ以上のフィルタ334を採用する実施形態では、フィルタ334は、互いに類似であるか、又は互いに異なってもよい。すなわち、フィルタ334は、同一、又は異なる材料から形成されてもよく、フィルタ334は、同一、又は実質的により小さい孔径を有してもよい。
【0108】
一例として、第1フィルタ334は、上方内側周縁370と連結されてもよく、56mmの直径、80μmの要素孔径を有してもよく、1つ以上の保持壁372によって少なくとも部分的に囲まれてよいが、第2フィルタ334は、下方内側周縁368と連結されてもよく、96mmの直径を有してもよく、200μmの要素孔径を有してもよく、蓋306の内側表面353によって少なくとも部分的に囲まれてもよい。
【0109】
上記のフィルタ134、234、及び334のいずれもが、試料調製システムの1つにおいて、互いの組み合わせで使用されてもよい。例えば、上記に記載されるように、フィルタ134は、異なる用途のための一連のフィルタを提供するため、及び/又は液体組成物から引き続いて、より小さな粒子を取り出すために、フィルタ234及び/又は334と組み合わせて使用することができる。
【0110】
あるいは、又は加えて、液体組成物から引き続いてより小さな粒子を取り出すために、それぞれの種類のフィルタ134、234、又は334の2つ以上を採用する(及び、いくつかの実施形態では、ネスト化)することができる。例えば、濾液を収集するために連続したより小さい孔径を有する次のフィルタに対し、より大きい孔径の前置フィルタとして働く粗いフィルタであるフィルタが配置されてもよい。フィルタは、直立位置で試料調製システムを使用するために調整されてもよく、及び/又は、システムが転倒又は反転されたときに試料調製システムを使用するために調整されてもよい。
【0111】
図7は、本開示の別の実施形態による試料調製システム400を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム400は、図2〜3及び5〜6の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3及び5〜6の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、400シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図7に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3及び5〜6に対してなされる。
【0112】
試料調製システム400は、第1リザーバ420を有する容器402と、第2リザーバ422を有し、容器402の第1リザーバ420内に収まる寸法であるライナー404と、蓋406と、カラー408と、プランジャ437と、を含む。蓋406は、上述及び図2〜6に示した蓋106、206及び306と類似であるが、更に上向きに延在する突出部439を含み、これにより試料調製システム400が他の装置と連結することができ、又はカバー(図示なし)のための連結手段を提供する。蓋406はポート432を含み、これは複数の隆起部441を含み、これは、試料調製システム400をカバー又は他の装置に連結させるための代替又は追加の連結手段を提供することができる。蓋406は更に、図5〜6に示され前述されているフィルタ334に実質的に同様なフィルタ434を含む。
【0113】
図7に示すように、基材411と試料源412とを含む試料装荷基材415は、ライナー404の第2リザーバ422内に配置され、希釈剤413と混合させて、試料源412と希釈剤413とを含む液体組成物414を形成する。図7に示す実施例において、基材411はスポンジの形態である。
【0114】
いくつかの実施形態では、図7に示すように、プランジャ437は、このプランジャ437が容器402の上方向に向かって第1方向D1に動くと、ライナー404の外面に正圧を印加するよう構成されている。図7に示すように、プランジャ437がライナー404の外面に圧力を印加するのに用いられると、ライナー404は圧縮され、第2リザーバ422の体積が減少し、液体組成物414がフィルタ434を通り抜けて濾液416を形成するよう強いられ、この濾液が蓋406の内側に採取される(例えば、図7で示すように、試料調製システム400が反転している場合)。濾液416は、ポート432を介して、試料調製システム400から取り出すことができる。
【0115】
例えば、試料装荷基材415からの試料源412の取り出しを強化するために、ライナー404(例えばライナー404の底部426)が試料装荷基材415に接触しないように、プランジャ437を試料装荷基材415の上の位置までD1の方向に押すことができ、又は、試料装荷基材415がプランジャ437(及びライナー404)によって少なくとも部分的に圧縮される位置まで圧縮することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、プランジャ437は、ライナー404の内部に負圧を印加するよう構成される。例えば、いくつかの実施形態では、プランジャ437が容器402の底に向かって第2の方向D2(第1の方向D1の逆向き)に動くと、ライナー404が膨張し、その内面(すなわち第2リザーバ422)に減圧が生じ、これにより第2リザーバ422と試料調製システム400の外面との間に圧力差が生じるように、プランジャ437がライナー404に連結される。この圧力差により、例えば、液体がポート432を介して第2リザーバ422へと移動することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、図7に示すように、プランジャ437はハンドル443を含むことができ、これは容器402の底部427の開口424に収まる寸法である。いくつかの実施形態では、このプランジャ437のハンドル443は、開口424の寸法により近接した寸法であってもよく、及び/又は密封手段(例えばOリングなど)をハンドル443と開口424との間に配置して密封状態を形成することができる。図7に示す実施形態では、ハンドル443は、ライナー404に接触するプランジャ437の部分(例えば、ライナー404の底部426)よりも小さな直径を有する。ライナー404に接触するプランジャ437の部分は、容器402の第1リザーバ420内に収まる寸法になっている。しかしながら、いくつかの実施形態では、プランジャ437は均一の断面積又は次第に減少する断面積(例えば、第2方向D2において)を有し、容器402の開口424がこれに応じて寸法を定められる。図7に示すプランジャ437は例としての目的に限定されて、示されているが、当業者は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、さまざまな形状及び寸法のプランジャが使用できることを理解すべきである。プランジャ437をライナー404の外面に作用させて圧力差を生じる結果、プランジャ437は、液体組成物414に接触することなく使用することができ、汚染のリスクなしに再使用することができる。
【0118】
プランジャ437は、容器102について上に列記した材料を含むさまざまな材料で形成することができ、またプランジャ437は中実であっても中空であってもよい。プランジャ437は、使用用途により、半透明(又は更には透明)、又は不透明にすることができる。
【0119】
図8は、本開示の別の実施形態による試料調製システム500を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム500は、図2〜3及び5〜7の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3及び5〜7の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、500シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図8に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3及び5〜7に対してなされる。
【0120】
図8に示すように試料調製システム500は、第1リザーバ520を含む容器502と、第1リザーバ520内に収まる寸法であり第2リザーバ522を含むライナー504と、蓋506と、を含む。カラー(図示なし)も、試料調製システム500の構成要素全体を更に固定するために採用され得る。第2リザーバ522は、基材511及び試料源512を含む試料装荷基材515と、試料源512及び希釈剤513を含む液体組成物514とを収容するよう適合されている。試料調製システム500は更に、フィルタ534に連結されたプランジャ537を含む。フィルタ534は、液体組成物514を濾過して、対象の検体(存在する場合)を含む濾液516を形成するよう適合される。図8に示す実施形態では、基材511はスポンジの形態である。
【0121】
容器502は、底部527と、側壁529と、底部527で画定される開口524と、を含む。ライナー504は、側壁528と、例えば、容器502の底部527にある開口524を介してアクセス可能な底部526と、を含む。蓋506は、蓋506の開口部554を画定するポート532と、試料調製システム500と、を含む。プランジャ537は、ポート532に収まるような寸法になっているハンドル543を含み、これによりハンドル543は試料調製システム500の外側からアクセスし、フィルタ534が液体組成物514を通り抜けるよう強いる。いくつかの実施形態では、このプランジャ537のハンドル543は、開口部554の寸法により近接した寸法であってよく、及び/又は密封手段(例えば、Oリング)をハンドル543と開口部554との間に配置して密封状態を形成することができる。蓋506は更に、蓋506の第2ポート内に画定されている軸外の開口558を含み、これが例えば、脱気出口として、試料調製システム500内からの圧力を逃がすことができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、図8に示すように、フィルタ534は、ライナー504の第2リザーバ522内にフィットするような寸法であり得る。このような実施形態では、フィルタ534は、ライナー504の変形性によってライナー504の側壁528内に密封を形成することができ、フィルタ534の外表面とライナー504の側壁528の内表面との間に追加の密封手段を必ずしも必要としない。ライナー504の変形性により、幅広い許容誤差も可能になり、これによりフィルタ534が、ライナー504と作用できるようにするための狭い範囲内の寸法に合わせる必要がなくなる。
【0123】
別の方法としては、いくつかの実施形態では、試料調製システム500はライナー504を含まず、フィルタ534が容器502と作用するよう構成することができる。例えば、フィルタ534は、容器502の第1リザーバ520内にフィットするような寸法にすることができる。いくつかの実施形態では、試料調製システム500は、フィルタ534と容器502の側壁529との間に配置された密封手段(例えば、Oリング)を含むことができる。いくつかの実施形態では、容器502の側壁529は、フィルタ534が側壁529に密封するのを促進するため、上下にまっすぐ(すなわち、底部527に対して垂直)である。いくつかの実施形態では、フィルタ534は変形可能な(例えばエラストマーの)外側フランジを含み、これによりフィルタ534が、容器502の側壁529の先細形状に対応することができる。そのようなフランジはまた、フィルタ504を採用する実施形態にも組み込むことができる。
【0124】
プランジャ537がD1の方向に沿って下向きに押されると、フィルタ534が液体組成物514を通って下に動き、これにより比較的大きい不溶物(すなわち、フィルタ534の孔径よりも大きい寸法を有する粒子)がフィルタ534の下に維持され、可溶物及び比較的小さい不溶物(すなわち、フィルタ534の孔径よりも小さい寸法を有する粒子)がフィルタを通り抜け、濾液516が第2リザーバ522内のフィルタ534の上に形成される。プランジャ537は、D1の方向に押して、フィルタ534が試料装荷基材515に接触しないような、試料装荷基材515の上のセット位置にすることができ(例えば、ライナー504、フィルタ534及び/又はプランジャ537は1つ又は複数のストップを含むことができ、プランジャ537は第2リザーバ522内の特定の深さに対応するだけの寸法にすることができるなど)、又は例えば、試料装荷基材515からの試料源512の取り出しを強化するため、試料装荷基材515が少なくとも部分的にフィルタ534によって圧縮されるような位置にすることができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、プランジャ537のハンドル543は中空であり、第2リザーバ522と流体連通させることができる。このような実施形態では、濾液516の少なくとも一部分がプランジャ537のハンドル543の内部に収容され、このハンドル543を介して試料調製システム500から取り出すことができる。このような実施形態では、プランジャ537は、ハンドル543の上端を受ける寸法のカバーを含むことができる。別の方法としては、プランジャ537は中空であり、フィルタ534でその底面が覆われておらず、これにより液体組成物514及び/又は試料装荷基材515の少なくとも一部が、プランジャ537のハンドル543の内部に入り込み得る。このような実施形態により、液体組成物514及び/又は試料装荷基材515が第2リザーバ522の底で占めるスペースが少なくなり、フィルタ534がD1の方向に沿って第2リザーバ522の更に下方に動くことが可能になる。
【0126】
図9〜12は、本開示の別の実施形態による試料調製システム600を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム600は、図2〜3の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、600シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。図9〜12に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)の更に完全な説明のための図2〜3を伴う上記の説明の参照がなされる。
【0127】
図9に示されるように、試料調製システム600は、容器604と、蓋606と、カバー609と、フィルタアセンブリ633と、を含む。容器604は変形可能で、自己支持型かつ自立型である。容器604は、底部626と側壁628とを含む。側壁628はアコーディオン型の形状を含み、複数のプリーツ又は折り目645を擁し、これにより側壁628が各プリーツ645で折り畳まれ、容器604が実質的に長手方向軸に沿って折り畳まれるのを促進し、特に、容器604が実質的に長手方向軸に沿って実質的に均一に折り畳まれるのを促進する。図9に示す実施形態では、例としての目的に限定して、側壁628は、複数のプリーツ又は折り目645を含む。しかしながら、側壁628は、この側壁628が実質的に長手方向軸に沿って実質的に均一に折り畳まれるようにする他の構造を含むことができ、例えば、側壁628内に、側壁628の他の部分よりも剛性及び/又は厚さが少ないような、側壁628の環状の弱められた部分があり、これによって側壁628がその環状の弱められた部分の箇所で折れ曲がることが、理解されるべきである。他の好適な構造も可能であり、本開示の趣旨及び範囲内となる。
【0128】
容器604の底部626は、より硬質の材料で製造する、及び/又は側壁628よりも厚く製造することで強化し、容器604が長手方向軸に沿って折り畳まれるのを促すことができる。容器604は、試料装荷基材及び液体組成物を含むよう適合されたリザーバ622を含む。
【0129】
容器604は、ライナー104に関して上記に記載された材料を含む、さまざまな材料から形成することができる。容器604は、使用用途により、半透明(又は更には透明)、又は不透明にすることができる。試料調製システム600の構成要素の任意のもの又はすべてが、使い捨てであってよい(例えば、1回限り使用のために製造)。
【0130】
蓋606は、フィルタアセンブリ633に連結することができるポート632と、容器604内に収まる寸法である円筒形部分636と、円筒形部分636からポート632に延在するほぼ円錐形(例えば、円錐台形)の部分638と、を含む。円筒形部分636と円錐形部分638との間の接合部において、蓋106は、円筒形部分636及び円錐形の部分638から放射状に外側に向かって延在するへり640を更に含む。蓋606のポート632は全体的に円筒形で管状の形状であり、これによりポート632は内側表面652を含み、蓋606の開口部654を画定し、組み立てたときには試料調製システム600内にある。
【0131】
蓋606の円筒形部分636は、円筒形部分636が容器604の内側表面にスナップ嵌め又はプレス嵌めできるようにする、外側に向かって張り出す複数の突出部642を円周方向に含む。容器604には、蓋606のへり640と当接する関係を形成できる上面644が含まれ得る。蓋606及び容器604は、密封(例えば液密密封、密封封止、又はこれらの組み合わせなど)を形成するために、上記の取り外し可能又は恒久的な任意の連結手段を用いて、互いに連結することができ、これにより試料調製システム600の正常使用時の漏れを防ぐことができる。例えば、円周部から外側に突き出ている複数個の突出部642は、容器604の内側表面に超音波溶接することができる。
【0132】
フィルタアセンブリ633は、フレーム635とフィルタ634とを含む。フレーム635は、上部635aと下部635とを含み、フィルタ634はそれらの間に連結される。フレーム635の上部635aは、蓋606のポート632に連結して、蓋606のポート632内、及び容器604のリザーバ622内に収められるような形状及び寸法になっている。フレーム635は、下部635bを含む必要はないが、下部635bはフィルタ634に付加的重量をもたらし、フィルタ634が容器604のリザーバ622内の液体組成物にさらされるのを支援する。
【0133】
上部635aは、蓋606のポート632に収まる寸法の管状体647、蓋606のポート632の頂上に収まるような寸法にされたこの管状体647の上端に連結したへり649、及び、複数のリブ651が含まれる。リブ651は、管状体647に対して周囲方向に間隔を置いて配置される。図9に示す実施形態には、2つのリブ651が含まれているが、必要に応じて少ない数又は多い数のリブを使用することができる。リブ651は、スナップ嵌めで蓋606に連結するよう成型される。特に、リブ651はそれぞれ、フレームの上部635aがポート632の中に移動する際に、ポート632の内側表面652に沿ってスライドするよう適合されたカム表面675を含む。更に、各リブ651のカム表面675は、管状体647がポート632の中に移動する際に、それぞれのリブ651に半径方向に内向きの力をもたらし、これにより更にそれぞれのリブ651がポート632の底の下(すなわち、蓋606の内側)の位置にスナップ嵌め(例えば半径方向に外向きに)することができる。
【0134】
フィルタアセンブリ633は次に、少なくとも1つのリブ651を、ポート632の内側表面652にカム表面675が接触するのに十分なくらい内側に動かすのに十分な力で、フレーム635のへり649上で上向きに引っ張り、更にリブ651がポート632の内側表面652との接触から解放されるまで、内側表面652に沿ってカム表面675をスライドし続けることにより、蓋606から取り外すことができる。別の方法としては、フィルタアセンブリ633は、対応するリブ651のカム表面675をポート632の内側表面652に接触させるよう力を上向きにかけながら、少なくとも1つのリブ651を半径方向内向きに動かすことにより、あるいは、リブ651を互いに(例えば半径方向内向きに)寄せて圧迫し、ポート632から上方向へフレーム635の上部635aを動かすことにより、蓋606から取り外すことができる。
【0135】
図9に示すフィルタ634は折り畳み式であり、少なくとも部分的には、フレーム635の下部635bの重量によって、容器604のリザーバ622内に下向きにぶら下がるようにすることができる。
【0136】
カバー609は、ポート632の少なくとも一部分を収容するための形状及び寸法である。結果として、蓋606の開口部654を閉めるため、及び試料調製システム600を周辺環境から密封(例えば、気密密封)するために、カバー609を蓋606のポート632に連結することができる。カバー609は、上記に記載のいずれかの連結手段を使用して、蓋106に連結することができる。図9に示す実施形態では、蓋606のポート632は、カバー609の内側のねじ山(図示なし)に噛み合うよう適合された複数のねじ山674を含み、これによりカバー609をポート632にねじ込むことができる。しかしながら、上述の他の任意の連結手段を採用して、カバー609を蓋606に連結し、蓋606の開口部654を閉じることができる。カバー609及び蓋606は合わせて蓋アセンブリ677を形成することができ、試料調製システム600が組み立てられ閉じているときに、フィルタアセンブリ633のへり649を、このカバー609と、蓋606のポート632の上端との間に挟むことができる。
【0137】
図10は、蓋アセンブリ677及びフィルタアセンブリ633を示し、カバー609が蓋606に連結され、フィルタアセンブリ633がその間に連結されている。フィルタ634は圧縮された状態で図示されており、これによりフィルタアセンブリ633は蓋606の内側に収納されている。フィルタフレーム635の下部635bは折り畳み式フィルタ634に比較して堅く、これが長手方向軸に沿ってフィルタ634を折り畳む助けになり、これにより、フィルタ634は、フレーム635の下部635bを上向きに押し込むことによって、蓋606の内側に圧縮することができる。取り外し可能なバリヤーフィルム679は、蓋606の下部表面681に連結して、フィルタ634を圧縮状態で蓋606の内側に維持することができる。蓋アセンブリ677は、圧縮された状態のフィルタ634と共に、フィルタアセンブリ633が取り外し可能なバリヤーフィルム679によって蓋606の内側に収められた状態で、滅菌及びパッケージングすることができる。次にユーザーは、使用前に(例えば滅菌環境において)この取り外し可能なバリヤーフィルム679を取り外して、フィルタ634(及び、採用されている場合はフレーム635の下部635b)を蓋アセンブリ677の下に、圧縮されていない状態でぶら下げることができる。取り外し可能なバリヤーフィルム679はまた、蓋606を容器604に連結する直前に取り外し、フィルタ634が容器604のリザーバ622内に落ちるようにすることができる。取り外し可能なバリヤーフィルム679を取り外した後のフィルタ634の非圧縮状態を、図11に示す。
【0138】
取り外し可能なバリヤーフィルム679は、上述の任意の連結手段を使用して蓋606に連結することができ、さまざまな材料で形成することができ、これには、ポリプロピレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリエチレンが挙げられるがこれらに限定されないポリオレフィン、ポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例えば、NYLON(登録商標))、圧縮溶融吹付けマイクロファイバー(cBMF)、ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、取り外し可能なバリヤーフィルム679には、例えば熱密封された「剥がせる」フィルム、例えば3M(商標)SCOTCHPAK(商標)剥離ライナー(3M Company,St.Paul,MN)を挙げることができる。取り外し可能なバリヤーフィルム679は半透明であり得(又は更に透明)、又は不透明であり得る。取り外し可能なバリヤーフィルム679は、さまざまなプロセスで形成することができ、これには、鋳造プロセス、押出成形プロセス、溶融吹付けフィルム形成プロセスなど、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
いくつかの実施形態では、図12に示すように、カバー609は脆いバリヤー683を含み、これを破って容器604のリザーバ622に、あるいはフィルタ634内の容積にアクセスすることができる。バリヤー683には、膜、非多孔性フィルム及びこれらの組み合わせを挙げることができる。更に、脆いバリヤー683は、バリヤー683を脆くする(例えば、ピペット先端で破る)ことができるさまざまな材料で形成することができ、これには、ポリプロピレン(低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリエチレンが挙げられるがこれらに限定されないポリオレフィン、ポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例えば、NYLON(登録商標))、圧縮溶融吹付けマイクロファイバー(cBMF)、ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、合成又は天然エラストマー、3M(商標)TEGADERM(商標)フィルム包帯(3M Company,St.Paul,MN)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、バリヤー683は代わりに、蓋606の開口部654上に形成される。そのような実施形態では、カバー609は中実であってよく、例えばバリヤー683を破ったあとに蓋606を覆うのに使用でき、又はカバー609は追加のバリヤーを含むことができる。別の方法としては、蓋606内の開口部654上にバリヤー683が形成された実施形態では、カバー609は採用する必要がない。蓋606又はカバー609のいずれを採用した場合であっても、又は両方を採用した場合であっても、又は試料調製システム600の別の部分であっても、バリヤー683は、ガス浸透性の追加機能を含むことができ、これによりリザーバ622と周囲との間のガス交換が可能になる(例えば、対象の好気性細菌に酸素を供給するため)。
【0140】
図13は、本開示の別の実施形態による試料調製システム700を示す。図13は、試料調製システム700の蓋アセンブリ777のみを示す。試料調製システム700の他の構成要素は、前述され図2〜12に示されている試料調製システムの対応する他の構成要素のいずれかを含むと見なすことができ、よって単純化のため、図13には示していない。
【0141】
蓋アセンブリ777は、蓋706と、ヒンジ785を介して蓋706に連結しているカバー709と、を含む。いくつかの実施形態では、図13に示すように、ヒンジ785はリビングヒンジであり、カバー709は蓋706と共に一体成型されている。いくつかの実施形態では、ヒンジ785は、蓋706及びカバー709の一方又は両方とは別に形成される。カバー709はフリップトップのカバーであり、スナップ嵌めによって蓋706に連結することができる。図13に示す実施形態では、カバー709は、蓋706上の隆起部789にスナップ嵌め可能な突出部787を含む。カバー709は、他の密封手段(例えば、Oリング)を含むことができ、これによりカバー709が蓋706の上を覆って閉じたときに、カバー709が蓋706と密封(例えば、液密密封、密封封止など)を形成する。
【0142】
図14は、本開示の別の実施形態による試料調製システム800を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム800は、図2〜3及び7の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3及び7の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、800シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図14に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3及び7に対してなされる。
【0143】
図14は、試料調製システム800の上部のみを示す。試料調製システム800の他の構成要素は、前述され図2〜13に示されている試料調製システムの対応する他の構成要素を含むと見なすことができ、よって単純化のため、図14には示していない。
【0144】
試料調製システム800は、蓋806と、蓋806に連結した基材811と、を含む。基材811は、この基材811の底が蓋806の底より下に延在するように、蓋806の内側表面853に連結している。基材811は図14にスポンジの形態として示されている。
【0145】
蓋806は、この蓋806及び試料調製システム800内の開口部854を画定しているポート832と、蓋806が容器及び/又はライナーに連結することが可能になっている円筒形部分836と、円筒形部分836からポート832へと延在する円錐形(例えば、円錐台形)の部分838と、円筒形部分836と円錐形部分838との接合部で形成されて、蓋806を容器及び/又はライナーに接合する助けとなっている、へり840と、カバー又は他の装置のための連結手段を提供し得る上方向に伸びる突出部839と、を含む。
【0146】
図14に示されている実施形態では、基材811は、蓋806の円筒形部分836の底に延在するように、蓋806に連結される。基材811を蓋806の下に延在させることにより、基材811は、試料源の採取のため、並びに希釈剤と合わせて試料源と希釈剤とを含む液体組成物を形成するために、曝露された状態になっている。
【0147】
ユーザーの手を汚染することなく、対象の表面から試料源を基材811で採取するために、蓋806の任意の部分を、ハンドルとして機能させることができる。別の方法としては、蓋806の任意の部分を別の装置(例えば、ロボットアーム)に連結させることができ、これを対象の表面から試料源を採取するのに用いることができる(例えば、蓋806を表面に沿って移動させる)。
【0148】
試料調製システム800は更に、蓋806に連結したプランジャ837を含む。プランジャ837の少なくとも一部分が、ポート832内に収まる寸法であり、蓋806の内部へと延在して基材811に接触する。プランジャ837は、蓋806から基材811を取り外すのを促進するよう適合される。例えば、プランジャ837は、基材811を蓋806から外し、その基材811を(例えば、試料源を装荷した後に)容器及び/又はライナーのリザーバ内に落とすのに用いることができる。プランジャ837は、蓋806を容器及び/又はライナーに連結する前、連結中、又は連結した後に押し込むことができる。プランジャ837は、さまざまな好適な形状及び寸法を含むことができ、プランジャ437に関して上述したさまざまな材料で形成することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、プランジャ837は採用されず、試料調製システム800の使用中に基材811が蓋806に結合されたままであるか、又は、試料調製システム800の使用中に基材811を蓋806から分離することができる。例えば、基材811は、攪拌プロセス中又はその後に、あるいは希釈剤が基材811に吸収された後に(例えば、基材811を希釈剤で膨満させた後に)、蓋806から分離することができる。
【0150】
試料調製システム800は更に、液体組成物を濾過して濾液を形成するために適合できるフィルタ(図示なし)を含むことができる。いくつかの実施形態では、フィルタは図2〜3に示したフィルタ134と実質的に同じであり得、基材811はこのフィルタを収容する寸法の開口を含むことができ、これにより、蓋806が容器及び/又はライナーに連結されたときに、フィルタは液体組成物との流体連通して配置されるようになる。
【0151】
使用中、蓋806は、基材811に試料源を採取して試料装荷基材を形成するのに用いることができる。蓋806は次に、容器及び/又はライナーに連結され、これにより試料装荷基材が、希釈剤と流体連通して配置される。試料装荷基材は、リザーバ内に落とすことができ(例えば、希釈剤に入れて、希釈剤に浮かせるか、又はリザーバの底に沈める)、あるいはこの試料装荷基材は蓋806に連結したままにしておき、これにより、試料装荷基材がリザーバ内にあるときも容器又はライナーのいずれの内側表面にも接触せず、むしろ、いかなる内側表面からも距離を置く。
【0152】
希釈剤は、この試料装荷基材と相互作用して、試料源と希釈剤とを含む液体組成物を形成することができる。試料装荷基材及び希釈剤は攪拌されると、液体組成物の形成を強化することができる。更に、希釈剤が強化培地を含む場合、対象の少なくとも1つの検体が強化され得る。そのような強化は、例えば、インキュベーション環境に試料調製システム800を配置することにより、及び/又は試料調製システム800を反転させて、強化及び/又はインキュベーションプロセスの間中、希釈剤が試料装荷基材に接触した状態が維持されるようにすることにより、生じ得る。液体組成物(又は濾過が採用された場合は濾液)の少なくとも一部分は、濃縮、更なるインキュベーション、及び/又は対象の検体の分析のために、試料調製システム800から取り出すことができる。
【0153】
基材811は、例としての目的に限定して、蓋806に連結した状態で示されている。しかしながら、基材811はその代わりに、試料調製システム800の任意の他の構成要素に連結することができることを理解すべきである。例えば、基材811は、試料調製システム800の容器の底部内側に連結することができ、又は、試料調製システム800の容器若しくはライナーの側壁内側に連結することができる。そのような実施形態のいずれにおいても、例えば基材811がハンドルとして連結されるための試料調製システム800の構成要素を使用することによって、基材811に試料を装荷することができる。更に、試料装荷基材を希釈剤と流体連通して配置するのは、試料調製システム800の対応する部分を別の部分と連結することによって、又は試料調製システム800を組み立てることによって、達成することができる。
【0154】
図15は、本開示の別の実施形態による試料調製システム900を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム900は、図2〜3及び7の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3及び7の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、900シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図15に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3及び7に対してなされる。
【0155】
試料調製システム900は、第1リザーバ920を有する容器902と、第2リザーバ922を有し、第1リザーバ920内に収まる寸法であるライナー904と、蓋906と、フィルタ934と、を含む。蓋906は図7に示されている蓋406と実質的に同様であり、フィルタ934は図2〜3に示されているフィルタ134と実質的に同様である。フィルタ934は、濾液916を形成するよう適合される。蓋906は、蓋906の開口部954を画定するポート932と、試料調製システム900と、を含む。
【0156】
図15に示すように、基材911と試料源912とを含む試料装荷基材915は、ライナー904の第2リザーバ922内に配置され、希釈剤913と混合させて、試料源912と希釈剤913とを含む液体組成物914を形成する。図7に示す実施例において、基材911は拭取り布の形態である。
【0157】
容器902は、底部927に形成された開口924を含み、これによりライナー904への(例えば、ライナー904の底部926への)アクセスが可能になり、ライナー904を変形できる。このようなライナー904の変形を用いて、液体組成物914のレベル965を上昇させて、液体組成物914の濾過を促進し、あるいは濾液916の液体組成物914を試料調製システム900から取り出すのに使用することができる。濾液916のすべて、又は一部分(例えば、試料)は、フィルタ934の内部から取り出すことができる。特に、圧力差を生み出し、これによりライナー904を変形させ、液体組成物914にフィルタ934を通り抜けさせ、並びに、濾液916(又はフィルタ934が採用されていない場合は液体組成物914)を試料調製システム900から流出させることができる。この圧力差は、ライナー904の外側に(例えば、容器902の底部927の開口924を介してライナー904の底部926に)正圧を印加することにより、あるいはライナー904の内側に負圧を印加することにより、達成することができる。上記のように、正圧は、手で又は別の装置によってライナー904に印加することができ、手動又は自動プロセスを採用することができる。負圧(又は真空)は、ライナー904の内側に印加することができ、特にライナー904の第2リザーバ922に印加でき、これは例えば蓋906に真空源を連結することによって行われる(例えば蓋906のポート932に連結)。真空源には、減圧を生成する機械的ポンプ、又は手動ポンプ(例えば、注射器−プランジャの組み合わせ)、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0158】
試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800及び900並びにこれらの組み合わせのいずれも、上に記載され、図1に示される、一般に以下の試料調製方法10によって試料を調製するために使用することができる。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記述される1つの試料調製システムからのさまざまな構成要素は、本明細書に記述される別の試料調製システムからの他の構成要素と組み合わせて使用することができることも、当業者には理解されるであろう。例えば、容器604を、試料調製システム900のライナー904の代わりに使用することができる。ここで、図15の試料調製システム900を用いて、代表的な方法を詳しく説明する。
【0159】
試験表面から試料源912を採取し、試料装荷基材915を形成するために、基材911を使用することができる。基材911は拭取り布であり、よって容易に、対象の比較的大きな表面から試料源912を採取することができる。試料装荷基材915及び希釈剤913は、容器902の第1リザーバ920に加えられ、混ぜ合わせられて(すなわち、相互作用させられて)、試料源912と希釈剤913とを含む液体組成物914を形成することができる。上記のように、ライナー904又は容器902は、液体組成物914を入れることが可能な、自立型容器としての役目を果たすことができる。別の方法としては、ライナー904は変形可能かつ自己支持型であり得るが、ライナー904が容器902内に配置されるまでは必ずしも自立型である必要はない。蓋906は、ライナー904が容器902内に配置される前、又は後に、ライナー904と連結することができる。カラー(図示なし)を容器902と連結させて、試料調製システム900の構成要素全体を更に固定することができ、蓋開口部954はカバー(図示なし)を用いて閉じることができる。
【0160】
試料調製システム900は、攪拌して、試料装荷基材915を希釈剤913と相互作用させ、並びに、試料源912を希釈剤913中に溶解、分散、懸濁、及び/又は乳化させることができる。攪拌は前述の任意のプロセスを含んでもよく、例えば、直線状、円形軌道、楕円形軌道、ランダム軌道、これらの組み合わせ、又は試料装荷基材915と希釈剤913とを効率的かつ効果的に混合するための他の手段であってもよい。試料調製システム900は、液体組成物914の流出及び/又は損失を最小限にするために、攪拌中、クランプ、又は他の方法によって固定されてもよい。
【0161】
液体組成物914(又は試料調製システム900の内容物)は、選択された持続時間にわたって、いくつかの実施形態では周波数10〜2000サイクル/分、及び、いくつかの実施形態では周波数200〜500サイクル/分で、Burell Model 75 Wrist Action Shaker(Burrell Scientific,Pittsburgh,PA)によって攪拌することができる。試料調製システム900は、シェーカーアームから、いくつかの実施形態では5cm〜50cm、及び、いくつかの実施形態では10cm〜20cm、の距離に取り付けることができる。試料調製システム900は、いくつかの実施形態では5度〜30度、及び、いくつかの実施形態では15度〜20度の弧を描くことができる。液体組成物914は、少なくとも10秒、いくつかの実施形態では少なくとも15秒、いくつかの実施形態では少なくとも30秒、いくつかの実施形態では少なくとも40秒、及び、いくつかの実施形態では少なくとも60秒攪拌することができる。液体組成物914は、いくつかの実施形態では最長で15分、いくつかの実施形態では最長で10分、いくつかの実施形態では最長で5分、及び、いくつかの実施形態では最長で3分、攪拌することができる。
【0162】
液体組成物914は、選択された持続時間にわたって、いくつかの実施形態では200rpm〜5000rpm、及び、いくつかの実施形態では1000rpm〜3000rpmの攪拌周波数で、VX−2500 Multi−Tube Vortexer(VWR Scientific Products,West Chester,PA)で攪拌することができる。攪拌軌道は、直線、円、楕円、ランダム又はこれらの組み合わせであってもよい。楕円は、いくつかの実施形態では0.25cm〜5cmであり、いくつかの実施形態では1cm〜3cmである。
【0163】
上記のように、試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800及び/又は900の配列又は複数個は、後続の攪拌のために、重力、クランプ又は他の方法によって固定される、プレート、アーム、又は他の機器に設置することによって、同時に攪拌することができる。例えば、単一攪拌装置、又は複数の攪拌装置で、いくつかの実施形態では1〜約50個の試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800及び/又は900が同時に攪拌され、並びに、いくつかの実施形態では約10〜約25個の試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800及び/又は900が同時に攪拌される。
【0164】
いくつかの実施形態では、液体組成物914は、蓋開口部954(例えば、フィルタ934が存在しないとき)、あるいは、他の可能な開口のいずれかを通じて挿入されてもよい、シャフトと攪拌ブレードとを有する機械的攪拌器を加えることによって攪拌することができる。液体組成物914の攪拌は、試料源912から対象の検体(存在する場合)を放出させるために、希釈剤913における試料装荷基材915及び/又は試料源912の分解及び/又は分散を助長するために、鋼球ベアリング、磁気攪拌棒、ブレード及び他の手段で更に達成され得る。上記に記載される攪拌方法は、一例として挙げられるに過ぎず、限定することを意図したものではない。当業者は、他の類似の攪拌方法を採用できることを理解するであろう。
【0165】
液体組成物914は、希釈剤913と、希釈剤913中の対象の任意検体(存在する場合)と、を含む濾液916をフィルタ934内に配置して形成するために、フィルタ934を使用して濾過することができる。濾液916のすべて又は一部分(例えば、試料)を、更なる処理(例えば、分析)のためにフィルタ934の内部から取り出すことができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、液体組成物914のレベル965は、フィルタ934が液体組成物914のレベル965よりも一部は上方に、及び一部は下方に配置されるように、十分に高い。試料調製システム900は、必要に応じて、液体組成物914のレベル965を調節するために直立、勾配、傾斜、又は反転させて配置することができる。このような実施形態では、蓋開口部954を通してフィルタ934の内部にアクセス可能であり、濾液916の試料は、フィルタ934の内部から吸引することによって(例えば、ピペット操作によって)取り出すことができる。あるいは、濾液916は、蓋開口部954から濾液916を傾瀉法で移すことによって取り出すことができ、及び/又は、ライナー904は、このライナー904へ(例えば、容器902の底部927の開口924を経由してライナー904の底部926へ)圧力を加えることによって蓋開口部954から濾液916を追い出すことができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、液体組成物914のレベル965は、フィルタ934が液体組成物914のレベル965よりも完全に上方に設置されるように、フィルタ934の底よりも下方にある。このような実施形態では、フィルタ934で液体組成物914を濾過して、これにより濾液916がフィルタ934内に配置されるように、試料調製システム900を少なくとも部分的に反転することができる。上記のように、濾液916をフィルタ934の内部へ押し込む、及び/又は、蓋開口部954から押し出すために、圧力(すなわち、正又は負)をライナー904に加えることができる。あるいは、フィルタ934は、試料調製システム900が、反転後に直立位置に戻るとき、フィルタ934は、吸引及び/又は傾瀉法により移すことによって取り出せるように内部に濾液916を保持すべく構成することができる。
【0168】
上記のように、図4に示される試料調製システム200のようないくつかの実施形態では、フィルタ234は、試料装荷基材215の保有部、又は保持部としての役割を果たすことができる。このような実施形態では、希釈剤213は、容器202の第1リザーバ220に添加することができ(又は、容器202は、希釈剤213の予め計られた量で予め満たすことができ)、試料装荷基材215をフィルタ234内に配置することができる。蓋206は、容器202と連結することができ、試料調製システム200は、カバー、又は同様の密閉機器を使用して密閉することができる。組み立てられ、密閉された試料調製システム200は、液体組成物214がフィルタ234内に設置され、濾液216がフィルタ234の外側、及び容器202の第1リザーバ220内に設置されるようにして、攪拌し希釈剤213がフィルタ234の内外に流れるようにできる。
【0169】
上記のように、濾液216は、さまざまなサンプリングポート(例えば、サンプリングポート232)のいずれかから取り出すことができ、濾液216に依然として存在する場合がある更なる粒子を取り出すために、更に濾過することが可能である。例えば、濾液216は、容器202の側壁229に連結されたフィルタ234のものよりも小さい孔径を有するフィルタ234’によって更に濾過することができ、これにより第2濾液216’がフィルタ234’内に形成される。第2濾液216’、又はその試料は、上述の任意の技法を用いて取り出すことができる。
【0170】
試料調製システム900の使用の上記説明は、例としての目的限定で記述されるものであり、制限を意図したものではない。試料調製方法10の上記記述、及び上記の試料調製システムのさまざまな実施形態に基づき、当業者は、本開示の試料調製システムが試料を調製するのに使用され得るさまざまな方法を理解するであろう。
【0171】
上記に記載され、例示され、図に示される実施形態は、例としてであり、本発明の概念及び原理において限定を意図したものではない。当然、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、要素におけるさまざまな変更及びその構成並びに配置が可能であることは、当技術分野に精通する者に容易に理解されるであろう。本発明の種々の特徴及び態様は、添付の請求項に定める。
【背景技術】
【0001】
細菌、真菌、酵母、ウイルス、又はその他の微生物(場合により病原菌と呼ばれる)で表面が汚染されると、病気(病的状態)、及び場合によっては死(死亡)がもたらされることがある。これは、食品加工工場及び医療施設(例えば、病院)において表面が微生物で汚染された場合に、特に該当する。
【0002】
食品加工工場においては、表面(例えば固体表面、装置表面、保護布など)が汚染することがある。そのような汚染は、肉又は他の食品によってもたらされることがあり、また、汚染が肉又は他の食品に付着することがある。特定の環境におけるそのような微生物汚染及び/又は付着は、重大な健康リスクを提起することがある。例えば、汚染された食品加工工場から出荷された食品は、後で誰かが食べることになる。更に、一般住民によって栽培、購入、消費される食品は、それらが位置する場所で、環境に相関して増殖又は成長することができる微生物を含むか、あるいはそれらに感染する場合がある。この成長は、食品の腐敗又は病原体の増殖を加速する原因となる場合があり、それらは毒素を生成し、及び/又は感染をもたらすことがある。
【0003】
医療機関において、微生物は、感染した人又は別の経路から表面(例えば固体表面、装置表面、保護布など)の上に放出され得る。表面がいったん微生物で汚染されると、その汚染された表面に接触することで、微生物が容易かつ直ちに別の場所(例えば別の表面、人間、装置、食物など)に移動し得る。加えて、医療機関の患者の一部は、病原性病原菌に感染しており、その病原性病原菌をその医療機関内に持ち込むことになる。そのような医療機関にいる多くの人(例えば患者)は病気であり、免疫学的に弱っていることがあるため、そのような微生物汚染及び/又は移動が起こると特に問題となり得る。よってそのような人は、汚染病原体の感染により病気になるリスクが高くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のためのシステムを提供する。このシステムは、リザーバを含む変形可能な自己支持型容器と、その変形可能な自己支持型容器のリザーバ内に配置される試料装荷基材と、を含むことができる。この試料装荷基材は、基材と、表面から採取された試料源と、を含むことができる。このシステムは更に、試料装荷基材と流体連通した変形可能な自己支持型容器のリザーバ内に配置された希釈剤と、そのリザーバ内に配置された液体組成物とを含むことができる。液体組成物は、試料源と、希釈剤と、を含むことができる。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のためのシステムを提供する。このシステムは、第1リザーバを含む自立型容器と、この自立型容器の第1リザーバ内に収められる寸法になっており、第2リザーバを含む変形可能な自己支持型容器と、自立型容器及び変形可能な自己支持型容器のうち少なくとも1つに連結している蓋と、を含むことができる。この自立型容器は、変形可能な自己支持型容器よりも堅くなることができる。このシステムは更に、変形可能な自己支持型容器の第2リザーバ内に配置された試料装荷基材と、その試料装荷基材と流体連通した変形可能な自己支持型容器の第2リザーバ内に配置された希釈剤と、第2リザーバ内に配置された液体組成物と、を含むことができる。この試料装荷基材は、基材と、表面から採取された試料源と、を含むことができる。液体組成物は、試料源と、希釈剤と、を含むことができる。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のための方法を提供する。この方法は、試料装荷基材を提供することを含むことができる。この試料装荷基材は、基材と、表面から採取された試料源と、を含むことができる。この方法は更に、リザーバを含む、変形可能な自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程と、リザーバ内で試料装荷基材及び希釈剤を合わせる工程と、試料装荷基材及び希釈剤を攪拌することによって、試料源及び希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、を含むことができる。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のための方法を提供する。この方法は、試料装荷基材を提供する工程と、自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程と、を含むことができる。試料装荷基材は、基材と、表面から採取した試料源とを含むことができ、自己支持型容器は、リザーバと、内側表面と、を含むことができる。この方法は更に、自己支持型容器のリザーバ内に希釈剤を配置する工程と、試料装荷基材が自己支持型容器の内側表面から距離を置いて配置され、試料装荷基材が希釈剤と流体連通するよう、自己支持型容器のリザーバ内に試料装荷基材を配置する工程と、試料装荷基材と希釈剤とを攪拌することによって、試料源及び希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、を含むことができる。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態は、対象の検体について、表面を試験するための試料調製のための方法を提供する。この方法は、試料装荷基材を提供する工程と、試料調製システムを提供する工程と、を含むことができる。この試料装荷基材は、基材と、表面から採取された試料源と、を含むことができる。この試料調製システムは、自立型容器内に収められる寸法になっている変形可能な自己支持型容器を含むことができる。自立型容器は自己支持型容器よりも堅くてよく、変形可能な自己支持型容器はリザーバを含むことができる。この方法は更に、試料装荷基材及び希釈剤を合わせる工程と、試料装荷基材及び希釈剤を攪拌することによって、試料源及び希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、試料調製システムから試料を取り出す工程と、を含むことができる。
【0009】
本発明のその他の特徴及び態様は、「発明を実施するための形態」及び添付図面を熟考することによって、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の一実施形態による試料調製方法を描写する、概略フローチャート。
【図2】本開示の一実施形態による、蓋を含む試料調製システムの分解斜視図。
【図3】図2の線3−3に沿った図2の蓋の拡大断面図。
【図4】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【図5】本開示の別の実施形態による試料調製システムの蓋の底面図。
【図6】図5の線6−6に沿った図5の蓋の断面図。
【図7】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【図8】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【図9】本開示の別の実施形態による試料調製システムの分解組立側面図。この試料調製システムは、フィルタと、蓋及びカバーを含む蓋アセンブリと、を含む。
【図10】フィルタを圧縮した状態の、図9の蓋アセンブリ及びフィルタの斜視図。
【図11】フィルタを開いた状態の、図9及び10の蓋アセンブリ及びフィルタの斜視図。
【図12】図9〜11のカバーの上面斜視図。
【図13】本開示の別の実施形態による試料調製システムの蓋アセンブリの側面図。
【図14】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【図15】本開示の別の実施形態による試料調製システムの透視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、以下の記述で説明される、又は添付の図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置の用途に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつさまざまな方法で実践又は実行することができる。又、本明細書で使用される専門語及び専門用語は、説明目的のためであり、制限と見なされるべきではないことが理解されるべきである。本明細書で使用される「含める」、「含む」、「含有する」、又は「有する」、及びそれらの変化形は、その後に記載されるもの、その同等物、並びに追加物を包含することを意味する。別の方法で指定又は制限されない限り、用語「支持される」、及び「連結される」、並びにその変化形は、幅広く使用され、直接的及び間接的支持並びに連結の両方を包含する。その他の実施形態を利用することができ、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的又は論理的な変更を行うことができることが理解されるべきである。更に、「前側」、「背側」、「上部」、「底」及びこれらの同等物のような用語は、要素の互いの関係を記載するためにのみ使用され、装置の特定の配向を述べる、若しくは装置に必要である又は要求される配向を指示すること又は暗示すること、あるいは本明細書に記載される本発明が、使用中にどのように使用される、搭載される、表示される、又は設置されるかを特定すること、を決して意味しない。
【0012】
本開示は全般に、対象の検体について、環境表面を試験するための試料調製のためのシステム及び方法を目的とする。この試料は更に、さまざまな検体の存在の有無を調べるため、濃縮、強化、及び/又は分析を行うことができる。
【0013】
用語「表面」又は「環境表面」は全般に、試料源が採取され得る任意の表面を指す。試験する表面はさまざまな場所に存在する可能性があり、これには医療施設(例えば、病院、医院など)、デイケア施設、学校、水泳プール、洗面所(例えば、便器、流し、シャワー区画など)、ロッカールーム、フィットネス施設(例えば、団体フィットネススタジオ、ジムなど)、長期ケア施設(例えば、老人ホームなど)、食品加工工場、住宅、オフィス、食品サービス施設、ホテル、交通機関(例えば、自動車、バス、電車、飛行機、船、クルーズ船など)などが挙げられるが、これらに限定されない。表面の例には、壁(ドアを含む)、床、天井、排水管、冷房装置、ダクト(例えば、エアダクト)、排気口、便座、取っ手、ドアノブ、手すり、ベッドレール(例えば、病院の)、カウンタートップ、テーブル面、食事表面(例えば、トレー、皿など)、作業面、装置表面、衣服など、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。1つ以上の表面を、1つ以上の基材でサンプリングすることができ、その1つ以上の基材を試験のために組み合わせることができる。
【0014】
用語「基材」は一般に、対象の表面から試料を採取するために使用される材料を指す。採取の手段には、電荷相互作用、生化学的反応(例えば、抗原抗体複合体形成)、吸収、吸着、接着、凝集など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。基材は一般に、大きな表面積のサンプリング(試料源の採取)を行うために採用される。例えば、この基材は、いくつかの実施形態では少なくとも10cm2、いくつかの実施形態では少なくとも100cm2、いくつかの実施形態では少なくとも1m2、及びいくつかの実施形態では少なくとも100m2の面積をサンプリングするために採用される。基材はさまざまな形態であってよく、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒(例えば、巻き付けた繊維製品)、フィルム、ブラシ(例えば、堅い又は変形可能な剛毛)、及びこれらの同等物、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。この基材はさまざまな寸法であり得る。例えば、この基材は、いくつかの実施形態では少なくとも10cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも20cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも50cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも100cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも150cm2であり、いくつかの実施形態では少なくとも200cm2であり、及びいくつかの実施形態では少なくとも500cm2である。
【0015】
好適な基材には、織布材料、不織布材料、多孔質材料、膜状材料、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、好適な基材はさまざまな材料から形成することができ、ポリマー、紙、セラミックス、金属、布、接着剤、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な基材の具体的な例としては、フォーム、ポリマーフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルなど)、可溶性フィルム又はウェブ(例えば、ポリビニルアルコール)、セルロース系材料(例えば、セルロースエステル(例えば、酢酸セルロース)及びニトロセルロースなどの変性セルロース)、1つ以上の上記材料(すなわち、ポリマー、紙、セラミックス、金属、布、フォーム、ポリマーフィルム、及びこれらの組み合わせ)の織布ウェブ、1つ以上の上記材料の不織布ウェブ((3M(商標)THINS(登録商標)ULATE(商標)断熱材(3M Company,St.Paul,MN)、3M(商標)EASY TRAP(商標)ダスターシステムクロス(3M Company,St.Paul,MN)など)、金属コーティングされた(例えば、蒸気コーティングされた)ウェブ(このウェブは1つ以上の上記材料を含む)、静電帯電したウェブ(このウェブは1つ以上の上記材料を含む)、1つ以上の上記材料の繊維ウェブ(例えば、溶融吹付け(blown)マイクロファイバー、ステープルファイバー、及びこれらの組み合わせなど)、又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、この基材は更に、親水性又は疎水性の性質をもたらすコーティング又は組成物を含むことができる。さまざまな程度の親水性/疎水性を達成することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、コーティング又は組成物によって基材の水不透過性がもたらされる。
【0016】
いくつかの実施形態では、基材の少なくとも1つの主表面が非平坦である。用語「非平坦」は一般に、表面が比較的粗いトポロジーであることを指す。例えば、基材の主表面の非平坦さは、比較的滑らかであり得る。あるいは、基材の主表面の非平坦さは、比較的粗い、又は「非平坦な」状態であり得る。いくつかの実施形態では、基材は、1つ以上の隆起構造を有する主表面を含むことができ、突起、スパイク、隆起、及びこれらの同等物、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、基材は、1つ以上の凹んだ構造を有する主表面を含むことができ、穴、くぼみ、谷、チャネル、マイクロチャネル、及びこれらの同等物、又はこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、基材の少なくとも1つの主表面は、隆起構造と凹んだ構造との組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、隆起構造、凹んだ構造、又はこれらの組み合わせを含む基材は、試料材料を捕捉することができ、及び/又は対象の表面から材料をすり剥がして採取することができるような構造を提供することによって、環境表面から材料を採取するのに利点をもたらし得る。そのような隆起構造又は凹んだ構造は、基材に一体化して形成されてもよく、又はそのような構造を基材に結合させてもよい。そのような隆起構造又は凹んだ構造は、例えばマイクロ複製によって形成されてもよい。
【0017】
用語「試料源」は一般に、検体の試験を行う対象の表面から採取された物質を指す。いくつかの実施形態では、この試料源は、きれいであるように見える表面から採取されるため、この試料源の内容は、人間の裸眼では見えないことがある。そのような実施形態では、この試料源は小さな又は微細な材料(毛髪、皮膚細胞など)、対象の検体となる可能性のあるもの(例えば、微生物)、ダストなどのみを含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、試料源は、汚れているように見える表面から採取される。そのような実施形態では、試料源には食品又は非食品材料が含まれ得る。試料源は、固体、液体、半固体、ゼラチン状物質、及びこれらの組み合わせであってもよい。試料源物質は、対象の表面の全部又は一部分から採取され得る。試料源が、対象の表面の一部分から採取される場合は、これは、表面の「サンプリング」又は「表面から試料をとる」と一般に呼ばれる。しかしながら、本明細書において用語「試料」は一般に、更に濃縮、インキュベーション、及び/又は分析(例えば、検体の検出)を行うことを目的とした、試料調製システムから抜き取られた物質の体積又は質量を指す。
【0018】
用語「試料装荷基材」は一般に、対象の表面からの試料源物質を収集した基材を指すのに使用され、よって試料装荷基材は、基材と試料源を含む。使用される基材のタイプ、及び採取される試料のタイプによって、この試料源は、試料装荷基材の外部(例えば、外側表面)に存在することが可能であり、及び/又は、この試料源は、試料装荷基材の内部(例えばチャネル又は穴で、これらは浅くてもよく、又は曲がっていてもよい)に存在することが可能である。
【0019】
用語「食品」は一般に、固体、液体(例えば、溶液、分散液、乳濁液、懸濁液など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)、及び/又は半固体の食べられる組成物を指すのに用いられる。食品の例には、肉、鶏肉、卵、魚、魚介類、野菜、果物、加工食品(例えば、スープ、ソース、ペースト)、グレイン製品(例えば、小麦粉、穀物、パン)、缶詰、牛乳、その他の乳製品(例えば、チーズ、ヨーグルト、サワークリーム)、油脂、油、デザート、香辛料、薬味、パスタ、飲料、水、動物の餌、他の好適な食材、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
用語「非食品」は一般に、「食品」の定義には入らず、一般に食べられるものとしては見なされない、対象の試料源を指すのに用いられる。非食品試料源の例には、医学的試料、細胞可溶化物、全血又はその一部(例えば、血清)、その他の体液又は分泌物(例えば、唾液、汗、皮脂、尿)、便、細胞、組織、臓器、バイオプシー、植物材料、木材、土壌、沈降物、医薬品、化粧品、栄養補助食品(例えば、朝鮮人参カプセル)、製剤、感染媒介物、他の好適な食べられない材料、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0021】
用語「感染媒介物」は一般に、感染性の微生物を保持し得る、及び/又はそれらを運搬し得るような、無生命の物品又は基材を指すのに用いられる。感染媒介物には、食事用具、硬貨、紙幣、携帯電話、衣服(靴を含む)、ドアノブ、生理用品、おむつなど、これらの一部分、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0022】
用語「検体」は、一般に、検出される物質(例えば、検査室試験又は現場試験によって)を指すために使用される。試料源は、特定の検体の存在の有無、又は特定の検体の量について、試験することができる。このような検体は、試料源内(例えば、内部)、又は試料源の外部(例えば、外側表面上)に存在することができる。検体の例には、微生物、寄生生物(この一部は微生物でもある)、生体分子、化学物質(例えば、殺菌剤、抗生物質)、金属イオン(例えば、水銀イオン、重金属イオン)、金属イオン含有錯体(例えば、金属イオン及び有機配位子を含む錯体)、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0023】
検体を同定及び/又は定量するために、微生物学的アッセイ、生化学的アッセイ(例えば、イムノアッセイ)、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、さまざまな試験方法を使用することができる。使用できる試験方法の具体的な例には、ラテラルフローアッセイ、滴定、熱分析、顕微鏡検査(例えば、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、免疫蛍光顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM))、分光法(例えば、マススペクトル、核磁気共鳴(NMR)分光法、ラマン分光法、赤外線(IR)分光法、X線分光法、全反射減衰分光法、フーリエ変換分光法、ガンマ線分光法など)、分光測光法(例えば、吸光度、蛍光、発光など)、クロマトグラフィー(例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなど)、電気化学分析、遺伝子学的技法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写媒介性増幅(TMA)、ハイブリダイゼーション保護アッセイ(hybridizationprotectionassay)(HPA)、DNA又はRNA分子認識アッセイなど)、アデノシン三リン酸(ATP)検出アッセイ、免疫アッセイ(例えば、酵素免疫吸着アッセイ(ELISA))、細胞毒性アッセイ、ウイルスプラークアッセイ、細胞病理学的影響を評価する技法、増殖培地(例えば、寒天)及び/又は3M(商標)Petrifilm(商標)Plates(及び、例えば、3M(商標)Petrifilm(商標)Plate Reader(3M Company,St.Paul,MN)で画像化、定量及び/若しくは解釈)を用いて行うことができるものなどの培養技法、その他の好適な検体試験方法、又は、これらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0024】
用語「微生物」は一般に、原核又は真核微生物を指すのに用いられ、細菌(例えば、運動性又は植物性、グラム陽性又はグラム陰性)、ウイルス(例えば、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、DNAウイルス、RNAウイルス、エンベロープウイルス、非エンベロープウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)など)、細菌胞子及び内生胞子、藻類、真菌(酵母、糸状菌、真菌胞子など)、プリオン、マイコプラズマ、及び原生動物のうち1つ以上が挙げられるが、限定されない。場合によっては、特に対象の微生物は病原性のものであり、用語「病原体」は、本明細書において任意の病原微生物を指すために使用される。病原体の例には、腸内細菌科に属する菌、又はミクロコッカス科に属する菌、又はブドウ球菌属、連鎖球菌属、シュードモナス属、腸球菌属、サルモネラ属、レジオネラ属、赤痢菌属、エルシニア属、エンテロバクター属、エシェリキア属、バチルス属、リステリア属、カンピロバクター属、アシネトバクター属、ビブリオ属、クロストリジウム属、及びコリネバクテリウム属に属する菌を挙げることができるが、これらに限定されない。病原体の具体的な例には、大腸菌(例えば、血清型O157:H7といった腸管出血性大腸菌が挙げられる)、緑膿菌、セレウス菌、炭疽菌、腸炎菌、ネズミチフス菌、リステリア・モノサイトゲネス、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、カンピロバクター・ジェジュニ、腸炎エルシニア、ビブリオ・バルニフィカス、クロストリジウム・ディフィシル、バンコマイシン耐性腸球菌、及びエンテロバクター・サカザキを挙げることができるが、これらに限定されない。微生物の増殖に影響を与え得る環境要因には、栄養物の存在の有無、pH、含水量、酸化還元電位、抗菌性化合物、温度、大気ガス組成物及び生物学的構造又はバリヤーが挙げられる。
【0025】
用語「寄生生物」は一般に、第二生物(すなわち、宿主)の内部(すなわち、内部寄生生物)又は表面(すなわち、外部寄生生物)において生息し、典型的にはその第二生物に害をもたらす生物を指すのに用いられる。寄生生物には、微生物、及び蠕虫(回虫、線虫、鉤虫、巨視的多細胞蠕虫、蟯虫、鞭虫など)を挙げることができるが、これらに限定されない。寄生生物の具体的な例には、クリプトスポリジウム、ジアルディア、ブラストシスチス・ホミニス、小形アメーバ(Endolimax nana)、クリプトスポリジウム・パルバム、赤痢アメーバ、大腸アメーバ、ハルトマンアメーバ(Entamoeba hartmanni)、ランブル鞭毛虫、メニール鞭毛虫、サイクロスポラ胞子虫、蠕虫(巨視的多細胞蠕虫)、回虫(ヒト回虫)、糞線虫(線虫)、ズビニ鉤虫(鉤虫)、アメリカ鉤虫(鉤虫)、Enterobius vermicularis(蟯虫)、及びTrichuris trichiura(鞭虫)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「生体分子」は、一般に、生物によって生じる、又は形成される、分子、若しくはその誘導体を指すために使用される。例えば、生体分子は、アミノ酸、核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、糖、多糖、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されない。生体分子の具体的な例には、代謝産物(例えば、ブドウ球菌外毒素)、アレルゲン(例えば、ピーナツアレルゲン、卵アレルゲン、花粉、チリダニ、カビ、フケ、又はこれらに由来するタンパク質など)、ホルモン、毒素(例えば、バチルス菌下痢性毒素、アフラトキシン、クロストリジウム・ディフィシル毒素など)、RNA(例えば、mRNA、全RNA、tRNAなど)、DNA(例えば、プラスミドDNA、植物DNAなど)、標識タンパク質、抗体、抗原、ATP、及びこれらの組み合わせが挙げることができるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「可溶物」及び「不溶物」は、一般に、任意の媒体において、特定の条件下で比較的可溶性又は不溶性の物質を指すために使用される。具体的には、所定の条件下において、「可溶物」は溶液の中に入り、系の溶媒(例えば希釈剤)に溶解可能なものである。「不溶物」は、所定の条件下において、溶液の中に入らず、系の溶媒中に溶けないものである。試料源は、可溶物と不溶物(例えば、細胞破片)を含み得る。不溶物は、微粒子又は残屑と称される場合があり、試料源物質自体の一部分(すなわち、試料源の内側部分又は外側部分(例えば、外側表面)から)、若しくは攪拌プロセスから生じるその他の試料源残基又は残屑を含むことができる。対象の検体は、可溶物中又は不溶物中に存在し得る。
【0028】
用語「攪拌」及びその派生語は一般に、液体組成物に対して例えばその内容を混合する若しくは混ぜるための、又は、液体と混ぜ合わせることによって固体試料源を液化するための、動きを与えるプロセスを指すのに用いられる。手動振盪、機械的振盪(例えば、直線的浸透)、音波処理(例えば、超音波振動)、ボルテックス攪拌、手動攪拌、機械的攪拌(例えば、機械プロペラ、電磁攪拌棒、又はボールベアリングなどの他の攪拌補助手段による)、手動叩解、機械的叩解、混合、混練、混転、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、さまざまな攪拌方法を使用することができる。
【0029】
用語「濾過」は一般に、寸法、電荷、及び/又は機能によって物質を分離するプロセスを指すのに用いられる。例えば、濾過には、可溶物及び溶媒(例えば希釈剤)を不溶物から分離すること、又は可溶物、溶媒及び比較的小さな不溶物を、比較的大きな不溶物から分離することを挙げることができる。さまざまな濾過方法が使用でき、液体組成物をフィルタに通すこと、沈殿させてから吸引又は液体を傾瀉法で移すこと、他の好適な濾過方法、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。「沈殿」は、液体組成物中の不溶物を沈殿させることを指すのに用いられる。沈殿は、重力又は遠心分離によって生じてもよい。不溶物(又は比較的大きな不溶物)は次に、可溶物及び溶媒を不溶物から吸引することにより、又は可溶物及び溶媒を傾瀉法で移すことにより、又はこれらの組み合わせにより、可溶物(又は可溶物及び比較的小さな不溶物)から分離することができる。
【0030】
「フィルタ」は一般に、液体組成物中の可溶物(又は可溶物及び比較的小さな不溶物)及び溶媒を、不溶物(又は比較的大きな不溶物)から分離するために使用される装置を指すのに用いられる。フィルタの例には、織布又は不織布メッシュ(例えば、ワイヤーメッシュ、クロスメッシュ、プラスチックメッシュなど)、織布又は不織布高分子ウェブ(例えば、均一又は不均一プロセスにおいて配置された高分子繊維を含み、これをカレンダーにかけることができる)、表面フィルタ、デプスフィルタ、膜(セラミック膜(例えば、ANOPOREの商品名でWhatman Inc.(Florham Park,NJ)から入手可能なセラミック酸化アルミニウム膜フィルタ)、ポリカーボネート膜(例えば、NUCLEOPOREの商品名でWhatman Inc.から入手可能なトラックエッチングされたポリカーボネート膜フィルタ)、ポリエステル膜(例えば、トラックエッチングされたポリエステルを含む))、ふるい、グラスウール、フリット、濾紙、フォームなど、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0031】
用語「濾液」は一般に、不溶物(又は少なくとも比較的大きな不溶物)が液体組成物から取り出された後に残る液体を示すのに用いられる。濾過には幅広い方法が挙げられるため、用語「濾液」は、不溶物(又は少なくとも比較的大きな不溶物)を混合物中で沈殿させることから生じる上澄みを示すのに使用することもできる。
【0032】
用語「取り出す」及びその派生語は一般に、試料調製システムから試料を取り出すことを指すが、取り出したときにその試料又は試料調製システムが周辺環境にさらされることを必ずしも意味するものではない。すなわち、試料を試料調製システムから取り出し、濃縮、インキュベーション、分析などのために別の装置に直接移動させることができる。いくつかの実施例において、「周辺環境にさらすことなく」という句及びその派生表現は、(例えば、こぼれや汚染を防ぐために)所望されるまで試料調製システムから試料を取り出さないことを指し、しかしながら、その試料調製システムが気体交換に対して閉じていることを必ずしも意味するものではなく、また、所望される場合には、試料調製及びシステム内に他の液体が入ることができないことを必ずしも意味するものではない。
【0033】
図1は、本開示の一実施形態による試料調製方法10を示す。試料調製方法10は、分析が可能な対象表面から得た試料の調製に用いることができる。図1に示されるように、試料調製方法10は、基材11を取得することによって開始することができる。基材11は次に、対象の環境表面から試料源12を採取し、試料源12を含む試料装荷基材15を形成することができる。希釈剤13は、試料装荷基材15のすべて又は一部分と組み合わせ、攪拌して、希釈剤13中に溶解した、分散した、懸濁した、及び/又は乳化した試料源12を含む液体組成物14を形成することができる。このように、一般に、液体組成物14は混合物であり、溶液、乳濁液、分散液、懸濁液、又はこれらの組み合わせであってもよい。基材11/試料装荷基材15は、液体組成物14の存在下で残しておくことができ、あるいは、試料源12のかなりの量をその試料装荷基材15から放出させた後に、基材11/試料装荷基材15を取り出すことができる。
【0034】
基材11は、さまざまな方法で対象表面から試料源12を採取又は収集することができ、これには対象表面に直接接触することと、直接には接触しないこととが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、基材11は対象表面に接触して、試料源12を収集することができる。いくつかの実施形態では、基材11は表面に接触し、表面に沿って移動して、試料源12を収集することができる。いくつかの実施形態では、基材11は表面に接触することなく、対象表面の近くに保持された状態で、試料源12を収集することができる(例えば静電帯電により)。いくつかの実施形態では、基材11は、表面の近くに配置され、表面に沿って動かすことにより、試料源12を収集することができる(例えば静電帯電により)。上記の採取方法はすべて、本明細書において、一般に、表面からの試料源の「採取」を示すものとする。
【0035】
試料源12は、希釈剤13と組み合わせられる際、試料源12の一部分が希釈剤13に溶解する一方、試料源12の別の部分が希釈剤13に懸濁する、分散する、又は乳化するように、可溶物及び不溶物15を含み得る。液体組成物14は次に濾過され、対象の検体(存在する場合)を含む濾液16を形成する。この対象の検体は、液体組成物14の可溶物又は不溶物内に存在し得る。対象の検体が不溶物内に存在する場合で、くず又は不必要な物質から対象の検体を取り出すためにフィルタが採用されている場合、このフィルタは典型的に、対象の検体(及び、おそらくは他の同程度の大きさの不溶物)が濾液16としてフィルタを通過し、同時に比較的大きな不溶物17がフィルタ通過を制限されるように適応される。よって、濾液16がある程度の不溶物を含むことが理解されるべきであり、不溶物17は、単純化のため、及び例としての目的に限定して、液体組成物14から取り出されるものとして図1に示されている。次に試料18は、濾液16の少なくとも一部分から形成することができ、この試料18は濃縮、インキュベーション、分析などのために取り出すことができる。さまざまな試料調製システムから得た試料18は、強化、濃縮、分析などのうち1つ以上のもののために、合わせて保存しておくことができる。
【0036】
本開示全体を通じて、液体組成物14、濾液16、及びこれらの任意の試料18のうち1つ以上が、対象の検体を含むものとして記述され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、液体組成物14は対象の検体を含んでおらず、試料を分析したときに陰性試験結果がもたらされることがある。例えば、試料が調製され、細菌について検査され、その試料を元々採取した表面が細菌を含んでいなかった場合、上記プロセスで形成される液体組成物14、並びにその任意の濾液16及び試料18も、対象の細菌を含まないことになる。よって、液体組成物14、濾液16、及びそれらから得られた任意の試料18のうち1つ以上が対象の検体を含むものとして記述されている場合であっても、それは、対象の検体が存在する場合に限られることが理解されるべきである。
【0037】
図1及び上述の試料調製方法10は、例としての目的に限定して図示及び説明されているものである。しかしながら、本開示の試料調製方法は、図1に示され上述されているすべての工程を必ずしも含む必要はないことが、当業者には理解されよう。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、試料調製方法10は、濾過工程を含まないが、代わりに液体組成物14の試料は、濃縮、インキュベーション、及び/又は分析などを行われる。
【0038】
希釈剤13は、一般に液体であり、いくつかの実施形態では、滅菌液である。いくつかの実施形態では、この希釈剤13は、さまざまな添加剤を含んでいてよく、これには界面活性剤、又は、後続の検体試験のために試料源を分散、溶解、懸濁又は乳化させる助けになる他の好適な添加剤;レオロジー剤;抗菌性中和剤(例えば、保存料又は他の抗菌剤を中和するもの);栄養物(例えば所望の微生物の選択的増殖を促進するもの)及び/又は増殖阻害剤(例えば、所望されない微生物の増殖を阻害するもの)を含む強化剤又は培地;pH緩衝剤;酵素;指示薬分子(例えばpH又は酸化/還元指示薬);胞子発芽剤;消毒剤の中和薬(例えば、塩素に対するチオ硫酸ナトリウムの中和);細菌の回復を促進するための薬剤(例えばピルビン酸ナトリウム);又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、希釈剤13は、滅菌水(例えば、滅菌2重蒸留水(ddH2O))、試料源を選択的に溶解する、分散する、懸濁する、又は乳化する1つ以上の有機溶媒、水溶性有機溶媒、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、希釈剤13は、滅菌緩衝溶液(例えば、バターフィールド緩衝液(Edge Biological,Memphis,TNから入手可能))である。いくつかの実施形態では、希釈剤13は、希釈剤13が所望の検体(例えば、細菌)を選択的又は半選択的に成長するために使用できるような、選択的又は半選択的栄養製剤である。そのような実施形態では、希釈剤13は一定期間(例えば、特定の温度で)試料源12と共にインキュベーションし、望ましい検体のそのような成長を促進させることができる。
【0039】
成長培地の例には、トリプティックソイブロス(TSB)、干渉ペプトン水(BPW)、一般用予備強化ブロス(UPB)、リステリア強化ブロス(LEB)、乳糖ブロス、ボルトンブロス、又は他の、当該技術分野において既知の一般的、非選択的、又は穏やかに選択的な培地が挙げられるが、これらに限定されない。成長培地には、1つを超える所望の微生物の成長を支持する栄養素が含まれ得る。
【0040】
成長阻害剤の例には、胆汁塩、デオキシコール酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化リチウム、亜テルル酸カリウム、四チオン酸ナトリウム、スルファセタミドナトリウム、マンデル酸、亜セレン酸システイン四チオン酸、スルファメタジン、ブリリアント・グリーン、シュウ酸マラカイト・グリーン、クリスタルバイオレット、タージトール4、スルファジアジン、アミカシン、アズトレオナム、ナリジクス酸、アクリフラビン、ポリミキシンB、ノボビオシン、アラフォスファリン、有機酸及び鉱酸、バクテリオファージ、ジクロランローズベンガル、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、特定の濃度の塩化ナトリウム、ショ糖、及び他の溶質、並びにこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0041】
いくつかの実施形態では、試料源12は希釈剤13を含み、これにより液体組成物14は試料源12及び希釈剤13を含むが、希釈剤13は別途追加されたものではない。例えば、かなりの量の水又は他の液体を含む食品試料源は、別途に希釈剤13を加える必要なしに、試料源12及び希釈剤13を含む液体組成物14を形成するよう混合することができる。いくつかの実施形態では、試料源12は希釈剤13に実質的に溶解してもよく、その結果液体組成物14が最小限の量の不溶物15を含み、濾過工程が不要となる。
【0042】
いくつかの実施形態では、試料装荷基材15は、希釈剤13を含む。例えば、いくつかの実施形態では、基材11が(すなわち、試料源12を採取する前に)希釈剤13を含んでいるため(例えば、基材11が濡れた状態でパッケージされているか、又は試料源12を採取する前に希釈剤13で予め濡れていた)、試料装荷基材15は希釈剤13を含むことができる。このような実施形態では、例えば、基材11は、湿潤剤又は界面活性剤(例えば、対象表面から試料源12を取り出しやすくするため、又は、基材11による試料源12の捕捉を促進するため)、消毒剤の中和薬(例えば、塩素に対するチオ硫酸ナトリウムの中和)、又は、細菌の回復を促進することを意図された薬剤(例えば、ピルビン酸ナトリウム)が含むことができる。いくつかの実施形態では、試料装荷基材15は、試料装荷基材15に加えられる希釈剤13の結果として、希釈剤13を含むことができる(すなわち、試料源12を採取した後、例えば、試料装荷基材15を希釈剤13ですすぐなど)。いくつかの実施形態では、試料装荷基材15は、試料源12及び希釈剤13が両方とも試験する表面上に存在し、両方とも基材11によって採取された場合の結果として、希釈剤13を含むことができる。いくつかの実施形態では、基材11によって採取された試料源12が希釈剤13を含むため、試料装荷基材15は、希釈剤13を含むことができる。いくつかの実施形態では、この試料装荷基材15は、上記シナリオの1つ以上の組み合わせの結果、希釈剤13を含む。
【0043】
図2は、本開示の一実施形態による試料調製システム100を示す。図2に示されるように、試料調製システム100は、容器102、ライナー104、蓋106、カラー108、及びカバー109を含む。いくつかの実施形態では、蒸気、ガンマ線放射、エチレンオキシド、過酸化水素、過酢酸、ヒドロアルコール性溶液、漂白剤、及びこれらの組み合わせなどの滅菌及び消毒手順によって、試料調製システム100の構成要素の1つ以上を滅菌済み又は減菌可能にすることができる。この試料調製システム100に類似の機能を有するシステムは、PCT国際特許公開第98/32539号、米国特許第6,536,687号及び同第6,588,681号、PCT国際特許公開第2004/060574号、同第2004/060575号、米国特許公開第2004/0164182号、PCT国際特許公開第2004/094072号、同第2007/079143号、同第2007/079188号に記述されており、これらはそれぞれ、参考として全体が本明細書に組み込まれる。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態は、複数の試料調製システム100を採用し、これにより複数の試料調製システム100が平行して(又は試料を蓄積して)試料調製を迅速に行い、生産性/生産高を高めることができる。このような実施形態では、複数の試料調製システム100は、少なくとも部分的に統合して形成されてもよく、又は個別に形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、複数のライナー104を、1つの相対的に大きな容器102(例えば、ライナー104のための複数のリザーバ)内で使用することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、容器102は、自立型及び/又は自己支持型であり、底部127及び側壁129を含む。用語「自立型」は一般に、倒壊又は変形なしに、かつ、他のものによる支えなしに、それ自身で立つことができる物体を指すのに用いられる。用語「自己支持型」は一般に、それ自身の重さで、倒壊又は変形を起こさない物体を指すのに用いられる。例えば、袋は一般にその形状を維持せず、それ自身の重さで倒壊又は変形を起こすため、「自己支持型」ではない。自己支持型の物体は、必ずしも自立型ではない。
【0046】
容器102は、高分子材料、金属(例えば、アルミニウム、ステンレススチールなど)、セラミックス、ガラス、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、さまざまな物質から形成することができる。高分子材料の例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの組み合わせなど)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、自立型及び/又は自己支持型容器を形成することができるその他の好適な高分子材料、又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。容器102は、分析する試料源/試料装荷基材の種類、量、及びサイズにより、半透明(又は更には透明)、又は不透明であってよく、任意の好適なサイズであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、容器102の容量は、50mL、100mL、250mL、又はより大きくてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、試料調製システム100は、容器102の中に収容できる形状及び寸法であるライナー104を含む。ライナー104は、使い捨て(例えば、1回限り使用するように作製された)であってもよく、実質的な汚染のリスクがなく、かつ使用の間で大規模な洗浄を必要とすることなく、容器102を再使用するのを可能にする。後述及び図9で詳しく説明されるように、いくつかの実施形態では、試料調製システムは容器なしでライナーを含む。ライナーが容器なしで使用される場合、それ自体「ライナー」としては機能せず、一般に容器(receptacle or container)を意味し得る。
【0048】
図2に示されるように、容器102は、第1リザーバ120を画定し、ライナー104は、第2リザーバ122を画定する。ライナー104は、容器102の第1リザーバ120の中に収容できるような形状及び寸法である。いくつかの実施形態では、希釈剤113及び、基材111と試料源112とを含む試料装荷基材115を、第1リザーバ120に加えることができる。いくつかの実施形態では、図2に示されるように、ライナー104が採用され、試料装荷基材115及び希釈剤113が第2リザーバ122内に配置され、ライナー104が第1リザーバ120内に配置される。加えられるのが第1リザーバ120であれ第2リザーバ122であれ、試料装荷基材115及び希釈剤113を合わせて(及び攪拌して)、試料源112及び希釈剤113を含む液体組成物114を形成することができる。いくつかの実施形態では、ライナー104は自立型であり、ライナー104又は容器102は自立型容器として機能し、液体組成物114及び試料装荷基材115を収容することができる。
【0049】
図2に示す実施形態では、試料装荷基材115は基材111を含み、この基材111は拭取り布の形態である。拭取り布は平坦又は非平坦であってよく、前述の材料の任意のもので形成することができる。拭取り布は、例としての目的に限定して図2に示されているが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、基材111は前述の任意のもので形成することができ、前述の任意の形態であり得ることが理解されるべきである。
【0050】
図2に示されている時点において、基材111は既に対象表面から試料源112を採取するのに用いられて試料装荷基材115を形成しており、この試料装荷基材115がライナー104の第2リザーバ122内に配置されている。試料装荷基材115が希釈剤113と混合されると、試料源112が希釈剤と合わさってその試料装荷基材115から取り出され、これにより試料装荷基材115が「装荷されてない」状態がもたらされ得る。この試料装荷基材115が試料源112で依然として「装荷されている」か、それとも部分的又は完全に「装荷されていない」状態になっているかどうかは、液体組成物114との平衡、採取された試料源112の種類、どの時点であるかなど、さまざまな要因に依存する。よって単純化のため、基材は、既に採取された試料源112を有していて、試料調製システム100内に配置されているときに、試料装荷基材115として記述されることとする。しかしながら、試料装荷基材115が希釈剤113の存在下にあり、液体組成物114が形成されているとき、この試料装荷基材115は「装荷されていない」状態になり得ることが理解されるべきである。
【0051】
容器102又はライナー104にまず試料装荷基材115を加え、次に希釈剤113を加えることができ、あるいはまず希釈剤113を加え、次に試料装荷基材115を加えることができ、あるいは試料装荷基材115と希釈剤113とを同時に加えることができる(又は、試料装荷基材115及び/又は試料源112は希釈剤113を含むことができる)。別の方法としては、試料装荷基材115及び希釈剤113を予め合わせてから、試料調製システム100に加えることができる。いくつかの実施形態では、希釈剤113は、試料源112を採取するために、基材111を使用する前に表面に適用することができ(例えばスプレーする、注ぐなどにより)、これにより基材111が試料源112を採取する際に、希釈剤113をも採取することになり、試料源112と希釈剤113とを含むこの試料装荷基材115を試料調製システム100に加えることができる。
【0052】
希釈剤113が容器102又はライナー104に最初に加えられるいくつかの実施形態では、計量済みの量の希釈剤113(例えば、滅菌液体希釈剤)を、取り外し可能な連結カバー付きの容器102又はライナー104に封入することができ(例えば、接着剤、熱密封、超音波溶接、又は後述のその他の任意の連結手段1つ以上によって、容器102又はライナー104に連結した、1回使い捨ての取り外し可能バリヤーフィルム)、これによりこのカバーは、試料装荷基材115を加える直前に取り外すことができる。別の方法としては、いくつかの実施形態では、計量済みの量の乾燥粉末培地(例えば、対象検体の栄養培地、及び/又は対象でない検体の成長阻害剤)を、取り外し可能な連結カバー付きの容器102又はライナー104に封入することができ、又は所望の培地を、容器102又はライナー104の内面にコーティング又は吸着させることができる。そのような実施形態では、カバーは取り外すことができ、試料装荷基材115が加えられる前又は加えられると同時に、溶媒(例えば、ddH2O)を加えて希釈剤113を形成することができる。別の方法としては、試料源112及び/又は試料装荷基材115が培地を溶かすことができる液体を十分に含んでいる場合、試料装荷基材115を乾燥粉末培地に加えて、試料源112と希釈剤113とを含む液体組成物114(例えば、試料源112及び/又は試料装荷基材115によって提供される溶媒に溶解した培地)を形成することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、容器102及び/又はライナー104(ライナー104が採用されている場合)は、区画に分けて、1つを超える第1リザーバ120及び/又は1つを超える第2リザーバ122をそれぞれ含むようにすることができる。複数のリザーバ120/122を、例えば、多段階の強化、さまざまな微生物の平行又は同時の強化、又はこれらの組み合わせに用いることができる。例としての目的で、ライナー104は、2つの第2リザーバ122を含むことができる(この実施例において、単純化のためにリザーバA及びBと称する)。第1の強化培地は、ある微生物の第1の強化のために、リザーバA内に配置することができ、第2の強化培地は、同じ微生物の第2の強化のために、リザーバBに配置することができる。リザーバA及びBは、例えば、両方とも培地の配置のためにアクセス可能であるが、試料装荷基材115、又はその一部分、及び希釈剤113を、他方には加えることなく一方だけに加えることができる。液体組成物114が形成され、第1の強化がリザーバAで行われた後、その液体組成物114(及び所望により試料装荷基材115)の任意の部分をリザーバBに移し、第2の強化を行うことができる。液体組成物114、又はその一部分は、さまざまな方法でリザーバBに移すことができ、試料調製システム100を攪拌すること、2つのリザーバA及びBの間にある脆いバリヤーを破ること、などが挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、1つの容器102に複数のライナー104を採用し、これにより1つの容器102が1つ以上の第1リザーバ120を含み、及び/又は1つ以上のライナー104(それぞれが1つ以上の第2リザーバ122を含む)がその容器102内に配置されるようにすることができる。他の構成も可能であり、当業者には、複数の区画を達成するために可能なさまざまな変更が理解されるであろう。構成がどのようなものであれ、複数のリザーバ又は区画は、横並び、縦並び、同心円配列、又はこれらの組み合わせで配置することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、液体組成物114を形成し、試料源112をその試料装荷基材115から取り出そうという試みにおいて、試料装荷基材115を少なくとも部分的に分解することができる。この試料装荷基材115を分解することにより、液体組成物114内の試料源112の濃度が増加し得る。例えば、試料装荷基材115を分解又は切断するような攪拌プロセスを採用して、希釈剤113が試料装荷基材115と反応するための、又は試料装荷基材115に入り込むために利用可能な表面積を増加させることができる。いくつかの実施形態では、試料装荷基材115は、その試料装荷基材115の分解を促進する比較的デリケートな基材111を含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、希釈剤113は、試料装荷基材115の物理的又は化学的分解を促進するよう適合された物理剤又は化学剤を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、希釈剤113は、基材111を溶解可能な溶媒を含むことができる(例えば、基材111が水に可溶であるなど)。
【0056】
ライナー104は、さまざまな物質から形成することができる(これには、さまざまな高分子材料(ポリオレフィン(ポリプロピレン(例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレン、及びポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例えば、NYLON(登録商標))、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)。いくつかの実施形態では、ライナー104は、熱成形プロセス等のモールド成形法で形成される。ライナー104は、半透明(又は更には透明)、又は不透明であってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、ライナー104は、このライナー104を容器102内に配置する前に、ライナー104が倒壊又は変形することなく、試料装荷基材115及び希釈剤113をライナー104に装填できるように、自立型及び/又は自己支持型である。更に、自立型及び/又は自己支持型のライナー104は、重量測定、試料装荷基材115及び/若しくは希釈剤113の添加、輸送、取扱い、並びに/又は試料取り出しの助けになり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、ライナー104は自己支持型及び/又は自立型であり、同時に変形可能でもある。用語「変形可能」は、圧力(例えば、正又は負)又は応力によって、元の形状又は状態から変更することができる構造を指すために使用される。変形可能なライナー104を採用する実施形態では、ライナー104に圧力を印加し、元の寸法(すなわち、応力がない状態)からサイズを小さくすることができる。この圧力は、液体組成物114(又はその濾液)をライナー104から取り出すのを促進するために使用することができる。このような実施形態では、ライナー104は、液体組成物114を収容することができる変形可能な自己支持型容器として機能することができる。いくつかの実施形態では、この変形可能な自己支持型容器は、自立型でもある。
【0059】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、容器102は、底部127に形成される開口124を含み、ユーザーは、この開口を通してライナー104にアクセスし、圧力を印加し、ライナー104を変形することができる。この圧力は、手で直接印加する、又は追加機器によって印加することができ、手動プロセスであっても自動プロセスであってもよい。開口124は、所望の使用用途と一致する形状及び寸法であってよい。いくつかの実施形態では、容器102の底部127は、側壁129の単なる底であり、あるいは側壁129がわずかに内側に突出していて、これによりライナー104が容器102の底から容易にアクセス可能である。この別の方法で、いくつかの実施形態では、容器102の開口124は、容器102の底の大半(例えば、容器102の断面積の大半)を決定しており、かつ底部127は、開口124を取り巻く容器102の小さな部分でしかない。ライナー104を採用しない実施形態では、容器102は、開口124を含む必要がない。
【0060】
いくつかの実施形態では、ライナー104は、ライナー104の長手軸と平行な方向に底部126に圧力が印加される際(例えば、容器102の開口124を介して)、ライナー104が長手方向(例えば、底部126というよりは、側壁128の倒壊の効力により)に変形するように、比較的硬質な底部126及び比較的薄く、かつ変形可能な側壁128を含む。あるいは、又は更に、底部126を側壁128よりも厚くすることができる。例としての目的に限定して、側壁128の厚さは、いくつかの実施形態では少なくとも50μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも100μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも150μmであり、及びいくつかの実施形態では少なくとも200μmである。底部126の厚さは、いくつかの実施形態では少なくとも225μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも275μmであり、いくつかの実施形態では少なくとも300μmであり、及びいくつかの実施形態では少なくとも350μmである。
【0061】
ライナー104は更に、1つ以上のバッフル、プリーツ、波形、縫目、継ぎ目、まち、弱められた部分(例えば環状の弱められた部分)、又はこれらの組み合わせを含むことができ、これらは、ライナー104の変形性の制御を支援するように組み込まれてもよく、及び/又はライナー104の内部体積を更に減少させることができる。後述及び図9で詳しく説明されるように、いくつかの実施形態では、ライナー104はアコーディオン型の形状を含む。いくつかの実施形態では、ライナー104は、その内側表面上、特に底部126と側壁128との間の内部接合部に、全く溝を含まない。
【0062】
いくつかの実施形態では、ライナー104は、ライナー104の表面形状を分離するために、意図的に変形される。そのような分離された表面形状が、攪拌中に試料源112及び/又は試料装荷基材115の分離を支援することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ライナー104の側壁128に異なる表面形状を形成するために、ライナー104の側壁128と容器102との間に、障害物(例えば、比較的硬質な物質)を配置することができる。
【0063】
図2に示されるように、容器102は、容器102内の内容物のレベル(すなわち、容量)を示すための表示130を含むことができる。好適な表示の一実施例は、米国特許第6,588,681号に記載される。あるいは、又は更に、ライナー104が表示を含むことができる。容器102及び/又はライナー104上の表示130を使用できるようにするために、容器102及び/又はライナー104を半透明、又は更には透明にし、容器102の側壁129及び/又はライナー104の側壁128を通して内容物を見ることができるようにすることができる。側壁128及び129には、商標、ブランド名又はこれらの同等物のような他の種類のマーキングがあってもよい。表示130は、容器102又はライナー104内に収納される寸法のフィルム上に提供することもでき、これは、容器102又はライナー104の内側表面に対して外側に(すなわち半径方向に)フィルムが押し付けられるよう、十分な内部圧力を有する材料で形成することができる。
【0064】
図2に示される実施形態では、蓋106は、ライナー104に取り外し可能に連結され、カラー108は、蓋106を容器102に更にきつく固定するために採用される。例えば、図2では、容器102は、側壁129の外側表面の上端に、容器102の上端にネジで締められるカラー108(容器102上のネジ山131と嵌合できる内部ネジ山133を有する)のための形状及び寸法のネジ山131を含む。蓋106を容器102に固定するためにカラー108を使用する代わりとして、締め付け及び/又は以下に記載されるその他の連結手段を含む、その他の連結手段を採用することができる。いくつかの実施形態では、ライナー104を採用せずに、蓋106を容器102に直接連結することができる。このような実施形態では、カラー108を採用する必要はない。したがって、蓋106は、容器102又はライナー104のいずれかとの密封(例えば気密密封)を形成することができる。いくつかの実施形態では、蓋106及び容器102(又は蓋106及びライナー104)は、一体化して形成される、又は恒久的に互いに連結される。
【0065】
それぞれの構成要素が取り外し可能に互いに連結できるようするために、重力(例えば、1つの構成要素を別の構成要素の上、又はその噛み合う部分に設置することができる)、ネジ山、プレス嵌め(「摩擦嵌め」又は「締まり嵌め」と称される場合もある)、スナップ嵌め、磁石、接着剤、熱密封、他の好適な取り外し可能な連結手段、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されないさまざまな連結手段を、蓋106とライナー104との間、蓋106と容器102との間、及び/又はカラー108と容器102との間のいずれかに採用することができる。いくつかの実施形態では、試料源112及び希釈剤113を添加後、試料調製システム100を再び開ける必要がなく、その結果容器102、ライナー104、蓋106、及びカラー108を取り外し可能に互いに連結する必要がなく、むしろ恒久的に、又は半恒久的に互いに連結されることができる。この恒久的又は半恒久的連結手段には、接着剤、縫合、留め金、スクリュー、釘、リベット、無頭釘、圧着、溶接(例えば、音波(例えば、超音波)溶接)、いずれの熱接着技術(例えば、連結する構成要素の一方又は両方に熱及び/又は圧力が印加される)、スナップ嵌め、プレス嵌合、熱密封、その他の好適な恒久的又は半恒久的連結手段、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。当業者には、これらの恒久的又は半恒久的連結手段のうちのいくつかが、取り外し可能なように適合可能であり、及び逆もまた同様であり、例としての目的に限定して分類されることが認識されるであろう。
【0066】
図2及び3に示されるように、蓋106は、フィルタ134に連結することができるポート132、ライナー104が受け入れられる寸法である円筒形部分136、及び円筒形部分136からポート132に延在するほぼ円錐形の(例えば、円錐台形)部分138を更に含む。円筒形部分136と円錐形の部分138との間の接合部では、蓋106は、円筒形部分136及び円錐形の部分138から放射状に外側に向かって延在するへり140を更に含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、フィルタ134は、蓋106に直接連結される。いくつかの実施形態では、図2〜3に示されるように、フィルタ134は、フレーム135によって支持されることができ、フレーム135を介して蓋106に連結することができる。フレーム135は、フィルタ134の一部分を形成することができ、フレーム135は、蓋106の一部分であってもよく、又はフレーム135は、フィルタ134及び蓋106の両方に連結される別個の要素であってもよい。フレーム135は、さまざまなポリマー、金属、セラミックス、ガラス、及びこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、さまざまな物質から形成することができる。図2〜3に示される実施形態では、フィルタ134は、金属メッシュから形成され、フレーム135は、金属フィルタ134に固着されたポリマーから形成される。フレーム135は、以下により詳細に記載されるように、蓋106に連結される。
【0068】
図2及び3に示される実施形態のフィルタ134並びにフレーム135は、試料調製システム100が組み立てられる際、フィルタ134及びフレーム135がライナー104の第2リザーバ122(又は容器102の第1リザーバ120)の中に延在するように、蓋106の下端の下方に延在するような形状及び寸法である。しかしながら、フィルタ134及びフレーム135は、さまざまな形状及びサイズを呈することができる。いくつかの実施形態では、例えば、フレーム135は、硬質な上部部分(例えば、蓋106に連結される)及び硬質な下部部分を含むことができ、フィルタ134をその間に連結することができ、フィルタ134は、折り畳み可能であってよい。このような実施形態は、後述及び図9で詳しく説明される。
【0069】
蓋106の円筒形部分136は、円筒形部分136がライナー104の内側表面にスナップ嵌め又はプレス嵌めできるようにする、外側に向かって張り出す複数の突出部142を円周方向に含む。いくつかの実施形態では、ライナー104の内側表面は、外側に向かって張り出す突出部142の代わりに、又は外側に向かって張り出す突出部142に加えて(例えば、それらの噛み合う関係を形成するために)、のいずれかで使用される、内側に向かって張り出す突出部を含むことができる。
【0070】
ライナー104は、ライナー104の側壁128から放射状に外側に向かって張り出すへり144を含むことができ、試料調製システム100が組み立てられる際、ライナー104のへり144が蓋106のへり140と容器102の上面146との間に配置されて密封(例えば、密封封止)が形成されるように、へり144は、容器102の上面146及び蓋106のへり140との当接関係を形成できる。図2に示されるように、カラー108は、内側に張り出すへり156を含み、これにより、カラー108が容器102に連結される際、カラー108のへり156は、ライナー104のへり144に接触するように蓋106のへり140を押し込み、ライナー104のへり144は容器102の上面146に接触するように押し込まれる(例えば、より高い一体性密封を形成するために)。例としての目的に限定して、試料調製システム100を組み立てるため、及び試料調製システム100の構成要素間の密封を形成するための上記に述べた手段を記載し、示す。しかしながら当業者は、試料調製システム100の構成要素を組み立てるため、及び試料調製システム100が通常の作業条件下で漏出しないようにする密封(例えば、液密の密封、気密密封、又はこれらの組み合わせ)を形成するためのさまざまなその他の機構を採用できることを理解するであろう。
【0071】
一方、図2及び3に実施形態の蓋106は、ほぼ円錐形又は円錐台形の形状で示される。蓋106は、円筒形状、長方形又は正方形の断面積を有する管状形状、又は試料調製システム100のその他の構成要素との連結に好適なその他の形状を含むが、それらに限定されない、さまざまなその他の形状を有することができることが理解されるべきである。同様に、容器102、ライナー104、及びカラー108は、図2に示される実質的に円筒形状以外のさまざまな形状を有することができる。更に、蓋106は、試料調製システム100のその他の構成要素を収容できる寸法であってもよい。
【0072】
蓋106は、容器102に関して上記に記載された材料を含む、さまざまな材料から形成することができる。蓋106は、使用用途により、半透明(又は更には透明)、又は不透明にすることができる。
【0073】
カラー108は、さまざまな高分子材料、金属材料、及びこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、さまざまな材料から形成することができる。例えば、カラー108は、成形プラスチック構成要素、又は機械加工金属(アルミニウムなど)構成要素から形成することができる。いくつかの実施形態では、カラー108は、ガラス繊維強化ポリプロピレンを含む成形プラスチック構成要素から形成される。
【0074】
図2に示されるように、蓋106のポート132は、ポート132が蓋106の内側表面153の部分152、及び蓋106の開口部154を画定するように、ほぼ円筒形で管状の形状である。蓋106は、中空であり、試料調製システム100が組み立てられる際、第2リザーバ122と流体連通して存在する。ポート132は、円筒形である必要はなく、代わりに、所定の用途に必要な任意の形状を呈することができる。図2及び3に示される実施形態では、フィルタ134は、フィルタ134が第2リザーバ122に加えて、開口部154を有する蓋と流体連通するように、ポート132に連結される(すなわち、フレーム135を介して)。
【0075】
図2に示される実施形態では、カバー109は、ポート132の少なくとも一部分を収容するための形状及び寸法である。結果として、蓋106の開口部154を閉めるため、及び試料調製システム100を環境から密封するため(例えば、気密密封)に、カバー109を蓋106のポート132に連結することができる。カバー109は、上記に記載のいずれかの連結手段を使用して、蓋106に連結することができる。カバー109は蓋106と一体成型することができ(例えば後述及び図13で詳しく説明されるような、フリップトップのスナップオン・カバー)、又はカバー109は蓋106とは別であり得る(例えば、後述及び図9〜12で詳しく説明されるような、スクリューオン・カバー)。カバー109は、容器102又はカラー108に関して上記に記載された材料を含む、さまざまな材料から形成することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、蓋106は、バリヤーに穴をあけ、又は貫通して、又はフィルムを取り外して蓋106の内部にアクセスできるように、蓋106の内部の少なくとも一部分を環境から分離する、脆い若しくは貫通できるバリヤー又は取り外し可能なフィルムを含む。このような実施形態では、カバー109を採用する必要はない。
【0077】
図3に示されるように、蓋106の内側表面153は、その他の構成要素(例えば、概念が図5〜6に示され、以下に記載される、追加又は代替フィルタ)を連結することができる、さまざまな内周縁を含むことができる。内周縁は、縁部に連結を所望するその他の構成要素に応じて、所望する任意の配向を有することができる。いくつかの実施形態では、内周縁は、図3では縁部がほぼ水平になるように、蓋106の中央長手軸とほぼ直交するように向いている。いくつかの実施形態では、基材(図示なし)は蓋106の内側表面153に連結することができる。この概念の一例は、図14に示され、以下に説明される。
【0078】
更に、蓋106は、その他の構成要素(例えば、フィルタ)を連結することができる、内側に向かって延在するさまざまな部材を含むことができる。例えば、図3に示されるように、フィルタ134は、フレーム135によって支持され、蓋106は、上記の連結手段のいずれかが挙げられるが、それらに限定されない、さまざまな連結手段によって、フレーム135を連結することができる、内側に向かって延在する部材155を含む。内側に向かって延在する部材155は、蓋106と一体化して形成することができる。
【0079】
フィルタ134は、液体組成物114を十分に濾過するためのいずれの幾何学的形状であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ134は、変形可能であり、かつ/又は折り畳み可能である(すなわち、フィルタ134がそれ自身の重量で折り重なる)。いくつかの実施形態では、フィルタ134は、硬質であり、その形状を保持する(すなわち、それ自身の重量で折り重ならない)。試料調製システム100に使用されるフィルタ134の寸法及び数、並びにその多孔性は、望ましい検体、試料源112又は試料装荷基材115内の不溶物のタイプと寸法、試料装荷基材115の寸法、及び試料装荷基材115の分解の度合によって異なり得る。
【0080】
例としての目的に限定して、いくつかの実施形態では、液体組成物114は、食品を含み、所望の検体は、細菌であり、不溶物は、食品粒子又は残屑である。このような実施形態では、例えば、後続の分析のために対象の細菌(存在する場合)がフィルタ134を通過できるようにする一方、食品粒子を保持する及び/又は分離するように、フィルタ134を選択することができる。更なる例として、いくつかの実施形態では、液体組成物114は溶解した細菌細胞培養を含み、所望の検体は、DNA、RNA、タンパク質、又は代謝産物のうち1つ以上であり、不溶物は細胞残屑である。このような実施形態では、例えば、細胞残屑を保持及び/又は分離する一方、所望のDNA、RNA、タンパク質、及び/又は代謝産物が後続の分析のためにフィルタ134を通過するよう、フィルタ134を選択又は処理することができる(例えば、抗体などの生体分子結合剤で誘導体化される)。別の方法としては、例えば、所望のDNA、RNA、タンパク質、及び/又は代謝産物が保持される一方、細胞残屑がフィルタ134を通過するよう、フィルタ134を選択又は処理することができる。
【0081】
フィルタ134は、抜き取り及び/又は採取のために、液体組成物114中の所望の検体(存在する場合)がフィルタ134を通過できるようにする一方、液体組成物114から粒子を保持するために十分である、さまざまな孔径を有することができる。別の方法としては、所望の検体を保持する一方、所望されない物質がフィルタ134を通過するように、フィルタ134の寸法調整、帯電、及び/又は機能付加を行うことができる。このような実施形態では、試料は少なくともフィルタ134の一部分を含むことができ、これを更に処理することができる(例えば、強化、濃縮、分析など)。
【0082】
フィルタ134は、いくつかの実施形態では少なくとも2μm、いくつかの実施形態では少なくとも5μm、いくつかの実施形態では少なくとも40μm、いくつかの実施形態では少なくとも80μm、及びいくつかの実施形態では少なくとも120μmの平均孔径又はメッシュサイズを有する。フィルタ134は、いくつかの実施形態では最大2000μm、いくつかの実施形態では最大1000μm、いくつかの実施形態では最大500μm、いくつかの実施形態では最大200μm、いくつかの実施形態では最大50μm、いくつかの実施形態では最大10μm、及びいくつかの実施形態では最大1μm(例えば、細菌がフィルタ134を通過するのを制限したい場合)の平均孔径又はメッシュサイズを有する。
【0083】
図2及び3に示される実施形態では、フィルタ134は、蓋106に設置され、一般に蓋106の中央長手軸と一致する。しかしながら、いくつかの実施形態では、フィルタ134は、蓋106の「軸外」の位置に配置される。例えば、開口158は、蓋106のフィルタ134の可能な「軸外」の位置を示すために、図2に点線で示される。代替又は追加のポートを、開口158の位置に配置し、そこに連結することができる。フィルタ134は、恒久的に、又は取り外し可能に、一方又は両方の位置に連結することができる。
【0084】
いくつかの実施形態、特にライナー104を採用しない実施形態では、フィルタ134は、代わりに、又は追加として、容器102の側壁129の開口160又は容器102の底部127の開口124(又は容器102の底部127の異なる位置に形成される開口)を通って、試料調製システム100の内部(すなわち、容器102の第1リザーバ120)にアクセスすることができる。このような実施形態では、フィルタ134は、恒久的に又は取り外し可能に、容器102の側壁129又は底部127に連結することができる。別又は追加のポートを、開口160及び124の位置に配置し、そこに連結することができる。いくつかの実施形態では、試料調製システム100は、蓋106のポート132、蓋106の開口158の位置での追加のポート、容器102の側壁129の開口160の位置での追加のポート、及び/又は容器102の底部127の開口124の位置での追加のポートなどの、ポートを2つ以上含むことができる。試料調製システム100のいずれかの位置でのいずれかのポートを密封するために、カバー109又は同様の密閉機器を使用することができる。
【0085】
フィルタ134に関しては異なる位置でも可能であるため、フィルタ134は、試料調製システム100及び特定の使用用途において、その位置に収容されるような形状及び寸法であってよい。フィルタ134のいずれかの可能な位置で、所望の濾過の種類、及びフィルタ134が液体組成物114をどのように濾過するように意図されるかに応じて、フィルタ134は、液体組成物114のレベル165の完全に上方又は完全に下方に配置することができる、又はフィルタ134は、一部分を液体組成物114のレベル165の上方に、及び一部分を下方に配置することができる。例えば、図2に示される実施形態では、フィルタ134は、ポート132に連結され、液体組成物114のレベル165がどれだけ高いかに応じて、典型的には、フィルタ134が、一部分を液体組成物114のレベル165の上方に、及び一部分を下方に配置されるように、ポート132から試料調製システム100の内部に延在するであろう。
【0086】
フィルタ134は、ライナー104及び液体組成物114の内部と流体連通し、液体組成物114を濾過するように働き、濾液116を形成する。濾液116は、フィルタ134の容積内に配置され、近接するポート132から抜き取り、及び/又はサンプリングすることができる。複数の位置でフィルタ134を使用する実施形態では、濾液116は、上記のポート又は開口のいずれかからサンプリングすることができる。
【0087】
フィルタ134は、ナイロン、フッ素化ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、セルロース(例えば、酢酸セルロース及びニトロセルロースなどの変性セルロース)、ファイバーグラス、紙、及びこれらの組み合わせの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない、さまざまな物質から形成することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ134は織布ウェブ、不織布ウェブ、成型構造、フォーム、布地、繊維ウェブ、及びこれらの組み合わせで形成することができる。フィルタ134の表面積は、フィルタ134にひだを付けることによって、又は他の類似の技術によって増すことができる。フィルタ134の厚さは、カレンダー又はフェルト化工程によって制御することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、(フィルタ134がどの位置にあるかに関わらず)、フィルタ134は、試料装荷基材115の保有部又は保持部として使用することができる。この概念の一例は、図4に示され、以下に説明される。
【0089】
上記のように、ライナー104は、使い捨てであってもよい。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上の蓋106、カバー109及びフィルタ134は、使い捨てであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、蓋106は、ライナー104と連結することができ、カバー109及びフィルタ134は蓋106と連結することができる。ライナー104、蓋106、フィルタ134及びカバー109は、試料調製システム100の使い捨て部分を形成することができ、これは容器102又はカラー108を汚染することなく使用することができる。使い捨て部分は、容器102から取り外し、廃棄することができる。容器102及びカラー108は次に、新しいライナー104、蓋106、フィルタ134及びカバー109と共に再使用できる。
【0090】
図4は、本開示の別の実施形態による試料調製システム200を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム200は、図2〜3の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、200シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図4に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3に対してなされる。
【0091】
試料調製システム200は、容器202及び蓋206を含む。試料調製システム200は、ライナーを含まず、蓋206は、容器202に直接連結する。試料調製システム200は、容器202の側壁229に形成される開口260に流体で連結されるフィルタ234を更に含む。試料調製システム100のフィルタ134とは違って、フィルタ234は、試料源212と基材211とを含む試料装荷基材215、並びに試料源212と希釈剤213とを含む液体組成物214の、保有部又は保持部として機能する。
【0092】
フィルタ234は折り畳み式であり、試料装荷基材215の寸法に対応した大きさである。図4に示す実施形態では、フィルタ234は織布(例えば、ナイロン)で形成されているが、前述の任意のフィルタ材料を代わりに使用することが可能である。しかしながら、他のタイプのフィルタ(例えば、より堅いもの、又は異なる寸法のもの)を代わりに使用することが可能である。図4に示す試料装荷基材215は、スポンジの形態であり、これは平坦又は非平坦であり得る。しかしながら、このスポンジは、例示のためにのみ図2に示されており、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、基材111は前述の任意の材料で形成することができ、前述の任意の形態であり得ることが理解されるべきである。
【0093】
フィルタ234は、容器202と恒久的に連結することができ、試料装荷基材215は、フィルタ234に加えることができるか、又は、フィルタ234は、容器202に取り外し可能に連結することができ、試料装荷基材215は、フィルタ234が容器202に連結される前、又は後にフィルタ234に加えることができる。いくつかの実施形態では、フィルタ234は、フィルタ234が試料装荷基材215を含み、希釈剤213がフィルタ234の内部に流入又は内部から流出して試料装荷基材215と相互作用できるように、容器202の第1リザーバ220内で浮動性であってもよい。
【0094】
試料装荷基材215は、試料装荷基材215からの試料源212をフィルタ234内で希釈剤213と組み合わせて液体組成物214を形成できるように、フィルタ234内に配置され、フィルタ234は、少なくとも一部分が容器202の希釈剤213のレベルより下方に配置され、容器202の内部と流体連痛している。フィルタ234内に配置された液体組成物214は、希釈剤213中の対象の検体(存在する場合)と、試料源212からの他の可溶物又は不溶物と、を含む。攪拌中には、試料装荷基材215及び希釈剤213が混合され、試料源212を希釈剤213中に溶解、分散、懸濁、及び/又は乳化することができる。フィルタ234の孔径は、希釈剤213及びこの希釈剤213中の対象の検体(存在する場合)がフィルタ234を自由に出入りして流れ、結果として得られる濾液216がフィルタ234の外側で、かつ容器202のリザーバ220の内側に配置され、希釈剤213及び存在する対象の検体を含むように、適合される。
【0095】
濾液216は、蓋206のポート232、蓋206の開口258、容器202の側壁229の追加の開口、及び/又は容器202の底部227の開口224を含むさまざまなポート又は開口のいずれか、からサンプリングすることができる。更に、開口260を介して試料調製システム200に連結する代わりに、フィルタ234は任意のさまざまなポート又は開口部を介して試料調製システム200に連結することができ、これには蓋206のポート232、蓋206の開口258、及び/又は容器202の底部227の開口224が挙げられる。いくつかの実施形態では、図4に示すように、1つ以上のポートが、試料調製システム100のフィルタ134と同様の方法で機能する追加のフィルタ234’を含むことができる。このような実施形態では、濾液216は、フィルタ234’によって更に濾過することができ、生じる濾液216’はフィルタ234’によって処理され、隣接のポート(すなわち、図4のポート232)から抜き取り及び/又はサンプリングされてもよい。
【0096】
試料調製システム200は、ライナーを更に含み、十分な密封が開口260の位置でライナーと容器202との間に提供されると言う条件で、この場合希釈剤213及び生じる濾液216はライナー内に配置され得る。
【0097】
図5〜6は、本開示の別の実施形態による試料調製システム300を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム300は、図2〜3の示された実施形態に関連した、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する、要素及び特徴部は、300シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。図5〜6に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)の更に完全な説明のための図2〜3を伴う上記の説明の参照がなされる。
【0098】
図5〜6は、試料調製システム300の蓋306のみを示す。試料調製システム300の他の構成要素は、前述され図2〜4に示されている試料調製システムの対応する他の構成要素のいずれかを含むと見なすことができ、よって単純化のため、図5〜6には示していない。
【0099】
蓋306が、実質的に平面で、蓋306の内側表面353に連結するフィルタ334を含むことを除き、蓋306は、上記に記載され、図2〜3に示される蓋106と実質的に同様である。蓋306の内側表面353は、上方内部周縁370及び下方内部周縁368を含む。図5に示すように上方内部周縁370は、外周371から内周373へ延在し下方に面する表面を含む。同様に、下方内部周縁368は、外周376から内周378へ延在し下方に面する表面を含む。フィルタ334の外周は、内側表面353の上方内側周縁370と連結する。更に、フィルタ334は、保持壁372と接触する。保持壁372は、フィルタ334の外周を保持するために、蓋106の内側表面353から下方に延在する。
【0100】
フィルタ334は、蓋106に対して上記と同様の連結手段を使用して蓋306と連結されてもよい。フィルタ334は、恒久的、又は取り外し可能に蓋306と連結されてもよい。フィルタ334と蓋306との間の連結の程度は、フィルタ334の材料、蓋306の材料、連結された表面領域の寸法及び構造、及び使用される連結手段の種類が挙げられるが、これらに限定されない多くの要素に応じて、さまざまであることができる。例えば、フィルタ334がほつれた縁部を含む場合、やや幅広い、及び/又は刻み付きの連結表面領域が使用されてもよい(例えば、上方内側周縁縁部370は刻み付きであってもよい)。このような幅広、及び/又は刻み付きの超音波溶接部は、フィルタ334のほつれ縁部を捕捉することができる。ほつれの量を最小限にするために、フィルタ334は、フィルタ334の縁部を融着することができるレーザーを使用して切断できる。これにより生じたレーザー切断されたフィルタ334は、あったとしても、ほつれの最低量を含むため、より狭い幅の連結領域を使用することができる。いくつかの実施形態では、連結領域は、フィルタ334の外周の周囲で全面的に延在する。連結領域は、いくつかの実施形態では最大5.0mmの平均幅(すなわち、同じ平面内の寸法、及び、フィルタ334の外周に実質的に垂直)を有することが可能であり、いくつかの実施形態では、1.0mm〜3.0mmの範囲であることが可能である。あるいは、フィルタ334は、例えば、成形プロセスによって、蓋306内で一体的に形成されることが可能である。
【0101】
フィルタ334は、蓋306と同様の材料、又は異なる材料から形成されてもよい。フィルタ334は、可撓性であるか、又は半剛体であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ334は、ナイロンの不織布又は織布から形成されるが、蓋306は、ポリプロピレンなどのポリマーから形成された射出成形部品である。このような実施形態では、ナイロンフィルタ334は、超音波溶接技術を介し、蓋306に結合されてもよい。超音波溶接の間、上方内側周縁370の少なくとも一部分は、フィルタ334と機械的に固着するために融解できる。ナイロンは、ポリプロピレンよりも高い融解温度を有するため、ナイロンフィルタ334は、超音波溶接プロセスの間、その構造的な一体性を維持することが可能である。このような実施形態では、上方内側周縁370の少なくとも一部分は、フィルタ334の一部分の中に入ってもよく、これによって、フィルタ334の一部分を密封する。
【0102】
フィルタ334は、所定のアプリケーションによってさまざまである寸法及び形状を有することができる。フィルタ334は、これに限定されないが、円形状、正方形状、長方形状、三角形状、多角形状、星型形状、他の好適な形状、及びこれらの組み合わせを含む、あらゆる望ましい形状を有することができる。図5及び6に示す実施形態では、フィルタ334は、実質的に円形状を有する。
【0103】
フィルタ334の寸法は、蓋306の寸法に応じてさまざまであってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ334はより小さい、又はより大きい寸法を有する場合があるが、フィルタ334は、15mm〜100mmの範囲の最大寸法(すなわち、長さ、幅、又は直径)を有する。例えば、いくつかの実施形態では、フィルタ334は、円形状及び56mmの直径を有してもよい。
【0104】
図5及び6を引き続き言及すると、保持壁372は、蓋306と一体的に形成される。いくつかの実施形態では、図5に示すように、蓋306は、2つ以上の保持壁372を含み、(i)それぞれの保持壁372は、その厚さよりも大きい周辺長さを有し、(ii)それぞれの保持壁372は、フィルタ334の外周に沿って配置され、(iii)2つ以上の保持壁372の合計の周辺長さは、フィルタ334の外周の合計の周辺長さよりも短い。
【0105】
図5に示すように、蓋306は、上方内側周縁370の外周371に沿って互いに等しく間隔をおく、4つの保持壁372を含む。いくつかの実施形態では、各保持壁372は、800μm〜1200μmの範囲の厚さ、外周371に沿って1.0mm〜22.0mmの範囲の距離に延在する長さ(すなわち、この例示的な実施形態ではアーク長)、及び1.0mm〜5.0mmの範囲の高さを有する。いくつかの実施形態では、各保持壁372は、保持壁372の周辺の流量を妨げない(又は影響を最小限にする)ように、区画化された構成を有する。
【0106】
蓋306は、開口部354及び内部に延在する部材355を含む。内部に延在する部材355は、図2及び3では、フィルタ134が蓋106に連結するのと同じ方法で、追加のフィルタ(図示せず)が蓋306と連結するために使用することができる。このような実施形態では、フィルタ334は、追加のフィルタの下に位置し、追加のフィルタは、蓋306の上部からフィルタ334の距離よりも短い長さ寸法を有することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、図5及び6に示すように、フィルタ334は、蓋306の最小断面積よりも大きい合計表面積を有する。蓋306では、最小断面積は、蓋開口部354の断面積である。いくつかの実施形態では、1つを超えるフィルタが、フィルタ334と同様の様式で蓋306と連結される。例えば、いくつかの実施形態では、フィルタ334、又は追加のフィルタ(図示せず)は、下方の内側周縁368と連結することができる。すなわち、1つ以上のフィルタ334は、蓋306と連結し、蓋306の内側表面353に沿ったいずれかの場所に配置することができる。1つ以上のフィルタ334を採用する実施形態では、フィルタ334は、互いに類似であるか、又は互いに異なってもよい。すなわち、フィルタ334は、同一、又は異なる材料から形成されてもよく、フィルタ334は、同一、又は実質的により小さい孔径を有してもよい。
【0108】
一例として、第1フィルタ334は、上方内側周縁370と連結されてもよく、56mmの直径、80μmの要素孔径を有してもよく、1つ以上の保持壁372によって少なくとも部分的に囲まれてよいが、第2フィルタ334は、下方内側周縁368と連結されてもよく、96mmの直径を有してもよく、200μmの要素孔径を有してもよく、蓋306の内側表面353によって少なくとも部分的に囲まれてもよい。
【0109】
上記のフィルタ134、234、及び334のいずれもが、試料調製システムの1つにおいて、互いの組み合わせで使用されてもよい。例えば、上記に記載されるように、フィルタ134は、異なる用途のための一連のフィルタを提供するため、及び/又は液体組成物から引き続いて、より小さな粒子を取り出すために、フィルタ234及び/又は334と組み合わせて使用することができる。
【0110】
あるいは、又は加えて、液体組成物から引き続いてより小さな粒子を取り出すために、それぞれの種類のフィルタ134、234、又は334の2つ以上を採用する(及び、いくつかの実施形態では、ネスト化)することができる。例えば、濾液を収集するために連続したより小さい孔径を有する次のフィルタに対し、より大きい孔径の前置フィルタとして働く粗いフィルタであるフィルタが配置されてもよい。フィルタは、直立位置で試料調製システムを使用するために調整されてもよく、及び/又は、システムが転倒又は反転されたときに試料調製システムを使用するために調整されてもよい。
【0111】
図7は、本開示の別の実施形態による試料調製システム400を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム400は、図2〜3及び5〜6の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3及び5〜6の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、400シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図7に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3及び5〜6に対してなされる。
【0112】
試料調製システム400は、第1リザーバ420を有する容器402と、第2リザーバ422を有し、容器402の第1リザーバ420内に収まる寸法であるライナー404と、蓋406と、カラー408と、プランジャ437と、を含む。蓋406は、上述及び図2〜6に示した蓋106、206及び306と類似であるが、更に上向きに延在する突出部439を含み、これにより試料調製システム400が他の装置と連結することができ、又はカバー(図示なし)のための連結手段を提供する。蓋406はポート432を含み、これは複数の隆起部441を含み、これは、試料調製システム400をカバー又は他の装置に連結させるための代替又は追加の連結手段を提供することができる。蓋406は更に、図5〜6に示され前述されているフィルタ334に実質的に同様なフィルタ434を含む。
【0113】
図7に示すように、基材411と試料源412とを含む試料装荷基材415は、ライナー404の第2リザーバ422内に配置され、希釈剤413と混合させて、試料源412と希釈剤413とを含む液体組成物414を形成する。図7に示す実施例において、基材411はスポンジの形態である。
【0114】
いくつかの実施形態では、図7に示すように、プランジャ437は、このプランジャ437が容器402の上方向に向かって第1方向D1に動くと、ライナー404の外面に正圧を印加するよう構成されている。図7に示すように、プランジャ437がライナー404の外面に圧力を印加するのに用いられると、ライナー404は圧縮され、第2リザーバ422の体積が減少し、液体組成物414がフィルタ434を通り抜けて濾液416を形成するよう強いられ、この濾液が蓋406の内側に採取される(例えば、図7で示すように、試料調製システム400が反転している場合)。濾液416は、ポート432を介して、試料調製システム400から取り出すことができる。
【0115】
例えば、試料装荷基材415からの試料源412の取り出しを強化するために、ライナー404(例えばライナー404の底部426)が試料装荷基材415に接触しないように、プランジャ437を試料装荷基材415の上の位置までD1の方向に押すことができ、又は、試料装荷基材415がプランジャ437(及びライナー404)によって少なくとも部分的に圧縮される位置まで圧縮することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、プランジャ437は、ライナー404の内部に負圧を印加するよう構成される。例えば、いくつかの実施形態では、プランジャ437が容器402の底に向かって第2の方向D2(第1の方向D1の逆向き)に動くと、ライナー404が膨張し、その内面(すなわち第2リザーバ422)に減圧が生じ、これにより第2リザーバ422と試料調製システム400の外面との間に圧力差が生じるように、プランジャ437がライナー404に連結される。この圧力差により、例えば、液体がポート432を介して第2リザーバ422へと移動することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、図7に示すように、プランジャ437はハンドル443を含むことができ、これは容器402の底部427の開口424に収まる寸法である。いくつかの実施形態では、このプランジャ437のハンドル443は、開口424の寸法により近接した寸法であってもよく、及び/又は密封手段(例えばOリングなど)をハンドル443と開口424との間に配置して密封状態を形成することができる。図7に示す実施形態では、ハンドル443は、ライナー404に接触するプランジャ437の部分(例えば、ライナー404の底部426)よりも小さな直径を有する。ライナー404に接触するプランジャ437の部分は、容器402の第1リザーバ420内に収まる寸法になっている。しかしながら、いくつかの実施形態では、プランジャ437は均一の断面積又は次第に減少する断面積(例えば、第2方向D2において)を有し、容器402の開口424がこれに応じて寸法を定められる。図7に示すプランジャ437は例としての目的に限定されて、示されているが、当業者は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、さまざまな形状及び寸法のプランジャが使用できることを理解すべきである。プランジャ437をライナー404の外面に作用させて圧力差を生じる結果、プランジャ437は、液体組成物414に接触することなく使用することができ、汚染のリスクなしに再使用することができる。
【0118】
プランジャ437は、容器102について上に列記した材料を含むさまざまな材料で形成することができ、またプランジャ437は中実であっても中空であってもよい。プランジャ437は、使用用途により、半透明(又は更には透明)、又は不透明にすることができる。
【0119】
図8は、本開示の別の実施形態による試料調製システム500を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム500は、図2〜3及び5〜7の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3及び5〜7の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、500シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図8に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3及び5〜7に対してなされる。
【0120】
図8に示すように試料調製システム500は、第1リザーバ520を含む容器502と、第1リザーバ520内に収まる寸法であり第2リザーバ522を含むライナー504と、蓋506と、を含む。カラー(図示なし)も、試料調製システム500の構成要素全体を更に固定するために採用され得る。第2リザーバ522は、基材511及び試料源512を含む試料装荷基材515と、試料源512及び希釈剤513を含む液体組成物514とを収容するよう適合されている。試料調製システム500は更に、フィルタ534に連結されたプランジャ537を含む。フィルタ534は、液体組成物514を濾過して、対象の検体(存在する場合)を含む濾液516を形成するよう適合される。図8に示す実施形態では、基材511はスポンジの形態である。
【0121】
容器502は、底部527と、側壁529と、底部527で画定される開口524と、を含む。ライナー504は、側壁528と、例えば、容器502の底部527にある開口524を介してアクセス可能な底部526と、を含む。蓋506は、蓋506の開口部554を画定するポート532と、試料調製システム500と、を含む。プランジャ537は、ポート532に収まるような寸法になっているハンドル543を含み、これによりハンドル543は試料調製システム500の外側からアクセスし、フィルタ534が液体組成物514を通り抜けるよう強いる。いくつかの実施形態では、このプランジャ537のハンドル543は、開口部554の寸法により近接した寸法であってよく、及び/又は密封手段(例えば、Oリング)をハンドル543と開口部554との間に配置して密封状態を形成することができる。蓋506は更に、蓋506の第2ポート内に画定されている軸外の開口558を含み、これが例えば、脱気出口として、試料調製システム500内からの圧力を逃がすことができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、図8に示すように、フィルタ534は、ライナー504の第2リザーバ522内にフィットするような寸法であり得る。このような実施形態では、フィルタ534は、ライナー504の変形性によってライナー504の側壁528内に密封を形成することができ、フィルタ534の外表面とライナー504の側壁528の内表面との間に追加の密封手段を必ずしも必要としない。ライナー504の変形性により、幅広い許容誤差も可能になり、これによりフィルタ534が、ライナー504と作用できるようにするための狭い範囲内の寸法に合わせる必要がなくなる。
【0123】
別の方法としては、いくつかの実施形態では、試料調製システム500はライナー504を含まず、フィルタ534が容器502と作用するよう構成することができる。例えば、フィルタ534は、容器502の第1リザーバ520内にフィットするような寸法にすることができる。いくつかの実施形態では、試料調製システム500は、フィルタ534と容器502の側壁529との間に配置された密封手段(例えば、Oリング)を含むことができる。いくつかの実施形態では、容器502の側壁529は、フィルタ534が側壁529に密封するのを促進するため、上下にまっすぐ(すなわち、底部527に対して垂直)である。いくつかの実施形態では、フィルタ534は変形可能な(例えばエラストマーの)外側フランジを含み、これによりフィルタ534が、容器502の側壁529の先細形状に対応することができる。そのようなフランジはまた、フィルタ504を採用する実施形態にも組み込むことができる。
【0124】
プランジャ537がD1の方向に沿って下向きに押されると、フィルタ534が液体組成物514を通って下に動き、これにより比較的大きい不溶物(すなわち、フィルタ534の孔径よりも大きい寸法を有する粒子)がフィルタ534の下に維持され、可溶物及び比較的小さい不溶物(すなわち、フィルタ534の孔径よりも小さい寸法を有する粒子)がフィルタを通り抜け、濾液516が第2リザーバ522内のフィルタ534の上に形成される。プランジャ537は、D1の方向に押して、フィルタ534が試料装荷基材515に接触しないような、試料装荷基材515の上のセット位置にすることができ(例えば、ライナー504、フィルタ534及び/又はプランジャ537は1つ又は複数のストップを含むことができ、プランジャ537は第2リザーバ522内の特定の深さに対応するだけの寸法にすることができるなど)、又は例えば、試料装荷基材515からの試料源512の取り出しを強化するため、試料装荷基材515が少なくとも部分的にフィルタ534によって圧縮されるような位置にすることができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、プランジャ537のハンドル543は中空であり、第2リザーバ522と流体連通させることができる。このような実施形態では、濾液516の少なくとも一部分がプランジャ537のハンドル543の内部に収容され、このハンドル543を介して試料調製システム500から取り出すことができる。このような実施形態では、プランジャ537は、ハンドル543の上端を受ける寸法のカバーを含むことができる。別の方法としては、プランジャ537は中空であり、フィルタ534でその底面が覆われておらず、これにより液体組成物514及び/又は試料装荷基材515の少なくとも一部が、プランジャ537のハンドル543の内部に入り込み得る。このような実施形態により、液体組成物514及び/又は試料装荷基材515が第2リザーバ522の底で占めるスペースが少なくなり、フィルタ534がD1の方向に沿って第2リザーバ522の更に下方に動くことが可能になる。
【0126】
図9〜12は、本開示の別の実施形態による試料調製システム600を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム600は、図2〜3の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、600シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。図9〜12に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)の更に完全な説明のための図2〜3を伴う上記の説明の参照がなされる。
【0127】
図9に示されるように、試料調製システム600は、容器604と、蓋606と、カバー609と、フィルタアセンブリ633と、を含む。容器604は変形可能で、自己支持型かつ自立型である。容器604は、底部626と側壁628とを含む。側壁628はアコーディオン型の形状を含み、複数のプリーツ又は折り目645を擁し、これにより側壁628が各プリーツ645で折り畳まれ、容器604が実質的に長手方向軸に沿って折り畳まれるのを促進し、特に、容器604が実質的に長手方向軸に沿って実質的に均一に折り畳まれるのを促進する。図9に示す実施形態では、例としての目的に限定して、側壁628は、複数のプリーツ又は折り目645を含む。しかしながら、側壁628は、この側壁628が実質的に長手方向軸に沿って実質的に均一に折り畳まれるようにする他の構造を含むことができ、例えば、側壁628内に、側壁628の他の部分よりも剛性及び/又は厚さが少ないような、側壁628の環状の弱められた部分があり、これによって側壁628がその環状の弱められた部分の箇所で折れ曲がることが、理解されるべきである。他の好適な構造も可能であり、本開示の趣旨及び範囲内となる。
【0128】
容器604の底部626は、より硬質の材料で製造する、及び/又は側壁628よりも厚く製造することで強化し、容器604が長手方向軸に沿って折り畳まれるのを促すことができる。容器604は、試料装荷基材及び液体組成物を含むよう適合されたリザーバ622を含む。
【0129】
容器604は、ライナー104に関して上記に記載された材料を含む、さまざまな材料から形成することができる。容器604は、使用用途により、半透明(又は更には透明)、又は不透明にすることができる。試料調製システム600の構成要素の任意のもの又はすべてが、使い捨てであってよい(例えば、1回限り使用のために製造)。
【0130】
蓋606は、フィルタアセンブリ633に連結することができるポート632と、容器604内に収まる寸法である円筒形部分636と、円筒形部分636からポート632に延在するほぼ円錐形(例えば、円錐台形)の部分638と、を含む。円筒形部分636と円錐形部分638との間の接合部において、蓋106は、円筒形部分636及び円錐形の部分638から放射状に外側に向かって延在するへり640を更に含む。蓋606のポート632は全体的に円筒形で管状の形状であり、これによりポート632は内側表面652を含み、蓋606の開口部654を画定し、組み立てたときには試料調製システム600内にある。
【0131】
蓋606の円筒形部分636は、円筒形部分636が容器604の内側表面にスナップ嵌め又はプレス嵌めできるようにする、外側に向かって張り出す複数の突出部642を円周方向に含む。容器604には、蓋606のへり640と当接する関係を形成できる上面644が含まれ得る。蓋606及び容器604は、密封(例えば液密密封、密封封止、又はこれらの組み合わせなど)を形成するために、上記の取り外し可能又は恒久的な任意の連結手段を用いて、互いに連結することができ、これにより試料調製システム600の正常使用時の漏れを防ぐことができる。例えば、円周部から外側に突き出ている複数個の突出部642は、容器604の内側表面に超音波溶接することができる。
【0132】
フィルタアセンブリ633は、フレーム635とフィルタ634とを含む。フレーム635は、上部635aと下部635とを含み、フィルタ634はそれらの間に連結される。フレーム635の上部635aは、蓋606のポート632に連結して、蓋606のポート632内、及び容器604のリザーバ622内に収められるような形状及び寸法になっている。フレーム635は、下部635bを含む必要はないが、下部635bはフィルタ634に付加的重量をもたらし、フィルタ634が容器604のリザーバ622内の液体組成物にさらされるのを支援する。
【0133】
上部635aは、蓋606のポート632に収まる寸法の管状体647、蓋606のポート632の頂上に収まるような寸法にされたこの管状体647の上端に連結したへり649、及び、複数のリブ651が含まれる。リブ651は、管状体647に対して周囲方向に間隔を置いて配置される。図9に示す実施形態には、2つのリブ651が含まれているが、必要に応じて少ない数又は多い数のリブを使用することができる。リブ651は、スナップ嵌めで蓋606に連結するよう成型される。特に、リブ651はそれぞれ、フレームの上部635aがポート632の中に移動する際に、ポート632の内側表面652に沿ってスライドするよう適合されたカム表面675を含む。更に、各リブ651のカム表面675は、管状体647がポート632の中に移動する際に、それぞれのリブ651に半径方向に内向きの力をもたらし、これにより更にそれぞれのリブ651がポート632の底の下(すなわち、蓋606の内側)の位置にスナップ嵌め(例えば半径方向に外向きに)することができる。
【0134】
フィルタアセンブリ633は次に、少なくとも1つのリブ651を、ポート632の内側表面652にカム表面675が接触するのに十分なくらい内側に動かすのに十分な力で、フレーム635のへり649上で上向きに引っ張り、更にリブ651がポート632の内側表面652との接触から解放されるまで、内側表面652に沿ってカム表面675をスライドし続けることにより、蓋606から取り外すことができる。別の方法としては、フィルタアセンブリ633は、対応するリブ651のカム表面675をポート632の内側表面652に接触させるよう力を上向きにかけながら、少なくとも1つのリブ651を半径方向内向きに動かすことにより、あるいは、リブ651を互いに(例えば半径方向内向きに)寄せて圧迫し、ポート632から上方向へフレーム635の上部635aを動かすことにより、蓋606から取り外すことができる。
【0135】
図9に示すフィルタ634は折り畳み式であり、少なくとも部分的には、フレーム635の下部635bの重量によって、容器604のリザーバ622内に下向きにぶら下がるようにすることができる。
【0136】
カバー609は、ポート632の少なくとも一部分を収容するための形状及び寸法である。結果として、蓋606の開口部654を閉めるため、及び試料調製システム600を周辺環境から密封(例えば、気密密封)するために、カバー609を蓋606のポート632に連結することができる。カバー609は、上記に記載のいずれかの連結手段を使用して、蓋106に連結することができる。図9に示す実施形態では、蓋606のポート632は、カバー609の内側のねじ山(図示なし)に噛み合うよう適合された複数のねじ山674を含み、これによりカバー609をポート632にねじ込むことができる。しかしながら、上述の他の任意の連結手段を採用して、カバー609を蓋606に連結し、蓋606の開口部654を閉じることができる。カバー609及び蓋606は合わせて蓋アセンブリ677を形成することができ、試料調製システム600が組み立てられ閉じているときに、フィルタアセンブリ633のへり649を、このカバー609と、蓋606のポート632の上端との間に挟むことができる。
【0137】
図10は、蓋アセンブリ677及びフィルタアセンブリ633を示し、カバー609が蓋606に連結され、フィルタアセンブリ633がその間に連結されている。フィルタ634は圧縮された状態で図示されており、これによりフィルタアセンブリ633は蓋606の内側に収納されている。フィルタフレーム635の下部635bは折り畳み式フィルタ634に比較して堅く、これが長手方向軸に沿ってフィルタ634を折り畳む助けになり、これにより、フィルタ634は、フレーム635の下部635bを上向きに押し込むことによって、蓋606の内側に圧縮することができる。取り外し可能なバリヤーフィルム679は、蓋606の下部表面681に連結して、フィルタ634を圧縮状態で蓋606の内側に維持することができる。蓋アセンブリ677は、圧縮された状態のフィルタ634と共に、フィルタアセンブリ633が取り外し可能なバリヤーフィルム679によって蓋606の内側に収められた状態で、滅菌及びパッケージングすることができる。次にユーザーは、使用前に(例えば滅菌環境において)この取り外し可能なバリヤーフィルム679を取り外して、フィルタ634(及び、採用されている場合はフレーム635の下部635b)を蓋アセンブリ677の下に、圧縮されていない状態でぶら下げることができる。取り外し可能なバリヤーフィルム679はまた、蓋606を容器604に連結する直前に取り外し、フィルタ634が容器604のリザーバ622内に落ちるようにすることができる。取り外し可能なバリヤーフィルム679を取り外した後のフィルタ634の非圧縮状態を、図11に示す。
【0138】
取り外し可能なバリヤーフィルム679は、上述の任意の連結手段を使用して蓋606に連結することができ、さまざまな材料で形成することができ、これには、ポリプロピレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリエチレンが挙げられるがこれらに限定されないポリオレフィン、ポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例えば、NYLON(登録商標))、圧縮溶融吹付けマイクロファイバー(cBMF)、ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、取り外し可能なバリヤーフィルム679には、例えば熱密封された「剥がせる」フィルム、例えば3M(商標)SCOTCHPAK(商標)剥離ライナー(3M Company,St.Paul,MN)を挙げることができる。取り外し可能なバリヤーフィルム679は半透明であり得(又は更に透明)、又は不透明であり得る。取り外し可能なバリヤーフィルム679は、さまざまなプロセスで形成することができ、これには、鋳造プロセス、押出成形プロセス、溶融吹付けフィルム形成プロセスなど、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
いくつかの実施形態では、図12に示すように、カバー609は脆いバリヤー683を含み、これを破って容器604のリザーバ622に、あるいはフィルタ634内の容積にアクセスすることができる。バリヤー683には、膜、非多孔性フィルム及びこれらの組み合わせを挙げることができる。更に、脆いバリヤー683は、バリヤー683を脆くする(例えば、ピペット先端で破る)ことができるさまざまな材料で形成することができ、これには、ポリプロピレン(低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリエチレンが挙げられるがこれらに限定されないポリオレフィン、ポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例えば、NYLON(登録商標))、圧縮溶融吹付けマイクロファイバー(cBMF)、ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、合成又は天然エラストマー、3M(商標)TEGADERM(商標)フィルム包帯(3M Company,St.Paul,MN)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、バリヤー683は代わりに、蓋606の開口部654上に形成される。そのような実施形態では、カバー609は中実であってよく、例えばバリヤー683を破ったあとに蓋606を覆うのに使用でき、又はカバー609は追加のバリヤーを含むことができる。別の方法としては、蓋606内の開口部654上にバリヤー683が形成された実施形態では、カバー609は採用する必要がない。蓋606又はカバー609のいずれを採用した場合であっても、又は両方を採用した場合であっても、又は試料調製システム600の別の部分であっても、バリヤー683は、ガス浸透性の追加機能を含むことができ、これによりリザーバ622と周囲との間のガス交換が可能になる(例えば、対象の好気性細菌に酸素を供給するため)。
【0140】
図13は、本開示の別の実施形態による試料調製システム700を示す。図13は、試料調製システム700の蓋アセンブリ777のみを示す。試料調製システム700の他の構成要素は、前述され図2〜12に示されている試料調製システムの対応する他の構成要素のいずれかを含むと見なすことができ、よって単純化のため、図13には示していない。
【0141】
蓋アセンブリ777は、蓋706と、ヒンジ785を介して蓋706に連結しているカバー709と、を含む。いくつかの実施形態では、図13に示すように、ヒンジ785はリビングヒンジであり、カバー709は蓋706と共に一体成型されている。いくつかの実施形態では、ヒンジ785は、蓋706及びカバー709の一方又は両方とは別に形成される。カバー709はフリップトップのカバーであり、スナップ嵌めによって蓋706に連結することができる。図13に示す実施形態では、カバー709は、蓋706上の隆起部789にスナップ嵌め可能な突出部787を含む。カバー709は、他の密封手段(例えば、Oリング)を含むことができ、これによりカバー709が蓋706の上を覆って閉じたときに、カバー709が蓋706と密封(例えば、液密密封、密封封止など)を形成する。
【0142】
図14は、本開示の別の実施形態による試料調製システム800を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム800は、図2〜3及び7の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3及び7の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、800シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図14に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3及び7に対してなされる。
【0143】
図14は、試料調製システム800の上部のみを示す。試料調製システム800の他の構成要素は、前述され図2〜13に示されている試料調製システムの対応する他の構成要素を含むと見なすことができ、よって単純化のため、図14には示していない。
【0144】
試料調製システム800は、蓋806と、蓋806に連結した基材811と、を含む。基材811は、この基材811の底が蓋806の底より下に延在するように、蓋806の内側表面853に連結している。基材811は図14にスポンジの形態として示されている。
【0145】
蓋806は、この蓋806及び試料調製システム800内の開口部854を画定しているポート832と、蓋806が容器及び/又はライナーに連結することが可能になっている円筒形部分836と、円筒形部分836からポート832へと延在する円錐形(例えば、円錐台形)の部分838と、円筒形部分836と円錐形部分838との接合部で形成されて、蓋806を容器及び/又はライナーに接合する助けとなっている、へり840と、カバー又は他の装置のための連結手段を提供し得る上方向に伸びる突出部839と、を含む。
【0146】
図14に示されている実施形態では、基材811は、蓋806の円筒形部分836の底に延在するように、蓋806に連結される。基材811を蓋806の下に延在させることにより、基材811は、試料源の採取のため、並びに希釈剤と合わせて試料源と希釈剤とを含む液体組成物を形成するために、曝露された状態になっている。
【0147】
ユーザーの手を汚染することなく、対象の表面から試料源を基材811で採取するために、蓋806の任意の部分を、ハンドルとして機能させることができる。別の方法としては、蓋806の任意の部分を別の装置(例えば、ロボットアーム)に連結させることができ、これを対象の表面から試料源を採取するのに用いることができる(例えば、蓋806を表面に沿って移動させる)。
【0148】
試料調製システム800は更に、蓋806に連結したプランジャ837を含む。プランジャ837の少なくとも一部分が、ポート832内に収まる寸法であり、蓋806の内部へと延在して基材811に接触する。プランジャ837は、蓋806から基材811を取り外すのを促進するよう適合される。例えば、プランジャ837は、基材811を蓋806から外し、その基材811を(例えば、試料源を装荷した後に)容器及び/又はライナーのリザーバ内に落とすのに用いることができる。プランジャ837は、蓋806を容器及び/又はライナーに連結する前、連結中、又は連結した後に押し込むことができる。プランジャ837は、さまざまな好適な形状及び寸法を含むことができ、プランジャ437に関して上述したさまざまな材料で形成することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、プランジャ837は採用されず、試料調製システム800の使用中に基材811が蓋806に結合されたままであるか、又は、試料調製システム800の使用中に基材811を蓋806から分離することができる。例えば、基材811は、攪拌プロセス中又はその後に、あるいは希釈剤が基材811に吸収された後に(例えば、基材811を希釈剤で膨満させた後に)、蓋806から分離することができる。
【0150】
試料調製システム800は更に、液体組成物を濾過して濾液を形成するために適合できるフィルタ(図示なし)を含むことができる。いくつかの実施形態では、フィルタは図2〜3に示したフィルタ134と実質的に同じであり得、基材811はこのフィルタを収容する寸法の開口を含むことができ、これにより、蓋806が容器及び/又はライナーに連結されたときに、フィルタは液体組成物との流体連通して配置されるようになる。
【0151】
使用中、蓋806は、基材811に試料源を採取して試料装荷基材を形成するのに用いることができる。蓋806は次に、容器及び/又はライナーに連結され、これにより試料装荷基材が、希釈剤と流体連通して配置される。試料装荷基材は、リザーバ内に落とすことができ(例えば、希釈剤に入れて、希釈剤に浮かせるか、又はリザーバの底に沈める)、あるいはこの試料装荷基材は蓋806に連結したままにしておき、これにより、試料装荷基材がリザーバ内にあるときも容器又はライナーのいずれの内側表面にも接触せず、むしろ、いかなる内側表面からも距離を置く。
【0152】
希釈剤は、この試料装荷基材と相互作用して、試料源と希釈剤とを含む液体組成物を形成することができる。試料装荷基材及び希釈剤は攪拌されると、液体組成物の形成を強化することができる。更に、希釈剤が強化培地を含む場合、対象の少なくとも1つの検体が強化され得る。そのような強化は、例えば、インキュベーション環境に試料調製システム800を配置することにより、及び/又は試料調製システム800を反転させて、強化及び/又はインキュベーションプロセスの間中、希釈剤が試料装荷基材に接触した状態が維持されるようにすることにより、生じ得る。液体組成物(又は濾過が採用された場合は濾液)の少なくとも一部分は、濃縮、更なるインキュベーション、及び/又は対象の検体の分析のために、試料調製システム800から取り出すことができる。
【0153】
基材811は、例としての目的に限定して、蓋806に連結した状態で示されている。しかしながら、基材811はその代わりに、試料調製システム800の任意の他の構成要素に連結することができることを理解すべきである。例えば、基材811は、試料調製システム800の容器の底部内側に連結することができ、又は、試料調製システム800の容器若しくはライナーの側壁内側に連結することができる。そのような実施形態のいずれにおいても、例えば基材811がハンドルとして連結されるための試料調製システム800の構成要素を使用することによって、基材811に試料を装荷することができる。更に、試料装荷基材を希釈剤と流体連通して配置するのは、試料調製システム800の対応する部分を別の部分と連結することによって、又は試料調製システム800を組み立てることによって、達成することができる。
【0154】
図15は、本開示の別の実施形態による試料調製システム900を示し、図中、同じ数字は同じ要素を示す。試料調製システム900は、図2〜3及び7の示された実施形態に関連する、多くの同様の上記要素及び特徴部を共有する。したがって、図2〜3及び7の示された実施形態の要素及び特徴部に一致する要素及び特徴部は、900シリーズにおいて同様の参照番号が提供される。参照は、図15に示される実施形態の特徴部及び要素(及び、このような特徴部及び要素の代替)を更に完全に説明するために、上記の添付図2〜3及び7に対してなされる。
【0155】
試料調製システム900は、第1リザーバ920を有する容器902と、第2リザーバ922を有し、第1リザーバ920内に収まる寸法であるライナー904と、蓋906と、フィルタ934と、を含む。蓋906は図7に示されている蓋406と実質的に同様であり、フィルタ934は図2〜3に示されているフィルタ134と実質的に同様である。フィルタ934は、濾液916を形成するよう適合される。蓋906は、蓋906の開口部954を画定するポート932と、試料調製システム900と、を含む。
【0156】
図15に示すように、基材911と試料源912とを含む試料装荷基材915は、ライナー904の第2リザーバ922内に配置され、希釈剤913と混合させて、試料源912と希釈剤913とを含む液体組成物914を形成する。図7に示す実施例において、基材911は拭取り布の形態である。
【0157】
容器902は、底部927に形成された開口924を含み、これによりライナー904への(例えば、ライナー904の底部926への)アクセスが可能になり、ライナー904を変形できる。このようなライナー904の変形を用いて、液体組成物914のレベル965を上昇させて、液体組成物914の濾過を促進し、あるいは濾液916の液体組成物914を試料調製システム900から取り出すのに使用することができる。濾液916のすべて、又は一部分(例えば、試料)は、フィルタ934の内部から取り出すことができる。特に、圧力差を生み出し、これによりライナー904を変形させ、液体組成物914にフィルタ934を通り抜けさせ、並びに、濾液916(又はフィルタ934が採用されていない場合は液体組成物914)を試料調製システム900から流出させることができる。この圧力差は、ライナー904の外側に(例えば、容器902の底部927の開口924を介してライナー904の底部926に)正圧を印加することにより、あるいはライナー904の内側に負圧を印加することにより、達成することができる。上記のように、正圧は、手で又は別の装置によってライナー904に印加することができ、手動又は自動プロセスを採用することができる。負圧(又は真空)は、ライナー904の内側に印加することができ、特にライナー904の第2リザーバ922に印加でき、これは例えば蓋906に真空源を連結することによって行われる(例えば蓋906のポート932に連結)。真空源には、減圧を生成する機械的ポンプ、又は手動ポンプ(例えば、注射器−プランジャの組み合わせ)、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0158】
試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800及び900並びにこれらの組み合わせのいずれも、上に記載され、図1に示される、一般に以下の試料調製方法10によって試料を調製するために使用することができる。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記述される1つの試料調製システムからのさまざまな構成要素は、本明細書に記述される別の試料調製システムからの他の構成要素と組み合わせて使用することができることも、当業者には理解されるであろう。例えば、容器604を、試料調製システム900のライナー904の代わりに使用することができる。ここで、図15の試料調製システム900を用いて、代表的な方法を詳しく説明する。
【0159】
試験表面から試料源912を採取し、試料装荷基材915を形成するために、基材911を使用することができる。基材911は拭取り布であり、よって容易に、対象の比較的大きな表面から試料源912を採取することができる。試料装荷基材915及び希釈剤913は、容器902の第1リザーバ920に加えられ、混ぜ合わせられて(すなわち、相互作用させられて)、試料源912と希釈剤913とを含む液体組成物914を形成することができる。上記のように、ライナー904又は容器902は、液体組成物914を入れることが可能な、自立型容器としての役目を果たすことができる。別の方法としては、ライナー904は変形可能かつ自己支持型であり得るが、ライナー904が容器902内に配置されるまでは必ずしも自立型である必要はない。蓋906は、ライナー904が容器902内に配置される前、又は後に、ライナー904と連結することができる。カラー(図示なし)を容器902と連結させて、試料調製システム900の構成要素全体を更に固定することができ、蓋開口部954はカバー(図示なし)を用いて閉じることができる。
【0160】
試料調製システム900は、攪拌して、試料装荷基材915を希釈剤913と相互作用させ、並びに、試料源912を希釈剤913中に溶解、分散、懸濁、及び/又は乳化させることができる。攪拌は前述の任意のプロセスを含んでもよく、例えば、直線状、円形軌道、楕円形軌道、ランダム軌道、これらの組み合わせ、又は試料装荷基材915と希釈剤913とを効率的かつ効果的に混合するための他の手段であってもよい。試料調製システム900は、液体組成物914の流出及び/又は損失を最小限にするために、攪拌中、クランプ、又は他の方法によって固定されてもよい。
【0161】
液体組成物914(又は試料調製システム900の内容物)は、選択された持続時間にわたって、いくつかの実施形態では周波数10〜2000サイクル/分、及び、いくつかの実施形態では周波数200〜500サイクル/分で、Burell Model 75 Wrist Action Shaker(Burrell Scientific,Pittsburgh,PA)によって攪拌することができる。試料調製システム900は、シェーカーアームから、いくつかの実施形態では5cm〜50cm、及び、いくつかの実施形態では10cm〜20cm、の距離に取り付けることができる。試料調製システム900は、いくつかの実施形態では5度〜30度、及び、いくつかの実施形態では15度〜20度の弧を描くことができる。液体組成物914は、少なくとも10秒、いくつかの実施形態では少なくとも15秒、いくつかの実施形態では少なくとも30秒、いくつかの実施形態では少なくとも40秒、及び、いくつかの実施形態では少なくとも60秒攪拌することができる。液体組成物914は、いくつかの実施形態では最長で15分、いくつかの実施形態では最長で10分、いくつかの実施形態では最長で5分、及び、いくつかの実施形態では最長で3分、攪拌することができる。
【0162】
液体組成物914は、選択された持続時間にわたって、いくつかの実施形態では200rpm〜5000rpm、及び、いくつかの実施形態では1000rpm〜3000rpmの攪拌周波数で、VX−2500 Multi−Tube Vortexer(VWR Scientific Products,West Chester,PA)で攪拌することができる。攪拌軌道は、直線、円、楕円、ランダム又はこれらの組み合わせであってもよい。楕円は、いくつかの実施形態では0.25cm〜5cmであり、いくつかの実施形態では1cm〜3cmである。
【0163】
上記のように、試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800及び/又は900の配列又は複数個は、後続の攪拌のために、重力、クランプ又は他の方法によって固定される、プレート、アーム、又は他の機器に設置することによって、同時に攪拌することができる。例えば、単一攪拌装置、又は複数の攪拌装置で、いくつかの実施形態では1〜約50個の試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800及び/又は900が同時に攪拌され、並びに、いくつかの実施形態では約10〜約25個の試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800及び/又は900が同時に攪拌される。
【0164】
いくつかの実施形態では、液体組成物914は、蓋開口部954(例えば、フィルタ934が存在しないとき)、あるいは、他の可能な開口のいずれかを通じて挿入されてもよい、シャフトと攪拌ブレードとを有する機械的攪拌器を加えることによって攪拌することができる。液体組成物914の攪拌は、試料源912から対象の検体(存在する場合)を放出させるために、希釈剤913における試料装荷基材915及び/又は試料源912の分解及び/又は分散を助長するために、鋼球ベアリング、磁気攪拌棒、ブレード及び他の手段で更に達成され得る。上記に記載される攪拌方法は、一例として挙げられるに過ぎず、限定することを意図したものではない。当業者は、他の類似の攪拌方法を採用できることを理解するであろう。
【0165】
液体組成物914は、希釈剤913と、希釈剤913中の対象の任意検体(存在する場合)と、を含む濾液916をフィルタ934内に配置して形成するために、フィルタ934を使用して濾過することができる。濾液916のすべて又は一部分(例えば、試料)を、更なる処理(例えば、分析)のためにフィルタ934の内部から取り出すことができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、液体組成物914のレベル965は、フィルタ934が液体組成物914のレベル965よりも一部は上方に、及び一部は下方に配置されるように、十分に高い。試料調製システム900は、必要に応じて、液体組成物914のレベル965を調節するために直立、勾配、傾斜、又は反転させて配置することができる。このような実施形態では、蓋開口部954を通してフィルタ934の内部にアクセス可能であり、濾液916の試料は、フィルタ934の内部から吸引することによって(例えば、ピペット操作によって)取り出すことができる。あるいは、濾液916は、蓋開口部954から濾液916を傾瀉法で移すことによって取り出すことができ、及び/又は、ライナー904は、このライナー904へ(例えば、容器902の底部927の開口924を経由してライナー904の底部926へ)圧力を加えることによって蓋開口部954から濾液916を追い出すことができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、液体組成物914のレベル965は、フィルタ934が液体組成物914のレベル965よりも完全に上方に設置されるように、フィルタ934の底よりも下方にある。このような実施形態では、フィルタ934で液体組成物914を濾過して、これにより濾液916がフィルタ934内に配置されるように、試料調製システム900を少なくとも部分的に反転することができる。上記のように、濾液916をフィルタ934の内部へ押し込む、及び/又は、蓋開口部954から押し出すために、圧力(すなわち、正又は負)をライナー904に加えることができる。あるいは、フィルタ934は、試料調製システム900が、反転後に直立位置に戻るとき、フィルタ934は、吸引及び/又は傾瀉法により移すことによって取り出せるように内部に濾液916を保持すべく構成することができる。
【0168】
上記のように、図4に示される試料調製システム200のようないくつかの実施形態では、フィルタ234は、試料装荷基材215の保有部、又は保持部としての役割を果たすことができる。このような実施形態では、希釈剤213は、容器202の第1リザーバ220に添加することができ(又は、容器202は、希釈剤213の予め計られた量で予め満たすことができ)、試料装荷基材215をフィルタ234内に配置することができる。蓋206は、容器202と連結することができ、試料調製システム200は、カバー、又は同様の密閉機器を使用して密閉することができる。組み立てられ、密閉された試料調製システム200は、液体組成物214がフィルタ234内に設置され、濾液216がフィルタ234の外側、及び容器202の第1リザーバ220内に設置されるようにして、攪拌し希釈剤213がフィルタ234の内外に流れるようにできる。
【0169】
上記のように、濾液216は、さまざまなサンプリングポート(例えば、サンプリングポート232)のいずれかから取り出すことができ、濾液216に依然として存在する場合がある更なる粒子を取り出すために、更に濾過することが可能である。例えば、濾液216は、容器202の側壁229に連結されたフィルタ234のものよりも小さい孔径を有するフィルタ234’によって更に濾過することができ、これにより第2濾液216’がフィルタ234’内に形成される。第2濾液216’、又はその試料は、上述の任意の技法を用いて取り出すことができる。
【0170】
試料調製システム900の使用の上記説明は、例としての目的限定で記述されるものであり、制限を意図したものではない。試料調製方法10の上記記述、及び上記の試料調製システムのさまざまな実施形態に基づき、当業者は、本開示の試料調製システムが試料を調製するのに使用され得るさまざまな方法を理解するであろう。
【0171】
上記に記載され、例示され、図に示される実施形態は、例としてであり、本発明の概念及び原理において限定を意図したものではない。当然、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、要素におけるさまざまな変更及びその構成並びに配置が可能であることは、当技術分野に精通する者に容易に理解されるであろう。本発明の種々の特徴及び態様は、添付の請求項に定める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のためのシステムであって、前記システムは、
リザーバを含む、変形可能な自己支持型容器と、
前記変形可能な自己支持型容器の前記リザーバに配置される試料装荷基材であって、前記試料装荷基材が基材と前記表面から採取された試料源とを含む、試料装荷基材と、
前記試料装荷基材と流体連通した、前記変形可能な自己支持型容器の前記リザーバに配置された希釈剤と、
前記リザーバ内に配置される液体組成物であって、前記液体組成物が前記試料源及び前記希釈剤を含む、液体組成物と、を含む、システム。
【請求項2】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記表面から採取された前記試料源が、少なくとも約10cm2の前記表面の領域から採取される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記基材が少なくとも200cm2である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記対象の検体が、微生物、寄生生物、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオンを含む錯体及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記対象の検体が、サルモネラ種、アシネトバクター種、ビブリオ種、ビブリオ種、リステリア・モノサイトゲネス、大腸菌、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、カンピロバクター・ジェジュニ、緑膿菌、炭疽菌、セレウス菌、クロストリジウム・ディフィシル、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記対象の検体が、ブドウ球菌エンテロトキシン、バチルス菌下痢性毒素、クロストリジウム・ディフィシル毒素、アフラトキシン、ピーナツアレルゲン、卵アレルゲン及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー剤、抗微生物中和剤、栄養物、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指標分子、滅菌水、有機溶媒及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記対象の検体が微生物を含み、前記希釈剤が前記微生物を強化するよう適合された強化培地を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記変形可能な自己支持型容器の内側表面に配置された強化培地を更に含み、前記強化培地が少なくとも前記対象の検体を増殖させるよう適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
自立型容器を更に含み、前記変形可能な自己支持型容器が、前記自立型容器内に収められる寸法になっており、前記自立型容器が前記変形可能な自己支持型容器よりも堅い、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記自立型容器が底部及び前記底部で画定される開口を含み、前記変形可能な自己支持型容器が前記開口からアクセス可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記変形可能な自己支持型容器が側壁を含み、前記側壁がアコーディオン型の形状を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記変形可能な自己支持型容器が、長手方向軸及び側壁を含み、前記側壁が実質的に前記長手方向軸に沿って実質的に均一に折り畳まれるよう適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記変形可能な自己支持型容器が、側壁を含み、該側壁が、少なくとも1つの折り目で前記側壁が折れ曲がれるように適合された、前記少なくとも1つの折り目を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記変形可能な自己支持型容器が、折れ曲がるよう適合された側壁を含み、これにより前記変形可能な自己支持型容器が、前記リザーバが第1体積を画定する第1状態と、前記リザーバが第2体積を画定する第2状態と、を含み、前記第2体積が前記第1体積よりも少ない、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記変形可能な自己支持型容器が自立型である、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記変形可能な自己支持型容器に連結した蓋を更に含み、前記試料装荷基材が前記蓋に連結している、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記リザーバ及び前記液体組成物と流体連通して配置され、濾液の体積を画定するフィルタを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記フィルタに流体連通して配置され、前記濾液の少なくとも一部を取り出せるよう配置されたポートを更に含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のためのシステムであって、前記システムは、
第1リザーバを含む自立型容器と、
前記自立型容器の前記第1リザーバ内に収められる寸法になっており、第2リザーバを含む変形可能な自己支持型容器であって、前記自立型容器が前記変形可能な自己支持型容器よりも堅い、変形可能な自己支持型容器と、
前記自立型容器及び前記変形可能な自己支持型容器のうち少なくとも1つに連結している蓋と、
前記変形可能な自己支持型容器の前記第2リザーバに配置される試料装荷基材であって、前記試料装荷基材が基材と前記表面から採取された試料源とを含む、試料装荷基材と、
前記試料装荷基材と流体連通した、前記変形可能な自己支持型容器の前記第2リザーバに配置された希釈剤と、
前記第2リザーバ内に配置される液体組成物であって、前記液体組成物が前記試料源及び前記希釈剤を含む、液体組成物と、を含む、システム。
【請求項25】
前記変形可能な自己支持型容器が自立型である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記表面から採取された前記試料源が、少なくとも約100cm2の前記表面の領域から採取される、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記基材が少なくとも100cm2である、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項30】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項31】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項32】
前記対象の検体が、微生物、寄生生物、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオンを含む錯体及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項33】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー剤、抗微生物中和剤、栄養物、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指標分子、滅菌水、有機溶媒及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項34】
前記変形可能な自己支持型容器が、側壁を含み、該側壁が、少なくとも1つの折り目で前記側壁が折れ曲がれるように適合された、前記少なくとも1つの折り目を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項35】
前記試料装荷基材が前記蓋に連結している、請求項24に記載のシステム。
【請求項36】
前記第2リザーバ及び前記液体組成物と流体連通して配置され、濾液の体積を画定するフィルタを更に含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項37】
前記フィルタが前記蓋に連結している、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記フィルタがプランジャに連結し、前記フィルタが、濾液を形成するために、前記プランジャにより液体組成物内を通過して動くよう適合されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のための方法であって、前記方法は、
試料装荷基材を提供する工程であって、前記試料装荷基材が基材及び前記表面から採取された試料源を含む、試料装荷基材を提供する工程と、
リザーバを含む、変形可能な自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程と、
前記リザーバ内で前記試料装荷基材及び希釈剤を合わせる工程と、
前記試料装荷基材及び前記希釈剤を攪拌することによって、前記試料源及び前記希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項40】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記対象の検体が、微生物、寄生生物、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオンを含む錯体及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー剤、抗微生物中和剤、強化培地、pH緩衝剤、酵素、指標分子、滅菌水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記試料調製システムから試料を取り出す工程を更に含み、前記試料が前記液体組成物の少なくとも一部分を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記対象の検体について前記試料を分析する工程を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記試料を分析する工程が、微生物学的アッセイ、生化学的アッセイ、イムノアッセイ、ラテラルフローアッセイ、滴定、熱分析、顕微鏡検査、分光法、分光測光法、クロマトグラフィー、電気化学分析、遺伝子学的技法、アデノシン三リン酸(ATP)検出アッセイ、細胞毒性アッセイ、ウイルスプラークアッセイ、細胞病理学的影響アッセイ、培養技法及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて分析する工程を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記対象検体に関する試料を分析する工程に、前記対象の検体を識別する工程と、前記対象を定量する工程のうち少なくとも1つが含まれる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記液体組成物の少なくとも一部分を取り出す工程が、前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が、前記変形可能な自己支持型容器の外側に正圧を印加する工程を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が、前記変形可能な自己支持型容器の内側に負圧を印加する工程を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型容器よりも堅い自立型容器を更に含み、かつ、前記変形可能な自己支持型容器を前記自立型容器内に配置する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項54】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型容器の前記リザーバと流体連通して配置されているフィルタを更に含み、かつ、前記液体組成物をフィルタで濾過して濾液を形成する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項55】
前記試料調製システムから試料を取り出す工程を更に含み、前記試料が前記濾液の少なくとも一部分を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記対象の検体について前記試料を分析する工程を更に含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記濾液の少なくとも一部分を取り出す工程が、前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記液体組成物を濾過して濾液を形成する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項59】
攪拌する工程には、手動振盪、機械的振盪、音波処理、ボルテックス攪拌、手動攪拌、機械的攪拌、手動叩解、機械的叩解、混合、混練、転がし、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つの工程が含まれる、請求項39に記載の方法。
【請求項60】
前記基材で前記試料源を採取し、前記試料装荷基材を形成する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項61】
前記基材により前記試料源を採取する工程には、前記表面に沿って前記基材を動かして前記試料装荷基材を形成する工程が含まれる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記基材により前記試料源を採取する工程には、前記表面に前記基材を接触させる工程が含まれる、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記基材で前記試料源を採取する工程の前に、前記表面に前記希釈剤を適用する工程を更に含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記試料調製システムが蓋を更に含み、前記蓋を前記変形可能な自己支持型容器に連結する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項65】
前記試料調製システムが更に蓋を含み、前記試料装荷基材が前記蓋に連結され、前記試料装荷基材及び前記希釈剤を前記変形可能な自己支持型容器内の前記リザーバ内で合わせる工程には、前記変形可能な自己支持型容器に前記蓋を連結する工程が含まれる、請求項39に記載の方法。
【請求項66】
前記液体組成物を強化して前記対象の検体を増殖させる工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項67】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のための方法であって、前記方法は、
試料装荷基材を提供する工程であって、前記試料装荷基材が基材及び前記表面から採取された試料源を含む、試料装荷基材を提供する工程と、
自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程であって、前記自己支持型容器がリザーバ及び内側表面を含む、自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程と、
前記自己支持型容器の前記リザーバ内に希釈剤を配置する工程と、
前記試料装荷基材が前記自己支持型容器の内側表面から距離を置いて配置され、前記試料装荷基材が希釈剤と流体連通するよう、前記自己支持型容器の前記リザーバ内に前記試料装荷基材を配置する工程と、
前記試料装荷基材及び前記希釈剤を攪拌することによって、前記試料源及び前記希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項68】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記対象の検体が、微生物、寄生生物、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオンを含む錯体及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー剤、抗微生物中和剤、栄養物、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指標分子、滅菌水、有機溶媒及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項74】
前記自己支持型容器が自立型である、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
前記自己支持型容器が変形可能である、請求項67に記載の方法。
【請求項76】
前記変形可能な自己支持型容器が側壁を含み、前記側壁がアコーディオン型の形状を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記自己支持型容器が変形可能であり、前記試料調製システムが、前記自己支持型容器よりも堅い自立型容器を更に含み、かつ、前記自己支持型容器を前記自立型容器内に配置する工程を更に含む、請求項67に記載の方法。
【請求項78】
前記液体組成物を濾過して濾液を形成する工程を更に含む、請求項67に記載の方法。
【請求項79】
前記試料調製システムから試料を取り出す工程を更に含み、前記試料が前記濾液の少なくとも一部分を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記自己支持型容器が変形可能であり、前記試料調製システムから試料を取り出す工程が、前記自己支持型容器に圧力を印加する工程を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記試料調製システムから試料を取り出す工程を更に含み、前記試料が前記液体組成物の少なくとも一部分を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項82】
前記対象の検体について前記試料を分析する工程を更に含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記自己支持型容器が変形可能であり、前記試料調製システムから試料を取り出す工程が、前記自己支持型容器に圧力を印加する工程を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記基材で前記試料源を採取し、前記試料装荷基材を形成する工程を更に含む、請求項67に記載の方法。
【請求項85】
前記試料装荷基材を前記自己支持型容器内の前記リザーバ内に配置する工程には、前記試料装荷基材が前記自己支持型容器の前記リザーバ内で浮動性であるように、前記自己支持型容器の前記リザーバ内に前記試料装荷基材を配置する工程が含まれる、請求項67に記載の方法。
【請求項86】
前記試料調製システムが更に蓋を含み、前記試料装荷基材が前記蓋に連結され、前記リザーバ内に前記試料装荷基材を配置する工程には、前記自己支持型容器に前記蓋を連結する工程が含まれる、請求項67に記載の方法。
【請求項87】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のための方法であって、前記方法は、
試料装荷基材を提供する工程であって、前記試料装荷基材が基材及び前記表面から採取された試料源を含む、試料装荷基材を提供する工程と、
自立型容器内に収められる寸法になっている変形可能な自己支持型容器であって、前記自立型容器が前記変形可能な自己支持型容器よりも堅く、前記変形可能な自己支持型容器がリザーバを含む、自立型容器、を含む試料調製システムを提供する工程と、
前記リザーバ内で前記試料装荷基材及び希釈剤を合わせる工程と、
前記試料装荷基材及び前記希釈剤を攪拌することによって、前記試料源及び前記希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、
前記試料調製システムから試料を取り出す工程と、を含む、方法。
【請求項88】
前記変形可能な自己支持型容器を前記自立型容器内に配置する工程を更に含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記対象の検体について前記試料を分析する工程を更に含む、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項92】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項93】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項94】
前記試料調製システムから前記液体組成物の少なくとも一部分を取り出す工程には、前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が含まれる、請求項87に記載の方法。
【請求項95】
前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が、前記変形可能な自己支持型容器の外側に正圧を印加する工程を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が、前記変形可能な自己支持型容器の内側に負圧を印加する工程を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記自立型容器が、前記変形可能な自己支持型容器へのアクセスを可能にする開口を含み、前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程には、前記自立型容器の前記開口を介して前記変形可能な自己支持型容器に外的圧力を印加する工程が含まれる、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記試料が、前記液体組成物の少なくとも一部分を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項99】
前記液体組成物を濾過して濾液を形成する工程を更に含み、前記試料が前記濾液の少なくとも一部分を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項100】
前記基材で前記試料源を採取し、前記試料装荷基材を形成する工程を更に含む、請求項87に記載の方法。
【請求項101】
前記試料調製システムが更に蓋を含み、前記試料装荷基材が前記蓋に連結され、前記試料装荷基材及び前記希釈剤を前記リザーバ内で合わせる工程には、前記変形可能な自己支持型容器と前記自立型容器のうち少なくとも1つに前記蓋を連結する工程が含まれる、請求項87に記載の方法。
【請求項1】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のためのシステムであって、前記システムは、
リザーバを含む、変形可能な自己支持型容器と、
前記変形可能な自己支持型容器の前記リザーバに配置される試料装荷基材であって、前記試料装荷基材が基材と前記表面から採取された試料源とを含む、試料装荷基材と、
前記試料装荷基材と流体連通した、前記変形可能な自己支持型容器の前記リザーバに配置された希釈剤と、
前記リザーバ内に配置される液体組成物であって、前記液体組成物が前記試料源及び前記希釈剤を含む、液体組成物と、を含む、システム。
【請求項2】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記表面から採取された前記試料源が、少なくとも約10cm2の前記表面の領域から採取される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記基材が少なくとも200cm2である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記対象の検体が、微生物、寄生生物、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオンを含む錯体及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記対象の検体が、サルモネラ種、アシネトバクター種、ビブリオ種、ビブリオ種、リステリア・モノサイトゲネス、大腸菌、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、カンピロバクター・ジェジュニ、緑膿菌、炭疽菌、セレウス菌、クロストリジウム・ディフィシル、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記対象の検体が、ブドウ球菌エンテロトキシン、バチルス菌下痢性毒素、クロストリジウム・ディフィシル毒素、アフラトキシン、ピーナツアレルゲン、卵アレルゲン及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー剤、抗微生物中和剤、栄養物、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指標分子、滅菌水、有機溶媒及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記対象の検体が微生物を含み、前記希釈剤が前記微生物を強化するよう適合された強化培地を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記変形可能な自己支持型容器の内側表面に配置された強化培地を更に含み、前記強化培地が少なくとも前記対象の検体を増殖させるよう適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
自立型容器を更に含み、前記変形可能な自己支持型容器が、前記自立型容器内に収められる寸法になっており、前記自立型容器が前記変形可能な自己支持型容器よりも堅い、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記自立型容器が底部及び前記底部で画定される開口を含み、前記変形可能な自己支持型容器が前記開口からアクセス可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記変形可能な自己支持型容器が側壁を含み、前記側壁がアコーディオン型の形状を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記変形可能な自己支持型容器が、長手方向軸及び側壁を含み、前記側壁が実質的に前記長手方向軸に沿って実質的に均一に折り畳まれるよう適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記変形可能な自己支持型容器が、側壁を含み、該側壁が、少なくとも1つの折り目で前記側壁が折れ曲がれるように適合された、前記少なくとも1つの折り目を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記変形可能な自己支持型容器が、折れ曲がるよう適合された側壁を含み、これにより前記変形可能な自己支持型容器が、前記リザーバが第1体積を画定する第1状態と、前記リザーバが第2体積を画定する第2状態と、を含み、前記第2体積が前記第1体積よりも少ない、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記変形可能な自己支持型容器が自立型である、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記変形可能な自己支持型容器に連結した蓋を更に含み、前記試料装荷基材が前記蓋に連結している、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記リザーバ及び前記液体組成物と流体連通して配置され、濾液の体積を画定するフィルタを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記フィルタに流体連通して配置され、前記濾液の少なくとも一部を取り出せるよう配置されたポートを更に含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のためのシステムであって、前記システムは、
第1リザーバを含む自立型容器と、
前記自立型容器の前記第1リザーバ内に収められる寸法になっており、第2リザーバを含む変形可能な自己支持型容器であって、前記自立型容器が前記変形可能な自己支持型容器よりも堅い、変形可能な自己支持型容器と、
前記自立型容器及び前記変形可能な自己支持型容器のうち少なくとも1つに連結している蓋と、
前記変形可能な自己支持型容器の前記第2リザーバに配置される試料装荷基材であって、前記試料装荷基材が基材と前記表面から採取された試料源とを含む、試料装荷基材と、
前記試料装荷基材と流体連通した、前記変形可能な自己支持型容器の前記第2リザーバに配置された希釈剤と、
前記第2リザーバ内に配置される液体組成物であって、前記液体組成物が前記試料源及び前記希釈剤を含む、液体組成物と、を含む、システム。
【請求項25】
前記変形可能な自己支持型容器が自立型である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記表面から採取された前記試料源が、少なくとも約100cm2の前記表面の領域から採取される、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記基材が少なくとも100cm2である、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項30】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項31】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項32】
前記対象の検体が、微生物、寄生生物、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオンを含む錯体及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項33】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー剤、抗微生物中和剤、栄養物、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指標分子、滅菌水、有機溶媒及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項34】
前記変形可能な自己支持型容器が、側壁を含み、該側壁が、少なくとも1つの折り目で前記側壁が折れ曲がれるように適合された、前記少なくとも1つの折り目を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項35】
前記試料装荷基材が前記蓋に連結している、請求項24に記載のシステム。
【請求項36】
前記第2リザーバ及び前記液体組成物と流体連通して配置され、濾液の体積を画定するフィルタを更に含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項37】
前記フィルタが前記蓋に連結している、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記フィルタがプランジャに連結し、前記フィルタが、濾液を形成するために、前記プランジャにより液体組成物内を通過して動くよう適合されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のための方法であって、前記方法は、
試料装荷基材を提供する工程であって、前記試料装荷基材が基材及び前記表面から採取された試料源を含む、試料装荷基材を提供する工程と、
リザーバを含む、変形可能な自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程と、
前記リザーバ内で前記試料装荷基材及び希釈剤を合わせる工程と、
前記試料装荷基材及び前記希釈剤を攪拌することによって、前記試料源及び前記希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項40】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記対象の検体が、微生物、寄生生物、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオンを含む錯体及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー剤、抗微生物中和剤、強化培地、pH緩衝剤、酵素、指標分子、滅菌水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記試料調製システムから試料を取り出す工程を更に含み、前記試料が前記液体組成物の少なくとも一部分を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記対象の検体について前記試料を分析する工程を更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記試料を分析する工程が、微生物学的アッセイ、生化学的アッセイ、イムノアッセイ、ラテラルフローアッセイ、滴定、熱分析、顕微鏡検査、分光法、分光測光法、クロマトグラフィー、電気化学分析、遺伝子学的技法、アデノシン三リン酸(ATP)検出アッセイ、細胞毒性アッセイ、ウイルスプラークアッセイ、細胞病理学的影響アッセイ、培養技法及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを用いて分析する工程を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記対象検体に関する試料を分析する工程に、前記対象の検体を識別する工程と、前記対象を定量する工程のうち少なくとも1つが含まれる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記液体組成物の少なくとも一部分を取り出す工程が、前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が、前記変形可能な自己支持型容器の外側に正圧を印加する工程を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が、前記変形可能な自己支持型容器の内側に負圧を印加する工程を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型容器よりも堅い自立型容器を更に含み、かつ、前記変形可能な自己支持型容器を前記自立型容器内に配置する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項54】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型容器の前記リザーバと流体連通して配置されているフィルタを更に含み、かつ、前記液体組成物をフィルタで濾過して濾液を形成する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項55】
前記試料調製システムから試料を取り出す工程を更に含み、前記試料が前記濾液の少なくとも一部分を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記対象の検体について前記試料を分析する工程を更に含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記濾液の少なくとも一部分を取り出す工程が、前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記液体組成物を濾過して濾液を形成する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項59】
攪拌する工程には、手動振盪、機械的振盪、音波処理、ボルテックス攪拌、手動攪拌、機械的攪拌、手動叩解、機械的叩解、混合、混練、転がし、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つの工程が含まれる、請求項39に記載の方法。
【請求項60】
前記基材で前記試料源を採取し、前記試料装荷基材を形成する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項61】
前記基材により前記試料源を採取する工程には、前記表面に沿って前記基材を動かして前記試料装荷基材を形成する工程が含まれる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記基材により前記試料源を採取する工程には、前記表面に前記基材を接触させる工程が含まれる、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記基材で前記試料源を採取する工程の前に、前記表面に前記希釈剤を適用する工程を更に含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記試料調製システムが蓋を更に含み、前記蓋を前記変形可能な自己支持型容器に連結する工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項65】
前記試料調製システムが更に蓋を含み、前記試料装荷基材が前記蓋に連結され、前記試料装荷基材及び前記希釈剤を前記変形可能な自己支持型容器内の前記リザーバ内で合わせる工程には、前記変形可能な自己支持型容器に前記蓋を連結する工程が含まれる、請求項39に記載の方法。
【請求項66】
前記液体組成物を強化して前記対象の検体を増殖させる工程を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項67】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のための方法であって、前記方法は、
試料装荷基材を提供する工程であって、前記試料装荷基材が基材及び前記表面から採取された試料源を含む、試料装荷基材を提供する工程と、
自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程であって、前記自己支持型容器がリザーバ及び内側表面を含む、自己支持型容器を含む試料調製システムを提供する工程と、
前記自己支持型容器の前記リザーバ内に希釈剤を配置する工程と、
前記試料装荷基材が前記自己支持型容器の内側表面から距離を置いて配置され、前記試料装荷基材が希釈剤と流体連通するよう、前記自己支持型容器の前記リザーバ内に前記試料装荷基材を配置する工程と、
前記試料装荷基材及び前記希釈剤を攪拌することによって、前記試料源及び前記希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項68】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記対象の検体が、微生物、寄生生物、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオンを含む錯体及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー剤、抗微生物中和剤、栄養物、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指標分子、滅菌水、有機溶媒及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項74】
前記自己支持型容器が自立型である、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
前記自己支持型容器が変形可能である、請求項67に記載の方法。
【請求項76】
前記変形可能な自己支持型容器が側壁を含み、前記側壁がアコーディオン型の形状を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記自己支持型容器が変形可能であり、前記試料調製システムが、前記自己支持型容器よりも堅い自立型容器を更に含み、かつ、前記自己支持型容器を前記自立型容器内に配置する工程を更に含む、請求項67に記載の方法。
【請求項78】
前記液体組成物を濾過して濾液を形成する工程を更に含む、請求項67に記載の方法。
【請求項79】
前記試料調製システムから試料を取り出す工程を更に含み、前記試料が前記濾液の少なくとも一部分を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記自己支持型容器が変形可能であり、前記試料調製システムから試料を取り出す工程が、前記自己支持型容器に圧力を印加する工程を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記試料調製システムから試料を取り出す工程を更に含み、前記試料が前記液体組成物の少なくとも一部分を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項82】
前記対象の検体について前記試料を分析する工程を更に含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記自己支持型容器が変形可能であり、前記試料調製システムから試料を取り出す工程が、前記自己支持型容器に圧力を印加する工程を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記基材で前記試料源を採取し、前記試料装荷基材を形成する工程を更に含む、請求項67に記載の方法。
【請求項85】
前記試料装荷基材を前記自己支持型容器内の前記リザーバ内に配置する工程には、前記試料装荷基材が前記自己支持型容器の前記リザーバ内で浮動性であるように、前記自己支持型容器の前記リザーバ内に前記試料装荷基材を配置する工程が含まれる、請求項67に記載の方法。
【請求項86】
前記試料調製システムが更に蓋を含み、前記試料装荷基材が前記蓋に連結され、前記リザーバ内に前記試料装荷基材を配置する工程には、前記自己支持型容器に前記蓋を連結する工程が含まれる、請求項67に記載の方法。
【請求項87】
対象の検体について、表面を検査するための試料調製のための方法であって、前記方法は、
試料装荷基材を提供する工程であって、前記試料装荷基材が基材及び前記表面から採取された試料源を含む、試料装荷基材を提供する工程と、
自立型容器内に収められる寸法になっている変形可能な自己支持型容器であって、前記自立型容器が前記変形可能な自己支持型容器よりも堅く、前記変形可能な自己支持型容器がリザーバを含む、自立型容器、を含む試料調製システムを提供する工程と、
前記リザーバ内で前記試料装荷基材及び希釈剤を合わせる工程と、
前記試料装荷基材及び前記希釈剤を攪拌することによって、前記試料源及び前記希釈剤を含む液体組成物を形成する工程と、
前記試料調製システムから試料を取り出す工程と、を含む、方法。
【請求項88】
前記変形可能な自己支持型容器を前記自立型容器内に配置する工程を更に含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記対象の検体について前記試料を分析する工程を更に含む、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記試料源と前記試料装荷基材のうち少なくとも1つが前記希釈剤を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
前記基材が、スポンジ、拭取り布、タオル、クロス、モップヘッド、綿棒、ブラシ及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項92】
前記基材が、ポリマー、セラミック、布地、紙、これらの織布、これらの不織布及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項93】
前記基材が、金属コーティングされたウェブ、接着剤コーティングされたウェブ、静電帯電したウェブ、繊維ウェブ、フォーム、フィルム、セルロース材料及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項94】
前記試料調製システムから前記液体組成物の少なくとも一部分を取り出す工程には、前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が含まれる、請求項87に記載の方法。
【請求項95】
前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が、前記変形可能な自己支持型容器の外側に正圧を印加する工程を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程が、前記変形可能な自己支持型容器の内側に負圧を印加する工程を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記自立型容器が、前記変形可能な自己支持型容器へのアクセスを可能にする開口を含み、前記変形可能な自己支持型容器に圧力を印加する工程には、前記自立型容器の前記開口を介して前記変形可能な自己支持型容器に外的圧力を印加する工程が含まれる、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記試料が、前記液体組成物の少なくとも一部分を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項99】
前記液体組成物を濾過して濾液を形成する工程を更に含み、前記試料が前記濾液の少なくとも一部分を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項100】
前記基材で前記試料源を採取し、前記試料装荷基材を形成する工程を更に含む、請求項87に記載の方法。
【請求項101】
前記試料調製システムが更に蓋を含み、前記試料装荷基材が前記蓋に連結され、前記試料装荷基材及び前記希釈剤を前記リザーバ内で合わせる工程には、前記変形可能な自己支持型容器と前記自立型容器のうち少なくとも1つに前記蓋を連結する工程が含まれる、請求項87に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2011−503633(P2011−503633A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535040(P2010−535040)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/084015
【国際公開番号】WO2009/067503
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/084015
【国際公開番号】WO2009/067503
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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