説明

環境計測装置、設備制御システム、環境計測方法、及び環境計測プログラム

【課題】室内の照度や温度を示す環境情報をより正確に算出可能な環境計測装置、環境計測方法、及び環境計測プログラムと、その環境情報に基づいて設備機器を制御可能な設備制御システムを提供する。
【解決手段】室内の天井面または壁面に設けられた撮像部100は、室内の視差を有する複数の撮像画像を取得する。取得された撮像画像から、設備制御装置300の制御部360は、前記室内に配置された構造物と撮像部100が設けられた面との距離を示す距離情報を生成する。また、構造物情報DB320は、構造物の距離情報と、該構造物の反射率や赤外線放射係数等の表面特性を表す係数を記憶する。制御部360は、生成された距離情報に基づいて、構造物情報DB320から前記室内に配置された構造物を特定し、特定された構造物の係数と撮像画像の輝度とから前記室内の照度や温度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや工場内の照度や温度を示す環境情報を計測する環境計測装置、環境計測方法、及び環境計測プログラムに関する。また、本発明は、前記環境計測装置により計測された環境情報に基づいて設備機器を制御する設備制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像センサが検出した画像の輝度を照度に変換することにより空間内の照度を推定し、その照度に基づいて前記空間の照度が均一に保たれるように照明器を制御することで、省エネルギー化や個人の快適性の向上を図る照度検知装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、部屋の内部を撮影する赤外画像センサと、該画像センサによる撮影画像に基づいて、人の数、位置、動作、活動量、或いは着衣量等の状況を判定し、該判定結果に基づいてエアコン本体を制御する空気調和機の制御装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−281054号公報
【特許文献2】特開平10−259942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の照度検知装置では、画像センサから得られる輝度は、同じ照度でも照射面によって異なる。従って、照射面を考慮せずに、輝度から照度に変換しても、空間の照度を正確に得ることができないという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の空気調和機の制御装置では、赤外画像センサから得られる物体の表面から放射される赤外線の強度により、物体表面の温度分布を得ることができるが、空間における空気の温度(雰囲気温度)を測定することはできない。従って、空間の温度を測定するためには別途温度センサを設置する必要がある。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、室内の照度や温度を示す環境情報をより正確に算出可能な環境計測装置、環境計測方法、及び環境計測プログラムと、その環境情報に基づいて設備機器を制御することが可能な設備制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る環境計測装置は、
室内環境の物理量を示す環境情報を計測する環境計測装置であって、
前記室内の天井面または壁面に設けられ、前記室内に配置された構造物を複数の異なる視点位置から撮像する撮像手段と、
前記複数の異なる視点位置のうち少なくとも2つの視点位置で前記撮像手段により取得された画像に基づいて、前記構造物と前記撮像手段が設けられた面との距離を示す距離情報を生成する距離情報生成手段と、
構造物と、該構造物と前記撮像手段が設けられた面との距離と、該構造物の前記画像上での輝度と該構造物表面に隣接する空間の環境情報との関係を表す係数と、を対応付けて記憶する構造物情報記憶手段と、
前記距離情報生成手段により生成された前記距離情報に基づいて、前記構造物情報記憶手段に記憶されている前記構造物と前記係数を取得し、取得された前記構造物の前記画像上での輝度と、取得された係数とに基づいて、前記室内の前記環境情報を生成する環境情報生成手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、室内の照度や温度を示す環境情報をより正確に算出し、その環境情報に基づいて設備機器を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1における設備制御システムの構成の一例を示す構成図である。
【図2】実施形態1における室内を示す斜視図である。
【図3】(a)〜(d)は、実施形態1〜3における撮像画像を示す図である。
【図4】構造物情報DBに記憶される情報の一例を示す模式図である。
【図5】実施形態1における制御領域を説明するための図である。
【図6】実施形態1における設備制御装置の制御部のブロック図である。
【図7】実施形態1における設備制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】実施形態2における撮像部の構成の一例を示す構成図である。
【図9】実施形態2における設備制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図10】実施形態3における設備制御装置の制御部のブロック図である。
【図11】実施形態3における活動設定情報DBに記憶される情報の一例を示す模式図である。
【図12】(a)は実施形態1〜3における撮像部の構成の変形例を示す構成図、(b)は、実施形態2における撮像部の構成の変形例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
本発明における実施形態1について図1〜7を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る設備制御システム1は、撮像部100と、設備機器200と、設備制御装置300とから構成され、これらはネットワーク400を介して相互に接続されている。
なお、本実施形態では、図2に示されるように、机510a〜510hと、ラック520a、520bと、パーティション530a、530bといった構造物が配置される室内500における照度を、設備機器200に相当する照明装置200a〜200dを用いて制御する。以下に、本実施形態における設備制御システム1の構成について詳細に説明する。
【0012】
撮像部100は、室内500の天井面に設けられ、室内500に配置された構造物を複数の異なる視点位置から撮像する撮像手段を構成するものである。撮像部100は、その一例として図1に示すように、2つの光検出部110、120と、光検出部110、120を制御する制御部130と、光検出部110、120により撮像された撮像画像情報をネットワーク400を介して設備制御装置300に送信する通信部140とから構成される。
【0013】
光検出部110、120は、互いに異なる視点位置から室内500の2次元画像を取得するものである。光検出部110、120は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、COMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等から構成される。光検出部110、120は、図2に示すように、互いに所定の距離だけ離れて、室内500の天井面の略中央に配置される。光検出部110と光検出部120は、それぞれ図3(a)及び(b)に示すような撮像画像を取得する。図3(a)及び(b)に示す撮像画像は、それらを重ね合わせた図3(c)に示すように、光検出部110、120と撮像対象との距離の差により、所定の視差を有する。光検出部110、120でそれぞれ取得された視差を有する撮像画像を示す視差画像情報は、制御部130でアナログ信号からデジタル信号に変換される。そして、制御部130は、設備制御装置300から視差画像の送信指示を受信すると、通信部140及びネットワーク400を介して、設備制御装置300に視差画像情報を送信する。
【0014】
設備機器200は、設備制御装置300からの制御情報に基づいて、室内500の照度、温度等を変化させるものであり、例えば照明装置200a〜200dや空調装置200e、200fから構成される。図1に示すように、設備機器200は、ネットワーク400を介して設備制御装置300から制御情報を受信する通信部210と、受信した制御情報に基づいて作動部230を制御する制御部220と、作動することにより室内500の照度、温度等を変化させる作動部230とから構成される。
本実施形態では、設備機器200の一例として、前述したように図2に示す室内500の天井面に配置される照明装置200a〜200dを制御することにより、室内500の照度を変化させる場合について説明する。照明装置200a〜200dは、作動部230に相当する蛍光灯等の光源により室内500を照らすものであり、設備制御装置300からの制御情報に基づいて、制御部220により光源の光度や光の向きが制御される。また、室内500を上から見た平面図である図5において一点鎖線で示すように、室内500は、パーティション530a、530bにより区切られた領域A〜Dを有する。この各領域A〜Dの天井面の略中央に、照明装置200a〜200dがそれぞれ設置される。
【0015】
設備制御装置300は、撮像部100により取得した撮像画像から室内500の照度、温度等を示す環境情報を生成し、その環境情報に基づいて設備機器200を制御するものである。設備制御装置300は、図1に示すように、通信部310と、構造物情報DB(データベース)320と、設定情報DB330と、ROM(Read Only Memory)340と、RAM(Random Access Memory)350と、制御部360とから構成される。
【0016】
通信部310は、制御部360の制御の下、ネットワーク400を介して撮像部100及び設備機器200との間でデータの送受信を行うものである。通信部310は、例えば、無線LAN(Local Area Network)カードから構成される。
【0017】
構造物情報DB320は、室内500に配置された構造物の構造物情報を記憶する。構造物情報DB320は、ハードディスク等の書き換え可能な記憶装置から構成される。構造物情報は、例えば図4に示すように、室内500に配置される構造物毎に、構造物と撮像部100が設置された天井面との距離zと、構造物表面の反射率Rと、後述する照度情報を算出するための係数Cとから構成される情報である。
【0018】
設定情報DB330は、撮像部100、照明装置200a〜200dに関して予め設定されている各種設定情報を記憶する。設定情報DB330は、ハードディスク等の書き換え可能な記憶装置から構成される。設定情報DB330は、例えば、撮像部情報と、照度管理情報と、照明装置情報とを記憶する。撮像部情報は、撮像部100の光検出部110、120の位置や姿勢を表す設置情報と、後述する照度情報を生成するための係数Dとを含む。設置情報は、各光検出部110、120により撮像された画像から後述する距離情報を生成する際に用いられる。係数Dは、撮像部100により撮像された画像の輝度と照度との関係を表す係数であり、撮像対象や撮影環境によらず、撮像部100のみにより決まるものである。
【0019】
照度管理情報は、照度制御範囲ごとに設定照度が対応付けられた情報である。照度制御範囲は、例えば「机上面」や「床面」というように構造物の面として表される。そして、照度制御範囲ごとに、利用者がその照度制御範囲において維持したい照度を表す設定照度が対応付けられる。制御部360は、この照度制御範囲における照度が設定照度を維持するように制御を行う。
【0020】
照明装置情報は、照明装置200a〜200dごとに、制御領域が対応付けられた情報である。制御領域は、各照明装置200a〜200dが照明可能な領域である。本実施形態に係る設備制御システム1では、図5に示すように、室内500は領域A〜Dを有しており、照明装置200aの制御領域は領域A、照明装置200bの制御領域は領域B、照明装置200cの制御領域は領域C、照明装置200dの制御領域は領域D、である旨の照明装置情報が記憶されているものとする。
【0021】
ROM340は、制御部360が設備制御装置300の全体を制御するためのプログラムを記憶する不揮発性メモリである。例えば、ROM340は、制御部360が、撮像部100により取得された撮像画像から室内500の照度情報を生成し、その照度情報に基づいて照明装置200a〜200dを制御するための制御情報を生成するための設備制御プログラムを記憶している。
【0022】
RAM350は、制御部360が生成した照度情報や制御情報、当該照度情報や制御情報を生成するために必要なデータ等を一時的に記憶するための不揮発性メモリである。
【0023】
制御部360は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、設備制御装置300全体を制御する。制御部360は、例えば、ROM340に予め記憶されたプログラムを読み出し、後述する設備制御処理等を実行する。
【0024】
次に、本実施形態に係る設備制御装置300の制御部360が機能する処理について説明する。制御部360は、図6に示すように、距離情報生成部361と、配置情報生成部362と、環境情報生成部363と、制御情報生成部364とから構成される。
【0025】
距離情報生成部361は、撮像部100から取得した視差を含む複数の撮像画像から、撮像部100から撮像対象である構造物までの距離を求め、求められた距離に基づいて、撮像部100が設置された天井面とその構造物との距離を示す距離情報を生成する。
【0026】
ここで、距離情報の生成方法の一例を説明する。まず、図3(a)及び(b)に示すような一定の視差を持つ複数の画像をもとに、ブロックマッチング法などを用いて複数画像間の対応点を決定する。そして、各画像における該対応点の位置と、予め設定情報DB330に記憶されている撮像部情報に含まれる光検出部110、120の設置情報から決定される視差情報とから、三角測量の原理により、距離情報を生成することができる。図3(d)に距離情報の一例として、撮像部100から近いところを濃く、遠いところを薄く表現した、概念図を示す。
【0027】
配置情報生成部362は、距離情報生成部361により生成された距離情報と、構造物情報DB320に記憶されている構造物と撮像部100が設置された天井面との距離zとから、図3に示すような撮像画像上において、構造物が配置されている領域を示す配置情報を生成する。
【0028】
ここで、配置情報の生成方法の一例を説明する。配置情報生成部362は、図3(d)に示されるような距離情報を有する撮像画像において、その距離情報が一致する、または所定の誤差の範囲内にある値を有する領域を検出する。そして、検出された領域について、その領域の距離情報を撮像部100が設置された天井面との距離zとして有する構造物を構造物情報DB320から特定する。これにより、特定された構造物が、その領域に配置されていることが判別される。この処理を、撮像画像全体の点に渡って行うことにより、撮像画像上において構造物が配置されている領域を求めることができる。
【0029】
環境情報生成部363は、撮像部100により得られた撮像画像の輝度情報、設定情報DB330に記憶された各種設定情報、及び配置情報生成部362により生成された配置情報から、環境情報として照度情報を生成する。ここでいう、照度情報とは、室内500の所定の領域における照度分布を示す情報である。
【0030】
ここで、照度情報の生成方法の一例を説明する。まず、環境情報生成部363は、設定情報DB330に記憶されている照度管理情報に含まれる照度制御範囲から特定される構造物の情報を取得する。そして、配置情報から、その構造物が配置される領域を特定する。そして、その特定された領域における撮像画像の輝度情報と、構造物情報DB320に記憶されたその構造物の反射率R及び係数Cと、設定情報DB330に記憶された撮像部情報に含まれる係数Dとから、その領域の照度分布を算出することにより、照度情報が生成される。
【0031】
ここで、一般に、光検出部110、120により取得される撮像画像の輝度Xは、撮像対象の表面における照度Y、反射率Rと、係数C、Dを用いて次のように表すことができる。
(数式1)
X=D×R×Y+C
ここで、定数Cは、撮像部100やその設置環境によって決定される値であり、室内500に設置された全ての照明を消灯した場合にも撮像画像が輝度を持つ場合の補正値と、構造物によって決定される値とを含む。また、係数Dは、撮像部100によって決定される、輝度と照度とを変換する係数である。なお、係数C、Dは、実測や校正等により、実際の設置状況にあわせて設定情報DB330に記憶させてもよい。また、実測しなくても、材質、色などを加味した値を予め設定情報DB330に記憶させてもよい。
【0032】
制御情報生成部364は、環境情報生成部363により生成された所定の領域の照度情報と、設定情報DB330に記憶されている設定照度とから、設備機器200である照明装置200a〜200dを制御するための制御情報を生成し、各照明装置200a〜200dに制御情報を送信する。
【0033】
ここで、制御情報の生成方法の一例を説明する。まず、制御情報生成部364は、環境情報生成部363により生成された所定の照度制御範囲の照度情報について、その所定の照度制御範囲が属する制御領域を特定する。次に、その制御領域の照明を担当する照明装置200a〜200dを設定情報DB330に記憶されている照明装置情報から特定する。そして、各照明装置200a〜200dの制御領域ごとに、所定の照度制御範囲の照度の平均値を算出する。そして、制御情報生成部364は、その平均値と、設定情報DB330に記憶されている所定の照度制御範囲の設定照度とに基づいて、各照明装置200a〜200dを制御するための制御情報を生成する。
【0034】
次に、本実施形態における設備制御システム1で実行される設備制御処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
制御部360は、設備制御装置300に電源が投入されると、制御部360のROM340に格納された設備制御プログラムを読み込み、設備制御処理を開始する。
【0036】
まず、制御部360は、撮像部100に視差画像情報の送信を指示する(ステップS11)。
【0037】
そして、制御部360は撮像部100から視差画像情報を受信したか否かを判別する(ステップS12)。制御部360は、視差画像情報を受信していないと判別した場合(ステップS12;No)、受信するまで待ち状態となる。
【0038】
そして、制御部360は、視差画像情報を受信したと判別した場合(ステップS12;Yes)、距離情報生成部361は、距離情報の生成を行う(ステップS13)。
【0039】
例えば、制御部360は、図3(a)及び(b)に示すような視差画像情報を受信した場合、上述したように三角測量の原理により、視差画像情報に含まれる室内500の画像全体に渡って撮像部100と画像内の点との距離を算出する。この算出された距離に基づいて、距離情報生成部361は、図3(d)に示すような距離情報を生成する。
【0040】
そして、配置情報生成部362は、ステップS13で生成された距離情報と、構造物情報DB320に記憶された構造物と撮像部100が設置された天井面との距離zとから、配置情報を生成する(ステップS14)。
【0041】
例えば、距離情報生成部361が、図3(d)に示すような距離情報を生成した場合について説明する。図3(d)に示すようにx−y座標を規定した場合、配置情報生成部362は、x1≦x≦x2かつy1≦y≦y2の領域において、距離情報がzで一定である領域aを検出したとする。そして、配置情報生成部362は、構造物情報DB320から、撮像部100が設置された天井面との距離zがzである構造物として、「ラック」を特定する。このようにして、領域a(x1≦x≦x2かつy1≦y≦y2)に「ラック」が配置されていることを示す配置情報が生成される。なお、一般的なオフィス内に配置される構造物である机などの什器は、一定の大きさ、材質のものを利用して構成されるため、このような方法で十分に構造物が配置されている領域を特定することが可能である。
【0042】
そして、環境情報生成部363は、設定情報DB330に記憶されている照度管理情報の照度制御範囲について、照度情報を生成する(ステップS15)。
【0043】
例えば、設定情報DB330に、照度管理情報に含まれる照度制御範囲として「机上面」が記憶されている場合について説明する。この場合、環境情報生成部363は、照度制御範囲が「机上面」であることから、構造物として「机」を特定する。そして、環境情報生成部363は、配置情報から、図5に示すように「机」が配置される領域b1〜b4(斜線部分)を特定する。そして、領域b1〜b4における画像の輝度Xと、構造物情報DB320に記憶された「机」の反射率R1及び係数C1と、設定情報DB330に記憶された係数Dとから、数式1を用いて領域b1〜b4の照度分布を算出する。これにより、照度制御範囲である「机上面」の照度情報が生成される。
【0044】
次に、制御情報生成部364は、ステップS15の照度制御範囲の属する制御領域と、その制御領域を担当する照明装置200a〜200dを設定情報DB330に記憶されている照明装置情報から特定し、環境情報生成部363により生成された照度情報に基づいて、特定された照明装置200a〜200dごとに制御情報を生成する(ステップS16)。
【0045】
例えば、「机上面」の照度を制御するための制御情報を生成する場合について説明する。まず制御情報生成部364は、上述の領域b1〜b4のそれぞれについて、領域b1の制御領域が領域A、領域b2及びb3の制御領域が領域B、領域b4の制御領域が領域D、のように制御領域を特定する。次に、制御情報生成部364は、設定情報DB330に記憶されている照明装置情報と、特定された制御領域とから、領域b1は照明装置200a、領域b2及びb3は照明装置200b、領域b4は照明装置200d、のようにその領域の照明を担当する照明装置を特定する。そして、制御情報生成部364は、領域b1における照度の平均値、領域b2及びb3における照度の平均値、領域b4における照度の平均値をそれぞれ算出する。そして、その平均値と設定情報DB330に記憶された照度制御範囲「机上面」と対応付けられた設定照度とを比較し、その平均値が設定照度となるような調光量や光の向きを示す制御情報を、照明装置200a〜200dごとに生成する。
【0046】
次に、制御部360は、ステップS16で生成された制御情報を通信部310を介して各照明装置200a〜200dに送信する(ステップS17)。各照明装置200a〜200dは受信した制御情報に基づいて、それぞれの光源の制御を行う。以上の処理を制御部360は、例えば設備制御装置300の電源スイッチがオフされるまで繰り返す。
【0047】
このように、本実施形態では、距離情報に基づいて、室内500の構造物の配置を検出し、その構造物表面の反射率を考慮して照度を算出するため、より正確な照度を計測することができる。また、より正確に照度を計測することができるため、精度よく調光を行ってエネルギー消費を削減したり、より快適な光環境を利用者に提供したりすることができる。また、1つの撮像部100により、複数の制御領域の制御を行うことができ、撮像部100の設置や設定を容易に行うことができる。さらに、構造物の配置が変更された場合でも、距離情報から構造物の配置を検出することができるため、構造物の配置に合わせた制御を行うことができる。
【0048】
(実施形態2)
次に本発明における実施形態2に係る設備制御システム1について説明する。実施形態1では、設備制御装置300が室内500の照度情報を生成し、その照度情報に基づいて設備機器200として照明装置200a〜200dを制御する例について説明した。これに対し、本実施形態では、設備制御装置300が室内500の温度情報を生成し、その結果に基づいて設備機器200として空調装置200e、200fを制御する例について説明する。
【0049】
本実施形態に係る設備制御システム1は、図1に示す実施形態1に係る設備制御システムと同様に、撮像部100と、設備機器200と、設備制御装置300とから構成され、これらはネットワーク400を介して相互に接続されている。以下に、本実施形態における設備制御システム1の実施形態1と異なる構成について詳細に説明する。
【0050】
本実施形態における撮像部100は、室内500に配置された構造物を複数の異なる視点位置から撮像し、かつ室内500の赤外線強度を示す赤外線画像を取得する撮像手段を構成するものとする。撮像部100は、その構成の一例として図8に示すように、実施形態1に係る撮像部100にさらに赤外線検出部150を備える。赤外線検出部150は、赤外線領域の波長を持つ光のみを検出するものである。撮像部100は、赤外線検出部150により検出された信号から、該赤外線領域の光の強度を示す赤外線画像を取得する。取得された赤外線画像を示す赤外線画像情報は、制御部130でアナログ信号からデジタル信号に変換される。そして、制御部130は、設備制御装置300から視差画像情報及び赤外線画像情報の送信指示を受信すると、通信部140及びネットワーク400を介して、設備制御装置300に視差画像情報及び赤外線画像情報を送信する。
【0051】
本実施形態における設備機器200は、図2に示すように室内500の壁に設置される空調装置200e、200fである。空調装置200e、200fは、作動部230に相当する圧縮機や凝縮器、蒸発器により室内500の温度や湿度を調整するものであり、設備制御装置300からの制御情報に基づいて、制御部220により風向や、風量、吹き出し温度等が制御される。
【0052】
本実施形態における構造物情報DB320は、実施形態1に構造物情報DB320に記憶された係数Cの代わりに、後述する温度情報を生成するための係数Eを記憶する。
【0053】
本実施形態における設定情報DB330には、実施形態1における照度管理情報及び照明装置情報として、温度管理情報及び空調装置情報を記憶している。ここで、温度管理情報は、実施形態1における照度制御範囲及び設定照度と同様に、温度制御範囲及び設定温度を含む。また、空調装置情報は、実施形態1における制御領域と対応付けられる照明装置と同様に、制御領域と対応付けられる空調装置を含む。なお、本実施形態において、図5を参照して、空調装置200eの制御領域は領域Aと領域Bから成る領域E、空調装置200fの制御領域は領域Cと領域Dから成る領域F、であるとする。
【0054】
本実施形態における環境情報生成部363は、撮像部100により得られた赤外線画像情報に含まれる輝度情報、設定情報DB330に記憶された各種設定情報、及び配置情報生成部362により生成された配置情報から、環境情報として温度情報を生成する。ここでいう、温度情報とは、室内500の所定の領域における温度分布を示す情報である。
【0055】
ここで、温度情報の生成方法の一例を説明する。まず、環境情報生成部363は、設定情報DB330に記憶されている温度管理情報に含まれる温度制御範囲から特定される構造物の情報を取得する。そして、配置情報から、その構造物が配置される領域を特定する。そして、その特定された領域における赤外線画像の輝度情報と、構造物情報DB320に記憶されたその領域に配置されている構造物の係数Eとから、その領域の温度分布を算出することにより、温度情報が生成される。
【0056】
ここで、一般に、物体の表面は、該物体表面温度に応じて赤外線を放射している。したがって、赤外線検出部150により得られた赤外線画像の輝度に、対象物の材質等により決まる所定の定数を乗算することで、前記物体表面の温度分布を取得することができる。したがって、構造物表面の温度と該構造物表面と隣接する空間の雰囲気温度との関係を表す前記所定の定数を係数Eとしてあらかじめ実験等により求めて、構造物ごとに係数Eを構造物情報DB320に記憶させる。そして、環境情報生成部363は赤外線画像の輝度と係数Eに基づいて温度制御範囲における温度分布を算出する。
【0057】
また、本実施形態における制御情報生成部364は、環境情報生成部363により生成された所定の領域の温度情報と、設定情報DB330に記憶されている設定温度とから、設備機器200である空調装置200e、200fを制御するための制御情報を生成し、空調装置200e、200fに制御情報を送信する。
【0058】
ここで、制御情報の生成方法の一例を説明する。まず、制御情報生成部364は、環境情報生成部363により生成された所定の温度制御範囲の照度情報について、その所定の温度制御範囲が属する制御領域を特定する。次に、その制御領域の空調を担当する空調装置200e、200fを設定情報DB330に記憶されている空調装置情報から特定する。そして、各空調装置200e、200fの制御領域ごとに、所定の温度制御範囲の温度の平均値を算出する。そして、制御情報生成部364は、その平均値と、設定情報DB330に記憶されている所定の温度制御範囲の設定温度とに基づいて、各空調装置200e、200fを制御するための制御情報を生成する。
【0059】
次に、本実施形態における設備制御システム1で実行される設備制御処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
制御部360は、設備制御装置300に電源が投入されると、制御部360のROM340に格納された設備制御プログラムを読み込み、設備制御処理を開始する。
【0061】
まず、制御部360は、撮像部100に視差画像情報及び赤外線画像情報の送信を指示する(ステップS21)。
【0062】
そして、制御部360は撮像部100から視差画像情報及び赤外線画像情報を受信したか否かを判別する(ステップS22)。制御部360は、視差画像情報及び赤外線画像情報を受信していないと判別した場合(ステップS22;No)、受信するまで待ち状態となる。
【0063】
そして、制御部360は、視差画像情報及び赤外線画像情報を受信したと判別した場合(ステップS22;Yes)、距離情報生成部361は、実施形態1のステップS13と同様に、距離情報の生成を行う(ステップS23)。
【0064】
そして、配置情報生成部362は、ステップS23で生成された距離情報と、構造物情報DB320に記憶された構造物と撮像部100が設置された天井面との距離zとから、実施形態1のステップS14と同様に、配置情報を生成する(ステップS24)。
【0065】
そして、環境情報生成部363は、設定情報DB330に記憶されている温度管理情報の温度制御範囲について、温度情報を生成する(ステップS25)。
【0066】
例えば、設定情報DB330に、温度管理情報に含まれる温度制御範囲として「机上面」が記憶されている場合について説明する。この場合、環境情報生成部363は、温度制御範囲が「机上面」であることから、構造物として「机」を特定する。そして、環境情報生成部363は、配置情報から、図5に示すように「机」が配置される領域b1〜b4(斜線部分)を特定する。そして、領域b1〜b4における赤外線画像の輝度Xと、構造物情報DB320に記憶された「机」の係数Eとから、領域b1〜b4の温度分布を算出する。これにより、「机上面」の温度情報が生成される。
【0067】
次に、制御情報生成部364は、ステップS25の温度制御範囲の属する制御領域と、その制御領域を担当する空調装置200e、200fを設定情報DB330に記憶されている空調装置情報から特定し、環境情報生成部363により生成された温度情報に基づいて、特定された空調装置200e、200fごとに制御情報を生成する(ステップS26)。
【0068】
例えば、「机上面」の温度を制御するための制御情報を生成する場合について説明する。まず制御情報生成部364は、上述の領域b1〜b4のそれぞれについて、領域b1、b2、及びb3の制御領域が領域E、領域b4の制御領域が領域F、のように制御領域を特定する。次に、制御情報生成部364は、設定情報DB330に記憶されている空調装置情報と、特定された制御領域とから、領域b1、b2、及びb3は空調装置200e、領域b4は空調装置200f、のようにその領域の空調を担当する空調装置を特定する。そして、制御情報生成部364は、領域b1、b2、及びb3における温度の平均値、領域b4における温度の平均値をそれぞれ算出する。そして、その平均値と設定情報DB330に記憶された温度制御範囲「机上面」と対応付けられた設定温度とを比較し、その平均値が設定温度となるような風量や風向を示す制御情報を、空調装置200e、200fごとに生成する。
【0069】
次に、制御部360は、ステップS26で生成された制御情報を通信部310を介して各空調装置200e、200fに送信する(ステップS27)。各空調装置200e、200fは受信した制御情報に基づいて、それぞれの作動部230の制御を行う。以上の処理を制御部360は、例えば設備制御装置300の電源スイッチがオフされるまで繰り返す。
【0070】
このように、本実施形態では、距離情報に基づいて、室内500の構造物の配置を検出し、その構造物表面の赤外線放射特性を考慮して構造物周囲の温度を算出する。これにより、多数の温度センサを設置することなく、容易に空間内の雰囲気温度を計測することができる。さらに、容易に雰囲気温度を計測することができるため、空間中の複数の領域における温度計測や空調の制御を、簡単な構成で実施することができる。
【0071】
(実施形態3)
次に本発明における実施形態3に係る設備制御システム1ついて説明する。実施形態1及び2では、設備制御装置300が室内500の照度情報または温度情報を生成し、その生成された情報に基づいて設備機器200を制御する例について説明した。これに対し、本実施形態では、さらに設備制御装置300が室内500の人の在否や人の活動状態を示す活動情報を生成し、照度情報及び温度情報、又はそのどちらか一方に加えて活動情報及び構造物の配置情報に基づいて設備機器200を制御する例について説明する。
【0072】
本実施形態に係る設備制御システム1は、図1に示す実施形態1及び2に係る設備制御システムと同様に、撮像部100と、設備機器200と、設備制御装置300とから構成され、これらはネットワーク400を介して相互に接続されている。また、本実施形態における設備制御システム1は、図10に示すように、さらに活動設定情報DB370と、活動情報生成部365と、を備える。それ以外の構成は実施形態1と同様である。
以下に、本実施形態における設備制御システム1の実施形態1及び2と異なる構成について詳細に説明する。
【0073】
活動設定情報DB370は、図11に一例として示すように、人間の活動状態と、その状態であることを判別するための条件である撮像部との距離や構造物との位置関係を記憶する。
【0074】
活動情報生成部365は、距離情報生成部361により生成された距離情報が一致する、または所定の誤差の範囲内にある値を有する領域について、図11に示すような活動設定情報DB370に記憶されている条件を満たすか否かを判別することにより、人が空間内に存在するかどうか、およびその活動状態を検出し、活動情報を生成する。例えば、活動情報生成部365は、配置情報生成部362によって配置情報として生成された机の領域と床の領域との境界の周辺で、天井面との距離がh1である領域を検出したとする。そして、活動情報生成部365は、その領域について、活動設定情報DB370に記憶されている活動状態が「机に向かって座っている」の条件を満たすことを判別する。このようにして、活動情報生成部365は、その領域について、机に向かって座っている人物がいることを示す活動情報を生成することができる。また、活動情報生成部365は、床面として判定された領域に囲まれ、天井面との距離がh2である領域を検出したとする。そして、活動情報生成部365は、その領域について、活動設定情報DB370に記憶されている活動状態が「立っている」の条件を満たすことを判別する。このようにして、活動情報生成部365は、その領域について、立っている人物がいることを示す活動情報を生成することができる。
【0075】
また、活動情報生成部365における活動情報の生成方法として、さらに撮像画像に対するパターンマッチングや背景画像差分による検出などの画像処理などを組み合わせることによって活動状態を特定し、活動情報を生成するようにしてもよい。さらに時系列に人の在否を検出したりすることにより、人の活動量や動く方向(動線)などを検出してもよい。
【0076】
このようにして本実施形態における活動情報生成部365は、室内500における構造物の配置や、人の在否、立っている、座っているなどの状態、動線や活動量といった人の活動状態を特定し、その活動状態と、その活動状態が特定された領域の位置情報とを含む活動情報を生成する。
【0077】
また、本実施形態における設定情報DB330は、さらに設定動作情報を記憶する。設定動作情報は、設備機器200ごとに、活動状態と、設定動作とが対応付けて記憶されている。設定動作は、活動情報生成部365により生成された活動情報に含まれる活動状態が特定された領域を制御領域として有する設備機器200に対し、どのような動作をさせるかを表すものである。例えば、設備機器200として空調装置200e、200f、活動状態として「無人状態」、設定動作として「送風を停止する」といった設定動作情報が記憶されている。
【0078】
本実施形態における制御情報生成部364は、活動情報生成部365により生成された活動情報と、設定情報DB330に記憶されている設定動作情報と、実施形態1および2と同様に生成された照度情報や温度情報といった環境情報とから、設備機器200である照明装置200a〜200dや空調装置200e、200fを制御するための制御情報を生成する。
【0079】
例えば、制御情報生成部364は、ある領域における活動情報が「無人状態」であると判別した場合、設定情報DB330に記憶されている設定動作情報から活動状態が「無人状態」に対応する空調装置200e、200fの設定動作「送風を停止する」を特定する。そして、その領域を制御領域とする空調装置200e、200fに対して「送風を停止する」旨の制御情報を生成する。このように、人がいない領域を検出した場合に、空調装置200e、200fや照明装置200a〜200dの出力を停止、または弱めるような制御情報を生成することにより、余計なエネルギーの消費を抑えることができる。また、同様にして制御情報生成部364は、人がいるところには直接風があたらないように、或いは活動量の多い人の周辺に直接風があたるように風向を制御する制御情報を生成してもよい。
【0080】
また、制御情報生成部364は、構造物の配置情報を利用して、例えば、制御領域とパーティションとの配置を比較し、パーティションと反対の方向にむけて空調装置200e、200fの風量を大きくする制御情報を生成してもよい。これにより、空調効率を向上させることができる。また、制御情報生成部364は、照明装置200a〜200dの配光をパーティションに向ける制御情報を生成してもよい。これにより、自動的に間接照明による演出を行うことができる。
【0081】
以上のように、本実施形態では、照度情報や温度情報だけでなく、構造物の配置情報や人の活動情報に基づいて、設備機器200を制御できるため、さらにエネルギーの消費を抑えたり、快適性を向上させたりすることができる。また、本実施形態では、複数の視差を持つ撮像画像から距離情報を生成するため、活動情報を生成する際に、机上面や床面などの配置や距離情報により、立っているか座っているか等の人の活動状態を精度良く特定することができる。従って、より細やかに、室内の状況に合わせて設備機器200の制御を行うことができる。
【0082】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、実施形態1〜3では、撮像部100、設備機器200、設備制御装置300は、1つのネットワーク400により接続されている。しかし、撮像部100と設備制御装置300とを接続する手段と、設備制御装置300と設備機器200とを接続する手段とが、別のネットワークになっていてもよい。また、撮像部100と設備制御装置300とを一つの装置内で実現してもよいし、また、設備機器200の装置内に、撮像部100や設備制御装置300を備えるようにするなど、本発明における設備制御システム1は、本構成に限定されるものではない。
【0083】
また、実施形態1〜3では、撮像部100は2つの光検出部110、120を備えるように構成したが、図12(a)に示すように、1つの光検出部110と、光検出部110の位置を移動させるための駆動部160を備えてもよい。これにより、光検出部110の位置を移動させることできるため、1つの光検出部110により視差を含む複数の撮像画像を取得することができ、複数の光検出部を有する場合と同様の効果を得ることができる。
さらに間隔や位置が固定された実施形態1〜3の光検出部110、120では、障害物等により、ある構造物について、一方の光検出部では検出できるが、他方の光検出部では検出できない状態(オクルージョン)が発生する場合がある。しかし、駆動部160により適切に光検出部110を移動させることで、オクルージョンの発生を回避することができる。
【0084】
また、撮像部100の光検出部110、120において、広角レンズを利用して、さらに広いエリアを撮像するようにしてもよい。これにより、1つの撮像部100により広い空間を複数の制御領域に分けて、制御領域毎に設備機器200を制御することで、簡単な構成で広範なエリアの設備制御を行うことができる。
【0085】
また、実施形態2において、撮像部110に図12(b)のように検出波長領域変換部170を備え、光検出部120の検出波長領域を切り替えられるようにしてもよい。検出波長領域変換部170は、例えば赤外線領域の波長の光のみを透過するフィルタを機械的または電子的に切り替えることにより、光検出部120の検出波長領域の切り替えを行う。これにより、実施形態2の場合と同様に、撮像部100は、可視光の撮像画像と、赤外線画像とを取得することができる。
【0086】
また、実施形態1〜3では、典型的な例として、室内500の天井面中央に撮像部100の光検出部110、120を下向きに設置した場合について記載しているが、撮像部100が設置される場所や向きはこれに限られない。例えば、撮像部100は室内500の壁面に設けられてもよい。このように、撮像部100は、構造物情報DB320に記憶する構造物と撮像部が設置された面との距離を撮像部100の設置場所に合わせて適切に設定することにより、他の場所や向きでも利用可能である。
【0087】
実施形態1〜3では、配置情報生成部362は、撮像部100が設置された天井面と構造物との距離、すなわち距離情報から構造物とその位置を特定した。しかし、構造物とその位置を特定する方法は、この方法に限られない。
例えば、所定の面積(面として判断しうる面積として予め定められた値)以上の領域を構造物として特定してもよい。
また、構造物の形状を、縦幅・横幅情報や、テンプレート画像として例えば構造物情報DB320に記憶しておき、距離情報を有する撮像画像と、縦幅・横幅情報やテンプレート画像とのパターンマッチングにより構造物を特定してもよい。距離情報は、図3のように2次元画像データとして表すことができるため、このように、一定の天井面との距離を持つ領域に対してパターンマッチングを行う処理が可能である。例えば、ある領域について、その領域の距離情報がパーティションの天井面との距離zと一致し、その領域の横幅及び縦幅がパーティションの横幅及び、縦幅と一致する場合、その領域にある構造物を「パーティション」と特定してもよい。また、その領域の縦幅・横幅の何れか一方がパーティションの縦幅と一致し、他方がパーティションの横幅の整数倍である場合、その領域の構造物を「パーティション」と特定してもよい。または、テンプレート画像によるパターンマッチングにより、ある領域の画像が、テンプレート画像と一致する場合、またはテンプレート画像を連続して複数並べた画像と一致する場合、その領域の構造物を「パーティション」と特定してもよい。
また、撮像対象となる構造物に、予め構造物毎に定められた色または形状を持つマーカーを設置しておき、画像処理によるマーカーの検出と、距離情報とを組み合わせて構造物を特定してもよい。具体的には、ある領域においてマーカーが検出され、かつその領域の距離情報が、そのマーカーに対応する構造物の天井面との距離と等しい場合、その領域にある構造物は、そのマーカーに対応する構造物として特定される。
以上のような方法により、構造物を特定することで、距離情報のみを用いて構造物を特定する場合よりも、精度良く特定することができる。
【0088】
また、実施形態1及び2では、制御情報生成部364において、照度制御範囲における照度または温度制御範囲における温度の平均値をもって、照度制御範囲の代表照度または温度制御範囲の代表温度とし、設定照度または設定温度と比較して制御情報が生成される。しかし、平均値の他に、例えば最も明るい(または熱い)、または暗い(または冷たい)値や、最頻値、中央値を代表照度または代表温度としてもよい。
【0089】
また、実施形態1及び2において、使用者に照度分布や温度分布を提示するための出力手段を設けてもよい。さらに、環境情報生成部363は、照度制御範囲や温度制御範囲に限られず、撮像画像全体において照度情報や温度情報を生成し、出力手段により出力してもよい。
【0090】
また、設定情報DB330に記憶された照明装置情報や空調装置情報において、制御領域と対応する設備機器200は、一対一で対応しなくてもよく、例えば複数の方向に送風可能な一台の空調装置を複数の制御領域に対応させたり、一つの制御領域に複数の設備機器を対応させたりしてもよい。
【0091】
本発明に係る設備制御装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体(CD−ROM、MO等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する設備制御装置を構成してもよい。
【0092】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示板(BBS)にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。また、プログラムは、プログラムを表す信号により搬送波を変調した変調波により伝送され、この変調波を受信した装置が変調波を復調してプログラムを復元するようにしてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御のもと、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する設備制御装置として機能する。
【符号の説明】
【0093】
1 設備制御システム
100 撮像部
110、120 光検出部
130 制御部
140 通信部
150 赤外線検出部
160 駆動部
170 検出波長領域変換部
200 設備機器
200a〜200d 照明装置
200e、200f 空調装置
210 通信部
220 制御部
230 作動部
300 設備制御装置
310 通信部
320 構造物情報DB
330 設定情報DB
340 ROM
350 RAM
360 制御部
361 距離情報生成部
362 配置情報生成部
363 環境情報生成部
364 制御情報生成部
365 活動情報生成部
370 活動設定情報DB
400 ネットワーク
500 室内
510a〜510h 机
520a、520b ラック
530a、530b パーティション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内環境の物理量を示す環境情報を計測する環境計測装置であって、
前記室内の天井面または壁面に設けられ、前記室内に配置された構造物を複数の異なる視点位置から撮像する撮像手段と、
前記複数の異なる視点位置のうち少なくとも2つの視点位置で前記撮像手段により取得された画像に基づいて、前記構造物と前記撮像手段が設けられた面との距離を示す距離情報を生成する距離情報生成手段と、
構造物と、該構造物と前記撮像手段が設けられた面との距離と、該構造物の前記画像上での輝度と該構造物表面に隣接する空間の環境情報との関係を表す係数と、を対応付けて記憶する構造物情報記憶手段と、
前記距離情報生成手段により生成された前記距離情報に基づいて、前記構造物情報記憶手段に記憶されている前記構造物と前記係数を取得し、取得された前記構造物の前記画像上での輝度と、取得された前記係数とに基づいて、前記室内の前記環境情報を生成する環境情報生成手段と、
を備えることを特徴とする環境計測装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記室内に配置された構造物が所定の視点位置から撮像された画像をそれぞれが取得する複数の光検出部を備え、
前記複数の光検出部は、互いに異なる視点位置を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の環境計測装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記室内に配置された構造物が所定の視点位置から撮像された画像を取得する光検出部と、該光検出部が前記複数の異なる視点位置をとるように、該光検出部の視点位置を移動させる駆動部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の環境計測装置。
【請求項4】
前記構造物情報記憶手段は、構造物と、該構造物の前記撮像手段が設けられた面との距離と、該構造物の前記画像上での輝度と該構造物表面に隣接する空間の照度との関係を表す照度係数と、を対応付けて記憶し、
前記環境情報生成手段は、前記画像上の所定の照度計測範囲における前記距離情報生成手段により生成された距離情報に基づいて、前記構造物情報記憶手段に記憶されている前記構造物と前記照度係数を取得し、取得された前記構造物の前記画像上の前記所定の照度計測範囲における輝度と、取得された前記照度係数とに基づいて、前記所定の照度計測範囲における照度を示す照度情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の環境計測装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、前記室内に配置された構造物が前記複数の異なる視点位置から撮像された画像を取得する光検出部と、前記所定空間内の赤外線強度を示す赤外線画像を取得する少なくとも1つの赤外線検出部とを備え、
前記距離情報生成手段は、前記複数の異なる視点位置のうち少なくとも2つの視点位置で前記光検出部により撮像された画像に基づいて、前記距離情報を生成し、
前記構造物記憶手段は、構造物と、該構造物の前記撮像手段が設けられた面との距離と、該構造物の前記画像上での輝度と該構造物表面に隣接する空間の温度との関係を表す温度係数とを対応付けて記憶し、
前記環境情報生成手段は、前記画像上の所定の温度計測範囲における前記距離情報生成手段により生成された距離情報に基づいて、前記構造物情報記憶手段に記憶されている前記構造物と前記温度係数を取得し、取得された前記構造物の前記画像上の前記所定の温度計測範囲における輝度と、取得された前記温度係数とに基づいて、前記所定の温度計測範囲における温度を示す温度情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の環境計測装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の環境計測装置と、設備制御手段と、設備機器とから構成される設備制御システムであって、
前記設備制御手段は、前記環境計測装置により生成された環境情報に基づいて、前記設備機器を制御する、
ことを特徴とする設備制御システム。
【請求項7】
前記環境計測装置は、
人の活動状態と、該活動状態である人と前記撮像手段が設けられた面との距離を示す距離情報と、該活動状態である人に隣接する構造物とを対応付けて記憶する活動設定情報記憶手段と、
前記距離情報生成手段により生成された前記距離情報と、前記構造物情報記憶手段に記憶された前記構造物及び距離とに基づいて、前記活動設定情報記憶手段に記憶されている活動状態を取得し、取得された前記活動状態に基づいて、前記室内の人の活動状態を示す活動情報を生成する活動情報生成手段と、
をさらに備え、
前記設備制御手段は、
前記環境情報生成手段により生成された前記環境情報と、前記活動情報生成手段により生成された前記活動情報とに基づいて、前記設備機器を制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の設備制御システム。
【請求項8】
コンピュータを用いて室内環境の物理量を示す環境情報を計測する環境計測方法であって、
前記室内に配置された構造物を複数の異なる視点位置から前記室内の天井面または壁面に設けられた撮像手段により撮像する撮像ステップと、
前記複数の異なる視点位置のうち少なくとも2つの視点位置で前記撮像手段により取得された画像に基づいて、前記構造物と前記撮像手段が設けられた面との距離を示す距離情報を生成する距離情報生成ステップと、
構造物と、該構造物と前記撮像手段が設けられた面との距離と、該構造物の前記画像上での輝度と該構造物表面に隣接する空間の環境情報との関係を表す係数とを対応付けて記憶する構造物情報記憶手段から、前記距離情報生成ステップにより生成された前記距離情報が示す距離に基づいて前記構造物と前記係数を取得し、取得された前記構造物の前記画像上での輝度と、取得された前記係数とに基づいて、前記室内の前記環境情報を生成する環境情報生成ステップと、
を備えることを特徴とする環境計測方法。
【請求項9】
コンピュータを用いて室内環境の物理量を示す環境情報を計測する環境計測プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記室内の天井面または壁面に設けられ、前記室内に配置された構造物を複数の異なる視点位置から撮像する撮像手段と、
前記複数の異なる視点位置のうち少なくとも2つの視点位置で前記撮像手段により取得された画像に基づいて、前記構造物と前記撮像手段が設けられた面との距離を示す距離情報を生成する距離情報生成手段と、
構造物と、該構造物と前記撮像手段が設けられた面との距離と、該構造物の前記画像上での輝度と該構造物表面に隣接する空間の環境情報との関係を表す係数と、を対応付けて記憶する構造物情報記憶手段と、
前記距離情報生成手段により生成された前記距離情報に基づいて、前記構造物情報記憶手段に記憶されている前記構造物と前記係数を取得し、取得された前記構造物の前記画像上での輝度と、取得された前記係数とに基づいて、前記室内の前記環境情報を生成する環境情報生成手段と、
として機能させることを特徴とする環境計測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−64427(P2011−64427A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216948(P2009−216948)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】