環境負荷量算出方法、その実行プログラム及びその実行装置
【課題】製品を製造するための消費電力量を、比較的正確にかつ早い段階で求める。
【解決手段】製造ラインの実ライン消費電力量、製造ラインの装置毎の装置特性、装置毎の定格電力、製品毎の各仕様項目の数値データを受付け(S31)、装置特性と装置定格電力に対する実消費電力の割合(係数)との関係を用いて装置毎の係数を定め(S32)、装置特性と装置消費電力量に相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を用いて装置毎の相関仕様項目を定める(S32)。装置毎の定格電力及び係数を用いて、実ライン消費電力量を各装置毎に配分し、装置毎の消費電力量を求め(S34)、装置毎の相関仕様項目に関する数値データを用いて装置毎の消費電力量を各製品毎に配分し、装置毎で且つ製品毎の消費電力量を求め(S35)、装置毎で且つ製品毎の消費電力量を用いて製品を製造するための消費電力量を製品毎に求める(S36)。
【解決手段】製造ラインの実ライン消費電力量、製造ラインの装置毎の装置特性、装置毎の定格電力、製品毎の各仕様項目の数値データを受付け(S31)、装置特性と装置定格電力に対する実消費電力の割合(係数)との関係を用いて装置毎の係数を定め(S32)、装置特性と装置消費電力量に相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を用いて装置毎の相関仕様項目を定める(S32)。装置毎の定格電力及び係数を用いて、実ライン消費電力量を各装置毎に配分し、装置毎の消費電力量を求め(S34)、装置毎の相関仕様項目に関する数値データを用いて装置毎の消費電力量を各製品毎に配分し、装置毎で且つ製品毎の消費電力量を求め(S35)、装置毎で且つ製品毎の消費電力量を用いて製品を製造するための消費電力量を製品毎に求める(S36)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造ラインで製造される製品毎の環境負荷量を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メーカーでは、製品を改善するため、製品毎の環境負荷量、例えば、製品を製造するために必要な消費電力の算出が行われている。
【0003】
この製品毎の環境負荷量を得る方法として、素材製造から製品製造、製品廃棄に至るまでの製品の全ライフサイクルに渡る環境負荷量を評価するLCA(life Cycle Assessment)手法で例示されている方法や特許文献1に開示されている方法がある。
【0004】
LCA手法は、製造ライン全体の環境負荷量を製品の製造数量や生産額の比で、製品毎に配分することで、製品毎の環境負荷量を得る方法である。
【0005】
また、特許文献1に開示されている方法は、複数のロットの製造のうち、いずれかのロットの製造が終了する時間間隔毎に、この間に製造した製品毎の製造数量の実績値と、各ロットを製造するのに要した環境負荷量の総実績値を取得し、これらを基に製造した各ロットの製品1個あたりの環境負荷量を算出し、この操作を繰り返すことで値を精緻にする方法である。
【0006】
【特許文献1】特開平08−235245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、LCA手法では、製品の仕様相違による環境負荷量の相違を反映することができず、算出結果と実際の環境負荷量とが乖離している可能性が高いという問題点がある。
【0008】
また、特許文献1に開示されている方法では、実際に製造ラインで製品を製造し始め、ある程度の量が製造されてから、製品の環境負荷量が求められるため、非常に正確である一方で、実際に製造を開始してから算出までの時間がかかるという問題点がある。このように、製品の製造を開始してから、この製品の環境負荷量を算出するまでの時間がかかると、例えば、ライフサイクルが短く、製品製造を開始した時点等で次バージョンの製品を設計開始するような場合、次バージョンの製品設計に、製造開始した製品の環境負荷量の情報を生かすことができないという不具合がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に着目し、LCA手法よりも正確に環境負荷量を求める共に、特許文献1に記載の方法よりも早く環境負荷量を算出できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点を解決するため、
複数類の処理装置を備えた対象製造ラインで製造される複数種の製品毎の環境負荷量を算出する環境負荷量算出プログラムにおいて、
本発明では、
まず、複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合を示す係数との関係を示す装置特性-係数関係を取得して、コンピュータの記憶装置に格納すると共に、複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を取得して、前記記憶装置に格納する。
【0011】
次に、前記コンピュータの受付手段により、前記対象製造ラインでの予め定められた期間における実際の環境負荷量であるライン環境負荷量と、該対象製造ラインを構成する前記複数種類の処理装置毎の処理装置特性と、該対象製造ラインを構成する該複数種の処理装置毎の定格環境負荷と、該対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データと、を受け付ける。
【0012】
以上のデータをコンピュータが受け付けると、
コンピュータは、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-係数関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、先に受け付けた該処理装置の装置特性に対応する係数を定め、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎の前記定格環境負荷及び前記係数を用いて、先に受け付けた前記ライン環境負荷量を該各処理装置毎に配分して、該各処理装置毎の装置負荷量を求める。
【0013】
さらに、前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-相関仕様項目関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、先に受け付けた該処理装置の装置特性に対応する製品の相関仕様項目を定め、先に受け付けた前記複数種の製品毎の各仕様項目の数値データのうちで、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データを用いて、先に求めた各処理装置毎の装置負荷量を、該製品毎の数値データと該製品毎の処理に必要な装置負荷量との相関性から、該製品毎に配分して、該複数種の処理装置毎であって該製品毎の製品負荷量を求める。
【0014】
そして、装置毎で且つ製品毎の製品負荷量を用いて、該製品毎に、前記対象製造ラインで製品を製造するために必要な前記製造環境負荷量を求めて、該製品毎の該製造環境負荷量を前記記憶装置に格納する。
【0015】
なお、以上において、環境負荷量とは、例えば、消費電力量、消費ガス量、消費水量、排出二酸化炭素量等、環境に影響を与えるエネルギーの消費量又は環境に影響を与える物質の排出量のことである。また、環境負荷とは、単位時間当たりの環境負荷量のことで、環境負荷量が消費電力量である場合には、消費電力が環境負荷となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、対象製造ラインを構成する複数種の処理装置の類似処理装置の実績データを用いて、対象製造ラインで製造する各製品毎の環境負荷量量を推定しているので、早い段階で各製品毎の環境負荷量を推定することができる。さらに、本発明では、製品仕様に応じた処理装置での環境負荷量も考慮しているので、比較的正確に各製品毎の環境負荷量を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る環境負荷量算出装置の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
まず、本実施形態で環境負荷量が算出される製品、及びこの製品を製造する製造ラインについて簡単に説明する。
【0019】
本実施形態で環境負荷量が算出される製品は、仕様が相互に異なる三種類の回路基板A,B,Cである。これらの回路基板A,B,Cを製造する製造ラインは、図2に示すように、装置ID「001」の第一処理装置1と、装置ID「002」の第二処理装置2と、装置ID「003」の第二処理装置3と、装置ID「004」の第三処理装置4と、装置ID「005」の第四処理装置5と、装置ID「006」の第五処理装置6と、装置ID「007」の第六処理装置7と、を有している。
【0020】
各回路基板A,B,Cのうち、回路基板Aは、装置ID「003」の第二処理装置3を経ず、装置ID「001」の第一処理装置1→装置ID「002」の第二処理装置2→装置ID「004」の第三処理装置4→装置ID「005」の第四処理装置5→装置ID「006」の第五処理装置6→装置ID「007」の第六処理装置7の順で、各装置を経ることで製造される。また、回路基板Bは、装置ID「001」の第一処理装置1→装置ID「002」の第二処理装置2→装置ID「004」の第三処理装置4→装置ID「005」の第四処理装置5→装置ID「006」の第五処理装置6→装置ID「001」の第一処理装置1→装置ID「002」の第二処理装置2→装置ID「004」の第三処理装置4→装置ID「006」の第五処理装置6→装置ID「007」の第六処理装置7の順で、各装置を経て製造される。すなわち、この回路基板Bは、装置ID「002」の第二処理装置2、装置ID「004」の第三処理装置4、装置ID「006」の第五処理装置6をそれぞれ二回ずつ経て製造される。また、回路基板Cは、装置ID「002」の第二処理装置2を経ず、装置ID「001」の第一処理装置1→装置ID「003」の第二処理装置3→装置ID「004」の第三処理装置4→装置ID「005」の第四処理装置5→装置ID「006」の第五処理装置6→装置ID「007」の第六処理装置7の順で、各装置を経ることで製造される。
【0021】
次に、本実施形態の環境負荷量算出装置100の構成について、図1を用いて説明する。なお、この環境負荷量算出装置100は、製造ラインで前述した各製品A,B,Cをそれぞれ1個製造する際の環境負荷量である消費電力量を求めるものである。
【0022】
本実施形態の環境負荷量算出装置100は、コンピュータであり、各種演算を行うCPU110と、このCPU110のワークエリアであるメモリ120と、ハードディスクドライブ装置等の記憶装置130と、ディスク型記憶媒体Dに対してデータの記録及び再生を行うディスク記録・再生装置140と、表示装置151と、キーボードやマウス等の入力装置152と、表示装置151及び入力装置152のインタフェースであるIOインタフェース150と、を備えている。
【0023】
CPU110は、機能的に、外部からデータを受け付けるデータ受付部111と、過去の実績データから処理装置特性と後述の係数との関係である装置特性-係数関係を取得する第一関係取得部112と、過去の実績データから装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量(消費電力量)と相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を取得する第二関係取得部113と、装置特性-係数関係を用いて、製造ラインを構成する各処理装置毎の係数を設定する係数設定部114と、装置特性-相関仕様項目関係を用いて、製造ラインを構成する各処理装置毎の相関仕様項目を設定する相関仕様項目設定部115と、製造ライン全体の実消費電力量をこの製造ラインを構成する各処理装置に配分して、各処理装置毎の消費電力量を求めるライン負荷量配分部116と、各処理装置毎の消費電力量を各製品に配分して、各処理装置毎における各製品を処理するための消費電力量を求める製品負荷量配分部117と、各製品毎に、製造ラインで製品を製造するための消費電力を求める製造負荷量算出部118と、製造負荷量算出部118での算出結果等を表示装置151に表示させる表示制御部119と、を有している。
【0024】
記憶装置130には、上記各機能部111〜119の各機能を実現するための環境負荷量算出プログラム131が予め格納されている。また、記憶装置130には、第一関係取得部112が取得した装置特性-係数関係テーブル132、第二関係取得113が取得した装置特性-相関仕様項目関係テーブル133、実際の製造ラインを構成する各処理装置に関する情報を示す処理装置情報テーブル134、実際に製造される各製品の仕様に関する情報を示す製品仕様テーブル135、各製品が実際の製造ライン中のどの処理装置により処理されて製造されるかを示す製造工程情報テーブル136、実際の製造ラインで製造する各製品の製造数を示す製造数情報テーブル137、実際の製造ライン全体の消費電力量等を示すライン環境負荷量テーブル138、製造負荷量算出部118等の算出結果を示す算出結果テーブル139が、上記環境負荷量算出プログラム131の実行過程で設けられる。なお、この環境負荷量算出プログラム131を記憶装置130に格納するにあたり、このプログラム131が記憶されているディスク型記憶媒体Dをディスク記録・再生装置140で再生することで、このプログラムを取得してもよいし、外部のシステム等から通信装置を介して、このプログラムを取得してもよい。
【0025】
装置特性-係数関係テーブル132は、各製品毎の消費電力量を求めるための準備段階で、過去の実績データにより作成されるもので、図3に示すように、装置特性のカテゴリが格納されるカテゴリ領域132aと、該当カテゴリに属する装置の係数が格納される係数領域132bと、該当カテゴリに属する装置名が格納される処理装置名領域132cと、該当処理装置の型番が格納される型番領域132dと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が格納される主要消費電力モジュール領域132eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が格納される稼動形態領域132fと、該当処理装置の処理内容が格納される処理内容領域132gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが格納される処理時間領域132hと、該当処理装置の定格電力が格納される定格電力領域132iと、該当処理装置の実消費電力が格納される実消費電力領域132jと、該当処理装置の定格電力に対する実消費電力の割合が格納される割合領域132kと、を有している。ここで、係数領域132bに格納される係数は、同一カテゴリの各処理装置に関する前述の割合の平均値である。
【0026】
装置特性-相関仕様項目関係テーブル133も、装置特性-係数関係テーブル132と同様、各製品毎の消費電力量を求めるための準備段階で、過去の実績データにより作成されるもので、図4に示すように、相関仕様項目に関する装置のカテゴリが格納されるカテゴリ領域133aと、該当カテゴリにおける製品の相関仕様項目が格納される相関仕様項目領域133bと、該当カテゴリに属する装置名が格納される処理装置名領域133cと、該当処理装置の型番が格納される型番領域133dと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が格納される主要消費電力モジュール領域133eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が格納される稼動形態領域133fと、該当処理装置の処理内容が格納される処理内容領域133gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが格納される処理時間領域133hと、を有している。
【0027】
処理装置情報テーブル134は、図5に示すように、実際の製造ラインを構成する各処理装置のIDが格納されるID領域134aと、該当IDの装置名が格納される処理装置名領域134cと、該当処理装置の型番が格納される型番領域134dと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が格納される主要消費電力モジュール領域134eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が格納される稼動形態領域134fと、該当処理装置の処理内容が格納される処理内容領域134gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが格納される処理時間領域134hと、を有している。
【0028】
製品仕様テーブル135は、図6に示すように、製造ラインで実際に製造される製品の名称が格納される製品名領域135pと、各製品毎の実装部品数が格納される実装部品数領域135q、各製品毎の部品搭載領域の面積が格納される面積領域135rと、各製品毎の層数が格納される層数領域135s等と、を有している。なお、実装部品数、部品搭載領域の面積、総数は、いずれも、製品である基板の仕様である。
【0029】
製造工程情報テーブル136は、図7に示すように、実際の製造ラインを構成する各処理装置のIDが格納される装置ID領域136aと、各製品毎の製品完成までに該当処理装置で処理される回数が格納される処理回数領域136bと、を有している。
【0030】
製品数情報テーブル137は、図8に示すように、製造ラインで実際に製造される製品の名称が格納される製品名領域137aと、各製品毎の1日当たりの製造数が格納される製造数領域137bと、を有している。
【0031】
ライン環境負荷量テーブル138は、図9に示すように、消費電力量を実測した対象の名称又はIDが格納される実測対象領域138mと、該当対象の一日における実消費電力量が格納される消費電力量領域138nと、を有している。なお、このテーブル138には、少なくとも、対象製造ラインの一日における実消費電力量が格納される必要がある。
【0032】
算出結果テーブル139は、図10に示すように、実際の製造ラインを構成する各処理装置のIDが格納されるID領域139aと、該当IDの装置名が格納される処理装置名領域139cと、該当処理装置の型番が格納される型番領域139dと、該当処理装置の係数が格納される係数領域139eと、該当処理装置の相関製品仕様項目が格納される相関仕様項目領域139fと、各処理装置の1日における消費電力量が格納される領域139gと、各製品毎の1日における製造消費電力量が格納される領域139hと、領域139gに格納された消費電力量の合計値及び領域139hに格納された消費電力量の合計値がそれぞれ格納される合計領域139iと、を有している。
【0033】
次に、本実施形態の環境負荷量算出装置100の動作について説明する。
【0034】
環境負荷量算出装置100は、各製品毎の消費電力量(環境負荷量)を求める処理の準備段階として、装置特性-係数関係(第一関係)を取得する処理と、製品仕様-負荷量関係(第二関係)を取得する処理を実行する。
【0035】
そこで、まず、第一関係の取得処理について、図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0036】
データ受付部111は、入力装置152から第一関係の取得処理の実行指示を受け付けると、表示制御部119により、図12に示すような第一関係取得用のデータ入力画面153を表示させて、このデータ入力画面に示す処理装置の各種情報を受け付ける(S11)。
【0037】
このデータ入力画面153による入力項目には、装置名が入力される処理装置名項目153cと、該当処理装置の型番が入力される型番項目153dと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が入力される主要消費電力モジュール項目153eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が入力される稼動形態項目153fと、該当処理装置の処理内容が入力される処理内容項目153gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが入力される処理時間項目153hと、該当処理装置の定格電力が入力される定格電力項目153iと、該当処理装置の実消費電力が入力される実消費電力項目153jがある。データ受付部111は、以上の各入力項目153c〜153jを受け付ける。例えば、処理装置名項目153cとして「第一処理装置」、型番項目153dとして「A−001」、主要消費電力モジュール項目153eとして「モータ」、稼動形態項目153fとして「継続」、処理内容項目153gとして「部品搭載」、処理時間項目153hとして「一定」、定格電力項目153iとして「12」、実消費電力項目153jとして「2.3」を受け付ける。
【0038】
なお、ここでは、稼動形態項目153fに入力されるデータとしては、作業が終了する毎に動作を停止する「継続」と、一度起動したら作業の有無に関わらず定常的に稼動する「定常」の二種類があり、処理内容項目153gに入力されるデータとしては、「部品搭載」「検査」「昇温」の三種類があり、処理時間項目153hに入力されるデータとしては、処理装置における各種製品毎の処理時間が同じである「一定」と、各種製品毎に処理時間が異なる「異なる」の二種類がある。
【0039】
これらの入力項目153c〜153jのデータは、図2を用いて説明した対象製造ラインを構成する処理装置の実績データであってもよいが、基本的には、過去又は現在の他の製造ラインを構成する処理装置の実績データである。データ受付部111は、このデータ入力画面153中の登録ボタン153tが押されると、以上の入力項目153c〜153jに関する各データを記憶装置130の装置特性-係数関係テーブル(図3)132中の対応領域132d〜132jに格納する。
【0040】
次に、第一関係取得部112が、受け付けた装置情報が示す複数の処理装置に関して、装置特性に応じてカテゴリ分けを行う(S12)。ここでの装置特性の項目は、図12に示すデータ入力画面153中の入力項目のうち、主要消費電力モジュール項目153e、稼動形態項目153f、処理内容項目153g、処理時間項目153hである。第一関係取得部112は、これらの入力項目153e〜153hの全てが同じデータの処理装置を同一カテゴリとする。例えば、図12に示すデータ入力画面153中で、型番項目153dが「A−011」の処理装置と「A−012」の処理装置とでは、どちらも、主要消費電力モジュール項目153eが「モータ」、稼動形態項目153fが「断続」、処理内容項目153gが「部品搭載」、処理時間項目153hが「一定」であり、装置特性が同じであるため、同一カテゴリとなる。そこで、第一関係取得部112は、型番項目153dが「A−011」の処理装置と「A−012」の処理装置に対して、いずれもカテゴリナンバーとして、例えば、「1」を付し、図3に示す装置特性-係数関係テーブル132中のカテゴリ領域132aであって、型番項目132dに「A−011」及び「A−012」が格納されているレコード中の領域のそれぞれに「1」を格納する。第一関係取得部112は、ステップ11で受け付けた全ての型番の処理装置に対して、以上の処理を実行する。
【0041】
第一関係取得部112は、次に、各処理装置における定格電力に対する実消費電力の割合を求め、これを装置特性-係数関係テーブル132(図3)中の割合領域132kに格納した後、各カテゴリ内の処理装置の割合の平均値を求め、これを該当カテゴリ中の処理装置に関する係数として、装置特性-係数関係テーブル132の係数領域132bに格納する(S13)。例えば、第一関係取得部112は、まず、カテゴリ「1」内の各処理装置「A−011」「A−012」における定格電力に対する実消費電力の割合「0.19」「0.21」を求め、この割合「0.19」「0.21」を装置特性-係数関係テーブル132中の割合領域132kに格納する。次に。このカテゴリ「1」内の各処理装置「A−011」「A−012」における割合「0.19」「0.21」の平均値「0.20」を求め、これを該当カテゴリ中の処理装置に関する係数として、装置特性-係数関係テーブル132の係数領域132bに格納する。第一関係取得部112は、ステップ11で受け付けた全ての型番の処理装置に対して、以上の処理を実行する。
【0042】
以上で、第一関係の取得処理が終了する。
【0043】
次に、第二関係の取得処理について、図13に示すフローチャートに従って説明する。
【0044】
データ受付部111は、入力装置152から第二関係の取得処理の実行指示を受け付けると、表示制御部119により、図14に示すような第二関係取得用のデータ入力画面154を表示させて、このデータ入力画面に示す処理装置の各種情報や製品の各種情報を受け付ける(S21)。
【0045】
このデータ入力画面154による入力項目には、処理装置の各種情報に関する入力項目として、他の製造ラインを実際に構成した処理装置の装置名が入力される処理装置名項目154cと、該当処理装置の型番が入力される型番項目154dと、該当処理装置の各製品毎の1日当たりの実消費電力量が入力される製品毎の消費電力量項目154eと、がある。さらに、製品の各種情報に関する入力項目として、他の製造ラインで実際に製造された製品の名称が入力される製品名項目154pと、各製品毎の実装部品数が入力される実装部品数項目154qと、各製品毎の部品搭載領域の面積が入力される面積項目154rと、各製品毎の層数が入力される層数項目154sと、がある。データ受付部111は、以上の各入力項目154c〜154e,154p〜154sを受け付ける。データ受付部111は、例えば、処理装置の各種情報に関する入力項目中の処理装置名項目154cとして「第一処理装置」、型番項目154dとして「A−001」、製品X,Y,Zのそれぞれに関する消費電力項目154eとして「0.05」「0.05」「0.05」を受け付ける。さらに、データ受付部111は、例えば、製品の各種情報に関する入力項目中の製品名項目154pとして「X」、この製品「X」に関する実装部品数項目154qとして「100」、この製品「X」に関する面積項目154rとして「50」、この製品「X」に関する層数項目154sとして「4」を受け付ける。これらの入力項目154c〜154e,154p〜154sのデータは、図2を用いて説明した対象製造ラインを構成する処理装置の実績データ及びこの製造ラインで製造した製品の実績データであってもよいが、基本的には、過去又は現在の他の製造ラインを構成する処理装置の実績データ及びこの製造ラインで製造した製品の実績データである。データ受付部111は、このデータ入力画面154中の登録ボタン154tが押されると、以上の入力項目154c〜154e,154p〜154sのうち、処理装置名項目154cに関するデータと、型番項目154dに関するデータとを、記憶装置130の装置特性-相関仕様項目関係テーブル(図4)133中の対応領域133c,133dに格納する。
【0046】
次に、第二関係取得部113が、ステップ21で受け付けた各処理装置毎で且つ各製品毎の実消費電力量と、ステップ21で受け付けた各製品毎の製品仕様とを比較して、各処理装置の実消費電力量に相関する製品仕様項目を抽出する(S22)。第二関係取得部113は、例えば、図14に示す入力画面154中で、処理装置名項目154cが「第二処理装置」で、型番項目154dが「B−011」の製品毎の実消費電力量に着目した場合、製品「X」の処理に関する実消費電力量:製品「Y」の処理に関する実消費電力量:製品「Z」の処理に関する実消費電力量=1:2:3である。また、製品仕様項目のうち、実装部品数に関しては、製品「X」の実装部品数:製品「Y」の実装部品数:製品「Z」の実装部品数=1:2:3である。そこで、第二関係取得部113は、この第二処理装置「B−011」の実消費電力量は、製品仕様項目のうち、実装部品数と相関すると判断し、装置仕様-負荷量関係テーブル133(図4)中の相関仕様項目領域133dの該当処理装置の領域に「実装部品数」を格納する。また、図14に示す入力画面154中で、処理装置名項目154cが「第一処理装置」で、型番項目154dが「A−011」の製品毎の実消費電力量に着目した場合、製品「X」の処理に関する実消費電力量:製品「Y」の処理に関する実消費電力量:製品「Z」の処理に関する実消費電力量=1:1:1である。これに対して、製品仕様項目のうちで、製品「X」の仕様:製品「Y」の仕様:製品「Z」の仕様=1:1:1になる項目は存在しない。そこで、第二関係取得部113は、この第一処理装置「A−011」の実消費電力量は、製品仕様項目のいずれにも相関しないと判断し、装置仕様-負荷量関係テーブル133(図4)中の相関仕様項目領域133dの該当処理装置の領域に「無し」を格納する。
【0047】
次に、第二関係取得部113は、受け付けた装置情報が示す複数の処理装置に関して、相関仕様項目に応じたカテゴリ分けを行い、装置特性-相関仕様項目関係テーブル133(図4)中の空欄の領域にデータを格納する(S23)。例えば、第二処理装置「B−011」の相関仕様項目と第二処理装置「B−012」の相関仕様項目は、どちらも、「実装部品数」であるため、これらの処理装置は同一カテゴリであるとし、第二関係取得部113は、装置特性-相関仕様項目関係テーブル133(図4)中のカテゴリ領域133aの該当処理装置の領域に、例えば、「2」を格納する。さらに、該当処理装置の装置特性を装置特性-係数関係テーブル132(図3)から取得し、これを、装置特性-相関仕様項目関係テーブル133(図4)中の装置特性領域133e〜133hの該当処理装置の領域に格納する。なお、ここでは、装置特性-相関仕様項目関係テーブル133(図4)中の装置特性領域133e〜133hに格納するデータを装置特性-係数関係テーブル132(図3)から取得しているが、前述のステップ21で、処理装置情報として、この装置特性を受け付け、これを装置特性-相関仕様項目関係テーブル133に格納するようにしてもよい。
【0048】
以上で、第二関係の取得処理が終了する。
【0049】
なお、以上で説明した第一関係の取得処理及び第二関係の取得処理では、いずれも、第一及び第二関係取得部112,113がデータ受付部111を介して処理装置や製品の各種データを受け付け、これらのデータに基づいて第一関係及び第二関係を示すテーブル132,133を作成しているが、第一及び第二関係取得部112,113がデータ受付部111を介して、他のシステム等から第一関係及び第二関係を示すテーブル132,133を受け付けるようにしてもよい。
【0050】
次に、製品環境負荷量の算出処理について、図15に示すフローチャートに従って説明する。
【0051】
データ受付部111は、入力装置152から製品の環境負荷量の算出処理の実行指示を受け付けると、表示制御部119により、図16に示すような負荷量算出用のデータ入力画面155を表示させて、このデータ入力画面155に示す処理装置の各種情報や製品の各種情報等を受け付ける(S31)。ここで受け付ける情報は、図11の受付ステップ11や図13の受付ステップ21の場合と異なり、実際に環境負荷量を求める対象製品の情報や、この製品を製造する図2に示す対象製造ラインの情報、この対象製造ラインを構成する処理装置の情報等である。
【0052】
このデータ入力画面155による入力項目には、処理装置の各種情報に関する入力項目として、環境負荷量を求める対象製品の製造ラインを実際に構成する処理装置のIDが入力される装置ID項目155aと、装置名が入力される処理装置名項目155cと、該当処理装置の型番が入力される型番項目155dと、該当処理装置の定格電力が入力される定格電力項目155iと、当該処理装置の実消費電力が適宜入力される実消費電力量項目155jと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が入力される主要消費電力モジュール項目155eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が入力される稼動形態項目155fと、該当処理装置の処理内容が入力される処理内容項目155gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが入力される処理時間項目155hと、各製品毎の製品完成までに該当処理装置で処理される回数が入力される処理回数項目155kと、がある。
【0053】
また、製品に関する各種入力項目として、対象製品の名称が入力される製品名項目155pと、各製品毎の一日当たりの製造数が入力される製造数項目155uと、各製品毎の実装部品数が入力される実装部品数項目155qと、各製品毎の部品搭載領域の面積が入力される面積項目155rと、各製品毎の層数が入力される層数項目155sと、がある。
【0054】
さらに、このデータ入力画面155による入力項目には、対象製造ライン全体の実消費電力が入力されるライン実消費電力項目155nがある。
【0055】
なお、図16中、()内のデータ等は、図18に示すフローチャートの処理を実行する際に入力されるものであり、ここでの処理には関係ない。また、同様に、図6、7、10中の()内のデータ等も、図18に示すフローチャートの処理を実行する際に入力されるものである。
【0056】
データ受付部111は、以上の各入力項目を受け付けた後、この入力画面155中の登録ボタン155kが押されると、各入力項目に関するデータを、記憶装置130中の対応するテーブル134〜138に格納する。
【0057】
具体的には、データ受付部111は、装置特定等に関する入力項目155a,c〜hのデータを、図5に示す処理装置情報テーブル134中の対応領域134a,c〜hに格納し、製造工程等に関する入力項目155a,155kのデータを、図7に示す製造工程情報テーブル136の対応領域136a,136bに格納する。なお、この製造工程情報テーブル136に格納されたデータは、図2を用いて説明した、対象製造ラインでの各対象製品の製造工程の内容を示している。さらに、データ受付部111は、上記入力項目のうち、実消費電力量項目155jのデータを受け付けた場合には、図9に示すライン環境負荷量テーブル138に、装置IDと共に、このデータ、つまり実消費電力量を格納する。なお、このデータは、この受付ステップ31で、必ず受け付ければならないデータではなく、対象製造ラインを構成する処理装置のうちで、実際にこの実消費電力量を測定したものがあれば、この実消費電力を受け付けておくことが好ましいという性格のものである。
【0058】
データ受付部111は、製品に関する入力項目のうち、製品名項目155p及び製造数項目155uのデータを、図8に示す製造情報テーブル137に格納し、製品名項目155p、実装部品数項目155q、面積項目155r及び層数項目155sのデータを、図6に示す製品仕様テーブル135に格納する。
【0059】
また、データ受付部111は、ライン実消費電力項目155nのデータを、図9に示すライン環境負荷量テーブル138のライン全体のレコードに格納する。
【0060】
さらに、データ受付部111は、装置に関する入力項目である装置ID項目155a、装置名項目155c、型番項目155dのデータを、図10に示す算出結果テーブル139の対応領域139a,139c,139dに格納する。
【0061】
以上で、データ受付ステップ31が終了する。
【0062】
次に、係数設定部114が、処理装置情報テーブル134(図5)及び装置特性−係数関係(第一関係)テーブル132(図3)を参照して、対象製造ラインを構成する全ての処理装置の係数を定め、この係数を算出結果テーブル(図10)の係数領域139eに格納する(S32)。具体的には、例えば、対象処理装置「A−001」の係数を設定する場合、まず、処理装置情報テーブル134を参照して、この処理装置「A−001」の装置特性を把握する。この場合、処理装置「A−001」の装置特性は、主要電力消費モジュールが「モータ」で、稼動形態が「断続」で、処理内容が「部品搭載」で、処理時間が「一定」である。次に、装置特性−係数関係テーブル132の各装置カテゴリのうちで、処理装置「A−001」の装置特性と同じ特性の装置カテゴリ「1」を選ぶ。そして、この装置カテゴリ「1」の係数「0.20」を処理装置「A−001」の係数とし、この係数「0.20」を、算出結果テーブル139(図10)中の当該装置のレコードの係数領域139eに格納する。
【0063】
次に、相関仕様項目設定部115が、処理装置情報テーブル134(図5)及び装置特性−相関仕様項目関係(第二関係)テーブル133(図4)を参照して、対象製造ラインを構成する全ての処理装置に関する相関仕様項目を定め、この相関仕様項目を算出結果テーブル139(図10)の相関仕様項目領域139fに格納する(S33)。具体的には、例えば、対象処理装置「A−001」の相関仕様項目を設定する場合、まず、処理装置情報テーブル134を参照して、この処理装置「A−001」の装置特性を把握する。次に、装置特性−相関仕様項目関係テーブル133の各装置カテゴリのうちで、処理装置「A−001」の装置特性と同じ特性の装置カテゴリ「1」を選ぶ。そして、この装置カテゴリ「1」の相関仕様項目「無し」を処理装置「A−001」に関する相関仕様項目とし、この相関仕様項目「無し」を、算出結果テーブル139(図10)中の当該装置のレコードの相関仕様項目領域139fに格納する。
【0064】
次に、ライン負荷量配分部116が、ライン環境負荷量テーブル138に格納されている製造ライン全体の1日当たりの消費電力量を、この製造ラインを構成する各処理装置の消費電力及び定格電力を用いて、各処理装置毎に配分し、算出結果テーブル139(図10)の装置の消費電力量領域139gに格納する(S34)。
【0065】
例えば、対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量を求める場合は、基本的には、製造ライン全体の一日当たりの消費電力量に、製造ライン全体の消費電力に対する対象処理装置「A−001」の消費電力の割合を掛けて、対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量を求める。この際、各処理装置の消費電力は、各処理装置の定格電力に、各処理装置の係数(定格電力に対する実消費電力の割合)を掛けて求める。また、既に、消費電力量を実測済みの処理装置がある場合、この処理装置の消費電力量を除いて、上記算出を行う。具体的に、ライン負荷量配分部115は、以下に示すように、製造ライン全体の消費電力量から実測済みの処理装置の消費電力量を減算し、この値に、この値の配分対象の全ての処理装置の消費電力の合計に対する対象処理装置「A−001」の消費電力の割合を掛けて、対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量を求める。
【0066】
対象処理装置「A−001」の消費電力量
=(製造ライン全体の消費電力量−実測済みの処理装置の消費電力量)
×(「A−001」の定格電力×「A−001」の係数)
/Σ(配分対象装置の定格電力×配分対象装置の係数)
=(1500−600)×(10×0.20)
/(10×020+20×0.30+13×0.3+16×0.25+16×0.25+40×0.40)
=50(kWh)
すなわち、対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量は、ライン環境負荷量テーブル138に格納されている製造ライン全体の一日当たりの消費電力量及び実測済みの処理装置の一日当たりの消費電力量と、算出結果テーブル139(図10)に各処理装置の係数と、処理装置情報テーブル134(図5)格納されている各処理装置の定格電力と、を用いて求められる。ライン負荷量配分部116は、以上のようにして求めた対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量を、算出結果テーブル139(図10)における対象処理装置「A−001」のレコード中の処理装置消費電力量領域139gに格納する。
【0067】
ライン負荷量配分部116は、以上の処理を、消費電力量が実測済みの処理装置を除き、対象製造ラインを構成する全ての処理装置に関して実行する。なお、ここでは、消費電力量の実測済み処理装置が1台の場合を例示しているが、これがさらに多数台であってもよいし、0台であってもよいことは言うまでもない。
【0068】
次に、装置負荷量配分部117が、ステップ34で求められた各装置毎の環境負荷量(消費電力量)を、算出結果テーブル139(図10)の相関仕様項目領域139fに格納されている相関仕様項目に関する数値に応じて、各製品毎に配分して、各装置での各製品の一個当たりの処理に必要な消費電力量を求め、これを算出結果テーブル139(図10)の製品毎の製造消費電力量領域139hに格納する(S35)。
【0069】
具体的に、装置負荷量配分部117は、例えば、対象処理装置「A−001」での各製品毎の消費電力量を求める場合、この処理装置「A−001」の相関仕様項目が「無し」であることから、製品仕様の相違による消費電力量の相違がなく、対象処理装置「A−001」での各製品を一回処理する際の各消費電力量は互いに同じであると仮定し、以下の式に示すように、処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量(50)を、各製品の一日当たりの製造数の合計値で割って、製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量を求めている。但し、ここでは、処理装置「A−001」での各製品の処理回数が異なるため、この処理回数を考慮している。
【0070】
対象処理装置「A−001」での製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量
=(「A−001」の消費電力量/Σ(製造数×処理回数)×製品「A」の処理回数
={50/(200×1+200×2+100×1)}×1
=0.07(kWh)
ここで、「A−001」の消費電力量は、ステップ34で求められた「A−001」の消費電力量、つまり、算出結果テーブル139(図10)における「A−001」のレコード中の処理装置消費電力量領域139gに格納された値である。各製品の一日当たりの製造数は、製造数情報テーブル137(図8)に格納された各製品毎の値であり、各処理装置での各製品の処理回数は、製造工程情報テーブル136(図7)に格納された各製品毎の値である。
【0071】
なお、対象処理装置「A−001」での製品「B」の一個当たりの処理に必要な消費電力量は、以上の式で求めることが可能であるが、対象処理装置「A−001」での製品「A」の処理回数が1回であるのに対して、対象処理装置「A−001」での製品「B」の処理回数が2回であることから、対象処理装置「A−001」での製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量を2倍にし、これを対象処理装置「A−001」での製品「B」の一個当たりの処理に必要な消費電力量とすることも可能である。
【0072】
また、装置負荷量配分部117は、例えば、対象処理装置「B−001(ID:002)」での各製品毎の消費電力量を求める場合、この処理装置「B−001」の相関仕様項目が「実装部品数」であることから、対象処理装置「B−001」での各製品を一回処理する際の各消費電力量は、各製品の実装部品数に比例すると仮定し、以下の式に示すように、処理装置「B−001」の一日当たりの消費電力量(150)を、各製品の一日当たりの製造数に対応実装部品数を掛けた値の合計値で割り、これに製品「A」の実装部品数を掛けて、製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量を求めている。但し、ここでも、処理装置「A−001」での各製品の処理回数が異なるため、この処理回数を考慮している。
【0073】
対象処理装置「A−002」での製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量
=(「A−002」の消費電力量/Σ(相関仕様項目の数値×製造数×処理回数)
×(相関仕様項目の数値×製品「A」の処理回数)
={150/(100×200×1+200×200×2+300×100×0)}×(100×1)
=0.15(kWh)
装置負荷量配分部117は、以上の処理を、対象製造ラインを構成する全ての処理装置に関して、各製品毎に実行する。なお、ここでは、ある処理装置に関する相関仕様項目が「実装部品数」や「層数」等の場合、この処理装置で各製品を一回処理する際の各消費電力量は、各製品に関する相関仕様項目の数値に比例するとしているが、相関仕様項目での数値と消費電力量との関係が、例えば、反比例する、2乗に比例する等の場合には、当然、各製品に関する相関仕様項目の数値に反比例する、又は2乗に比例する等、として扱う必要がある。また、先に説明した相関仕様項目「無し」のときの処理装置の一日当たりの消費電力量の算出式は、相関仕様項目「実装部品数」等、相関仕様項目に関して相関性があるときの処理装置の一日当たりの消費電力量の算出式中、「相関仕様項目の数値」を「1」にしたときと同じである。
【0074】
次に、製造負荷量算出部118が、ステップ35で求められた各処理装置毎で且つ各製品毎の一個当たりの消費電力量から、対象製造ライン全体での各製品毎の一個当たりの消費電力量を算出し、これを各製品毎に算出結果テーブル139の合計値領域139iに格納する(S36)。つまり、ここでは、算出結果テーブル139の製品毎の製造消費電力量領域139hの各製品毎のレコード中の数値の合計値を求め、これを製品一個を製造するために必要な消費電量として、算出結果テーブル139の合計値領域139iに格納する。さらに、ここでは、処理装置の消費電力量領域139gの合計領域139iに、ライン環境負荷量テーブル138(図9)に格納されているライン全体の一日当たりの消費電力量を格納する。
【0075】
以上で、算出結果テーブル139(図10)が完成する。
【0076】
次に、表示制御部119が、算出結果テーブル139を参照して、算出結果の出力画面を作成し、これを表示装置151に表示させて(S37)、一連の処理を終了する。
【0077】
この算出結果の出力画面155には、図17に示すように、処理装置の環境負荷量表156と製品の環境負荷量表157とが示される。処理装置の環境負荷量表156には、各処理装置毎の一日当たりの消費電力量156aと、その合計値156b、つまりライン全体の一日当たりの消費電力量が示される。また、製品の環境負荷量表157には、各処理装置毎で且つ各製品毎の一個当たりの消費電力量157aと、対象製造ライン全体での各製品毎の一個当たりの消費電力量157bとが示される。
【0078】
以上のように、本実施形態では、対象製造ラインを構成する複数種の処理装置の類似処理装置の実績データを用いて、対象製造ラインで製造する各製品毎の消費電力量を推定しているので、背景技術の欄で説明した特許文献1に記載の方法よりも早く、各製品毎の消費電力量を推定することができる。さらに、本実施形態では、製品仕様に応じた処理装置での消費電力量も考慮しているので、比較的正確に各製品毎の消費電力量を推定することができる。
【0079】
次に、以上で説明した対象製造ラインで、設計段階の製品Dを製造するとした場合のこの製品Dの消費電力量の算出手順について、図18に示すフローチャートに従って説明する。
【0080】
データ受付部111は、入力装置152から製品環境負荷量の算出処理の実行指示を受け付けると、まず、表示制御部119により、表示装置151に、「製品環境負荷量の算出済みラインでの製品の環境負荷量の算出?」を表示させる。そして、データ受付部111は、この表示に対する「YES」又は「NO」の受付を待つ(S40)。
【0081】
データ受付部111は、「NO」を受け付けると、つまり、製品環境負荷量の未算出済みラインに対するものであれば、図15に示すフローチャートのステップ31に進む。また、データ受付部111は、「YES」を受け付けると、ステップ41に進み、図16に示すような負荷量算出用のデータ入力画面155を表示させて、このデータ入力画面に示す各種項目中の製品Dに関する各種項目データを受け付け、受け付けた各種項目データを対応テーブル135,137に格納する(S41)。具体的には、製品Dに関する製品名項目155p、各仕様項目155q,r,s、製品通過回数項目155kのデータを受け付ける。なお、ここでのデータ入力画面155には、各処理装置に関する項目や負荷量算出済みの製品A,B,Cに関する項目のデータが当初から示され、図16のデータ入力画面155中で()で示すデータが受け付けられる。データ受付部111は、受け付けたデータのうち、製品Dの仕様関するデータを図6に示す製品仕様テーブル135に格納し、製品Dの製品通過回数に関するデータを図7に示す製造工程情報テーブル136に格納する。
【0082】
次に、装置負荷量配分部117が、算出結果テーブル139(図10)から、各処理装置毎の相関仕様項目領域139fのデータ及び製品環境負荷量が算出済みの製品に関する各処理装置毎の製造消費電力量領域139hのデータを読み込む(S42)。なお、ここで読み込む算出済みの製品に関するデータとしては、製造消費電力量領域139h内の製品「A」に関するデータとする。
【0083】
装置負荷量配分部117は、次に、製品「A」に関する各処理装置毎の製造消費電力量を基準にして、各処理装置の相関仕様項目に関する新たな製品「D」の数値データ及びその相関性から、製品「D」に関する各処理装置毎の製品消費電力量を求め、これを算出結果テーブル139の製品「D」の製造消費電力量領域139hに格納する(S45)。
【0084】
具体的には、例えば、処理装置「A−001」における製品「D」の一個当たりに必要な消費電力量(製品消費電力量)を求める場合、この処理装置「A−001」の相関仕様項目が「無し」であるから、以下の式に示すように、処理装置「A−001」における製品「A」の製品消費電力量(0.07)に、製品「A」が処理装置「A−001」を通過する回数(1)に対する製品「D」が処理装置「A−001」を通過する回数(1)の割合を掛けて、処理装置「A−001」における製品「D」の製品消費電力量を求める。
【0085】
装置「A−001」における製品「D」の製造消費電力量
=(装置「A−001」における製品「A」の製品消費電力量)
×(製品「D」の処理回数/製品「A」の処理回数)
=0.07×(1/1)
=0.07(kWh)
また、処理装置「B−001(ID:002)」における製品「D」の一個当たりに必要な消費電力量(製品消費電力量)を求める場合、この処理装置「B−001」の相関仕様項目が「実装部品数」であるから、以下の式に示すように、処理装置「B−001」における製品「A」の製品消費電力量(0.15)に、製品「A」の実装部品数(100)に対する製品「D」の実装部品数(400)の割合と、製品「A」が処理装置「B−001」を通過する回数(1)に対する製品「D」が処理装置「B−001」を通過する回数(1)の割合と、を掛けて、処理装置「B−001」における製品「D」の製品消費電力量を求める。
【0086】
装置「B−001」における製品「D」の製造消費電力量
=(装置「A−001」における製品「A」の製品消費電力量)
×(製品「D」の実装部品数/製品「A」の実装部品数)
×(製品「D」の処理回数/製品「A」の処理回数)
=0.15×(400/100)×(1/1)
=0.60(kWh)
装置負荷量配分部117は、以上の処理を全ての処理装置に関して実行する。なお、先に説明した相関仕様項目「無し」のときの処理装置における製品の製造消費電力量の算出式は、相関仕様項目「実装部品数」等、相関仕様項目に関して相関性があるときの処理装置における製品の製造消費電力量の算出式中、基準となる製品「A」の相関仕様項目の数値データと対象製品「D」の相関仕様項目の数値データとの割合を「1」にしたときと同じである。
【0087】
次に、製造負荷量算出部118が、ステップ45で求められた製品「D」に関する各処理装置毎の製造消費電力量から、製品「D」に関する対象製造ライン全体での製造消費電力量を算出し、これを算出結果テーブル139の製品「D」に関する合計値領域139iに格納する(S46)。つまり、ここでは、算出結果テーブル139の製品「D」に関する製造消費電力量領域139hの数値の合計値を求め、これを算出結果テーブル139の合計値領域139iに格納する。
【0088】
以上で、設計段階製品Dの算出結果を含む算出結果テーブル139(図10)が完成する。なお、設計段階製品Dを製造した場合の処理装置の消費電力量領域139gのデータを得たい場合には、この製品「D」の製造数をステップ41で受け付け、算出結果テーブル139の製品「D」に関する各処理装置における製造消費電力量領域139hの数値に、製品「D」の製造数を掛けて得た値に、処理装置の消費電力量領域139gに既に格納されている数値に加えることで得ることができる。
【0089】
次に、表示制御部119が、算出結果テーブル139を参照して、算出結果の出力画面を作成し、これを表示装置151に表示させて(S47)、一連の処理を終了する。
【0090】
この算出結果の出力画面158には、図19に示すように、製品の環境負荷量表159が示される。この製品の環境負荷量表159には、各処理装置毎で且つ各製品毎の一個当たりの消費電力量159aと、対象製造ライン全体での各製品毎の一個当たりの消費電力量159bとが示される。
【0091】
以上のように、本実施形態では、対象製造ラインに関して、各処理装置毎にある製品「A」の製造消費電力量が既に求まっていれば、この対象製造ラインで、設計段階の製品「D」等の新たな製品を製造する場合の、各処理装置における製品「D」の製造消費電力量を簡単に且つ素早く求めることができる。
【0092】
なお、以上の実施形態では、環境負荷量として消費電力量を例にしているが、消費ガス量、消費水量、排出二酸化炭素量など他の環境負荷量に関しても、以上と同様に求めることができることは言うまでもない。
【0093】
また、以上の実施形態では、対処とする範囲を製造ラインにしているが、対象とする範囲を工場全体、製造現場全体などに設定してもよい。また、以上の実施形態では、製造ラインでの実環境負荷量として、1日を計測期間としているが、この実環境負荷量の計測期間としては、1週間、1ヶ月などに設定してもよい。
【0094】
また、以上の実施形態では、データ受付部111は、キーボード等の入力装置152から入力されたデータを受け付けることを前提としているが、ディスク型記憶媒体Dに記憶されているデータをディスク記録・再生装置140で再生されたデータを受け付けてもよいし、他のシステムが保持しているデータを通信回線を介して受け付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る一実施形態における環境負荷量算出装置の構成図である。
【図2】本発明に係る一実施形態における対象製造ラインの構成及び対象製造ラインと製品との関係を示す説明図である。
【図3】本発明に係る一実施形態における装置特性−係数関係テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図4】本発明に係る一実施形態における装置特性−仕様相関項目関係テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図5】本発明に係る一実施形態における処理装置情報テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図6】本発明に係る一実施形態における製品仕様テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図7】本発明に係る一実施形態における製造工程情報テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図8】本発明に係る一実施形態における製造数情報テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図9】本発明に係る一実施形態におけるライン環境負荷量テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図10】本発明に係る一実施形態における算出結果テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図11】本発明に係る一実施形態における第一関係の取得処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る一実施形態における第一関係取得用のデータ入力画面を示す説明図である。
【図13】本発明に係る一実施形態における第二関係の取得処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る一実施形態における第二関係取得用のデータ入力画面を示す説明図である。
【図15】本発明に係る一実施形態における製品の環境負荷量の算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明に係る一実施形態における製品の環境負荷量算出用のデータ入力画面を示す説明図である。
【図17】本発明に係る一実施形態における算出結果の出力画面を示す説明図である。
【図18】本発明に係る一実施形態における設計段階製品の環境負荷量の算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明に係る一実施形態における設計段階製品の環境負荷量の算出結果の出力画面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
100:環境負荷量算出装置、110:CPU、111:データ受付部、112:第一関係取得部、113:第二関係取得部、114:係数設定部、115:相関仕様項目設定部、116:ライン負荷量配分部、117:装置負荷量配分部、118:製造負荷量算出部、119:表示制御部、120:メモリ、130:記憶装置、131:環境負荷量算出プログラム、132:装置特性−係数関係テーブル、133:装置特性−相関仕様項目関係テーブル、134:処理装置情報テーブル、135:製品仕様テーブル、136:製造工程情報テーブル、137:製造数情報テーブル、138:ライン環境負荷量テーブル、139:算出結果テーブル、140:ディスク記録・再生装置、151:表示装置、152:入力装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造ラインで製造される製品毎の環境負荷量を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メーカーでは、製品を改善するため、製品毎の環境負荷量、例えば、製品を製造するために必要な消費電力の算出が行われている。
【0003】
この製品毎の環境負荷量を得る方法として、素材製造から製品製造、製品廃棄に至るまでの製品の全ライフサイクルに渡る環境負荷量を評価するLCA(life Cycle Assessment)手法で例示されている方法や特許文献1に開示されている方法がある。
【0004】
LCA手法は、製造ライン全体の環境負荷量を製品の製造数量や生産額の比で、製品毎に配分することで、製品毎の環境負荷量を得る方法である。
【0005】
また、特許文献1に開示されている方法は、複数のロットの製造のうち、いずれかのロットの製造が終了する時間間隔毎に、この間に製造した製品毎の製造数量の実績値と、各ロットを製造するのに要した環境負荷量の総実績値を取得し、これらを基に製造した各ロットの製品1個あたりの環境負荷量を算出し、この操作を繰り返すことで値を精緻にする方法である。
【0006】
【特許文献1】特開平08−235245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、LCA手法では、製品の仕様相違による環境負荷量の相違を反映することができず、算出結果と実際の環境負荷量とが乖離している可能性が高いという問題点がある。
【0008】
また、特許文献1に開示されている方法では、実際に製造ラインで製品を製造し始め、ある程度の量が製造されてから、製品の環境負荷量が求められるため、非常に正確である一方で、実際に製造を開始してから算出までの時間がかかるという問題点がある。このように、製品の製造を開始してから、この製品の環境負荷量を算出するまでの時間がかかると、例えば、ライフサイクルが短く、製品製造を開始した時点等で次バージョンの製品を設計開始するような場合、次バージョンの製品設計に、製造開始した製品の環境負荷量の情報を生かすことができないという不具合がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に着目し、LCA手法よりも正確に環境負荷量を求める共に、特許文献1に記載の方法よりも早く環境負荷量を算出できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点を解決するため、
複数類の処理装置を備えた対象製造ラインで製造される複数種の製品毎の環境負荷量を算出する環境負荷量算出プログラムにおいて、
本発明では、
まず、複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合を示す係数との関係を示す装置特性-係数関係を取得して、コンピュータの記憶装置に格納すると共に、複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を取得して、前記記憶装置に格納する。
【0011】
次に、前記コンピュータの受付手段により、前記対象製造ラインでの予め定められた期間における実際の環境負荷量であるライン環境負荷量と、該対象製造ラインを構成する前記複数種類の処理装置毎の処理装置特性と、該対象製造ラインを構成する該複数種の処理装置毎の定格環境負荷と、該対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データと、を受け付ける。
【0012】
以上のデータをコンピュータが受け付けると、
コンピュータは、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-係数関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、先に受け付けた該処理装置の装置特性に対応する係数を定め、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎の前記定格環境負荷及び前記係数を用いて、先に受け付けた前記ライン環境負荷量を該各処理装置毎に配分して、該各処理装置毎の装置負荷量を求める。
【0013】
さらに、前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-相関仕様項目関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、先に受け付けた該処理装置の装置特性に対応する製品の相関仕様項目を定め、先に受け付けた前記複数種の製品毎の各仕様項目の数値データのうちで、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データを用いて、先に求めた各処理装置毎の装置負荷量を、該製品毎の数値データと該製品毎の処理に必要な装置負荷量との相関性から、該製品毎に配分して、該複数種の処理装置毎であって該製品毎の製品負荷量を求める。
【0014】
そして、装置毎で且つ製品毎の製品負荷量を用いて、該製品毎に、前記対象製造ラインで製品を製造するために必要な前記製造環境負荷量を求めて、該製品毎の該製造環境負荷量を前記記憶装置に格納する。
【0015】
なお、以上において、環境負荷量とは、例えば、消費電力量、消費ガス量、消費水量、排出二酸化炭素量等、環境に影響を与えるエネルギーの消費量又は環境に影響を与える物質の排出量のことである。また、環境負荷とは、単位時間当たりの環境負荷量のことで、環境負荷量が消費電力量である場合には、消費電力が環境負荷となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、対象製造ラインを構成する複数種の処理装置の類似処理装置の実績データを用いて、対象製造ラインで製造する各製品毎の環境負荷量量を推定しているので、早い段階で各製品毎の環境負荷量を推定することができる。さらに、本発明では、製品仕様に応じた処理装置での環境負荷量も考慮しているので、比較的正確に各製品毎の環境負荷量を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る環境負荷量算出装置の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
まず、本実施形態で環境負荷量が算出される製品、及びこの製品を製造する製造ラインについて簡単に説明する。
【0019】
本実施形態で環境負荷量が算出される製品は、仕様が相互に異なる三種類の回路基板A,B,Cである。これらの回路基板A,B,Cを製造する製造ラインは、図2に示すように、装置ID「001」の第一処理装置1と、装置ID「002」の第二処理装置2と、装置ID「003」の第二処理装置3と、装置ID「004」の第三処理装置4と、装置ID「005」の第四処理装置5と、装置ID「006」の第五処理装置6と、装置ID「007」の第六処理装置7と、を有している。
【0020】
各回路基板A,B,Cのうち、回路基板Aは、装置ID「003」の第二処理装置3を経ず、装置ID「001」の第一処理装置1→装置ID「002」の第二処理装置2→装置ID「004」の第三処理装置4→装置ID「005」の第四処理装置5→装置ID「006」の第五処理装置6→装置ID「007」の第六処理装置7の順で、各装置を経ることで製造される。また、回路基板Bは、装置ID「001」の第一処理装置1→装置ID「002」の第二処理装置2→装置ID「004」の第三処理装置4→装置ID「005」の第四処理装置5→装置ID「006」の第五処理装置6→装置ID「001」の第一処理装置1→装置ID「002」の第二処理装置2→装置ID「004」の第三処理装置4→装置ID「006」の第五処理装置6→装置ID「007」の第六処理装置7の順で、各装置を経て製造される。すなわち、この回路基板Bは、装置ID「002」の第二処理装置2、装置ID「004」の第三処理装置4、装置ID「006」の第五処理装置6をそれぞれ二回ずつ経て製造される。また、回路基板Cは、装置ID「002」の第二処理装置2を経ず、装置ID「001」の第一処理装置1→装置ID「003」の第二処理装置3→装置ID「004」の第三処理装置4→装置ID「005」の第四処理装置5→装置ID「006」の第五処理装置6→装置ID「007」の第六処理装置7の順で、各装置を経ることで製造される。
【0021】
次に、本実施形態の環境負荷量算出装置100の構成について、図1を用いて説明する。なお、この環境負荷量算出装置100は、製造ラインで前述した各製品A,B,Cをそれぞれ1個製造する際の環境負荷量である消費電力量を求めるものである。
【0022】
本実施形態の環境負荷量算出装置100は、コンピュータであり、各種演算を行うCPU110と、このCPU110のワークエリアであるメモリ120と、ハードディスクドライブ装置等の記憶装置130と、ディスク型記憶媒体Dに対してデータの記録及び再生を行うディスク記録・再生装置140と、表示装置151と、キーボードやマウス等の入力装置152と、表示装置151及び入力装置152のインタフェースであるIOインタフェース150と、を備えている。
【0023】
CPU110は、機能的に、外部からデータを受け付けるデータ受付部111と、過去の実績データから処理装置特性と後述の係数との関係である装置特性-係数関係を取得する第一関係取得部112と、過去の実績データから装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量(消費電力量)と相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を取得する第二関係取得部113と、装置特性-係数関係を用いて、製造ラインを構成する各処理装置毎の係数を設定する係数設定部114と、装置特性-相関仕様項目関係を用いて、製造ラインを構成する各処理装置毎の相関仕様項目を設定する相関仕様項目設定部115と、製造ライン全体の実消費電力量をこの製造ラインを構成する各処理装置に配分して、各処理装置毎の消費電力量を求めるライン負荷量配分部116と、各処理装置毎の消費電力量を各製品に配分して、各処理装置毎における各製品を処理するための消費電力量を求める製品負荷量配分部117と、各製品毎に、製造ラインで製品を製造するための消費電力を求める製造負荷量算出部118と、製造負荷量算出部118での算出結果等を表示装置151に表示させる表示制御部119と、を有している。
【0024】
記憶装置130には、上記各機能部111〜119の各機能を実現するための環境負荷量算出プログラム131が予め格納されている。また、記憶装置130には、第一関係取得部112が取得した装置特性-係数関係テーブル132、第二関係取得113が取得した装置特性-相関仕様項目関係テーブル133、実際の製造ラインを構成する各処理装置に関する情報を示す処理装置情報テーブル134、実際に製造される各製品の仕様に関する情報を示す製品仕様テーブル135、各製品が実際の製造ライン中のどの処理装置により処理されて製造されるかを示す製造工程情報テーブル136、実際の製造ラインで製造する各製品の製造数を示す製造数情報テーブル137、実際の製造ライン全体の消費電力量等を示すライン環境負荷量テーブル138、製造負荷量算出部118等の算出結果を示す算出結果テーブル139が、上記環境負荷量算出プログラム131の実行過程で設けられる。なお、この環境負荷量算出プログラム131を記憶装置130に格納するにあたり、このプログラム131が記憶されているディスク型記憶媒体Dをディスク記録・再生装置140で再生することで、このプログラムを取得してもよいし、外部のシステム等から通信装置を介して、このプログラムを取得してもよい。
【0025】
装置特性-係数関係テーブル132は、各製品毎の消費電力量を求めるための準備段階で、過去の実績データにより作成されるもので、図3に示すように、装置特性のカテゴリが格納されるカテゴリ領域132aと、該当カテゴリに属する装置の係数が格納される係数領域132bと、該当カテゴリに属する装置名が格納される処理装置名領域132cと、該当処理装置の型番が格納される型番領域132dと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が格納される主要消費電力モジュール領域132eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が格納される稼動形態領域132fと、該当処理装置の処理内容が格納される処理内容領域132gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが格納される処理時間領域132hと、該当処理装置の定格電力が格納される定格電力領域132iと、該当処理装置の実消費電力が格納される実消費電力領域132jと、該当処理装置の定格電力に対する実消費電力の割合が格納される割合領域132kと、を有している。ここで、係数領域132bに格納される係数は、同一カテゴリの各処理装置に関する前述の割合の平均値である。
【0026】
装置特性-相関仕様項目関係テーブル133も、装置特性-係数関係テーブル132と同様、各製品毎の消費電力量を求めるための準備段階で、過去の実績データにより作成されるもので、図4に示すように、相関仕様項目に関する装置のカテゴリが格納されるカテゴリ領域133aと、該当カテゴリにおける製品の相関仕様項目が格納される相関仕様項目領域133bと、該当カテゴリに属する装置名が格納される処理装置名領域133cと、該当処理装置の型番が格納される型番領域133dと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が格納される主要消費電力モジュール領域133eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が格納される稼動形態領域133fと、該当処理装置の処理内容が格納される処理内容領域133gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが格納される処理時間領域133hと、を有している。
【0027】
処理装置情報テーブル134は、図5に示すように、実際の製造ラインを構成する各処理装置のIDが格納されるID領域134aと、該当IDの装置名が格納される処理装置名領域134cと、該当処理装置の型番が格納される型番領域134dと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が格納される主要消費電力モジュール領域134eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が格納される稼動形態領域134fと、該当処理装置の処理内容が格納される処理内容領域134gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが格納される処理時間領域134hと、を有している。
【0028】
製品仕様テーブル135は、図6に示すように、製造ラインで実際に製造される製品の名称が格納される製品名領域135pと、各製品毎の実装部品数が格納される実装部品数領域135q、各製品毎の部品搭載領域の面積が格納される面積領域135rと、各製品毎の層数が格納される層数領域135s等と、を有している。なお、実装部品数、部品搭載領域の面積、総数は、いずれも、製品である基板の仕様である。
【0029】
製造工程情報テーブル136は、図7に示すように、実際の製造ラインを構成する各処理装置のIDが格納される装置ID領域136aと、各製品毎の製品完成までに該当処理装置で処理される回数が格納される処理回数領域136bと、を有している。
【0030】
製品数情報テーブル137は、図8に示すように、製造ラインで実際に製造される製品の名称が格納される製品名領域137aと、各製品毎の1日当たりの製造数が格納される製造数領域137bと、を有している。
【0031】
ライン環境負荷量テーブル138は、図9に示すように、消費電力量を実測した対象の名称又はIDが格納される実測対象領域138mと、該当対象の一日における実消費電力量が格納される消費電力量領域138nと、を有している。なお、このテーブル138には、少なくとも、対象製造ラインの一日における実消費電力量が格納される必要がある。
【0032】
算出結果テーブル139は、図10に示すように、実際の製造ラインを構成する各処理装置のIDが格納されるID領域139aと、該当IDの装置名が格納される処理装置名領域139cと、該当処理装置の型番が格納される型番領域139dと、該当処理装置の係数が格納される係数領域139eと、該当処理装置の相関製品仕様項目が格納される相関仕様項目領域139fと、各処理装置の1日における消費電力量が格納される領域139gと、各製品毎の1日における製造消費電力量が格納される領域139hと、領域139gに格納された消費電力量の合計値及び領域139hに格納された消費電力量の合計値がそれぞれ格納される合計領域139iと、を有している。
【0033】
次に、本実施形態の環境負荷量算出装置100の動作について説明する。
【0034】
環境負荷量算出装置100は、各製品毎の消費電力量(環境負荷量)を求める処理の準備段階として、装置特性-係数関係(第一関係)を取得する処理と、製品仕様-負荷量関係(第二関係)を取得する処理を実行する。
【0035】
そこで、まず、第一関係の取得処理について、図11に示すフローチャートに従って説明する。
【0036】
データ受付部111は、入力装置152から第一関係の取得処理の実行指示を受け付けると、表示制御部119により、図12に示すような第一関係取得用のデータ入力画面153を表示させて、このデータ入力画面に示す処理装置の各種情報を受け付ける(S11)。
【0037】
このデータ入力画面153による入力項目には、装置名が入力される処理装置名項目153cと、該当処理装置の型番が入力される型番項目153dと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が入力される主要消費電力モジュール項目153eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が入力される稼動形態項目153fと、該当処理装置の処理内容が入力される処理内容項目153gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが入力される処理時間項目153hと、該当処理装置の定格電力が入力される定格電力項目153iと、該当処理装置の実消費電力が入力される実消費電力項目153jがある。データ受付部111は、以上の各入力項目153c〜153jを受け付ける。例えば、処理装置名項目153cとして「第一処理装置」、型番項目153dとして「A−001」、主要消費電力モジュール項目153eとして「モータ」、稼動形態項目153fとして「継続」、処理内容項目153gとして「部品搭載」、処理時間項目153hとして「一定」、定格電力項目153iとして「12」、実消費電力項目153jとして「2.3」を受け付ける。
【0038】
なお、ここでは、稼動形態項目153fに入力されるデータとしては、作業が終了する毎に動作を停止する「継続」と、一度起動したら作業の有無に関わらず定常的に稼動する「定常」の二種類があり、処理内容項目153gに入力されるデータとしては、「部品搭載」「検査」「昇温」の三種類があり、処理時間項目153hに入力されるデータとしては、処理装置における各種製品毎の処理時間が同じである「一定」と、各種製品毎に処理時間が異なる「異なる」の二種類がある。
【0039】
これらの入力項目153c〜153jのデータは、図2を用いて説明した対象製造ラインを構成する処理装置の実績データであってもよいが、基本的には、過去又は現在の他の製造ラインを構成する処理装置の実績データである。データ受付部111は、このデータ入力画面153中の登録ボタン153tが押されると、以上の入力項目153c〜153jに関する各データを記憶装置130の装置特性-係数関係テーブル(図3)132中の対応領域132d〜132jに格納する。
【0040】
次に、第一関係取得部112が、受け付けた装置情報が示す複数の処理装置に関して、装置特性に応じてカテゴリ分けを行う(S12)。ここでの装置特性の項目は、図12に示すデータ入力画面153中の入力項目のうち、主要消費電力モジュール項目153e、稼動形態項目153f、処理内容項目153g、処理時間項目153hである。第一関係取得部112は、これらの入力項目153e〜153hの全てが同じデータの処理装置を同一カテゴリとする。例えば、図12に示すデータ入力画面153中で、型番項目153dが「A−011」の処理装置と「A−012」の処理装置とでは、どちらも、主要消費電力モジュール項目153eが「モータ」、稼動形態項目153fが「断続」、処理内容項目153gが「部品搭載」、処理時間項目153hが「一定」であり、装置特性が同じであるため、同一カテゴリとなる。そこで、第一関係取得部112は、型番項目153dが「A−011」の処理装置と「A−012」の処理装置に対して、いずれもカテゴリナンバーとして、例えば、「1」を付し、図3に示す装置特性-係数関係テーブル132中のカテゴリ領域132aであって、型番項目132dに「A−011」及び「A−012」が格納されているレコード中の領域のそれぞれに「1」を格納する。第一関係取得部112は、ステップ11で受け付けた全ての型番の処理装置に対して、以上の処理を実行する。
【0041】
第一関係取得部112は、次に、各処理装置における定格電力に対する実消費電力の割合を求め、これを装置特性-係数関係テーブル132(図3)中の割合領域132kに格納した後、各カテゴリ内の処理装置の割合の平均値を求め、これを該当カテゴリ中の処理装置に関する係数として、装置特性-係数関係テーブル132の係数領域132bに格納する(S13)。例えば、第一関係取得部112は、まず、カテゴリ「1」内の各処理装置「A−011」「A−012」における定格電力に対する実消費電力の割合「0.19」「0.21」を求め、この割合「0.19」「0.21」を装置特性-係数関係テーブル132中の割合領域132kに格納する。次に。このカテゴリ「1」内の各処理装置「A−011」「A−012」における割合「0.19」「0.21」の平均値「0.20」を求め、これを該当カテゴリ中の処理装置に関する係数として、装置特性-係数関係テーブル132の係数領域132bに格納する。第一関係取得部112は、ステップ11で受け付けた全ての型番の処理装置に対して、以上の処理を実行する。
【0042】
以上で、第一関係の取得処理が終了する。
【0043】
次に、第二関係の取得処理について、図13に示すフローチャートに従って説明する。
【0044】
データ受付部111は、入力装置152から第二関係の取得処理の実行指示を受け付けると、表示制御部119により、図14に示すような第二関係取得用のデータ入力画面154を表示させて、このデータ入力画面に示す処理装置の各種情報や製品の各種情報を受け付ける(S21)。
【0045】
このデータ入力画面154による入力項目には、処理装置の各種情報に関する入力項目として、他の製造ラインを実際に構成した処理装置の装置名が入力される処理装置名項目154cと、該当処理装置の型番が入力される型番項目154dと、該当処理装置の各製品毎の1日当たりの実消費電力量が入力される製品毎の消費電力量項目154eと、がある。さらに、製品の各種情報に関する入力項目として、他の製造ラインで実際に製造された製品の名称が入力される製品名項目154pと、各製品毎の実装部品数が入力される実装部品数項目154qと、各製品毎の部品搭載領域の面積が入力される面積項目154rと、各製品毎の層数が入力される層数項目154sと、がある。データ受付部111は、以上の各入力項目154c〜154e,154p〜154sを受け付ける。データ受付部111は、例えば、処理装置の各種情報に関する入力項目中の処理装置名項目154cとして「第一処理装置」、型番項目154dとして「A−001」、製品X,Y,Zのそれぞれに関する消費電力項目154eとして「0.05」「0.05」「0.05」を受け付ける。さらに、データ受付部111は、例えば、製品の各種情報に関する入力項目中の製品名項目154pとして「X」、この製品「X」に関する実装部品数項目154qとして「100」、この製品「X」に関する面積項目154rとして「50」、この製品「X」に関する層数項目154sとして「4」を受け付ける。これらの入力項目154c〜154e,154p〜154sのデータは、図2を用いて説明した対象製造ラインを構成する処理装置の実績データ及びこの製造ラインで製造した製品の実績データであってもよいが、基本的には、過去又は現在の他の製造ラインを構成する処理装置の実績データ及びこの製造ラインで製造した製品の実績データである。データ受付部111は、このデータ入力画面154中の登録ボタン154tが押されると、以上の入力項目154c〜154e,154p〜154sのうち、処理装置名項目154cに関するデータと、型番項目154dに関するデータとを、記憶装置130の装置特性-相関仕様項目関係テーブル(図4)133中の対応領域133c,133dに格納する。
【0046】
次に、第二関係取得部113が、ステップ21で受け付けた各処理装置毎で且つ各製品毎の実消費電力量と、ステップ21で受け付けた各製品毎の製品仕様とを比較して、各処理装置の実消費電力量に相関する製品仕様項目を抽出する(S22)。第二関係取得部113は、例えば、図14に示す入力画面154中で、処理装置名項目154cが「第二処理装置」で、型番項目154dが「B−011」の製品毎の実消費電力量に着目した場合、製品「X」の処理に関する実消費電力量:製品「Y」の処理に関する実消費電力量:製品「Z」の処理に関する実消費電力量=1:2:3である。また、製品仕様項目のうち、実装部品数に関しては、製品「X」の実装部品数:製品「Y」の実装部品数:製品「Z」の実装部品数=1:2:3である。そこで、第二関係取得部113は、この第二処理装置「B−011」の実消費電力量は、製品仕様項目のうち、実装部品数と相関すると判断し、装置仕様-負荷量関係テーブル133(図4)中の相関仕様項目領域133dの該当処理装置の領域に「実装部品数」を格納する。また、図14に示す入力画面154中で、処理装置名項目154cが「第一処理装置」で、型番項目154dが「A−011」の製品毎の実消費電力量に着目した場合、製品「X」の処理に関する実消費電力量:製品「Y」の処理に関する実消費電力量:製品「Z」の処理に関する実消費電力量=1:1:1である。これに対して、製品仕様項目のうちで、製品「X」の仕様:製品「Y」の仕様:製品「Z」の仕様=1:1:1になる項目は存在しない。そこで、第二関係取得部113は、この第一処理装置「A−011」の実消費電力量は、製品仕様項目のいずれにも相関しないと判断し、装置仕様-負荷量関係テーブル133(図4)中の相関仕様項目領域133dの該当処理装置の領域に「無し」を格納する。
【0047】
次に、第二関係取得部113は、受け付けた装置情報が示す複数の処理装置に関して、相関仕様項目に応じたカテゴリ分けを行い、装置特性-相関仕様項目関係テーブル133(図4)中の空欄の領域にデータを格納する(S23)。例えば、第二処理装置「B−011」の相関仕様項目と第二処理装置「B−012」の相関仕様項目は、どちらも、「実装部品数」であるため、これらの処理装置は同一カテゴリであるとし、第二関係取得部113は、装置特性-相関仕様項目関係テーブル133(図4)中のカテゴリ領域133aの該当処理装置の領域に、例えば、「2」を格納する。さらに、該当処理装置の装置特性を装置特性-係数関係テーブル132(図3)から取得し、これを、装置特性-相関仕様項目関係テーブル133(図4)中の装置特性領域133e〜133hの該当処理装置の領域に格納する。なお、ここでは、装置特性-相関仕様項目関係テーブル133(図4)中の装置特性領域133e〜133hに格納するデータを装置特性-係数関係テーブル132(図3)から取得しているが、前述のステップ21で、処理装置情報として、この装置特性を受け付け、これを装置特性-相関仕様項目関係テーブル133に格納するようにしてもよい。
【0048】
以上で、第二関係の取得処理が終了する。
【0049】
なお、以上で説明した第一関係の取得処理及び第二関係の取得処理では、いずれも、第一及び第二関係取得部112,113がデータ受付部111を介して処理装置や製品の各種データを受け付け、これらのデータに基づいて第一関係及び第二関係を示すテーブル132,133を作成しているが、第一及び第二関係取得部112,113がデータ受付部111を介して、他のシステム等から第一関係及び第二関係を示すテーブル132,133を受け付けるようにしてもよい。
【0050】
次に、製品環境負荷量の算出処理について、図15に示すフローチャートに従って説明する。
【0051】
データ受付部111は、入力装置152から製品の環境負荷量の算出処理の実行指示を受け付けると、表示制御部119により、図16に示すような負荷量算出用のデータ入力画面155を表示させて、このデータ入力画面155に示す処理装置の各種情報や製品の各種情報等を受け付ける(S31)。ここで受け付ける情報は、図11の受付ステップ11や図13の受付ステップ21の場合と異なり、実際に環境負荷量を求める対象製品の情報や、この製品を製造する図2に示す対象製造ラインの情報、この対象製造ラインを構成する処理装置の情報等である。
【0052】
このデータ入力画面155による入力項目には、処理装置の各種情報に関する入力項目として、環境負荷量を求める対象製品の製造ラインを実際に構成する処理装置のIDが入力される装置ID項目155aと、装置名が入力される処理装置名項目155cと、該当処理装置の型番が入力される型番項目155dと、該当処理装置の定格電力が入力される定格電力項目155iと、当該処理装置の実消費電力が適宜入力される実消費電力量項目155jと、該当処理装置の主要消費電力モジュール名が入力される主要消費電力モジュール項目155eと、該当主要消費電力モジュールの稼動形態が入力される稼動形態項目155fと、該当処理装置の処理内容が入力される処理内容項目155gと、該当処理装置における各種製品毎の処理時間が一定であるか異なるかが入力される処理時間項目155hと、各製品毎の製品完成までに該当処理装置で処理される回数が入力される処理回数項目155kと、がある。
【0053】
また、製品に関する各種入力項目として、対象製品の名称が入力される製品名項目155pと、各製品毎の一日当たりの製造数が入力される製造数項目155uと、各製品毎の実装部品数が入力される実装部品数項目155qと、各製品毎の部品搭載領域の面積が入力される面積項目155rと、各製品毎の層数が入力される層数項目155sと、がある。
【0054】
さらに、このデータ入力画面155による入力項目には、対象製造ライン全体の実消費電力が入力されるライン実消費電力項目155nがある。
【0055】
なお、図16中、()内のデータ等は、図18に示すフローチャートの処理を実行する際に入力されるものであり、ここでの処理には関係ない。また、同様に、図6、7、10中の()内のデータ等も、図18に示すフローチャートの処理を実行する際に入力されるものである。
【0056】
データ受付部111は、以上の各入力項目を受け付けた後、この入力画面155中の登録ボタン155kが押されると、各入力項目に関するデータを、記憶装置130中の対応するテーブル134〜138に格納する。
【0057】
具体的には、データ受付部111は、装置特定等に関する入力項目155a,c〜hのデータを、図5に示す処理装置情報テーブル134中の対応領域134a,c〜hに格納し、製造工程等に関する入力項目155a,155kのデータを、図7に示す製造工程情報テーブル136の対応領域136a,136bに格納する。なお、この製造工程情報テーブル136に格納されたデータは、図2を用いて説明した、対象製造ラインでの各対象製品の製造工程の内容を示している。さらに、データ受付部111は、上記入力項目のうち、実消費電力量項目155jのデータを受け付けた場合には、図9に示すライン環境負荷量テーブル138に、装置IDと共に、このデータ、つまり実消費電力量を格納する。なお、このデータは、この受付ステップ31で、必ず受け付ければならないデータではなく、対象製造ラインを構成する処理装置のうちで、実際にこの実消費電力量を測定したものがあれば、この実消費電力を受け付けておくことが好ましいという性格のものである。
【0058】
データ受付部111は、製品に関する入力項目のうち、製品名項目155p及び製造数項目155uのデータを、図8に示す製造情報テーブル137に格納し、製品名項目155p、実装部品数項目155q、面積項目155r及び層数項目155sのデータを、図6に示す製品仕様テーブル135に格納する。
【0059】
また、データ受付部111は、ライン実消費電力項目155nのデータを、図9に示すライン環境負荷量テーブル138のライン全体のレコードに格納する。
【0060】
さらに、データ受付部111は、装置に関する入力項目である装置ID項目155a、装置名項目155c、型番項目155dのデータを、図10に示す算出結果テーブル139の対応領域139a,139c,139dに格納する。
【0061】
以上で、データ受付ステップ31が終了する。
【0062】
次に、係数設定部114が、処理装置情報テーブル134(図5)及び装置特性−係数関係(第一関係)テーブル132(図3)を参照して、対象製造ラインを構成する全ての処理装置の係数を定め、この係数を算出結果テーブル(図10)の係数領域139eに格納する(S32)。具体的には、例えば、対象処理装置「A−001」の係数を設定する場合、まず、処理装置情報テーブル134を参照して、この処理装置「A−001」の装置特性を把握する。この場合、処理装置「A−001」の装置特性は、主要電力消費モジュールが「モータ」で、稼動形態が「断続」で、処理内容が「部品搭載」で、処理時間が「一定」である。次に、装置特性−係数関係テーブル132の各装置カテゴリのうちで、処理装置「A−001」の装置特性と同じ特性の装置カテゴリ「1」を選ぶ。そして、この装置カテゴリ「1」の係数「0.20」を処理装置「A−001」の係数とし、この係数「0.20」を、算出結果テーブル139(図10)中の当該装置のレコードの係数領域139eに格納する。
【0063】
次に、相関仕様項目設定部115が、処理装置情報テーブル134(図5)及び装置特性−相関仕様項目関係(第二関係)テーブル133(図4)を参照して、対象製造ラインを構成する全ての処理装置に関する相関仕様項目を定め、この相関仕様項目を算出結果テーブル139(図10)の相関仕様項目領域139fに格納する(S33)。具体的には、例えば、対象処理装置「A−001」の相関仕様項目を設定する場合、まず、処理装置情報テーブル134を参照して、この処理装置「A−001」の装置特性を把握する。次に、装置特性−相関仕様項目関係テーブル133の各装置カテゴリのうちで、処理装置「A−001」の装置特性と同じ特性の装置カテゴリ「1」を選ぶ。そして、この装置カテゴリ「1」の相関仕様項目「無し」を処理装置「A−001」に関する相関仕様項目とし、この相関仕様項目「無し」を、算出結果テーブル139(図10)中の当該装置のレコードの相関仕様項目領域139fに格納する。
【0064】
次に、ライン負荷量配分部116が、ライン環境負荷量テーブル138に格納されている製造ライン全体の1日当たりの消費電力量を、この製造ラインを構成する各処理装置の消費電力及び定格電力を用いて、各処理装置毎に配分し、算出結果テーブル139(図10)の装置の消費電力量領域139gに格納する(S34)。
【0065】
例えば、対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量を求める場合は、基本的には、製造ライン全体の一日当たりの消費電力量に、製造ライン全体の消費電力に対する対象処理装置「A−001」の消費電力の割合を掛けて、対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量を求める。この際、各処理装置の消費電力は、各処理装置の定格電力に、各処理装置の係数(定格電力に対する実消費電力の割合)を掛けて求める。また、既に、消費電力量を実測済みの処理装置がある場合、この処理装置の消費電力量を除いて、上記算出を行う。具体的に、ライン負荷量配分部115は、以下に示すように、製造ライン全体の消費電力量から実測済みの処理装置の消費電力量を減算し、この値に、この値の配分対象の全ての処理装置の消費電力の合計に対する対象処理装置「A−001」の消費電力の割合を掛けて、対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量を求める。
【0066】
対象処理装置「A−001」の消費電力量
=(製造ライン全体の消費電力量−実測済みの処理装置の消費電力量)
×(「A−001」の定格電力×「A−001」の係数)
/Σ(配分対象装置の定格電力×配分対象装置の係数)
=(1500−600)×(10×0.20)
/(10×020+20×0.30+13×0.3+16×0.25+16×0.25+40×0.40)
=50(kWh)
すなわち、対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量は、ライン環境負荷量テーブル138に格納されている製造ライン全体の一日当たりの消費電力量及び実測済みの処理装置の一日当たりの消費電力量と、算出結果テーブル139(図10)に各処理装置の係数と、処理装置情報テーブル134(図5)格納されている各処理装置の定格電力と、を用いて求められる。ライン負荷量配分部116は、以上のようにして求めた対象処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量を、算出結果テーブル139(図10)における対象処理装置「A−001」のレコード中の処理装置消費電力量領域139gに格納する。
【0067】
ライン負荷量配分部116は、以上の処理を、消費電力量が実測済みの処理装置を除き、対象製造ラインを構成する全ての処理装置に関して実行する。なお、ここでは、消費電力量の実測済み処理装置が1台の場合を例示しているが、これがさらに多数台であってもよいし、0台であってもよいことは言うまでもない。
【0068】
次に、装置負荷量配分部117が、ステップ34で求められた各装置毎の環境負荷量(消費電力量)を、算出結果テーブル139(図10)の相関仕様項目領域139fに格納されている相関仕様項目に関する数値に応じて、各製品毎に配分して、各装置での各製品の一個当たりの処理に必要な消費電力量を求め、これを算出結果テーブル139(図10)の製品毎の製造消費電力量領域139hに格納する(S35)。
【0069】
具体的に、装置負荷量配分部117は、例えば、対象処理装置「A−001」での各製品毎の消費電力量を求める場合、この処理装置「A−001」の相関仕様項目が「無し」であることから、製品仕様の相違による消費電力量の相違がなく、対象処理装置「A−001」での各製品を一回処理する際の各消費電力量は互いに同じであると仮定し、以下の式に示すように、処理装置「A−001」の一日当たりの消費電力量(50)を、各製品の一日当たりの製造数の合計値で割って、製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量を求めている。但し、ここでは、処理装置「A−001」での各製品の処理回数が異なるため、この処理回数を考慮している。
【0070】
対象処理装置「A−001」での製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量
=(「A−001」の消費電力量/Σ(製造数×処理回数)×製品「A」の処理回数
={50/(200×1+200×2+100×1)}×1
=0.07(kWh)
ここで、「A−001」の消費電力量は、ステップ34で求められた「A−001」の消費電力量、つまり、算出結果テーブル139(図10)における「A−001」のレコード中の処理装置消費電力量領域139gに格納された値である。各製品の一日当たりの製造数は、製造数情報テーブル137(図8)に格納された各製品毎の値であり、各処理装置での各製品の処理回数は、製造工程情報テーブル136(図7)に格納された各製品毎の値である。
【0071】
なお、対象処理装置「A−001」での製品「B」の一個当たりの処理に必要な消費電力量は、以上の式で求めることが可能であるが、対象処理装置「A−001」での製品「A」の処理回数が1回であるのに対して、対象処理装置「A−001」での製品「B」の処理回数が2回であることから、対象処理装置「A−001」での製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量を2倍にし、これを対象処理装置「A−001」での製品「B」の一個当たりの処理に必要な消費電力量とすることも可能である。
【0072】
また、装置負荷量配分部117は、例えば、対象処理装置「B−001(ID:002)」での各製品毎の消費電力量を求める場合、この処理装置「B−001」の相関仕様項目が「実装部品数」であることから、対象処理装置「B−001」での各製品を一回処理する際の各消費電力量は、各製品の実装部品数に比例すると仮定し、以下の式に示すように、処理装置「B−001」の一日当たりの消費電力量(150)を、各製品の一日当たりの製造数に対応実装部品数を掛けた値の合計値で割り、これに製品「A」の実装部品数を掛けて、製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量を求めている。但し、ここでも、処理装置「A−001」での各製品の処理回数が異なるため、この処理回数を考慮している。
【0073】
対象処理装置「A−002」での製品「A」の一個当たりの処理に必要な消費電力量
=(「A−002」の消費電力量/Σ(相関仕様項目の数値×製造数×処理回数)
×(相関仕様項目の数値×製品「A」の処理回数)
={150/(100×200×1+200×200×2+300×100×0)}×(100×1)
=0.15(kWh)
装置負荷量配分部117は、以上の処理を、対象製造ラインを構成する全ての処理装置に関して、各製品毎に実行する。なお、ここでは、ある処理装置に関する相関仕様項目が「実装部品数」や「層数」等の場合、この処理装置で各製品を一回処理する際の各消費電力量は、各製品に関する相関仕様項目の数値に比例するとしているが、相関仕様項目での数値と消費電力量との関係が、例えば、反比例する、2乗に比例する等の場合には、当然、各製品に関する相関仕様項目の数値に反比例する、又は2乗に比例する等、として扱う必要がある。また、先に説明した相関仕様項目「無し」のときの処理装置の一日当たりの消費電力量の算出式は、相関仕様項目「実装部品数」等、相関仕様項目に関して相関性があるときの処理装置の一日当たりの消費電力量の算出式中、「相関仕様項目の数値」を「1」にしたときと同じである。
【0074】
次に、製造負荷量算出部118が、ステップ35で求められた各処理装置毎で且つ各製品毎の一個当たりの消費電力量から、対象製造ライン全体での各製品毎の一個当たりの消費電力量を算出し、これを各製品毎に算出結果テーブル139の合計値領域139iに格納する(S36)。つまり、ここでは、算出結果テーブル139の製品毎の製造消費電力量領域139hの各製品毎のレコード中の数値の合計値を求め、これを製品一個を製造するために必要な消費電量として、算出結果テーブル139の合計値領域139iに格納する。さらに、ここでは、処理装置の消費電力量領域139gの合計領域139iに、ライン環境負荷量テーブル138(図9)に格納されているライン全体の一日当たりの消費電力量を格納する。
【0075】
以上で、算出結果テーブル139(図10)が完成する。
【0076】
次に、表示制御部119が、算出結果テーブル139を参照して、算出結果の出力画面を作成し、これを表示装置151に表示させて(S37)、一連の処理を終了する。
【0077】
この算出結果の出力画面155には、図17に示すように、処理装置の環境負荷量表156と製品の環境負荷量表157とが示される。処理装置の環境負荷量表156には、各処理装置毎の一日当たりの消費電力量156aと、その合計値156b、つまりライン全体の一日当たりの消費電力量が示される。また、製品の環境負荷量表157には、各処理装置毎で且つ各製品毎の一個当たりの消費電力量157aと、対象製造ライン全体での各製品毎の一個当たりの消費電力量157bとが示される。
【0078】
以上のように、本実施形態では、対象製造ラインを構成する複数種の処理装置の類似処理装置の実績データを用いて、対象製造ラインで製造する各製品毎の消費電力量を推定しているので、背景技術の欄で説明した特許文献1に記載の方法よりも早く、各製品毎の消費電力量を推定することができる。さらに、本実施形態では、製品仕様に応じた処理装置での消費電力量も考慮しているので、比較的正確に各製品毎の消費電力量を推定することができる。
【0079】
次に、以上で説明した対象製造ラインで、設計段階の製品Dを製造するとした場合のこの製品Dの消費電力量の算出手順について、図18に示すフローチャートに従って説明する。
【0080】
データ受付部111は、入力装置152から製品環境負荷量の算出処理の実行指示を受け付けると、まず、表示制御部119により、表示装置151に、「製品環境負荷量の算出済みラインでの製品の環境負荷量の算出?」を表示させる。そして、データ受付部111は、この表示に対する「YES」又は「NO」の受付を待つ(S40)。
【0081】
データ受付部111は、「NO」を受け付けると、つまり、製品環境負荷量の未算出済みラインに対するものであれば、図15に示すフローチャートのステップ31に進む。また、データ受付部111は、「YES」を受け付けると、ステップ41に進み、図16に示すような負荷量算出用のデータ入力画面155を表示させて、このデータ入力画面に示す各種項目中の製品Dに関する各種項目データを受け付け、受け付けた各種項目データを対応テーブル135,137に格納する(S41)。具体的には、製品Dに関する製品名項目155p、各仕様項目155q,r,s、製品通過回数項目155kのデータを受け付ける。なお、ここでのデータ入力画面155には、各処理装置に関する項目や負荷量算出済みの製品A,B,Cに関する項目のデータが当初から示され、図16のデータ入力画面155中で()で示すデータが受け付けられる。データ受付部111は、受け付けたデータのうち、製品Dの仕様関するデータを図6に示す製品仕様テーブル135に格納し、製品Dの製品通過回数に関するデータを図7に示す製造工程情報テーブル136に格納する。
【0082】
次に、装置負荷量配分部117が、算出結果テーブル139(図10)から、各処理装置毎の相関仕様項目領域139fのデータ及び製品環境負荷量が算出済みの製品に関する各処理装置毎の製造消費電力量領域139hのデータを読み込む(S42)。なお、ここで読み込む算出済みの製品に関するデータとしては、製造消費電力量領域139h内の製品「A」に関するデータとする。
【0083】
装置負荷量配分部117は、次に、製品「A」に関する各処理装置毎の製造消費電力量を基準にして、各処理装置の相関仕様項目に関する新たな製品「D」の数値データ及びその相関性から、製品「D」に関する各処理装置毎の製品消費電力量を求め、これを算出結果テーブル139の製品「D」の製造消費電力量領域139hに格納する(S45)。
【0084】
具体的には、例えば、処理装置「A−001」における製品「D」の一個当たりに必要な消費電力量(製品消費電力量)を求める場合、この処理装置「A−001」の相関仕様項目が「無し」であるから、以下の式に示すように、処理装置「A−001」における製品「A」の製品消費電力量(0.07)に、製品「A」が処理装置「A−001」を通過する回数(1)に対する製品「D」が処理装置「A−001」を通過する回数(1)の割合を掛けて、処理装置「A−001」における製品「D」の製品消費電力量を求める。
【0085】
装置「A−001」における製品「D」の製造消費電力量
=(装置「A−001」における製品「A」の製品消費電力量)
×(製品「D」の処理回数/製品「A」の処理回数)
=0.07×(1/1)
=0.07(kWh)
また、処理装置「B−001(ID:002)」における製品「D」の一個当たりに必要な消費電力量(製品消費電力量)を求める場合、この処理装置「B−001」の相関仕様項目が「実装部品数」であるから、以下の式に示すように、処理装置「B−001」における製品「A」の製品消費電力量(0.15)に、製品「A」の実装部品数(100)に対する製品「D」の実装部品数(400)の割合と、製品「A」が処理装置「B−001」を通過する回数(1)に対する製品「D」が処理装置「B−001」を通過する回数(1)の割合と、を掛けて、処理装置「B−001」における製品「D」の製品消費電力量を求める。
【0086】
装置「B−001」における製品「D」の製造消費電力量
=(装置「A−001」における製品「A」の製品消費電力量)
×(製品「D」の実装部品数/製品「A」の実装部品数)
×(製品「D」の処理回数/製品「A」の処理回数)
=0.15×(400/100)×(1/1)
=0.60(kWh)
装置負荷量配分部117は、以上の処理を全ての処理装置に関して実行する。なお、先に説明した相関仕様項目「無し」のときの処理装置における製品の製造消費電力量の算出式は、相関仕様項目「実装部品数」等、相関仕様項目に関して相関性があるときの処理装置における製品の製造消費電力量の算出式中、基準となる製品「A」の相関仕様項目の数値データと対象製品「D」の相関仕様項目の数値データとの割合を「1」にしたときと同じである。
【0087】
次に、製造負荷量算出部118が、ステップ45で求められた製品「D」に関する各処理装置毎の製造消費電力量から、製品「D」に関する対象製造ライン全体での製造消費電力量を算出し、これを算出結果テーブル139の製品「D」に関する合計値領域139iに格納する(S46)。つまり、ここでは、算出結果テーブル139の製品「D」に関する製造消費電力量領域139hの数値の合計値を求め、これを算出結果テーブル139の合計値領域139iに格納する。
【0088】
以上で、設計段階製品Dの算出結果を含む算出結果テーブル139(図10)が完成する。なお、設計段階製品Dを製造した場合の処理装置の消費電力量領域139gのデータを得たい場合には、この製品「D」の製造数をステップ41で受け付け、算出結果テーブル139の製品「D」に関する各処理装置における製造消費電力量領域139hの数値に、製品「D」の製造数を掛けて得た値に、処理装置の消費電力量領域139gに既に格納されている数値に加えることで得ることができる。
【0089】
次に、表示制御部119が、算出結果テーブル139を参照して、算出結果の出力画面を作成し、これを表示装置151に表示させて(S47)、一連の処理を終了する。
【0090】
この算出結果の出力画面158には、図19に示すように、製品の環境負荷量表159が示される。この製品の環境負荷量表159には、各処理装置毎で且つ各製品毎の一個当たりの消費電力量159aと、対象製造ライン全体での各製品毎の一個当たりの消費電力量159bとが示される。
【0091】
以上のように、本実施形態では、対象製造ラインに関して、各処理装置毎にある製品「A」の製造消費電力量が既に求まっていれば、この対象製造ラインで、設計段階の製品「D」等の新たな製品を製造する場合の、各処理装置における製品「D」の製造消費電力量を簡単に且つ素早く求めることができる。
【0092】
なお、以上の実施形態では、環境負荷量として消費電力量を例にしているが、消費ガス量、消費水量、排出二酸化炭素量など他の環境負荷量に関しても、以上と同様に求めることができることは言うまでもない。
【0093】
また、以上の実施形態では、対処とする範囲を製造ラインにしているが、対象とする範囲を工場全体、製造現場全体などに設定してもよい。また、以上の実施形態では、製造ラインでの実環境負荷量として、1日を計測期間としているが、この実環境負荷量の計測期間としては、1週間、1ヶ月などに設定してもよい。
【0094】
また、以上の実施形態では、データ受付部111は、キーボード等の入力装置152から入力されたデータを受け付けることを前提としているが、ディスク型記憶媒体Dに記憶されているデータをディスク記録・再生装置140で再生されたデータを受け付けてもよいし、他のシステムが保持しているデータを通信回線を介して受け付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る一実施形態における環境負荷量算出装置の構成図である。
【図2】本発明に係る一実施形態における対象製造ラインの構成及び対象製造ラインと製品との関係を示す説明図である。
【図3】本発明に係る一実施形態における装置特性−係数関係テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図4】本発明に係る一実施形態における装置特性−仕様相関項目関係テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図5】本発明に係る一実施形態における処理装置情報テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図6】本発明に係る一実施形態における製品仕様テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図7】本発明に係る一実施形態における製造工程情報テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図8】本発明に係る一実施形態における製造数情報テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図9】本発明に係る一実施形態におけるライン環境負荷量テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図10】本発明に係る一実施形態における算出結果テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図11】本発明に係る一実施形態における第一関係の取得処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る一実施形態における第一関係取得用のデータ入力画面を示す説明図である。
【図13】本発明に係る一実施形態における第二関係の取得処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る一実施形態における第二関係取得用のデータ入力画面を示す説明図である。
【図15】本発明に係る一実施形態における製品の環境負荷量の算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明に係る一実施形態における製品の環境負荷量算出用のデータ入力画面を示す説明図である。
【図17】本発明に係る一実施形態における算出結果の出力画面を示す説明図である。
【図18】本発明に係る一実施形態における設計段階製品の環境負荷量の算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明に係る一実施形態における設計段階製品の環境負荷量の算出結果の出力画面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
100:環境負荷量算出装置、110:CPU、111:データ受付部、112:第一関係取得部、113:第二関係取得部、114:係数設定部、115:相関仕様項目設定部、116:ライン負荷量配分部、117:装置負荷量配分部、118:製造負荷量算出部、119:表示制御部、120:メモリ、130:記憶装置、131:環境負荷量算出プログラム、132:装置特性−係数関係テーブル、133:装置特性−相関仕様項目関係テーブル、134:処理装置情報テーブル、135:製品仕様テーブル、136:製造工程情報テーブル、137:製造数情報テーブル、138:ライン環境負荷量テーブル、139:算出結果テーブル、140:ディスク記録・再生装置、151:表示装置、152:入力装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数類の処理装置を備えた対象製造ラインで製造される複数種の製品毎の環境負荷量を算出する環境負荷量算出プログラムにおいて、
複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合を示す係数との関係を示す装置特性-係数関係を取得して、コンピュータの記憶装置に格納する第一関係取得ステップと、
複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を取得して、前記記憶装置に格納する第二関係取得ステップと、
前記コンピュータの受付手段により、前記対象製造ラインでの予め定められた期間における実際の環境負荷量であるライン環境負荷量と、該対象製造ラインを構成する前記複数種類の処理装置毎の処理装置特性と、該対象製造ラインを構成する該複数種の処理装置毎の定格環境負荷と、該対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データと、を受け付ける受付ステップと、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-係数関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付ステップで受け付けた該処理装置の装置特性に対応する係数を定める係数設定ステップと、
前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎の前記定格環境負荷及び前記係数を用いて、前記受付ステップで受け付けた前記ライン環境負荷量を該各処理装置毎に配分して、該各処理装置毎の装置負荷量を求めるライン負荷配分ステップと、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-相関仕様項目関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付ステップで受け付けた該処理装置の装置特性に対応する製品の相関仕様項目を定める相関仕様項目設定ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記複数種の製品毎の各仕様項目の数値データのうちで、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データを用いて、前記ライフ負荷配分ステップで求められた各処理装置毎の装置負荷量を、該製品毎の数値データと該製品毎の処理に必要な装置負荷量との相関性から、該製品毎に配分して、該複数種の処理装置毎であって該製品毎の製品負荷量を求める装置負荷配分ステップと、
前記装置負荷配分ステップで求められた装置毎で且つ製品毎の製品負荷量を用いて、該製品毎に、前記対象製造ラインで製品を製造するために必要な前記製造環境負荷量を求めて、該製品毎の該製造環境負荷量を前記記憶装置に格納する製造環境負荷量算出ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境負荷量算出プログラムにおいて、
前記第一関係取得ステップは、
前記対象製造ラインとは異なる1以上の製造ラインを構成した複数種の処理装置毎に、該処理装置の処理装置特性と、該処理装置の定格環境負荷と、該処理装置の実環境負荷とを、前記受付手段で受け付ける第一関係取得データの受付ステップと、
前記第一関係取得データの受付ステップで受け付けた前記複数種の処理装置毎の処理装置特性に応じて、該複数種の処理装置を複数の分類に分ける分類分けステップと、
前記分類分けステップで定められた各分類毎に、該分類に含まれている1以上の処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合の平均値を前記係数として定め、該係数と該分類の処理装置特性とを関係付けて、前記装置特性-係数関係を定めるステップと、
を含むことを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか一項に記載の環境負荷量算出プログラムにおいて、
前記第二関係取得ステップは、
前記対象製造ラインとは異なる1以上の製造ラインを構成した複数種の処理装置毎に、該製造ラインで製造した複数種の製品のそれぞれを一回処理するために必要な実環境負荷量と、該複数種の製品毎の各製品仕様項目の数値データとを、前記受付手段で受け付ける第二関係取得データの受付ステップと、
前記第二関係取得データの受付ステップで受け付けた情報を用いて、複数種の処理装置特性毎の、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を定めるステップと、
を含むことを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の環境負荷量算出プログラムにおいて、
前記データ受付ステップでは、前記対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データを、前記記憶装置に格納し、
前記相関仕様項目設定ステップでは、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対応させて、各処理装置における製品の相関仕様項目を、前記記憶装置に格納し、
前記装置負荷配分ステップでは、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対応させて、各処理装置における各製品の製品負荷量を、前記記憶装置に格納し、
前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、各処理装置における製品の相関仕様項目及び各製品の製品負荷量が既に前記記憶装置に格納されている前記対象製造ラインに関して、前記データ受付ステップにおいて、新たな製品の各仕様項目の数値データを受け付けると、
前記装置負荷配分ステップでは、前記記憶装置に格納されている前記複数種の処理装置毎における各製品の製品負荷量のうち、いずれかの特定の製品に関する該複数種の処理装置毎における製品負荷量と、前記新たな製品及び特定の製品の各仕様項目の数値データのうちで、前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データとを用いて、該数値データと該製品負荷量との該相関仕様項目に関する相関性から、該複数種の処理装置毎における該新たな製品の製品負荷量を求め、
前記製造環境負荷量算出ステップでは、前記装置負荷配分ステップで求められた前記各装置毎における前記新たな製品の製品負荷量を用いて、前記対象製造ラインで前記新たな製品を製造するために必要な前記製造環境負荷量を求めて、該新たな製品の該製造環境負荷量を前記記憶装置に格納する、
ことを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の環境負荷量算出プログラムにおいて、
前記記憶装置に格納された各製品毎の前記製造環境負荷量を、前記コンピュータの表示装置に表示させる算出結果表示ステップを、
前記コンピュータに実行させることを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項6】
複数類の処理装置を備えた対象製造ラインで製造される複数種の製品毎の環境負荷量を算出する環境負荷量算出方法において、
複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合を示す係数との関係を示す装置特性-係数関係を取得して、コンピュータの記憶装置に格納する第一関係取得ステップと、
複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を取得して、前記記憶装置に格納する第二関係取得ステップと、
前記コンピュータの受付手段により、前記対象製造ラインでの予め定められた期間における実際の環境負荷量であるライン環境負荷量と、該対象製造ラインを構成する前記複数種類の処理装置毎の処理装置特性と、該対象製造ラインを構成する該複数種の処理装置毎の定格環境負荷と、該対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データと、を受け付ける受付ステップと、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-係数関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付ステップで受け付けた該処理装置の装置特性に対応する係数を定める係数設定ステップと、
前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎の前記定格環境負荷及び前記係数を用いて、前記受付ステップで受け付けた前記ライン環境負荷量を該各処理装置毎に配分して、該各処理装置毎の装置負荷量を求めるライン負荷配分ステップと、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-相関仕様項目関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付ステップで受け付けた該処理装置の装置特性に対応する製品の相関仕様項目を定める相関仕様項目設定ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記複数種の製品毎の各仕様項目の数値データのうちで、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データを用いて、前記ライフ負荷配分ステップで求められた各処理装置毎の装置負荷量を、該製品毎の数値データと該製品毎の処理に必要な装置負荷量との相関性から、該製品毎に配分して、該複数種の処理装置毎であって該製品毎の製品負荷量を求める装置負荷配分ステップと、
前記装置負荷配分ステップで求められた装置毎で且つ製品毎の製品負荷量を用いて、該製品毎に、前記対象製造ラインで製品を製造するために必要な前記製品環境負荷量を求めて、該製品毎の該製品環境負荷量を前記記憶装置に格納する製品環境負荷量算出ステップと、
を前記コンピュータが実行することを特徴とする環境負荷量算出方法。
【請求項7】
複数類の処理装置を備えた対象製造ラインで製造される複数種の製品毎の環境負荷量を算出する環境負荷量算出装置において、
複数種の処理装置特性毎の、該処理装置特性と処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合を示す係数との関係を示す装置特性-係数関係を記憶していると共に、複数種の処理装置特性毎の、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を記憶している記憶手段と、
前記対象製造ラインでの予め定められた期間における実際の環境負荷量であるライン環境負荷量と、該対象製造ラインを構成する前記複数種類の処理装置毎の処理装置特性と、該対象製造ラインを構成する該複数種の処理装置毎の定格環境負荷と、該対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データと、を受け付ける受付手段と、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-係数関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付手段が受け付けた該処理装置の装置特性に対応する係数を定める係数設定手段と、
前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎の前記定格環境負荷及び前記係数を用いて、前記受付手段が受け付けた前記ライン環境負荷量を該各処理装置毎に配分して、該各処理装置毎の装置負荷量を求めるライン負荷配分手段と、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-相関仕様項目関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付手段が受け付けた該処理装置の装置特性に対応する製品の相関仕様項目を定める相関仕様項目設定手段と、
前記受付手段が受け付けた前記複数種の製品毎の各仕様項目の数値データのうちで、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データを用いて、前記ライフ負荷配分手段が求めた各処理装置毎の装置負荷量を、該製品毎の数値データと該製品毎の処理に必要な装置負荷量との相関性から、該製品毎に配分して、該複数種の処理装置毎であって該製品毎の製品負荷量を求める装置負荷配分手段と、
前記装置負荷配分手段が求めた装置毎で且つ製品毎の製品負荷量を用いて、該製品毎に、前記対象製造ラインで製品を製造するために必要な前記製造環境負荷量を求める製造環境負荷量算出手段と、
前記製造環境負荷量算出手段が求めた前記製品毎の前記製造環境負荷量を表示する表示手段と、
を備えていることを特徴とする環境負荷量算出装置。
【請求項1】
複数類の処理装置を備えた対象製造ラインで製造される複数種の製品毎の環境負荷量を算出する環境負荷量算出プログラムにおいて、
複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合を示す係数との関係を示す装置特性-係数関係を取得して、コンピュータの記憶装置に格納する第一関係取得ステップと、
複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を取得して、前記記憶装置に格納する第二関係取得ステップと、
前記コンピュータの受付手段により、前記対象製造ラインでの予め定められた期間における実際の環境負荷量であるライン環境負荷量と、該対象製造ラインを構成する前記複数種類の処理装置毎の処理装置特性と、該対象製造ラインを構成する該複数種の処理装置毎の定格環境負荷と、該対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データと、を受け付ける受付ステップと、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-係数関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付ステップで受け付けた該処理装置の装置特性に対応する係数を定める係数設定ステップと、
前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎の前記定格環境負荷及び前記係数を用いて、前記受付ステップで受け付けた前記ライン環境負荷量を該各処理装置毎に配分して、該各処理装置毎の装置負荷量を求めるライン負荷配分ステップと、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-相関仕様項目関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付ステップで受け付けた該処理装置の装置特性に対応する製品の相関仕様項目を定める相関仕様項目設定ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記複数種の製品毎の各仕様項目の数値データのうちで、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データを用いて、前記ライフ負荷配分ステップで求められた各処理装置毎の装置負荷量を、該製品毎の数値データと該製品毎の処理に必要な装置負荷量との相関性から、該製品毎に配分して、該複数種の処理装置毎であって該製品毎の製品負荷量を求める装置負荷配分ステップと、
前記装置負荷配分ステップで求められた装置毎で且つ製品毎の製品負荷量を用いて、該製品毎に、前記対象製造ラインで製品を製造するために必要な前記製造環境負荷量を求めて、該製品毎の該製造環境負荷量を前記記憶装置に格納する製造環境負荷量算出ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境負荷量算出プログラムにおいて、
前記第一関係取得ステップは、
前記対象製造ラインとは異なる1以上の製造ラインを構成した複数種の処理装置毎に、該処理装置の処理装置特性と、該処理装置の定格環境負荷と、該処理装置の実環境負荷とを、前記受付手段で受け付ける第一関係取得データの受付ステップと、
前記第一関係取得データの受付ステップで受け付けた前記複数種の処理装置毎の処理装置特性に応じて、該複数種の処理装置を複数の分類に分ける分類分けステップと、
前記分類分けステップで定められた各分類毎に、該分類に含まれている1以上の処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合の平均値を前記係数として定め、該係数と該分類の処理装置特性とを関係付けて、前記装置特性-係数関係を定めるステップと、
を含むことを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか一項に記載の環境負荷量算出プログラムにおいて、
前記第二関係取得ステップは、
前記対象製造ラインとは異なる1以上の製造ラインを構成した複数種の処理装置毎に、該製造ラインで製造した複数種の製品のそれぞれを一回処理するために必要な実環境負荷量と、該複数種の製品毎の各製品仕様項目の数値データとを、前記受付手段で受け付ける第二関係取得データの受付ステップと、
前記第二関係取得データの受付ステップで受け付けた情報を用いて、複数種の処理装置特性毎の、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を定めるステップと、
を含むことを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の環境負荷量算出プログラムにおいて、
前記データ受付ステップでは、前記対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データを、前記記憶装置に格納し、
前記相関仕様項目設定ステップでは、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対応させて、各処理装置における製品の相関仕様項目を、前記記憶装置に格納し、
前記装置負荷配分ステップでは、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対応させて、各処理装置における各製品の製品負荷量を、前記記憶装置に格納し、
前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、各処理装置における製品の相関仕様項目及び各製品の製品負荷量が既に前記記憶装置に格納されている前記対象製造ラインに関して、前記データ受付ステップにおいて、新たな製品の各仕様項目の数値データを受け付けると、
前記装置負荷配分ステップでは、前記記憶装置に格納されている前記複数種の処理装置毎における各製品の製品負荷量のうち、いずれかの特定の製品に関する該複数種の処理装置毎における製品負荷量と、前記新たな製品及び特定の製品の各仕様項目の数値データのうちで、前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データとを用いて、該数値データと該製品負荷量との該相関仕様項目に関する相関性から、該複数種の処理装置毎における該新たな製品の製品負荷量を求め、
前記製造環境負荷量算出ステップでは、前記装置負荷配分ステップで求められた前記各装置毎における前記新たな製品の製品負荷量を用いて、前記対象製造ラインで前記新たな製品を製造するために必要な前記製造環境負荷量を求めて、該新たな製品の該製造環境負荷量を前記記憶装置に格納する、
ことを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の環境負荷量算出プログラムにおいて、
前記記憶装置に格納された各製品毎の前記製造環境負荷量を、前記コンピュータの表示装置に表示させる算出結果表示ステップを、
前記コンピュータに実行させることを特徴とする環境負荷量算出プログラム。
【請求項6】
複数類の処理装置を備えた対象製造ラインで製造される複数種の製品毎の環境負荷量を算出する環境負荷量算出方法において、
複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合を示す係数との関係を示す装置特性-係数関係を取得して、コンピュータの記憶装置に格納する第一関係取得ステップと、
複数種の処理装置特性毎に、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を取得して、前記記憶装置に格納する第二関係取得ステップと、
前記コンピュータの受付手段により、前記対象製造ラインでの予め定められた期間における実際の環境負荷量であるライン環境負荷量と、該対象製造ラインを構成する前記複数種類の処理装置毎の処理装置特性と、該対象製造ラインを構成する該複数種の処理装置毎の定格環境負荷と、該対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データと、を受け付ける受付ステップと、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-係数関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付ステップで受け付けた該処理装置の装置特性に対応する係数を定める係数設定ステップと、
前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎の前記定格環境負荷及び前記係数を用いて、前記受付ステップで受け付けた前記ライン環境負荷量を該各処理装置毎に配分して、該各処理装置毎の装置負荷量を求めるライン負荷配分ステップと、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-相関仕様項目関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付ステップで受け付けた該処理装置の装置特性に対応する製品の相関仕様項目を定める相関仕様項目設定ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記複数種の製品毎の各仕様項目の数値データのうちで、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データを用いて、前記ライフ負荷配分ステップで求められた各処理装置毎の装置負荷量を、該製品毎の数値データと該製品毎の処理に必要な装置負荷量との相関性から、該製品毎に配分して、該複数種の処理装置毎であって該製品毎の製品負荷量を求める装置負荷配分ステップと、
前記装置負荷配分ステップで求められた装置毎で且つ製品毎の製品負荷量を用いて、該製品毎に、前記対象製造ラインで製品を製造するために必要な前記製品環境負荷量を求めて、該製品毎の該製品環境負荷量を前記記憶装置に格納する製品環境負荷量算出ステップと、
を前記コンピュータが実行することを特徴とする環境負荷量算出方法。
【請求項7】
複数類の処理装置を備えた対象製造ラインで製造される複数種の製品毎の環境負荷量を算出する環境負荷量算出装置において、
複数種の処理装置特性毎の、該処理装置特性と処理装置の定格環境負荷に対する実環境負荷の割合を示す係数との関係を示す装置特性-係数関係を記憶していると共に、複数種の処理装置特性毎の、該処理装置特性と、複数の製品仕様項目のうちで処理装置の環境負荷量と所定の相関性のある仕様項目とを関係付けた装置特性-相関仕様項目関係を記憶している記憶手段と、
前記対象製造ラインでの予め定められた期間における実際の環境負荷量であるライン環境負荷量と、該対象製造ラインを構成する前記複数種類の処理装置毎の処理装置特性と、該対象製造ラインを構成する該複数種の処理装置毎の定格環境負荷と、該対象製造ラインで製造される該複数種の製品毎の各仕様項目の数値データと、を受け付ける受付手段と、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-係数関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付手段が受け付けた該処理装置の装置特性に対応する係数を定める係数設定手段と、
前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎の前記定格環境負荷及び前記係数を用いて、前記受付手段が受け付けた前記ライン環境負荷量を該各処理装置毎に配分して、該各処理装置毎の装置負荷量を求めるライン負荷配分手段と、
前記記憶装置に格納されている複数種の処理装置特性毎の前記装置特性-相関仕様項目関係を用いて、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置毎に、前記受付手段が受け付けた該処理装置の装置特性に対応する製品の相関仕様項目を定める相関仕様項目設定手段と、
前記受付手段が受け付けた前記複数種の製品毎の各仕様項目の数値データのうちで、前記対象製造ラインを構成する前記複数種の処理装置に対してそれぞれ定められた前記相関仕様項目に関する該製品毎の数値データを用いて、前記ライフ負荷配分手段が求めた各処理装置毎の装置負荷量を、該製品毎の数値データと該製品毎の処理に必要な装置負荷量との相関性から、該製品毎に配分して、該複数種の処理装置毎であって該製品毎の製品負荷量を求める装置負荷配分手段と、
前記装置負荷配分手段が求めた装置毎で且つ製品毎の製品負荷量を用いて、該製品毎に、前記対象製造ラインで製品を製造するために必要な前記製造環境負荷量を求める製造環境負荷量算出手段と、
前記製造環境負荷量算出手段が求めた前記製品毎の前記製造環境負荷量を表示する表示手段と、
を備えていることを特徴とする環境負荷量算出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−97508(P2010−97508A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269129(P2008−269129)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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