説明

環形蛍光ランプ

【課題】本発明は、器具への適用率を維持しつつ省電力化をはかることができる蛍光ランプを提供することを目的とする。
【解決手段】環形の蛍光ランプは、ガラス管の管軸での半径が90mm以上180mm以下の範囲の環形をする発光管と、前記ガラス管の端部を連結する状態で前記発光管に取着された口金とを有する。発光管内には、アルゴンとクリプトンとからなり、且つ、クリプトンの体積比率が5%以上15%未満の範囲にある混合ガスが封入されており、ガラス管の各端の周縁のなす仮想平面と前記ガラス管の各端部の管軸との交点をX,Yとし、当該交点X,Y間の直線距離をDとし、前記各交点X,Yから前記発光管内の各電極端までの直線距離とをd1,d2としたとき、d1+d2+Dが100mm以上150mm以下の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環形蛍光ランプについての省電力化に関する。
【背景技術】
【0002】
一般照明用光源として広く利用されているものとして種々の形状の蛍光ランプがある。環形の蛍光ランプは、内面に蛍光体層が形成された環形のガラス管と、このガラス管の端部(放電空間の端部相当する)に取着された電極とを備え、電極の装着等により密閉化されたガラス管には水銀や希ガス(例えば、アルゴンガスである。)が封入されている。
一方、近年の環境破壊等対策のため、蛍光ランプについても省電力化することは重要である。省電力化する技術としては、電流を流れ易くさせるクリプトンをアルゴンと混合させた混合ガスをガラス管に封入することでランプ電圧を低減させ、結果的に消費電力を低減させる技術(例えば特許文献1であり、この技術を背景技術1とする。)や、ランプの電極間距離を短くしてランプ電圧を低減させ、結果的に消費電力を低減させる技術(例えば特許文献2であり、この技術を背景技術2とする。)がある。
【特許文献1】特開昭53−080782号公報
【特許文献2】特開2002−334679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記背景技術1のように、消費電力を低減させるためにアルゴンに少なくとも15(%)以上のクリプトンを混合した混合ガスを封入する蛍光ランプが知られている。このような蛍光ランプでは、最近のインバータ式点灯回路との組み合わせにおいて、ランプ電圧の大幅な低下が生じ、このランプ電圧低下が原因で前記インバータ式点灯回路が誤動作を起こすことが分かってきた。つまり、蛍光ランプの一般的な使用温度は5(℃)〜40(℃)であるが、省電力化を実現するためにクリプトンを15(%)以上封入すると、5(℃)〜40(℃)において誤動作を起こして点灯が不完全になることが分かった。
【0004】
このような誤動作について検討したところ、回路自身の消費電力を低減するための機能を備えたインバータ式点灯回路において、誤動作を多く生じることが新たに分かった。
また、点灯回路の種類に限らず、クリプトンを体積比率で15(%)以上入れると、このクリプトンは熱損失が少ないため、点灯時のランプ温度が低下して水銀蒸気圧が低くなり、ちらつき現象や光縞現象が発生するという問題がある。
【0005】
一方、上記背景技術2のように、消費電力を低減させるためにランプの電極間距離を短くしてランプ電圧を低減させるという技術を環形の蛍光ランプに適用した場合、蛍光ランプの環径が小さくなり、器具への装着に不具合が生じたり、器具の取り替えが必要になったりする。
また、このような器具への装着に不具合を生じさせないために、蛍光ランプの環径を従来と同等にして電極間距離を短くする、すなわち、環円周上で電極間距離(放電路長)を短く(環形をするガラス管の管軸に沿う方向の距離である。)して省電力化を図った場合、環円周における非発光部分が増加してしまい、均一な発光が得られないという課題が生じることが分かった。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、どのような器具、すなわち消費電力を低減させる機能を有する器具と組み合わせて使用しても誤動作を生じさせることがなく、また、器具への装着に不具合を生じさせることなく、均一な発光分布を得ることができるとともに、大幅に消費電力を低減することができる環形蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る蛍光ランプは、ガラス管の管軸での半径が90mm以上180mm以下の範囲の環形をする発光管と、前記ガラス管の端部を連結する状態で前記発光管に取着された口金とを有する環形蛍光ランプにおいて、前記発光管内には、アルゴンとクリプトンとからなり、且つ、クリプトンの体積比率が5%以上15%未満の範囲にある混合ガスが封入されており、前記ガラス管の各端の周縁のなす仮想平面と前記ガラス管の各端部の管軸との交点をX,Yとし、前記交点X,Y間の直線距離をDとし、前記各交点X,Yから前記発光管内の各電極端までの直線距離をd1,d2としたとき、d1+d2+Dが100mm以上150mm以下の範囲にあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る蛍光ランプは、d1+d2+Dが100mm以上150mm以下の範囲にある。これにより、略均一とみなされる発光を得ることができることを実験により確認している。
しかも、混合ガスにおけるクリプトンの体積比率が5%以上15%未満の範囲にある。これにより、当該環形蛍光ランプをどのような器具、すなわち消費電力を低減させる機能を有する器具と組み合わせて使用しても誤動作を生じさせることがなく、また、器具への装着に不具合を生じさせることなく、さらに、大幅に消費電力を低減することができることを実験により確認している。
【0009】
また、前記ガラス管の内径が23mm以上であり、前記直線距離d1,d2が、30mm以上50mm以下の範囲にあり、前記直線距離Dが、20mm以上60mm以下の範囲にあることを特徴としている。これにより、ランプ点灯時の口金の温度が過度に上昇するのを防ぐことができ、また、ガラス管の端部に電極を封着する際に、一般サイズのフィラメントコイルであれば当該サイズのフィラメントコイルをガラス管の内壁に接触させることなくガラス管に挿入することができる。そして、さらに、ガラス管の端部に排気管を容易に設けることができ、口金をねじった際の発光管への負荷を抑えることできる。
【0010】
また、前記電極は、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを支持する一対のリード線とを備え、前記発光管の内部にあるリード線の長さL1,L2が、8mm以上30mm以下の範囲にあることを特徴としている。これにより、ランプ点灯時にガラス管の温度上昇によりガラス管が割れるのを防ぐことができ、フィラメントコイルが不要に伸びたり、縮んだりすることを防ぐことができ、結果的に点灯時にフィラメントコイルが切断するのを抑制でき、しかも、フィラメントコイルを安定してガラス管に設置することができる。
【0011】
また、前記フィラメントコイルは3重巻きコイルであることを特徴としている。これにより、従来の2重巻きコイルを利用したフィラメントコイルと同じ抵抗値で、全体の大きさを小さくでき、結果的に、フィラメントコイルをガラス管の端部の内部に挿入する際に、フィラメントコイルとガラス管の内面とが接触するのをさらに防止できる。
また、前記口金は、透光性材料により構成されていることを特徴としている。これにより、発光管の端部間の非発光部分が暗く見えるという不快感を低減することができる。
【0012】
また、前記発光管は、前記ガラス管と、前記ガラス管の端部に封着されたマウントとを備え、前記マウントは、ガラス材料からなるステムと前記電極とを備え、前記ステムの鉛含有率が1000ppm以下であることを特徴としている。上記構成により、点灯中におけるガラス管の中央部と端部との温度差が大きくなり、ガラス管の中央部に最冷点箇所を確実に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一例である実施の形態に係る環形蛍光ランプについて、それぞれ図面を参照しながら説明する。
1.構成
図1は、本発明の実施の形態に係る環形蛍光ランプの外観図であり、図2は、実施の形態に係る環形蛍光ランプの口金を取り除き、電極周辺部分の様子が分かるようにガラス管を切り欠いた図である。
【0014】
環形蛍光ランプ(以下、単に、「蛍光ランプ」又は「ランプ」ともいう。)1は、環形の発光管3と、当該発光管3の両端部3a,3bに跨って取り付けられた口金5とを備える。
発光管3は、図2に示すように、内面に蛍光体層7が形成された環形のガラス管9と、ガラス管9の端部9a,9bに封着されたマウント11,13とを備え、密閉状のガラス管9の内部にアルゴンとクリプトンとを含む混合ガスや水銀が封入され、略環形をした1本の放電路を有する放電空間15が発光管3の内部に形成される。
【0015】
ガラス管9は、種々のガラス材料から構成できるが、例えばソーダガラスを用いる場合は、ガラス管9から析出したナトリウムと放電空間15に封入されている水銀との反応を防止する保護層が、ガラス管9の内面と蛍光体層7の間に形成されている。
各マウント11,13は、図2に示すように、ガラス材料から構成されたステム17,19と電極21,23とを備え、少なくとも一方のマウント(ここでは、マウント13である。)は、上記ステム19及び電極23以外に、ガラス管9の内部を排気したり、水銀を封入したりする際に利用する排気管25を備える。
【0016】
電極21,23は、図2に示すように、コイル状部に電子放出物質が充填されているフィラメントコイル27,29と、このフィラメントコイル27,29の両端側を支持する1対のリード線31,33とを備え、一対のリード線31,33の所定部分がステム17,19に封着されている。なお、図2では、一対のリード線31及び一対のリード線33のうち、手前に位置する1本のリード線が見えている。
【0017】
マウント13の排気管25は、その一端と他端とが連通する状態でステム19に溶着されている。これにより、マウント11,13がガラス管9の端部9a,9bに封着された状態では、ガラス管9の内部と外部とが排気管25を介して連通する状態となる。なお、排気管25におけるガラス管9の外部に位置する端部は、水銀・混合ガスの封入後に、例えば、チップオフ封止されて、密閉状態の放電空間15を有する発光管3が完成する。
【0018】
口金5は、発光管3の端部3a,3bを収容する本体部35と、当該本体部35に設けられた2組の1対の口金ピン37とを備える。本体部35は、樹脂材料、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)材料により構成されている。なお、一対の口金ピン37は、発光管3の各端部3a,3bから延出する一対のリード線31,33と電気的に接続されている。
2.実施例
本実施の形態に係る実施例の一例を説明する。
【0019】
ガラス管9は、ソーダガラスで構成され、その横断面形状が円形状であり、その外径の半径r1が14.5(mm)、肉厚が1(mm)で、ガラス管9の管軸Zでの半径R1が98(mm)の環形をしている。
マウント11,13のステム17,19は、鉛フリーガラスにより構成されている。フィラメントコイル27,29は、タングステン製の素線をコイル状にした1重巻きコイルを、さらにコイル状に巻回して2重巻きコイルを作成し、この2重巻きコイルを、さらにコイル状に巻回してなる3重巻きコイルをコイル状部に有する。これにより、従来の2重巻きコイルを利用したフィラメントコイルと同じ抵抗値で、全体の大きさを小さくでき、結果的に、フィラメントコイル27,29をガラス管9の端部9a,9bの内部に挿入する際に、フィラメントコイル27,29とガラス管9の内面とが接触するのを防止できる。
【0020】
発光管3の端部3a,3bに対するフィラメントコイル27,29の位置は、発光管3の端の周縁のなす(周縁を含む)仮想平面と発光管3の端部3a,3bにおける管軸(Z)との交点をX,Yとした場合に、この交点X,Yと、この交点X,Yの最寄のフィラメントコイル27,29の先端(例えば、交点Xの最寄のフィラメントコイルは、フィラメントコイル27が該当する。)との距離(本発明の「前記各交点X,Yから前記発光管内の各電極端までの直線距離」に相当し、以下、「電極管端距離」とする。)d1,d2は45(mm)であり、ステム17,19の先端と当該ステム17,19から延出するリード線31,33に支持されたフィラメントコイル27,29の先端との直線距離(本発明の「リード線の長さL1,L2」に相当し、以下、「リード長さL1,L2」とする。)L1,L2は20(mm)である。
【0021】
また、放電空間15にある2つのフィラメントコイル27,29の間隔、所謂、電極間距離は512(mm)であり、ガラス管9の端間の距離、つまり、前記交点X,Y間の直線距離Dは20(mm)である。
アルゴンとクリプトンとの混合ガスにおける体積比率は、室温状態で、アルゴンが90(%)、クリプトンが10(%)で、封入圧が280(Pa)である。
【0022】
口金5(正確には、本体部35である。)は、透光性の高い材料(透光性材料)であるPC(ポリカーボネート)材料から構成されている。これにより、発光管3の端部3a,3b間の非発光部分が暗く見えるという不快感を低減することができる。なお、口金に厚さ1mmの場合の可視光透過率が70%以上である樹脂を用いることで上記不快感はより解消することができる。
3.電極位置及び混合ガスについて
発光管3の端部3a,3bに対するフィラメントコイル27,29の位置は、上記実施例に限定するものではなく、上記実施例を含む所定の関係を満たす範囲であれば良い。所定の関係とは、発光管3の端の周縁のなす仮想平面と発光管3の端部3a,3bにおける管軸(Z)との交点X,Yとフィラメントコイル27,29の先端とのそれぞれの電極管端距離d1,d2と、交点X,Y間の端部間の直線距離Dとにおいて、
100(mm) ≦ d1+d2+D ≦ 150(mm)
を満たす関係である(この範囲とする理由は後述する。)。
【0023】
また、混合ガスのクリプトンの体積比率は、上記実施例に限定するものではなく、所定の範囲であれば良い。所定の範囲とは、クリプトンの体積比率が、5(%)以上15(%)未満の範囲である(この範囲とする理由は後述する。)。
上記フィラメントコイル27,29の位置が上記所定の関係を満たす範囲にあり、混合ガスのクリプトンの体積比率が上記所定の範囲にある場合、消費電力の低減、発光分布の均一化、光縞、ちらつき、点灯回路の誤動作の防止等の効果を得ることができる。
(1)消費電力
図3は、フィラメントコイルの位置、混合ガスのクリプトンの体積比率と、消費電力との関係を示す図であり、図4は、試験に供したランプの構成を示す図である。なお、図3中の「Ar」は言うまでも無く「アルゴン」を示し、また、「Kr」は言うまでも無く「クリプトン」を示す。
【0024】
図3は、同図に示す「d1+d2+D」や「Ar:Kr」の値のランプを実際に製作し、周波数が45(kHz)のランプ電流を600(mA)として、通電したときの消費電力を示す。
試験に供したランプの「d1+d2+D」は、「90mm」、「100mm」、[150mm」、「160mm」の4種類であり、それぞれのランプを構成1〜構成4とし、各構成の「d1」、「d2」、「D」は、図4に示す通りである。
【0025】
なお、構成1の欄の「Ar:Kr」が「100:0」に対応するものが従来品であり、その仕様(構成1)を図4にて具体的に説明すると、「d1」と「d2」とが「35mm」であり、「D」が「20mm」である。
本発明では、省電力化の目標を、従来品に対して、つまり、図4の構成1(「d1+d2+D」が「90mm」である。)であって「Ar:Kr」が「100:0」のランプに対して、3(%)以上の削減としている。換言すると、従来品のランプの消費電力に対して97(%)未満を目標としている。
【0026】
図3に示すように、クリプトンの体積比率が高くなるに従って、すべての構成において消費電力が低下していることが分かる。
省電力化の目標である3(%)を達成するランプ、つまり、消費電力が従来品(消費電力28.5(W)である。)に対して97(%)より小であるランプは、図中に示す太線よりもクリプトンの体積比率が高い場合である。
【0027】
つまり、構成1の場合(「d1+d2+D」が90(mm)の場合である。)、クリプトンの体積比率が15(%)以上で、同様に、構成2及び構成3の場合(「d1+d2+D」が100(mm)及び150(mm)の場合である。)、クリプトンの体積比率が5(%)以上であり、構成4の場合(「d1+d2+D」が160(mm)の場合である。)、クリプトンの体積比率が0(%)以上である。
【0028】
この「d1+d2+D」とクリプトンの体積比率と消費電力との関係は、半径R1が90mm以上180mm以下の範囲である場合は略同等に成り立つ。
なお、「d1+d2+D」と消費電力との関係においては、「d1+d2+D」が同じ(構成が同じ)であれば、放電空間内の電極間距離が等しくなり、「d1」、「d2」、「D」の値に関係なく、消費電力も略同じになる。
(2)インバータ式点灯回路の誤動作
図5は、フィラメントコイルの位置、混合ガスのクリプトンの体積比率と、インバータ式点灯回路の誤動作により明暗の繰り返し(以下、単に「明暗の繰り返し」ともいう。)が発生する最高温度との関係を示す図である。
【0029】
同図は、図4に示す「d1+d2+D」の各構成であって、「Ar:Kr」の値の異なるランプを実際に製作し、所定の雰囲気温度でランプを点灯させた際に、インバータ式点灯回路の誤動作によりランプ放電電流に変動が生じ、これによる明るさの変動を繰り返す(これが、上述の「明暗の繰り返し」である。)状態が発生するか否かを試験し、明暗の繰り返しが発生した温度の中で最も高い温度を示している。
【0030】
なお、本試験に供したランプは、図3での試験に供したランプと同じ構成を有するもので、本試験においても、同図の構成1(「d1+d2+D」が「90mm」である。)で、「Ar:Kr」が「100:0」のランプが従来品である。
また、試験に用いたインバータ式点灯回路は、チョークコイルと共振コンデンサとを備える、所謂、LC共振型のインバータ式点灯回路であり、回路自身の消費電力を低減するための機能を備えた点灯回路である。
【0031】
本発明では、誤動作による明暗の繰り返しを生じる最高温度の目標として、ランプの実使用の条件を考慮して5(℃)までとしている。これは、ランプの通常の使用温度が、5(℃)〜40(℃)の範囲であるからである。
誤動作を生じる温度と、「d1+d2+D」との関係は、図5から、クリプトンの体積比率が同じであれば、「d1+d2+D」の値の影響は少なく、明暗の繰り返しを生じる温度も略同じになっていることが分かる。
【0032】
具体的に説明すると、クリプトンの体積比率が10(%)の場合、「d1+d2+D」が変化しても、最高温度が−2(℃)、−1(℃)とあまり変化しておらず、クリプトンの体積比率が15(%)や20(%)の場合も同様である。
また、「d1+d2+D」が同じ場合は、図5から、クリプトンの体積比率が低くなるに従って、誤動作を生じる温度が下がる傾向にある。
【0033】
クリプトンの体積比率が15(%)の場合、構成1及び構成3において、最高温度が5(℃)となっており、また、クリプトンの体積比率が10(%)の場合、構成1、構成2及び構成4において、最高温度が−2(℃)〜−1(℃)となっている。
このため、目標である5(℃)まで明暗の繰り返しを生じないのは、いずれの「d1+d2+D」においても、図中に示す太線よりもクリプトンの体積比率が高い場合で、クリプトンの体積比率が15(%)より小さい値であって15(%)に近い値である。つまり、クリプトンの体積比率が15(%)より小さい(未満)場合は、5(℃)では誤動作による明暗の繰り返しが生じないこととなる。
【0034】
さらに、クリプトンの体積比率が10(%)以下の場合、0(℃)では誤動作による明暗の繰り返しが生じず、ランプ使用温度の最低温度である5(℃)では、誤動作を確実になくすことができると考えられる。
このクリプトンの体積比率とインバータ式点灯回路の誤動作との関係は、半径R1が90mm以上180mm以下の範囲である場合は略同等に成り立つが、半径R1が180mmを超える範囲にある場合は発光管の電極間距離(放電路長)が大きくなり、クリプトンの体積比率の影響が大きくなるため、クリプトンの体積比率が15(%)未満でも誤動作を生じる可能性がある。
(3)発光分布
まず、「d1+d2+D」を100(mm)として、「d1=d2」として「d1(d2)」を変化させた場合のランプの発光特性について説明する。
【0035】
図6は、「d1+d2+D」が100(mm)であって、「d1(d2)」の異なるランプから出射された最高の光度を100とした場合における所定角度の方向に出射された光度の比を示す図である。
図7は、図6の所定角度の方向に出射された光度の比を図示した発光分布図であり、(a)は全体の発光分布であり、(b)は、(a)の図において0°±90°の角度の範囲を拡大した図である。
【0036】
発光特性に関する試験は、図6に示すランプを実際に製作し、当該ランプを点灯させて、所定角度の方向に出射された光度から算出した結果である。なお、図6及び図7に示すサンプル1の発光分布は従来品のランプである。また、サンプルに係るランプの口金は透光性の低い材料(PBT)により構成されている。
発光特性の測定時のランプの姿勢は、ランプを平面視(ガラス管の管軸が存在する平面と直交し、ランプの中心Oを通る方向から見た場合であり、図1の状態である。)した状態であり、この状態で環平面外側へと出射された光、つまり、ランプの径方向であって外方へと出射された光を測定している。
【0037】
測定位置である所定の角度とは、口金の中心軸(環上である。)の中点と、環形のランプの中心Oとを結ぶ線分上を「0°」として、中心Oの廻りを反時計方向に移動したときの角度である。測定箇所は、図6に示すように、上記の「0°」を基準にして、30°の整数倍の角度の合計12箇所である。
ここで、「d1+d2+D」が100(mm)において、「d1(d2)」が40(mm)のランプをサンプル2とし、「d1(d2)」が35(mm)のランプをサンプル3とし、「d1(d2)」が20(mm)のランプをサンプル4とする。
【0038】
さらに、「d1(d2)」が40(mm)のサンプル2において、「L1=L2」が10(mm)のものをサンプル2aと、「L1=L2」が15(mm)のものをサンプル2bとそれぞれし、同様に、「d1(d2)」が35(mm)のサンプル3において、「L1=L2」が10(mm)のものをサンプル3aと、「L1=L2」が15(mm)のものをサンプル3bとそれぞれしている。
【0039】
なお、サンプル2a,2b及びサンプル3a,3bにおいて、「L1=L2」を区別する必要がない場合は、単に、サンプル2及びサンプル3として説明する。また、すべてのサンプルの混合ガスにおけるクリプトンの体積比率は「0%」である。
サンプル1〜4までの全てのサンプルにおける環平面外側への発光分布の最大値に対する最小値の比は、図6及び図7に示すように、「0°」の位置が最小となる。さらに、「d1+d2+D」を100(mm)と一定にしたサンプル2、サンプル3、サンプル4では、「d1(d2)」が小さい程、つまり、「D」が大きい程、「0°」の光度が小さくなる傾向にある。
【0040】
したがって、「d1+d2+D」をパラメータとするランプにおける発光特性は、「d1(d2)」を最小として評価することで、この最小のランプで発光特性が所望の目標値を満たせば、最小である「d1(d2)」より大きな値の「d1(d2)」を有するランプは、発光特性についての目標値を達成することができることになる。
本発明では、環平面外側への発光分布の最大値に対する最小値の比が50(%)以上を目標としている。これは、上記の最小値の比が50(%)未満になると、発光分布のムラが大きく、人間にとって不快を感じるようになるからである。
【0041】
図8は、フィラメントコイルの位置、混合ガスのクリプトンの体積比率と、発光分布の最大値と最小値の比を示す図である。
図8より、「d1+d2+D」が一定であれば、混合ガスにおけるクリプトンの体積比率に関係なく、最大値に対する最小値の比が同じになることが分かる。また、「d1+d2+D」が小さくなると、非発光部の領域が小さくなり、最大値に対する最小値の比が大きくなる傾向にあることが分かる。
【0042】
そして、最大値に対する最小値の比が目標である50(%)以上となるのは、クリプトンの体積比率に関係なく、「d1+d2+D」が150(mm)以下であることも分かる(同図において太線で示している。)。
また、「d1+d2+D」が100(mm)以下になると最大値に対する最小値の比が65(%)以上となり、「d1+d2+D」が90(mm)以下になると最大値に対する最小値の比が75(%)以上となる。
【0043】
なお、従来のランプ(図6のサンプル1である。)では、図6に示すように、最大値に対する最小値の比が80(%)である。
この「d1+d2+D」と発光分布特性との関係は、半径R1が90(mm)以上180(mm)以下の範囲である場合は略同等に成り立つが、半径R1が90(mm)を下回る範囲にある場合は発光管の電極間距離(放電路長)が小さくなり「d1+d2+D」の影響が大きくなるため、「d1+d2+D」が150(mm)以下でも最大値に対する最小値の比が目標である50(%)を下回る可能性がある。
【0044】
一方、「d1+d2+D」が一定の場合、例えば、図6に示すサンプル2、サンプル3、サンプル4の場合、「d1(d2)」が大きく、「D」が小さいほど好ましい。具体的には、サンプル2の「d1(d2)」が40mm、「D」が20(mm)であり、この場合、従来品であるサンプル1と同じような発光特性(図7参照。)を得ることができる。なお、「d1(d2)」が35mm、「D」が30mmでも、図6及び図7に示すように、測定位置が30(°)、330(°)における輝度低下をサンプル1に対して1割以内に抑えることができる。
【0045】
これは、「D」が小さくなると発光しない箇所が小さくなるためであり、それに加えて、「d1(d2)」が大きくなるとフィラメントコイルが管軸Zの外方へより大きく偏位することになり、フィラメントコイル付近の放電によるガラス管の端部の発光量が増えるからである。
さらに、「d1+d2+D」が一定であって、「d1(d2)」、「D」が同じ場合、つまり、サンプル2aとサンプル2bとの場合、サンプル3aとサンプル3bとの場合、図7の(b)に示すように、「L1=L2」が大きい方(具体的は、15(mm)である。)が「0°」付近(正確には、0°±60°の範囲である。)の光度が高く、従来品のランプであるサンプル1の発光特性に近づく。これは、フィラメントコイル付近の放電に広がりが生じて、ガラス管の端部の発光量が増えるからである。
(4)点灯時のチラツキ持続時間
図9は、混合ガスの体積比率と、点灯時のチラツキ持続時間との関係を示す図である。
【0046】
同図における試験では、図3及び図5に示す構成2(「d1+d2+D」が100(mm)である。)であって、クリプトンの体積比率を、「0%」、「10%」、「30%」、「40%」と変化させた4種類のランプを用いている。
なお、試験に供したランプは、銅鉄安定器(周波数60Hz)を用いて点灯され、また、点灯時のランプの周囲温度は5(℃)である。
【0047】
同図に示すように、混合ガスのクリプトンの体積比率が高くなるに従って、点灯時のチラツキ持続時間が長くなっている。この点灯時のチラツキ持続時間は短いほど良い。このチラツキ持続時間は、点灯時のランプの周囲温度の影響を受け易く、冬季・寒冷地等の使用を考慮してランプの周囲温度を5(℃)としている。このような条件では、チラツキの持続を使用者が不快と感じる時間は5分程度であり、使用者がチラツキを不快と感じないようさせるにはクリプトンの体積比率を30(%)以下とするのが好ましい。
(5)点灯時の光縞の有無
図10は、混合ガスの体積比率と、点灯時の光縞の有無との関係を示す図である。
【0048】
同図における試験では、図3及び図5に示す構成2のランプを用い、その「d1」、「d2」、「D」は図4の通りである。なお、点灯時のランプの周囲温度は−10(℃)で、ランプ電流は600(mA)、周波数が45(kHz)である。
同図に示すように、混合ガスのクリプトンの体積比率が高くなるに従って、点灯時の光縞が発生しやすくなる傾向がある。この点灯時の光縞は発生しない方が良く、クリプトンの比率は10(%)では発生せず、クリプトンの体積比率が20(%)では発生している。従って、点灯時に光縞を発生させないようにするには、クリプトンの体積比率を20(%)未満、あるいは、15(%)以下で光縞の発生を抑制することができると考えられる。なお、クリプトンの体積比率が10(%)以下になれば、光縞の発生をほとんど抑えることができる。
(6)電極位置と点灯時の口金温度
図11は、電極位置と点灯時の口金温度との関係を示す図である。
【0049】
電極位置(フィラメントコイル位置)と、点灯時の口金の温度との関係を試験した。
試験での口金の温度は、JIS C 7618−1に準拠してランプを点灯させた際の口金の温度を示す。
ランプのフィラメントコイルは、エミッタが塗布されておらず、放電空間にはアルゴンとクリプトンとの混合ガスでなく、アルゴンのみが封入されている。口金の温度は、上記ランプの両電極を直列接続し、対応する試験用安定器を用いて、定格電圧の1.1倍を印加したときの測定結果である。なお、電極位置は、図2に示す、発光管の端(交点X,Y)からフィラメントコイルの先端までの距離、つまり、電極管端距離d1,d2であり、以下、電極管端距離d1として説明する。
【0050】
同図に示すように、電極管端距離d1が大きくなるに従って、点灯時の口金温度が低くなる。これは、電極管端距離d1が大きくなるほど、電極(フィラメントコイル)が口金から離れるからである。
近年、口金の本体部には、樹脂材料が使用されていることから、口金温度が過度(例えば、100℃であるが、樹脂材料によって耐熱性が異なるため一つの目安である。)に上昇するのは好ましくなく、電極管端距離d1は、20(mm)より大きい、あるいは、30(mm)以上であれば口金が過度に温度上昇しないと考えられる。また、より安全性を高めるためには、35(mm)以上が好ましい。
(7)電極位置と発光管温度
図12は、電極位置と点灯時の発光管温度との関係を示す図である。
【0051】
同図における試験では、封入ガスの構成比(アルゴンが体積比率において100(%)である。)と、発光管の端部間距離Dとを一定にして、端部からのフィラメントコイルまでの電極管端距離d1と、リード長さL1を変更させたサンプルを製作し、ランプ電流600(mA)、周波数45(kHz)で点灯させて、発光管の中央部と端部との2箇所の温度を測定している。なお、図中の「温度差」は、端部を基準して中央部との温度差を示す。
【0052】
同図に示すように、電極管端距離d1及びリード長さL1との変化に関係なく、発光管の中央部の温度が45(℃)で一定であるのに対し、発光管の端部の温度は、電極管端距離d1が長くなるに従って低くなる傾向にある。
ここで、一般に1重の環形をした発光管のガラス管の内径が23(mm)以上の蛍光ランプは、点灯時の最冷点箇所が発光管の中央部となるように設計されている。従って、点灯時の発光管の温度において、中央部の温度が端部の温度よりも高くなると、発光管の端部に最冷点箇所が形成され、発光管内の水銀蒸気圧が低下して、結果的に発光効率が低下してしまう。このことから、電極管端距離d1が60(mm)では、中央部の温度が端部の温度よりも高くなり、最冷点箇所が発光管の端部で形成されるため、電極管端距離d1は50(mm)以下が好ましい。
(8)点灯時のステムトップ部(頂部)
図13は、リード長さと点灯時のステムトップ部温度との関係を示す図である。
【0053】
同図における試験では、封入ガスの構成比(アルゴンが体積比率において100(%)である。)、発光管の端部間距離D、電極管端距離d1を一定にして、リード長さL1を変更させたランプを製作し、ランプ電流600(mA)、周波数45(kHz)で点灯させ、点灯開始から所定時間(ここでは、「3S」、「10S」、「60S」、「300S」である。)経過時のステムトップ部(ステムにおけるフィラメントコイル側に位置する端部)の温度を測定している。
【0054】
同図に示すように、すべてのリード長さL1において、点灯開始から時間が経過するに従って、ステムトップ部の温度が上昇していることがわかる。
また、リード長さL1が大きくなると、フィラメントコイルとステムトップ部との距離が大きくなり、ステムトップ部の温度も低くなると共に、温度上昇の速度も遅くなる。
温度上昇の速度は、同図に示すように、すべてのリード長さL1において、0秒(図中の「0S」である。)から3秒(図中の「3S」である。)までが最も早く、リード長さL1が5(mm)の場合、0秒から3秒までの間の温度上昇の速度が15(℃/Sec)となっている。また、リード長さL1が8(mm)の場合、温度上昇の速度が0秒から3秒までの間で8.3(℃/Sec)となる。
【0055】
ガラス管(ステムトップ部)の温度上昇の最大の速度(温度勾配)が、10(℃/Sec)以上になる(最大の速度を維持する必要はない。)と、ガラス管にひずみが残存している場合に、当該ガラス管に割れが発生する可能性が高くなる。
このため、リード長さL1が5(mm)の場合、温度上昇の速度が、上述したように、0秒から3秒までの間で15(℃/Sec)となり、ガラス管に割れが発生するおそれがあり、リード長さL1は8(mm)以上が好ましい。
【0056】
なお、リード長さL1は大きいほど、ステムトップ部の温度が低くなり、ガラス管の割れが発生し難くなるが、30(mm)を超えると、フィラメントコイルを支持する一対のリード線同士の間隔のバラツキが大きくなり、フィラメントコイルが伸びた状態、あるいは縮んだ状態で支持されることになる。そして、このような状態で点灯するとフィラメントコイルが切断するという実施面での問題や、またフィラメントコイルを安定してガラス管内に設置することが困難となるという製造面での問題が生じる。
(9)ステムのガラス材料
図14は、図15で示したガラス材料を用いた場合の点灯時の発光管の温度を示す。
【0057】
図15は、鉛含有量とガラスの熱容量との関係を示す。
なお、本試験で使用したランプは、図12の最上段に示すランプと、ガラス材料中の鉛の含有率が異なる以外、同じ構成であり、点灯条件も同じである。
図14に示すように、鉛を25(wt%)含有している従来ガラスの場合、点灯中のガラス管の中央部の温度が45(℃)であるのに対し、端部の温度が50(℃)であり、中央部と端部との温度差は5(℃)である。
【0058】
一方、鉛が殆ど含まないとみなされる鉛の含有率が1000(ppm)以下のガラスの場合、点灯中のガラス管の中央部の温度が45(℃)であるのに対し、端部の温度が53(℃)であり、中央部と端部との温度差は8(℃)である。
このように、鉛の含有率が小さいほど、点灯中におけるガラス管の中央部と端部との温度差が大きくなり、ガラス管の中央部に最冷点箇所を確実に形成することができる。
4.その他
上記特性では、電極位置(フィラメントコイル位置)と各種のランプ特性との関係について説明したが、ガラス管の内径、環形を構成している環径、電極の大きさ、電極位置等について、製造時のマウントの取り扱い性との関係について説明する。
(1)コイルタッチ
発光管のガラス管の内径が23(mm)以上であり、ガラス管の管軸での半径が90(mm)以上であり、電極管端距離d1,d2が50(mm)以下である場合、フィラメントコイルの全長が16(mm)以下である一般的なサイズのフィラメントコイルが管平面に対して垂直に支持される一般的な構成において、フィラメントコイルがガラス管の内面に接触することはない。
【0059】
発光管のガラス管の内径が27(mm)、ガラス管の管軸での半径が98(mm)の場合において、直径16(mm)で高さを変化させた円柱が前記ガラス管の内面と接触するか否かについて検討した。
上記の円柱は、フィラメントコイルの全長を直径とし、電極先端(フィラメントコイル先端)とガラス管の端面との距離(つまり、電極管端距離d1,d2である。)を高さとしており、この円柱がガラス管の内面に接触するか否かで、フィラメントコイルが管平面に対していかなる方向に支持されている場合でも、ガラス管の内面に接触(この接触が、所謂、「コイルタッチ」である。)するか否かを判断している。
【0060】
直径を16(mm)とした場合、円柱の高さが50(mm)以下であれば、当該円柱はガラス管の内面に接触することはない。すなわち、電極管端距離d1,d2が50(mm)以下であれば、フィラメントコイルの全長が16(mm)以下である一般的なサイズのフィラメントコイルが管平面に対していかなる方向に支持されている場合でも、ガラス管の内面に接触することはない。
【0061】
しかしながら、一対のリード線同士の間隔のバラツキが大きくなり、フィラメントコイルの全長が16(mm)より伸びた状態で支持された場合等を考慮して、円柱の高さは45(mm)以下が好ましい。すなわち、電極管端距離d1,d2は45(mm)以下が好ましい。
(2)排気管の配置
排気管の配置等を考慮すると、端部間距離Dは20(mm)以上が好ましい。これは、端部間距離Dが20(mm)未満になると、ガラス管の端部同士が近接することとなり、排気管の配置が困難であったり、排気管の一端を封止する際の作業空間を確保できなかったり等の問題が生じる。
【0062】
また、端部間距離Dが60(mm)を超えると、口金の管軸に沿う方向の寸法が長くなり、口金をねじった際の発光管への負荷が増加して破損等のおそれが生じる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、器具への適用率を維持しつつ省電力化をはかることができる蛍光ランプを提供するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る環形の蛍光ランプの外観図である。
【図2】実施の形態に係る蛍光ランプの口金を取り除き、電極周辺部分の様子が分かるようにガラス管を切り欠いた図である。
【図3】フィラメントコイルの位置、混合ガスのクリプトンの体積比率と、消費電力との関係を示す図である。
【図4】試験に供したサンプルの構成を示す図である。
【図5】フィラメントコイルの位置、混合ガスのクリプトンの体積比率と、インバータ式点灯回路の誤動作により明暗の繰り返しが発生する最高温度との関係を示す図である。
【図6】「d1+d2+D」が100(mm)であって、「d1」の異なるランプから出射された最高の光度を100とした場合における所定角度の方向に出射された光度の比を示す図である。
【図7】図6の所定角度の方向に出射された光度の比を図示した発光分布図であり、(a)は全体の発光分布であり、(b)は、(a)の図において0°±90°の角度の範囲を拡大した図である。
【図8】フィラメントコイルの位置、混合ガスのクリプトンの体積比率と、発光分布の最大値と最小値の比を示す図である。
【図9】混合ガスの体積比率と、点灯時のチラツキ持続時間との関係を示す図である。
【図10】混合ガスの体積比率と、点灯時の光縞の有無との関係を示す図である。
【図11】電極位置と点灯時の口金温度との関係を示す図である。
【図12】電極位置と点灯時の発光管温度との関係を示す図である。
【図13】リード長さと点灯時のステムトップ部温度との関係を示す図である。
【図14】図15で示したガラス材料を用いた場合の点灯時の発光管の温度を示す。
【図15】鉛含有量とガラスの熱容量との関係を示す。
【符号の説明】
【0065】
1 蛍光ランプ
3 発光管
5 口金
9 ガラス管
11,13 マウント
17,19 ステム
21,23 電極
27,29 フィラメントコイル
31,33 リード線
35 本体部
37 口金ピン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の管軸での半径が90mm以上180mm以下の範囲の環形をする発光管と、前記ガラス管の端部を連結する状態で前記発光管に取着された口金とを有する環形蛍光ランプにおいて、
前記発光管内には、アルゴンとクリプトンとからなり、且つ、クリプトンの体積比率が5%以上15%未満の範囲にある混合ガスが封入されており、
前記ガラス管の各端の周縁のなす仮想平面と前記ガラス管の各端部の管軸との交点をX,Yとし、前記交点X,Y間の直線距離をDとし、前記各交点X,Yから前記発光管内の各電極端までの直線距離をd1,d2としたとき、
d1+d2+Dが100mm以上150mm以下の範囲にある
ことを特徴とする環形蛍光ランプ。
【請求項2】
前記ガラス管の内径が23mm以上であり、
前記直線距離d1,d2が、30mm以上50mm以下の範囲にあり、
前記直線距離Dが、20mm以上60mm以下の範囲にある
ことを特徴とする請求項1に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項3】
前記電極は、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを支持する一対のリード線とを備え、
前記発光管の内部にあるリード線の長さL1,L2が、8mm以上30mm以下の範囲にある
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項4】
前記フィラメントコイルは3重巻きコイルである
ことを特徴とする請求項3に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項5】
前記口金は、透光性材料により構成されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の環形蛍光ランプ。
【請求項6】
前記発光管は、前記ガラス管と、前記ガラス管の端部に封着されたマウントとを備え、
前記マウントは、ガラス材料からなるステムと前記電極とを備え、
前記ステムの鉛含有率が1000ppm以下である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の環形蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−170724(P2010−170724A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10132(P2009−10132)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】