説明

環状ニトロ化合物、その医薬組成物および用途

本発明は、環状ニトロ化合物、環状ニトロ化合物の医薬組成物、異常細胞の増殖を特徴とする疾患または障害(例えば、癌、炎症、循環器系疾患、および自己免疫疾患)を治療または予防するための環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を使用する方法、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号60/707,851号(2005年8月12日出願)(これは本明細書の一部を構成する)の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般的に、環状ニトロ化合物の医薬組成物、および異常細胞の増殖を特徴とする疾患(例えば、癌)を治療または予防するための環状ニトロ化合物および医薬組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
異常細胞の増殖は癌の特徴的な症状である。更に、異常細胞の増殖は、多数の他の疾患(例えば、循環器系疾患、炎症疾患(例えば、関節リウマチ、糖尿病性網膜症など))に関与する。異常細胞の増殖を治療または予防するための多数の方法が開発されているが、殆どの現存する治療法が有する有意な問題は、正常細胞の増殖と異常細胞の増殖との間を選択的に区別することである。
【0004】
放射線療法は、異常細胞の増殖を選択的に標的とする1つの有望な方法である。多数の異なる放射線増感剤が当該分野において記載されており、そしてこれは、チオール、ニトロイミダゾール、および金属テキサフィリン(texaphyrin)化合物を含む(例えば、Rosenthalらによる, Clin. Cancer. Res., 1999, 739を参照)。現存する放射線増感方法を用いる有意な問題は、以下の通りである。(1)放射線増感剤由来の毒性副産物の形成(このことは、癌の治療におけるそれらの有用性を限定している);および、(2)用量制限性の毒性下で有効であるフリーラジカルの高密度を十分に達成すること。
【0005】
異常細胞の増殖を選択的に標的とするための別の一般的な方法は、生体内還元性化合物(これは、還元性の環境下で選択的に活性化される)を用いる処置である。多数の癌が典型的に低酸素緊張状態の領域(すなわち、低酸素)を含むので、低酸化還元電位を有する化合物(すなわち、生体内還元性化合物)は外部の活性化を伴わずに腫瘍細胞の還元性の環境下で選択的に活性化され得る。
【0006】
従って、新規な化合物が、異常細胞の増殖の治療または予防を十分に探索するのに要求されている。これらの新規な化合物は、放射線治療活性または生体内還元性活性を有し得る。該化合物は、異常細胞の増殖に関連する様々な疾患(例えば、毒性副産物を形成しない癌)を治療または予防するのに有効であり得る。
【発明の開示】
【0007】
(発明の概要)
本発明は、環状ニトロ化合物、環状ニトロ化合物の医薬組成物、および異常細胞の増殖に関連する疾患を治療または予防するために環状ニトロ化合物またはその医薬組成物を使用する方法を提供することによって、本要求および他の要求を満足する。
【0008】
第1の態様において、本発明は、構造式(I):
【化1】

[式中、
、R、R、およびRは各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ハロ、ヒドロキシ、またはニトロであり;
およびRは各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ハロ、ヒドロキシ、またはニトロであり;
oは、0、1、2、3、または4であり;
は、置換アルキル、置換アリールアルキル、置換ヘテロアルキル、置換ヘテロアリール、置換ヘテロアリールアルキル、置換アシル、置換アルコキシカルボニル、置換ホスホニル、または置換スルホニルであり;
但し、R、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つはニトロである]
で示される化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物、を提供する。
【0009】
第2の態様において、本発明は、異常細胞の増殖を特徴とする疾患または障害を治療または予防するための方法を提供する。該方法は通常、該治療または予防が必要な患者に、治療学的に有効な量の環状ニトロ化合物またはその医薬的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物、もしくはN−オキシドを投与することを含む。
【0010】
第3の態様において、本発明は、環状ニトロ化合物の医薬組成物を提供する。該医薬組成物は通常、1個以上の環状ニトロ化合物、医薬的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物、もしくはN−オキシド、および医薬的に許容し得るビヒクルを含む。該ビヒクルの選択は、他の因子のうち、所望する投与の様式に依存する。
【0011】
第4の態様において、本発明は、異常細胞の増殖を特徴とする疾患または障害を治療または予防するための医薬組成物を提供する。該方法は通常、該治療または予防が必要な患者に、環状ニトロ化合物またはその医薬的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物、もしくはN−オキシドおよび医薬的に許容し得るビヒクルを含有する、治療学的に有効な量の医薬組成物を投与することを含む。
【0012】
(詳細な記載)
定義
「アルキル」はそれ自身または別の置換基の一部として、親のアルカン、アルケンまたはアルキンの1個の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって派生する、飽和または不飽和の分枝、直鎖または環状の一価の炭化水素基を意味する。典型的なアルキル基は、メチル;エチル類、例えばエタニル、エテニル、エチニル;プロピル類、例えばプロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル(アリル)、シクロプロパ−1−エン−1−イル、シクロプロパ−2−エン−1−イル、プロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イルなど;ブチル類、例えばブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−エン−1−イルなど;などを含むが、これらに限定されない。
【0013】
用語「アルキル」とは、飽和のいずれかの程度またはレベルを有する基、すなわち、排他的に炭素−炭素単結合を有する基、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する基、1個以上の炭素−炭素三重結合を有する基、および炭素−炭素の単結合、二重結合および三重結合の混合を有する基を含むと具体的に意図する。飽和の具体的なレベルを意図する場合には、表現「アルカニル」、「アルケニル」、および「アルキニル」を使用する。ある実施態様において、アルキル基は1〜20個の炭素原子を含む。他の実施態様において、アルキル基は1〜10個の炭素原子を含む。更に他の実施態様において、アルキル基は1〜6個の炭素原子を含む。
【0014】
「アルカニル」はそれ自身または別の置換基の一部として、親アルカンの1個の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって派生する、飽和の分枝、直鎖または環状のアルキル基を意味する。典型的なアルカニル基は、メタニル;エタニル;プロパニル類、例えばプロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなど;ブタニル類、例えばブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなど;などを含むが、これらに限定されない。
【0015】
「アルケニル」はそれ自身または別の置換基の一部として、親アルケンの1個の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって派生する、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和の分枝、直鎖または環状のアルキル基を意味する。該基は、該二重結合についてのシスまたはトランスのいずれかの立体配座であり得る。典型的なアルケニル基は、エテニル;プロペニル類、例えばプロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル(アリル)、プロパ−2−エン−2−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル;シクロプロパ−2−エン−1−イル;ブテニル類、例えばブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルなど;などを含むが、これらに限定されない。
【0016】
「アルキニル」はそれ自身または別の置換基の一部として、親アルキンの1個の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって派生する、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和の分枝、直鎖または環状のアルキル基を意味する。典型的なアルキニル基は、エチニル;プロピニル類、例えばプロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イルなど;ブチニル類、例えばブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イルなど;などを含むが、これらに限定されない。
【0017】
「アシル」はそれ自身または別の置換基の一部として、基:−C(O)R30(ここで、R30は、水素、または本明細書中に定義する、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアリールアルキルである)を意味する。代表的な例は、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0018】
「アルコキシカルボニル」はそれ自身または別の置換基の一部として、基:−C(O)OR31(ここで、R31は、本明細書中に定義する、アルキルまたはシクロアルキル基である)を意味する。代表的な例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、シクロヘキシルカルボニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0019】
「アリール」はそれ自身または別の置換基の一部として、親芳香族環系の1個の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって派生する、一価の芳香族性炭化水素基を意味する。典型的なアリール基は、アセアントリセン(aceanthrylene)、アセナフチレン、アセフェナントリセン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン(coronene)、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン(hexalene)、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどから派生する基を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、アリール基は6〜20個の炭素原子を含む。他の実施態様において、アリール基は6〜12個の炭素原子を含む。
【0020】
「アリールアルキル」はそれ自身または別の置換基の一部として、炭素原子(典型的には、末端炭素原子またはsp炭素原子)と結合する水素原子の1つがアリール基で置換された、非環式アルキル基を意味する。典型的なアリールアルキル基は、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどを含むが、これらに限定されない。具体的なアルキル分子を意図する場合には、命名:アリールアルカニル、アリールアルケニル、および/またはアリールアルキニルを使用する。ある実施態様において、アリールアルキル基は、(C〜C30)アリールアルキル(例えば、該アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル、またはアルキニル部分が(C〜C10)であり、そして該アリール部分が(C〜C20)である)である。他の実施態様において、アリールアルキル基は、(C〜C20)アリールアルキル(例えば、該アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル、またはアルキニル部分が(C〜C)であり、そして該アリール部分が(C〜C12)である)である。
【0021】
「ヘテロアルキル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルケニル、およびヘテロアルキニル」はそれら自身または別の置換基の一部として、1個以上の炭素原子(および、いずれかの関係する炭素原子)が独立して同じかまたは異なるヘテロ原子基で置換された、アルキル基、アルカニル基、アルケニル基、およびアルキニル基をそれぞれ意味する。これらの基に含まれ得る典型的なヘテロ原子基は、−O−、−S−、−O−O−、−S−S−、−O−S−、−NR3435−、=N−N=、−N=N−、−N=N−NR3637、−PR38−、−P(O)−、−POR39−、−O−P(O)−、−SO−、−SO−、−SnR4041−、およびその他(ここで、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40およびR41は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、へテロアルキル、置換へテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、または置換ヘテロアリールアルキルである)を含むが、これらに限定されない。
【0022】
「ヘテロアリール」はそれら自身または別の置換基の一部として、親へテロ芳香族環系の1個の原子からの1個の水素原子の除去によって派生する、一価のへテロ芳香族基を意味する。典型的なヘテロアリール基は、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから派生する基を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、該へテロアリール基は5〜20員のヘテロアリールである。他の実施態様において、該へテロアリール基は5〜10員のヘテロアリールである。ある実施態様において、ヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、およびピラジンから派生する基を含む。
【0023】
「ヘテロアリールアルキル」はそれら自身または別の置換基の一部として、炭素原子(典型的には、末端炭素原子またはsp炭素原子)と結合する水素原子の1つがヘテロアリール基で置換された、非環式アルキル基を意味する。具体的なアルキル分子を意図する場合には、命名:ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニル、および/またはヘテロアリールアルキニルを使用する。ある実施態様において、該へテロアリールアルキル基は6〜30員のヘテロアリールアルキル(例えば、該へテロアリールアルキルの該アルカニル、アルケニル、またはアルキニル部分が1〜10員であり、そして該へテロアリール部分が5〜20員のヘテロアリールである)である。他の実施態様において、該へテロアリールアルキル基は6〜20員のヘテロアリールアルキル(例えば、該へテロアリールアルキルの該アルカニル、アルケニル、またはアルキニル部分が1〜8員であり、そして該ヘテロアリール部分が5〜12員のヘテロアリールである)である。
【0024】
「親芳香族環系」はそれら自身または別の置換基の一部として、共役π電子系を有する不飽和の環式または多環式の環系を意味する。具体的には、「親芳香族環系」の定義中に、該環の1個以上が芳香族式であり、そして該環の1個以上が飽和または不飽和である縮合環式(例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレンなど)を含む。典型的な親芳香族環系は、アセアントリセン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン(hexacene)、ヘキサフェン(hexaphene)、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどを含むが、これらに限定されない。
【0025】
「親へテロ芳香環式系」はそれら自身または別の置換基の一部として、1個以上の炭素原子(および、いずれかの結合する水素原子)が独立して同じかまたは異なるヘテロ原子で置換された、親芳香族環系を意味する。該炭素原子を置換する典型的なヘテロ原子とは、N、P、O、S、Siなどを含むが、これらに限定されない。具体的には、「親へテロ芳香族環系」の定義には、1個以上の該環が芳香族であり、そして1個以上の該環が飽和または不飽和である縮合環系(例えば、アルシンドール、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなど)を含む。典型的な親へテロ芳香族環系は、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどを含むが、これらに限定されない。
【0026】
「医薬的に許容し得る塩」は、O−ニトロ化合物の塩(これは、医薬的に許容し得て、そして親化合物の所望する薬理学的な活性を有する)を意味する。該塩は、(1)酸付加塩(これは、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)と形成するか、あるいは有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など)と形成する);または、(2)親化合物中に存在する酸性プロトンがアンモニウムイオン、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類イオン(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)、またはアルミニウムイオンによって置換されている場合に形成する塩;または、有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどとの配位物、を挙げられる。アミノ酸の塩(例えば、アルギン酸塩など)および有機酸(例えば、グルクロン(glucurmic)酸またはガラクツロン(galactunoric)酸など)の塩をも含む。
【0027】
「医薬的に許容し得るビヒクル」とは、O−ニトロ化合物と一緒に投与する、希釈剤、補助剤、賦形剤、または担体を意味する。
【0028】
「患者」は、ヒトおよび他の哺乳動物を含む。
【0029】
「ホスホニル」はそれら自身または別の置換基の一部として、基:−P(O)(OR32)(ここで、各R32は独立して、水素、または本明細書中に定義する、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアリールアルキルである)を意味する。
【0030】
「予防する」または「予防」とは、障害または疾患を獲得する危険性の低下(すなわち、該疾患の臨床的な症状の少なくとも1つを、該疾患にさらされているかまたは罹り易い素因がある患者において発症させるのでなく、該疾患の症状を未だ被っていないかまたは示さないようにさせること)を意味する。
【0031】
「置換された」とは、1個以上の水素原子が独立して同じかまたは異なる置換基で置換された基を意味する。典型的な置換基とは、−M、−R60、−O、=O、−OR60、−SR60、−S、=S、−NR6061、=NR60、−CF、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO、−ONO、=N、−N、−S(O)、−S(O)OH、−S(O)60、−OS(O)O、−OS(O)60、−P(O)(O)、−P(O)(OR60)(O)、−OP(O)(OR60)(OR61)、−C(O)R60、−C(S)R60、−C(O)OR60、−C(O)NR6061、−C(O)O、−C(S)OR60、−NR62C(O)NR6061、−NR62C(S)NR6061、−NR62C(NR63)NR6061、および−C(NR62)NR6061を含むが、これらに限定されない。ここで、Mは独立して、ハロゲンであり;R60、R61、R62およびR63は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであるか、あるいは場合によりR60およびR61はそれらが結合する窒素原子と一緒になってシクロへテロアルキルまたは置換シクロへテロアルキル環を形成し;そして、R64およびR65は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールを形成し、あるいは場合により、R64およびR65はそれらが結合する窒素原子と一緒になってシクロへテロアルキルまたは置換シクロへテロアルキル環を形成する。ある実施態様において、置換基は、−M、−R60、=O、−OR60、−SR60、−S、=S、−NR6061、=NR60、−CF、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO、−ONO、=N、−N、−S(O)60、−OS(O)O、−OS(O)60、−P(O)(O)、−P(O)(OR60)(O)、−OP(O)(OR60)(OR61)、−C(O)R60、−C(S)R60、−C(O)OR60、−C(O)NR6061、−C(O)O、−NR62C(O)NR6061(ここで、R60、R61、およびR62は上に定義する通りである)を含む。他の実施態様において、置換基は、−M、−R60、=O、−OR60、−SR60、−NR6061、−CF、−CN、−NO、−ONO、−S(O)60、−P(O)(OR60)(O)、−OP(O)(OR60)(OR61)、−C(O)R60、−C(O)OR60、−C(O)NR6061、および−C(O)O(ここで、R60、R61、およびR62は上で定義する通りである)を含む。更に他の実施態様において、置換基は、−M、−R60、=O、−OR60、−SR60、−NR6061、−CF、−CN、−NO、−ONO、−S(O)60、−OP(O)(OR60)(OR61)、−C(O)R60、−C(O)OR60、および−C(O)O(ここで、R60、R61、およびR62は上で定義する通りである)を含む。
【0032】
「スルホニル」はそれら自身または別の置換基の一部として、基:−S(O)33(ここで、各R33は独立して、水素、または本明細書中に定義する、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアリールアルキルである)を意味する。
【0033】
いずれかの疾患または障害の「処置する」または「処置」とは、ある実施態様において、該疾患または障害を軽減すること(すなわち、該疾患またはその臨床的な症状の少なくとも1つの進展を停止または抑制すること)を意味する。他の実施態様において、「処置する」または「処置」とは、患者によって認識できないこともあり得る、少なくとも1つの物理学的なパラメータを軽減することを意味する。更に他の実施態様において、「処置する」または「処置」とは、該疾患または障害を、物理学的に(例えば、認識可能な症状の安定化または根絶)もしくは生理学的に(例えば、物理学的なパラメータの安定化または根絶)のいずれかで、またはその両方で抑制することを意味する。更に他の実施態様において、「処置する」または「処置」とは、該疾患または障害の発症を遅延させることを意味する。
【0034】
「治療学的に有効な量」とは、疾患を治療または予防するために患者に投与時に、該疾患の治療または予防を有効とするのに十分である化合物の量を意味する。該「治療学的に有効な量」は、該化合物、疾患およびその激しさ、並びに処置する患者の年齢および体重などに依存して変わる。
【0035】
本発明の実施態様への参照は詳細に行なう。本発明をこれらの実施態様と組み合わせて記載するが、本発明をこれらの好ましい実施態様に限定することを意図するものではないと理解する。それに反して、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれ得る、改変物、修飾物、および等価物を包含することを意図する。
【0036】
「医薬的に許容し得る塩」は、環状ニトロ化合物の塩(これは、医薬的に許容し得て、そして親化合物の所望する薬理学的な活性を有する)を意味する。該塩は、(1)酸付加塩(これは、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)と形成するか、あるいは有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など)と形成する);または、(2)親化合物中に存在する酸性プロトンがアンモニウムイオン、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類イオン(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)、またはアルミニウムイオンによって置換されている場合に形成する塩;または、有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどとの配位物、を挙げられる。アミノ酸の塩(例えば、アルギン酸塩など)および有機酸(例えば、グルクロン(glucurmic)酸またはガラクツロン(galactunoric)酸など)の塩をも含む。
【0037】
「医薬的に許容し得るビヒクル」とは、環状ニトロ化合物と一緒に投与する、希釈剤、補助剤、賦形剤、または担体を意味する。
【0038】
「患者」は、ヒトおよび他の哺乳動物を含む。
【0039】
「予防する」または「予防」とは、障害または疾患を獲得する危険性の低下(すなわち、該疾患の臨床的な症状の少なくとも1つを、該疾患にさらされているかまたは罹り易い素因がある患者において発症させるのでなく、該疾患の症状を未だ被っていないかまたは示さないようにさせること)を意味する。
【0040】
いずれかの疾患または障害の「処置する」または「処置」とは、1実施態様において、該疾患または障害を軽減すること(すなわち、該疾患またはその臨床的な症状の少なくとも1つの進展を停止または抑制すること)を意味する。別の実施態様において、「処置する」または「処置」とは、患者によって認識できないこともあり得る、少なくとも1つの物理学的なパラメータを軽減することを意味する。更に別の実施態様において、「処置する」または「処置」とは、該疾患または障害を、物理学的に(例えば、認識可能な症状の安定化または根絶)もしくは生理学的に(例えば、物理学的なパラメータの安定化または根絶)のいずれかで、またはその両方で抑制することを意味する。更に別の実施態様において、「処置する」または「処置」とは、該疾患または障害の発症を遅延させることを意味する。
【0041】
「治療学的に有効な量」とは、疾患を治療または予防するために患者に投与時に、該疾患の治療または予防を有効とするのに十分である化合物の量を意味する。該「治療学的に有効な量」は、該化合物、疾患およびその激しさ、並びに処置する患者の年齢および体重などに依存して変わる。
【0042】
本発明の実施態様への参照は詳細に行なう。本発明をこれらの実施態様と組み合わせて記載するが、本発明をこれらの好ましい実施態様に限定することを意図するものではないと理解する。それに反して、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれ得る、改変物、修飾物、および等価物を包含することを意図する。
【0043】
環状ニトロ化合物、および異常細胞の増殖を治療または予防するためのそれらの使用方法
本発明は、環状ニトロ化合物、環状ニトロ化合物の医薬組成物、および異常細胞の増殖に関連する疾患を治療または予防するための環状ニトロ化合物またはその医薬組成物を使用する方法を提供する。
【0044】
本発明は、該治療または予防の必要な患者に、治療学的に有効な量の環状ニトロ化合物またはその医薬的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物もしくはN−オキシドを投与することを含む。1実施態様において、該環状ニトロ化合物は、腫瘍細胞の還元性の環境によって細胞中で活性化される。別の実施態様において、該患者は該環状ニトロ化合物を活性化するために照射する。理論によって束縛されることを望むわけではないが、環状ニトロ化合物の照射または還元により、フリーラジカル(これは続いて、おそらくDNA複製の妨害および/または細胞膜との反応によって、細胞複製を防止しそして細胞を殺す)の生成を生じ得る。しかしながら、他の機構(未だ未知)は、異常細胞の増殖を治療または予防する際の環状ニトロ化合物の効力を説明し得る。
【0045】
従って、ある実施態様において、本発明の該環状ニトロ化合物は、細胞内の還元および外部の照射の両方によって活性化し得る。これらの実施態様において、相乗効果または相加効果を観察し得る。
【0046】
環状ニトロ化合物は通常、1個以上のO−ニトロ基で置換される有機化合物(すなわち、ニトロ化合物)であるが、しかし、硝酸塩(例えば、アンモニウム二窒化物(ammonium dinitride)、アルミニウム三窒化物(aluminum trinitride)など)をも含む。典型的には、環状ニトロ化合物は、高い生成エンタルピー(すなわち、環状ニトロ化合物の分解は高量のエネルギーを放出する)を有する。ある実施態様において、環状ニトロ化合物は、約5kcal/モルから約150kcal/モルの間(約10kcal/モルから約110kcal/モルの間がより好ましい)で変わる生成エンタルピーを有する。該ニトロ化合物の生成エンタルピーは、当該分野の当業者にとって知られる方法によって容易に算出することができる。従って、環状ニトロ化合物は、活性化時に爆発力を伴って分解するそれらニトロ化合物を含む。該化合物は、該生成エンタルピーの算出によって当該分野の当業者によって容易に同定することができる。
【0047】
環状ニトロ化合物はまた、低い還元力で還元され得る。サイクリックボルタンメトリーは、環状ニトロ化合物への電子移動が標準電極(例えば、水銀または炭素の陰極と白金陽極)および電解質溶液を用いて、約−0.1ボルトから約−1.0ボルトの間で起こることを示す。
【0048】
ある実施態様において、環状ニトロ化合物は、高密度のニトロ基(すなわち、該ニトロ基は該化合物の質量全体の有意な分画である)を含む。他の実施態様において、環状ニトロ化合物は2個のニトロ基を含む。更に他の実施態様において、環状ニトロ化合物は3個のニトロ基を含む。更に他の実施態様において、環状ニトロ化合物は3個以上のニトロ基を含む。更に他の実施態様において、環状ニトロ化合物は6個のニトロ基を含む。
【0049】
ある実施態様において、該環状ニトロ化合物は炭素原子に対するニトロ基の比率が1:1を有する、ニトロ炭素である。他の実施態様において、該環状ニトロ化合物は、炭素原子に対するニトロ基の比率が1:2を有する、ニトロ炭素である。
【0050】
ある実施態様において、構造式(I):
【化2】

[式中、
、R、R、およびRは各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ハロ、ヒドロキシ、またはニトロであり;
およびRは各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ハロ、ヒドロキシ、またはニトロであり;
oは、0、1、2、3、または4であり;
は、置換アルキル、置換アリールアルキル、置換ヘテロアルキル、置換ヘテロアリール、置換ヘテロアリールアルキル、置換アシル、置換アルコキシカルボニル、置換ホスホニル、または置換スルホニルであり;
但し、R、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つはニトロである]
で示される化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物、
を提供する。
【0051】
ある実施態様において、R、R、R、R、R、およびRの少なくとも2つはニトロである。他の実施態様において、R、R、R、およびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロである。更に他の実施態様において、Rは、置換アルキル、置換アシル、置換アルコキシカルボニル、置換ホスホニル、または置換スルホニルである。更に他の実施態様において、Rは、1個以上のハロゲン、−CF、または−OS(O)(ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである)で置換された、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、ホスホニル、またはスルホニルである。更に他の実施態様において、RおよびRはニトロである。
【0052】
ある実施態様において、R、R、R、およびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRは、置換アルキル、置換アシル、置換アルコキシカルボニル、置換ホスホニル、または置換スルホニルである。他の実施態様において、R、R、R、およびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRは、1個以上のハロゲン、−CF、または−OS(O)(ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである)で置換された、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、ホスホニル、またはスルホニルである。更に他の実施態様において、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRは、置換アルキル、置換アシル、置換アルコキシカルボニル、置換ホスホニル、または置換スルホニルである。更に他の実施態様において、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRは、1個以上のハロゲン、−CF、または−OS(O)(ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである)で置換された、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、ホスホニル、またはスルホニルである。上記実施態様のいずれかにおいて、oは1である。
【0053】
ある実施態様において、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、Rは、1個以上のハロゲンまたは−CFで置換された、アルキルまたはアシルであり、そしてoは1である。他の実施態様において、RおよびRは水素であり、RおよびRはニトロであり、RおよびRは水素であり、Rは、1個以上のハロゲンまたは−CFで置換された、アルキルまたはアシルであり、そしてoは1である。
【0054】
ある実施態様において、該環状ニトロ化合物は、構造式:
【化3】

[式中、
各Xは独立して、−F、−Cl、−Br、−I、または−OS(O)(ここで、Rは、メチル、CF、フェニル、またはトリルであり、そして各pは独立して1、2、3、または4である)である]
を有する。
【0055】
他の実施態様において、該環状ニトロ化合物は、構造式:
【化4】

[式中、
各Xは独立して、−F、−Cl、−Br、−I、または−OS(O)(ここで、Rは、メチル、−CF、フェニル、またはトリルである)である]
を有する。ある具体的な実施態様において、該環状ニトロ化合物は、構造式:
【化5】

を有し、このものは通常、ABDNAZと呼称される。
【0056】
環状ニトロ化合物は、いくつかの互変異性体およびそれらの混合物で存在し得る。環状ニトロ化合物はまた、1個以上の原子が天然に通常存在する原子量とは異なる原子量を有する、同位体的に標識された化合物をも含み得る。環状ニトロ化合物中に導入することができる同位体の例は、H、H、13C、14C、15N、18O、および17Oを含むが、これらに限定されない。環状ニトロ化合物は、非溶媒和物形態、並びに溶媒和物形態(例えば、N−オキシドの水和物形態を含む)で存在し得る。一般的に、水和物形態および溶媒和物形態は、本発明の範囲内である。ある環状ニトロ化合物は、多数の結晶性形態またはアモルファス形態で存在し得る。一般的に、全ての物理学的な形態は本発明によって企図される使用にとって等価であり、そしてこれらは本発明の範囲内であると意図する。
【0057】
環状ニトロ化合物は、細胞内還元によって活性化し得る。ある実施態様において、環状ニトロ化合物は、低酸素性腫瘍細胞中での細胞内還元(これは、グルタチオンレベルの上昇(高いGSH:GSSG(すなわち、グルタチオンジスルフィドに対するグルタチオンの比率))、およびおそらく多数の腫瘍細胞中での他の抗酸化酵素の高レベル、および/または約10mmHg未満の腫瘍細胞pOの中央値に二次的である)によって活性化される。
【0058】
環状ニトロ化合物はまた、外部エネルギーの使用によって活性化され得る。環状ニトロ化合物を分解するのに有用な方法は、照射(例えば、x−線、可視光線、赤外線照射)、超音波(例えば、焦点式超音波を含む)、電気化学的な還元、熱、フリーラジカルイニシエータ(例えば、チオール)の同時投与などを含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、環状ニトロ化合物は、患者の光子照射によって活性化される。他の実施態様において、該患者の腫瘍は、用量の割合が100cGy/分での直線加速器を用いて照射される。該患者はまた、電子ビーム療法、術中(interoperative)放射線療法、定位的放射線手術、および高もしくは低用量の近接照射療法を用いて処置し得る。
【0059】
ある状況下で、患者の全体が照射され得る。ある実施態様において、該患者の一部は、該患者の放射された部分(例えば、腫瘍領域)中に局在化される環状ニトロ化合物のみが活性化されるように照射される。放射される該患者の部分は異常細胞の増殖の部位であることが好ましい。
【0060】
環状ニトロ化合物は、当該分野において記載される通常の合成方法によって得ることができ、あるいは商業的に(例えば、ATK Thiokol, Salt Lake City, UT.から)入手することができる。環状ニトロ化合物およびその中間体を製造するのに有用な出発物質は、商業的に入手することができ、あるいは良く知られる合成方法によって製造することができる。本明細書中に記載する該環状ニトロ化合物および/または出発物質の合成のための他の方法は当該分野において記載されており、あるいは当該分野における当業者によって容易に明白であろう。
【0061】
本発明によれば、環状ニトロ化合物またはその医薬組成物は、異常細胞の増殖を特徴とする疾患を患っている患者(ヒトが好ましい)に投与する。該環状ニトロ化合物およびその医薬組成物は、異常細胞の増殖を特徴とする疾患を治療または予防するのに使用し得る。
【0062】
異常細胞の増殖を特徴とする疾患は、癌(例えば、いずれかの血管新生化腫瘍(固形腫瘍が好ましい)(例えば、肺、乳房、卵巣、胃、膵臓、咽頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、大腸、直腸、子宮頸部、子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺、甲状腺の癌腫を含むが、これらに限定されない)、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、黒色腫、神経膠腫、神経芽細胞腫、肉腫(例えば、血管肉腫、軟骨肉腫)、糖尿病、循環器系疾患(例えば、動脈硬化症)、炎症性疾患(例えば、関節炎、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、血管新生緑内障、および乾癬)を含むが、これらに限定されない)、および自己免疫疾患を含む。
【0063】
他の実施態様において、環状ニトロ化合物はインビトロ滅菌法のために使用することができる。生物学的な溶液は環状ニトロ化合物(これは、病原性の菌、ウイルスおよび細胞にとって毒性である)を用いて処理し得る。このプロセスはまた、外部エネルギー(例えば、光および熱)の適用によって触媒化され得る。
【0064】
更に、ある実施態様において、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、患者(ヒトが好ましい)に、異常細胞の増殖を特徴とする様々な疾患または障害に対する予防学的な手法として投与する。従って、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、異常細胞の増殖を特徴とする疾患に対する素因を有する患者に予防学的な手法として投与し得る。従って、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、1つの疾患もしくは障害の予防、および同時に別のものを処置する(例えば、癌を処置しながら関節炎を予防する)のに使用し得る。
【0065】
治療学的な/予防学的な投与
環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、ヒト医学において有利に使用し得る。上記の5.2項目において上記する通り、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、様々な疾患または障害(例えば、上記するもの)の治療または予防に有用である。
【0066】
上記の疾患または障害を治療または予防するのに使用する場合に、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて、投与しまたは適用し得る。環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物はまた、単独でまたは他の医薬的に活性な薬剤(例えば、他の抗癌剤、他の抗関節炎剤など)(他の環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を含む)と組み合わせて、投与しまたは適用し得る。
【0067】
本発明は、治療学的に有効な量の環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を患者に投与することによる、治療および予防の方法を提供する。該患者は哺乳動物が好ましく、ヒトが最も好ましい。
【0068】
環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は経口投与し得る。環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物はまた、いずれかの他の便利な経路によって(例えば、注入もしくはボーラス注射によって、上皮もしくは粘膜皮膚のライン(例えば、口腔粘膜、直腸および腸の粘膜など)からの吸収によって)投与し得る。投与は、全身的または局所的であり得る。様々な送達系(例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなど中でのカプセル封入)が知られ、これは、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を投与するのに使用し得る。投与の方法は例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、鼻腔内、大脳内、膣内、経皮、直腸的、吸入による、または局所的(特に、耳、鼻、眼、または皮膚)を含むが、これらに限定されない。投与の様式は、医師の自由裁量に任され、そしてこれは、医学的な疾患の部位にいくらか依存する。ほとんどの例において、投与により、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物の血流中への放出を生じる。
【0069】
具体的な実施態様において、処置が必要な領域に1個以上の環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を局所的に投与することが所望され得る。これは、例えば手術の間の局所的な注入、局所的な適用(例えば、手術後の創傷治癒との組み合わせ)によって、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、またはインプラント(該インプラントは、多孔性、非多孔性、またはゼラチン質物質(例えば、膜(シアラスチック(sialastic)膜)または繊維を含む)である)によって(これらは、限定する様式ではない)、達成され得る。1実施態様において、投与は、該疾患または障害の部位(または、以前の部位)における直接的な注射によって行ない得る。
【0070】
ある実施態様において、1個以上の環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物をいずれかの適当な経路(例えば、脳質内、髄腔内、および硬膜外の注射を含む)によって、中枢神経系に導入することが所望され得る。脳室内注射は、脳室内カテーテル(例えば、レザバー(例えば、オマヤ(Ommaya)レザバー)への連結)によって促進され得る。
【0071】
環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物はまた、吸入によって肺へ直接的に投与し得る。吸入による投与の場合には、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、多数の異なるデバイスによって肺に便利に送達し得る。例えば、定量噴霧式吸入器(「MDI)」(これは、適当な低沸騰プロペラント(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素、またはいずれかの他の適当な気体)を含むキャニスターを使用する)は、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を肺に直接に送達するのに使用し得る。
【0072】
別法として、乾燥粉末吸入器(「DPI」)デバイスは、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を肺に投与するのに使用し得る。DPIデバイスは典型的に、例えば容器の内側に乾燥粉末の曇りを作るためのガスのバースト(これは、次いで患者によって吸入され得る)等の機構を使用し、そしてこれは当該分野においてよく知られる。よくある改変は、複数用量DPI(「MDDPI」)システムであり、これは、1個以上の治療学的な用量の送達を可能とする。MDDPIデバイスは、多数の製薬会社(例えば、シェリング・プラウ社, Madison, NJ)から商業的に入手し得る。例えば、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物、並びに適当な粉末基剤(例えば、これらのシステムのためのラクトースまたは澱粉)の粉末混合物を含有する、吸入器またはガス注入器において使用するためのゼラチンのカプセル剤およびカートリッジを製剤化し得る。
【0073】
環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を肺に送達するのに使用し得る他の種類のデバイスは、例えばアラジム社(Aradigm Corporation), Hayward, CA.によって供給される液体スプレーデバイスである。液体スプレーシステムは、液体薬物製剤(これは次いで、肺に直接に吸入され得る)をエアロゾル化するための極端に小さいノズル噴孔を使用する。
【0074】
ある実施態様において、ネブライザーは、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を肺に送達するのに使用する。ネブライザーは、例えば超音波エネルギーを使用することによって液体薬物製剤からエアロゾルを作って、容易に吸入され得る微粒子を形成し得る(例えば、Verschoyleらによる, British J. Cancer, 1999, 80, 補遺2, 96を参照)。ネブライザーの例は、Sheffield Pharmaceuticals, St. Louis, MO.(Armerらによる, 米国特許第5,954,047号;van der Lindenらによる, 米国特許第5,950,619号;van der Lindenらによる, 米国特許第5,970,974号)、およびBatelle Pulmonary Therapeutics, Columbus, OH)によって供給されるデバイスを含む。
【0075】
他の実施態様において、電気流体力学(「EHD」)エアロゾルデバイスを用いて、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を患者の肺に送達する。EHDエアロゾルデバイスは、液体薬物の溶液または懸濁液をエアロゾル化する電気的なエネルギーを使用する(例えば、Noakesらによる, 米国特許第4,765,539号を参照)。該製剤の電気化学的な性質は、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物をEHDエアロゾルデバイスを用いて肺に送達するときに最適化するための重要なパラメータであり得て、そして該最適化は、当該分野における当業者によって日常的に行なわれる。EHDエアロゾルデバイスは、現存する肺送達技術よりも肺へ薬物を効率よく送達し得る。
【0076】
ある実施態様において、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、小胞(特に、リポソーム)中で送達し得る(例えば、Langer, 1990, Science, 249: 1527-1533;Treatらによる,「Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,」 Lopez-BeresteinおよびFidler編, Liss, New York, 頁353-365 (1989))。
【0077】
ある実施態様において、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、徐放システム(経口徐放システムが好ましい)によって送達し得る。他の実施態様において、ポンプを使用し得る(例えば、Langerによる上述, Sefton, 1987, CRC Crit. Ref Biomed. Eng. 14: 201;Saudekらによる, 1989, N. Engl. J. Med. 321: 574)。
【0078】
ある実施態様において、高分子物質を使用し得る(例えば、「Medical Applications of Controlled Release,」 LangerおよびWise(編), CRC Press, Boca Raton, Florida (1974);「Controlled Drug Bioavailability,」 Drug Product Design and Performance, SmolenおよびBall(編), Wiley, New York (1984);Rangerらによる, 1983, J Macromol. Sci. Rev. Macromol Chem. 23: 61;Levyらによる, 1985, Science 228: 190;Duringらによる, 1989, Ann. Neurol. 25: 351;Howardらによる, 1989, J. Neurosurg. 71: 105)。
【0079】
他の実施態様において、高分子物質を経口徐放性送達に使用する。高分子は例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースが最も好ましい)を含むが、これらに限定されない。他のセルロースエーテルは、当該分野において記載されている(Aldermanによる, Int. J. Pharm. Tech. & Prod. Mfr. 1984, 5(3) 1-9)。薬物放出に影響を及ぼす因子は、当該分野における当業者によってよく知られており、そして当該分野において記載されている(Bambaらによる, Int. J. Pharm. 1979, 2, 307)。
【0080】
他の実施態様において、腸溶性製剤は経口徐放性投与に使用し得る。コーティング物質としては、pH依存性の溶解度(すなわち、pH制御の放出)を有する高分子、遅効性もしくはpH−依存性速度の膨張、溶解もしくは侵食(すなわち、時間制御の放出)を有する高分子、酵素によって分解する(すなわち、酵素制御の放出)高分子、および圧力の増大によって破壊される堅固な層を形成する(すなわち、圧力制御の放出)高分子を含むが、これらに限定されない。
【0081】
他の実施態様において、浸透圧性送達システムを経口徐放性投与に使用する(Vermaらによる, Drug Dev. Ind. Pharm., 2000, 26: 695-708)。ある実施態様において、OROS(登録商標)浸透圧デバイスは、経口徐放性送達デバイスのために使用する(Theeuwesらによる, 米国特許第3,845,770号;Theeuwesらによる, 米国特許第3,916,899号)。
【0082】
更に他の実施態様において、放出制御システムは、該環状ニトロ化合物および/または医薬組成物の標的の近位に設置し得て、従って該全身投与量の分画のみを必要とする(例えば、Goodson, in 「Medical Applications of Controlled Release」, 上述, 2巻, 頁115-138 (1984))。これまでの他の放出制御システムもまた使用し得る(Langerによる, 1990, Science 249: 1527-1533)。
【0083】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は典型的に、患者にとって適当な投与のための形態を供するため、治療学的に有効な量の1個以上の環状ニトロ化合物(純粋な形態が好ましい)を、適当な量の医薬的に許容し得るビヒクルと合わせて含む。患者に投与する場合には、該環状ニトロ化合物および医薬的に許容し得るビヒクルは滅菌することが好ましい。該環状ニトロ化合物を静脈内投与する場合には、水は好ましいビヒクルである。生理食塩水溶液、およびデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液はまた、特に注射液剤のための液体ビヒクルとして使用し得る。適当な医薬的なビヒクルはまた賦形剤を含み、これは例えば、澱粉、グルコース、ラクトース、スクロース、セラチン、麦芽、米、小麦粉、粉乳、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアリン酸、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを挙げられる。所望するならば、本発明の医薬組成物はまた、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝化剤を含み得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤、および、着色剤を使用し得る。
【0084】
環状ニトロ化合物を含有する医薬組成物は、通常の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ生成(dragee-making)、研和、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥のプロセスによって製造し得る。医薬組成物は、1個以上の生理学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤、または補助剤(これらは、化合物を医薬的に使用可能な製剤に加工処理することを促進する)を使用する通常の様式で製剤化し得る。適当な製剤は、選択した投与の経路に依存する。
【0085】
本発明の医薬組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、液体を含有するカプセル剤、散剤、徐放性製剤、坐剤、乳剤、エアロゾル剤、スプレー剤、懸濁剤の形態、または使用に適当ないずれかの他の形態をとり得る。ある実施態様において、該医薬的に許容し得るビヒクルはカプセル剤である(例えば、Grosswaldらによる, 米国特許第5,698,155号)。医薬組成物の製造についての一般的な記載は、Remingtonによる, 「The Science and Practice of Pharmacy」, 19版中で知ることができる。
【0086】
局所投与の場合には、環状ニトロ化合物は、液剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤など(これらは当該分野においてよく知られる)として製剤化し得る。
【0087】
全身性製剤としては、注射による投与(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内、または腹腔内の注射)のために設計された製剤、並びに経皮、経粘膜、経口または肺の投与のために設計された製剤を含む。全身性製剤は、気道粘液の粘液線毛クリアランスを改善しまたは粘液粘性を低下する更なる活性薬物と組み合わせて製造し得る。これらの活性薬物としては例えば、ナトリウムチャンネルブロッカー、抗生物質、N−アセチルシステイン、ホモシステイン、およびリン脂質を含むが、これらに限定されない。
【0088】
好ましい実施態様において、環状ニトロ化合物は、ヒトへの静脈内投与に適合した医薬組成物として、日常的な方法に従って製剤化する。典型的には、環状ニトロ化合物は、静脈内投与のための滅菌等張性水性緩衝液中の液剤とする。注射の場合には、環状ニトロ化合物は、水溶液(生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンガー溶液、または生理食塩水緩衝液)が好ましい)中で製剤化し得る。該液剤は、製剤化用の剤(例えば、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤)を含み得る。必要なときには、該医薬組成物はまた、可溶化剤を含み得る。静脈内投与のための医薬組成物は場合により、注射の部位での痛みを和らげるために、局所麻酔剤(例えば、リグノカイン)を含み得る。通常は、該成分は、別々にまたは1回剤形(例えば、凍結乾燥粉末、または密封容器(例えば、アンプルまたは活性薬物の質を表示するサシェ)中での水なしの濃縮物)として一緒に混合するかのいずれかで供する。該環状ニトロ化合物を注入によって投与する場合には、それは、例えば滅菌医薬的なグレードの水または生理食塩水を含有する注入ボトルを用いて分散することができる。該環状ニトロ化合物を注射によって投与する場合には、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルは、該成分を投与前に混合し得るように供し得る。
【0089】
経粘膜の投与の場合には、浸透される障壁に適当な浸透剤を該製剤中に使用する。該浸透剤は通常、当該分野において知られる。
【0090】
経口送達のための医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ剤、水性もしくは油性の懸濁剤、造粒剤、散剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の形態であり得る。経口投与する医薬組成物は、医薬的に美味な製剤を得るために、1個以上の任意の薬剤、例えば甘味剤(例えば、フルクトース、アスパルテーム、またはサッカリン);芳香剤(例えば、ペパーミント、ヒメコウジ(wintergreen)の油、またはチェリー着色剤および保存剤)を含み得る。その上、錠剤または丸剤の形態において、該医薬組成物は胃腸管での崩壊および吸収を遅延するようにコーティングし得て、その結果、長時間にわたる持続的な作用を得ることができる。浸透圧活性を推進する化合物の周囲にある選択的な浸透性の膜はまた、経口投与される化合物に適当である。これらの後者のプラットフォームにおいて、該カプセル剤の周囲の環境からの液体は、該推進化合物(これは、該薬剤または該薬剤組成物を開口部を通して置換するために膨張する)によって浸される。これらの送達プラットフォームは、速効型放出製剤のスパイクされたプロファイルに反対の本質的にゼロ次数の送達プロファイルを供し得る。時間遅延性物質(例えば、グリセロールモノステアリン酸またはグリセロールステアリン酸)もまた使用し得る。経口組成物は、標準的なビヒクル(例えば、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど)を含み得る。医薬的なグレードの該ビヒクルが好ましい。
【0091】
経口液体製剤(例えば、懸濁剤、エリキシル剤、および液剤)の場合には、適当な担体、賦形剤、または希釈剤とは、例えば水、生理食塩水、アルキレングリコール類(例えば、プロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール類(例えば、ポリエチレングリコール)油類、アルコール類、pH4〜pH6の間のわずかに酸性の緩衝液(例えば、約5.0mM〜約50.0mMの間の酢酸、クエン酸、アスコルビン酸)を含む。加えて、芳香剤、保存剤、着色剤、胆汁酸塩、アシルカルチニンなどを加え得る。
【0092】
頬側投与の場合には、該医薬組成物は、錠剤、トローチ剤などの形態(これは、通常の様式で製剤化される)をとり得る。
【0093】
ネブライザー、液体スプレーデバイス、およびEHDエアロゾルデバイスを使用するのに適当な液体薬物製剤は、医薬的に許容し得るビヒクルと合わせた環状ニトロ化合物を含む。該医薬的に許容し得るビヒクルは、液体(例えば、アルコール、水、ポリエチレングリコール、またはペルフルオロカーボン)であることが好ましい。適宜、別の物質を加えて、化合物の該液剤または該懸濁剤のエアロゾル性質を変えることができる。この物質は、液体(例えば、アルコール、グリコール、ポリグリコール、または脂肪酸)であり得ることが好ましい。エアロゾルデバイス中での使用に適当な液体薬物の液剤または懸濁剤を製剤化するための他の方法は、当該分野における当業者にとって知られる(例えば、Biesalskiによる, 米国特許第5,112,598号;Biesalskiによる, 米国特許第5,556,611号を参照)。
【0094】
環状ニトロ化合物はまた、例えば通常の坐剤用基剤(例えば、ココアバターまたは他のグリセリド)を含有する腸または膣用の医薬組成物(例えば、坐剤および保持浣腸剤)中で製剤化し得る。
【0095】
上記の製剤に加えて、環状ニトロ化合物はデポー製剤としても製剤化し得る。該長時間作用性の製剤は、インプラント(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって、投与し得る。従って、例えば環状ニトロ化合物は、適当な高分子もしくは疎水性物質(例えば、入手可能な油中での乳剤として)またはイオン交換樹脂と合わせて、あるいは難溶性誘導体(例えば、難溶性塩)として、製剤化し得る。
【0096】
環状ニトロ化合物が酸性または塩基性である場合には、それは、遊離酸または遊離塩基、その医薬的に許容し得る塩、溶媒和物または水和物として、上記の製剤のいずれか中に含まれ得る。医薬的に許容し得る塩は、該遊離の酸または塩基の活性を実質的に保持し、塩基または酸と反応させることによって製造し得て、そして該対応する遊離の酸または塩基の形態よりも水性および他のプロトン性の溶媒中でより可溶である傾向を有し得る。
【0097】
用量
環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は通常、意図する目的を達成するのに有効な量で使用する。上記の疾患または障害を治療または予防するための用途において、該環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、治療学的に有効な量で投与しまたは適用する。
【0098】
本明細書中に開示する障害または疾患の処置に有効であろう環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物の量は、該障害または疾患の性質に依存し、そしてこれは、当該分野において知られる標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、インビトロまたはインビボのアッセイは適宜、最適な用量範囲を同定するのを助けるのに使用し得る。投与する環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物の量は当然に、他の因子のうち、処置する被験者、該被験者の体重、該苦痛のはげしさ、投与の様式、および処方する医師の判断に依存する。
【0099】
例えば、該用量は、1回投与によって、複数回適用または放出制御によって、医薬組成物で送達し得る。投与は間欠的に繰り返すことができ、単独でまたは他の薬物と組み合わせて供することができ、そして該疾患状態または障害の有効な処置にとって必要とされる限り、続けることができる。
【0100】
経口投与に適当な用量範囲は、放射線増感の効率性に依存するが、しかし、これは通常、体重kg当たり該環状ニトロ化合物の約0.001mg〜約100mgである。用量範囲は、当該分野の当業者にとって知られる方法によって容易に決定し得る。
【0101】
静脈内(i.v.)投与に適当な用量範囲は、約0.01mg〜約100mg/体重kgである。鼻腔内投与に適当な用量範囲は通常、約0.01mg/体重kg〜約1mg/体重kgである。坐剤は通常、約0.01mg〜約50mg/体重kgの環状ニトロ化合物を含み、そして有効成分を約0.5重量%〜約10重量%の範囲で含む。皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、硬膜外、舌下、または大脳内の投与について推奨される用量は、約0.001mg〜約200mg/体重kgの範囲である。有効量は、インビトロまたは動物モデルの試験システムから導かれる用量−応答曲線から外挿し得る。該動物モデルおよびシステムは、当該分野においてよく知られる。
【0102】
該環状ニトロ化合物は、ヒトにおける使用前に、所望する治療的なまたは予防的な活性について、インビトロおよびインビボでアッセイすることが好ましい。例えば、インビトロアッセイは、具体的な環状ニトロ化合物または環状ニトロ化合物の組み合わせの投与が好ましいかどうかを決定するために使用し得る。該環状ニトロ化合物はまた、動物モデルシステムを用いて、有効で且つ安全であることを実証することができる。
【0103】
好ましくは、本明細書中に記載する環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物の治療学的に有効な量は、実質的な毒性を引き起こすことなく、治療学的な利点を供する。環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物の毒性は、標準的な医薬的な方法を使用して測定することができ、そしてこれは、当業者によって容易に確認することができる。毒性および治療の効果の間の用量比は、治療係数である。環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、異常細胞の増殖を特徴とする疾患および障害を処置する際に特に高い治療係数を示すことが好ましい。本明細書中に記載する環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物の用量は、ほとんどまたは全く毒性がない、有効量を含めた血中濃度の範囲内であることが好ましい。
【0104】
併用療法
本発明のある実施態様において、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、少なくとも1つの他の治療薬との併用療法で使用し得る。該環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物、並びに該治療薬は、相加的またはより好ましくは相乗的に作用し得る。1実施態様において、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、別の治療薬の投与と同時に投与する。別の実施態様において、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、別の治療薬の投与の前または後に投与する。
【0105】
特に、1実施態様において、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物は、他の化学療法薬(例えば、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファレン(melphalen)、クロラムブシル、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルフォネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素、トリアジン))、代謝拮抗薬(例えば、葉酸アナログ、ピリミジンアナログ(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シトシンアラビノシドなど)、プリンアナログ(例えば、メルカプトプリン、チオグナイン(thiogunaine)、ペントスタチンなど)、天然物(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テルチポシド(tertiposide)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ミトルマイシン(mithrmycin)、マイトマイシンC、L−アスパラギナーゼ、インターフェロンアルファ)、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチンなど)、アポトーシス誘発剤、グルタチオン除去剤、または細胞の酸化還元状態を変えることができる他の剤との併用療法において使用し得る。当業者は、環状ニトロ化合物が上記の化学療法薬および放射線療法の両方との同時併用療法において使用し得る、ことを認識するであろう。
【0106】
治療キット
本発明はまた、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を含有する治療キットを提供する。該治療キットはまた、他の化合物(例えば、化学療法薬、天然物、アポトーシス−誘発剤など)またはその医薬組成物を含み得る。
【0107】
治療キットは、他の成分(例えば、他の化合物またはこれらの他の化合物の医薬組成物)のあるなしで、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を含む1容器を有し得たり、あるいは、各成分についての別個の容器を有し得る。治療キットは、第2化合物(化学療法薬、天然物、アポトーシス誘発剤などが好ましい)またはそれらの医薬組成物の同時投与と組み合わせて使用するためにパッケージされた、環状ニトロ化合物および/またはその医薬組成物を含む。該キットの成分は予め複合体形成し得たり、あるいは各成分を患者に投与する前に別個の容器中に入れることができる。
【0108】
該キットの成分は、1個以上の液体溶液(水溶液が好ましく、滅菌水溶液がより好ましい)中で供し得る。該キットの成分はまた、固体として供することができ、これらは適当な溶媒(これは、別個の容器中で供し得ることが好ましい)の添加によって液体に変換し得る。
【0109】
治療キットの容器は、バイアル、試験菅、フラスコ、ボトル、シリンジ、または固体もしくは液体を同封するいずれかの他の手段であり得る。通常、1個以上の成分が存在する場合には、該キットは、別々の投与を可能とする、第2のバイアルまたは他の容器を含む。該キットはまた、医薬的に許容し得る液体についての別の容器を含み得る。
【0110】
治療キットは、装置(例えば、1個以上の針、シリンジ、目薬の容器、ピペットなど)を含むことが好ましく、これにより、該キットの成分の投与が可能となる。
【実施例】
【0111】
本発明は更に、以下の実施例(これは、とりわけ、腫瘍細胞療法におけるO−NO化合物の有効性を実証する実験を詳細に記載する)を引用することによって更に画定される。物質および方法の両方についての多数の改変が本発明の範囲を逸脱することなく、実施することができることは、当該分野における当業者にとって明白であろう。
【0112】
(実施例1)
ABDNAZおよび放射線照射による腫瘍細胞中でのROSの産生
ヒト結腸癌セルラインHT29細胞およびマウス扁平上皮癌腫セルラインSCC VII細胞を96ウェルプレート中、37℃で終夜増殖させ、次いで、蛍光プローブ2',7'−ジクロロフルオレセイン二酢酸(DCFH−DA)を20μMの濃度で1時間かけて加え、次いでこのものを洗い流した。ABDNAZを、該増殖培地中に濃度が1μM、10μM、または100μMで加えた。緑色蛍光を、蛍光顕微鏡下で測定し、そしてマイクロプレート蛍光光度計(励起光488nmおよび発光525nm)を使用して測定した。ABDNAZおよび放射線照射の両方を用いて処理した細胞の場合には、該プレートは、137Cs供給源を用いてABDNAZの添加の直後に照射した。
【0113】
図1は、ABDNAZに曝露後のHT29細胞およびSCC VII細胞中での反応性酸素種(ROS)の産生を示す。ROSの産生は、用量、時間およびセルラインに依存した。HT29細胞中での該ROS産生は、時間経過で徐々に増大し、そして24時間でピークに達した。SCC VII細胞の場合には、該ROSの産生は、ABDNAZの添加の2時間後にピークに達し、そしてROSのレベルは、HT29細胞中で誘発されるレベルよりも有意に高かった。
【0114】
図2および3は、ABDNAZおよび放射線照射を用いて処理したHT29細胞およびSCC VII細胞中でのROS産生を示す。ABDNAZおよび放射線照射の併用処置は、各々のモダリティ単独と比較して、HT29細胞およびSCC VII細胞中での細胞内ROS生成を相乗的に誘発した。
【0115】
(実施例2)
ABDNAZによるHL60細胞の増殖の抑制
急性前骨髄球性白血病セルラインであるHL60セルラインを、bcl−2癌遺伝子を用いて安定にトランスフェクトした(HL60 bcl−2細胞)。該HL60ネオ細胞をコントロール(HL60ネオ)として使用した。細胞を、1μM、2μMまたは5μMの濃度のABDNAZの存在下でRPMI1640培地中で増殖させた。生存細胞の数を、10日間毎日カウントした。細胞増殖曲線を図4に示し、これは、ABDNAZが用量依存性の様式で細胞増殖を抑制することを実証する。用量5μMのABDNAZは細胞増殖を>95%抑制し、そしてHL60 bcl−2細胞はABDNAZに対して、ネオ細胞と同程度に感受性であった。
【0116】
(実施例3)
ABDNAZによるHL60細胞のアポトーシスの誘発
上記実施例2中に記載する通りに調製および増殖させた細胞を、ABDNAZの添加の24、48および72時間後に収集し、そしてFACSを用いて分析した。図5は、ABDNAZの存在下での、時間に対するアポトーシスのパーセントを示す。図5、6および7において知り得る通り、ABDNAZは、HL60ネオ細胞およびbcl−2細胞の両方中で用量依存の様式で、非常に高レベルのアポトーシス細胞死を誘発した。5μMのABDNAZは、ネオ細胞およびbcl−2細胞について48時間で、それぞれ95%および78%のアポトーシスを誘発した。2μMの場合には、ABDNAZは、アポトーシス細胞死を生じ、これは、HL60ネオ細胞およびbcl−2細胞中で非常に同程度であり、8時間で〜40%のピークを有した。図6および7は、HL60ネオ細胞およびHL60 bcl−2細胞のそれぞれについてのFACS分析の詳細なヒストグラムを示す。
【0117】
(実施例4)
ABDNAZによるbcl−2癌遺伝子発現の抑制
HL60細胞を、上記実施例2に記載する通りに処理した。細胞を、ウェスタンブロット分析について6および24時間に収集した。図8に示す通り、ABDNAZ(2および5μM)は、ネオ細胞およびbcl−2細胞の両方中で用量依存様式で、bcl−2タンパク質発現を抑制した。HL60 bcl−2トランスフェクト細胞中での該bcl−2タンパク質は、2μM ABDNAZの存在下で切断され得て、このことは、6および24時間後の両方での低分子量バンドの存在によって示される。
【0118】
(実施例5)
ABDNAZの製造
25mLの三ツ口丸底フラスコを、塩化メチレン(7mL)およびt−BuDNAZ(これは、Archibaldらによる, Journal of Organic Chemistry, 1990, 2920中に記載する通り製造する)(2.50g、12.3mmol)で満たした。窒素下、三フッ化ホウ素エーテラート(0.16mL、1.23mmol)を加えた。周囲温度で5分間撹拌後に、ブロモアセチルブロミド(0.54mL、6.15mol)を加えた。該溶液を50〜60℃の間で2時間加熱した。該暗くなった反応混合物を周囲温度まで冷却し、塩化メチレン(50mL)を用いて希釈し、そしてろ過した。該固体は、t−BuDNAZのHBr塩として同定した。該塩化メチレンのろ液を、水(2×20mL部)を用いて洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ろ過し、そして減圧下で蒸発させた。得られた固体をエチルエーテル(3×20mL部)を用いて洗浄し、そして真空下で乾燥して白色固体のBrADNAZ(1.24g(ブロモアセチルブロミド基準で75.2%))を得た。1H NMR (CDCl3): δ 3.76 (s, 2H), 4.88 (br s, 2H), 5.14 (br s, 2H); 13C NMR (CDCl3): δ 165.2, 105.0, 59.72, 57.79, 23.90。元素分析(CBrNとして計算)計算値:%C 22.41、%H 2.26、%N 15.68;実測値:%C 22.61、%H 2.36、%N 15.58。HPLC/MS C−8逆相カラム(アセトニトリル/水の移動相を使用)。m/e 266.95 (100%), 268.95 (98.3%)。FT-IR 3014.24 (弱い), 1677.66, 1586.30, 1567.65, 1445.55 (NO2), 1367.80, 1338.00, 1251.27 cm−1
【0119】
(実施例6)
N−(クロロアセチル)−3,3−ジニトロアゼチジン(ClADNAZ)の製造
25mLの三ツ口丸底フラスコを、塩化メチレン(7mL)およびt−BuDNAZ(2.50g(12.3mmol))で満たした。窒素下、三フッ化ホウ素エーテラート(0.16mL(1.23mmol))を加えた。周囲温度で5分間撹拌後に、クロロアセチルクロリド(0.54mL(6.15mmol))を加えた。該溶液を50〜60℃の間で2時間加熱した。該暗くなった反応混合物を周囲温度まで冷却し、塩化メチレン(50mL)を用いて希釈し、そしてろ過した。該固体を、t−BuDNAZのHBr塩として同定した。該塩化メチレンろ液を、水(2×20mL部)を用いて洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ろ過し、そして減圧下で蒸発させた。得られた固体をエチルエーテル(3×20mL部)を用いて洗浄し、そして真空下で乾燥して白色固体(mp:130〜132℃)(60%収率)で得た。元素分析(CClNとして計算)実測値:C: 26.94%, H: 2.53%, N:17.77%; 計算値:C: 26.86%, H: 2.71% N: 18.79%。FTIR: 2979(弱い), 1690.01, 1577.57, 1438.91(NO2), 1368.21, 1338.99, 1286.21 cm−11H NMR: (DMSO-d6), δ 5.09(2H), 4.81(2H), 3.77(2H)。13C NMR: (DMSO-d6), δ 168.58, 106.98, 60.39, 50.38。HPLC:>98%純度。安全性データ: ABL衝撃耐性(Impact): 80 cm; ABL摩擦耐性(Friction): 800@ 8 ft/秒;50%での非拘束TC ESD: 1.10ジュール(バルク試験での物体燃焼)。DSC開始: 259.56℃。
【0120】
(実施例7)
N−ヨードアセチル−3,3−ジニトロアゼチジン(IADNAZ)の製造
100mLの三ツ口丸底フラスコを、窒素下で無水アセトン(40mL)およびBrADNAZ(2.01g)で満たした。KCO(1.4g)を加え、続いてヨウ化ナトリウム(1.2g)を加えた。該反応混合物を終夜還流し、そしてプロトンNMRによって追跡した。該暗くなった溶液を塩化メチレンを用いて希釈し、該固体をろ過し、そして該ろ液をジクロロメタン(2×30mL部)および水を用いて抽出した。該有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、そして真空下で濃縮した。該固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサンを使用)によって精製して、白色固体(mp 97〜100℃)(80%収率)で得た。元素分析(CINとして計算):実測値:C: 19.67%, H: 1.80%, N: 12.70%;計算値:C: 19.06%, H: 1.92%, N: 13.24%。FTIR: 2980 (弱い), 1667.44, 1568.49, 1439.74 (NO2), 1373.69, 1335.60, 1305.35 cm−11H NMR: (DMSO-d6), δ 5.09(2H), 4.81(2H), 3.77(2H)。13C NMR: (DMSO-d6), δ 168.58, 106.98, 60.39, 50.38。HPLC:>98%純度。安全性データ: ABL衝撃耐性: 80 cm; ABL摩擦耐性: 800@ 8 ft/秒; 50%での非拘束TC ESD 7.30ジュール(バルク試験での物体燃焼); SBAT開始: 286 oF。DSC開始: 253.52℃。
【0121】
(実施例8)
N−アジドアセチル−3,3−ジニトロアゼチジン(AzADNAZ)の製造
100mLの三ツ口丸底フラスコを、窒素下で無水アセトン(40mL)およびBrADNAZ(2.01g)で満たした。KCO(1.05g)を加え、続いてアジ化ナトリウム(0.4g)を加えた。該反応混合物を終夜還流し、そしてプロトンNMRによって追跡した。該暗くなった溶液を塩化メチレンを用いて希釈し、該固体をろ過した。該ろ液をジクロロメタン(2×30mL部)および水を用いて抽出した。該有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、そして真空下で濃縮した。該固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサンを使用)によって精製して、白色固体(mp 103〜104℃)(80%収率)で得た。元素分析(Cとして計算)実測値:C: 26.84%, H: 2.70%, N: 35.49%;計算値:C: 26.09%, H: 2.63%, N: 34.76%。FTIR: 2981.60 (弱い), 2109.15 (強い), 1678.88, 1598.80, 1571.47, 1463.18 (NO2), 1446.89, 1332.20, 1275.28 cm−11H NMR: (DMSO-d6), δ 5.08(2H), 4.83(2H), 4.02(2H)。13C NMR: (DMSO-d6), δ 169.098, 107.74, 59.84, 58.16。HPLC:>99.7%純度。安全性データ: ABL衝撃耐性: 64 cm; ABL摩擦耐性: 800@ 8 ft/秒; 50%での非拘束TC ESD <0.5ジュール(バルク試験での物体燃焼); SBAT開始: 314oF。
【0122】
(実施例9)
N−スクシニル−3,3−ジニトロアゼチジンの製造
100mLの三ツ口丸底フラスコを、窒素下で無水ジクロロメタン(30mL)およびtert−ブチル−3,3−ジニトロアゼチジン(t−BDNAZ)(5.0g)で満たした。塩化スクシニル(4.5g)を加え、続いて三フッ化ホウ素エーテラート(0.5mL)を加えた。該反応混合物を50℃まで加熱し、そしてプロトンNMRによって追跡した。該反応混合物を氷中にゆっくりと注ぎ、次いでこれをろ過した。該褐色固体をジクロロメタン(3×20mL部)を用いて洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、そして真空下で濃縮した。該固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサンを使用)によって精製して、淡白色固体(mp 190〜192℃)(20%収率)で得た。元素分析(Cとして計算)実測値:C: 33.93%, H: 3.63%, N: 19%;計算値:C: 34.02%; H: 3.67%; N: 17.00%。FTIR: 3004.44(弱い), 1644.78(強い), 1558.45, 1472.60, 1450.06, 1423.01, 1369.90, 1338.05, 1310.05, 1260.99 cm−11H NMR: (DMSO-d6), δ 5.27(2H), 4.85(2H), 2.03(4H)。HPLC:>97%。安全性データ: ABL衝撃耐性: 64 cm; ABL摩擦耐性: 800@ 8 ft/秒; 50%での非拘束TC ESD<0.26ジュール(8ジュールでの物体燃焼なし)。DSC開始: 253.86℃。
【0123】
(実施例10)
N−フマリル−3,3−ジニトロアゼチジンの製造
100mLの三ツ口丸底フラスコを、窒素下でtert−ブチル−3,3−ジニトロアゼチジン(t−BDNAZ)(8.69g)で満たし、そして塩化フマリル(5mL)を加え、続いて三フッ化ホウ素エーテラート(0.5mL)を0℃で2時間かけて加えた。該反応混合物をNMRによって追跡した。該濃厚なペーストをメタノールを用いて洗浄し、次いでこのものを氷水中にそそいだ。該固体をろ過し、水洗(200mL)し、そして真空下で乾燥して、淡黄色固体(20%収率(mp: 240℃))を得た。元素分析(Cとして計算)実測値:C: 34.9%, H: 3.2%, N: 19.6%;計算値:C: 34.3%; H: 2.9%; N: 17.1%。FTIR: 3082.73(弱い), 1664.79(強い), 1577.69, 1430.19 (NO2), 1366.92, 1274.30, 1231.24, 1213.45 cm−11H NMR: (DMSO-d6), δ 5.88(2H), 5.29(2H), 4.90(2H)。HPLC:>96%。安全性データ: ABL摩擦耐性: 800@ 8 ft/秒, 50%での非拘束TC ESD: 1.05ジュール(バルク試験での物体燃焼)。
【0124】
(実施例11)
N−トリフルオロメチル−3,3−ジニトロアゼチジンの製造
100mLの三ツ口丸底フラスコを、窒素下でtert−ブチル−3,3−ジニトロアゼチジン(t−BDNAZ)(2.28g)で満たした。無水トリフルオロ酢酸(10mL)を加え、続いて三フッ化ホウ素エーテラート(0.3mL)を加えた。該反応混合物を50℃まで加熱し、そしてNMRによって追跡した。該反応液を真空下で濃縮した。該残留油状物を水洗した。該残留油状物を熱ヘキサンに加えて、白色針状晶(mp:70〜71℃)(460mg)を得た。元素分析(Cとして計算)実測値:C: H:, N;計算値:C: 24.70%, H: 1.66%, N: 17.29%。FTIR: 2991 (弱い), 1716, 1683.96, 1591.37, 1576.43 (NO2), 1165.92, 1134.12 cm−11H NMR: (DMSO-d6), δ 5.39(2H), 5.04(2H)。HPLC:>96%純度。安全性データ: ABL摩擦耐性: 800@ 8ft/秒; 50%での非拘束TC ESD: >8ジュール。DSC開始: 240.75℃。
【0125】
最後に、本発明を履行する別途の方法が存在することに注意すべきである。従って、本発明の実施態様は、例示であって制限するものではないと解釈されるべきであり、そして本発明は、本明細書中に示す詳細に制限されるべきではなく、特許請求の範囲の範囲内およびその等価物内で改変することができる。本明細書中に引用する全ての刊行物および特許は、引用によって取り込む。
【0126】
本明細書中に引用する全ての引用文献および刊行物は、引用によってそれらの全てを取り込む。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、ABDNAZの存在下での腫瘍細胞中でのROS産生の用量およびセルライン依存性を示す図面である。
【図2】図2は、照射されたABDNAZの存在下でのHT29腫瘍細胞中でのROS産生を示す図面である。
【図3】図3は、照射されたABDNAZの存在下でのSCC VII腫瘍細胞中でのROS産生を示す図面である。
【図4】図4は、ABDNAZによる、bcl−2およびベクターでトランスフェクトされたHL60細胞の産生の抑制を示す図面である。
【図5】図5は、ABDNAZによる、bcl−2およびベクターでトランスフェクトされたHL60細胞のアポトーシスの誘発を示す図面である。
【図6】図6は、ABDNAZに曝露後の、HL60ネオ細胞のアポトーシスおよび細胞周期プロファイルを示す図面である。
【図7】図7は、ABDNAZに曝露後の、HL60 bcl−2細胞のアポトーシスおよび細胞周期プロファイルを示す図面である。
【図8】図8は、HL60細胞中でのbcl−2発現の抑制を示す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I):
【化1】

[式中、
、R、R、およびRは各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ハロ、ヒドロキシ、またはニトロであり;
およびRは各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ハロ、ヒドロキシ、またはニトロであり;
oは、0、1、2、3、または4であり;
は、置換アルキル、置換アリールアルキル、置換ヘテロアルキル、置換ヘテロアリール、置換ヘテロアリールアルキル、置換アシル、置換アルコキシカルボニル、置換ホスホニル、または置換スルホニルであり;
但し、R、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つはニトロである]
で示される化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項2】
、R、R、R、R、およびRの少なくとも2つはニトロである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
、R、R、およびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
は、置換アルキル、置換アシル、置換アルコキシカルボニル、置換ホスホニル、または置換スルホニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
は、1個以上のハロゲン、−CF、または−OS(O)(ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである)で置換された、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、ホスホニル、またはスルホニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
およびRはニトロである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
、R、R、およびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRは、置換アルキル、置換アシル、置換アルコキシカルボニル、置換ホスホニル、または置換スルホニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、およびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRは、1個以上のハロゲン、−CF、または−OS(O)(ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである)で置換された、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、ホスホニル、またはスルホニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
およびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRは、置換アルキル、置換アシル、置換アルコキシカルボニル、置換ホスホニル、または置換スルホニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
およびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、そしてRは、1個以上のハロゲン、−CF、または−OS(O)(ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである)で置換された、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、ホスホニル、またはスルホニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
oは1である、請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
およびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、RおよびRはニトロであり、RおよびRは各々独立して、水素、アルキル、またはニトロであり、Rは、1個以上のハロゲンまたは−CFで置換された、アルキルまたはアシルであり、そしてoは1である、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
およびRは水素であり、RおよびRはニトロであり、RおよびRは水素であり、Rは、1個以上のハロゲンまたは−CFで置換された、アルキルまたはアシルであり、そしてoは1である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
構造式:
【化2】

[式中、
各Xは独立して、−F、−Cl、−Br、−I、または−OS(O)(ここで、Rは、メチル、CF、フェニル、またはトリルであり、そして各pは独立して1、2、3、または4である)である]
を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
構造式:
【化3】

[式中、
各Xは独立して、−F、−Cl、−Br、−I、または−OS(O)(ここで、Rは、メチル、−CF、フェニル、またはトリルである)である]
を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
請求項1記載の化合物および医薬的に許容し得るビヒクルを含有する、医薬組成物。
【請求項17】
治療または予防が必要な患者に、治療学的に有効な量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、患者における癌を治療または予防するための方法。
【請求項18】
癌は、乳癌、腎臓癌、脳腫瘍、結腸癌、結腸直腸癌、前立腺癌、または肺癌である、請求項16または17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
処置が必要な患者に、治療学的に有効な量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、還元性の細胞内環境を用いて患者における腫瘍細胞を処置するための方法。
【請求項20】
治療または予防が必要な患者に、治療学的に有効な量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、患者における固形腫瘍を治療または予防するための方法。
【請求項21】
治療または予防が必要な患者に、治療学的に有効な量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、患者における白血病およびリンパ腫を治療または予防するための方法。
【請求項22】
治療または予防が必要な患者に、治療学的に有効な量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、患者における炎症を治療または予防するための方法。
【請求項23】
治療または予防が必要な患者に、治療学的に有効な量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、患者における自己免疫疾患を治療または予防するための方法。
【請求項24】
治療または予防が必要な患者に、治療学的に有効な量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、患者における循環器系疾患を治療または予防するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−504684(P2009−504684A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526299(P2008−526299)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/031917
【国際公開番号】WO2007/022225
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(508044335)アライアント・テックシステムズ・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Alliant Techsystems Inc.
【Fターム(参考)】