説明

環状構造を有するスルホニウム塩の製造方法

【課題】工程数が少なく、且つ簡単な操作でスルホニウム塩を製造することが可能な、スルホニウム塩の新規製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(7):


で表されるスルホニウム塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料、コーティング剤、光硬化型接着剤、半導体のフォトリソグラフィー等の分野で使用される光酸発生剤に有用なスルホニウム塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光酸発生剤は、光照射により酸を発生させ、エポキシモノマー、オキセタンモノマー等をカチオン重合させることができるため、塗料、コーティング剤、光硬化型接着剤等の分野に利用されている。また、半導体のフォトリソグラフィー分野では、露光により光酸発生剤から発生した酸の触媒作用により、レジスト樹脂を不溶化させている保護基を脱離させ、アルカリ現像液に可溶となる化学増幅型レジストが使用されている。
【0003】
光酸発生剤の分子構造は、照射光を吸収するカチオン部位と、酸の発生源となるアニオン部位とから構成されている。光酸発生剤の代表例としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。スルホニウム塩はヨードニウム塩と比べて、保存安定性が良く、吸収波長がより長波長側にあり、様々な構造を有するスルホニウム塩が開発されてきた。スルホニウム塩のアニオン部位としては、SbF6-、AsF6-、BF4-、B(C654-、PF6-等が使用されているが、Sbは劇物であり、Asは毒物であるため、これらの金属元素を含有するオニウム塩は安全性に問題があり、その用途は制限される。また、半導体のフォトリソグラフィー分野において、金属元素を含むアニオン部位(例えばSbF6-及びAsF6-)、リン元素を含むアニオン部位(例えばPF6-)、ホウ素元素を含むアニオン部位(例えばBF4-及びB(C654-)等を有する光酸発生剤は化学増幅型レジスト用途に使用することはできない。なぜならば、上記のような元素は不純物となり、トランジスター性能に大きな影響を及ぼすからである(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
上記課題を解決する光酸発生剤として、例えば、カチオン部位がアリールスルホニウムからなり、アニオン部位がフッ素含有スルホンイミデートから成るスルホニウム塩が挙げられる。
スルホニウム塩のカチオン部位としてはトリフェニルスルホニウム等のアリールスルホニウムが使用されているが、これらのアリールスルホニウムは光の吸収波長が320nm付近までしかなく、LEDランプやi線ステッパー等で、350nm以上の波長の光で硬化を行う場合には感度が著しく低下する。
上記問題を解決する光酸発生剤として、例えば、カチオン部位が下記構造(8):
【化1】

からなる環状構造をもつスルホニウム塩が挙げられる。
【0005】
上記の環状構造(8)をもつスルホニウム塩は、以下のスキーム1:
【化2】

スキーム1中、M’はアルカリ金属を表し、Rf’’及びRf’’’はフッ素残基を表す。}に示すように以下の2つの工程から合成される(例えば、特許文献4を参照):
第1工程:環状スルホキシド化合物とアリール化合物から、酸と脱水剤の存在下スルホン酸スルホニウムを合成する。
第2工程:スルホン酸スルホニウムとスルホンイミド塩とを反応させて、スルホニウム塩を合成する。
【0006】
しかしながら、上記製造法においては、スルホキシド化合物からスルホニウム塩を得るまで2工程必要であり、さらに各工程において反応終了後の繁雑な処理作業が必要である。また、不純物として微量のフッ素置換スルホン酸イオンの残存の可能性があり、上記の方法で得られた光酸発生剤をエポキシ化合物やオキセタン化合物の重合に使用した場合、フッ素置換スルホン酸イオンの求核性によって重合反応が阻害され、重合活性が低下する可能性がある。
【0007】
このように、従来のスルホニウム塩の製造方法には繁雑な操作が伴い、不純物残留の可能性があるため、工程数が少なく、且つ簡単な操作で不純物の残存量の少ないスルホニウム塩の製造が可能な方法の開発が強く望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−89777号公報
【特許文献2】特表2001−512714号公報
【特許文献3】特開2005−275153号公報
【特許文献4】特開2007−114719号公報
【特許文献5】特開2008−222657号公報
【特許文献6】特開2001−288193号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】上田充監修、ラドテック研究会編集「UV・EB硬化技術の最新動向」第2章材料開発の動向 3.光重合開始剤 シーエムシー出版(2006年)
【非特許文献2】Journal of The Electrochemical Society 151巻 A1363頁 (2004年)
【非特許文献3】Journal of Fluorine Chemistry 125巻 243頁 (2004年)
【非特許文献4】Inorganic Chemisty 23巻 3720頁 (1984年)
【非特許文献5】Inorganic Chemisty 32巻 5007頁 (1993年)
【非特許文献6】Journal of Fluorine Chemistry 125巻 243頁 (2004年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、工程数が少なく、且つ簡単な操作でスルホニウム塩を製造することが可能な、スルホニウム塩の新規な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、環状スルホキシド化合物からスルホニウム塩を製造する方法について鋭意検討し、実験を重ねた結果、環状スルホキシド化合物と芳香族化合物とスルホンイミドとを脱水剤の存在下で接触させ及び混合することにより、1工程でスルホニウム塩を収率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0012】
[1]下記一般式(1):
【化3】

{式中、Xは、単結合、カルボニル基、アルキレン基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基又はジスルフィド基であり、mは、0〜4の整数であり、nは、0〜4の整数であり、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキル基、又は下記一般式(2):
【化4】

(式中、R3は、ハロゲン原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜8個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてpは、0〜5の整数である。)で表されるアリール基である。}で表されるスルホキシド化合物(A)と、下記一般式(3):
【化5】

{式中、R4は、ハロゲン原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜8個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてqは、0〜5の整数である。}又は下記一般式(4):
【化6】

{式中、R5、及びR6は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基又は炭素数1〜8個のアルキルチオ基であり、そしてr、及びsは、各々独立に、1〜3の整数である。}で表される芳香族化合物(B)と、下記一般式(5):
【化7】

{式中、Rf、及びRf’は、各々独立に、F、C、若しくはC2a+1−b(ここで、aは、1〜8の整数であり、そしてbは、0又は1である。)である。}又は下記一般式(6):
【化8】

{式中、nは、1〜5の整数である。}で表されるスルホンイミド(C)とを、脱水剤の存在下、接触・混合させる工程を含む、下記一般式(7):
【化9】

{式中、R、及びRは、上記一般式(1)において定義したものと同じであり、Arは、上記一般式(3)又は上記一般式(4)で表される芳香族基であり、そしてRf、及びRf’は、上記一般式(5)において定義したものと同じである。}で表されるスルホニウム塩の製造方法。
【0013】
[2]前記脱水剤が五酸化リンである、前記[1]に記載の製造方法。
【0014】
[3]前記[1]又は[2]に記載の製造方法で得られたスルホニウム塩を光酸発生剤として使用する方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、環状スルホキシド化合物からスルホニウム塩を1工程で収率良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に記述する。
本発明は、下記一般式(1):
【化10】

{式中、Xは、単結合、カルボニル基、アルキレン基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基又はジスルフィド基であり、mは、0〜4の整数であり、nは、0〜4の整数であり、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキル基、又は下記一般式(2):
【化11】

(式中、R3は、ハロゲン原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜8個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてpは、0〜5の整数である。)で表されるアリール基である。}で表されるスルホキシド化合物(A)と、下記一般式(3):
【化12】

{式中、R4は、ハロゲン原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜8個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてqは、0〜5の整数である。}又は下記一般式(4):
【化13】

{式中、R5、及びR6は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基又は炭素数1〜8個のアルキルチオ基であり、そしてr、及びsは、各々独立に、1〜3の整数である。}で表される芳香族化合物(B)と、下記一般式(5):
【化14】

{式中、Rf、及びRf’は、各々独立に、F、C、若しくはC2a+1−b(ここで、aは、1〜8の整数であり、そしてbは、0又は1である。)である。}又は下記一般式(6):
【化15】

{式中、nは、1〜5の整数である。}で表されるスルホンイミド(C)とを、脱水剤の存在下、接触・混合させる工程を含む、下記一般式(7):
【化16】

{式中、R、及びRは、上記一般式(1)において定義したものと同じであり、Arは、上記一般式(3)又は上記一般式(4)で表される芳香族基であり、そしてRf、及びRf’は、上記一般式(5)において定義したものと同じである。}で表されるスルホニウム塩の製造方法を提供する。
【0017】
本発明の方法によれば、下記スキーム2:
【化17】

に示すように、上記一般式(7)で表されるスルホニウム塩を1工程で収率良く製造でき、フッ素置換スルホン酸イオン等の不純物の残存量を低く抑えることができる。
【0018】
スルホキシド化合物(A)
本発明で使用するスルホキシド化合物(A)は、上記一般式(1)で表される環状スルホキシド化合物である。上記一般式(1)中のXは、光酸発生剤の安定性、光酸発生剤の溶媒やモノマーへの溶解性の観点から、単結合、カルボニル基、アルキレン基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基又はジスルフィド基であり、光酸発生剤の安定性、光酸発生剤の溶媒やモノマーへの溶解性の観点から、mは、0〜4の整数であり、nは、0〜4の整数であり、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキル基、又は上記一般式(2)で表される置換若しくは非置換のアリール基である。
【0019】
上記一般式(2)においてR3は置換基を表している。光酸発生剤の安定性、光の吸収の長波長化、及び露光時の分解性の観点から、一般式(2)中、R3は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜8個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてpは、0〜5の整数である。
【0020】
上記一般式(1)で表されるスルホキシド化合物の入手性、及び合成時のハンドリング性等の理由から、上記一般式(1)において、Xは、好ましくは、単結合、カルボニル基、スルホニル基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基又は炭素数1〜4のアルキレン基であり、より好ましくは、単結合、カルボニル基、スルホニル基又は炭素数1〜2のアルキレン基であり、そして特に好ましくは、単結合、カルボニル基、スルホニル基又は炭素数1のアルキレン基である。
【0021】
好ましいXを有する上記一般式(1)で表されるスルホキシド化合物(A)の構造としては、以下のものが挙げられる:
・Xが単結合
【化18】

【0022】
・Xがカルボニル基
【化19】

【0023】
・Xがスルホニル基
【化20】

【0024】
・Xがエーテル基
【化21】

【0025】
・Xがチオエーテル基
【化22】

【0026】
・Xがジスルフィド基
【化23】

【0027】
・Xが炭素数1〜4のアルキレン基
【化24】

【0028】
上記一般式(1)で表されるスルホキシド化合物の入手性、及び合成時のハンドリング性等の観点から、上記一般式(1)において、R1及びR2は、好ましくは、各々独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜8個のアルキル基、又は上記一般式(2)で表される置換若しくは非置換のアリール基{式中、R3は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜4個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてpは、0〜5である。}である。
【0029】
1及びR2は、より好ましくは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、又は上記一般式(2)で表される置換若しくは非置換のアリール基{式中、R3は、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜2個のアルキル基、炭素数1〜2個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜2個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてpは、0〜5である。}である。
【0030】
1及びR2は、特に好ましくは、各々独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又は上記一般式(2)で表される置換若しくは非置換のアリール基{式中、R3は、各々独立に、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であり、そしてpは、0〜5である。}である。
【0031】
一般式(2)中のpが0である場合、一般式(2)で表されるアリール基は非置換アリール基であり、pが1〜5である場合、一般式(2)で表されるアリール基は置換アリール基である。pは、光酸発生剤の安定性、光の吸収の長波長化、及び露光時の分解性の観点から、好ましくは0〜3であり、より好ましくは0〜2である。
【0032】
上記一般式(1)中のR1及びR2の好ましい具体例としては、以下の構造をもつものが挙げられる:
・水素原子
−H
・水酸基
−OH
・炭素数1〜8個のアルキル基
−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−CH(CH32
−CH2CH2CH2CH3、−CH2CH(CH32、−C(CH33
−(CH24CH3、−(CH25CH3、−(CH26CH3
−(CH27CH3
【0033】
・pが0であるもの
【化25】

【0034】
・R3としてハロゲン原子を有するもの
【化26】

【0035】
・R3として炭素数1〜8個のアルキル基を有するもの
【化27】

【0036】
・R3として炭素数1〜8個のアルコキシ基を有するもの
【化28】

【0037】
・R3としてフェノキシ基を有するもの
【化29】

【0038】
・R3として炭素数1〜8個のアルキルチオ基を有するもの
【化30】

【0039】
・R3としてフェニルチオ基を有するもの
【化31】

【0040】
本発明に使用するスルホキシド化合物(A)の好ましい化合物例としては、下記化合物:
【化32】

が挙げられる。
【0041】
芳香族化合物(B)
本発明で使用する芳香族化合物(B)は、上記一般式(3)又は上記一般式(4)で表される芳香族化合物である。
上記一般式(3)においてR4は置換基を表している。光酸発生剤の安定性、光の吸収の長波長化、及び露光時の分解性の観点から、一般式(3)において、R4は、ハロゲン原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜8個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてqは、0〜5の整数である。
【0042】
上記一般式(3)で表される芳香族化合物の入手性、及び合成時のハンドリング性等の理由から、好ましくは、R4は、ハロゲン原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜4個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、かつ、qは、0〜5の整数であり、より好ましくは、R4は、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜2個のアルキル基、炭素数1〜2個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜2個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、かつ、qは、0〜5の整数であり、さらに好ましくは、R4は、塩素原子、メチル基、メトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基又はフェニルチオ基でああり、かつ、qは、0〜5の整数である。
【0043】
上記一般式(3)で表される芳香族化合物の具体例としては、以下の構造をもつものが挙げられる。
・qが0であるもの
【化33】

【0044】
・R4としてハロゲン原子を有するもの
【化34】

【0045】
・R4として炭素数1〜8個のアルキル基を有するもの
【化35】

【0046】
・R4として炭素数1〜8個のアルコキシ基を有するもの
【化36】

【0047】
・R4としてフェノキシ基を有するもの
【化37】

【0048】
・R4として炭素数1〜8個のアルキルチオ基を有するもの
【化38】

【0049】
・R4としてフェニルチオ基を有するもの
【化39】

【0050】
上記一般式(4)において、R5及びR6は、光酸発生剤の安定性、光の吸収の長波長化、及び露光時の分解性の観点から、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基又は炭素数1〜8個のアルキルチオ基であり、そしてr及びsは、各々独立に、1〜3の整数である。
【0051】
上記一般式(4)で表される芳香族化合物の入手性、及び合成時のハンドリング性等の観点から、好ましくは、R5及びR6は、各々独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基又は炭素数1〜4個のアルキルチオ基であり、かつ、r及びsは、各々独立に、1〜3の整数であり、より好ましくは、R5及びR6は、各々独立に、フッ素原子、塩素原子、水酸基、炭素数1〜2個のアルキル基、炭素数1〜2個のアルコキシ基又は炭素数1〜2個のアルキルチオ基であり、かつ、r及びsは、各々独立に、1〜3の整数であり、特に好ましくは、R5及びR6は、各々独立に、塩素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基又はメチルチオ基であり、かつ、r及びsは、各々独立に、1〜3の整数である。
【0052】
上記一般式(4)で表される芳香族化合物の具体例としては、以下の構造をもつものが例示される:
【化40】

【0053】
スルホンイミド(C)
本発明で使用する上記一般式(5)で表されるスルホンイミド(C)のRf、及びRf’は、各々独立に、F、C又はC2a+1−b(式中、aは、1〜8の整数であり、そしてbは、0又はまたは1である。)である。
あるいはスルホンイミド(C)は、下記一般式(6):
【化41】

{式中、nは、1〜5の整数である。}
で表される構造をもつ。
【0054】
上記一般式(5)で表されるスルホンイミド(C)の具体例としては、以下の:
HN(SOF)
HN(SOCF)SO
HN(SOCF
HN(SOCFCF)SO
HN(SOCFCF)SOCF
HN(SOCFCF
HN[SO(CFCF]SO
HN[SO(CFCF]SOCF
HN[SO(CFCF]SOCFCF
HN[SO(CFCF
【0055】
HN[SO(CFCF]SO
HN[SO(CFCF]SOCF
HN[SO(CFCF]SOCFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO
HN[SO(CFCF]SOCF
HN[SO(CFCF]SOCFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF
【0056】
HN[SO(CFCF]SO
HN[SO(CFCF]SOCF
HN[SO(CFCF]SOCFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO
HN[SO(CFCF]SOCF
HN[SO(CFCF]SOCFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF
【0057】
HN[SO(CFCF]SO
HN[SO(CFCF]SOCF
HN[SO(CFCF]SOCFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF]SO(CFCF
HN[SO(CFCF
HN(SOCFCFH)SO
HN(SOCFCFH)SOCF
HN(SOCFCFH)SOCF
HN(SOCFCFH)SOCFCF
HN(SOCFCFH)
【0058】
HN(SOCFCFH)SOCFHCF
HN(SOCFCFH)SO(CFCF
HN(SOCFCFH)SO(CFCF
HN(SOCFCFH)SO(CFCF
HN(SOCFCFH)SO(CFCF
HN(SOCFCFH)SO(CFCF
HN(SOCFCFH)SO(CFCF
HN(SOCFHCF)SO
HN(SOCFHCF)SOCF
HN(SOCFHCF)SOCF
HN(SOCFHCF)SOCFCF
HN(SOCFHCF)SOCFCF
HN(SOCFHCF
【0059】
HN(SOCFHCF)SO(CFCF
HN(SOCFHCF)SO(CFCF
HN(SOCFHCF)SO(CFCF
HN(SOCFHCF)SO(CFCF
HN(SOCFHCF)SO(CFCF
HN(SOCFHCF)SO(CFCF
【0060】
【化42】

が例示される。
【0061】
後述するように、上記一般式(5)は、スルホニルハライドを出発原料として合成されるが、該スルホニルハライドの入手性、及びスルホンイミド合成時のハンドリング等の観点から、上記一般式(5)において、Rf、及びRf’は、好ましくは、各々独立に、F、C又はC2a+1−b(式中、aは、1〜6の整数でり、そしてbは、0又は1である。)であり、より好ましくは、Rf、及びRf’は、各々独立に、F、C又はC2a+1−b(式中、aは、1〜4の整数であり、そしてbは、0又は1である。)であり、さらに好ましくは、Rf、及びRf’は、各々独立に、F、C又はC2a+1−b(式中、aは、1〜4の整数であり、そしてbは、0である。)であり、そして上記一般式(6)において、nは、好ましくは、1〜4の整数であり、より好ましくは、2〜4の整数であり、さらに好ましくは、2〜3の整数である。
【0062】
なお、上記一般式(5)で表されるスルホンイミド(C)の前駆体であるスルホンイミド塩の製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(4)が知られている:
(1)ペルフルオロアルキルスルホニルフルオリドとトリメチルシリル基含有ペルフルオロアルキルスルホンアミドのアルカリ金属塩を反応させる方法(例えば、非特許文献4〜5参照)
RfSO2F + Rf’SO2N(SiMe3)Na → RfSO2N(Na)SO2Rf’ + Me3SiF
【0063】
(2)ペルフルオロアルキルスルホニルハライドとペルフルオロアルキルスルホンアミドをアルカリ金属フッ化物の存在下、反応させる方法(例えば、特許文献6参照)
RfSO2X + Rf’SO2NH2 + 4MF → RfSO2N(M)SO2Rf’ + 2MFHF + MX
【0064】
(3)含フッ素アルキルスルホニルハライドと含フッ素アルキルスルホンアミドを炭酸塩の存在下、反応させる方法(例えば、特許文献5参照)
RfSO2X + Rf’SO2NH2 + M2CO3 → RfSO2N(M)SO2Rf’ + MX + CO2 + H2O
【0065】
(4)ペルフルオロアルキルジスルホニルハライドとアンモニアを反応させる方法(例えば、非特許文献6参照)
【化43】

【0066】
上記一般式(5)で表されるスルホンイミド(C)の前駆体であるスルホンイミド塩の製造方法は特に限定されない。
これらの製造方法で得られたスルホンイミド塩を、例えば、濃硫酸、陽イオン交換膜等により、スルホンイミドに変換した後、蒸留操作等により、高純度のスルホンイミドを得ることができる。
【0067】
上記一般式(7)において、R1及びR2は、上記一般式(1)で定義したものと同じであり、Arは、上記一般式(3)又は上記一般式(4)で表される芳香族化合物(B)から水素を1原子除いた芳香族基を表し、そしてRf、及びRf’は、上記一般式(5)で定義したものと同じである。
本発明の製造方法により製造される、一般式(7)で表されるスルホニウム塩の好ましい化合物例としては、実施例1〜4で製造された化合物が挙げられる。
【0068】
前述のスキーム2に示したように、本発明のスルホニウム塩の製造方法は脱水縮合反応を利用したものである。よって、反応系内に水分が存在すると脱水縮合反応が遅くなり、上記一般式(7)で表されるスルホニウム塩の収率が低下する。反応により生成する水分を効率よく除去するため、脱水剤が必要である。脱水剤としては、五酸化リン、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機化合物、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、無水フタル酸等の有機化合物等が挙げられるが、反応時のハンドリング性の良さの観点から、より好ましい脱水剤は、五酸化リン、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水酢酸又は無水トリフルオロ酢酸であり、特に好ましくは五酸化リンである。これらの脱水剤は単独でも2種以上を併用しても差し支えない。
【0069】
芳香族化合物(B)及び脱水剤の使用量としては、スルホキシド化合物(A)1モルに対して、それぞれ、0.95モル〜10モルが好ましく、0.98モル〜5モルがより好ましく、1モル〜2モルがさらに好ましい。スルホキシド化合物(A)1モルに対する芳香族化合物(B)の使用量は、過剰のスルホキシド塩が残存することによる単離性の悪化を避ける観点から、0.95モル以上であることが好ましく、一方、大過剰の芳香族化合物が残存することによる単離性の悪化を避ける観点から、10モル以下であることが好ましい。スルホキシド化合物(A)1モルに対する脱水剤の使用量は、発生する水を確実に脱水させる観点から、0.95モル以上であることが好ましく、一方、大過剰の脱水剤が系中に残存することによるハンドリング性の悪化を避ける観点から、10モル以下であることが好ましい。
【0070】
スルホンイミド(C)の使用量は、スルホキシド化合物(A)1モルに対して、好ましくは0.95モル〜10モルであり、より好ましくは0.98モル〜5モルであり、さらに好ましくは1モル〜2モルである。スルホキシド化合物(A)1モルに対するスルホンイミド(C)の使用量は、大過剰のスルホキシド化合物が残存することによる単離性の悪化を避ける観点から、0.95モル以上であることが好ましく、一方、大過剰のスルホンイミドが残存することによるハンドリング性の悪化を避ける観点から、10モル以下であることが好ましい。
【0071】
本発明のスルホニウム塩の製造方法における脱水縮合反応は、反応溶媒の存在下で行うことができる。使用する反応溶媒は、反応物質に対して不活性な溶媒であればよい。反応溶媒の具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。これらの溶媒は単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0072】
上記脱水縮合反応において、反応温度は、通常、−20℃〜100℃であるが、好ましくは−10℃〜80℃であり、より好ましくは0℃〜50℃であり、さらに好ましくは10℃〜30℃である。また反応時間は、通常、0.01時間〜60時間であるが、好ましくは0.1時間〜48時間、より好ましくは0.2時間〜36時間、さらに好ましくは0.5時間〜24時間である。
【0073】
反応終了後、例えば、反応混合物中の溶媒を減圧留去後、残渣に、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル等の有機溶媒と水を加えて、有機層と水層とに分液し、さらに水層を新しい該有機溶媒で抽出する操作を2〜3回繰り返す。分液された有機層と抽出に用いた有機溶媒とを混合したものから有機溶媒を減圧留去すると、上記一般式(7)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。得られたスルホニウム塩は、従来公知の精製方法、例えば、晶析、カラムクロマトグラフィー等により精製してもよい。
【0074】
前記したスキーム1に示すように、カチオン部位が環状構造を有するアリールスルホニウムであり、アニオン部位がフッ素含有スルホンイミデートであるスルホニウム塩を製造する場合、従来の方法では、スルホキシド化合物からスルホニウム塩を得るために少なくとも2工程必要であった。これに反し、前記したスキーム2に示すように、本発明のスルホニウム塩の製造方法によれば、スルホキシド化合物から1工程でスルホニウム塩を収率良く得ることが可能となり、本発明は工業的に極めて有用であることが分かる。
【0075】
本発明の製造方法によって得られるスルホニウム塩は、各種重合性モノマーの重合反応を進行させるための光酸発生剤として使用できる。重合性モノマーとしては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。重合性モノマーがエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等である場合、本発明に係るスルホニウム塩を用いることにより得られる、350nm以上の波長の光でも硬化反応が進行するという効果が顕著である。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の合成例及び実施例においては、以下の分析方法を使用した。
(1)1H NMR及び19F NMRによる分子構造解析
測定装置:JNM−GSX400G型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)
溶媒:重クロロホルム、
基準物質:テトラメチルシラン(1H NMR)、フレオン−11(CFCl3)(19F NMR)
(2)MALDI−TOF/MSによる構造解析
測定装置:AXIMA CFR plus(島津製作所製)
レーザー:窒素レーザー(337nm)
検出器形式:リフレクトロンモード
イオン検出:正イオン(Posotive mode)、負イオン(Negative mode)
積算回数:500回
マトリックス:ジスラノール クロロホルム溶液
【0077】
[合成例1] ジエチルチオキサントン酸化物(O−1)の合成
200mLの3口フラスコに、2、4−ジエチルチオキサンテン−9−オン(16.1g、60.0mmol)、及びトリフルオロ酢酸(50mL)を加え、0℃に冷却した。30%過酸化水素水(6.87mL、60.6mmol)をトリフルオロ酢酸(13.7mL)に溶解させた溶液を、3口フラスコの中へ滴下した。滴下終了後、0℃で30分攪拌し、さらに室温で1時間攪拌した。反応混合物に水とクロロホルムを加え、クロロホルム層を分液し、水層はクロロホルムで2回抽出操作を行った。上記クロロホルム層と、該抽出操作に用いたクロロホルムとを混合し、この混合液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄したクロロホルム溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去してO−1(16.90g)を得た(収率99%)。O−1の分子構造解析結果は以下の通りであった:
1H NMR:1.29−1.36ppm(m,3H)、1.38−1.45ppm(m,3H)、2.73−2.80ppm(m,2H)、3.20−3.35ppm(m,2H)、7.42−8.39ppm(m,6H)
【0078】
[合成例2]イソプロピルチオキサントン酸化物(O−2)の合成
合成例1において、2、4−ジエチルチオキサンテン−9−オンに代えて、2−イソプロピルチオキサンテン−9−オン(15.26g、60.0mmol)を用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、O−2(15.73g)を得た(収率97%)。O−2の分子構造解析結果は以下の通りであった:
1H NMR:1.34ppm(m,6H)、3.04−3.14ppm(m,1H)、8.03−8.38ppm(m,7H)
【0079】
[実施例1]以下の構造を有する(P−1)の合成:
【化44】

100mLの3口フラスコに、O−1(853mg、3mmol)、トルエン(415mg、4.5mmol)、クロロホルム(10mL)、及び五酸化リン(426mg、3mmol)を加え、0℃に冷却した。トリフルオロメタンスルホンイミド(1.687g、6mmol)をクロロホルム(10mL)に溶解させた溶液を、3口フラスコの中へ滴下した。滴下終了後、さらに室温で23時間攪拌した。反応混合物に水を加えてクロロホルム層を分液し、水層はクロロホルムで2回抽出操作を行った。上記クロロホルム層と、該抽出操作に用いたクロロホルムとを混合し、この混合液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄したクロロホルム溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去してP−1(1.362g)を得た(収率71%)。P−1の分子構造解析結果は以下の通りであった:
1H NMR:1.52-1.54ppm(m,3H)、1.74−1.85(m,6H)、3.22−3.28(m,2H)、3.62−3.64(m,2H)、7.84−8.95ppm(m,10H)
19F NMR:−78.37ppm(s,6F)
MALDI−TOF/MS:359.1[M]、279.6[M
【0080】
[実施例2]以下の構造を有する(P−2)の合成:
【化45】

実施例1において、トリフルオロメタンスルホンイミドに代えて、HN(SO2252(2.287g、6mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、P−2(1.939g)を得た(収率87%)。P−2の分子構造解析結果は以下の通りであった:
1H NMR:1.52−1.54ppm(m,3H)、1.73−1.85(m,6H)、3.21−3.28(m,2H)、3.62−3.65(m,2H)、8.14−8.78ppm(m,10H)
19F NMR:−117.87(s,4F)、−78.54ppm(s,6F)
【0081】
[実施例3]以下の構造を有する(P−3)の合成:
【化46】

実施例1において、O−1に代えて、O−2(811mg、3mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、P−3(1.652g)を得た(収率88%)。P−3の分子構造解析結果は以下の通りであった:
1H NMR:1.29-1.37ppm(m,9H)、3.05−3.10ppm(m,1H)、7.16−8.54ppm(m,11H)
19F NMR:−78.65ppm(s,6F)
MALDI−TOF/MS:345.1[M]、279.6[M
【0082】
[実施例4]以下の構造を有する(P−4)の合成:
【化47】

実施例1において、O−1に代えて、O−2(811mg、3mmol)を用い、トリフルオロメタンスルホンイミドに代えて、HN(SO2252(2.287g、6mmol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、P−4(1.763g)を得た(収率81%)。P−4の分子構造解析結果は以下の通りであった:
1H NMR:1.29-1.37ppm(m,9H)、3.05−3.10ppm(m,1H)、7.16−8.54ppm(m,11H)
19F NMR:−117.87(s,4F)、−78.54ppm(s,6F)
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、工程数が少なく、且つ簡単な操作でスルホニウム塩を製造することが可能な、スルホニウム塩の新規な製造方法であり、該方法により得られるスルホニウム塩は、塗料、コーティング剤、光硬化型接着剤、半導体のフォトリソグラフィー分野等の様々な用途において光酸発生剤として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】

{式中、Xは、単結合、カルボニル基、アルキレン基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基又はジスルフィド基であり、mは、0〜4の整数であり、nは、0〜4の整数であり、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキル基、又は下記一般式(2):
【化2】

(式中、R3は、ハロゲン原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜8個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてpは、0〜5の整数である。)で表されるアリール基である。}で表されるスルホキシド化合物(A)と、下記一般式(3):
【化3】

{式中、R4は、ハロゲン原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素数1〜8個のアルキルチオ基又はフェニルチオ基であり、そしてqは、0〜5の整数である。}又は下記一般式(4):
【化4】

{式中、R5、及びR6は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基又は炭素数1〜8個のアルキルチオ基であり、そしてr、及びsは、各々独立に、1〜3の整数である。}で表される芳香族化合物(B)と、下記一般式(5):
【化5】

{式中、Rf、及びRf’は、各々独立に、F、C、若しくはC2a+1−b(ここで、aは、1〜8の整数であり、そしてbは、0又は1である。)である。}又は下記一般式(6):
【化6】

{式中、nは、1〜5の整数である。}で表されるスルホンイミド(C)とを、脱水剤の存在下、接触・混合させる工程を含む、下記一般式(7):
【化7】

{式中、R、及びRは、上記一般式(1)において定義したものと同じであり、Arは、上記一般式(3)又は上記一般式(4)で表される芳香族基であり、そしてRf、及びRf’は、上記一般式(5)において定義したものと同じである。}で表されるスルホニウム塩の製造方法。
【請求項2】
前記脱水剤が五酸化リンである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の製造方法で得られたスルホニウム塩を光酸発生剤として使用する方法。

【公開番号】特開2011−93868(P2011−93868A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252179(P2009−252179)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】