説明

生きたプロバイオティクス微生物を含む生成物

発明は、生きたプロバイオティクス微生物を105から1015 cells/ml含有する液状の発酵自然生成物に関し、死んだ微生物が多く含まれている。また、発明は、この自然生成物を生成するプロセスおよびこれを貯蔵するための容器に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生きたプロバイオティクス微生物を含む液体の発行自然生成物に関し、それを保存するための容器に関する。
【背景技術】
【0002】
自然生成物は、たとえば動物のミルクのような自然の生成物を意味する。自然生成物は、たとえば果物および野菜のような自然の原材料から生成される生成物も含む。
【0003】
近年、健康的でバランスのとれた食事への指向が強くなっている。これに関係して自然生成物の消費が果たす役割が大きくなっている。
【0004】
特にプロバイオティクス・バクテリアで自然生成物を強化することもこの関連で重要さを増してきている。プロバイオティクス・バクテリアの場合、それは、定義上、人間の健康にいい影響を与えることができる生育可能な微生物の問題である。
【0005】
たとえば、人間の腸内フローラの均衡は、ストレス、アンチバイオティクス、アルコール、およびバラスト材料が少ない食物などの種々の負荷によって妨害されているかもしれず、消化器官の病気の場合、病気の結果、自然の腸内フローラは、外来の有害なばい菌に対して防御することができなくなる。医薬品も腸内環境の構成に変化をもたらすことがあり、特にアンチバイオティクスおよびアンチミコティクス(antimycotics)は腸内フローラを部分的に破壊する。
【0006】
プロバイオティクス・バクテリアは、腸内フローラの均衡を再構築し、人間の腸内フローラの構成を変更し免疫システムの腸内壁に関連する部分にいい影響を与えることにより、それを安定させる。たとえば乳酸および過酸化水素のようなメタボライト(metabolites)が生成される結果、プロバイオティクス・バクテリアは、腸内の望ましくない微生物の生息状態を悪化させる。それらの腸内での存在は消化器官を改善する。さらに腸内のプロバイオティクス・バクテリアは、ナイアシン(niacin)、葉酸およびピリドキシン(pyridoxine)のような人間にとって重要な物質を生成する。
【0007】
最もよく知られたプロバイオティクス・バクテリアには、乳酸バクテリアの種類に属するラクトバシラス(lactobacilli)およびビフィドバクテリア(bifidobacteria)が含まれる。プロバイオティクス・バクテリアが所望の効果を達成するためには、その消費が完全に安全でなければならない。さらに、それらは腸内に入植するためには比較的多数が生存状態で腸内に到達しなければならず、胃を通過する際に胃酸によって破壊されてはならない。
【0008】
プロバイオティクス・バクテリアを含む自然の液体生成物は、この分野で知られている。
【0009】
たとえば、特許文献1は、幼児の腸内感染に対処しこれを予防するために、たとえばミルクのような医薬的に許容可能なキャリアに生きたラクトバシラス・バクテリアまたはビフィドバクテリアを加えることを記載している。
【0010】
特許文献2は、たとえばラクトバシラス・バクテリアまたはビフィドバクテリアといった人の腸に有効な量の微生物を含む乾燥組成物を開示している。この組成物は、人間の胃腸器官の健康を増進するのに有効な量の活性な免疫グロブリン組成物を含んでいる。この乾燥組成物は、たとえば水とかフルーツジュースのような液体注に懸濁させて消費することができる。
【0011】
特許文献3は、菌性の病気に対処するための組成物で、生きた乳酸バクテリアおよび死んだ乳酸バクテリアの両方を含む組成物に関する。この組成物は、液体の形で存在でき、たんぱく質、炭水化物、脂肪およびビタミンが添加されてもよい。
【0012】
最初に述べたように自然生成物は、自然に生じている原材料から生成される生成物でもある。このような自然生成物は、微生物の助けで分解されるなら、身体的な快適さおよび人の個人的なフィットネスを増進させるのに特によいことが知られている。たとえば果物、野菜、豆類などの自然に生じている原材料が微生物によって分解されるプロセスは発酵と呼ばれる。発酵の結果、使用される原材料のバイオ有用性が増大する。原材料が発酵によってそれぞれの成分に変換されるという事実のおかげで、原材料は身体によってよりよく消費され利用されることができ、このことは人間の新陳代謝によい効果をもつ。
【0013】
茶、パン、ミルク、野菜または果物から生成され、乳酸バクテリアを含有する自然発酵飲料も知られている。特許文献4は、たとえば、ラクトバシラス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、連鎖球菌サーモフィルス(Sreptococcus thermophilus)またはラクトバシラス・カゼイン(Lactobacillus casei)などの乳酸バクテリアによって発酵されたフルーツジュース飲料を開示している。
【0014】
特許文献5は、生きたバクテリアを含まないたとえばラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosusu)のような微生物によって発酵された液状自然生成物を記載している。それは、多段階の発酵プロセスで生成され、人間によって消費されることができる複数の分解成分からなっている。
【0015】
特許文献6は、生育できない(non-viable)ラクトバシラス・バクテリアを含有する、たとえば飲料などのような食料品を生成するプロセスに関する。このプロセスは、生育可能なラクトバシラス・バクテリアおよび生育不能なラクトバシラス・バクテリアの混合物を添加した後、生育可能なバクテリアを不活性化することを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO 01/58465 A2
【特許文献2】US 5,531,988
【特許文献3】WO 99/17788 A1
【特許文献4】JP 63-251070 A
【特許文献5】EP 1 153 549 B1
【特許文献6】EP 1 289 380 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、微生物で発酵された既知の液状の自然生成物は、比較的広範囲の効果をもつにもかかわらず、身体の免疫刺激システムに関しては十分効果的ではないという欠点をもっている。
【0018】
したがって、この発明の目的は、免疫システムの特別な活性化に広範囲の効果をもつ液状の発酵自然生成物を提供することである。
【0019】
さらに、この発明の目的は、特別な配慮で液状の発酵自然生成物を生成するプロセスを提供することである。
【0020】
最後に、この発明の目的は、液状の発酵自然生成物を貯蔵する容器を提供することでもある。この容器の中で、自然生成物は、その特に高い効果を失わない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
これらの目的は、請求項に記載される項目によって達成される。
【0022】
この発明は、液状の発酵自然生成物に関する。この生成物は、105から1015 cells/mlの生きたプロバイオティクス微生物を含有し、死んだ微生物の比率が大きい。
【0023】
従属請求項は、この発明の自然生成物の好ましい実施例に関する。
【0024】
この発明は、また、生きたプロバイオティクス微生物を含有する液状の発酵自然生成物を生成する方法に関する。この生成物では死んだ微生物の比率が大きい。この方法は、(i)液状の発酵自然生成物を用意する段階、(ii)この液状の発酵自然生成物に105から1015 cells/mlの生きたプロバイオティクス微生物を添加する段階、および(iii)消費する直前にこのプロバイオティクス微生物を液状の発酵自然生成物と混合する段階、を含む。
【0025】
従属請求項は、この発明の方法の好ましい実施例に関する。
【0026】
さらにこの発明は、生きたプロバイオティクス微生物を含有する液状の発酵自然生成物を保存するための容器に関する。この生成物では死んだ微生物の比率が大きい。この容器は、二つの小室(チャンバ)を有し、液状の発酵自然生成物が第1の小室に容れられ、少なくともプロバイオティクス微生物が第2の小室に容れられる。
【0027】
従属請求項は、この発明の容器の好ましい実施例に関する。
【0028】
この発明の液状の発酵自然生成物では、生きたプロバイオティクス微生物および死んだ微生物が人間の器官に与えるよい効果が互いに組み合わされ、結果として特異な相助作用により効力を高めることが認められた。
【0029】
この発明の自然生成物のよい効果は、次のとおりである。
【0030】
発酵自然生成物における種々の分解生成物が人体によって容易に使用されることができ、人間の新陳代謝によい効果を及ぼす。さらに、発酵自然生成物の改善されたバイオ利用可能性は人間の健康および物理的なフィットネスを高める。
【0031】
生きたプロバイオティクス微生物を管理すると胃腸器官の健康を増進することができる。たとえば、プロバイオティクス・バクテリアは腸内に入植し、免疫システムの腸内壁に関連する部分を強化することができる。たとえば乳酸および過酸化水素のような代謝産物が形成される結果、プロバイオティクス・バクテリアは、健康に害のある望ましくない微生物の生息状態を悪化させることができ、その結果、腸内の微生物学的な均衡を健康増進微生物へとシフトさせることができる。プロバイオティクス・バクテリアは下痢の病気を短くしまたは軽減し、乳糖の消化を促進する。さらに、プロバイオティクス・バクテリアは慢性の炎症性の腸の病気を改善するのに有効である。研究の結果、プロバイオティクス・バクテリアはアレルギーに対しても効果があることが分かっている。さらに、プロバイオティクス・バクテリアはコレステロールの値を下げ、冠状動脈管の病気のリスクを低減し、菌性の感染(真菌症、mycoses)の数を減らすことができる。
【0032】
死んだ微生物も人間の器官の免疫力を強化する。したがって、たとえばペプチド(peptides)、グルカン(glucanes)、リン脂質(phospholipids)、多糖類(polysaccharides)および物質ムレイン(murein)などの、死んだバクテリアの特に細胞壁部分および細胞成分は人間の免疫システムを刺激することができる。この免疫刺激効果は、殺されたバクテリアが身体の自己防衛の生まれつきの部分を活性化する事実によって説明される。それらは免疫システムが動員される侵入者に関し、一種の警報信号として働く。この動員の過程で、たとえばマクロファージの活動が増加する。さらに、白血球に注意が向けられる。免疫システムの過剰反応は、新陳代謝の揺れ(metabolic pendulum)のような消炎効果の発生によって防止される。また、死んだバクテリアの成分によってプリバイオティクス(prebiotic)の役割が演じられていると考えられる。プリバイオティクス物質は、人の腸内の特定のバクテリアの成長を促進することができる。簡単に言うと、死んだバクテリアの成分は、腸のプロバイオティクス・バクテリアのための栄養として作用すると考えられる。
【0033】
発酵生成物の効果と死んだプロバイオティクス微生物および生きたプロバイオティクス微生物の効果とを相乗的に組み合わせるこの発明の自然生成物は、人間の器官にとって格別利益があり効果がある。この自然生成物は、特に広いレンジの効果において顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の自然生成物を貯蔵するための容器の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
この発明の自然生成物は、105から1015 cells/ml(ミリリットル当たりの細胞数)の生きたプロバイオティクス微生物を含有し、死んだ微生物の(生きたバクテリアに対する)割合が大きいと、人間の器官に対して特に有用であることが分かった。
【0036】
この発明の自然生成物は、106から1012 cells/mlのプロバイオティクス微生物を含有するのがよく、108から1010 cells/mlが特に好ましい。
【0037】
この発明の自然生成物は、低温滅菌されていることが好ましい。このような生成物は、たとえば特許文献5に記載されるプロセスにより生成することができる。
【0038】
この発明の自然生成物は、酵素または原材料の酵素抽出物からなることが好ましい。ここで、「原材料の酵素抽出物」という表現は、可溶性および非溶性両方の成分を含む物質の混合物を意味する。それは、水に非溶性のバラスト物質に豊富であるという利点を有する。
【0039】
精製していない酵素は、消費者にとって十分でエネルギの健康な源となるに適した濃縮物を構成する。原材料の酵素抽出物は、たとえば遠心分離、濾過などによって精製された濾過液を構成する。このような濾過液から非溶性の成分を取り除く。それは、自然に曇った液体を構成する。
【0040】
液状の発酵した自然生成物は、果物、野菜、豆類、ハーブ、およびあらゆる種類のナッツをベースとすることが好ましい。このような混合物は決定的なものではない。果物、野菜および豆類からなるどのような変更も実際上可能である。生態学的に制御された栽培から得られる原材料を使用するのが好ましい。
【0041】
プロバイオティクス微生物は、たとえば親液性(lyophilized)の形でこの発明の自然生成物に含有されるのが好ましい。
【0042】
好ましい実施例では、この発明の自然生成物は、バクテリア、真菌、イーストまたはそれらの混合物から選択されるプロバイオティクス微生物を含む。特に好ましい形態では、バクテリアが含まれる。
【0043】
この発明の自然生成物は、プロバイオティクス・バクテリアの形で少なくとも一つのラクトバシラス(Lactobacillales)目のバクテリア(乳酸バクテリア)を含む。この発明の代替実施例では、微生物は、ラクトバシラスと他のプロバイオティクス微生物との混合物の形で自然生成物に存在する。
【0044】
ラクトバシラスは、グラム陽性(Gram-positive)常に嫌気性(anaerobic)であるがほとんど好気性(aerotolerant)のバクテリアであり、糖を乳酸に分解するという特徴をもっている。それは、人間の腸内フローラの最も重要なものの一つである。特にラクトバシラスを管理することによって腸内フローラの均衡を再構築し安定に保つことができる。ラクトバシラスを含むこの発明の自然生成物は、したがって人間の身体的な健康を増進させる作用がある。
【0045】
ラクトバシラシー科(Lactobacillaceae)、氣球菌科(Aerococcaceae)、カーノバクテリアシー科(Carnobacteriaceae)、腸球菌科(Enterococcaceae)、ルーコノストカシー科(Leucconostocaceae)およびレンサ球菌科(Streptococaceae)は、ラクトバシラス目(order Lactobacillales)に属する。
【0046】
この発明の自然生成物は、ラクトバシラシー科のバクテリアを含むことが好ましい。この発明の自然生成物は、特にラクトバシラス属(genus Lactobacillus)のバクテリアを含むのが好ましい。より具体的には、ラクトバシラス・ラムノサス種(species Lactobacillus rhamnosus)のバクテリアがこの発明の自然生成物に含まれるのが好ましい。ラクトバシラス・ラムノサス種のバクテリアを管理すると、特に免疫性が強化されることが身体全体の研究において証明されている。この種のバクテリアを含むこの発明の自然生成物は、したがって非常に有効である。
【0047】
この発明の自然生成物は、効果のレンジによって、ラクトバシラス・ラムノサス種のバクテリアおよび少なくとももう一つのプロバイオティクス微生物を含むのがよい。
【0048】
この発明の自然生成物は、たとえば2次的植物、たとえばルテイン(lutein)、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、多糖類(polysaccharides)、ポリグルカン(plyglucanes)、真菌(fungi)からの抽出物などの添加物を含有するのが好ましい。
【0049】
この発明によると、生きたプロバイオティクス微生物を含有する液状の発酵自然生成物を生成するプロセスは、次の段階を含む。ここで、この自然生成物には死んだ微生物の割合が大きい。すなわち、このプロセスは、(i)液状の発酵した自然生成物が得られるようにする段階、(ii)この液状の発酵自然生成物にプロバイオティクス微生物を105から1015 cells/ml加える段階、および(iii)消費の直前にプロバイオティクス微生物と液状の発酵自然生成物を混合する段階、を含む。
【0050】
この発明のプロセスは、106から1012 cells/mlの量のプロバイオティクス微生物で実施するのが好ましい。この量が人間の器官のために特に効果があることがわかった。特にこのましい形態では、この発明のプロセスは、108から1010 cells/mlの量のマイクロバイオティクス微生物を用いて実施するのがよい。この量は、人間の器官にとって非常に効果的であることがわかった。
【0051】
「消費の直前に」という表現は、自然生成物の生産と消費との間の数秒から16時間の期間を意味する。通常、自然生成物は、たとえば毎日の使用量の形で1分から最長10分以内に消費される。しかし、この自然生成物は、たとえば、16時間までの間隔で朝および夕に部分的に摂取する形のように、一日に配分した態様で摂取することもできる。プロバイオティクス微生物は消費のわずか前に液状の発酵自然生成物に転送されるから、高い有効性が保証される。
【0052】
この発明のプロセスを用いて、プロバイオティクス微生物を含む液状の発酵自然生成物が特別な注意で生産される。この発明のプロセスにより生きた微生物および死んだ微生物の両方を含む液状の発酵自然生成物が生産される。死んだ微生物の割合の方が多い。このような自然生成物が特に有効である。既に述べたように、正確には生きたバクテリアおよび死んだバクテリアの組み合わせが人間の粘液システムを特に刺激する効果を奏する。生きたバクテリアは人間の器官にプロバイオティクス的に作用するが、プリバイオティクス作用は死んだバクテリア成分によるものとすることができる。さらに発酵した自然生成物の多様な成分が人間の新陳代謝活動を増進することに貢献する。
【0053】
この発明のプロセスにおいて、事前に低温殺菌された液状の発酵自然生成物を使用するのが好ましい。
【0054】
「低温殺菌」という用語は、微生物を殺す目的で物質を60℃から90℃に簡単に加熱することを概して意味する。このような生産物は、たとえば特許文献5に記載されるプロセスによって生産することができる。特許文献5においては、発酵した生成物中のすべての生きた微生物を殺すために、発酵処理の終わりに低温殺菌が実施される。
【0055】
低温殺菌の結果、自然生成物の消費期限(shelf life)が長くなる。自然生成物は、低温殺菌されてもその特徴に変わりはなく、均一性および味が維持される。
【0056】
この発明のプロセスでは、微生物は凍結乾燥(lypophilized)形で加えられるのがよい。凍結乾燥された微生物は貯蔵中に良好な生存率を示すからである。微生物の活力をできるだけ長く維持するために、液状の発酵自然生成物は、消費の直前だけに加えられる。
【0057】
この発明の好ましい実施例では、微生物は、バクテリア、真菌(fungi)、イースト、およびそれらの混合物から選択される。特に好ましい態様では、バクテリアが使用される。
【0058】
この発明のプロセスでは、少なくとも一つのラクトバシラス目(order Lactobacillales)(乳酸(lactiic-acid)バクテリア)のバクテリアを液状の発酵自然生成物にプロバイオティクス・バクテリアの方法で加えるのが好ましい。乳酸バクテリアは人間の腸内フローラの最も重要な代表物の一つである。バクテリア・ラクトバシラス目の少なくとも一つのバクテリアを置換することで、乱された腸内フローラの均衡を再構築し、安定に保つことができることが明らかになった。胃腸の病気を予防する目的および免疫システムを刺激する目的でラクトバシラス目の少なくとも一つのバクテリアを摂取すると健康が増進される。
【0059】
ラクトバシラシー科のバクテリアを添加するのが好ましい。この発明のプロセスの特に好ましい態様では、ラクトバシラス属(genus Lactobacillus)のバクテリアが使用される。最も好ましいのは、特に免疫を増進させることがわかったラクトバシラス・ラムノサス種(species Lactobacillus rhamnousus)をこの発明のプロセスで使用することである。
【0060】
この発明のプロセスの特別な実施例では、ラクトバシラス目(order Lactobacillales)の少なくとも一つのプロバイオティクス微生物を少なくとももう一つのプロバイオティクス微生物と混合して使用する。ラクトバシラス・ラムノサス種のバクテリアと少なくとももう一つのプロバイオティクス微生物とを組み合わせると、それぞれの有効性のレンジによるが、高い効果が得られることがわかった。
【0061】
この発明はさらに生きたプロバイオティクス微生物を含有する液状の発酵自然生成物を保存するための容器に関する。死んだ微生物の方が多く含有される。この容器は少なくとも2つのチャンバーを有し、液状の発酵自然生成物が第1のチャンバーに容れられ、少なくともプロバイオティクス微生物が第2のチャンバーに容れられる。
【0062】
第2のチャンバーは、たとえばルテイン、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、多糖類、ポリグルカン(polyglucanes)、真菌からの抽出物などの2次的な植物性物質のような添加物を含有することが好ましい。これらの成分は、凍結乾燥された(lyophilized)形で存在するのが好ましい。たとえばルテイン、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、多糖類、ポリグルカン(polyglucanes)、真菌からの抽出物などの2次的な植物性物質を添加すると、この発明の自然生成物の効果をさらに高めることが明らかになった。これらの成分の選択は、個別に行われ、望まれる効果レンジに依存する。たとえば、消費者のサークルが個々の成分を選択する役割を演じる。女性では、葉酸、鉄、マグネシウム、亜鉛およびビオチンの必要性が高いが、男性ではこれがビタミンK、B5、B9、B2になる。アスリートでは、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンEおよびCの必要性が高い。
【0063】
二つのチャンバーの一方は、ポット状であるのがよく、他方のチャンバーは、第1のチャンバーをロックする閉鎖物で形成される。たとえば、閉鎖物の内側はネジ結合のためのネジスレッドが切られていることができる。閉鎖物によって形成されるチャンバーは、内層によって密閉されるのが好ましい。この内層は、野菜繊維材料またはプラスチックから形成することができる。この内層は、紙またはプラスチックのフィルムであるのがよい。これらの材料は裂けに対する耐性があるからである。
【0064】
この容器はガラスまたはプラスチック製であってよい。ガラス製の方が好ましい。プラスチック製の場合、液状の発酵自然生成物が色のついた残滓をプラスチック上に残すことがあるからである。さらにこの容器は、この発明の自然生成物を保存するのに適していれば、その他の材料から形成したものであってもよい。
【0065】
この容器は所望の任意の形状であってよい。この発明の自然生成物を貯蔵するためにはボトルであるのが好ましい。ボトルは特に取り扱いやすいからである。
【0066】
この発明の容器は、プロバイオティクス・バクテリアと液状の発酵自然生成物とを互いに分離して貯蔵することができるという利点を備えている。消費のわずか前にだけ、容器が開けられるとき、プロバイオティクス・バクテリアが液状の発酵自然生成物に添加され、その結果、この発明の自然生成物が生成される。したがって、この発明の容器中の自然生成物の個々の成分は、それらの効果を失うことなく特に長期間の間保存される。
【0067】
既に述べたように、この発明の容器の第1チャンバーに容れられた発酵した液状の自然生成物は、その高いバイオ有用性によって、人間の全体的な健康および身体的なフィットネスを増進させる。さらにそれに含有される死んだ微生物は人間の免疫力を高める。また、プリバイオティクス作用は死んだバクテリアの成分によるものであると考えられる。この発明の容器の第2チャンバーに保存されるプロバイオティクス微生物は、免疫力を高めるとともに胃腸器官の健康にとって好ましい。容器を開けると、第2チャンバーからのプロバイオティクス微生物が第1チャンバー内の液状の発酵自然生成物と混合し、そのよい効果が組み合わされる。このプロセスで生成されるこの発明による自然生成物は、したがって、特に高い効果を持つ点で顕著である。
【0068】
この発明の自然生成物を貯蔵するための例示としての実施例を図1に示す。図1Aは、この発明の容器1として、蓋で密閉することができるボトルを示す。ボトルは2つのチャンバー2、3を備える。第1チャンバー2はポット状である。実施例では、第1チャンバー2はボトルで形成されている。このボトルはネジ山を備えている。第1チャンバー2は液状の発酵自然生成物bを保存している。第2のチャンバー3は蓋によって形成されている。例示の実施例では、ネジ結合の蓋である。第2チャンバー3は、中間層4によって密閉されている。実施例では、中間層は紙でできている。プロバイオティクス・バクテリアは、蓋の空洞に容れられている。
【0069】
容器1は、二つのチャンバー2および3の間の相対運動、この実施例の場合、ボトルと蓋との間の相対運動、たとえば回転によって、第2チャンバーが、たとえば中間層が破れる(図1B参照)ことによって、開かれるよう構成されている。このように蓋に容れられているプロバイオティクス・バクテリアは液状の発酵自然生成物に送られる。容器1は、上記の相対運動が継続される、たとえば回転され続ける結果、この実施例では第2チャンバー3が完全に第1チャンバー2から分離されることができる(図1C参照)。このように開かれた容器1からプロバイオティクス・バクテリアを含有する液状の発酵自然生成物を消費することができる。この容器は適当な方法により再度密封することができる。
【0070】
容器1は、10 ml(ミリリットル)から350 mlの容量をもつ。容器1は、10 mlから30 mlの容量をもつのが好ましい。特に20 mlの容量の容器1が好ましい。この量が、この発明の自然生成物の一日当たりの推奨摂取量に対応するからである。そのような容器1は、開封後、内容物全部が使用されてしまうという利点をもつ。この発明の自然生成物は、したがってさらに貯蔵されて効果を失うということがない。
【0071】
この発明の自然生成物は、生物学的産物である。それは内的にも外的にも管理されることができる。内的管理については、原則としてそれは、食材、食料、食料サプリメント、ダイエット食材またはバランスのとれたダイエット食品として口から摂取される。原則として、この発明の自然生成物は、一日当たり20 ml摂取される。この摂取量は、分割して、たとえば朝と夕に一部ずつ摂取するようにしてもよい。
【0072】
この発明の自然生成物は、肌に対して外的に適用することもできることがわかった。この場合、液状の発酵自然生成物をパック、コンプレスに入れ、次いで肌の関係部分に適用するのが特に好ましいことがわかった。スプレイ溶液の形で直接適用することもできる。
【0073】
この発明の例を次に示すが、これはこの発明を限定するものではない。
【0074】

特許文献5に記載のプロセスによって液状の発酵自然生成物を生産する。この液状の発酵自然生成物に、消費の直前にラクトバシラス・ラムノサス種の生きたバクテリアまたはラクトバシラス・ラムノサスを109 cells/mlの量含むバクテリア混合物を添加する。次いで、プロバイオティクス・バクテリアまたはバクテリア混合物を液状の発酵自然生成物と注意深く混合する。こうして得られた生成物はすぐに消費に供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果物、野菜、豆類、ハーブまたはナッツに基づく液状の発酵自然生成物であって、105から1015 cells/ml の量の添加された生きたプロバイオティクス微生物を含有し、死んだ微生物の比率が大きい自然生成物。
【請求項2】
106から1012 cells/ml のプロバイオティクス微生物を含有する、請求項1に記載の自然生成物。
【請求項3】
108から1010 cells/ml のプロバイオティクス微生物を含有する、請求項2に記載の自然生成物。
【請求項4】
前記自然生成物は前記生きたプロバイオティクス微生物を添加する前に低温滅菌されている、請求項1から3のいずれかに記載の自然生成物。
【請求項5】
前記自然生成物は、原材料の発酵物または発酵抽出物よりなる請求項1から4のいずれかに記載の自然生成物。
【請求項6】
前記プロバイオティクス微生物は、バクテリア、真菌、イーストおよびこれらの混合物から選択される、請求項1から5のいずれかに記載の自然生成物。
【請求項7】
前記プロバイオティクス微生物はバクテリアである、請求項6に記載の自然生成物。
【請求項8】
プロバイオティクス微生物を凍結乾燥した形で含有する、請求項1から7のいずれかに記載の自然生成物。
【請求項9】
前記プロバイオティクス微生物がラクトバシラシー目の少なくとも一つのバクテリアを含む請求項6から8のいずれかに記載の自然生成物。
【請求項10】
前記バクテリアはラクトバシラシー科のバクテリアである、請求項9に記載の自然生成物。
【請求項11】
前記バクテリアはラクトバシラス属のバクテリアである、請求項10に記載の自然生成物。
【請求項12】
前記バクテリアはラクトバシラス・ラムノサス種のバクテリアである、請求項11に記載の自然生成物。
【請求項13】
前記微生物は、ラクトバシラスと他のプロバイオティクス微生物との混合物の形で存在する、請求項1から12のいずれかに記載の自然生成物。
【請求項14】
前記自然生成物は、2次的な植物物質、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、多糖類、ポリグルカン、または真菌からの抽出物を含む、請求項1から13のいずれかに記載の自然生成物。
【請求項15】
請求項1から14の少なくとも一つに記載の液状の発酵自然生成物を生成する方法であって、消費の直前に、
(i)果物、野菜、豆類、ハーブまたはナッツに基づく液状の発酵自然生成物を用意する段階、
(ii)前記液状の発酵自然生成物に105から1015 cells/ml の量のプロバイオティクス微生物を添加する段階、
(iii)前記プロバイオティクス微生物を前記液状の発酵自然生成物と混合する段階、
を含む前記生成する方法。
【請求項16】
前記プロバイオティクス微生物は106から1012 cells/ml の量で前記液状の発酵自然生成物に加えられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プロバイオティクス微生物は108から1010 cells/ml の量で前記液状の発酵自然生成物に加えられる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
段階(i)の自然生成物は予め低温滅菌されている、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
バクテリア、真菌、イーストまたはこれらの混合物が、プロバイオティクス微生物として加えられる、請求項15から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
バクテリアがプロバイオティクス微生物として加えられる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記プロバイオティクス微生物は凍結乾燥した形で加えられる、請求項15から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
添加されたプロバイオティクス・バクテリアはラクトバシラス目のバクテリアを含む、請求項19から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記添加されるバクテリアは、ラクトバシラス科のバクテリアである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記添加されるバクテリアは、ラクトバシラス属のバクテリアである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記添加されるバクテリアは、ラクトバシラス・ラムノサス種のバクテリアである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ラクトバシラス目の少なくとも一つの微生物が少なくとも一つの他のプロバイオティクス微生物との混合物に使用されている、請求項15から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
請求項1から14のいずれかに記載の液状の発酵自然生成物を保存するための容器であって、少なくとも2つのチャンバー(2、3)を備え、前記液状の発酵自然生成物が第1チャンバー(2)に容れられ、少なくともプロバイオティクス微生物が第2チャンバー(3)に容れられており、該第2チャンバーは2つのチャンバーの間の相対運動によって開かれる、前記容器。
【請求項28】
前記2つのチャンバーのうち一方がポット状であり、他方が第1チャンバーをロックすることができる蓋である、請求項27に記載の容器。
【請求項29】
前記第2チャンバー(3)が中間層(4)を有する、請求項27または28に記載の容器。
【請求項30】
前記第1チャンバーおよび第2チャンバーがネジ山を有する、請求項27から29のいずれかに記載の容器。
【請求項31】
2次的な植物物質、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、多糖類、ポリグルカン、または真菌からの抽出物が前記第2チャンバーに含まれる、請求項27から30に記載の容器。
【請求項32】
請求項1から14のいずれかに記載の自然生成物を内的および外的管理に使用する方法。
【請求項33】
食材および食料として使用する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
パックまたはコンプレスに使用する請求項32に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−517516(P2010−517516A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547568(P2009−547568)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000298
【国際公開番号】WO2008/092565
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509214012)
【氏名又は名称原語表記】MAY,Amadeus,Alexander
【Fターム(参考)】