説明

生ごみの切断装置

【課題】切断容器内部の回転刃,固定刃の交換やこれら回転刃,固定刃を含む切断容器内部の掃除やメンテナンスが容易で、しかも切断容器内部更にはその底部より下側に落した物品を容易に取出可能で全体の構造も簡単な生ごみの切断装置を提供する。
【解決手段】生ごみの切断容器30と、排出穴54,56の形成された底板46と、中心部の回転軸42と、切断容器30内部の回転刃62,64と、固定刃66,68とを含んで生ごみの切断装置18を構成する。そしてこれら回転刃62,64,固定刃66,68更に底板46を抜止部材84にて回転軸42に抜止状態に組み付け、抜止部材84を外すことによってそれぞれを排水口から上方に取出可能としておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はキッチンのシンクの底部の排水口を通じて投入された生ごみを処理する装置に関し、詳しくは生ごみを破砕せずに切断して処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、キッチンで発生した生ごみを処理するための生ごみの処理装置として各種のものが提案されている。
ハンマーミル式のディスポーザと称される生ごみの処理装置はその代表的なものであって、このディスポーザはキッチンのシンクの下側且つキャビネット内部に設けられ、投入された生ごみを給水下でハンマーによりすり潰して微粉砕し、そしてその粉砕物を排水とともに排出口から排出する。
例えば下記特許文献1,特許文献2,特許文献3,特許文献4にこのようなディスポーザが開示されている。
【0003】
しかしながらこの生ごみの処理装置としてのディスポーザの場合、生ごみを微粉砕して排水とともに排出するため、その排水から生ごみの粉砕物を分離するための固液分離のための装置が大がかりなものとなり、また必ずしも十分に生ごみの粉砕物を排水から分離できず、排水が生ごみの粉砕物で汚れてしまって、これをそのまま放流すると水質を悪化させるといった問題がある。
【0004】
一方このような固液分離によらないで、生ごみの粉砕物を含む排水を生物処理槽(排水処理槽)で処理し、浄化するといったことも行われている。
しかしながらその生物処理槽は装置価格が高いとともに、これを地中に埋設するための工事費用がかかり、またその他に生物処理槽の設置場所を確保することが必要であるとともに、その後においても汚泥の引抜き等のメンテナンスにコストがかかるといった問題がある。
従って集合住宅のように多世帯で使用し、所要コストを各世帯で分担できるケースでは比較的普及が進んでいるが、戸建住宅等では高コストとなり、また設置場所を確保することも必ずしも容易ではないといった問題がある。
【0005】
一方このようなディスポーザ以外の他の生ごみの処理装置の場合、多くはキッチン内部のシンクとは別の箇所に設置することが必要であって、この場合専用の特別の設置スペースを必要とする問題がある。
【0006】
以上のような事情の下に、キッチンで生じた生ごみを微粉砕しないで粗切状態に切断し、処理する生ごみの切断装置が提案されている。
このように生ごみを粗切りして処理するようにすれば、微粉砕の際の押潰しやすり潰し等によって生じた生ごみ汁が排水に溶け込んで排水を汚してしまったりする問題を回避でき、また排水から生ごみを容易に固液分離することが可能である。
【0007】
このような切断による生ごみの処理装置については、下記特許文献5に開示がなされている。
しかしながらこの特許文献5に開示の装置では、容器内に投入された生ごみを回転刃が容器の周壁に押し付けるようにして切断するものであるため切断の効率が悪く、生ごみを円滑に所定の大きさまで切断することが困難であるのに加えて、生ごみを容器の周壁に回転刃にて押し付けながら切断するため、その際に生ごみ汁が発生してしまうのを十分に防止できないといった問題がある。
【0008】
そこで本出願人は、互いに対をなす回転刃と固定刃とを切断容器内部に設け、切断容器内部に投入された生ごみをそれら回転刃と固定刃とで挟み込んで剪断作用により切断する生ごみの切断装置を提案している(特願2004−272494:未公開)。
【0009】
ところでこのような生ごみの切断装置にあって、回転刃,固定刃は使用を続けるうちに切断能力が低下する、言わば消耗部品であり、使用途中でこれを取り出してメンテナンスしたり、或いは使用寿命に達したものについて交換する必要がある。
また回転刃,固定刃には生ごみが付着して汚れを生ずるため、これを掃除したりするなどのメンテナンスが必要となる。
その他かかる生ごみの切断装置においては、切断容器内部に物品を落したりしたとき、これを容易に取り出しできるものであることが求められる。
【0010】
本発明はこのような事情の下に案出されたものである。
尚下記特許文献6には、切断容器内部に回転刃と固定刃のセットを複数セット有して、投入された生ごみを切断するようになし、且つそれら回転刃,固定刃を取出可能となしたものが開示されている。
しかしながらこの特許文献6に開示のものでは、回転刃を回転させるための回転軸を上下に分割した上、回転刃,固定刃及び回転軸の上部を円筒形状のハウジングに下方から組み付けてユニット(切断ユニット)となし、これを別途のホッパーの円筒形状のハウジングに嵌合させた上、回転軸の上部を回転軸の下部に一体回転状態に連結するようにしており、構造が複雑でしかも円筒形状のハウジングが内,外に2つ必要である問題があり、更に再組付けの際、回転軸の上部と下部との連結が難しく、しかも連結部において回転軸の上部と下部とを上下に締結できない問題がある。
【0011】
【特許文献1】特開2002−45722号公報
【特許文献2】特開2002−248368号公報
【特許文献3】特開2003−211016号公報
【特許文献4】特開2003−305379号公報
【特許文献5】特開2002−219375号公報
【特許文献6】特開2004−298808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景とし、切断容器内部の回転刃,固定刃の交換やこれら回転刃,固定刃を含む切断容器内部の掃除やメンテナンスが容易で、しかも切断容器内部、更にはその底部より下側に落した物品を容易に取出可能で、且つ全体の構造が簡単な生ごみの切断装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、(a)キッチンのシンクの底部の排水口に内部を連通させる状態に該シンクの下側に設けられた生ごみの切断容器と、(b)該切断容器の底部を構成する部材であって、切断後の生ごみを排出する排出穴が形成された、該切断容器とは別体をなす底部部材と、(c)該切断容器の中心部に配設された回転軸と、(d)該切断容器の内部に設けられて該回転軸に一体回転状態に組み付けられた、該切断容器の中心部から径方向に延びる回転刃と、(e)該切断容器内部に設けられて前記回転軸を相対回転させる状態に該回転軸に組み付けられ、前記切断容器の中心部から径方向に延びる、前記回転刃とともに生ごみを切断する固定刃と、を有しており、前記回転刃,固定刃及び底部部材は何れも前記排水口より上方に抜出可能な大きさに形成されているとともに、それら回転刃,固定刃及び底部部材のそれぞれには上下に貫通する嵌込孔が設けられていて、該回転刃については該嵌込孔において前記回転軸に対し上方から下方に一体回転状態に嵌め込まれ、前記固定刃及び底部部材については該嵌込孔において該回転軸を相対回転させる状態に該回転軸に上方から下方に嵌め込まれて組み付けられており、且つ該回転軸の上端部には前記回転刃,固定刃及び底部部材に対する抜止部材が取外し可能に組み付けられていて、該抜止部材を取り外すことによりそれら回転刃,固定刃及び底部部材が該回転軸から上方に分離及び前記排水口より取出可能、且つ前記切断容器内部に再組付可能とされていることを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記切断容器の周壁の内面には上下に延び且つ上端が開放、下端が段付面とされた嵌込溝が設けられており、前記固定刃の先端部が、該嵌込溝に対して上方に抜出可能に嵌め込まれ固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記底部部材には固定ねじの挿通孔が設けられているとともに、前記切断容器には対応する雌ねじ孔が設けられており、該固定ねじの該雌ねじ孔への上方からのねじ込みにより、該底部部材が該切断容器に組付固定されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4のものは、請求項3において、前記切断容器には前記底部部材を回転方向に位置決めする嵌込溝が形成されており、該嵌込溝に対し該底部部材が上方に抜出可能に嵌め込まれていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0017】
以上のように本発明は、生ごみの切断装置における切断容器内部の回転刃,固定刃及び排出穴の形成された底部部材を、回転軸の上端部の抜止部材にて抜止状態に組み付け、そしてその抜止部材を外すことにより、それら回転刃,固定刃及び底部部材を排水口より取出可能且つ再組付可能となしたものである。
【0018】
かかる本発明によれば、回転軸の上端部に組み付けた抜止部材を外すことによって、切断機構を構成する切断容器内部の回転刃,固定刃、更には排出穴の形成された底部部材をシンクの排水口から上方に簡単に取り出すことができ、従って回転刃,固定刃のメンテナンスや交換作業を簡単に行うことができる。
更にまた、排水口から切断容器内部に物品を落したような場合においても、それらを外し排水口から取り出すことで、簡単に落した物品を排水口より取り出すことができる。
【0019】
特に本発明では切断容器の底部を構成する底部部材もまた、切断容器から分解して上方に取出可能であるため、底部部材自体の掃除やメンテナンス、或いはまたその交換を行うことも可能であるとともに、その底部部材の更に下側に物品を落したような場合においても、その底部部材を取り出すことで、落した物品を容易に取り出すことができる。
【0020】
本発明の生ごみの切断装置はまた、特許文献6に開示のものと異なって、切断容器をそのままにして内部の回転刃,固定刃及び底部部材を回転軸から順に上方に抜出可能である特長を有しており、従って円筒形状の容器(ハウジング)を内,外に2つ必要とすることもなく構造も簡単であって、各部材の脱着を簡単に行うことができる。
更に本発明では、回転軸を上下に分割する必要がなく、従って再組付けに際して分割した回転軸の上部と下部とを一体回転状態に連結する必要もなく、その際の回転軸の上部と下部との一体回転状態の連結に困難を伴うといった問題も有しない。
【0021】
本発明では、切断容器の周壁の内面に上下に延び且つ上端が開放、下端が段付面をなす嵌込溝を設けて、そこに固定刃の先端部を上方に抜出可能に嵌め込んで固定するようになしておくことができる(請求項2)。
このようにしておけば、固定刃を回止め状態にしっかりと固定でき、且つその脱着を容易に行うことができる。
【0022】
請求項3は、底部部材に固定ねじの挿通孔を設けるとともに、切断容器には対応する雌ねじ孔を設け、固定ねじの雌ねじ孔への上方からのねじ込みにより底部部材を切断容器に組付固定するようになしたもので、このようにすれば、底部部材もまた簡単に排水口を通じて上方から簡単に取付け,取外し作業することができる。
この場合において切断容器には底部部材を回転方向に位置決めする嵌込溝を形成し、そこに底部部材を上方から嵌め込んで組付固定するようになすことができる(請求項4)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はキッチンに設置された流し台で、12はシンク、14はカウンターで、16はそのカウンター14上に設けられた流し台水栓である。
17は流し台10におけるキャビネットで、このキャビネット17の内部且つシンク12の下側に、生ごみの切断装置(以下単に切断装置とする)18と、内部に搬送水を貯える貯水タンク20とが設けられている。
【0024】
22は排水管で、24はその排水管22の一部にて構成されたトラップ部である。
トラップ部24は、切断装置18にて切断された生ごみを一時的に貯溜する貯溜部としても働く。
このトラップ部24には封水が保持されており、その封水によって排水管22の下流側からシンク12側に臭気が逆流するのが防止される。
【0025】
排水管22は、上部が主管22-1と枝管22-2とに分かれており、その主管22-1の上端部が切断装置18の排出口28(図3参照)に接続され、また枝管22-2の上端部が貯水タンク20の底部に接続されている。
この枝管22-2と貯水タンク20の接続部には排水弁26が設けられており、貯水タンク20に貯えられた搬送水は、この排水弁26を開くことによって枝管22-2を通じトラップ部24へと一挙に放出され、その搬送水による搬送力によって、トラップ部24に一時的に貯溜されている切断後の生ごみがトラップ部24から一掃され、排水管22を下流側へと搬送される。
【0026】
図2に示しているように切断装置18は、円筒形状をなす切断容器30を有している。
切断容器30は、上端の生ごみの投入口32をシンク底部12Aの排水口13に合致させる状態で、シンク底部12Aに連結されている。
この切断容器30は、上部30-1と下部30-2とに分割されており、それらの間が円筒形状のゴムジョイント34にて水密にシールされ締結されている。
尚上部30-1は、切断容器30のシンク底部12Aへの取付部材としての働きを有している。
【0027】
36は切断容器30の蓋であって、生ごみの切断はこの蓋36をセットした状態の下で、なお且つ流し台水栓16から切断容器30内部への給水下で行われる。
その給水のため、蓋36は流し台水栓16からの給水を通過可能な構造とされている。
【0028】
本実施形態において、切断容器30の下部30-2は樹脂製であってこの切断容器30の下側には、すり鉢状をなす樹脂製の排出パン38が一体に構成されている。
この排出パン38は、切断容器30内部で切断された生ごみを排水とともに排出するもので、壁部40が勾配θで傾斜している。
ここで勾配θは30°以上としておくのが望ましく、より望ましくは45°以上の角度を持たせておく。
但し壁部40は、勾配θのテーパ形状となしておくほか、これを湾曲形状となしておいても良い。
【0029】
切断容器30の中心部には回転軸42が設けられており、この回転軸42の下端部が図1のモータ44に連結され、回転軸42がモータ44にて回転駆動されるようになっている。
図5に示しているように、切断容器30の底部はその大部分が金属製の底板(底部部材)46にて構成されている。
この切断容器30の底部であって底板46を除く、切断容器30と一体に成形された他の一部には、図6に示しているように嵌込溝48と雌ねじ孔50とが設けられており、図7に示しているようにその嵌込溝48に底板46が嵌め込まれ、回転方向に位置決めされた状態で、かかる底板46が底板46の挿通孔を挿通した固定ねじ52にて上方から固定されている。
【0030】
本実施形態において、切断装置18は生ごみを5〜30mmの大きさに粗切状態に切断するもので、この底板46には粗切状態に切断された生ごみが通過可能な円形の排出穴54と、大きな半円形状をなす切欠穴形状の排出穴56とが、底板46を上下に貫通する状態で設けられている。
また中心部には回転軸42を回転可能に挿通する円形の且つ貫通の嵌込孔57が設けられている。
この底板46にはまた、回転軸42から互いに逆方向に離隔した位置において、断面形状が三角形状をなす縦刃58がその上面から上向きに起立する状態で設けられている。
この縦刃58は生ごみを縦に切断するためのもので、幅方向両端縁に沿って鋭角をなす刃部60が形成されている。
【0031】
図2に示しているように、切断容器30の内部には回転軸42に沿って蓋36の直下の最上位置に、中心部から径方向に延びる第1回転刃62が、また底板46の直上の最下位置に中心部から径方向に延びる第2回転刃64が、それぞれ回転軸42と一体回転する状態で設けられている。
また第1回転刃62の直下には、第1回転刃62に対して相対摺動可能に接して第1回転刃62とともに生ごみを挟み込んで切断する第1固定刃66が、また第2回転刃64の直上には、第2回転刃64に対して相対摺動可能に接して第2回転刃64とともに生ごみを挟み込んで切断する第2固定刃68が設けられている。
【0032】
第1回転刃62,第2回転刃64,第1固定刃66及び第2固定刃68のそれぞれは、図5に示しているように横断面形状が台形状(四角形状)をなす金属製の棒状体にて構成されており、そして第1回転刃62は長辺側の底を下向きにして、また第1固定刃66は長辺側の底を上向きにして設けられている。
更に第2回転刃64は長辺側の底を上向きにして、また対応する第2固定刃68は長辺側の底を下向きにしてそれぞれ配設されている。
【0033】
更にこの実施形態では、図2〜図5に示しているように第1回転刃62,第2回転刃64,第1固定刃66及び第2固定刃68の何れも、中心部から切断容器30の周壁に向かって径方向に且つ片側にだけ延びる各1本の棒状体にてそれぞれ単独に設けられている。
但し第1固定刃66と第2固定刃68とは、円筒形状をなす切断容器30の直径方向に一直線状に延びる状態に、互いに逆向きに設けられており、また一方第1回転刃62と第2回転刃64とは、回転軸42に対して同じ側に且つ同一回転位相、即ち上下に互いに重なり合う状態に設けられている。
【0034】
これらの第1回転刃62,第2回転刃64,第1固定刃66及び第2固定刃68のそれぞれには、図5の部分拡大図に示しているように長辺側の底の幅方向端縁に沿って径方向に延びる鋭角の刃部70が形成されている。
第1回転刃62及びこれと対をなす第1固定刃66は、それら刃部70にて生ごみを回転方向に挟み込み、剪断作用で生ごみを切断する。
また同様に第2回転刃64及びこれと対をなす第2固定刃68も、各刃部70にて生ごみを回転方向に挟み込み、剪断作用でこれを切断する。
【0035】
上記回転軸42の上部43には、図5に示しているように切落し形状の平坦な係合面72が形成されている。
これに対応して第1回転刃62及び第2回転刃64には、その係合面72に対応した平坦な係合面74を有する係合孔(嵌込孔)76が設けられており、第1回転刃62及び第2回転刃64は、それら係合孔76において回転軸42の上部43に嵌め込まれ、かかる回転軸42と一体回転させられるようになっている。
【0036】
一方第1固定刃66,第2固定刃68は、それぞれと対をなす第1回転刃62,第2回転刃64よりも径方向に長く延びていて、各先端部が切断容器30の周壁内面に形成された嵌込溝80,82(図2,図6参照)に図中上から下向きに嵌め込まれ、回転方向に位置決め且つ固定状態とされている。
また基端側には円形の且つ上下に貫通の挿通孔(嵌込孔)78が形成されており、各挿通孔78において回転軸42を回転可能に挿通させる状態に回転軸42の上部43に嵌め込まれている。
尚嵌込溝80,82は、それぞれ図3,図6に示しているように上端が上向きに開放されており、第1固定刃66及び第2固定刃68の各先端を、それぞれ図中上方から下向きに嵌込可能且つ図中下方から上向きに抜出可能とされている。
【0037】
上記最下位置の第2回転刃64には、図2に示しているように底板46上に起立状態に設けられた縦刃58に対応する位置において、自身の回転時に縦刃58を通過させる切欠が設けられており、その切欠の縁部が回転側の縦刃94とされている。
【0038】
上記の第2回転刃64,第2固定刃68,第1固定刃66及び第1回転刃62は、図5に示しているようにそれぞれ回転軸42に対して、詳しくはその上部43に対して図中上方から下向きに嵌込可能であり、また第2固定刃68,第1固定刃66についてはその先端部が、それぞれ切断容器30の周壁内面に形成された嵌込溝82,80に対し図中上方から下向きに嵌込可能であり、そしてその状態で第2回転刃64,第2固定刃68,第1固定刃66,第1回転刃62のそれぞれが、円錐台形状をなす抜止部材84、更にその抜止部材84の中心部の貫通孔86を貫通して回転軸42の上端面に形成された雌ねじ孔88にねじ込まれた固定ねじ90により、回転軸42から抜止状態にそれぞれ組付固定されている。
【0039】
回転軸42の上部43の基端には、図2に示す段付部92が形成されており、その段付部92にて最下位置の第2回転刃64の上下方向位置が定められている。
尚第2固定刃68の先端部は、前記嵌込溝82の下端の段付面96にて下側から支持され、また第1固定刃66の先端部は嵌込溝80の下端の段付面98にて下側から支持されている。
【0040】
図8において、100は屋外に設置された処理装置で、排水(搬送水)とともにここに送られて来た切断後の生ごみが、この処理装置100にて処理される。
この処理装置100はケーシング101の内部に固液分離装置102と乾燥装置104とを有している。
【0041】
固液分離装置102は、細幅のスクリーンバー106をそれらの間に隙間形成する状態で幅方向に多数連設して成る濾過スクリーン108を有しており、流入口110から流入した切断後の生ごみと排水とを含む被処理物を、濾過スクリーン108の図8中上面即ち濾過面で受けて排水のみをスクリーンバー106と106との間の隙間を通じて下方に落下させ、固形分の切断後の生ごみを濾過面上に残して固液分離する。
【0042】
而して濾過スクリーン108の濾過面上に残った固形分の生ごみは、モータ112にて駆動され、スクリーンバー106と106との間の隙間を走行する掻取爪114にて図中上向きに搬送され、投入口116からその搬送先の乾燥容器118内の乾燥室120に投入される。
尚投入口116にはこれを開閉するシャッター124が設けられている。
ここでシャッター124は固形分の生ごみを乾燥室120に投入する際には開状態に保持される。
一方濾過スクリーン108から下方に落下した排水は排出口126から下水として外部に排出される。
【0043】
上記乾燥装置104は、乾燥室120の内部にモータ128にて回転駆動される撹拌羽根130を有しており、この撹拌羽根130にて乾燥室120に投入された固形分の生ごみが撹拌作用を受けながら、乾燥用ヒータ132により加熱されて乾燥処理される。
この乾燥装置104は、乾燥ファン134及びこれを駆動するモータ136を備えており、乾燥ファン134にて送風された空気が乾燥用ヒータ132により加熱されて、乾燥室120の内部の固形分の生ごみに吹き付けられる。
尚乾燥ファン134は吸気口138からの吸気と、乾燥室120の内部に発生した水蒸気及び臭気を投入口116を通じて図8中上方に排気するためのファンも兼ねている。
【0044】
処理装置100のケーシング101には、生ごみの乾燥物を取り出すための取出口140と、これを開閉する扉142とが設けられている。
【0045】
本実施形態では、次のようにして生ごみを切断する。
詳しくは、蓋36を開いた状態で切断容器30内部に生ごみを投入し、その後蓋36を閉じて流し台水栓16から給水を行いつつ、モータ44を起動させて回転軸42を回転させる。
すると切断容器30内部の最上位置の第1回転刃62と、最下位置の第2回転刃64とが回転軸42と一体に回転し、その回転に伴って第1回転刃62と第1固定刃66、及び第2回転刃64と第2固定刃68とで、投入された生ごみを回転方向に挟み込み、剪断作用でこれを切断する。
【0046】
本実施形態の生ごみの切断装置18にあっては、切断機構を成す切断容器30内部の第1回転刃62,第1固定刃66,第2固定刃68及び第2回転刃64、更には底板46を、切断容器30,回転軸42をそのままにして投入口32即ちシンク底部12Aの排水口13を通じて容易に組付位置から分解して上方に取り出し、或いはまた切断容器30内部の所定位置に容易に再組付けすることができる。
具体的には、先ず図9に示しているように回転軸42の上端部にねじ込み固定された固定ねじ90による固定を解除して、抜止部材84を外し、これを取り出す。
この状態において第1回転刃62,第1固定刃66,第2固定刃68,第2回転刃64に対する抜止状態が解除される。
そこで第1回転刃62,第1固定刃66,第2固定刃68及び第2回転刃64を、回転軸42から次々と抜いて投入口32即ち排水口13を通じて上方に取り出す。
【0047】
その上で、図10に示しているように底板46を固定している固定ねじ52を、シンク底部12Aの排水口13を通じて外し、底板46に対する固定を解除することで、底板46を同じくシンク底部12Aの排水口13を通じて上方に取り出すことができる。
尚、当然ながら第1回転刃62,第1固定刃66,第2固定刃68,第2回転刃64及び底板46は、何れもシンク底部12Aの排水口13を通じて上方に抜出可能な形状,大きさとされている。
【0048】
尚上方に抜き出した第1回転刃62,第1固定刃66,第2固定刃68,第2回転刃64及び底板46は、基本的に上記とは逆の手順に従ってシンク底部12Aの排水口13を通じ、切断容器30内部に再組付けすることができる。
【0049】
本実施形態の生ごみの切断装置18は、抜止部材84を外すことによりそれら第1回転刃62,第1固定刃66,第2固定刃68,第2回転刃64及び底板46を排水口13より上方に取出可能且つ再組付可能であり、第1回転刃62,第1固定刃66,第2固定刃68,第2回転刃64のメンテナンスや交換の必要が生じたときの交換作業を簡単に行うことができる。
また排水口13から切断容器30の内部に物品を落としたような場合においても、それらを外し排水口13から取り出すことで簡単に落した物品を排水口13から取り出すことができる。
【0050】
特に本実施形態では、切断容器30の底部を構成する底板46もまた、切断容器30から分解して上方に取出可能であることから、底板46自体の掃除やその他のメンテナンス、或いはまたその交換を行うことも可能であるとともに、その底板46の更に下側に物品が落ちたような場合においても、その底板46を外すことによってこれを容易に取り出すことができる。
【0051】
本実施形態の生ごみの切断装置18はまた、切断容器30をそのままにして内部の第1回転刃62,第1固定刃66,第2固定刃68,第2回転刃64及び底板46を回転軸42から順に上方に取出可能であり、従って円筒状の容器(ハウジング)を内,外に2つ必要とすることもなく構造も簡単であって、各部材の脱着を簡単に行うことができ、また回転軸42を上下に分割する必要がなく、従って再組付けに際して分割した回転軸42の上部と下部とを一体回転状態に連結する必要もなく、その際の回転軸42の上部と下部との一体回転状態の連結に困難を伴うといった問題も生じない。
【0052】
本実施形態ではまた、切断容器30の周壁の内面に、上下に延び且つ上端が開放、下端が段付面98,96をなす嵌込溝80,82を設けて、そこに第1固定刃66,第2固定刃68の先端部を上方に抜出可能に嵌め込んで固定していることから、第1固定刃66,第2固定刃68を回止め状態にしっかりと固定でき、且つその脱着を容易に行うことができる。
【0053】
また本実施形態では、底板46に固定ねじ52の挿通孔を設けるとともに、切断容器30には対応する雌ねじ孔50を設け、固定ねじ52の雌ねじ孔50への上方からのねじ込みにより、底板46を切断容器30に組付固定しており、従って底板46もまた簡単に排水口13を通じて上方から簡単に取付け,取外し作業することができる。
【0054】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態である生ごみの切断装置を流し台とともに示す図である。
【図2】図1の生ごみの切断装置を示す断面図である。
【図3】図2の一部切欠斜視図である。
【図4】図2の平面図である。
【図5】図2の生ごみの切断装置の各部品を分解して示す斜視図である。
【図6】同実施形態の切断容器の下部を単体で示す図である。
【図7】同切断容器の内部を、回転刃及び固定刃を取り出した状態で示す平面図である。
【図8】切断後の生ごみを処理する処理装置を示す図である。
【図9】図2の分解図である。
【図10】同実施形態の切断容器の底板を取り出した状態で示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
12 シンク
12A シンク底部
13 排水口
18 切断装置
30 切断容器
42 回転軸
46 底板(底部部材)
48 嵌込溝
50 雌ねじ孔
52 固定ねじ
54 排出穴
56 排出穴
57 嵌込孔
62 第1回転刃
64 第2回転刃
66 第1固定刃
68 第2固定刃
76 係合孔(嵌込孔)
78 挿通孔(嵌込孔)
80,82 嵌込溝
84 抜止部材
96,98 段付面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)キッチンのシンクの底部の排水口に内部を連通させる状態に該シンクの下側に設けられた生ごみの切断容器と
(b)該切断容器の底部を構成する部材であって、切断後の生ごみを排出する排出穴が形成された、該切断容器とは別体をなす底部部材と
(c)該切断容器の中心部に配設された回転軸と
(d)該切断容器の内部に設けられて該回転軸に一体回転状態に組み付けられた、該切断容器の中心部から径方向に延びる回転刃と
(e)該切断容器内部に設けられて前記回転軸を相対回転させる状態に該回転軸に組み付けられ、前記切断容器の中心部から径方向に延びる、前記回転刃とともに生ごみを切断する固定刃と
を有しており、前記回転刃,固定刃及び底部部材は何れも前記排水口より上方に抜出可能な大きさに形成されているとともに、それら回転刃,固定刃及び底部部材のそれぞれには上下に貫通する嵌込孔が設けられていて、該回転刃については該嵌込孔において前記回転軸に対し上方から下方に一体回転状態に嵌め込まれ、前記固定刃及び底部部材については該嵌込孔において該回転軸を相対回転させる状態に該回転軸に上方から下方に嵌め込まれて組み付けられており、且つ該回転軸の上端部には前記回転刃,固定刃及び底部部材に対する抜止部材が取外し可能に組み付けられていて、該抜止部材を取り外すことによりそれら回転刃,固定刃及び底部部材が該回転軸から上方に分離及び前記排水口より取出可能、且つ前記切断容器内部に再組付可能とされていることを特徴とする生ごみの切断装置。
【請求項2】
請求項1において、前記切断容器の周壁の内面には上下に延び且つ上端が開放、下端が段付面とされた嵌込溝が設けられており、前記固定刃の先端部が、該嵌込溝に対して上方に抜出可能に嵌め込まれ固定されていることを特徴とする生ごみの切断装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記底部部材には固定ねじの挿通孔が設けられているとともに、前記切断容器には対応する雌ねじ孔が設けられており、該固定ねじの該雌ねじ孔への上方からのねじ込みにより、該底部部材が該切断容器に組付固定されていることを特徴とする生ごみの切断装置。
【請求項4】
請求項3において、前記切断容器には前記底部部材を回転方向に位置決めする嵌込溝が形成されており、該嵌込溝に対し該底部部材が上方に抜出可能に嵌め込まれていることを特徴とする生ごみの切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−334476(P2006−334476A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160148(P2005−160148)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】