説明

生ごみ処理システム

【課題】生ごみ処理機から排出される処理水を再度分解処理して排出することが可能な生ごみ処理システムを提供する。
【解決手段】生ごみ処理システムSは、処理水を貯留する処理槽内にある生ごみを、処理水中に生息する微生物の活動により分解処理する生ごみ処理機B、該生ごみ処理機Bから排出される処理水を分解処理して排出する補助生ごみ処理機1により構成され、補助生ごみ処理機1からの処理水は公共下水道2へ排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみを分解処理して排出する生ごみ処理システムに関し、特に生ごみ処理機に補助生ごみ処理機を設けた生ごみ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭において日々発生するごみの減量が社会的な課題となっており、この課題を解決するための一つの手段として、主として厨房の周りに発生する生ごみを分解処理する生ごみ処理機が種々提案されている。
【0003】
生ごみ処理機としては、ウェット式の生ごみ処理機がある。この生ごみ処理機は、搬送槽から処理槽に搬送される生ごみ水を、該処理槽の内部に配した攪拌体の動作により処理水と共に攪拌して、該処理水中に導入された前記微生物の活動により分解処理する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、処理槽内部の処理水には、例えば、多孔質の発泡体として構成されたバイオ基材を密に浮遊させておくことにより、処理能力を向上させ得ることが知られている。このバイオ基材は、前記微生物の生息域を確保し、処理槽内に投入される生ごみを留め、微生物との接触機会を高める作用をなすものである。
【0005】
分解処理後の処理水は浄化槽へ排出される。浄化槽は嫌気ろ床槽、接触曝気床槽及び沈殿槽から構成され、浄化槽にて排水基準に達した水が公共下水道に排出される。
【特許文献1】特開2002−336830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、生ごみが連続投入されて処理量が増大した場合、生ごみ処理機から浄化槽へ排出される処理水も増大する。生ごみの処理量増大に伴い生ごみ処理器からは十分に分解の行われていない高濃度の処理水が浄化槽へ流れ込むことになる。そのため、高い処理能力を持つ浄化槽または容量の大きい浄化槽を用意する要請が高まってきている。ところが、浄化槽の処理能力にも限界があり、またスペースの問題上あまりに大きい浄化槽を用意することもできない。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、生ごみ処理機に補助生ごみ処理機をさらに設けることにより、生ごみ処理機から排出される処理水を再度分解処理して排出することが可能な生ごみ処理システムを提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、水タンク内の処理水を排出する排出手段を所定時間間隔で所定時間作動させることにより、効率よく処理水が補助生ごみ処理機を排出することが可能な生ごみ処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、生ごみを分解処理して排出する生ごみ処理システムにおいて、処理水を貯留する処理槽内にある生ごみを、前記処理水中に生息する微生物の活動により分解処理する生ごみ処理機と、該生ごみ処理機から排出される処理水を分解処理して排出する補助生ごみ処理機とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、前記補助生ごみ処理機は、処理水を貯留する水タンクと、該水タンク内の処理水を撹拌する撹拌手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、前記補助生ごみ処理機は、前記水タンク内の処理水へ外部の空気を送り込む曝気手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、前記補助生ごみ処理機は、前記水タンク内の処理水を外部へ排出する排出手段と、該排出手段を所定時間間隔で所定時間作動させる制御手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、前記補助生ごみ処理機は、生ごみを分解処理する微生物を前記水タンク内へ供給する供給手段をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、前記生ごみ処理機は、前記処理槽内の処理水を前記補助生ごみ処理機へ排出する主排出手段と該主排出手段を所定時間間隔で所定時間作動させる主制御手段とを備え、前記主制御手段及び前記制御手段とを同期する同期手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、前記補助生ごみ処理機に補助生ごみ処理機をさらに一または複数連結したことを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、処理水を貯留する処理槽内にある生ごみを、処理水中に生息する微生物の活動により分解処理する生ごみ処理機から排出される処理水を、補助生ごみ処理機によりさらに分解処理を行う。補助生ごみ処理機での分解処理の後、外部へ排出するようにしたので、生ごみ処理量が増加した場合でも、高濃度の処理水が外部へ排出される虞がなくなる。
【0017】
本発明にあっては、補助生ごみ処理機に設けられる水タンク内に処理水を撹拌する撹拌手段を設けたので、さらに水質の浄化を図ることが可能となる。
【0018】
本発明にあっては、補助生ごみ処理機に水タンク内の処理水へ外部の空気を送り込む曝気手段を設けたので、水タンク内の処理水に酸素が供給される。
【0019】
本発明にあっては、水タンク内の処理水を外部へ排出する排出手段を設け、制御部により排出手段を所定時間間隔で所定時間作動させるので、生ごみ処理機からの処理水が分解処理された後に所定量だけ排出されるので、高濃度の処理水が大量に外部へ排出される事態を防止することが可能となる。
【0020】
本発明にあっては、生ごみ処理機は、処理槽内の処理水を補助生ごみ処理機へ排出する主排出手段及びこれを所定時間間隔で所定時間作動させる主制御手段を備える。そして、生ごみ処理機の主制御手段と補助生ごみ処理機の制御手段とを同期手段により同期させるので、生ごみ処理機から排出される排出水量と補助生ごみ処理機から排出される排出水量とが一致し、安定した生ごみの分解処理が可能となる。
【0021】
本発明にあっては、補助生ごみ処理機にさらに補助生ごみ処理機を一または複数連結して構成したので、より分解処理の進んだ処理水を排出することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、生ごみ処理機から排出される処理水を排出する前に補助生ごみ処理機によりさらに分解処理を行い、補助生ごみ処理機での分解処理後の処理水を、外部へ排出するようにしたので、生ごみ処理量が増加した場合でも、高濃度の処理水が外部へ排出される虞がなくなる。また、この補助生ごみ処理機により排出基準を満たすことができる場合、浄化槽を設ける必要もなくなる。また、補助生ごみ処理機により分解処理をあるレベルにまで行うことにより、小型の浄化槽でもって生ごみ処理システムを構築することができるという効果も生じる。
【0023】
本発明にあっては、補助生ごみ処理機に設けられる水タンク内に処理水を撹拌する撹拌手段を設けたので、効率よく分解処理が行われ、さらに水質の浄化を図ることが可能となる。
【0024】
本発明にあっては、補助生ごみ処理機に水タンク内の処理水へ外部の空気を送り込む曝気手段を設けたので、微生物により多くの酸素を供給でき、さらに分解処理能力を高めることが可能となる。
【0025】
本発明にあっては、水タンク内の処理水を外部へ排出する排出手段を設け、制御部により排出手段を所定時間間隔で所定時間作動させるので、生ごみ処理機からの処理水が分解処理された後に所定量だけ排出されるので、一度に高濃度の処理水が大量に外部へ排出される事態を防止することが可能となる。
【0026】
本発明にあっては、生ごみ処理機の主制御手段と補助生ごみ処理機の制御手段とを同期手段により同期させるので、生ごみ処理機から排出される排出水量と補助生ごみ処理機から排出される排出水量とが一致し、補助生ごみ処理機が大量の生ごみ処理機からの処理水によりオーバフローする事態を防止でき、また生ごみの分解処理を安定して行うことが可能となる。
【0027】
本発明にあっては、生ごみ処理機に補助生ごみ処理機を複数連結して構成したので、より分解処理の進んだ処理水を外部へ排出でき、その結果、浄化槽をなくす、または浄化槽をコンパクトにすることも可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
実施の形態1
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る生ごみ処理システムの概要を示す模式図である。本発明に係る生ごみ処理システムSは、ディスポーザ3,生ごみ処理機B,補助生ごみ処理機1を含んで構成される。ディスポーザ3は、水供給部31から供給される水と共に投入される生ごみを破砕する。破砕後の水を含む生ごみは所定のタイミングで生ごみ水排水管32を通じて生ごみ処理機Bへ排出される。生ごみ処理機Bでの微生物による分解処理の後、処理水はオーバフロー管B10を経て補助生ごみ処理機1へ排出される。
【0029】
補助生ごみ処理機1で処理され、排出基準を満たした処理水は排出管11を通じて公共下水道2へ排出される。なお、本実施の形態においては補助生ごみ処理機1からの処理水を直接公共下水道2へ排出する構成としたがこれに限るものではなく、公知の浄化槽(図示せず)を経てから公共下水道2へ排出する構成としても良い。すなわち、補助生ごみ処理機1の排出管11から排出される処理水を浄化槽へ排出し、当該浄化槽にて曝気等を行って排出基準をクリアした後に、公共下水道2へ排出する構成としても良い。
【0030】
図2は生ごみ処理機Bの形態を模式的に示す縦断面図である。図中B1は処理槽であり、頂部が縮径されたポット形の中空容器として構成されている。
【0031】
処理槽B1の内部には、所定の深さを有して処理水B2が貯留されており、該処理水B2中には、バイオ基材B3,B3…が浮遊させてある。これらのバイオ基材B3,B3…は、後述の如く導入される微生物の生息域を提供すべく多孔質の発泡体として構成されており、処理水B2の1/3の深さ範囲を占めて、水面を密に覆うように浮遊させてある。
【0032】
処理槽B1の周壁には、オーバフロー管B10が連結されている。これの開口位置を超えた処理水B2はこのオーバフロー管B10を通じて、補助生ごみ処理機1へ排出される。オーバフロー管B10は、また処理槽B1内部の処理水B2の水位を一定に保つ作用をなすものであり、オーバフロー管B10の開口位置には、フィルタB11が付設され、該フィルタB11を透過した清浄な水が排水されるようになしてある。
【0033】
ディスポーザ3と生ごみ処理機Bとを連結する生ごみ水排水管32は処理槽B1の側壁を貫通しており、生ごみ水排水管32から搬送される生ごみ水は、処理水B2の水面を覆うバイオ基材B3,B3…の上に供給される。処理水B2を排水する排水管B12は処理槽B1内部に設けられる。排水管B12は先端が処理槽B1の深部に位置し、中途で処理槽B1の側壁を貫通して外部に突出している。排水管B12は主排出手段としての排水ポンプBPにより、処理水B2を汲み上げ、オーバフロー管B10を経由して、補助生ごみ処理機1へ処理水B2を排水する。主制御手段としての排水制御部B13は排水ポンプBPを予めプログラムされたタイミングで所定時間作動させる。
【0034】
このタイミングは、例えば排水ポンプBPを前回に作動させてから2時間経過後にA分作動させる等の制御を行えばよい。なお、この排水ポンプBPを作動させるタイミングは、これ以外であっても良く、例えばディスポーザ3の作動等をトリガーに所定時間排水ポンプBPを作動させるようにしても良い。さらに、本実施の形態においては排水手段を、排水ポンプBPを適用した形態を示したが、これに限るものではなく排水が可能な他の形態、例えば、開閉可能なバルブを設けるほか、処理槽B1底部に開閉可能なシャッターを設けて処理水B2を排水し、このシャッターの作動を排水制御部B13で制御する形態であっても良い。
【0035】
処理槽B1の内部には、線画により略示するスクリュー形の撹拌手段としての攪拌体B4が、中心軸に沿って上下に架設されている。この攪拌体B4は、処理槽B1の頂部外側に固定された駆動モータB40に連結されており、該駆動モータB40からの伝動により軸回りに回転し、処理水B2及びバイオ基材B3,B3…を攪拌するように構成されている。なお撹拌手段はこれ以外の形態であっても良く、例えば処理槽B1に設けられる水中ポンプであっても良い。この水中ポンプは処理槽内B1の処理水B2を吸排水することにより、処理水B2を攪拌する。
【0036】
図示の生ごみ処理機Bは、補給水タンクB5及び供給手段としてのバイオタンクB6を更に備えており、これらは、給水管B50及び導入管B60を介して処理槽B1の上部に夫々連結されている。補給水タンクB5は、図示しない水道管に接続されており、該補給水タンクB5の内部には、水道管から供給される補給水B51が貯留させてある。
【0037】
図示の如く補給水タンクB5には、内部に滞留する補給水B51の水面に浮かぶ浮き玉B52を備え、該浮き玉B52の上下動に応じて機械的に開閉される公知のボールタップB53が付設されており、補給水タンクB5の内水位は、ボールタップB53の開閉動作により水道管からの給水を通断することにより一定に維持されている。このように補給水タンクB5に貯留された補給水B51は、給水管B50の中途に設けた給水弁B54の開放に応じて処理槽B1の内部に補給される構成となっている。
【0038】
またバイオタンクB6の内部には、食品発酵菌、酵母菌等、有機物を分解する能力を有する微生物を多数含有するバイオ液B61が貯留されており、このバイオ液B61は、導入管B60の中途に設けた供給弁B62の開放に応じて処理槽B1の内部に導入される。
【0039】
更に図2に示す生ごみ処理機Bは、補給水タンクB5の内部に配設されたマイクロバブル発生器B7を備えている。このマイクロバブル発生器B7は小容量のポンプを内蔵しており、該ポンプの吸込側に補給水タンクB5の外部に連通する吸気管B70を接続して構成されている。
【0040】
このように構成されたマイクロバブル発生器B7は、内蔵ポンプが駆動された場合、補給水タンクB5の内部に貯留された補給水を吸い込み、該補給水タンクB5の内部に吐き出す動作をなす。このとき吸気管B70には、内蔵ポンプの吸込側に発生する負圧の作用により外気が吸い込まれて、この吸気により内部に生成される空気塊が回転せん断により細かく破砕され、1/100〜3/100mm程度の直径を有する微細な気泡(マイクロバブル)が発生し、吐出水と共に補給水タンクB5内に放出される。このように放出されるマイクロバブルB71は、気泡の大きさが小さく、浮力が小さいので気体のままで水中に長時間止まることができ、補給水タンクB5の内部の補給水は、多くの空気(酸素)が溶存する水となる。
【0041】
以上の如く構成された生ごみ処理機Bは、処理槽B1の内部に予め所定水位の処理水B2を貯留し、該処理水B2にバイオ基材B3,B3…を浮遊させた状態で使用される。この状態で図示しない運転スイッチをオン操作すると、導入管B60の中途の供給弁B62が開放され、バイオタンクB6から定量のバイオ液B61が導入され、次いで、駆動モータB40からの伝動により攪拌体B4が駆動され、処理水B2及びバイオ基材B3,B3…が所定時間攪拌されて運転準備が完了する。
【0042】
以上の運転準備動作により、バイオ液B61中に含有された有機物を分解する微生物が処理槽B1内に導入され、攪拌体B4の回転により処理水B2及びバイオ基材B3,B3…と共に攪拌される結果、前記微生物は、多孔質の発泡体を用いてなるバイオ基材B3,B3…を住処として均等に分散された状態にて生息する。
【0043】
その後、生ごみ水排水管32から生ごみ水が搬送されると、生ごみ処理機Bは処理運転を開始し、駆動モータB40の間欠駆動により攪拌体B4が所定の周期にて回転せしめられ、処理水B2及びバイオ基材B3,B3…は、例えば、15分のインターバル毎に5分間攪拌される。この動作により、生ごみも攪拌され、処理水B2の水面を覆うバイオ基材B3,B3…と均等に混ぜ合わされ、これらのバイオ基材B3,B3…中に生息する微生物の活動により、水と炭酸ガスとに分解されて消失する。
【0044】
このような処理運転中、給水管B50の中途の給水弁B54も所定の周期毎に開放され、補給水タンクB5内の補給水B51が給水管50を経て処理槽B1内に補給される。これにより、微生物の活動によって消費される酸素が処理水B2中に定期的に供給されることとなり、前記微生物の活性が長期に亘って良好に維持され、生ごみの分解処理能力を高く保つことができる。
【0045】
ここで補給水タンクB5の内部に貯留された補給水B51は、マイクロバブル発生器B7が発生するマイクロバブルを含んでおり、前述の如く、多量の空気(酸素)が溶存する水であることから、少ない回数の水補給により多くの酸素を処理水B2に、より詳しくは、処理水B2中に生息する微生物に供給することができ、生ごみの分解処理能力を高く維持しながら消費水量の大幅な低減を図ることができる。
【0046】
以上の如き補給水B51の補給は、攪拌体B4による攪拌動作中に行わせるのが好ましい。これにより補給水B51中に溶存する酸素は、供給直後に処理水B2及びバイオ基材B3,B3…と共に攪拌され、夫々のバイオ基材B3,B3…中に生息する微生物に有効に分散されて供給されることとなり、処理槽B1の内部全域に亘って微生物の活性を高め、生ごみの分解処理能力を高く維持することができる。
【0047】
攪拌体B4による攪拌動作中の水補給は、生ごみ処理機の運転を制御すべく設けられる制御部の動作により、例えば、複数回の攪拌動作毎に実施させることができる。またこの
ように水補給が定期的に実施される場合には、この補給動作に先立ってマイクロバブル発生器B7を動作させることにより、可及的に多くの酸素が溶存する補給水B51を補給することが可能となる。なお以上の如き補給水B51の供給による処理水B2の増加分は、フィルタB11を経てオーバフロー管B10から排水されるから、処理槽B1内部の処理水B2は、常に一定レベルに保たれる。
【0048】
更に以上の処理運転中においては、バイオタンクB6からのバイオ液B61の導入も周期的に実施される。この導入は、例えば、6時間毎程度の長周期にて行わせれば十分であり、補給水B51の補給におけると同様に、攪拌体B4による攪拌動作中に行わせるのが好ましい。
【0049】
図3は補助生ごみ処理機1の形態を模式的に示す縦断面図である。補助生ごみ処理機1は水タンク13,撹拌手段としての水中ポンプ14,曝気手段としてのエアポンプ18、排出手段としての電動バルブ121,排出管11、制御手段としての制御部12、供給手段としてのバイオタンク16,及び水位スイッチ17を含んで構成される。
【0050】
補助生ごみ処理機1も生ごみ処理機Bと同様に頂部が縮径されたポット形の中空容器として構成されており、水タンク13にはオーバフロー管B10が連結されており、生ごみ処理機Bからの処理水15がバイオ基材19、19…と共に水タンク13内に貯留されている。水中ポンプ14は水タンク13底面に固定されており、下部に位置する吸引口141より、水タンク13内の深部にある処理水15を吸引する。水中ポンプ14は該水中ポンプ14下部から上部方向へ延設された撹拌用排水管142を備え、吸引口141より吸い込んだ処理水15を、撹拌用排水管142を経由させて循環排水する。これにより、バイオ基材19を含む水タンク13内の処理水が撹拌され、さらに効率よく浄化することが可能となる。なお、撹拌手段として、生ごみ処理機Bで用いたスクリュー形の攪拌体B4を用いても良いことはいうまでもない。
【0051】
補助生ごみ処理機1は供給手段としてのバイオタンク16を更に備えており、導入管160を介して水タンク13の上部に連結されている。バイオタンク16の内部には、食品発酵菌、酵母菌等、有機物を分解する能力を有する微生物を多数含有するバイオ液161が貯留されており、このバイオ液161は、導入管160の中途に設けた供給弁162の開放に応じて水タンク13の内部に導入される。
【0052】
水タンク13上部にはバイオタンク16に隣接させてエアポンプ18が設置されている。エアポンプ18は水タンク13外の空気を吸入し、エア管181を通じて吸入した空気を水タンク13内へ送り込む。エア管181は側面視においてコの字型をなし、水タンク13の上壁を貫通して底部へ向けて延設され、そこから底部に沿うように90度折り曲げられて、さらに延設されている。水タンク13底部に沿って延設されたエア管181の先端からは吸入された空気が排出され、処理水15中の微生物に酸素を効率よく供給することが可能となる。なお、水タンク13に貫通されたエア管181に図示しない空気穴を適宜の箇所に複数設け、この空気穴から吸入した空気を処理水15中に排出するようにしても良い。なお、本実施の形態においては供給手段としてエアポンプ18を用いたが、これに限るものではなく例えば図2に示す補給水タンクB5内の、マイクロバブル発生器B7を用いる形態であっても良い。
【0053】
以上の如く構成された補助生ごみ処理機Bは、水タンク13の内部に予め所定水位の処理水15を貯留し、該処理水15にバイオ基材19,19…を浮遊させた状態で使用される。この状態で図示しない運転スイッチをオン操作すると、導入管160の中途の供給弁162が開放され、バイオタンク16から定量のバイオ液161が導入され、次いで、水中ポンプ14が駆動され、処理水15及びバイオ基材19、19…が所定時間攪拌される。さらに適宜のタイミングでエアポンプ18が作動し、外気がエア管181を通じて水タンク13内に供給され曝気が行われる。
【0054】
処理水15の公共下水道2への排出は電動バルブ121、排出管11,制御部12,プログラムテーブル122,操作部123及び水位スイッチ17により行われる。電動バルブ121は制御部12の指示によりバルブが開閉制御され、水タンク13内の処理水15が排出管11を経て公共下水道2へ排出される。制御部12はCPU(Central Processing Unit:図示せず)及びRAM(Random Access Memory:図示せず)を含んで構成される。制御部12は操作部123、プログラムテーブル122、水位スイッチ17及び生ごみ処理機Bの排水制御部B13に電気的に接続されている。なお、制御部12と排水制御部B13とは無線により情報を送受信するようにしても良い。
【0055】
制御部12はプログラムテーブル122に基づき、電動バルブ121を所定時間間隔で所定時間作動させる。図4はプログラムテーブル122のレコードレイアウトを示す説明図である。プログラムテーブル122はプログラムモードフィールド、タイミングフィールド及び作動時間フィールドから構成される。プログラムモードフィールドには登録された電動バルブ12の制御モードが記憶されている。タイミングフィールドには電動バルブ121を前回開状態とすべく作動させてから次に電動バルブ121を開状態とすべく作動させるまでの時間が、モードに対応させて記憶されている。作動時間フィールドには、電動バルブ121を開状態となるよう作動を開始してから、閉状態となるよう作動を終了するまでの作動時間がモード別に記憶されている。
【0056】
例えば、モード1は電動バルブ121を前回作動させた後8時間経過後に再び開状態となるよう作動させる。モード1においては、その開状態を維持する作動時間は4A分と記憶されており、4A分開状態を維持するよう電動バルブ121を作動させ、4A分経過後には閉状態へ移行させ作動を終了する。またモード2は電動バルブ121を前回作動後の6時間経過後に再び開状態となるよう作動させる。モード2においては、その作動時間は3A分と記憶されており、3A分開状態を維持するよう電動バルブ121を作動させ、3A分経過後に閉状態に移行させて作動を終了する。制御部12はプログラムテーブル122を参照しながら、電動バルブ121を作動させる。なお、本実施の形態においては排出手段として電動バルブ121を用いて説明したが処理水15を排出できる構成であれば他の形態であっても良い。例えば、開閉可能なシャッターを設け、シャッターを所定時間間隔で所定時間作動させる形態であっても良い。また、図2で示した排水ポンプBPを電動バルブに代えて用い、この排水ポンプBPを所定時間間隔で所定時間作動させ、処理水15排出するようにすればよい。
【0057】
制御部12に接続される操作部123は例えばタッチパネルにより構成され、上述したプログラムを適宜選択することができるほか、各モードの電動バルブ121を作動させる時間間隔及び作動時間を適宜変更することもできる。操作部123から入力された情報は制御部12へ出力され、制御部12は入力された情報を元にプログラムテーブル122の内容を適宜変更する。
【0058】
補助生ごみ処理機1の制御部12と生ごみ処理機Bの主制御部たる排水制御部B13は同期をとって動作すべくプログラムテーブル122を共有している。制御部12及び排水制御部B13は共に同期手段としてのプログラムテーブル122を参照し、所定のタイミングで所定時間排水ポンプBPまたは電動バルブ121を作動させる。また、操作部123からプログラムテーブル122の内容が変更された場合は、この変更内容が制御部12及び排水制御部B13の制御処理に同時に反映されることになる。これにより、生ごみ処理機Bからの排出量と、補助生ごみ処理機1からの排出量とが略同一となり大量の処理水が生ごみ処理機Bから補助生ごみ処理機1へ排出されて、補助生ごみ処理機1側での処理がオーバフローするという事態を防止することが可能となる。
【0059】
例えば、操作部123からプログラムテーブル122のモードが「モード2」となるよう情報が入力された場合、制御部12及び排水制御部B13はプログラムテーブル122を参照して排出処理を行う。制御部12及び排水制御部B13はともに、前回電動バルブ121または排水ポンプBPを作動させてから6時間経過後に、電動バルブ121または排水ポンプBPを再び作動させる。それぞれ作動時間は3A分であり、3A分経過後は電動バルブ121または排水ポンプBPの作動を終了して排出を停止する。
【0060】
水位スイッチ17はスイッチが内蔵された浮き球171及びアーム172を含んで構成される。プラスチック等で形成されたアーム172は一端に浮き球171が取り付けられており、またその他端は、水タンク13の上壁に取り付けられている。水タンク13内の水位が上昇した場合、アーム172の抵抗に反して浮き球171が浮き上がり、該浮き球171内部に内蔵されたスイッチがオンとなる。水位スイッチ17は浮き球171が所定水位以上である場合はオン信号を制御部12へ出力する。一方、水位の低下により浮き球17は下がり、所定水位にまで低下した場合は、水位スイッチ17はオフ信号を制御部12へ出力する。制御部12は水位スイッチ17からオン信号の出力を受けた場合は、水位が想定以上に上昇したと判断して、電動バルブ121を開状態となるよう制御する。そして、制御部12は水位スイッチ17からオフ信号の出力を受けた場合は、水位が所定以下であると判断して、電動バルブ121を閉状態となるよう制御する。
【0061】
図5は生ごみ処理機B及び補助生ごみ処理機1における排出制御の手順を示すフローチャートである。補助生ごみ処理機1の制御部12は操作部123から、作動タイミング及び作動時間に関する情報が入力された場合、これを受け付ける(ステップS51)。制御部12はこの受け付けたタイミング及び作動時間に関する情報をプログラムテーブル122に記憶する(ステップS52)。なお、タイミング及び作動時間の入力を受け付ける代わりに、予め設定されている作動タイミング及び作動時間のモードの選択を受け付けて記憶するようにしても良い。
【0062】
制御部12は操作部123からこれらの情報を受け付けてプログラムテーブル122を書き換えた場合、更新情報を制御部12から、生ごみ処理機Bの排水制御部B13へ出力する(ステップS53)。生ごみ処理機Bの排水制御部B13は更新情報を受信する(ステップS54)。生ごみ処理機Bの排水制御部B13は前回に排水ポンプBPを作動させて処理水B2を排出してから所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS55)。同様に補助生ごみ処理機1の制御部12も前回電動バルブ121を作動させて処理水15を排出してから所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS56)。なお、ステップS55及びステップS56において排水制御部B13及び制御部12はともにプログラムテーブル122を参照して作動タイミングを図示しないメモリ内に格納して監視している。
【0063】
制御部12は所定時間を経過していないと判断した場合は(ステップS56でNO)、所定時間を経過するまで待機する。制御部12は所定時間を経過したと判断した場合(ステップS56でYES)、電動バルブ121を作動させて開状態とし、排出管11を通じた処理水15の排出を開始する(ステップS57)。その後に、制御部12は作動開始信号を生ごみ処理機Bの排水制御部B13へ出力する(ステップS58)。
【0064】
ステップS55において、所定時間を経過していないと排水制御部B13が判断した場合(ステップS55でNO)、所定時間を経過するまで待機する。所定時間を経過したと排水制御部B13が判断した場合(ステップS55でYES)、制御部12から出力される作動(制御)開始信号を受信したか否かを判断する(ステップS59)。排水制御部B13は作動(制御)開始信号を受信していないと判断した場合(ステップS59でNO)、これを受信するまで待機する。排水制御部B13は作動(制御)開始信号を受信したと判断した場合(ステップS59でYES)、排水制御部B13は排水ポンプBPを作動させ、オーバフロー管B10を通じて処理水B2を排出する(ステップS512)。
【0065】
補助生ごみ処理機1の制御部12は、ステップS58の後、所定の作動時間を経過したか否かを、プログラムテーブル122を参照して判断する(ステップS510)。所定の作動時間を経過していないと判断した場合(ステップS510でNO)、作動時間を経過するまで待機する。一方、作動時間を経過した場合(ステップS510でYES)、制御部12は電動バルブを作動させて閉状態とし、処理水15の排出を停止する(ステップS511)。
【0066】
同様に、生ごみ処理機Bの排水制御部B13は、所定の作動時間を経過したか否かを、プログラムテーブル122を参照して判断する(ステップS513)。所定の作動時間を経過していないと判断した場合(ステップS513でNO)、作動時間を経過するまで待機する。一方、作動時間を経過した場合(ステップS513でYES)、排水制御部B13は排水ポンプを閉状態となるよう作動させて、処理水B2の排出を停止する(ステップS514)。このように、生ごみ処理機Bの排水制御部B13と補助生ごみ処理機1の制御部12とを同期をとって作動させることにより、処理水が順序よく外部へ排出されることになる。
【0067】
実施の形態2
実施の形態2は補助生ごみ処理機1を連結する形態に関する。図6は実施の形態2に係る生ごみ処理システムSの構成を示す概要図である。実施の形態2に係る生ごみ処理システムSは、実施の形態1に係る補助生ごみ処理機1に連結された補助生ごみ処理機100を更に備える。補助生ごみ処理機100は実施の形態1で述べた補助生ごみ処理機1と同一の構成をなすため詳細な説明は省略する。
【0068】
補助生ごみ処理機100は切替弁101,導入管102、第1排出管111及び第2排出管103をさらに含んで構成される。切替弁101は補助生ごみ処理機1からの処理水15を、第1排出管111を通じて公共下水道2へ排出するか、または、導入管102を通じて補助生ごみ処理機100へ排出するかの切り替えを行う。この切替弁101は補助生ごみ処理機1の制御部12または生ごみ処理機Bの排水制御部B13に接続されており、操作部123からの指示に従い弁の切り替え制御を行う。切替弁101が第1排出管111側へ切り替えられている場合、補助生ごみ処理機1からの処理水は排出管11及び第1排出管111を経由して公共下水道2へ排出される。この場合、補助生ごみ処理機100へは処理水15が排出されない。
【0069】
生ごみの処理量が増大する場合は、操作部123から弁の切り替え指示を行う。制御部12または排水制御部B13は操作部123からの指示を受けて、切替弁101の弁を、導入管102側へ切り替える。補助生ごみ処理機1の排出管11からの処理水15は第1排出管111へ流れることなく、導入管102を通じて補助生ごみ処理機100へ流れ込む。補助生ごみ処理機100は実施の形態1で述べた分解処理を行い、第2排出管103へ経て処理水15を公共下水道2へ排出する。
【0070】
なお、実施の形態1で述べたように生ごみ処理機Bの排水制御部B13と補助生ごみ処理機1の制御部12とが、プログラムテーブル122を通じて同期制御なされるように、補助生ごみ処理機100の制御部12も、生ごみ処理機Bの排水制御部B13及び補助生ごみ処理機1の制御部12と同期がとられ、同様のタイミングで排出制御がなされる。さらに、本実施の形態においては、補助生ごみ処理機100を一つ連結したが、複数の補助生ごみ処理機100,100,100,・・・を連結するようにしても良い。このように、補助生ごみ処理機100を補助生ごみ処理機1に切替弁101を利用して連結することにより、生ごみの処理量が増大した場合等は、複数の補助生ごみ処理機1、100,100・・により分解処理を行うことができ、公共下水道2へまたは図示しない浄化槽へ高濃度の処理水15が排出されるという事態を防止することができる。
【0071】
本実施の形態2は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る生ごみ処理システムの概要を示す模式図である。
【図2】生ごみ処理機の形態を模式的に示す縦断面図である。
【図3】補助生ごみ処理機の形態を模式的に示す縦断面図である。
【図4】プログラムテーブルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図5】生ごみ処理機及び補助生ごみ処理機における排出制御の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2に係る生ごみ処理システムの構成を示す概要図である。
【符号の説明】
【0073】
1 補助生ごみ処理機
3 ディスポーザ
12 制御手段(制御部)
13 水タンク
14 撹拌手段(水中ポンプ)
15 処理水
16 供給手段(バイオタンク)
18 曝気手段(エアポンプ)
100 補助生ごみ処理機
121 排出手段(電動バルブ)
122 同期手段(プログラムテーブル)
123 操作部
181 エア管
B 生ごみ処理機
BP 主排出手段(排水ポンプ)
B3 微生物
B13 主制御手段(排水制御部)
S 生ごみ処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを分解処理して排出する生ごみ処理システムにおいて、
処理水を貯留する処理槽内にある生ごみを、前記処理水中に生息する微生物の活動により分解処理する生ごみ処理機と、
該生ごみ処理機から排出される処理水を分解処理して排出する補助生ごみ処理機と
を備えることを特徴とする生ごみ処理システム。
【請求項2】
前記補助生ごみ処理機は、
処理水を貯留する水タンクと、
該水タンク内の処理水を撹拌する撹拌手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理システム。
【請求項3】
前記補助生ごみ処理機は、
前記水タンク内の処理水へ外部の空気を送り込む曝気手段
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の生ごみ処理システム。
【請求項4】
前記補助生ごみ処理機は、
前記水タンク内の処理水を外部へ排出する排出手段と、
該排出手段を所定時間間隔で所定時間作動させる制御手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の生ごみ処理システム。
【請求項5】
前記補助生ごみ処理機は、
生ごみを分解処理する微生物を前記水タンク内へ供給する供給手段
をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一つに記載の生ごみ処理システム。
【請求項6】
前記生ごみ処理機は、
前記処理槽内の処理水を前記補助生ごみ処理機へ排出する主排出手段と
該主排出手段を所定時間間隔で所定時間作動させる主制御手段とを備え、
前記主制御手段及び前記制御手段とを同期する同期手段
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の生ごみ処理システム。
【請求項7】
前記補助生ごみ処理機に請求項1乃至6のいずれか一つに記載の補助生ごみ処理機をさらに一または複数連結したことを特徴とする生ごみ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−125470(P2007−125470A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318785(P2005−318785)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】