説明

生ごみ処理システム

【課題】 生ごみ処理機から排出される排水中のBODの急増を防止することが可能な生ごみ処理システムを提供する。
【解決手段】 搬送部50に設けられたポンプ51は、搬送槽56内に蓄積された生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送する。そして制御部は、ポンプ51を所定のタイミングで所定時間運転する。例えばポンプ51を所定時間間隔で所定時間作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水と共に投入された生ごみを破砕するディスポーザ、及び、該ディスポーザから排出される生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送する搬送部を備える生ごみ処理システムに関し、特に生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送するポンプを、所定のタイミングで運転する生ごみ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭において日々発生するゴミの減量が社会的な課題となっており、この課題を解決するための一つの手段として、主として厨房の周りに発生する生ごみを分解処理する生ごみ処理機が種々提案されている。
【0003】
この生ごみ処理機での処理効率を向上させるために、ディスポーザにより事前に生ごみを細かく破砕する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。水と共に、生ごみはシンクに投入され、投入口を経て破砕部に導入され、該破砕部中の回転歯により、細かく破砕される。破砕後の生ごみ及び水からなる生ごみ水は搬送槽を経て生ごみ処理機側へ搬送される。
【0004】
生ごみ処理機としては、ウェット式の生ゴミ処理機がある。この生ゴミ処理機は、搬送槽から処理槽に搬送される生ゴミ水を、該処理槽の内部に配した攪拌体の動作により処理水と共に攪拌して、該処理水中に導入された前記微生物の活動により分解処理する構成となっている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
なお、処理槽内部の処理水には、例えば、多孔質の発泡体として構成されたバイオ基材を密に浮遊させておくことにより、処理能力を向上させ得ることが知られている。このバイオ基材は、前記微生物の生息域を確保し、処理槽内に投入される生ゴミを留め、微生物との接触機会を高める作用をなすものである。
【特許文献1】特開2004−105881号公報
【特許文献2】特開2002−336830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、搬送槽から処理槽へ大量の生ごみ水が短時間で搬送された場合、分解処理が十分に行われず、生ごみ処理機から排出される排水中のBOD(Biochemical Oxygen Demand)が急増するという問題があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送するポンプを、所定のタイミングで所定時間作動させることにより、生ごみ処理機へ大量の生ごみ水が搬送されることを防止でき、また生ごみ処理機から排出される排水中のBODの急増を防止することが可能な生ごみ処理システムを提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、生ごみ処理機の処理槽内に蓄積された処理水を外部へ排水する排水手段を、所定のタイミングで所定時間作動させることにより、生ごみ水が処理槽内へ搬送された場合でも、分解処理が行われる前にこれらが外部へ排出されてしまうことを防止することが可能な生ごみ処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、水と共に投入された生ごみを破砕するディスポーザ、及び、該ディスポーザから排出される生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送する搬送部を備える生ごみ処理システムにおいて、前記搬送部に設けられる搬送槽に蓄積された生ごみ水を前記生ごみ処理機へ搬送するポンプと、前記ポンプを所定のタイミングで所定時間作動させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、前記制御部は、前記ポンプを所定時間間隔で所定時間作動させるよう構成してあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、搬送部に設けられたポンプは、搬送槽内に蓄積された生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送する。そして制御部は、ポンプを所定のタイミングで所定時間運転する。例えば制御部は、ポンプを所定時間間隔で所定時間作動させる。このように構成したので、生ごみ水は一度に大量に生ごみ処理機へ搬送されず、複数回に分けて搬送される。従って、大量の生ごみ水が短時間に生ごみ処理機に搬送されるという事態を防止でき、その結果、生ごみ処理機から排出される排水中のBODの急増を防止することも可能となる。
【0012】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、前記タイミング及び作動時間を入力するための入力部をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、タイミング及び作動時間を入力するための入力部を設けたので、作業者は搬送するタイミングを自由に変更することが可能となる。
【0014】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、水と共に投入される生ごみを破砕するディスポーザ、及び、該ディスポーザから排出される生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送する搬送部を備える生ごみ処理システムにおいて、前記生ごみ処理機に設けられる処理槽内に蓄積された処理水を外部へ排出する排水手段と、該排水手段を所定のタイミングで所定時間作動させる排水制御部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、排水手段は生ごみ処理機の処理槽内に蓄積された処理水を外部へ排水する。排水手段への制御は排水制御部により行われる。排水制御部は排水手段を所定のタイミングで所定時間作動させる。このように排水手段により適宜処理水が外部へ排出されるので、生ごみ処理機の処理槽には、搬送槽から搬送される生ごみ水を受け入れるための容量を確保できる。その結果、未処理の生ごみ水がオーバフローして外部へ排出される事態を防止することが可能となる。
【0016】
本発明にかかる生ごみ処理システムは、前記搬送部に設けられる搬送槽に蓄積された生ごみ水を前記生ごみ処理機へ搬送するポンプと、前記ポンプを所定のタイミングで所定時間作動させる制御部とをさらに備え、前記排水制御部は、前記制御部による前記ポンプの動作前に前記排水手段を所定時間作動させるよう構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、搬送部に設けられたポンプは、搬送槽内に蓄積された生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送する。そして制御部は、ポンプを所定のタイミングで所定時間運転する。排水制御部は、制御部によるポンプの動作前に排水手段を所定時間作動させる。このように構成したので、搬送槽から処理槽へ生ごみ水が搬送されるときには、既に処理槽内の処理水が排水されおり、効果的にBODの高い排水の排出を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る生ごみ処理システムにおいては、制御部が、搬送部に設けられたポンプを所定のタイミングで所定時間運転するので、生ごみ水が短時間に大量に生ごみ処理機に搬送されるという事態を防止でき、その結果、生ごみ処理機から排出される排水中のBODの急増を防止することも可能となる。
【0019】
本発明に係る生ごみ処理システムにおいては、タイミング及び作動時間を入力するための入力部を設けたので、作業者は搬送するタイミングを自由に変更することが可能となる。
【0020】
排水制御部は排水手段を所定のタイミングで所定時間作動させる。このように排水手段により適宜処理水が外部へ排出されるので、生ごみ処理機の処理槽には、搬送槽から搬送される生ごみ水を受け入れるための容量を確保できる。その結果、未処理の生ごみ水がオーバフローして外部へ排出される事態を防止でき、また排水中のBODの増加も防止することが可能となる。
【0021】
本発明に係る生ごみ処理システムにおいては、排水制御部は、制御部によるポンプの動作前に排水手段を所定時間作動させる。このように構成したので、搬送槽から生ごみ水が搬送されるときには、既に処理槽内の処理水が排水されていることになる。よって未処理の生ごみ水がオーバフローして外部へ排出される事態を防止できる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
実施の形態1
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、生ごみ処理システムの概要を示す模式的斜視図、図2はディスポーザ及び搬送部の断面を示す模式的断面図、図3は制御部54のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
生ごみ処理システム40は、ディスポーザ1、搬送部50及び生ごみ処理機Bを含んで構成される。投入された生ごみ及び水はディスポーザ1にて破砕され、破砕された生ごみ及び水含む生ごみ水は搬送部50へ流れ込む。搬送部50は適宜のタイミングで生ごみ水を生ごみ処理機Bへ搬送する。
【0024】
生ごみ処理機Bは公知のウェット式生ゴミ処理機を適用すればよい。この生ゴミ処理機Bは、搬送部50から搬送される生ゴミ水を、内部に格納された微生物の活動により分解処理する構成となっている。
【0025】
ディスポーザ1は直方体状の筐体を有し、上部に生ごみを投入するホッパー2、生ごみの移動を容易にすべく水を供給する水供給部7及びディスポーザ1を駆動する電源を供給する分電盤9を備える。また、ディスポーザ1の稼働状態を示す表示パネル8及び操作パネル81が筐体側面に配置されている。
【0026】
ディスポーザ1を稼働させる場合、分電盤9の電源をオンとし、水供給部7から、水を供給しつつ生ごみをホッパー2に流し込む。なお、本実施の形態においてはディスポーザ1の筐体の形状を直方体状としたが、この形状に限るものではなく、円柱状のものであっても良い。
【0027】
ホッパー2は平面視において正方形であり、その断面は生ごみを投入口4へ導くべく、投入口4の方向へ向けて傾斜する傾斜部21により構成される。ホッパー2は例えばステンレススチール等が用いられ、生ごみが円滑に投入口へ流れるよう、傾斜部21の傾斜角度が決定される。傾斜部21はホッパー2の最下面において、円形断面を有する投入口4に接続されている。投入口4を経た生ごみは破砕部3へ水と共に落下する。
【0028】
破砕部3は、複数の歯を有する回転歯31、回転歯31を回転させるモータM、並びに、水及び破砕後の生ごみを外部へ導く排出口5から構成される。回転歯31はモータMにより高速回転し、落下した生ごみを細かく破砕する。水及び破砕された生ごみは遠心力により回転歯31の外周へ飛散し、最終的には排出口5を経て搬送部50へ排出される。
【0029】
搬送部50は直方体状の筐体をなす搬送槽56,逆止弁53,ポンプ51,搬送管52,水位スイッチS,制御部54,表示部570及び入力部55を含んで構成される。通常、搬送部50はディスポーザ1の筐体に隣接して配置され、ディスポーザ1の排出口5は搬送槽56を貫通して配置される。破砕後の生ごみ及び水を含む生ごみ水は排出口5から排出されて搬送槽56内に注ぎ込まれる。
【0030】
ポンプ51は搬送槽56内の生ごみ水をくみ上げて搬送管52へ送り出す。搬送管52は逆止弁53を介して生ごみ処理機Bに連結されている。逆止弁53は生ごみ処理機Bから搬送槽へ生ごみ水が逆流することを防止するために設けられる。制御部54はポンプ51を制御する。
【0031】
水位スイッチSはスイッチが内蔵された浮き球S1及びアームS2を含んで構成される。プラスチック等で形成された略L字型をなすアームS2は一端に浮き球S1が取り付けられている。またその他端は、搬送槽56の側壁に取り付けられている。搬送槽56内の生ごみ水位が上昇した場合、アームS2の抵抗に反して浮き球S1が浮き上がり、該浮き球S1内部に内蔵されたスイッチがオンとなる。水位スイッチSは浮き球S1が所定水位以上である場合はオン信号を制御部54へ出力する。一方、水位の低下により浮き球S1は下がり、所定水位にまで低下した場合は、水位スイッチSはオフ信号を制御部54へ出力する。
【0032】
制御部54はCPU(Central Processing Unit)57及びフラッシュメモリ等の記憶部58から構成され、バス59を介してディスポーザ1の操作パネル81,表示部570,水位スイッチS,ポンプ51及び入力部55に接続されている。CPU57は接続された各ハードウェアを記憶部58に記憶されたプログラムに従いソフトウェア制御を実行する。
【0033】
操作パネル81からはディスポーザ1の運転状況を示す信号がCPU57へ出力される。ディスポーザ1の運転時はオン信号が操作パネル81からCPU57へ出力され、ディスポーザ1の運転停止時はオフ信号が操作パネル81からCPU57へ出力される。CPU57は、記憶部58に予め記憶されたプログラムに従い所定のタイミングでポンプ51を運転する。そのタイミングは入力部55から作業者が入力することができ、入力されたタイミングは記憶部58に記憶され、またCPU57の指示により表示部570に表示される。入力部55及び表示部570は、例えばタッチパネル式の表示入力デバイスにより構成すればよい。
【0034】
記憶部58にはポンプ51の作動時間をプログラムモード別に記憶したプログラムテーブル58Pが記憶されている。このプログラムテーブル58Pは入力部55から作業者が適宜情報を入力することにより、その内容を変更することができる。
【0035】
図4はプログラムテーブル58Pのレコードレイアウトを示す説明図である。プログラムテーブル58Pはプログラムモードフィールド、タイミングフィールド及び作動時間フィールドから構成される。プログラムモードフィールドには登録されたポンプ51の作動モードが記憶されている。タイミングフィールドにはポンプ51が前回作動してから次にポンプ51を作動させるまでの時間が、モードに対応させて記憶されている。作動時間フィールドには、ポンプ51を作動させる時間がモード別に記憶されている。
【0036】
例えば、モード1はポンプ51を前回作動後8時間経過後に作動させる。モード1においては、その作動時間は4A分と記憶されており、4A分経過後にはポンプ51の作動を停止する。またモード2はポンプ51を前回作動後6時間経過後に作動させる。モード2においては、その作動時間は3A分と記憶されており、3A分経過後にはポンプ51の作動を停止する。CPU57は水位スイッチSから出力される信号及び記憶部58に記憶されたプログラムテーブル58を参照しながら、ポンプ51を制御する。このように各プログラムモードにおけるタイミング、すなわちポンプ51の運転間隔に応じてポンプ51の作動時間を変更できるよう設定したので、頻繁に生ごみ処理水を搬送した場合でも、一度に搬送される生ごみ水量を低減でき、生ごみ処理機Bから排出されるBODの増加を防止することが可能となる。
【0037】
図5は制御部54によるポンプ51の作動手順を示すフローチャートである。作業者は操作パネル81からプログラムモードを選択し運転ボタンを押す。そして、生ごみをディスポーザ1へ水と共に投入する。制御部54のCPU57は、操作パネル81から出力されるオン信号を受け付け、また入力されたプログラムのモードを受け付ける(ステップS41)。CPU57は水位スイッチSから出力される信号がオンであるか否かを判断する(ステップS42)。CPU57は水位スイッチがオンでないと判断した場合(ステップS42でNO)、すなわち搬送槽56内の生ごみ水量が水位以下であると判断した場合、オン信号が出力されるまで待機する。
【0038】
CPU57は水位スイッチSからオン信号が出力されたと判断した場合(ステップS42でYES)、すなわち、水位が上昇した場合、ステップS43へ移行する。CPU57は、前回ポンプ51を作動後、所定時間経過したか否かを判断する(ステップS43)。前回ポンプ51を作動させた時間は記憶部58に記憶されており、前回のポンプ51の作動時刻から現時刻までの経過時間と、予め記憶部58に記憶された時間(プログラム時間)とをCPU57は比較判断する。
【0039】
CPU57は、所定時間経過していないと判断した場合(ステップS43でNO)、所定時間経過するまで待機する。一方、所定時間を経過したとCPU57が判断した場合(ステップS43でYES)、CPU57はポンプ51を作動し(ステップS44)、搬送槽56中の生ごみ水をくみ上げて、搬送管52を通じて生ごみ水を生ごみ処理機Bへ搬送する。ステップS44におけるポンプ51の作動後、CPU57はポンプの作動時間が所定時間を経過したか否かを、受け付けたプログラムモードを基にプログラムテーブル58Pを参照して判断する(ステップS71)。作動時間を経過していない場合(ステップS71でNO)、すなわち、プログラムテーブル58Pの作動時間に記憶された作動時間を経過していない場合、ステップS45へ移行する。
【0040】
CPU57は水位スイッチSからオフ信号が出力されたか否かを判断する(ステップS45)。CPU57は水位スイッチSからオフ信号が出力されていないと判断した場合(ステップS45でNO)、ステップS44へ移行し、ポンプ51の作動を継続する。CPU57は水位スイッチSからオフ信号が出力されたと判断した場合(ステップS45でYES)、すなわち搬送槽56内の水位が所定水位以下となった場合、CPU57はポンプ51の作動を停止する。
【0041】
ステップS71において、CPU57はポンプ51の作動時間が所定時間を経過したと判断した場合(ステップS71でYES)、すなわちポンプ51の作動時間がプログラムテーブル58Pに記憶した作動時間の作動時間を経過したと判断した場合、ステップS46へ移行し、CPU57はポンプ51の作動を停止する(ステップS46)。最後にCPU57は今回ポンプ51を作動させた時刻を記憶部58に記憶する(ステップS47)。
【0042】
実施の形態2
図6は、本発明に係る生ゴミ処理機Bの形態を模式的に示す縦断面図である。図中B1は処理槽であり、頂部が縮径されたポット形の中空容器として構成されている。
【0043】
処理槽B1の内部には、所定の深さを有して処理水B2が貯留されており、該処理水B2中には、バイオ基材B3,B3…が浮遊させてある。これらのバイオ基材B3,B3…は、後述の如く導入される微生物の生息域を提供すべく多孔質の発泡体として構成されており、処理水B2の1/3の深さ範囲を占めて、水面を密に覆うように浮遊させてある。
【0044】
処理槽B1の周壁には、オーバフロー管B10が連結されている。このオーバフロー管B10は、これの開口位置を超えた処理水B2を図示しない排水管に排出し、処理槽B1内部の処理水B2の水位を一定に保つ作用をなすものであり、オーバフロー管B10の開口位置には、フィルタB11が付設され、該フィルタB11を透過した清浄な水が排水されるようになしてある。
【0045】
搬送部50から延びる搬送管52は処理槽B1の側壁を貫通しており、搬送管52から搬送される生ごみ水は、処理水B2の水面を覆うバイオ基材B3,B3…の上に供給される。処理水B2を排水する排水管B12は処理槽B1内部に設けられる。排水管B12は先端が処理槽B1の深部に位置し、中途で処理槽B1の側壁を貫通して外部に突出している。排水管B12は排水手段としての排水ポンプBPにより、処理水B2を汲み上げ、外部へ処理水B2を排水する。排水制御部B13は排水ポンプBPを予めプログラムされたタイミングで所定時間作動させる。
【0046】
このタイミングは実施の形態1で述べたものと同様に、例えば排水ポンプBPを前回に作動させてから8時間経過後に4A分作動させるようにすればよい。なお、この排水ポンプBPを作動させるタイミングは、これ以外であっても良く、例えば搬送部50のポンプ51の作動開始、水位スイッチSのオン信号の出力、ディスポーザ1のモータMの作動等をトリガーに所定時間排水ポンプBPを作動させるようにしても良い。さらに、本実施の形態においては排水手段を、排水ポンプBPを適用した形態を示したが、これに限るものではなく排水が可能な他の形態、例えば、処理槽B1底部に開閉可能なシャッターを設けて処理水B2を排水し、このシャッターの作動を排水制御部B13で制御する形態であっても良い。
【0047】
処理槽B1の内部には、線画により略示するスクリュー形の攪拌体B4が、中心軸に沿って上下に架設されている。この攪拌体B4は、処理槽B1の頂部外側に固定された駆動モータB40に連結されており、該駆動モータB40からの伝動により軸回りに回転し、処理水B2及びバイオ基材B3,B3…を攪拌するように構成されている。
【0048】
図示の生ゴミ処理機は、補給水タンクB5及びバイオタンクB6を更に備えており、これらは、給水管B50及び導入管B60を介して処理槽B1の上部に夫々連結されている。補給水タンクB5は、図示しない水道管に接続されており、該補給水タンクB5の内部には、水道管から供給される補給水B51が貯留させてある。
【0049】
図示の如く補給水タンクB5には、内部に滞留する補給水B51の水面に浮かぶ浮き玉B52を備え、該浮き玉B52の上下動に応じて機械的に開閉される公知のボールタップB53が付設されており、補給水タンクB5の内水位は、ボールタップB53の開閉動作により水道管からの給水を通断することにより一定に維持されている。このように補給水タンクB5に貯留された補給水B51は、給水管B50の中途に設けた給水弁B54の開放に応じて処理槽B1の内部に補給される構成となっている。
【0050】
またバイオタンクB6の内部には、食品発酵菌、酵母菌等、有機物を分解する能力を有する微生物を多数含有するバイオ液B61が貯留されており、このバイオ液B61は、導入管B60の中途に設けた供給弁B62の開放に応じて処理槽B1の内部に導入される。
【0051】
更に図6に示す生ゴミ処理機Bは、補給水タンクB5の内部に配設されたマイクロバブル発生器B7を備えている。このマイクロバブル発生器B7は小容量のポンプを内蔵しており、該ポンプの吸込側に補給水タンクB5の外部に連通する吸気管B70を接続して構成されている。
【0052】
このように構成されたマイクロバブル発生器B7は、内蔵ポンプが駆動された場合、補給水タンクB5の内部に貯留された補給水を吸い込み、該補給水タンクB5の内部に吐き出す動作をなす。このとき吸気管B70には、内蔵ポンプの吸込側に発生する負圧の作用により外気が吸い込まれて、この吸気により内部に生成される空気塊が回転せん断により細かく破砕され、1/100〜3/100mm程度の直径を有する微細な気泡(マイクロバブル)が発生し、吐出水と共に補給水タンクB5内に放出される。このように放出されるマイクロバブルB71は、気泡の大きさが小さく、浮力が小さいので気体のままで水中に長時間止まることができ、補給水タンクB5の内部の補給水は、多くの空気(酸素)が溶存する水となる。
【0053】
以上の如く構成された生ゴミ処理機Bは、処理槽B1の内部に予め所定水位の処理水B2を貯留し、該処理水B2にバイオ基材B3,B3…を浮遊させた状態で使用される。この状態で図示しない運転スイッチをオン操作すると、導入管B60の中途の供給弁B62が開放され、バイオタンクB6から定量のバイオ液B61が導入され、次いで、駆動モータB40からの伝動により攪拌体B4が駆動され、処理水B2及びバイオ基材B3,B3…が所定時間攪拌されて運転準備が完了する。
【0054】
以上の運転準備動作により、バイオ液B61中に含有された有機物を分解する微生物が処理槽B1内に導入され、攪拌体B4の回転により処理水2及びバイオ基材B3,B3…と共に攪拌される結果、前記微生物は、多孔質の発泡体を用いてなるバイオ基材B3,B3…を住処として均等に分散された状態にて生息する。
【0055】
その後、搬送管52から生ゴミ水が搬送されると、生ゴミ処理機Bは処理運転を開始し、駆動モータB40の間欠駆動により攪拌体B4が所定の周期にて回転せしめられ、処理水B2及びバイオ基材B3,B3…は、例えば、15分のインターバル毎に5分間攪拌される。この動作により、生ゴミも攪拌され、処理水B2の水面を覆うバイオ基材B3,B3…と均等に混ぜ合わされ、これらのバイオ基材B3,B3…中に生息する微生物の活動により、水と炭酸ガスとに分解されて消失する。
【0056】
このような処理運転中、給水管50の中途の給水弁54も所定の周期毎に開放され、補給水タンク5内の補給水51が給水管50を経て処理槽1内に補給される。これにより、微生物の活動によって消費される酸素が処理水2中に定期的に供給されることとなり、前記微生物の活性が長期に亘って良好に維持され、生ゴミの分解処理能力を高く保つことができる。
【0057】
ここで補給水タンクB5の内部に貯留された補給水B51は、マイクロバブル発生器B7が発生するマイクロバブルを含んでおり、前述の如く、多量の空気(酸素)が溶存する水であることから、少ない回数の水補給により多くの酸素を処理水B2に、より詳しくは、処理水B2中に生息する微生物に供給することができ、生ゴミの分解処理能力を高く維持しながら消費水量の大幅な低減を図ることができる。
【0058】
以上の如き補給水B51の補給は、攪拌体B4による攪拌動作中に行わせるのが好ましい。これにより補給水B51中に溶存する酸素は、供給直後に処理水B2及びバイオ基材B3,B3…と共に攪拌され、夫々のバイオ基材B3,B3…中に生息する微生物に有効に分散されて供給されることとなり、処理槽B1の内部全域に亘って微生物の活性を高め、生ゴミの分解処理能力を高く維持することができる。
【0059】
攪拌体B4による攪拌動作中の水補給は、生ゴミ処理機の運転を制御すべく設けられる制御部の動作により、例えば、複数回の攪拌動作毎に実施させることができる。またこの
ように水補給が定期的に実施される場合には、この補給動作に先立ってマイクロバブル発生器B7を動作させることにより、可及的に多くの酸素が溶存する補給水B51を補給することが可能となる。なお以上の如き補給水B51の供給による処理水B2の増加分は、フィルタB11を経てオーバフロー管B10から排水されるから、処理槽B1内部の処理水B2は、常に一定レベルに保たれる。
【0060】
更に以上の処理運転中においては、バイオタンクB6からのバイオ液B61の導入も周期的に実施される。この導入は、例えば、6時間毎程度の長周期にて行わせれば十分であり、補給水B51の補給におけると同様に、攪拌体B4による攪拌動作中に行わせるのが好ましい。
【0061】
本実施の形態2は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0062】
実施の形態3
実施の形態3は生ごみ処理機Bにおける排水ポンプBPによる排水と、搬送部50におけるポンプ51との同期制御に関する。図6において排水制御部B13は搬送部50の制御部54(図3)に接続されており、制御部54のCPU57は記憶部58に記憶したプログラムテーブル58Pを参照して、作動タイミングを排水制御部B13へ出力する。
【0063】
図7は実施の形態3にかかる排水処理の手順を示すフローチャートである。ステップS51までの処理は図5に示すステップS41からS43までの処理と同じであるので説明は省略する。ステップS43においてYESの場合、制御部54のCPU57は排水ポンプBPを作動させるべく、作動信号を排水制御部B13へ出力する(ステップS51)。排水制御部B13はCPU57からの信号を監視しており、出力された作動信号を受け付ける(ステップS52)。
【0064】
排水制御部B13は作動信号を受け付けた場合、これをトリガーに排水ポンプBPを作動させる(ステップS53)。また、排水ポンプBPを作動させたことを示す排水ポンプ作動信号を制御部54のCPU57へ向けて出力する(ステップS54)。この信号を受けて制御部54のCPU57はポンプ51の作動を開始する(ステップS44)。これ以降の搬送部50でのポンプ51の作動処理は図5のステップS44以降と同様であるので省略する。
【0065】
排水制御部B13は排水ポンプBPの作動後、所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS55)。排水ポンプBPの作動時間はポンプ51の作動時間と同じであり、制御部54のCPU57が入力部55からモードの変更を受け付けた場合、プログラムテーブル58Pに記憶された作動時間に関する情報は、排水制御部B13のメモリにも記憶される。排水制御部B13はメモリを参照して所定時間を経過していないと判断した場合(ステップS55でNO)、所定時間が経過するまで待機する。
【0066】
所定時間を経過したと排水制御部B13が判断した場合(ステップS55でYES)、排水制御部B13は排水ポンプBPの作動を停止する(ステップS56)。このように、ポンプ51の作動による生ごみ水の排水前に、排水ポンプBPを作動させておくことにより、生ごみ水が処理槽B1に流れ込んだとしても、これを受け入れる容量を十分に確保することができる。また排水ポンプBPとポンプ51との同期を取り、同様のタイミングで作動を開始し、かつその作動時間をも同期をとって調整することにしたので、搬送と排水とを調和をもって行うことが可能となる。
【0067】
本実施の形態3は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1及び2と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】生ごみ処理システムの概要を示す模式的斜視図である。
【図2】ディスポーザ及び搬送部の断面を示す模式的断面図である。
【図3】制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】プログラムテーブルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図5】制御部によるポンプの作動手順を示すフローチャートである。
【図6】生ゴミ処理機の形態を模式的に示す縦断面図である。
【図7】実施の形態3にかかる排水処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 ディスポーザ
2 ホッパー
3 破砕部
4 投入口
21 傾斜部
40 生ごみ処理システム
50 搬送部
56 搬送槽
51 ポンプ
54 制御部
57 CPU
58 記憶部
58P プログラムテーブル
55 入力部
54 表示部
81 操作パネル
B 生ごみ処理機
B1 処理槽
B2 処理水
BP 排水手段(排水ポンプ)
B13 排水制御部
S 水位スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と共に投入された生ごみを破砕するディスポーザ、及び、該ディスポーザから排出される生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送する搬送部を備える生ごみ処理システムにおいて、
前記搬送部に設けられる搬送槽に蓄積された生ごみ水を前記生ごみ処理機へ搬送するポンプと、
前記ポンプを所定のタイミングで所定時間作動させる制御部と
を備えることを特徴とする生ごみ処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記ポンプを所定時間間隔で所定時間作動させるよう構成してある
ことを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理システム。
【請求項3】
前記タイミング及び作動時間を入力するための入力部
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の生ごみ処理システム。
【請求項4】
水と共に投入される生ごみを破砕するディスポーザ、及び、該ディスポーザから排出される生ごみ水を生ごみ処理機へ搬送する搬送部を備える生ごみ処理システムにおいて、
前記生ごみ処理機に設けられる処理槽内に蓄積された処理水を外部へ排出する排水手段と、
該排水手段を所定のタイミングで所定時間作動させる排水制御部と
を備えることを特徴とする生ごみ処理システム。
【請求項5】
前記搬送部に設けられる搬送槽に蓄積された生ごみ水を前記生ごみ処理機へ搬送するポンプと、
前記ポンプを所定のタイミングで所定時間作動させる制御部と
をさらに備え、
前記排水制御部は、前記制御部による前記ポンプの動作前に前記排水手段を所定時間作動させるよう構成してあることを特徴とする請求項4に記載の生ごみ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−75802(P2007−75802A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271068(P2005−271068)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】