説明

生ごみ破砕装置

【課題】モータで発生する発熱量に基づいて過負荷による故障を未然に防止することのできる生ごみ破砕装置を提供する。
【解決手段】投入口26と、固定刃34と回転刃36とを有する破砕部35と、回転刃34を回転駆動する電動式のモータ44と、モータ44を作動制御する制御部とを備え、生ごみを給水下で回転刃36の回転により破砕して、破砕物を排水とともに排出する生ごみ破砕装置12において、モータ44に流れる電流値を検出するカレントトランスを設けて、カレントトランスからの出力を制御部で受け、設定時間内の電流値の積算値がしきい値を超えたときに制御部にてモータ44への通電を停止させ、モータ停止させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は生ごみを給水下で破砕し、排水とともに排出する生ごみ破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンで生じた生ごみを処理するための装置として、ディスポーザと称される生ごみ破砕装置が用いられている。
この生ごみ破砕装置は、シンク底部で開口した投入口と、固定刃と回転刃とを有する破砕部と、回転刃を回転駆動する電動式のモータと、モータを作動制御する制御部とを備え、投入口から投入された生ごみを回転刃の回転により給水下で固定刃との間ですり潰して破砕し、破砕物を排水とともに排出する。
【0003】
ところで、この種の生ごみ破砕装置では、定格電流を超えるような大電流がモータに流れ続けると、発熱によりモータに熱が籠って温度上昇し、許容度を超えてモータが高温度となってしまう。
そしてこのことがモータ及び装置の故障の原因となってしまう。
【0004】
例えば、破砕刃がスプーンを噛み込む等してモータがロックした状態でモータに電流が流れ続けたり、或いはモータがロックしないまでも、生ごみの中に貝の殻等が含まれていて、モータに大きな負荷がかかった状態でモータに電流が流れ続けたりしたときに、上記のような現象が生じ得る。
【0005】
そこでこの種の生ごみ破砕装置にあっては、一般に安全スイッチとしてバイメタルスイッチをモータに近接して直列接続状態に設けておき、モータに過大な負荷がかかった状態でモータへの通電が行われたとき、バイメタルスイッチをオフ動作させて、モータの通電を停止させるといったことが行われている。
このバイメタルスイッチは、接点に電流が流れ続け、電流の積算量で定まる発熱量が一定以上となったときに、熱膨張にて接点が離れ、オフ動作(スイッチオフ)する。
【0006】
しかしながら安全スイッチとしてのバイメタルスイッチが一旦オフ動作してしまうと、そのままでは以後の破砕動作を行うことができず、この場合使用者がキャビネット内のシンク下空間を覗き込んで、バイメタルスイッチをオン状態に復帰させる操作を行うことが必要となる。
しかしながら生ごみ破砕装置の構造に詳しくない使用者がそれを行うことは面倒であり、煩雑である。
【0007】
また生ごみ破砕装置にあっては、生ごみを短時間で破砕処理できず、破砕に長時間を要してしまったりする等、何等かの理由で定格電流よりも低い電流がモータに長時間流れ続けてしまうことがあり、この場合にも長時間かけてモータに熱が籠って、これが動作不良の原因となってしまうといったことが生じ得る。
このような事態に対しては、上記のバイメタルスイッチでは反応することが難しい。
【0008】
尚下記特許文献1には「生ごみ処理装置」についての発明が示され、そこにおいてしきい値を超えるような大電流が一定時間継続して流れたときに、モータに過電流が流れているものと判断してモータを反転させたり、反転回数が一定回数に達したところでモータを停止させるようにした点が開示されている。
【0009】
しかしながらこの特許文献1に開示のものは、しきい値を超える大電流が一定時間継続して流れているか否かによってモータに過電流が流れているか否かを判断し、モータを作動制御するもので、その判断の中には、モータにおける発熱量,温度上昇の程度が反映されておらず、上記の問題を解決するのに適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−136824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は以上のような事情を背景とし、モータに発生する発熱量に基づいて過負荷による故障を未然に防止することのできる生ごみ破砕装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
而して請求項1のものは、シンク底部で開口した投入口と、固定刃と回転刃とを有する破砕部と、該回転刃を回転駆動する電動式のモータと、該モータを作動制御する制御部と、を備え、該投入口から投入された生ごみを給水下で該回転刃の回転により破砕して、破砕物を排水とともに排出する生ごみ破砕装置において、前記モータに流れる電流値を検出する電流検出器を設けて、該電流検出器からの出力を前記制御部で受け、設定時間内の電流値の積算値がしきい値を超えたときに該制御部にて前記モータへの通電を停止させ、モータ停止させるようになしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項2のものは、請求項1において、時間の長さが互いに異なった複数パターンで前記設定時間を複数段階に定めるとともに、各設定時間ごとに異なったしきい値を定め、何れかの設定時間内の前記積算電流値が該設定時間に対応して定めた前記しきい値を超えたときに、前記制御部にて前記モータへの通電を停止させるようになしてあることを特徴とする。
【0014】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記制御部は、モータ停止後に、設定した復帰時間を経過した後に前記モータへの通電停止状態を解除するものとなしてあることを特徴とする。
【0015】
請求項4のものは、請求項3において、前記モータ周りの温度を検出する温度検出器を設けて、該温度検出器からの出力を前記制御部で受け、該温度検出器による検出温度が設定温度以下であることを条件として、前記制御部が前記モータへの通電停止状態を解除するものとなしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、モータに流れる電流値を検出する電流検出器を設けて、この電流検出器からの出力を制御部で受け、設定時間内の電流値の積算値がしきい値を超えたときに制御部にてモータへの通電を停止させ、モータ停止させるようになしたものである。
【0017】
かかる本発明は、ある時間(設定時間)に亘ってモータに流れる電流の積算値、つまり電流の積算量に基づいてモータの作動を制御するようになしたものである。
【0018】
モータでの発熱量は、モータに流れる電流値の積算値によって定まり、従ってある時間(設定時間)内の電流値の積算値を監視することで、モータでの発熱量,温度上昇を予測することができる。
【0019】
そこで不安定な動作に至る限界となる電流値の積算値、つまり電流の積算量を予め求めてこれをしきい値として設定しておき、モータに流れる電流値の積算値がその限界となるしきい値を超えたときにモータを停止させることで、モータでの発熱、具体的には巻線部の発熱による動作不良の現象を未然に防止することが可能となる。
【0020】
例えば生ごみ破砕装置が低負荷で連続運転したような場合であって、モータ巻線に1.5A(アンペア)程度の低電流が長時間(例えば10分間)流れ続けたような場合、安全スイッチとして設けてあるバイメタルスイッチが作動しないまま動作不良を生じる可能性があるが、本発明に従って電流値の積算値を知ることで、その動作不良を未然に防ぐことが可能となる。
【0021】
本発明はまた、生ごみ破砕装置が断続運転した場合であっても、動作不良が生じるのに先立ってモータを停止させることができる特徴を有する。
【0022】
例えば、しきい値を超えた(過)電流が設定時間流れたことをもって異常と判断するような場合には、その判断に電流値の積算値(電流の積算量)が反映されていないために発熱量を正しく予測することができないのに対し、本発明では電流値の積算値を監視するようにしているため、発熱量を正しく予測することが可能である利点を有するが、これに加えて本発明では、運転停止時間をまたぐように設定時間を例えば10分程度と長くとることで、運転再開後の電流値の積算値のみでなく、運転再開前の過去の運転時の電流値の積算値も見る(監視する)ことができる。
【0023】
従って過去の運転時に生じた熱が十分に放熱されず、モータにそのまま残った状態で次の運転が再開されて、発熱が更に蓄積されたような場合であっても、過去の発熱を反映させた形でモータの発熱状態を知ることができ、モータの熱による動作不良を効果高く防止することが可能となる。
【0024】
このことは連続運転した場合においても言えることで、設定時間内に電流値がゼロに近いほど低く下るようなことがあったとしても、電流値の積算値を監視することで、モータでの発熱を正しく予測することが可能である。
【0025】
この場合において、上記の設定時間としては、発熱分が放熱されずに未だ残るような時間であって、尚且つ設定時間以前の発熱分については放熱により冷却され、現在のモータの温度に影響を与えないような長さで設定しておくことが望ましい。
【0026】
また本発明では、バイメタルスイッチでは検知が難しいような低電流で長時間運転による発熱を防止する場合において、電流値の積算値を例えば1秒当りの平均の電流値をAとし,設定時間をTとしてA×Tで求めたとき、A×Tを600〜1200の範囲内に設定しておくことが望ましい。
【0027】
尚本発明では、設定時間の長さ,設定時間内のしきい値の大きさを適正に選択することで、定格電流を超えるような大電流がモータに流れたときに、設定時間内の電流値の積算値に基づいてモータを通電停止させるようになすこともでき、これにより発熱による動作不良の発生を防止したり、或いは装置の故障を防止したりすることが可能である。
【0028】
本発明では、時間の長さが互いに異なった複数パターンで上記の設定時間を複数段階に定めるとともに、各設定時間ごとに異なったしきい値を定め、何れかの設定時間内の積算電流値がその設定時間に対応して定めたしきい値を超えたときに、制御部にてモータへの通電を停止させるようになしておくことができる(請求項2)。
【0029】
例えば設定時間を短時間,中時間,長時間の3段階に複数設定し、そして短時間の第1の設定時間を、破砕刃がスプーンを噛み込むなどしてモータがロックし、モータに12Aを超えるような大(過)電流が流れたような場合の異常解除用として1秒程度の短時間に、また長時間の第3の設定時間を上記の動作不良防止用として10分程度の長時間に、また中時間の第2の設定時間を、モータがロックするには至っていないものの、破砕に大きな抵抗を生じる中間の大きさの負荷がかかり続けた場合の異常解除用として5秒程度の中時間に定めておくことができる。
このようにすることで、種類の異なった複数パターンの異常による不具合を未然に防ぐことが可能となる。
【0030】
この場合において、上記制御部は、モータ停止後に、設定した復帰時間経過した後にモータへの通電停止状態を解除するものとなしておくことができる(請求項3)。
例えばバイメタルスイッチが安全スイッチとして働き、オフ動作することによってモータへの通電を停止したような場合、使用者がキャビネット内のシンク下等のバイメタルスイッチをオン状態に復帰させるための面倒で煩雑な操作を行うことが必要となる。
しかるに請求項3によれば、異常発生によりモータ停止した場合であっても、生ごみ破砕装置が自動的に元の状態に復帰するため、使用者はその間待つだけで良く、特別の操作を行わなくてよい利点が得られる。
【0031】
この場合において、モータ周りの温度を検出する温度検出器を設けて、温度検出器からの出力を制御部で受け、温度検出器による検出温度が設定温度以下であることを条件として、制御部にてモータへの通電停止状態を解除するようになしておくことができる(請求項4)。
【0032】
この場合、上記の設定温度を安全な適正温度に設定しておくことで、モータに熱が籠ったまま運転再開してしまうといったことを防ぐことができる。
またモータの温度が十分に冷却するまで、安全を見込んで上記の復帰時間を必要以上に長くしておかなくても良く、復帰時間を可及的に短い時間に設定し得て、モータを速やかに作動復帰させることができる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態である生ごみ破砕装置の断面図である。
【図2】同実施形態の生ごみ破砕装置の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】同実施形態におけるマイコンの制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はシンクで、12はシンク10により吊持される状態にシンク10の排水口14に取り付けられた生ごみ破砕装置である。
生ごみ破砕装置12は、上部16と、下部の本体部18とに分割されていて、それらがジョイント(ここではゴム製)20にて弾性的に連結されている。
【0035】
上部16は、フランジ部22とその下側の外周面に雄ねじを有しており、そこにねじ込まれた固定ナット24とフランジ部22とで、シンク10の排水口14周りを上下両側から挟み込む状態にシンク10に取り付けられている。
上部16には、シンク10の底部で開口した生ごみの投入口26が備えられており、そこに目皿28と投入口26を開閉する蓋30とがセットされている。
ここで蓋30には、蓋スイッチ31(図2参照)と図示を省略する通水孔とが備えられている。
【0036】
32は、本体部18に備えられた破砕容器で、その内部の破砕室33に固定刃34と回転刃36とを有する破砕部35が設けられている。
固定刃34は円筒形状をなしており、その周壁に沿って破砕孔38が多数設けられている。
これら破砕孔38は破砕物の吐出孔を構成すると同時に、その周縁が破砕刃を構成している。
【0037】
一方回転刃36は、円形の回転盤40と、その上面に且つ回転盤40の中心から偏心した位置の軸周りに自由回転状態に設けられたハンマーミル42とを有しており、その回転盤40の中心部に電動式のモータ(ここではDCモータ)44の回転軸46が連結されている。
回転刃36は、このモータ44にてその中心の軸心周りに回転駆動される。
【0038】
48はキャップを兼ねた軸受保持部材で、そこに下部軸受50が保持されており、この下部軸受50によってモータ44の回転軸46の下部が回転可能に支持されている。
一方回転軸46の上部は、回転盤40近傍において上部軸受52により回転可能に支持されている。
尚、軸受保持部材48には温度検出器としてのサーミスタ54がモータ収容室56内に突き出す状態に取り付けられている。
ここでサーミスタ54は、モータ44近傍においてモータ44周りの温度を検出するためのものである。
【0039】
58は生ごみ破砕装置12の排出口で、この排出口58から排水管60が延び出している。
この排水管60には図示を省略するトラップ部が設けてある。
この生ごみ破砕装置12では、蓋30を取り外した状態で投入口26から生ごみを破砕室33内部に投入する。
そしてその後蓋30をセットし、且つこれを所定位置まで回転操作すると、そこで図2の蓋スイッチ31がオン状態となり、ここにおいてモータ44が作動可能状態となる。
【0040】
破砕室33に投入された生ごみは、蓋30のセット状態で且つ給水下で、回転刃36の回転により固定刃34と回転刃36とにより押し切られ、或いはすり潰されて微細に破砕され、そしてその破砕物が排水とともに破砕孔38から排出口58を経て排水管60内に排出される。
【0041】
62はコントロールボックスで、取付プレート64により吊持されている。
ここで取付プレート64は、円形の穴を有するリング状部66を有していて、そのリング状部66が、上部16のフランジ部22と固定ナット24とによりシンク10とともに共締めされる状態でシンク10に固定されている。
【0042】
68はコントロールボックス62の内部に設けられた基板で、この基板68上に、制御部をなす図2のマイコン70が、カレントトランス72,リレー74等とともに搭載されている。
図2において、カレントトランス72はモータ44に流れる電流を検出する電流検出器としてのもので、このカレントトランス72にて検出された電流値は、電圧値に変換されてマイコン70に出力される。
【0043】
一方リレー74は、モータ44への駆動電流の通電・通電停止を行うスイッチとしてのもので、マイコン70からの信号によりオン動作又はオフ動作する。モータ44への駆動電流の供給はリレー74がオン状態の下で行われる。
尚、マイコン70には蓋30に備えられた蓋スイッチ31,上記のサーミスタ54が電気的に接続されて、それら蓋スイッチ31,サーミスタ54からの信号がマイコン70に向けて出力される。
マイコン70にはまた、警報を発するブザー76が接続されている。
尚78は、モータ44側に設けられた安全スイッチとしてのバイメタルスイッチである。
【0044】
この実施形態では、カレントトランス72によりモータ44に流れる電流値が連続して検出される。
マイコン70はその出力を受け、設定時間の全範囲に亘る電流値を積算し、そしてその積算値がしきい値を超えたときにリレー74に信号供給してリレー74をオフ動作させ、モータ44への通電を停止させる。即ちモータ44を停止させる。
【0045】
ここではその設定時間が、短時間(ここでは1秒間)の第1設定時間と、中時間(ここでは5秒間)の第2設定時間と、長時間(ここでは600秒間)の第3設定時間とに段階的に複数に設定され、そしてそれぞれの設定時間ごとに異なったしきい値が定められている。
【0046】
ここでは100msecごとに、カレントトランス72にて検出された電流値が読み取られ、そして10個の読取値のうちの最大値と最小値とが除かれた8個の電流値の平均値が1秒当りの電流値として求められ、その(平均)電流値が1秒ごとに設定時間の全範囲に亘って積算されて行く。
【0047】
これに応じて、短時間の第1設定時間に対応した第1しきい値が、1秒間に12A(アンペア)の電流が流れ続けたのに相当する12[A]×1[sec]=12[A・s]として定められ、また中時間の第2設定時間に対応した第2しきい値が、1秒当りの電流値8Aが5秒間流れ続けたのに相当する8[A]×5[sec]=40[A・s]として定められている。
更に長時間の第3設定時間に対応した第3しきい値が、1秒当りの電流値1.5Aが600秒間流れ続けたのに相当する1.5[A]×600[sec]=900[A・s]として定められている。
【0048】
ここで第3設定時間を600秒間とし、またこれに対応した第3しきい値を900[A・s]としているのは次の理由による。
即ち生ごみの破砕に対する抵抗(負荷)が大きくはなく、モータ44に流れる電流が定格電流以下の低電流であるものの、破砕がされ難いもので長時間に亘り破砕動作が行われてしまう等により、最終的にモータに熱が籠って動作不良を生じる恐れがある場合を想定し、その動作不良を未然に防ぎ得る限界(安全率を見込んだ限界)が、1秒当りの電流値1.5Aが600秒間流れ続けた場合であるとして、更にはモータ44が発生した熱を持ち続ける時間の限界が600秒(10分)程度であるとして第3設定時間の長さ及び電流値の積算値を定めている。
このような低電流が長時間に亘りモータ44に供給され続けた場合、安全スイッチとしてのバイメタルスイッチ78は働かず、従って積極的にモータ44への通電を停止しないと動作不良を生じてしまう恐れがある。
【0049】
一方第1設定時間を1秒間とし、また対応する第1しきい値を12[A・s]としたのは、例えば破砕刃がスプーンやフォーク等を噛み込んでしまってモータが回転不能状態(ロック状態)となったとき、モータに12Aを超えるような大電流が流れてモータに大発熱が生じ、モータや破砕刃が故障する恐れがあることを想定したもので、これを防止可能な限度として第1設定時間を1秒間、これに対応した第1しきい値を12A×1として定めている。
【0050】
尚この第1設定時間,第1しきい値に基づくマイコン70によるモータ44への通電停止は、安全スイッチとしてのバイメタルスイッチ78に代わってこれを行うとも言えるものであるが、マイコン70の制御によってこれを行う場合、バイメタルスイッチ78の働きによるモータ44への通電停止と異なって、モータ44への通電停止を解除することで自動的に生ごみ破砕装置12を元の状態に復帰させることができる。
従ってオフ動作したバイメタルスイッチ78をオン状態に復帰させるための操作を使用者に強いないで済む。
【0051】
更に中時間の第2設定時間を5秒間、対応する第2しきい値を40[A・s]としているのは、上記2つのケースの中間の状況として、破砕は可能であるものの破砕に対する抵抗が重く、比較的短い時間の破砕運転でモータ44での発熱が多く、モータ温度が許容度を超える高温度まで上昇する場合を想定したもので、これを防止すべく設定時間を5秒間、対応する第2しきい値を、1秒当りの電流値8Aが5秒間流れ続けた場合に相当する40[A・s]として定めている。
【0052】
マイコン70は、各設定時間ごとの電流値の積算値を算出し、その積算値が、各設定時間ごとに定められたしきい値を超えたとき、モータ停止信号を出力してリレー74を閉動作させ、モータ44への通電を停止して、モータ44を作動停止させる。
【0053】
図3にマイコン70による制御の内容が具体的に示してある。
図示のように、ここでは第1設定時間の1秒間の電流の積算値が12[A・s]を超えたとき、リレー74にモータ停止信号を送ってリレー74をオフ動作させ、モータ44を停止させる(ステップS10,S12)。
【0054】
一方1秒間の電流値の積算値が12[A・s]を超えることが無いまま、5秒間の電流値の積算値が40[A・s]を超えたときには、同じくモータ44を停止させ(ステップS14,S16)、また5秒間の電流の積算値が第2しきい値の40[A・s]に至らないまま、600秒間の電流の積算値が第3しきい値である900[A・s]を超えたときには、同じくモータ44を停止させる(ステップS18,S20)。
【0055】
そして1秒間の電流の積算値,5秒間の電流の積算値,600秒間の電流の積算値の何れかが、対応する第1しきい値,第2しきい値,第3しきい値の何れかを超えてモータ停止したときには、ステップS22に続いてステップS24を実行してブザー76を鳴らし、使用者に対して異常発生したことを知らせる。
使用者はこのブザー76による警報音によって異常が生じたことを知り、必要な対応を取ることができる。
【0056】
例えばブザー76によって、破砕刃がスプーン等の噛込みによる異常発生したことを知ったときには、スプーン等を取り外すことで異常の原因を取り除くことができる。
或いはブザー76の警報音によって、破砕刃による生ごみの破砕が長時間続いたことによる異常が発生したことを知ったときには(ブザーによって異常の種類を知らせることができる)、破砕室33内の生ごみを除去することで、その原因を取り除くことができる。
【0057】
この実施形態では、その後に復帰時間として設定した20分経過後に、サーミスタ54による検出温度が45℃以下であることを条件として、マイコン70がリレー74にモータオン信号を送ってリレー74をオン動作させ、モータ44への通電停止状態を解除する。これにより生ごみ破砕装置12を動作可能な状態に復帰させる。
【0058】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明は電流検出器としてカレントトランス以外の種々のものを用いることが可能であるし、また上記の第1,第2,第3設定時間を種々変更し、またこれに応じて対応する第1しきい値,第2しきい値,第3しきい値の値を様々に変更すること、或いは設定時間を2段階若しくは4段階以上の複数段階に定めることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 シンク
12 生ごみ破砕装置
26 投入口
32 破砕容器
33 破砕室
34 固定刃
36 回転刃
44 モータ
54 サーミスタ
70 マイコン
72 カレントトランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク底部で開口した投入口と、固定刃と回転刃とを有する破砕部と、該回転刃を回転駆動する電動式のモータと、該モータを作動制御する制御部と、を備え、該投入口から投入された生ごみを給水下で該回転刃の回転により破砕して、破砕物を排水とともに排出する生ごみ破砕装置において、
前記モータに流れる電流値を検出する電流検出器を設けて、該電流検出器からの出力を前記制御部で受け、設定時間内の電流値の積算値がしきい値を超えたときに該制御部にて前記モータへの通電を停止させ、モータ停止させるようになしてあることを特徴とする生ごみ破砕装置。
【請求項2】
請求項1において、時間の長さが互いに異なった複数パターンで前記設定時間を複数段階に定めるとともに、各設定時間ごとに異なったしきい値を定め、何れかの設定時間内の前記積算電流値が該設定時間に対応して定めた前記しきい値を超えたときに、前記制御部にて前記モータへの通電を停止させるようになしてあることを特徴とする生ごみ破砕装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記制御部は、モータ停止後に、設定した復帰時間を経過した後に前記モータへの通電停止状態を解除するものとなしてあることを特徴とする生ごみ破砕装置。
【請求項4】
請求項3において、前記モータ周りの温度を検出する温度検出器を設けて、該温度検出器からの出力を前記制御部で受け、該温度検出器による検出温度が設定温度以下であることを条件として、前記制御部が前記モータへの通電停止状態を解除するものとなしてあることを特徴とする生ごみ破砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−99711(P2013−99711A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244287(P2011−244287)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】