説明

生体情報システム

【課題】モニタリング効率の向上。
【解決手段】端末データベース32は、複数の生体指標の種類の各々に医療情報を関連づけて記憶する。疾病データ入力部31は、モニタリング対象者に関する医療情報を入力する。モニタリング条件決定部33は、入力された医療情報に端末データベース32上で関連づけられた生体指標の種類を決定する。生体データ収集部36は、決定された生体指標の種類に関するモニタリング対象者の計測値のデータを、ヘルスケア機器1を介して収集する。端末データベース32は、収集された計測値のデータを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、生体情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
常時生体モニタリング技術により早期診断や予防、健康維持が期待されている。疾病や異常によっては数年から数十年にわたる長期間のモニタリングが必要である。常時生体モニタリングの環境においては、多数のヘルスケア機器がモニタリング対象者の生体情報を常時収集し、収集された生体情報がデータベースに保存される。このような膨大なデータ量の生体情報を記憶するための大容量の記憶媒体を利用者個人が所有し管理することは、利便性の点や経済的な理由等を鑑みると現実的に困難である。従ってモニタリング効率が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―57552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的は、モニタリング効率の向上を可能とする生体情報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る生体情報システムは、複数の生体指標の種類の各々に医療情報を関連づけて記憶する指標種記憶部と、モニタリング対象者に関する医療情報を入力する入力部と、前記入力された医療情報に前記指標種記憶部上で関連づけられた生体指標の種類を決定する指標種決定部と、前記決定された生体指標の種類に関する前記モニタリング対象者の計測値のデータを、ヘルスケア機器を介して収集する収集部と、前記収集された計測値のデータを記憶する計測値記憶部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態に係る生体情報システムの概念を示す図。
【図2】第1実施形態に係る生体情報システムの構成を示す図。
【図3】図2の疾病データ入力部により入力される疾病データの具体例を示す図。
【図4】図2の端末データベースに記憶されているモニタリング条件テーブルの一例を示す図。
【図5】図2の端末データベースに記憶されているモニタリング条件テーブルの他の例を示す図。
【図6】図2の端末データベースに記憶されているモニタリング条件テーブルの他の例を示す図。
【図7】図2のモニタリング条件決定部により行われるモニタリング条件の決定処理の典型的な流れを示す図。
【図8】図2のモニタリング条件決定部により行われるモニタリング条件の決定処理の具体例を示す図。
【図9】第2実施形態に係る生体情報システムの構成を示す図。
【図10】図9の通信設定部により設定される通信設定ファイルの具体例を示す図。
【図11】図9のモニタリング対象者設定部により設定される対象者ファイルの具体例を示す図。
【図12】第3実施形態に係る生体情報システムの概要を示す図。
【図13】第3実施形態に係る生体情報システムの構成を示す図。
【図14】図13の疾病データ抽出部によるモニタリング対象疾病の抽出処理の具体例を示す図。
【図15】第4実施形態に係る生体情報システムの概要を示す図。
【図16】第4実施形態に係る生体情報システムの構成を示す図。
【図17】図16の参考データ取得部による参考データの取得処理の具体例を示す図。
【図18】変形例に係る生体情報システムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる生体情報システムを説明する。
【0008】
本実施形態に係る生体情報システムは、指標種記憶部、入力部、指標種決定部、収集部、及び計測値記憶部を有している。指標種記憶部は、複数の生体指標の種類の各々に医療情報を関連づけて記憶する。入力部は、モニタリング対象者に関する医療情報を入力する。指標種決定部は、前記入力された医療情報に前記指標種記憶部上で関連づけられた生体指標の種類を決定する。収集部は、前記決定された生体指標の種類に関する前記モニタリング対象者の計測値のデータを、ヘルスケア機器を介して収集する。計測値記憶部は、前記収集された計測値のデータを記憶する。
【0009】
本実施形態に係る医療情報は、患者情報、検査情報、問診情報、及び疾病情報の少なくとも一つを含んでいる。患者情報としては、例えば、生年月日や年齢、性別、既往歴、アレルギーの有無、家族、家族の既往歴等の情報を含んでいる。検査情報としては、例えば、身体測定の測定値、血液検査の検査結果、各種画像診断装置による検査の検査結果、及びヘルスケア機器による測定値等の情報を含んでいる。また、検査情報は、これら測定値や各検査項目の異常度合いを示す閾値情報を含んでいても良い。問診情報は、症状や疾病名、生活習慣等の問診医による問診の結果を含んでいる。疾病情報としては、疾病名、所見、それらの過去の履歴等の情報を含んでいる。
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる生体情報システムを説明する。なお、以下、説明を具体的に行なうため、本実施形態に係る医療情報は、特に言及しない限り疾病名であるとする。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る生体情報システムの概念を示す図である。図1に示すように、第1実施形態に係る生体情報システムは、典型的には、モニタリング対象者の住居内等に設計される。モニタリング対象者は、ヘルスケア機器1により生体指標を計測する。一般的なヘルスケア機器1としては、体温を計測する体温計、脈拍を計測する脈拍計、血圧を計測する血圧計、体重を計測する体重計等が挙げられる。これら体温や脈拍、血圧、及び体重等の生体指標の計測値のデータは、生体情報システム内のPC(パーソナルコンピュータ)3に記憶され管理される。以下、生体指標の計測値のデータを生体データと呼ぶことにする。モニタリング対象者は、自身が患っている疾病に応じた生体指標をPC3を利用してモニタリングする。例えば、モニタリング対象者が高血圧を患っている場合、血圧計で計測された血圧等の生体指標をPC3でモニタリングすることができる。なお生体情報システムが構築されるのは、住居内に限定されない。生体情報システムは、ヘルスケア機器1とそれを管理するPC3とが存在する全ての場所に構築可能である。
【0012】
PC3は、図1には図示されていないサーバ装置にネットワークを介して接続されている。サーバ装置は、典型的には、病院内等に設置され、複数の患者に関する医療データを管理している。サーバ装置は、病院内等に構築された医療情報システムにも接続されている。PC3は、ヘルスケア機器1を介して収集された生体データをネットワークを介してサーバ装置に送信する。サーバ装置は、送信された生体データを医療データとして管理する。このようにPC3は、クライアント端末として機能する。以下、PC3をクライアント装置と呼ぶことにする。
【0013】
なおクライアント装置3は、図1に示すような卓上用のコンピュータに限定されず、ノートパソコンやPDA(personal digital assistant)等のコンピュータであってもよい。
【0014】
本実施形態に係るヘルスケア機器1は、有線や無線を介してクライアント装置3に接続されている。ヘルスケア機器1は、生体データを自動的に計測し、計測された生体データを有線や無線を介してクライアント装置3に供給することができる。クライアント装置3に接続されているヘルスケア機器1は、1つに限定されず複数でもよい。1つのヘルスケア機器1は、1種類の生体データのみ計測可能なタイプであっても、複数種類の生体データを計測可能なタイプであってもよい。
【0015】
生体データを自動計測可能なヘルスケア機器1としては、例えば、腕時計型複合生体センサ、指輪型パルスオキシメータ、センサ内蔵GPSシューズ、眼球運動センサ、脳波センサ、脈拍センサ、血圧センサ等が知られている。腕時計型複合生体センサは、モニタリング対象者の腕に装着され、身体運動や導電率、皮膚温度を自動的に計測する。指輪型パルスオキシメータは、モニタリング対象の指に装着され、血液中酸素の濃度や量を自動的に計測する。センサ内蔵GPSシューズは、GPSや圧力センサが内蔵された靴であり、モニタリング対象者の位置や足圧を自動的に計測する。眼球運動センサは、眼鏡やゴーグル等に内蔵され、眼球の運動量や視線方向を自動的に計測する。脳波センサは、モニタリング対象者の頭部に装着され、脳波を自動的に計測する。脈拍センサは、モニタリング対象者の指に装着され、脈拍を自動的に計測する。血圧センサは、例えば、便座に内蔵され、血圧を自動的に計測する。なお本実施形態に係るヘルスケア機器1は、上述のものに限定されない。本実施形態に係るヘルスケア機器1としては、有線や無線を介してクライアント装置3に生体データを送信可能であれば、いかなるタイプのものであっても良い。
【0016】
なお、上記の説明において生体情報システムは、住居内に設置されるとした。しかしながら、本実施形態に係る生体情報システムは、病院内の病室に設置されるとしてもよい。この場合、クライアント装置3は、病院内の病室に設けられる。
【0017】
図2は、第1実施形態に係る生体情報システムの構成を示す図である。図2に示すように、生体情報システムは、ヘルスケア機器1とクライアント装置3とを有している。ヘルスケア機器1とクライアント装置3とは、有線や無線等を介して接続されている。クライアント装置3は、疾病データ入力部31、端末データベース32、モニタリング条件決定部33、モニタリング条件設定部34、ヘルスケア機器制御部35、及び生体データ収集部36を有している。
【0018】
疾病データ入力部31は、モニタリング対象者に関する疾病データを入力する。疾病データは、例えば、疾病名のデータを含む。また、疾病データは、疾病名のデータの他に進行ステージ等の重篤度合のデータを含んでもよい。疾病データ入力部31は、疾病データの識別子をGUI等を介して直接的に入力しても、疾病データが記録されたファイルやテーブル等を入力してもよい。疾病データ入力部31は、電子カルテシステム等の医療情報システムからネットワークを介して疾病データを入力しても良い。なお疾病データ入力部31は、モニタリング対象者が抱える疾病や進行ステージ等のデータに限らず、合併症や併発危険疾病等の疾病に関連するデータを疾病データとして入力してもよい。
【0019】
図3は、疾病データ入力部31により入力される疾病データの具体例を示す図である。図3に示すように、疾病データは、モニタリング対象者の患者ID、疾病名、進行ステージを含んでいる。この場合、モニタリング対象者は、患者IDが「A001」であり、進行ステージ「IIA」の「高血圧症」、進行ステージ「IB」の「糖尿病」、進行ステージ「IIB」の「高脂血症」を患っている。
【0020】
端末データベース32は、複数の疾病名と複数の生体データ条件とをそれぞれ関連付けて記憶する。生体データ条件は、生体指標の種類とヘルスケア機器の種類との少なくとも1つを含んでいる。疾病名のデータと生体指標の種類のデータとは、端末データベース32内に記憶されている。生体指標の種類は、生体指標名や生体指標の識別番号を意味する。このように端末データベース32は、複数の疾病名と複数の生体指標の種類とを関連付けて記憶する指標種記憶部として機能する。なお、端末データベース32は、生体指標の種類とヘルスケア機器1の種類とを関連付けて記憶している。生体指標の種類とヘルスケア機器の種類とは、上述のように1つのヘルスケア機器が1種類の生体指標のみを計測するとは限らないため、1対1で対応していても、複数対1で対応していてもよい。また、1種類の生体指標が複数のヘルスケア機器で計測される場合もあるため、体指標の種類とヘルスケア機器の種類とは、1対複数で対応していてもよい。
【0021】
さらに端末データベース32は、複数の生体データ条件と複数の収集条件とをそれぞれ関連付けて記憶している。収集条件は、生体データの保存期間と計測タイミングとの少なくとも1つを含んでいる。保存期間のデータと計測タイミングのデータとは、端末データベース32に記憶されている。保存期間は、各生体指標の種類に応じて設定される。保存期間は、生体指標の種類に応じた医学的特性に応じて決まる。計測タイミングは、各生体指標の種類に応じて設定される。計測タイミングは、生体指標の種類に応じた医学的特性に応じて決まる。
【0022】
これら生体指標の種類、ヘルスケア機器の種類、保存期間、計測タイミング、そしてモニタリングの有無の組合せは、生体データのモニタリング条件を構成する。典型的には、端末データベース32は、複数の疾病名と複数のモニタリング条件とをそれぞれ関連付けたテーブル(以下、モニタリング条件テーブルと呼ぶことにする。)を保持している。
【0023】
図4は、モニタリング条件テーブルの一例を示す図である。図4のモニタリング条件テーブルは、疾病名の項目、生体指標名の項目、保存期間の項目、モニタリングの有無の項目を有している。つまり、各疾病名について、生体指標名、その生体指標をモニタリングするか否か、その生体指標の生体データの保存期間を示している。例えば、高血圧症の場合、血圧と脈拍と血糖値とをモニタリングし、血圧値のデータの保存期間が90日、脈拍値のデータの保存期間が90日、血糖値のデータの保存期間が30日であることがわかる。
【0024】
なお、モニタリング条件テーブルの内容は、上述の例に限定されない。図5に示すように、モニタリング条件テーブルに設定されている生体指標名と疾病名との組合せとしては、様々な例が挙げられる。また、図6に示すように、生体指標名と疾病名とにヘルスケア機器名が関連付けられていても良い。
【0025】
さらに端末データベース32は、疾病名のデータやモニタリング条件のデータの他にも様々なデータやテーブルを記憶している。例えば、端末データベース32は、生体データ収集部36によりヘルスケア機器1を介して収集された生体データを記憶する。このように端末データベース32は、生体データを記憶する生体データ記憶部として機能する。生体データは、上述の保存期間内だけ端末データベース32に記憶される。また、端末データベース32は、ヘルスケア機器1に関する通信設定ファイルを管理している。このように端末データベース32は、通信設定ファイルを管理する通信設定管理部として機能する。また、端末データベース32は、モニタリング対象者に関する対象者ファイルを管理している。このように端末データベース32は、対象者ファイルを管理する対象者管理部としても機能する。通信設定ファイルや対象者ファイルについては後述する。
【0026】
モニタリング条件決定部33は、疾病データ入力部31により入力された疾病データ内の疾病名に基づいて、モニタリング条件テーブルを利用してモニタリング条件を決定する。図7は、モニタリング条件決定部33により行われるモニタリング条件の決定処理の典型的な流れを示す図である。図8は、モニタリング条件の決定処理の具体例を示す図である。なお図8において、モニタリング対象の疾病名は、高血圧症及び糖尿病であるとする。また、モニタリング対象者は既に生体情報システムによる生体指標のモニタリングを開始しているものとしている。すなわち、適当な期間内において計測された高血圧症及び糖尿病の生体データが端末データベース32に記憶されているものとする。
【0027】
図7に示すように、疾病データ入力部31に疾病名のデータが入力された場合、モニタリング条件決定部33は、疾病データ入力部31から疾病名のデータを取得する(ステップS1)。モニタリング対象者が非健康体の場合、所見や診断結果等に記載された疾病名のデータが取得される。モニタリング対象者が健康体の場合、健康診断等でチェックされた疾病名のデータが取得される。疾病名のデータは、モニタリング条件の決定のため、最新のものが定期的に疾病データ入力部31に入力されるものとする。図8の場合、モニタリング対象の疾病名である「高血圧症」と「糖尿病」とが取得される。
【0028】
疾病名のデータが取得されるとモニタリング条件決定部33は、取得された疾病名のデータに関連する生体指標の種類を決定する(ステップS2)。具体的には、モニタリング条件決定部33は、疾病名をキーワードとしてモニタリング条件テーブルを検索し、この疾病名にモニタリング条件テーブル上で関連付けられた生体データ条件を決定する。すなわち、疾病名に応じた生体指標の種類とヘルスケア機器の種類とが決定される。このようにモニタリング条件決定部33は、指標種決定機能を有する。図8の場合、生体指標の種類として、モニタリング条件テーブルを利用して血圧や脈拍、血糖値が決定される。なお決定された生体指標の種類は、モニタリング条件テーブル中のモニタリングの有無の項目において、モニタリング有りに設定される。
【0029】
生体指標の種類が決定されるとモニタリング条件決定部33は、決定された生体指標に関する収集条件を決定する(ステップS3)。具体的には、モニタリング条件決定部33は、決定された生体指標の種類に応じた生体指標の医学的特性に従って、決定された生体指標に関する収集条件を決定する。すなわち、決定された生体データの保存期間や計測タイミングが決定される。典型的には、モニタリング条件決定部33は、モニタリング条件テーブルを利用して収集条件を決定する。このようにモニタリング条件決定部33は、収集条件決定機能を有する。例えば、血圧は常に変動する。従って血圧は、毎回同じ時間に計測され、長期間に亘って計測されるのが望ましい。後述するモニタリング効果の算出には、長期間に亘って同時間に計測された血圧の平均値が利用されると良い。従って保存期間は、例えば、3ヶ月等の長期間に設定される。計測タイミングは、例えば、起床時、朝食前、就寝前等の同一時刻や同一条件に設定される。血糖値は、食前と食後とで値が大きく異なる。また、血糖値の経過を調べるためには、1か月分の血糖値のデータが必要である。従って保存期間は、例えば、1ヶ月等の中期間に設定される。計測タイミングは、例えば、食前と食後とにそれぞれ設定される。保存期間は、医師や医療情報システムが決定した生体指標の種類毎の保存期間とモニタリング対象者の症状とに応じて決定されてもよい。また、モニタリング条件決定部33は、モニタリング条件テーブルを利用せずに、端末データベース32のメモリの残容量に従って保存期間を決定してもよい。また、計測タイミングとして、所定期間における計測回数を示す計測頻度が設定されてもよい。計測頻度としては、例えば、一日に2回、一週間に7回等である。なお、データベース32の残容量が不足している場合、端末データベース32内の生体データが削除される。
【0030】
収集条件が決定されるとモニタリング条件決定部33は、端末データベース32に記憶されている生体データに基づいてモニタリング効果を算出する(ステップS4)。モニタリング効果は、治療経過や生体指標の計測値の推移である。モニタリング効果は、PCのディスプレイに表示されたり、端末データベース32に記憶されたりする。このモニタリング効果を観察することでモニタリング対象者は、治療経過が良好か、適切に薬が効いているか、生体指標の計測値が良い方向に推移しているか等を確認することができ、自身の健康を自宅のPC上で管理することができる。モニタリング効果の観察により、操作者は、モニタリング中の生体指標がモニタリングに適切でないと判断したり、治療が終了しモニタリングの必要がないと判断したりする場合がある。この場合、モニタリング条件決定部33は、操作者によりクライアント装置3等の入力デバイスを介したモニタリングの有無の設定操作に従って、この生体指標をモニタリング対象から外すことも可能である。また、モニタリング条件決定部33は、操作者によりクライアント装置3等の入力デバイスを介したモニタリングの有無の設定操作に従って、新規の生体指標をモニタリング対象に追加することも可能である。例えば、図8の場合、HbAlcが新規のモニタリング対象に加えられている。
【0031】
ステップS4が終了するとモニタリング条件決定部33によるモニタリング条件の決定処理が終了する。
【0032】
モニタリング条件は、ユーザからの指示に従って、クライアント装置3のモニタに表示されるとよい。これによりモニタリング対象者は、モニタリング条件を確認することができる。モニタリング条件に不具合があるとモニタリング対象者等が判断する場合がある。モニタリング条件決定部33は、ユーザからの指示に従って、モニタリング条件を適宜変更可能である。
【0033】
図2に示すように、モニタリング条件設定部34は、モニタリング条件決定部33により決定されたモニタリング条件を端末データベース32に設定する。端末データベース32は、設定されたモニタリング条件を管理する。
【0034】
ヘルスケア機器制御部35は、ヘルスケア機器1を制御する。ヘルスケア機器1は、ヘルスケア機器制御部35による制御に従ってモニタリング対象者に関する生体データを計測する。ヘルスケア機器1とのデータ通信は、端末データベース32に記憶されている通信設定ファイルを利用して行われる。生体データ収集部36は、モニタリング対象者に関する生体データをヘルスケア機器1を介して収集する。収集された生体データの種類は、モニタリング条件決定部33により決定された生体指標の種類に応じている。収集された生体データは、端末データベース32に記憶される。
【0035】
また、図2に示すように、モニタリング条件設定部34は、モニタリング条件決定部34により決定されたモニタリング条件をヘルスケア機器制御部35又は生体データ収集部36に設定する。
【0036】
以下、モニタリング条件が生体データ収集部36に設定された場合(生体データの収集方法1)とヘルスケア機器制御部35に設定された場合(生体データの収集方法2)とに分けて生体データの収集処理を説明する。
【0037】
〔生体データの収集方法1〕
モニタリング条件が生体データ収集部36に設定された場合、ヘルスケア機器制御部35は、モニタリング条件に関係なく、例えば、生体データを常時計測するようにヘルスケア機器1を制御する。なお、ヘルスケア機器制御部35の制御を受けずにヘルスケア機器1自身が生体データを常時計測可能な場合、ヘルスケア機器制御部35は不要である。
【0038】
ヘルスケア機器1は、モニタリング対象者の生体データを常時計測する。計測された生体データは、生体データ収集部36に供給される。収集方法1の場合、モニタリング対象の生体指標に関する生体データもモニタリング対象でない生体指標に関する生体データもヘルスケア機器1により計測され、それら全ての生体データが生体データ収集部36に供給される。また、モニタリング条件決定部33により決定された保存期間内においても、保存期間外においてもヘルスケア機器1により生体データが計測され、それら全ての生体データが生体データ収集部36に供給される。また、モニタリング条件決定部33により決定された計測タイミング内においても、計測タイミング外においてもヘルスケア機器1により生体データが計測され、それら全ての生体データが生体データ収集部36に供給される。
【0039】
生体データ収集部36は、ヘルスケア機器1からの生体データのうちの、モニタリング条件決定部33により決定されたモニタリング条件に適合する生体データを収集する。例えば、モニタリング対象の疾病名が「血糖値」で保存期間が「3ケ月」、計測タイミングが「毎日8:00」の場合、この疾病名及び収集条件に合致する生体データは生体データ収集部36に収集され、それ以外の生体データは破棄される。収集された生体データは、端末データベース32に記憶される。
【0040】
〔生体情報の収集方法2〕
モニタリング条件がヘルスケア機器制御部35に設定された場合、ヘルスケア機器制御部35は、設定されたモニタリング条件に応じた生体データが計測されるようにヘルスケア機器1を制御する。より詳細には、ヘルスケア機器制御部35は、モニタリング対象の生体指標に関する生体データの計測のために、モニタリング対象の生体指標の種類に応じたヘルスケア機器1を制御する。この際、ヘルスケア機器制御部35は、収集条件である保存期間や収集タイミングに生体データを計測するようにヘルスケア機器1を制御する。
【0041】
ヘルスケア機器1は、ヘルスケア機器制御部35による制御に従って生体データを計測する。計測された生体データは、生体データ収集部36に供給される。例えば、モニタリング対象の疾病名が「血糖値」で保存期間が「3ケ月」、計測タイミングが「毎日8:00」の場合、血糖値のためのヘルスケア機器1(例えば、血糖値計)は、3ケ月に亘って毎日8:00に血糖値を自動的に計測し、計測された血糖値のデータを生体データ収集部36に供給する。
【0042】
生体データ収集部36は、ヘルスケア機器1からの生体データを収集する。収集された生体データは、端末データベース32に記憶される。
【0043】
上記構成により第1実施形態に係る生体情報システムは、モニタリング対象の疾病に応じて生体指標の種類を決定し、決定された生体指標の種類に関する生体データのみを端末データベース32に記憶させることができる。従って、端末データベース32に記憶される生体データのデータ量は、モニタリング条件に合致しない生体データを記憶していた従来に比して削減される。このようなデータ量の削減に伴い、従来に比して、クライアント装置3内の端末データベース32のデータ容量を抑えることができ、また、データ管理の煩雑性を低下させることができる。
【0044】
かくして第1実施形態に係る生体情報システムは、モニタリング効率の向上を実現するこが可能となる。
【0045】
なおクライアント装置3は、卓上型のコンピュータやノートパソコン、PDAであるとしたがこれらに限定されない。本実施形態に係るクライアント装置3は、携帯電話や携帯音楽プレーヤ、電子ブックプレーヤ(電子ブックリーダデバイス)等の通信機能、演算機能、記憶機能を備えるあらゆる情報機器に適用可能である。
【0046】
(第2実施形態)
生体データをモニタリングする場合、生体データを計測するヘルスケア機器1の通信設定や、モニタリング対象者の設定等がまず初めに必要となる。第2実施形態に係る生体情報システムは、ヘルスケア機器1の通信設定やモニタリング対象者の設定を可能とする構成をさらに有している。以下、第2実施形態に係る生体情報システムについて説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0047】
図9は、第2実施形態に係る生体情報システムの構成を示す図である。図9に示すように、第2実施形態に係るクライアント装置3は、さらに通信設定部37とモニタリング対象者設定部38とを有している。
【0048】
通信設定部37は、新規のヘルスケア機器1の通信設定ファイルを受け取り、受け取った通信設定ファイルに従って新規のヘルスケア機器1の通信設定ファイルを端末データベース32に設定する。通信設定ファイルが端末データベース32に設定されることで、新規のヘルスケア機器1の通信設定が完了する。通信設定ファイルは、ヘルスケア機器1の送信データ形式及び通信規格の少なくとも1つの通信設定データを含んでいる。図10は、通信設定ファイルの具体例を示す図である。図10に示すように、通信規格としては、例えば、Bluetooth(登録商標)やUSB(universal serial bus)等が挙げられる。なお通信規格はこれに限定されない。例えば、本実施形態に係る通信規格として、ヘルスケア機器の接続規格であるコンティニュア等の既存のあらゆる通信規格が設定されてもよい。送信データ形式は、例えば、IEEE11073−10407等が設定される。なお送信データ形式はこれに限定されない。本実施形態に係る送信データ形式として、他の既存のあらゆる送信データ形式が設定されてもよい。なお、通信設定ファイルに含まれる通信設定データは、上述の通信規格、送信データ形式のみに限定されない。例えば、通信設定データとしては、ヘルスケア機器の製造会社やヘルスケア機器名、製造番号等のヘルスケア機器を識別可能なあらゆるデータが含まれていても良い。通信設定ファイルの受け取り方法は、モニタリング対象者等の操作者によりクライアント装置3の入力デバイスを介して直接入力する方法であっても、他装置からファイルやデータを入力する方法であってもよい。
【0049】
このように通信設定部37によれば、ヘルスケア機器の設定や追加が可能となり、新規のヘルスケア機器による生体データのモニタリングを可能とする。
【0050】
モニタリング対象者設定部38は、新規のモニタリング対象者の対象者ファイルを受け取り、受け取った対象者ファイルに従って新規のモニタリング対象者の対象者ファイルを端末データベース32に設定する。対象者ファイルが端末データベース32に設定されることで、新規のモニタリング対象者の設定が完了する。対象者ファイルは、モニタリング対象者の年齢、性別、及び既往歴の少なくとも1つの対象者データを含んでいる。図11は、対象者ファイルの具体例を示す図である。図11に示すように、既往歴は、過去に患った治療の履歴である。図11の場合、既往歴を参照すれば、モニタリング対象者Aは、2010年4月3日に風邪のために通院し、2010年5月1日に虫歯治療のために通院したことがわかる。なお、対象者ファイルに含まれる対象者データは、上述の年齢、性別、既往歴のみに限定されない。例えば、対象者データとしては、モニタリング対象者の生年月日や氏名、アレルギー情報、診断結果等のモニタリング対象者限定のあらゆるデータが含まれていても良い。対象者ファイルの受け取り方法は、モニタリング対象者等の操作者によりPCの入力デバイスを介して直接入力する方法であっても、他装置からファイルやデータを入力する方法であってもよい。
【0051】
このようにモニタリング対象者設定部38によれば、モニタリング対象者の設定や追加が可能となり、新規のモニタリング対象者に関する生体データのモニタリングを可能とする。
【0052】
かくして第2実施形態に係る生体情報システムは、モニタリング効率の向上を実現するこが可能となる。
【0053】
(第3実施形態)
モニタリング対象者が抱えている疾病の中には、モニタリング対象者によって早期の診断や予後のケアが必要となる重大な疾病(以下、モニタリング対象疾病と呼ぶことにする。)が存在する場合がある。モニタリング対象疾病は、それ以外の重大でない疾病(以下、モニタリング非対象疾病と呼ぶことにする。)よりも優先的にモニタリングされるべきである。第3実施形態に係る生体情報システムは、疾病をモニタリング対象疾病とモニタリング非対象疾病とに区分することで、モニタリング効率の向上を実現する。以下、第3実施形態に係る生体情報システムについて説明する。なお以下の説明において、第1及び第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0054】
図12は、第3実施形態に係る生体情報システムの概要を示す図である。図12に示すように、第3実施形態に係る生体情報システムは、典型的には、モニタリング対象者の住居と病院とに亘って設計される。病院内には、様々な人物の医療データを管理するサーバ装置5が設けられている。住居内のクライアント装置3と病院内のサーバ装置5とは、例えば、広域ネットワーク等を介して接続されている。サーバ装置5は、モニタリング対象者が抱えている疾病をモニタリング対象疾病とモニタリング非対象疾病とに区分し、モニタリング対象疾病に関する疾病データのみを広域ネットワークを介してクライアント装置3に送信する。換言すれば、サーバ装置5は、モニタリング対象者が抱えている疾病からモニタリング対象疾病を抽出し、抽出されたモニタリング対象疾病に関する疾病データをクライアント装置3に送信する。
【0055】
図13は、第3実施形態に係る生体情報システムの構成を示す図である。図13に示すように、サーバ装置5は、サーバデータベース51、疾病データ取得部52、疾病データ抽出部53、及び疾病データ出力部54を有する。
【0056】
サーバデータベース51は、病院内に構築された電子カルテシステム等の医療情報システムにおけるデータベースである。サーバデータベース51は、様々な人々の様々な医療データを管理している。例えば、サーバデータベース51は、モニタリング対象疾病の抽出条件を記憶している。抽出条件は、モニタリング対象疾病の選定の指針となる情報を有している。具体的には、抽出条件は、モニタリング対象者に関する所見や過去の診断結果の情報である。なおサーバデータベース51は、1つの病院内のデータベースに含まれるデータに限定されず、モニタリング対象者が通院した全ての病院のデータベースに含まれるデータを記憶してもよい。
【0057】
疾病データ取得部52は、モニタリング対象者に関する疾病データを取得する。例えば、疾病データ取得部52は、モニタリング対象者の持病や健康診断でチェックされる疾病等に関する疾病データを取得する。取得される疾病データは、モニタリング対象者が患っている疾病データに限らず、合併症や併発危険疾病等に関する疾病データも含む。疾病データの形式は、CCD(治療経過文書)、CCR(診療経過記録)、HL7_CDA等の標準の形式であっても、独自の形式であってもよい。HL7_CDAは、HL7の診療文書標準である。
【0058】
疾病データ抽出部53は、疾病データ取得部52により取得されたモニタリング対象者に関する疾病データを取得する。また、疾病データ抽出部53は、取得された疾病データ(より詳細には、疾病名のデータ)に関する抽出条件をサーバデータベース51から取得する。そして疾病データ抽出部53は、取得された抽出条件に従って、疾病データに関する疾病をモニタリング対象疾病とモニタリング非対象疾病とに区分する。換言すれば、疾病データ抽出部53は、疾病データに関する疾病からモニタリング対象疾病に関する疾病データを抽出する。
【0059】
以下に図14を参照しながら疾病データ抽出部53によるモニタリング対象疾病の抽出処理について詳細に説明する。図14は、抽出処理の具体例を示す図である。図14に示すように、モニタリング対象者が抱える疾病は、高血圧症、糖尿病、動脈硬化、及び心臓病であるとする。また、抽出条件は、「高血圧症と糖尿病を要観察」という内容の情報であるとする。この場合、疾病データ抽出部53は、「高血圧症と糖尿病を要観察」という内容の情報に従って、高血圧症と糖尿病とをモニタリング対象疾病に分類し、動脈硬化と心臓病とをモニタリング非対象疾病に分類する。なお疾病データ抽出部53は、モニタリング対象者が健康体の場合、健康診断でチェックされる全ての疾病をモニタリング対象疾病に分類する。このようにして疾病データ抽出部53は、モニタリング対象疾病を抽出する。
【0060】
なお疾病データ抽出部53は、サーバデータベース51のメモリの残容量に従って、モニタリング非対象疾病に分類された疾病をモニタリング対象疾病に変更することも可能である。例えば、サーバデータベース51のメモリの残容量がモニタリング非対象疾病に対応する生体データを保存期間だけ記憶可能であれば、このモニタリング非対象疾病をモニタリング対象疾病に変更する。
【0061】
疾病データ出力部54は、疾病データ抽出部53により抽出されたモニタリング対象疾病に関する疾病データを、広域ネットワークを介してクライアント装置3(より詳細には疾病データ入力部31)に送信する。その後、クライアント装置3は、第1実施形態と同様にして、モニタリング対象疾病に対応するモニタリング条件を決定し、モニタリング条件に従って生体データを収集し、端末データベース32に記憶する。
【0062】
上記構成により第3実施形態に係る生体情報システムは、モニタリング対象者が抱えている疾病からモニタリングの優先度の高いモニタリング対象疾病を抽出し、モニタリング対象疾病に対応する生体データのみをヘルスケア機器1を介して収集することができる。従って第3実施形態に係る生体情報システムは、モニタリング対象者にとって最適なモニタリングを提供することができる。
【0063】
かくして第3実施形態に係る生体情報システムは、モニタリング効率の向上を実現するこが可能となる。
【0064】
(第4実施形態)
モニタリング条件は、時間経過に伴いモニタリング対象者の健康状態が変化するので、定期的にチェックされることが望ましい。モニタリングにより収集された生体データを観察することにより、治療の経過観察やモニタリング対象者の健康状態を知ることができる。第4実施形態に係る生体情報システムは、クライアント装置に記憶されている種々のデータを、サーバ装置が疾病データを取得する際の参考に利用する。以下、第4実施形態に係る生体情報システムについて説明する。なお以下の説明において、第1、第2、及び第3実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0065】
図15は、第4実施形態に係る生体情報システムの概要を示す図である。図15に示すように、クライアント装置3は、モニタリング対象疾病の更新等のために、モニタリング対象者に関する参考データをサーバ装置5に送信する。参考データは、モニタリング対象の生体指標の種類のデータに対象者データや疾病データを組み合わせたデータである。参考データを構成する生体指標の種類のデータ、対象者データ、疾病データは、クライアント装置3の端末データベース32に既に記憶されているデータである。サーバ装置5は、参考データを利用して、新規の疾病データを取得し、取得された新規の疾病データからモニタリング対象疾病に関する疾病データを抽出し、抽出された疾病データをクライアント装置3に送信する。
【0066】
図16は、第4実施形態に係る生体情報システムの構成を示す図である。図16に示すように、第4実施形態に係るクライアント装置3は、さらに参考データ取得部39と参考データ出力部40とを有している。
【0067】
参考データ取得部39は、端末データベース32からモニタリング対象の生体指標の種類のデータを読み出す。また、参考データ取得部39は、端末データベース32からモニタリング対象者に関する対象者データや疾病データを読み出す。そして参考データ取得部39は、読み出された生体指標の種類のデータに対象者データや疾病データを組合せ、モニタリング対象者に関する参考データを生成する。
【0068】
図17は、参考データ取得部39による参考データの取得処理の具体例を示す図である。図17に示すように、端末データベース32には、血圧や脈拍、体重、血糖値等の生体指標の種類のデータがモニタリング条件や計測値(生体データ)等に関連付けられている。参考データ取得部39は、端末データベース32からモニタリング対象者に関する対象者データや疾病データを読み出す。例えば、対象者データ内の既往歴や疾病データを参照することで、モニタリング対象者が抱えている疾患名がわかる。図17の場合、モニタリング対象者は、高血圧症と糖尿病とを患っており、高血圧症と糖尿病とは経過観察が必要であるとする。そこで参考データ取得部39は、端末データベース32から、高血圧症に関連付けられている血圧に関するデータと糖尿病に関連付けられている血糖値に関するデータとを読み出す。血圧に関するデータは、「血圧」という名称のデータに限定されず、血圧に関するモニタリング条件のデータや血圧値のデータが含まれていても良い。血糖値のデータ等の他の生体指標の種類のデータも同様である。そして参考データ取得部39は、読み出された血圧に関するデータと血糖値に関するデータとに対象者データや疾病データを組合せ、モニタリング対象者に関する参考データを生成する。
【0069】
参考データ出力部40は、参考データ取得部39により取得された参考データをサーバ装置5の疾病データ取得部52に送信する。疾病データ取得部52は、参考データに基づいて疾病データを取得する。その後、サーバ装置5は、第3実施形態と同様にして、取得された疾病データからモニタリング対象疾病の疾病データを抽出する。すなわち、参考データを利用してモニタリング対象が更新される。そしてサーバ装置5は、抽出されたモニタリング対象疾病の疾病データをクライアント装置3に送信する。クライアント装置3は、送信されたモニタリング対象疾病に対応する生体データをヘルスケア機器1を介して収集する。
【0070】
上記構成により第4実施形態に係る生体情報システムは、参考データを利用することでモニタリング対象疾病を更新することができる。従って、治療経過やモニタリング対象者の健康状態に最適なモニタリングを実行することができる。
【0071】
かくして第4実施形態に係る生体情報システムは、モニタリング効率の向上を実現するこが可能となる。
【0072】
(変形例)
第1実施形態における収集方法1の場合、ヘルスケア機器1により計測された全ての生体データのうちのモニタリング条件に適合する生体データが端末データベース32に記憶されるとした。しかしながら、ヘルスケア機器1により計測された全ての生体データが端末データベース32に記憶されてもよい。この場合、モニタリング条件に適合しない生体データが既定のタイミングで削除される。以下、本実施形態の変形例に係る生体情報システムについて説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0073】
図18は、本実施形態の変形例に係る生体情報システムの構成を示す図である。図18に示すように、変形例に係る生体情報システムは、疾病データ入力部31、端末データベース32、ヘルスケア機器制御部35、生体データ収集部36、削除対象決定部41、及び削除部42を有している。
【0074】
削除対象決定部41は、疾病データ入力部31により入力された疾病データ内の疾病名に従って、複数の生体指標の種類の中から削除対象の生体指標の種類を決定する。具体的には、削除対象決定部41は、疾病名に従って、モニタリング条件テーブルを利用して削除対象の生体指標の種類を決定する。例えば、削除対象決定部41は、疾病名をキーワードとしてモニタリング条件テーブルを検索し、この疾病名にモニタリング条件テーブル上で関連付けられていない疾病名を決定する。決定された疾病名に関する計測値のデータが削除対象である。また、削除対象決定部41は、疾病名に従ってデータの削除タイミングを決定することができる。疾病名と削除タイミングとはテーブルにおいて予め関連付けられている。削除対象決定部41は、このテーブルを参照することにより疾病名に応じた削除タイミングを決定する。
【0075】
削除部42は、生体データ収集部36により収集された生体データのうちの削除対象決定部41により決定された疾病名に関する生体データを端末データベース32から削除する。削除部42は、削除対象決定部41により決定された削除タイミングで生体データの削除を実行する。なお削除タイミングは、ユーザにより任意に設定可能である。削除タイミングとしては、例えば、一日に1回、毎日午前0時、一週間に1回、毎週月曜日の午前0時等、ユーザにより任意に設定可能である。
【0076】
このように、変形例に係る生体情報システムは、モニタリング対象者が入力した疾病に関連しない生体データを端末データベース32から削除することができる。すなわち、生体情報システムは、端末データベース32に記憶されているモニタリングに不要な生体情報を、自動的にまたはユーザが任意に削除することができる。従って、端末データベース32に記憶される生体データのデータ量は、生体データを削除しない従来に比して削減される。このようなデータ量の削減に伴い、従来に比して、クライアント装置3内の端末データベース32のデータ容量を抑えることができ、また、データ管理の煩雑性を低下させることができる。
【0077】
かくして変形例に係る生体情報システムは、モニタリング効率の向上を実現するこが可能となる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1…ヘルスケア機器、3…クライアント装置、31…疾病データ入力部、32…端末データベース、33…モニタリング条件決定部、34…モニタリング条件設定部、35…ヘルスケア機器制御部、36…生体データ収集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生体指標の種類の各々に医療情報を関連づけて記憶する指標種記憶部と、
モニタリング対象者に関する医療情報を入力する入力部と、
前記入力された医療情報に前記指標種記憶部上で関連づけられた生体指標の種類を決定する指標種決定部と、
前記決定された生体指標の種類に関する前記モニタリング対象者の計測値のデータを、ヘルスケア機器を介して収集する収集部と、
前記収集された計測値のデータを記憶する計測値記憶部と、
を具備する生体情報システム。
【請求項2】
前記医療情報は、疾病情報、検査情報、問診情報、及び患者情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の生体情報システム。
【請求項3】
前記生体指標の種類に応じた前記生体指標の医学的特性に従って、前記生体指標のデータの保存期間及び計測タイミングの少なくとも1つを含む収集条件を決定する収集条件決定部をさらに備え、
前記収集部は、前記ヘルスケア機器からの計測値のデータの中から前記決定された収集条件に適合する計測値のデータを収集し、
前記生体データ記憶部は、前記決定された収集条件に適合する計測値のデータを記憶する、
請求項1記載の生体情報システム。
【請求項4】
前記生体指標の種類に応じた前記生体指標の医学的特性に従って、前記生体指標のデータの保存期間及び計測タイミングの少なくとも1つを含む収集条件を決定する収集条件決定部と、
前記ヘルスケア機器を制御し、前記決定された収集条件に従って生体指標の計測値を計測させる制御部と、をさらに備え、
前記計測値記憶部は、前記制御されたヘルスケア機器を介して前記収集部により収集された計測値のデータを記憶する、
をさらに備える請求項1記載の生体情報システム。
【請求項5】
前記生体指標の種類に応じた前記生体指標の医学的特性に従って、前記生体指標の計測値のデータの保存期間を決定する保存期間決定部をさらに備え、
前記計測値記憶部は、前記決定された保存期間だけ前記収集された計測値のデータを記憶する、
請求項1記載の生体情報システム。
【請求項6】
前記計測値記憶部の残りの記憶容量に応じて計測値のデータの保存期間を決定する保存期間決定部をさらに備え、
前記計測値記憶部は、前記決定された保存期間だけ前記収集された計測値のデータを記憶する、
請求項1記載の生体情報システム。
【請求項7】
前記入力された医療情報の中からモニタリング対象の医療情報を、モニタリング対象者に関する所見及び診断結果の少なくとも1つに従って抽出する抽出部をさらに備え、
前記指標種決定部は、前記抽出された医療情報に前記指標種記憶部上で関連づけられた生体指標の種類を決定する、
請求項1記載の生体情報システム。
【請求項8】
送信データ形式及び通信規格の少なくとも1つを含む通信設定ファイルを管理する管理部と、
前記ヘルスケア機器に関する通信設定ファイルを前記管理部に設定する設定部と、
をさらに備える請求項1記載の生体情報システム。
【請求項9】
年齢、性別、及び既往歴の少なくとも1つを含む対象者ファイルを管理する管理部と、
前記モニタリング対象者に関する対象者ファイルを前記管理部に設定する設定部と、
をさらに備える請求項1記載の生体情報システム。
【請求項10】
医療情報のデータ、生体指標のデータ、収集条件のデータ、及びモニタリング対象者に関する患者ファイルのデータの少なくとも1つを含むデータを、サーバ装置にネットワークを介して出力する出力部、をさらに備える請求項1記載の生体情報システム。
【請求項11】
ヘルスケア機器を利用してモニタリング対象者の生体指標の計測値をモニタリングする生体情報システムであって、
複数の生体指標の種類の各々に医療情報を関連づけて記憶する指標種記憶部と、
前記モニタリング対象者に関する医療情報を入力する入力部と、
前記入力された医療情報に前記指標種記憶部上で関連づけられた生体指標の種類を決定する指標種決定部と、
を具備することを特徴とする生体情報システム。
【請求項12】
複数の生体情報の種類に関する複数の計測値のデータを記憶する計測値記憶部と、
複数の生体指標の種類の各々に医療情報を関連づけて記憶する指標種記憶部と、
モニタリング対象者に関する医療情報を入力する入力部と、
前記入力された医療情報に従って、前記複数の生体指標の種類の中から削除対象の生体指標の種類を決定する決定部と、
前記記憶された複数の計測値のデータのうちの前記決定された生体情報の種類に関する計測値のデータを前記計測値記憶部から削除する削除部と、
を具備する生体情報システム。
【請求項13】
前記決定部は、前記入力された医療情報に従って、データの削除タイミングを決定し、
前記削除部は、前記決定された削除タイミングで前記決定された生体情報の種類に関する計測値のデータを前記計測値記憶部から削除する、
請求項12記載の生体情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−90962(P2012−90962A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198801(P2011−198801)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】