説明

生体情報収集システム

【課題】無線通信により生体情報測定器から生体情報測定を取得する際に、登録されたデバイス名をもとに目的の生体情報測定器を容易に特定することができる生体情報収集システムを提供する。
【解決手段】生体情報を測定する生体情報測定器110と、前記生体情報測定器110が測定した生体情報を収集する携帯型データ収集器120と、で構成される生体情報収集システムにおいて、前記生体情報測定器110は、前記携帯型データ収集器120からデバイス名変更コマンドを受信すると、この生体情報測定器110のデバイス名を設定するデバイス名変更部115を備え、測定した生体情報と変更したデバイス名とを関連付けて前記携帯型データ収集器120に送信する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を測定する生体情報測定器と、この生体情報測定器が測定した生体情報の測定結果を収集する携帯型データ収集器で構成される生体情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療現場において患者の身近で検査をするPOCT(Point of Care Testing)が診断の質の向上のため重要となってきている。また、POCTを実施するための生体情報測定器ならびに試験片が低価格で高性能化を日々進めており、患者自身が測定器を手軽に購入可能な環境になってきている。それによって、POCTの中でもSMBG(Self−Monitoring of Blood Glucose)に代表される自己測定が実施されるようになってきた。
【0003】
このように、自己測定が行なわれるような環境の中で、医療現場においては患者自身が自己測定を行なった測定結果をもとに診断が行なわれる。そのため、各患者から効率良く且つ間違えることなく測定結果を収集する必要性がある。
【0004】
そこで、データを効率良く収集するために無線通信機能を搭載した生体情報測定器が普及しつつある。それによって、看護士が無線通信機能を搭載したPDA(Personal Digital Assistant)に代表される携帯型データ収集器を用いて、数メートル離れた位置からでも必要な生体情報測定器から測定結果を収集することが可能である。
【0005】
このように無線通信を用いる場合は、マスターとなる携帯型データ収集器の無線通信圏内に、測定した生体情報を取得する対象となる生体情報測定器と同じ方式の無線通信を使用している機器が存在すると、その機器と携帯型データ収集器は接続してしまう。そのため、対象の機器とは異なる機器からは測定結果を収集しないような対応が必要ある。
【0006】
そこで従来の技術として、機器毎の識別アドレスを、予め携帯型データ収集器に看護士が判断可能な名称(以降デバイス名と称す)と関連付けて登録しておいて、登録した機器と通信を行う時に、無線通信によって取得した識別アドレスから携帯型データ収集器の画面上に関連付けたデバイス名を表示するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−281041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術は、複数の看護士が複数の携帯型データ収集器を使用する環境では、一つの生体情報測定器に対して携帯型データ収集器ごとに別々のデバイス名で登録されることが有る。その場合には、携帯型データ収集器を使用する看護士が入れ替わると、登録されたデバイス名をもとに目的の生体情報測定器を特定することが困難であるという課題を有していた。
【0008】
そこで本発明は、登録されたデバイス名をもとに目的の生体情報測定器を容易に特定することができる生体情報収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の生体情報収集システムは、生体情報を測定する生体情報測定器と、前記生体情報測定器が測定した生体情報を収集する携帯型データ収集器と、で構成される生体情報収集システムにおいて、前記生体情報測定器は、前記携帯型データ収集器からデバイス名変更コマンドを受信すると、この生体情報測定器のデバイス名を設定するデバイス名変更部を備え、測定した生体情報と変更したデバイス名とを関連付けて前記携帯型データ収集器に送信する構成としたことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の生体情報収集システムは、携帯型データ収集器から送信されたデバイス名に変更するデバイス名変更部を生体情報測定器に備え、各携帯型データ収集器が変更したデバイス名を登録するようにしたので、登録されたデバイス名をもとに目的の生体情報測定器を容易に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明おける生体情報収集システムの実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の生体情報収集システムのブロック図を示したものである。図1に示すように生体情報収集システムは、生体情報測定器110と携帯型データ収集器120で構成される。更に、生体情報測定器110は、生体情報測定部111と、第一の無線通信部112と、識別アドレス保持部113と、デバイス名保持部114と、デバイス名変更部115と、測定器制御部116とで構成される。また、携帯型データ収集器120は、第二の無線通信部121と、デバイス名管理部122と、データ管理部123と、コマンド生成部124と、データ収集器制御部125で構成される。
【0013】
また図2は、生体情報収集システムの概要を示した図である。図2に示す例では、3つの生体情報測定器110a〜110cと携帯型データ収集器120が無線通信を行う様子を示している。携帯型データ収集器120は、外部インターフェースとして、ユーザ入力部126と、表示部220とを備えている。また、生体情報測定器110a〜110cは、外部インターフェースとして表示部200と、複数のボタンからなるユーザ入力部201とを備え、生体情報を測定するための試験片210を保持している。
【0014】
本実施形態では、生体情報測定器110a〜110cとして、試験片210に点着された血液の血糖値を測定する血糖計に適用した例を示している。これら生体情報測定器110a〜110cは、片手で待ち運び可能な大きさでバッテリ駆動の携帯型血糖計である。
【0015】
生体情報測定器110a〜110cの表示部200は、セグメント方式あるいはドットマトリクス方式のいずれかを利用したディスプレイである。また、ユーザ入力部201は、押しボタン式のボタンであり、少なくとも表示部200に表示されるデータを変更する機能を備えたボタンと、決定する機能を備えたボタンとで構成する。
【0016】
生体情報測定部111は、試験片210に点着した血液の血糖値を測定して生体情報として出力するブロックである。生体情報測定部111は、ユーザが、電気化学反応を行なう使い捨て式の未使用の試験片210を生体情報測定器110に装着して、試験片210に血液を点着すると、生体情報測定部111は、試験片210に血液が点着された事を検知し、試験片210に点着された血液中の成分から血糖値を測定する。
【0017】
図3に生体情報測定部111の構成を示す。生体情報測定部111は、コネクタ320と、演算増幅回路330と、帰還抵抗340と、A/D(Analog to Digital)変換回路350と、演算回路360と、記憶手段370と、基準電位380とで構成される。また、測定に使用する試験片210は、使い捨て式且つ電気化学反応式であって、作用極211と、対極212と、酵素やメディエータ等からなる反応体213とを備えている。
【0018】
以上のように構成された生体情報測定部111の動作について詳細に説明する。コネクタ320は、試験片210を挿入するための挿入口であって、電極321と電極322とを備えている。コネクタ320に試験片210が挿入されると、電極321が作用極211と接触し、電極322が対極212と接触する。コネクタ320に試験片210が挿入された状態で、ユーザが試験片210の反応体213に血液を点着する。反応体213に血液が点着されると、反応体213が血液に溶解して酵素反応が進行する。
【0019】
次に、試験片210の作用極211に接する電極321と試験片の対極212に接する電極322とを介して、作用極211と対極212に電圧を印加する。電圧を印加したとき、血液中の血糖濃度と相関のある電流が帰還抵抗340を通して試験片210に流れる。演算増幅器330の非反転入力端子331は、基準電位380に接続されており、演算増幅器330は、非反転入力端子331と反転入力端子332を同電位に保とうと制御する。そのため、帰還抵抗340の電流による降下分の電位を基準電位380に加算した電圧を出力端子333に発生する。この作用によって試験片210に流れる電流に比例した電圧が出力端子333に発生し、電流−電圧変換を行うことができる。出力端子333に発生した電圧は、A/D変換回路350によってデジタル値に変換する。そして、A/D変換回路350は変換したデジタル値を演算回路360に送信する。
【0020】
演算回路360は、受信したデジタル値から血液中の血糖値である血糖濃度を計算する。血糖値を計算するには、例えば次のような処理を行なう。予め低血糖濃度と高血糖濃度に相当する電流を発生する2つの定電流源をそれぞれコネクタ320に接続し、各A/D変換値から、電流値とデジタル値の一次変換式である検量線を演算回路360で求めておく。その検量線の傾きaと切片bは、前記A/D変換回路から送信されるデジタル値と血糖値とを関連付ける情報であり、この検量線を生体情報測定器内の制御用プログラムに記憶しておく。したがって、演算回路360は、A/D変換回路350から受信したデジタル値を、検量線に当てはめることにより血糖値を計算する。
【0021】
更に生体情報測定部111は、時刻取得手段361を備えている。時刻取得手段361は、リアルタイムクロックを利用した時刻管理機能である。時間取得手段361が時刻取得要求を受信すると現在時間を年月日時分が判別できる形式で返信する。また、時刻管理機能は、システムクロックを利用したカウンタから求めたカウント値を時刻変換することでも実現が可能である。演算回路360は、血糖値の計算終了後に時刻取得手段361に対して時刻取得要求を送信する。そして、時刻取得要求の返信として取得した現在時刻と計算した血糖値の2個のデータを測定結果として記憶手段370に送信する。
【0022】
記憶手段370は、受信した測定結果に対して、記憶している過去の測定結果との関連が判定できる通し番号の管理IDを付加して記憶する。記憶手段370は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)に代表される書き換え可能なメモリで、生体情報測定器110の電源をOFFしても、記憶したデータが消えないことが必須条件である。また記憶手段370は、予め記憶可能な数が決まられている。その記憶可能な数を超えた場合は、一番古い過去の測定結果を消去して新しい測定結果を記憶する。更に記憶手段370は、測定結果の送信指示を受信すると、指示内容に従って測定結果を第一の無線通信部112へ送信する。
【0023】
なお、生体情報測定部111は、クロマト試験片上に血液を点着した時のクロマト展開を利用して、抗原抗体反応を光学的に検出する方式を利用した免疫測定を行うものでも良いし、試験片210を利用しない非侵襲の測定方法を利用した測定を行うものでも良い。
【0024】
第一の無線通信部112は、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)、ZigBee、Wibreeに代表される規格化された方法で実現しても良いし、各国毎に定められた使用可能な周波数帯を利用した独自方式の無線通信を用いた方法で実現したのでも良い。本実施形態においてはBluetooth(登録商標)を用いた方法で構成する。
【0025】
第一の無線通信部112は、外部から機器検索コマンドであるInquiryを受け取ると、生体情報測定器110で割り振られた識別アドレスと、生体情報測定器110を示すデバイス名を返信する。Bluetooth(登録商標)においては、LMP(Link Manager Protocol)によって、識別アドレスとデバイス名をInquiryしてきた器機との間でやり取りされる。識別アドレス保持部113に対して、識別アドレスの取得要求を送信する。また、デバイス保持部114に対してデバイス名の取得要求を送信してデバイス名を取得する。更に第一の無線通信部112は、外部から接続要求コマンドであるconnectを受け取ると、Bluetooth(登録商標)の規格に従って接続を確立する。接続後は、対応したBluetooth(登録商標)の通信プロファイルで通信を実現する。接続後は、少なくとも受信したコマンドを測定器制御部116へ送信と、また、受信した測定結果を接続相手へ送信と、受信したデバイス名測定結果を接続相手へ送信と、未対応コマンドであることを接続相手へ送信と、を実行する。
【0026】
第一の無線通信部112を、独自方式の無線通信を用いた方法で実現する場合は、機器検索コマンドに対応したプロトコル部分と、接続要求コマンドに対応したプロトコル部分と、接続後の通信のプロトコル部分と、を実現する方法を作成する必要がある。
【0027】
識別アドレス保持部113は、少なくとも一度は書き込みが可能な記憶手段を備えている。識別アドレス保持部113の記憶手段は、EEPROM、あるいはFLASH ROMである。生体情報測定器110の出荷時において、識別アドレス保持部113の記憶手段に生体情報測定器110に割り振られた識別アドレスの書き込みを完了しておく。生体情報測定器110の出荷後は、識別アドレスを書き換える必要性はない。さらに識別アドレス保持部113は、第一の無線通信部112から識別アドレスの取得要求を受信した場合に、識別アドレス保持部113の記憶手段から識別アドレスを取得して第一の無線通信部112へ送信する。
【0028】
デバイス名保持部114は、2個のデバイス名を管理する。そのため、2個のデバイス名を記憶可能な記憶手段を備えている。2個のデバイス名のうち1個のデバイス名は、固定値の初期デバイス名である。もう1個のデバイス名は、変更可能なユーザデバイス名である。
【0029】
初期デバイス名は、少なくとも同じ型番で製造された生体情報測定器110において共通に設定される。また、ユーザデバイス名は、生体情報測定器110であることを示す共通の測定器識別コードと、この生体情報測定器110の使用者を示す固有の使用者識別コードと、この生体情報測定器110の使用者名と、の少なくとも3種類の組み合わせにおけるデバイス名命名規則に対応している。測定器識別コードと使用者識別コードは、それぞれ所定のデータ長に固定した上で、英数字を用いて表現する。使用者識別コードは、病院における患者IDとする。測定器識別コードを設けることで、ユーザデバイス名から生体情報測定器110か否かを判断するのに使用可能である。また、使用者識別コードと使用者名を設けることで、同じ使用者名が存在した場合に判別が可能となる。
【0030】
以上の2個のデバイス名と生体情報測定器の関係を示した例を表1に示す。No.1〜No.3の3個の生体情報測定器において、それぞれ2個のデバイス名を表す。初期デバイス名は、生体情報測定器において共通であるため全て「GlucoseMeter」とする。ユーザデバイス名はそれぞれの生体情報測定器で異なるが、ユーザデバイス名の測定器識別コードは共通であるため全ての測定器識別コードは「GM」とする。
【0031】
【表1】

【0032】
2個のデバイス名を記憶する記憶手段について説明する。初期デバイス名は、書き換えが必要ないため、書き換え可能な記憶媒体を使用せずに、書き換えができないROM領域に予め格納しておいたのでも良い。また、ユーザデバイス名は、書き換えが必要なため、EEPROMのような書き換え可能な記憶媒体を使用する。この時、ユーザデバイス名の管理に必要な領域は、10数バイト〜100バイト以内で良い。しかし、ユーザデバイス名の最大データ長が100バイト以上必要だと想定される場合は、その最大データ長に応じた領域を確保しておく。
【0033】
デバイス名保持部114は、第一の無線通信部112からデバイス名の取得要求を受信した場合に、2個のデバイス名から1個を選択して、選択したデバイス名を第一の無線通信部112へ返信する。2個のデバイス名から1個を選択する方法は、ユーザデバイス名が設定されていれば、ユーザデバイス名をデバイス名とし、ユーザデバイス名が何も設定されていなければ、初期デバイス名をデバイス名とする。
【0034】
測定器制御部116は、第一の無線通信部112から受信したコマンドを受け取ると、受信したコマンドに対してコマンド解析をする。次に、コマンド解析の結果から各処理を実行する。
【0035】
最初にコマンドについて説明する。コマンドの構成を図4に示す。コマンドフォーマット400は、コマンド識別子410とコマンドパラメータ420との組み合わせで構成される。コマンド識別子410は、数バイトの固定データ長でコマンド毎に割り振られたキャラクタコードを設定する。コマンドパラメータ420は、可変長のデータでコマンド毎に必要なパラメータを設定する。パラメータを必要としないコマンドの場合は、コマンドパラメータを設定しない。また、コマンドは少なくとも測定結果要求コマンド401とデバイス名変更コマンド402との2個が存在する。例えば、コマンド識別子410が2バイトの固定長の場合で説明する。測定結果要求コマンド401は、コマンド識別子411の「RD」と、コマンドパラメータ421の測定結果要求パラメータで構成され、デバイス名変更コマンド402は、コマンド識別子412の「CH」と、コマンドパラメータ422のデバイス名で構成される。測定結果要求パラメータは、測定結果の送信内容を指定しており、記憶している測定結果を全て送信と、最新の測定結果のみ送信と、送信していない測定結果のみ送信と、の少なくとも3種類を分類可能なパラメータで、1バイトのアスキーコードで設定する。
【0036】
次にコマンド解析と各処理について説明する。コマンド解析は、コマンドフォーマット400のコマンド識別子410が対応している内容であるか否かを解析する。各処理は、コマンド解析の結果からコマンド毎の処理を実行する。コマンド解析の結果から受信したコマンドが測定結果要求コマンド401であると、生体情報測定部111に対して、測定結果要求パラメータ421と共に測定結果の送信指示を送信する。
【0037】
また、コマンド解析の結果から受信したコマンドがデバイス名変更コマンドであると、デバイス名変更部115に対して、パラメータであるデバイス名422と共にデバイス名の変更指示を送信する。そして、デバイス名変更部115からのデバイス名変更結果の返信を待つ。測定器制御部116は、デバイス名変更部115からデバイス名変更結果を受け取ると、第一の無線通信部112に対して、デバイス名変更結果を送信する。一方、コマンド解析の結果から受信したコマンドが未対応コマンドであると、第一の無線通信部112に対して、未対応コマンドであることを送信する。
【0038】
デバイス名変更部115は、デバイス名の変更指示を受信すると、デバイス名の変更指示と同時に受け取った新しいデバイス名が、デバイス名命名規則に対応しているか否かを確認する。デバイス名命名規則に対応していない場合は、測定器制御部116に対してデバイス名変更結果としてエラーを送信する。デバイス名命名規則に対応している場合は、デバイス保持部114のユーザデバイス名に関する記憶領域を全て初期化した後、ユーザデバイス名を記憶する。そして、測定器制御部116に対してデバイス名変更結果として正常に変更できたことを送信する。以上が、生体情報測定器110についての説明である。
【0039】
次に携帯型データ収集器120について説明をする。第二の無線通信部121は、生体情報測定器110の第一の無線通信部112と通信が可能な無線通信機能を備える。無線通信機能は、第一の無線通信部112と同様に、Bluetooth(登録商標)、UWB、ZigBee、Wibreeに代表される規格化された方法で実現しても良いし、各国毎に定められた使用可能な周波数帯を利用した独自方式の無線通信を用いた方法で実現したのでも良い。ただし、第一の無線通信部112と同様の方式を採用する。第二の無線通信部121と第一の無線通信部112との間の無線通信は、携帯型データ収集器120がマスターで生体情報測定器110がスレーブとなって無線通信を行なう。
【0040】
携帯型データ収集器120の表示部220は、ドットマトリクス式のディスプレイで構成される。表示部220は、受信した表示内容をディスプレイ上に表示する。また、ユーザ入力部126は、複数のプッシュ式のボタンで構成される。入力受け付け開始指示を受信すると、ボタンの入力を検出する。ボタンの入力を検出すると、ユーザが入力したボタンの内容に応じた処理をする。複数のボタンの入力の組み合わせから、入力が完了したことを検出すると、入力受け付け開始指示を送信した相手へ入力された値を返信する。また、入力された値を表示内容として表示部220へ送信する。ユーザ入力部126は、表示部220と一体化されたタッチパネル式の入力部でも良い。その場合には、表示部220にタッチパネル用のセンサを更に備える。
【0041】
デバイス名管理部122は、書き換え可能な記憶用の領域を備えている。記憶用の領域は、HDD(Hard Disc Drive)、あるいはFlash ROM、あるいはEEPROMなどによって確保される。また、SDカードに代表される取り外し可能なメモリ上に確保したのでも良い。その場合は、使用するメモリにアクセスするための専用インターフェースを携帯型データ収集器120に備える必要がある。また、デバイス名管理部122は、デバイス名の管理に既存のデータベースを使用したのでも良い。データベースを利用した場合には、デバイス名の管理が高速に実行されるが、携帯型データ収集器内に設けられているメモリを多く使用するため、全体のメモリ使用容量などからデータベースを利用するかどうかを判断すると良い。
【0042】
図5に一つのデバイス名に対するデバイス名管理データ500を示す。デバイス名管理データ500は、デバイス名データ510と、そのデバイス名データ510に関連付けをする識別アドレスデータ520と、で構成される。
【0043】
次に、デバイス名管理データ500の詳細な内容について説明する。デバイス名データ510は、ユーザデバイス名512と、識別アドレスデータ520を示す識別アドレス情報ID521と、登録日時513と、照会日時514と、の4個の要素に、デバイス名管理部122が管理する用のIDであるデバイス名管理ID511を付けた5個の要素で構成される。登録日時513と照会日時514は、携帯型データ収集器120内の時計機能から年月日と時分までのデータを取得して設定する。そのため、携帯型データ収集器120は、リアルタイムクロックあるいは、システムクロック計算して求める、現在時間を測定可能な時計機能を備えている。
【0044】
識別アドレスデータ520は、デバイス名管理ID511と、識別アドレスの登録数である登録数522と、登録数522に対応した複数個の識別アドレス523、の3個の要素に、デバイス名データ510と関連付けるためのIDである識別アドレス情報ID521を付けた4個の要素で構成される。
【0045】
デバイス名管理データ500をデバイス名データ510と識別アドレスデータ520で構成することによって、ユーザデバイス名512に対して複数個の識別アドレス523を管理することが可能になる。その結果、使用者が複数個の生体情報測定器を所有している場合や、生体情報測定器の故障や新機種への変更によって生体情報測定器を変更した場合の対応が可能となる。
【0046】
デバイス名管理部122は、データ収集器制御部125からデバイス名の管理指示と管理するデータを受信した場合に、デバイス名管理処理を実行する。管理するデータは、ユーザデバイス名と識別アドレスとの2個のデータで構成される。また、図6にデバイス名管理処理のフローを示す。デバイス名管理処理は、ユーザデバイス名を検索するステップS601と、デバイス名の存在有無を確認するステップS602と、デバイス名管理データ500を作成するステップS603と、デバイス名管理データ500を記憶するステップS604と、管理指示結果を返信するステップS605と、識別アドレスの一致有無を確認するステップS606と、デバイス名管理データ500を更新するステップS607と、で構成される。
【0047】
以下に、デバイス名管理処理の内容について説明する。ユーザデバイス名を検索するステップS601は、デバイス名管理部122が管理しているデバイス名管理データ500のユーザデバイス名512から、管理指示があったデバイス名と一致しているのを検索する。
【0048】
デバイス名の存在有無を確認するステップS602は、ステップS601において検索した結果から、一致したデータの存在の有無で処理を分岐する。一致するデータの存在が無い場合は、デバイス名管理データ500を作成するステップS603へと移行する。一致するデータの存在が有る場合は、識別アドレスの一致有無を確認するステップS606へと移行する。
【0049】
デバイス名管理データ500を作成するステップS603は、管理するデータから、新たにデバイス名管理データ500を作成する。作成後、デバイス名管理データ500を記憶するステップS604へと移行する。
【0050】
識別アドレスの一致有無を確認するステップS606は、ステップS602で一致を確認したユーザデバイス名512から関連する識別アドレス情報ID521を取得して、識別アドレス523を抽出する。その抽出した識別アドレス523が、管理指示があった識別アドレスと一致するデータの存在有無を判断して、一致するデータの存在が無い場合は、デバイス名管理データ500を更新するステップS607へと移行する。一致するデータの存在が有る場合は、デバイス名管理処理は例外終了したとして、管理指示結果を返信するステップS605へと移行する。
【0051】
デバイス名管理データ500を更新するステップS607は、ステップS601で検索されたユーザデバイス名512のデバイス名管理データ500を更新する。デバイス名管理データ500の更新は、デバイス名管理データ500の識別アドレスデータ520の登録数522を変更して、管理指示があった識別アドレスを識別アドレス523に追加する。更新後、デバイス名管理データ500を記憶するステップS604へと移行する。
【0052】
デバイス名管理データ500を記憶するステップS604は、ステップS603で作成されたデバイス名管理データ500、あるいはステップS607で更新されたデバイス名管理データ500を、記憶用の領域に記憶する。記憶が正常終了した場合は、デバイス名管理処理は正常終了したとして、管理指示結果を返信するステップS605へと移行する。記憶が異常終了した場合は、デバイス名管理処理は異常終了したとして、管理指示結果を返信するステップS605へと移行する。
【0053】
管理指示結果を返信するステップS605は、デバイス名管理処理の処理結果を示す管理指示結果をデータ収集器制御部125へ返信する。管理指示結果は、正常終了、あるいは異常終了、あるいは例外終了のいずれか一つである。それぞれの管理指示結果には、パラメータを付加する。正常終了のパラメータは、記憶したデバイス名管理IDである。異常終了のパラメータは、その異常終了の原因を示すIDである。例外終了のパラメータは例外終了を示すIDである。以上が、デバイス名管理処理の内容である。
【0054】
またデバイス名管理部122は、データ収集器制御部125からデバイス名の参照指示と参照するデータ受け取った場合に、デバイス名参照処理を実行する。参照するデータは、ユーザデバイス名と識別アドレスとの2個のデータで構成される。デバイス名参照処理は、デバイス名管理部122が管理しているデバイス名管理データ500から、参照するデータと一致するユーザデバイス名512と識別アドレス523を検索して、参照処理結果をデータ収集器制御部125へ返信する。
【0055】
参照処理結果は、ユーザデバイス名512と識別アドレス523の両方が一致した全一致と、ユーザデバイス名512のみ一致したユーザデバイス名一致と、識別アドレス523のみ一致した識別アドレス一致と、ユーザデバイス名512と識別アドレス523のどちらも一致しない不一致と、の4種類を分類する必要がある。
【0056】
データ管理部123は、書き換え可能な記憶用の領域を備えている。記憶用の領域は、HDD、あるいはFlash ROM、あるいはEEPROMなどによって確保される。また、SDカードに代表される取り外し可能なメモリ上に確保したのでも良い。その場合は、使用するメモリにアクセスするための専用インターフェースを携帯型データ収集器120に備える必要がある。また、デバイス名管理部122は、デバイス名の管理に既存のデータベースを使用したのでも良い。データベースを利用した場合には、デバイス名の管理が高速に実行されるが、携帯型データ収集器内に設けられているメモリを多く使用するため、全体のメモリ使用容量などからデータベースを利用するかどうかを判断すると良い。また、デバイス名管理部122と共用可能な部分は共用すると良い。また、図7に一つのデバイス名に対する測定結果管理データ700を示す。測定結果管理データ700は、デバイス測定結果データ710と、そのデバイス測定結果データ710に関連付けをする測定結果データ720と、で構成される。次に、測定結果管理データ700の詳細な内容について説明する。
【0057】
デバイス測定結果データ710は、一つのデバイス名に対して測定結果情報を関連付けたデータである。デバイス測定結果データ710は、デバイス名管理ID511と、生体情報測定器110の測定結果を示す測定結果情報ID721と、の2個の要素に、データ管理部123が管理する用のIDであるデータ管理ID711を付けた3個の要素で構成される。
【0058】
測定結果データ720は、受信した測定結果を管理したデータである。測定結果データ720は、データ管理ID711と、管理する測定結果の数である測定結果数722と、測定結果数722に対応した複数個の測定結果723、の3個の要素に、デバイス測定結果データ710と関連付けるためのIDである測定結果情報ID721を付けた4個の要素で構成される。
【0059】
デバイス測定結果データ710をデバイス測定結果データ710と測定結果データ720とで構成することで、一つのデバイス名に対して複数の測定結果723が管理できる。そのため、同じデバイス名における測定結果723を管理する場合は、測定結果数722の更新と測定結果723を追加したので良い。また、生体情報測定器110の識別アドレスから検索されたデバイス名管理ID511を利用して、測定結果723を検索することが可能になる。
【0060】
またデータ管理部123は、データ管理処理を要する。データ管理処理は、データ収集器制御部125からデータ管理指示とデータ管理用のデータを受信すると実行する。データ管理用のデータは、デバイス名管理ID511と管理したい測定結果である。管理したい測定結果は同時に複数個存在しても良い。同時に複数個存在するために、管理したい測定結果は、管理したい測定結果の数とその数に対応した測定結果と、の2個の要素で構成すると良い。
【0061】
データ管理処理は、管理している測定結果管理データ700からデータ管理用のデータのデバイス名管理IDに一致するデバイス名管理ID511が存在するか否かを検索する。検索した結果、一致するデバイス名管理ID511が存在しない場合は、新規に測定結果管理データ700を作成して記憶用の領域に記憶する。一致するデバイス名管理ID711が存在した場合は、測定結果データ720を更新して記憶用の領域に記憶する。
【0062】
コマンド生成部124は、無線通信の中で生体情報測定器110に指示を送るためのコマンドを生成する。生成可能なコマンドは少なくとも2個である。2個のコマンドは、前述したデバイス名変更コマンド402と測定結果要求コマンド401である。コマンド生成部124は、各コマンドの生成部であるデバイス名変更コマンド生成部127と測定結果要求コマンド生成部128を備える。更に、デバイス名を設定するために、コマンド生成部124はユーザ入力部126と接続する。
【0063】
コマンド生成部124は、データ収集器制御部125からデバイス名変更指示を受信すると、デバイス名変更コマンド生成部127に実行指示を送信する。また、データ収集器制御部125から測定結果要求指示を受信すると、測定結果要求コマンド生成部128に実行指示を送信する。
【0064】
デバイス名変更コマンド生成部127は、コマンド生成部124から実行指示を受信すると、ユーザ入力部126へ入力受け付け開始指示を送信する。そして、ユーザ入力部126から入力された値の受信待ちを行なう。ユーザ入力部126から入力された値を受信すると、デバイス名命名規則に適合しているか否かの確認をする。デバイス名命名規則に適合している場合は、コマンドパラメータ420にユーザ入力部126から受け取った値を設定する。また、コマンド識別子410にデバイス名変更コマンド402を示す“CH”を設定する。以上によって、デバイス名変更コマンド402を生成する。デバイス名命名規則に適合していない場合は無視する。また、生成したデバイス名変更コマンド402を、第二の無線通信部121へ送信して、第二の無線通信部121から生体情報測定器110へ送信する。
【0065】
測定結果要求コマンド生成部128は、コマンド生成部124から実行指示を受信すると、ユーザ入力部126へ入力受け付け開始指示を送信する。そして、ユーザ入力部126から入力された値の受信待ちを行なう。ユーザ入力部126から入力された値を受信すると、受信した値をコマンドパラメータ420に結果要求パラメータ421として設定する。それによって、測定結果の送信方法をユーザが任意で設定できる。また、コマンド識別子410に測定結果要求コマンド401を示す“RD”を設定する。以上によって、測定結果要求コマンド401を生成する。また、測定結果要求コマンド401を、第二の無線通信部121へ送信して、第二の無線通信部121から生体情報測定器110へ送信する。
【0066】
データ収集器制御部125は、第一の無線通信部121から受信した生体情報測定器110のデバイス名と識別アドレスとを受信すると処理を開始する。図8にデータ収集器制御部125のフローを示す。データ収集器制御部125は、デバイス名を解析するステップS801と、デバイスを選択するステップS802と、解析別処理へ分岐するステップS803と、変更モードを実行するステップS804と、測定結果取得モードを実行するステップS805と、測定結果を確認するステップS806と、測定結果を管理するステップS807と、警告モードS808と、で構成される。
【0067】
デバイス名を解析するステップS801は、デバイス名管理部122と連携して、受信したデバイス名と識別アドレスとから解析を実施する。図9にデバイス名を解析するステップS801のさらに詳細な処理フローを示す。デバイス名を解析するステップS801は、デバイス名を確認するステップS901と、デバイス名及び識別アドレスの登録を確認するステップS902と、判別フラグを設定するステップS903と、で構成される。
【0068】
以下に、デバイス名解析の内容について説明する。デバイス名を確認するステップS901は、受信したデバイス名が、初期デバイス名であるか否かを確認する。初期デバイス名である場合は、受信したデバイス名は初期デバイス名としてステップS902へと移行する。また、初期デバイス名でない場合は、更に受け取ったデバイス名がデバイス名命名規則に対応しているか否かを確認する。デバイス名命名規則に対応している場合は、受信したデバイス名はユーザデバイス名としてステップS902へと移行する。デバイス名命名規則に対応していない場合は、未対応デバイス名としてステップS903へと移行する。以上のステップS901によって、初期デバイス名か、ユーザデバイス名か、未対応デバイス名か、を判別する。
【0069】
デバイス名及び識別アドレスの登録を確認するステップS902では、データ収集器制御部125がデバイス名管理部122にデバイス名の参照指示と参照するデータを送信し、データ収集器制御部125は、デバイス名管理部122からの参照処理結果を受信する。参照処理結果は、次の通りである。デバイス名は登録有りで且つ識別アドレスも登録有りの場合に全一致。デバイス名は登録有りで且つ識別アドレスは登録無しの場合はユーザデバイス名一致。デバイス名は登録無しで且つ識別アドレスは登録有りの場合は識別アドレス一致。デバイス名は登録無しで且つ識別アドレスも登録無しの場合は不一致。なお、受信したデバイス名が初期デバイス名の場合には、初期デバイス名がデバイス名管理部122で管理されていないため、デバイス名の登録有りという結果にはならない。
【0070】
判別フラグを設定するステップS903は、ステップS901とステップS902で判別した結果を判別フラグに設定する。表2にその判別フラグの設定を示す。判定フラグの設定値は全部で7通り存在し、7通りを分類可能な値である。
【0071】
判定フラグが“1”に設定される場合は、ステップS901においてデバイス名が未対応と判定された場合である。
【0072】
判定フラグが“2”に設定される場合は、デバイス名が初期デバイス名で、且つそのデバイス名が登録無しで、且つ識別アドレスが登録無しの場合である。
【0073】
判定フラグが“3”に設定される場合は、デバイス名が初期デバイス名で、且つそのデバイス名が登録無しで、且つ識別アドレスが登録有りの場合である。
【0074】
判定フラグが“4”に設定される場合は、デバイス名がユーザデバイス名で、且つそのデバイス名が登録有りで、且つ識別アドレスが登録無しの場合である。
【0075】
判定フラグが“5”に設定される場合は、デバイス名がユーザデバイス名で、且つそのデバイス名が登録有りで、且つ識別アドレスが登録有りの場合である。
【0076】
判定フラグが“6”に設定される場合は、デバイス名がユーザデバイス名で、且つそのデバイス名が登録無しで、且つ識別アドレスが登録無しの場合である。
【0077】
判定フラグが“7”に設定される場合は、デバイス名がユーザデバイス名で、且つそのデバイス名が登録無しで、且つ識別アドレスが登録有りの場合である。
【0078】
【表2】

【0079】
デバイス名を解析するステップS801は、解析終了後、受信したデバイス名と識別アドレスを表示内容として表示部220へ送信する。判定フラグが“1”で未対応デバイス名の場合は、表示部220へ送信しない。更に、ステップS801は、第一の無線通信部121から受信した生体情報測定器110のデバイス名と識別アドレスとを受信した数だけ実行する。つまり、携帯型データ収集器120から無線通信で検索できた生体情報測定器110の数だけステップS801を実施する。表示部220は、ステップS801の解析結果の数だけデバイス名と識別アドレスとを表示する。
【0080】
デバイスを選択するステップS802は、ユーザ入力部126へ入力受け付け開始指示を送信する。ユーザ入力部126は、表示部220にステップS801で表示されたデバイス名を選択可能とする。ユーザ入力部126から選択されたデバイス名の値を受信すると、選択されたデバイス名の生体情報測定器110と第二の無線通信部121は通信を確立する。そして、解析別処理へ分岐するステップS803を実行する。
【0081】
解析別処理へ分岐するステップS803は、ステップS802で受信した選択されたデバイス名の判別フラグの値から実行する処理を分岐する。判別フラグの値が“1”の場合は、デバイス名が未対応のものであるため無視する。判別フラグの値が“2”の場合は、変更モードを実行するステップS804へと移行する。判別フラグの値が“4”から“6”の場合は、測定結果取得モードを実行するステップS805へと移行する。判別フラグの値が“3”あるいは“7”の場合は、警告モードを実行するステップS808へと移行する。
【0082】
変更モードを実行するステップS804は、データ収集器制御部125からコマンド生成部124へデバイス名変更指示を送信する。その後、生体情報測定器110から返信されるデバイス名変更の結果を待つ。第二の無線通信部121からデバイス名変更の結果を受信すると、正常にデバイス名の変更ができた否かを確認する。正常にデバイス名の変更ができていた場合は、測定結果取得モードを実行するステップS805へと移行する。正常にデバイス名の変更ができていない場合は、ステップS804を再実行する。再実行は最大で三回までとする。
【0083】
測定結果取得モードを実行するステップS805は、データ収集器制御部125からコマンド生成部124へ測定結果要求指示を送信する。そして、測定結果を確認するステップS806へと移行する。
【0084】
測定結果を確認するステップS806は、生体情報測定器110から送信されるステップS805の実行結果である測定結果の受信待ちを実行する。予め指定した時間内に第二の無線通信部121から測定結果が受信されない場合は、正常に測定結果が取得できなかったとする。予め指定した時間内に第二の無線通信部121から測定結果を受信すると、結果を管理するステップS807を実行する。
【0085】
結果を管理するステップS807は、測定結果を正常に受信できたので、デバイス名の管理と測定結果の管理の2個の管理を実行する。ステップS802で選択したデバイス名と識別アドレスからデバイス名管理部122が管理するデータを作成して、デバイス名管理部122へ管理指示と共に作成した管理するデータを送信する。その管理指示の結果として、デバイス名管理部から管理指示結果を受信すると、管理指示結果を解析する。解析の結果、異常終了あるいは例外終了の場合は、その時の内容を示すパラメータを表示内容として表示部220へ送信して、データ収集器制御部125は処理を終了する。解析の結果、正常終了の場合は、正常終了のパラメータからデバイス名管理IDを抽出する。抽出したデバイス名管理IDと受け取った測定結果からデータ管理部123の管理用のデータを作成して、データ管理部123へ作成した管理用のデータと共に管理指示を送信して、データ収集器制御部125は処理を終了する。
【0086】
警告モードを実行するステップS807は、デバイス名管理部122に登録されている情報と生体情報測定器110の情報との間に注意すべき内容があるので、警告内容を表示内容として表示部220へ送信して、データ収集器制御部125は処理を終了する。以上が、携帯型データ収集器120についての説明である。
【0087】
なお、携帯型データ収集器120は、以上の機能が備えられたPDA、ノートパソコン、あるいは携帯電話でも良く、表示デバイスと入力デバイスと無線通信デバイスを備えた携帯型端末であればこれらに限定しない。
【0088】
次に、生体情報測定器110と複数の携帯型データ収集器120との関係による処理を説明する。図10は、複数の携帯型データ収集器120にデバイス名を登録する処理を示す。2つの携帯型データ収集器120(携帯型データ収集器120aと携帯型データ収集器120b)と、新規に追加される1つの生体情報測定器110dが存在する場合の例を示したものである。
【0089】
ステップS1001において、携帯型データ収集器120aが無線通信可能な機器を検索すると、生体情報測定器110dは、検索に対する応答として生体情報測定器110dからデバイス名を送信するステップS1002を実行する。
【0090】
デバイス名を送信するステップS1002において、生体情報測定器110dは、デバイス名と識別アドレスとを携帯型データ収集器120aへ送信する。生体情報測定器110dは初めて携帯型データ収集器120と通信を行うため、この時の生体情報測定器110dのデバイス名は、変更されていないため初期デバイス名である。
【0091】
携帯型データ収集器120aは、デバイス名を解析するステップS1003を実行した後、受信したデバイス名と識別アドレスを表示部220に表示する。この時、生体情報測定器110d以外の他の複数の機器から応答があった場合は、全ての機器に対してデバイス名を解析するステップS1003を実行した後、表示すべき機器であれば受信したデバイス名と識別アドレスを表示部220に表示する。そしてデバイスを選択するステップS1004を実行して、表示された内容から生体情報測定器110dを選択する。
【0092】
デバイスを選択するステップS1004において生体情報測定器110dを選択した後で、携帯型データ収集器120aは、変更モードを実行するステップS1005を実行する。その結果、新しいデバイス名であるユーザデバイス名をデバイス名変更コマンド402として生体情報測定器110dへ送信する。
【0093】
生体情報測定器110dは、デバイス名変更コマンド402を受け取ると、デバイス名を変更するステップS1006を実行する。その結果、生体情報測定器110dは、送信されたユーザデバイス名にデバイス名を変更する。
【0094】
携帯型データ収集器120aは、生体情報測定器110dのデバイス名の変更が正常に完了すると、次に測定結果取得モードを実行するステップS1007を実行して、生体情報測定器110dから測定結果を受信する。これに対して、生体情報測定器110dは測定結果を携帯型データ収集器120aに送信するステップS1008を実行する。生体情報測定器110dから正常に測定結果を受信できると、更に、測定結果を管理するステップS1009において、ステップS1007で受信した測定結果とS1005で変更したユーザデバイス名とを記憶する。
【0095】
続いてステップS1010において、携帯型データ収集器120bが無線通信可能な機器を検索すると、生体情報測定器110dは、検索に対する応答として生体情報測定器110dからデバイス名を送信するステップS1011を実行する。
【0096】
デバイス名を送信するステップS1011において、生体情報測定器110dは、デバイス名と識別アドレスとを携帯型データ収集器120bへ送信する。生体情報測定器110dは既に携帯型データ収集器120と通信を行い、デバイス名が変更されているため、この時のデバイス名は、ステップS1006で変更したユーザデバイス名である。
【0097】
携帯型データ収集器120bは、デバイス名を解析するステップS1012を実行した後、受信したデバイス名と識別アドレスを表示部220に表示する。この時、生体情報測定器110d以外の他の複数の機器から応答があった場合は、全ての機器に対してデバイス名を解析するステップS1012を実行した後、表示すべき機器であれば受信したデバイス名と識別アドレスを表示部220に表示する。そしてデバイスを選択するステップS1013を実行して、表示された内容から生体情報測定器110dを選択する。
【0098】
デバイスを選択するステップS1013で選択した生体情報測定器110dのデバイス名がユーザデバイス名であるため、携帯型データ収集器120bは、変更モードは実行せず、測定結果取得モードを実行するステップS1014を実行する。これに対して、生体情報測定器110dは測定結果を携帯型データ収集器120bに送信するステップS1015を実行する。生体情報測定器110dから正常に測定結果を受信できると、更に、測定結果を管理するステップS1016において、ステップS1014で受信した測定結果と受信したユーザデバイス名とを記憶する。
【0099】
以上に説明した本実施の形態1の生体情報収集システムは、生体情報測定器110が、携帯型データ収集器120からデバイス名変更コマンドを受信すると、この生体情報測定器110のデバイス名を設定するデバイス名変更部115を備え、測定した生体情報と変更したデバイス名とを関連付けて携帯型データ収集器120に送信するようにしたので、利便性が向上する。
【0100】
つまり、生体情報測定器110のデバイス名をデバイス名命名規則に従ったユーザデバイス名に設定することで、生体情報測定器110を生体情報収集システム100の使用者が判別することができるため、目的の生体情報測定器110を容易に特定することが出来るのである。。
【0101】
更に本実施の形態1の生体情報収集システムは、携帯型データ収集器120が無線通信可能な機器の検索結果として、ユーザデバイス名が携帯型データ収集器120の表示部220に表示され、表示されたリストから接続したい生体情報測定器110が選択されるため、生体情報収集システムの使用者が望む生体情報測定器110から測定結果である生体情報を取得できる。
【0102】
更に本実施の形態1の生体情報収集システムは、新たに追加される生体情報測定器110のデバイス名を、最初に接続した携帯型データ収集器120でユーザデバイス名に変更して、次に接続する携帯型収集器120はその変更されたユーザデバイス名を使用することで、複数の携帯型データ収集器120の間で、登録されたデバイス名(ユーザデバイス名)をもとに目的の生体情報測定器を特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明にかかる生体情報収集システムは、目的の生体情報測定機器を容易に特定することが出来る特徴を有し、複数の生体情報測定器と複数の携帯型データ収集器が混在した環境で利用される際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施の形態1における生体情報収集システムのブロック図
【図2】生体情報収集システムの概要を示す図
【図3】測定部の構成図
【図4】生体情報収集システムで使用するコマンドの構成図
【図5】デバイス名管理データの構成図
【図6】デバイス名管理処理のフローチャート
【図7】測定結果管理データの構成図
【図8】データ収集器制御部のフローチャート
【図9】デバイス名解析のフローチャート
【図10】生体情報収集システムのデバイス名登録のフローチャート
【符号の説明】
【0105】
110、110a、110b、110c、110d 生体情報測定器
111 生体情報測定部
112 第一の無線通信部
113 識別アドレス保持部
114 デバイス名保持部
115 デバイス名変更部
116 測定器制御部
120、120a、120b 携帯型データ収集器
121 第二の無線通信部
122 デバイス名管理部
123 データ管理部
124 コマンド生成部
125 データ収集器制御部
126 ユーザ入力部
127 デバイス名変更コマンド生成部
128 測定結果要求コマンド生成部
200 表示部
201 ユーザ入力部
210 試験片
211 作用極
212 対極
213 反応体
220 携帯型データ収集器の表示部
320 コネクタ
321、322 電極
330 演算増幅器
331 非反転入力端子
332 反転入力端子
333 出力端子
340 帰還抵抗
350 A/D変換回路
360 演算回路
361 時刻取得手段
370 記憶手段
380 基準電位
400 コマンドフォーマット
401 測定結果要求コマンド
402 デバイス名変更コマンド
410、411、412 コマンド識別子
420、421、422 コマンドパラメータ
500 デバイス名管理データ
510 デバイス名データ
511 デバイス名管理ID
512 ユーザデバイス名
513 登録日時
514 照会日時
520 識別アドレスデータ
521 識別アドレス情報ID
522 登録数
523 識別アドレス
700 測定結果管理データ
710 デバイス測定結果データ
711 データ管理ID
720 測定結果データ
721 測定結果情報ID
722 測定結果数
723 測定結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を測定する生体情報測定器と、
前記生体情報測定器が測定した生体情報を収集する携帯型データ収集器と、で構成される生体情報収集システムにおいて、
前記生体情報測定器は、前記携帯型データ収集器からデバイス名変更コマンドを受信すると、この生体情報測定器のデバイス名を設定するデバイス名変更部を備え、
測定した生体情報と変更したデバイス名とを関連付けて前記携帯型データ収集器に送信する構成とした生体情報収集システム。
【請求項2】
前記生体情報測定器は、
前記携帯型データ収集器と無線通信する第一の無線通信部と、
生体情報を測定して前記第一の無線通信部に出力する生体情報測定部と、
前記生体情報測定器に個別に割り振られた無線通信用の識別アドレスを保持して前記第一の無線通信部に出力する識別アドレス保持部と、
前記デバイス名変更部によって変更されたデバイス名を保持して、保持したデバイス名を前記第一の無線通信部に出力するデバイス名保持部と、
無線通信で取得したコマンドを解析して前記生体情報測定部と前記デバイス名変更部とを制御する測定器制御部と、
を更に備えた請求項1に記載の生体情報収集システム。
【請求項3】
前記携帯型データ収集器は、
前記生体情報測定器と無線通信する第二の無線通信部と、
この第二の無線通信部が受信したデータから前記デバイス名と識別アドレスとを取得し、これら前記デバイス名と前記識別アドレスを用いて過去に無線通信を確立したことがあるか否かを判断すると共に、前記デバイス名が前記生体情報測定器に固有に割り振られた初期デバイス名であるか否かを判断するデータ収集器制御部と、
このデータ収集器制御部から送られてくる前記デバイス名と前記識別アドレスとを関連付けて管理するデバイス名管理部と、
前記データ収集器制御部から指示されると、前記第二の無線通信部が受信した前記生体情報を前記生体情報測定器のデバイス名と関連付けて管理するデータ管理部と
前記データ収集器制御部によって、前記デバイス名が初期デバイス名であると判断されると、前記デバイス名変更部にデバイス名を変更させる前記デバイス名変更コマンドを生成して前記第二の無線通信部に出力するコマンド生成部と、
前記データ収集器制御部と前記コマンド生成部への指示を外部から入力可能な構成としたユーザ入力部と、
を備えた請求項1に記載の生体情報収集システム。
【請求項4】
前記コマンド生成部は、
前記生体情報測定器のデバイス名を前記ユーザ入力部の入力に基づいて形成されたデバイス名に変更させるための前記デバイス名変更コマンドを生成するデバイス名変更コマンド生成部と、
前記生体情報測定器に対して生体情報の測定結果送信を要求する測定結果要求コマンドを生成する測定結果要求コマンド生成部と、
を備えた請求項3に記載の生体情報収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−69193(P2010−69193A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242160(P2008−242160)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】