生体情報検出器及び生体情報測定装置
【課題】 検出精度又は測定精度を向上可能な生体情報検出器等を提供する。
【解決手段】 生体情報検出器は、被検査体の被検出部位Oに向かう光R1を発する発光部14と、前記発光部14が発する光R1が前記被検出部位Oにて反射された、生体情報を有する光R1’を受ける受光部16と、前記発光部14が発する光R1の波長に対して透明な材料で構成され、前記被検査体との接触面19Aと前記接触面19Aと対向する対向面19Bとを有する接触部19と、を含む。前記発光部14は、前記対向面19Bに実装される。
【解決手段】 生体情報検出器は、被検査体の被検出部位Oに向かう光R1を発する発光部14と、前記発光部14が発する光R1が前記被検出部位Oにて反射された、生体情報を有する光R1’を受ける受光部16と、前記発光部14が発する光R1の波長に対して透明な材料で構成され、前記被検査体との接触面19Aと前記接触面19Aと対向する対向面19Bとを有する接触部19と、を含む。前記発光部14は、前記対向面19Bに実装される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報検出器及び生体情報測定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報測定装置は、例えば人間の脈拍数、血液中の酸素飽和度、体温、心拍数等の生体情報を測定し、生体情報測定装置の一例は、脈拍数を測定する脈拍計である。また、脈拍計等の生体情報測定装置は、時計、携帯電話、ページャー、パーソナルコンピューター等の電子機器に組み込まれてもよく、又は電子機器と組み合わせてもよい。生体情報測定装置は、生体情報を検出する生体情報検出器を有し、生体情報検出器は、被検査体(ユーザー)の被検出部位に向けて光を発光する発光部と、被検出部位からの生体情報を有する光を受光する受光部とを含む。
【0003】
特許文献1は、脈拍計(広義には、生体情報測定装置)を開示し、脈拍計の受光部(例えば、特許文献1の図16の受光部12)は、被検出部位での反射光(例えば、特許文献1の図16の点線)を拡散反射面(例えば、特許文献1の図16の反射部131)を介して受光する。特許文献1の光プローブ1は、平面視において発光部11と受光部12とが重なり、光プローブ1の小型化を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−337605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発光部11及び受光部12は、基板15とともに、反射部131の内部に配置され、反射部131の内部は、透明材料142が充填されている。このような構成では、発光部11と被検出部位との間に所定の距離が存在してしまい、生体情報検出器の検出精度がよくない。
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、検出精度又は測定精度を向上可能な生体情報検出器及び生体情報測定装置を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、被検査体の被検出部位に向かう光を発する発光部と、
前記発光部が発する光が前記被検出部位にて反射された、生体情報を有する光を受ける受光部と、
前記発光部が発する光の波長に対して透明な材料で構成され、前記被検査体との接触面と前記接触面と対向する対向面とを有する接触部と、を含み、
前記発光部は、前記対向面に実装されることを特徴とする生体情報検出器に関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、発光部は、例えばバンプ等の接続部材で接触部の対向面に取り付けられる。即ち、発光部と被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位との距離を短くすることができる。従って、被検出部位に到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記発光部への第1の配線は、前記対向面に配置されてもよく、
前記発光部は、前記第1の配線の表面に実装されてもよい。
【0010】
このように、第1の配線が対向面に配置されることで、発光部は、例えばバンプ等の接続部材で第1の配線に取り付けられる。発光部は、第1の配線から供給される電力で光を発することができる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記発光部が発する光は、前記被検出部位に向かう第1の光及び前記被検出部位とは異なる方向に向かう第2の光を有してもよく、
生体情報検出器は、前記第2の光を前記被検出部位に反射させる第1の反射部を、さらに含んでもよい。
【0012】
このように、被検査体の被検出部位に直接到達しない第2の光も、第1の反射部を介して被検出部位に到達する。従って、被検出部位に到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記第1の反射部は、前記対向面に固定されてもよい。
【0014】
このように、第1の反射部と被検出部位との距離を短くすることができる。従って、被検出部位に到達する第1の光の光量だけでなく、第2の光の光量も増加し、生体情報検出器の検出精度は向上する。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記第1の反射部は、絶縁部材を介して前記対向面に固定されてもよい。
【0016】
対向面に例えば発光部への第1の配線が配置される場合等、絶縁部材は、対向面を保護することができる。
【0017】
また、本発明の一態様では、生体情報検出器は、
前記発光部が発する光の波長に対して透明な材料で構成され、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とを有する基板を、さらに含んでもよく、
前記発光部への第2の配線は、前記第2の面に配置されてもよく、
前記第1の配線は、導電部材を介して前記第2の配線に電気的に接続されてもよい。
【0018】
このように、第1の配線は、第2の配線に接続される。第2の配線、導電部材及び第1の配線を介して電力を発光部に供給することができる。
【0019】
また、本発明の一態様では、生体情報検出器は、
前記被検出部位からの前記生体情報を有する光を反射させて前記受光部に導く第2の反射部を、さらに含んでもよく、
前記受光部は、前記第1の面に配置されてもよく、
前記基板は、前記第2の反射部と前記接触部との間に配置されてもよい。
【0020】
このように、基板は、第2の反射部と保護部との間に配置される。従って、受光部が基板に配置されたとしても、基板それ自身を支持する機構を別途設ける必要がなく、部品点数が減少する。また、基板は、発光波長に対して透明な材料で構成されるので、発光部から受光部に至る光路途中に基板を配置でき、基板を光路以外の位置例えば反射部の内部に格納する必要がない。このように、容易に組み立て可能な生体情報検出器を提供することができる。
【0021】
また、本発明の他の態様は、上記に記載の生体情報検出器と、
前記受光部において生成される受光信号から前記生体情報を測定する生体情報測定部と、を含み、
前記生体情報は、脈拍数であることを特徴とする生体情報測定装置に関係する。
【0022】
本発明の他の態様によれば、検出精度が向上された生体情報検出器を用いて、生体情報測定装置の測定精度を向上させることができる。また、生体情報測定器を脈拍計に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1(A)、図1(B)は、本実施形態の生体情報検出器の構成例。
【図2】図2(A)、図2(B)、図2(C)は、図1(B)に示す生体情報検出器の平面図。
【図3】図3(A)、図3(B)は、図1の構成例に対する比較例。
【図4】図4(A)、図4(B)、図4(C)は、図3(B)に示す生体情報検出器の平面図。
【図5】図5(A)、図5(B)は、本実施形態の生体情報検出器の他の構成例。
【図6】図6(A)、図6(B)は、発光部への配線の説明図。
【図7】発光部が発する光の強度特性の一例。
【図8】接触部を通る光の透過特性の一例。
【図9】光透過膜がコーティングされた基板を通る光の透過特性の一例。
【図10】図10(A)、図10(B)、図10(C)は、第1の反射部の構成例。
【図11】図11(A)、図11(B)は、第1の反射部及び発光部の外観例。
【図12】図12(A)、図12(B)は、生体情報検出器を含む生体情報測定装置の外観例。
【図13】生体情報測定装置の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0025】
1. 生体情報検出器
1.1 第1の構成例
図1(A)、図1(B)は、本実施形態の生体情報検出器の構成例を示す。なお、図1(A)、図1(B)において、各部材の寸法は、実際の寸法を正確に表すものではない。即ち、図1(A)、図1(B)において、各部材の寸法は、以下の説明を理解し易くするために、拡大又は縮小されている。図1(A)、図1(B)以外の他の図面も、同様に、必ずしも正確な寸法を表すものではない。
【0026】
図1(A)、図1(B)に示されるように、生体情報検出器は、発光部14、受光部16及び接触部19を含む。発光部14は、被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位Oに向かう光R1を発する。受光部16は、発光部14が発する光R1が被検出部位Oにて反射された、生体情報を有する光R1’(反射光)を受ける。接触部19は、被検査体との接触面19Aと接触面19Aと対向する対向面19Bとを有し、接触部19は、発光部14が発する光R1の波長に対して透明な材料(例えば、ガラス)で構成される。接触部19は、発光部14を保護することができる。
【0027】
図1(A)に示されるように、発光部14は、対向面19Bに実装される。図1(A)の例において、発光部14への配線及び受光部16への配線は、省略されているが、例えば、図1(B)の例に示すように、表すことができる。なお、図1(B)の例は、1つの切断面に対応する断面図を表し、図1(B)の例で表される配線以外の配線も、実際には存在する。図1(B)の例では、1つの切断面には実際に存在しない接続パッド63’及びバンプ63−2を、点線及び白い円で例示している。また、図1(B)の例では、発光部14への配線64の一部が表され、配線64は、発光部14への接続パッド64’を有する。発光部14への接続パッド64’(広義には、発光部14への第1の配線)は、対向面19Bに配置され、発光部14は、発光部14への接続パッド64’の表面に実装されている。図1(B)の例では、発光部14は、例えば、例えばバンプ64−2等の接続部材で、接続パッド64’の表面(広義には、接触部19の対向面19B)に取り付けられる。
【0028】
発光部14が対向面19Bに実装されるので、発光部14と被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位Oとの距離を短くすることができる。従って、被検出部位Oに到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。一方、特許文献1の発光部11及び受光部12は、基板15とともに、反射部131の内部に配置され、反射部131の内部は、透明材料142が充填されている。このような構成では、発光部11と被検出部位との間に所定の距離が存在してしまい、生体情報検出器の検出精度がよくない。
【0029】
図1(B)の例では、接続パッド64’は、バンプ64−2(例えば、金バンプ、半田バンプ等)を介して、例えば、発光部14のアノードと接続される。図1(B)の例において、点線で示される接続パッド63’は、白い円で示されるバンプ63−2を介して、例えば、発光部14のカソードと接続される。図1(B)の例では、受光部16への配線の一部が表され、受光部16への接続パッド61’が表されている。接続パッド61’は、ボンディングワイヤー61−1を介して、例えば、受光部16のアノードと接続される。図1(B)の例では、受光部16への配線の一部として、例えば、受光部16のカソードと接する接続部62’も、表されている。接続部62’は、例えば接着剤(図示せず)を介して受光部16のカソードと直接に接続される。導電性の接着剤(広義には、接続部材)として、例えば銀ペーストを採用することができる。
【0030】
図1(A)、図1(B)に示されるように、生体情報検出器は、反射部18をさらに含むことができる。なお、生体情報検出器が図1(A)、図1(B)に示すような反射部18を含まない構成を有するように、生体情報検出器を変形してもよい。反射部18は、生体情報を有する光R1’(反射光)を反射させる。反射部18は、発光部14と受光部16との間の光路に設けたドーム面に反射面を有することができる。
【0031】
また、図1(A)、図1(B)に示されるように、生体情報検出器は、基板11をさらに含むことができる。基板11は、第1の面11Aと第1の面11Aと対向する第2の面11Bとを有し、発光部14が発する光R1の波長に対して透明な材料(例えば、ポリイミド)で構成される。なお、生体情報検出器が図1(A)、図1(B)に示すような基板11を含まない構成を有するように、生体情報検出器を変形してもよい。図1(A)の例、図1(B)の例において、基板11は、反射部18と接触部19との間に配置され、受光部16は、反射部18の側に基板11(狭義には、基板11の第1の面11A)の上に置かれる。
【0032】
基板11は、反射部18と接触部19との間に配置されるので、受光部16が基板11に配置されたとしても、基板11それ自身を支持する機構を別途設ける必要がなく、部品点数が減少する。また、基板11は、発光波長に対して透明な材料で構成されるので、発光部14から受光部16に至る光路途中に基板11を配置でき、基板11を光路以外の位置例えば反射部18の内部に格納する必要がない。このように、容易に組み立て可能な生体情報検出器を提供することができる。また、反射部18は、受光部16又は被検出部位Oに到達する光量を増加させることが可能であり、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0033】
なお、特許文献1では、発光部11、受光部12、基板15及び透明材料142を反射部131の内部に組み込む必要がある。従って、小型な光プローブ1の組み立ては、容易ではない。また、特許文献1の段落[0048]によれば、基板15は、反射部131の内部の側を拡散反射面として形成されている。言い換えれば、特許文献1の基板15は、透明な材料で構成する必要がない。
【0034】
図1(A)、図1(B)の例において、被検出部位O(例えば、血管)は、被検査体の内部にある。第1の光R1は、被検査体の内部に進み、表皮、真皮及び皮下組織で拡散又は散乱する。その後、第1の光R1は、被検出部位Oに到達し、被検出部位Oで反射される。被検出部位Oでの反射光R1’は、皮下組織、真皮及び表皮で拡散又は散乱する。なお、第1の光R1は、血管で部分的に吸収される。従って、脈拍の影響により、血管での吸収率が変化し、被検出部位Oでの反射光R1’の光量も変化する。このように、生体情報(例えば、脈拍数)は、被検出部位Oでの反射光R1’に反映される。
【0035】
基板11の厚さは、例えば、10[μm]〜1000[μm]である。基板11には、発光部14への配線及び受光部16への配線を形成することができる。基板11は、例えばプリント基板であるが、一般には、プリント基板は、例えば特許文献1の基板15のように、透明な材料で構成されていない。言い換えれば、本発明者らは、プリント基板を少なくとも発光部14の発光波長に対して透明な材料で構成することをあえて採用した。接触部19の厚さは、例えば、1[μm]〜3000[μm]である。
【0036】
生体情報検出器の構成例は、図1(A)、図1(B)によって限定されず、構成例の一部(例えば受光部16)の形状等は、変更してもよい。また、生体情報は、血液中の酸素飽和度、体温、心拍数等であってもよく、被検出部位Oが被検査体の表面SAにあってもよい。図1(A)、図1(B)の例において、第1の光R1が1つの線として描かれているが、実際には、発光部14は、様々な方向に多くの光を発する。
【0037】
発光部14は、例えばLEDであり、LEDが発する光の波長は、例えば425[nm]〜625[nm]の範囲に強度の最大値(広義には、ピーク値)を持ち、例えば緑色の光が発せられる。発光部14の厚さは、例えば、20[μm]〜1000[μm]である。受光部16は、例えばフォトダイオードであり、一般的にはSiフォトダイオードで構成できる。受光部16の厚さは、例えば、20[μm]〜1000[μm]である。Siフォトダイオードが受ける光の波長は、例えば800[nm]〜1000[nm]の範囲に感度の最大値(広義には、ピーク値)を持つ。好ましくは、受光部16は、GaAsPフォトダイオードで構成され、GaAsPフォトダイオードが受ける光の波長は、例えば550[nm]〜650[nm]の範囲に感度の最大値(広義には、ピーク値)を持つ。生体(水やヘモグロビン)は、700[nm]〜1100[nm]の範囲に含まれる赤外線を透過させ易いので、GaAsPフォトダイオードで構成される受光部16は、例えばSiフォトダイオードで構成される受光部16と比較して、外光に起因するノイズ成分を減少させることができる。
【0038】
図2(A)、図2(B)、図2(C)は、図1(B)に示す生体情報検出器の平面図を示す。図2(A)は、受光部16の側の平面視に対応し、図2(B)は、発光部14の側の平面視に対応し、図2(C)は、受光部16及び発光部14を含む遮光領域に対応する。なお、図2(A)、図2(C)は、生体情報を有する光R1’(反射光)が基板11に向かう照射領域だけを表し、照射領域は、例えば、反射部18の反射面(図1(A)、図1(B)の例では、ドーム面)と基板11との境界18−1で規定することができる。境界18−1の外形は、例えば円形を示す。
【0039】
図2(A)に示されるように、(例えば、図1(B)の受光部16の側の)平面視において、受光部16のアノード(広義には、電極)と接続するための配線61は、基板11に形成される。また、受光部16のカソード(広義には、電極)と接続するための配線62も、基板11に形成される。図2(A)の例では、配線61は、受光部16への接続パッド61’とボンディングワイヤー61−1とを有し、配線61の接続パッド61’は、ボンディングワイヤー61−1を介して受光部16のアノードと接続される。図2(A)の例では、配線62は、受光部16のカソードと接する接続部62’を有する。
【0040】
図2(B)に示されるように、(例えば、図1(B)の発光部14の側の)平面視において、発光部14のカソードと接続するための配線63は、接触部19(狭義には、対向面19B)に形成される。また、発光部14のアノードと接続するための配線64も、接触部19(狭義には、対向面19B)に形成される。図2(B)の例では、配線63は、発光部14への接続パッド63’とバンプ63−2とを有し、配線63の接続パッド63’は、バンプ63−2を介して発光部14のカソードと接続される。また、配線63は、接続パッド63’’を含むことができる。図2(B)の例では、配線64は、発光部14への接続パッド64’とバンプ64−2とを有し、配線64の接続パッド64’は、バンプ64−2を介して発光部14のアノードと接続される。また、配線64は、接続パッド64’’を含むことができる。
【0041】
なお、発光部14への配線63及び配線64並びに受光部16への配線61及び配線62の構成例は、図2(A)、図2(B)によって限定されない。例えば、配線61の接続パッド61’の形状は、図2(A)で示される円形の代わりに、例えば矩形、楕円、多角形等の他の形状でもよい。また、例えば配線63の接続パッド63’、63’’の形状も、図2(B)で示される矩形の代わりに、例えば円形、楕円、多角形等の他の形状でもよい。さらに、図2(A)の例では、受光部16は、底面にカソードを有するが、アノードのように、表面にカソードを有してもよい。
【0042】
例えば図1(A)に示すように、生体情報を有する光R1’(反射光)が基板11に向かう場合、生体情報を有する光R1’(反射光)は、接触部19の対向面19Bに到達する。図2(B)で示すように、発光部14への配線63及び配線64が存在する場合、少なくとも配線63及び配線64は、生体情報を有する光R1’(反射光)を遮断または反射し、遮光領域を形成する。また、生体情報を有する光R1’(反射光)が基板11の内部に進入する場合であっても、図2(A)で示すように、受光部16への配線61及び配線62が存在する場合、少なくとも配線61及び配線62は、生体情報を有する光R1’(反射光)が基板11の内部から外部に出ることを抑制する。このように、配線61、配線62、配線63及び配線64が配置される接触部19及び基板11の遮光領域は、生体情報を有する光R1’(反射光)が反射部18に到達することを抑制する。言い換えれば、生体情報を有する光R1’(反射光)は、接触部19及び基板11の遮光領域を除く基板11の領域を透過することができる。
【0043】
図2(C)は、照射領域のうちの遮光領域を示し、図2(C)の例において、遮光領域は、黒で描かれている。図2(C)で示されるように、平面視において、遮光領域は、図2(A)の配線61(接続パッド61’及びボンディングワイヤー61−1を含む)及び配線62(接続部62’を含む)、並びに、図2(B)の配線63(接続パッド63’及びバンプ63−2を含む)及び配線64(接続パッド64’及びバンプ64−2を含む)で規定することができる。
【0044】
1.2 比較例
図3(A)、図3(B)は、図1の構成例に対する比較例を示す。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図3(A)、図3(B)の例は、比較例であるが、新規な構成である。図3(A)の例では、発光部14は、基板11の第2の面11Bに配置されている。具体的には、図3(B)に示すように、発光部14への接続パッド64’(広義には、発光部14への第1の配線)は、第2の面11Bに配置され、接続パッド64’は、ボンディングワイヤー64−1を介して、例えば、発光部14のアノードと接続される。
【0045】
図3(A)において、被検出部位Oと対向し、第1の光R1を発する第1の発光面14Aと被検査体の表面SAとの距離は、d2で表されている。図1(A)において、第1の発光面14Aと被検査体の表面SAとの距離は、d1で表されている。図1(A)の例では、発光部14が対向面19Bに実装されるので、d1<d2となる。従って、発光部14と被検出部位Oとの距離が短くなるので、被検出部位Oに到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0046】
図3(B)に示すように、発光部14が基板11の第2の面11Bに配置される場合、ボンディングワイヤー64−1が必要になる。ボンディングワイヤー64−1は、接続パッド64’と発光部14のアノードとの間に配置され、図3(B)に示すように、ボンディングワイヤー64−1は、弧を描き、ボンディングワイヤー64−1(弧)の高さ又は深さは、δ2で表されている。δ2は、例えば、120[μm]である。また、接触部19がボンディングワイヤー64−1を壊さないために、図3(B)において、隙間は、δ1で表されている。δ1は、例えば、300[μm]である。ボンディングワイヤー64−1の製造誤差及び基板11のたわみを考慮すると、δ1をゼロにすることはできない。
【0047】
従って、図3(B)に示す接触部19の厚さt2は、図1(B)に示す接触部19の厚さt1よりも大きくなってしまう。これにより、図3(A)に示す生体情報検出器の高さh2も、図1(B)に示す生体情報検出器の高さh1よりも大きくなってしまう。言い換えれば、図1(A)、図1(B)の例では、生体情報検出器を小型化することができる。
【0048】
図4(A)、図4(B)、図4(C)は、図3(B)に示す生体情報検出器の平面図を示す。図4(A)は、受光部16の側の平面視に対応し、図4(B)は、発光部14の側の平面視に対応し、図4(C)は、受光部16及び発光部14を含む遮光領域に対応する。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。図4(A)は、図2(A)と一致するが、図4(B)の例では、配線63は、発光部14への接続パッド63’とボンディングワイヤー63−1とを有し、配線63の接続パッド63’は、ボンディングワイヤー63−1を介して発光部14のカソードと接続される。図4(B)の例では、配線64は、発光部14への接続パッド64’とボンディングワイヤー64−1とを有し、配線64の接続パッド64’は、ボンディングワイヤー64−1を介して発光部14のアノードと接続される。
【0049】
図4(B)の接続パッド63’及び接続パッド64’は、発光部14の外側で、それぞれボンディングワイヤー63−1及びボンディングワイヤー64−1に接続されるので、図2(C)に示す遮光領域は、図4(C)に示す遮光領域よりも小さい。従って、図2(C)の例では、生体情報を有する光R1’(反射光)が受光部14に到達し易くなり、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0050】
1.3 第2の構成例
図5(A)、図5(B)は、本実施形態の生体情報検出器の他の構成例を示す。図5(A)は、図1(B)の切断面と同じ切断面に対応する断面図であり、図5(B)は、他の切断面に対応する断面図である。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。図5(A)、図5(B)に示されるように、生体情報検出器は、反射部92をさらに含むことができる。なお、反射部92を第1の反射部と呼ぶ場合、反射部18を第2の反射部と呼ぶことができる。図5(A)、図5(B)の例では、第1の反射部92は、接触部19の対向面19Bに固定される。第1の反射部92は、例えば接着剤93で固定することができる。
【0051】
図5(A)に示されるように、発光部14は、被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位Oに向かう第1の光R1及び被検出部位Oとは異なる方向(第1の反射部92)に向かう第2の光R2を発する。第1の反射部92は、第2の光R2を反射させて被検出部位Oに導く。受光部16は、第1の光R1及び第2の光R2が被検出部位Oにて反射された、生体情報を有する光R1’、R2’(反射光:有効光)を受ける。第2の反射部18は、被検出部位Oからの生体情報を有する光R1’、R2’(反射光)を反射させて受光部16に導く。第1の反射部92の存在により、被検査体(ユーザー)の被検出部位Oに直接到達しない第2の光R2も、被検出部位Oに到達する。言い換えれば、第1の反射部92を介して被検出部位Oに到達する光量が増加し、発光部14の効率が高まる。従って、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0052】
なお、特許文献1は、第2の反射部18に対応する構成(特許文献1の図16の反射部131)を開示する。具体的には、特許文献1の図16の受光部12は、被検出部位での反射光を反射部131を介して受光する。しかしながら、特許文献1は、第1の反射部92に対応する構成を開示していない。言い換えれば、本出願時において、当業者は、特許文献1の図16の発光部11の効率を高めることを認識していない。
【0053】
図5(A)、図5(B)に示されるように、基板11の第1の面(例えば、表面)に光透過膜11−1を形成することができる。なお、光透過膜11−1は、第1の面と対向する第2の面(例えば、裏面)に形成してもよい(図6(A)、図6(B)参照)。また、光透過膜11−1は、例えば接続パッド61’、接続部62’等が配置される基板11の遮光領域以外の基板11の光透過領域(照射領域)に形成することができる。光透過膜11−1は、例えば、ソルダーレジスト(広義には、レジスト)で構成することができる。
【0054】
図6(A)、図6(B)は、発光部14への配線の説明図を示す。図6(A)は、図5(B)に対応し、図6(B)は、図6(A)の切断面と異なる切断面に対応する断面図である。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。図6(A)に示されるように、配線64(発光部14への第2の配線)が基板11の第2の面11Bに配置される場合、接触部19の対向面19Bに配置される配線64(発光部14への第1の配線)は、導電部材を介して、基板11の第2の面11Bに配置される配線64(発光部14への第2の配線)に電気的に接続される。図6(A)の例では、導電部材は、例えばバネ64−4であり、例えば金めっきをバネに適用することにより、バネ64−4は、導電性を有する。導電部材は、例えば、導電性ゴムでもよい。図6(B)の例では、接触部19の対向面19Bに配置される配線63(発光部14への第1の配線)は、導電部材(例えば、バネ63−4、伝導性ゴム等)を介して、基板11の第2の面11Bに配置される配線64(発光部14への第2の配線)に電気的に接続される。図6(B)の例では、発光部14は、バンプ63−2を介して、配線63(発光部14への第1の配線)の表面に実装される。
【0055】
ところで、図5(B)に示されるように、第1の反射部92が配線64に固定される場合、接着剤93の厚さは、薄くなることもある。そこで、配線64(発光部14への配線)(広義には、対向面19B)を保護するために、図6(A)に示されるように、絶縁部材64−3を配線64の上に設けることができる。また、配線63(発光部14への配線)(広義には、対向面19B)を保護するために、図6(B)に示されるように、絶縁部材63−3を配線62の上に設けることができる。このように、第1の反射部92は、絶縁部材63−3、64−3を介して対向面19Bに固定される。絶縁部材63−3、64−3は、光透過膜11−1と同様に、例えば、ソルダーレジスト(広義には、レジスト)で構成することができる。
【0056】
基板11上の配線63、64が剥離しないように、図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)に示す基板11の第1の面11A及び第2の面11Bは、粗面加工することができる。従って、第1の面11A及び第2の面11Bの少なくとも一方に光透過膜11−1を形成することにより、基板11の表面の粗面を光透過膜で埋め込んで、基板11全体の平坦性は、向上する。言い換えれば、基板11上の光透過膜11−1は、平坦であるので、光が基板11を透過する時、基板11の表面の粗面での光の拡散を減少させることができる。言い換えれば、光透過膜11−1の存在により、基板11の透過率が向上する。従って、被検出部位Oに到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。
【0057】
なお、光透過膜11−1の屈折率は、空気の屈折率と基板11の屈折率の間であることが好ましい。さらに、光透過膜11−1の屈折率は、空気の屈折率よりも、基板11の屈折率に近い方が好ましい。このような場合、界面での光の反射を減少させることができる。
【0058】
図7は、発光部14が発する光の強度特性の一例を示す。図7の例において、520[nm]の波長を持つ光の強度が、最大値を示し、その強度で他の波長を持つ光の強度は正規化されている。また、図7の例において、発光部14が発する光の波長の範囲は、470[nm]〜600[nm]である。
【0059】
図8は、接触部19を通る光の透過特性の一例を示す。図8に示すように、例えば図7の強度の最大値を示す発光部14が発する光の波長(520[nm])の透過率は、50[%]以上ある。また、基板11そのものを通る光の透過特性の一例は、示されていないが、図8の透過特性と同様に、520[nm]の波長に対する基板11の透過率は、例えば50[%]以上に設定することができる。接触部19及び基板11は、発光部14が発する光R1の波長に対して透明な材料で構成することができる。
【0060】
図9は、光透過膜11−1がコーティングされた基板11を通る光の透過特性の一例を示す。図9の例において、基板11を透過する前の光の強度と基板11を透過した後の光の強度とを用いて、透過率が計算されている。図9の例において、生体の窓の下限である700[nm]以下の波長領域において、525[nm]の波長を持つ光の透過率が、最大値を示す。或いは、図9の例において、生体の窓の下限である700[nm]以下の波長領域において、光透過膜11−1を通る光の透過率の最大値は、例えば図7の発光部14が発する光の波長の強度の最大値の±10%以内の範囲に入る。このように、光透過膜11−1は、発光部14が発する光(例えば、図1(A)の第1の光R1(狭義には、第1の光R1の反射光R1’))を選択的に透過させることが好ましい。光透過膜11−1の存在により、基板11の平坦性を向上するとともに、発光部14又は受光部16の効率の低下をある程度防止することができる。なお、図9の例で示したように、例えば可視光領域において、525[nm]の波長を持つ光の透過率が最大値(広義には、ピーク値)を示す場合、光透過膜11−1は、例えば緑色を示す。
【0061】
図10(A)、図10(B)、図10(C)は、図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)の第1の反射部92の構成例を示す。図10(A)に示されるように、第1の反射部92は、発光部14を支持する支持部92−1と、発光部14の第2の発光面14Bを囲む壁部の内壁面92−2及び頂面92−3と、を有することができる。なお、図10(A)〜図10(C)において、発光部14は省略されている。図10(A)の例において、第1の反射部92は、内壁面92−2において第2の光R2を被検出部位Oに反射させることができ(図5(A)参照)、内壁面92−2に第1の反射面を有する。支持部92−1の厚さは、例えば、50[μm]〜1000[μm]であり、壁部(92−3)の厚さは、例えば、100[μm]〜1000[μm]である。
【0062】
図10(A)の例では、内壁面92−2は、断面視において、幅方向(第1の方向)にて第1の反射部92の中心から遠ざかる位置ほど、高さ方向(第1の方向と直交する方向)にて被検出部位O側に変位する斜面(92−2)を有する。図10(A)の斜面(92−2)は、断面視において、傾斜平面で形成されているが、例えば図10(C)で示される湾曲面等の斜面であってもよい。内壁面92−2は傾斜角度が異なる複数の傾斜平面で形成されてもよく、或いは複数の曲率を持つ湾曲面で形成されてもよい。第1の反射部92の内壁面92−2が斜面を有する場合、この第1の反射部92の内壁面92−2は、第2の光R2を被検出部位Oに向けて反射させることができる。言い換えれば、この第1の反射部92の内壁面92−2の斜面は、発光部14の指向性を高めた第1の反射面と言うことができる。このような場合、被検出部位Oに到達する光量は、さらに増加する。また、図10(A)、図10(C)の頂面92−3は、例えば図10(B)に示されるように省略してもよい。なお、図10(A)〜図10(C)では、符号92−4で示す範囲が鏡面部として機能する。
【0063】
図11(A)、図11(B)は、図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)の第1の反射部92及び発光部14の平面視での外観例を示す。図11(A)の例では、(例えば、図5(A)の被検出部位Oの側の)平面視において、第1の反射部92の外周は、円を表し、円の直径は、例えば、直径200[μm]〜11000[μm]である。図11(A)の例において、第1の反射部92の壁部(92−2)は、発光部14を囲む(図5(A)、図10(A)参照)。また、第1の反射部92の外周は、平面視において、例えば図11(B)に示すように、四角形(狭義には、正方形)を表してもよい。また、図11(A)、図11(B)の例では、(例えば、図5(A)の被検出部位Oの側の)平面視において、発光部14の外周は、四角形(狭義には、正方形)を表し、正方形の1辺は、例えば、100[μm]〜10000[μm]である。また、発光部14の外周は、円形を表してもよい。
【0064】
第1の反射部92は、それ自身を金属で形成し、その表面を鏡面加工することで、反射構造(狭義には、鏡面反射構造)を有する。なお、第1の反射部92は、例えば樹脂で形成し、その表面に鏡面加工してもよい。具体的には、例えば、第1の反射部92の下地金属を準備し、その後、その表面を例えばめっきする。或いは、例えば、熱可塑性樹脂を第1の反射部92の金型(図示せず)に充填して成形し、その後、その表面に例えば金属膜を蒸着する。
【0065】
図11(A)、図11(B)の例では、(例えば、図5(A)の被検出部位Oの側の)平面視において、第1の反射部92は、発光部14を直接支持する領域以外の領域(支持部92−1の一部、壁部の内壁面92−2及び頂面92−3)が露出する。この露出する領域は、図10(A)の例では、鏡面部92−4として示されている。なお、図10(A)の例において、鏡面部92−4を表す点線は、第1の反射部92の内側に位置しているが、実際には、鏡面部92−4は、第1の反射部92の表面に形成されている。
【0066】
図10(A)、図10(B)、図10(C)の例において、鏡面部92−4は、高い反射率を有することが好ましい。鏡面部92−4の反射率は、例えば、80%〜90%以上である。また、鏡面部92−4は、内壁面92−2の斜面だけに形成することができる。鏡面部92−4が内壁面92−2の斜面だけでなく、支持部92−1にも形成される場合、発光部14の指向性は、さらに高くなる。
【0067】
図5(A)の例において、第2の光R2は、被検査体の内部に進み、被検出部位Oでの反射光R2’は、第2の反射部18に向かう。生体情報(脈拍数)は、被検出部位Oでの反射光R2’にも反映される。図5(A)の例において、第1の光R1は、被検査体の表面(皮膚表面)SAで部分的に反射される。被検出部位Oが被検査体の内部にある場合、生体情報(脈拍数)は、被検査体の表面SAでの反射光R1’’(直接反射光)に反映されない。
【0068】
第2の反射部18は、例えば樹脂で形成し、その表面(受光部16側の反射面)に鏡面加工することで、反射構造(狭義には、鏡面反射構造)を有する。言い換えれば、第2の反射部18は、光を拡散反射させずに、光を鏡面反射させることができる。第2の反射部18が鏡面反射構造を有する場合、この第2の反射部18は、第1の光R1の反射光R1’の反射角と異なる反射角を有する第1の光R1の反射光R1’’(直接反射光:無効光)を受光部16に反射させないこともできる(図5(A)参照)。このような場合、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。なお、図5(A)に示されるように、第1の光R1の反射光R1’は、被検査体の内部にある被検出部位Oが起点となるので、第1の光R1の反射光R1’の反射角(被検査体の表面SAに垂直な直線を基準にした反射角)は、概して小さい。一方、第1の光R1の反射光R1’’は、被検査体の表面SAが起点となるので、第1の光Rの反射光R1’’の反射角は、概して大きい。
【0069】
ところで、特許文献1の図16は、反射部131を開示し、特許文献1の段落[0046]、[0059]、[0077]によれば、反射部131は、拡散反射構造を有し、反射率を向上させることによって受光部12の効率を高める。しかしながら、本出願時において、当業者は、特許文献1の反射部131では、直接反射光(広義には、ノイズ)も受光部12に反射させてしまうことを認識していない。言い換えれば、本発明者らは、直接反射光に起因するノイズ成分を受光信号から低減させることによって受光部の効率を高めることを認識した。言い換えれば、本発明者らは、第2の反射部18が鏡面反射構造を有する場合、生体情報検出器の検出精度がさらに向上することを認識した。
【0070】
2. 生体情報測定装置
図12(A)、図12(B)は、図1(A)、図5(A)等の生体情報検出器を含む生体情報測定装置の外観例である。図12(A)に示されるように、例えば図1の生体情報検出器は、生体情報検出器を被検査体(ユーザー)の腕(狭義には、手首)に取り付け可能なリストバンド150をさらに含むことができる。図12(A)の例において、生体情報は、脈拍数であり、例えば「72」が示されている。また、生体情報検出器は、腕時計に組み込まれ、時刻(例えば、午前8時15分)が示されている。また、図12(B)に示されるように、腕時計の裏蓋に開口部が設けられ、開口部に例えば図1の接触部19が露出する。図12(B)の例において、第2の反射部18及び受光部16は、腕時計に組み込まれている。図12(B)の例において、第1の反射部92、発光部14、リストバンド150等は、省略されている。
【0071】
図13は、生体情報測定装置の構成例を示す。生体情報測定装置は、図1(A)、図5(A)等の生体情報検出器と、生体情報検出器の受光部16において生成される受光信号から生体情報を測定する生体情報測定部とを含む。図13に示すように、生体情報検出器は、発光部14と受光部16と発光部14の制御回路161とを有することができる。生体情報検出器は、受光部16の受光信号の増幅回路162をさらに有することができる。また、生体情報測定部は、受光部16の受光信号をA/D変換するA/D変換回路163と脈拍数を算出する脈拍数算出回路164とを有することができる。生体情報測定部は、脈拍数を表示する表示部165をさらに有することができる。
【0072】
生体情報検出器は、加速度検出部166を有することができ、生体情報測定部は、加速度検出部166の加速度信号をA/D変換するA/D変換回路167とデジタル信号を処理するデジタル信号処理回路168とをさらに有することができる。生体情報測定装置の構成例は、図13によって限定されない。図13の脈拍数算出回路164は、例えば生体情報検出器を組み込む電子機器のMPU(Micro Processing Unit)であってもよい。
【0073】
図13の制御回路161は、発光部14を駆動する。制御回路161は、例えば、定電流回路であり、所与の電圧(例えば、6[V])を保護抵抗を介して発光部14に供給し、発光部14に流れる電流を所与の値(例えば、2[mA])に保つ。なお、制御回路161は、消費電流を低減するために、発光部14を間欠的に(例えば、128[Hz]で)駆動することができる。制御回路161は、例えばマザーボードに形成され、制御回路161と発光部14との配線は、例えば、図6(A)、図6(B)の基板11及び接触部19に形成される。
【0074】
図13の増幅回路162は、受光部16において生成される受光信号(電流)から直流成分を除去し、交流成分だけを抽出し、その交流成分を増幅して、交流信号を生成することができる。増幅回路162は、例えばハイパスフィルターで所与の周波数以下の直流成分を除去し、例えばオペアンプで交流成分をバッファーする。なお、受光信号は、脈動成分及び体動成分を含む。増幅回路162又は制御回路161は、受光部16を例えば逆バイアスで動作させるための電源電圧を受光部16に供給することができる。発光部14が間欠的に駆動される場合、受光部16の電源も間欠的に供給され、また交流成分も間欠的に増幅される。増幅回路162は、例えばマザーボードに形成され、増幅回路162と受光部16との配線は、例えば、図5(A)、図5(B)の基板11に形成される。また、増幅回路162は、ハイパスフィルターの前段で受光信号を増幅する増幅器を有してもよい。増幅回路162が増幅器を有する場合、増幅器は、例えば、基板11に形成される。
【0075】
図13のA/D変換回路163は、増幅回路162において生成される交流信号をデジタル信号(第1のデジタル信号)に変換する。図16の加速度検出部166は、例えば3軸(X軸、Y軸及びZ軸)の加速度を検出して、加速度信号を生成する。体(腕)の動き、従って生体情報測定装置の動きは、加速度信号に反映される。図13のA/D変換回路167は、加速度検出部166において生成される加速度信号をデジタル信号(第2のデジタル信号)に変換する。
【0076】
図13のデジタル信号処理回路168は、第2のデジタル信号を用いて、第1のデジタル信号の体動成分を除去し又は低減させる。デジタル信号処理回路168は、例えば、FIRフィルター等の適応フィルターで構成することができる。デジタル信号処理回路168は、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を適応フィルターに入力し、ノイズが除去又は低減されたフィルター出力信号を生成する。
【0077】
図13の脈拍数算出回路164は、フィルター出力信号を例えば高速フーリエ変換(広義には、拡散フーリエ変換)によって周波数解析する。脈拍数算出回路164は、周波数解析の結果に基づき脈動成分を表す周波数を特定し、脈拍数を算出する。
【0078】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0079】
11 基板、 11A 第1の面、 11B 第2の面、 11−1 光透過膜、
14 発光部、 14A 第1の発光面、14B 第2の発光面、 16 受光部、
18 反射部(第2の反射部)、 18−1 境界、 19 接触部、
19A 接触面、 19B 対向面、 61,62,63,64 配線、
61−1,63−1,64−1 ボンディングワイヤー、
63−2,64−2 バンプ、 63−3,64−3 絶縁部材、
63−4,64−4 バネ(導電部材)、
61’,63’,64’,63’’,64’’ 接続パッド、 62’ 接続部、
92 反射部(第1の反射部)、 92−1 支持部、 92−2 内壁面、
92−3 頂面、 92−4 鏡面部、 93 接着剤、 150 リストバンド、
161 制御回路、 162 増幅回路、 163,167 A/D変換回路、
164 脈拍数算出回路、 165 表示部、 166 加速度検出部、
168 デジタル信号処理回路、 d1,d2 距離、 h1,h2 高さ、
O 被検出部位、 R1 第1の光、 R2 第2の光、
R1’,R2’ 反射光(有効光)、 R1’’ 直接反射光(無効光)、
SA 被検査体の表面、 t1,t2 厚さ、 δ1 隙間、 δ2 高さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報検出器及び生体情報測定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報測定装置は、例えば人間の脈拍数、血液中の酸素飽和度、体温、心拍数等の生体情報を測定し、生体情報測定装置の一例は、脈拍数を測定する脈拍計である。また、脈拍計等の生体情報測定装置は、時計、携帯電話、ページャー、パーソナルコンピューター等の電子機器に組み込まれてもよく、又は電子機器と組み合わせてもよい。生体情報測定装置は、生体情報を検出する生体情報検出器を有し、生体情報検出器は、被検査体(ユーザー)の被検出部位に向けて光を発光する発光部と、被検出部位からの生体情報を有する光を受光する受光部とを含む。
【0003】
特許文献1は、脈拍計(広義には、生体情報測定装置)を開示し、脈拍計の受光部(例えば、特許文献1の図16の受光部12)は、被検出部位での反射光(例えば、特許文献1の図16の点線)を拡散反射面(例えば、特許文献1の図16の反射部131)を介して受光する。特許文献1の光プローブ1は、平面視において発光部11と受光部12とが重なり、光プローブ1の小型化を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−337605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発光部11及び受光部12は、基板15とともに、反射部131の内部に配置され、反射部131の内部は、透明材料142が充填されている。このような構成では、発光部11と被検出部位との間に所定の距離が存在してしまい、生体情報検出器の検出精度がよくない。
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、検出精度又は測定精度を向上可能な生体情報検出器及び生体情報測定装置を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、被検査体の被検出部位に向かう光を発する発光部と、
前記発光部が発する光が前記被検出部位にて反射された、生体情報を有する光を受ける受光部と、
前記発光部が発する光の波長に対して透明な材料で構成され、前記被検査体との接触面と前記接触面と対向する対向面とを有する接触部と、を含み、
前記発光部は、前記対向面に実装されることを特徴とする生体情報検出器に関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、発光部は、例えばバンプ等の接続部材で接触部の対向面に取り付けられる。即ち、発光部と被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位との距離を短くすることができる。従って、被検出部位に到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記発光部への第1の配線は、前記対向面に配置されてもよく、
前記発光部は、前記第1の配線の表面に実装されてもよい。
【0010】
このように、第1の配線が対向面に配置されることで、発光部は、例えばバンプ等の接続部材で第1の配線に取り付けられる。発光部は、第1の配線から供給される電力で光を発することができる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記発光部が発する光は、前記被検出部位に向かう第1の光及び前記被検出部位とは異なる方向に向かう第2の光を有してもよく、
生体情報検出器は、前記第2の光を前記被検出部位に反射させる第1の反射部を、さらに含んでもよい。
【0012】
このように、被検査体の被検出部位に直接到達しない第2の光も、第1の反射部を介して被検出部位に到達する。従って、被検出部位に到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記第1の反射部は、前記対向面に固定されてもよい。
【0014】
このように、第1の反射部と被検出部位との距離を短くすることができる。従って、被検出部位に到達する第1の光の光量だけでなく、第2の光の光量も増加し、生体情報検出器の検出精度は向上する。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記第1の反射部は、絶縁部材を介して前記対向面に固定されてもよい。
【0016】
対向面に例えば発光部への第1の配線が配置される場合等、絶縁部材は、対向面を保護することができる。
【0017】
また、本発明の一態様では、生体情報検出器は、
前記発光部が発する光の波長に対して透明な材料で構成され、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とを有する基板を、さらに含んでもよく、
前記発光部への第2の配線は、前記第2の面に配置されてもよく、
前記第1の配線は、導電部材を介して前記第2の配線に電気的に接続されてもよい。
【0018】
このように、第1の配線は、第2の配線に接続される。第2の配線、導電部材及び第1の配線を介して電力を発光部に供給することができる。
【0019】
また、本発明の一態様では、生体情報検出器は、
前記被検出部位からの前記生体情報を有する光を反射させて前記受光部に導く第2の反射部を、さらに含んでもよく、
前記受光部は、前記第1の面に配置されてもよく、
前記基板は、前記第2の反射部と前記接触部との間に配置されてもよい。
【0020】
このように、基板は、第2の反射部と保護部との間に配置される。従って、受光部が基板に配置されたとしても、基板それ自身を支持する機構を別途設ける必要がなく、部品点数が減少する。また、基板は、発光波長に対して透明な材料で構成されるので、発光部から受光部に至る光路途中に基板を配置でき、基板を光路以外の位置例えば反射部の内部に格納する必要がない。このように、容易に組み立て可能な生体情報検出器を提供することができる。
【0021】
また、本発明の他の態様は、上記に記載の生体情報検出器と、
前記受光部において生成される受光信号から前記生体情報を測定する生体情報測定部と、を含み、
前記生体情報は、脈拍数であることを特徴とする生体情報測定装置に関係する。
【0022】
本発明の他の態様によれば、検出精度が向上された生体情報検出器を用いて、生体情報測定装置の測定精度を向上させることができる。また、生体情報測定器を脈拍計に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1(A)、図1(B)は、本実施形態の生体情報検出器の構成例。
【図2】図2(A)、図2(B)、図2(C)は、図1(B)に示す生体情報検出器の平面図。
【図3】図3(A)、図3(B)は、図1の構成例に対する比較例。
【図4】図4(A)、図4(B)、図4(C)は、図3(B)に示す生体情報検出器の平面図。
【図5】図5(A)、図5(B)は、本実施形態の生体情報検出器の他の構成例。
【図6】図6(A)、図6(B)は、発光部への配線の説明図。
【図7】発光部が発する光の強度特性の一例。
【図8】接触部を通る光の透過特性の一例。
【図9】光透過膜がコーティングされた基板を通る光の透過特性の一例。
【図10】図10(A)、図10(B)、図10(C)は、第1の反射部の構成例。
【図11】図11(A)、図11(B)は、第1の反射部及び発光部の外観例。
【図12】図12(A)、図12(B)は、生体情報検出器を含む生体情報測定装置の外観例。
【図13】生体情報測定装置の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0025】
1. 生体情報検出器
1.1 第1の構成例
図1(A)、図1(B)は、本実施形態の生体情報検出器の構成例を示す。なお、図1(A)、図1(B)において、各部材の寸法は、実際の寸法を正確に表すものではない。即ち、図1(A)、図1(B)において、各部材の寸法は、以下の説明を理解し易くするために、拡大又は縮小されている。図1(A)、図1(B)以外の他の図面も、同様に、必ずしも正確な寸法を表すものではない。
【0026】
図1(A)、図1(B)に示されるように、生体情報検出器は、発光部14、受光部16及び接触部19を含む。発光部14は、被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位Oに向かう光R1を発する。受光部16は、発光部14が発する光R1が被検出部位Oにて反射された、生体情報を有する光R1’(反射光)を受ける。接触部19は、被検査体との接触面19Aと接触面19Aと対向する対向面19Bとを有し、接触部19は、発光部14が発する光R1の波長に対して透明な材料(例えば、ガラス)で構成される。接触部19は、発光部14を保護することができる。
【0027】
図1(A)に示されるように、発光部14は、対向面19Bに実装される。図1(A)の例において、発光部14への配線及び受光部16への配線は、省略されているが、例えば、図1(B)の例に示すように、表すことができる。なお、図1(B)の例は、1つの切断面に対応する断面図を表し、図1(B)の例で表される配線以外の配線も、実際には存在する。図1(B)の例では、1つの切断面には実際に存在しない接続パッド63’及びバンプ63−2を、点線及び白い円で例示している。また、図1(B)の例では、発光部14への配線64の一部が表され、配線64は、発光部14への接続パッド64’を有する。発光部14への接続パッド64’(広義には、発光部14への第1の配線)は、対向面19Bに配置され、発光部14は、発光部14への接続パッド64’の表面に実装されている。図1(B)の例では、発光部14は、例えば、例えばバンプ64−2等の接続部材で、接続パッド64’の表面(広義には、接触部19の対向面19B)に取り付けられる。
【0028】
発光部14が対向面19Bに実装されるので、発光部14と被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位Oとの距離を短くすることができる。従って、被検出部位Oに到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。一方、特許文献1の発光部11及び受光部12は、基板15とともに、反射部131の内部に配置され、反射部131の内部は、透明材料142が充填されている。このような構成では、発光部11と被検出部位との間に所定の距離が存在してしまい、生体情報検出器の検出精度がよくない。
【0029】
図1(B)の例では、接続パッド64’は、バンプ64−2(例えば、金バンプ、半田バンプ等)を介して、例えば、発光部14のアノードと接続される。図1(B)の例において、点線で示される接続パッド63’は、白い円で示されるバンプ63−2を介して、例えば、発光部14のカソードと接続される。図1(B)の例では、受光部16への配線の一部が表され、受光部16への接続パッド61’が表されている。接続パッド61’は、ボンディングワイヤー61−1を介して、例えば、受光部16のアノードと接続される。図1(B)の例では、受光部16への配線の一部として、例えば、受光部16のカソードと接する接続部62’も、表されている。接続部62’は、例えば接着剤(図示せず)を介して受光部16のカソードと直接に接続される。導電性の接着剤(広義には、接続部材)として、例えば銀ペーストを採用することができる。
【0030】
図1(A)、図1(B)に示されるように、生体情報検出器は、反射部18をさらに含むことができる。なお、生体情報検出器が図1(A)、図1(B)に示すような反射部18を含まない構成を有するように、生体情報検出器を変形してもよい。反射部18は、生体情報を有する光R1’(反射光)を反射させる。反射部18は、発光部14と受光部16との間の光路に設けたドーム面に反射面を有することができる。
【0031】
また、図1(A)、図1(B)に示されるように、生体情報検出器は、基板11をさらに含むことができる。基板11は、第1の面11Aと第1の面11Aと対向する第2の面11Bとを有し、発光部14が発する光R1の波長に対して透明な材料(例えば、ポリイミド)で構成される。なお、生体情報検出器が図1(A)、図1(B)に示すような基板11を含まない構成を有するように、生体情報検出器を変形してもよい。図1(A)の例、図1(B)の例において、基板11は、反射部18と接触部19との間に配置され、受光部16は、反射部18の側に基板11(狭義には、基板11の第1の面11A)の上に置かれる。
【0032】
基板11は、反射部18と接触部19との間に配置されるので、受光部16が基板11に配置されたとしても、基板11それ自身を支持する機構を別途設ける必要がなく、部品点数が減少する。また、基板11は、発光波長に対して透明な材料で構成されるので、発光部14から受光部16に至る光路途中に基板11を配置でき、基板11を光路以外の位置例えば反射部18の内部に格納する必要がない。このように、容易に組み立て可能な生体情報検出器を提供することができる。また、反射部18は、受光部16又は被検出部位Oに到達する光量を増加させることが可能であり、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0033】
なお、特許文献1では、発光部11、受光部12、基板15及び透明材料142を反射部131の内部に組み込む必要がある。従って、小型な光プローブ1の組み立ては、容易ではない。また、特許文献1の段落[0048]によれば、基板15は、反射部131の内部の側を拡散反射面として形成されている。言い換えれば、特許文献1の基板15は、透明な材料で構成する必要がない。
【0034】
図1(A)、図1(B)の例において、被検出部位O(例えば、血管)は、被検査体の内部にある。第1の光R1は、被検査体の内部に進み、表皮、真皮及び皮下組織で拡散又は散乱する。その後、第1の光R1は、被検出部位Oに到達し、被検出部位Oで反射される。被検出部位Oでの反射光R1’は、皮下組織、真皮及び表皮で拡散又は散乱する。なお、第1の光R1は、血管で部分的に吸収される。従って、脈拍の影響により、血管での吸収率が変化し、被検出部位Oでの反射光R1’の光量も変化する。このように、生体情報(例えば、脈拍数)は、被検出部位Oでの反射光R1’に反映される。
【0035】
基板11の厚さは、例えば、10[μm]〜1000[μm]である。基板11には、発光部14への配線及び受光部16への配線を形成することができる。基板11は、例えばプリント基板であるが、一般には、プリント基板は、例えば特許文献1の基板15のように、透明な材料で構成されていない。言い換えれば、本発明者らは、プリント基板を少なくとも発光部14の発光波長に対して透明な材料で構成することをあえて採用した。接触部19の厚さは、例えば、1[μm]〜3000[μm]である。
【0036】
生体情報検出器の構成例は、図1(A)、図1(B)によって限定されず、構成例の一部(例えば受光部16)の形状等は、変更してもよい。また、生体情報は、血液中の酸素飽和度、体温、心拍数等であってもよく、被検出部位Oが被検査体の表面SAにあってもよい。図1(A)、図1(B)の例において、第1の光R1が1つの線として描かれているが、実際には、発光部14は、様々な方向に多くの光を発する。
【0037】
発光部14は、例えばLEDであり、LEDが発する光の波長は、例えば425[nm]〜625[nm]の範囲に強度の最大値(広義には、ピーク値)を持ち、例えば緑色の光が発せられる。発光部14の厚さは、例えば、20[μm]〜1000[μm]である。受光部16は、例えばフォトダイオードであり、一般的にはSiフォトダイオードで構成できる。受光部16の厚さは、例えば、20[μm]〜1000[μm]である。Siフォトダイオードが受ける光の波長は、例えば800[nm]〜1000[nm]の範囲に感度の最大値(広義には、ピーク値)を持つ。好ましくは、受光部16は、GaAsPフォトダイオードで構成され、GaAsPフォトダイオードが受ける光の波長は、例えば550[nm]〜650[nm]の範囲に感度の最大値(広義には、ピーク値)を持つ。生体(水やヘモグロビン)は、700[nm]〜1100[nm]の範囲に含まれる赤外線を透過させ易いので、GaAsPフォトダイオードで構成される受光部16は、例えばSiフォトダイオードで構成される受光部16と比較して、外光に起因するノイズ成分を減少させることができる。
【0038】
図2(A)、図2(B)、図2(C)は、図1(B)に示す生体情報検出器の平面図を示す。図2(A)は、受光部16の側の平面視に対応し、図2(B)は、発光部14の側の平面視に対応し、図2(C)は、受光部16及び発光部14を含む遮光領域に対応する。なお、図2(A)、図2(C)は、生体情報を有する光R1’(反射光)が基板11に向かう照射領域だけを表し、照射領域は、例えば、反射部18の反射面(図1(A)、図1(B)の例では、ドーム面)と基板11との境界18−1で規定することができる。境界18−1の外形は、例えば円形を示す。
【0039】
図2(A)に示されるように、(例えば、図1(B)の受光部16の側の)平面視において、受光部16のアノード(広義には、電極)と接続するための配線61は、基板11に形成される。また、受光部16のカソード(広義には、電極)と接続するための配線62も、基板11に形成される。図2(A)の例では、配線61は、受光部16への接続パッド61’とボンディングワイヤー61−1とを有し、配線61の接続パッド61’は、ボンディングワイヤー61−1を介して受光部16のアノードと接続される。図2(A)の例では、配線62は、受光部16のカソードと接する接続部62’を有する。
【0040】
図2(B)に示されるように、(例えば、図1(B)の発光部14の側の)平面視において、発光部14のカソードと接続するための配線63は、接触部19(狭義には、対向面19B)に形成される。また、発光部14のアノードと接続するための配線64も、接触部19(狭義には、対向面19B)に形成される。図2(B)の例では、配線63は、発光部14への接続パッド63’とバンプ63−2とを有し、配線63の接続パッド63’は、バンプ63−2を介して発光部14のカソードと接続される。また、配線63は、接続パッド63’’を含むことができる。図2(B)の例では、配線64は、発光部14への接続パッド64’とバンプ64−2とを有し、配線64の接続パッド64’は、バンプ64−2を介して発光部14のアノードと接続される。また、配線64は、接続パッド64’’を含むことができる。
【0041】
なお、発光部14への配線63及び配線64並びに受光部16への配線61及び配線62の構成例は、図2(A)、図2(B)によって限定されない。例えば、配線61の接続パッド61’の形状は、図2(A)で示される円形の代わりに、例えば矩形、楕円、多角形等の他の形状でもよい。また、例えば配線63の接続パッド63’、63’’の形状も、図2(B)で示される矩形の代わりに、例えば円形、楕円、多角形等の他の形状でもよい。さらに、図2(A)の例では、受光部16は、底面にカソードを有するが、アノードのように、表面にカソードを有してもよい。
【0042】
例えば図1(A)に示すように、生体情報を有する光R1’(反射光)が基板11に向かう場合、生体情報を有する光R1’(反射光)は、接触部19の対向面19Bに到達する。図2(B)で示すように、発光部14への配線63及び配線64が存在する場合、少なくとも配線63及び配線64は、生体情報を有する光R1’(反射光)を遮断または反射し、遮光領域を形成する。また、生体情報を有する光R1’(反射光)が基板11の内部に進入する場合であっても、図2(A)で示すように、受光部16への配線61及び配線62が存在する場合、少なくとも配線61及び配線62は、生体情報を有する光R1’(反射光)が基板11の内部から外部に出ることを抑制する。このように、配線61、配線62、配線63及び配線64が配置される接触部19及び基板11の遮光領域は、生体情報を有する光R1’(反射光)が反射部18に到達することを抑制する。言い換えれば、生体情報を有する光R1’(反射光)は、接触部19及び基板11の遮光領域を除く基板11の領域を透過することができる。
【0043】
図2(C)は、照射領域のうちの遮光領域を示し、図2(C)の例において、遮光領域は、黒で描かれている。図2(C)で示されるように、平面視において、遮光領域は、図2(A)の配線61(接続パッド61’及びボンディングワイヤー61−1を含む)及び配線62(接続部62’を含む)、並びに、図2(B)の配線63(接続パッド63’及びバンプ63−2を含む)及び配線64(接続パッド64’及びバンプ64−2を含む)で規定することができる。
【0044】
1.2 比較例
図3(A)、図3(B)は、図1の構成例に対する比較例を示す。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図3(A)、図3(B)の例は、比較例であるが、新規な構成である。図3(A)の例では、発光部14は、基板11の第2の面11Bに配置されている。具体的には、図3(B)に示すように、発光部14への接続パッド64’(広義には、発光部14への第1の配線)は、第2の面11Bに配置され、接続パッド64’は、ボンディングワイヤー64−1を介して、例えば、発光部14のアノードと接続される。
【0045】
図3(A)において、被検出部位Oと対向し、第1の光R1を発する第1の発光面14Aと被検査体の表面SAとの距離は、d2で表されている。図1(A)において、第1の発光面14Aと被検査体の表面SAとの距離は、d1で表されている。図1(A)の例では、発光部14が対向面19Bに実装されるので、d1<d2となる。従って、発光部14と被検出部位Oとの距離が短くなるので、被検出部位Oに到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0046】
図3(B)に示すように、発光部14が基板11の第2の面11Bに配置される場合、ボンディングワイヤー64−1が必要になる。ボンディングワイヤー64−1は、接続パッド64’と発光部14のアノードとの間に配置され、図3(B)に示すように、ボンディングワイヤー64−1は、弧を描き、ボンディングワイヤー64−1(弧)の高さ又は深さは、δ2で表されている。δ2は、例えば、120[μm]である。また、接触部19がボンディングワイヤー64−1を壊さないために、図3(B)において、隙間は、δ1で表されている。δ1は、例えば、300[μm]である。ボンディングワイヤー64−1の製造誤差及び基板11のたわみを考慮すると、δ1をゼロにすることはできない。
【0047】
従って、図3(B)に示す接触部19の厚さt2は、図1(B)に示す接触部19の厚さt1よりも大きくなってしまう。これにより、図3(A)に示す生体情報検出器の高さh2も、図1(B)に示す生体情報検出器の高さh1よりも大きくなってしまう。言い換えれば、図1(A)、図1(B)の例では、生体情報検出器を小型化することができる。
【0048】
図4(A)、図4(B)、図4(C)は、図3(B)に示す生体情報検出器の平面図を示す。図4(A)は、受光部16の側の平面視に対応し、図4(B)は、発光部14の側の平面視に対応し、図4(C)は、受光部16及び発光部14を含む遮光領域に対応する。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。図4(A)は、図2(A)と一致するが、図4(B)の例では、配線63は、発光部14への接続パッド63’とボンディングワイヤー63−1とを有し、配線63の接続パッド63’は、ボンディングワイヤー63−1を介して発光部14のカソードと接続される。図4(B)の例では、配線64は、発光部14への接続パッド64’とボンディングワイヤー64−1とを有し、配線64の接続パッド64’は、ボンディングワイヤー64−1を介して発光部14のアノードと接続される。
【0049】
図4(B)の接続パッド63’及び接続パッド64’は、発光部14の外側で、それぞれボンディングワイヤー63−1及びボンディングワイヤー64−1に接続されるので、図2(C)に示す遮光領域は、図4(C)に示す遮光領域よりも小さい。従って、図2(C)の例では、生体情報を有する光R1’(反射光)が受光部14に到達し易くなり、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0050】
1.3 第2の構成例
図5(A)、図5(B)は、本実施形態の生体情報検出器の他の構成例を示す。図5(A)は、図1(B)の切断面と同じ切断面に対応する断面図であり、図5(B)は、他の切断面に対応する断面図である。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。図5(A)、図5(B)に示されるように、生体情報検出器は、反射部92をさらに含むことができる。なお、反射部92を第1の反射部と呼ぶ場合、反射部18を第2の反射部と呼ぶことができる。図5(A)、図5(B)の例では、第1の反射部92は、接触部19の対向面19Bに固定される。第1の反射部92は、例えば接着剤93で固定することができる。
【0051】
図5(A)に示されるように、発光部14は、被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位Oに向かう第1の光R1及び被検出部位Oとは異なる方向(第1の反射部92)に向かう第2の光R2を発する。第1の反射部92は、第2の光R2を反射させて被検出部位Oに導く。受光部16は、第1の光R1及び第2の光R2が被検出部位Oにて反射された、生体情報を有する光R1’、R2’(反射光:有効光)を受ける。第2の反射部18は、被検出部位Oからの生体情報を有する光R1’、R2’(反射光)を反射させて受光部16に導く。第1の反射部92の存在により、被検査体(ユーザー)の被検出部位Oに直接到達しない第2の光R2も、被検出部位Oに到達する。言い換えれば、第1の反射部92を介して被検出部位Oに到達する光量が増加し、発光部14の効率が高まる。従って、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0052】
なお、特許文献1は、第2の反射部18に対応する構成(特許文献1の図16の反射部131)を開示する。具体的には、特許文献1の図16の受光部12は、被検出部位での反射光を反射部131を介して受光する。しかしながら、特許文献1は、第1の反射部92に対応する構成を開示していない。言い換えれば、本出願時において、当業者は、特許文献1の図16の発光部11の効率を高めることを認識していない。
【0053】
図5(A)、図5(B)に示されるように、基板11の第1の面(例えば、表面)に光透過膜11−1を形成することができる。なお、光透過膜11−1は、第1の面と対向する第2の面(例えば、裏面)に形成してもよい(図6(A)、図6(B)参照)。また、光透過膜11−1は、例えば接続パッド61’、接続部62’等が配置される基板11の遮光領域以外の基板11の光透過領域(照射領域)に形成することができる。光透過膜11−1は、例えば、ソルダーレジスト(広義には、レジスト)で構成することができる。
【0054】
図6(A)、図6(B)は、発光部14への配線の説明図を示す。図6(A)は、図5(B)に対応し、図6(B)は、図6(A)の切断面と異なる切断面に対応する断面図である。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。図6(A)に示されるように、配線64(発光部14への第2の配線)が基板11の第2の面11Bに配置される場合、接触部19の対向面19Bに配置される配線64(発光部14への第1の配線)は、導電部材を介して、基板11の第2の面11Bに配置される配線64(発光部14への第2の配線)に電気的に接続される。図6(A)の例では、導電部材は、例えばバネ64−4であり、例えば金めっきをバネに適用することにより、バネ64−4は、導電性を有する。導電部材は、例えば、導電性ゴムでもよい。図6(B)の例では、接触部19の対向面19Bに配置される配線63(発光部14への第1の配線)は、導電部材(例えば、バネ63−4、伝導性ゴム等)を介して、基板11の第2の面11Bに配置される配線64(発光部14への第2の配線)に電気的に接続される。図6(B)の例では、発光部14は、バンプ63−2を介して、配線63(発光部14への第1の配線)の表面に実装される。
【0055】
ところで、図5(B)に示されるように、第1の反射部92が配線64に固定される場合、接着剤93の厚さは、薄くなることもある。そこで、配線64(発光部14への配線)(広義には、対向面19B)を保護するために、図6(A)に示されるように、絶縁部材64−3を配線64の上に設けることができる。また、配線63(発光部14への配線)(広義には、対向面19B)を保護するために、図6(B)に示されるように、絶縁部材63−3を配線62の上に設けることができる。このように、第1の反射部92は、絶縁部材63−3、64−3を介して対向面19Bに固定される。絶縁部材63−3、64−3は、光透過膜11−1と同様に、例えば、ソルダーレジスト(広義には、レジスト)で構成することができる。
【0056】
基板11上の配線63、64が剥離しないように、図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)に示す基板11の第1の面11A及び第2の面11Bは、粗面加工することができる。従って、第1の面11A及び第2の面11Bの少なくとも一方に光透過膜11−1を形成することにより、基板11の表面の粗面を光透過膜で埋め込んで、基板11全体の平坦性は、向上する。言い換えれば、基板11上の光透過膜11−1は、平坦であるので、光が基板11を透過する時、基板11の表面の粗面での光の拡散を減少させることができる。言い換えれば、光透過膜11−1の存在により、基板11の透過率が向上する。従って、被検出部位Oに到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。
【0057】
なお、光透過膜11−1の屈折率は、空気の屈折率と基板11の屈折率の間であることが好ましい。さらに、光透過膜11−1の屈折率は、空気の屈折率よりも、基板11の屈折率に近い方が好ましい。このような場合、界面での光の反射を減少させることができる。
【0058】
図7は、発光部14が発する光の強度特性の一例を示す。図7の例において、520[nm]の波長を持つ光の強度が、最大値を示し、その強度で他の波長を持つ光の強度は正規化されている。また、図7の例において、発光部14が発する光の波長の範囲は、470[nm]〜600[nm]である。
【0059】
図8は、接触部19を通る光の透過特性の一例を示す。図8に示すように、例えば図7の強度の最大値を示す発光部14が発する光の波長(520[nm])の透過率は、50[%]以上ある。また、基板11そのものを通る光の透過特性の一例は、示されていないが、図8の透過特性と同様に、520[nm]の波長に対する基板11の透過率は、例えば50[%]以上に設定することができる。接触部19及び基板11は、発光部14が発する光R1の波長に対して透明な材料で構成することができる。
【0060】
図9は、光透過膜11−1がコーティングされた基板11を通る光の透過特性の一例を示す。図9の例において、基板11を透過する前の光の強度と基板11を透過した後の光の強度とを用いて、透過率が計算されている。図9の例において、生体の窓の下限である700[nm]以下の波長領域において、525[nm]の波長を持つ光の透過率が、最大値を示す。或いは、図9の例において、生体の窓の下限である700[nm]以下の波長領域において、光透過膜11−1を通る光の透過率の最大値は、例えば図7の発光部14が発する光の波長の強度の最大値の±10%以内の範囲に入る。このように、光透過膜11−1は、発光部14が発する光(例えば、図1(A)の第1の光R1(狭義には、第1の光R1の反射光R1’))を選択的に透過させることが好ましい。光透過膜11−1の存在により、基板11の平坦性を向上するとともに、発光部14又は受光部16の効率の低下をある程度防止することができる。なお、図9の例で示したように、例えば可視光領域において、525[nm]の波長を持つ光の透過率が最大値(広義には、ピーク値)を示す場合、光透過膜11−1は、例えば緑色を示す。
【0061】
図10(A)、図10(B)、図10(C)は、図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)の第1の反射部92の構成例を示す。図10(A)に示されるように、第1の反射部92は、発光部14を支持する支持部92−1と、発光部14の第2の発光面14Bを囲む壁部の内壁面92−2及び頂面92−3と、を有することができる。なお、図10(A)〜図10(C)において、発光部14は省略されている。図10(A)の例において、第1の反射部92は、内壁面92−2において第2の光R2を被検出部位Oに反射させることができ(図5(A)参照)、内壁面92−2に第1の反射面を有する。支持部92−1の厚さは、例えば、50[μm]〜1000[μm]であり、壁部(92−3)の厚さは、例えば、100[μm]〜1000[μm]である。
【0062】
図10(A)の例では、内壁面92−2は、断面視において、幅方向(第1の方向)にて第1の反射部92の中心から遠ざかる位置ほど、高さ方向(第1の方向と直交する方向)にて被検出部位O側に変位する斜面(92−2)を有する。図10(A)の斜面(92−2)は、断面視において、傾斜平面で形成されているが、例えば図10(C)で示される湾曲面等の斜面であってもよい。内壁面92−2は傾斜角度が異なる複数の傾斜平面で形成されてもよく、或いは複数の曲率を持つ湾曲面で形成されてもよい。第1の反射部92の内壁面92−2が斜面を有する場合、この第1の反射部92の内壁面92−2は、第2の光R2を被検出部位Oに向けて反射させることができる。言い換えれば、この第1の反射部92の内壁面92−2の斜面は、発光部14の指向性を高めた第1の反射面と言うことができる。このような場合、被検出部位Oに到達する光量は、さらに増加する。また、図10(A)、図10(C)の頂面92−3は、例えば図10(B)に示されるように省略してもよい。なお、図10(A)〜図10(C)では、符号92−4で示す範囲が鏡面部として機能する。
【0063】
図11(A)、図11(B)は、図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)の第1の反射部92及び発光部14の平面視での外観例を示す。図11(A)の例では、(例えば、図5(A)の被検出部位Oの側の)平面視において、第1の反射部92の外周は、円を表し、円の直径は、例えば、直径200[μm]〜11000[μm]である。図11(A)の例において、第1の反射部92の壁部(92−2)は、発光部14を囲む(図5(A)、図10(A)参照)。また、第1の反射部92の外周は、平面視において、例えば図11(B)に示すように、四角形(狭義には、正方形)を表してもよい。また、図11(A)、図11(B)の例では、(例えば、図5(A)の被検出部位Oの側の)平面視において、発光部14の外周は、四角形(狭義には、正方形)を表し、正方形の1辺は、例えば、100[μm]〜10000[μm]である。また、発光部14の外周は、円形を表してもよい。
【0064】
第1の反射部92は、それ自身を金属で形成し、その表面を鏡面加工することで、反射構造(狭義には、鏡面反射構造)を有する。なお、第1の反射部92は、例えば樹脂で形成し、その表面に鏡面加工してもよい。具体的には、例えば、第1の反射部92の下地金属を準備し、その後、その表面を例えばめっきする。或いは、例えば、熱可塑性樹脂を第1の反射部92の金型(図示せず)に充填して成形し、その後、その表面に例えば金属膜を蒸着する。
【0065】
図11(A)、図11(B)の例では、(例えば、図5(A)の被検出部位Oの側の)平面視において、第1の反射部92は、発光部14を直接支持する領域以外の領域(支持部92−1の一部、壁部の内壁面92−2及び頂面92−3)が露出する。この露出する領域は、図10(A)の例では、鏡面部92−4として示されている。なお、図10(A)の例において、鏡面部92−4を表す点線は、第1の反射部92の内側に位置しているが、実際には、鏡面部92−4は、第1の反射部92の表面に形成されている。
【0066】
図10(A)、図10(B)、図10(C)の例において、鏡面部92−4は、高い反射率を有することが好ましい。鏡面部92−4の反射率は、例えば、80%〜90%以上である。また、鏡面部92−4は、内壁面92−2の斜面だけに形成することができる。鏡面部92−4が内壁面92−2の斜面だけでなく、支持部92−1にも形成される場合、発光部14の指向性は、さらに高くなる。
【0067】
図5(A)の例において、第2の光R2は、被検査体の内部に進み、被検出部位Oでの反射光R2’は、第2の反射部18に向かう。生体情報(脈拍数)は、被検出部位Oでの反射光R2’にも反映される。図5(A)の例において、第1の光R1は、被検査体の表面(皮膚表面)SAで部分的に反射される。被検出部位Oが被検査体の内部にある場合、生体情報(脈拍数)は、被検査体の表面SAでの反射光R1’’(直接反射光)に反映されない。
【0068】
第2の反射部18は、例えば樹脂で形成し、その表面(受光部16側の反射面)に鏡面加工することで、反射構造(狭義には、鏡面反射構造)を有する。言い換えれば、第2の反射部18は、光を拡散反射させずに、光を鏡面反射させることができる。第2の反射部18が鏡面反射構造を有する場合、この第2の反射部18は、第1の光R1の反射光R1’の反射角と異なる反射角を有する第1の光R1の反射光R1’’(直接反射光:無効光)を受光部16に反射させないこともできる(図5(A)参照)。このような場合、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。なお、図5(A)に示されるように、第1の光R1の反射光R1’は、被検査体の内部にある被検出部位Oが起点となるので、第1の光R1の反射光R1’の反射角(被検査体の表面SAに垂直な直線を基準にした反射角)は、概して小さい。一方、第1の光R1の反射光R1’’は、被検査体の表面SAが起点となるので、第1の光Rの反射光R1’’の反射角は、概して大きい。
【0069】
ところで、特許文献1の図16は、反射部131を開示し、特許文献1の段落[0046]、[0059]、[0077]によれば、反射部131は、拡散反射構造を有し、反射率を向上させることによって受光部12の効率を高める。しかしながら、本出願時において、当業者は、特許文献1の反射部131では、直接反射光(広義には、ノイズ)も受光部12に反射させてしまうことを認識していない。言い換えれば、本発明者らは、直接反射光に起因するノイズ成分を受光信号から低減させることによって受光部の効率を高めることを認識した。言い換えれば、本発明者らは、第2の反射部18が鏡面反射構造を有する場合、生体情報検出器の検出精度がさらに向上することを認識した。
【0070】
2. 生体情報測定装置
図12(A)、図12(B)は、図1(A)、図5(A)等の生体情報検出器を含む生体情報測定装置の外観例である。図12(A)に示されるように、例えば図1の生体情報検出器は、生体情報検出器を被検査体(ユーザー)の腕(狭義には、手首)に取り付け可能なリストバンド150をさらに含むことができる。図12(A)の例において、生体情報は、脈拍数であり、例えば「72」が示されている。また、生体情報検出器は、腕時計に組み込まれ、時刻(例えば、午前8時15分)が示されている。また、図12(B)に示されるように、腕時計の裏蓋に開口部が設けられ、開口部に例えば図1の接触部19が露出する。図12(B)の例において、第2の反射部18及び受光部16は、腕時計に組み込まれている。図12(B)の例において、第1の反射部92、発光部14、リストバンド150等は、省略されている。
【0071】
図13は、生体情報測定装置の構成例を示す。生体情報測定装置は、図1(A)、図5(A)等の生体情報検出器と、生体情報検出器の受光部16において生成される受光信号から生体情報を測定する生体情報測定部とを含む。図13に示すように、生体情報検出器は、発光部14と受光部16と発光部14の制御回路161とを有することができる。生体情報検出器は、受光部16の受光信号の増幅回路162をさらに有することができる。また、生体情報測定部は、受光部16の受光信号をA/D変換するA/D変換回路163と脈拍数を算出する脈拍数算出回路164とを有することができる。生体情報測定部は、脈拍数を表示する表示部165をさらに有することができる。
【0072】
生体情報検出器は、加速度検出部166を有することができ、生体情報測定部は、加速度検出部166の加速度信号をA/D変換するA/D変換回路167とデジタル信号を処理するデジタル信号処理回路168とをさらに有することができる。生体情報測定装置の構成例は、図13によって限定されない。図13の脈拍数算出回路164は、例えば生体情報検出器を組み込む電子機器のMPU(Micro Processing Unit)であってもよい。
【0073】
図13の制御回路161は、発光部14を駆動する。制御回路161は、例えば、定電流回路であり、所与の電圧(例えば、6[V])を保護抵抗を介して発光部14に供給し、発光部14に流れる電流を所与の値(例えば、2[mA])に保つ。なお、制御回路161は、消費電流を低減するために、発光部14を間欠的に(例えば、128[Hz]で)駆動することができる。制御回路161は、例えばマザーボードに形成され、制御回路161と発光部14との配線は、例えば、図6(A)、図6(B)の基板11及び接触部19に形成される。
【0074】
図13の増幅回路162は、受光部16において生成される受光信号(電流)から直流成分を除去し、交流成分だけを抽出し、その交流成分を増幅して、交流信号を生成することができる。増幅回路162は、例えばハイパスフィルターで所与の周波数以下の直流成分を除去し、例えばオペアンプで交流成分をバッファーする。なお、受光信号は、脈動成分及び体動成分を含む。増幅回路162又は制御回路161は、受光部16を例えば逆バイアスで動作させるための電源電圧を受光部16に供給することができる。発光部14が間欠的に駆動される場合、受光部16の電源も間欠的に供給され、また交流成分も間欠的に増幅される。増幅回路162は、例えばマザーボードに形成され、増幅回路162と受光部16との配線は、例えば、図5(A)、図5(B)の基板11に形成される。また、増幅回路162は、ハイパスフィルターの前段で受光信号を増幅する増幅器を有してもよい。増幅回路162が増幅器を有する場合、増幅器は、例えば、基板11に形成される。
【0075】
図13のA/D変換回路163は、増幅回路162において生成される交流信号をデジタル信号(第1のデジタル信号)に変換する。図16の加速度検出部166は、例えば3軸(X軸、Y軸及びZ軸)の加速度を検出して、加速度信号を生成する。体(腕)の動き、従って生体情報測定装置の動きは、加速度信号に反映される。図13のA/D変換回路167は、加速度検出部166において生成される加速度信号をデジタル信号(第2のデジタル信号)に変換する。
【0076】
図13のデジタル信号処理回路168は、第2のデジタル信号を用いて、第1のデジタル信号の体動成分を除去し又は低減させる。デジタル信号処理回路168は、例えば、FIRフィルター等の適応フィルターで構成することができる。デジタル信号処理回路168は、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を適応フィルターに入力し、ノイズが除去又は低減されたフィルター出力信号を生成する。
【0077】
図13の脈拍数算出回路164は、フィルター出力信号を例えば高速フーリエ変換(広義には、拡散フーリエ変換)によって周波数解析する。脈拍数算出回路164は、周波数解析の結果に基づき脈動成分を表す周波数を特定し、脈拍数を算出する。
【0078】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0079】
11 基板、 11A 第1の面、 11B 第2の面、 11−1 光透過膜、
14 発光部、 14A 第1の発光面、14B 第2の発光面、 16 受光部、
18 反射部(第2の反射部)、 18−1 境界、 19 接触部、
19A 接触面、 19B 対向面、 61,62,63,64 配線、
61−1,63−1,64−1 ボンディングワイヤー、
63−2,64−2 バンプ、 63−3,64−3 絶縁部材、
63−4,64−4 バネ(導電部材)、
61’,63’,64’,63’’,64’’ 接続パッド、 62’ 接続部、
92 反射部(第1の反射部)、 92−1 支持部、 92−2 内壁面、
92−3 頂面、 92−4 鏡面部、 93 接着剤、 150 リストバンド、
161 制御回路、 162 増幅回路、 163,167 A/D変換回路、
164 脈拍数算出回路、 165 表示部、 166 加速度検出部、
168 デジタル信号処理回路、 d1,d2 距離、 h1,h2 高さ、
O 被検出部位、 R1 第1の光、 R2 第2の光、
R1’,R2’ 反射光(有効光)、 R1’’ 直接反射光(無効光)、
SA 被検査体の表面、 t1,t2 厚さ、 δ1 隙間、 δ2 高さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の被検出部位に向かう光を発する発光部と、
前記発光部が発する光が前記被検出部位にて反射された、生体情報を有する光を受ける受光部と、
前記発光部が発する光の波長に対して透明な材料で構成され、前記被検査体との接触面と前記接触面と対向する対向面とを有する接触部と、を含み、
前記発光部は、前記対向面に実装されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項2】
請求項1において、
前記発光部への第1の配線は、前記対向面に配置され、
前記発光部は、前記第1の配線の表面に実装されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記発光部が発する光は、前記被検出部位に向かう第1の光及び前記被検出部位とは異なる方向に向かう第2の光を有し、
前記第2の光を前記被検出部位に反射させる第1の反射部を、さらに含むことを特徴とする生体情報検出器。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1の反射部は、前記対向面に固定されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の反射部は、絶縁部材を介して前記対向面に固定されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項6】
請求項2において、
前記発光部が発する光の波長に対して透明な材料で構成され、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とを有する基板を、さらに含み、
前記発光部への第2の配線は、前記第2の面に配置され、
前記第1の配線は、導電部材を介して前記第2の配線に電気的に接続されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項7】
請求項6において、
前記被検出部位からの前記生体情報を有する光を反射させて前記受光部に導く第2の反射部を、さらに含み、
前記受光部は、前記第1の面に配置され、
前記基板は、前記第2の反射部と前記接触部との間に配置されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の生体情報検出器と、
前記受光部において生成される受光信号から前記生体情報を測定する生体情報測定部と、を含み、
前記生体情報は、脈拍数であることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項1】
被検査体の被検出部位に向かう光を発する発光部と、
前記発光部が発する光が前記被検出部位にて反射された、生体情報を有する光を受ける受光部と、
前記発光部が発する光の波長に対して透明な材料で構成され、前記被検査体との接触面と前記接触面と対向する対向面とを有する接触部と、を含み、
前記発光部は、前記対向面に実装されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項2】
請求項1において、
前記発光部への第1の配線は、前記対向面に配置され、
前記発光部は、前記第1の配線の表面に実装されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記発光部が発する光は、前記被検出部位に向かう第1の光及び前記被検出部位とは異なる方向に向かう第2の光を有し、
前記第2の光を前記被検出部位に反射させる第1の反射部を、さらに含むことを特徴とする生体情報検出器。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1の反射部は、前記対向面に固定されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の反射部は、絶縁部材を介して前記対向面に固定されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項6】
請求項2において、
前記発光部が発する光の波長に対して透明な材料で構成され、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とを有する基板を、さらに含み、
前記発光部への第2の配線は、前記第2の面に配置され、
前記第1の配線は、導電部材を介して前記第2の配線に電気的に接続されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項7】
請求項6において、
前記被検出部位からの前記生体情報を有する光を反射させて前記受光部に導く第2の反射部を、さらに含み、
前記受光部は、前記第1の面に配置され、
前記基板は、前記第2の反射部と前記接触部との間に配置されることを特徴とする生体情報検出器。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の生体情報検出器と、
前記受光部において生成される受光信号から前記生体情報を測定する生体情報測定部と、を含み、
前記生体情報は、脈拍数であることを特徴とする生体情報測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−161039(P2011−161039A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27832(P2010−27832)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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