説明

生体情報測定装置

【課題】血液中から血糖値などの生体情報を測定する生体情報測定装置に関するもので、衛生的な生体情報測定装置を提供する。
【解決手段】センサ挿入口2を有する本体ケース1と、この本体ケース1内の前記センサ挿入口2に対応する部分に設けたセンサ接続部7と、このセンサ接続部7に接続した測定部とを備え、前記センサ挿入口2の前方に、液体吸引部12を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、血液中から血糖値などの生体情報を測定する生体情報測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種、生体情報測定装置の構成は、センサ挿入口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記センサ挿入口に対応する部分に設けたセンサ接続部と、このセンサ接続部に接続した測定部とを備えた構成となっていた(例えば下記特許文献1)。
【0003】
すなわち、血糖値センサを、センサ挿入口から本体ケース内に挿入して測定部に電気的に接続し、この測定部で血糖値を測定するようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/000114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例における課題は、血液が本体ケース内へ浸入してしまうことであった。
【0006】
すなわち、血糖値の測定においては、血糖値センサを、センサ挿入口から本体ケース内に挿入して測定部に電気的に接続し、この状態で、血糖値センサの点着部に血液を点着して、前記測定部で血糖値を測定する。前記血液の点着時には、たとえば、測定者が注射器を用いて、注射器中に保持した血液を点着部に点着させる時がある。
【0007】
この点着時に、誤ってピストンを強く押してしまうと、注射器からは大量の血液が点着部に対して射出されることとなり、この射出された大量の血液が、点着部から流れだして、血糖値センサの上面を伝ってセンサ挿入口まで到達し、このセンサ挿入口から本体ケース内へと浸入してしまうことがある。
【0008】
そして、血液が浸入した状態で本体ケースを放置してしまうと、衛生的に不適切な状態となってしまうのであった。
【0009】
そこで本発明は、衛生的な生体情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために本発明は、センサ挿入口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記センサ挿入口に対応する部分に設けたセンサ接続部と、このセンサ接続部に接続した測定部とを備え、前記センサ挿入口の前方に、液体吸引部を設けた構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明は、センサ挿入口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記センサ挿入口に対応する部分に設けたセンサ接続部と、このセンサ接続部に接続した測定部とを備え、前記センサ挿入口の前方に、液体吸引部を設けた構成としたものであるので、本体ケース内部への血液の浸入を防止できる。
【0012】
すなわち、本発明においては、血糖値センサの上面を伝ってセンサ挿入口へと流れてきた血液を、センサ挿入口の前方に設けた液体吸引部によって液体吸引部内へと吸い込むことができる、このため、血液がセンサ挿入口を通って本体ケース内に浸入することはなくなる。
【0013】
その結果として、衛生的な生体情報測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る生体情報測定装置の斜視図
【図2】同、制御ブロック図
【図3】同、要部断面図
【図4】同、要部断面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、1は本体ケースで、この本体ケース1の先端側には、センサ挿入口2が設けられ、また、この本体ケース1の上面で、センサ挿入口2側には操作部3が配置され、後方側には、表示部4が配置されている。
【0016】
すなわち、長板形状の血糖値センサ(生体情報測定センサの一例)5の後方に設けた接続端子6を、センサ挿入口2から、その後方のセンサ接続部7(図3)に挿入し、その状態で、注射器8を用いて血糖値センサ5の前方に設けた点着部9に血液を点着すれば、図2の測定部10で血糖値が測定され、図2の制御部11を介して、表示部4に血糖値が表示されるようになっている。
【0017】
図3は本実施形態の要部の断面図を示しており、上述したように、血糖値センサ(生体情報測定センサの一例)5の後方に設けた接続端子6を、センサ挿入口2から本体ケース1内のセンサ接続部7に挿入した状態を示している。この状態において、血糖値センサ5の接続端子6は、センサ接続部7に電気的、機械的に接続された状態となっており、このセンサ接続部7を介して、接続端子6は、図2の測定部10に電気的に接続されている。なお、前記操作部3を操作することにより、本体ケース1から血糖値センサ5を排出できる構成としている。
【0018】
また、本実施形態においては、センサ挿入口2の前方側に液体吸引部12を設けている。この液体吸引部12は、図3、図4に示すごとく、上下面が開口した中空の板状立方体で構成されており、その前側面と後側面を所定間隔(たとえば1ミリ)で対向させ、この間隙により液体通路13を形成している。
【0019】
さらに、液体吸引部12の上方には、中空の多面体により構成された液体浸入部14を設けている。この液体浸入部14と液体吸引部12は、液体通路13を介して連通した状態で一体化している。なお、液体浸入部14の前方側下面には、通気孔15を設けている。
【0020】
また、液体浸入部14と液体吸引部12は、透明部材によって構成しており、測定者が液体浸入部14と液体吸引部12の内部を観察できるものとなっている。
【0021】
図4は、本実施形態の要部を示す断面斜視図で、液体吸引部12と液体浸入部14の内部が見える状態としている。
【0022】
図4において、液体吸引部12の液体通路13は、その通路全体を(多孔質体の一例として)綿16で充填している。また、液体吸引部12の上端部は、その内部の綿16の上部を、液体浸入部14内にまで延長して設けており、液体浸入部14内に充填して設けた綿16aに接続している。
【0023】
一方、液体吸引部12の下端部は、血糖値センサ5の上面に対して、所定間隔(たとえば1ミリ)で対向配置させており、この液体吸引部12下端部の一端側から他端側が、血糖値センサ5の一端側から他端側を覆うように設けている。
【0024】
このため、図3に示すごとく、前記液体吸引部12下端部と血糖値センサ5とにより形成される間隙部の開口面積(液体吸引部12の開口面積)は、センサ挿入口2の開口面積よりも小さく形成されるものとなっている。
【0025】
以上の説明により、本実施形態の構成が理解された所で、以下、その作用について説明する。
【0026】
まず、図1に示すごとく、血糖値を測定する場合には、測定者は血糖値センサ5を、センサ挿入口2から本体ケース1内に挿入して測定部10に電気的に接続し、たとえば、測定者が注射器8を用いて血糖値センサ5の点着部9に血液を点着させる。この時、誤って注射器8のピストン17を強く押してしまうと、注射器8からは大量の血液が点着部9に対して射出されることとなる。そして、この射出された大量の血液は、点着部9から流れだし、血糖値センサ5の上面を伝ってセンサ挿入口2方向に流れてしまうことがある。
【0027】
この状態を図3を用いて説明する。図3において、血糖値センサ5の上面を伝ってセンサ挿入口2方向に流れた血液は、まず、センサ挿入口の前方に設けた液体吸引部12に到達する。この時、血液は、液体吸引部12の液体通路13に充填された綿16に接触することとなる。
【0028】
すると、多孔質体である綿16は、ただちに血液の吸引を開始する。この吸引された血液は、綿16の毛細管現象によって液体通路13に引き込まれていき、この液体通路13を通って液体浸入部14に到達する。なお、この液体浸入部14には、上述のごとく、通気孔15を設けているため、この通気孔15を通して液体浸入部14内の空気を排出することができる。従って、血液を液体浸入部14の綿16aに、十分に引き込むことができるものとなっている。
【0029】
すなわち、本体ケース1内に浸入しようとした血液は、浸入する前に、液体浸入部14内の綿16aに引き込まれることとなる。
【0030】
その結果として、本体ケース内への血液の浸入を防止することができるものとなる。
【0031】
さらに本実施形態においては、上述のごとく、液体浸入部14と液体吸引部12は、液体通路13を介して連通した状態で一体化して設けており、さらに、この一体化した液体浸入部14と液体吸引部12を、本体ケース1に対して着脱自在に設けている。
【0032】
このため、測定者が液体浸入部14と液体吸引部12の内部に血液を発見した時には、液体浸入部14と液体吸引部12を本体ケース1から取り外し、新たな液体浸入部14と液体吸引部12を本体ケース1に装着することができる。
【0033】
その結果として、本体ケース1の衛生状態を適切に保持しつつ、本体ケース内への血液の浸入を防止することができるものとなる。
【0034】
さらに本実施形態においては、液体浸入部14の容積を、液体通路13の容積に比べて十分に大きなものとしている。このため、本体ケース1内部に浸入する血液を十分に引き込むことができる。
【0035】
この点を今少し説明すると、たとえば、血液が本体ケース1内部に浸入し、センサ接続部7に到達してしまうと、センサ接続部7内部に設けられた接続受け端子(図示せず)に血液が付着することになる。そして、ひとたび接続受け端子(図示せず)に血液が付着してしまうと、センサ接続部7内部の清掃は非常に困難なものとなる。
【0036】
このため、本実施形態においては、液体浸入部14の容積を、液体通路13の容積に比べて十分に大きなものとし、この大型の液体浸入部14に血液を十分に引き込むことにより、本体ケース内への血液の浸入を防止するのである。
【0037】
さらに本実施形態においては、多孔質体である綿16、綿16aを、有色系(たとえば、薄い青色)で構成している。
【0038】
このため、血液以外の無色の液体が、本体ケース1の内部に浸入したとしても、血液の時と同様に、この液体を薄い青色をした綿16、綿16aが吸い上げるのであるが、無色の液体を吸い上げた綿16、綿16aは、薄い青色から濃い青色に変色することになる。
【0039】
その結果として、血液以外の無色の液体の浸入も、液体浸入部14おるいは液体吸引部12を通して測定者が目視にて検出できるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように本発明は、センサ挿入口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記センサ挿入口に対応する部分に設けたセンサ接続部と、このセンサ接続部に接続した測定部とを備え、前記センサ挿入口の前方に、液体吸引部を設けた構成としたものであるので、本体ケース内部への血液の浸入を防止できる。
【0041】
すなわち、本発明においては、血糖値センサの上面を伝ってセンサ挿入口へと流れてきた血液を、センサ挿入口の前方に設けた液体吸引部によって液体吸引部内へと吸い込むことができる、このため、血液がセンサ挿入口を通って本体ケース内に浸入することはなくなる。
【0042】
その結果として、衛生的な生体情報測定装置を提供することができる。
【0043】
したがって、たとえば、血液中から血糖値などの生体情報を測定する生体情報測定装置として、広く活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 本体ケース
2 センサ挿入口
3 操作部
4 表示部
5 血糖値センサ
6 接続端子
7 センサ接続部
8 注射器
9 点着部
10 測定部
11 制御部
12 液体吸引部
13 液体通路
14 液体浸入部
15 通気孔
16 綿
16a 綿
17 ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ挿入口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記センサ挿入口に対応する部分に設けたセンサ接続部と、このセンサ接続部に接続した測定部とを備え、
前記センサ挿入口の前方に、液体吸引部を設けた生体情報測定装置。
【請求項2】
本体ケース外のセンサ挿入口上方に、液体浸入部を設け、この液体浸入部と液体吸引部を液体通路を介して連通した請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
液体浸入部には、通気孔を設けた請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
液体吸引部の開口面積は、センサ挿入口の開口面積よりも小さくした請求項1から3のいずれか一つに記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
液体浸入部内には、多孔質体を設けた請求項2から4のいずれか一つに記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
多孔質体の一部を、液体吸引部まで延長した請求項5に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
多孔質体は、有色系とした請求項5または6に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
液体浸入部と液体吸引部を、一体化して設けるとともに、この一体化体を前記本体ケースに対して着脱自在に設けた請求項1から7のいずれか一つに記載の生体情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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