生体情報測定装置
【課題】活用効果の高い生体情報測定装置を提供する。
【解決手段】生体測定装置は、発光部18と、動脈血で吸収されながら生体組織で反射されて戻る脈動測定光を受光するよう測定対象に対し発光部と同一側に配置される受光部20と、受光出力に基づく脈波情報を記憶する記憶部24と、記憶された脈波情報を外部の処理部42に送信する近距離無線通信部28と、各構成に電力を供給する電源部30とを有する。外部の処理部42は、測定対象が多数のフィットネスクラブ室内に設置される。個人使用の場合の外部の処理部42は携帯電話や携帯音楽プレーヤである。処理部42は測定と測定結果の送信を生体測定装置に指示する。生体測定装置は、装置IDと測定対象者IDを送信する。生体測定装置は、水泳中でも使用可能である。生体測定装置は加速度センサ25を有し、測定条件情報と測定情報補正に用いる。受光出力が測定対象装着検知に利用される。
【解決手段】生体測定装置は、発光部18と、動脈血で吸収されながら生体組織で反射されて戻る脈動測定光を受光するよう測定対象に対し発光部と同一側に配置される受光部20と、受光出力に基づく脈波情報を記憶する記憶部24と、記憶された脈波情報を外部の処理部42に送信する近距離無線通信部28と、各構成に電力を供給する電源部30とを有する。外部の処理部42は、測定対象が多数のフィットネスクラブ室内に設置される。個人使用の場合の外部の処理部42は携帯電話や携帯音楽プレーヤである。処理部42は測定と測定結果の送信を生体測定装置に指示する。生体測定装置は、装置IDと測定対象者IDを送信する。生体測定装置は、水泳中でも使用可能である。生体測定装置は加速度センサ25を有し、測定条件情報と測定情報補正に用いる。受光出力が測定対象装着検知に利用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の健康管理等に有用な生体情報としては、例えば脈波、酸素飽和度、脈拍、体温等があり、これらのための種々の生体測定装置が提案されている。また、生体情報の活用に関しては、運動中の脈拍を測定してこれを運動者にフィードバックしたり、体力の判定に用いたりすることも提案されている。
【0003】
また、生体情報測定システムとしては、測定装置側端末と、携帯電話と、処理センターとを備えたシステムが提案されている。この提案によれば、測定装置側端末は、生体情報を測定する測定部、携帯電話を特定するための電話番号を携帯電話から取得するアダプタ部、および生体情報と電話番号とを互いに関連させて出力する送受信手段を有する。また、携帯電話は、利用者自身を特定するための電話番号を記憶している。さらに、処理センターは、携帯電話を利用する利用者の氏名等と電話番号とが関連付けられたデータベースを記憶するとともに、測定装置側端末からの生体情報を利用者毎に記憶する記憶手段、および電話番号とデータベースとに基づいて携帯電話の利用者を特定する処理手段を有する。(特許文献1)
【0004】
しかしながら、測定される生体情報の活用場面については、検討すべき課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開番号WO2002/062222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記に鑑み、活用効果の高い生体情報測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本発明は、測定光を生体内部に射出する発光部と、発光部から射出して生体の動脈血による吸収に受けた脈動測定光を受光する受光部と、受光部の受光出力に基づく脈波情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された脈波情報を外部の処理部に送信する近距離無線通信部と、これら各構成に電力を供給する電源部とを有する生体測定装置を提供する。
【0008】
上記の構成によって、動脈血の吸収により脈動する受光出力に基づく脈波情報測定出力を、近距離無線通信を介した外部処理装置との適宜の連携により活用することが可能となる。上記の生体測定装置は、一例として、例えば指輪として構成することで指を測定対象とすることができる。また他の例として、例えば音楽等の出力装置であるイヤホンやヘッドホンに関連して構成することで耳を測定対象とすることができる。また、外部の処理部の好適な例の一つは、例えば携帯電話であり、本発明の生体測定装置は携帯電話の備わっている近距離通信機能を活用して、携帯電話のアクセサリとして機能し、生体情報測定を携帯電話のアプリケーションの一つとして活用することが可能となる。他の好適な例として、本発明の生体測定装置は、例えばフィットネスセンターに設置された処理部と好適に連携することができる。
【0009】
本発明の具体的な特徴によれば、受光部は、発光部から射出して生体の動脈血による吸収に受けるとともに生体組織によって生体外部に反射されて戻る脈動測定光を受光するよう測定対象に対し発光部と同一側に配置される。これによって、発光部と受光部の相対位置を高精度で容易且つコンパクトに配置することができる。
【0010】
本発明の他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、生体測定に関する外部の処理部からの指示情報を受信する。これによって、外部の処理部からの集中的な生体測定が可能となる。また、他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、脈波情報の送信に関する外部の処理部からの指示情報を受信する。これによって、外部の処理部からの集中的な脈波信号交信管理が可能となるとともに、外部の処理装置の他の機能との干渉を防止することもできる。さらに他の具体的な特徴によれば、外部の処理部が脈波情報を受信できない状態にあるとき記憶部に脈波情報を維持する。これによって、外部の処理装置との間のフレキシブルな連携が可能となる。
【0011】
本発明の他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、生体測定装置を特定する情報を外部の処理部に送信する。これによって、生体測定装置と外部の処理部との組合せをフレキシブルにすることができる。また、他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、生体測定の対象者を特定する情報を外部の処理部に送信する。これによって、複数人の脈波情報の処理および管理が可能となる。さらに、生体測定装置の特定と生体測定の対象者の特定を組み合わせれば、複数の生体測定装置の機差にかかわらず、どの生体測定装置を使用しても、同一人の脈波情報を継続管理することができる。
【0012】
本発明の他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、生体測定の時間に関する情報を外部の処理部に送信する。これによって、外部の処理部における脈波情情報の履歴管理が可能となり、同一人の脈波情報の長期変化を診断することができる。このようにして、近距離無線通信を介した生体測定装置と外部の処理部との好適な連携が図られる。
【0013】
本発明の他の具体的な特徴によれば、生体測定装置に防水構造が施されている。このように、防水構造が施された生体測定装置を、近距離無線通信を介した外部の処理部と連携させることにより、生体測定装置の使用範囲が広がり、例えば水泳中の生体情報測定が可能となるとともに、装着中の汚染の洗浄等にも耐えるシステム構築が実現できる。より具体的な特徴によれば、生体測定装置の電源部が蓄電池を有するとともに、蓄電池に充電を行うための無接点充電誘導部が設けられ、耐水使用の好適な構成を提供している。
【0014】
本発明の他の具体的な特徴によれば、生体測定装置に加速度センサが設けられ、近距離無線通信部は、生体測定に関する加速度情報を外部の処理部に送信する。これにより、例えば測定が安静状態で行われたのか運動状態で行われたかの情報を測定情報に付加し、より適切な判断を行うことができる。また、より具体的な特徴によれば、加速度センサの加速度情報は、運動により生じる可能性がある測定誤差を補正するため、生体情報測定装置内部においても利用される。
【0015】
本発明の他の具体的な特徴によれば、外部の処理部が機能していない場合においても独立に機能可能である。この場合、記憶部が測定結果を維持し、外部の処理装置が機能しているときに測定を送信することができる。これによって、外部の処理部の状態に影響されない測定が可能となる。
【0016】
本発明の他の具体的な特徴によれば、生体情報測定装置には太陽電池が設けられ、太陽電池の出力が所定以上あるときは電源部の電源が不充分であるときの自動電源オフが保留される。これによって、測定機会の増加が図られる。
【0017】
本発明の他の具体的な特徴によれば、受光部の出力に基づき測定対象の生体装着の有無が検知される。これによって、他の格別の手段を追加することなく体情報測定装置の生体への確実な装着が確認できる。なお、より具体的には、装着有無の検知に電力を消耗しないよう、測定中よりは小電力消費状態で受光部の出力を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記のように、本発明によれば、外部の処理部と近距離通信する生体測定装置によって活用効果の高い生体情報測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例1を示すブロック図である。(実施例1)
【図2】図1の第1実施例におけるセンサ制御部の動作を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS6の詳細を示すフローチャートである。
【図4】図2のステップS30の詳細を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例2を示すブロック図である。(実施例2)
【図6】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例3を示すブロック図である。(実施例3)
【図7】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例4を示すブロック図である。(実施例4)
【図8】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例5を示すブロック図である。(実施例5)
【図9】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例6を示すブロック図である。(実施例6)
【図10】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例7を示すブロック図である。(実施例7)
【図11】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例8を示すブロック図である。(実施例8)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例1を示すブロック図である。実施例1は走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、その最小単位として、第1ランナーの指に装着可能な第1ランナー指輪センサブロック2、走行中の第1ランナーに伴走する車両への搭載や第1ランナーが通過する給水ポイントまたはトラックのコーナーなどの拠点への設置に適した生体情報の処理ブロック4(以下、「伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4」)、および第1ランナー指輪センサブロック2の出力を較正するための較正センサブロック6を含む。第1ランナー指輪センサブロック2と伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4は、電波8により近距離無線通信が可能であるともに、較正センサブロック6はケーブル10により伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に接続可能である。
【0021】
伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4は、さらに複数のランナーの生体情報処理が可能であり、例えば第2ランナー指輪センサブロック12とも近距離無線通信を行う。第2ランナー指輪センサブロック12の構成は第1ランナー指輪センサブロック2と同様なので、図1では内部構成の図示を省略している。また、図1では、簡単のため、第1ランナー指輪センサフロック2および第2ランナー指輪センサブロック12のみ図示しているが、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4は他の多数のランナーの指にそれぞれはめられた同様の構成のランナー指輪センサブロックと交信し、各ランナーの生体情報を把握可能となっている。
【0022】
ランナー指輪センサブロックの較正はランナー毎に行い、例えば、第1ランナー指輪センサブロック2が測定対象の第1ランナーの指に装着されるとともに較正センサブロック6が同一の第1ランナーの指を挟むよう装着されて同時に測定を行う。第2ランナー指輪センサブロック12他の較正も同様にして第2ランナー他を対象にそれぞれ行われる。
【0023】
以下、第1ランナー指輪センサブロック2を例にとり、ランナー指輪センサブロックの構成について説明する。第1ランナー指輪センサブロック2は、全体として指輪程度の大きさと重量のブロックにまとめられており、指14の周囲にはまる指輪部14により第1ランナー指輪センサブロック2を指14にはめたとき、発光部18および受光部20が指14の手の甲側の同一側面に接するよう構成される。発光部18は受光部20の周囲に同心状に設けられた複数の発光ダイオードを含み、受光部20はこれら複数の発光ダイオードから射出して指14内の血液による吸収を受けながら指組織により反射してくる光を共通に受光する。この構成は、発光部18と受光部20の相対位置を高精度で容易且つコンパクトに配置するのに適する。また、この構成により、指14の片側から入射して反対側に抜けることができないような波長の光を測定に用いることも可能となる。
【0024】
発光部18および受光部20を、脈波および酸素飽和度の測定が可能なパルスオキシメータとして構成する場合、発光部は受光部20を中心に反対側に設けられた少なくとも2対の発光ダイオードを含み、そのうちの一対は、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度が近似する波長に出力ピークを持つとともに、他の一対は酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度が異なる波長に出力ピークを持つ。このように波長の異なる発光ダイオードを用いるときは、発光タイミングを時分割し、全ての発光波長に受光感度を持つフォトダイオード等を用いた共通の受光部20により、それぞれの波長の光を分離して受光する。同じ波長の発光ダイオードに関しては、これらを同時に発光させてもよいが、その位置によって測定条件が異なるので、最適の条件の発光ダイオードを見つけるために時分割発光させてもよい。そして、最適の条件の発光ダイオードの出力に基づいて測定を行うようにする。
【0025】
なお、酸素飽和度の測定を伴わない脈波および脈拍の測定を行う場合には、例えば発光部として青色発光ダイオード等を用いてもよい。また、使用波長の自由度を活用して、出力波長の異なる複数の発光ダイオードを時分割で発光させ、個人差に応じた最適の波長の発光ダイオードを見つけ、その出力により測定を行うよう構成してもよい。発光部18および受光部20の構成は以上のものに限らないが、ランナーなど動きの激しい対象を測定するためには上記のような種々の工夫を行うことができる。
【0026】
第1ランナー指輪センサブロック全体を制御するセンサ制御部22は、発光部18の発光タイミングを制御するとともに受光部20の出力を受けてこれを処理し、脈波、脈拍、酸素飽和度などの生体情報として不揮発記憶部24に記憶させる。加速度センサ26は、第1ランナー指輪センサブロック2にかかる加速度を検知するもので、その主な機能は二つある。第一の機能は、第1ランナーの状態を検知するもので、第1ランナーが安静状態にあるか走行状態にあるかの識別および走行状態についても緩速走行か疾走かの識別などを行う。そしてこれらの識別情報を生体情報に付加する。
【0027】
第二の機能は、ランニングによる振動が測定に与える悪影響を除去するもので、センサ制御部22は、加速度センサ25が検知した加速度情報に基づき、受光部20からの測定情報を補正するとともに、過度の加速度によって測定情報の信頼性が低下したときはその状態下での受光部20の出力を測定情報から破棄する。不揮発記憶部24に記憶される生体情報はこのような加速度センサ25からの情報も加味して処理されたものである。また、センサ制御部22は時計部26を有し、不揮発記憶部に記憶させる生体情報に、生体情報取得時のタイムスタンプを付加する。なお、不揮発記憶部24は、上記のような生体情報の記憶とともに、センサ制御部22の動作プログラムおよび動作に必要な一時データの記憶を行う。
【0028】
第1ランナー指輪センサブロック2の近距離通信部28は、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4との近距離通信が可能となったとき、不揮発記憶部24から生体情報を読み出してこれを送信する。センサ電源部30は蓄電池32を有し、第1ランナー指輪センサブロック2の各部にそれぞれ所定電圧の電力を供給する。USB等からなる接点部34は、測定開始前または後において、第1ランナーの指14から外された第1ランナー指輪センサブロック2を伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に接続するためのものである。
【0029】
接点部34の接続によって第1ランナー指輪センサブロック2は接点36を介して有線で伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4と交信可能となり、連携のための種々の情報交換を行うとともに、近距離通信部28によって送信できなかった生体情報がある場合は不揮発記憶部24からこれを読み出して一括送信する。また、接点部34の接続により、接点部34の接点38を介して伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4からセンサ電源部30の蓄電池32への充電が行われる。このようにして第1ランナー指輪センサブロック2を充電のために伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に接続することにより、不揮発記憶部24に残存する生体情報を漏れなく伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に集結することができる。太陽電池40は、第1ランナー指輪センサブロック2が伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4から分離されて第1ランナーの指14にはめられた状態において、例えば走行中などに蓄電池32に補助充電を行うためのものである。
【0030】
以上のような第1ランナー指輪センサブロック2の機能は、操作部41に含まれる電源スイッチのオンによって動作開始し、オフによって停止する。また、センサ制御部22は受光部20の出力が所定時間以上変化しないことを検出することによって第1ランナー指輪センサブロック2の機能を自動停止させて蓄電池32の無用な消耗を防止する。自動停止した機能は、操作部41の電源スイッチオンによって復活させることができる。表示部39は、第1ランナー指輪センサブロック2の動作状態表示および指14への正常装着表示など最低限の情報表示を行う。
【0031】
伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4の処置制御部42は、近距離通信部44によって受信される電波8または接点部46の接点48を介して有線で入力される第1ランナー指輪センサブロック2からの生体情報を処理し、生体情報に基づく第1ランナーの状態判断および表示のための処理を行う。この状態判断は予め登録されている典型的な脈波パターンとの比較等によって自動的に行われる。処理結果は、表示部50またはスピーカ52によって表示またはアナウンスされる。また、処理結果は生体情報の履歴として記憶部54に記憶される。この生体情報履歴は、生体情報取得のタイムスタンプおよびランナーのIDに基づき、個人別に時間順に記憶される。また、記憶部54に記憶された生体情報は、処理制御部42によって個人別および全ランナー平均にて統計処理され、表示部50またはスピーカ52によって表示またはアナウンスされる。なお、記憶部54は、上記のような生体情報の記憶とともに、処理制御部42の動作プログラムおよび動作に必要な一時データの記憶を行う。
【0032】
操作部56は、上記の種々の処理や表示/アナウンスの指示入力または種々の設定入力を行う。また、処理電源部58は大容量蓄電池または電力線による一次電源を有し、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4の各部にそれぞれ所定電圧の電力を供給する。さらに処理電源部58は、接点62を介して、接点部46に接続された第1ランナー指輪センサブロック2に充電電力を供給するとともに、接点部64を介してケーブル10にて接続された較正センサブロック6に電力を供給する。
【0033】
較正センサブロック6は、構成制御部66によって制御されており、較正の際は、既に概説したように 第1ランナー指輪センサブロック2を測定対象の第1ランナーの指14に装着するとともに較正センサブロック6の発光部68および受光部70の間に第1ランナーの他の指72を挟み、処理制御部42の統括の下に、電波8およびケーブル10を介したセンサ制御部22と較正制御部66の連携によって、同時に測定を行う。この較正は、例えば第1ランナーを伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4近傍に着席させて行う。そして、較正センサブロック6の測定結果を基準に第1ランナー指輪センサブロック2の測定結果との比較により較正データを記憶部54または不揮発記憶部24に記憶させる。較正センサブロック6の記憶部74は、較正制御部66の動作プログラムおよび動作に必要な一時データの記憶を行う。また、較正電源部76は、ケーブル10に接続される接点78を介し、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4の一次電源60から給電を受けて、較正センサブロック6の各部にそれぞれ所定電圧の電力を供給する。
【0034】
実施例1では、測定対象をランナーとして説明しているが、実施例1の構成は対象をランナーに限るものではなく、フィットネスクラブやスポーツジムやなど多数の人が種々の運動を行っている場所における各人の生体情報の取得、分析、統計化に有益なものである。この場合、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4は拠点としてのスポーツジムやアスレチックセンターのトレーニング室内に設置されることになる。
【0035】
図2は、図1の第1実施例におけるセンサ制御部22の動作を示すフローチャートである。フローは操作部41の電源スイッチのオンによってスタートし、ステップS2で表示部39に電源オン状態の表示を指示する。そしてステップS4で蓄電池32の充電が充分かどうかチェックし、充分であればステップS6のID処理に移行して第1ランナー指輪センサブロック2のIDや第1ランナーの個人IDの登録などに関する処理を行う。その詳細は後述する。
【0036】
ステップS6のID処理が完了すると、ステップS8で電源オンから所定時間が経過したかどうかチェックし、経過がなければステップS10で発光部18の間欠予備発光を指示してステップS12に移行する。ステップS12では、受光部S20の出力に基づき第1ランナー指輪センサブロック2が指14に装着されたかどうかチェックする。装着が検知されなければステップS14に移行し、表示部39に装着案内表示を指示してステップS8に戻る。以下、ステップS8で所定時間が経過するかステップS12で指への装着が検知されるまでステップS8からステップS14を繰り返し、指装着を待つ。このようにして測定のための発光部18と受光部20が指装着有無のチェックに兼用される。また、指装着検知のための発光部18の発光は測定時と異なる間欠発光として消費電力を抑える。
【0037】
一方、ステップS12で受光出力により指への装着が検知されるとステップS16に移行し、表示部39に装着状態の表示を指示してステップS18に移行する。ステップS18では、指への装着が検知されてから所定時間が経過したかどうかがチェックされ、経過がなければステップS20に進んで操作部41により測定開始操作が行われたかどうかチェックする。そして測定開始操作が検知されなければステップS18に戻り、所定時間が経過しない限りステップS18とステップS20を繰り返して測定開始操作を待つ。
【0038】
ステップS20で測定開始操作が検知されるとステップS22に移行し、発光部18の複数のLEDの時分割発光に基づく受光部20の出力をサンプリングする。そしてステップS24に進み、サンプリング時点における加速度センサ25の出力をチェックし、加速度が検知されているかどうかチェックする。加速度検知があればステップS26に移行して走行状態であることおよび緩速走行から疾走までの走行状態の程度を判定するとともにステップS28で検知した加速度自体も記憶してステップS30に進む。一方ステップS24で加速度の検知がなければステップS32に移行して安静状態であると判定してステップS30に移行する。ステップS30では、ステップS22でサンプリングされた出力およびステップS24で検知された加速度に基づいて測定処理を行うとともに測定結果の送信処理を行う。その詳細は後述する。
【0039】
ステップS30の測定/送信処理が終了するとステップS34に進み、蓄電池32の充電が充分かどうかチェックし、充分であればステップS36に進んで操作部41による電源スイッチのオフ操作が行われたかどうかチェックする。一方ステップS34で蓄電池の充電が不充分であると判断されたときはステップS38に移行し、測定を維持する上で充分な出力が太陽電池40から得られているかチェックし、出力が充分であればステップS36のオフ操作チェックに移行する。いずれの場合も、ステップS36でオフ操作が検知されなければステップS22に戻る。
【0040】
以下、ステップS36においてオフ操作が検知されるまで、ステップS22からステップS38を繰り返して、測定を継続する。ここで、ステップS22におけるサンプリング数は時分割して発光しているそれぞれのLEDの受光出力について1回でもよいが、複数回のサンプリングをまとめて行ってもよい。後者の場合は、脈波形状が認識できる程度のサンプリングをまとめて行うよう構成してもよい。これについては、ステップS22からステップS38に割り振る時間と脈波測定および加速度検知の分解能によって適宜決定することができる。またステップの構成も同趣旨の機能を達成するために適宜変更が可能である。
【0041】
これに対し、ステップS36でオフ操作が検知された時は、直ちにフローを終了する。フローの終了によって、第1ランナー指輪センサブロック2の電源はオフされる。このとき、第1ランナー指輪センサブロック2に未送信の測定データが残っていても、不揮発記憶部24が電力消費なしで測定データ保持し、次の送信機会を待つ。また、ステップS38で太陽電池出力が不充分であると判断された時も直ちにフローを終了して第1ランナー指輪センサブロック2の電源をオフする。また、ステップS4で蓄電池の充電が不充分であると判断されたときはステップS40に移行し、表示部39に充電の必要性を案内する表示をする。さらに、ステップS42に進んで、表示部39に強制電源オフを予告する表示を指示し、フローを終了する。また、ステップS8で所定時間の経過が検知されたとき、またはステップS18で所定時間の経過が検知されたときはステップS42に移行し、同様に強制電源オフを予告する表示を指示してフローを終了する。
【0042】
図3は、図2のステップS6におけるID処理の詳細を示すフローチャートであり、フローがスタートするとまずステップS52において第1ランナー指輪センサブロック2のIDが伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に登録済かどうかチェックする。未登録であればステップS54に移行し、表示部39にセンサID未登録である旨の表示を行う指示をするとともにステップS56で伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4と交信可能かどうかチェックする。そして交信可能であればステップS58に進み、センサIDの送信および登録完了確認信号手続きなどを含むセンサID登録処理を行う。ステップS58では交信途絶や致命的な誤操作など不良等何らかのトラブルで登録がうまくいかなかった場合でもフローをロックすることなくステップSでステップS60に移行し、センサIDの登録が完了したかどうかチェックする。そして完了が確認されるとステップS62に移行する。一方、ステップS52で第1ランナー指輪センサブロック2のIDが伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に既に登録済であることが確認されたときは、直ちにステップS62に移行する。
【0043】
ステップS62では、第1ランナー指輪センサブロック2を用いて較正した第1ランナーの較正データが個人IDとともに伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に登録済かどうかチェックする。未登録であればステップS64に移行し、表示部39に個人ID未登録である旨の表示を行う指示をするとともにステップS66で伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4と交信可能かどうかチェックする。そして交信可能であればステップS68に進み、較正/個人ID登録処理を行う。この較正/個人ID登録処理は、第1ランナー指輪センサブロック2を用いた第1ランナーについての較正処理および個人IDを付した較正データの送信および登録完了確認信号手続きなどを含むものである。ステップS58と同様にして、ステップS68でも何らかのトラブルで登録がうまくいかなかった場合でもフローをロックすることなくステップSでステップS70に移行し、較正の完了および較正データを伴う個人IDの登録が完了したかどうかチェックする。そして完了が確認されるとステップS72に移行する。一方、ステップS62において、第1ランナー指輪センサブロック2を用いて較正した第1ランナーの較正データが個人IDとともに伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に登録済であることが確認されたときは、直ちにステップS72に移行する。
【0044】
ステップS72に至ったということは、センサIDおよび個人IDとその個人についてそのセンサで行った較正データ登録済であることを意味するので、センサIDと個人IDの指定に基づき、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4から較正データを受信する。そして受信した較正データはステップS74で吹きはつき億部24に記憶される。これによって、バラツキの可能性のあるどのセンサを用いて測定したとしても、同一個人IDで特定される個人に関しバラツキが較正された測定データが伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に送信されることになる。ステップS76では、このような環境化での測定で得られる、個人IDおよびタイムスタンプ付の較正済測定データを送信する準備手順をセットしてフローを終了する。
【0045】
図4は、図2のステップS30における測定/送信処理の詳細を示すフローチャートであり、フローがスタートするとまずステップS82において、時分割発光の各LEDを光源とする最新のサンプリング受光出力を仮記憶し、ステップS84で累積のサンプリング数が所定数の達したかどうかチェックする。この所定サンプリング数は、脈波形状を判断するに充分な数とする。ステップSでサンプリング数が所定値に到達したことが確認されるとステップS86に進み、時分割発光の各LEDを光源とする脈波をそれぞれ評価する処理を行う。この評価は、出力の絶対的な大きさおよびS/Nに基づいて行う。そしてこの評価に基づき、ステップS88で最適のLEDを光源とする受光出力を選択し、ステップS90で選択したLED出力群を脈波情報として不揮発記憶部24に正式記憶する。
【0046】
次いで、ステップS92において正式記憶したサンプリング出力中に通常ありえない異常値があるかどうかチェックする。これがないことが確認されるとステップS94でサンプリング出力が通常ありえない不連続変化を示しているかどうかチェックし、不連続変化があればステップS96に移行する。また、ステップS92で個別異常値が検知されたときは直接ステップS96に移行する。ステップS96では、これらの異常値または不連続性の原因として予め知られている相関を持つパターンの加速度が記憶されているかどうかをチェックし、該当があればステップS98に進んで、加速度の相関から本来あるべき測定値を推定して異常値の補正または不連続性の補正を行ってステップS100に移行する。一方、ステップS96で相関加速度の記憶が検知されなかったときは直接ステップS100に移行する。
【0047】
ステップS100では、以上のような補正を行った後の出力(補正を行わなかった場合も含む)がなお所定範囲外に逸脱しているかどうかチェックし、該当すればステップS102に進んでその出力を破棄してステップS104に移行する。一方、ステップS100で補正後の出力が所定範囲外にあることが検知されない場合は直接ステップS104に移行する。また、ステップS94で不連続変化が検知されなかったときは直接ステップS104に移行する。ステップS104では、以上のようにして処理された所定サンプリング数の受光出力(これを「ユニット脈波情報」と称することとする)を新規に記憶する。また、ステップS106では、このユニット脈波情報の記憶に走行状態または安定状態の判定情報を付加してステップS108に進む。なお、ステップS84でサンプリング数が所定値に達したことが検知されない場合は、まだユニット脈波情報を形成するには出力のサンプリング数が不足しているので直接ステップS108に進む。
【0048】
ステップS108では、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4と交信可能かどうかをチェックし、可能であればステップS110で未送信のユニット脈波情報の有無をチェックする。そして未送信脈波ユニット情報があればステップ112に進んでこれを一括自動送信してフローを終了する。一方、ステップS108で交信可が検知できないとき、またはステップS110で未送信ユニット脈波情報がないと判断されたときは直ちにフローを終了する。
【実施例2】
【0049】
図5は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例2を示すブロック図である。実施例2も、実施例1と同様にして走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、ランナーの指に装着可能なランナー指輪センサブロック102、およびこれと近距離無線通信可能な携帯電話104を主な構成要素とする。携帯電話104は、ランナー指輪センサブロック102から受信した生体情報の処理ブロックとしても機能するので、以下、「携帯電話/処理ブロック104」と称する。実施例2の生体情報測定システムは、はさらに、携帯電話/処理ブロック104の蓄電池160に充電を行うための電力線充電器ブロック106を含む。この電力線充電器ブロック106は通常の携帯電話の充電器と同様の構成であって、ACアダプタ108を介して交流電力線の電力を所定電圧の直流に変換して充電用接点部110から出力するものであるが、ランナー指輪センサブロック102の蓄電池32の充電器としても兼用される。
【0050】
実施例2の構成の大半は実施例1と同様であり、実施例1と共通する部分については共通の番号を付して説明を省略するとともに、異なるところを中心に説明する。実施例2のランナー指輪センサブロック102は、有線交信や充電のために携帯電話/処理ブロック104に接続されることはないが、携帯電話/処理ブロック104の充電用接点部112と接点形状、定格電流および定格電圧が同規格の充電用接点部114を有しており、携帯電話/処理ブロック104における処理電源部116の蓄電池118を充電する場合と同様にして、充電用接点部114を電力線充電器ブロック106の充電用接点部110に接続することにより蓄電池32を充電することができる。
【0051】
携帯電話/処理ブロック104は、通常の携帯電話に必要な機能を提供するための携帯電話機能部120および電話回線通信部122を有する。また、通話のためにスピーカ52とともにマイク124を有する。以上の構成によって、実施例2におけるランナー指輪センサブロック102からに携帯電話/処理ブロック104への生体情報の送信は、電波8による近距離通信部28と近距離通信部44の通信により行われる。なお、携帯電話/処理ブロック104が受信し処理した生体情報は、携帯電話機能部120と電話回線通信部122によって例えばかかりつけの医師に適宜送信することができる。またこの送信は生体情報取得時に自動的に行われるよう設定しておくこともできる。
【0052】
実施例2のランナー指輪センサブロックには、実施例1と同様にして操作部41が設けられているが、主に電源のオンオフ操作を担当し、生体情報取得のための種々の操作は、携帯電話/処理ブロック104の操作部56の操作によって集中的に行われる。また、操作に伴う生体情報取得に関する種々の表示も主に携帯電話/処理ブロック104の表示部50が担当し、ランナー指輪センサブロック102の表示部39はオンオフ状態の表示等限られた表示のみを担当する。これによって、ランナー指輪センサブロック102はアプリケーションの一つとして生体情報取得機能を持った携帯電話のセンサアクセサリとして機能し、生体情報取得に関する操作および表示の大半は携帯電話/処理ブロック104側で集中管理される。従って、生体情報の取得および送信の指示も携帯電話/処理ブロック104側から行われる。
【0053】
実施例2のセンタ制御部122の機能の大半は、図2に示した実施例1のフローチャートに基づいて実行することができる。異なる部分について説明すると、まず、実施例2では、ランナー指輪センサブロックが携帯電話/処理ブロックの所有者専用のものであった場合、ステップS6におけるID処理を省略することができる。但し、実施例1と同様にして複数のランナーにそれぞれランナー指輪センサブロックが装着され、コーチ等が携帯電話/処理ブロック104を保持して伴走する場合等では、ステップS6のID処理を活用することができる。
【0054】
次に、実施例2では、図2のフローチャートのステップS14、S16、S40、S42等における「表示」は、それぞれ「携帯電話/処理ブロック104の表示部50への表示指示」と読み替えて理解するものとする。さらに、ステップS20における「測定開始操作?」は、「携帯電話/処理ブロック104からの測定開始信号受信?」と読み替えて理解するものとする。
【0055】
また、図2のステップS30の測定/送信処理の詳細を示す図4のフローチャートについても、実施例2では、若干の変更を要する。実施例2のランナー指輪センサブロック102は、帯電話/処理ブロック104からの指示信号に基づき、生体情報送信に関して一括送信モードおよびリアルタイム送信モードのいずれかのモードが設定される。そして、一括送信モードが設定されている場合、図4のステップS108は「携帯電話/処理ブロック104からの送信要求あり?」と読替えて理解するものとする。一方、リアルタイム送信モードが設定されている場合、ステップS108は「携帯電話待受け中?」と読み替えるものとする。つまり、リアルタイム送信モードでは、携帯電話が待受け中で他の機能が実行中でない限り、ユニット脈波情報が作成され次第送信が行われ、通話中など携帯電話が他の機能を実行するとその間、送信が保留待機されることになる。
【実施例3】
【0056】
図6は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例3を示すブロック図である。実施例3も、実施例1および実施例2と同様にして走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、ランナーの指に装着可能な防水型ランナー指輪センサブロック202、およびこれと近距離無線通信可能なランナー腕時計204を主な構成要素とする。ランナー腕時計204は、防水型ランナー指輪センサブロック102から受信した生体情報の処理ブロックとしても機能するので、以下、「ランナー腕時計/処理ブロック204」と称する。実施例3の生体情報測定システムは、はさらに、ランナー指輪センサブロック202の蓄電池32の充電を行うための無接点充電器ブロック206を含む。
【0057】
実施例3の構成の大半は実施例2と同様であり、実施例2と共通する部分については共通の番号を付して説明を省略する。なお、ランナー腕時計/処理ブロック204は、データ通信専用の電話回線通信部を有しており、実施例2と同様にして、生体情報データをかかりつけの医師に適宜送信することができる。実施例3が実施例2と異なるのは、防水型ランナー指輪センサブロック202が無接点充電誘導部208を有し、これが無接点充電器ブロックの無接点充電磁誘導部210と近接させられることにより、電磁誘導で充電電圧を発生することである。無接点充電器ブロック206はこの充電のために無接点充電誘導部210に電力を供給する一次電源212を有する。この一次電源は大容量電池であってもよいし、実施例2におけるような電力線に接続されるACアダプタであってもよい。なお、ランナー腕時計/処理ブロック204の処理電源部214は交換式の乾電池216を含む。この乾電池216は、外部から充電可能な蓄電池に置き換えられてもよい。
【0058】
実施例3のような防水型ランナー指輪センサブロック202は、ランニングによる汗の水洗や、太くて多数での共用の際の水洗に適している。なお、実施例3のような無接点充電誘導部208を有する防水型ランナー指輪センサブロック202は、実施例1や実施例2の構成においても適宜採用することができる。
【0059】
ランナー腕時計/処理ブロック204は、通常の時計/ストップウォッチ部218を有し、ランニングにおけるラップタイムの測定やチェック地点での経過タイムの測定に用いられる。防水型ランナー指輪センサブロック202がランナー腕時計/処理ブロック204から分離して設けられている理由は、手首が光学的な脈波測定に適さないからである。これに対し、ランナー腕時計/処理ブロック204には圧力脈拍センサ220が設けられており、ここで測定された脈拍信号は防水型ランナー指輪センサブロック202から送信される脈波信号を補正する際の同期信号として利用される。防水型ランナー指輪センサブロック202におけるセンサ制御部22の機能は実施例2とほぼ同様であり、基本的に実施例2で変更された形の図2から図4のフローを採用することができる。
【実施例4】
【0060】
図7は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例4を示すブロック図である。実施例4は、実施例1から実施例3と同様にして走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、ランナーの耳朶301に装着可能な耳朶センサブロック302、これとケーブル通信可能な音楽プレーヤ/処理ブロック304、および音楽プレーヤ/処理ブロック304からの音楽を聞くためのイヤホンブロック306を主な構成要素とする。音楽プレーヤ/処理ブロック304は、形態音楽端末として構成され、上記のようにイヤホンブロックの音源としての音楽プレーヤとして機能するとともに耳朶センサブロック302から受信した生体情報の処理ブロックとしても機能する。実施例7についても、実施例2または実施例3と同様にして、音楽プレーヤ/処理ブロック304充電用の電力線充電器ブロック等がシステムに含まれるが、煩雑を避けるため、図示を省略している。
【0061】
実施例4についても、基本構成は実施例2または実施例3と同様なので、共通する部分については実施例2または実施例3と共通の番号を付して説明を省略する。但し、実施例1から実施例3が指を測定対象としているのに対し、実施例4は耳朶301を対象としている。そして、発光部18および受光部20が耳朶301に密着するよう、耳朶センサ302を耳朶301に挟む挟持構造308を有する。このような挟持構造308としては、ピンチやフックなどが採用可能である。
【0062】
一方、音楽プレーヤ/処理ブロック304は、音楽信号を出力する音楽プレーヤ機能部310を備えており、出力される音楽信号はイヤホンケーブル312を通る音信号線314を介してイヤホンブロック306のスピーカ316に伝えられ、イヤホンブロック306が挿入される耳穴318内に音が出力される。イヤホンケーブル312にはさらに音楽プレーヤ/処理ブロック304の処理制御部42と耳朶センサブロック302のセンサ制御部322を有線で結ぶ生体情報伝達線318が通っていて、分岐ケーブル320に分岐している。また、イヤホンケーブル312には音楽プレーヤ/処理ブロック304の処理電源部116から耳朶センサブロック302のセンサ電源部322に電力を供給する電力供給線324が通っていて、分岐ケーブル320に分岐している。このように、耳栓センサブロック302は、イヤホンブロック306が挿入される耳穴318と同じ耳の耳朶を挟むよう構成されるので、音楽プレーヤ/処理ブロック304から耳までの有線の生体信号伝達線をイヤホンケーブル312を兼用して設けることが可能となる。
【0063】
なお、上記の実施例4において、耳朶センサブロック302はイヤリングとして構成することも可能である。このとき、ケーブルが繋がっていることが意匠上望ましくない場合は、耳朶センサブロック302と音楽プレーヤ/処理ブロック304との間の生体情報伝達は、図6と同様の近距離通信部28および44を採用して無線通信とすることができる。また、その場合の電源構成としては、センサ電源部322に図6と同様の蓄電池32および無接点充電誘導部208を設け、これを図6と同様の無接点充電器ブロックで充電するよう構成することができる。さらに、耳朶センサブロックとしては、図7のように発光部18から射出して耳朶301内の血液による吸収を受けながら耳朶組織により反射して耳朶の同じ側の受光部20に戻る構成に限るものではない。例えば、受光部20を耳朶の発光部18とは反対側に設け、発光部18と受光部20で耳朶を挟むよう構成することも可能である。
【0064】
実施例4のセンサ制御部322の機能は実施例2とほぼ同様であり、基本的に実施例2で変更された形の図2から図4のフローを採用することができる。従って、生体情報取得のための種々の操作は、音楽プレーヤ/処理ブロック304の操作部56の操作によって集中的に行われる。また、操作に伴う生体情報取得に関する種々の表示も主に音楽プレーヤ/処理ブロック304の表示部50が担当する。これによって、耳朶センサブロック302は生体情報取得機能を持った音楽プレーヤのセンサアクセサリの一つとして機能し、生体情報取得に関する操作および表示は音楽プレーヤ/処理ブロック304側で集中管理される。
【0065】
実施例4のような音楽プレーヤと生体情報測定装置との連携には音楽を鑑賞している耳が測定対象となることに関する上記のような利点の他に種々の利点がある。例えば、生体情報測定中に出力されている音楽が特定できるので、音楽が生体情報に与える影響や相関関係を情報として把握することができる。また、生体情報をモニタに基づいて、緊張や過負荷状態の緩和に適した曲を自動選曲したり、音楽の音量や音質を自動調整したりすることも可能である。
【実施例5】
【0066】
図8は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例5を示すブロック図である。実施例5は、実施例4と同様にして耳を測定対象として走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成している。その構成の大半は実施例4と同様なので、共通する部分については実施例4と共通の番号を付して説明を省略する。図8の実施例5が図7の実施例4と異なるのは、センサブロックがイヤホンブロックと一体化され、イヤホンセンサブロック402として構成されている点である。また、測定対象は、耳朶ではなく、耳穴内壁となっている。
【0067】
具体的に説明すると、イヤホンセンサブロック402において、発光部18および受光部20は、イヤホンセンサブロックが耳穴318に挿入されたとき、耳穴318の内壁404に密着するよう構成される。これによって、発光部18から射出して耳穴周りの血管内の血液による吸収を受けながら耳穴周りの組織により反射して受光部20に戻る光が測定される。同時に耳穴318内のスピーカ316からは鼓膜406に向かって音が出力される。また、上記のような一体構成としたことにより、音信号線314、生体情報伝達線318および電力供給線324はそれぞれイヤホンケーブル312を通ってイヤホンセンサブロック402と音楽プレーヤ/処理ブロック304を有線で結んでいる。
【実施例6】
【0068】
図9は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例6を示すブロック図である。実施例6は、実施例5と同様にして耳を測定対象として走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成している。実施例6のシステムは、図8の実施例5と同様にして、センサブロックが音楽プレーヤの音出力部であるヘッドホンと一体化され、ヘッドホンセンサブロック502として構成されている。また、ヘッドホンセンサブロック502は音楽プレーヤ/処理ブロック504とワイヤレスで通信する。なお、実施例6における測定対象は実施例4と同様にして耳朶となっている。実施例6の内部構成の基本は実施例1から実施例5と同様なので、共通する部分については実施例1から実施例5と共通の番号を付して説明を省略する。
【0069】
以下、実施例6の特長となっている部分を具体的に説明する。ヘッドホンセンサブロック502には、右耳穴506に当たる右耳スピーカ508、および右耳朶510に当たる右耳発光部512と右耳受光部514が設けられている。これに対応して、左耳ブロック516には、左耳穴518に当たる左耳スピーカ520、および左耳朶522に当たる左耳発光部524と左耳受光部526が設けられている。左耳ブロック516は、ヘッドホンアーム528によってヘッドホンセンサに保持されており、ヘンドホンセンサブロック502と左耳ブロック516によって頭頂部から両耳を挟むよう構成される。これによって、右耳発光部512、右耳受光部514、左耳発光部524および左耳受光部526は、ヘッドホンを頭部に装着することによってそれぞれ左右の耳穴の下にある左右耳朶に密着することになり、格別の挟持手段は不要となる。また、左右耳朶をそれぞれ同時に測定することにより脈波測定の情報量が増加する。なお、図9では、図示の単純化のため、ヘッドホンセンサブロック502、左耳ブロック516およびヘッドホンアーム528全体の位置関係は天地が逆に図示されている。
【0070】
右耳発光部512、右耳受光部514、左耳発光部524および左耳受光部526は、それぞれセンサ制御部22に接続され制御される。また、右耳スピーカ508および左耳スピーカ520は、それぞれ赤外通信部530で受信されるステレオ音信号に基づいて左右の耳穴にそれぞれ音を出力する。音楽プレーヤ/処理ブロック504は、赤外通信部532によって、音楽プレーヤ機能部310から出力される音信号を赤外腺534に変換してヘッドホンセンサ502の赤外線通信部530に送信する。なお、図9では煩雑化を避けるため概念化して図示しているが、赤外線通信部530から左耳スピーカ520への音信号線および左耳発光部524と左耳受光部526をセンサ制御部22に接続している接続線は、実際にはヘッドホンアーム部528内部を通してヘッドホンセンサ502と左耳ブロック516を結んでいる。
【実施例7】
【0071】
図10は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例7を示すブロック図である。実施例7は、プールでトレーニング中の複数のスイマーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、実施例1と同様、その最小単位として、第1スイマーの指に装着可能な防水型第1スイマー指輪センサブロック602、プールサイド処理ブロック604、および防水型第1スイマー指輪センサブロック602の近距離通信部28から送信される生体情報を受信する近距離通信部群606を備えたプール内のコースロープ群608を含む。近距離通信部群606は第1スイマーがプールのどの位置を泳いでいてもリアルタイムで生体情報を受信できるよう、コースロープ群の随所に受信アンテナ部を設けている。また、このような近距離通信部群606またはそのアンテナ部は、少なくともプール内の1本おきの複数のコースロープに分散して設けられており、スイマーがどのコースを泳いでいても、少なくともそのコースの左側または右側のコースロープから生体情報の受信が可能なように構成される。
【0072】
プールサイド処理ブロック604は、上記のようにしてコースロープ608に設けられている近距離通信部606を介し。さらにプール内の複数のスイマーの生体情報処理が可能であり、例えば第2スイマーの指610にはめられた防水型第2スイマー指輪センサブロック612の近距離通信部614ともコースロープを介して近距離無線通信を行う。防水型第2スイマー指輪センサブロック612の構成は防水型第1スイマー指輪センサブロック602と同様なので、図10では近距離通信部614以外の内部構成の図示を省略している。また、図10では、簡単のため、防水型第1スイマー指輪センサフロック602および防水型第2スイマー指輪センサブロック612のみ図示しているが、プールサイド処理ブロック604は、コースロープ608に設けられている近距離通信部606を介し、プール内の他の多数のスイマーの指にそれぞれはめられた同様の構成の防水型スイマー指輪センサブロックと交信し、各スイマーの生体情報を把握可能となっている。
【0073】
プールサイド処理ブロック604の各部は、ACアダプタ616から給電される処理電源部618により給電されるとともに、処理電源部618は、無接点充電電磁誘導部620にも給電している。これによって、防水型第1スイマー指輪センサブロック602の無接点充電誘導部208をプールサイド処理ブロック604の無接点充電電磁誘導部620と近接させられることにより、電磁誘導により蓄電池32への充電が可能である。図10の実施例7のその他の構成は実施例1から実施例6と同様なので、共通する部分については実施例1から実施例5と共通の番号を付して説明を省略する。特に、防水型第1スイマー指輪センサブロック602の内部構成は図6の実施例3とほぼ同じである。但し、実施例3の防水が生活防水程度であるのに対し、実施例10の防水はスイマーがプールに潜り、かつ水に対する動作も激しいことを考慮し、よりレベルの高い防水仕様となっている。
【実施例8】
【0074】
図11は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例8を示すブロック図である。実施例8も、実施例1や実施例2と同様にして人体の脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成している。また、実施例8は実施例2と同様携帯電話機能と連携している。しかしながら、実施例2では、携帯電話/処理ブロック104の構成が基本的には通常の携帯電話であり、ランナー指輪センサブロック102が別に設けられていて形態電話/処理ブロック104の処理ブロックとしての機能が携帯電話のアプリケーションソフトの一つとして位置づけられている。これに対し、実施例8は携帯電話702が生体情報センサと合体させられており、発光部18および受光部20がハードとして携帯電話702に搭載されている。
【0075】
実施例8の構成は、基本的には実施例2におけるランナー指輪センサブロック102と携帯電話/処理ブロック104が携帯電話702として合体したものであり、その内部構成自体は基本的に同様である。従って、実施例2と共通する部分については共通の番号を付して説明を省略するとともに、異なるところを中心に説明する。まず、合体の結果、処理制御部42とセンサ制御部122は携帯電話702が近距離通信部等を介さずに携帯電話702の内部で直接交信している。また、合体の結果、生体情報測定のための構成要素への給電は処理電源部116が兼用している。なお、太陽電池25はこのような兼用の処理電源部116の蓄電池118に出力を提供している。さらに、それぞれ設けられていた操作部56や表示部50が一つに統合されている。
【0076】
実施例8のセンサ制御部122の機能としては、基本的に実施例2で変更された形の図2から図4のフローを採用することができる。但し、発光部18と受光部20が携帯電話702の表面に配置された結果、測定はこれら発光部18と受光部20の位置に指などを充てることにより行われるので、この形では例えば走行中に生体情報を測定する場合よりも安静時の測定に適する。ランナーとして走行中の測定を行うには、腕装着ベルト保持部704に腕装着ベルト706を通し、これによって発光部18および受光部が腕708に対向するように、携帯電話702を腕に装着する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、脈波、酸素飽和度、脈拍等の生体情報測定装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
18 発光部
20 受光部
24 記憶部
4、104、204、504、604 外部の処理部
28 近距離通信部
30 電源部
208 防水構造
32 蓄電池
208 無接点充電誘導部
25 加速度センサ
40 太陽電池
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の健康管理等に有用な生体情報としては、例えば脈波、酸素飽和度、脈拍、体温等があり、これらのための種々の生体測定装置が提案されている。また、生体情報の活用に関しては、運動中の脈拍を測定してこれを運動者にフィードバックしたり、体力の判定に用いたりすることも提案されている。
【0003】
また、生体情報測定システムとしては、測定装置側端末と、携帯電話と、処理センターとを備えたシステムが提案されている。この提案によれば、測定装置側端末は、生体情報を測定する測定部、携帯電話を特定するための電話番号を携帯電話から取得するアダプタ部、および生体情報と電話番号とを互いに関連させて出力する送受信手段を有する。また、携帯電話は、利用者自身を特定するための電話番号を記憶している。さらに、処理センターは、携帯電話を利用する利用者の氏名等と電話番号とが関連付けられたデータベースを記憶するとともに、測定装置側端末からの生体情報を利用者毎に記憶する記憶手段、および電話番号とデータベースとに基づいて携帯電話の利用者を特定する処理手段を有する。(特許文献1)
【0004】
しかしながら、測定される生体情報の活用場面については、検討すべき課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開番号WO2002/062222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記に鑑み、活用効果の高い生体情報測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本発明は、測定光を生体内部に射出する発光部と、発光部から射出して生体の動脈血による吸収に受けた脈動測定光を受光する受光部と、受光部の受光出力に基づく脈波情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された脈波情報を外部の処理部に送信する近距離無線通信部と、これら各構成に電力を供給する電源部とを有する生体測定装置を提供する。
【0008】
上記の構成によって、動脈血の吸収により脈動する受光出力に基づく脈波情報測定出力を、近距離無線通信を介した外部処理装置との適宜の連携により活用することが可能となる。上記の生体測定装置は、一例として、例えば指輪として構成することで指を測定対象とすることができる。また他の例として、例えば音楽等の出力装置であるイヤホンやヘッドホンに関連して構成することで耳を測定対象とすることができる。また、外部の処理部の好適な例の一つは、例えば携帯電話であり、本発明の生体測定装置は携帯電話の備わっている近距離通信機能を活用して、携帯電話のアクセサリとして機能し、生体情報測定を携帯電話のアプリケーションの一つとして活用することが可能となる。他の好適な例として、本発明の生体測定装置は、例えばフィットネスセンターに設置された処理部と好適に連携することができる。
【0009】
本発明の具体的な特徴によれば、受光部は、発光部から射出して生体の動脈血による吸収に受けるとともに生体組織によって生体外部に反射されて戻る脈動測定光を受光するよう測定対象に対し発光部と同一側に配置される。これによって、発光部と受光部の相対位置を高精度で容易且つコンパクトに配置することができる。
【0010】
本発明の他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、生体測定に関する外部の処理部からの指示情報を受信する。これによって、外部の処理部からの集中的な生体測定が可能となる。また、他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、脈波情報の送信に関する外部の処理部からの指示情報を受信する。これによって、外部の処理部からの集中的な脈波信号交信管理が可能となるとともに、外部の処理装置の他の機能との干渉を防止することもできる。さらに他の具体的な特徴によれば、外部の処理部が脈波情報を受信できない状態にあるとき記憶部に脈波情報を維持する。これによって、外部の処理装置との間のフレキシブルな連携が可能となる。
【0011】
本発明の他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、生体測定装置を特定する情報を外部の処理部に送信する。これによって、生体測定装置と外部の処理部との組合せをフレキシブルにすることができる。また、他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、生体測定の対象者を特定する情報を外部の処理部に送信する。これによって、複数人の脈波情報の処理および管理が可能となる。さらに、生体測定装置の特定と生体測定の対象者の特定を組み合わせれば、複数の生体測定装置の機差にかかわらず、どの生体測定装置を使用しても、同一人の脈波情報を継続管理することができる。
【0012】
本発明の他の具体的な特徴によれば、近距離無線通信部は、生体測定の時間に関する情報を外部の処理部に送信する。これによって、外部の処理部における脈波情情報の履歴管理が可能となり、同一人の脈波情報の長期変化を診断することができる。このようにして、近距離無線通信を介した生体測定装置と外部の処理部との好適な連携が図られる。
【0013】
本発明の他の具体的な特徴によれば、生体測定装置に防水構造が施されている。このように、防水構造が施された生体測定装置を、近距離無線通信を介した外部の処理部と連携させることにより、生体測定装置の使用範囲が広がり、例えば水泳中の生体情報測定が可能となるとともに、装着中の汚染の洗浄等にも耐えるシステム構築が実現できる。より具体的な特徴によれば、生体測定装置の電源部が蓄電池を有するとともに、蓄電池に充電を行うための無接点充電誘導部が設けられ、耐水使用の好適な構成を提供している。
【0014】
本発明の他の具体的な特徴によれば、生体測定装置に加速度センサが設けられ、近距離無線通信部は、生体測定に関する加速度情報を外部の処理部に送信する。これにより、例えば測定が安静状態で行われたのか運動状態で行われたかの情報を測定情報に付加し、より適切な判断を行うことができる。また、より具体的な特徴によれば、加速度センサの加速度情報は、運動により生じる可能性がある測定誤差を補正するため、生体情報測定装置内部においても利用される。
【0015】
本発明の他の具体的な特徴によれば、外部の処理部が機能していない場合においても独立に機能可能である。この場合、記憶部が測定結果を維持し、外部の処理装置が機能しているときに測定を送信することができる。これによって、外部の処理部の状態に影響されない測定が可能となる。
【0016】
本発明の他の具体的な特徴によれば、生体情報測定装置には太陽電池が設けられ、太陽電池の出力が所定以上あるときは電源部の電源が不充分であるときの自動電源オフが保留される。これによって、測定機会の増加が図られる。
【0017】
本発明の他の具体的な特徴によれば、受光部の出力に基づき測定対象の生体装着の有無が検知される。これによって、他の格別の手段を追加することなく体情報測定装置の生体への確実な装着が確認できる。なお、より具体的には、装着有無の検知に電力を消耗しないよう、測定中よりは小電力消費状態で受光部の出力を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記のように、本発明によれば、外部の処理部と近距離通信する生体測定装置によって活用効果の高い生体情報測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例1を示すブロック図である。(実施例1)
【図2】図1の第1実施例におけるセンサ制御部の動作を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS6の詳細を示すフローチャートである。
【図4】図2のステップS30の詳細を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例2を示すブロック図である。(実施例2)
【図6】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例3を示すブロック図である。(実施例3)
【図7】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例4を示すブロック図である。(実施例4)
【図8】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例5を示すブロック図である。(実施例5)
【図9】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例6を示すブロック図である。(実施例6)
【図10】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例7を示すブロック図である。(実施例7)
【図11】本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例8を示すブロック図である。(実施例8)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例1を示すブロック図である。実施例1は走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、その最小単位として、第1ランナーの指に装着可能な第1ランナー指輪センサブロック2、走行中の第1ランナーに伴走する車両への搭載や第1ランナーが通過する給水ポイントまたはトラックのコーナーなどの拠点への設置に適した生体情報の処理ブロック4(以下、「伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4」)、および第1ランナー指輪センサブロック2の出力を較正するための較正センサブロック6を含む。第1ランナー指輪センサブロック2と伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4は、電波8により近距離無線通信が可能であるともに、較正センサブロック6はケーブル10により伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に接続可能である。
【0021】
伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4は、さらに複数のランナーの生体情報処理が可能であり、例えば第2ランナー指輪センサブロック12とも近距離無線通信を行う。第2ランナー指輪センサブロック12の構成は第1ランナー指輪センサブロック2と同様なので、図1では内部構成の図示を省略している。また、図1では、簡単のため、第1ランナー指輪センサフロック2および第2ランナー指輪センサブロック12のみ図示しているが、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4は他の多数のランナーの指にそれぞれはめられた同様の構成のランナー指輪センサブロックと交信し、各ランナーの生体情報を把握可能となっている。
【0022】
ランナー指輪センサブロックの較正はランナー毎に行い、例えば、第1ランナー指輪センサブロック2が測定対象の第1ランナーの指に装着されるとともに較正センサブロック6が同一の第1ランナーの指を挟むよう装着されて同時に測定を行う。第2ランナー指輪センサブロック12他の較正も同様にして第2ランナー他を対象にそれぞれ行われる。
【0023】
以下、第1ランナー指輪センサブロック2を例にとり、ランナー指輪センサブロックの構成について説明する。第1ランナー指輪センサブロック2は、全体として指輪程度の大きさと重量のブロックにまとめられており、指14の周囲にはまる指輪部14により第1ランナー指輪センサブロック2を指14にはめたとき、発光部18および受光部20が指14の手の甲側の同一側面に接するよう構成される。発光部18は受光部20の周囲に同心状に設けられた複数の発光ダイオードを含み、受光部20はこれら複数の発光ダイオードから射出して指14内の血液による吸収を受けながら指組織により反射してくる光を共通に受光する。この構成は、発光部18と受光部20の相対位置を高精度で容易且つコンパクトに配置するのに適する。また、この構成により、指14の片側から入射して反対側に抜けることができないような波長の光を測定に用いることも可能となる。
【0024】
発光部18および受光部20を、脈波および酸素飽和度の測定が可能なパルスオキシメータとして構成する場合、発光部は受光部20を中心に反対側に設けられた少なくとも2対の発光ダイオードを含み、そのうちの一対は、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度が近似する波長に出力ピークを持つとともに、他の一対は酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度が異なる波長に出力ピークを持つ。このように波長の異なる発光ダイオードを用いるときは、発光タイミングを時分割し、全ての発光波長に受光感度を持つフォトダイオード等を用いた共通の受光部20により、それぞれの波長の光を分離して受光する。同じ波長の発光ダイオードに関しては、これらを同時に発光させてもよいが、その位置によって測定条件が異なるので、最適の条件の発光ダイオードを見つけるために時分割発光させてもよい。そして、最適の条件の発光ダイオードの出力に基づいて測定を行うようにする。
【0025】
なお、酸素飽和度の測定を伴わない脈波および脈拍の測定を行う場合には、例えば発光部として青色発光ダイオード等を用いてもよい。また、使用波長の自由度を活用して、出力波長の異なる複数の発光ダイオードを時分割で発光させ、個人差に応じた最適の波長の発光ダイオードを見つけ、その出力により測定を行うよう構成してもよい。発光部18および受光部20の構成は以上のものに限らないが、ランナーなど動きの激しい対象を測定するためには上記のような種々の工夫を行うことができる。
【0026】
第1ランナー指輪センサブロック全体を制御するセンサ制御部22は、発光部18の発光タイミングを制御するとともに受光部20の出力を受けてこれを処理し、脈波、脈拍、酸素飽和度などの生体情報として不揮発記憶部24に記憶させる。加速度センサ26は、第1ランナー指輪センサブロック2にかかる加速度を検知するもので、その主な機能は二つある。第一の機能は、第1ランナーの状態を検知するもので、第1ランナーが安静状態にあるか走行状態にあるかの識別および走行状態についても緩速走行か疾走かの識別などを行う。そしてこれらの識別情報を生体情報に付加する。
【0027】
第二の機能は、ランニングによる振動が測定に与える悪影響を除去するもので、センサ制御部22は、加速度センサ25が検知した加速度情報に基づき、受光部20からの測定情報を補正するとともに、過度の加速度によって測定情報の信頼性が低下したときはその状態下での受光部20の出力を測定情報から破棄する。不揮発記憶部24に記憶される生体情報はこのような加速度センサ25からの情報も加味して処理されたものである。また、センサ制御部22は時計部26を有し、不揮発記憶部に記憶させる生体情報に、生体情報取得時のタイムスタンプを付加する。なお、不揮発記憶部24は、上記のような生体情報の記憶とともに、センサ制御部22の動作プログラムおよび動作に必要な一時データの記憶を行う。
【0028】
第1ランナー指輪センサブロック2の近距離通信部28は、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4との近距離通信が可能となったとき、不揮発記憶部24から生体情報を読み出してこれを送信する。センサ電源部30は蓄電池32を有し、第1ランナー指輪センサブロック2の各部にそれぞれ所定電圧の電力を供給する。USB等からなる接点部34は、測定開始前または後において、第1ランナーの指14から外された第1ランナー指輪センサブロック2を伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に接続するためのものである。
【0029】
接点部34の接続によって第1ランナー指輪センサブロック2は接点36を介して有線で伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4と交信可能となり、連携のための種々の情報交換を行うとともに、近距離通信部28によって送信できなかった生体情報がある場合は不揮発記憶部24からこれを読み出して一括送信する。また、接点部34の接続により、接点部34の接点38を介して伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4からセンサ電源部30の蓄電池32への充電が行われる。このようにして第1ランナー指輪センサブロック2を充電のために伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に接続することにより、不揮発記憶部24に残存する生体情報を漏れなく伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に集結することができる。太陽電池40は、第1ランナー指輪センサブロック2が伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4から分離されて第1ランナーの指14にはめられた状態において、例えば走行中などに蓄電池32に補助充電を行うためのものである。
【0030】
以上のような第1ランナー指輪センサブロック2の機能は、操作部41に含まれる電源スイッチのオンによって動作開始し、オフによって停止する。また、センサ制御部22は受光部20の出力が所定時間以上変化しないことを検出することによって第1ランナー指輪センサブロック2の機能を自動停止させて蓄電池32の無用な消耗を防止する。自動停止した機能は、操作部41の電源スイッチオンによって復活させることができる。表示部39は、第1ランナー指輪センサブロック2の動作状態表示および指14への正常装着表示など最低限の情報表示を行う。
【0031】
伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4の処置制御部42は、近距離通信部44によって受信される電波8または接点部46の接点48を介して有線で入力される第1ランナー指輪センサブロック2からの生体情報を処理し、生体情報に基づく第1ランナーの状態判断および表示のための処理を行う。この状態判断は予め登録されている典型的な脈波パターンとの比較等によって自動的に行われる。処理結果は、表示部50またはスピーカ52によって表示またはアナウンスされる。また、処理結果は生体情報の履歴として記憶部54に記憶される。この生体情報履歴は、生体情報取得のタイムスタンプおよびランナーのIDに基づき、個人別に時間順に記憶される。また、記憶部54に記憶された生体情報は、処理制御部42によって個人別および全ランナー平均にて統計処理され、表示部50またはスピーカ52によって表示またはアナウンスされる。なお、記憶部54は、上記のような生体情報の記憶とともに、処理制御部42の動作プログラムおよび動作に必要な一時データの記憶を行う。
【0032】
操作部56は、上記の種々の処理や表示/アナウンスの指示入力または種々の設定入力を行う。また、処理電源部58は大容量蓄電池または電力線による一次電源を有し、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4の各部にそれぞれ所定電圧の電力を供給する。さらに処理電源部58は、接点62を介して、接点部46に接続された第1ランナー指輪センサブロック2に充電電力を供給するとともに、接点部64を介してケーブル10にて接続された較正センサブロック6に電力を供給する。
【0033】
較正センサブロック6は、構成制御部66によって制御されており、較正の際は、既に概説したように 第1ランナー指輪センサブロック2を測定対象の第1ランナーの指14に装着するとともに較正センサブロック6の発光部68および受光部70の間に第1ランナーの他の指72を挟み、処理制御部42の統括の下に、電波8およびケーブル10を介したセンサ制御部22と較正制御部66の連携によって、同時に測定を行う。この較正は、例えば第1ランナーを伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4近傍に着席させて行う。そして、較正センサブロック6の測定結果を基準に第1ランナー指輪センサブロック2の測定結果との比較により較正データを記憶部54または不揮発記憶部24に記憶させる。較正センサブロック6の記憶部74は、較正制御部66の動作プログラムおよび動作に必要な一時データの記憶を行う。また、較正電源部76は、ケーブル10に接続される接点78を介し、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4の一次電源60から給電を受けて、較正センサブロック6の各部にそれぞれ所定電圧の電力を供給する。
【0034】
実施例1では、測定対象をランナーとして説明しているが、実施例1の構成は対象をランナーに限るものではなく、フィットネスクラブやスポーツジムやなど多数の人が種々の運動を行っている場所における各人の生体情報の取得、分析、統計化に有益なものである。この場合、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4は拠点としてのスポーツジムやアスレチックセンターのトレーニング室内に設置されることになる。
【0035】
図2は、図1の第1実施例におけるセンサ制御部22の動作を示すフローチャートである。フローは操作部41の電源スイッチのオンによってスタートし、ステップS2で表示部39に電源オン状態の表示を指示する。そしてステップS4で蓄電池32の充電が充分かどうかチェックし、充分であればステップS6のID処理に移行して第1ランナー指輪センサブロック2のIDや第1ランナーの個人IDの登録などに関する処理を行う。その詳細は後述する。
【0036】
ステップS6のID処理が完了すると、ステップS8で電源オンから所定時間が経過したかどうかチェックし、経過がなければステップS10で発光部18の間欠予備発光を指示してステップS12に移行する。ステップS12では、受光部S20の出力に基づき第1ランナー指輪センサブロック2が指14に装着されたかどうかチェックする。装着が検知されなければステップS14に移行し、表示部39に装着案内表示を指示してステップS8に戻る。以下、ステップS8で所定時間が経過するかステップS12で指への装着が検知されるまでステップS8からステップS14を繰り返し、指装着を待つ。このようにして測定のための発光部18と受光部20が指装着有無のチェックに兼用される。また、指装着検知のための発光部18の発光は測定時と異なる間欠発光として消費電力を抑える。
【0037】
一方、ステップS12で受光出力により指への装着が検知されるとステップS16に移行し、表示部39に装着状態の表示を指示してステップS18に移行する。ステップS18では、指への装着が検知されてから所定時間が経過したかどうかがチェックされ、経過がなければステップS20に進んで操作部41により測定開始操作が行われたかどうかチェックする。そして測定開始操作が検知されなければステップS18に戻り、所定時間が経過しない限りステップS18とステップS20を繰り返して測定開始操作を待つ。
【0038】
ステップS20で測定開始操作が検知されるとステップS22に移行し、発光部18の複数のLEDの時分割発光に基づく受光部20の出力をサンプリングする。そしてステップS24に進み、サンプリング時点における加速度センサ25の出力をチェックし、加速度が検知されているかどうかチェックする。加速度検知があればステップS26に移行して走行状態であることおよび緩速走行から疾走までの走行状態の程度を判定するとともにステップS28で検知した加速度自体も記憶してステップS30に進む。一方ステップS24で加速度の検知がなければステップS32に移行して安静状態であると判定してステップS30に移行する。ステップS30では、ステップS22でサンプリングされた出力およびステップS24で検知された加速度に基づいて測定処理を行うとともに測定結果の送信処理を行う。その詳細は後述する。
【0039】
ステップS30の測定/送信処理が終了するとステップS34に進み、蓄電池32の充電が充分かどうかチェックし、充分であればステップS36に進んで操作部41による電源スイッチのオフ操作が行われたかどうかチェックする。一方ステップS34で蓄電池の充電が不充分であると判断されたときはステップS38に移行し、測定を維持する上で充分な出力が太陽電池40から得られているかチェックし、出力が充分であればステップS36のオフ操作チェックに移行する。いずれの場合も、ステップS36でオフ操作が検知されなければステップS22に戻る。
【0040】
以下、ステップS36においてオフ操作が検知されるまで、ステップS22からステップS38を繰り返して、測定を継続する。ここで、ステップS22におけるサンプリング数は時分割して発光しているそれぞれのLEDの受光出力について1回でもよいが、複数回のサンプリングをまとめて行ってもよい。後者の場合は、脈波形状が認識できる程度のサンプリングをまとめて行うよう構成してもよい。これについては、ステップS22からステップS38に割り振る時間と脈波測定および加速度検知の分解能によって適宜決定することができる。またステップの構成も同趣旨の機能を達成するために適宜変更が可能である。
【0041】
これに対し、ステップS36でオフ操作が検知された時は、直ちにフローを終了する。フローの終了によって、第1ランナー指輪センサブロック2の電源はオフされる。このとき、第1ランナー指輪センサブロック2に未送信の測定データが残っていても、不揮発記憶部24が電力消費なしで測定データ保持し、次の送信機会を待つ。また、ステップS38で太陽電池出力が不充分であると判断された時も直ちにフローを終了して第1ランナー指輪センサブロック2の電源をオフする。また、ステップS4で蓄電池の充電が不充分であると判断されたときはステップS40に移行し、表示部39に充電の必要性を案内する表示をする。さらに、ステップS42に進んで、表示部39に強制電源オフを予告する表示を指示し、フローを終了する。また、ステップS8で所定時間の経過が検知されたとき、またはステップS18で所定時間の経過が検知されたときはステップS42に移行し、同様に強制電源オフを予告する表示を指示してフローを終了する。
【0042】
図3は、図2のステップS6におけるID処理の詳細を示すフローチャートであり、フローがスタートするとまずステップS52において第1ランナー指輪センサブロック2のIDが伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に登録済かどうかチェックする。未登録であればステップS54に移行し、表示部39にセンサID未登録である旨の表示を行う指示をするとともにステップS56で伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4と交信可能かどうかチェックする。そして交信可能であればステップS58に進み、センサIDの送信および登録完了確認信号手続きなどを含むセンサID登録処理を行う。ステップS58では交信途絶や致命的な誤操作など不良等何らかのトラブルで登録がうまくいかなかった場合でもフローをロックすることなくステップSでステップS60に移行し、センサIDの登録が完了したかどうかチェックする。そして完了が確認されるとステップS62に移行する。一方、ステップS52で第1ランナー指輪センサブロック2のIDが伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に既に登録済であることが確認されたときは、直ちにステップS62に移行する。
【0043】
ステップS62では、第1ランナー指輪センサブロック2を用いて較正した第1ランナーの較正データが個人IDとともに伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に登録済かどうかチェックする。未登録であればステップS64に移行し、表示部39に個人ID未登録である旨の表示を行う指示をするとともにステップS66で伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4と交信可能かどうかチェックする。そして交信可能であればステップS68に進み、較正/個人ID登録処理を行う。この較正/個人ID登録処理は、第1ランナー指輪センサブロック2を用いた第1ランナーについての較正処理および個人IDを付した較正データの送信および登録完了確認信号手続きなどを含むものである。ステップS58と同様にして、ステップS68でも何らかのトラブルで登録がうまくいかなかった場合でもフローをロックすることなくステップSでステップS70に移行し、較正の完了および較正データを伴う個人IDの登録が完了したかどうかチェックする。そして完了が確認されるとステップS72に移行する。一方、ステップS62において、第1ランナー指輪センサブロック2を用いて較正した第1ランナーの較正データが個人IDとともに伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に登録済であることが確認されたときは、直ちにステップS72に移行する。
【0044】
ステップS72に至ったということは、センサIDおよび個人IDとその個人についてそのセンサで行った較正データ登録済であることを意味するので、センサIDと個人IDの指定に基づき、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4から較正データを受信する。そして受信した較正データはステップS74で吹きはつき億部24に記憶される。これによって、バラツキの可能性のあるどのセンサを用いて測定したとしても、同一個人IDで特定される個人に関しバラツキが較正された測定データが伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4に送信されることになる。ステップS76では、このような環境化での測定で得られる、個人IDおよびタイムスタンプ付の較正済測定データを送信する準備手順をセットしてフローを終了する。
【0045】
図4は、図2のステップS30における測定/送信処理の詳細を示すフローチャートであり、フローがスタートするとまずステップS82において、時分割発光の各LEDを光源とする最新のサンプリング受光出力を仮記憶し、ステップS84で累積のサンプリング数が所定数の達したかどうかチェックする。この所定サンプリング数は、脈波形状を判断するに充分な数とする。ステップSでサンプリング数が所定値に到達したことが確認されるとステップS86に進み、時分割発光の各LEDを光源とする脈波をそれぞれ評価する処理を行う。この評価は、出力の絶対的な大きさおよびS/Nに基づいて行う。そしてこの評価に基づき、ステップS88で最適のLEDを光源とする受光出力を選択し、ステップS90で選択したLED出力群を脈波情報として不揮発記憶部24に正式記憶する。
【0046】
次いで、ステップS92において正式記憶したサンプリング出力中に通常ありえない異常値があるかどうかチェックする。これがないことが確認されるとステップS94でサンプリング出力が通常ありえない不連続変化を示しているかどうかチェックし、不連続変化があればステップS96に移行する。また、ステップS92で個別異常値が検知されたときは直接ステップS96に移行する。ステップS96では、これらの異常値または不連続性の原因として予め知られている相関を持つパターンの加速度が記憶されているかどうかをチェックし、該当があればステップS98に進んで、加速度の相関から本来あるべき測定値を推定して異常値の補正または不連続性の補正を行ってステップS100に移行する。一方、ステップS96で相関加速度の記憶が検知されなかったときは直接ステップS100に移行する。
【0047】
ステップS100では、以上のような補正を行った後の出力(補正を行わなかった場合も含む)がなお所定範囲外に逸脱しているかどうかチェックし、該当すればステップS102に進んでその出力を破棄してステップS104に移行する。一方、ステップS100で補正後の出力が所定範囲外にあることが検知されない場合は直接ステップS104に移行する。また、ステップS94で不連続変化が検知されなかったときは直接ステップS104に移行する。ステップS104では、以上のようにして処理された所定サンプリング数の受光出力(これを「ユニット脈波情報」と称することとする)を新規に記憶する。また、ステップS106では、このユニット脈波情報の記憶に走行状態または安定状態の判定情報を付加してステップS108に進む。なお、ステップS84でサンプリング数が所定値に達したことが検知されない場合は、まだユニット脈波情報を形成するには出力のサンプリング数が不足しているので直接ステップS108に進む。
【0048】
ステップS108では、伴走車両搭載/拠点設置処理ブロック4と交信可能かどうかをチェックし、可能であればステップS110で未送信のユニット脈波情報の有無をチェックする。そして未送信脈波ユニット情報があればステップ112に進んでこれを一括自動送信してフローを終了する。一方、ステップS108で交信可が検知できないとき、またはステップS110で未送信ユニット脈波情報がないと判断されたときは直ちにフローを終了する。
【実施例2】
【0049】
図5は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例2を示すブロック図である。実施例2も、実施例1と同様にして走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、ランナーの指に装着可能なランナー指輪センサブロック102、およびこれと近距離無線通信可能な携帯電話104を主な構成要素とする。携帯電話104は、ランナー指輪センサブロック102から受信した生体情報の処理ブロックとしても機能するので、以下、「携帯電話/処理ブロック104」と称する。実施例2の生体情報測定システムは、はさらに、携帯電話/処理ブロック104の蓄電池160に充電を行うための電力線充電器ブロック106を含む。この電力線充電器ブロック106は通常の携帯電話の充電器と同様の構成であって、ACアダプタ108を介して交流電力線の電力を所定電圧の直流に変換して充電用接点部110から出力するものであるが、ランナー指輪センサブロック102の蓄電池32の充電器としても兼用される。
【0050】
実施例2の構成の大半は実施例1と同様であり、実施例1と共通する部分については共通の番号を付して説明を省略するとともに、異なるところを中心に説明する。実施例2のランナー指輪センサブロック102は、有線交信や充電のために携帯電話/処理ブロック104に接続されることはないが、携帯電話/処理ブロック104の充電用接点部112と接点形状、定格電流および定格電圧が同規格の充電用接点部114を有しており、携帯電話/処理ブロック104における処理電源部116の蓄電池118を充電する場合と同様にして、充電用接点部114を電力線充電器ブロック106の充電用接点部110に接続することにより蓄電池32を充電することができる。
【0051】
携帯電話/処理ブロック104は、通常の携帯電話に必要な機能を提供するための携帯電話機能部120および電話回線通信部122を有する。また、通話のためにスピーカ52とともにマイク124を有する。以上の構成によって、実施例2におけるランナー指輪センサブロック102からに携帯電話/処理ブロック104への生体情報の送信は、電波8による近距離通信部28と近距離通信部44の通信により行われる。なお、携帯電話/処理ブロック104が受信し処理した生体情報は、携帯電話機能部120と電話回線通信部122によって例えばかかりつけの医師に適宜送信することができる。またこの送信は生体情報取得時に自動的に行われるよう設定しておくこともできる。
【0052】
実施例2のランナー指輪センサブロックには、実施例1と同様にして操作部41が設けられているが、主に電源のオンオフ操作を担当し、生体情報取得のための種々の操作は、携帯電話/処理ブロック104の操作部56の操作によって集中的に行われる。また、操作に伴う生体情報取得に関する種々の表示も主に携帯電話/処理ブロック104の表示部50が担当し、ランナー指輪センサブロック102の表示部39はオンオフ状態の表示等限られた表示のみを担当する。これによって、ランナー指輪センサブロック102はアプリケーションの一つとして生体情報取得機能を持った携帯電話のセンサアクセサリとして機能し、生体情報取得に関する操作および表示の大半は携帯電話/処理ブロック104側で集中管理される。従って、生体情報の取得および送信の指示も携帯電話/処理ブロック104側から行われる。
【0053】
実施例2のセンタ制御部122の機能の大半は、図2に示した実施例1のフローチャートに基づいて実行することができる。異なる部分について説明すると、まず、実施例2では、ランナー指輪センサブロックが携帯電話/処理ブロックの所有者専用のものであった場合、ステップS6におけるID処理を省略することができる。但し、実施例1と同様にして複数のランナーにそれぞれランナー指輪センサブロックが装着され、コーチ等が携帯電話/処理ブロック104を保持して伴走する場合等では、ステップS6のID処理を活用することができる。
【0054】
次に、実施例2では、図2のフローチャートのステップS14、S16、S40、S42等における「表示」は、それぞれ「携帯電話/処理ブロック104の表示部50への表示指示」と読み替えて理解するものとする。さらに、ステップS20における「測定開始操作?」は、「携帯電話/処理ブロック104からの測定開始信号受信?」と読み替えて理解するものとする。
【0055】
また、図2のステップS30の測定/送信処理の詳細を示す図4のフローチャートについても、実施例2では、若干の変更を要する。実施例2のランナー指輪センサブロック102は、帯電話/処理ブロック104からの指示信号に基づき、生体情報送信に関して一括送信モードおよびリアルタイム送信モードのいずれかのモードが設定される。そして、一括送信モードが設定されている場合、図4のステップS108は「携帯電話/処理ブロック104からの送信要求あり?」と読替えて理解するものとする。一方、リアルタイム送信モードが設定されている場合、ステップS108は「携帯電話待受け中?」と読み替えるものとする。つまり、リアルタイム送信モードでは、携帯電話が待受け中で他の機能が実行中でない限り、ユニット脈波情報が作成され次第送信が行われ、通話中など携帯電話が他の機能を実行するとその間、送信が保留待機されることになる。
【実施例3】
【0056】
図6は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例3を示すブロック図である。実施例3も、実施例1および実施例2と同様にして走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、ランナーの指に装着可能な防水型ランナー指輪センサブロック202、およびこれと近距離無線通信可能なランナー腕時計204を主な構成要素とする。ランナー腕時計204は、防水型ランナー指輪センサブロック102から受信した生体情報の処理ブロックとしても機能するので、以下、「ランナー腕時計/処理ブロック204」と称する。実施例3の生体情報測定システムは、はさらに、ランナー指輪センサブロック202の蓄電池32の充電を行うための無接点充電器ブロック206を含む。
【0057】
実施例3の構成の大半は実施例2と同様であり、実施例2と共通する部分については共通の番号を付して説明を省略する。なお、ランナー腕時計/処理ブロック204は、データ通信専用の電話回線通信部を有しており、実施例2と同様にして、生体情報データをかかりつけの医師に適宜送信することができる。実施例3が実施例2と異なるのは、防水型ランナー指輪センサブロック202が無接点充電誘導部208を有し、これが無接点充電器ブロックの無接点充電磁誘導部210と近接させられることにより、電磁誘導で充電電圧を発生することである。無接点充電器ブロック206はこの充電のために無接点充電誘導部210に電力を供給する一次電源212を有する。この一次電源は大容量電池であってもよいし、実施例2におけるような電力線に接続されるACアダプタであってもよい。なお、ランナー腕時計/処理ブロック204の処理電源部214は交換式の乾電池216を含む。この乾電池216は、外部から充電可能な蓄電池に置き換えられてもよい。
【0058】
実施例3のような防水型ランナー指輪センサブロック202は、ランニングによる汗の水洗や、太くて多数での共用の際の水洗に適している。なお、実施例3のような無接点充電誘導部208を有する防水型ランナー指輪センサブロック202は、実施例1や実施例2の構成においても適宜採用することができる。
【0059】
ランナー腕時計/処理ブロック204は、通常の時計/ストップウォッチ部218を有し、ランニングにおけるラップタイムの測定やチェック地点での経過タイムの測定に用いられる。防水型ランナー指輪センサブロック202がランナー腕時計/処理ブロック204から分離して設けられている理由は、手首が光学的な脈波測定に適さないからである。これに対し、ランナー腕時計/処理ブロック204には圧力脈拍センサ220が設けられており、ここで測定された脈拍信号は防水型ランナー指輪センサブロック202から送信される脈波信号を補正する際の同期信号として利用される。防水型ランナー指輪センサブロック202におけるセンサ制御部22の機能は実施例2とほぼ同様であり、基本的に実施例2で変更された形の図2から図4のフローを採用することができる。
【実施例4】
【0060】
図7は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例4を示すブロック図である。実施例4は、実施例1から実施例3と同様にして走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、ランナーの耳朶301に装着可能な耳朶センサブロック302、これとケーブル通信可能な音楽プレーヤ/処理ブロック304、および音楽プレーヤ/処理ブロック304からの音楽を聞くためのイヤホンブロック306を主な構成要素とする。音楽プレーヤ/処理ブロック304は、形態音楽端末として構成され、上記のようにイヤホンブロックの音源としての音楽プレーヤとして機能するとともに耳朶センサブロック302から受信した生体情報の処理ブロックとしても機能する。実施例7についても、実施例2または実施例3と同様にして、音楽プレーヤ/処理ブロック304充電用の電力線充電器ブロック等がシステムに含まれるが、煩雑を避けるため、図示を省略している。
【0061】
実施例4についても、基本構成は実施例2または実施例3と同様なので、共通する部分については実施例2または実施例3と共通の番号を付して説明を省略する。但し、実施例1から実施例3が指を測定対象としているのに対し、実施例4は耳朶301を対象としている。そして、発光部18および受光部20が耳朶301に密着するよう、耳朶センサ302を耳朶301に挟む挟持構造308を有する。このような挟持構造308としては、ピンチやフックなどが採用可能である。
【0062】
一方、音楽プレーヤ/処理ブロック304は、音楽信号を出力する音楽プレーヤ機能部310を備えており、出力される音楽信号はイヤホンケーブル312を通る音信号線314を介してイヤホンブロック306のスピーカ316に伝えられ、イヤホンブロック306が挿入される耳穴318内に音が出力される。イヤホンケーブル312にはさらに音楽プレーヤ/処理ブロック304の処理制御部42と耳朶センサブロック302のセンサ制御部322を有線で結ぶ生体情報伝達線318が通っていて、分岐ケーブル320に分岐している。また、イヤホンケーブル312には音楽プレーヤ/処理ブロック304の処理電源部116から耳朶センサブロック302のセンサ電源部322に電力を供給する電力供給線324が通っていて、分岐ケーブル320に分岐している。このように、耳栓センサブロック302は、イヤホンブロック306が挿入される耳穴318と同じ耳の耳朶を挟むよう構成されるので、音楽プレーヤ/処理ブロック304から耳までの有線の生体信号伝達線をイヤホンケーブル312を兼用して設けることが可能となる。
【0063】
なお、上記の実施例4において、耳朶センサブロック302はイヤリングとして構成することも可能である。このとき、ケーブルが繋がっていることが意匠上望ましくない場合は、耳朶センサブロック302と音楽プレーヤ/処理ブロック304との間の生体情報伝達は、図6と同様の近距離通信部28および44を採用して無線通信とすることができる。また、その場合の電源構成としては、センサ電源部322に図6と同様の蓄電池32および無接点充電誘導部208を設け、これを図6と同様の無接点充電器ブロックで充電するよう構成することができる。さらに、耳朶センサブロックとしては、図7のように発光部18から射出して耳朶301内の血液による吸収を受けながら耳朶組織により反射して耳朶の同じ側の受光部20に戻る構成に限るものではない。例えば、受光部20を耳朶の発光部18とは反対側に設け、発光部18と受光部20で耳朶を挟むよう構成することも可能である。
【0064】
実施例4のセンサ制御部322の機能は実施例2とほぼ同様であり、基本的に実施例2で変更された形の図2から図4のフローを採用することができる。従って、生体情報取得のための種々の操作は、音楽プレーヤ/処理ブロック304の操作部56の操作によって集中的に行われる。また、操作に伴う生体情報取得に関する種々の表示も主に音楽プレーヤ/処理ブロック304の表示部50が担当する。これによって、耳朶センサブロック302は生体情報取得機能を持った音楽プレーヤのセンサアクセサリの一つとして機能し、生体情報取得に関する操作および表示は音楽プレーヤ/処理ブロック304側で集中管理される。
【0065】
実施例4のような音楽プレーヤと生体情報測定装置との連携には音楽を鑑賞している耳が測定対象となることに関する上記のような利点の他に種々の利点がある。例えば、生体情報測定中に出力されている音楽が特定できるので、音楽が生体情報に与える影響や相関関係を情報として把握することができる。また、生体情報をモニタに基づいて、緊張や過負荷状態の緩和に適した曲を自動選曲したり、音楽の音量や音質を自動調整したりすることも可能である。
【実施例5】
【0066】
図8は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例5を示すブロック図である。実施例5は、実施例4と同様にして耳を測定対象として走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成している。その構成の大半は実施例4と同様なので、共通する部分については実施例4と共通の番号を付して説明を省略する。図8の実施例5が図7の実施例4と異なるのは、センサブロックがイヤホンブロックと一体化され、イヤホンセンサブロック402として構成されている点である。また、測定対象は、耳朶ではなく、耳穴内壁となっている。
【0067】
具体的に説明すると、イヤホンセンサブロック402において、発光部18および受光部20は、イヤホンセンサブロックが耳穴318に挿入されたとき、耳穴318の内壁404に密着するよう構成される。これによって、発光部18から射出して耳穴周りの血管内の血液による吸収を受けながら耳穴周りの組織により反射して受光部20に戻る光が測定される。同時に耳穴318内のスピーカ316からは鼓膜406に向かって音が出力される。また、上記のような一体構成としたことにより、音信号線314、生体情報伝達線318および電力供給線324はそれぞれイヤホンケーブル312を通ってイヤホンセンサブロック402と音楽プレーヤ/処理ブロック304を有線で結んでいる。
【実施例6】
【0068】
図9は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例6を示すブロック図である。実施例6は、実施例5と同様にして耳を測定対象として走行中のランナーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成している。実施例6のシステムは、図8の実施例5と同様にして、センサブロックが音楽プレーヤの音出力部であるヘッドホンと一体化され、ヘッドホンセンサブロック502として構成されている。また、ヘッドホンセンサブロック502は音楽プレーヤ/処理ブロック504とワイヤレスで通信する。なお、実施例6における測定対象は実施例4と同様にして耳朶となっている。実施例6の内部構成の基本は実施例1から実施例5と同様なので、共通する部分については実施例1から実施例5と共通の番号を付して説明を省略する。
【0069】
以下、実施例6の特長となっている部分を具体的に説明する。ヘッドホンセンサブロック502には、右耳穴506に当たる右耳スピーカ508、および右耳朶510に当たる右耳発光部512と右耳受光部514が設けられている。これに対応して、左耳ブロック516には、左耳穴518に当たる左耳スピーカ520、および左耳朶522に当たる左耳発光部524と左耳受光部526が設けられている。左耳ブロック516は、ヘッドホンアーム528によってヘッドホンセンサに保持されており、ヘンドホンセンサブロック502と左耳ブロック516によって頭頂部から両耳を挟むよう構成される。これによって、右耳発光部512、右耳受光部514、左耳発光部524および左耳受光部526は、ヘッドホンを頭部に装着することによってそれぞれ左右の耳穴の下にある左右耳朶に密着することになり、格別の挟持手段は不要となる。また、左右耳朶をそれぞれ同時に測定することにより脈波測定の情報量が増加する。なお、図9では、図示の単純化のため、ヘッドホンセンサブロック502、左耳ブロック516およびヘッドホンアーム528全体の位置関係は天地が逆に図示されている。
【0070】
右耳発光部512、右耳受光部514、左耳発光部524および左耳受光部526は、それぞれセンサ制御部22に接続され制御される。また、右耳スピーカ508および左耳スピーカ520は、それぞれ赤外通信部530で受信されるステレオ音信号に基づいて左右の耳穴にそれぞれ音を出力する。音楽プレーヤ/処理ブロック504は、赤外通信部532によって、音楽プレーヤ機能部310から出力される音信号を赤外腺534に変換してヘッドホンセンサ502の赤外線通信部530に送信する。なお、図9では煩雑化を避けるため概念化して図示しているが、赤外線通信部530から左耳スピーカ520への音信号線および左耳発光部524と左耳受光部526をセンサ制御部22に接続している接続線は、実際にはヘッドホンアーム部528内部を通してヘッドホンセンサ502と左耳ブロック516を結んでいる。
【実施例7】
【0071】
図10は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例7を示すブロック図である。実施例7は、プールでトレーニング中の複数のスイマーの脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成しており、実施例1と同様、その最小単位として、第1スイマーの指に装着可能な防水型第1スイマー指輪センサブロック602、プールサイド処理ブロック604、および防水型第1スイマー指輪センサブロック602の近距離通信部28から送信される生体情報を受信する近距離通信部群606を備えたプール内のコースロープ群608を含む。近距離通信部群606は第1スイマーがプールのどの位置を泳いでいてもリアルタイムで生体情報を受信できるよう、コースロープ群の随所に受信アンテナ部を設けている。また、このような近距離通信部群606またはそのアンテナ部は、少なくともプール内の1本おきの複数のコースロープに分散して設けられており、スイマーがどのコースを泳いでいても、少なくともそのコースの左側または右側のコースロープから生体情報の受信が可能なように構成される。
【0072】
プールサイド処理ブロック604は、上記のようにしてコースロープ608に設けられている近距離通信部606を介し。さらにプール内の複数のスイマーの生体情報処理が可能であり、例えば第2スイマーの指610にはめられた防水型第2スイマー指輪センサブロック612の近距離通信部614ともコースロープを介して近距離無線通信を行う。防水型第2スイマー指輪センサブロック612の構成は防水型第1スイマー指輪センサブロック602と同様なので、図10では近距離通信部614以外の内部構成の図示を省略している。また、図10では、簡単のため、防水型第1スイマー指輪センサフロック602および防水型第2スイマー指輪センサブロック612のみ図示しているが、プールサイド処理ブロック604は、コースロープ608に設けられている近距離通信部606を介し、プール内の他の多数のスイマーの指にそれぞれはめられた同様の構成の防水型スイマー指輪センサブロックと交信し、各スイマーの生体情報を把握可能となっている。
【0073】
プールサイド処理ブロック604の各部は、ACアダプタ616から給電される処理電源部618により給電されるとともに、処理電源部618は、無接点充電電磁誘導部620にも給電している。これによって、防水型第1スイマー指輪センサブロック602の無接点充電誘導部208をプールサイド処理ブロック604の無接点充電電磁誘導部620と近接させられることにより、電磁誘導により蓄電池32への充電が可能である。図10の実施例7のその他の構成は実施例1から実施例6と同様なので、共通する部分については実施例1から実施例5と共通の番号を付して説明を省略する。特に、防水型第1スイマー指輪センサブロック602の内部構成は図6の実施例3とほぼ同じである。但し、実施例3の防水が生活防水程度であるのに対し、実施例10の防水はスイマーがプールに潜り、かつ水に対する動作も激しいことを考慮し、よりレベルの高い防水仕様となっている。
【実施例8】
【0074】
図11は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定装置の実施例8を示すブロック図である。実施例8も、実施例1や実施例2と同様にして人体の脈波および脈拍さらには構成によっては酸素飽和度の測定が可能な生体情報測定システムを構成している。また、実施例8は実施例2と同様携帯電話機能と連携している。しかしながら、実施例2では、携帯電話/処理ブロック104の構成が基本的には通常の携帯電話であり、ランナー指輪センサブロック102が別に設けられていて形態電話/処理ブロック104の処理ブロックとしての機能が携帯電話のアプリケーションソフトの一つとして位置づけられている。これに対し、実施例8は携帯電話702が生体情報センサと合体させられており、発光部18および受光部20がハードとして携帯電話702に搭載されている。
【0075】
実施例8の構成は、基本的には実施例2におけるランナー指輪センサブロック102と携帯電話/処理ブロック104が携帯電話702として合体したものであり、その内部構成自体は基本的に同様である。従って、実施例2と共通する部分については共通の番号を付して説明を省略するとともに、異なるところを中心に説明する。まず、合体の結果、処理制御部42とセンサ制御部122は携帯電話702が近距離通信部等を介さずに携帯電話702の内部で直接交信している。また、合体の結果、生体情報測定のための構成要素への給電は処理電源部116が兼用している。なお、太陽電池25はこのような兼用の処理電源部116の蓄電池118に出力を提供している。さらに、それぞれ設けられていた操作部56や表示部50が一つに統合されている。
【0076】
実施例8のセンサ制御部122の機能としては、基本的に実施例2で変更された形の図2から図4のフローを採用することができる。但し、発光部18と受光部20が携帯電話702の表面に配置された結果、測定はこれら発光部18と受光部20の位置に指などを充てることにより行われるので、この形では例えば走行中に生体情報を測定する場合よりも安静時の測定に適する。ランナーとして走行中の測定を行うには、腕装着ベルト保持部704に腕装着ベルト706を通し、これによって発光部18および受光部が腕708に対向するように、携帯電話702を腕に装着する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、脈波、酸素飽和度、脈拍等の生体情報測定装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
18 発光部
20 受光部
24 記憶部
4、104、204、504、604 外部の処理部
28 近距離通信部
30 電源部
208 防水構造
32 蓄電池
208 無接点充電誘導部
25 加速度センサ
40 太陽電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光を生体内部に射出する発光部と、前記発光部から射出して生体の動脈血による吸収に受けた脈動測定光を受光する受光部と、前記受光部の受光出力に基づく脈波情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された脈波情報を外部の処理部に送信する近距離無線通信部と、前記各構成に電力を供給する電源部とを有することを特徴とする生体測定装置。
【請求項2】
前記受光部は、前記発光部から射出して生体の動脈血による吸収に受けるとともに生体組織によって生体外部に反射されて戻る脈動測定光を受光するよう測定対象に対し前記発光部と同一側に配置されることを特徴とする請求項1記載の生体測定装置。
【請求項3】
前記近距離無線通信部は、生体測定に関する外部の処理部からの指示情報を受信することを特徴とする請求項1または2記載の生体測定装置。
【請求項4】
前記近距離無線通信部は、脈波情報の送信に関する外部の処理部からの指示情報を受信することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の生体測定装置。
【請求項5】
外部の処理部が脈波情報を受信できない状態にあるとき前記記憶部に脈波情報を維持することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記近距離無線通信部は、生体測定装置を特定する情報を外部の処理部に送信することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記近距離無線通信部は、生体測定の対象者を特定する情報を外部の処理部に送信することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記近距離無線通信部は、生体測定の時間に関する情報を外部の処理部に送信することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
防水構造が施されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項10】
前記電源部は蓄電池を有するとともに、前記蓄電池に充電を行うための無接点充電誘導部を有することを特徴とする請求項9記載の生体情報測定装置。
【請求項11】
加速度センサを有し、前記近距離無線通信部は、生体測定に関する加速度情報を外部の処理部に送信することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項12】
前記加速度センサの加速度情報を生体情報測定装置内部における生体情報の補正にも用いることを特徴とする請求項11記載の生体情報測定装置。
【請求項13】
外部の処理部が機能していない場合においても独立に機能可能であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項14】
太陽電池を有し、前記太陽電池の出力が所定以上あるときは前記電源部の電源が不充分であるときの自動電源オフを保留することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項15】
前記受光部の出力に基づき測定対象の生体装着を検知することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項16】
指輪として構成されることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項17】
音楽プレーヤの音信号出力部と連携して構成されることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項18】
外部の処理部は携帯電話であることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項1】
測定光を生体内部に射出する発光部と、前記発光部から射出して生体の動脈血による吸収に受けた脈動測定光を受光する受光部と、前記受光部の受光出力に基づく脈波情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された脈波情報を外部の処理部に送信する近距離無線通信部と、前記各構成に電力を供給する電源部とを有することを特徴とする生体測定装置。
【請求項2】
前記受光部は、前記発光部から射出して生体の動脈血による吸収に受けるとともに生体組織によって生体外部に反射されて戻る脈動測定光を受光するよう測定対象に対し前記発光部と同一側に配置されることを特徴とする請求項1記載の生体測定装置。
【請求項3】
前記近距離無線通信部は、生体測定に関する外部の処理部からの指示情報を受信することを特徴とする請求項1または2記載の生体測定装置。
【請求項4】
前記近距離無線通信部は、脈波情報の送信に関する外部の処理部からの指示情報を受信することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の生体測定装置。
【請求項5】
外部の処理部が脈波情報を受信できない状態にあるとき前記記憶部に脈波情報を維持することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記近距離無線通信部は、生体測定装置を特定する情報を外部の処理部に送信することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記近距離無線通信部は、生体測定の対象者を特定する情報を外部の処理部に送信することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記近距離無線通信部は、生体測定の時間に関する情報を外部の処理部に送信することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
防水構造が施されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項10】
前記電源部は蓄電池を有するとともに、前記蓄電池に充電を行うための無接点充電誘導部を有することを特徴とする請求項9記載の生体情報測定装置。
【請求項11】
加速度センサを有し、前記近距離無線通信部は、生体測定に関する加速度情報を外部の処理部に送信することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項12】
前記加速度センサの加速度情報を生体情報測定装置内部における生体情報の補正にも用いることを特徴とする請求項11記載の生体情報測定装置。
【請求項13】
外部の処理部が機能していない場合においても独立に機能可能であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項14】
太陽電池を有し、前記太陽電池の出力が所定以上あるときは前記電源部の電源が不充分であるときの自動電源オフを保留することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項15】
前記受光部の出力に基づき測定対象の生体装着を検知することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項16】
指輪として構成されることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項17】
音楽プレーヤの音信号出力部と連携して構成されることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項18】
外部の処理部は携帯電話であることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−19811(P2012−19811A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157479(P2010−157479)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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