生体情報監視装置、警報値設定方法および警報値設定プログラム
【課題】適切な警報値を設定することのできる生体情報監視装置、警報値設定方法および警報値設定プログラムを提供すること。
【解決手段】生体情報監視装置は、生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザより、生体情報についての警報値の入力を受付ける。警報値が入力されると、トレンドグラフにおいて、入力された警報値(上限ラインLb1,下限ラインLb2)により警報が発生する区間Tb1,Tb2と他とを区別して表示する。既に、警報値が過去に設定されていた場合には、トレンドグラフにおいて、新たな警報値により警報が発生する区間Tb1,Tb2と実際に警報が発生した区間Ta1,Ta2とを識別可能に表示する。
【解決手段】生体情報監視装置は、生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザより、生体情報についての警報値の入力を受付ける。警報値が入力されると、トレンドグラフにおいて、入力された警報値(上限ラインLb1,下限ラインLb2)により警報が発生する区間Tb1,Tb2と他とを区別して表示する。既に、警報値が過去に設定されていた場合には、トレンドグラフにおいて、新たな警報値により警報が発生する区間Tb1,Tb2と実際に警報が発生した区間Ta1,Ta2とを識別可能に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報監視装置、警報値設定方法および警報値設定プログラムに関し、特に、ユーザからの指示に基づいて生体情報の警報値を設定することのできる生体情報監視装置、警報値設定方法および警報値設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生体情報監視装置において表示される画面としては、患者の現在の生体情報を表示する画面(基本画面)の他、保存したデータを表示する画面(トレンドやリストなど)、各種設定を行なう画面(患者情報や警報値設定など)がある。これらの各画面は独立しており、用途に応じて切替えて使用される。したがって、従来の生体情報監視装置において、警報値の設定は、警報値設定用の専用画面にて実施されることが一般的である。
【0003】
一方で、生体情報監視装置において、トレンドグラフにおいて、限界値を超えた部分を他と識別可能に表示する技術が存在する。
【0004】
たとえば特開2009−6147号公報(特許文献1)には、トレンドグラフにおいて、生理的パラメータが限界値を超える状態、または、アラーム状態を暗く示すことが記載されている。また、WO2004/023994号パンフレット(特許文献2)には、トレンドグラフにおいて、誘導V3のSTレベルを示す線が正常範囲の上限値を超える場合、その上限値を超えるグラフ線部分を異常値色で表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−6147号公報
【特許文献2】WO2004/023994号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生体情報監視装置において、警報値を設定する場合、看護師は、警報値設定用の専用画面において、医師からの指示や表示されている現在の値を参考に、警報値を設定している場合が多い。このようにして警報値の設定を行った場合、一時的な値を元に不適切な警報値が設定されることがある。たとえば、すぐに警報が鳴ってしまうような値が警報値に設定されたとすると警報が多発するため、警報への注意力が低下してしまい、本当に重要な警報情報に気が付かなくなる恐れがある。逆に、警報が発生し難い値が警報値に設定されたとすると、患者の急変を迅速に知ることができなくなる恐れがある。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、適切な警報値を設定することのできる生体情報監視装置、警報値設定方法および警報値設定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従う生体情報監視装置は、患者の生体情報を監視するための生体情報監視装置であって、生体情報の経過値を記憶するための記憶手段と、警報を発生するための警報手段と、ユーザからの指示を受付けるための操作手段と、生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、指示に基づいて、生体情報についての警報値を設定する処理を行なうための設定処理手段と、警報値の設定の際に、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するための表示手段とを備える。
【0009】
好ましくは、記憶手段は、設定処理手段により設定された警報値をさらに記憶し、設定処理手段は、記憶されている警報値を変更する処理をさらに行ない、表示手段は、警報値の変更の際には、トレンドグラフにおいて、記憶されている警報値により警報が発生した区間と、変更のために入力された警報値により警報が発生する区間とを識別可能に表示する。
【0010】
好ましくは、記憶されている警報値によって、一定時間内に第1の割合以上警報が発生された場合に、ユーザに警報値の再設定を促すための報知処理手段をさらに備える。
【0011】
好ましくは、報知処理手段は、記憶されている警報値によって、一定時間内に、第1の割合よりも低い第2の割合以下しか警報が発生されなかった場合にも、ユーザに警報値の再設定を促す。
【0012】
好ましくは、設定処理手段は、一定期間における生体情報の経過値の平均値に対して付加または乗算する割合をユーザより受付けることによって、警報値を設定する。
【0013】
好ましくは、設定処理手段は、さらに、予め定められたタイミングごとに、一定の範囲内に限って、一定期間における生体情報の経過値の平均値に特定の割合だけ付加または乗算した値を、警報値として自動的に設定する。
【0014】
この発明の他の局面に従う警報値設定方法は、患者の生体情報を監視する生体情報監視装置において警報値を設定するための方法であって、生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザからの指示に基づいて、生体情報についての警報値を設定するステップと、警報値の設定の際に、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するステップとを含む。
【0015】
この発明のさらに他の局面に従う警報値設定プログラムは、患者の生体情報を監視する生体情報監視装置において警報値を設定するためのプログラムであって、生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザからの指示に基づいて、生体情報についての警報値を設定するステップと、警報値の設定の際に、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するステップとを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、警報値の設定の際に、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示される。したがって、ユーザは、入力した警報値により警報が発生される区間を視覚的に把握できるので、適切な警報値を設定することができる。その結果、患者への処置の遅れを軽減することができ、医療事故を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における監視システムの概略の構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における生体モニタの構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるセントラルモニタの構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるセントラルモニタの基本画面の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における患者管理データのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における警報値設定処理を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS106で表示されるトレンド画面の具体例を示す図である。
【図8】(A),(B)は、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域内の情報例を示す図である。
【図9】(A),(B)は、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域内の情報例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における報知処理を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS206で表示される画面の一例を示す図である。
【図12】半自動モードの際に、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域内の情報例を示す図である。
【図13】全自動モードが選択された場合に自動設定される警報値と生体情報の経過値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
<構成例について>
図1は、本発明の実施の形態における監視システムの概略の構成例を示す図である。
【0020】
監視システムは、複数の生体モニタ10と、セントラルモニタ20とを含む。複数の生体モニタ10とセントラルモニタ20とは、有線または無線にて接続される。
【0021】
生体モニタ10は、ベッド毎に設けられ、各患者の生体情報を測定する。生体モニタ10の前面には、測定した生体情報を表示するための表示部102と、音声を出力するためのスピーカ104と、ユーザ(看護師などの医療従事者)からの指示を受付けるための操作ボタン106aが設けられる。表示部102は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などにより実現される。
【0022】
「生体情報」とは、生体に関する情報であり、具体的には、心電図、心拍数、血圧(最
高血圧値および/または最低血圧値など)、酸素飽和度および体温のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
セントラルモニタ20は、生体モニタ10にて測定された複数の患者の生体情報を監視する。セントラルモニタ20は、通常、ナースステーションに設けられる。
【0024】
セントラルモニタ20の前面には、複数の生体モニタ10にて測定された生体情報などを表示するための表示部202と、音声を出力するためのスピーカ204と、ユーザ(看護師などの医療従事者)からの指示を受付けるための操作ボタン206aとが設けられる。表示部202は、指示入力部としても機能してもよく、たとえばタッチパネルにより実現されてもよい。
【0025】
本実施の形態において、警報値を設定することのできる生体情報監視装置は、複数の患者の生体情報を監視するセントラルモニタ20により実現されることとして説明するが、一人の患者の生体情報を監視する生体モニタ10によって実現されてもよい。
【0026】
(生体モニタの構成例)
図2は、本発明の実施の形態における生体モニタ10の構成例を示すブロック図である。
【0027】
図2を参照して、生体モニタ10は、上記構成に加え、装置全体の制御および各種演算処理を行なうための制御部101と、警報を発するための警報部103と、計時動作を行なうための計時部105と、操作ボタン106aを含む操作部106と、計測結果やプログラム等を記憶するための記憶部107と、セントラルモニタ20と通信するための通信I/F(インターフェイス)108と、電源部109と、生体情報計測部110と、プリンタ111と、外部よりデータの入力を受付けるためのデータ入出力部115とを含む。
【0028】
制御部101は、操作部106から入力される操作信号に基づいて記憶部107に記憶されているプログラムを読み出して実行し、それに伴って制御信号を生成して各部に出力することによって、全体を制御する。制御部101は、たとえばCPU(Central Processing Unit)によって構成される。
【0029】
生体情報計測部110は、血圧を計測するための血圧計測部21、酸素飽和度を計測するための酸素飽和度計測部22、心電図を計測するための心電計測部23、体温を計測するための体温計測部24、および患者の呼吸中の特定成分の濃度を計測するための呼吸計測部25を含む。なお、これら計測部の具体的な構成は、公知の構成であってよい。生体情報計測部110は、制御部101からの制御信号に従って、上記計測部のうち指定された計測部において生体情報を計測し、計測結果を制御部101に入力する。
【0030】
また、制御部101は、生体情報がユーザにより設定された異常値(警報値)であるか否かを判定し、異常値であると判定した場合には、スピーカ104から警報音を出力するとともに、警報部103を構成するランプを発光させるよう制御する。ただし、このスピーカ104から警報音出力は、ベットサイドに医療従事者等がいる場合を除いて、通常は、操作部106の操作によって停止させられている。
【0031】
記憶部107は、各計測部から得られる複数の生体情報の測定値を時系列に記憶する。つまり、記憶部107には、複数の生体情報の経過値が記憶される。
【0032】
データ入出力部115は、たとえば、着脱可能な記録媒体115aからプログラムやデータを読み出したり書き込んだりする。また/または、データ入出力部115は、外部の図示しないコンピュータから通信回線を介してプログラムやデータの送受信ができてもよい。
【0033】
(セントラルモニタの構成例)
図3は、本発明の実施の形態におけるセントラルモニタ20の構成例を示すブロック図である。セントラルモニタ20は、たとえば一般的なパーソナルコンピュータであってよい。
【0034】
図3を参照して、セントラルモニタ20は、上記構成に加え、装置全体の制御および各種演算処理を行なうための制御部201と、警報を発するための警報部203と、計時動作を行なうための計時部205と、操作ボタン206aを含む操作部206と、計測結果やプログラム等を記憶するための記憶部207と、生体モニタ10と通信するための通信I/F208と、電源部209と、プリンタ211と、外部よりデータの入力を受付けるためのデータ入出力部215とを含む。
【0035】
制御部201は、操作部206から入力される操作信号に基づいて記憶部207に記憶されているプログラムを読み出して実行し、それに伴って制御信号を生成して各部に出力することによって、全体を制御する。制御部201も、生体モニタ10と同様、たとえばCPUによって構成される。
【0036】
警報部203は、たとえば光を発するランプにより構成される。警報部103は、LED(Light Emitting Diode)によって構成されてもよい。
【0037】
記憶部207は、データ保存用に設けた不揮発性の記憶媒体、たとえばシリコンディスク(半導体素子で構成されたメモリ)を含む。記憶部207は、接続されている生体モニタ10から得られる少なくとも1種の生体情報の測定値を時系列に記憶する。つまり、記憶部207には、患者ごとに、少なくとも1種の生体情報の経過値が記憶される。
【0038】
プリンタ211は、制御部201によって制御されて、生体情報の測定結果などを紙媒体に印刷する。
【0039】
データ入出力部215は、たとえば、着脱可能な記録媒体215aからプログラムやデータを読み出したり書き込んだりする。また/または、データ入出力部215は、外部の図示しないコンピュータから通信回線を介してプログラムやデータの送受信ができてもよい。
【0040】
ここで、セントラルモニタ20において表示部202に表示される画面の特徴について説明する。
【0041】
通常、セントラルモニタ20の表示部202には基本画面(トップ画面)が表示されており、ユーザより所定の指示が入力された場合、あるいは、所定のタイミング(警報が発生したときなど)において、基本画面が他の画面に切替えられる。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態におけるセントラルモニタ20の基本画面の一例を示す図である。セントラルモニタ20は、4つの生体モニタ10と接続されているものと仮定する。
【0043】
図4を参照して、基本画面では、表示部202の4つの表示領域41〜44それぞれに、4つのモニタ10での生体情報の測定結果が表示されている。
【0044】
各表示領域41〜44には、患者(生体モニタ10)を識別するための個人番号を示した領域51、および、患者の氏名52が表示される。また、各表示領域41〜44は、心電波形などの波形を表示可能な波形領域53、測定結果を数値で表示する数値領域54を含む。波形領域53には、アラーム(警報)が発生した場合にアラーム内容を示す情報を表示するためのメッセージ領域55が含まれる。なお、アラーム内容を示す情報は、波形領域53とは別の領域に表示されてもよい。また、波形や数値を表示する位置も、図4に示したような位置に限定されない。
【0045】
本実施の形態では、個人番号を示した領域51の近傍に設けられた領域61が、対応する患者のグループに応じた色で表示されている。このような表示を実現するためには、記憶部207には、患者ごとに、グループ特定情報が記憶されているものとする。
【0046】
「グループ特定情報」とは、患者のグループを特定するための情報である。患者のグループは、たとえば、看護チームにより分類される。その場合、グループ特定情報により、各患者がどの看護チームに担当されているかが特定される。これにより、基本画面を見た看護師は、どの患者が自分の受け持ちの患者であるかを、直感的に把握することができる。なお、患者のグループは、看護チームによる分類に限定されず、患者の属性(年齢,性別)による分類、または、患者の病態(症状,病状)による分類などが採用されてもよい。グループ色の設定は、たとえば入床の際に、ユーザ(看護師)により行なわれる。
【0047】
本実施の形態では、基本画面は、「全ベッド」と示されたタグTG1が選択されている場合に表示される。入床時の登録画面、アラーム設定画面、トレンド画面などは、個人番号「1」〜「4」が示されたタグTG2のいずれかが選択されている場合に表示される。
【0048】
ユーザよりある患者についてのタグが選択され、かつ、アラーム設定画面を表示するためのタグTG3が選択されると、一般的な警報値設定方法として、生体情報の種類ごとに、警報値の入力を受付ける入力欄等が表示される。また、トレンド画面を表示するためのタグTG4が選択されると、選択された患者についての各生体情報の経過値(時系列に得られた測定値)を示すトレンドグラフが表示される。
【0049】
本実施の形態におけるセントラルモニタ20は、このトレンド画面において、警報値の設定を可能にする。以下に、本実施の形態において、トレンド画面上で警報値の設定を可能にするための制御部201の機能について説明する。
【0050】
再び図3を参照して、制御部201は、警報値設定に関する機能として、設定処理部220および報知処理部222を含む。
【0051】
設定処理部220は、トレンド画面を表示した状態で、ユーザからの指示に基づいて、生体情報についての警報値を設定および変更する処理を行なう。ユーザより警報値が入力されると、設定処理部220は、入力された警報値により警報が発生する区間を判定し、その判定結果を表示部202に出力する。これにより、表示部202には、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間(入力された警報値によれば警報が発生していたであろう区間、以下「仮想アラーム区間」ともいう)が他と区別されて表示される。したがって、ユーザは、入力した警報値による仮想アラーム区間を視覚的に把握できるので、適切な警報値を設定することができる。
【0052】
設定された警報値は、記憶部207に患者ごとに記憶される。本実施の形態では、警報値は、患者を管理するための患者管理データに含まれる。患者管理データの構造例については後述する。
【0053】
また、設定処理部220は、過去に設定された警報値(記憶部207に記憶されている現在の警報値)を変更する際には、表示部202に、トレンドグラフにおいて、過去に設定された警報値により警報が発生した区間(以下「リアルアラーム区間」ともいう)と、変更のために入力された新たな警報値による仮想アラーム区間とを識別可能に表示するための信号を出力する。したがって、ユーザは、新たに設定された警報値によると、警報が発生する期間がどの程度増加または減少するのかを視覚的に把握することができる。その結果、警報値の、適切な値への変更をユーザに促すことができる。
【0054】
報知処理部222は、現在の警報値によって、一定時間内に第1の割合以上の時間、警報が発生されたことを検出した場合に、ユーザに警報値の再設定(変更)を促す。また/または、現在の警報値によって、一定時間内に第2の割合以下の時間しか警報が発生されなかった場合にも、ユーザに警報値の再設定を促してもよい。「第2の割合」は、第1の割合よりも小さい値であり、「0」であってもよい。第1の割合および第2の割合は、いずれも、出荷時に予め定められていてもよいし、ユーザにより患者ごとに定められてもよい。また、警報発生の頻度を時間により判定することとしたが、回数によって判定してもよい。ユーザへの報知の具体例については後述する。
【0055】
なお、本実施の形態では、トレンド画面(タグTG4に対応)上において、警報値の設定を可能にする例を説明するが、アラーム設定画面(タグTG3に対応)上において、アラーム設定対象の生体情報についてのトレンドグラフを表示できる構成としてもよい。いずれにしても、アラーム設定対象の生体情報のトレンドグラフが表示された画面において、警報値が設定できる構成であればよい。
【0056】
設定処理部220および報知処理部222の動作は、記憶部207中に格納されたソフトウェアを実行することで実現されてよい。たとえば、これらの機能部それぞれに対応するモジュールを含んだプログラムが記憶部207に格納されている。なお、これらのうちの少なくとも1つについては、ハードウェアで実現されてもよい。
【0057】
<患者管理データの構造例>
図5は、本発明の実施の形態における患者管理データD10のデータ構造の一例を示す図である。患者管理データD10は、たとえば、記憶部207に格納される。
【0058】
図5を参照して、各患者管理データD10は、4つの項目すなわち、個人番号の項目301と、個人情報の項目302と、グループ色の項目303と、警報値の項目304とを含む。
【0059】
個人番号の項目301には、個人番号1〜4のいずれが記録される。個人情報の項目302には、入床の際に入力される、患者名、患者ID、部屋番号、生年月日および性別が格納される。当該項目302に、生体モニタの識別情報などがさらに格納されてもよい。グループ色の項目303は、ユーザにより選択された色の識別データが格納される。
【0060】
警報値の項目304には、生体情報の種別ごとに設定された警報値(上限および下限)が格納される。
【0061】
<警報値設定処理>
セントラルモニタ20において実行される警報値設定処理について説明する。
【0062】
(動作について)
図6は、本発明の実施の形態における警報値設定処理を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示す処理は、予めプログラムとして記憶部207に格納されており、制御部201がこのプログラムを読み出して実行することにより、警報値設定処理の機能が実現される。なお、図6に示す処理は、たとえば、基本画面表示中に、ある患者のトレンド画面を表示する指示が入力された場合に開始される。
【0063】
図6を参照して、はじめに、制御部201は、表示部202にトレンド画面を表示させる。これにより、ユーザより指定された患者の、複数の生体情報のトレンドグラフが画面上に表示される(ステップS102)。その後、複数の生体情報のうち、ユーザによりアラーム設定対象の生体情報が選択されると(ステップS104)、トレンド画面上に、アラーム設定用領域を表示する(ステップS106)。アラーム設定用領域には、設定対象の生体情報のトレンドグラフの一部が拡大表示される。ここで表示される画面例は、後述する。
【0064】
次に、設定処理部220は、ユーザより警報値の入力を受付ける(ステップS108)。設定処理部220は、ユーザより入力された新たな警報値による警報発生タイミングを特定する。具体的には、記憶部207において時系列に記憶された測定値のなかから、新たな警報値(上限,下限)を超えている測定値を検出し、その測定値に対応する時間(生体情報が測定された時間)を特定する。設定処理部220は、特定された時間情報を表示部202に出力する。
【0065】
これにより、設定対象のトレンドグラフにおいて、新たな警報値によるアラーム発生区間(仮想アラーム区間)と実際のアラーム発生区間(リアルアラーム区間)とが対比して(識別可能に)表示される(ステップS110)。ステップS110で表示される画面例についても後述する。なお、警報値を新規に設定する場合には、今回入力された警報値による仮想アラーム区間のみが他の区間と識別可能に表示される。
【0066】
その後、設定処理部220は、警報値の決定指示があるか否かを判断する(ステップS112)。決定指示がなければ(ステップS112にてNO)、ステップS108に戻り、再度新たな警報値の入力を受付ける。決定指示があれば(ステップS112にてYES)、設定処理部220は、警報値を更新する(ステップS114)。具体的には、たとえば、図5に示した患者管理データD10の項目304に記憶された、対象の生体情報の警報値(上限および下限)を、新たに入力された警報値に上書きする。警報値を新規に設定する場合には、患者管理データD10の項目304に、対象の生体情報の種類を示すデータと対応付けて、今回入力された警報値のデータを格納する。
【0067】
以上の処理により、警報値設定処理は終了され、基本画面が再度表示される。
(表示例について)
図7は、図6のステップS106で表示されるトレンド画面の具体例を示す図である。なお、図7には、図4に示した基本画面において、タグTG2のうち個人番号「3」のタグが選択され、かつ、「トレンド」と表示されたタグTG4が選択された場合の画面例が示されている。
【0068】
図7を参照して、トレンド画面の領域71には、患者の個人番号、患者名、心電図、他の生体情報の現在の測定値などが表示されている。領域73には、心電図以外の生体情報ごとに、トレンドグラフが示されている。具体的には、上から順に、心拍数(HR)、呼吸数、酸素飽和度(SpO2)、非観血血圧(NIBP)、体温(T1,T2)それぞれのトレンドグラフが表示されている。領域73に示した過去1時間において、アラームが発生した期間(リアルアラーム区間)の背景色が他と異なる色(たとえば赤色)で表示されている。領域73において、各トレンドグラフの右横には、過去のある時点における測定値がさらに表示されてもよい。
【0069】
領域75は、アラーム設定用領域であり、指定された生体情報のトレンドグラフの一部が拡大表示されるとともに、警報値設定のための入力欄およびボタン等が表示される。ここでは、図6のステップS104において、アラーム設定対象の生体情報として心拍数が選択された場合の例が示されている。
【0070】
なお、図6のステップS102の時点では、領域73に示す複数のトレンドグラフは、領域75の部分まで大きく表示されており、アラーム設定対象の生体情報が選択された時点で、縮小表示されてよい。また、アラーム設定対象の生体情報の選択は、たとえば、表示された複数のトレンドグラフのうちの一つがユーザの指等によりタッチされることによって行なわれてよい。その場合、制御部201は、タッチされた画面上の位置を特定することにより、ユーザが指定した生体情報の種類を判別することができる。
【0071】
図8(A),(B)および図9(A),(B)は、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域75内の情報例を示す図である。図8(A),図9(A)には、アラーム設定用領域75に最初に表示される情報が示されており、図8(B),図9(B)には、新たな警報値入力後にアラーム設定用領域75に表示される情報が示されている。
【0072】
図8(A),図9(A)を参照して、アラーム設定用領域75では、アラーム設定対象のトレンドグラフとして、たとえば、心拍数のトレンドグラフ(縦軸の単位:bpm)が表示されている。また、そのトレンドグラフの右横に、上限の警報値(以下、単に「上限値」ともいう)の入力欄81、および、上限値の変更を指示するための上下ボタン82、下限の警報値(以下、単に「下限値」ともいう)の入力欄83、および、下限値の変更を指示するための上下ボタン84が表示される。
【0073】
このように、本実施の形態によると、設定対象の生体情報のトレンドグラフが表示された画面において、警報値が設定できる。したがって、ユーザは、過去の測定値の経過を確認しながら、警報値を設定することができるため、適切な値を設定することができる。
【0074】
図8(A),図9(A)に示された上限値および下限値は、過去に設定されていた警報値、すなわち、図5に示した患者管理データD10の項目304に記憶された警報値である。図8(A),図9(A)に示されるように、アラームデータを示すトレンドグラフは、はじめ、過去の上限値を示す上限ラインLa1と、過去の下限値を示す下限ラインLa2とを表示することで、上下方向に3分割される。
【0075】
時間経過に伴なう測定値の変化傾向を示すトレンドラインL0が上限ラインLa1または下限ラインLa2を超えた期間(期間Ta1,Ta2など)の背景領域(図中ハッチング部分)が、他と異なる色で表示されている。これにより、過去の一定期間におけるリアルアラーム区間を容易に視認することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、上限ラインLa1を超えた期間(たとえば期間Ta2)は、正常範囲を示す正常領域(上限ラインLa1と下限ラインLa2との間)と、上限ラインLa1より上部の領域とが、他と異なる色で表示され、下限ラインLa2を超えた期間(たとえば期間Ta1)は、正常領域と、下限ラインLa2より下部の領域とが、他と異なる色で表示される。これにより、ユーザは、トレンドラインL0が上限ラインLa1と下限ラインLa2のどちらを超えたのかについても容易に確認することができる。
【0077】
なお、アラームデータを示すトレンドグラフは、図7のアラーム設定用領域75に示されるように、上限および下限のいずれを超えたかにかかわらず、アラーム発生区間は、分割された3つの部分全てを赤色等で表示してもよい。
【0078】
図8(A),図9(A)の表示状態から、ユーザが上下ボタン82,84を操作したとする。
【0079】
図8(B)を参照して、たとえば、元の上限値“120”を“130”に変更し、元の下限値“70”を“80”に変更したとする(図6のステップS108)。そうすると、リアルアラーム区間に対応する期間Ta1,Ta2は、正常領域のみが他と異なる色で表示される。新たな上限値による仮想アラーム区間に対応する期間(すなわち、トレンドラインL0が新たな上限ラインLb1を超える期間)Tb2は、上限ラインLb1より上部の領域のみが他と異なる色で表示される。新たな下限値による仮想アラーム区間に対応する期間(すなわち、トレンドラインL0が新たな下限ラインLb2を超える期間)Tb1は、下限ラインLb2より下部の領域のみが他と異なる色で表示される。このように、トレンドグラフにおいて、新たな警報値による仮想アラーム区間とリアルアラーム区間とが識別可能に表示される(図6のステップS110)。そのため、ユーザは、入力した警報値により、警報発生時間がどれぐらい変化(増加または減少)するのかを容易に把握することができる。
【0080】
図9(B)には、下限値を元の値“70”よりも低い“80”に変更した場合のトレンドグラフの表示例が示されている。上限値は、図8(B)の例と同様である。この場合も、新たな下限値による仮想アラーム区間に対応する期間(すなわち、トレンドラインL0が新たな下限ラインLb3を超える期間)Tb3は、下限ラインLb3より下部の領域のみが他と異なる色で表示される。
【0081】
図8(B)のトレンドグラフと図9(B)のトレンドグラフを比較すると、図8(B)の方が、下限値を上げたことによりアラーム発生期間が多くなっている。したがって、ユーザは、警報の多発による危機感の薄れや注意力の低下を防止するには、図9(B)に示した警報値に設定する方が適切であると判断することができる。このように、本実施の形態によると、患者のトレンドグラフ上に、設定しようとする警報値による仮想アラーム区間(期間)を他と区別して表示することにより、患者ごとに適切な警報値の設定を可能にすることができる。
【0082】
なお、新たに警報値が設定される場合には、設定対象の生体情報のトレンドグラフにおいて、仮想アラーム区間のみが他と区別して表示される。このような場合にも、ユーザは、どれくらい警報が発生するのかを予想することができるため、適切な警報値の設定が可能となる。
【0083】
<報知処理>
セントラルモニタ20において実行される報知処理について説明する。
【0084】
(動作について)
図10は、本発明の実施の形態における報知処理を示すフローチャートである。図10のフローチャートに示す処理もまた、予めプログラムとして記憶部207に格納されており、制御部201がこのプログラムを読み出して実行することにより、報知処理の機能が実現される。なお、図10に示す処理は、たとえば、基本画面表示中に、所定タイミング(たとえば1分ごと)で実行されるものとする。また、以下の説明では、説明の簡単のために、一人の患者についての報知処理が示されているが、実際には、患者ごとに、以下に示す処理が実行される。
【0085】
図10を参照して、報知処理部222は、まず、生体情報ごとに、一定時間(たとえば1時間)内に、アラーム発生した時間の割合を算出する(ステップS202)。そして、生体情報ごとに、算出された時間割合が、予め定められた割合(たとえば60%)以上か否かを判断する(ステップS204)。全ての生体情報について、算出された時間割合が60%未満であれば(ステップS204にてNO)、この処理は終了される。
【0086】
これに対し、算出された時間割合が60%以上の生体情報があれば(ステップS204にてYES)、報知処理部222は、表示部202に、警報値の再設定を促すメッセージを表示させる(ステップS206)。
【0087】
このように、本実施の形態によると、警報の発生頻度が高い(警報発生の時間が長い)生体情報があると、ユーザに警報値の再設定を促すことができる。これにより、警報に慣れてしまう前に、適切なタイミングで、警報値の見直しを促すことができる。その結果、本当に重要な警報を放置してしまうことを防止することができる。
【0088】
なお、図10のフローチャートでは、警報の発生頻度が高い場合にのみ警報値の再設定を促すこととしたが、上述のように、警報の発生頻度が低い場合にも、警報値の再設定を促してもよい。たとえば、一定時間内にアラーム発生した時間の割合が、たとえば5%以下の場合にも、報知処理部222は、表示部202に、警報値の再設定を促すメッセージを表示してもよい。
【0089】
このように、警報の発生頻度が低い(警報発生の時間が極端に少ない)場合にも警報値の再設定を促すことで、患者の容体の急変を見逃してしまう危険性を減少させることができる。
【0090】
(表示例について)
図11は、図10のステップS206で表示される画面の一例を示す図である。
【0091】
図11を参照して、基本画面上に、ポップアップ画面90が表示されている。ポップアップ画面90には、対象の患者の個人番号と、「アラーム値が適切か確認して下さい」といったメッセージとが含まれる。なお、ポップアップ画面90には、アラーム発生の頻度が高いと判定された生体情報の種類(例:「心拍数」,「血圧」など)についても表示させることが望ましい。
【0092】
図11のポップアップ画面90における「閉じる」と示されたボタンが指示されると、この画面90が閉じられる。「トレンド画面へ」と示されたボタンが指示されると、個人番号‘2’で特定される患者のトレンド画面に表示画面が切替えられる。遷移後のトレンド画面は、図7に示したような画面であってよい。
【0093】
なお、ポップアップ画面90は、一定時間経過後に自動で閉じるようになっていてもよい。つまり、制御部201は、計時部205が計時する現在日時に基づいて、ポップアップ画面90を表示してから所定時間(たとえば30秒)経過したか否かを判断し、所定時間経過したと判断した場合に、ポップアップ画面90(つまり、警報値再設定のためのメッセージ)を消去してもよい。このようにすることで、多忙なユーザ(看護師)の手間を減らすことができ、その結果、看護師の業務を支援することが可能となる。
【0094】
または、本実施の形態では、基本画面上に警報値再設定のためのメッセージを表示することとしたが、このようなメッセージの表示に代えて、画面を、図7に示したようなトレンド画面に直接切替えることとしてもよい。
【0095】
または、本実施の形態では、表示により警報値の変更を促すこととしたが、報知の形態は表示に限定されない。たとえば、スピーカ204より音声により警報値の再設定を促してもよい。
【0096】
<警報値設定処理の変形例1>
設定処理部220は、ユーザによる適切な警報値の設定を補助(支援)する機能をさらに有していてもよい。このような機能に対応するアラーム設定モードを、「半自動モード」と呼ぶ。上記実施の形態に示したような手動操作によるアラーム設定モードは、ここでは「マニュアルモード」と呼ぶ。
【0097】
図12は、半自動モードの際に、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域75内の情報例を示す図である。
【0098】
図12を参照して、本変形例では、アラーム設定用領域75には、半自動モードおよびマニュアルモードのいずれかを選択可能な入力欄85がさらに表示される。ここで半自動モードが選択されると、設定処理部220は、一定期間(たとえば1時間)における生体情報の経過値の平均値として、たとえば移動平均値を算出する。設定処理部220は、算出された移動平均値の情報として、移動平均値の位置を示す平均ラインLavをトレンドグラフに表示する。このように、患者ごとに異なる生体情報の基準値(平均値)が把握できるので、警報値の設定を容易に行なうことができる。なお、表示部202に表示される移動平均値の情報は、平均ラインLavの表示に代えて、移動平均値が数値として所定の領域に表示されてもよい。
【0099】
半自動モードの場合、入力欄81A,83Aに入力される値は、算出された移動平均値に対して付加する(加算する)割合(%)である。本実施の形態においては、付加する割合の入力を受付けることとするが、限定的ではなく、たとえば移動平均値に乗算する割合の入力を受付けてもよい。
【0100】
図12の例では、上限値が、移動平均値に“20%”付加した値、下限値が、移動平均値に“−20%”付加した値として設定されたとする。その場合、移動平均値に“20%”付加した値を示す上限ラインLc1と、移動平均値に“−20%”付加した値を示す下限ラインLc2とがトレンドグラフ上に表示される。
【0101】
この例では、過去に設定された警報値が存在せず、はじめて警報値を設定する場面が想定されている。したがって、算出された移動平均値と今回入力された割合とに応じて算出される警報値(上限,下限)を超える区間が、仮想アラーム区間として、トレンドグラフにおいて識別可能に表示される。
【0102】
このように、本変形例によると、ユーザは、過去一定時間における生体情報の移動平均値に対して付加する割合を選択(入力)するだけでよいので、適切な警報値の設定を支援することができる。
【0103】
<警報値設定処理の変形例2>
設定処理部220は、自動で警報値を設定する機能をさらに有していてもよい。このような機能に対応するアラーム設定モードを、「全自動モード」と呼ぶ。全自動モードの選択も、変形例1と同様の方法により可能であってよい。つまり、たとえば、アラーム設定用領域におけるモード入力欄(図12の入力欄85)において選択可能であってよい。
【0104】
全自動モードが選択された場合、設定処理部220は、予め定められたタイミング(たとえば5分)ごとに、一定期間(たとえば過去1時間)における、対象の生体情報の経過値の移動平均値を算出する。そして、算出された移動平均値に、特定の割合だけ付加または乗算した値を、警報値として自動的に設定する。「特定の割合」とは、出荷時に予め定められた割合であってもよいし、変形例1と同様に、全自動モードが選択された時点でユーザにより入力された割合であってもよい。
【0105】
図13は、全自動モードが選択された場合に自動設定される警報値と生体情報の経過値(トレンドライン)との関係を示す図である。
【0106】
図13を参照して、全自動モードでは、警報値の上限および下限それぞれを示すラインLd1およびLd2のように、警報値は、一定期間内における測定値の平均値に応じて変化する。このように、生体情報の過去の移動平均値に合わせて警報値を追従させることで、患者の急変をより確実に捉えることが可能となる。
【0107】
このような警報値の自動設定の場合、上限および下限それぞれについて警報値リミットを設けておくことが望ましい。つまり、移動平均値に特定の割合だけ付加または乗算した値が、警報値リミットを超えていた場合には、警報値リミットの値に警報値を設定することが望ましい。図13において、警報値リミット(上限,下限)は、ラインLt1,Lt2で示されている。このように、一定範囲内(警報値リミットの範囲内)に限って、警報値の設定を自動化することで、測定値の絶対値の異常、および、測定値の急変のいずれについても確実に検出することができる。なお、警報値リミットについても、出荷時に予め定められた値であってもよいし、全自動モードが選択された時点でユーザにより入力された値であってもよい。
【0108】
なお、図10に示したようにアラーム発生の頻度が高い場合など、警報値が適切でない可能性がある場合に、報知画面を表示し、全自動モードへの移行を選択可能にしてもよい。このように、現在の警報値が不適切な値に設定されている場合に、アラーム設定モードを簡単に全自動モードに変更可能にすることで、多忙な看護師の業務を支援しつつ、不適切な警報値が設定されたことによる注意力の低下や急変の見逃しを軽減することができる。その結果、医療事故を防止することが可能となる。
【0109】
なお、上記変形例1と変形例2とを組合わせてもよい。
<その他>
本実施の形態のセントラルモニタが行なう、警報値設定方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、当該プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non-transitory)記録媒体に記録される。このような「コンピュータ読取可能な記録媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc-ROM)などの光学媒体や、メモリカードなどの磁気記録媒体などを含む。また、このようなプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させて、プログラム製品として提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0110】
なお、本実施の形態に係るプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本実施の形態に係るプログラムに含まれ得る。
【0111】
また、本実施の形態に係るプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本実施の形態に係るプログラムに含まれ得る。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記憶された記憶媒体とを含む。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
10 生体モニタ、20 セントラルモニタ、21 血圧計測部、22 酸素飽和度計測部、23 心電計測部、24 体温計測部、25 呼吸計測部、101,201 制御部、102,202 表示部、103,203 警報部、104,204 スピーカ、105,205 計時部、106,206 操作部、106a,206a 操作ボタン、107,207 記憶部、108,208 通信I/F、109,209 電源部、110 生体情報計測部、111,211 プリンタ、115,215 データ入出力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報監視装置、警報値設定方法および警報値設定プログラムに関し、特に、ユーザからの指示に基づいて生体情報の警報値を設定することのできる生体情報監視装置、警報値設定方法および警報値設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生体情報監視装置において表示される画面としては、患者の現在の生体情報を表示する画面(基本画面)の他、保存したデータを表示する画面(トレンドやリストなど)、各種設定を行なう画面(患者情報や警報値設定など)がある。これらの各画面は独立しており、用途に応じて切替えて使用される。したがって、従来の生体情報監視装置において、警報値の設定は、警報値設定用の専用画面にて実施されることが一般的である。
【0003】
一方で、生体情報監視装置において、トレンドグラフにおいて、限界値を超えた部分を他と識別可能に表示する技術が存在する。
【0004】
たとえば特開2009−6147号公報(特許文献1)には、トレンドグラフにおいて、生理的パラメータが限界値を超える状態、または、アラーム状態を暗く示すことが記載されている。また、WO2004/023994号パンフレット(特許文献2)には、トレンドグラフにおいて、誘導V3のSTレベルを示す線が正常範囲の上限値を超える場合、その上限値を超えるグラフ線部分を異常値色で表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−6147号公報
【特許文献2】WO2004/023994号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生体情報監視装置において、警報値を設定する場合、看護師は、警報値設定用の専用画面において、医師からの指示や表示されている現在の値を参考に、警報値を設定している場合が多い。このようにして警報値の設定を行った場合、一時的な値を元に不適切な警報値が設定されることがある。たとえば、すぐに警報が鳴ってしまうような値が警報値に設定されたとすると警報が多発するため、警報への注意力が低下してしまい、本当に重要な警報情報に気が付かなくなる恐れがある。逆に、警報が発生し難い値が警報値に設定されたとすると、患者の急変を迅速に知ることができなくなる恐れがある。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、適切な警報値を設定することのできる生体情報監視装置、警報値設定方法および警報値設定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従う生体情報監視装置は、患者の生体情報を監視するための生体情報監視装置であって、生体情報の経過値を記憶するための記憶手段と、警報を発生するための警報手段と、ユーザからの指示を受付けるための操作手段と、生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、指示に基づいて、生体情報についての警報値を設定する処理を行なうための設定処理手段と、警報値の設定の際に、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するための表示手段とを備える。
【0009】
好ましくは、記憶手段は、設定処理手段により設定された警報値をさらに記憶し、設定処理手段は、記憶されている警報値を変更する処理をさらに行ない、表示手段は、警報値の変更の際には、トレンドグラフにおいて、記憶されている警報値により警報が発生した区間と、変更のために入力された警報値により警報が発生する区間とを識別可能に表示する。
【0010】
好ましくは、記憶されている警報値によって、一定時間内に第1の割合以上警報が発生された場合に、ユーザに警報値の再設定を促すための報知処理手段をさらに備える。
【0011】
好ましくは、報知処理手段は、記憶されている警報値によって、一定時間内に、第1の割合よりも低い第2の割合以下しか警報が発生されなかった場合にも、ユーザに警報値の再設定を促す。
【0012】
好ましくは、設定処理手段は、一定期間における生体情報の経過値の平均値に対して付加または乗算する割合をユーザより受付けることによって、警報値を設定する。
【0013】
好ましくは、設定処理手段は、さらに、予め定められたタイミングごとに、一定の範囲内に限って、一定期間における生体情報の経過値の平均値に特定の割合だけ付加または乗算した値を、警報値として自動的に設定する。
【0014】
この発明の他の局面に従う警報値設定方法は、患者の生体情報を監視する生体情報監視装置において警報値を設定するための方法であって、生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザからの指示に基づいて、生体情報についての警報値を設定するステップと、警報値の設定の際に、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するステップとを含む。
【0015】
この発明のさらに他の局面に従う警報値設定プログラムは、患者の生体情報を監視する生体情報監視装置において警報値を設定するためのプログラムであって、生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザからの指示に基づいて、生体情報についての警報値を設定するステップと、警報値の設定の際に、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するステップとを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、警報値の設定の際に、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示される。したがって、ユーザは、入力した警報値により警報が発生される区間を視覚的に把握できるので、適切な警報値を設定することができる。その結果、患者への処置の遅れを軽減することができ、医療事故を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における監視システムの概略の構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における生体モニタの構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるセントラルモニタの構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるセントラルモニタの基本画面の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における患者管理データのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における警報値設定処理を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS106で表示されるトレンド画面の具体例を示す図である。
【図8】(A),(B)は、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域内の情報例を示す図である。
【図9】(A),(B)は、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域内の情報例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における報知処理を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS206で表示される画面の一例を示す図である。
【図12】半自動モードの際に、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域内の情報例を示す図である。
【図13】全自動モードが選択された場合に自動設定される警報値と生体情報の経過値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
<構成例について>
図1は、本発明の実施の形態における監視システムの概略の構成例を示す図である。
【0020】
監視システムは、複数の生体モニタ10と、セントラルモニタ20とを含む。複数の生体モニタ10とセントラルモニタ20とは、有線または無線にて接続される。
【0021】
生体モニタ10は、ベッド毎に設けられ、各患者の生体情報を測定する。生体モニタ10の前面には、測定した生体情報を表示するための表示部102と、音声を出力するためのスピーカ104と、ユーザ(看護師などの医療従事者)からの指示を受付けるための操作ボタン106aが設けられる。表示部102は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などにより実現される。
【0022】
「生体情報」とは、生体に関する情報であり、具体的には、心電図、心拍数、血圧(最
高血圧値および/または最低血圧値など)、酸素飽和度および体温のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
セントラルモニタ20は、生体モニタ10にて測定された複数の患者の生体情報を監視する。セントラルモニタ20は、通常、ナースステーションに設けられる。
【0024】
セントラルモニタ20の前面には、複数の生体モニタ10にて測定された生体情報などを表示するための表示部202と、音声を出力するためのスピーカ204と、ユーザ(看護師などの医療従事者)からの指示を受付けるための操作ボタン206aとが設けられる。表示部202は、指示入力部としても機能してもよく、たとえばタッチパネルにより実現されてもよい。
【0025】
本実施の形態において、警報値を設定することのできる生体情報監視装置は、複数の患者の生体情報を監視するセントラルモニタ20により実現されることとして説明するが、一人の患者の生体情報を監視する生体モニタ10によって実現されてもよい。
【0026】
(生体モニタの構成例)
図2は、本発明の実施の形態における生体モニタ10の構成例を示すブロック図である。
【0027】
図2を参照して、生体モニタ10は、上記構成に加え、装置全体の制御および各種演算処理を行なうための制御部101と、警報を発するための警報部103と、計時動作を行なうための計時部105と、操作ボタン106aを含む操作部106と、計測結果やプログラム等を記憶するための記憶部107と、セントラルモニタ20と通信するための通信I/F(インターフェイス)108と、電源部109と、生体情報計測部110と、プリンタ111と、外部よりデータの入力を受付けるためのデータ入出力部115とを含む。
【0028】
制御部101は、操作部106から入力される操作信号に基づいて記憶部107に記憶されているプログラムを読み出して実行し、それに伴って制御信号を生成して各部に出力することによって、全体を制御する。制御部101は、たとえばCPU(Central Processing Unit)によって構成される。
【0029】
生体情報計測部110は、血圧を計測するための血圧計測部21、酸素飽和度を計測するための酸素飽和度計測部22、心電図を計測するための心電計測部23、体温を計測するための体温計測部24、および患者の呼吸中の特定成分の濃度を計測するための呼吸計測部25を含む。なお、これら計測部の具体的な構成は、公知の構成であってよい。生体情報計測部110は、制御部101からの制御信号に従って、上記計測部のうち指定された計測部において生体情報を計測し、計測結果を制御部101に入力する。
【0030】
また、制御部101は、生体情報がユーザにより設定された異常値(警報値)であるか否かを判定し、異常値であると判定した場合には、スピーカ104から警報音を出力するとともに、警報部103を構成するランプを発光させるよう制御する。ただし、このスピーカ104から警報音出力は、ベットサイドに医療従事者等がいる場合を除いて、通常は、操作部106の操作によって停止させられている。
【0031】
記憶部107は、各計測部から得られる複数の生体情報の測定値を時系列に記憶する。つまり、記憶部107には、複数の生体情報の経過値が記憶される。
【0032】
データ入出力部115は、たとえば、着脱可能な記録媒体115aからプログラムやデータを読み出したり書き込んだりする。また/または、データ入出力部115は、外部の図示しないコンピュータから通信回線を介してプログラムやデータの送受信ができてもよい。
【0033】
(セントラルモニタの構成例)
図3は、本発明の実施の形態におけるセントラルモニタ20の構成例を示すブロック図である。セントラルモニタ20は、たとえば一般的なパーソナルコンピュータであってよい。
【0034】
図3を参照して、セントラルモニタ20は、上記構成に加え、装置全体の制御および各種演算処理を行なうための制御部201と、警報を発するための警報部203と、計時動作を行なうための計時部205と、操作ボタン206aを含む操作部206と、計測結果やプログラム等を記憶するための記憶部207と、生体モニタ10と通信するための通信I/F208と、電源部209と、プリンタ211と、外部よりデータの入力を受付けるためのデータ入出力部215とを含む。
【0035】
制御部201は、操作部206から入力される操作信号に基づいて記憶部207に記憶されているプログラムを読み出して実行し、それに伴って制御信号を生成して各部に出力することによって、全体を制御する。制御部201も、生体モニタ10と同様、たとえばCPUによって構成される。
【0036】
警報部203は、たとえば光を発するランプにより構成される。警報部103は、LED(Light Emitting Diode)によって構成されてもよい。
【0037】
記憶部207は、データ保存用に設けた不揮発性の記憶媒体、たとえばシリコンディスク(半導体素子で構成されたメモリ)を含む。記憶部207は、接続されている生体モニタ10から得られる少なくとも1種の生体情報の測定値を時系列に記憶する。つまり、記憶部207には、患者ごとに、少なくとも1種の生体情報の経過値が記憶される。
【0038】
プリンタ211は、制御部201によって制御されて、生体情報の測定結果などを紙媒体に印刷する。
【0039】
データ入出力部215は、たとえば、着脱可能な記録媒体215aからプログラムやデータを読み出したり書き込んだりする。また/または、データ入出力部215は、外部の図示しないコンピュータから通信回線を介してプログラムやデータの送受信ができてもよい。
【0040】
ここで、セントラルモニタ20において表示部202に表示される画面の特徴について説明する。
【0041】
通常、セントラルモニタ20の表示部202には基本画面(トップ画面)が表示されており、ユーザより所定の指示が入力された場合、あるいは、所定のタイミング(警報が発生したときなど)において、基本画面が他の画面に切替えられる。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態におけるセントラルモニタ20の基本画面の一例を示す図である。セントラルモニタ20は、4つの生体モニタ10と接続されているものと仮定する。
【0043】
図4を参照して、基本画面では、表示部202の4つの表示領域41〜44それぞれに、4つのモニタ10での生体情報の測定結果が表示されている。
【0044】
各表示領域41〜44には、患者(生体モニタ10)を識別するための個人番号を示した領域51、および、患者の氏名52が表示される。また、各表示領域41〜44は、心電波形などの波形を表示可能な波形領域53、測定結果を数値で表示する数値領域54を含む。波形領域53には、アラーム(警報)が発生した場合にアラーム内容を示す情報を表示するためのメッセージ領域55が含まれる。なお、アラーム内容を示す情報は、波形領域53とは別の領域に表示されてもよい。また、波形や数値を表示する位置も、図4に示したような位置に限定されない。
【0045】
本実施の形態では、個人番号を示した領域51の近傍に設けられた領域61が、対応する患者のグループに応じた色で表示されている。このような表示を実現するためには、記憶部207には、患者ごとに、グループ特定情報が記憶されているものとする。
【0046】
「グループ特定情報」とは、患者のグループを特定するための情報である。患者のグループは、たとえば、看護チームにより分類される。その場合、グループ特定情報により、各患者がどの看護チームに担当されているかが特定される。これにより、基本画面を見た看護師は、どの患者が自分の受け持ちの患者であるかを、直感的に把握することができる。なお、患者のグループは、看護チームによる分類に限定されず、患者の属性(年齢,性別)による分類、または、患者の病態(症状,病状)による分類などが採用されてもよい。グループ色の設定は、たとえば入床の際に、ユーザ(看護師)により行なわれる。
【0047】
本実施の形態では、基本画面は、「全ベッド」と示されたタグTG1が選択されている場合に表示される。入床時の登録画面、アラーム設定画面、トレンド画面などは、個人番号「1」〜「4」が示されたタグTG2のいずれかが選択されている場合に表示される。
【0048】
ユーザよりある患者についてのタグが選択され、かつ、アラーム設定画面を表示するためのタグTG3が選択されると、一般的な警報値設定方法として、生体情報の種類ごとに、警報値の入力を受付ける入力欄等が表示される。また、トレンド画面を表示するためのタグTG4が選択されると、選択された患者についての各生体情報の経過値(時系列に得られた測定値)を示すトレンドグラフが表示される。
【0049】
本実施の形態におけるセントラルモニタ20は、このトレンド画面において、警報値の設定を可能にする。以下に、本実施の形態において、トレンド画面上で警報値の設定を可能にするための制御部201の機能について説明する。
【0050】
再び図3を参照して、制御部201は、警報値設定に関する機能として、設定処理部220および報知処理部222を含む。
【0051】
設定処理部220は、トレンド画面を表示した状態で、ユーザからの指示に基づいて、生体情報についての警報値を設定および変更する処理を行なう。ユーザより警報値が入力されると、設定処理部220は、入力された警報値により警報が発生する区間を判定し、その判定結果を表示部202に出力する。これにより、表示部202には、トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間(入力された警報値によれば警報が発生していたであろう区間、以下「仮想アラーム区間」ともいう)が他と区別されて表示される。したがって、ユーザは、入力した警報値による仮想アラーム区間を視覚的に把握できるので、適切な警報値を設定することができる。
【0052】
設定された警報値は、記憶部207に患者ごとに記憶される。本実施の形態では、警報値は、患者を管理するための患者管理データに含まれる。患者管理データの構造例については後述する。
【0053】
また、設定処理部220は、過去に設定された警報値(記憶部207に記憶されている現在の警報値)を変更する際には、表示部202に、トレンドグラフにおいて、過去に設定された警報値により警報が発生した区間(以下「リアルアラーム区間」ともいう)と、変更のために入力された新たな警報値による仮想アラーム区間とを識別可能に表示するための信号を出力する。したがって、ユーザは、新たに設定された警報値によると、警報が発生する期間がどの程度増加または減少するのかを視覚的に把握することができる。その結果、警報値の、適切な値への変更をユーザに促すことができる。
【0054】
報知処理部222は、現在の警報値によって、一定時間内に第1の割合以上の時間、警報が発生されたことを検出した場合に、ユーザに警報値の再設定(変更)を促す。また/または、現在の警報値によって、一定時間内に第2の割合以下の時間しか警報が発生されなかった場合にも、ユーザに警報値の再設定を促してもよい。「第2の割合」は、第1の割合よりも小さい値であり、「0」であってもよい。第1の割合および第2の割合は、いずれも、出荷時に予め定められていてもよいし、ユーザにより患者ごとに定められてもよい。また、警報発生の頻度を時間により判定することとしたが、回数によって判定してもよい。ユーザへの報知の具体例については後述する。
【0055】
なお、本実施の形態では、トレンド画面(タグTG4に対応)上において、警報値の設定を可能にする例を説明するが、アラーム設定画面(タグTG3に対応)上において、アラーム設定対象の生体情報についてのトレンドグラフを表示できる構成としてもよい。いずれにしても、アラーム設定対象の生体情報のトレンドグラフが表示された画面において、警報値が設定できる構成であればよい。
【0056】
設定処理部220および報知処理部222の動作は、記憶部207中に格納されたソフトウェアを実行することで実現されてよい。たとえば、これらの機能部それぞれに対応するモジュールを含んだプログラムが記憶部207に格納されている。なお、これらのうちの少なくとも1つについては、ハードウェアで実現されてもよい。
【0057】
<患者管理データの構造例>
図5は、本発明の実施の形態における患者管理データD10のデータ構造の一例を示す図である。患者管理データD10は、たとえば、記憶部207に格納される。
【0058】
図5を参照して、各患者管理データD10は、4つの項目すなわち、個人番号の項目301と、個人情報の項目302と、グループ色の項目303と、警報値の項目304とを含む。
【0059】
個人番号の項目301には、個人番号1〜4のいずれが記録される。個人情報の項目302には、入床の際に入力される、患者名、患者ID、部屋番号、生年月日および性別が格納される。当該項目302に、生体モニタの識別情報などがさらに格納されてもよい。グループ色の項目303は、ユーザにより選択された色の識別データが格納される。
【0060】
警報値の項目304には、生体情報の種別ごとに設定された警報値(上限および下限)が格納される。
【0061】
<警報値設定処理>
セントラルモニタ20において実行される警報値設定処理について説明する。
【0062】
(動作について)
図6は、本発明の実施の形態における警報値設定処理を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示す処理は、予めプログラムとして記憶部207に格納されており、制御部201がこのプログラムを読み出して実行することにより、警報値設定処理の機能が実現される。なお、図6に示す処理は、たとえば、基本画面表示中に、ある患者のトレンド画面を表示する指示が入力された場合に開始される。
【0063】
図6を参照して、はじめに、制御部201は、表示部202にトレンド画面を表示させる。これにより、ユーザより指定された患者の、複数の生体情報のトレンドグラフが画面上に表示される(ステップS102)。その後、複数の生体情報のうち、ユーザによりアラーム設定対象の生体情報が選択されると(ステップS104)、トレンド画面上に、アラーム設定用領域を表示する(ステップS106)。アラーム設定用領域には、設定対象の生体情報のトレンドグラフの一部が拡大表示される。ここで表示される画面例は、後述する。
【0064】
次に、設定処理部220は、ユーザより警報値の入力を受付ける(ステップS108)。設定処理部220は、ユーザより入力された新たな警報値による警報発生タイミングを特定する。具体的には、記憶部207において時系列に記憶された測定値のなかから、新たな警報値(上限,下限)を超えている測定値を検出し、その測定値に対応する時間(生体情報が測定された時間)を特定する。設定処理部220は、特定された時間情報を表示部202に出力する。
【0065】
これにより、設定対象のトレンドグラフにおいて、新たな警報値によるアラーム発生区間(仮想アラーム区間)と実際のアラーム発生区間(リアルアラーム区間)とが対比して(識別可能に)表示される(ステップS110)。ステップS110で表示される画面例についても後述する。なお、警報値を新規に設定する場合には、今回入力された警報値による仮想アラーム区間のみが他の区間と識別可能に表示される。
【0066】
その後、設定処理部220は、警報値の決定指示があるか否かを判断する(ステップS112)。決定指示がなければ(ステップS112にてNO)、ステップS108に戻り、再度新たな警報値の入力を受付ける。決定指示があれば(ステップS112にてYES)、設定処理部220は、警報値を更新する(ステップS114)。具体的には、たとえば、図5に示した患者管理データD10の項目304に記憶された、対象の生体情報の警報値(上限および下限)を、新たに入力された警報値に上書きする。警報値を新規に設定する場合には、患者管理データD10の項目304に、対象の生体情報の種類を示すデータと対応付けて、今回入力された警報値のデータを格納する。
【0067】
以上の処理により、警報値設定処理は終了され、基本画面が再度表示される。
(表示例について)
図7は、図6のステップS106で表示されるトレンド画面の具体例を示す図である。なお、図7には、図4に示した基本画面において、タグTG2のうち個人番号「3」のタグが選択され、かつ、「トレンド」と表示されたタグTG4が選択された場合の画面例が示されている。
【0068】
図7を参照して、トレンド画面の領域71には、患者の個人番号、患者名、心電図、他の生体情報の現在の測定値などが表示されている。領域73には、心電図以外の生体情報ごとに、トレンドグラフが示されている。具体的には、上から順に、心拍数(HR)、呼吸数、酸素飽和度(SpO2)、非観血血圧(NIBP)、体温(T1,T2)それぞれのトレンドグラフが表示されている。領域73に示した過去1時間において、アラームが発生した期間(リアルアラーム区間)の背景色が他と異なる色(たとえば赤色)で表示されている。領域73において、各トレンドグラフの右横には、過去のある時点における測定値がさらに表示されてもよい。
【0069】
領域75は、アラーム設定用領域であり、指定された生体情報のトレンドグラフの一部が拡大表示されるとともに、警報値設定のための入力欄およびボタン等が表示される。ここでは、図6のステップS104において、アラーム設定対象の生体情報として心拍数が選択された場合の例が示されている。
【0070】
なお、図6のステップS102の時点では、領域73に示す複数のトレンドグラフは、領域75の部分まで大きく表示されており、アラーム設定対象の生体情報が選択された時点で、縮小表示されてよい。また、アラーム設定対象の生体情報の選択は、たとえば、表示された複数のトレンドグラフのうちの一つがユーザの指等によりタッチされることによって行なわれてよい。その場合、制御部201は、タッチされた画面上の位置を特定することにより、ユーザが指定した生体情報の種類を判別することができる。
【0071】
図8(A),(B)および図9(A),(B)は、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域75内の情報例を示す図である。図8(A),図9(A)には、アラーム設定用領域75に最初に表示される情報が示されており、図8(B),図9(B)には、新たな警報値入力後にアラーム設定用領域75に表示される情報が示されている。
【0072】
図8(A),図9(A)を参照して、アラーム設定用領域75では、アラーム設定対象のトレンドグラフとして、たとえば、心拍数のトレンドグラフ(縦軸の単位:bpm)が表示されている。また、そのトレンドグラフの右横に、上限の警報値(以下、単に「上限値」ともいう)の入力欄81、および、上限値の変更を指示するための上下ボタン82、下限の警報値(以下、単に「下限値」ともいう)の入力欄83、および、下限値の変更を指示するための上下ボタン84が表示される。
【0073】
このように、本実施の形態によると、設定対象の生体情報のトレンドグラフが表示された画面において、警報値が設定できる。したがって、ユーザは、過去の測定値の経過を確認しながら、警報値を設定することができるため、適切な値を設定することができる。
【0074】
図8(A),図9(A)に示された上限値および下限値は、過去に設定されていた警報値、すなわち、図5に示した患者管理データD10の項目304に記憶された警報値である。図8(A),図9(A)に示されるように、アラームデータを示すトレンドグラフは、はじめ、過去の上限値を示す上限ラインLa1と、過去の下限値を示す下限ラインLa2とを表示することで、上下方向に3分割される。
【0075】
時間経過に伴なう測定値の変化傾向を示すトレンドラインL0が上限ラインLa1または下限ラインLa2を超えた期間(期間Ta1,Ta2など)の背景領域(図中ハッチング部分)が、他と異なる色で表示されている。これにより、過去の一定期間におけるリアルアラーム区間を容易に視認することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、上限ラインLa1を超えた期間(たとえば期間Ta2)は、正常範囲を示す正常領域(上限ラインLa1と下限ラインLa2との間)と、上限ラインLa1より上部の領域とが、他と異なる色で表示され、下限ラインLa2を超えた期間(たとえば期間Ta1)は、正常領域と、下限ラインLa2より下部の領域とが、他と異なる色で表示される。これにより、ユーザは、トレンドラインL0が上限ラインLa1と下限ラインLa2のどちらを超えたのかについても容易に確認することができる。
【0077】
なお、アラームデータを示すトレンドグラフは、図7のアラーム設定用領域75に示されるように、上限および下限のいずれを超えたかにかかわらず、アラーム発生区間は、分割された3つの部分全てを赤色等で表示してもよい。
【0078】
図8(A),図9(A)の表示状態から、ユーザが上下ボタン82,84を操作したとする。
【0079】
図8(B)を参照して、たとえば、元の上限値“120”を“130”に変更し、元の下限値“70”を“80”に変更したとする(図6のステップS108)。そうすると、リアルアラーム区間に対応する期間Ta1,Ta2は、正常領域のみが他と異なる色で表示される。新たな上限値による仮想アラーム区間に対応する期間(すなわち、トレンドラインL0が新たな上限ラインLb1を超える期間)Tb2は、上限ラインLb1より上部の領域のみが他と異なる色で表示される。新たな下限値による仮想アラーム区間に対応する期間(すなわち、トレンドラインL0が新たな下限ラインLb2を超える期間)Tb1は、下限ラインLb2より下部の領域のみが他と異なる色で表示される。このように、トレンドグラフにおいて、新たな警報値による仮想アラーム区間とリアルアラーム区間とが識別可能に表示される(図6のステップS110)。そのため、ユーザは、入力した警報値により、警報発生時間がどれぐらい変化(増加または減少)するのかを容易に把握することができる。
【0080】
図9(B)には、下限値を元の値“70”よりも低い“80”に変更した場合のトレンドグラフの表示例が示されている。上限値は、図8(B)の例と同様である。この場合も、新たな下限値による仮想アラーム区間に対応する期間(すなわち、トレンドラインL0が新たな下限ラインLb3を超える期間)Tb3は、下限ラインLb3より下部の領域のみが他と異なる色で表示される。
【0081】
図8(B)のトレンドグラフと図9(B)のトレンドグラフを比較すると、図8(B)の方が、下限値を上げたことによりアラーム発生期間が多くなっている。したがって、ユーザは、警報の多発による危機感の薄れや注意力の低下を防止するには、図9(B)に示した警報値に設定する方が適切であると判断することができる。このように、本実施の形態によると、患者のトレンドグラフ上に、設定しようとする警報値による仮想アラーム区間(期間)を他と区別して表示することにより、患者ごとに適切な警報値の設定を可能にすることができる。
【0082】
なお、新たに警報値が設定される場合には、設定対象の生体情報のトレンドグラフにおいて、仮想アラーム区間のみが他と区別して表示される。このような場合にも、ユーザは、どれくらい警報が発生するのかを予想することができるため、適切な警報値の設定が可能となる。
【0083】
<報知処理>
セントラルモニタ20において実行される報知処理について説明する。
【0084】
(動作について)
図10は、本発明の実施の形態における報知処理を示すフローチャートである。図10のフローチャートに示す処理もまた、予めプログラムとして記憶部207に格納されており、制御部201がこのプログラムを読み出して実行することにより、報知処理の機能が実現される。なお、図10に示す処理は、たとえば、基本画面表示中に、所定タイミング(たとえば1分ごと)で実行されるものとする。また、以下の説明では、説明の簡単のために、一人の患者についての報知処理が示されているが、実際には、患者ごとに、以下に示す処理が実行される。
【0085】
図10を参照して、報知処理部222は、まず、生体情報ごとに、一定時間(たとえば1時間)内に、アラーム発生した時間の割合を算出する(ステップS202)。そして、生体情報ごとに、算出された時間割合が、予め定められた割合(たとえば60%)以上か否かを判断する(ステップS204)。全ての生体情報について、算出された時間割合が60%未満であれば(ステップS204にてNO)、この処理は終了される。
【0086】
これに対し、算出された時間割合が60%以上の生体情報があれば(ステップS204にてYES)、報知処理部222は、表示部202に、警報値の再設定を促すメッセージを表示させる(ステップS206)。
【0087】
このように、本実施の形態によると、警報の発生頻度が高い(警報発生の時間が長い)生体情報があると、ユーザに警報値の再設定を促すことができる。これにより、警報に慣れてしまう前に、適切なタイミングで、警報値の見直しを促すことができる。その結果、本当に重要な警報を放置してしまうことを防止することができる。
【0088】
なお、図10のフローチャートでは、警報の発生頻度が高い場合にのみ警報値の再設定を促すこととしたが、上述のように、警報の発生頻度が低い場合にも、警報値の再設定を促してもよい。たとえば、一定時間内にアラーム発生した時間の割合が、たとえば5%以下の場合にも、報知処理部222は、表示部202に、警報値の再設定を促すメッセージを表示してもよい。
【0089】
このように、警報の発生頻度が低い(警報発生の時間が極端に少ない)場合にも警報値の再設定を促すことで、患者の容体の急変を見逃してしまう危険性を減少させることができる。
【0090】
(表示例について)
図11は、図10のステップS206で表示される画面の一例を示す図である。
【0091】
図11を参照して、基本画面上に、ポップアップ画面90が表示されている。ポップアップ画面90には、対象の患者の個人番号と、「アラーム値が適切か確認して下さい」といったメッセージとが含まれる。なお、ポップアップ画面90には、アラーム発生の頻度が高いと判定された生体情報の種類(例:「心拍数」,「血圧」など)についても表示させることが望ましい。
【0092】
図11のポップアップ画面90における「閉じる」と示されたボタンが指示されると、この画面90が閉じられる。「トレンド画面へ」と示されたボタンが指示されると、個人番号‘2’で特定される患者のトレンド画面に表示画面が切替えられる。遷移後のトレンド画面は、図7に示したような画面であってよい。
【0093】
なお、ポップアップ画面90は、一定時間経過後に自動で閉じるようになっていてもよい。つまり、制御部201は、計時部205が計時する現在日時に基づいて、ポップアップ画面90を表示してから所定時間(たとえば30秒)経過したか否かを判断し、所定時間経過したと判断した場合に、ポップアップ画面90(つまり、警報値再設定のためのメッセージ)を消去してもよい。このようにすることで、多忙なユーザ(看護師)の手間を減らすことができ、その結果、看護師の業務を支援することが可能となる。
【0094】
または、本実施の形態では、基本画面上に警報値再設定のためのメッセージを表示することとしたが、このようなメッセージの表示に代えて、画面を、図7に示したようなトレンド画面に直接切替えることとしてもよい。
【0095】
または、本実施の形態では、表示により警報値の変更を促すこととしたが、報知の形態は表示に限定されない。たとえば、スピーカ204より音声により警報値の再設定を促してもよい。
【0096】
<警報値設定処理の変形例1>
設定処理部220は、ユーザによる適切な警報値の設定を補助(支援)する機能をさらに有していてもよい。このような機能に対応するアラーム設定モードを、「半自動モード」と呼ぶ。上記実施の形態に示したような手動操作によるアラーム設定モードは、ここでは「マニュアルモード」と呼ぶ。
【0097】
図12は、半自動モードの際に、図6のステップS110で表示されるトレンド画面におけるアラーム設定用領域75内の情報例を示す図である。
【0098】
図12を参照して、本変形例では、アラーム設定用領域75には、半自動モードおよびマニュアルモードのいずれかを選択可能な入力欄85がさらに表示される。ここで半自動モードが選択されると、設定処理部220は、一定期間(たとえば1時間)における生体情報の経過値の平均値として、たとえば移動平均値を算出する。設定処理部220は、算出された移動平均値の情報として、移動平均値の位置を示す平均ラインLavをトレンドグラフに表示する。このように、患者ごとに異なる生体情報の基準値(平均値)が把握できるので、警報値の設定を容易に行なうことができる。なお、表示部202に表示される移動平均値の情報は、平均ラインLavの表示に代えて、移動平均値が数値として所定の領域に表示されてもよい。
【0099】
半自動モードの場合、入力欄81A,83Aに入力される値は、算出された移動平均値に対して付加する(加算する)割合(%)である。本実施の形態においては、付加する割合の入力を受付けることとするが、限定的ではなく、たとえば移動平均値に乗算する割合の入力を受付けてもよい。
【0100】
図12の例では、上限値が、移動平均値に“20%”付加した値、下限値が、移動平均値に“−20%”付加した値として設定されたとする。その場合、移動平均値に“20%”付加した値を示す上限ラインLc1と、移動平均値に“−20%”付加した値を示す下限ラインLc2とがトレンドグラフ上に表示される。
【0101】
この例では、過去に設定された警報値が存在せず、はじめて警報値を設定する場面が想定されている。したがって、算出された移動平均値と今回入力された割合とに応じて算出される警報値(上限,下限)を超える区間が、仮想アラーム区間として、トレンドグラフにおいて識別可能に表示される。
【0102】
このように、本変形例によると、ユーザは、過去一定時間における生体情報の移動平均値に対して付加する割合を選択(入力)するだけでよいので、適切な警報値の設定を支援することができる。
【0103】
<警報値設定処理の変形例2>
設定処理部220は、自動で警報値を設定する機能をさらに有していてもよい。このような機能に対応するアラーム設定モードを、「全自動モード」と呼ぶ。全自動モードの選択も、変形例1と同様の方法により可能であってよい。つまり、たとえば、アラーム設定用領域におけるモード入力欄(図12の入力欄85)において選択可能であってよい。
【0104】
全自動モードが選択された場合、設定処理部220は、予め定められたタイミング(たとえば5分)ごとに、一定期間(たとえば過去1時間)における、対象の生体情報の経過値の移動平均値を算出する。そして、算出された移動平均値に、特定の割合だけ付加または乗算した値を、警報値として自動的に設定する。「特定の割合」とは、出荷時に予め定められた割合であってもよいし、変形例1と同様に、全自動モードが選択された時点でユーザにより入力された割合であってもよい。
【0105】
図13は、全自動モードが選択された場合に自動設定される警報値と生体情報の経過値(トレンドライン)との関係を示す図である。
【0106】
図13を参照して、全自動モードでは、警報値の上限および下限それぞれを示すラインLd1およびLd2のように、警報値は、一定期間内における測定値の平均値に応じて変化する。このように、生体情報の過去の移動平均値に合わせて警報値を追従させることで、患者の急変をより確実に捉えることが可能となる。
【0107】
このような警報値の自動設定の場合、上限および下限それぞれについて警報値リミットを設けておくことが望ましい。つまり、移動平均値に特定の割合だけ付加または乗算した値が、警報値リミットを超えていた場合には、警報値リミットの値に警報値を設定することが望ましい。図13において、警報値リミット(上限,下限)は、ラインLt1,Lt2で示されている。このように、一定範囲内(警報値リミットの範囲内)に限って、警報値の設定を自動化することで、測定値の絶対値の異常、および、測定値の急変のいずれについても確実に検出することができる。なお、警報値リミットについても、出荷時に予め定められた値であってもよいし、全自動モードが選択された時点でユーザにより入力された値であってもよい。
【0108】
なお、図10に示したようにアラーム発生の頻度が高い場合など、警報値が適切でない可能性がある場合に、報知画面を表示し、全自動モードへの移行を選択可能にしてもよい。このように、現在の警報値が不適切な値に設定されている場合に、アラーム設定モードを簡単に全自動モードに変更可能にすることで、多忙な看護師の業務を支援しつつ、不適切な警報値が設定されたことによる注意力の低下や急変の見逃しを軽減することができる。その結果、医療事故を防止することが可能となる。
【0109】
なお、上記変形例1と変形例2とを組合わせてもよい。
<その他>
本実施の形態のセントラルモニタが行なう、警報値設定方法を、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、当該プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non-transitory)記録媒体に記録される。このような「コンピュータ読取可能な記録媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc-ROM)などの光学媒体や、メモリカードなどの磁気記録媒体などを含む。また、このようなプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させて、プログラム製品として提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0110】
なお、本実施の形態に係るプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本実施の形態に係るプログラムに含まれ得る。
【0111】
また、本実施の形態に係るプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本実施の形態に係るプログラムに含まれ得る。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記憶された記憶媒体とを含む。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
10 生体モニタ、20 セントラルモニタ、21 血圧計測部、22 酸素飽和度計測部、23 心電計測部、24 体温計測部、25 呼吸計測部、101,201 制御部、102,202 表示部、103,203 警報部、104,204 スピーカ、105,205 計時部、106,206 操作部、106a,206a 操作ボタン、107,207 記憶部、108,208 通信I/F、109,209 電源部、110 生体情報計測部、111,211 プリンタ、115,215 データ入出力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の生体情報を監視するための生体情報監視装置であって、
前記生体情報の経過値を記憶するための記憶手段と、
警報を発生するための警報手段と、
ユーザからの指示を受付けるための操作手段と、
前記生体情報の前記経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、前記指示に基づいて、前記生体情報についての警報値を設定する処理を行なうための設定処理手段と、
前記警報値の設定の際に、前記トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するための表示手段とを備える、生体情報監視装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記設定処理手段により設定された前記警報値をさらに記憶し、
前記設定処理手段は、記憶されている前記警報値を変更する処理をさらに行ない、
前記表示手段は、前記警報値の変更の際には、前記トレンドグラフにおいて、前記記憶されている警報値により警報が発生した区間と、変更のために入力された警報値により警報が発生する区間とを識別可能に表示する、請求項1に記載の生体情報監視装置。
【請求項3】
前記記憶されている警報値によって、一定時間内に第1の割合以上警報が発生された場合に、ユーザに前記警報値の再設定を促すための報知処理手段をさらに備える、請求項2に記載の生体情報監視装置。
【請求項4】
前記報知処理手段は、前記記憶されている警報値によって、一定時間内に、前記第1の割合よりも低い第2の割合以下しか警報が発生されなかった場合にも、ユーザに前記警報値の再設定を促す、請求項3に記載の生体情報監視装置。
【請求項5】
前記設定処理手段は、一定期間における前記生体情報の前記経過値の平均値に対して付加または乗算する割合をユーザより受付けることによって、前記警報値を設定する、請求項1に記載の生体情報監視装置。
【請求項6】
前記設定処理手段は、さらに、予め定められたタイミングごとに、一定の範囲内に限って、一定期間における前記生体情報の前記経過値の平均値に特定の割合だけ付加または乗算した値を、前記警報値として自動的に設定する、請求項1に記載の生体情報監視装置。
【請求項7】
患者の生体情報を監視する生体情報監視装置において警報値を設定するための方法であって、
前記生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザからの指示に基づいて、前記生体情報についての警報値を設定するステップと、
前記警報値の設定の際に、前記トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するステップとを含む、警報値設定方法。
【請求項8】
患者の生体情報を監視する生体情報監視装置において警報値を設定するためのプログラムであって、
前記生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザからの指示に基づいて、前記生体情報についての警報値を設定するステップと、
前記警報値の設定の際に、前記トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するステップとを含む、警報値設定プログラム。
【請求項1】
患者の生体情報を監視するための生体情報監視装置であって、
前記生体情報の経過値を記憶するための記憶手段と、
警報を発生するための警報手段と、
ユーザからの指示を受付けるための操作手段と、
前記生体情報の前記経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、前記指示に基づいて、前記生体情報についての警報値を設定する処理を行なうための設定処理手段と、
前記警報値の設定の際に、前記トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するための表示手段とを備える、生体情報監視装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記設定処理手段により設定された前記警報値をさらに記憶し、
前記設定処理手段は、記憶されている前記警報値を変更する処理をさらに行ない、
前記表示手段は、前記警報値の変更の際には、前記トレンドグラフにおいて、前記記憶されている警報値により警報が発生した区間と、変更のために入力された警報値により警報が発生する区間とを識別可能に表示する、請求項1に記載の生体情報監視装置。
【請求項3】
前記記憶されている警報値によって、一定時間内に第1の割合以上警報が発生された場合に、ユーザに前記警報値の再設定を促すための報知処理手段をさらに備える、請求項2に記載の生体情報監視装置。
【請求項4】
前記報知処理手段は、前記記憶されている警報値によって、一定時間内に、前記第1の割合よりも低い第2の割合以下しか警報が発生されなかった場合にも、ユーザに前記警報値の再設定を促す、請求項3に記載の生体情報監視装置。
【請求項5】
前記設定処理手段は、一定期間における前記生体情報の前記経過値の平均値に対して付加または乗算する割合をユーザより受付けることによって、前記警報値を設定する、請求項1に記載の生体情報監視装置。
【請求項6】
前記設定処理手段は、さらに、予め定められたタイミングごとに、一定の範囲内に限って、一定期間における前記生体情報の前記経過値の平均値に特定の割合だけ付加または乗算した値を、前記警報値として自動的に設定する、請求項1に記載の生体情報監視装置。
【請求項7】
患者の生体情報を監視する生体情報監視装置において警報値を設定するための方法であって、
前記生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザからの指示に基づいて、前記生体情報についての警報値を設定するステップと、
前記警報値の設定の際に、前記トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するステップとを含む、警報値設定方法。
【請求項8】
患者の生体情報を監視する生体情報監視装置において警報値を設定するためのプログラムであって、
前記生体情報の経過値を示すトレンドグラフが表示された画面において、ユーザからの指示に基づいて、前記生体情報についての警報値を設定するステップと、
前記警報値の設定の際に、前記トレンドグラフにおいて、入力された警報値により警報が発生する区間と他とを区別して表示するステップとを含む、警報値設定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−147493(P2011−147493A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9119(P2010−9119)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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