説明

生体情報計測処理装置及び生体情報計測処理方法

【課題】生体情報計測対象者の周辺状況による変動を考慮した上で、生体情報計測対象者の生体情報を計測することを目的とする。
【解決手段】生体情報計測対象者を撮影する撮影手段で撮影された映像に映る生体情報計測対象者の周辺状況を認識する周辺状況認識手段と、周辺状況認識手段での認識結果に応じて生体情報計測対象者の生体情報を計測する処理を行う生体情報計測処理手段と、を有することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報計測処理装置及び生体情報計測処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザやメタボリック症候群等の検査や生活習慣管理を目的に、体温・体重・血圧・心拍数等のバイタル値を継続的に測って、事前に決められた基準値と比較することがよく行われる。但し、生体情報は行動や着衣といった外的要因によっても変化しうるので、そうした外的変動要因がない状態を見計らって生体情報を計測しなければならない。しかし、例えば生体情報計測対象者が年少者や高齢者等の場合には、生体情報計測対象者自身でそうした状況判断をすることは難しい。また、生体情報計測対象者に状況判断が可能であっても、長期間継続的に計測する場合においては、その状況判断を毎回行うのは手間である。こうした点に対して、生体情報計測対象者の状況を認識して、その結果を用いて生体情報を計測したり、その計測を生体情報計測対象者に促したりする技術が知られている。例えば特許文献1には、生体情報計測対象者の生体情報を計測した結果から生体情報計測対象者自身の状況が認識され、その認識結果を用いて生体情報計測対象者に生体情報の計測を促すサービスを生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3821744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生体情報の外的変動要因は、生体情報計測対象者自身の状況だけに限らない。生体情報を計測する時の気温、場所、一緒にいる人等の影響を受けて、生体情報が変動することがありうる。例えば、運動直後に心拍数を測れば安静時より当然多くなり、厚着した状態で体重を測れば当然重く計測される。また、診察室で医師や看護士が同席する場所で血圧を測ると普段の血圧より高く計測されるという現象は人によって起こりえて、これは「白衣高血圧」として知られているほど一般的である。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、生体情報計測対象者の周辺状況による変動を考慮した上で、生体情報計測対象者の生体情報を計測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の生体情報計測処理装置は、生体情報計測対象者を撮影する撮影手段で撮影された映像に映る前記生体情報計測対象者の周辺状況を認識する周辺状況認識手段と、前記周辺状況認識手段での認識結果に応じて前記生体情報計測対象者の生体情報を計測する処理を行う生体情報計測処理手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生体情報計測対象者の周辺状況による変動を考慮した上で、生体情報計測対象者の生体情報を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一実施形態に係る生体情報計測処理装置の概略を示す図である。
【図2】第一実施形態に係る生体情報計測処理装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】第二実施形態に係る生体情報計測処理装置の概略を示す図である。
【図4】第二実施形態に係る生体情報計測処理装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
<第一実施形態>
(概要)
本実施形態に係る生体情報計測処理装置は、生体情報の計測対象者が活動する空間に設置され、その生体情報計測対象者の周辺状況を認識する。そしてその認識結果を考慮しながら、生体情報計測対象者の生体情報を計測する処理を行う。ここでいう生体情報とは、所謂バイタル値である。より具体的に説明すると、生体情報とは、例えば、体重、血圧、心拍数、脈拍、血糖値、体温、発汗量等である。
以下、図を用いて本実施形態に係る生体情報計測処理装置の構成及び処理について説明する。
(構成)
図1は、本実施形態に係る生体情報計測処理装置100の概略を示す図である。図1に示すように、生体情報計測処理装置100は、撮影部101、生体情報計測対象者認識部102、周辺状況認識部103、認識結果記録部104、生体情報計測処理部110、生体情報記録部109から構成されている。同じく図1に示すように、生体情報計測処理装置100に含まれる生体情報計測処理部110は、生体情報計測時機判断部105、生体情報計測部106、生体情報計測値補正部107、生体情報計測値評価部108から構成されている。
【0011】
撮影部101は、カメラを含み、生体情報計測対象者が活動する現実空間を撮影する。生体情報計測対象者が活動する現実空間とは、例えば生体情報計測対象者が住む家の居間である。撮影部101は、天井から吊り下げられていてもよいし、床や台やテレビの上に据え置いてもよいし、テレビや鏡やテーブルや椅子等の家具に内蔵されていてもよい。撮影された映像は、生体情報計測対象者認識部102と周辺状況認識部103とへ出力される。パン、チルト、ズームといったカメラパラメータは、固定でもよいし可変であってもよい。撮影部101は、生体情報計測対象者の活動する現実空間の状況を反映する現象を計測するセンサ(例えば人感センサや温度センサ等)を合わせて備えていてもよい。
生体情報計測対象者認識部102は、撮影部101から映像を受け取り、生体情報計測対象者に関する映像認識を公知の技術を用いて実施する。「生体情報計測対象者に関する映像認識」とは、まずは「映像中に生体情報計測対象者が映っているかどうか」を認識することである。そして、生体情報計測対象者認識部102は、生体情報計測対象者が映っていると認識した場合、「生体情報計測対象者はどんな表情・姿勢・動作・行動をしているか、どんな服装をしているか、何かを持っているか」等を認識する。
例えば、生体情報計測対象者認識部102は、「映像中に生体情報計測対象者が映っているかどうか」を、撮影部101から受け取る映像の部分領域に、内部に保持している生体情報計測対象者の顔画像に類似した領域があるかどうかを判定することで認識する。又は、生体情報計測対象者認識部102は、生体情報計測対象者が保持する服装の画像に類似した領域の有無判定で「映像中に生体情報計測対象者が映っているかどうか」を認識してもよい。
生体情報計測対象者認識部102は、生体情報計測対象者の表情・姿勢・動作・行動・服装・保持物の認識を、撮影部101から受け取る映像の部分領域に、事前に保持する表情・姿勢・動作・行動・服装・物体、等々を表す画像特徴のうちのどれかに類似しているかを判定することで認識する。もし、生体情報計測対象者が認識された撮影部101から受け取る映像の部分領域が、ある姿勢を表す画像特徴に類似していた場合、生体情報計測対象者認識部102は、生体情報計測対象者は、その姿勢をとっていたと認識する。生体情報計測対象者認識部102は、認識結果を、その認識を行った時刻と共に、認識結果記録部104へと送る。また、生体情報計測対象者認識部102は、認識の対象となった映像も合わせて認識結果記録部104に送ってもよい。
【0012】
周辺状況認識部103は、撮影部101から映像を受け取り、生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識を公知の技術を用いて実施する。「生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識」とは、まずは「生体情報計測対象者以外の人が映像中に映っているかどうか」を認識することである。そして、生体情報計測対象者以外の人が映っていると認識した場合、周辺状況認識部103は、「その人はどんな表情・姿勢・動作・行動をしているか、どんな服装をしているか、何かを持っているか」等を認識する。更に、「映像中には人物以外の物が映っているか。映っているとすればそれは何で、どんな状態にあるか」を認識することも、「生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識」に含まれる。例えば、周辺状況認識部103は、「映像にエアコンのような暖房機器が映っているか」を判定し、更に「その暖房機器の稼動状況はどうか(強い温風を出しているのか、動いていないのか、等)」を判定する。より具体的には、周辺状況認識部103は、内部に保持している暖房機器の画像特徴が、撮影部101より受け取る映像中に検出されるか否かによって「映像にエアコンのような暖房機器が映っているか」を判定する。そして、周辺状況認識部103は、暖房機器が検出された映像領域に暖房機器の稼動状況を示す画像特徴(例えばインジケータランプが光っているときの画像特徴)が検出されるか否かで「その暖房機器の稼動状況はどうか」を判定する。周辺状況認識部103は、稼動状況(強い温風が出ているのか、動いていないのか、等)の内容を、稼動状況を示す画像特徴の違い(インジケータランプが認識される位置やその種類)を事前に内部にリスト化しておく等して、判定することができる。なお、撮影部101が生体情報計測対象者の活動する現実空間の状況を反映する現象を計測するセンサを備えている場合、周辺状況認識部103は、そのセンサの計測値も利用して、「生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識」を実施してもよい。例えば、撮影部101が備える人感センサが人物の存在を検知した場合、周辺状況認識部103は、その人感センサの検知場所が映る映像領域だけを認識をすることによって、より短い時間で認識を終えることができる。周辺状況認識部103は、認識した結果を、その認識を行った時刻と共に、認識結果記録部104へと送る。また、周辺状況認識部103は、認識の対象となった映像も合わせて認識結果記録部104に送ってもよい。
認識結果記録部104は、生体情報計測対象者認識部102と周辺状況認識部103とのそれぞれより、認識時刻と紐付けられた認識結果を受け取り、これを記録する。その結果として、認識結果記録部104には、生体情報計測対象者に関する認識結果と生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果との履歴が記録される。記録された認識結果の履歴は、生体情報計測処理部110により参照される。認識結果の履歴だけでなく、認識の対象となった映像を合わせて認識結果記録部104に記録してもよい。
【0013】
生体情報計測処理部110は、生体情報の計測に関わる処理を行う。より具体的には、生体情報を計測する時機(タイミング)を判断したり、生体情報を計測したり、計測した生体情報の計測値を補正したり、生体情報計測値を評価したりする処理を行う。生体情報計測処理部110は、一連の生体情報計測処理を行った結果を、生体情報記録部109へと送る。
生体情報計測時機判断部105は、生体情報計測対象者に関する認識結果と生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果との履歴を用いて、生体情報計測対象者の生体情報を計測する時機を判断する。例えば、生体情報計測対象者の画像中の場所が一定時間以上同じで、姿勢にも変化がないことが生体情報計測対象者に関する認識結果として得られる場合、生体情報計測時機判断部105は、生体情報計測対象者は安静状態にあると判断する。そして、生体情報計測時機判断部105は、その時点で生体情報を計測するとする。また例えば、生体情報計測対象者の周囲にある暖房機器が稼動し始めて間もないことが周辺状況に関する認識結果として得られる場合、生体情報計測時機判断部105は、生体情報計測対象者の体も温まっていないと判断する。そして、生体情報計測時機判断部105は、その時点では生体情報を計測しないとする。
このような認識結果の履歴に基づく計測時機の判断を、公知の技術を利用して、生体情報計測時機判断部105は行う。公知の技術とは、例えば、生体情報計測対象者の活動状態を認識結果から判定し、その判定結果が一定条件(例えば「安静」という活動状態が5分以上続く)を満たした瞬間に生体情報を計測する時機と判断するルールベースの方法である。若しくは、生体情報計測時機判断部105は、認識結果の履歴パターンとそれに対する判断内容とをリストとして内部に持っておき、認識結果の履歴を参照するたびに、リストに従ってその時点が計測時機であるかどうかの判断をしてもよい。生体情報計測時機判断部105は、生体情報を計測することを判断すると、生体情報計測命令(計測指示)を生体情報計測部106へと送る。
【0014】
生体情報計測部106は、生体情報計測対象者の生体情報を計測するセンサである。例えば、生体情報計測部106の一例としては、体重計や温度計や血圧計や心拍計等である。生体情報計測部106は、生体情報計測対象者に直接接触することで生体情報を計測するものでもよいし、生体情報計測対象者には接触せずに計測するものでもよい。後者の例としては、赤外線サーモグラフィを利用した体表面温度センサやカメラによる呼気検知器等がある。何れのセンサによって実現されるものであれ、生体情報計測部106は、撮影部101が撮影する映像中に生体情報計測対象者が映っているときに、その生体情報を計測できるように配置される。例えば生体情報計測部106が体重計である場合、撮影部101の撮影範囲内に生体情報計測対象者がいるときにその足元に生体情報計測部106があるように配置される。また例えば生体情報計測部106が赤外線サーモグラフィを利用した体表面温度センサである場合、撮影部101が撮影する範囲と生体情報計測部106が体表面を計測する範囲が重なるように、生体情報計測部106は配置される。生体情報計測部106が生体情報を計測する時機は、生体情報計測時機判断部105によって決定される。即ち、生体情報計測時機判断部105から生体情報計測命令を受け取ると、生体情報計測部106は、生体情報を計測する。生体情報計測部106は、計測によって得られる生体情報計測値を、生体情報計測値補正部107へと送る。
【0015】
生体情報計測値補正部107は、生体情報計測対象者に関する認識結果や生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果の履歴を用いて、必要であれば、生体情報計測対象者の生体情報計測値を補正する。例えば、生体情報計測対象者に関する認識結果が厚着をしていることを示している場合、生体情報計測値補正部107は、生体情報として計測した体重にその厚着分の重さが加わっているとして、その分の重さを補正として生体情報計測値から差し引く。この「厚着分の重さ」は、例えば生体情報計測対象者ごとに例えば生体情報計測値補正部107又は生体情報計測値補正部107が参照可能な記憶装置等に事前に設定しておく(Aさんなら2kg、Bさんなら1kg、等)。若しくは、生体情報計測値補正部107が、撮影部101の撮影映像から推定される生体情報計測対象者の身長から推定してもよい(身長に比例した重さを厚着分とする)。若しくは、生体情報計測値補正部107が、より詳細な認識を行って「厚着分の重さ」を決定してもよい(コートによる厚着と認識されれば2kg、セーターによる厚着と認識されれば1kg、等)。また、例えば、周辺状況に関する認識結果が、白衣高血圧症のある生体情報計測対象者のそばに医師がいることを示している場合、生体情報計測値補正部107は、白衣高血圧症による血圧上昇分を補正として生体情報計測値から差し引く。生体情報計測値補正部107によって補正された生体情報計測値は、生体情報計測値評価部108を経由して、生体情報記録部109へ送られ、そこに記録される。なお、生体情報計測値補正部107は、更に、生体情報記録部109に記録された過去の補正済み生体情報計測値を参照しながら、生体情報計測部106より受け取る生体情報計測対象者の生体情報計測値を補正してもよい。例えば、白衣高血圧に基づく血圧値の補正量は、過去の白衣高血圧症がでていないとき(計測時にそばに医師や看護士がいなかったとき)の生体情報計測値を個人ごとに記録しておき、生体情報計測値補正部107は、この値から補正量を推定する。
【0016】
生体情報計測値評価部108は、生体情報計測対象者に関する認識結果や生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果の履歴を用いて生体情報計測値を評価し、その結果を示すタグと関連付ける。ここでの「評価」とは、生体情報計測時の生体情報計測対象者及びその周辺状況が、生体情報計測値に影響を及ぼすか否かに関する。よって、その評価結果を示すタグとは、生体情報計測値への影響因子を示す。
例えば人の体温は、一日の中でもあるリズムで変動することが知られているので(朝は低く、夕方が最も高い)、計測時間と関連付けおくことには、長期的な体温変動を把握する上で有用である。そこで、生体情報計測時刻が早朝で、生体情報計測対象者に関する認識結果が起床直後である場合、生体情報計測値評価部108は、生体情報として計測した体温は早朝で起床後の体温であると評価し、生体情報計測値「早朝かつ起床後○分」というタグを関連付ける。
別の例として、生体情報計測時刻が早朝でありながら、認識結果の過去6時間分に就寝状態が含まれない場合、生体情報計測値評価部108は、生体情報として計測した体温は徹夜明け時の体温であると評価し、生体情報計測値「徹夜明け」というタグを関連付ける。
同様に血圧も、精神的な興奮、悲しみ、ストレスや不安によって変動する。そうした状況と関連付けながら血圧を記録することは、長期的な血圧変動をより確からしく把握する目的において有用である。そこで例えば、周辺状況に関する認識結果がそばに笑顔の友人がいたことを示している場合、生体情報計測値評価部108は、生体情報として計測した血圧は穏やかな精神状態の影響を受けた血圧であると評価し、生体情報計測値「穏やか」というタグを関連付ける。このとき、生体情報計測値評価部108は、生体情報の計測値自体も鑑みて、評価を行ってもよい。即ち、生体情報計測値評価部108は、同様の認識結果が得られている状況で、血圧値や心拍数や発汗量が正常値であればその生体情報計測値にそのまま「穏やか」というタグを関連付ける。一方、血圧値や心拍数や発汗量が高めであるような場合、生体情報計測値評価部108は、「内心は穏やかでない」というタグを関連付けてもよい。また、生体情報計測値評価部108は、認識結果や生体情報の計測値だけでなく、音声認識結果等も鑑みて、生体情報計測値の評価を行ってもよい。
【0017】
別の例として、周辺状況に関する認識結果がそばに怒り顔の友人がいたことを示している場合、生体情報計測値評価部108は、生体情報として計測した血圧はストレス状態の影響を受けうると評価し、生体情報計測値「ストレス」というタグを関連付ける。このときも、生体情報計測値評価部108は、生体情報の計測値自体も鑑みて、評価を行ってもよい。即ち、同様の認識結果が得られている状況で、血圧値や心拍数や発汗量が高めであるような場合、生体情報計測値評価部108は、その生体情報計測値にそのまま「ストレス」というタグを関連付ける。一方、血圧値や心拍数や発汗量が正常値であれば生体情報計測値評価部108は、「内心は穏やか」というタグを関連付けてもよい。また、生体情報計測値評価部108は、認識結果記録部104を参照して得る認識結果が直接、生体情報計測値に影響する因子を示しているとして、その認識結果をそのままタグにしてもよい。
生体情報計測値評価部108により評価され、タグが付与された生体情報計測値は、そのタグと共に生体情報として、生体情報記録部109へと送られる。なお、生体情報計測値評価部108は、更に、生体情報記録部109に記録された、タグと関連付けられている過去の生体情報計測値を参照しながら生体情報計測値を評価してもよい。例えば、過去にある人と一緒にいるときに計測した血圧値に付けられるタグが「穏やか」が比較的多い場合、生体情報計測値評価部108は、その人と一緒にいるときに計測された血圧値の評価が、より「穏やか」になりやすいように評価基準を変更して、評価する。即ち、生体情報計測値評価部108は、生体情報記録部109に記録された、タグと関連付けられている過去の生体情報計測値に基づき「穏やか」であるか否かを判定するための基準となる血圧値の上限値を変更する。
【0018】
生体情報記録部109は、生体情報計測値評価部108より、タグと関連付けられている生体情報計測値を受け取り、これを内部に記録する。記録された生体情報計測値は、生体情報計測値補正部107と生体情報計測値評価部108とによって参照される。また、記録された生体情報計測値は、不図示のディスプレイ等を介して、生体情報計測対象者や医師等に対して開示される。若しくは、不図示のシステムに参照されて、何らかの生体情報サービスの実現に利用される。なお、生体情報記録部109は、生体情報計測値を記録する際に、その生体情報を計測した瞬間やその前後に撮影部101が撮影した映像を合わせて記録してもよい。その映像は、認識結果記録部104に記録されているものを参照して得てもよいし、撮影部101から直接的に得てもよい。
以上が、本実施形態にかかる生体情報計測処理装置100に関する構成である。
【0019】
(処理)
続いて、図2に示したフローチャートを用いて、本実施形態の生体情報計測処理装置100が行う処理について説明する。
ステップS100において処理が開始されると、まずステップS101へと進み、撮影部101は、生体情報計測対象者が活動する現実空間の撮影を行う。撮影部101は、撮影映像を、生体情報計測対象者認識部102と周辺状況認識部103とに送り、処理をステップS102へと進める。
ステップS102において、生体情報計測対象者認識部102は、撮影部101より送られた映像に対する生体情報計測対象者に関する映像認識処理を、公知の技術を用いて行う。この処理により、「映像中に生体情報計測対象者が映っているかどうか」「生体情報計測対象者はどんな表情・姿勢・動作・行動をしているか、どんな服装をしているか、何かを持っているか」といったことが認識される。その結果、例えば、「生体情報計測対象者はいない」「生体情報計測対象者は同じ場所に居続けている」「生体情報計測対象者が厚着をしている」等の認識結果が得られる。その後、生体情報計測対象者認識部102は、処理をステップS103へと進める。
ステップS103において、生体情報計測対象者認識部102は、ステップS102における映像認識処理の結果により、生体情報計測対象者の生体情報計測の可否(生体情報を計測可能か否か)を確認する。即ち、生体情報計測対象者認識部102は、生体情報計測部106が装着型であるときは、生体情報計測対象者が撮影部101の撮影する範囲にいれば、生体情報計測が可能であると確認する。生体情報計測対象者認識部102は、生体情報計測部106が非装着型であるときは、生体情報計測対象者が生体情報の計測範囲にいれば、生体情報計測が可能であると確認する。何れにせよ、生体情報計測対象者認識部102は、生体情報計測が可能であると確認すると、処理をステップS104へと進める。それ以外の場合、即ち、生体情報計測対象者が撮影範囲にいなかったり、生体情報の計測範囲にいなかったりする場合、生体情報計測対象者認識部102は、処理をステップS101へと戻す。
【0020】
ステップS104において、生体情報計測対象者認識部102は、ステップS102で実施された生体情報計測対象者に関する映像認識の結果を、その認識時刻情報と共に、認識結果記録部104に記録する。その後、生体情報計測対象者認識部102は、処理をステップS105へと進める。
ステップS105において、周辺状況認識部103は、撮影部101より送られた映像に対する生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識処理を、公知の技術を用いて行う。この処理により、「生体情報計測対象者以外の人が映像中に映っているかどうか」「その人はどんな表情・姿勢・動作・行動をしているか、どんな服装をしているか、何かを持っているか」「映像中には人物以外の物が映っているか。映っているとすればそれは何で、どんな状態にあるか」等が認識される。その結果、例えば、「生体情報計測対象者は一人」「生体情報計測対象者は笑顔の誰かと一緒にいる」「暖房機器が稼動している」といった認識結果が得られる。その後、周辺状況認識部103は、処理をステップS106へと進める。
ステップS106において、周辺状況認識部103は、ステップS105で実施された生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識の結果を、その認識時刻情報と共に、認識結果記録部104に記録する。その後、周辺状況認識部103は、処理をステップS107へと進める。
【0021】
ステップS107において、生体情報計測時機判断部105は、生体情報を計測する時機を判断する。そのためにまず、生体情報計測時機判断部105は、認識結果記録部104に記録される生体情報計測対象者に関する認識結果と生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果とを、一定時間前から現在時刻までの分、参照する。そして、生体情報計測時機判断部105は、最新の認識結果の内容やそこに至るまでの認識結果の履歴を用いて、今が計測時機であるか否かを判断する。例えば、生体情報計測時機判断部105は、内部に、認識結果の履歴パターンとそれに対する判断内容をリストとして保持しておく。生体情報計測時機判断部105は、認識結果を認識結果記録部104から参照するたびに、リストに従って、その時点が計測時機であるかどうかの判断を実施する。より具体的な例としては、生体情報計測対象者が認識される画像中の位置が一定時間以上同じ場所で、同時刻にその場所で検出される人物姿勢認識結果に変化がない場合、生体情報計測時機判断部105は、今現在を計測時機と判断する。その後、生体情報計測時機判断部105は、処理をステップS108へと進める。
ステップS108において、生体情報計測時機判断部105は、ステップS107における判断結果により処理を分岐する。ステップS107で生体情報を計測することを判断した場合、生体情報計測時機判断部105は、生体情報計測命令を生体情報計測部106へと送る。そして、生体情報計測時機判断部105は、処理をステップS109へと進める。ステップS107で生体情報を計測すると判断しなかった場合、生体情報計測時機判断部105は、処理をステップS101へと戻す。
ステップS109において、生体情報計測部106は、生体情報の計測を行う。生体情報計測部106は、計測よって得られる生体情報計測値を、生体情報計測値補正部107へと送り、処理をS110へと進める。
【0022】
ステップS110において、生体情報計測値補正部107は、必要であれば、生体情報計測部106より受け取る生体情報計測対象者の生体情報計測値を補正する。そのためにまず、生体情報計測値補正部107は、認識結果記録部104に記録される生体情報計測対象者に関する認識結果と生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果とを、一定時間前から現在時刻までの分、参照する。そして、生体情報計測値補正部107は、最新の認識結果の内容やそこに至るまでの認識結果の履歴を用いて、生体情報計測部106より得た生体情報計測値の補正が必要か否かを判断する。例えば、生体情報計測値補正部107の内部に、認識結果の履歴パターンとそれに対する判断内容(補正が必要か否かと、補正が必要であればそのときの補正量)を、個人ごとのリストに保持しておく。そして、生体情報計測値補正部107は、認識結果を認識結果記録部104から参照するたびに、リストに従って、その時点で得られる生体情報計測値に補正が必要であるかどうかの判断を実施する。より具体的な例としては、白衣高血圧症のある生体情報計測対象者の周辺状況が「そばに医師がいる」という結果である場合、生体情報計測値補正部107は、白衣高血圧症分の血圧上昇分が生体情報計測値に含まれるので補正が必要であると判断する。補正の必要があると判断した場合、生体情報計測値補正部107は、生体情報計測対象者に関する認識結果と生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果とを用いて補正値を決定し、生体情報計測値への補正を行う。例えば、生体情報計測値補正部107は、内部に保持している生体情報計測対象者に関する認識結果及び生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果と補正値との対応関係リストを参照して補正値を決定する。以上の処理を終えると、生体情報計測値補正部107は、処理をステップS111へと進める。
【0023】
ステップS111において、生体情報計測値評価部108は、生体情報計測値補正部107より受け取る生体情報計測値を評価し、その評価結果を示すタグを生体情報計測値と関連付ける。そのためにまず、生体情報計測値評価部108は、認識結果記録部104に記録されている生体情報計測対象者に関する認識結果と生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果とを、一定時間前から現在時刻までの分、参照する。そして、最新の認識結果の内容やそこに至るまでの認識結果の履歴を用いて、生体情報計測値評価部108は、生体情報計測値補正部107より受け取る生体情報計測値を評価し、その評価結果を示すタグ(「穏やか」「安静」等)を生体情報計測値と関連付ける。
例えば、生体情報計測値評価部108は、内部に、認識結果の履歴パターン及び生体情報計測値とこれに対する評価内容との組をリストとして保持しておく。そして、生体情報計測値評価部108は、認識結果を認識結果記録部104から参照するたびに、リストに従って生体情報計測値の評価し、そのタグに関連付ける。より具体的な例としては、周辺状況に関する認識結果の履歴がそばに笑顔の友人がいたことを示していて、血圧が生体情報計測対象者の通常時より高い値であった場合、生体情報計測値評価部108は、「穏やかな状態なのに高血圧」というタグを関連付ける。別の例として、周辺状況に関する認識結果がそばに怒り顔の友人がいたことを示していて、血圧が一般的に高い値であった場合、生体情報計測値評価部108は、「高血圧であるがストレス状態」というタグを関連付ける。以上の処理を終えると、生体情報計測値評価部108は、処理をステップS112へと進める。
ステップS112において、生体情報計測値評価部108は、生体情報計測値を、生体情報記録部109へと送り、記録する。ステップS111において生体情報計測値にタグが関連付けられた場合、その関連を示す情報も合わせて生体情報記録部109へと送られ、記録される。以上の処理を終えると、生体情報計測値評価部108は、処理をステップS101へと戻す。
【0024】
以上の処理によって、生体情報計測処理装置100は、生体情報計測対象者が活動する空間に設置され、その生体情報計測対象者の周辺状況の認識結果を考慮しながら、生体情報を計測する処理を行う。また、その生体情報計測値に影響を及ぼしうる生体情報計測対象者の計測時の状況やそのときの周辺状況を、映像そのものではなく生体情報計測値の評価結果(を示すタグ)から知ることができる。
なお、本実施形態では、図1に示される各構成は、ハードウェアとして生体情報計測処理装置100に実装されているものとして説明を行ったが、このことは本実施形態を制限するものではない。例えば、生体情報計測対象者認識部102、周辺状況認識部103、生体情報計測時機判断部105、生体情報計測値補正部107、生体情報計測値評価部108等は、生体情報計測処理装置100にソフトウェアとして実装されてもよい。即ち、生体情報計測処理装置100がハードウェア構成としてCPUやメモリを有し、メモリに記憶されているプログラムをCPUが実行することによって前記ソフトウェアを実現するよう生体情報計測処理装置100を構成してもよい。
【0025】
<第二実施形態>
(概要)
本実施形態に係る生体情報計測処理装置は、生体情報の計測対象である生体情報計測対象者に装着され、その生体情報計測対象者の周辺状況を認識し、その認識結果を考慮しながら、生体情報計測対象者の生体情報を計測する処理を行う。
以下、図を用いて本実施形態に係る生体情報計測処理装置の構成及び処理について説明する。
(構成)
図3は、本実施形態に係る生体情報計測処理装置200の概略を示す図である。図3に示すように、生体情報計測処理装置200は、撮影部201、周辺状況認識部203、生体情報計測処理部210、生体情報記録部209、生体情報計測値解析部211から構成されている。同じく図3に示すように、生体情報計測処理装置200に含まれる生体情報計測処理部210は、生体情報計測時機判断部205と生体情報計測部206から構成されている。
撮影部201は、カメラを含み、生体情報計測対象者に装着され、生体情報計測対象者の周辺現実空間を撮影する。撮影部201は、頭部に装着されたり首から下げられたりして、生体情報計測対象者の視界領域を撮影してもよいし、頭の上や肩に装着して生体情報計測対象者の全周囲を撮影してもよい。撮影部201は、撮影シた映像を周辺状況認識部103へと出力する。パンチルトやズームといったカメラパラメータは、固定でもよいし可変であってもよい。また、撮影部201は、生体情報計測対象者の周囲現実空間の状況を反映する現象を計測するセンサ(例えば音声センサや温度センサ等)を合わせて備えていてもよい。
【0026】
周辺状況認識部203は、撮影部201から映像を受け取り、生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識を公知の技術を用いて実施する。「生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識」とは、「映像中に映る場所はどこか」を認識することである。若しくは、「映像中に映る人は誰で、その人は生体情報計測対象者に対してどのような関係の人で、何をしようとしているか」を認識することであったりもする。例えば、周辺状況認識部203は、内部に保持している病院内によくある物体(血圧計や注射器等)の画像特徴が撮影部201より受け取る映像中に検出されるか否かによって「その場所が病院かどうか」を判定する。そして、周辺状況認識部203は、内部に保持してある白衣人物の画像特徴が撮影部201より受け取る映像中に検出されるか否かによって「映像中に医師や看護士がいるかどうか」を判定する。若しくは、周辺状況認識部203は、「白衣を着た人」や「血圧計」といった、病院という場所に特有の人物と物体とを同時に認識したことをもって、その場所が「病院」であり「白衣を着た人が医師や看護士である」と判定してもよい。なお、撮影部201が生体情報計測対象者の周囲現実空間の状況を反映する現象を計測するセンサを備えている場合、周辺状況認識部203は、そのセンサの計測値を撮影部201より受け取る。そして、周辺状況認識部203は、受け取った計測値も利用して、「生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識」を実施してもよい。例えば、撮影部201が備える音声センサが会話を検知した場合、周辺状況認識部203は、その会話を音声認識し、その結果に基づいてありうる認識結果を絞り込むことで、映像だけでは特定できない周辺状況を特定してもよい。周辺状況認識部203は、認識した結果を、生体情報計測時機判断部205へと送る。
生体情報計測処理部210は、生体情報の計測に関わる処理を行う。より具体的には、生体情報計測処理部210は、生体情報を計測する時機(タイミング)を判断したり、生体情報を計測したりする処理を行う。生体情報計測処理部210は、各種処理を行った結果を生体情報記録部209へと送る。
【0027】
生体情報計測時機判断部205は、周辺状況認識部203より受け取る生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果を用いて、生体情報計測対象者の生体情報を計測する時機を判断する。例えば、認識結果が「生体情報計測対象者が自宅のリビングにいて、他に誰もいない」と解釈できるとき、生体情報計測時機判断部205は、その時点で生体情報を計測することを判断する。一方、認識結果が「生体情報計測対象者は屋外にいて、移動している」と解釈できるとき、生体情報計測時機判断部205は、その時点では生体情報を計測しないことを判断する。生体情報計測時機判断部205は、このような認識結果に基づく計測時機の判断を、公知の技術を利用して行う。例えば、生体情報計測時機判断部205は、認識結果のパターンとそれに対する判断内容を、リストとして内部に持っておく。そして、生体情報計測時機判断部205は、認識結果を周辺状況認識部203から受け取るたびに、リストに従って、その時点が計測時機であるかどうかの判断を実施する。生体情報計測時機判断部205は、生体情報を計測することを判断すると、生体情報計測命令を生体情報計測部206へと送る。このとき、生体情報計測時機判断部205は、認識結果も一緒に生体情報計測部206へと送る。
生体情報計測部206は、生体情報計測対象者の生体情報を計測するセンサである。例えば、生体情報計測部206は、温度計や血圧計や心拍計や心電計等である。生体情報計測部206は、生体情報計測対象者に直接接触することで生体情報を計測するものでもよいし、生体情報計測対象者には接触せずに計測するものでもよい。但し本実施形態においては、生体情報計測対象者によって常時携帯されうるもので、いつでもどこでも生体情報計測対象者の生体情報を計測できるものであるとする。生体情報計測部206が生体情報を計測する時機は、生体情報計測時機判断部205によって決定される。即ち、生体情報計測時機判断部205から生体情報計測命令を受け取ると、生体情報計測部206は、生体情報を計測する。生体情報計測部206は、生体情報計測値を、生体情報記録部209へと送る。このとき生体情報計測部206は、周辺状況認識部203より受け取る認識結果も一緒に生体情報計測部206へと送る。
【0028】
生体情報記録部209は、生体情報計測部206より生体情報計測値を受け取り、それを内部に記録する。このとき生体情報記録部209は、生体情報計測部206経由で周辺状況認識部203より受け取る認識結果も一緒に記録する。記録された生体情報計測値とそれに対応する認識結果とは、生体情報計測値解析部211によって参照される。
生体情報計測値解析部211は、生体情報記録部209に記録される生体情報計測値とそれに対応する認識結果との履歴を参照し、個々の生体情報計測値を解析する。例えば、生体情報計測値解析部211は、ある状況(リビングでの安静時)における生体情報(脈等)の長期的変動を解析すべく、「リビングでの安静時」を示す周辺状況認識結果と対応付けられた生体情報計測値(脈拍数)だけを集めて、その時間変動を解析する。解析結果は、不図示のシステムやディスプレイを介して、医師や生体情報計測対象者に開示される。すると、同じ条件で測り続けた生体情報にゆらぎがあるか、それとも、規則的な変動があるか等を、医師や生体情報計測対象者が確認でき、不整脈を早期に発見できたりする。
以上が、本実施形態にかかる生体情報計測処理装置200に関する構成である。
【0029】
(処理)
続いて、図4に示したフローチャートを用いて、本実施形態の生体情報計測処理装置200が行う処理について説明する。
ステップS200において処理が開始されると、まずステップS201へと進み、撮影部201は、生体情報計測対象者の周囲現実空間の撮影を行う。撮影部201は、撮影映像を、周辺状況認識部203に送り、処理をステップS205へと進める。
ステップS205において、周辺状況認識部203は、撮影部201より送られた映像に対する生体情報計測対象者の周辺状況に関する映像認識処理を、公知の技術を用いて行う。この処理により、「映像中に映る場所はどこか」「映像中に映る人は誰で、その人は生体情報計測対象者に対してどのような関係の人で、何をしようとしているか」といったことが認識される。その結果、例えば、「生体情報計測対象者は病院にいる」「生体情報計測対象者は笑顔の誰かと一緒にいる」といった認識結果が得られる。その後、周辺状況認識部203は、処理をステップS207へと進める。
ステップS207において、生体情報計測時機判断部205は、生体情報計測対象者の周辺状況に関する認識結果の内容を用いて、その瞬間が計測時機であるかを判断する。例えば、生体情報計測時機判断部205は、内部に、認識結果のパターンとそれに対する判断内容を保持しておく。そして、生体情報計測時機判断部205は、認識結果を周辺状況認識部203から受け取るたびに、リストに従って、その時点が計測時機であるかどうかの判断を実施する。より具体的な例としては、生体情報計測対象者の位置認識結果が自宅で、周囲に人がいないと認識された場合、生体情報計測時機判断部205は、その瞬間を計測時機と判断する。その後、生体情報計測時機判断部205は、処理をステップS208へと進める。
【0030】
ステップS208において、生体情報計測時機判断部205は、ステップS207における判断結果により処理を分岐する。生体情報計測時機判断部205は、生体情報を計測すると判断した場合、生体情報計測命令とステップS205で生成された認識結果とを生体情報計測部206へと送り、処理をステップS209へと進める。生体情報計測時機判断部205は、生体情報を計測すると判断しなかった場合、処理をステップS201へと戻す。
ステップS209において、生体情報計測部206は、生体情報の計測を行う。生体情報計測部206は、計測によって得られた生体情報計測値を、生体情報計測時機判断部205より受け取った認識結果と共に生体情報記録部209へと送り、処理をステップS212へと進める。
ステップS212において、生体情報計測部206は、生体情報計測値とそれに対応する周辺状況の認識結果とを、生体情報記録部209へと送り、記録する。その後、生体情報計測部206は、処理を、ステップS213へと進める。
ステップS213において、生体情報計測値解析部211は、生体情報記録部209に記録された生体情報計測値の履歴の解析を行う。生体情報計測値解析部211は、各生体計測値に対応する周辺状況の認識結果を利用して解析を行う。解析結果は、不図示のシステムやディスプレイ等を介して、医師や生体情報計測対象者等に開示される。以上を終えると、生体情報計測値解析部211は、処理をステップS201へと戻す。
【0031】
以上の処理によって、生体情報計測処理装置200は、生体情報の計測対象である生体情報計測対象者に装着され、その生体情報計測対象者の周辺状況を認識し、その認識結果を考慮しながら、生体情報計測対象者の生体情報を計測する処理を行う。また、生体情報計測処理装置200は、継続的に記録された生体情報計測値の履歴を、その生体情報を計測したときの周辺状況を鑑みながら、解析することができる。
なお、本実施形態では、図3に示される各構成は、ハードウェアとして生体情報計測処理装置200に実装されているものとして説明を行ったが、このことは本実施形態を制限するものではない。例えば、周辺状況認識部203、生体情報計測時機判断部205、生体情報計測値解析部211等は、生体情報計測処理装置100にソフトウェアとして実装されてもよい。即ち、生体情報計測処理装置200がハードウェア構成としてCPUやメモリを有し、メモリに記憶されているプログラムをCPUが実行することによって前記ソフトウェアを実現するよう生体情報計測処理装置200を構成してもよい。
【0032】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0033】
以上、上述した各実施形態によれば、生体情報計測対象者の周辺状況による変動を考慮した上で、生体情報計測対象者の生体情報を計測することができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
100 生体情報計測処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報計測対象者を撮影する撮影手段で撮影された映像に映る前記生体情報計測対象者の周辺状況を認識する周辺状況認識手段と、
前記周辺状況認識手段での認識結果に応じて前記生体情報計測対象者の生体情報を計測する処理を行う生体情報計測処理手段と、
を有する生体情報計測処理装置。
【請求項2】
前記生体情報計測処理手段は、前記生体情報計測対象者の生体情報を計測する生体情報計測手段を有し、前記周辺状況認識手段の認識結果に応じて前記生体情報計測手段で計測された生体情報計測値を処理する請求項1記載の生体情報計測処理装置。
【請求項3】
前記生体情報計測処理手段は、前記周辺状況認識手段の認識結果に応じて前記生体情報計測対象者の生体情報を計測する時機を判断し、前記生体情報計測対象者の生体情報を計測する時機であると判断した場合、前記生体情報計測手段に対して計測指示を送る生体情報計測時機判断手段を更に有する請求項2記載の生体情報計測処理装置。
【請求項4】
前記生体情報計測処理手段は、前記周辺状況認識手段の認識結果に応じて、前記生体情報計測手段で計測された生体情報計測値を補正する生体情報計測値補正手段を有する請求項2又は3記載の生体情報計測処理装置。
【請求項5】
前記生体情報計測処理手段は、前記周辺状況認識手段の認識結果に応じて、前記生体情報計測値補正手段で補正された前記生体情報計測値を評価する生体情報計測値評価手段を有する請求項4記載の生体情報計測処理装置。
【請求項6】
前記周辺状況認識手段の認識結果を記録する認識結果記録手段を更に有し、
前記生体情報計測処理手段は、前記認識結果記録手段に記録されている前記周辺状況認識手段の認識結果の履歴に応じて前記生体情報計測対象者の生体情報を計測する処理を行う請求項1乃至5何れか1項記載の生体情報計測処理装置。
【請求項7】
前記周辺状況認識手段の認識結果を記録する認識結果記録手段と、
前記生体情報計測処理手段による計測処理の結果を記録する生体情報記録手段と、
を更に有し、
前記生体情報計測値補正手段は、前記認識結果記録手段に記録されている前記周辺状況認識手段の認識結果の履歴と、前記生体情報記録手段に記録されている前記生体情報計測処理手段による計測処理の結果の履歴と、に応じて、前記生体情報計測手段で計測された生体情報計測値を補正する請求項4記載の生体情報計測処理装置。
【請求項8】
前記周辺状況認識手段の認識結果を記録する認識結果記録手段と、
前記生体情報計測処理手段による計測処理の結果を記録する生体情報記録手段と、
を更に有し、
前記生体情報計測値評価手段は、前記認識結果記録手段に記録されている前記周辺状況認識手段の認識結果の履歴と、前記生体情報記録手段に記録されている前記生体情報計測処理手段による計測処理の結果の履歴と、に応じて、前記生体情報計測値補正手段で補正された前記生体情報計測値を評価する請求項5記載の生体情報計測処理装置。
【請求項9】
前記撮影手段で撮影された映像に映る前記生体情報計測対象者を認識する生体情報計測対象者認識手段を更に有し、
前記周辺状況認識手段は、前記生体情報計測対象者認識手段で認識された前記生体情報計測対象者が生体情報を計測可能な場合に、前記生体情報計測対象者の周辺状況を認識する請求項1乃至8何れか1項記載の生体情報計測処理装置。
【請求項10】
生体情報計測処理装置が実行する生体情報計測処理方法であって、
生体情報計測対象者を撮影する撮影手段で撮影された映像に映る前記生体情報計測対象者の周辺状況を認識する周辺状況認識ステップと、
前記周辺状況認識ステップでの認識結果に応じて前記生体情報計測対象者の生体情報を計測する処理を行う生体情報計測処理ステップと、
を含む生体情報計測処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−244841(P2011−244841A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117665(P2010−117665)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】