説明

生体成分含有溶液の分離精製システムおよび分離精製方法

【課題】
たとえば臨床プロテオーム解析をする際に血液や尿などの生体成分含有溶液から余分な高分子量のタンパク質を膜分離の簡便性を生かしつつ高度に分離・除去し、低分子量のタンパク質やペプチドを高速かつより確実に分離精製することができる分離精製システムおよび分離精製方法を提供する。
【解決手段】
生体成分含有溶液中のタンパク質および/またはペプチドを分析する際に、分子量1.1万のデキストランのふるい係数が0.4以上であり、分子量6.7万のデキストランのふるい係数が0.01以下である分離膜を用い、該分離膜に前記生体成分含有溶液を循環供給して濾過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体成分含有溶液、特にヒトの血液、尿等から特定の生体成分を分離して分析用溶液を得るにあたって好適に用いることができる生体成分含有溶液の分離精製システムおよび分離精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポストゲノム研究として、プロテオーム解析研究(プロテオミクス)が注目され始めた。遺伝子産物であるタンパク質は遺伝子よりも疾患の病態に直接リンクしていると考えられることから、タンパク質を網羅的に調べるプロテオーム解析の研究成果は診断と治療に広く応用できると期待されている。しかも、ゲノム解析では発見できなかった病因タンパク質や疾患関連因子を多く発見できる可能性が高い。
【0003】
プロテオーム解析が急速に進展しだしたのは、質量分析装置(mass spectrometer: MS)による高速構造分析が可能となってきたことが大きく影響している。たとえば、MALDI-TOF-MS (matrix assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry) 等の実用化によって、ポリペプチドのハイスルースループット超微量分析が可能となり、従来検出し得なかった微量タンパク質までもが同定可能となり、疾患関連因子の探索に強力なツールとなってきている。
【0004】
ところで、プロテオーム解析の臨床応用の第一目的は、疾患によって誘導あるいは消失するバイオマーカータンパク質の発見である。バイオマーカータンパク質は、病態に関連して挙動するため、診断のマーカーとなり得るほか、創薬ターゲットとなる可能性も高い。すなわち、プロテオーム解析の成果は、特定遺伝子よりも診断マーカーや創薬ターゲットとなる可能性が高いため、ポストゲノム時代の診断と治療の切り札技術となり、同定されたバイオマーカータンパク質は患者の薬剤応答性評価や副作用発現予測という直接的に患者が享受しえる利益につながることから、いわゆるテーラーメード医療の推進に大きな役割を果たすといえる。
【0005】
しかしながら、臨床研究にプロテオーム解析を導入する場合には、大量の検体を迅速、確実に解析することが求められており、しかも個々の臨床検体(生体成分含有溶液)は微量で貴重なために高感度な測定を迅速に行う必要がある。そのため、超高感度でハイスループットの特性を有する質量分析装置が急速に改良されてきてはいるものの、プロテオーム解析が臨床現場で簡便かつ迅速に実施できる状況には、まだない。
【0006】
すなわち、質量分析にかける前には臨床検体(生体成分含有溶液)中のタンパク質やペプチド等を分画し精製することが必要で、この処理には数日かかるうえに、この前処理の操作は煩雑で経験も必要とされる。
【0007】
さらに、血液や体液などの生体成分含有溶液に含まれるタンパク質やペプチドは、多様なために分画精製が容易でないといった問題もある。たとえば、ヒト・タンパク質は10万種以上とも推定されているが、血清中に含まれるタンパク質だけでも約1万種類にものぼるといわれ、タンパク質総量の血清中濃度は約60〜80mg/mLである。そして、ヒト血清中の高含量のタンパク質は、アルブミン(分子量67kDa)、免疫グロブリン(150〜190kDa)、トランスフェリン(80kDa)、ハプトグロビン(>85kDa)、リポタンパク質(数100kDa)等であり、いずれも1mg/mLを超える程度に大量に存在する。一方、病態のバイオマーカーや病因関連因子と考えられているペプチドホルモン、インターロイキン、サイトカイン等の生理活性タンパク質の多くは、1ng/mL未満という極微量にしか存在せず、その含有量比は高分子の高含量成分に比べて、実にnanoからpicoレベルである。また、タンパク質の大きさという点では、タンパク質全種類の70%以下は分子量6.76万(6.760kDa)以下であり、上記の極微量なバイオマーカータンパク質はいずれもこの領域に含まれる場合がほとんどである(例えば非特許文献1)。したがって、これらを分離膜によって分離精製することは容易ではない。
【0008】
血液や体液などの生体成分含有溶液から高分子量のタンパク質を分離・除去する手段としては、高速液体クロマトグラフィー(liquid chromatography: LC) や二次元電気泳動(2 dimensional-polyacrylamide gel electrophoresis: 2D-PAGE) があるが、これらLCや2D-PAGEの作業も結局のところ1〜2日を要するものである。そのため、できるだけ短時間に分析結果がほしいという医療現場での診断や治療のためには実用性に乏しいといわざるを得ない。
【0009】
これに対して、短時間で血液や体液などの生体成分含有溶液から主としてアルブミンを除去する簡易な方法として、ブルー色素などのアフィニティーリガンドを固定化した担体を用いる方法がある(非特許文献2)。これは、ブルー色素などのアフィニティーリガンドを固定化した担体で不要なタンパク質を吸着除去する方法であるが、ある特定の分子量のタンパク質は除去できてもその分子量よりも大きな分子量や小さな分子量のタンパク質を除去することはできない。すなわち、例えばアルブミンをターゲットとして吸着分離する方法では、アルブミンは分離できても、免疫グロブリンなどの他の6.7万よりも大きな高分子成分を分離する事は困難である。したがって、上述のとおり多種多様なタンパク質を除去しなければならないプロテオーム解析の臨床応用には、この方法も現実的でない。
【0010】
そこで、ある特定の分子量よりも大きな分子量のタンパク質を簡易に除去することができる分離膜を用いた方法が注目されており、遠心膜ろ過分離によって分画する全濾過方式の装置が開発されている。しかしながら、具体的に装置開発がなされているこの方法は、簡易的で装置も安価ではあるものの、結局分離性能が不十分という問題がある。すなわち、全濾過法では、除去物質が循環排出されることがないため原液側のタンパク質濃度を一定に保つことが困難であり、また除去物質が膜表面にゲル層を形成し、膜の透過性を悪化させるので分画特性が悪くなるといった問題がある。
【非特許文献1】アンダーソン・NL(Anderson NL),アンダーソン・NG( Anderson NG)著,「ザ・ヒューマン・プラズマ・プロテオーム:ヒストリー・キャラクター・アンド・ダイアグノスティック・プロスペクツ (The human plasma proteome: history, character, and diagnostic prospects)」,モレキュラー・アンド・セルラー・プロテオミクス(Molecular & Cellular Proteomics),(米国),ザ・アメリカン・ソサエティー・フォー・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー・インコーポレーテッド(The American Society for Biochemistry and Molecular Biology, Inc.),2002年,第1巻,p845-867.
【非特許文献2】細胞工学別冊,「バイオ実験イラストレイテッド5」, 秀潤社, 2001年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のような事情から、本発明が解決しようとする課題は、たとえば臨床プロテオーム解析をする際に血液や尿などの生体成分含有溶液から余分な高分子量のタンパク質を膜分離の簡便性を生かしつつ高度に分離・除去し、低分子量のタンパク質やペプチドを高速かつより確実に分離精製することができる分離精製システムおよび分離精製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は次の(1)〜(6)の構成を特徴とするものである。
(1)生体成分含有溶液中のタンパク質および/またはペプチドを分析する際に行う前処理に用いる分離精製システムであって、
分子量1.1万のデキストランのふるい係数が0.4以上であり、分子量6.7万のデキストランのふるい係数が0.01以下である分離膜と、
該分離膜に生体成分含有溶液を供給するためのポンプと、
前記分離膜の原液側流路に設けられた原液入口および原液出口と、
前記分離膜の透過液側流路に設けられた透過液出口と、
前記原液入口と前記原液出口とを連通する溶液循環回路と、
該溶液循環回路に希釈液を流入させるための希釈液流入口と、
を具備することを特徴とする生体成分含有溶液の分離精製システム。
(2)前記溶液循環回路が閉鎖系であることを特徴とする上記(1)に記載の生体成分含有溶液の分離精製システム。
(3)前記分離膜が親水性高分子を含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の生体成分含有溶液の分離精製システム。
(4)前記生体成分含有溶液が、血液由来物、尿、腹水、唾液、涙液、脳脊髄液、胸水および細胞からタンパク質を抽出した溶液からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の生体成分含有溶液の分離精製システム。
(5)生体成分含有溶液中のタンパク質および/またはペプチドを分析する際に、分子量1.1万のデキストランのふるい係数が0.4以上であり、分子量6.7万のデキストランのふるい係数が0.01以下である分離膜を用い、該分離膜に前記生体成分含有溶液を循環供給して濾過することを特徴とする生体成分含有溶液の分離精製方法。
(6)前記生体成分含有溶液が、血液由来物、尿、腹水、唾液、涙液、脳脊髄液、胸水および細胞からタンパク質を抽出した溶液からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(5)に記載の生体成分含有溶液の分離精製方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、たとえば臨床プロテオーム解析をする際に余分となる高分子量のタンパク質を生体成分含有溶液から膜分離の簡便性を生かしつつ高度に分離・除去し、低分子量のタンパク質やペプチドを高速かつより確実に分離精製することができる。したがって、血液、血清、血漿をはじめとする生体成分含有溶液に微量にしか含まれない数多くの低分子量タンパク質やペプチドを短期間で高度に精製することが可能となり、プロテオーム分析に好適な生体成分の組成が変化した生体成分含有溶液を簡便かつ短期間で調製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、血液などの生体由来の溶液すなわち生体成分含有溶液を原液として処理を行いタンパク質やペプチドの組成を変化させるために使用されるものであり、生体成分含有溶液中のタンパク質やペプチドを分析する際に行う前処理に用いられる。その構成の例を図1に示し、液の流れを矢印で示す。
【0015】
図1に示す本発明の分離精製システムは、生体成分含有溶液が貯留される原液槽101と、生体成分含有溶液を濾過するための特定のふるい係数を有する分離膜を内蔵した分離膜モジュール105とを備え、原液槽101と分離膜モジュール105の原液入口、原液出口とは、生体成分含有溶液が循環するようにチューブによって連通されている(溶液循環回路102)。また、図1に示す分離精製システムには、原液槽101に生体成分含有溶液を注入するための注入用ポンプ100と、原液槽101から分離膜モジュール105に生体成分含有溶液を送り、分離膜を透過しなかった生体成分含有溶液を再度原液槽101に戻すための循環用ポンプ103が設けられている。そして、分離膜モジュール105の透過液側には、分離膜を透過した透過液を透過液出口104に送液するためのポンプ107が設けられている。
【0016】
ここで、本発明における「生体成分含有溶液」とは、血液由来物の他、尿、唾液、涙液、脳脊髄液、腹水、胸水もしくは細胞からのタンパク質、ペプチドを抽出した溶液など生体関連の物質でタンパク質やペプチドを含む溶液が例示される。そして、「血液由来物」とは、ヒトなどの動物血液に由来する物であり、血液はもちろん、血清、血漿など血液中の一部の成分からなる溶液も含まれる。
【0017】
また本発明で言う「分離膜」とは、多孔性の分離膜のことであり、平面フィルター、カートリッジ式フィルター等の平膜型分離膜、中空糸膜等の中空状分離膜のいずれも用いることができる。平膜型分離膜は製膜が容易で安価に作成することができると言う利点がある。一方、中空糸膜は、同一体積における充填膜面積が大きく、圧損も少なくできるため、効率よく用いることができる。中空糸膜を用いたモジュールにおいて充填膜面積を大きくするためには、中空糸膜の充填本数を増やす必要がある。したがって、外径は小さいほうがいいが、径が小さすぎると一本一本の膜面積が小さくなってしまううえに圧力損失が大きくなりやすい。そこで、中空糸膜は内径が50〜1000μmの範囲、外径が60〜1100μmの範囲のものを用いることが好ましい。
【0018】
膜素材としては、たとえば、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンおよびこれらの誘導体からなる群より選択される。この中でも近年透析器などに良く用いられているポリスルホンは分画特性が良好であるために好ましい素材である。
【0019】
膜面にはできるだけタンパク質が吸着しないことが好ましく、そのため親水性の膜が好ましい。具体的には、親水性の単量体と疎水性の単量体を共重合させたものや、親水性の高分子と疎水性の高分子をブレンド製膜したもの、あるいは疎水性の高分子からなる膜の表面に親水性ポリマーを結合、付着させたもの、疎水性の高分子からなる膜の表面を化学処理、プラズマ処理、放射線処理したものなどが挙げられる。親水性成分としては特に限定しないが、必要とするタンパク質が膜面に吸着してしまうのをより防ぐためにポリエチレングリコールなどのポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどの親水性高分子が好ましい。また親水性成分は、膜中に1wt%以上含まれていることが好ましい。
【0020】
膜構造に関しては、分離膜の膜内の流路が非対称構造であることが好ましく、さらには実質的に濾過に寄与する緻密層と、空隙率が高く膜強度に寄与する支持層との多層構造からなる非対称構造であること好ましい。この非対称構造は電子顕微鏡を用いて膜の断面構造を1000倍の観察条件にて観察した場合にて判断する。膜の厚み方向に対して空孔が十分確認できない層と空孔が確認できる層の両者が存在するか否かによって判断する。両者の層が確認される場合、非対称構造と認定する。この非対称構造においては原液が接触する面の近傍の空孔が最も緻密であることが好ましい。なぜなら溶質による膜の目詰まりを低減できるからである。
【0021】
そして、本発明において、生体成分含有溶液中の組成比を変化させ、低分子量のタンパク質もしくはペプチドの分析が行いやすいアルブミン濃度組成比が低い溶液を得るために、分子量1.1万のデキストランのふるい係数が0.4以上であり、分子量6.7万のデキストランのふるい係数が0.01以下である分離膜を用いる。分離膜は、好ましくは分子量6.7万のデキストランのふるい係数が、0.001以下であるものがよい。下限値は、この値があまりにも小さい分離膜では分子量1.1万のふるい係数が0.10未満となりやすく、タンパク質を回収する量が少なくなってしまうことが懸念されるため、0.01以下であることが好ましい。
【0022】
上述の分離膜は、ハウジング内に収納して分離膜モジュール105として用いられる。ハウジングには、分離される生体成分含有溶液が流入する原液入口及び流出する原液出口と、分離膜を透過して分離された溶液が流出する透過液出口とが備えられる。上記ハウジングの素材は特に限定しないが、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のプラスチック製のものを挙げることができる。
【0023】
上述の図1に示す分離精製システムにおいて、血液など生体成分含有溶液は、注入用ポンプ100から、原液槽101に送られる。生体成分含有溶液は、あらかじめ原液槽に入ってあっても良い。そして、生体成分含有溶液は、循環用ポンプ103によって送液され、チューブからなる溶液循環回路102を介して、上述したような特定のふるい係数を有する分離膜を内蔵する分離膜モジュール105に注入される。その後分離膜を透過した透過液は、ポンプ107にて送液されて透過液出口104から取り出され、プロテオーム解析などに供される。一方、分離膜を透過しなかった濃縮液(生体成分含有溶液)は再度原液槽101に送液され、分離膜モジュール105へと循環供給される。
【0024】
本発明においては、生体成分含有溶液をこのように特定のふるい係数を有する分離膜に循環供給、すなわちクロスロー式で供給・濾過することで、分離膜表面での濃縮を防止しつつ大量の生体成分含有溶液を処理することができ、さらに分画特性がシャープになるのでより高度にタンパク質やペプチドを分離精製することができる。すなわち、透過率(ふるい係数)が0.4程度の分子量領域のものであっても、既に濾過に供された原液をさらに循環供給することで回収率を高めることができる一方、透過率が0近傍の分子量領域のものは濾過を繰り返し行っても回収率がほとんど増加しないので、たとえば分子量が1.1万程度の低分子量のタンパク質やペプチドは循環供給によって回収率が高まり、分子量が6.7万程度の高分子量のタンパク質は循環供給しても原液側に残すことができる。
【0025】
なお、生体成分含有溶液を分離膜モジュール105に供給するとともに分離膜の原液側には注入用ポンプ100で生体成分含有溶液に対する希釈液を流入させ、分離膜表面での過剰な濃縮を防止し、分離膜の透過比率の悪化を防ぐことが好ましい。
【0026】
希釈液には生理食塩水または「緩衝溶液」を用いることが好ましい。「緩衝溶液」としては、MES、BIS−TRIS、ADA、ACES、PIPES、MOPSO、BIS−TRIS PROPANE、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、MOBS、TAPSO、TRIZMA、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、TRICINE、GLY−GLY、BICINE、PBS、TAPS、AMPD、TABS、AMPSO、CHES、CAPSO、AMP、CAPS、CABS等を挙げることができる。上記緩衝溶液は略称で示してあるが、詳細な内容は和光純薬工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)などの試薬メーカーのカタログやMSDS(安全性データシート)を参照すれば理解できる。
【0027】
また、本発明は、たとえば図2に示すように変更してもよい。図2に示す分離精製システムは、図1の態様において原液槽101を用いず、分離膜モジュール205の原液側流路に設けられた原液入口と原液出口とを直接連結した閉鎖系分離システムである点以外は図1の態様と構成が同じであるが、注入用ポンプと濾過用ポンプとを共用可能なためポンプ台数を少なくでき、また、溶液循環回路内液容積を容易に一定に管理できるというメリットがある。液の流れを矢印で示す。
【0028】
この態様において、生体成分含有溶液は、注入用ポンプ200から、三方バルブ201を通じて、分離膜を内蔵する分離膜モジュール205に注入され、チューブからなる溶液循環回路202の中を循環用ポンプ203によって送液せられ、循環する。分離膜を透過した透過液は、透過液出口104から取り出され、プロテオーム解析などに供され、分離膜を透過しなかった濃縮液(生体成分含有溶液)は溶液循環回路202を介して分離膜モジュール205に循環供給される。
【0029】
本発明によって得られる生体成分含有溶液の組成が変化した溶液は、タンパク質分析やペプチド分析、特にプロテオーム解析に好ましく用いられる。分析法としては特に限定しないがLCや2D-PAGE、核磁気共鳴(NMR)、MALDI-TOF-MSやESI-MS等を例示することができる。
【0030】
本発明の方法によって得られた溶液を用いて上記の分析を行えば、もともとの生体成分含有液に微量にしか含まれていなかったタンパク質成分やペプチド成分の構造情報を集めることができる。それらはペプチド・マスフィンガープリント(peptide-mass fingerprint: PMF)のみならず、各ペプチドの一次構造情報(アミノ酸配列)も含まれる。
【0031】
なお、本発明は必要に応じて分離膜モジュールを複数個配置してもよく、また、上述の行程から得られる透過液から水分などの溶媒を取り除きタンパク質を濃縮する工程をさらに付加してもよい。
【実施例】
【0032】
(デキストランふるい係数の測定方法)
内径200μmの中空糸膜100本を、直径約5mm、長さ12cmのガラス製ハウジングに充填し、分離される溶液が流入する入口及び流出する出口をコニシ(株)製エポキシ樹脂系化学反応形接着剤“クイックメンダー”でポッティングすることによって、分離膜モジュールを作製する。次いで、該モジュールの中空糸およびモジュール内部を蒸留水にて、1時間洗浄する。
【0033】
FULKA社製デキストラン Mr〜1500(No.31394)、Mr〜6000(No.31388)、Mr15000〜20000(No.31387)、Mr〜40000(No.31389)、Mr〜60000(No.31397)、Mr〜200000(No.31398)を各々0.5mg/mL(溶質全体では3.0mg/mL)になるように蒸留水で溶解し、デキストラン水溶液(原液)を作成する。
【0034】
モジュールに対して、原液側の液を循環するポンプと濾過をかけるポンプを準備し、限外濾過水を用いて、原液循環流量が5ml/min、濾過流量が0.2mL/minになるように流速を調整する。次いで、充填している限外濾過水を原液に置換した後、室温(25℃)にて濾過を開始する。この時、モジュール出口の原液および濾液は戻さずに廃棄する。その後、60分経過した後に15分間液を採取し、モジュール原液入口、出口および濾液のデキストランの示差屈折率を測定し、これらの測定値からデキストランのふるい係数を算出する。
【0035】
デキストラン濃度の測定は、次のように行った。サンプリングした溶液を細孔径0.5ミクロンのフィルターで濾過し、その濾液をGPC用カラム(東ソーTSK-gel-G3000PWXL)、カラム温度40℃、移動相を液クロ用蒸留水1mL/min、サンプル打ち込み量100μlで分析を行い、示差屈折率計(東ソー社製 RI-8020)にてslice time 0.02min、base-line-range 4.5〜11.0minで測定する。カラムのキャリブレーションは、測定直前に単分散のデキストラン(Fluka社製デキストランスタンダード No.31416,No.31417,No.31418,No.31420,No.31422)を用いて行う。キャリブレーションでは、各デキストランスタンダードをNo.31416,No.31418,No.31422とNo.31417,No.31420に分けて、各々0.5mg/mLに溶解し、各々のピークトップのretention timeと重量平均分子量をプロットし、指数近似曲線を求めることでretention timeと重量平均分子量の関係を求めた。ふるい係数は、モジュール原液入口の示差屈折率値(Ci)、出口の示差屈折率値(Co)、濾液の示差屈折率値(Cf)を測定し、以下の式によりふるい係数(SC)を算出することができる。
【0036】
SC=2Cf/(Ci+Co)
(実施例1)
ポリスルホン(ソルベー社製ユーデル(登録商標)P-3500)18重量部およびポリビニルピロリドン(ISP社製K90)5重量部をN,N'−ジメチルアセトアミド76重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃で10時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を温度30℃の紡糸吐出部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管より吐出した。芯液としてN,N'−ジメチルアセトアミド20重量部および水80重量部からなる溶液を内側の管より吐出した。吐出された製膜原液は、温度30℃の雰囲気のドライゾーン350mmを通過した後、30℃の凝固浴(水浴)を通過させ、40℃30秒の水洗工程を通過させ、紡速30m/minで巻き取り、束とした。得られた中空糸膜の寸法は、内直径200μm膜厚40μmであり、中空糸膜の構造を電子顕微鏡(日立社製S800)にて確認したところ非対称構造を有していた。
【0037】
該中空糸膜を100本束ね、中空糸膜の中空部を閉塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で両末端をガラス管モジュールケースに固定し、ミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの内直径は約5mm、長さは約12cmであり、一般的な中空糸膜型透析器同様に中空糸膜の内側のポート(血液ポート)を2個と外側のポート(透析液ポート)を2個有していた。該ミニモジュールの中空糸膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。
【0038】
このようなミニモジュールを2本作成し、一本にはPBS(日水製薬社製ダルベッコPBS(−))水溶液を充填し、残りの1本には蒸留水を充填した。そして、蒸留水を充填した1本のデキストランのふるい係数を測定したところ分子量11000のふるい係数は0.438、分子量67000のふるい係数は検出下限(0.005)以下であった。残りの1本(PBS水溶液を充填したもの)は以下の実験に用いた。
【0039】
すなわち、上述のミニモジュール1個を用いて図1に示すような装置を準備した。まず、ミニモジュールの中空糸膜の外側のポートの一つをキャップし、もう一つはシリコーンチューブをつなぎ、途中に濾過を行うためのペリスターポンプを設けた。中空糸膜内側のポートについては各々シリコーンチューブをつなぎ原液槽に入れ、入口側のシリコーンチューブの途中にはペリスターポンプを設けて原液を循環できるようにした。原液槽にPBS水溶液を入れ、ペリスターポンプにて回路内をPBS水溶液で充填した。
【0040】
一方、ヒト血清(SIGMA社、H1388、 Lot 122K0424)を3000rpm、15分の条件にて遠心処理し、沈殿物を取り除いた後0.45μmのフィルター処理を行った
次に、PBS水溶液が入っていた原液槽を一旦空にして、PBS水溶液にて4倍に希釈したヒト血清溶液4mLを入れ、このヒト血清溶液を原液として、温度25℃、原液側循環回路の流量を3.0mL/min、濾過流速を0.6mL/minに保って中空糸膜内側に循環供給し、4時間の濾過を実施した。なお、濾過された容量分のPBS水溶液を原液槽に0.6mL/minで加えて循環することで、循環する液量を一定に保った。
【0041】
4時間経過後、溶液循環回路から得られた濾液すなわち生体成分の組成が変化した溶液は144mLであった。アルブミン濃度は、Human Albumin ELISA Quantitation Kit (BETHYL社製Cat No. E80-129)にて測定し、β2−ミクログロブリン濃度は、三洋化成工業株式会社製グラザイムβ2-Microglobulin-EIA TESTにて測定した。その結果は、濾液のアルブミン濃度は0.002μg/ml、β2ミクログロブリン濃度は13.3ng/mlであり、なお、原液として用いたヒト血清溶液のアルブミン濃度は5110μg/ml、β2−ミクログロブリン濃度575ng/mlであった
また、各タンパク質の回収率を次のように求めた。
【0042】
タンパク質の回収率(%)= (濾液液量×濾液中のタンパク質濃度)
(原液液量×原液中のタンパク質濃度)
上記のように計算した結果、アルブミンの回収率は、0.0014%、β2−ミクログロブリンの回収率は83.3%であり、β2−ミクログロブリン量を維持しながら、アルブミンを大幅に除去することができた。
(実施例2)
実施例1と同様にミニモジュールを1個作成し、図2に示すような装置を準備した。ミニモジュールは、外側ポートの一つをキャップし、他の一つはシリコーンチューブをつなぎ、透過用ペリスターポンプに接続した。一方、中空糸膜の内側はモジュールの原液入口と原液出口をシリコーンチューブでつなぎ溶液循環回路となし、ペリスターポンプを用いて血清を循環できるようにした。また、溶液循環回路の途中には追加のPBS水溶液を投入する入口を設け、溶液循環回路内をPBS水溶液で充填した。
【0043】
一方、ヒト血清(SIGMA社、H1388、 Lot 122K0424)を3000rpm、15分の条件にて遠心処理し、沈殿物を取り除いた後0.45μmのフィルター処理を行った
次に、この血清をPBS水溶液にて4倍に希釈した溶液4mlを原液として用い、循環流量3ml/min、濾過流量0.6ml/minの流速で25℃、60分間濾過を実施した。この時、4倍希釈血清を0.6ml/minで溶液循環回路に流入させた後、濾過の容量分はPBS水溶液を0.6ml/minで溶液循環回路内に加えて、循環する液量を一定に保った。
【0044】
60分間経過後、溶液循環回路から得られた濾液すなわち生体成分の組成が変化した溶液は36mLであった。また、濾液のアルブミン濃度は0.13μg/ml、β2ミクログロブリン濃度は71.0ng/mlであった。なお、原液として用いたヒト血清溶液は、アルブミン濃度が5433μg/ml、β2−ミクログロブリン濃度が898ng/mlであった。
【0045】
さらに、各タンパク質の回収率を求めた結果、アルブミンの回収率は、0.022%、β2−ミクログロブリンの回収率は71.2%であり、β2−ミクログロブリン量を維持しながら、アルブミンを大幅に除去することができた。
(比較例1)
下記のように製糸した中空糸膜を用いた以外は、実施例2と同様に装置を準備し濾過を行った。
【0046】
すなわち、ポリスルホン(ソルベー社製ユーデル(登録商標)P-3500)18重量部およびポリビニルピロリドン(ISP社製K90)5重量部をN,N'−ジメチルアセトアミド76重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃で10時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を温度30℃の紡糸吐出部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管より吐出した。芯液としてN,N'−ジメチルアセトアミド60重量部および水40重量部からなる溶液を内側の管より吐出した。吐出された製膜原液は、温度30℃の雰囲気のドライゾーン350mmを通過した後、30℃の凝固浴(水浴)を通過させ、40℃30秒の水洗工程を通過させ、紡速30m/minで巻き取り、束とした。得られた中空糸膜の寸法は、内直径200μm膜厚40μmであり、中空糸の構造を電子顕微鏡(日立社製S800)にて確認したところ非対称構造を有していた。
【0047】
作成したミニモジュール2本のうち、蒸留水を充填したミニモジュールのデキストランのふるい係数は、分子量11000のふるい係数が0.82、分子量67000のふるい係数が0.0245であった。
【0048】
60分間後に得られた濾液すなわち生体成分の組成が変化した溶液は36mlであり、アルブミン濃度は7.25μg/ml、β2ミクログロブリン濃度は80.5ng/mlであった。なお、原液として用いたヒト血清溶液は、アルブミン濃度が5915μg/ml、β2−ミクログロブリン濃度が886ng/mlであった。
【0049】
また、アルブミンの回収率は1.10%、β2−ミクログロブリンの回収率は81.8%であり、アルブミンとβ2−ミクログロブリンとを十分に分離できなかった。
(比較例2)
下記のように製糸して得られた中空糸膜のミニモジュールを用いた以外は、実施例2と同様に装置を準備し濾過を行った。
【0050】
すなわち、ポリスルホン(ソルベー社製ユーデル(登録商標)P-3500)18重量部およびポリビニルピロリドン(ISP社製K30)9重量部をN,N'−ジメチルアセトアミド72重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃で10時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を温度30℃の紡糸吐出部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管より吐出した。芯液としてN,N'−ジメチルアセトアミド60重量部および水40重量部からなる溶液を内側の管より吐出した。吐出された製膜原液は、温度30℃の雰囲気のドライゾーン350mmを通過した後、40℃の凝固浴(水浴)を通過させ、80℃30秒の水洗工程を通過させ、紡速40m/minで巻き取り、束とした。得られた中空糸膜の寸法は、内直径200μm膜厚40μmであり、中空糸の構造を電子顕微鏡(日立社製S800)にて確認したところ非対称構造を有していた。
【0051】
得られた中空糸を144本ずつの束にしてガーゼに包み、50℃に設定した乾燥機内に入れ、24時間乾燥した。その後、該中空糸膜束から100本ずつ中空糸膜を取り出し、それらを束ね、中空糸膜の中空部を閉塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で両末端をガラス管モジュールケースに固定し、2本のミニモジュールを作成した。
【0052】
作成したミニモジュール2本のうち、蒸留水を充填したミニモジュールのデキストランのふるい係数は、分子量11000のふるい係数も分子量67000のふるい係数も共に検出下限(0.005)以下であった。
【0053】
また、60分間後に得られた濾液すなわち生体成分の組成が変化した溶液は36mlであり、アルブミン濃度は0.083μg/mL、β2ミクログロブリン濃度は6.0ng/mLであった。なお、原液として用いたヒト血清溶液は、アルブミン濃度が5110μg/ml、β2−ミクログロブリン濃度が645ng/mlであった。
【0054】
また、アルブミンの回収率は0.018%、β2−ミクログロブリンの回収率は8.4%であり、アルブミンとβ2−ミクログロブリンとを十分に分離できなかった。
(比較例3)
実施例1と同様にミニモジュールを作成し、図3に示すような装置を準備した。ミニモジュール302の外側ポートの一つをキャップし、他の一つはシリコーンチューブを接続した。一方、中空糸膜内側については原液出口にキャップをし、モジュールの原液入口をシリコーンチューブにつなぎ、ポンプ301を用いて原液槽300に貯留されていた原液清を送液できるようにした。また、原液槽300に追加のPBS水溶液を投入するポンプ304を設けた。
【0055】
次に、原液槽にPBS水溶液を入れ、シリコーンチューブおよびミニモジュール302内をPBS水溶液で充填した。一方、ヒト血清(SIGMA社、H1388、 Lot 122K0424)を3000rpm、15分の条件にて遠心処理し、沈殿物を取り除いた後0.45μmのフィルター処理を行った。
【0056】
そして、PBS水溶液が入っていた原液槽を一旦空にして、血清をPBS水溶液にて4倍に希釈した溶液4mlを原液として原液槽に入れ、循環流量0.6ml/min、濾過流量0.6ml/minの流速で25℃、60分間濾過を実施しようとした。この時、4倍希釈血清溶液を0.6ml/minでシリコーンチューブに流入させた後、濾過の容量分はPBS水溶液を0.6ml/minでポンプ304にて原液槽に加えて、回路内の液量を一定に保った。
【0057】
しかし、原液流入開始直後から、原液側の圧力が上昇し、約5分後にはミニモジュール302の入り口側の圧力計305が300mmHgを越え実施不能となった。すなわち、全濾過による本実施例では、十分な回収液を得ることができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例1で用いた分離システムの概略図である。
【図2】本発明の実施例2で用いた分離システムの概略図である。
【図3】本発明の比較例3で用いた分離システムの概略図である。
【符号の説明】
【0059】
100 注入用ポンプ
101 原液槽
102 溶液循環回路
103 循環用ポンプ
104 透過液出口
105 分離膜モジュール
106 モジュールの下部ポート
107 濾過用ポンプ
200 注入用ポンプ
201 三方バルブ
202 溶液循環回路
203 循環用ポンプ
204 膜分離ユニット透過液出口
205 分離膜モジュール
206 モジュールの下部ポート
300 原液槽
301 ポンプ
302 分離膜モジュール
303 透過液出口
304 ポンプ
305 圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体成分含有溶液中のタンパク質および/またはペプチドを分析する際に行う前処理に用いる分離精製システムであって、
分子量1.1万のデキストランのふるい係数が0.4以上であり、分子量6.7万のデキストランのふるい係数が0.01以下である分離膜と、
該分離膜に生体成分含有溶液を供給するためのポンプと、
前記分離膜の原液側流路に設けられた原液入口および原液出口と、
前記分離膜の透過液側流路に設けられた透過液出口と、
前記原液入口と前記原液出口とを連通する溶液循環回路と、
該溶液循環回路に希釈液を流入させるための希釈液流入口と、
を具備することを特徴とする生体成分含有溶液の分離精製システム。
【請求項2】
前記溶液循環回路が閉鎖系であることを特徴とする請求項1に記載の生体成分含有溶液の分離精製システム。
【請求項3】
前記分離膜が親水性高分子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の生体成分含有溶液の分離精製システム。
【請求項4】
前記生体成分含有溶液が、血液由来物、尿、腹水、唾液、涙液、脳脊髄液、胸水および細胞からタンパク質を抽出した溶液からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生体成分含有溶液の分離精製システム。
【請求項5】
生体成分含有溶液中のタンパク質および/またはペプチドを分析する際に、分子量1.1万のデキストランのふるい係数が0.4以上であり、分子量6.7万のデキストランのふるい係数が0.01以下である分離膜を用い、該分離膜に前記生体成分含有溶液を循環供給して濾過することを特徴とする生体成分含有溶液の分離精製方法。
【請求項6】
前記生体成分含有溶液が、血液由来物、尿、腹水、唾液、涙液、脳脊髄液、胸水および細胞からタンパク質を抽出した溶液からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の生体成分含有溶液の分離精製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−3213(P2007−3213A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180465(P2005−180465)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】