説明

生体組織の補綴、培養又は体内で薬物徐放を行う部材及び同部材を製造する方法

【課題】アルギン酸塩と2価の陽イオンを持つ塩とのゲル化反応を利用したセラミックス小体の移植法を提供する。
【解決手段】
セラミックス小体表面に付着させた2価の陽イオンを持つ塩と、アルギン酸塩溶液との反応物を前記セラミックス小体間に介在させ、移植部位からの漏出や移動を防止する。
骨充填材として、仮補綴物として生体硬組織欠損部等、硬組織に対する補綴に有効に作用し、又製作も容易に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組織を復元させるための骨充填材等に用いられる補綴材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来リン酸カルシウムを主成分としたブロック状、破砕型不定形状の骨充填材が広く応用されている。特開平10−158075号公報、特開2003−335574号公報には、球状のセラミックス製造方法が開示されており、骨欠損部へ充填率や操作性の向上への工夫がなされている。
【0003】
しかし、ブロック状の骨充填材は、一定の規格形状をしており、個々の症例で形状が異なる欠損部に密着させにくい。破砕型不定形状では、欠損部への填塞操作性が優れているが、移植部位への充填密度が高くなるので、骨再生を促すとされる移植部位への血流の侵入が妨げられる。また移植初期には移植材の固定が進まず、漏出が起こりうる。球状では、球同士が点接触した状態で埋入されるので、上述の充填密度は小さくなり、血流が進入する空隙が確保でき骨再生に効果的に働くと考えられるが、やはり漏出の問題を生じる。
【0004】
聖マリアンナ医科大学雑誌第28巻、ページ689−697、2000年において、骨充填材の漏出を防止する方法として、破砕型不定形状のβ‐TCPセラミックスと、生体組織接着剤であるフィブリン糊とを混合する使用法が検討されている。しかし、骨充填材同士の空隙は埋められ、フィブリン糊の存在により骨の新生が遅れ、また、フィブリン自体が動物由来生体材料であるために、人に応用した場合、感染症を引き起こす恐れがある。またフィブリン糊の調整には、煩雑な手技を必要とする。
【0005】
特開2004−201799号公報では、口腔内への骨充填材としてハイドロキシアパタイト顆粒、アルギン酸ナトリウム、患者自身から採取した多血小板血漿とを混合することで填塞しやすいゲル状の移植材の作製方法が示されている。しかし、多血小板血漿採取は患者からの採血と煩雑な手技を必要とし、使用できる容積も限られるので、大きな骨欠損への適用は難しい。
【特許文献1】特開平10−158075号公報
【特許文献2】特開2003−335574号公報
【特許文献3】特開2004−201799号公報
【特許文献4】特開昭63−226360号公報
【非特許文献1】聖マリアンナ医科大学雑誌第28巻、ページ689−697、2000年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとしている課題は、セラミックス小体の補綴材としての使用時に、創面が閉鎖するまでの補綴材の漏出および移動、前記セラミックス小体が球状の骨充填材である場合、点接触を維持することで形成される、血流の侵入する空隙の確保、動物由来生体材料を用いる方法で補綴材を固定させる場合に起こりうる感染症への罹患である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アルギン酸塩と2価の陽イオンを持つ塩との反応から生じるアルギン酸カルシウムゲルを利用し、生体への補綴材としてセラミックス小体を使用するときに、移植部位からの漏出や移動を防止し、特にセラミックス小体が球状の骨充填材である場合は、点接触の状態を維持しながら、注射器で注入する方法や、移植部位表面をゲルで覆う方法で、簡便にセラミックス小体の移植を可能にすることを、最も主要な特徴とする。
本発明は、生体欠損部に補綴して用いられる硬組織用の充填材の他、仮止め用の補綴物、生体硬組織の筋状、溝状の傷の修復材として、人工歯根等の埋入の際、生じる顎骨の余剰的欠損部への仮止め用材等に用いる事が可能である。
【0008】
本発明におけるセラミックス小体は、顆粒体、小ブロック、粉砕状体等の小体であって、一つの寸法が50μ〜5mm好ましくは、500〜850μmが示され、それぞれ均一、不均一何れでもよい形状の小体の集合物が例示される。尚、好ましくは、球形が製造上、強度、充填率の調整、再現性、操作性等の点で、好適である。
尚、セラミックス小体間の間隙が、50μ〜350μ、好ましくは100μ〜300μとすることで、骨が入り込み易い状態が形成されることからより好ましいものであり、この様な間隙となるように、セラミックス小体の直径も選択される、ここで示す間隙は、セラミックス小体が真球に近い状態での計算上得られる値で十分である場合もある。
セラミックスとして、具体的には、ハイドロキシアパタイト、炭酸アパタイト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、β‐TCP、α‐TCP、メタリン酸カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、リン酸カルシウム系ガラス、これらリン酸カルシウム混合物、アルミナ、ジルコニア等が例示されている。
セラミックス小体が球状の場合は、多孔質状、緻密状、何れであっても良く、その製法は、スプレードライ法、転動造粒法等が例示され、好ましい製造方法としては、より直径の大きい球状粒子が製造できる手法である特開平10−108575号公報に記載された液体窒素等の冷却溶媒に、セラミックス前駆体のスラリーを滴下し、凍結乾燥させる手法が示されるが、これに限るものではない。
2価の陽イオンを持つ塩としては、例えば、アルカリ土類金属が示されるが、これに限らず、より具体的には、塩化物、乳酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、グリセロリン酸塩、マレイン酸塩、硫酸塩、水素オルトリン酸塩、カルシウム塩、またはストロンチウム塩が例示され、この中で、ゲル化に伴う硬化性が良く、強度が得られる点で、カルシウム塩が好ましい。

2価の陽イオンを持つ塩の付着方法としては、例えば、上述したセラミックス小体を、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、硫酸カルシウム、または水素オルトリン酸カルシウム等の2価の陽イオンを持つ塩溶液に、10秒〜10分浸した後、乾燥させる手法が示される。
【0009】
アルギン酸塩溶液とは、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウム、またはアルギン酸プロピレングリコールエステル溶液が示される。
2価の陽イオンを持つ塩が付着したセラミックス小体と、アルギン酸塩溶液との反応手法は、両者を互いに接触させれば、特に限定されるものではなく、例えば、当該セラミックス小体を入れた容器にアルギン酸塩溶液をいれ、素早く撹拌する手法、押し出し加圧成型等が例示されるが、アルギン酸塩溶液と2価の陽イオンを持つ塩が付着したセラミックス小体とは、迅速に結合するため、製造はより早い形で行われる事が好ましく、余分なアルギン酸塩溶液の除去が容易な押し出し加圧型で成型する手法が好ましい。
本発明では得られるアルギン酸と2価の陽イオンを持つ塩がゲル化し、全体的に固形化された部材は、これを凍結乾燥させることで、 アルギン酸カルシウムが乾燥された状態になり、常温かつ長期間の保存が可能になる。再びシリンジ後部より水、生理食塩水などを注ぎ込み、ピストンで加圧することにより、ふたたびゲル化状態の補綴材を得ることができる。また、アルギン酸水溶液に予め薬剤、ないしタンパク質を混合させ、凍結乾燥することにより、薬剤徐放効果を付与した凍結乾燥状態の補綴材を得ることができる。
本発明における薬物又は蛋白質は、例えば、
上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞成長因子(HGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)などの細胞増殖因子、特に骨再生に関しては骨形成タンパク質(BMP)、歯科臨床でひろく用いられている多数の細胞増殖因子を含む多血小板血漿(PRP)インターフェロン、インターロイキン-2、イフォスファミドなどの抗がん剤、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、ガチフロキサシンなどの抗生物質、アトルバスタチン(atorvastatin)、プラバスタチン(pravastatin) シンバスタチン (simvastatin)のようなコレステロール低下剤、その他、リドカイン、硫酸プロタミン、ヨウ化ヒプル酸ナトリウム、ヨウ化スルホプロモフタレイン、ヘパリンナトリウム注、ブドウ糖注、ノルエピネフリン注、デキストラン注、チオペンタールナトリウム、クロム酸ナトリウム注、キシリトール、塩酸プロカイン注、塩酸テトラカイン、塩化ツボクラリン、塩化スキサメトニウム、無晶性インシュリン亜鉛水懸注、亜硝酸アミル、アジマリン、等が例示される。

【発明の効果】
【0010】
生体への補綴材としてセラミックス小体を利用するときの移植部位からの漏出を防ぐことができる。セラミックス小体が球状の骨充填材である場合、セラミックス間の点接触による空隙を確保し血流が進入しやすい状態を保ち、骨再生を促進する。アルギン酸塩化合物は、海藻から抽出される成分であり、アルギン酸ナトリウムは医薬品として用いられている。そのため、動物由来生体物質で懸念される感染症の危険はない。また、アルギン酸塩と2価の陽イオンを持つ塩とのゲル化反応はきわめて短時間で起こるので、操作手技が簡便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
0.5〜10%の塩化カルシウム水溶液を作製し、球状のセラミックス小体を溶液中に浸し、水分のみを蒸発させる。上記の処理を行った球状セラミックスを0.5〜10%アルギン酸ナトリウム水溶液と反応させることでゲル化を引き起こし、球状セラミックスを漏出させることなく、点接触を維持したまま移植する方法である。シリンジ中でゲル化させ、そのまま注入可能にする成型方法と、複雑な形状の欠損部へ移植して、その上部からアルギン酸ナトリウム水溶液を供給し、ゲルの膜によって固定を行う方法がある。
また、上述の球状セラミックスは、ハイドロキシアパタイト、炭酸アパタイト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、β‐TCP、α‐TCP、メタリン酸カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、リン酸カルシウム系ガラス、これらリン酸カルシウム混合物、アルミナ、ジルコニア等である。
尚、本発明は、骨欠損部へ充填される骨充填材の他、術中、術後で用いられる速硬化性の仮の補綴材として用いても良い。
例えば、歯科インプラント埋入やその他硬組織に関連する手術時の顎骨への過度の損傷を与えた場合や、応急処置を必要とする場合等、カルシウムイオンを付着させたセラミックス材を補填した後、アルギン酸塩を滴下するだけで簡易な処置が可能となる。
本発明は、簡単な製造方法と、生体硬組織へ補綴可能な程度の強度を備えながら、アルギン酸塩溶液に、薬剤、細胞等を含有させて製造した基材は、3次元的な細胞培養用の基材、DDS用の生体埋入基材としても有用性が高い。
【実施例1】
【0012】
β−TCPからなる球状のセラミックス小体は、湿式合成法により得られたβ−TCP粉末を3%ポリビニルアルコール水溶液と混合しスラリーを作製、液体窒素上に滴下し、凍結乾燥の後、1100度、10時間で焼結し、ふるいにて直径500〜700μmを選別し得られた。
直径500〜700μmのβ‐TCPからなる球状セラミックス(図1)をビーカー中で1%塩化カルシウム水溶液に30秒浸し、60度の乾燥機中で水分を蒸発させ、先端がカットされたシリンジ1に装填し、ビーズ状のセラミックス材3が漏出せず、アルギン酸ナトリウム水溶液が通過できる程度の間隙ができるようにパラフィルム(登録商標)のような薄いシート材2で覆う。図2は、シート材2で、先端部がカットされたシリンジ1の先端部を覆い縒った状態で、内部にカルシウムイオンを付着させたセラミックス材3を入れ、シリンジ1の開口部にピストン4を一部挿入状態にした図である。
1%アルギン酸ナトリウム水溶液を、ピストン4側から注ぎいれ、先端から球状セラミックス材3が漏れ出ないようにアルギン酸ナトリウム水溶液のみを押し出す。その際、シート材2も一緒に押し出されないように、手でおさえるか、固定バンド等で固定する等の手段を用いる等して抑える。シート材2を除去した後、ピストン4で、球状セラミックスを押し出すと、球状セラミックスが筒状に成型された状態で得られる。
【0013】
本実施例で示す成型具の動作をより詳細に図3で示す。
10は、円筒体であり、例えば、上述した先端がカットされたシリンジである。11は、蓋部であり、円筒体10の一部に回動可能に接続する回動部11aを形成し、回動自在に装着され、その対向する部分に係止部11bを形成する。
蓋部11の係止部11bが、円筒体10の凹部10bと係止した状態で、内部に、2価の陽イオンを持つ塩で処理した球状セラミックス粒体13を入れる(図3(a))。
更にアルギン酸ナトリウム溶液15を注入し、ピストン14で押し込む。
ピストン14を移動させ、押し込みセラミックス粒体13の粒体間を通過した溶液15は、蓋部11に設けられた孔部12を介して外部へ放出される。
ピストン14の移動により、アルギン酸ナトリウム溶液15が放出しきったところで、
蓋部11の係止部10b、11bの係止を解除し、可動部11aを中心にして蓋部11を回動させ、押し込み成型されたセラミックス16を取り出す。
2価の陽イオンを持つ塩で処理された球状セラミックス粒体は、加圧とアルギン酸ナトリウムのきわめて迅速なゲル化反応により、簡便にセラミックス補綴材として成型製造をすることができる。
【実施例2】
【0014】
実施例1で作製した球状セラミックスとアルギン酸カルシウムからなる補綴材を、生理食塩水中に入れ、72時間後の形態を観察し、アルギン酸の分解性を検証した。その結果、72時間後でもアルギン酸ゲルが溶解し、形はやや崩れているが、筒状の形状を維持していることが確認された。
【実施例3】
【0015】
実施例1で作製した球状セラミックスとアルギン酸カルシウムからなる補綴材に、筆記用の赤インクを血液に見立てて、染み込ませることで血液などの体液が浸潤するかどうか検討した。その結果、ゲルと球状セラミックス両部分に赤く染まり、外部からの血液の浸潤が可能であることが確認された。
【実施例4】
【0016】
実施例1で得られた球状セラミックスを、欠損部の見立てた穴に充填し、穴の上方から1%アルギン酸ナトリウム水溶液を滴下すると、穴をふさぐゲルの膜ができ、球状セラミックスは固定された。このゲル膜が存在により、球状セラミックスの漏出を防ぎ、位置を固定することができた。
当該実施例によれば、カルシウム塩処理を施した球状セラミックスの粒体を欠損部に充填し、アルギン酸塩溶液を滴下するなどして表面に供給すれば、その滴下された範囲が、瞬間に硬化し、仮補綴に用いることが可能となり、いわゆる瞬間固着剤的な使用も可能となる。
【実施例5】
【0017】
図4は、本発明の実施例で用いられる補綴材等を製造する器具の一例を示す図である。
図4でしめす実施例は、図3で示した蓋部を累合型としたものであり、余分なアルギン酸ナトリウムの排出を1つの貫通孔22でおこなうものである。
蓋部21を円筒体20に、累合固定し、カルシウム被覆処理を施した複数の球状セラミックスビーズ23を充填した後(a)、細胞培養を目的とする場合は、細胞を含むアルギン酸溶液25を、薬物徐放の場合は、目的とする薬剤を含むアルギン酸溶液25を注入し、押圧面241を形成する押圧具24で、押す(20a)。
アルギン酸溶液25は、ビーズの隙間を流れながら、余分な溶液が蓋部21に到達し、孔部22が放出される(20c)(b)。
更に押圧具24を細胞が破壊されない程度で押圧した後、アルギン酸溶液とビーズ表面のカルシウム塩がゲル化し、全体として固形化26した状態で、蓋部21を回して累合を解除する(20d)(c)。
更に押圧して(20e)固形物26を取り出す(d)。
【0018】

薬物の徐放

1μg/mlで塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を含む水溶液にて、2%アルギン酸ナトリウム水溶液を調整し、0.2mlをシリンジ後部より入れて、球状セラミックスとアルギン酸カルシウムからなる補綴材を得た。これを2mlのハンクス液を入れた24wellのプレート中に移し、37℃のインキュベーター中に静置した。
1日、4日、7日、に上清を回収し、ELISA法によりハンクス液中に放出されたbFGFを定量した。図5に結果を示す。その結果、静置した時間が長くなるほど、アルギン酸カルシウム中に含有させたbFGFの放出量は増加した。この結果から、本発明がタンパク質からなる骨形成を促す成長因子、薬剤等を徐放する性質をもつ、骨充填材として応用可能であることが確認された。

【0019】

細胞培養

25万個/mlの濃度でヒト間葉系幹細胞を含む2%アルギン酸ナトリウム水溶液を作製し、シリンジ後部から0.2ml流し込み、セラミックス複合体を得た。この複合体をβ-グリセロフォスフェート(β-Glycerophosphate)、アスコルビン酸リン酸(L-ascorbic acid phosphate magnesium salt hydrate、デキサメタゾン(dexamethasone)を含む骨分化培地で14日間培養後、その表面を走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、骨芽細胞様の細胞がアルギン酸カルシウムゲル表面に付着しているのが観察された(図6)。
また、この7日、14日と培養した補綴材から細胞のみを回収し、骨分化の指標であるアルカリフォスファターゼの発現をreal-timePCR法で測定したところ、その発現は増大していた(図7)。この結果より、この補綴材は、間葉系幹細胞の3次元培養担体として骨再生医療に応用可能であることが示された。
【0020】

動物実験

実施例1に基づいて得られた球状セラミックスとアルギン酸カルシウムからなる補綴材をヌードマウス皮下に移植し、移植8週間後に、移植部位から、補綴材を取り出し、組織切片を作製した。その結果、図8で示すように球状セラミックス間に骨が形成されている観察像が得られた。この結果より、骨誘導をもつ骨充填材として利用可能であることが示された。

【産業上の利用可能性】
【0021】
整形外科や歯科における補綴材、特に骨欠損に使用する骨充填材としての用途、更には、3次元タイプの細胞培養用の基材、骨内、皮下に埋入して使用される薬物徐放担体(基材)に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明で用いる球状のセラミックスの走査型顕微鏡写真を示す図。
【図2】本発明の実施例を説明する為の図。
【図3】本発明の実施例を説明する為の図。
【図4】本発明の他の実施例を説明するための図。
【図5】本発明の実施例を説明するための図。
【図6】本発明の実施例を説明するための図。
【図7】本発明の実施例を説明するための図。
【図8】本発明の実施例を説明するための図。
【符号の説明】
【0023】
1 シリンジ
2 シート材
3 セラミックス材
4 ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス小体表面に付着させた2価の陽イオンを持つ塩と、アルギン酸塩溶液との反応物を前記セラミックス小体間に介在させてなる補綴材。
【請求項2】
セラミックス小体の表面を2価の陽イオンを持つ塩で処理した後、アルギン酸塩溶液と反応させることを特徴とする補綴材の製造方法。
【請求項3】
セラミックス小体表面に付着させた2価の陽イオンを持つ塩と、アルギン酸塩溶液との反応物を前記セラミックス小体間に介在させてなる細胞培養基材。
【請求項4】
セラミックス小体の表面を2価の陽イオンを持つ塩で処理した後、アルギン酸塩溶液と反応させることを特徴とする細胞培養基材の製造方法。
【請求項5】
培養細胞を前記アルギン酸塩溶液に含ませてなる請求項3,4に記載の細胞培養基材及び同材の製造方法。
【請求項6】
セラミックス小体表面に付着させた2価の陽イオンを持つ塩と、アルギン酸塩溶液との反応物を前記セラミックス小体間に介在させてなる薬物徐放性基材。
【請求項7】
セラミックス小体の表面を2価の陽イオンを持つ塩で処理した後、アルギン酸塩溶液と反応させることを特徴とする薬物徐放性基材の製造方法。

【請求項8】
薬剤またはタンパク質をアルギン酸塩溶液に含ませてなる請求項5,6に記載の薬物徐放性基材及び同材の製造方法。
【請求項9】
2価の陽イオンを持つ塩による処理を施したセラミックス小体を生体補填部位へ充填した後、充填部位表面にアルギン酸塩溶液を付する補綴材、細胞培養基材又は薬物徐放性基材の形成方法。
【請求項10】
2価の陽イオンを持つ塩による処理を施したセラミックス小体を充填した後、アルギン酸塩溶液を充填し、アルギン酸塩溶液方向から加圧し、アルギン酸塩溶液を押しだすことで、2価の陽イオンを持つ塩と、アルギン酸塩との反応物を前記セラミックス小体間に介在させ成形体を得る請求項2、4及び7に記載の補綴材、細胞培養基材又は薬物徐放性基材の製造方法。
【請求項11】
前記セラミックスがハイドロキシアパタイト、炭酸アパタイト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、β‐TCP、α‐TCP、メタリン酸カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、リン酸カルシウム系ガラス、これらリン酸カルシウム混合物、アルミナ、ジルコニア等である請求項1乃至10に記載の生体組織の補綴材、細胞培養基材又は薬物徐放性基材及び同材を製造する方法。
【請求項12】
前記2価の陽イオンを持つ塩が、塩化物、乳酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、グリセロリン酸塩、マレイン酸塩、硫酸塩、水素オルトリン酸塩、カルシウム塩、またはストロンチウム塩である請求項1乃至10に記載の生体組織の補綴又は培養を行う部材及び同部材を製造する方法。
【請求項13】
前記アルギン酸塩溶液が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウム、またはアルギン酸プロピレングリコールエステル溶液である請求項1乃至10に記載の生体組織の補綴又は培養を行う部材及び同部材を製造する方法。
【請求項14】
前記セラミックス小体の寸法が小体間の間隙を約100μm〜300mmとする系を備えた球状粒体である請求項1乃至10に記載の生体組織の補綴又は培養を行う部材及び同部材を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−203034(P2007−203034A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312170(P2006−312170)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000126757)株式会社アドバンス (60)
【Fターム(参考)】