生体組織エンジニアリングのためのデバイスおよび方法
生体不活性繊維で成る組織スキャフォールドは、生体不活性組成を有した微孔性の堅牢な三次元マトリックスを形成する。相互接続された微孔スペースの形態である微孔が微孔マトリック内で生体不活性繊維間のスペースに提供されている。微孔性マトリックスの強度は、特定の微孔サイズと微孔サイズ分布を有した堅牢な三次元マトリックス内に溶融されて接着した生体不活性繊維により提供される。組織スキャフォールドは組織内成長を促し、損傷した、及び/又は罹患した骨組織の修繕のために使用される組織スキャフォールドとして骨伝導性を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、多孔性医療用移植片(インプラント)の分野に関する。より具体的には、本発明は、インビボ環境での用途において骨刺激性を有する生体不活性繊維インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
人工補綴(人工器官)デバイスは、外科手術および整形外科処置において骨組織の欠損を修復するためにしばしば必要とされる。人工補綴は、高齢者の病気による、または悪化した骨組織の置換または修復のため、および体が持つ治癒メカニズムを増強して重度の外傷または変性疾患に起因する筋骨格障害を迅速に治療するためにますます必要とされている。
【0003】
骨欠損の修復のために、自己移植術および同種移植術が開発されている。自己移植手法では骨組織の再生を促進するために、骨移植片が患者のドナー部位である、例えば腸骨稜から採取され、修復部位に移植される。しかし、自己移植術は非常に侵襲的であり、感染症の危険性が存在し、採取(ドナー)部位での不要な痛みおよび不快感を引き起こす。同種移植術では、骨移植片として同種のドナーのものが使用されるが、これらの材料の使用は、感染、疾患の伝播および免疫反応の危険性および宗教的な反対を喚起する可能性がある。したがって、自己移植および同種移植に代わるものとして、合成材料および合成材料の移植法が求められている。
【0004】
骨組織の欠損修復のための合成人工補綴デバイスは、骨組織の成長を促進し、耐久性があって永久的な修復を提供しつつも自然骨の力学的特性を有する材料を提供するために開発された。骨の構造および生体力学的特性の知識、並びに骨の治癒過程の理解により、骨修復用の理想的な合成人工補綴デバイスの望ましい特性および性質に関する手引きが存在する。これらの性質には、限定はしないが、傷を治療しながら補綴デバイス内に骨組織の内部増殖(成長)を促進する骨刺激及び/又は骨(内)伝導と、傷を治療し、耐久性のある修復を促進しながら、修復部位を支持しつつも組織を活性化させる耐荷重性または重量分担性が含まれている。
【0005】
今日まで開発された材料は、所望の性質の少なくとも一部の実現には成功しているが、大半の材料は、理想的な硬組織スキャフォールド(scaffold、足場)の生体力学的要件の少なくとも一部を犠牲にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】(特になし)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、骨刺激性および、移植部位において生体組織に適合する機械的特性を備えた耐荷重性を有するスキャフォールドを提供することにより、骨欠損部の修復に効果的な合成人工骨(骨補鉄)を提供する。本発明は、特殊な多孔性構造を備え、焼結されて生体不活性組成を有した堅牢な三次元多孔性マトリックスを形成する生体不活性金属繊維で成る組織スキャフォールドを提供する。この多孔性マトリックスは、生体不活性金属繊維同士が接着される前に存在する揮発性成分によって決定される微孔サイズ(孔径)分布を有した互いに連結された微孔空間を有する。一実施態様においては、多孔性マトリックスは微孔サイズ分布が約50μmから約600μmである。多孔性マトリックスは空隙率(微孔度)が40%と85%との間であり、骨組織内に移植されると骨伝導性を提供する。本発明の実施態様のものには、双様相(双モード)微孔サイズ分布または多様相(多モード)微孔サイズ分布を有した微孔空間が含まれる。
【0008】
本発明の一形態によれば、合成骨補綴スキャフォールドは、生体不活性材料と絡んで、重なり合う隣接繊維間で接着状態を形成し、堅牢な三次元マトリックスを形成する生体不活性繊維の多孔性スキャフォールドである。堅牢な三次元マトリックス内の互いに連結された微孔空間は揮発性成分により予め定められた微孔サイズ分布を有する。一実施態様においては、重なった隣接繊維間を接着する生体不活性材料は、ガラス接着、ガラス/セラミック接着、セラミック接着および金属接着のうちの少なくとも1つである。微孔サイズ分布は約100μmから約500μmの範囲であり、生体組織内に移植されると骨伝導性を提供する。一実施態様では、生体不活性繊維は約2μmから約200μmの範囲の繊維径を有する。別実施態様では、生体不活性繊維は約25μmから約200μmの範囲の繊維径を有する。
【0009】
本発明に従った合成骨補綴を製造する方法も提供される。この方法は生体不活性繊維を微孔形成物質(微孔フォーマ)を含んだ揮発性成分および塑性的に成型できるバッチを提供する液体と混合するステップと、絡まって重なり合う金属繊維の実質的に均質な物体内に金属繊維を配合するように成型可能なバッチを捏ねるステップとを含む。成型可能バッチは加熱されて揮発性成分が除去され、絡まって重なり合う生体不活性繊維間に接着状態が提供される。
【0010】
本発明のこれらおよび他の特徴は、以下の記述から明瞭に理解されるであろう。特に「請求項」の定義およびそれらの組み合せによって実現が可能であろう。
【0011】
本発明の以上の及び他の目的、特徴、並びに利点は、添付の図面を利用した以下における本発明の好適実施形態の詳細な説明により明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明による組織スキャフォールドの一実施例を示す、約50倍に拡大された光学顕微鏡写真である。
【図1B】本発明による組織スキャフォールドの一実施例を示す、約500倍に拡大された光学顕微鏡写真である。
【図2】図1Aと図1Bの組織スキャフォールドを形成する本発明の方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図3】図2で示す本発明の方法に従った硬化ステップの一実施例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の方法により製造された物体の一実施例を示す概略図である。
【図5】本発明の方法に従った揮発成分の除去ステップ完了時の図4で示す物体を表す概略図である。
【図6】本発明の方法に従った接着状態の形成ステップ完了時の図5で示す物体を表す概略図である。
【図7】本発明の2つの例示的実施例による応力と歪との関係の評価を表すグラフである。
【図8】本発明に従った機能性材料を有した組織スキャフォールドの一実施例を示す光学顕微鏡写真である。
【図9】図8で示す組織スキャフォールドを形成する本発明の方法の別実施例を示すフローチャートである。
【図10】脊椎インプラント(移植片)内に構築された本発明による組織スキャフォールドの側部斜視図である。
【図11】椎間空間に移植された図10の脊椎インプラントを有した脊椎の一部を示す側部斜視図である。
【図12】骨切断楔体内に構築された本発明による組織スキャフォールドの斜視図を示す概略図である。
【図13】骨の骨切断開口部内に挿入するように利用できる図12で示す骨切断楔体の分解図を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記の図面は現在開示可能な実施例を示すが、ここで説明するように他の実施態様も本発明の想定の範囲内である。この開示は本発明を説明するためだけのものであって、本発明を限定するものではない。当技術分野の専門家であれば、ここで開示されている実施態様の原理の範囲と精神に従って多数の他の修正技術および実施形態が考案可能であろう。
【0014】
[発明の詳細な説明]
本発明は、組織欠損の修復のための合成人工器官(補綴)組織スキャフォールドを提供する。本明細書で使用される用語「合成人工補綴組織スキャフォールド」および「骨組織スキャフォールド」および「組織スキャフォールド」および「合成人工骨(骨補綴)」は、本明細書全体を通して互換的に使用される。一実施態様では、合成人工補綴組織スキャフォールドは、生体組織に移植された場合、生体不活性である。一実施態様では、合成人工補綴組織スキャフォールドは、生体組織に移植された場合、骨伝導性である。一実施態様では、合成人工補綴組織スキャフォールドは、生体組織に移植された場合、骨刺激性である。一実施態様では、合成人工補綴組織スキャフォールドは、生体組織に移植された場合、耐荷重性である。
【0015】
自然の骨組織の特性を模倣し、組織の治癒および修復を促進する合成人工補綴デバイスを提供することを目的として、種々の合成インプラントが生体組織エンジニアリング用途のために開発されている。新しい組織の成長を促進する多孔性構造体に高強度を提供するため、金属製の生体抵抗性構造体で成る生体不活性材料が開発されている。しかし、これらの材料は健康な組織の成長のために最適化されている微孔形態を有した多孔性を提供できない。従来技術による生体抵抗性金属および生体適合性インプラントの弱点は、耐荷重機能がインプラントを囲む再生組織には伝達されないことである。硬質組織が成形される時、応力負荷によって強度が増強された組織が形成されるが、金属製インプラントは、新しく形成される骨をこの応力から遮断する。したがって、骨組織の応力遮断によって実際に体に再吸収される可能性のある弱い骨組織ができ、人工補綴が緩くなる原因となる。
【0016】
生体組織への移植により、インプラントの組成のごとき幾つかの要因によって生物学的レスポンスが誘発される。生物学的に不活性である生体不活性材料は、通常、宿主(ホスト)からインプラントを隔離するために繊維状組織によって被包される。金属およびほとんどの重合体は、アルミナまたはジルコニアのようなほぼ不活性であるセラミックと同じように、この界面レスポンスを示す。もしインプラントが適した微孔サイズ(径)と微孔サイズ分布を備えた微孔面を有しているなら、生体組織は、身体の自然な治癒過程の機能としてインプラント内に成長し、接着(結合)するであろう。この界面接着によってスキャフォールドまたはインプラントを骨床中に安定化させる界面が形成され、スキャフォールドから接着された界面を越えて骨組織へと応力を伝達することができる。修復箇所に荷重がかけられると、再生骨組織を含む骨組織は応力を受け、応力遮断によって骨組織の再吸収が制限される。
【0017】
生物学的に不活性である材料を使用して組織スキャフォールドを開発する挑戦は、包囲する骨に類似した弾力性を備えた骨組織の成長の促進に十分である微孔度(空隙率)を備えた耐荷重強度を達成し、応力を新組織に伝達して移植部位にて健康な骨を確実に形成させる目的に向けられている。充分な耐荷重強度を備えた組織スキャフォールド内に入れられる従来の生体不活性材料は、所望の微孔サイズと微孔サイズ分布とを備え、健康組織の内部成長を促進するか、応力遮断を提供する天然骨の弾性率を大きく上回る弾性率を示す開口状態で相互接続された微孔は提供しない。
【0018】
繊維ベースの構造体は、一般的には個々の繊維の強度が同じ組成の粉末または粒体ベースの材料よりも相当程度に大きいならば、本質的に重量に対して高い強度を提供することが知られている。不具合を伝播させる応力集中の形成の一因となるような非連続性を比較的に少なくした繊維が生産できる。これに反して、粉末または粒体ベースの材料は、各接着界面で応力集中を発生させる可能性があり、隣接する粒体のそれぞれ間の接着が必要である。さらに、繊維ベースの構造体は応力緩和を提供するため強度が高くなり、繊維ベースの構造体が応力を受けても個々の繊維の不具合が隣接する繊維を通って伝播しなくなる。したがって、繊維ベースの構造体は、同等の微孔サイズおよび微孔度である同じ組成を持つ粉末ベースの材料よりも優れた物理的強度特性を示す。
【0019】
本発明は、生体組織エンジニアリング用途のための生体不活性であり、低弾性率で耐荷重性能を持ち、骨刺激性であり、骨内成長を促進するように制御および最適化できる微孔構造を備えた材料を提供する。
【0020】
図1Aは、本発明の組織スキャフォールド100の一実施例を示す、約50倍に拡大された光学顕微鏡写真である。組織スキャフォールド100は、強度、弾性率および微孔形態において骨構造を模倣する構造体を成形する堅牢な三次元マトリックス110である。本明細書が使用する用語「堅牢」とは、構造体に応力が加えられた時、その構造体が、「堅牢構造体」である自然な骨と同程度に耐久性であり、骨折するまで、さほど破損しない強度であることを意味する。スキャフォールド100は、一般的には相互接続されている微孔120のネットワークを有する多孔性材料である。一実施例では、微孔120が相互接続されているネットワークによって骨伝導性が提供される。本明細書で使用される用語「骨伝導性」とは、材料が骨組織内成長を促進させることを意味する。典型的なヒトの海綿状である骨は、約4から約12MPaの範囲の圧縮破壊強度を有しており、その弾性率は約0.1から約1.0GPaの間である。以下で示すように、本発明の組織スキャフォールド100は、50%を超える微孔度(空隙率)、および4MPaより大きく110MPaまで、またはそれ以上の圧縮破壊強度を持つタンタル材料の多孔性骨刺激構造体を提供することができる。
【0021】
一実施態様では、三次元マトリックス110は、接着および溶融して堅牢な構造体を形成する繊維で成形され、生体不活性組成を持つ。三次元マトリックス110を造るための原材料として繊維を使用することにより、化学蒸着技術で形成される材料等である従来の粉末ベースの原材料を使用するよりも優れた利点が提供される。一実施態様では、繊維ベースの原材料によって、一定の微孔性であれば粉末ベースの構造物よりも勝る強度を持つ構造体が提供される。一実施態様では、繊維ベースの原材料は従来の構造体よりも低い弾性率を有する構造体を提供する。
【0022】
本発明の組織スキャフォールド100は微孔形態と組み合わされて望む機械的および化学的特性を提供し、骨伝導を促進する。微孔120のネットワークは、天然の骨を模擬する構造物の絡んだ不織性繊維材料間のスペース(空間)により提供される天然の相互接続(連結)微孔構造体である。さらに、ここで解説する方法を活用して微孔サイズが制御および最良化でき、スキャフォールド100の内部および再生骨内の血液と体液の流れを増強させることができる。例えば、微孔サイズと微孔サイズ分布は、微孔フォーマ(形成剤)と、スキャフォールド100の形成時に揮発性である有機バインダの選択を通して制御できる。微孔サイズと微孔サイズ分布は、微孔フォーマの粒体サイズと粒体サイズ分布によって決定できる。これら微孔は、単一モード(様相)の微孔サイズ分布、双モードの微孔サイズ分布、及び/又は多モードの微孔サイズ分布を含む。スキャフォールド100の微孔度は約40%から約85%である。一実施態様では、この範囲が、耐荷重強度を示すが生体組織内に移植されると再生組織の骨誘導を促進する。
【0023】
スキャフォールド100は原材料として繊維を使用して製造される。繊維は生体不活性材料でよい。本明細書で使用される用語「繊維」とは、アスペクト比が1を超え、細ワイヤ延伸または繊維形成プロセス、例えば、延伸、紡績、ブロー、または繊維状材料の形成において一般的に利用されている他の類似プロセスで形成される、連続または不連続形態である微細ワイヤ、フィラメント、ロッド(細棒物)またはウィスカのことである。生体不活性微細ワイヤまたは繊維は、微細ワイヤまたは繊維形態に形成することができる生体不活性組成物、例えば、生体不活性材料、例えばタンタル、チタン、ステンレス鋼、またはそれらの合金、あるいはアルミナまたは他の生体不活性酸化物から製造することができる。チタンとアルミ合金等の生体不活性材料は従来の金属微細ワイヤ延伸法で形成できる。この方法には複数及び/又は連続式の延伸プロセスが含まれ、微細ワイヤの径を所望の径にまで細くして切断する。繊維は、スキャフォールド100を形成する際に三次元マトリックス110の形成によって生体不活性組成物を形成する生体不活性組成物の前駆体から製造できる。生体不活性繊維組成物は、耐荷重性であって骨伝導性であり、及び/又は骨刺激性であるスキャフォールド100を製造するように利用できる。
【0024】
さらに図1で示す三次元マトリックス110内の微孔120のネットワークは、スキャフォールド100として骨組織内成長に特に有利である特性を持つ独特の構造を有する。微孔120の空間の性質は、以下に記載するように揮発成分の選択によって制御することができる。微孔サイズおよび微孔サイズ分布は、微孔120のネットワークの重要な特質であり、特定して制御することができ、耐荷重的用途のために強度を保持しつつ、骨伝導性構造を提供する特定の粒体サイズおよび粒体サイズ分布を有する揮発成分の選択を通して予め決定することができる。さらに、微孔120のネットワークは、本発明の組織スキャフォールド100の骨伝導性をさらに増強するような従来の材料に勝るバインダおよび微孔フォーマからの繊維の位置によって決定される微孔間の大きな相対的咽喉(隙間)サイズで相互接続特性を改善する。微孔120のネットワークは、繊維状材料の自然充填密度に起因する空間と、スキャフォールド100の成形中に繊維と混合される揮発成分による繊維の変位によって提供される空間とにより形成される。以下でさらに説明するように、三次元マトリックス110を形成する生体不活性材料は、重なり合って絡み合う繊維を溶融し、接着させることにより製造される。
【0025】
図1Bは本発明の一実施例による、接着状態で重なり合って絡んでいる繊維を高倍率で示す。繊維110は溶融され、接着剤115によって重なり合う繊維110に接着されている。接着剤115は、組織スキャフォールド100の三次元マトリックスを形成するように繊維同士の接着を助けて増強する。繊維および接着剤は、得られる微孔サイズ、微孔サイズ分布および微孔間の咽喉サイズを事前決定するようにバインダや微孔フォーマ、例えば有機物質などの揮発性成分との均質な混合物の形成を通して事前配置された非揮発性成分である。さらに、揮発成分は、微孔間の咽喉サイズを大きくすることにより微孔の相互接続の数を効果的に増加させ、多数の微孔と接続する微孔を形成する。嵩高繊維は混合物全体に分散され、揮発性有機材料内で重なり合い絡み合うよう繊維材料と相対的に配置される。揮発成分を揮発させ、繊維を溶融接着して三次元マトリックス110を形成すると、微孔120のネットワークが揮発成分によって占められていた空間によって発生する。
【0026】
本発明のスキャフォールドの目的は、生体組織内においてインプラントとして組織の成長を促進することである。骨組織修復のための理想的なスキャフォールドには多数の基準が存在するが、重要な性質は、細胞移動、流体交換および、最終的には、組織内成長および血管形成(例えば、血管の貫通)のために十分に大きな微孔サイズおよび微孔相互接続性を持つ高度に相互接続された多孔性ネットワークを備えていることである。本発明の組織スキャフォールド100は、骨組織内成長に特に適した微孔サイズおよび微孔相互接続性を持つ多孔性構造体である。微孔120のネットワークは、組織スキャフォールド100を製造するために使用される揮発成分の選択によって制御することができる微孔サイズを有し、平均微孔サイズは少なくとも100μmである。いくつかの実施態様による組織スキャフォールド100の平均微孔サイズは、約50μmから約600μmであり、あるいは約100μmから約500μmである。有機バインダおよび微孔フォーマを始めとする揮発成分および1つの微孔から少なくとも隣接する微孔にまで延びる、絡み合った繊維は、三次元マトリックス内に、大きな微孔咽喉(隙間)サイズを持った高度に相互接続性である構造を提供する。インビボ分析により決定される双モードあるいは多モードである微孔サイズ分布を有することが望ましいであろう。多モードの微孔サイズ分布は同様な多モードの粒体サイズ分布を示す微孔フォーマ材料の選択によって提供できる。同様に、太さ、長さ、または断面形状などの様々な特性を備えた混合繊維材料は微孔サイズと微孔サイズ分布に影響を及ぼすであろう。
【0027】
図2では組織スキャフォールド100を成形する方法200の実施例を示す。一般的には、嵩高繊維210はバインダ230および液体250と混合されて塑性成型が可能な材料が形成され、次いで硬化され、組織スキャフォールド100が成形される。硬化ステップ280では混合物の揮発成分が選択的に除去され、開いた状態の相互接続されている微孔空間120が残り、繊維210は効果的に溶融および接着され、堅牢な三次元マトリックス110となる。
【0028】
嵩高繊維210は嵩高形態または切断繊維形態で提供される。繊維210の径は約3から約500μmの範囲が可能であり、通常は約25から約200μmの間である。この種類の繊維210は、通常では相対的に細く、繊維径分布が制御された状態で生産され、所定径の繊維が使用でき、または種々な繊維径の繊維の混合物が使用できる。繊維210の径は得られる多孔質構造体の微孔サイズおよび微孔サイズ分布、ならびに三次元マトリックス110の寸法および厚さに影響を及ぼすが、スキャフォールド100の骨伝導性ばかりでなく圧迫強度および弾性率を始めとする強度特性にも影響を及ぼす。
【0029】
バインダ230および液体250を繊維210と混合すると、後続の形成ステップ270で所望の形状へ成形させるグリーン強度を備え、繊維210が全体に均一に分散されたバッチを含んだ塑性成型可能なバッチ混合物が得られる。有機バインダ材料は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロースおよびこれらの組合せのごときバインダ230として使用することができる。バインダ230としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、ポリスルホン、ポリアセタール重合体、ポリメチルメタクリレート、フマロン−インダン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ポリビニルブチラール、アイオノマー樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン、フェノールホルムアルデヒド、フェノールフルフラール、パラフィンワックス、ワックスエマルジョン、微結晶質ワックス、セルロース、デキストリン、塩素化炭化水素、精製アルギネート、デンプン類、ゼラチン、リグニン、ゴム、アクリル樹脂、ビチューメン、カゼイン、ガム、アルブミン、タンパク質、グリコール、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリエーテルイミン、アガー、アガロース、糖みつ、デキストリン、デンプン、リグニンスルホン酸、リグニン液、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、キサンタンガム、トラガカントガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アイルランドゴケ、スクレログルカン、アクリル樹脂およびカチオン性ガラクトマンナン、またはこれらの組み合わせのごとき材料を挙げることができる。いくつものバインダ230を列挙したが、他のバインダを使用してもよいことは理解されるであろう。バインダ230は、生体不活性材料に対して不活性のままで、所望の目的物を形成するために、塑性バッチ材料の所望のレオロジーを提供し、目的物体を成形する際に混合物中の繊維210の相対的な位置を維持する。バインダ230の物性はスキャフォールド100の微孔120の微孔サイズおよび微孔サイズ分布に影響を及ぼす。好適にはバインダ230は、繊維210を含んだ生体不活性成分の化学組成に影響を及ぼさずに熱分解または選択的崩壊をすることができる。
【0030】
液体250は、後続の形成ステップ270で塑性バッチ材料を所望の目的物体に形成するのに適した塑性バッチ材料の所望のレオロジーを達成するため必要に応じて加えられる。通常では水が使用されるが、種々な溶剤を利用することもできる。レオロジー測定は、形成ステップ270に先立って混合物の可塑性および凝集強度を評価するために混合ステップ260の最中に実行できる。
【0031】
スキャフォールド100の微孔120の空間を増大するために、混合物に微孔フォーマ240を投入することができる。微孔フォーマは混合ステップ260および形成ステップ270の最中に、塑性バッチ材料内で体積(容積)を占めている非反応性材料である。使用する場合、微孔フォーマ240の粒体サイズおよび粒体サイズ分布は、得られるスキャフォールド100の微孔120の微孔サイズおよび微孔サイズ分布に影響を及ぼす。粒体サイズは通常、約25μm以下から約450μm以上の範囲が可能である。微孔フォーマの粒体サイズは繊維210により定まるものであり、繊維210の径の約0.1から約100倍程度である。微孔フォーマ240は、包囲する繊維210の相対位置を大きく乱すことなく、硬化ステップ280の最中に簡単に除去できるものでなければならない。本発明の一実施態様では、微孔フォーマ240は、硬化ステップ280の最中に熱分解または熱劣化、あるいは高温での揮発によって除去可能である。例えば、マイクロワックスエマルジョン、フェノール製樹脂粒子、小麦粉、デンプン、または炭素粒子を微孔フォーマ240として混合物に含ませることができる。他の微孔フォーマ240としては、カーボンブラック、活性炭、片状黒鉛、合成黒鉛、木粉、加工デンプン、セルロース、ヤシ殻、ラテックス粒子、鳥餌、オガクズ、熱分解可能な重合体、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリテトラヒドロフラン、ポリ(1,3−ジオキソラン)、ポリ(アルカレンオキサイド)、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、メタクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリエチレンオキサレート、ポリβ−プロピオラクトン、ポリ・デルタ−バレロラクトン、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ビニルトルエン/α−メチルスチレン共重合体、スチレン/α−メチルスチレン共重合体、およびオレフィン−二酸化イオウ共重合体を挙げることができる。微孔フォーマ240は一般的に、有機または無機物であり、有機物は、通常、無機物より低い温度で燃焼する。いく種類かの微孔フォーマ240を列挙したが、他の微孔フォーマ240を使用してもよいことは理解されるであろう。微孔フォーマ240は完全に生体適合性であってもよいが、プロセス中にスキャフォールド100から除去される理由により必ずしも生体適合性である必要はない。
【0032】
得られるスキャフォールド100の接着形成および接着性を向上させるために、混合物に接着剤220を入れることができる。接着剤220として、嵩高繊維210と同じ組成の粉末ベースの材料を挙げることができる。または異なる組成の粉末ベース材料を挙げることもできる。以下で詳細に説明するように、接着剤220がベースの添加剤は、隣接し交差する繊維210間に接着状態を形成することによって三次元マトリックス110を形成する、接着剤220としては、生体不活性金属、ガラス、ガラス−セラミック、セラミックまたはこれらの前駆体が可能である。本発明の一実施態様では接着剤220は燐酸カルシウムである。別実施態様では接着剤220はβリン酸三カルシウムである。さらに別な実施態様では接着剤220はヒドロキシアパタイトである。
【0033】
嵩高繊維210、バインダ230および液体250を含んだそれぞれの材料の相対量は、組織スキャフォールド100で望ましい全体的な微孔度によって変動する。例えば、微孔度が約60%であるスキャフォールド100を得るには、繊維210のような非揮発成分275は混合物の約40体積%であろう。バインダ230および液体250のような揮発成分285の相対量は混合物の約60体積%となる。この相対量は混合物の所望レオロジーによって測定される液体に対するバインダの相対量である。さらに微孔フォーマ240によって高められる微孔度を有するスキャフォールド100を製造するには、揮発成分285の量を、揮発性の微孔フォーマ240を含むように調整する。同様に接着剤220によって高められる強度を有するスキャフォールド100を製造するには、非揮発成分275の量を、非揮発性接着剤220を含むように調整する。材料密度が硬化ステップ280の最中に成分の反応によって変化するので、非揮発成分275および揮発成分285の相対量、および得られるスキャフォールド100の微孔度が変化することは理解されるであろう。具体的な例は後述する。
【0034】
混合ステップ260では、繊維210、バインダ230、液体250、微孔フォーマ240及び/又は接着剤220(含まれている場合)を混合し、塑性的に変形可能で均一な混合物にする。混合ステップ260として、乾式混合、湿式混合、せん断混合、混練が挙げられ、繊維210をばらばらにして供給するか、非繊維材料と分散させるのに必要なせん断力を与えて均質な物体内に均等に分散させる。混合、せん断および混練の程度、並びにそのような混合プロセスの継続時間は、後続の形成ステップ270での目的物体の成形のため、所望のレオロジー特性を備えた混合物内の材料の均一分散のために混合ステップ260の最中に使用される混合装置の選択とともに、繊維210および非繊維材料の選択によって決定される。混合は、工業用の混合装置、例えば、バッチ混合機、せん断混合機及び/又は混練機を使用して行うことができる。
【0035】
形成ステップ270で混合ステップ260の混合物を、組織スキャフォールド100を形成する目的物体に形成する。硬化ステップ280で硬化することができる、ほぼ目的の形状が与えられている目的物体を得てスキャフォールド100を形成するため、形成ステップ270では、押し出し成型、圧延成型、加圧成型、または形状化成形等によってほぼ任意の所望形状を得る。スキャフォールド100の最終的寸法は、硬化ステップ280の最中に予想される目的物体の収縮のため、形成ステップ270で形成された目的物体のものとは異なることがあり、特定の寸法需要に合わせるためには、さらに機械加工および最終成形加工が必要な場合があることは理解されるであろう。力学的並びにインビトロ及びインビボ試験のためのサンプルを提供する例示的な実施態様では、形成ステップ270において、混合物を丸型ダイに押し通すピストン押出し機を使用して混合物を押出し成型し、円筒形ロッド形態物とする。
【0036】
図3に関連してさらに説明するように、続いて硬化ステップ280で目的物体を硬化して組織スキャフォールド100とする。図3で示す実施例では、硬化ステップ280は連続する3段階のステップ、すなわち乾燥ステップ310、揮発成分除去ステップ320および接着形成ステップ330として実施される。最初のステップである乾燥ステップ310では、強制対流を用いることも可能であるが徐々に液体を除去するように僅かに高くした温度の熱を使用して液体を除去することによって形成された目的物体を乾燥する。目的物体を乾燥する種々の方法を利用することができるが、それには加熱空気対流加熱、真空凍結乾燥、溶剤抽出、マイクロ波または電磁気/無線周波(RF)乾燥方法が挙げられるが、これらに限定はされない。形成された目的物体内の液体は収縮による乾燥亀裂を避けるために、あまり早急に除去されないのが好ましい。通常、水ベースのものについては、約90℃と約150℃との間の温度に1時間曝露すると形成された目的物体を乾燥できるが、実際の乾燥時間は目的物体の寸法および形状により変化し、大きな固まりの目的物体ほど乾燥時間が長くなる。マイクロ波またはRFエネルギ乾燥の場合、目的物体の液体それ自身及び/又は他の成分が照射エネルギを吸収し、材料全体に一層均一な熱が発生する。乾燥ステップ310の最中に、揮発成分として使用される材料の選択によってバインダ230が凝結し、またはゲル化し、より大きなグリーン強度を提供し、後続の処理のために目的物体に堅牢性および強度を与えることができる。
【0037】
乾燥ステップ310によって目的物体が乾燥、または液体成分250が実質的になくなれば、次の硬化ステップ280は揮発成分除去ステップ320に進む。このステップでは、揮発成分(例えば、バインダ230および微孔フォーマ240)を目的物対から除去し、組織スキャフォールド100の三次元マトリックス110を形成する非揮発成分のみを残す。揮発成分は、例えば熱分解、熱劣化または溶剤抽出によって除去することができる。揮発成分除去ステップ320は、バインダ燃焼ステップ340のごとき連続的な複数の除去ステップに分けることができ、微孔フォーマ除去ステップ250が続き、揮発成分除去ステップ320で成分が順番に除去されるように揮発成分285が選択される。例えば、バインダ230として使用されるHPMCは、約300℃で熱分解する。グラファイト微孔フォーマ220は、酸素の存在下で約600℃に加熱されると酸化して二酸化炭素になる。同様に、小麦粉またはデンプンを微孔フォーマ220として使用する場合、これらは約300℃と約600℃との間の温度で熱分解する。したがってHPMCのバインダ230およびグラファイト粒子の微孔フォーマ220で構成された目的物体は、揮発成分除去ステップ320にて、まずバインダ230、次いで微孔フォーマ220を除去するように二段階の燃焼ステップで目的物体を処理できる。この実施例ではバインダ燃焼ステップ340を、少なくとも約300℃であるが約600℃未満の温度で一定時間実行できる。次いで、微孔フォーマ除去ステップ350を、加熱室に酸素を入れ、温度を少なくとも約600℃に上げることによって行うことができる。この熱的に続く揮発成分除去ステップ320によって、形成された目的物体中の非揮発成分275の相対位置を保ちながら、揮発成分285を制御下で除去できる。
【0038】
図4は揮発成分の除去ステップ320に先立って形成された目的物体の種々成分の概略図を示す。繊維210は、バインダ230と微孔フォーマ240との混合物内で絡み合っている。オプションで接着剤220を混合物中に追加できる。図5は、揮発成分除去ステップ320が完了した時に形成された目的物体の概略図である。繊維210は、揮発成分285が除去されたとき繊維210と揮発成分285との混合物により決定される相対位置を保持する。揮発成分285の除去が完了した時、目的物体は非常に脆く、この状態での目的物体の取り扱いは注意を要する。一実施態様では、硬化ステップ280の各段階は同じオーブンまたは炉で行われる。一実施態様では、処理による損傷を最小限に抑えるように目的物体を処理できる処理トレイが利用される。
【0039】
図6は、硬化ステップ280の最終ステップである接着形成ステップ330が完了した時の形成目的物体の概略図を示す。バインダ230および微孔フォーマ240が除去されて微孔120が形成され、繊維210は溶融および接着されて三次元マトリックス110となっている。微孔フォーマ240の粒体サイズ及び/又は微孔フォーマ240の粒体サイズ分布及び/又はバインダ230の相対量等である揮発成分285の特質は、共同で、得られる組織スキャフォールド100の微孔サイズ、微孔サイズ分布および微孔相互接続性を予め決定している。接着剤220および三次元マトリックス110の重なり合うノード610および隣接するノード620で形成される接着によって、得られる三次元マトリックス110の構造的堅牢性が得られる。
【0040】
図3に戻って説明すると、接着形成ステップ330では、揮発成分285の除去により作られた微孔120を維持しながら、嵩高繊維210を含んだ非揮発成分275が、組織スキャフォールド100の堅牢な三次元マトリックス110に変換される。接着形成ステップ330では、非揮発成分275は、嵩高繊維210が隣接し重なり合う繊維210に接着する温度で、繊維210が溶融することなく接着を形成するのに十分な時間加熱され、非揮発成分275の相対的配置が破壊される。接着形成環境および持続時間は、嵩高繊維210を含んだ非揮発成分275の化学組成に依存する。例えば、チタンあるいはチタン合金の繊維が嵩高繊維210として使用されると、接着形成ステップ330は10−3トールの真空炉内にて1200℃で実行できる。アルミナ繊維が嵩高繊維として使用されると、接着形成ステップ330は大気圧で約1200℃から約1600℃にて静止窯またはエアパージ窯内で実行できる。嵩高繊維210として使用できる他の材料は、非揮発性材料の組成にもよるが、空気、窒素、アルゴン、または他の不活性ガスあるいは真空(これらに限定はされない)のごとき接着の形成を誘起する環境で、繊維構造の交錯及び重なり合うノードにて固形状の物質転移を誘起するか液状接着を誘起する温度にまで加熱することができる。
【0041】
接着形成ステップ330では、形成された目的物体を接着形成温度にまで加熱し、繊維構造の重なり合うノード610および隣接するノード620で接着を形成させる。接着剤220が利用されると、接着状態は、繊維210に近接する接着剤220の繊維210との反応によって繊維構造の重なり合うノード610および隣接するノード620にて形成される。接着形成ステップ330では、繊維210の材料が接着剤220との化学反応に関与し、または繊維210は接着剤220の反応に関して不活性状態を保つ。さらに、嵩高繊維210は繊維成分との混合物であってもよく、繊維成分210の一部または全部が三次元マトリックス110を造りだすように接着状態を形成する反応に関与する。
【0042】
接着形成ステップ330の持続時間は接着形成ステップの最中の温度プロフィールに依拠するが、そこでは繊維210の接着形成温度の時間が嵩高繊維210を含んだ非揮発成分275の相対位置を大きく変化させない比較的短い持続時間に限定されている。形成された目的物体の微孔サイズ、微孔サイズ分布および微孔間の相互接続性は、揮発成分285による嵩高繊維210の相対位置によって決定される。揮発成分285は、接着形成温度に達する前に形成目的物体から燃焼除去されるであろうが、繊維210および非揮発成分275の相対位置は大きく変わらない。形成目的物体は、接着形成ステップ330の最中に僅かに緻密(コンパクト)化されるが、微孔サイズおよび微孔サイズ分布の制御は維持され、僅かに大きめであるサイズの微孔フォーマ240の粒体サイズを選択することによって、または揮発成分285の相対量を調整し、予測される緻密化に対処することによって予め決定できる。
【0043】
三次元マトリックス110を形成している、絡み合った繊維の重なり合うノードと隣接するノードとの間で形成される接着は、嵩高繊維210の組成と実質的に同じ組成の焼結接着でもよい。また接着は、嵩高繊維210の組成と実質的に同一か、あるいは異なる組成を有する接着形態を形成する嵩高繊維210と接着剤220との間の反応の結果でもよい。医療デバイスまたはインプラントとして使用するための材料の認可に関連する法的規制のため、デバイス製造方法およびプロセスで大きく変性しない材料として認可された材料組成物を使用することが望ましい。あるいは、デバイス製造およびプロセスで所望の組成を形成する認可材料組成物の前駆体である原材料を使用することが望ましい。本発明は、種々の医学用に認可された材料を使用して製造することができ、または医学用に認可された材料組成物に製造することもできる組織スキャフォールドデバイスを提供する。
【0044】
本発明の組織スキャフォールド100は、非揮発性成分275と揮発性成分285の特性を特定することで微孔形態を制御する能力のために制御された微孔相互接続性を示す。たとえば、微孔相互接続性を増強するために繊維長分布は、微孔フォーマの粒体サイズよりも大きなモードを示すことができる。その微孔相互接続性は、このモードを示す繊維が一つの微孔から別微孔へ延びており、隣接微孔間のスペースが微孔接続性を与えている状態である。さらに、微孔フォーマの粒体サイズよりも小さな繊維径は、改善された微孔相互接続性を提供するために微孔フォーマのさらなる緻密化を提供することができる。
【0045】
組織スキャフォールド100の機械的特性は、製造方法200で様々なパラメータを操作することで、及び/又は非揮発性成分275および揮発性成分285の操作を通じて制御および調整でき、特定の利用形態のために最良化できる。例えば、耐荷重的利用において、組織スキャフォールド100の弾性率は以下で説明するような様々な方法で最良化及び制御可能である。
【0046】
耐荷重的利用における組織スキャフォールドは、界面全体に健康な骨形成を促すように、好適には応力を周囲組織に継続的に伝達するよう大きな面積に均等に荷重を分配させる。継続的応力を伝達するスキャフォールドの効果に主として影響を及ぼす組織スキャフォールドの機械的特性は弾性率である。組織スキャフォールドの弾性率が周囲組織の弾性率とほぼ合致すると、スキャフォールドから周囲組織に伝達される応力は健康な新組織の成長を刺激する。ウォルフの法則(自身の質量を減少させて応力減少に対処する骨は、微孔度を増加させるか、細くなる)に従えば、もしスキャフォールドの弾性率が周囲組織の弾性率よりも大きければ、スキャフォールド内に増殖する再生組織は応力から効果的に遮断され、骨再吸収として知られる現象が発生する。もしスキャフォールドの弾性率が周囲組織の弾性率を大きく下回れば、応力はスキャフォールドの変形を伴わずには周囲の組織に効果的に伝達されず、新規に形成された組織に過剰な応力と歪みを発生させる。
【0047】
本発明の方法および装置は、与えられた材料組成物のための様々な要因の制御を通じて理想的に合致した弾性率を有するように製造させる。一般的に、繊維210の特性のバリエーション、揮発性成分285の特性のバリエーション、接着剤220の特性のバリエーション、および硬化ステップの環境の制御がスキャフォールド100の得られる強度(堅牢性)、微孔性および弾性率を最良化させることができる。
【0048】
繊維特性には、組成、直径、スキャフォールドの強度および柔軟性に直接的に影響を及ぼす長さが含まれる。組成的な影響は、材料の粒体境界および脆さ等の因子を含む繊維材料の固有の物理的特徴(例えば引張力および弾性率)で決定される。繊維の直径はスキャフォールドの堅牢性および柔軟性に影響し、太めの繊維はさらに堅牢性と剛性を増加させる傾向にある。長めの繊維は増加した柔軟性を提供できる。追加的に、繊維の直径と長さは個別にあるいは共同で繊維材料の自然充填密度に直接的に影響する。繊維の自然充填密度が高いほど、得られるスキャフォールドの繊維同士の連結が強力になる。繊維同士の連結力が増加すると、一般的にスキャフォールドの堅牢性と弾性は増加する。
【0049】
接着剤220が使用されるとスキャフォールドの得られる強度(堅牢せい)と柔軟性に影響を及ぼすであろう。接着剤220はマトリックスの繊維同士の結合数を増加させることで、得られる強度を増加させ、弾性率を変化させる。さらに、接着剤220の相対量は揮発成分に対する非揮発成分の量を増加させ、微孔度に影響する。一般的に、他の条件が同一であれば高い微孔度は強度を減少させる。接着剤220の組成は得られるスキャフォールドの強度と柔軟性に影響し、引張力および圧縮力および弾性率のごとき固有の物理的特性がスキャフォールドに与えられる。接着剤220の粒体サイズは強度と弾性率に影響し、大きな粒体は繊維の交差部に存在する傾向が高く、隣接繊維同士を架橋し、結合させて接着マトリックス化するのに利用される材料を増加させる。そのような粒体はバインダが燃焼して除去されると同一位置に留まる傾向があり、繊維の表面に接着し、繊維の化学的および物理的特性を変化させる。さらに、そのような粒体及び/又は少ない相対量の接着剤220は繊維同士の接着を減少させ、得られるスキャフォールドの強度を減少させ、弾性率を低下させる。
【0050】
揮発性成分の特性はスキャフォールドの得られる強度と柔軟性に影響する。前述したように、微孔フォーマはスキャフォールドを通して相互接続する微孔のサイズと分布を制御できる。スキャフォールド100の機械的特性への影響に関して、微孔フォーマの増加した相対量を含んで揮発成分の量の増加は、残りの条件が同じであればスキャフォールドの強度に影響し、弾性率を低下させる。さらに、繊維材料の自然充填密度に関して、繊維径と繊維長に関係する変動要素との副次的な相互作用が存在する。非揮発性成分と混合されると揮発性成分は繊維の束を増加させ、複数の繊維長が追加繊維に実質的に隣接して整合し、繊維長に沿って繊維を接着させ、スキャフォールドのマトリックスを形成する“柱体”の断面積を効果的に増加させる。このように束になった繊維の領域はスキャフォールド100の強度と弾性率に影響を及ぼす。
【0051】
スキャフォールド100の形成方法200の実行時に選択される処理パラメータはスキャフォールドの機械的特性に影響する。例えば、硬化ステップ280の環境パラメータは加熱速度、加熱温度、硬化時間、および真空、不活性ガス(窒素、アルゴン、等々)、成型ガス(還元環境)または空気等の加熱環境を含む。それぞれ、またはそれぞれの組み合わせはスキャフォールドを通じて繊維同士の接着の数および相対強度に影響を及ぼす。
【0052】
スキャフォールド100の微孔度と強度の関係および弾性率を制御して最良化するための追加の要因は、繊維の整合性に影響する製造プロセス200と組み合わされた原料の固有の特性を含む。混合ステップ260と形成ステップ270は、繊維を実質的に一方向に整合させた目的物体を提供するように構成できる。例えば、形成ステップ270での押出し成型プロセスの利用は、押し出し方向での混合物の繊維の整合状態を提供する。得られるスキャフォールド100の物理的特性は、デバイスの配向性の関数である弾性率を示し、圧迫力と弾性率は押し出し方向で相対的に高く、押し出し方向に垂直な方向では低い。脊椎の融合に使用される脊柱インプラントは、健康な組織の成長を促すよう、スキャフォールドの耐荷重および荷重共有特性を最良化するような変動特性を備えるように構築できる。繊維の方向性はスキャフォールド内への管形成が必要な利用形態で望ましいであろう。方向性が与えられた繊維は繊維に平行な優先方向を示す微孔形態特性を含む。スキャフォールド100が骨組織を融合させる利用形態では、接合される骨間の管形成リンクは本発明のスキャフォールドによって効果的に架橋できる。
【0053】
加えて、上記のパラメータの任意の組み合わせの任意のバリエーションは、意図する用途に対する最良あるいは所望の強度と弾性率および微孔サイズ分布を達成させることができる。さらに、強度、弾性率、微孔度および微孔サイズ分布、並びに他の機械的および物理的特性は、他の用途のために調整できるが、それらの非限定的な実施態様が本明細書に記載されている。
【0054】
図7は、製造時に接着剤の追加を通じたスキャフォールドの強度と弾性率の変動の影響を示す本発明による2つの実施例のスキャフォールドの圧迫試験の応力−歪曲線720を示す。両方のサンプルは、約63μmの平均径を有したチタン6A14V合金繊維を使用して上述の方法200で製造された。一方のサンプルは、0.045インチ長(0.114cm)に切断された3グラムの繊維が、有機バインダとしての0.010インチ(0.025cm)に切断された0.25グラムのHPMCと、微孔フォーマとしての約100μmの粒体サイズの1グラムのPMMAと、可塑的に成型可能な混合物を提供するように必要に応じて調整した約1.5グラムの脱イオン水と混合されたものであった。混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分は燃焼除去され、スキャフォールドは0.3トールの真空度で1400℃にて2時間加熱処理され、微孔度70%のスキャフォールドが製造された。他方のサンプルも同様に製造された。唯一の相違は、接着剤220としての粒体サイズが325μm未満である0.25グラムのチタン粉末の追加であった。得られた微孔度は67%であった。図7において示すように、前者のサンプル730の応力−歪曲線(接着剤を含有せず)は第1の弾性率735と第1のピーク強度値740を示す。後者のサンプル750(接着剤を含有)は第2の弾性率755(第1の弾性率より約65%少ない)と、第2のピーク強度値760(第1の強度値740よりも約34%少ない)を示す。
【0055】
図8は、スキャフォールド100の表面全体に選択的に堆積された機能材料705を備えたスキャフォールド100を示す本発明の別実施例を図示する。機能材料705は、スキャフォールド100の骨伝導性および管形成の促進のごときスキャフォールドの副次的機能を提供すべく選択的に堆積される。その目的はインプラントの設置中または設置後の病理学的症状の誘発を防止し、抗生物質、抗凝血剤、抗菌剤、抗炎剤、および免疫抑制剤、等々の治療剤を提供し、インプラントの検出および位置確認のためのトレーサとしての機能を果たす放射性物質を提供し、及び/又は他の機能的増進作用を提供することである。一実施態様においては、機能性物質705は繊維210、及びオプションでは接着剤220と混合され、バインダ230、微孔フォーマ240および液体250等である揮発性成分285と混合されている非揮発性成分275としての機能性原料物質770として追加される材料でよい。混合物は混合され、均質な混合物内に機能性材料705を含んだ材料を分布させる。図2と図3に関して前述したように、均質混合物は目的物体270に成形され、ステップ280で硬化されて微孔性スキャフォールドとなる。この実施例では硬化ステップは繊維同士の接着を形成し、機能性材料をスキャフォールド100に接着させる。別実施例では機能性材料705は、オプションの機能性材料溶融ステップ780として示される硬化ステップ中に加えられる。このように、機能性材料は接着形成ステップ330の最中にスキャフォールド内に融解される(図3に関して上述)。これは、真空炉内の熱処理と同様に制御された高温環境で蒸着またはプラズマ堆積によって実行される。さらに別実施例では、機能性材料705は、スキャフォールド100の形成に続いて実行されるコーティングステップ790の最中に加えられる。この実施例では、機能性材料は、機能性材料705を溶解させた溶液内にスキャフォールドを沈めることで、あるいは機能性材料を化学蒸着させることで、または機能性材料を陰極アーク堆積させることで、あるいは材料堆積の他方法で堆積できる。さらに別実施例では、機能性材料はオプションの機能性原料のステップ770、オプションの機能性材料融解ステップ780および続くコーティングステップ790の任意の組み合わせで堆積できる。
【0056】
本発明の組織スキャフォールドは、骨切断術(例えば、腰、膝、手および顎)、脊椎の構造的破損の修復(例えば、脊間補綴、薄片補綴、仙骨補綴、椎体補綴および小関節補綴)、骨欠損フィラー、骨折矯正外科手術、腫瘍切除外科手術、股関節および膝補綴、骨造成、抜歯、長骨の関節固定術、距骨下関節インプラント、固定ネジ、およびピンを含んだ足首および足関節固定術、等々において使用することができる。本発明の組織スキャフォールドは、長い骨において使用することができ、例えば、長い骨としては肋骨、鎖骨、大腿骨、下肢の脛骨および腓骨、腕の上腕骨、橈骨および尺骨、手および足の中手骨および中足骨、ならびに指およびつま先の指節骨を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の組織スキャフォールドは、短い骨でも使用することができるが、短い骨としては手根骨および足根骨、漆蓋骨、他の種子骨を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の組織スキャフォールドは、他の骨でも使用することができるが、他の骨としては、頭蓋、下顎骨、胸骨、椎骨および仙骨が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様では本発明の組織スキャフォールドは従来のデバイスよりも高い耐荷重力を有する。一実施態様では本発明の組織スキャフォールドは従来のデバイスと比べて必要とされるインプラント材料が少ない。さらに本発明の組織スキャフォールドを使用することで、その材料の堅牢性のために捕助的な固定の必要性が減少する。このように本デバイスを移植する外科手術は低浸襲性であり、簡単に実行でき、器具の除去および補助固定のための外科手術を必要としない。
【0057】
特定の用途では前記したように製造された本発明の組織スキャフォールドを図10および図11で図示するように脊椎インプラント800として使用することができる。図10および図11で示すように、脊椎インプラント800は、空間Sを維持するために隣接する椎骨Vの間の空間S内に係合する大きさの壁820を有する本体810を含む。デバイス800は押出し成型法を利用して所望の形状に成形することができる生体不活性繊維から形成され、円筒形とし、これを切断または機械加工することにより所望の寸法に加工される。壁820の高さhは空間Sの高さHに相当する。一実施態様では壁820の高さは椎間腔Sの高さHより僅かに大きい。壁820は図11で示すように隣接する椎骨Vに係合するように形成された上部係合面840および下部係合面850に隣接し、これらの間に存在する。
【0058】
別の特定の用途では、前述したように製造された本発明の組織スキャフォールドを図12および図13に図示するような楔型骨切断インプラント1000として使用することができる。図12および図13で図示するように、骨切断インプラント1000は、例えば脛骨の解剖学的断面と一致するように設計された楔として一般的に解説されており、力学的な支持を脛骨表面の大部分に提供している。骨切断インプラントは、生体不活性繊維を接着および溶融した多孔性材料から成形され、その材料は押出し成型された長方形のブロックから成形することができ、それを切断または機械加工によって所望の寸法の形状に合致した楔型にする。インプラント1000の近位面1010は湾曲している。遠位面1020は、それが移植される場所の脛骨の形状に一致する。インプラント1000の厚さは、患者の体格および患部変形の度合いに応じて約5ミリから約20ミリの間で変化してもよい。楔の上部面および下部面の間の角度も変化させることができる。
【0059】
図13は、異常に曲がった膝を再調整するために、楔型骨切断インプラント1000を使用する一方法を図示する。脛骨の側部はそのままにし、脛骨の上部1050および下部1040を予め決められた角度で整列させながら、脛骨の内側面に横方向切開を入れ、空間1030が準備される。実質的に楔型をしたインプラント1000が空間1030に挿入され、本明細書で説明するように、それがインプラント1000内で再生して成長する骨の所望の位置に埋め込まれて脛骨の位置が安定化する。必要に応じて固定ピンを使用し、骨が再生して移植部位が治癒するにつれ、脛骨を安定化させる。
【0060】
一般的に、本発明の骨組織スキャフォールドの骨移植体としての用途には自家または同種骨移植体の使用に類似する外科的処置が含まれる。移植部位を充填し、安定化するのに十分な材料を使用すれば、骨移植体をしばしば一回の処置で実行することができる。一実施態様では、固定ピンを周辺の自然骨及び/又は骨組織スキャフォールドの内部へ挿入して貫通させることができる。骨組織スキャフォールドは定められた部位に挿入されて固定される。その後、その部分は塞がれ、所定の治癒および成長後に骨が再生し、インプラントに堅牢に融合する。
【0061】
本発明の骨組織スキャフォールドの骨欠損部フィラーとしての用途には、一回の修復処置または複数段階での複数の修復処置として実行される外科処置が含まれる。一実施態様では、本発明の組織スキャフォールドは骨欠損部位に配置され、固定ピンまたはネジを使用して骨に取り付けられる。あるいは、組織スキャフォールドは、固定具を使用して外側から所定の箇所に固定できる。その後、その部分は塞がれ、所定の治癒および成長後に骨は再生し、欠損部を修復する。
【0062】
骨の欠損部を充填する方法は、骨の空間を、多孔性マトリックス内に接着された生体不活性繊維で充填するステップを含む。多孔性マトリックスは骨内の成長を促進し、組織スキャフォールドを骨に固定させる微孔サイズ分布を有している。
【0063】
骨切断治術の方法は、骨の空間を、多孔性マトリックス内に接着された生体不活性繊維を含む組織スキャフォールドで充填するステップを含んでいる。多孔性マトリックスは骨内の成長を促進し、組織スキャフォールドを骨に固定させる微孔サイズ分布を有している。
【0064】
椎骨の構造的な不全を治療する方法は、骨の空間を、多孔性マトリックス内に接着された生体不活性繊維を含む組織スキャフォールドで充填するステップを含んでいる。多孔性マトリックスは骨内の成長を促進し、組織スキャフォールドを骨に固定させる微孔サイズ分布を有している。
【0065】
合成骨補綴を製造する方法は、塑性形成可能なバッチを得るために生体不活性微細ワイヤまたは繊維をバインダ、微孔フォーマおよび液体と混合するステップと、生体不活性微細ワイヤまたは繊維を微孔フォーマおよびバインダと共に分散させるために塑性形成可能なバッチ(絡み合い重なり合う繊維の均質な塊体)を混練するステップと、形成体を得るために形成可能なバッチを所望の形状に形成するステップと、液体を除去するために該形成体を乾燥させるステップと、バインダおよび微孔フォーマを除去するために形成体を加熱するステップと、絡み合って重なり合う生体不活性繊維間に接着状態を形成するために、接着形成温度にまで形成体を加熱するステップと、を含む。
【0066】
一実施態様では、本発明は多孔性マトリックスに接着した生体不活性繊維の利用を開示する。多孔性マトリックスは骨欠損部の治療のために骨組織内成長を促すような微孔サイズ分布を有する。
【0067】
一実施態様では、本発明は多孔性マトリックスに接着した生体不活性繊維の利用を開示する。多孔性マトリックスは骨切断術治療のための骨組織内成長を促すような微孔サイズ分布を有する。
【0068】
一実施態様では、本発明は多孔性マトリックスに接着した生体不活性繊維の利用を開示する。多孔性マトリックスは脊柱の種々の部分の不全治療のための骨組織内成長を促すような微孔サイズ分布を有する。
【実施例】
【0069】
[実施例](Examples、英文P24)
以下の実施例は開示内容をさらに記述し、その理解をさらに深めるために提供されている。これらの実施例は本発明の説明のみを目的としており、限定の意図は一切存在しない。
【0070】
本発明の第一実施例ではスキャフォールドはチタン繊維で形成される。非揮発性成分として嵩高形態であり、平均径が約225μmである約1から3mmの長さに切断された4グラムのチタン6A14V合金繊維が、有機バインダとしての0.125グラムのHPMCおよび微孔フォーマとしての25から30μmの粒体サイズである0.5グラムのPMMA、および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する約1.5グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分は燃焼除去され、続いて0.3トールの真空度にて1400℃で2時間加熱処理された。微孔度(空隙率)は69.1%であった。
【0071】
本発明の第二実施例ではスキャフォールドはアルミナで形成される。非揮発性成分として30グラムのヒドロキシアパタイト粉末と0.8グラムの炭酸マグネシウム粉末と共に平均径が約3から5ミクロンである50グラムのアルミナ繊維が、微孔フォーマとしての45ミクロンの平均粒体サイズ(粒径)である65グラムのグラファイト粉末(AsburyCarbonA625グラファイト)および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する70グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分はエアパージオーブン(窯)内で燃焼除去され、続いて大気圧の静止大気炉にて1600℃で2時間加熱処理された。得られたスキャフォールドの組成は、ヒドロアパタイトセラミック接着多孔性構造体と接着したアルミナ繊維である。この実施例の微孔度は68%であった。
【0072】
本発明の第三実施例ではスキャフォールドはアルミナ繊維で形成される。非揮発性成分として50グラムのヒドロキシアパタイト粉末と0.8グラムの炭酸マグネシウム粉末および平均径が約3から5ミクロンである50グラムのアルミナ繊維が、微孔フォーマとしての250ミクロンの平均粒体サイズである65グラムのグラファイト粉末(AsburyCarbon4015グラファイト)およびバインダとしての5gのHPMCおよび可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する70グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分はエアパージオーブン内で燃焼除去され、続いて大気圧の静止大気炉にて1400℃で2時間加熱処理された。得られたスキャフォールドの組成は、ヒドロアパタイトセラミック接着多孔性構造体と接着したアルミナ繊維であった。この実施例の微孔度は68%であった。
【0073】
本発明の第四実施例ではスキャフォールドはマグネシウム・アルミノシリケート繊維(ケイ酸アルミン酸マグネシウム繊維)で形成される。非揮発性成分として30グラムのヒドロキシアパタイト粉末と共に平均径が約10ミクロンである50グラムのISOFRAX繊維(ニューヨーク州ナイアガラフォールのユニフラックスLLC製)が、微孔フォーマとしての250ミクロンの平均粒体サイズである65グラムのグラファイト粉末(AsburyCarbon4015グラファイト)およびバインダとしての5gのHPMCおよび可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する80グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分はエアパージオーブン内で燃焼除去され、続いて大気圧の静止大気炉にて1200℃で2時間加熱処理された。得られたスキャフォールドの組成は、ヒドロキシアパタイトセラミック接着多孔性構造体と接着したマグネシウム・アルミノシリケート繊維であった。この実施例の微孔度は69%であった。
【0074】
本発明の第五実施例ではスキャフォールドはチタン繊維で形成される。非揮発性成分として嵩高形態で、約1から3mm長に切断された平均径が約225μmである0.9グラムの純粋チタン繊維が、有機バインダとしての0.3グラムのHPMCおよび微孔フォーマとしての50μmの平均粒体サイズである0.5グラムのジャガイモ澱粉および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する2グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径ロッド内に押し出され、対流式オーブンで乾燥された。揮発性成分は燃焼除去され、続いて0.3トールの真空度にて1400℃で2時間加熱処理された。この実施例の微孔度は69.1%であった。
【0075】
本発明の第六実施例ではスキャフォールドはチタン繊維で形成される。非揮発性成分として嵩高形態で、約1から2mm長に切断された平均径が約65μmである2グラムのチタン6A14V合金繊維と、44μm(−325メッシュ)以下の粒体サイズを有した接着剤としての0.5グラムのチタン6A14V合金粉末が、有機バインダとしての0.5グラムのHPMCおよび微孔フォーマとしての150μmの平均粒体サイズである0.5グラムのポリエチレン粒体および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する2グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流式オーブンで乾燥された。揮発性成分は350℃で14時間加熱して燃焼除去され、続いてアルゴンパージ炉において5℃/分の割合のランプ率で1400℃にて加熱処理され、1400℃で2時間保持された。この実施例の微孔度は88.1%であった。
【0076】
本発明の第七実施例ではスキャフォールドは二種類のチタン繊維の混合で形成される。この実施例では非揮発成分として約1から2mm長に切断された平均径が約65μmである2グラムのチタン6A14V合金繊維が、約1から3mm長に切断された平均径が約225μmである2グラムのチタン6A14V合金繊維および44μm(−325メッシュ)以下の粒体サイズを有した接着剤として1.0グラムのチタン6A14V合金粉末および有機バインダとしての0.5グラムのHPMCおよび微孔フォーマとしての150μmの平均粒体サイズである0.5グラムのポリエチレン粒体および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する約2グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流式オーブンで乾燥された。揮発性成分は350℃で14時間熱して燃焼除去され、続いてアルゴンパージ炉で5℃/分の割合のランプ率にて1400℃で加熱処理され、1400℃で2時間保持された。
【0077】
以上、本発明の説明用である特定の実施例に関して詳細に説明したが、本発明はこれら実施例には限定されない。これら実施例の多数の変形が「特許請求の範囲」の精神と範囲から離れることなく可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、多孔性医療用移植片(インプラント)の分野に関する。より具体的には、本発明は、インビボ環境での用途において骨刺激性を有する生体不活性繊維インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
人工補綴(人工器官)デバイスは、外科手術および整形外科処置において骨組織の欠損を修復するためにしばしば必要とされる。人工補綴は、高齢者の病気による、または悪化した骨組織の置換または修復のため、および体が持つ治癒メカニズムを増強して重度の外傷または変性疾患に起因する筋骨格障害を迅速に治療するためにますます必要とされている。
【0003】
骨欠損の修復のために、自己移植術および同種移植術が開発されている。自己移植手法では骨組織の再生を促進するために、骨移植片が患者のドナー部位である、例えば腸骨稜から採取され、修復部位に移植される。しかし、自己移植術は非常に侵襲的であり、感染症の危険性が存在し、採取(ドナー)部位での不要な痛みおよび不快感を引き起こす。同種移植術では、骨移植片として同種のドナーのものが使用されるが、これらの材料の使用は、感染、疾患の伝播および免疫反応の危険性および宗教的な反対を喚起する可能性がある。したがって、自己移植および同種移植に代わるものとして、合成材料および合成材料の移植法が求められている。
【0004】
骨組織の欠損修復のための合成人工補綴デバイスは、骨組織の成長を促進し、耐久性があって永久的な修復を提供しつつも自然骨の力学的特性を有する材料を提供するために開発された。骨の構造および生体力学的特性の知識、並びに骨の治癒過程の理解により、骨修復用の理想的な合成人工補綴デバイスの望ましい特性および性質に関する手引きが存在する。これらの性質には、限定はしないが、傷を治療しながら補綴デバイス内に骨組織の内部増殖(成長)を促進する骨刺激及び/又は骨(内)伝導と、傷を治療し、耐久性のある修復を促進しながら、修復部位を支持しつつも組織を活性化させる耐荷重性または重量分担性が含まれている。
【0005】
今日まで開発された材料は、所望の性質の少なくとも一部の実現には成功しているが、大半の材料は、理想的な硬組織スキャフォールド(scaffold、足場)の生体力学的要件の少なくとも一部を犠牲にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】(特になし)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、骨刺激性および、移植部位において生体組織に適合する機械的特性を備えた耐荷重性を有するスキャフォールドを提供することにより、骨欠損部の修復に効果的な合成人工骨(骨補鉄)を提供する。本発明は、特殊な多孔性構造を備え、焼結されて生体不活性組成を有した堅牢な三次元多孔性マトリックスを形成する生体不活性金属繊維で成る組織スキャフォールドを提供する。この多孔性マトリックスは、生体不活性金属繊維同士が接着される前に存在する揮発性成分によって決定される微孔サイズ(孔径)分布を有した互いに連結された微孔空間を有する。一実施態様においては、多孔性マトリックスは微孔サイズ分布が約50μmから約600μmである。多孔性マトリックスは空隙率(微孔度)が40%と85%との間であり、骨組織内に移植されると骨伝導性を提供する。本発明の実施態様のものには、双様相(双モード)微孔サイズ分布または多様相(多モード)微孔サイズ分布を有した微孔空間が含まれる。
【0008】
本発明の一形態によれば、合成骨補綴スキャフォールドは、生体不活性材料と絡んで、重なり合う隣接繊維間で接着状態を形成し、堅牢な三次元マトリックスを形成する生体不活性繊維の多孔性スキャフォールドである。堅牢な三次元マトリックス内の互いに連結された微孔空間は揮発性成分により予め定められた微孔サイズ分布を有する。一実施態様においては、重なった隣接繊維間を接着する生体不活性材料は、ガラス接着、ガラス/セラミック接着、セラミック接着および金属接着のうちの少なくとも1つである。微孔サイズ分布は約100μmから約500μmの範囲であり、生体組織内に移植されると骨伝導性を提供する。一実施態様では、生体不活性繊維は約2μmから約200μmの範囲の繊維径を有する。別実施態様では、生体不活性繊維は約25μmから約200μmの範囲の繊維径を有する。
【0009】
本発明に従った合成骨補綴を製造する方法も提供される。この方法は生体不活性繊維を微孔形成物質(微孔フォーマ)を含んだ揮発性成分および塑性的に成型できるバッチを提供する液体と混合するステップと、絡まって重なり合う金属繊維の実質的に均質な物体内に金属繊維を配合するように成型可能なバッチを捏ねるステップとを含む。成型可能バッチは加熱されて揮発性成分が除去され、絡まって重なり合う生体不活性繊維間に接着状態が提供される。
【0010】
本発明のこれらおよび他の特徴は、以下の記述から明瞭に理解されるであろう。特に「請求項」の定義およびそれらの組み合せによって実現が可能であろう。
【0011】
本発明の以上の及び他の目的、特徴、並びに利点は、添付の図面を利用した以下における本発明の好適実施形態の詳細な説明により明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明による組織スキャフォールドの一実施例を示す、約50倍に拡大された光学顕微鏡写真である。
【図1B】本発明による組織スキャフォールドの一実施例を示す、約500倍に拡大された光学顕微鏡写真である。
【図2】図1Aと図1Bの組織スキャフォールドを形成する本発明の方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図3】図2で示す本発明の方法に従った硬化ステップの一実施例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の方法により製造された物体の一実施例を示す概略図である。
【図5】本発明の方法に従った揮発成分の除去ステップ完了時の図4で示す物体を表す概略図である。
【図6】本発明の方法に従った接着状態の形成ステップ完了時の図5で示す物体を表す概略図である。
【図7】本発明の2つの例示的実施例による応力と歪との関係の評価を表すグラフである。
【図8】本発明に従った機能性材料を有した組織スキャフォールドの一実施例を示す光学顕微鏡写真である。
【図9】図8で示す組織スキャフォールドを形成する本発明の方法の別実施例を示すフローチャートである。
【図10】脊椎インプラント(移植片)内に構築された本発明による組織スキャフォールドの側部斜視図である。
【図11】椎間空間に移植された図10の脊椎インプラントを有した脊椎の一部を示す側部斜視図である。
【図12】骨切断楔体内に構築された本発明による組織スキャフォールドの斜視図を示す概略図である。
【図13】骨の骨切断開口部内に挿入するように利用できる図12で示す骨切断楔体の分解図を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記の図面は現在開示可能な実施例を示すが、ここで説明するように他の実施態様も本発明の想定の範囲内である。この開示は本発明を説明するためだけのものであって、本発明を限定するものではない。当技術分野の専門家であれば、ここで開示されている実施態様の原理の範囲と精神に従って多数の他の修正技術および実施形態が考案可能であろう。
【0014】
[発明の詳細な説明]
本発明は、組織欠損の修復のための合成人工器官(補綴)組織スキャフォールドを提供する。本明細書で使用される用語「合成人工補綴組織スキャフォールド」および「骨組織スキャフォールド」および「組織スキャフォールド」および「合成人工骨(骨補綴)」は、本明細書全体を通して互換的に使用される。一実施態様では、合成人工補綴組織スキャフォールドは、生体組織に移植された場合、生体不活性である。一実施態様では、合成人工補綴組織スキャフォールドは、生体組織に移植された場合、骨伝導性である。一実施態様では、合成人工補綴組織スキャフォールドは、生体組織に移植された場合、骨刺激性である。一実施態様では、合成人工補綴組織スキャフォールドは、生体組織に移植された場合、耐荷重性である。
【0015】
自然の骨組織の特性を模倣し、組織の治癒および修復を促進する合成人工補綴デバイスを提供することを目的として、種々の合成インプラントが生体組織エンジニアリング用途のために開発されている。新しい組織の成長を促進する多孔性構造体に高強度を提供するため、金属製の生体抵抗性構造体で成る生体不活性材料が開発されている。しかし、これらの材料は健康な組織の成長のために最適化されている微孔形態を有した多孔性を提供できない。従来技術による生体抵抗性金属および生体適合性インプラントの弱点は、耐荷重機能がインプラントを囲む再生組織には伝達されないことである。硬質組織が成形される時、応力負荷によって強度が増強された組織が形成されるが、金属製インプラントは、新しく形成される骨をこの応力から遮断する。したがって、骨組織の応力遮断によって実際に体に再吸収される可能性のある弱い骨組織ができ、人工補綴が緩くなる原因となる。
【0016】
生体組織への移植により、インプラントの組成のごとき幾つかの要因によって生物学的レスポンスが誘発される。生物学的に不活性である生体不活性材料は、通常、宿主(ホスト)からインプラントを隔離するために繊維状組織によって被包される。金属およびほとんどの重合体は、アルミナまたはジルコニアのようなほぼ不活性であるセラミックと同じように、この界面レスポンスを示す。もしインプラントが適した微孔サイズ(径)と微孔サイズ分布を備えた微孔面を有しているなら、生体組織は、身体の自然な治癒過程の機能としてインプラント内に成長し、接着(結合)するであろう。この界面接着によってスキャフォールドまたはインプラントを骨床中に安定化させる界面が形成され、スキャフォールドから接着された界面を越えて骨組織へと応力を伝達することができる。修復箇所に荷重がかけられると、再生骨組織を含む骨組織は応力を受け、応力遮断によって骨組織の再吸収が制限される。
【0017】
生物学的に不活性である材料を使用して組織スキャフォールドを開発する挑戦は、包囲する骨に類似した弾力性を備えた骨組織の成長の促進に十分である微孔度(空隙率)を備えた耐荷重強度を達成し、応力を新組織に伝達して移植部位にて健康な骨を確実に形成させる目的に向けられている。充分な耐荷重強度を備えた組織スキャフォールド内に入れられる従来の生体不活性材料は、所望の微孔サイズと微孔サイズ分布とを備え、健康組織の内部成長を促進するか、応力遮断を提供する天然骨の弾性率を大きく上回る弾性率を示す開口状態で相互接続された微孔は提供しない。
【0018】
繊維ベースの構造体は、一般的には個々の繊維の強度が同じ組成の粉末または粒体ベースの材料よりも相当程度に大きいならば、本質的に重量に対して高い強度を提供することが知られている。不具合を伝播させる応力集中の形成の一因となるような非連続性を比較的に少なくした繊維が生産できる。これに反して、粉末または粒体ベースの材料は、各接着界面で応力集中を発生させる可能性があり、隣接する粒体のそれぞれ間の接着が必要である。さらに、繊維ベースの構造体は応力緩和を提供するため強度が高くなり、繊維ベースの構造体が応力を受けても個々の繊維の不具合が隣接する繊維を通って伝播しなくなる。したがって、繊維ベースの構造体は、同等の微孔サイズおよび微孔度である同じ組成を持つ粉末ベースの材料よりも優れた物理的強度特性を示す。
【0019】
本発明は、生体組織エンジニアリング用途のための生体不活性であり、低弾性率で耐荷重性能を持ち、骨刺激性であり、骨内成長を促進するように制御および最適化できる微孔構造を備えた材料を提供する。
【0020】
図1Aは、本発明の組織スキャフォールド100の一実施例を示す、約50倍に拡大された光学顕微鏡写真である。組織スキャフォールド100は、強度、弾性率および微孔形態において骨構造を模倣する構造体を成形する堅牢な三次元マトリックス110である。本明細書が使用する用語「堅牢」とは、構造体に応力が加えられた時、その構造体が、「堅牢構造体」である自然な骨と同程度に耐久性であり、骨折するまで、さほど破損しない強度であることを意味する。スキャフォールド100は、一般的には相互接続されている微孔120のネットワークを有する多孔性材料である。一実施例では、微孔120が相互接続されているネットワークによって骨伝導性が提供される。本明細書で使用される用語「骨伝導性」とは、材料が骨組織内成長を促進させることを意味する。典型的なヒトの海綿状である骨は、約4から約12MPaの範囲の圧縮破壊強度を有しており、その弾性率は約0.1から約1.0GPaの間である。以下で示すように、本発明の組織スキャフォールド100は、50%を超える微孔度(空隙率)、および4MPaより大きく110MPaまで、またはそれ以上の圧縮破壊強度を持つタンタル材料の多孔性骨刺激構造体を提供することができる。
【0021】
一実施態様では、三次元マトリックス110は、接着および溶融して堅牢な構造体を形成する繊維で成形され、生体不活性組成を持つ。三次元マトリックス110を造るための原材料として繊維を使用することにより、化学蒸着技術で形成される材料等である従来の粉末ベースの原材料を使用するよりも優れた利点が提供される。一実施態様では、繊維ベースの原材料によって、一定の微孔性であれば粉末ベースの構造物よりも勝る強度を持つ構造体が提供される。一実施態様では、繊維ベースの原材料は従来の構造体よりも低い弾性率を有する構造体を提供する。
【0022】
本発明の組織スキャフォールド100は微孔形態と組み合わされて望む機械的および化学的特性を提供し、骨伝導を促進する。微孔120のネットワークは、天然の骨を模擬する構造物の絡んだ不織性繊維材料間のスペース(空間)により提供される天然の相互接続(連結)微孔構造体である。さらに、ここで解説する方法を活用して微孔サイズが制御および最良化でき、スキャフォールド100の内部および再生骨内の血液と体液の流れを増強させることができる。例えば、微孔サイズと微孔サイズ分布は、微孔フォーマ(形成剤)と、スキャフォールド100の形成時に揮発性である有機バインダの選択を通して制御できる。微孔サイズと微孔サイズ分布は、微孔フォーマの粒体サイズと粒体サイズ分布によって決定できる。これら微孔は、単一モード(様相)の微孔サイズ分布、双モードの微孔サイズ分布、及び/又は多モードの微孔サイズ分布を含む。スキャフォールド100の微孔度は約40%から約85%である。一実施態様では、この範囲が、耐荷重強度を示すが生体組織内に移植されると再生組織の骨誘導を促進する。
【0023】
スキャフォールド100は原材料として繊維を使用して製造される。繊維は生体不活性材料でよい。本明細書で使用される用語「繊維」とは、アスペクト比が1を超え、細ワイヤ延伸または繊維形成プロセス、例えば、延伸、紡績、ブロー、または繊維状材料の形成において一般的に利用されている他の類似プロセスで形成される、連続または不連続形態である微細ワイヤ、フィラメント、ロッド(細棒物)またはウィスカのことである。生体不活性微細ワイヤまたは繊維は、微細ワイヤまたは繊維形態に形成することができる生体不活性組成物、例えば、生体不活性材料、例えばタンタル、チタン、ステンレス鋼、またはそれらの合金、あるいはアルミナまたは他の生体不活性酸化物から製造することができる。チタンとアルミ合金等の生体不活性材料は従来の金属微細ワイヤ延伸法で形成できる。この方法には複数及び/又は連続式の延伸プロセスが含まれ、微細ワイヤの径を所望の径にまで細くして切断する。繊維は、スキャフォールド100を形成する際に三次元マトリックス110の形成によって生体不活性組成物を形成する生体不活性組成物の前駆体から製造できる。生体不活性繊維組成物は、耐荷重性であって骨伝導性であり、及び/又は骨刺激性であるスキャフォールド100を製造するように利用できる。
【0024】
さらに図1で示す三次元マトリックス110内の微孔120のネットワークは、スキャフォールド100として骨組織内成長に特に有利である特性を持つ独特の構造を有する。微孔120の空間の性質は、以下に記載するように揮発成分の選択によって制御することができる。微孔サイズおよび微孔サイズ分布は、微孔120のネットワークの重要な特質であり、特定して制御することができ、耐荷重的用途のために強度を保持しつつ、骨伝導性構造を提供する特定の粒体サイズおよび粒体サイズ分布を有する揮発成分の選択を通して予め決定することができる。さらに、微孔120のネットワークは、本発明の組織スキャフォールド100の骨伝導性をさらに増強するような従来の材料に勝るバインダおよび微孔フォーマからの繊維の位置によって決定される微孔間の大きな相対的咽喉(隙間)サイズで相互接続特性を改善する。微孔120のネットワークは、繊維状材料の自然充填密度に起因する空間と、スキャフォールド100の成形中に繊維と混合される揮発成分による繊維の変位によって提供される空間とにより形成される。以下でさらに説明するように、三次元マトリックス110を形成する生体不活性材料は、重なり合って絡み合う繊維を溶融し、接着させることにより製造される。
【0025】
図1Bは本発明の一実施例による、接着状態で重なり合って絡んでいる繊維を高倍率で示す。繊維110は溶融され、接着剤115によって重なり合う繊維110に接着されている。接着剤115は、組織スキャフォールド100の三次元マトリックスを形成するように繊維同士の接着を助けて増強する。繊維および接着剤は、得られる微孔サイズ、微孔サイズ分布および微孔間の咽喉サイズを事前決定するようにバインダや微孔フォーマ、例えば有機物質などの揮発性成分との均質な混合物の形成を通して事前配置された非揮発性成分である。さらに、揮発成分は、微孔間の咽喉サイズを大きくすることにより微孔の相互接続の数を効果的に増加させ、多数の微孔と接続する微孔を形成する。嵩高繊維は混合物全体に分散され、揮発性有機材料内で重なり合い絡み合うよう繊維材料と相対的に配置される。揮発成分を揮発させ、繊維を溶融接着して三次元マトリックス110を形成すると、微孔120のネットワークが揮発成分によって占められていた空間によって発生する。
【0026】
本発明のスキャフォールドの目的は、生体組織内においてインプラントとして組織の成長を促進することである。骨組織修復のための理想的なスキャフォールドには多数の基準が存在するが、重要な性質は、細胞移動、流体交換および、最終的には、組織内成長および血管形成(例えば、血管の貫通)のために十分に大きな微孔サイズおよび微孔相互接続性を持つ高度に相互接続された多孔性ネットワークを備えていることである。本発明の組織スキャフォールド100は、骨組織内成長に特に適した微孔サイズおよび微孔相互接続性を持つ多孔性構造体である。微孔120のネットワークは、組織スキャフォールド100を製造するために使用される揮発成分の選択によって制御することができる微孔サイズを有し、平均微孔サイズは少なくとも100μmである。いくつかの実施態様による組織スキャフォールド100の平均微孔サイズは、約50μmから約600μmであり、あるいは約100μmから約500μmである。有機バインダおよび微孔フォーマを始めとする揮発成分および1つの微孔から少なくとも隣接する微孔にまで延びる、絡み合った繊維は、三次元マトリックス内に、大きな微孔咽喉(隙間)サイズを持った高度に相互接続性である構造を提供する。インビボ分析により決定される双モードあるいは多モードである微孔サイズ分布を有することが望ましいであろう。多モードの微孔サイズ分布は同様な多モードの粒体サイズ分布を示す微孔フォーマ材料の選択によって提供できる。同様に、太さ、長さ、または断面形状などの様々な特性を備えた混合繊維材料は微孔サイズと微孔サイズ分布に影響を及ぼすであろう。
【0027】
図2では組織スキャフォールド100を成形する方法200の実施例を示す。一般的には、嵩高繊維210はバインダ230および液体250と混合されて塑性成型が可能な材料が形成され、次いで硬化され、組織スキャフォールド100が成形される。硬化ステップ280では混合物の揮発成分が選択的に除去され、開いた状態の相互接続されている微孔空間120が残り、繊維210は効果的に溶融および接着され、堅牢な三次元マトリックス110となる。
【0028】
嵩高繊維210は嵩高形態または切断繊維形態で提供される。繊維210の径は約3から約500μmの範囲が可能であり、通常は約25から約200μmの間である。この種類の繊維210は、通常では相対的に細く、繊維径分布が制御された状態で生産され、所定径の繊維が使用でき、または種々な繊維径の繊維の混合物が使用できる。繊維210の径は得られる多孔質構造体の微孔サイズおよび微孔サイズ分布、ならびに三次元マトリックス110の寸法および厚さに影響を及ぼすが、スキャフォールド100の骨伝導性ばかりでなく圧迫強度および弾性率を始めとする強度特性にも影響を及ぼす。
【0029】
バインダ230および液体250を繊維210と混合すると、後続の形成ステップ270で所望の形状へ成形させるグリーン強度を備え、繊維210が全体に均一に分散されたバッチを含んだ塑性成型可能なバッチ混合物が得られる。有機バインダ材料は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロースおよびこれらの組合せのごときバインダ230として使用することができる。バインダ230としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、ポリスルホン、ポリアセタール重合体、ポリメチルメタクリレート、フマロン−インダン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ポリビニルブチラール、アイオノマー樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン、フェノールホルムアルデヒド、フェノールフルフラール、パラフィンワックス、ワックスエマルジョン、微結晶質ワックス、セルロース、デキストリン、塩素化炭化水素、精製アルギネート、デンプン類、ゼラチン、リグニン、ゴム、アクリル樹脂、ビチューメン、カゼイン、ガム、アルブミン、タンパク質、グリコール、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリエーテルイミン、アガー、アガロース、糖みつ、デキストリン、デンプン、リグニンスルホン酸、リグニン液、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、キサンタンガム、トラガカントガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アイルランドゴケ、スクレログルカン、アクリル樹脂およびカチオン性ガラクトマンナン、またはこれらの組み合わせのごとき材料を挙げることができる。いくつものバインダ230を列挙したが、他のバインダを使用してもよいことは理解されるであろう。バインダ230は、生体不活性材料に対して不活性のままで、所望の目的物を形成するために、塑性バッチ材料の所望のレオロジーを提供し、目的物体を成形する際に混合物中の繊維210の相対的な位置を維持する。バインダ230の物性はスキャフォールド100の微孔120の微孔サイズおよび微孔サイズ分布に影響を及ぼす。好適にはバインダ230は、繊維210を含んだ生体不活性成分の化学組成に影響を及ぼさずに熱分解または選択的崩壊をすることができる。
【0030】
液体250は、後続の形成ステップ270で塑性バッチ材料を所望の目的物体に形成するのに適した塑性バッチ材料の所望のレオロジーを達成するため必要に応じて加えられる。通常では水が使用されるが、種々な溶剤を利用することもできる。レオロジー測定は、形成ステップ270に先立って混合物の可塑性および凝集強度を評価するために混合ステップ260の最中に実行できる。
【0031】
スキャフォールド100の微孔120の空間を増大するために、混合物に微孔フォーマ240を投入することができる。微孔フォーマは混合ステップ260および形成ステップ270の最中に、塑性バッチ材料内で体積(容積)を占めている非反応性材料である。使用する場合、微孔フォーマ240の粒体サイズおよび粒体サイズ分布は、得られるスキャフォールド100の微孔120の微孔サイズおよび微孔サイズ分布に影響を及ぼす。粒体サイズは通常、約25μm以下から約450μm以上の範囲が可能である。微孔フォーマの粒体サイズは繊維210により定まるものであり、繊維210の径の約0.1から約100倍程度である。微孔フォーマ240は、包囲する繊維210の相対位置を大きく乱すことなく、硬化ステップ280の最中に簡単に除去できるものでなければならない。本発明の一実施態様では、微孔フォーマ240は、硬化ステップ280の最中に熱分解または熱劣化、あるいは高温での揮発によって除去可能である。例えば、マイクロワックスエマルジョン、フェノール製樹脂粒子、小麦粉、デンプン、または炭素粒子を微孔フォーマ240として混合物に含ませることができる。他の微孔フォーマ240としては、カーボンブラック、活性炭、片状黒鉛、合成黒鉛、木粉、加工デンプン、セルロース、ヤシ殻、ラテックス粒子、鳥餌、オガクズ、熱分解可能な重合体、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリテトラヒドロフラン、ポリ(1,3−ジオキソラン)、ポリ(アルカレンオキサイド)、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、メタクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリエチレンオキサレート、ポリβ−プロピオラクトン、ポリ・デルタ−バレロラクトン、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ビニルトルエン/α−メチルスチレン共重合体、スチレン/α−メチルスチレン共重合体、およびオレフィン−二酸化イオウ共重合体を挙げることができる。微孔フォーマ240は一般的に、有機または無機物であり、有機物は、通常、無機物より低い温度で燃焼する。いく種類かの微孔フォーマ240を列挙したが、他の微孔フォーマ240を使用してもよいことは理解されるであろう。微孔フォーマ240は完全に生体適合性であってもよいが、プロセス中にスキャフォールド100から除去される理由により必ずしも生体適合性である必要はない。
【0032】
得られるスキャフォールド100の接着形成および接着性を向上させるために、混合物に接着剤220を入れることができる。接着剤220として、嵩高繊維210と同じ組成の粉末ベースの材料を挙げることができる。または異なる組成の粉末ベース材料を挙げることもできる。以下で詳細に説明するように、接着剤220がベースの添加剤は、隣接し交差する繊維210間に接着状態を形成することによって三次元マトリックス110を形成する、接着剤220としては、生体不活性金属、ガラス、ガラス−セラミック、セラミックまたはこれらの前駆体が可能である。本発明の一実施態様では接着剤220は燐酸カルシウムである。別実施態様では接着剤220はβリン酸三カルシウムである。さらに別な実施態様では接着剤220はヒドロキシアパタイトである。
【0033】
嵩高繊維210、バインダ230および液体250を含んだそれぞれの材料の相対量は、組織スキャフォールド100で望ましい全体的な微孔度によって変動する。例えば、微孔度が約60%であるスキャフォールド100を得るには、繊維210のような非揮発成分275は混合物の約40体積%であろう。バインダ230および液体250のような揮発成分285の相対量は混合物の約60体積%となる。この相対量は混合物の所望レオロジーによって測定される液体に対するバインダの相対量である。さらに微孔フォーマ240によって高められる微孔度を有するスキャフォールド100を製造するには、揮発成分285の量を、揮発性の微孔フォーマ240を含むように調整する。同様に接着剤220によって高められる強度を有するスキャフォールド100を製造するには、非揮発成分275の量を、非揮発性接着剤220を含むように調整する。材料密度が硬化ステップ280の最中に成分の反応によって変化するので、非揮発成分275および揮発成分285の相対量、および得られるスキャフォールド100の微孔度が変化することは理解されるであろう。具体的な例は後述する。
【0034】
混合ステップ260では、繊維210、バインダ230、液体250、微孔フォーマ240及び/又は接着剤220(含まれている場合)を混合し、塑性的に変形可能で均一な混合物にする。混合ステップ260として、乾式混合、湿式混合、せん断混合、混練が挙げられ、繊維210をばらばらにして供給するか、非繊維材料と分散させるのに必要なせん断力を与えて均質な物体内に均等に分散させる。混合、せん断および混練の程度、並びにそのような混合プロセスの継続時間は、後続の形成ステップ270での目的物体の成形のため、所望のレオロジー特性を備えた混合物内の材料の均一分散のために混合ステップ260の最中に使用される混合装置の選択とともに、繊維210および非繊維材料の選択によって決定される。混合は、工業用の混合装置、例えば、バッチ混合機、せん断混合機及び/又は混練機を使用して行うことができる。
【0035】
形成ステップ270で混合ステップ260の混合物を、組織スキャフォールド100を形成する目的物体に形成する。硬化ステップ280で硬化することができる、ほぼ目的の形状が与えられている目的物体を得てスキャフォールド100を形成するため、形成ステップ270では、押し出し成型、圧延成型、加圧成型、または形状化成形等によってほぼ任意の所望形状を得る。スキャフォールド100の最終的寸法は、硬化ステップ280の最中に予想される目的物体の収縮のため、形成ステップ270で形成された目的物体のものとは異なることがあり、特定の寸法需要に合わせるためには、さらに機械加工および最終成形加工が必要な場合があることは理解されるであろう。力学的並びにインビトロ及びインビボ試験のためのサンプルを提供する例示的な実施態様では、形成ステップ270において、混合物を丸型ダイに押し通すピストン押出し機を使用して混合物を押出し成型し、円筒形ロッド形態物とする。
【0036】
図3に関連してさらに説明するように、続いて硬化ステップ280で目的物体を硬化して組織スキャフォールド100とする。図3で示す実施例では、硬化ステップ280は連続する3段階のステップ、すなわち乾燥ステップ310、揮発成分除去ステップ320および接着形成ステップ330として実施される。最初のステップである乾燥ステップ310では、強制対流を用いることも可能であるが徐々に液体を除去するように僅かに高くした温度の熱を使用して液体を除去することによって形成された目的物体を乾燥する。目的物体を乾燥する種々の方法を利用することができるが、それには加熱空気対流加熱、真空凍結乾燥、溶剤抽出、マイクロ波または電磁気/無線周波(RF)乾燥方法が挙げられるが、これらに限定はされない。形成された目的物体内の液体は収縮による乾燥亀裂を避けるために、あまり早急に除去されないのが好ましい。通常、水ベースのものについては、約90℃と約150℃との間の温度に1時間曝露すると形成された目的物体を乾燥できるが、実際の乾燥時間は目的物体の寸法および形状により変化し、大きな固まりの目的物体ほど乾燥時間が長くなる。マイクロ波またはRFエネルギ乾燥の場合、目的物体の液体それ自身及び/又は他の成分が照射エネルギを吸収し、材料全体に一層均一な熱が発生する。乾燥ステップ310の最中に、揮発成分として使用される材料の選択によってバインダ230が凝結し、またはゲル化し、より大きなグリーン強度を提供し、後続の処理のために目的物体に堅牢性および強度を与えることができる。
【0037】
乾燥ステップ310によって目的物体が乾燥、または液体成分250が実質的になくなれば、次の硬化ステップ280は揮発成分除去ステップ320に進む。このステップでは、揮発成分(例えば、バインダ230および微孔フォーマ240)を目的物対から除去し、組織スキャフォールド100の三次元マトリックス110を形成する非揮発成分のみを残す。揮発成分は、例えば熱分解、熱劣化または溶剤抽出によって除去することができる。揮発成分除去ステップ320は、バインダ燃焼ステップ340のごとき連続的な複数の除去ステップに分けることができ、微孔フォーマ除去ステップ250が続き、揮発成分除去ステップ320で成分が順番に除去されるように揮発成分285が選択される。例えば、バインダ230として使用されるHPMCは、約300℃で熱分解する。グラファイト微孔フォーマ220は、酸素の存在下で約600℃に加熱されると酸化して二酸化炭素になる。同様に、小麦粉またはデンプンを微孔フォーマ220として使用する場合、これらは約300℃と約600℃との間の温度で熱分解する。したがってHPMCのバインダ230およびグラファイト粒子の微孔フォーマ220で構成された目的物体は、揮発成分除去ステップ320にて、まずバインダ230、次いで微孔フォーマ220を除去するように二段階の燃焼ステップで目的物体を処理できる。この実施例ではバインダ燃焼ステップ340を、少なくとも約300℃であるが約600℃未満の温度で一定時間実行できる。次いで、微孔フォーマ除去ステップ350を、加熱室に酸素を入れ、温度を少なくとも約600℃に上げることによって行うことができる。この熱的に続く揮発成分除去ステップ320によって、形成された目的物体中の非揮発成分275の相対位置を保ちながら、揮発成分285を制御下で除去できる。
【0038】
図4は揮発成分の除去ステップ320に先立って形成された目的物体の種々成分の概略図を示す。繊維210は、バインダ230と微孔フォーマ240との混合物内で絡み合っている。オプションで接着剤220を混合物中に追加できる。図5は、揮発成分除去ステップ320が完了した時に形成された目的物体の概略図である。繊維210は、揮発成分285が除去されたとき繊維210と揮発成分285との混合物により決定される相対位置を保持する。揮発成分285の除去が完了した時、目的物体は非常に脆く、この状態での目的物体の取り扱いは注意を要する。一実施態様では、硬化ステップ280の各段階は同じオーブンまたは炉で行われる。一実施態様では、処理による損傷を最小限に抑えるように目的物体を処理できる処理トレイが利用される。
【0039】
図6は、硬化ステップ280の最終ステップである接着形成ステップ330が完了した時の形成目的物体の概略図を示す。バインダ230および微孔フォーマ240が除去されて微孔120が形成され、繊維210は溶融および接着されて三次元マトリックス110となっている。微孔フォーマ240の粒体サイズ及び/又は微孔フォーマ240の粒体サイズ分布及び/又はバインダ230の相対量等である揮発成分285の特質は、共同で、得られる組織スキャフォールド100の微孔サイズ、微孔サイズ分布および微孔相互接続性を予め決定している。接着剤220および三次元マトリックス110の重なり合うノード610および隣接するノード620で形成される接着によって、得られる三次元マトリックス110の構造的堅牢性が得られる。
【0040】
図3に戻って説明すると、接着形成ステップ330では、揮発成分285の除去により作られた微孔120を維持しながら、嵩高繊維210を含んだ非揮発成分275が、組織スキャフォールド100の堅牢な三次元マトリックス110に変換される。接着形成ステップ330では、非揮発成分275は、嵩高繊維210が隣接し重なり合う繊維210に接着する温度で、繊維210が溶融することなく接着を形成するのに十分な時間加熱され、非揮発成分275の相対的配置が破壊される。接着形成環境および持続時間は、嵩高繊維210を含んだ非揮発成分275の化学組成に依存する。例えば、チタンあるいはチタン合金の繊維が嵩高繊維210として使用されると、接着形成ステップ330は10−3トールの真空炉内にて1200℃で実行できる。アルミナ繊維が嵩高繊維として使用されると、接着形成ステップ330は大気圧で約1200℃から約1600℃にて静止窯またはエアパージ窯内で実行できる。嵩高繊維210として使用できる他の材料は、非揮発性材料の組成にもよるが、空気、窒素、アルゴン、または他の不活性ガスあるいは真空(これらに限定はされない)のごとき接着の形成を誘起する環境で、繊維構造の交錯及び重なり合うノードにて固形状の物質転移を誘起するか液状接着を誘起する温度にまで加熱することができる。
【0041】
接着形成ステップ330では、形成された目的物体を接着形成温度にまで加熱し、繊維構造の重なり合うノード610および隣接するノード620で接着を形成させる。接着剤220が利用されると、接着状態は、繊維210に近接する接着剤220の繊維210との反応によって繊維構造の重なり合うノード610および隣接するノード620にて形成される。接着形成ステップ330では、繊維210の材料が接着剤220との化学反応に関与し、または繊維210は接着剤220の反応に関して不活性状態を保つ。さらに、嵩高繊維210は繊維成分との混合物であってもよく、繊維成分210の一部または全部が三次元マトリックス110を造りだすように接着状態を形成する反応に関与する。
【0042】
接着形成ステップ330の持続時間は接着形成ステップの最中の温度プロフィールに依拠するが、そこでは繊維210の接着形成温度の時間が嵩高繊維210を含んだ非揮発成分275の相対位置を大きく変化させない比較的短い持続時間に限定されている。形成された目的物体の微孔サイズ、微孔サイズ分布および微孔間の相互接続性は、揮発成分285による嵩高繊維210の相対位置によって決定される。揮発成分285は、接着形成温度に達する前に形成目的物体から燃焼除去されるであろうが、繊維210および非揮発成分275の相対位置は大きく変わらない。形成目的物体は、接着形成ステップ330の最中に僅かに緻密(コンパクト)化されるが、微孔サイズおよび微孔サイズ分布の制御は維持され、僅かに大きめであるサイズの微孔フォーマ240の粒体サイズを選択することによって、または揮発成分285の相対量を調整し、予測される緻密化に対処することによって予め決定できる。
【0043】
三次元マトリックス110を形成している、絡み合った繊維の重なり合うノードと隣接するノードとの間で形成される接着は、嵩高繊維210の組成と実質的に同じ組成の焼結接着でもよい。また接着は、嵩高繊維210の組成と実質的に同一か、あるいは異なる組成を有する接着形態を形成する嵩高繊維210と接着剤220との間の反応の結果でもよい。医療デバイスまたはインプラントとして使用するための材料の認可に関連する法的規制のため、デバイス製造方法およびプロセスで大きく変性しない材料として認可された材料組成物を使用することが望ましい。あるいは、デバイス製造およびプロセスで所望の組成を形成する認可材料組成物の前駆体である原材料を使用することが望ましい。本発明は、種々の医学用に認可された材料を使用して製造することができ、または医学用に認可された材料組成物に製造することもできる組織スキャフォールドデバイスを提供する。
【0044】
本発明の組織スキャフォールド100は、非揮発性成分275と揮発性成分285の特性を特定することで微孔形態を制御する能力のために制御された微孔相互接続性を示す。たとえば、微孔相互接続性を増強するために繊維長分布は、微孔フォーマの粒体サイズよりも大きなモードを示すことができる。その微孔相互接続性は、このモードを示す繊維が一つの微孔から別微孔へ延びており、隣接微孔間のスペースが微孔接続性を与えている状態である。さらに、微孔フォーマの粒体サイズよりも小さな繊維径は、改善された微孔相互接続性を提供するために微孔フォーマのさらなる緻密化を提供することができる。
【0045】
組織スキャフォールド100の機械的特性は、製造方法200で様々なパラメータを操作することで、及び/又は非揮発性成分275および揮発性成分285の操作を通じて制御および調整でき、特定の利用形態のために最良化できる。例えば、耐荷重的利用において、組織スキャフォールド100の弾性率は以下で説明するような様々な方法で最良化及び制御可能である。
【0046】
耐荷重的利用における組織スキャフォールドは、界面全体に健康な骨形成を促すように、好適には応力を周囲組織に継続的に伝達するよう大きな面積に均等に荷重を分配させる。継続的応力を伝達するスキャフォールドの効果に主として影響を及ぼす組織スキャフォールドの機械的特性は弾性率である。組織スキャフォールドの弾性率が周囲組織の弾性率とほぼ合致すると、スキャフォールドから周囲組織に伝達される応力は健康な新組織の成長を刺激する。ウォルフの法則(自身の質量を減少させて応力減少に対処する骨は、微孔度を増加させるか、細くなる)に従えば、もしスキャフォールドの弾性率が周囲組織の弾性率よりも大きければ、スキャフォールド内に増殖する再生組織は応力から効果的に遮断され、骨再吸収として知られる現象が発生する。もしスキャフォールドの弾性率が周囲組織の弾性率を大きく下回れば、応力はスキャフォールドの変形を伴わずには周囲の組織に効果的に伝達されず、新規に形成された組織に過剰な応力と歪みを発生させる。
【0047】
本発明の方法および装置は、与えられた材料組成物のための様々な要因の制御を通じて理想的に合致した弾性率を有するように製造させる。一般的に、繊維210の特性のバリエーション、揮発性成分285の特性のバリエーション、接着剤220の特性のバリエーション、および硬化ステップの環境の制御がスキャフォールド100の得られる強度(堅牢性)、微孔性および弾性率を最良化させることができる。
【0048】
繊維特性には、組成、直径、スキャフォールドの強度および柔軟性に直接的に影響を及ぼす長さが含まれる。組成的な影響は、材料の粒体境界および脆さ等の因子を含む繊維材料の固有の物理的特徴(例えば引張力および弾性率)で決定される。繊維の直径はスキャフォールドの堅牢性および柔軟性に影響し、太めの繊維はさらに堅牢性と剛性を増加させる傾向にある。長めの繊維は増加した柔軟性を提供できる。追加的に、繊維の直径と長さは個別にあるいは共同で繊維材料の自然充填密度に直接的に影響する。繊維の自然充填密度が高いほど、得られるスキャフォールドの繊維同士の連結が強力になる。繊維同士の連結力が増加すると、一般的にスキャフォールドの堅牢性と弾性は増加する。
【0049】
接着剤220が使用されるとスキャフォールドの得られる強度(堅牢せい)と柔軟性に影響を及ぼすであろう。接着剤220はマトリックスの繊維同士の結合数を増加させることで、得られる強度を増加させ、弾性率を変化させる。さらに、接着剤220の相対量は揮発成分に対する非揮発成分の量を増加させ、微孔度に影響する。一般的に、他の条件が同一であれば高い微孔度は強度を減少させる。接着剤220の組成は得られるスキャフォールドの強度と柔軟性に影響し、引張力および圧縮力および弾性率のごとき固有の物理的特性がスキャフォールドに与えられる。接着剤220の粒体サイズは強度と弾性率に影響し、大きな粒体は繊維の交差部に存在する傾向が高く、隣接繊維同士を架橋し、結合させて接着マトリックス化するのに利用される材料を増加させる。そのような粒体はバインダが燃焼して除去されると同一位置に留まる傾向があり、繊維の表面に接着し、繊維の化学的および物理的特性を変化させる。さらに、そのような粒体及び/又は少ない相対量の接着剤220は繊維同士の接着を減少させ、得られるスキャフォールドの強度を減少させ、弾性率を低下させる。
【0050】
揮発性成分の特性はスキャフォールドの得られる強度と柔軟性に影響する。前述したように、微孔フォーマはスキャフォールドを通して相互接続する微孔のサイズと分布を制御できる。スキャフォールド100の機械的特性への影響に関して、微孔フォーマの増加した相対量を含んで揮発成分の量の増加は、残りの条件が同じであればスキャフォールドの強度に影響し、弾性率を低下させる。さらに、繊維材料の自然充填密度に関して、繊維径と繊維長に関係する変動要素との副次的な相互作用が存在する。非揮発性成分と混合されると揮発性成分は繊維の束を増加させ、複数の繊維長が追加繊維に実質的に隣接して整合し、繊維長に沿って繊維を接着させ、スキャフォールドのマトリックスを形成する“柱体”の断面積を効果的に増加させる。このように束になった繊維の領域はスキャフォールド100の強度と弾性率に影響を及ぼす。
【0051】
スキャフォールド100の形成方法200の実行時に選択される処理パラメータはスキャフォールドの機械的特性に影響する。例えば、硬化ステップ280の環境パラメータは加熱速度、加熱温度、硬化時間、および真空、不活性ガス(窒素、アルゴン、等々)、成型ガス(還元環境)または空気等の加熱環境を含む。それぞれ、またはそれぞれの組み合わせはスキャフォールドを通じて繊維同士の接着の数および相対強度に影響を及ぼす。
【0052】
スキャフォールド100の微孔度と強度の関係および弾性率を制御して最良化するための追加の要因は、繊維の整合性に影響する製造プロセス200と組み合わされた原料の固有の特性を含む。混合ステップ260と形成ステップ270は、繊維を実質的に一方向に整合させた目的物体を提供するように構成できる。例えば、形成ステップ270での押出し成型プロセスの利用は、押し出し方向での混合物の繊維の整合状態を提供する。得られるスキャフォールド100の物理的特性は、デバイスの配向性の関数である弾性率を示し、圧迫力と弾性率は押し出し方向で相対的に高く、押し出し方向に垂直な方向では低い。脊椎の融合に使用される脊柱インプラントは、健康な組織の成長を促すよう、スキャフォールドの耐荷重および荷重共有特性を最良化するような変動特性を備えるように構築できる。繊維の方向性はスキャフォールド内への管形成が必要な利用形態で望ましいであろう。方向性が与えられた繊維は繊維に平行な優先方向を示す微孔形態特性を含む。スキャフォールド100が骨組織を融合させる利用形態では、接合される骨間の管形成リンクは本発明のスキャフォールドによって効果的に架橋できる。
【0053】
加えて、上記のパラメータの任意の組み合わせの任意のバリエーションは、意図する用途に対する最良あるいは所望の強度と弾性率および微孔サイズ分布を達成させることができる。さらに、強度、弾性率、微孔度および微孔サイズ分布、並びに他の機械的および物理的特性は、他の用途のために調整できるが、それらの非限定的な実施態様が本明細書に記載されている。
【0054】
図7は、製造時に接着剤の追加を通じたスキャフォールドの強度と弾性率の変動の影響を示す本発明による2つの実施例のスキャフォールドの圧迫試験の応力−歪曲線720を示す。両方のサンプルは、約63μmの平均径を有したチタン6A14V合金繊維を使用して上述の方法200で製造された。一方のサンプルは、0.045インチ長(0.114cm)に切断された3グラムの繊維が、有機バインダとしての0.010インチ(0.025cm)に切断された0.25グラムのHPMCと、微孔フォーマとしての約100μmの粒体サイズの1グラムのPMMAと、可塑的に成型可能な混合物を提供するように必要に応じて調整した約1.5グラムの脱イオン水と混合されたものであった。混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分は燃焼除去され、スキャフォールドは0.3トールの真空度で1400℃にて2時間加熱処理され、微孔度70%のスキャフォールドが製造された。他方のサンプルも同様に製造された。唯一の相違は、接着剤220としての粒体サイズが325μm未満である0.25グラムのチタン粉末の追加であった。得られた微孔度は67%であった。図7において示すように、前者のサンプル730の応力−歪曲線(接着剤を含有せず)は第1の弾性率735と第1のピーク強度値740を示す。後者のサンプル750(接着剤を含有)は第2の弾性率755(第1の弾性率より約65%少ない)と、第2のピーク強度値760(第1の強度値740よりも約34%少ない)を示す。
【0055】
図8は、スキャフォールド100の表面全体に選択的に堆積された機能材料705を備えたスキャフォールド100を示す本発明の別実施例を図示する。機能材料705は、スキャフォールド100の骨伝導性および管形成の促進のごときスキャフォールドの副次的機能を提供すべく選択的に堆積される。その目的はインプラントの設置中または設置後の病理学的症状の誘発を防止し、抗生物質、抗凝血剤、抗菌剤、抗炎剤、および免疫抑制剤、等々の治療剤を提供し、インプラントの検出および位置確認のためのトレーサとしての機能を果たす放射性物質を提供し、及び/又は他の機能的増進作用を提供することである。一実施態様においては、機能性物質705は繊維210、及びオプションでは接着剤220と混合され、バインダ230、微孔フォーマ240および液体250等である揮発性成分285と混合されている非揮発性成分275としての機能性原料物質770として追加される材料でよい。混合物は混合され、均質な混合物内に機能性材料705を含んだ材料を分布させる。図2と図3に関して前述したように、均質混合物は目的物体270に成形され、ステップ280で硬化されて微孔性スキャフォールドとなる。この実施例では硬化ステップは繊維同士の接着を形成し、機能性材料をスキャフォールド100に接着させる。別実施例では機能性材料705は、オプションの機能性材料溶融ステップ780として示される硬化ステップ中に加えられる。このように、機能性材料は接着形成ステップ330の最中にスキャフォールド内に融解される(図3に関して上述)。これは、真空炉内の熱処理と同様に制御された高温環境で蒸着またはプラズマ堆積によって実行される。さらに別実施例では、機能性材料705は、スキャフォールド100の形成に続いて実行されるコーティングステップ790の最中に加えられる。この実施例では、機能性材料は、機能性材料705を溶解させた溶液内にスキャフォールドを沈めることで、あるいは機能性材料を化学蒸着させることで、または機能性材料を陰極アーク堆積させることで、あるいは材料堆積の他方法で堆積できる。さらに別実施例では、機能性材料はオプションの機能性原料のステップ770、オプションの機能性材料融解ステップ780および続くコーティングステップ790の任意の組み合わせで堆積できる。
【0056】
本発明の組織スキャフォールドは、骨切断術(例えば、腰、膝、手および顎)、脊椎の構造的破損の修復(例えば、脊間補綴、薄片補綴、仙骨補綴、椎体補綴および小関節補綴)、骨欠損フィラー、骨折矯正外科手術、腫瘍切除外科手術、股関節および膝補綴、骨造成、抜歯、長骨の関節固定術、距骨下関節インプラント、固定ネジ、およびピンを含んだ足首および足関節固定術、等々において使用することができる。本発明の組織スキャフォールドは、長い骨において使用することができ、例えば、長い骨としては肋骨、鎖骨、大腿骨、下肢の脛骨および腓骨、腕の上腕骨、橈骨および尺骨、手および足の中手骨および中足骨、ならびに指およびつま先の指節骨を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の組織スキャフォールドは、短い骨でも使用することができるが、短い骨としては手根骨および足根骨、漆蓋骨、他の種子骨を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の組織スキャフォールドは、他の骨でも使用することができるが、他の骨としては、頭蓋、下顎骨、胸骨、椎骨および仙骨が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様では本発明の組織スキャフォールドは従来のデバイスよりも高い耐荷重力を有する。一実施態様では本発明の組織スキャフォールドは従来のデバイスと比べて必要とされるインプラント材料が少ない。さらに本発明の組織スキャフォールドを使用することで、その材料の堅牢性のために捕助的な固定の必要性が減少する。このように本デバイスを移植する外科手術は低浸襲性であり、簡単に実行でき、器具の除去および補助固定のための外科手術を必要としない。
【0057】
特定の用途では前記したように製造された本発明の組織スキャフォールドを図10および図11で図示するように脊椎インプラント800として使用することができる。図10および図11で示すように、脊椎インプラント800は、空間Sを維持するために隣接する椎骨Vの間の空間S内に係合する大きさの壁820を有する本体810を含む。デバイス800は押出し成型法を利用して所望の形状に成形することができる生体不活性繊維から形成され、円筒形とし、これを切断または機械加工することにより所望の寸法に加工される。壁820の高さhは空間Sの高さHに相当する。一実施態様では壁820の高さは椎間腔Sの高さHより僅かに大きい。壁820は図11で示すように隣接する椎骨Vに係合するように形成された上部係合面840および下部係合面850に隣接し、これらの間に存在する。
【0058】
別の特定の用途では、前述したように製造された本発明の組織スキャフォールドを図12および図13に図示するような楔型骨切断インプラント1000として使用することができる。図12および図13で図示するように、骨切断インプラント1000は、例えば脛骨の解剖学的断面と一致するように設計された楔として一般的に解説されており、力学的な支持を脛骨表面の大部分に提供している。骨切断インプラントは、生体不活性繊維を接着および溶融した多孔性材料から成形され、その材料は押出し成型された長方形のブロックから成形することができ、それを切断または機械加工によって所望の寸法の形状に合致した楔型にする。インプラント1000の近位面1010は湾曲している。遠位面1020は、それが移植される場所の脛骨の形状に一致する。インプラント1000の厚さは、患者の体格および患部変形の度合いに応じて約5ミリから約20ミリの間で変化してもよい。楔の上部面および下部面の間の角度も変化させることができる。
【0059】
図13は、異常に曲がった膝を再調整するために、楔型骨切断インプラント1000を使用する一方法を図示する。脛骨の側部はそのままにし、脛骨の上部1050および下部1040を予め決められた角度で整列させながら、脛骨の内側面に横方向切開を入れ、空間1030が準備される。実質的に楔型をしたインプラント1000が空間1030に挿入され、本明細書で説明するように、それがインプラント1000内で再生して成長する骨の所望の位置に埋め込まれて脛骨の位置が安定化する。必要に応じて固定ピンを使用し、骨が再生して移植部位が治癒するにつれ、脛骨を安定化させる。
【0060】
一般的に、本発明の骨組織スキャフォールドの骨移植体としての用途には自家または同種骨移植体の使用に類似する外科的処置が含まれる。移植部位を充填し、安定化するのに十分な材料を使用すれば、骨移植体をしばしば一回の処置で実行することができる。一実施態様では、固定ピンを周辺の自然骨及び/又は骨組織スキャフォールドの内部へ挿入して貫通させることができる。骨組織スキャフォールドは定められた部位に挿入されて固定される。その後、その部分は塞がれ、所定の治癒および成長後に骨が再生し、インプラントに堅牢に融合する。
【0061】
本発明の骨組織スキャフォールドの骨欠損部フィラーとしての用途には、一回の修復処置または複数段階での複数の修復処置として実行される外科処置が含まれる。一実施態様では、本発明の組織スキャフォールドは骨欠損部位に配置され、固定ピンまたはネジを使用して骨に取り付けられる。あるいは、組織スキャフォールドは、固定具を使用して外側から所定の箇所に固定できる。その後、その部分は塞がれ、所定の治癒および成長後に骨は再生し、欠損部を修復する。
【0062】
骨の欠損部を充填する方法は、骨の空間を、多孔性マトリックス内に接着された生体不活性繊維で充填するステップを含む。多孔性マトリックスは骨内の成長を促進し、組織スキャフォールドを骨に固定させる微孔サイズ分布を有している。
【0063】
骨切断治術の方法は、骨の空間を、多孔性マトリックス内に接着された生体不活性繊維を含む組織スキャフォールドで充填するステップを含んでいる。多孔性マトリックスは骨内の成長を促進し、組織スキャフォールドを骨に固定させる微孔サイズ分布を有している。
【0064】
椎骨の構造的な不全を治療する方法は、骨の空間を、多孔性マトリックス内に接着された生体不活性繊維を含む組織スキャフォールドで充填するステップを含んでいる。多孔性マトリックスは骨内の成長を促進し、組織スキャフォールドを骨に固定させる微孔サイズ分布を有している。
【0065】
合成骨補綴を製造する方法は、塑性形成可能なバッチを得るために生体不活性微細ワイヤまたは繊維をバインダ、微孔フォーマおよび液体と混合するステップと、生体不活性微細ワイヤまたは繊維を微孔フォーマおよびバインダと共に分散させるために塑性形成可能なバッチ(絡み合い重なり合う繊維の均質な塊体)を混練するステップと、形成体を得るために形成可能なバッチを所望の形状に形成するステップと、液体を除去するために該形成体を乾燥させるステップと、バインダおよび微孔フォーマを除去するために形成体を加熱するステップと、絡み合って重なり合う生体不活性繊維間に接着状態を形成するために、接着形成温度にまで形成体を加熱するステップと、を含む。
【0066】
一実施態様では、本発明は多孔性マトリックスに接着した生体不活性繊維の利用を開示する。多孔性マトリックスは骨欠損部の治療のために骨組織内成長を促すような微孔サイズ分布を有する。
【0067】
一実施態様では、本発明は多孔性マトリックスに接着した生体不活性繊維の利用を開示する。多孔性マトリックスは骨切断術治療のための骨組織内成長を促すような微孔サイズ分布を有する。
【0068】
一実施態様では、本発明は多孔性マトリックスに接着した生体不活性繊維の利用を開示する。多孔性マトリックスは脊柱の種々の部分の不全治療のための骨組織内成長を促すような微孔サイズ分布を有する。
【実施例】
【0069】
[実施例](Examples、英文P24)
以下の実施例は開示内容をさらに記述し、その理解をさらに深めるために提供されている。これらの実施例は本発明の説明のみを目的としており、限定の意図は一切存在しない。
【0070】
本発明の第一実施例ではスキャフォールドはチタン繊維で形成される。非揮発性成分として嵩高形態であり、平均径が約225μmである約1から3mmの長さに切断された4グラムのチタン6A14V合金繊維が、有機バインダとしての0.125グラムのHPMCおよび微孔フォーマとしての25から30μmの粒体サイズである0.5グラムのPMMA、および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する約1.5グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分は燃焼除去され、続いて0.3トールの真空度にて1400℃で2時間加熱処理された。微孔度(空隙率)は69.1%であった。
【0071】
本発明の第二実施例ではスキャフォールドはアルミナで形成される。非揮発性成分として30グラムのヒドロキシアパタイト粉末と0.8グラムの炭酸マグネシウム粉末と共に平均径が約3から5ミクロンである50グラムのアルミナ繊維が、微孔フォーマとしての45ミクロンの平均粒体サイズ(粒径)である65グラムのグラファイト粉末(AsburyCarbonA625グラファイト)および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する70グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分はエアパージオーブン(窯)内で燃焼除去され、続いて大気圧の静止大気炉にて1600℃で2時間加熱処理された。得られたスキャフォールドの組成は、ヒドロアパタイトセラミック接着多孔性構造体と接着したアルミナ繊維である。この実施例の微孔度は68%であった。
【0072】
本発明の第三実施例ではスキャフォールドはアルミナ繊維で形成される。非揮発性成分として50グラムのヒドロキシアパタイト粉末と0.8グラムの炭酸マグネシウム粉末および平均径が約3から5ミクロンである50グラムのアルミナ繊維が、微孔フォーマとしての250ミクロンの平均粒体サイズである65グラムのグラファイト粉末(AsburyCarbon4015グラファイト)およびバインダとしての5gのHPMCおよび可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する70グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分はエアパージオーブン内で燃焼除去され、続いて大気圧の静止大気炉にて1400℃で2時間加熱処理された。得られたスキャフォールドの組成は、ヒドロアパタイトセラミック接着多孔性構造体と接着したアルミナ繊維であった。この実施例の微孔度は68%であった。
【0073】
本発明の第四実施例ではスキャフォールドはマグネシウム・アルミノシリケート繊維(ケイ酸アルミン酸マグネシウム繊維)で形成される。非揮発性成分として30グラムのヒドロキシアパタイト粉末と共に平均径が約10ミクロンである50グラムのISOFRAX繊維(ニューヨーク州ナイアガラフォールのユニフラックスLLC製)が、微孔フォーマとしての250ミクロンの平均粒体サイズである65グラムのグラファイト粉末(AsburyCarbon4015グラファイト)およびバインダとしての5gのHPMCおよび可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する80グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流型オーブンで乾燥された。揮発性成分はエアパージオーブン内で燃焼除去され、続いて大気圧の静止大気炉にて1200℃で2時間加熱処理された。得られたスキャフォールドの組成は、ヒドロキシアパタイトセラミック接着多孔性構造体と接着したマグネシウム・アルミノシリケート繊維であった。この実施例の微孔度は69%であった。
【0074】
本発明の第五実施例ではスキャフォールドはチタン繊維で形成される。非揮発性成分として嵩高形態で、約1から3mm長に切断された平均径が約225μmである0.9グラムの純粋チタン繊維が、有機バインダとしての0.3グラムのHPMCおよび微孔フォーマとしての50μmの平均粒体サイズである0.5グラムのジャガイモ澱粉および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する2グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径ロッド内に押し出され、対流式オーブンで乾燥された。揮発性成分は燃焼除去され、続いて0.3トールの真空度にて1400℃で2時間加熱処理された。この実施例の微孔度は69.1%であった。
【0075】
本発明の第六実施例ではスキャフォールドはチタン繊維で形成される。非揮発性成分として嵩高形態で、約1から2mm長に切断された平均径が約65μmである2グラムのチタン6A14V合金繊維と、44μm(−325メッシュ)以下の粒体サイズを有した接着剤としての0.5グラムのチタン6A14V合金粉末が、有機バインダとしての0.5グラムのHPMCおよび微孔フォーマとしての150μmの平均粒体サイズである0.5グラムのポリエチレン粒体および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する2グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流式オーブンで乾燥された。揮発性成分は350℃で14時間加熱して燃焼除去され、続いてアルゴンパージ炉において5℃/分の割合のランプ率で1400℃にて加熱処理され、1400℃で2時間保持された。この実施例の微孔度は88.1%であった。
【0076】
本発明の第七実施例ではスキャフォールドは二種類のチタン繊維の混合で形成される。この実施例では非揮発成分として約1から2mm長に切断された平均径が約65μmである2グラムのチタン6A14V合金繊維が、約1から3mm長に切断された平均径が約225μmである2グラムのチタン6A14V合金繊維および44μm(−325メッシュ)以下の粒体サイズを有した接着剤として1.0グラムのチタン6A14V合金粉末および有機バインダとしての0.5グラムのHPMCおよび微孔フォーマとしての150μmの平均粒体サイズである0.5グラムのポリエチレン粒体および可塑的に成型可能な混合物を準備するために必要に応じて調整する約2グラムの脱イオン水と混合された。その混合物は10mm径のロッド内に押し出され、対流式オーブンで乾燥された。揮発性成分は350℃で14時間熱して燃焼除去され、続いてアルゴンパージ炉で5℃/分の割合のランプ率にて1400℃で加熱処理され、1400℃で2時間保持された。
【0077】
以上、本発明の説明用である特定の実施例に関して詳細に説明したが、本発明はこれら実施例には限定されない。これら実施例の多数の変形が「特許請求の範囲」の精神と範囲から離れることなく可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体不活性組成を有する相互に絡んだ繊維と、
重なり合った隣接繊維間で接着を形成する生体不活性材料と、
を含んだ微孔性組織スキャフォールドであって、
前記繊維と前記生体不活性材料とは堅牢な三次元マトリックスを提供しており、
本組織スキャフォールドは、前記堅牢な三次元マトリックス内に相互接続された微孔スペースを更に含んでおり、該微孔スペースは揮発性成分によって決定される微孔サイズ分布を有しており、
前記堅牢な三次元マトリックスは微孔性組織スキャフォールドを形成するものである、ことを特徴とする微孔性組織スキャフォールド。
【請求項2】
前記接着は、ガラス接着、ガラス・セラミック接着、セラミック接着および金属接着のうちの少なくとも一種を含む、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項3】
前記微孔サイズ分布は、約100ミクロンから500ミクロンのモードを有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項4】
前記微孔サイズ分布は、双モードのサイズ分布を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項5】
前記繊維は、約2ミクロンから約500ミクロンの直径を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項6】
前記繊維は、約25ミクロンから約200ミクロンの直径を有している、請求項5記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項7】
前記繊維は、前記直径の約3倍から約1000倍の長さを有している、請求項5記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項8】
前記繊維は、チタンを含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項9】
前記繊維は、タンタルを含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項10】
前記繊維は、ステンレス鋼を含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項11】
前記繊維は、アルミナを含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項12】
前記生体不活性材料は、リン酸カルシウムを含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項13】
前記繊維は、マグネシウム・アルミノシリケート(ケイ酸アルミン酸マグネシウム)を含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項14】
前記堅牢な三次元マトリックスは、約0.1GPaから約3.5GPaの弾性率を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項1】
生体不活性組成を有する相互に絡んだ繊維と、
重なり合った隣接繊維間で接着を形成する生体不活性材料と、
を含んだ微孔性組織スキャフォールドであって、
前記繊維と前記生体不活性材料とは堅牢な三次元マトリックスを提供しており、
本組織スキャフォールドは、前記堅牢な三次元マトリックス内に相互接続された微孔スペースを更に含んでおり、該微孔スペースは揮発性成分によって決定される微孔サイズ分布を有しており、
前記堅牢な三次元マトリックスは微孔性組織スキャフォールドを形成するものである、ことを特徴とする微孔性組織スキャフォールド。
【請求項2】
前記接着は、ガラス接着、ガラス・セラミック接着、セラミック接着および金属接着のうちの少なくとも一種を含む、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項3】
前記微孔サイズ分布は、約100ミクロンから500ミクロンのモードを有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項4】
前記微孔サイズ分布は、双モードのサイズ分布を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項5】
前記繊維は、約2ミクロンから約500ミクロンの直径を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項6】
前記繊維は、約25ミクロンから約200ミクロンの直径を有している、請求項5記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項7】
前記繊維は、前記直径の約3倍から約1000倍の長さを有している、請求項5記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項8】
前記繊維は、チタンを含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項9】
前記繊維は、タンタルを含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項10】
前記繊維は、ステンレス鋼を含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項11】
前記繊維は、アルミナを含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項12】
前記生体不活性材料は、リン酸カルシウムを含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項13】
前記繊維は、マグネシウム・アルミノシリケート(ケイ酸アルミン酸マグネシウム)を含んだ組成を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【請求項14】
前記堅牢な三次元マトリックスは、約0.1GPaから約3.5GPaの弾性率を有している、請求項1記載の微孔性組織スキャフォールド。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−507184(P2013−507184A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533261(P2012−533261)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051555
【国際公開番号】WO2011/044182
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512005690)バイオ2 テクノロジーズ,インク. (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051555
【国際公開番号】WO2011/044182
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512005690)バイオ2 テクノロジーズ,インク. (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]