説明

生体試料におけるヒトパピローマウイルス検出のためのシステム、方法、および組成

【課題】癌および異形成の検出、治療、および/または取扱いの方法を提供する。
【解決手段】本発明は、限定的ではないが、ほ乳類の体液および子宮頸部擦過標本を含むがそれに限定されない、生体試料中のヒトパピローマウイルス(HPV)をシングルコピーレベルまで検出、同定、および定量するシステム、方法、および組成を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連する出願への相互参照〕
本出願は、全体を参照して本明細書に組み入れられる、2005年1月14日に出願された米国仮特許出願第60/644,374号に基づく、優先権を主張する。
【0002】
〔助成金情報〕
本発明の基調を成す研究は、一部はミシガン・ライフサイエンス・コリドー(Michigan Life Science Corridor)(MEDC-410)、ミシガン・トリテクノロジー・コリドー(Michigan Tri-Technology Corridor)、NIH(R21 DK69877、R21 DK070237、CA104830、およびCA94328)、NIH頭頸部癌研究拠点特別プログラム(Head/Neck Cancer SPORE)(1 P50 CA97248)、およびMDRTC細胞分子生物学コア(Cell and Molecular Biology Core)(DK20572)による援助を受けた。政府が本発明において一定の権利を有する可能性もある。
【0003】
〔発明の分野〕
本発明は、生体試料における微生物病原体の検出および取扱いの分野に関する。
【0004】
〔発明の背景〕
最近の研究は、ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus「HPV」)が、子宮頸癌、頭頸部癌、肛門癌、および住血吸虫症に関連した膀胱癌のかなりの割合に関連していることを示している。子宮頸癌および肛門癌は、ほぼ一様にHPV感染と関連している。発表された報告についての近年の総説は、頭頸部腫瘍におけるHPVのDNAの全体的な保有率が35%であることを見いだした。さらに最近、ある研究グループは、これらの知見を腫瘍試料253件の大規模な研究で裏付けるために、定量PCR(Qunantitative PCR「QPCR」)を用い、検体の25%にHPVのDNAを検出した。またHPVは、肛門異形成および癌にも関連している。別の研究グループは、住血吸虫症に起因する膀胱癌の50%近くが、HPVのDNAを持つことをインサイチューハイブリダイゼーション法(in situ hybridization)により見いだした。
【0005】
HPVタイプ16および18は、その存在が前癌病変部および癌腫に関連しているために、「高リスク」ウイルスタイプに含まれている。対照的に、「低リスク」タイプ、最も一般的にはHPVタイプ6および11は、典型的に良性病変に関連している。HPVの発癌誘発の可能性は、主に二つのウイルスの癌タンパク質、E6およびE7に起因している。HPVタイプの間の発癌誘発性の違いは、E6およびE7タンパク質のタイプ特異的な違いが原因であると考えられてきた。発癌性のHPV株(HPV strain)のE6タンパク質は、p53タンパク質と相互作用し、ユビキチン依存性経路(ubiquitin-dependent pathway)を介してp53タンパク質の分解を促進することが示された。癌タンパク質のE7は、同様に網膜芽細胞腫(Rb)タンパク質と複合体を形成して不活性化させることができる。p53およびRbは、共に重要な癌抑制遺伝子であり、その遺伝子産物は細胞周期を調節し、DNA修復過程を統合し、プログラム細胞死またはアポトーシスに関わる。これらの癌抑制遺伝子タンパク質のHPVによる混乱は、突然変異(mutational change)および細胞不死化の伝播を引き起こす。
【0006】
癌細胞の異常ゲノムに対する血清DNA検査の技術が、癌の分子検査の可能性として研究されてきた。一部の研究者は、タックマン(TaqMan)定量PCR法が、頭頸部癌および子宮頸癌患者由来の血清中のHPVのDNAを検出可能であることを見いだしたものの、この技術では、臨床ツールとして多くの対象において有用な程度に、十分な量の血清およびその他の生体部位で、HPVのDNAは検出されなかった。
【0007】
現在の制限の例として、現時点で標準的なHPVテストであるダイジーン(Digene)テスト[1]への対処に伴う問題は、後述の問題を含む。
【0008】
1. ダイジーンテストは、既知の病原性タイプ以外のHPVタイプと非特異的に交差反応する[2]。従って、ダイジーンテストによる偽陽性は避けられない。
【0009】
2. ダイジーンテストは、陽性と読み取るためには少なくとも数千のHPV分子が必要である[1]。この必要条件のために、存在する分子数がこれよりも少ない血清および/または血液のスクリーニングができない。
【0010】
3. さらに、ダイジーンテストは、どのHPVタイプが子宮頸部のシンプレップ(ThinPrep)で見つかったかを明らかにしない。シグナルの原因となったHPVのタイプが同定されなければ、非病原性タイプHPVが偽陽性結果となることから、このことは重要である。
【0011】
これらのおよびその他の制限ならびに技術的な欠点を考慮すると、現在利用可能な方法で検出不可能なレベルでの、生体試料における個別のHPV種の検出および同定のためのシステム、方法、および組成の満たされていないニーズが残っている。
【0012】
〔発明の概要〕
本発明は、限定的ではないが、癌および異形成の検出、治療、および/または管理を目的とする、ほ乳類の体液および子宮頸部の擦過標本(scrapings)などを限定的でなく含む生体試料における、HPVのシングルコピー(single copy)レベルに至るまでの検出、同定、および定量のためのシステム、方法、および組成などを含む。いくつかの好ましい実施態様においては、本発明は、個別のHPV配列を同定し、HPV-DNAの検出感度を向上させ、いくつかの腫瘍タイプと血清および/または末梢血HPV-DNAとのより高頻度な関連性をもたらす、より高感度の質量分析手法を含む。従って、本発明は、HPVが関与する症例での遺残腫瘍または異形成のマーカーとして、HPV-DNAに関する末梢血および血漿のスクリーニングを可能にするシステム、方法、および組成を含む。
【0013】
本発明の別の側面は、以下の図面および詳細な説明を精査すれば、当業者には明らかである。
【0014】
ここで、添付の図面を参照しつつ、本発明についての例を説明する。
【0015】
〔発明の詳細な説明〕
限定的ではないが、いくつかの実施態様では、本発明は、腫瘍または異形成組織由来の癌または異形成と関連する、HPVの一つ以上のタイプの解析および判定を同時に行うためのシステム、方法、および組成を含む。本発明を用いると、この解析および判定は、HPVの検出のために現在米国食品医薬品局(「FDA」)に認可されている1000〜5000コピーが必要な試験[1]より感受性が高く、HPVコピー数を100以下にまで下げても実施されることが可能である。本発明は、所定の個別のHPV配列の探索によって感度をさらに向上させることにより、1aM(いくつかの実施態様で用いられる、5μLのPCR容量中の個別の分子)までの検出が可能である。向上したこの感度は、その他の生体試料のうち血液および血清中の病原性HPVを検出することもできる。
【0016】
さらに、本発明は、現在用いられている特定の方法[1]であって、多数のプローブの組合せを分析する、定量的ではない方法では不可能な、所定の腫瘍に関連するHPVタイプの細部を詳しく説明する、高感度の特異的で定量的なシステム、方法、および組成を含む。
【0017】
いくつかの実施態様では、限定的ではないが、本発明に従ってHPVタイプが判定された時点で、本発明は、高感度で特異的なスクリーニングをも支援することにより、ほ乳類の体液等を限定的でなく含む生体試料中に、シングルコピーレベルで存在する当該HPVを検出する。このように高感度で特異的なシングルコピーレベルでのスクリーニングは、従来可能ではなかった。それは、血清および/または血液中のHPVの存在が、正常な対象には見られない異形成または癌と特異的に関連していることにより、過去に立証されなかった自然の状態を明らかにする。参考文献[4]に見られるように、前述のスクリーニングにおける偽陽性の欠如により、前述のスクリーニングは、異形成または癌の検出に非常に適している。
【0018】
いくつかの好適な実施態様では、限定的ではないが、本発明は、生体試料中に存在する病原性HPVのタイプおよび量を単回の試験で検出するためのシステム、方法、および組成を含む。いくつかの実施態様では、本発明は、高程度または中程度リスクの一つ以上のHPVタイプのために、質量分析アッセイシステム(massspectroscopic assay system)を用いて構築されたプローブを含む。このような高程度または中程度リスクのHPVタイプは、子宮頸部擦過標本のHPV分析のために現在FDAが承認するテストである、ダイジーンのシンプレップテスト[1]を用いた同定に従って選択されてもよい。本発明のいくつかの実施態様では、ダイジーンテストのHPV13タイプに、子宮頸癌および肛門癌を引き起こす危険が高い可能性もある、別の6タイプのHPVを加える[5,6]。この判定は、陽性になるには数千のHPV分子が必要な現在のダイジーン法[1]よりもさらに一桁感度が高く、少なくとも100aM(およそ300分子)まで実施可能である。さらに、本発明は、腫瘍または異形成に、ひいては、腫瘍に直接由来する材料(例えば、子宮頸部シンプレップ)中に、どのタイプのHPVが存在するかの判定を可能にする。最後に、本発明のいくつかの実施態様は、限定的ではないが、定性のみの従来の試験と比較して、定量解析のためのシステム、方法、および組成を含む。臨床的悪性度は、異なる解剖学的位置でのHPVのコピー数を反映する可能性があり、本発明に従ったこの定量判定とHPVタイプ確認との組合せは、特記すべき臨床的有用性を有する可能性もある[6]。
【0019】
いくつかの実施態様によれば、限定的ではないが、腫瘍または細胞抽出物中の一つ以上の病原性HPVタイプの存在は、高感度で特異的な質量分析アッセイにより検出される([8-10]、図1)。概して、本発明の質量分析アッセイは、HPV中に見いだされた短いヌクレオチド断片のPCRによる増幅、プライマーおよびヌクレオチドの消化、および「入れ子状態(nested)」の質量分析アッセイプライマーの適切なジデオキシヌクレオチド(dideoxynucleotides)による伸長を伴う。この結果、一次PCR反応からの所定のHPVテンプレートが存在する場合に限り、質量分析アッセイ伸長配列(extension sequence)に単一のジデオキシヌクレオチドの取り込みをもたらす。
【0020】
いくつかの実施態様によれば、スクリーニングは、所定のHPVタイプに対して陽性の場合に特有のシグナルを生じる識別可能なプローブを用いて、各試料が個別に一つ以上の病原性HPVタイプ、単なる一例としては19の病原性HPVタイプに対して試験されるという方法で構成される。このスクリーニングは、当初スクリーニングされていた中心的な13タイプ(図1、HPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、および68[1])に、病原性である可能性があるHPVタイプ23、26、53、66、73、および82[5]に加えた、合計19のHPVタイプに対するスクリーニングを可能にする。
【0021】
いくつかの実施態様は、ヒト全ゲノムDNA(total human genomic DNA)のシングルコピー断片に対するプローブ(例えば、限定的ではないが、erbB-2遺伝子のイントロンのシングルコピー断片に対するプローブ)も含む。少なくとも100アトモル(aM=10-18M)レベルまでの高感度スクリーニングに加えて、本発明は、所定の腫瘍または異形成に関連したHPVタイプの判定を可能にする。さらに、有用な予後データも与える可能性もある[7]、HPV配列のコピー数の判定が実現される。
【0022】
いくつかの実施態様では、前述のこの一次スクリーニングが陽性だった場合、体液中のHPVの存在は、一次スクリーニングで陽性だったHPVタイプに対するプローブのみを用いる、さらに一層高感度の質量分析アッセイにより検出される。このアッセイは、所定の腫瘍または異形成に存在するHPVタイプを詳細に明らかにする前回のスクリーニングの利用によって可能になる。この手法は、血液検査および/または血清検査により、腫瘍の再発スクリーニングの可能性を提供する。
【0023】
血清および/または血液におけるシングルコピーレベルでのHPVの高感度検出は、予想外で過去に正しく評価されていない結果をもたらす。すなわち、
【0024】
1.本発明に従えば、血清および/または血液のスクリーニングによって、子宮頸部異形成の検出が可能性である。相当な割合の正常症例を異常とする結果をもたらす不正確さを引き起こすタックマンに基づく手法を用いる場合を除いて[4]、これは、過去には実際に実証されなかった。対照的に、本発明は、相当な割合の子宮頸部異形成症例が血清および/または血中のHPVに関連しているという、予想外で過去に正しく評価されていない結果を示す。比較すると、正常なコントロール試料および治療に成功した子宮頸部異形成の試料では、血清および/または血中にはHPVは含まれない。本発明以前、血清および血液の個別の有益性は、正しく評価されなかった。このことは恐らく、これらの事象の相異なる発症機序(pathogenesis)、つまり、血液中のHPVは、無傷の腫瘍細胞の循環または腫瘍細胞の(消化不十分な)食作用(phagocytosis)のいずれかの結果から生じるのに対して、血清中のHPVは、細胞溶解(cellular lysis)から生じることに起因している。
【0025】
2.本発明によれば、住血吸虫症(schistosomiasis)に関連した膀胱癌は、一律にHPVと関連していることが予想外に示されている。以前は、これらの癌のわずか半数のみが、HPVから引き起こされると考えられていた[11]。シングルコピーレベルでの本発明の高感度解析への向上は、血清(26/27症例)および尿沈渣(15/24)が共に診断に有用であることをも示した。血清HPVは、26/27症例で陽性だったものの、血液HPVは、存在しなかった。
【0026】
3.本発明を用いて、血液および血清の両方の解析が、HPVにより引き起こされる頭頸部癌の診断および治療のモニタリングに有用であることが示されている。従来は、しばしば腫瘍に存在した高レベルのHPVがこの解析を可能にしていたものの、低レベルの検出が不可能なことから、血液および血清の解析は、血清について調査したほとんどの症例が陰性であったように[3]、実用的ではなかった。対照的に、本発明に従った検出は、かなりの割合の腫瘍が、血清および/または血液で検出され得るHPVに関連していることを示した。様々な病原性HPVタイプに拡大されたこの検出は、臨床的に重要でないHPVタイプが解析を妨げないことから、本スクリーニングが臨床的価値を有することを証明する。
【0027】
4.また、本発明を用いて、試験された正常尿沈渣の全40件、正常血清試料の全27件、正常血液試料の全20件、および胎盤の全9件を含む、試験された全ての正常コントロールが、陰性だったことが示された。
【0028】
いくつかの実施態様では、限定的ではないが、本発明は、単一分子レベルまでの検出に十分な、高感度かつ特異的な二段階のスクリーニング方法を含む。第一段階は、一連の全19の病原性HPVタイプでの腫瘍性または異形成細胞のスクリーニングを含む。一旦HPVタイプが明らかになったら、そのタイプは、全19配列が同時に使用された場合よりも、さらに高感度での関連する体液のスクリーニングに用いることができる。結果として、感度および特異性が向上した体液のスクリーニングは、臨床的有用性が向上する。このようなスクリーニングにおいて、血清および血液は、別個に情報を提供し、これらの体液中のHPVをもたらす異なる発症機序を反映している。血清中のHPVの存在は、HPVを有する異常細胞の溶解に起因する。血液中のHPVの存在は、循環している腫瘍細胞および/または完全に消化されていないHPV配列の検出を伴う異常細胞の食作用の存在に起因する。即ち、有用な情報は、血液および血清の別個の問合せ(query)に由来する。本発明は、全ての体液(例えば、尿、脳脊髄液、汗、唾液、涙など)にまでおよぶシステム、方法、および組成を含む。
【0029】
〔実施例〕
本発明のいくつかの実施態様の以下の例は、本発明を、本明細書に述べられた実施態様のみに限定せずに提供される。
【0030】
いくつかの好適な実施態様に基づき、限定的ではないが、本発明は、競合的PCR、プライマー伸長法(primer extension reaction)、およびMALDI-TOF MSの特徴と組み合わせた、定性的および定量的な遺伝子発現解析のためのマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(matrix-assisted laser desorption ionization - time of flight、「MALDI-TOF」)質量分析法(「MS」)の使用を含む(概して、図2を参照)。生体試料から単離されたHPVのDNAを含むと考えられる試料は、対象配列の概ね中心にある一塩基を除いて、対象HPVのDNA配列の一部と同一または実質的に対応している配列を伴う、およそ100nt長の合成オリゴヌクレオチド(競合物)でスパイクされる。いくつかの実施態様では、競合物は、既知の濃度で添加される。競合物および対象DNAは、順方向および逆方向のプライマー存在下でPCRにより共に増幅される。過剰なdNTPおよびプライマーは、PCRの後に、当業者に既知の方法、限定的ではない単なる一つの例としては、酵素消化および適切な洗浄によって除去される。次に、塩基伸長反応(base extention reaction)が、伸長プライマー、および異なるddNTPの組合せ(単なる一例としては、GおよびC)で実施される。伸長プライマーは、変異部位のすぐ隣にハイブリダイズし、分子量が異なる二つのオリゴヌクレオチド産物が生じるように、2つのddNTP塩基のうち少なくとも一つが、競合物およびDNAに対して個別に添加される。約5,000ダルトン〜約8,500ダルトン(Da)の典型的な分子量の領域(window)では、二つのオリゴヌクレオチドの差がおよそ20Da以上異なる場合には、MALDI-TOF MSは、二つのオリゴヌクレオチドを容易に識別する。本発明に従って、これらの異なる伸長産物は定性的に同定され、その濃度はMALDI-TOF MSからの比との関連で定量されることも可能であり、単なる一例としては、添加された競合物配列の濃度が既知である場合である。いくつかの実施態様では、望ましい分子量スペーシングは、本明細書でさらに述べられるように、要求に応じ、塩基伸長プライマーの5'末端へスペーサー分子を付加することによってさらに達成されるが、これに限定されない。
【0031】
<試料からのDNAの精製と定量>
腫瘍、血清、末梢血、および尿沈渣試料が、腫瘍の生体組織検査の際に個別の癌患者から単離された。血清および/または末梢血は、HPVに曝露されていない正常コントロールから、住血吸虫症の個人(既知の膀胱癌の有無にかかわらず)から、腫瘍の外科的除去後の住血吸虫症に関連した膀胱癌の個人から、頭頸部癌の個人から、および、子宮頸癌または肛門癌もしくは子宮頸部異形成の個人から、単離された。尿沈渣は、住血吸虫症に関連した膀胱癌の被験者から、および膀胱の腫瘍を持たないコントロール被験者(control subjects)から、単離された。尿沈渣は、ベックマン(Beckman)J2-21M遠心管で、約8,000rpmで約10分間の尿の遠心後に、ペレットとして単離された。胎盤は、正常分娩後に入手された。組織、末梢血、および尿沈渣のDNAは、ZRゲノミックDNA Iキット(ZR Genomic DNA I kit)(カリフォルニア州オレンジのザイモリサーチ社(Zymo Research Corp))を用いて単離された。DNAは、約0.3mL〜5mLの血清から、ZRゲノミックDNA単離キット(ZR Serum DNA Isolation kit)を用いて単離された。
【0032】
子宮頸部試料は、シンプレップ・プリザーブサイト(ThinPrep PreservCyt)溶液(メリーランド州ガイサースバーグのダイジーン社(Digene Corporation))で採取された。患者の結果の報告後、検体は患者の識別名を外され、小分注が調製され、質量分析PCR法により試験された。我々はDNAを約5mLのシンプレップ溶液から、ZR血漿DNA単離キット(Serum DNA isolation kit)のザイモ(Zymo)ビーズ約10μLと回転させることで単離した。ビーズは試料に添加され、約4倍体積のゲノミック溶解緩衝液(Genomic Lysis Buffer)(ザイモリサーチ社)が添加された。混合物は、約4℃で一晩転倒混和(tumbled)された。DNAは、ビーズからメーカーの指示に従って調製された。最終的な懸濁液は、少量(約20μL)の溶出緩衝液(Elution Buffer)中だった。試料は、メーカーの取扱説明書[1,12]に従ってダイジーンHC2およびロシュ(Roche)解析(リバースラインブロット(reverse line blotting)を含む)が実施された。次に試料は、本発明に従って、盲検的に(blindly)質量分析解析に供された。
【0033】
所定の試料中のDNA量を判定するために、我々はerbB-2遺伝子中の固有のイントロンに対して、バイオラド・アイサイクラー(Bio-Rad iCycler)でタックマン蛍光QPCR[13]を用いた。我々は、5'ACCTTCTCTTGACCTTTCAGAATATGT-3'(SEQ ID NO.129)および5’-AGAGAGTCTTGGCCCTTTCCA-3'(SEQ ID NO.129)のプライマーと共に、5'-AGAGGGCCCTCTGCCTGCTGC-3'(SEQ ID NO.130)のタックマンプローブを用いた。我々は、実験的に得られた7.7x103半数体ゲノム相当/蛍光単位の値のerbB-2プローブを用いた。
【0034】
<HPV-DNAのタックマン縮退プローブの作成>
HPV-DNAの縮退PCRプローブは、ウイルスのL1領域内に作成された[13]。GP5+およびGP6+プライマーの出典は、デ・ローダ・フスマン(de Roda Husman)ら[15]である。MY18およびMY1019プライマーの出典は、ネルソン(Nelson)ら[16]である。縮退タックマン[13]セットの構築に、我々はタックマンセットを得る二つの外側のプライマー(GP5+およびGP6+に基づく)およびプローブ(MY18およびMY1019に基づく)配列を組み合わせた。融解温度(Tm)は、キアゲン(Qiagen、http://www.operon.com/oligos/toolkit.php?)のオリゴ計算機(oligo calculator)を用いて得た。
【0035】
プライマー1(GP5+アナログ):
GP5+アナログは、下に挙げる4プライマーそれぞれの等量の組合せによって作成された。

【0036】


【0037】
プローブ:
MY1019最終プローブは、等量のMY1019アナログ1およびMY1019アナログ2を混合することで作成された。最終プローブは、等量のMY18アナログおよびMY1019最終アナログから作成された。
【0038】


【0039】
MY1019最終アナログは、以下の1/1混合物から作成された。
【0040】


【0041】


【0042】
プライマーおよびプローブは、我々の依頼でバイオリサーチによって合成された。プローブは、5’末端を蛍光6-FAMで、3’末端をブラックホール・クエンチャー1(Black Hole Quencher1)で標識された。我々は、HPV-16またはHPV-18配列(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection))のいずれかを含むプラスミドで回収された縮退プライマー・プローブを、個別に試験した。縮退プローブを用いて、我々はいずれのプラスミドでも同等の増幅を得た。
【0043】
<縮退タックマンプローブのPCR増幅>
全ての正常血清は少量の正常ゲノムDNAを含むため[16]、我々は、血清DNAが全てタックマンerbB-2ゲノミックDNAプローブ[13]を含む試料から調製されたものであることの検証を行った。同様の方法で、我々は、DNAが全て、用いられた別の試料から単離された事を確認した。約95℃で約5分間の変性後、erbB-2の増幅のために、約95℃で約15秒間の変性および約60℃で約30秒間のアニーリングの2段階のプログラム、40サイクルが用いられた。約95℃で約5分間の変性後、HPV-DNAのQPCR増幅のために、我々が至適化後にパーキンエルマーモデル7700(Perkin-Elmer model 7700)で用いた条件は、約52℃で約60秒間(アニーリングおよび伸長)、および約95℃で約15秒間の変性の2段階のプログラム、40サイクルだった。また我々は、質量分析PCR法の最後の増幅段階で用いられる55サイクルと対応させるために、多数の試料でこの条件を約55サイクル行った。通常のアニーリングおよび伸長の温度である約52℃よりも低いことは、我々が縮退プローブを使用していることを反映している。縮退HPV-DNAプローブでのタックマン反応のために、各数値は、4通りに(quadruplicate)反復された。試料は、パーキンエルマーモデル7700でタックマン法[13]により解析された。DNAシーケンシングは、ミシガン大学コア(University of Mishigan Core)のシーケンシング施設により行われた。
【0044】
<HC2法の増幅>
HC2反応は、HPVの13の各高リスクタイプのDNAに相補的なRNAプローブを含む。HPV-DNAおよび任意の相補的RNAプローブの間のハイブリダイゼーションは、RNA:DNAハイブリッドを標的とする捕捉抗体[1]を用いて検出される。最初の試験で、相対発光量の切り捨て率(relative light unit (RLU) cuttoff ratio)≧10の検体を、陽性と見なした。RLU切り捨て率<約0.8の検体は、陰性とみなされた。RLU切り捨て率が約0.8〜9.99の検体は、再度試験された。反復的にRLU切り捨て率≧1だった場合、試料は陽性と見なされた。陽性として反復しなかった不明瞭な検体は、本研究には含めなかった。試料は、2群(HC2(+)およびHC2(−))に分けられ、匿名化され、余剰のシンプレップ材料が、マスアレイ(MassARRAY)手法により研究された。
【0045】
<HPVタイプの別の解析方法>
示されたように我々は、リバースラインブロット解析のロシュ法[12]によって選択された試料のHPVタイプを得た。別法として、我々はHPVのL1領域内の縮退プライマーで増幅される可能性がある最も多くのHPV配列を検出するために、HPVのL1領域内の縮退プライマーを用いた[15,17]。この手法は、HPV52(我々の試験では、HPV52および縮退プライマーの間の相違が、プライマーが結合するには大きすぎた)を除くHPV病原性タイプ13種類の全てで目的通りに機能した。
【0046】
<ヒトゲノムDNAの測定>
所定の試料中のDNA量を測定するために、我々はerbB-2遺伝子内固有のイントロンに対して、バイオラド・アイサイクラーでタックマン蛍光QPCR[12]を用いた。プライマーは、5'-ACCTTCTCTTGACCTTTCAGAATATGT-3'(SEQ ID NO. 139)および5'-AGAGAGTCTTGGCCCTTTCCA-3'(SEQ ID NO. 140)であり、タックマンプローブは、5'-AGAGGGCCCTCTGCCTGCTGC-3'(SEQ ID NO. 141)だった。我々は、7.7x103半数体ゲノム当量(haploid genome equivalents)/蛍光単位の値のerbB-2プローブを得た。また我々は、このイントロンに対して質量分析法で解析され(表1)、もはやアイサイクラーでの分離解析の必要がないプローブを、22プローブの混合物に組み入れた。
【0047】
<PCR解析の定量質量分析法>
いくつかの実施態様に従い、限定的ではないが、本発明は、数分子ほどの初期の分子を検出するために、マトリックスシリコンチップアレイ(matrix-loaded silicon chip array)上の産物を分離する、リアルタイム競合PCR(rcPCR)、プライマー伸長、およびMALDI-TOF MSの複数段階の過程を含む[8]。PCRのためのHPV標的配列に適合させるために、合成中に導入される競合物中の単一塩基変異以外の競合ヌクレオチドテンプレート(単なる一例として、およそ100nt)が合成される。次に、単一塩基変化は、SNP遺伝子型決定で行われるのと同様に、MALDI-TOF MSでの産物の質量分解(product resolution)(数ダルトンに)した状態でのプライマー伸長反応を用いて、HPV標的対立遺伝子から区別することもできる[10]。好ましくは、限定的ではないが、競合テンプレートは、PCR反応に既知の量で添加され、従って、標的DNA量の測定のための標準曲線を作成するために、滴定されることもできる。標的対立遺伝子および競合テンプレート対立遺伝子のピーク面積が等しい場合、二つの分子の濃度は、およそ1:1の比率であり、反応液中の標的DNAの量を表す。質量分析解析は、この例示的な実施態様において非常に特異的であり、所定のプライマー伸長産物が、およそ20ダルトンの分解能まで識別された。従って、任意の混入物産物が偽陽性シグナルを生じるには、この特定のサイズでなければならない。内部標準(競合プレート)の存在は、PCRに必要な酵素が機能していること、および、試料がPCRの阻害剤を含まないように精製されたことを確認するためにも役立つ。
【0048】
<DNAのリアルタイム競合PCRおよび質量分析解析によるHPVタイプおよび量の決定>
いくつかの実施態様に従い、プライマー3(Primer3)ソフトウェア(http://frodo.wi.mit.edu/cgi-bin/primer3/primer3_www.cgi)を用いて様々なHPV系統のE6領域から、最初のPCRおよび伸長プライマー配列を抽出することによって、13単位のHPVアッセイが設計された。これらの配列は、次に、マスアレイアッセイデザイナーソフトウェアv3.0(カリフォルニア州サンディエゴのシーケノム社(Sequenom, Inc.))[8]に用いるための投入配列の境界を明らかにするために用いられた。この方法で、我々は高リスクHPV(図1)の個々の13タイプのそれぞれを識別することができた[1]。順方向および逆方向のプライマー、伸長プライマー、および競合配列は、表2に開示されている。いくつかの実施態様は、この目的のためにカスタマイズされ、我々が綿密に作成した別のソフトウェアを用いる、さらに徹底的なスクリーニングも含む。このソフトウェアを用いて、我々は、オリジナルのHPVの13タイプ、追加のHPV6タイプ、所定の小分注でヒトDNAの量の定量が可能なゲノムDNAシングルコピープローブ、ならびに淋菌(Neisseria gonorrhoea)およびトラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)のプローブを含む、22の配列タイプを含むプローブを作成した(例えば、表1A〜表1Cを参照)。一次PCR反応のための温度は、約60℃で、二次プライマー伸長反応のための温度は、約58℃である。
【0049】
多重rcPCR(multiplexed rcPCR)質量分析解析のためのPCR条件は、前述の通りである[18,19]。反応は、96ウェル(well)のマスタープレートを作成することで開始され、このマスタープレートからマルチメック(MultiMek)ロボットを用いて384ウェルの反応プレートを設けた。0aM(アトモル=10-18M)の所定の競合物が4ウェル、および各HPV系統に対して1aMの所定の競合物が4ウェルあった。特定のHPV配列に対して陽性だった反応は、次にそれぞれの陽性HPVに対して定量された。我々は、10aM、100aM、および1fM(フェムトモル=10-15M)の競合物を用いて、反応物を定量した。反応が滴定不能な程度に過度に陽性だった場合には、検体は1/100に希釈され、再度滴定された。
【0050】
マスアレイは均質なアッセイではないため、反応物を用意する際には注意が払われる必要がある。我々は、反応物を用意するために、また混入を最低限にするために、二台のロボット(最初のPCR前および後)を用いた。正常試料が陰性を示している全てのプレート中の常用コントロール(routine control)は、混入を防ぐためのこれらの手法が効果的だったことを裏付けた。本明細書に報告された全ての値は、少なくとも8つの独立のデータポイントの解析を表す。
【0051】
<コントロール試料>
我々は、組織、血清、末梢血、および尿沈渣に対する、一連のコントロールを試験した。組織コントロールは、正常胎盤由来のDNA試料だった。血清および末梢血のコントロールは、HPVに対する曝露の有無が不明な匿名の被験者の血清および末梢血から、我々が単離したDNA試料だった。尿沈渣は、正常なボランティアからのDNA試料だった。本明細書で報告された全ての例では、タックマンによるerbB-2コントロールプローブでの反応は陽性であり、QPCR品質のDNAが存在していたことが確認された。コントロール試料は、通常縮退HPV-DNAプローブに対して4ウェル全てで陰性であり、また稀に1/4ウェルで陽性だった。従って、我々は慎重を期して、≧3/4ウェルで陽性に反応した試料のみを使用した。
【0052】
パーキンエルマーモデル7700で分析された試料について前述の定義を用いると、縮退HPV-DNAは、0/40件の正常尿沈渣、0/27件の正常血清試料、0/20件の正常末梢血試料、および0/9件の胎盤(正常組織試料のコントロール)と反応した。さらに、質量分析PCRシステムによるより一層高感度の解析も、これらの正常試料のいずれにもHPV-DNAが存在しないことを示した。
【0053】
DNAシーケンシングの開始プライマーとして、高度に保存された逆方向プライマー(GP6+アナログ)を用いることで、我々はHPV-DNAタイプをジデオキシシーケンシング(dideoxy sequencing)によって決定することができた。我々は、以下の点を認めた。すなわち、
【0054】
縮退プローブは、全てのコントロール組織で適切に陰性だった。
【0055】
また、我々は住血吸虫症に関連した膀胱癌(表3)、頭頸部癌(表4)、および子宮頸癌(表5)における、HPV-DNA関与の証拠を見た。これは、HPV-DNAの関与を示唆する多数の文献と一致する。
【0056】
単なる追加の例の目的で、本発明の潜在的な実施態様を限定することなしに、腫瘍または子宮頸部シンプレップは、任意の病原性HPVの異なる13タイプを1回の反応で個別に特定するために、本発明の質量分析アッセイを用いて、最初の段階で13種類の病原性タイプの一つに対してスクリーニングされた[1]。HPVが細胞を変質させるために存在しているに違いない、HPVのE6領域由来の配列が得られた。発ガン性のHPV系統のE6タンパク質は、p53タンパク質と相互作用し、その変性を、ユビキチン依存性経路を介して促進する[20]。配列は、ヒトの癌に対して発ガン性である13種類の各HPVタイプのE6領域から得られ(http://hpv-web.lanl.gov/)、少なくとも一つの既存の方法であるダイジーンスクリーニングにより知られている[1、表2]。
【0057】
いくつかの実施態様では、限定的ではないが、配列は、良好な分子量スペーシングを得るために、PCRの至適温度を変化させ得る不適切なプライマーサイズの変化なしに調製される。我々は、表1A〜表1Cに詳説されたように、22のプローブを用いるさらに進展させた我々のスクリーニングに、この方法論を用いた。いくつかの実施態様では、デオキシグアノシン(deoxyguanosine)、デオキシアデニン(deoxyadenine)、またはデオキシチミジン(deoxythymidine)を「ワイルドカード」塩基であるデオキシイノシン(deoxyinosine)と置換することによって、15以下の隣接する塩基の利用がある。この構想は、16以上の塩基(およそ416)によって提供される置換の数がヒトゲノムのサイズより大きいように、ヒトゲノムのサイズに関連して導き出される。このような実施態様を用いることで、我々は内部デオキシイノシンの置換が、PCR条件またはPCRアッセイの性能に影響しないことを見いだした。22の標的配列に我々が用いたプライマーは、表1に列挙されている。従って、これらの実施態様において、ヒトゲノム中の所定の配列に関連しない限り、我々は>15ヌクレオチド長の配列は用いなかった(配列がヒトゲノム中で独自に表されるには、この長さでなければならない)。従って、いくつかの実施態様では、用いられた連続した配列は、ヒトゲノム中で独自に表されるには小さすぎる。
【0058】
さらに、いくつかの実施態様では、限定的ではないが、望ましい分子量スペーシングは、利用された質量分析アッセイアプローチに用いられた内部プライマーであるマスエクステンド(MassEXTEND)プライマー(例えば、表1Bおよび表1D)の5’末端へのスペーサー分子を要求に応じて付加することによっても実現された[8]。これは、PCR条件に影響するようなプライマー長の大きな変化なしに、つまり、PCRを至適化する均一条件での全てのプライマーセットの至適なPCR条件を維持したまま、我々のプライマー配列の望ましいスペーシングを実現する。総合すれば、デオキシイノシンおよび修飾因子を用いるアプローチは、いくつかの実施態様で用いられているように、このアプローチに適合したプライマーセットを作成することができる。
【0059】
いくつかの実施態様では、伸長されていないプライマーに対応する配列、野生型遺伝子(wild type gene)、および19種類の異なるHPVタイプそれぞれに対する内部競合物の間の分子量の重複<およそ20にならないように、配列が選択された。我々は、この手法の最後に19種類のHPVタイプが検出および定量できるように、どれだけのゲノムDNAが解析されたかを読み出すための基準であり、またクラミジアおよび淋病による感染の決定因子であるトラコーマクラミジアおよび淋菌のプローブも追加した。合計で、前記のシステムは、3x22=66の異なる各ピーク(質量分析法で識別されるピークは、伸長されていないプライマー、伸長されていないプライマー+野生型遺伝子配列(遺伝子の次のヌクレオチドによって、CまたはGのいずれかを加えた伸長されていないプライマー)、および伸長されていないプライマー+内部競合配列(競合物の次のヌクレオチドによって、CまたはGのいずれかを加えた伸長されていないプライマー))を識別する。これらの識別は、二つの分子量間のおよそ20ダルトンの分離を識別するという、質量分析法に基づく方法の能力に基づいている。
【0060】
図1は、本発明に従った、ダイジーン試験[1]でスクリーニングされる13種類の病原性HPVタイプ(HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68)についての質量分析アッセイスクリーニングの分析結果を表す。13の異なる高リスクHPVタイプ(HPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、および68[3])のそれぞれに対するマスエクステンドプライマー[16]の分子量に対応する、13の異なるピークが示される。ピークを伴わない線は、マスエクステンド競合物および遺伝子産物が位置する場所を表す(見込まれる合計3x13=39の重複しないピークを表し、簡単にするために、13の伸長されないピークのみが示されている)。
【0061】
図1は、様々なHPV-DNA配列を検出および識別する、本発明の能力を表す。いくつかの実施態様では、我々は、外部プライマーの適切なセット、および適切な伸長されていないプライマーであるマスエクステンド配列(およそ20nt)を、それぞれおよそ100ntのHPVのE6配列、ゲノムDNA基準、トラコーマクラミジア、および淋菌に対して用いた。およそ100ntの配列それぞれに対応するオリゴヌクレオチドは、1塩基を変更して(GをCに、またはCをGに)合成された。合成は、例えば、市販のオリゴヌクレオチド合成機(例えば、インテクレーテッドDNAテクノロジー(Integrated DNA Technologies、IDT)が提供するサービス)を用いて行われた。およそ100nt長のオリゴヌクレオチドは、19種の異なるHPVタイプそれぞれの内部競合配列、ゲノムDNA基準、トラコーマクラミジア、および淋菌に対応する配列を用いて合成された。およそ20ntのプライマーである22の配列のそれぞれについては(これらには、図1に示された質量分析の分析結果との抵触を排除するために、タグが付加された)、これらの約100nt長のオリゴヌクレオチドの右および左の端に、対応して合成された。最後に、質量分析アッセイの伸長プライマーは、この1つのヌクレオチドの違いを利用して、GまたはCに直接隣接する配列を含んで合成された(この場合、内部競合物は、野生型遺伝子配列を内部競合配列から識別可能なように、個別にGまたはCの組み込みをもたらした)。
【0062】
いくつかの実施態様では、プライマー配列は、野生型遺伝子配列および内部競合物と同一である。野生型遺伝子配列および内部競合物の間の唯一の違いは、伸長されていないプライマー配列に隣接する1つのヌクレオチドである。配列のこの同一性を前提とすると、野生型遺伝子配列および内部競合物の両方は、同じ効率で増幅される。結果として、内部競合物の既知の量の増幅は、本発明において、増幅された野生型遺伝子配列の量の定量に利用されることができる。
【0063】
いくつかの実施態様では、限定的ではないが、伸長されていないプライマー、伸長されていないプライマー+グアノシン、および伸長されていないプライマー+シトシン(cytosine)(3x22プライマー=合計66プライマー)は、約5000ダルトンおよび約8500ダルトンの間の分子量スペースに全て適合し、およそ20ダルトンの最低距離で隔てられなければならない。同時に、プライマーの長さは、狭い温度範囲内で全ての増幅が同じ温度で得られるように、プライマーがテンプレートとして結合および機能する要件を満たすように制限される。これらの目的を達成するために、我々は、伸長されていないプライマーの5’末端に様々な不活性スペーサー分子(inert spacer molecules)を付加する新規な戦略を開発した。
【0064】
いくつかの実施態様では、限定的ではないが、一次PCR増幅に用いられた増幅プライマーは、表1Aに示される。PCRを介した伸長に用いられるプライマーは、表1Bに示される。競合物の配列は、表Cに示される。我々が用いたスペーサーは、表1Dに詳説される。プライマー配列は、HPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82について示されている。我々は、erbB-2遺伝子のイントロン、および婦人科上の意味を持つ二つの感染症に対するプローブ(トラコーマクラミジア、および淋菌)を用いた、全ゲノムDNAの投入量の測定も含める。プライマー配列が試験され、利用可能であることが見いだされた。結果として、本発明は、19種類のHPVタイプについての同時スクリーニング、全ゲノムDNAの測定、ならびにトラコーマクラミジアおよび淋菌の感染に対する試験を含む。
【0065】
本実施態様の方法論は、腫瘍形成を含むがそれに限定されない原因による、血清および/または血液中に存在するHPVのタイプおよび量を測定するために、本明細書に述べられた本発明の別の側面と一体的に使われる可能性もある。選択されたHPVプローブをスクリーニングする場合、血清および/または血液中のスクリーニング手法は最大限に感度が高いため、HPVが存在するかどうか、および存在するならどのタイプのHPVかを判定するために、腫瘍および/またはシンプレップのスクリーニングが用いられる場合もある。そのHPVタイプは、次に、最大効率の血液および/または血清のスクリーニングに用いられ、もし数種類のHPVが存在する場合には、各タイプが独立にスクリーニングされる場合もある。本発明のこの実施態様の成功は、血清および/または血液中よりも高い濃度で存在している腫瘍またはシンプレップ中のHPVの存在を活用している。一度HPVタイプが判定されれば、血清および/または血液は、腫瘍中に見いだされたHPVタイプに対して最大限の感度でスクリーニングされることも可能である。
【0066】
前述の通り考察されたように、ダイジーン試験は、どのHPVタイプが子宮頸部シンプレップ中に見いだされるかは明らかにしない。このことは、13種類の病原性HPVタイプ全てに対する全般的なスクリーニングではなく、既知の単一病原性HPVタイプのみに対するスクリーニングの場合、いくつかの実施態様で血清および/または血液に適用されたように、本発明が最も感度が高いために、重要になる。癌および異形成の症例の血清および血液中に、ほんのわずかなHPV-DNAしか存在しないことがしばしばあることを考慮すると、本発明の高感度質量分析アッセイ解析[3]であっても、利用者は感度を上げるために、一度に一つのHPVプローブのみでこのスクリーニングを行うことを望む可能性もある。
【0067】
限定的ではないが、本発明のいくつかの好ましい実施態様は、以下の方法によりダイジーン反応の短所に取り組む。
【0068】
1.質量分析アッセイスクリーニングの多重機能の適用を含む。
【0069】
2.各HPVのタイプ特異的な反応産物の分子量が、±およそ20ダルトン以内の正確さであり、所定のHPVタイプの配列に対して特異的であるために、関連したHPV配列由来の交差反応がない正確な診断が実現する。実際、本発明の質量分析アッセイ試験は、ダイジーンスクリーニングで別のHPVウイルスと交差反応なしに、検出可能な13種類の病原性HPVの各タイプを識別する(図1)。
【0070】
3.本発明の質量分析アッセイは、個々の分子レベルまで陽性である(このレベルでは、期待されるポアソン分布が見られる可能性もある)。
【0071】
4.また、本発明の質量分析アッセイ反応は、子宮頸部シンプレップ中に、どのHPVタイプが存在しているかを識別する。選択されたHPVプローブがスクリーニングされた場合には、血清および/または血液のスクリーニング手法は最大限に高感度であるため、腫瘍および/またはシンプレップのスクリーニングは、HPVが存在するかどうか、および存在するならどのHPVタイプかを、判定するために用いられる。その特定のHPVタイプは、次に、血液および/または血清の最大限の効率でのスクリーニングに用いられる。このスクリーニングの成功は、血清および/または血液中よりも高い濃度で存在している子宮頸部擦過標本または腫瘍のシンプレップ中のHPVの存在を活用している。シンプレップまたは腫瘍中で一度HPVタイプが判定されれば、血清および/または血液は、腫瘍中に見いだされたHPVタイプに対して最大限の感度でスクリーニングされることも可能である。
【0072】
いくつかの好ましい実施態様では、限定的ではないが、本発明の第二段階(段階2)において一度HPVタイプが特定されれば、体液(例えば血清および血液)または再発腫瘍、もしくは反復シンプレップが、段階1で判定されたHPVタイプを用いてスクリーニングされる。これらの研究は、HPVのタイプおよび持続性に、限定を伴わない単なる一例としては、過去に疾患を治療した個人において遺残膿瘍が存在しているかどうかを判定する上で、予後の用途があるかどうかを検討するために、長期的に実施されてもよい。たとえ解析にタックマン手法が用いられたとしても、血清および/または血液中のHPVの解析は十分の感度または特異性がないため、本発明無しにはこのような研究は不可能である。対照的に、本発明を用いた我々の現在の研究は、本発明の高感度で特異的な質量分析アッセイ手法での、血清および血液両方の研究の実行可能性を示している。
【0073】
別の例として、限定的ではないが、質量分析アッセイシステムを含むいくつかの実施態様では、HPV16DNAは、そのDNAが調製された住血吸虫症に関連した膀胱腫瘍の24件全てで検出された(表3の右側)。これらのサンプルの一つを除く全てでは、対応する血清も陽性だった。腫瘍DNAが入手できなかった追加の3症例では、血清は、HPV16DNAに対して陽性だった。HPV16DNAは、住血吸虫症に関連した膀胱癌の症例の、全てではないが大部分の尿沈渣で検出された。これらのデータは、住血吸虫症に関連した膀胱癌における、HPV16感染の関与を意味する。比較すると、リアルタイムタックマンQPCRは、いくつかの実施態様の質量分析アッセイ解析(表3の右側)ほどには高感度ではなかった(表3の左側)。これらの症例由来の血液(軟膜)は、リアルタイムQPCRおよび質量分析アッセイの両方で、一律に陰性だった(データは示されていない)。HPV-DNAの存在を示す正常でない測定値は、ボールド体で示した。アトモル(aM)=10-18M、フェムトモル(fM)=10-15M、PCRには5μLを用いた。1aMはおよそ3分子に相当する。
【0074】
本発明の質量分析アッセイ結果(表3の右側)の、旧来のインサイチューハイブリダイゼーションのデータ[10]および標準的な40サイクルでのタックマンのデータ(表3の左側)との比較は、インサイチューハイブリダイゼーションまたはタックマンQPCRのいずれよりも本発明がより高感度であることを示している。表3の左側のデータの再現性の欠如(データは示されていない)は、タックマン手法がその感度の限界で行われており、正確でないことを示している。さらに、タックマン手法は、腫瘍、血清、および尿沈渣の間で、量的な区別ができない。いくつかの実施態様の質量分析アッセイ法を正確に反映するために、55サイクルのタックマンRT-QPCRも試みられた。シグナルおよびノイズの間の改善は見られず、タックマン手法の限界が強調された。対照的に、本発明から得られた表3の右側の値は、血清および/または尿沈渣よりも腫瘍がより陽性であるという、期待された知見と矛盾がない。
【0075】
この実施例において、特異性および感度の両方が、本発明の実施態様である質量分析アッセイにおいて維持された。本発明を用いることで、試験された全ての住血吸虫症に関連した膀胱癌(24/24)、これらの症例由来のほぼ全ての血清(26/27)、およびこれらの症例由来の尿沈渣の大部分(15/24)で、HPV16DNAが検出された。これらの症例からの血液は、検出可能なHPV-DNAを含まなかった(データは示されていない)。
【0076】
関連した実施例では、HPV-DNAの存在が、単純に住血吸虫症によるものではないことが示された。住血吸虫症が存在し、膀胱癌の疑いがあるが臨床的に証明されなかった、10症例が試験された。症例のうち8例では、HPV16またはHPV18DNAは血清中に認められず、症例中2例では、HPV16DNAが認められた。このことは、HPV-DNAは、住血吸虫症自体とは関連していないが、むしろ膀胱癌を伴う住血吸虫症症例における腫瘍の成長に関連していることを示す。このことは、臨床データが示唆的であるが決定的ではない曖昧な症例において、本発明の利用により診断を補助できることを例証している。
【0077】
このことは、腫瘍除去後に、血清のHPV16DNAが急速に消失することも示す。住血吸虫症の7人の被験者の血清は、癌性膀胱の外科的除去後2週間以内に検査された。7症例全てにおいて、血清中にはHPV16DNAは検出されなかった。外科処置前の血清は入手できなかったものの、HPV16に対して腫瘍が一貫して陽性である性質は(表3)、HPVがおそらく存在したが外科処置によって根絶された事を示す。
【0078】
頭頸部癌の診断時に得た対応した腫瘍、血液、および血清の試料に、HPV-DNAが存在するかどうかも検討された。各試料について、原発腫瘍部位は与えられている。タックマン蛍光QPCRでの解析も試みられたが、血液および血清中にHPV-DNAを検出せず、タックマン手法は臨床的に有用となるには感度が十分ではないという、他の研究による知見と一致した[3,21]。対照的に、本発明に従った質量分析アッセイ解析は、表4に要約された結果をもたらした。HPV16DNAの存在を示す測定値は、ボールド体で示した。
【0079】
腫瘍、血清、および血液が、頭頸部癌の症例から単離された(全ての被験者に対して全ての試料の種類が入手可能ではなかった。欠けている試料は空欄で表される)。HPV16DNAの質量分析アッセイ判定は、これらの腫瘍、血清、および血液試料で行われ、HPV18DNAプローブでは、これらの試料のいずれも陽性は無かったが、我々がDNAシーケンシングを行った別の頭頸部腫瘍試料は、HPV18DNAに対して陽性だった。HPV-DNAの存在を表す異常測定値は、ボールド体で示した。アトモル(aM)=10-18M、フェムトモル(fM)=10-15M。
【0080】
頭頸部前部器官(例えば、舌、扁桃腺)の腫瘍については、HPVに対して陽性であり、後部器官(例えば、喉頭、声門上領域)の腫瘍については、HPVに対して陰性であるという、顕著な偏りがある。それは、過去の報告[22〜29]と一貫している。我々は、HPV16DNAおよびHPV18DNAに対して陰性だった口腔腫瘍を(16症例中)3例のみ認めた(陰性の口腔腫瘍は、他のHPVタイプに対して陽性である可能性も依然としてある)。我々は、口腔後部でHPV16に陽性だった症例を、(下咽頭部腫瘍)10症例中1腫瘍のみ認めた。腫瘍が陽性で、血液および血清の両方が解析可能だった9試料からは、腫瘍がHPV-DNAに対して陽性の例があり、ここではHPV-DNAが、血清のみで、血液のみで、または血清および血液の両方で識別された。
【0081】
子宮頸癌は、ほぼ一様にHPVと関連している[16,22]。子宮頸部腫瘤および異形成における13種類の高リスクヒトパピローマウイルス(HPV)配列に対して、本発明に従った質量分析アッセイを用いることで、我々は以下の点を認めた。
【0082】
1. 実質的に全ての腫瘍は、13種類の病原性HPVタイプの一つを有することが実証され、病原性HPVタイプの量は、継続的にゼロへと減少していた。非病原性HPVは、異形成に認められたが、基本的に腫瘍は存在せず、HPVタイプの限られたグループが子宮頸部の発癌に関与しているという概念を支持している。数ウイルスのレベルまで検出する質量分析アッセイの他とは異なる能力は、他の方法では実現不可能な極めて低いレベルであっても、病原性HPVタイプの検出を可能にした。
【0083】
2. 子宮頸部腫瘍では、HPVタイター(titers)は、通常1HPV分子/半数体腫瘍ゲノム未満であり、異形成で見られる最も高い値よりも数桁低い値である。これは、HPV感染は異形成の成長に必要であるが発癌には不十分であるという「ヒット・アンド・ラン(hit-and-run)」モデルと一致している。
【0084】
3. 実質的に全ての病理的に異常な(CIN1または2)子宮頸部異形成は、13種類の病原性HPVタイプの一つを示した。我々は、異なるタイターでの複数タイプの病原性HPVをしばしば認めた。病原性HPVによるこれらの多重感染は、病理的に異常な異形成の場合、腫瘍の場合よりも一般的だった(72%対17%)。さらに、他の方法論を利用することで、我々はしばしば、その他のHPVタイプが高タイターで異形成に存在するのを検出した。しかし、我々はこれらのタイプを腫瘍中に検出せず、腫瘍形成は、我々の質量分析アッセイの範囲になっている一連の限られたHPVタイプに起因するということを示している。
【0085】
4. さらに、現在、臨床的に用いられているダイジーンHC2法によるその他のHPVタイプの検出は、この試験から生じる偽陽性に関与している。質量分析アッセイは、この問題を軽減する。
【0086】
現在の子宮頸部疾患の検出方法は、1.剥離した子宮頸部細胞の細胞学的異常の検出で、G.N.パパニコロウ(G.N.Papanicolaou)博士により開発された「パップ(Pap)」スメア検査[30]、および、2.HPV感染の検出[1]、の主に二つの手法に依存している。細胞学の主要な欠点は、試験を実施するにあたって、不確かな観察者間の信頼性、限定された感度(≦85%)、および高度に訓練された個人への依存である[30,31]。実際、反復スクリーニングによってのみ、パップスメア検査の感度が、臨床的な目的に十分となると考えられている。従って、個人の定期的な追跡検査の失敗、および繰り返された細胞学的パップ検査でも子宮頸部異常がある個人全員を検出することはできないことの両方が原因で、スクリーニングが実施された集団でも子宮頸癌が発生する。
【0087】
細胞学的な方法に代わる別の方法は、実質的に全ての子宮頸癌の必要原因であるHPVの直接的な検出を行うことである[1,5,32]。HPVは現在、子宮頸部悪性腫瘍に関連する13種類の高リスクHPVの検出にタイプ特異的なハイブリダイゼーションプローブのカクテルを用い、縮退オリゴヌクレオチド[15,33,34]を用いるPCRである、FDA承認済みのHC2テスト(商標)(メリーランド州ガイサースバーグのダイジーン社)[1]、または、存在しているHPVを検出し、型を検査するロシュ[35]による一連の診断試験[1]のいずれかによって検出される。これらの方法の主な欠点は、感度、特異性、および定量的な能力が限定される点である。感度は、これらの試験で検出されるにはおよそ102〜103分子が必要であるとされる感度に限定されている[1,13]。特異性は、HC2と非高リスクのHPV系統との交差反応のために限定されている。およそ10%のチャンスで、非高リスクのHPV系統との交差反応が生じる[2][2,36]。さらに、HC2テストは、正確な定量は容易にはできない。HC2による定量的な区別は、総細胞含量に対する標準化は滅多に行われないために限られ、試験のばらつきは限定され、複数のHPV配列が存在する場合には、どのHPVタイプが観察されたシグナルに関与しているかを定量するのは不可能である。これらの制限に対処するためにロシュの一連の手法を用いた場合、複数タイプのテストが必要であり、試験を成し遂げるのがさらに難しくなる。これらの難しさのために、定量は複雑で、ほとんど実施されない。
【0088】
対照的に、我々は、子宮頸部HPVのタイプ特異的な識別および定量が、最終的に血液および血清試験と組み合わされることもできる、子宮頸部異形成を監視するための質量分析アッセイに基づくアプローチを含む、発明を開示する。我々の研究のいくつかでは、FDA承認のHC2法で検出された高リスク系統と同じ13種類のHPVタイプ(HPV16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、および68)を用いた[1]。プライマー配列および分子量、ならびに競合配列は、表2に示されている。
【0089】
いくつかの実施態様の質量分析アッセイを用いて、35件の血液コントロール試料において、13種類のHPVタイプに対するプローブで調査した際、我々は、HPVが適切に、全く存在しないことを認めた(データは示されていない)。これは、きわめて感度の高い手法が、偽陽性のバックグラウンドを生じないことを示す。我々のデータから、いくつかの点が浮かび上がる。第一に、我々は、質量分析アッセイにおいてHPVタイプ間の交差反応がないよう、13種類の各病原性HPVタイプで独立に試料を観察した。この点を裏付けるように、複数タイプが存在した場合に、他のHPVタイプと共に見いだされるものと一致したHPVタイプは、見いだされなかった。第二に、質量分析アッセイは、これらの最も低いレベルでのポアソン分布により裏付けられるように、個々の分子レベルでの感度を実現する。第三に、これらの13タイプのHPVの多重感染は、HC2陽性の病変(32%=36/113)よりも、CIN I/IIの異形成(72%=70/97)でより一般的である。第四に、細胞当たりのウイルスタイターは、腫瘍よりも異形成でより高い(腫瘍に対する値は、一様に半数体ゲノム相当あたりに<1コピーのHPVを示すのに対して(図3A)、パップ試験陽性の異形成では、半数体ゲノム相当あたりに約103コピーのHPV(図3B)、およびHC2陽性の異形成では、半数体ゲノム相当あたり104コピーのHPV(図3C)までの範囲の値である)。従って、試料に対して最も多いHPV配列の中央値は、HC2陽性の試料では約8.4x100、CIN I/IIの試料では約3.0x10-1、および腫瘍では約2.9x10-2だった。このように、HPVタイターの中央値は、腫瘍では、異形成よりも一桁から二桁の規模で低い。比較すると、パップスメア検査で正常の女性由来の試料の大部分は、HPVを持たないか、あるいは低いタイターのHPVがあっただけだった(図3D)。第四に、13種類の病原性HPVタイプの一つが、全ての子宮頸部腫瘍に実際に存在した(81/82、表5)。全ての例で、病原性HPVの量は、ゼロコピー/半数体ゲノムまで間断なく様々な値をとった。
【0090】
この結果は、最も低いタイターでは、質量分析アッセイのみがHPVタイプの検出のために十分高感度だった腫瘍試料を含んでいた。我々は、他の感度が劣る手法では不可能だった、非常に少量(約1aM=個別分子まで)のHPVを質量分析アッセイにより検出した。実質的に全ての腫瘍が13種類の病原性HPVタイプの一つを保持していたという知見は、材料および方法で述べられたような縮退プライマーで開始されたDNAシーケンシングで確認された(表5)。DNAシーケンシングに利用可能な分子数が不十分だったことによるDNAシーケンシングの失敗を除き、関連したHPVタイプが13種類の高リスクHPVタイプの一つだった質量分析アッセイの結果を、我々は常に確認した。
【0091】
質量分析アッセイにより検出されたHPVタイプおよび縮退DNAシーケンシングによって検出されたタイプとの間には、優れた一致があった。二つの手法は別々の標的を持ち、ゆえに異なっていることから、予期され得るわずかな不一致があった。質量分析アッセイでの、HPV31がわずか約2aMという結果の例では、DNAシーケンシングは、13種類の病原性HPVタイプには見あたらないタイプ(しかし、19種類のHPVタイプを対象とする我々の新しいスクリーニングには含まれている)であるHPV73を検出した。従って、この腫瘍は、DNAシーケンシングの検出能以下の病原性HPV31と共に、両方のHPVタイプを有していた。その他に質量分析アッセイおよびDNAシーケンシングの結果の間に、3つの不一致の例があったが、いずれの例においても、DNAシーケンシングによって、13の病原性タイプのグループに属するHPVタイプのみが同定された。
【0092】
<病理学的子宮頸部異形成における、質量分析アッセイ、リバースラインブロット、および縮退DNAシーケンシング>
我々は、子宮頸部上皮内新生物CIN IまたはCIN IIに分類される異形成があると判定された病理学的に異常な試料に対する、質量分析アッセイおよびリバースラインブロット[12]の結果の比較を行った。49試料に対して、質量分析アッセイ手法が約40aM以上の濃度で13種類の病原性HPVタイプの一つの存在を示した場合には、質量分析アッセイおよびリバースラインブロットの間には完全な一致があった(データは示されていない)。しかし、さらに少量のHPVでは、この一致は崩れた(表6)。DNAシーケンシングおよびリバースラインブロット法が共に<約40aMの量では、13種類の高度病原性のHPVタイプの検出に失敗するか、または別のHPVタイプを検出したが、質量分析アッセイ解析は、一貫して<約40aMの量で13種類の病原性HPVタイプの一つを検出した(表6)。我々は、リバースラインブロットで認められたHPVタイプまたは別の非病原性のHPVタイプのいずれかを示したこの結果(一部分のみが重複するリバースラインブロットおよびDNAシーケンシングによって検出されたHPVタイプの範囲は、なぜこれらの二つの手法が異なる答えを与える可能性があるのかを説明する。しかし、両方の手法は、13種類全ての病原性HPVタイプに利用可能である(縮退シーケンシング法を用いると十分に増幅しないHPV52を除く))を、縮退DNAシーケンシングによって確認した。その他の感度が劣る方法では正しく評価され得ない低タイターについてのこの結果が、コントロールの血液試料(HPVは存在せず)またはパップテスト陰性試料(試料の大部分にはHPVは存在せず(図3D))と異なる点に留意されたい。このことは、過去に顕著だったが現在は消滅しつつあるHPV感染の消失しつつある痕跡を表すと思われる、これらの過去に正しく評価されなかった病原性HPVの低タイターの重要性を、強く主張する。これは、大部分のHPV感染が、6ヶ月〜2年後に完治するという観察と一致する。同時にこのことは、長期的に追跡することが可能であったならば、自然に症状が治まった(self-limited)であろう病巣を切除するための数多くの外科的処置を回避し得る、長期的なタイターを得ることの重要性を主張する。
【0093】
<HC2陽性の異形成における、質量分析アッセイ、リバースラインブロット、および縮退DNAシーケンシング>
病理学的に異常な子宮頸部異形成の試料と同様に、質量分析アッセイは、リバースラインブロット法、縮退DNAシーケンシング法、またはHC2よりも、一層高感度である。約50コピー以上の病原性HPVタイプが識別される場合には、質量分析アッセイとリバースラインブロット法との間に、約500コピー以上の病原性HPVタイプが識別される場合には、質量分析アッセイと縮退DNAシーケンシング法との間に、および約5000コピー以上の病原性HPVタイプが識別される場合には、HC2と質量分析アッセイとの間に、優れた一致がある。3つの手法全てにわたる良好な一致は、質量分析アッセイで約5000コピーを超える試料により解析されたHC2陽性の試料98/125件のうち、これらの例で観察された(表7)。病原性HPVのタイター<約5000コピーの残りの27/125件のHC2(+)の例では、リバースラインブロットおよび/または縮退DNAシーケンシング法は、我々の質量分析アッセイで検出された13種類の高度病原性タイプ以外のHPVタイプを検出した(表8)。これらは、偽陽性であるHC2によって同定された異形成の中で、有意の割合を含んでいると思われる[2,36]。
【0094】
DNAシーケンシングで検出されるHPVを含まない試料は、単一のHPVタイプからDNA配列を得るのを妨げる、類似した濃度の複数のHPVタイプを含む試料、プライマーとあまりに異なるために縮退プライマーで増幅できないHPVタイプを含む試料、および/または増幅を得るのに十分なHPVを含んでいない試料から構成されている可能性もある。
【0095】
子宮頸部腫瘍が検出可能なHPV16DNAを有する18例中17例では、我々は、血清および/または血液も、検出可能なHPV16DNAを有することを見いだした。腫瘍がHPV16DNAおよびHPV18DNAに対して陰性だった3例はいずれも、血清および/または血液中に、HPV16DNAまたはHPV18DNAのどちらも検出されなかった。頭頸部癌で我々が観察したように、血液および血清は、多くの子宮頸癌症例で結果が異なった。腫瘍で陽性だった18試料のうち、8例は血清および血液の両方で陽性、5例は血清で陽性だったが血液では陽性でなく、4例では血液で陽性だったが血清で陽性でなく、1例は血清および血液の両方で陰性だった。
【0096】
子宮頸部異形成の女性由来の血清および血液試料は、次に本発明に従って分析された。これらの女性は誰も、血清または血液において、縮退プローブを用いるタックマン解析で検出可能なHPV-DNAを有していなかった。対照的に、一部の実施態様を含む質量分析アッセイ解析は、子宮頸癌(表9)または高度の異形成(表10)の個人の小集団からの血清および/または血液中に、少量のHPV16DNAを検出した。子宮頸部の高度異形成の5例のうち4例は、HPV16DNAに対して陽性だった。HPV16DNAが、重篤度は不明の異型扁平上皮細胞がある個人、ならびに悪性度1の外陰上皮内新生物および低悪性度の子宮頸部異形成と診断された別の対象からの血清中にも検出された。活性な病巣を持たない個人の血清または血液中には、HPV16DNAは検出されなかった。さらに、インサイチューの過去の高悪性度の異形成または上皮内癌の除去に成功した後の血清または血液でのHPV16DNAに対する質量分析アッセイ試験は、常に陰性だった(症例4、5、6、15、16、17、22、24、27、44)。これらの症例では、異形成除去前は、試料が入手できなかった。血清または血液にHPV-DNAを含まない高悪性度の子宮頸部異形成のあった一人の対象(症例1)は、その時に用いたHPV16またはHPV18プローブ以外のHPVタイプを保有していた可能性もある。
【0097】
我々は次に、子宮頸部異形成の個人の血液および/または血清中のHPV16もしくは18以外のHPVタイプを我々が識別できたことを確認するために、これらの知見を拡張した。表11に示されるように、相当な割合の血液および/または血清試料は、子宮頸部異形成にウイルスが存在する場合には、HPVに対して陽性だった。これは、HPVタイプが16または18以外のいくつかの症例を含んでいた。これは、個別の分子レベルまで検出可能な高感度手法での、血液および/または血清モニタリングの臨床的利用の可能性を強調する。
【0098】
これは、考えられる実施態様の範囲を限定せずに、本発明のいくつかの実施態様を含む、高感度で特異的な定量的質量分析アッセイの有用性を示している。研究は、異形成中よりも腫瘍中に存在するHPVがより少なく、また、少量の病原性HPVが、HPVが存在していない場合、もしくは他の低病原性または非病原性のHPVタイプが存在している可能性がある場合のいずれかの場合に、多くの腫瘍および異形成に存在するという重要な点を示している。具体的には、基本的に全ての腫瘍における、ゼロへと継続的に量が減少する病原性HPVについての知見は、腫瘍を引き起こす別のHPVタイプのリスクは非常に低い、限られた一連の病原性HPVタイプが存在するという仮説を支持する。最後に、血液および/または血清中の非常にタイターが低いHPVが正しく評価されたのは、この高感度手法の応用によってのみである。この知見は、異形成または癌の人々でのみ生じ、異形成の除去で消失するため、これらの病巣の検出および/またはこれらの病巣を除去する手法の治療効果をモニターする優れた方法を意味するはずである。
【0099】
限定的ではないが、本発明のいくつかの実施態様に従えば、このレベルのHPVの識見に達するための手法開発は、高感度で特異的な方法での、量が少ないHPV配列を検出する能力を含む。従って、本発明は、個別のHPVコピーの診断に必要な感度および特異性を達成する能力ならびに有用性を初めて含む。従って、本発明は、このレベルの感度および特異性を達成するシステム、組成、および/または方法を含み、子宮頸部異形成は血液および/または血清中の検出可能なHPVと関連しているが、正常であることは、血液および/または血清中の検出可能なHPVと関連しないといった知見など、以前は十分に評価され得なかった事象の検出を可能にする。このことは、頻繁な偽陽性[4]、および血清HPVが検出される場合には偽陰性(我々の未発表の結果による)を生じる、不十分なタックマン手法の利用を回避する。
【0100】
本発明のさらなる利点は、感度および特異性と同様に、子宮頸部試料(全DNAに対する標準化後)[7]、血清、および/または血液における、より高いレベルに反映されるより高いHPV負荷と恐らく関連している、より大きいまたはより活発な腫瘍により、腫瘍の負担の判定が可能になるように、定量的であることである。さらに、血清および/または血液が冒されているかどうかの判定から享受する、臨床的利点があると思われる。例えば、血行性散布(hematogenous spread)している腫瘍は、血液中の存在の上昇と関連しており、また一方で、溶解が進展しつつある腫瘍は、血清中の存在の上昇と関係していると思われる。要するに、質量分析アッセイ手法は、完全な特異性をもたらすと同時に、より高感度である。この有用性は、これらの腫瘍を発症するリスクがある集団のメンバー、および過去に腫瘍が診断されて現在観察下にある個人の両方に対して及ぶ。
【0101】
限定的ではないが、本発明の好適な実施態様は、ヒトの患者における、本明細書に述べられた癌を検出するシステム、方法、および組成を含み、これらは、例えば限定的ではないが、血液、血清、尿試料、およびその二つ以上の組合せなどの生体試料を患者から得る段階、例えばダイジーン試験といった現在承認されたあらゆる試験を上回る検出感度を有する手法であって、限定的ではないが本明細書に記載された手法などの手法に従って試料中のHPVゲノムのコピー数を検出する段階、および、本発明に教示されたように、シングルコピーレベル並に低い試料中のHPVの存在が患者における癌を示す場合に、試料の、既知の体積中のHPVゲノムのコピー数またはその他の濃度基準(concentration measure)を計算する段階によって、検出する。単なる一例として、限定的ではないが、ダイジーンテストは血清試料あたり5000コピー未満の検出は不可能であるが、本発明は、シングルコピーレベルまでの検出能力を含む。
【0102】
本発明は、従来は不可能だった本明細書で述べられた観察を可能にした、非常に高感度レベルでの検出を達成するためのシステム、組成、および/または方法を含む。従って、本発明は、体液中の少量のHPVが、癌または異形成に関連しており、その後の腫瘍または異形成の除去によって除去され得るという知見を含んだ。実際、子宮頸部異形成が検出可能な異常を血清および血液に生じるが、正常なコントロールの血清および血液は陰性であるという知見は、全く新規なものである。過去の特許請求は、偽陰性を防ぐのに十分に高感度ではない手法、および/または、偽陽性を防ぐのに特異性が十分に高くなかった手法による血液のスクリーニングを用いていたために、血液が頭頸部癌および子宮頸癌の両方に有用である、本発明に従った判定も、新規性を有する。血清中のHPVを検出する過去の取り組みは、十分に高感度および/または特異的ではなかった手法のいずれかを用いた。本発明の、より高感度で特異的な質量分析アッセイシステムを用いることで、限定された、また測定可能な血清HPVレベルと関連する住血吸虫症に関連した膀胱癌、子宮頸癌、頭頸部癌を、高い比率でHPV検出することも可能である。
【0103】
本発明は、シングルコピーレベルまで検出する十分に高感度で特異的な分析方法(にもかかわらず、非常に少数において、ポワソン分布固有の不確実性によって与えられる避けられない限界は、複数の解析を行うことで回避されることもできる)を用いた場合、尿沈渣、血清、および/または血液の非常に高感度で特異的な解析は、癌または異形成においてHPVに対して陽性であることが示され得るという知見を含む。さらに、血清および/または血液中のHPVは、子宮頸部異形成の場合では検出されることもあり、その後異形成が切除された場合には消失する。総合すると、本発明は、リスクがある対象もしくは異形成または癌の治療を受けた対象において、HPVに関連した癌が存在しているかどうかの判定を可能にする。
【0104】
全ての参照文献は、本明細書中に全てが示されたものとして、完全に参照されて組み込まれる。
【0105】
本発明は、前述の好ましい他に採り得る実施態様に対する参考資料と共に、具体的に示され述べられてきたものの、本発明の実践において、特許請求の範囲で定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で述べられた本発明の実施態様に代わる様々な手段が採用される可能性があることは、当業者には理解されるべきである。本発明のこの説明は、本明細書で述べられた要素の新規で非自明な組合せの全てを含むことは理解されるべきであり、またこれらの要素の新規で非自明なあらゆる組合せについての特許請求の範囲は、本出願または後の出願において提示される可能性もある。前述の実施態様は例証であり、いずれの特徴または要素も、本出願または後の出願において特許請求される可能性もある全ての組合せに必須ではない。請求項が、その均等物の「一つの(a)」または「第1の(a first)」要素を列挙する場合、このような請求項は、二つ以上のかかる要素を必要とするのでも除外するのでもなく、一つ以上のかかる要素の組み込みを含むことは、理解されるべきである。特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義すること、および、これらの特許請求の範囲内のシステム、方法、および組成、ならびにこれらの均等物が、特許請求の範囲によって対象とされることが、意図されている。
【0106】
〔参考文献〕






【0107】
〔実施の態様〕
(1) ほ乳類の生体試料におけるHPV-DNAの検出、同定、および/または定量のための方法において、
ほ乳類の生体試料からDNAを抽出する段階と、
少なくとも一つの競合配列(competitor sequence)の存在下で、前記抽出されたDNAの少なくとも一部のPCRによる一次増幅を実施する段階であって、
前記競合配列が、既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致(homologous)したポリヌクレオチドを含み、
前記競合配列が、前記のHPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、
段階と、
前記既知のHPVタイプに対する少なくとも一つの伸長プライマー(extension primer)、および、少なくとも二つの異なるジデオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
前記既知のHPVタイプに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを質量分析法によって測定する段階と、
を含む、方法。
(2) 実施態様1に記載の方法において、
前記ほ乳類の生体試料が、体液または組織試料である、方法。
(3) 実施態様1に記載の方法において、
前記測定段階が、約200アトモル未満の濃度の任意の増幅された伸長プライマーの測定を含む、方法。
(4) 実施態様1に記載の方法において、
前記一次増幅が、異なる既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを各々が含む複数の競合配列タイプの存在を含み、
前記競合配列タイプが、前記個別のHPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有し、
前記二次増幅が、各々が異なる既知のHPVタイプに対する複数の外部プライマータイプの存在を含む、方法。
(5) 実施態様4に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、HPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82のうちの二つ以上を含む、方法。
(6) 実施態様4に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、少なくともHPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82を含む、方法。
(7) 実施態様4に記載の方法において、
淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在下で、前記抽出されたDNAの少なくとも一部のPCRによる一次増幅を実施する段階であって、前記競合配列が、前記淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、段階と、
前記淋菌またはトラコーマクラミジアに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および少なくとも二つの異なるジオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
質量分析法によって淋菌またはトラコーマクラミジアに対する任意の増幅された伸長プライマーの濃度を測定する段階と、
をさらに含む、方法。
(8) 実施態様1に記載の方法において、
前記一次増幅が、erbB-2遺伝子のDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在を含み、前記競合配列が、前記erbB-2遺伝子中に存在しないヌクレオチド置換を有する、方法。
(9) 実施態様1に記載の方法において、
前記測定段階の後に、ほ乳類における子宮頸癌、子宮頸部異形成、子宮頸部上皮内新生物、肛門癌、肛門上皮内新生物、頭頸部癌、住血吸虫症に関連した膀胱癌、またはパピローマを診断、モニタリング、または評価する追加の段階、
を含む、方法。
【0108】
(10) 実施態様1に記載の方法において、
少なくとも一つの競合配列が、SEQ ID No.67、SEQ ID No.68、SEQ ID No.69、SEQ ID No.70、SEQ ID No.71、SEQ ID No.72、SEQ ID No.73、SEQ ID No.74、SEQ ID No.75、SEQ ID No.76、SEQ ID No.77、SEQ ID No.78、SEQ ID No.79、SEQ ID No.80、SEQ ID No.81、SEQ ID No.82、SEQ ID No.83、SEQ ID No.84、およびSEQ ID No.85からなる群から選択される、方法。
(11) 実施態様10に記載の方法において、
SEQ ID No.86、87、および88からなる群から選択された、少なくとも一つの競合配列をさらに含む、方法。
(12) 実施態様1に記載の方法において、
前記一次増幅が、SEQ ID No.1およびSEQ ID No.23、SEQ ID No.2およびSEQ ID No.24、SEQ ID No.3およびSEQ ID No.25、SEQ ID No.4およびSEQ ID No.26、SEQ ID No.5およびSEQ ID No.27、SEQ ID No.6およびSEQ ID No.28、SEQ ID No.7およびSEQ ID No.29、SEQ ID No.8およびSEQ ID No.30、SEQ ID No.9およびSEQ ID No.31、SEQ ID No.10およびSEQ ID No.32、SEQ ID No.11およびSEQ ID No.33、SEQ ID No.12およびSEQ ID No.34、SEQ ID No.13およびSEQ ID No.35、SEQ ID No.14およびSEQ ID No.36、SEQ ID No.15およびSEQ ID No.37、SEQ ID No.16およびSEQ ID No.38、SEQ ID No.17およびSEQ ID No.39、SEQ ID No.18およびSEQ ID No.40、ならびにSEQ ID No.19およびSEQ ID No.41からなる、前記既知のHPVタイプに対する、少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含む、方法。
(13) 実施態様12に記載の方法において、
前記一次増幅が、SEQ ID No.20およびSEQ ID No.42、SEQ ID No.21およびSEQ ID No.43、ならびにSEQ ID No.22およびSEQ ID No.44からなる群から選択された少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組をさらに含む、方法。
(14) 実施態様1に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、SEQ ID No.45、SEQ ID No.46、SEQ ID No.47、SEQ ID No.48、SEQ ID No.49、SEQ ID No.50、SEQ ID No.51、SEQ ID No.52、SEQ ID No.53、SEQ ID No.54、SEQ ID No.55、SEQ ID No.56、SEQ ID No.57、SEQ ID No.58、SEQ ID No.59、SEQ ID No.60、SEQ ID No.61、SEQ ID No.62、およびSEQ ID No.63からなる群から選択される、方法。
(15) 実施態様14に記載の方法において、
前記二次増幅が、SEQ ID No.64、SEQ ID No.65、およびSEQ ID No.66からなる群から選択される、少なくとも一つの伸長プライマーをさらに含む、方法。
(16) 実施態様1に記載の方法において、
前記一次増幅が、前記既知のHPVタイプに関連した少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含み、
それら配列が各々、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
(17) 実施態様1に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
【0109】
(18) ほ乳類の体液の非細胞画分におけるHPV-DNAの検出、同定、および/または定量のための方法において、
ほ乳類の体液の非細胞画分からDNAを抽出する段階と、
少なくとも一つの競合配列の存在下で、前記抽出されたDNAの少なくとも一部のPCRによる一次増幅を実施する段階であって、
前記競合配列が、既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含み、
前記競合配列が、前記HPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、
段階と、
前記既知のHPVタイプに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および、少なくとも二つの異なるジデオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
前記既知のHPVタイプに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを質量分析法によって測定する段階と、
を含む、方法。
(19) 実施態様18に記載の方法において、
前記体液が、血漿、血清、尿、脳脊髄液、汗、唾液、痰、または涙である、方法。
(20) 実施態様18に記載の方法において、
前記測定段階が、約200アトモル未満の濃度の任意の増幅された伸長プライマーの検出を含む、方法。
(21) 実施態様18に記載の方法において、
前記一次増幅が、異なる既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを各々が含む複数の競合配列タイプの存在を含み、
前記競合配列タイプが、前記個別のHPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有し、
前記二次増幅が、異なる既知のHPVタイプに対する複数の外部プライマータイプの存在を含む、方法。
(22) 実施態様21に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、HPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82のうちの二つ以上を含む、方法。
(23) 実施態様21に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、少なくともHPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82を含む、方法。
(24) 実施態様21に記載の方法において、
淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在下でのPCRによる一次増幅を実施する段階であって、前記競合配列が、前記淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、段階と、
前記淋菌またはトラコーマクラミジアに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および少なくとも二つの異なるジオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
質量分析法によって淋菌またはトラコーマクラミジアに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを測定する段階と、
をさらに含む、方法。
(25) 実施態様18に記載の方法において、
前記一次増幅が、erbB-2遺伝子のDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在を含み、
前記競合配列が、前記erbB-2遺伝子中に存在しないヌクレオチド置換を有する、方法。
【0110】
(26) 実施態様18に記載の方法において、
前記測定段階の後に、ほ乳類における子宮頸癌、子宮頸部異形成、子宮頸部上皮内新生物、肛門癌、肛門上皮内新生物、頭頸部癌、住血吸虫症に関連した膀胱癌、またはパピローマを診断、モニタリング、または評価する追加の段階、
を含む、方法。
(27) 実施態様18に記載の方法において、
少なくとも一つの競合配列が、SEQ ID No.67、SEQ ID No.68、SEQ ID No.69、SEQ ID No.70、SEQ ID No.71、SEQ ID No.72、SEQ ID No.73、SEQ ID No.74、SEQ ID No.75、SEQ ID No.76、SEQ ID No.77、SEQ ID No.78、SEQ ID No.79、SEQ ID No.80、SEQ ID No.81、SEQ ID No.82、SEQ ID No.83、SEQ ID No.84、およびSEQ ID No.85からなる群から選択される、方法。
(28) 実施態様27に記載の方法において、
SEQ ID No.86、87、および88からなる群から選択された、少なくとも一つの競合配列をさらに含む、方法。
(29) 実施態様18に記載の方法において、
前記一次増幅が、SEQ ID No.1およびSEQ ID No.23、SEQ ID No.2およびSEQ ID No.24、SEQ ID No.3およびSEQ ID No.25、SEQ ID No.4およびSEQ ID No.26、SEQ ID No.5およびSEQ ID No.27、SEQ ID No.6およびSEQ ID No.28、SEQ ID No.7およびSEQ ID No.29、SEQ ID No.8およびSEQ ID No.30、SEQ ID No.9およびSEQ ID No.31、SEQ ID No.10およびSEQ ID No.32、SEQ ID No.11およびSEQ ID No.33、SEQ ID No.12およびSEQ ID No.34、SEQ ID No.13およびSEQ ID No.35、SEQ ID No.14およびSEQ ID No.36、SEQ ID No.15およびSEQ ID No.37、SEQ ID No.16およびSEQ ID No.38、SEQ ID No.17およびSEQ ID No.39、SEQ ID No.18およびSEQ ID No.40、ならびにSEQ ID No.19およびSEQ ID No.41からなる、前記既知のHPVタイプ関連する、少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含む、方法。
(30) 実施態様29に記載の方法において、
前記一次増幅が、SEQ ID No.20およびSEQ ID No.42、SEQ ID No.21およびSEQ ID No.43、ならびにSEQ ID No.22およびSEQ ID No.44からなる群から選択された少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含む、方法。
(31) 実施態様18に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、SEQ ID No.45、SEQ ID No.46、SEQ ID No.47、SEQ ID No.48、SEQ ID No.49、SEQ ID No.50、SEQ ID No.51、SEQ ID No.52、SEQ ID No.53、SEQ ID No.54、SEQ ID No.55、SEQ ID No.56、SEQ ID No.57、SEQ ID No.58、SEQ ID No.59、SEQ ID No.60、SEQ ID No.61、SEQ ID No.62、およびSEQ ID No.63からなる群から選択される、方法。
(32) 実施態様31に記載の方法において、
前記二次増幅が、SEQ ID No.64、SEQ ID No.65、およびSEQ ID No.66からなる群から選択された、少なくとも一つの伸長プライマーをさらに含む、方法。
(33) 実施態様18に記載の方法において、
前記一次増幅が、前記既知のHPVタイプに関連した少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含み、
それら配列が各々、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
(34) 実施態様18に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
【0111】
(35)ほ乳類の生体試料におけるHPV-DNAの検出、同定、および/または定量のための方法において、
ほ乳類の生体試料からDNAを抽出する段階と、
少なくとも一つの競合配列の存在下で、前記抽出されたDNAの少なくとも一部のPCRによる一次増幅を実施する段階であって、
前記競合配列が、既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含み、
前記競合配列が、前記HPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、
段階と、
前記既知のHPVタイプに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および、少なくとも二つの異なるジデオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
前記既知のHPVタイプに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを質量分析法によって測定する段階と、
を含み、
前記一次増幅が、少なくとも一つの競合配列で実質的に対応する既知のHPVタイプに対する少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含み、
少なくとも一つの伸長プライマーが、同じ前記既知のHPVタイプと関連する、方法。
(36) 実施態様35に記載の方法において、
少なくとも一つの競合配列が、SEQ ID No.67、SEQ ID No.68、SEQ ID No.69、SEQ ID No.70、SEQ ID No.71、SEQ ID No.72、SEQ ID No.73、SEQ ID No.74、SEQ ID No.75、SEQ ID No.76、SEQ ID No.77、SEQ ID No.78、SEQ ID No.79、SEQ ID No.80、SEQ ID No.81、SEQ ID No.82、SEQ ID No.83、SEQ ID No.84、およびSEQ ID No.85からなる群から選択され、
少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組が、SEQ ID No.1およびSEQ ID No.23、SEQ ID No.2およびSEQ ID No.24、SEQ ID No.3およびSEQ ID No.25、SEQ ID No.4およびSEQ ID No.26、SEQ ID No.5およびSEQ ID No.27、SEQ ID No.6およびSEQ ID No.28、SEQ ID No.7およびSEQ ID No.29、SEQ ID No.8およびSEQ ID No.30、SEQ ID No.9およびSEQ ID No.31、SEQ ID No.10およびSEQ ID No.32、SEQ ID No.11およびSEQ ID No.33、SEQ ID No.12およびSEQ ID No.34、SEQ ID No.13およびSEQ ID No.35、SEQ ID No.14およびSEQ ID No.36、SEQ ID No.15およびSEQ ID No.37、SEQ ID No.16およびSEQ ID No.38、SEQ ID No.17およびSEQ ID No.39、SEQ ID No.18およびSEQ ID No.40、ならびにSEQ ID No.19およびSEQ ID No.41からなる群から選択され、
少なくとも一つの伸長プライマーが、SEQ ID No.45、SEQ ID No.46、SEQ ID No.47、SEQ ID No.48、SEQ ID No.49、SEQ ID No.50、SEQ ID No.51、SEQ ID No.52、SEQ ID No.53、SEQ ID No.54、SEQ ID No.55、SEQ ID No.56、SEQ ID No.57、SEQ ID No.58、SEQ ID No.59、SEQ ID No.60、SEQ ID No.61、SEQ ID No.62、およびSEQ ID No.63からなる群から選択される、方法。
(37) 実施態様35に記載の方法において、
前記一次増幅が、前記既知のHPVタイプに関連した少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含み、
それら配列が各々、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
(38) 実施態様35に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
(39) 実施態様35に記載の方法において、
前記測定段階が、約200アトモル未満の濃度の任意の増幅された伸長プライマーの検出を含む、方法。
【0112】
(40) 実施態様35に記載の方法において、
前記測定段階の後に、ほ乳類における子宮頸癌、子宮頸部異形成、子宮頸部上皮内新生物、肛門癌、肛門上皮内新生物、頭頸部癌、住血吸虫症に関連した膀胱癌、またはパピローマを診断、モニタリング、または評価する追加の段階、
を含む、方法。
(41) 実施態様35に記載の方法において、
前記一次増幅が、異なる既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを各々が含む複数の競合配列タイプの存在を含み、
前記競合配列タイプが、前記個別のHPV-DNA配列中には存在しないヌクレオチド置換を有し、
前記二次増幅が、異なる既知のHPVタイプに対する複数の外部プライマータイプの存在を含む、方法。
(42) 実施態様41に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、HPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、73、および82のうちの二つ以上を含む、方法。
(43) 実施態様41に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、少なくともHPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82を含む、方法。
(44) 実施態様41に記載の方法において、
淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在下でPCRによる一次増幅を実施する段階であって、前記競合配列が、前記淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、段階と、
前記淋菌またはトラコーマクラミジアに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および少なくとも二つの異なるジオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
質量分析法によって淋菌またはトラコーマクラミジアに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを測定する段階と、
をさらに含む、方法。
(45) 実施態様35に記載の方法において、
前記一次増幅が、erbB-2遺伝子のDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在下で前記抽出されたDNAを含み、
前記競合配列が、前記erbB-2遺伝子中に存在しないヌクレオチド置換を有する、方法。
(46) 実施態様35に記載の方法において、
前記一次増幅が、
SEQ ID No.86、SEQ ID No.87、およびSEQ ID No.88からなる群から選択された、少なくとも一つの競合配列と、
SEQ ID No.20およびSEQ ID No.42、SEQ ID No.21およびSEQ ID No.43、ならびにSEQ ID No.22およびSEQ ID No.44からなる群から選択された少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組と、
を含み、
前記二次増幅が、SEQ ID No.64、SEQ ID No.65、およびSEQ ID No.66からなる群から選択された、少なくとも一つの伸長プライマーを含む、方法。
【0113】
(47) 合成ポリヌクレオチドにおいて、
生体試料中の微生物DNAの検出、同定、および/または定量のための競合配列であって、SEQ ID No.67、SEQ ID No.68、SEQ ID No.69、SEQ ID No.70、SEQ ID No.71、SEQ ID No.72、SEQ ID No.73、SEQ ID No.74、SEQ ID No.75、SEQ ID No.76、SEQ ID No.77、SEQ ID No.78、SEQ ID No.79、SEQ ID No.80、SEQ ID No.81、SEQ ID No.82、SEQ ID No.83、SEQ ID No.84、SEQ ID No.85、SEQ ID No.86、SEQ ID No.87、およびSEQ ID No.88からなる群から選択された、競合配列、
を含む、合成ポリヌクレオチド。
(48) 一対の合成ポリヌクレオチドにおいて、
生体試料中の微生物DNAの検出、同定、および/または定量のための順方向および逆方向プライマーであって、SEQ ID No.1およびSEQ ID No.23、SEQ ID No.2およびSEQ ID No.24、SEQ ID No.3およびSEQ ID No.25、SEQ ID No.4およびSEQ ID No.26、SEQ ID No.5およびSEQ ID No.27、SEQ ID No.6およびSEQ ID No.28、SEQ ID No.7およびSEQ ID No.29、SEQ ID No.8およびSEQ ID No.30、SEQ ID No.9およびSEQ ID No.31、SEQ ID No.10およびSEQ ID No.32、SEQ ID No.11およびSEQ ID No.33、SEQ ID No.12およびSEQ ID No.34、SEQ ID No.13およびSEQ ID No.35、SEQ ID No.14およびSEQ ID No.36、SEQ ID No.15およびSEQ ID No.37、SEQ ID No.16およびSEQ ID No.38、SEQ ID No.17およびSEQ ID No.39、SEQ ID No.18およびSEQ ID No.40、SEQ ID No.19およびSEQ ID No.41、SEQ ID No.20およびSEQ ID No.42、SEQ ID No.21およびSEQ ID No.43、ならびにSEQ ID No.22およびSEQ ID No.44からなる群から選択された、順方向および逆方向プライマー、
を含む、合成ポリヌクレオチド。
(49) 合成ポリヌクレオチドにおいて、
生体試料中の微生物DNAの検出、同定、および/または定量のための伸長プライマーであって、SEQ ID No.45、SEQ ID No.46、SEQ ID No.47、SEQ ID No.48、SEQ ID No.49、SEQ ID No.50、SEQ ID No.51、SEQ ID No.52、SEQ ID No.53、SEQ ID No.54、SEQ ID No.55、SEQ ID No.56、SEQ ID No.57、SEQ ID No.58、SEQ ID No.59、SEQ ID No.60、SEQ ID No.61、SEQ ID No.62、SEQ ID No.63、SEQ ID No.64、SEQ ID No.65、およびSEQ ID No.66からなる群から選択される、伸長プライマー、
を含む、合成ポリヌクレオチド。
(50) 生体試料中の微生物DNA検出のためのキットにおいて、
容器と、
実施態様47、48、および49に記載の合成ポリヌクレオチドのうちの一つ以上と、
を含む、キット。
【表1】

【表2−1】

【表2−2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8−1】

【表8−2】

【表9】

【表10−1】

【表10−2】

【表10−3】

【表10−4】

【表10−5】

【表10−6】

【表10−7】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に従った単一反応での13の異なるHPVタイプのスクリーニングの質量分析の結果を表す。
【図2】限定的ではないが、本発明のいくつかの実施態様に従った段階の、一般化された作業工程表を表す。
【図3A】腫瘍におけるHPVタイターを示す。
【図3B】Pap陽性検体を示す。
【図3C】HC2陽性検体を示す。
【図3D】Pap陰性検体を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほ乳類の生体試料におけるHPV-DNAの検出、同定、および/または定量のための方法において、
ほ乳類の生体試料からDNAを抽出する段階と、
少なくとも一つの競合配列の存在下で、前記抽出されたDNAの少なくとも一部のPCRによる一次増幅を実施する段階であって、
前記競合配列が、既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含み、
前記競合配列が、前記HPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、
段階と、
前記既知のHPVタイプに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および、少なくとも二つの異なるジデオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
前記既知のHPVタイプに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを質量分析法によって測定する段階と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記ほ乳類の生体試料が、体液または組織試料である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記測定段階が、約200アトモル未満の濃度の任意の増幅された伸長プライマーの検出を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記一次増幅が、異なる既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを各々が含む複数の競合配列タイプの存在を含み、
前記競合配列タイプが、前記個別のHPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有し、
前記二次増幅が、各々が異なる既知のHPVタイプに対する複数の外部プライマータイプの存在を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、HPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82のうちの二つ以上を含む、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、少なくともHPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82を含む、方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法において、
淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在下で、前記抽出されたDNAの少なくとも一部のPCRによる一次増幅を実施する段階であって、前記競合配列が、前記淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、段階と、
前記淋菌またはトラコーマクラミジアに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および少なくとも二つの異なるジオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
質量分析法によって淋菌またはトラコーマクラミジアに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを測定する段階と、
をさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記一次増幅が、erbB-2遺伝子のDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在を含み、
前記競合配列が、前記erbB-2遺伝子中に存在しないヌクレオチド置換を有する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記測定段階の後に、ほ乳類における子宮頸癌、子宮頸部異形成、子宮頸部上皮内新生物、肛門癌、肛門上皮内新生物、頭頸部癌、住血吸虫症に関連した膀胱癌、またはパピローマを診断、モニタリング、または評価する追加の段階、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
少なくとも一つの競合配列が、SEQ ID No.67、SEQ ID No.68、SEQ ID No.69、SEQ ID No.70、SEQ ID No.71、SEQ ID No.72、SEQ ID No.73、SEQ ID No.74、SEQ ID No.75、SEQ ID No.76、SEQ ID No.77、SEQ ID No.78、SEQ ID No.79、SEQ ID No.80、SEQ ID No.81、SEQ ID No.82、SEQ ID No.83、SEQ ID No.84、およびSEQ ID No.85からなる群から選択される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
SEQ ID No.86、87、および88からなる群から選択された、少なくとも一つの競合配列をさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記一次増幅が、SEQ ID No.1およびSEQ ID No.23、SEQ ID No.2およびSEQ ID No.24、SEQ ID No.3およびSEQ ID No.25、SEQ ID No.4およびSEQ ID No.26、SEQ ID No.5およびSEQ ID No.27、SEQ ID No.6およびSEQ ID No.28、SEQ ID No.7およびSEQ ID No.29、SEQ ID No.8およびSEQ ID No.30、SEQ ID No.9およびSEQ ID No.31、SEQ ID No.10およびSEQ ID No.32、SEQ ID No.11およびSEQ ID No.33、SEQ ID No.12およびSEQ ID No.34、SEQ ID No.13およびSEQ ID No.35、SEQ ID No.14およびSEQ ID No.36、SEQ ID No.15およびSEQ ID No.37、SEQ ID No.16およびSEQ ID No.38、SEQ ID No.17およびSEQ ID No.39、SEQ ID No.18およびSEQ ID No.40、ならびにSEQ ID No.19およびSEQ ID No.41からなる、前記既知のHPVタイプに対する、少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記一次増幅が、SEQ ID No.20およびSEQ ID No.42、SEQ ID No.21およびSEQ ID No.43、ならびにSEQ ID No.22およびSEQ ID No.44からなる群から選択された少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組をさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、SEQ ID No.45、SEQ ID No.46、SEQ ID No.47、SEQ ID No.48、SEQ ID No.49、SEQ ID No.50、SEQ ID No.51、SEQ ID No.52、SEQ ID No.53、SEQ ID No.54、SEQ ID No.55、SEQ ID No.56、SEQ ID No.57、SEQ ID No.58、SEQ ID No.59、SEQ ID No.60、SEQ ID No.61、SEQ ID No.62、およびSEQ ID No.63からなる群から選択される、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記二次増幅が、SEQ ID No.64、SEQ ID No.65、およびSEQ ID No.66からなる群から選択される、少なくとも一つの伸長プライマーをさらに含む、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、
前記一次増幅が、前記既知のHPVタイプに関連した少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含み、
それら配列が各々、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
【請求項18】
ほ乳類の体液の非細胞画分におけるHPV-DNAの検出、同定、および/または定量のための方法において、
ほ乳類の体液の非細胞画分からDNAを抽出する段階と、
少なくとも一つの競合配列の存在下で、前記抽出されたDNAの少なくとも一部のPCRによる一次増幅を実施する段階であって、
前記競合配列が、既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含み、
前記競合配列が、前記HPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、
段階と、
前記既知のHPVタイプに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および、少なくとも二つの異なるジデオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
前記既知のHPVタイプに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを質量分析法によって測定する段階と、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記体液が、血漿、血清、尿、脳脊髄液、汗、唾液、痰、または涙である、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、
前記測定段階が、約200アトモル未満の濃度の任意の増幅された伸長プライマーの検出を含む、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法において、
前記一次増幅が、異なる既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを各々が含む複数の競合配列タイプの存在を含み、
前記競合配列タイプが、前記個別のHPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有し、
前記二次増幅が、異なる既知のHPVタイプに対する複数の外部プライマータイプの存在を含む、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、HPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82のうちの二つ以上を含む、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、少なくともHPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82を含む、方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法において、
淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在下でPCRによる一次増幅を実施する段階であって、前記競合配列が、前記淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、段階と、
前記淋菌またはトラコーマクラミジアに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および少なくとも二つの異なるジオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
質量分析法によって淋菌またはトラコーマクラミジアに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを測定する段階と、
をさらに含む、方法。
【請求項25】
請求項18に記載の方法において、
前記一次増幅が、erbB-2遺伝子のDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在を含み、
前記競合配列が、前記erbB-2遺伝子中に存在しないヌクレオチド置換を有する、方法。
【請求項26】
請求項18に記載の方法において、
前記測定段階の後に、ほ乳類における子宮頸癌、子宮頸部異形成、子宮頸部上皮内新生物、肛門癌、肛門上皮内新生物、頭頸部癌、住血吸虫症に関連した膀胱癌、またはパピローマを診断、モニタリング、または評価する追加の段階、
を含む、方法。
【請求項27】
請求項18に記載の方法において、
少なくとも一つの競合配列が、SEQ ID No.67、SEQ ID No.68、SEQ ID No.69、SEQ ID No.70、SEQ ID No.71、SEQ ID No.72、SEQ ID No.73、SEQ ID No.74、SEQ ID No.75、SEQ ID No.76、SEQ ID No.77、SEQ ID No.78、SEQ ID No.79、SEQ ID No.80、SEQ ID No.81、SEQ ID No.82、SEQ ID No.83、SEQ ID No.84、およびSEQ ID No.85からなる群から選択される、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、
SEQ ID No.86、87、および88からなる群から選択された、少なくとも一つの競合配列をさらに含む、方法。
【請求項29】
請求項18に記載の方法において、
前記一次増幅が、SEQ ID No.1およびSEQ ID No.23、SEQ ID No.2およびSEQ ID No.24、SEQ ID No.3およびSEQ ID No.25、SEQ ID No.4およびSEQ ID No.26、SEQ ID No.5およびSEQ ID No.27、SEQ ID No.6およびSEQ ID No.28、SEQ ID No.7およびSEQ ID No.29、SEQ ID No.8およびSEQ ID No.30、SEQ ID No.9およびSEQ ID No.31、SEQ ID No.10およびSEQ ID No.32、SEQ ID No.11およびSEQ ID No.33、SEQ ID No.12およびSEQ ID No.34、SEQ ID No.13およびSEQ ID No.35、SEQ ID No.14およびSEQ ID No.36、SEQ ID No.15およびSEQ ID No.37、SEQ ID No.16およびSEQ ID No.38、SEQ ID No.17およびSEQ ID No.39、SEQ ID No.18およびSEQ ID No.40、ならびにSEQ ID No.19およびSEQ ID No.41からなる、前記既知のHPVタイプ関連する、少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
前記一次増幅が、SEQ ID No.20およびSEQ ID No.42、SEQ ID No.21およびSEQ ID No.43、ならびにSEQ ID No.22およびSEQ ID No.44からなる群から選択された少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含む、方法。
【請求項31】
請求項18に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、SEQ ID No.45、SEQ ID No.46、SEQ ID No.47、SEQ ID No.48、SEQ ID No.49、SEQ ID No.50、SEQ ID No.51、SEQ ID No.52、SEQ ID No.53、SEQ ID No.54、SEQ ID No.55、SEQ ID No.56、SEQ ID No.57、SEQ ID No.58、SEQ ID No.59、SEQ ID No.60、SEQ ID No.61、SEQ ID No.62、およびSEQ ID No.63からなる群から選択される、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
前記二次増幅が、SEQ ID No.64、SEQ ID No.65、およびSEQ ID No.66からなる群から選択された、少なくとも一つの伸長プライマーをさらに含む、方法。
【請求項33】
請求項18に記載の方法において、
前記一次増幅が、前記既知のHPVタイプに関連した少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含み、
それら配列が各々、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
【請求項34】
請求項18に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
【請求項35】
ほ乳類の生体試料におけるHPV-DNAの検出、同定、および/または定量のための方法において、
ほ乳類の生体試料からDNAを抽出する段階と、
少なくとも一つの競合配列の存在下で、前記抽出されたDNAの少なくとも一部のPCRによる一次増幅を実施する段階であって、
前記競合配列が、既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含み、
前記競合配列が、前記HPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、
段階と、
前記既知のHPVタイプに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および、少なくとも二つの異なるジデオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
前記既知のHPVタイプに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを質量分析法によって測定する段階と、
を含み、
前記一次増幅が、少なくとも一つの競合配列で実質的に対応する既知のHPVタイプに対する少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組を含み、
少なくとも一つの伸長プライマーが、同じ前記既知のHPVタイプと関連する、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、
少なくとも一つの競合配列が、SEQ ID No.67、SEQ ID No.68、SEQ ID No.69、SEQ ID No.70、SEQ ID No.71、SEQ ID No.72、SEQ ID No.73、SEQ ID No.74、SEQ ID No.75、SEQ ID No.76、SEQ ID No.77、SEQ ID No.78、SEQ ID No.79、SEQ ID No.80、SEQ ID No.81、SEQ ID No.82、SEQ ID No.83、SEQ ID No.84、およびSEQ ID No.85からなる群から選択され、
少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組が、SEQ ID No.1およびSEQ ID No.23、SEQ ID No.2およびSEQ ID No.24、SEQ ID No.3およびSEQ ID No.25、SEQ ID No.4およびSEQ ID No.26、SEQ ID No.5およびSEQ ID No.27、SEQ ID No.6およびSEQ ID No.28、SEQ ID No.7およびSEQ ID No.29、SEQ ID No.8およびSEQ ID No.30、SEQ ID No.9およびSEQ ID No.31、SEQ ID No.10およびSEQ ID No.32、SEQ ID No.11およびSEQ ID No.33、SEQ ID No.12およびSEQ ID No.34、SEQ ID No.13およびSEQ ID No.35、SEQ ID No.14およびSEQ ID No.36、SEQ ID No.15およびSEQ ID No.37、SEQ ID No.16およびSEQ ID No.38、SEQ ID No.17およびSEQ ID No.39、SEQ ID No.18およびSEQ ID No.40、ならびにSEQ ID No.19およびSEQ ID No.41からなる群から選択され、
少なくとも一つの伸長プライマーが、SEQ ID No.45、SEQ ID No.46、SEQ ID No.47、SEQ ID No.48、SEQ ID No.49、SEQ ID No.50、SEQ ID No.51、SEQ ID No.52、SEQ ID No.53、SEQ ID No.54、SEQ ID No.55、SEQ ID No.56、SEQ ID No.57、SEQ ID No.58、SEQ ID No.59、SEQ ID No.60、SEQ ID No.61、SEQ ID No.62、およびSEQ ID No.63からなる群から選択される、方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法において、
前記一次増幅が、前記既知のHPVタイプに関連した少なくとも一つの順方向および逆方向プライマー配列の組を含み、
それら配列が各々、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
【請求項38】
請求項35に記載の方法において、
少なくとも一つの伸長プライマーが、少なくとも一つのイノシン塩基を含む、方法。
【請求項39】
請求項35に記載の方法において、
前記測定段階が、約200アトモル未満の濃度の任意の増幅された伸長プライマーの検出を含む、方法。
【請求項40】
請求項35に記載の方法において、
前記測定段階の後に、ほ乳類における子宮頸癌、子宮頸部異形成、子宮頸部上皮内新生物、肛門癌、肛門上皮内新生物、頭頸部癌、住血吸虫症に関連した膀胱癌、またはパピローマを診断、モニタリング、または評価する追加の段階、
を含む、方法。
【請求項41】
請求項35に記載の方法において、
前記一次増幅が、異なる既知のHPVタイプのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを各々が含む複数の競合配列タイプの存在を含み、
前記競合配列タイプが、前記個別のHPV-DNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有し、
前記二次増幅が、異なる既知のHPVタイプに対する複数の外部プライマータイプの存在を含む、方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、HPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、73、および82のうちの二つ以上を含む、方法。
【請求項43】
請求項41に記載の方法において、
前記複数の既知のHPVタイプが、少なくともHPVタイプ16、18、23、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73、および82を含む、方法。
【請求項44】
請求項41に記載の方法において、
淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在下でPCRによる一次増幅を実施する段階であって、前記競合配列が、前記淋菌またはトラコーマクラミジアのDNA配列中に存在しないヌクレオチド置換を有する、段階と、
前記淋菌またはトラコーマクラミジアに対する少なくとも一つの伸長プライマー、および少なくとも二つの異なるジオキシヌクレオチドの存在下で、PCRによる二次増幅を実施する段階と、
質量分析法によって淋菌またはトラコーマクラミジアに対する任意の増幅された伸長プライマーのレベルを測定する段階と、
をさらに含む、方法。
【請求項45】
請求項35に記載の方法において、
前記一次増幅が、erbB-2遺伝子のDNA配列中のポリヌクレオチドに実質的に一致したポリヌクレオチドを含む少なくとも一つの競合配列の存在下で前記抽出されたDNAを含み、
前記競合配列が、前記erbB-2遺伝子中に存在しないヌクレオチド置換を有する、方法。
【請求項46】
請求項35に記載の方法において、
前記一次増幅が、
SEQ ID No.86、SEQ ID No.87、およびSEQ ID No.88からなる群から選択された、少なくとも一つの競合配列と、
SEQ ID No.20およびSEQ ID No.42、SEQ ID No.21およびSEQ ID No.43、ならびにSEQ ID No.22およびSEQ ID No.44からなる群から選択された少なくとも一つの対応する順方向および逆方向プライマー配列の組と、
を含み、
前記二次増幅が、SEQ ID No.64、SEQ ID No.65、およびSEQ ID No.66からなる群から選択された、少なくとも一つの伸長プライマーを含む、方法。
【請求項47】
合成ポリヌクレオチドにおいて、
生体試料中の微生物DNAの検出、同定、および/または定量のための競合配列であって、SEQ ID No.67、SEQ ID No.68、SEQ ID No.69、SEQ ID No.70、SEQ ID No.71、SEQ ID No.72、SEQ ID No.73、SEQ ID No.74、SEQ ID No.75、SEQ ID No.76、SEQ ID No.77、SEQ ID No.78、SEQ ID No.79、SEQ ID No.80、SEQ ID No.81、SEQ ID No.82、SEQ ID No.83、SEQ ID No.84、SEQ ID No.85、SEQ ID No.86、SEQ ID No.87、およびSEQ ID No.88からなる群から選択された、競合配列、
を含む、合成ポリヌクレオチド。
【請求項48】
一対の合成ポリヌクレオチドにおいて、
生体試料中の微生物DNAの検出、同定、および/または定量のための順方向および逆方向プライマーであって、SEQ ID No.1およびSEQ ID No.23、SEQ ID No.2およびSEQ ID No.24、SEQ ID No.3およびSEQ ID No.25、SEQ ID No.4およびSEQ ID No.26、SEQ ID No.5およびSEQ ID No.27、SEQ ID No.6およびSEQ ID No.28、SEQ ID No.7およびSEQ ID No.29、SEQ ID No.8およびSEQ ID No.30、SEQ ID No.9およびSEQ ID No.31、SEQ ID No.10およびSEQ ID No.32、SEQ ID No.11およびSEQ ID No.33、SEQ ID No.12およびSEQ ID No.34、SEQ ID No.13およびSEQ ID No.35、SEQ ID No.14およびSEQ ID No.36、SEQ ID No.15およびSEQ ID No.37、SEQ ID No.16およびSEQ ID No.38、SEQ ID No.17およびSEQ ID No.39、SEQ ID No.18およびSEQ ID No.40、SEQ ID No.19およびSEQ ID No.41、SEQ ID No.20およびSEQ ID No.42、SEQ ID No.21およびSEQ ID No.43、ならびにSEQ ID No.22およびSEQ ID No.44からなる群から選択された、順方向および逆方向プライマー、
を含む、合成ポリヌクレオチド。
【請求項49】
合成ポリヌクレオチドにおいて、
生体試料中の微生物DNAの検出、同定、および/または定量のための伸長プライマーであって、SEQ ID No.45、SEQ ID No.46、SEQ ID No.47、SEQ ID No.48、SEQ ID No.49、SEQ ID No.50、SEQ ID No.51、SEQ ID No.52、SEQ ID No.53、SEQ ID No.54、SEQ ID No.55、SEQ ID No.56、SEQ ID No.57、SEQ ID No.58、SEQ ID No.59、SEQ ID No.60、SEQ ID No.61、SEQ ID No.62、SEQ ID No.63、SEQ ID No.64、SEQ ID No.65、およびSEQ ID No.66からなる群から選択される、伸長プライマー、
を含む、合成ポリヌクレオチド。
【請求項50】
生体試料中の微生物DNA検出のためのキットにおいて、
容器と、
請求項47、48、および49に記載の合成ポリヌクレオチドのうちの一つ以上と、
を含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公表番号】特表2008−526248(P2008−526248A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550870(P2007−550870)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000063
【国際公開番号】WO2006/075245
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(507238218)ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン (4)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of Michigan
【住所又は居所原語表記】Technology Management Office,Wolverine Tower,Room 2071,3003 S. State Street,Ann Arbor,MI 48109,United States of America
【Fターム(参考)】