生体試料を輸送する方法及び装置
【課題】生体試料を保管し、処理し、輸送し、安定化する容器組立体及び方法を提供する。
【解決手段】容器組立体は、容器(12)と、閉鎖部材(14)と、該容器(12)に取り外し可能に受け入られた試料ホルダ(16)とを含む。試料ホルダ(16)は、容器(12)の側壁に形成されたレッジ(36)に支持されるように寸法決めされたプラットフォーム状の装置とする。試料ホルダ(16)は、試料を受け入れ、該試料を容器(12)内の安定化剤に浸漬させる中央キャビティ(78)を含む。閉鎖部材(14)は、試料ホルダ(16)の中央キャビティ(78)の頂端部を閉鎖し、容器(12)内における試料ホルダ(16)の移動を制限する本体部材(52)を含む。
【解決手段】容器組立体は、容器(12)と、閉鎖部材(14)と、該容器(12)に取り外し可能に受け入られた試料ホルダ(16)とを含む。試料ホルダ(16)は、容器(12)の側壁に形成されたレッジ(36)に支持されるように寸法決めされたプラットフォーム状の装置とする。試料ホルダ(16)は、試料を受け入れ、該試料を容器(12)内の安定化剤に浸漬させる中央キャビティ(78)を含む。閉鎖部材(14)は、試料ホルダ(16)の中央キャビティ(78)の頂端部を閉鎖し、容器(12)内における試料ホルダ(16)の移動を制限する本体部材(52)を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料を試薬中で収集し、輸送し、処理し、保管する方法及び装置に向けられている。本発明はまた、生体試料が試薬中に完全に浸漬される場合の、生体試料を輸送する方法及び装置に向けられている。
【背景技術】
【0002】
生体試料は、或る病気の存在を判断し、その病気の適切な治療を判断する診断評価のために、研究者又は臨床医によってしばしば採取される。一般的な病気診断法には、組織学的診断及び細胞学的診断が含まれる。例えば腫瘍は、通常、組織学的異常及び細胞学的異常について検査される。
【0003】
生体試料はまた分子診断用にも採取される。近年、核酸分析、特にRNA及びDNA分析及び研究が、多くの病気治療の研究において一般化してきている。正確なRNA及びDNA定性及び定量分析のための必須条件は、高品質で無傷のRNA及びDNAが存在していることである。例えば、無傷の核酸は、RT−PCR、ノーザンブロット・ハイブリダイゼーション、及び核酸発現についてのヌクレアーゼ保護アッセイ分析に必要である。
【0004】
生体試料は、種々の源から及び種々の方法で採取することができる。臓器から少量の組織すなわち試験片を取り出すように設計された多くの装置が存在する。例えば、組織のコアフラグメントを抽出する穿孔装置と類似の装置を用いて、小さい試料が採取されることができる。生検を実行するための別の装置は、単細胞、小細胞集塊及び組織断片を抽出することができる吸引針装置を用いるものである。
【0005】
一般的には、可能な限り最も正確な結果を得るために、患者又は源から抽出された直後に組織学的又は細胞学的分析を行うことが好ましい。保管中に多くの分子の変化が試料に生じることがあり、これが最終結果に影響を及ぼしうる。例えば、生体試料中の核酸は、遺伝子転写を含む多くの変化を受けることがあり、核酸は、安定化剤で処理されない場合には、室温での保管中にすぐに分解する。
【0006】
収集時に生体試料を分析することは、不可能であるか又は実用的でないことが多い。したがって、組織成分の分解を防止し又は抑制し、かつ分析結果の完全性を保持するために、制御された条件のもとで試料を保管することが必要である。生体試料は、通常、適切な固定試薬と共に容器に保管される。典型的な固定試薬は、10%のホルマリンである。他の固定剤には、水混和性アルコール、エタノール/アセトン混合物、及びエタノール/酢酸混合物が含まれる。硫酸アンモニウム溶液も、全体が引用により本明細書に組み入られるLaderへの特許文献1に開示されるように用いられており、その全体が引用により本明細書に組み入れられる。次に、生体試料が固定試薬中に入っている容器は、分析のために病理実験室又は他の送り先に送られることができる。
【0007】
生体試料の適正な取扱いは、正確な核酸分析、特にRNA定性及び定量評価には必須である。生体試料は、該試料を保存するのに有効な量の固定試薬を必要とする。さらに、或る試薬は、有効な保存を確実なものとするために、試料が固定試薬で完全に被覆されることを必要とする。通常、生体試料は、単に、保管用の小さな容器に入れられる。非常に小さなものとなり得る生体試料は、容器から探し出し、回収することが困難なものとなり得る。
【0008】
生体試験片から高品質の試験結果を得るためには、試料の早期安定化又は保存が要求されることがある。生体試料その他の細胞は、当該技術分野において公知の種々の方法によって急速冷凍されることができる。解剖病理学用の試験片は、通常は、ホルムアルデヒド及びアルコール基部の溶液中に保存される。分子検査用の試験片は、これらの及びカオトロピック塩といった他の試薬中に保存されてきた。
【0009】
生体試料の急速冷凍は、細胞及び分子特性を安定化させるのに有効となり得る。試料は、通常はドライアイスに載せて輸送される。しかしながら、急速冷凍は、必ずしも利用可能である又は便利なわけではない。典型的には収集場所と処理実験室が場所的に及び時間的に離れており、そのことが安定化の障害となっている。
【0010】
生体試料を保管し、輸送し、安定化する従来の方法及び容器は、意図された目的に対し或る成果を収めているが、幾つかの公知の制限がある。しかしながら、生体試料を保管するための改良された容器及び方法に対する、業界における継続的な必要性がある。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,204,375号明細書
【発明の開示】
【0012】
本発明は、生体試料を試薬中に収集し、輸送し、処理し、保管する方法及び装置に向けられている。本発明はまた、試料が試薬中に連続的に浸漬される場合の、生体試料を試薬で処理する方法及び装置に向けられる。
【0013】
したがって、本発明の一態様は、核酸安定化用の安定化試薬中に生体試料を維持する方法を提供することである。この方法は、組織及び細胞全体を処理するのに特に適している。
【0014】
本発明の別の態様は、生体試料が試薬から容易に回収され得る、生体試料を試薬で処理する方法及び装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、試料と試薬との決定的な比を維持しつつ、生体試料を適切な試薬中に収集し、保管し、安定化し、処理し、及び/又は輸送する方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の態様は、核酸単離及び分子診断評価のために生体試料を安定化させる方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、RNA発現分析のために、試料から無損傷の核酸を採取するべく、生体試料を長期間にわたって核酸安定化剤中で保管する方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、容器組立体に組織安定化剤が予め充填される、生体試料を保管する容器組立体を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、生体試料を取り入れ、輸送し、保管するための、簡単にかつ容易に用いられる方法及び容器組立体を提供することである。
【0020】
本発明の別の態様は、生体試料が有効量の試薬と接触している状態で異なるサイズの生体試料を収容することができる容器組立体を提供することである。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、試料体積と試薬体積が生体試料を処理するのに十分な所定の割合に維持される、生体試料を液体試薬中に維持する方法及び装置を提供することである。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、試料を有効に処理するのに十分な量の試薬が入っている、容器中の試薬量に関連して生体試料のサイズを制限し制御するべく所定サイズの試料受入ホルダを有する生体試料容器組立体を提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、試料を組立体に出し入れするときに試薬がこぼれる恐れが低減される、生体試料容器組立体を提供することである。
【0024】
本発明の別の態様は、容器内に嵌合し、容器から取り外すことができる試料ホルダを容器組立体が含む、生体試料を試薬中で処理するための容器組立体を提供することである。
【0025】
本発明のさらに別の態様は、生体試料が容器の向きに関係なしに試薬中に浸漬されたままにされる、生体試料を容器内の液体試薬中に支持する方法及び装置を提供することである。
【0026】
本発明の別の態様は、生体試料を採取し、処理するためのキットすなわちパッケージ化された構成部品組立体を提供することである。キットは、試料ホルダと、該試料ホルダを受け入れる容器と、或る量の処理試薬と、小刀、鉗子等のような外科用ツールとを含むことが好ましい。キット構成部品は、清潔で、滅菌され、適切な滅菌パッケージに包装されることが好ましい。
【0027】
本発明のさらに別の態様は、組立体が、閉鎖キャップを有する容器と、容器に連結されたときに閉鎖キャップによって閉じられる頂部開口を有する取り外し可能な試料ホルダとを含む場合の、生体試料を受け入れる容器組立体を提供することである。試料ホルダは、容器か又は閉鎖キャップに係留することができる。一実施形態において、試料ホルダは、容器に連結することができる。
【0028】
本発明の別の態様は、試薬容器と、試料ホルダを容器内の所定領域に保持するべく、容器内での試料ホルダの横方向及び垂直方向の移動を制限する状態で容器内に嵌まる寸法にされた試料ホルダと、を含む生体試料容器組立体を提供することである。
【0029】
本発明の別の態様は、試料ホルダが生体試料を安定化液体中に浸漬された状態に保持するように配置された組織受入キャビティを含む、容器と該容器内の取り外し可能な試料ホルダとを有する生体試料容器組立体を提供することである。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、閉じ込め領域が装置の向きに関係なく液体中に浸漬されたままにされるように方向付けられる、或る体積の液体中に閉じ込め領域を定める方法及び装置を提供することである。
【0031】
本発明のさらに別の態様は、試料ホルダが、少なくとも1つの支持脚部を有し、閉鎖部材の内面上に支持され得る、容器と、閉鎖部材と、取り外し可能な試料ホルダとを含んでいる生体試料容器組立体を提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の態様は、閉鎖部材が、生体試料を容器内の試薬中に浸漬させ、該容器から所定量の空気を排気させ、それにより試薬上のヘッドスペースを減少させるべくプランジャを含む、容器と、閉鎖部材と、試料ホルダとを含んでいる生体試料容器組立体を提供することである。
【0033】
本発明の別の態様は、容器と、試薬が生体試料の周りのキャビティに自由に流れ込むことを可能にする透過性の面によって囲まれたキャビティを有する試料ホルダとを含んでいる、生体試料用の容器組立体を提供することである。透過性の面は、網状材料、濾紙又は多孔性膜スクリーンといった透過性媒体から製造することができる。
【0034】
本発明の別の態様は、試料ホルダが取り外し可能な閉鎖体を含む、容器と試料ホルダとを含んでいる生体試料容器組立体を提供することである。
【0035】
本発明のさらなる態様は、試料ホルダが容器内に嵌まる寸法にされ、かつ該ホルダが該ホルダに試薬が自由に流れ込むことを可能にする透過性部分を含む、生体試料用の試料ホルダを提供することである。
【0036】
本発明の別の態様は、ホルダが試薬の入った容器と協働する、開口した頂部と、容器を閉鎖するべくホルダに回転可能に連結された閉鎖体とを有する生体試料ホルダを提供することである。
【0037】
本発明の一実施形態において、容器組立体は、容器と、該容器内に嵌まる試料ホルダと、閉鎖部材とを含む。試料ホルダは、容器の側壁内のレッジに対して入れ子にされる外周縁部を有するプラットフォーム状の装置の形態である。試料ホルダは、生体試料を支持する凹部領域を含む。凹部領域は、液体試薬が該凹部領域を通って自由に流れることを可能にする透過性の壁によって形成される。閉鎖部材は、容器に連結されたときに凹部領域の開口した頂端部を閉鎖する本体すなわちプランジャ状の部材を含む。試料ホルダは、容器から取り外されたときに該試料ホルダを支持する複数の支持脚部を含む。
【0038】
別の実施形態においては、試料ホルダは、容器から取り外し可能な、支えなしで立っている装置である。試料ホルダには、透過性の側壁と透過性の底部とが形成され、頂部開口を有するキャビティが形成される。閉鎖キャップは、キャビティを閉鎖するためにヒンジによってホルダに連結されている。キャップは、操作者が容器から試料ホルダを取り外すことを可能にするために、上向きに延びているタブを含むことができる。
【0039】
本発明のこれらの及び他の態様は、生体試料の保管用の容器組立体を提供することにより基本的に達成される。容器は、底部、側部、及び開口した頂端部を有する。容器はまた、生体試料を処理するのに十分な体積の試薬を収容する寸法を有する。閉鎖部材は、容器の開口した頂端部に連結するために設けられている。試料ホルダは、容器及び閉鎖部材から取り外し可能であり、生体試料を収容する寸法をもつ内部キャビティを有する。ホルダは、試薬がキャビティに自由に流れ込むことを可能にする、キャビティへの複数の流体開口部を有する。試料ホルダはまた、容器の底部及び側部と閉鎖体との間に嵌合し、かつキャビティを試薬中に浸漬する寸法を有する。
【0040】
本発明の態様は、底部、側部、及び開口した頂端部を有し、液体試薬を収容する寸法にされている容器を含む容器組立体を提供することによりさらに達成されるものである。閉鎖体は、容器に取り外し可能に連結され、開口した頂端部を閉鎖する。閉鎖体は、外面と内面とを有する。試料ホルダは、生体試料を収容する内部キャビティを有する。ホルダは、キャビティへの少なくとも1つの流体開口部を有し、容器内に嵌合してキャビティを液体試薬中に完全に浸漬し、かつ容器内における試料ホルダの直線的な移動を実質的に防止する寸法を有する。本体は、閉鎖体の内面に連結されて、容器内の液体試薬の一部を押し退ける。
【0041】
本発明の態様は、底部、側部、及び開口した頂端部を有する容器を提供するステップを含む、細胞及び生体試料内の核酸を安定化する方法を提供することによりなおいっそう達成されるものである。容器は、核酸安定化剤を収容する。生体試料が試料ホルダに入れられる。試料ホルダは、生体試料を受け入れる内部キャビティを有し、かつキャビティへの流体開口部を有する。試料ホルダが容器内に位置され、内部キャビティを試薬中に完全に浸漬させる。容器を閉鎖するために閉鎖部材が容器上におかれる。閉鎖部材は、試料ホルダと協働して、容器内での試料ホルダの移動を制限し、かつ内部キャビティを試薬中に浸漬された状態に保持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の種々の態様、利点及び他の顕著な特徴は、添付図面及び本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0043】
本発明は、生体試料を収集し、輸送し、処理し、保管する方法及び装置に向けられている。本発明はまた、試料が試薬中に完全に浸漬される場合の、生体試料を液体試薬中に収集し、輸送し、処理し、保管する方法及び装置に向けられている。
【0044】
本発明の方法及び装置は、分子診断法を対象とした生体試料のような生体試料を輸送するのに特に適している。生体試料は、例えば液体安定化剤といった適切な試薬が入った容器組立体内に保持されており、それにより生体試料は、該容器の向きに関係なく、試薬中に完全に浸漬されたままにされる。他の実施形態においては、試薬は、ビード又は他の粒子の形態となり得るゲル、固体又は半固体とすることができる。ゲル固体は、単体で又は液体試薬と組み合わせて用いることができる。
【0045】
本発明は、特に、生体試料を容器内の適切な試薬で処理する方法に向けられる。この方法は、試料が該試料を処理するのに有効な量の試薬に接触し、該試料を試薬中に浸漬された状態に維持して、試料が空気と接触するのを防止するか又は最小にすることを確実なものにする。一実施形態において、容器は、試料が容器に入れられたときに、試料が試薬の一部を押し退けて、試薬がこぼれることなく試料が完全に浸漬するのに十分なレベルまで試薬の液面を上昇させるように、所定レベルまで液体試薬で充填されている。好ましくは、試料は、容器の向きに関係なく、試料が試薬中に浸漬された状態のままになるように、容器の内部キャビティの所定位置又は領域に保持される。
【0046】
一実施形態において、生体試料を試薬で処理する方法は、生体試料を収集し、該試料を速やかに試薬中に入れるステップを含む。典型的には、試料は、何の中間段階もなく試薬中に完全に浸漬される。試料は、空気との接触を最小にするために、収集後にできるだけ速やかに試薬によって完全に覆われる、すなわち試薬中に完全に浸漬されることが好ましい。試料は、容器の取扱い及び輸送中に試料が空気に露出されることなく浸漬されたままになるように、試薬が入った容器内の保持領域に保持される。
【0047】
図1から図10までを参照すると、本発明は、第1の実施形態において、容器組立体10に向けられる。容器組立体10は、容器12と、閉鎖キャップ14と、試料受入ホルダ16とを含む。
【0048】
図示された実施形態において、容器12は、側壁18及び底部壁20によって形成されたほぼ円筒形の形状を有する。側壁18は、容器12の開口した頂端部22から底縁部24まで延在している。複数の凹部領域26が、底縁部24に当接した側壁18に形成されている。凹部26は、操作者が容器組立体10を開閉するのを助けるために、操作者が容器をつかむのを助ける寸法を有する。
【0049】
側壁18は、キャップ14上の相補的なねじ山と嵌合するための、開口した頂端部22に隣接した雄ねじ28を含む。リブ30は、側壁18から半径方向外向きに延びており、開口した頂端部22から軸方向に間隔をおいて配置されている。リブ30は、開口した頂端部22から閉鎖キャップ14の寸法を補完する距離だけ離間され、容器12を取り囲むことが好ましい。
【0050】
図4を参照すると、容器12は、生体試料を安定化させるのに十分な有効量の液体安定化剤を収容するのに十分な寸法をもつ内部キャビティ32を有する。図示された実施形態においては、底部壁20は、容器12の底部に凹部34を形成するために、円筒部分33により側壁18の底縁部24から離間されている。代替的な実施形態においては、容器12の底部は、ほぼ平坦とすることができる。
【0051】
側壁18は、容器12の中心軸線に対して実質的に半径方向に延びているレッジ36を含む。レッジ36は、後でより詳細に説明されるように、試料ホルダ16を支持するのに十分な幅を有する。図示された実施形態においては、レッジ36は、側壁18の頂端部に位置されており、容器12の頂縁部38に実質的に平行に向けられている。好ましくは、レッジ36は側壁18に形成される。代替的な実施形態においては、リブは、試料ホルダ16を支える距離だけ側壁18の内面から内向きに延びることができる。
【0052】
キャップ14は、容器12と嵌合するために、容器12の側壁18を補完する寸法を有する。図3及び図4に示すように、キャップ14は、外面42及び内面44をもつほぼ円筒形の形状を有する側壁40を含む。図3に示すように、外面42は、操作者がキャップ14を取り扱うのを助ける複数のくぼみ46を含む。内面44は、容器12のねじ山28と嵌合するねじ山48を含む。
【0053】
キャップ14は、側壁40に連結された頂部壁50を含む。環状リブ52は、頂部壁50からキャップ14に対してほぼ軸方向下向きに延びている。リブ52は、底部壁55によって連結された軸方向内側の側壁54と軸方向外側の側壁56とを含む。後で説明されるように、リブ52の底部壁55は、容器12内における試料ホルダ16の移動を制限しつつ、試料ホルダ16に接触するように向けられている。軸方向外側の側壁56は、側壁40にほぼ平行に延びており、容器12の頂縁部38と嵌合するために、凹部58を形成する距離だけ側壁40から内向きに離間されている。
【0054】
キャップ14の頂部壁50は、ほぼ切頭円錐形の形状をした底部壁62、及び頂部壁50と底部壁62との間に延びる環状側壁64を有するプランジャ60を定める、中央に配置された本体を含む。後で説明されるように、プランジャ60は試料ホルダ16の閉鎖部材を定める。図4に示すように、プランジャ60の側壁64は、プランジャ60の底部壁62が側壁40の底縁部から軸方向外向きに離間されるように、側壁40及びリブ52の軸方向の長さよりも僅かに長い軸方向の長さを有する。プランジャ60の側壁64は、環状の形状をした凹部66を形成するために、リブ52の軸方向内側の側壁54から離間されている。1つの好ましい実施形態においては、プランジャ60の側壁64は、僅かにテーパした切頭円錐形の形状を有する。
【0055】
図4に示すように、環状リップ68は、頂部壁50から外縁部に軸方向に隣接して上向きに延びている。リップ68は、頂部壁50と共にレッジを形成し、容器12の側壁18の底縁部24に対して相補的な寸法にされている。このように、幾つかの容器組立体10は、壁18の底縁部24がリップ68によって定められた領域に受け入れられた状態で垂直に積み重ねることができる。
【0056】
試料ホルダ16は、容器12内に受け入れられ、かつ生体試料を支持する寸法にされている。図1から図10までの実施形態における試料ホルダ16は、円形の外縁部72と内縁部74とを有する頂部壁70を含む。内縁部74は、生体試料を受け入れるためのキャビティ78への中央開口部76を定める。頂部壁70の外縁部72は、容器12の内寸を補完する寸法を有する。環状リッジ80は、頂部壁70の頂面81から内縁部74に隣接して軸方向上向きに延び、中央開口部76を取り囲んでいる。図1及び図2に示すように、複数の開口部82が環状リッジ80に隣接して頂部壁70に形成されている。一対のタブ84が、頂部壁70に連結されており、頂面81から頂部壁70に対してほぼ軸方向に延びている。タブ84は、操作者が試料ホルダ16を持ち上げ、操作することを可能にする寸法を有し、かつそれを可能にするように向けられている。
【0057】
試料ホルダ16のキャビティ78は、開口した底端部88と複数の側部開口部90とを有する本体86により形成される。開口した底端部88は、スクリーン又は多孔性メッシュのような透過性材料を含み、キャビティ78の底端部を定める。側部開口部90もまた、本体86の多孔性側部を形成する透過性又は多孔性メッシュ94を含む。好ましくは、多孔性メッシュ92及び94は、生体試料をキャビティ78内に保持し、かつ液体が透過できるようにする孔径をもつナイロンメッシュから製造される。キャビティ78を囲み、生体試料を保持するために、濾紙のような他の透過性材料を用いることができる。
【0058】
複数の脚部96は、頂部壁70の底面83から下向きに延び、本体86と一体的に形成されている。図示された実施形態においては、脚部96は、ほぼ平坦な形状を有し、試料ホルダ16の中心軸線から半径方向外向きに延びる平面に向けられている。脚部96は、水平面上に置かれたときに、試料ホルダ16を支持し安定させる距離だけ間隔をおいて配設されている。
【0059】
図3及び図4に示すように、好ましくは、脚部96は、本体86の軸方向の長さよりも大きい軸方向の長さを有し、本体86を軸方向に越えて延びている。脚部96は、頂部壁70に連結された頂端部98と、脚部96の底部及び外縁部に沿って形成されたノッチ102をもつ底端部100とを有する。
【0060】
容器組立体10は、安定化剤と反応せず、生体試料を損なわない適切なプラスチック材料で製造されることが好ましい。容器組立体10の構成部品は、一般的には、当該技術分野において公知の適切な射出成形法により製造される。
【0061】
本発明の一実施形態において、容器組立体10は、液体試薬106で予め充填されている。容器組立体10は、生体試料を受け入れ、輸送するために、シールされ、包装されて、医師又は臨床医のもとに送られる。容器組立体10は、適切なシール又は不正開封防止インジケータを含むことができる。他の実施形態においては、容器組立体10は、試薬なしで包装され、空の状態で消費者のもとへ送られてもよい。キャップ14が取り外され、容器12は使用時に適切な試薬で充填される。一実施形態においては、容器12に試薬106が予め充填され、試薬ホルダ16は適切な滅菌パッケージに別個に包装される。試料ホルダを滅菌パッケージから取り出し、生体試料を該ホルダに入れる。試薬の入った容器を滅菌パッケージから取り出し、生体試料の入った試料ホルダを試薬の中に入れる。
【0062】
使用の際に、操作者がキャップ14を取り外して試料ホルダ16を露出させる。キャップ14は、図10に示すように、裏返しにして水平面106上に置くことができる。次に、試料ホルダ16は、試料ホルダ16を試薬から取り出すためにタブ84をつかんで上向きに持ち上げることにより容器12から取り出される。試料ホルダ16の脚部96の底端部100は、図10に示すように、キャップ14の凹部66に入れ子にされるように向けられている。このように、試料ホルダ16に付着している液体試薬がキャップ14の凹部の中に排出されることになる。さらに、脚部96の底端部100は、使用中に試料ホルダ16を安定させるために、キャップ14の凹部66に係合する。
【0063】
次に、生体試料108を試料ホルダ16のキャビティ78に入れる。代替的な実施形態においては、試料ホルダ16を容器12に入ったままにし、生体試料108を直接キャビティ78に及び試薬106中に入れることができる。一般的には、試薬の液飛びを防止するために、生体試料を試料ホルダ16に入れるときには、試料ホルダ16を容器12から分離させることが望ましい。
【0064】
図5に示すように、試料ホルダ16の頂部壁70の外縁部72は、容器12のレッジ36によって支持される。図示された実施形態においては、容器12及び試料ホルダ16は、脚部96の底端部100が容器12の底部壁20から離間されるように寸法決めされている。頂部壁70の外縁部72は、側壁18の内寸に対して相補的な寸法を有し、容器12内での試料ホルダ16の移動を制限する。
【0065】
代替的な実施形態においては、脚部96は、容器12内で試料ホルダ16を支持するために容器12の底部壁20の上に載せることができる。この実施形態においては、容器の側壁は、レッジなしで形成され得る。試料ホルダ16の頂部壁70の外寸は、容器内に嵌合し、かつ容器の側部間の横方向移動を制限する寸法を有する。
【0066】
試料ホルダ16が容器12内に位置された状態で、キャップ14が容器12に嵌められて、開口した頂端部22が閉鎖される。図5に示すように、キャップ14のプランジャ60は、試料ホルダ16の頂部壁70の開口部76に対して相補的な寸法を有する。プランジャ60は、キャップ14が容器12に連結されたときに、生体試料108をキャビティ78内に保持するべくキャビティ78を効果的に閉鎖する。リブ52の底部壁55が、図5に示すように試料ホルダ16と係合して、容器12内における試料ホルダ16の軸方向移動を制限する。
【0067】
図5に示すように、プランジャ60は、側壁18の頂端部22より下方に容器12内へ軸方向内向きに延びるように向けられている。キャップ14が容器12にねじ込まれる際に、プランジャ60が或る体積の空気及び或る体積の試薬を押し退け、頂部壁70の中央開口部76を閉鎖しつつ、試薬106上のヘッドスペースを減少させる。プランジャ60は、生体試料108を試薬106の中に下向きに押し込んで、生体試料108を試薬106中に浸漬された状態に保ち、かつ容器12内の試薬106の液面を上昇させる寸法にされることが好ましい。好ましくは、プランジャ60は、試料が試薬中に浸漬されたままになるような位置にキャビティ78内の保持領域を形成する寸法を有する。
【0068】
容器組立体10は、生体試料を保存し安定化させる液体試薬を収容するのに特に適している。生体試料108の試薬106との十分な接触を確実なものにするために、試料ホルダ16の本体86は、キャビティ78を通る試薬106の連続的な循環を可能にする透過性メッシュ92及び94を含むことが好ましい。生体試料108を効果的に処理するのに必要な試薬106の体積は、安定化剤の性質及び濃度によって決まる。好ましい実施形態においては、容器12の体積とキャビティ78の体積との比は、少なくとも5:1であり、通常は約5:1から約12:1までの範囲にわたる。好ましくは、容器12内の安定化剤104の体積と生体試料108を収容するキャビティ78の体積との比は、約10:1である。このことが、少なくとも10:1である試薬の体積と生体試料の体積との好適な比を確実なものにする。
【0069】
試料ホルダ16のキャビティ78は、適切なサイズ及び寸法の生体試料を収容する寸法を有する。一実施形態において、キャビティ78は、直径が約2cmで、約0.75cmの深さである。キャビティ78は、1mmから約5cmまでの範囲にわたる少なくとも1つの寸法を有する試料を受け入れる寸法を有することが好ましい。例えば、キャビティ78は、約3cmの長さと約1mmから2mmまでの直径とを有するコアニードル生体試料を受け入れる寸法を有することができる。キャビティ78はまた、少なくとも1つの寸法が約3.5cmから約5mmまでの範囲にわたる、より大きな試料を受け入れるように寸法決めされてもよい。
【0070】
生体試料108は、キャップ14を取り外してキャビティ78を露出させることにより試料ホルダ16から取り出すことができる。通常、図10に示すように、キャップ14は水平面106上に置かれ、試料ホルダ16は容器12から取り出されてキャップ14の上に置かれる。透過性メッシュ92及び94は、ホルダ16が生体試料の小片を漉せるようにするのに十分なくらい小さい孔径を有することが好ましい。試料ホルダ16の頂部壁70は、ほぼ切頭円錐形の形状を有し、中央開口部76に向かってほぼ下向きの方向に傾斜されている。試薬106は、排出開口部82に向かって頂部壁70に沿って向けられる。試薬106は、キャップ14の凹部内に回収され、捨てられるか又は容器12内に再び注がれるかのいずれかである。次に、生体試料108をキャビティ78から容易に取り出し、当該技術分野において周知の標準分析法にしたがって分析することができる。
【0071】
本発明の方法は、組織試料と、該試料を処理するのに十分な有効量の試薬との接触を保証するために、処理試薬と生体試料を最小の所定の割合で接触させるものである。組織試料の体積は、試薬の量に対する生体試料の相対的な量を調整するために、該試薬の量に対して制御される。本発明の好ましい実施形態において、試薬対生体試料の相対的な体積の比は、少なくとも5:1である。通常は、試薬の体積対生体試料の体積の比は、少なくとも約10:1である。生体試料を効果的に処理するための試薬の臨界量は、特定の試料及び特定の試薬に応じて変えることができる。試料を効果的に処理するのに必要とされる試薬の量は、試料の重量、体積及び密度によって左右される。例えば、或る組織試料は、他の組織と比較して密度が高く、あまり密度の高くない、すなわち多孔性組織によって必要とされるものよりも多い又は少ない量の特定の試薬を必要とすることもある。
【0072】
本発明の方法によって処理される生体試料は、典型的には組織試料である。処理することができる生体試料の例には、臓器試験片、腫瘍試験片、骨試験片、並びに腱及び膜といった結合組織試験片が含まれる。
【0073】
生体試料を処理する試薬は、液体であることが好ましいが、ゲル又は粘性物質とすることができる。処理試薬は、一般的には安定化剤又は固定試薬といった適切な試薬を含有する水溶液又はアルコール溶液である。好適な試薬の例は、安定化剤、溶解剤、乾燥剤、保存剤及び陽性洗剤などが含まれる。試薬は、有機又は無機化合物とすることができる。一実施形態において、試薬は、10体積%の水性ホルマリン溶液である。
【0074】
本発明の方法及び装置は、試料を安定化し保存しながら、生体試料を、遠隔の実験室といった別の場所に輸送する際に用いるのに特に適している。一実施形態における本発明の方法は、組織試料といった生体試料を収集し、該試料を速やかに容器組立体に入れて、該試料を容器組立体内に入れられた試薬中に浸漬させる。容器組立体は、輸送される間、生体試料を試薬中に浸漬された状態に保持し、該試料を処理するのに十分な量の試薬を提供することができる。一実施形態において、試薬は、長期間にわたって試料の細胞内の核酸を保存することができる核酸安定化試薬である。核酸の高品質の定量及び定性分析を可能にするために、試料を収集されたら速やかに安定化試薬中に浸漬されることが好ましい。
【0075】
試薬は、生体試料を処理する1つ又はそれ以上の成分を含有する水性媒体又はアルコールであることが好ましい。一実施形態において、試薬は、細胞及び生体試料を安定化させるためのものである。1つの好ましい実施形態において、保存及び安定化試薬は、細胞から単離する前に長期間にわたって核酸を保存することができる。容器に入っている安定化剤は、細胞及び生体試料に浸透して、ヌクレアーゼが核酸を分解するのを防止する又は抑制するのに有効な量である。
【0076】
一実施形態において、試薬は、試料中の核酸及び細胞タンパク質を沈殿させて、ヌクレアーゼの作用を阻害するか又は不活化することができる。この実施形態において、安定化剤は、核酸及び細胞タンパク質を沈殿させることができる塩を含有する水性媒体である。好適な塩の例は、硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、硫酸セシウム、硫酸カドミウム、硫酸セシウム鉄(II)、硫酸クロム(III)、硫酸コバルト(II)、硫酸銅(II)、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム及び硫酸亜鉛といった硫酸塩である。塩濃度は、約0.10g/mlから約1.50g/mlまでの範囲にわたることができ、好ましくは約0.7g/mlである。他の実施形態においては、安定化剤は、ホルマリン又はクアニジウム化合物のようなカオトロピック塩を含むことができる。
【0077】
試薬はさらに、幾らかのエタノール、メタノール、アセトン、トリクロロ酢酸、プロパノール、ポリエチレングリコール、酢酸及びEDTAのようなキレート剤を含むこともできる。酢酸ナトリウムのような緩衝剤が添加されてもよい。一般的に、安定化剤は、約4から8までのpHを有する。
【0078】
試薬は、一般的には、試料ホルダの多孔性メッシュを透過して生体試料に接触することができる液体である。他の実施形態においては、試薬は、ゲル、ビード若しくは粒子の形態の固体又は半固体とすることができる。ゲル及びビードは、試料ホルダの多孔性メッシュに対して透過性又は不透過性とすることができる。典型的には、ビード又は粒子は、試料ホルダのメッシュの開口部のサイズより大きい粒径を有し、該メッシュを透過することができない。ゲル又はビードが試料ホルダのメッシュに対して不透過性である場合の実施形態においては、試料ホルダのキャビティは、生体試料に接触させるために、或る量のゲル、ビード又は粒子を収容することができる。生体試料対試薬の必要な体積比を与えるようにキャビティ寸法が選択される。ゲルは、試料ホルダの壁を透過して試薬中で生体試料に接触し浸漬させるように、試料ホルダの透過性メッシュに対して透過性とすることができる。ビード又は粒子のような固体又は半固体試薬は、単独で用いられ得るが、それらは一般的には固体又は半固体試薬を補うために液体又はゲル試薬と組み合わせて用いられ、それで生体試料は試薬中に浸漬された状態に維持される。この実施形態においては、試料ホルダのキャビティは、固体又は半固体試薬を含むことができ、容器は、試料容器の壁に対して透過性である液体又はゲル試薬を含むことができる。このように、生体試料は、固体又は半固体試薬に接触した状態で試料ホルダ内に置かれる。次に、試料ホルダは、試薬が該試料ホルダの壁を通って流れ、ビード又は粒子間のスペースを満たし、かつ生体試料を取り囲むことを可能にするために、液体又はゲル試薬入りの容器内に配置される。
【0079】
容器組立体10は、容器12の所定の領域に生体試料108を収容するべく、該容器12内に内部閉じ込め領域を定めるように構成されている。閉じ込め領域109は、試料ホルダ16のキャビティ78により定められることが好ましい。図11から図13までを参照すると、試料閉じ込め領域109が、容器12内の想像線によって概略的に示されている。図11に示すように、閉じ込め領域109は、容器12の側部とキャップ14と底部壁20との間の容器12のほぼ中央に配向されている。図示のように、試薬106は、閉じ込め領域109を完全に浸漬させるレベルまで充填されている。図12及び図13に示されるように、閉じ込め領域109及び試薬106は、容器12の向きに関係なく、該閉じ込め領域109を該試薬106中に完全に浸漬された状態に維持するように選択され制御される。このように、生体試料は、容器の取扱い及び輸送の間にわたって試薬中に完全に浸漬されたままにされる。容器の向きに関係なしに、生体試料を常に処理試薬の液面より下の領域内に閉じ込めることは、該生体試料が容器内の空気に接触することを実質的に防止する。生体試料を処理試薬中に完全に浸漬された状態に保持することは、試薬を用いた該試料の完全な処理を向上させ、該試料が短期間でも空気に曝されたときに生じ得る試験結果の不正確さを最小限にする。核酸安定化試薬のような特定の試薬は、試料が試薬中に速やかに浸漬される際に最も効果がある。生体試料を空気に曝すと、核酸分析の正確さが低下することがある。
【0080】
図14から図17までの実施形態
図14から図17までは、本発明による容器組立体110の第2の実施形態を示している。容器組立体110は、容器112と、閉鎖キャップ114と、試料ホルダ116とを含む。容器112及びキャップ114は、図1から図10までの実施形態の容器12及びキャップ14と実質的に同じであり、それにより同じ構成部品が、プライムを付した同じ参照番号によって示されている。この実施形態においては、容器112は、僅かに切頭円錐形の形状をした底部壁と、ほぼ直線的な側壁とを有する。
【0081】
試料ホルダ116は、図14及び図15に示すように、中央開口部120に向かって収束するほぼ切頭円錐形の形状を有する頂部壁118を含む。環状壁122は、中央開口部120の周りの頂部壁118からほぼ軸方向下向きに延びている。液体透過性メッシュ124は、環状壁122の底端部126に連結され、生体試料を受け入れるキャビティ128を定める。環状リッジ130は、中央開口部120から軸方向上向きに延びている。複数の排出開口部132が、リッジ130に隣接して頂部壁118に形成されている。一対のタブ134が、試料ホルダ116を持ち上げ且つ操作するために頂部壁118の頂面から上向きに延びている。
【0082】
脚部136が、頂部壁118の底面からほぼ軸方向下向きに延びている。図17に示すように、脚部136は、環状壁122から半径方向外向きに離間されており、環状壁122の軸方向の長さより大きい軸方向の長さを有する。図示された実施形態における脚部136は、中心軸線の周りに延びるほぼ弧状の形状を有し、試料ホルダ116を直立位置に支持するために試料ホルダ116の両側において方向付けられている。
【0083】
試料ホルダ116は、頂部壁118の外縁部138が図17に示すように容器112のレッジ36'に入れ子にされるようにするべく容器112内に嵌合するように寸法決めされている。好ましくは、試料ホルダ116の脚部136は、底端部140が容器112の底部壁20'から離間されるような長さを有する。図17に示すように、キャップ114は、プランジャ60'がキャビティ128を閉鎖し、容器112内の空気を押し退けて、安定化剤の液面をキャビティ128より上に上昇させるように容器112に連結される。プランジャ60'は、生体試料を試薬中に浸漬された状態に保つべく生体試料をキャビティ128に下向きに押し込む軸方向の長さを有することが好ましい。
【0084】
図1から図10まで及び図14から図17までの実施形態において、生体試料を受け入れるためのキャビティを有する試料ホルダが、液体安定化剤を収容するために容器内に嵌合される。試料ホルダは、閉鎖キャップにより容器内に保持される。閉鎖キャップは、試料ホルダのキャビティの開口した頂端部を閉鎖し、生体試料が試薬中に完全に浸漬された状態に保たれるように容器を閉鎖する。好ましい実施形態において、キャップは、ヘッドスペースから十分な量の空気を押し退け、容器内の試薬の一部を押し退けて、試薬の液面を試料ホルダのキャビティより上に上昇させる。さらに、試薬の上のヘッドスペース内の空気を押し退けることにより、生体試料が試薬中に完全に浸漬されることが確実なものとなる。好ましくは、容器は、生体試料が容器組立体の向きに関係なく浸漬されたままにされるように十分な量の試薬を収容する。試料ホルダは、容器の側壁にあるレッジに対して押し付けられて、容器内での試料ホルダの軸方向及び横方向移動を制限する。試料ホルダのキャビティが、生体試料を試薬の表面より下に保持するべく容器内に閉じ込め領域を定める。
【0085】
図18から図24までの実施形態
本発明の別の実施形態が、図18から図24までに示されている。図18を参照すると、容器組立体150は、容器152と、閉鎖キャップ154と、試料ホルダ156とを含む。
【0086】
容器152は、開口した頂端部162を定める上端部160をもつ円筒形の側壁158を有する。底部壁164が、側壁158の底端部166に連結されている。側壁158と底部壁164は、試料容器156を受け入れる内部キャビティ168を定める。側壁158の上端部160は、その外面にキャップ154と嵌合するためのねじ山170を有する。
【0087】
キャップ154は、頂部壁72と、垂下している側壁174とを有する。側壁174は、図23に示すように、その内面にねじ山176を有する。側壁174は、容器152の上端部160と嵌合する寸法を有する。
【0088】
試料ホルダ156は、容器152内に嵌合するように寸法決めされており、キャビティ168から容易に取り出される。好ましくは、試料ホルダ156は、キャップ154が容器152に連結されたときに、容器152に入れ子にされて容器152内での試料ホルダ156の横方向及び軸方向移動を制限する幅を有する。図23を参照すると、試料ホルダ156は、容器152内に保持されて、容器152内に収容された状態で試料容器156の移動を制限する。
【0089】
試料ホルダ156は、内部キャビティ180と開口した頂端部182とをもつ本体178を有する。本体178は、開口した頂端部182から基部186まで延びている側壁184を含む。図19に示すように、基部186は、側壁184から実質的に平坦な底部まで全体的に外向き方向に広がっている。
【0090】
図22を参照すると、内部レッジ188は、側壁184の内面から半径方向内向きに延びている。多孔性メッシュ190のような透過性材料が、キャビティ180の液体透過性底部を定めるレッジ188に連結されている。レッジ188及びメッシュ190は、試料ホルダ156が容器152内に位置されたときに、基部186の中空部分192からキャビティ180を離し、容器152の底部からキャビティ180を離間させる。
【0091】
側壁184は、試薬がキャビティ180を通って流れることを可能にするために、多孔性メッシュ196によって覆われた、間隔をおいて配設された複数の開口部194を含む。基部186もまた、液体試薬が中空部分192の中に及びメッシュ190を通ってキャビティ180の中に流れることを可能にするために、間隔をおいて配設された複数の開口部198を含む。
【0092】
複数のタブ200が、本体178の側壁184から半径方向外向きに延びている。図示された実施形態においては、4つのタブ200が、側壁184の周りに均等に離して配設されている。タブ200は、ほぼ平坦な平面形状を有し、本体178の中心軸線に対して軸方向に及び半径方向に延びる平面内に向けられている。図23に示すように、タブ200は、試料ホルダ156の幅を定める外縁部202を有し、容器152内での試料ホルダ156の位置を定める。タブ200は、容器152内に試料ホルダ156を位置させるための安定化部材として機能する。
【0093】
本体178の側壁184は、開口した頂端部182から離間された半径方向に延びるフランジ204を含み、環状カラー206を定める。試料ホルダ156は、キャビティ180の開口した頂端部182を閉鎖するキャップ208のような閉鎖部材を含む。好ましい実施形態において、キャップ208は、可撓性のあるヒンジ210によって本体178に連結されている。好ましくは、キャップ208は、好適なプラスチック成形法により本体178と一体的に形成される。ヒンジ210は、タブ212によりキャップ208に連結され、タブ214によりフランジ204に連結されている。
【0094】
キャップ208は、外向きに延びている半径方向のフランジ220をもつ底端部218を有する環状側壁216を含む。側壁216は、カラー206の外寸に対して相補的な内寸を有する。図示された実施形態においては、側壁216は、その内面に、キャップ208とフランジ204の締まり嵌めを与えるための戻り止め部222を有する。
【0095】
側壁216は、内向きに延びている半径方向のフランジ226を有する頂端部224を含む。フランジ226は、透過性メッシュ230によって覆われた開口部228を形成する。ハンドルを形成するタブ232は、試料ホルダ156に対して軸方向にフランジ226から上向きに延びている。タブ232は、試料ホルダ156の高さを定める頂端部234を含む。好ましくは、試料ホルダ156の高さは、キャップ154が容器152に連結されたときに、試料ホルダ156が容器152内での制限された軸方向移動を許可され、キャビティ180が容器152の所定領域内に保持されるように、容器152の高さに対して相補的なものとされる。
【0096】
一実施形態において、容器152には、容器組立体150の組み立て及び包装時に液体試薬が予め充填される。図24に示すように、技術者又は科学者によって用いられる用意ができた状態にあるときに、キャップ154が容器152から取り外され、水平面上に置かれる。試料ホルダ156が容器152から取り出され、裏返しにされたキャップ154の中に入れられる。この方法においては、キャビティ180内の安定化剤をキャップ154内に排出させることができる。試料ホルダ156のキャップ208が、ヒンジ210の周りを回転することにより開けられる。次いで、生体試料をキャビティ180に入れることができる。キャップ208が、閉鎖位置に回転され、カラー206上に嵌められる。次いで、図23に示すように、試料ホルダ156が容器152に再び入れられ、それによりキャビティ180が液体試薬136中に浸漬される。
【0097】
試料ホルダ156は、標準手順による分析にとって十分なサイズの生体試料を収容するように寸法決めされている。好ましくは、キャビティ180は、生体試料を受け入れるのに十分なくらいの寸法を有し、安定化剤がキャビティを通って流れることを可能にして、生体試料が試薬中に完全に浸漬されることを保証するのに十分なくらい試薬に対して開放される。典型的には、容器152の体積対キャビティ180の体積の比は、約10:1である。キャップ208のタブ232は、容器152から試料ホルダ156を持ち上げるために、技術者が鉗子又は他のツールを用いて容易につかめる寸法を有することが好ましい。孔238は、試料ホルダ156を操作するべくタブ232をつかむ助けとするために設けることができる。
【0098】
図25から図28までの実施形態
図25から図28までは、生体試料を受け入れる容器組立体250の別の実施形態を示している。容器組立体250は、容器252と、容器252用の閉鎖キャップ254と、試料ホルダ256とを含む。
【0099】
容器252は、前の実施形態の容器と同様のものであり、閉鎖キャップ254と嵌合する雄ねじ262をもつ、頂部開口260を有する円筒形の側壁258を含む。容器252は、底部壁を有し、試料ホルダ256を受け入れ、且つ有効量の処理液体を収容できるように寸法決めされている。キャップ254は、頂部壁266と、容器252のねじ山262と嵌合する雌ねじ270をもつ側壁268とを有する。
【0100】
この実施形態における試料ホルダ256は、試料ホルダ256が試薬の中に沈み、全ての向きにおいて容器の底に維持されるように、処理試薬272の密度よりも高い密度を有する。前の実施形態の場合のように、試料ホルダ256は、図27及び図28に示すように容器252内に、並びに図26に示すようにキャップ254に嵌合する寸法を有する。
【0101】
図25及び図26を参照すると、試料ホルダ256は、内部キャビティ278を定める側壁276によって形成された本体274を有する。本体274は、取り外し可能な閉鎖部材282によって閉鎖される開口した頂端部280を有する。
【0102】
試料ホルダ256の本体274は、軸方向の通路286と、僅かに丸みを帯びた底端部288とを有する基部284を含む。基部284は、試料ホルダ256が試薬272中に沈むことを確実なものにするべく加重部分を定める。図示された実施形態において、側壁276は、透過性スクリーン又はメッシュ292を支持する内部レッジ290を含む。側壁276は、内部キャビティ278を囲むために透過性スクリーン296によって閉鎖された複数の開口部294を含む。試薬が軸方向の通路286に流れることを可能にするべく、複数の開口部296が本体274に設けられている。
【0103】
複数のタブ298が、本体274の側壁276から外向きに延びている。タブ298は、平面形状を有し、本体274のほぼ軸方向に向けられている。好ましくは、タブ298は、容器252内での試料ホルダ256の横方向移動を制限するために、容器252の内寸に対して相補的な寸法を有する。
【0104】
本体274の側壁276は、閉鎖部材282と連結するためのカラー300を含む。閉鎖部材282は、閉鎖部材282をカラー300に連結するための、カラー300に対して相補的な内寸をもつ環状壁302を有する。閉鎖部材282は、摩擦嵌め又は締まり嵌めによってカラー300に連結することができる。好ましくは、閉鎖部材282は、本体274及び閉鎖部材282と一体的に成形された可撓性のあるヒンジ304によって本体274に連結される。或いは、ヒンジピンを備えた2部品ヒンジを用いることができる。
【0105】
閉鎖部材282は、その頂端部に開口部306が形成されており、開口部306を閉鎖するために液体透過性メッシュ308を含む。ハンドル310は、閉鎖部材282に連結されており、試料ホルダ256を持ち上げ、操作する際の助けとなる。
【0106】
試料ホルダ256のキャビティ278は、生体試料を収容するように寸法決めされている。キャビティ278は、生体試料のサイズを制限する内部体積を有し、それにより生体試料のサイズは容器252内の試薬の体積に関連して制御される。好ましくは、容器252内の試薬の体積対生体試料の体積の比は、少なくとも5:1であり、好ましくは少なくとも10:1である。
【0107】
容器組立体250は、前の実施形態と同様に用いられる。試料ホルダ256は、図26に示すようにキャップ254に入れることができ、それにより試薬を回収することができる。閉鎖部材282が開けられ、生体試料が試料ホルダ256のキャビティ278に入れられる。試料ホルダ256が閉鎖され、試薬272が入っている容器252に入れられる。容器252は、図27及び図28に示すように、容器252の如何なる向きにおいても試料ホルダ256を覆うように或る量の液体試薬272を収容する。試料ホルダ256は、図27及び図28に示すように、試料ホルダ256に収容された生体試料の密度に関係なく、容器252の底部に沈むのに十分なくらいの密度を有する。
【0108】
図29の実施形態
図29は、医師又は臨床医によって用いられる予め包装された滅菌キット310の形態の本発明の実施形態を示している。キット310は、容器314を取り囲むパッケージ312と、試料ホルダ316と、一対の鉗子318のような1つ又はそれ以上の器具とを含む。これらの部品は、使える状態にするべく、清潔で、滅菌されていることが好ましい。図示された実施形態におけるパッケージ312は、1つ又はそれ以上の縁部320の周りにヒートシールされ得るプラスチックフィルム又は材料のシートから形成されたプラスチックパウチである。ヒートシールされた縁部320は、内容物を取り出すために、操作者によって容易に分離され得る剥離層として形成することができる。
【0109】
一実施形態において、容器314は液体試薬で予め充填されており、試料ホルダ316は、図29に示すように容器314と別箇に包装されている。或いは、試料ホルダ316は、容器314内に包装されて、使用する前に容器314から取り出される。図示された実施形態においては、一対の鉗子がパッケージ312に入れられるが、外科用メス及び計器といった他の器具及び外科用器具が入れられてもよい。
【0110】
図30及び図31の実施形態
図30及び図31は、本発明の別の実施形態を示している。容器組立体330は、容器332と、閉鎖キャップ334と、試料ホルダ336とを含む。
【0111】
容器332は、前の実施形態の容器と同様のものであり、開口した頂部342と底部壁344とを定める上端部340を有する円筒形の側壁338を含む。上端部340には、閉鎖キャップ334を容器332に連結するねじ山346がある。キャップ334は、頂部壁348と、垂下する側壁350とを有する。側壁350には、容器332のねじ山346と嵌合する雌ねじがある。
【0112】
試料ホルダ336は、容器332内に嵌合して、生体試料を容器332に入れられた試薬中に保持するように寸法決めされている。一実施形態において、試料ホルダ336は、容器332内における横方向及び長手方向移動を制限する幅及び高さを有する。
【0113】
試料ホルダ336は、内部キャビティと開口した頂端部354とを有する本体352を有する。本体352は、開口した頂端部から基部358まで延びている側壁356を含む。図30及び31に示すように、基部358は、側壁356から実質的に平坦な底部までほぼ外向き方向に広がっている。
【0114】
前の実施形態の場合のように、試料ホルダ336の底部壁は、液体透過性の底部を定める、多孔性メッシュ360のような透過性材料を有する。
【0115】
側壁356は、試薬がキャビティを通って流れることを可能にする、多孔性メッシュ364のような透過性材料によって覆われた、間隔をおいて配設された複数の開口部362を含む。基部358もまた、液体試薬がメッシュを通ってキャビティに流れ込むことを可能にする、間隔をおいて配設された複数の開口部366を含む。
【0116】
本体352の側壁356は、開口した頂端部354から離して配設された半径方向に延びるフランジ368を含み、環状カラー370を定める。試料ホルダ336は、キャビティの開口した頂端部354を閉鎖するキャップ372のような閉鎖部材を含む。好ましい実施形態において、キャップ372は、可撓性のあるヒンジ374によって本体352に連結されている。好ましくは、キャップ372は、適切なプラスチック成形法により本体352と一体的に形成される。
【0117】
キャップ372は、外向きに延びる半径方向のフランジをもつ底端部を有する環状側壁376を含む。側壁376は、カラー370の外寸に対して相補的な内寸を有する。支柱371は、生体試料を試料ホルダ336のキャビティに位置させて、生体試料を試薬中に浸漬された状態に保つのに十分な距離だけキャップ372から下向きに延びている。
【0118】
ハンドルを形成するタブ378は、試料ホルダ336に対して軸方向にキャップ372の頂面から上向きに延びている。タブ378は、試料ホルダ330の高さを定める頂端部を含む。好ましくは、試料ホルダ336の高さは、キャップ372が容器に連結されたときに、試料ホルダ336が容器内での制限された軸方向移動を許され、キャビティが容器の所定領域内に保持されるように、容器の高さに対して相補的なものとされる。一実施形態において、試料ホルダ336は、生体試料の輸送中、容器332の底部壁に取り外し可能に連結されて、試料ホルダ336を定位置に維持することができる。
【0119】
図30及び図31の実施形態において、試料ホルダ336は、図30の場合の容器332に、又は図31の場合のキャップ334に係留される。可撓性材料のストリング380又はストリップは、キャップ334又は容器332に連結された第1端と、タブ378の穴382を通って延びる第2端とを有する。この実施形態においては、試料ホルダ336は、生体試料を識別するためのラベル又は他の識別表示を支持する組立体330の構成部品に連結されている。このように、試料ホルダは、キャップ又は容器の識別マーカに常に係留されている。別の実施形態においては、容器又は蓋には、容器又はキャップ上に識別子を書く又は印刷することができるように、書き込み可能表面が設けられている。
【0120】
図32から図37までの実施形態
本発明の別の実施形態が、図32から図37までに示されている。図32を参照すると、容器組立体386は、容器388と、閉鎖キャップ390と、試料ホルダ392とを含む。図32から図36までの実施形態においては、試料ホルダ392は、試料ホルダ392が容器388内の定位置に維持されるように容器388に取り外し可能に連結されている。図32から図36までの試料ホルダ392は、生体試料と共にファイリングするために容器388から分離可能であり、その後に試料ホルダ392が戻され、容器388に連結される。図37の実施形態において、試料ホルダ392は、容器388に恒久的に固定されている。典型的には、試料ホルダ392は、図37の実施形態においては、容器388と一体的に成形されている。
【0121】
容器388は、開口した頂端部398を定める上端部396をもつ円筒形の側壁394を有する。底部壁400が、側壁394の底端部に連結されている。側壁394及び底部壁400が、試料ホルダ392を収容する内部キャビティ402を定める。側壁394の上端部396は、その外面にキャップ390と嵌合するねじ山402を有する。
【0122】
キャップ390は、頂部壁404と、垂下する側壁406とを有する。側壁406は、図33に示すように、その内面にねじ山を有する。側壁406は、容器388の上端部396と嵌合する寸法を有する。
【0123】
試料ホルダ392は、容器388内に嵌まる寸法にされており、キャビティ402から容易に取り出される。試料ホルダ392は、内部キャビティ410と開口した頂端部412とをもつ本体408を有する。本体408は、開口した頂端部412から基部416まで延びている側壁414を含む。図33に示されるように、基部416は、外向きに延びている半径方向のリブ418をもつほぼ円筒形の形状を有する。容器388の底部壁400は、連結関係で試料ホルダ392の基部416を受け入れる寸法にされた環状の凹部420を含む。図示された実施形態においては、凹部420は、同軸壁422により定められる。最外壁422は、基部416のリブ418を受け入れて、試料ホルダ392を容器388にしっかりと連結する内向きに開いた溝424を有する。試料ホルダ392は、締まり嵌め又は摩擦嵌めといった圧力嵌めにより容器388に取り外し可能に連結される。
【0124】
1つの好ましい実施形態において、試料ホルダ392は、試料ホルダ392の位置を容器388内に固定するために、リブ418と溝424との間のスナップ嵌めによって容器388にしっかりと取り付けられる。壁422によって形成された凹部420が、試料ホルダ392を容器388に取り外し可能に連結する連結部材を定める。試料ホルダ392は、リブ418と溝424との間の抵抗に打ち勝つのに十分な力で上向きに引き上げることにより容器388から分離可能である。図37に示される実施形態においては、試料ホルダ392は、容器388と一体的に形成されており、分離可能なものではない。容器388は、生体試料の識別のための書き込み可能な表面を含む。試料ホルダ392は、容器388に対して試料ホルダ392を上向きに引き上げることにより容器388から分離することができる。
【0125】
図33及び図34を参照すると、内側レッジ426が、側壁414の内面から半径方向内向きに延びている。多孔性メッシュ428のような透過性材料が、キャビティ410の液体透過性底部を定めるレッジ426に連結されている。図33及び図34に示すように、試料ホルダ392が容器388に連結されたときに、レッジ426及びメッシュ428がキャビティ410を基部416の中空部分430から分離し、容器388の底部からキャビティ402を離間させる。
【0126】
側壁414は、試薬がキャビティ402を通って流れることを可能にする、多孔性メッシュ434によって覆われた、間隔をおいて配設された複数の開口部432を含む。基部416もまた、液体試薬が中空部分430の中に及びメッシュ428を通ってキャビティ402の中に流れ込むことを可能にする間隔をおいて配設された複数の開口部436を含む。
【0127】
本体408の側壁414は、環状カラー440を定める開口した頂端部から離間された半径方向に延びるフランジ438を含む。試料ホルダ392は、キャビティ410の開口した頂端部を閉鎖するキャップの形態の閉鎖部材442を含む。図示された実施形態においては、キャップ442は、本体408から分離可能であり、スナップ嵌めにより本体408に取り外し可能に連結されている。
【0128】
キャップ442は、外向きに延びる半径方向のフランジ446をもつ底端部を有する環状側壁444を含む。側壁444は、カラー440の外寸に対して相補的な内寸を有する。図示された実施形態においては、側壁444は、その内面に、キャップ442と本体408のカラー440との締まり嵌めを与えるリブ448を有する。
【0129】
図33を参照すると、キャップ442の側壁444は、内向きに延びる半径方向のフランジ450を有する頂端部を含む。フランジ450が、透過性メッシュ454によって覆われた開口部452を形成する。ハンドルを形成するタブ456は、試料ホルダ392に対して軸方向にフランジ450から上向きに延びている。タブ456は、試料ホルダ392の高さを定める頂端部を含む。好ましくは、試料ホルダ392の高さは、キャップ442が容器388に連結されるときに、試料ホルダ392がキャップ390に対して僅かに間隔をあけて位置されるように、容器388の高さに対して相補的なものにされる。
【0130】
一実施形態において、容器388は、容器組立体の組み立て及び包装時に液体試薬で予め充填される。技術者又は科学者によって用いられる用意ができた状態にあるときに、キャップ390が容器388から取り外され、キャップ442が試料ホルダ392の本体408から取り外されて、キャビティ410が露出される。一実施形態において、容器388は、図34に示すように、キャビティ410を完全に満たすレベルまで満たされている。典型的には、試薬のレベルは、試料がキャビティ410の外に浮くことなく、生体試料を試薬中に浸漬させる深さを有する。生体試料がキャビティ410に入れられ、キャップ390がホルダ392の本体408に嵌められる。
【0131】
生体試料は、試料ホルダ392が容器388に連結されたままの状態で試料ホルダ392に入れることができる。試料ホルダ392のキャップ442は、容器388から試料ホルダ392を取り外すことなく、試料ホルダ392から取り外すことができる。この実施形態において、試料ホルダ392のキャビティには試薬が充填されている。生体試料が収集され、生体試料の汚染及び空気への露出を最小にするべく試料ホルダ392のキャビティの試薬中に直接入れられる。代替的な実施形態においては、試料ホルダ392が凹部420から分離され、容器388から取り外される。試料ホルダ392は、試薬を回収するために、裏返しにされたキャップ390の中に置くことができる。生体試料を試料ホルダ392に入れることができる。キャップ442を試料ホルダ392に設置する。次に、試料ホルダ392を容器388に戻して、生体試料を試薬中に浸漬させる。好ましくは、試料ホルダ392は、組立体の輸送及び取り扱い中に試料ホルダ392を定位置に維持するために、容器388内の凹部に固定される。
【0132】
図示された実施形態においては、キャップ442は、図34に示すように、タブ456から試料ホルダ392のキャビティ410の中へと下向きに延びる支柱458を含む。典型的には、支柱458は、キャビティ410の軸線に沿って延び、概ねキャビティ410の軸方向中心に向けられている。支柱458は、軸方向端部460をもつほぼ円筒形の形状を有する。軸方向端部460は、生体試料464に係合し、該試料464を容器388内の液体試薬466中に浸漬された状態に保つための歯462を含む。一実施形態において、支柱458は、支柱458の軸方向端部460と底部メッシュ428との間に生体試料464を捕捉して、保管中に生体試料464の位置を固定する幅及び長さを有する。
【0133】
種々の実施形態が本発明を説明するために選ばれたが、添付の特許請求の範囲において定められるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者により、種々の修正及び追加がなされ得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】第1の実施形態における容器組立体の分解斜視図である。
【図2】容器内に受け入れられた試料ホルダを示す容器組立体の分解斜視図である。
【図3】図1の組立体の分解側面図である。
【図4】容器組立体の分解断面側面図である。
【図5】組み立てられた容器組立体の断面図である。
【図6】試料ホルダの平面図である。
【図7】図6の線7−7に沿って切り取られた図6の試料ホルダの断面図である。
【図8】容器の閉鎖部材の平面図である。
【図9】容器の底面図である。
【図10】閉鎖部材上に支持された試料ホルダの側断面図である。
【図11】試薬表面の下にある閉じ込め領域を示す直立状態の容器の側断面図である。
【図12】斜めに位置された図11の容器の側断面図である。
【図13】横に位置された図11の容器の側断面図である。
【図14】第2の実施形態における試料ホルダの側面図である。
【図15】図14の試料ホルダの断面図である。
【図16】図14の試料ホルダ及び容器の斜視図である。
【図17】図14の試料ホルダを含む容器組立体の側断面図である。
【図18】本発明の別の実施形態における容器組立体の分解斜視図である。
【図19】図18の実施形態の試料ホルダの側面図である。
【図20】開位置にある図19の実施形態の試料ホルダの平面図である。
【図21】閉じられた試料ホルダの平面図である。
【図22】試料ホルダの側断面図である。
【図23】容器内の試料ホルダの側面図であり、容器が断面で示されている。
【図24】試料ホルダを支持する閉鎖部材を示す容器組立体の側面図である。
【図25】本発明の別の実施形態における試料ホルダの側断面図である。
【図26】図25の実施形態の容器組立体の側面図である。
【図27】直立位置にある図27の容器組立体の部分断面側面図である。
【図28】倒立位置にある図27の容器組立体の部分断面側面図である。
【図29】容器と試料ホルダと鉗子とを含んでいる包装されたキットの部分断面平面図である。
【図30】試料ホルダが容器に係留されている一実施形態における容器の分解側面図である。
【図31】試料ホルダが容器のキャップに係留されている一実施形態における容器の分解側面図である。
【図32】本発明のさらなる実施形態における容器の側面図である。
【図33】図32の容器組立体の側断面図である。
【図34】容器に連結された試料ホルダを示している図32の容器組立体の側断面図である。
【図35】容器内の試料ホルダに連結されたキャップを示している側断面図である。
【図36】生体試料と液体試薬とを収容している容器組立体の側断面図である。
【図37】容器に固定された試料ホルダを示している別の実施形態における容器組立体の断面図である。
【符号の説明】
【0135】
10 容器組立体
12 容器
14 閉鎖キャップ
16 試料受入ホルダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料を試薬中で収集し、輸送し、処理し、保管する方法及び装置に向けられている。本発明はまた、生体試料が試薬中に完全に浸漬される場合の、生体試料を輸送する方法及び装置に向けられている。
【背景技術】
【0002】
生体試料は、或る病気の存在を判断し、その病気の適切な治療を判断する診断評価のために、研究者又は臨床医によってしばしば採取される。一般的な病気診断法には、組織学的診断及び細胞学的診断が含まれる。例えば腫瘍は、通常、組織学的異常及び細胞学的異常について検査される。
【0003】
生体試料はまた分子診断用にも採取される。近年、核酸分析、特にRNA及びDNA分析及び研究が、多くの病気治療の研究において一般化してきている。正確なRNA及びDNA定性及び定量分析のための必須条件は、高品質で無傷のRNA及びDNAが存在していることである。例えば、無傷の核酸は、RT−PCR、ノーザンブロット・ハイブリダイゼーション、及び核酸発現についてのヌクレアーゼ保護アッセイ分析に必要である。
【0004】
生体試料は、種々の源から及び種々の方法で採取することができる。臓器から少量の組織すなわち試験片を取り出すように設計された多くの装置が存在する。例えば、組織のコアフラグメントを抽出する穿孔装置と類似の装置を用いて、小さい試料が採取されることができる。生検を実行するための別の装置は、単細胞、小細胞集塊及び組織断片を抽出することができる吸引針装置を用いるものである。
【0005】
一般的には、可能な限り最も正確な結果を得るために、患者又は源から抽出された直後に組織学的又は細胞学的分析を行うことが好ましい。保管中に多くの分子の変化が試料に生じることがあり、これが最終結果に影響を及ぼしうる。例えば、生体試料中の核酸は、遺伝子転写を含む多くの変化を受けることがあり、核酸は、安定化剤で処理されない場合には、室温での保管中にすぐに分解する。
【0006】
収集時に生体試料を分析することは、不可能であるか又は実用的でないことが多い。したがって、組織成分の分解を防止し又は抑制し、かつ分析結果の完全性を保持するために、制御された条件のもとで試料を保管することが必要である。生体試料は、通常、適切な固定試薬と共に容器に保管される。典型的な固定試薬は、10%のホルマリンである。他の固定剤には、水混和性アルコール、エタノール/アセトン混合物、及びエタノール/酢酸混合物が含まれる。硫酸アンモニウム溶液も、全体が引用により本明細書に組み入られるLaderへの特許文献1に開示されるように用いられており、その全体が引用により本明細書に組み入れられる。次に、生体試料が固定試薬中に入っている容器は、分析のために病理実験室又は他の送り先に送られることができる。
【0007】
生体試料の適正な取扱いは、正確な核酸分析、特にRNA定性及び定量評価には必須である。生体試料は、該試料を保存するのに有効な量の固定試薬を必要とする。さらに、或る試薬は、有効な保存を確実なものとするために、試料が固定試薬で完全に被覆されることを必要とする。通常、生体試料は、単に、保管用の小さな容器に入れられる。非常に小さなものとなり得る生体試料は、容器から探し出し、回収することが困難なものとなり得る。
【0008】
生体試験片から高品質の試験結果を得るためには、試料の早期安定化又は保存が要求されることがある。生体試料その他の細胞は、当該技術分野において公知の種々の方法によって急速冷凍されることができる。解剖病理学用の試験片は、通常は、ホルムアルデヒド及びアルコール基部の溶液中に保存される。分子検査用の試験片は、これらの及びカオトロピック塩といった他の試薬中に保存されてきた。
【0009】
生体試料の急速冷凍は、細胞及び分子特性を安定化させるのに有効となり得る。試料は、通常はドライアイスに載せて輸送される。しかしながら、急速冷凍は、必ずしも利用可能である又は便利なわけではない。典型的には収集場所と処理実験室が場所的に及び時間的に離れており、そのことが安定化の障害となっている。
【0010】
生体試料を保管し、輸送し、安定化する従来の方法及び容器は、意図された目的に対し或る成果を収めているが、幾つかの公知の制限がある。しかしながら、生体試料を保管するための改良された容器及び方法に対する、業界における継続的な必要性がある。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,204,375号明細書
【発明の開示】
【0012】
本発明は、生体試料を試薬中に収集し、輸送し、処理し、保管する方法及び装置に向けられている。本発明はまた、試料が試薬中に連続的に浸漬される場合の、生体試料を試薬で処理する方法及び装置に向けられる。
【0013】
したがって、本発明の一態様は、核酸安定化用の安定化試薬中に生体試料を維持する方法を提供することである。この方法は、組織及び細胞全体を処理するのに特に適している。
【0014】
本発明の別の態様は、生体試料が試薬から容易に回収され得る、生体試料を試薬で処理する方法及び装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、試料と試薬との決定的な比を維持しつつ、生体試料を適切な試薬中に収集し、保管し、安定化し、処理し、及び/又は輸送する方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の態様は、核酸単離及び分子診断評価のために生体試料を安定化させる方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、RNA発現分析のために、試料から無損傷の核酸を採取するべく、生体試料を長期間にわたって核酸安定化剤中で保管する方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、容器組立体に組織安定化剤が予め充填される、生体試料を保管する容器組立体を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、生体試料を取り入れ、輸送し、保管するための、簡単にかつ容易に用いられる方法及び容器組立体を提供することである。
【0020】
本発明の別の態様は、生体試料が有効量の試薬と接触している状態で異なるサイズの生体試料を収容することができる容器組立体を提供することである。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、試料体積と試薬体積が生体試料を処理するのに十分な所定の割合に維持される、生体試料を液体試薬中に維持する方法及び装置を提供することである。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、試料を有効に処理するのに十分な量の試薬が入っている、容器中の試薬量に関連して生体試料のサイズを制限し制御するべく所定サイズの試料受入ホルダを有する生体試料容器組立体を提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、試料を組立体に出し入れするときに試薬がこぼれる恐れが低減される、生体試料容器組立体を提供することである。
【0024】
本発明の別の態様は、容器内に嵌合し、容器から取り外すことができる試料ホルダを容器組立体が含む、生体試料を試薬中で処理するための容器組立体を提供することである。
【0025】
本発明のさらに別の態様は、生体試料が容器の向きに関係なしに試薬中に浸漬されたままにされる、生体試料を容器内の液体試薬中に支持する方法及び装置を提供することである。
【0026】
本発明の別の態様は、生体試料を採取し、処理するためのキットすなわちパッケージ化された構成部品組立体を提供することである。キットは、試料ホルダと、該試料ホルダを受け入れる容器と、或る量の処理試薬と、小刀、鉗子等のような外科用ツールとを含むことが好ましい。キット構成部品は、清潔で、滅菌され、適切な滅菌パッケージに包装されることが好ましい。
【0027】
本発明のさらに別の態様は、組立体が、閉鎖キャップを有する容器と、容器に連結されたときに閉鎖キャップによって閉じられる頂部開口を有する取り外し可能な試料ホルダとを含む場合の、生体試料を受け入れる容器組立体を提供することである。試料ホルダは、容器か又は閉鎖キャップに係留することができる。一実施形態において、試料ホルダは、容器に連結することができる。
【0028】
本発明の別の態様は、試薬容器と、試料ホルダを容器内の所定領域に保持するべく、容器内での試料ホルダの横方向及び垂直方向の移動を制限する状態で容器内に嵌まる寸法にされた試料ホルダと、を含む生体試料容器組立体を提供することである。
【0029】
本発明の別の態様は、試料ホルダが生体試料を安定化液体中に浸漬された状態に保持するように配置された組織受入キャビティを含む、容器と該容器内の取り外し可能な試料ホルダとを有する生体試料容器組立体を提供することである。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、閉じ込め領域が装置の向きに関係なく液体中に浸漬されたままにされるように方向付けられる、或る体積の液体中に閉じ込め領域を定める方法及び装置を提供することである。
【0031】
本発明のさらに別の態様は、試料ホルダが、少なくとも1つの支持脚部を有し、閉鎖部材の内面上に支持され得る、容器と、閉鎖部材と、取り外し可能な試料ホルダとを含んでいる生体試料容器組立体を提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の態様は、閉鎖部材が、生体試料を容器内の試薬中に浸漬させ、該容器から所定量の空気を排気させ、それにより試薬上のヘッドスペースを減少させるべくプランジャを含む、容器と、閉鎖部材と、試料ホルダとを含んでいる生体試料容器組立体を提供することである。
【0033】
本発明の別の態様は、容器と、試薬が生体試料の周りのキャビティに自由に流れ込むことを可能にする透過性の面によって囲まれたキャビティを有する試料ホルダとを含んでいる、生体試料用の容器組立体を提供することである。透過性の面は、網状材料、濾紙又は多孔性膜スクリーンといった透過性媒体から製造することができる。
【0034】
本発明の別の態様は、試料ホルダが取り外し可能な閉鎖体を含む、容器と試料ホルダとを含んでいる生体試料容器組立体を提供することである。
【0035】
本発明のさらなる態様は、試料ホルダが容器内に嵌まる寸法にされ、かつ該ホルダが該ホルダに試薬が自由に流れ込むことを可能にする透過性部分を含む、生体試料用の試料ホルダを提供することである。
【0036】
本発明の別の態様は、ホルダが試薬の入った容器と協働する、開口した頂部と、容器を閉鎖するべくホルダに回転可能に連結された閉鎖体とを有する生体試料ホルダを提供することである。
【0037】
本発明の一実施形態において、容器組立体は、容器と、該容器内に嵌まる試料ホルダと、閉鎖部材とを含む。試料ホルダは、容器の側壁内のレッジに対して入れ子にされる外周縁部を有するプラットフォーム状の装置の形態である。試料ホルダは、生体試料を支持する凹部領域を含む。凹部領域は、液体試薬が該凹部領域を通って自由に流れることを可能にする透過性の壁によって形成される。閉鎖部材は、容器に連結されたときに凹部領域の開口した頂端部を閉鎖する本体すなわちプランジャ状の部材を含む。試料ホルダは、容器から取り外されたときに該試料ホルダを支持する複数の支持脚部を含む。
【0038】
別の実施形態においては、試料ホルダは、容器から取り外し可能な、支えなしで立っている装置である。試料ホルダには、透過性の側壁と透過性の底部とが形成され、頂部開口を有するキャビティが形成される。閉鎖キャップは、キャビティを閉鎖するためにヒンジによってホルダに連結されている。キャップは、操作者が容器から試料ホルダを取り外すことを可能にするために、上向きに延びているタブを含むことができる。
【0039】
本発明のこれらの及び他の態様は、生体試料の保管用の容器組立体を提供することにより基本的に達成される。容器は、底部、側部、及び開口した頂端部を有する。容器はまた、生体試料を処理するのに十分な体積の試薬を収容する寸法を有する。閉鎖部材は、容器の開口した頂端部に連結するために設けられている。試料ホルダは、容器及び閉鎖部材から取り外し可能であり、生体試料を収容する寸法をもつ内部キャビティを有する。ホルダは、試薬がキャビティに自由に流れ込むことを可能にする、キャビティへの複数の流体開口部を有する。試料ホルダはまた、容器の底部及び側部と閉鎖体との間に嵌合し、かつキャビティを試薬中に浸漬する寸法を有する。
【0040】
本発明の態様は、底部、側部、及び開口した頂端部を有し、液体試薬を収容する寸法にされている容器を含む容器組立体を提供することによりさらに達成されるものである。閉鎖体は、容器に取り外し可能に連結され、開口した頂端部を閉鎖する。閉鎖体は、外面と内面とを有する。試料ホルダは、生体試料を収容する内部キャビティを有する。ホルダは、キャビティへの少なくとも1つの流体開口部を有し、容器内に嵌合してキャビティを液体試薬中に完全に浸漬し、かつ容器内における試料ホルダの直線的な移動を実質的に防止する寸法を有する。本体は、閉鎖体の内面に連結されて、容器内の液体試薬の一部を押し退ける。
【0041】
本発明の態様は、底部、側部、及び開口した頂端部を有する容器を提供するステップを含む、細胞及び生体試料内の核酸を安定化する方法を提供することによりなおいっそう達成されるものである。容器は、核酸安定化剤を収容する。生体試料が試料ホルダに入れられる。試料ホルダは、生体試料を受け入れる内部キャビティを有し、かつキャビティへの流体開口部を有する。試料ホルダが容器内に位置され、内部キャビティを試薬中に完全に浸漬させる。容器を閉鎖するために閉鎖部材が容器上におかれる。閉鎖部材は、試料ホルダと協働して、容器内での試料ホルダの移動を制限し、かつ内部キャビティを試薬中に浸漬された状態に保持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の種々の態様、利点及び他の顕著な特徴は、添付図面及び本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0043】
本発明は、生体試料を収集し、輸送し、処理し、保管する方法及び装置に向けられている。本発明はまた、試料が試薬中に完全に浸漬される場合の、生体試料を液体試薬中に収集し、輸送し、処理し、保管する方法及び装置に向けられている。
【0044】
本発明の方法及び装置は、分子診断法を対象とした生体試料のような生体試料を輸送するのに特に適している。生体試料は、例えば液体安定化剤といった適切な試薬が入った容器組立体内に保持されており、それにより生体試料は、該容器の向きに関係なく、試薬中に完全に浸漬されたままにされる。他の実施形態においては、試薬は、ビード又は他の粒子の形態となり得るゲル、固体又は半固体とすることができる。ゲル固体は、単体で又は液体試薬と組み合わせて用いることができる。
【0045】
本発明は、特に、生体試料を容器内の適切な試薬で処理する方法に向けられる。この方法は、試料が該試料を処理するのに有効な量の試薬に接触し、該試料を試薬中に浸漬された状態に維持して、試料が空気と接触するのを防止するか又は最小にすることを確実なものにする。一実施形態において、容器は、試料が容器に入れられたときに、試料が試薬の一部を押し退けて、試薬がこぼれることなく試料が完全に浸漬するのに十分なレベルまで試薬の液面を上昇させるように、所定レベルまで液体試薬で充填されている。好ましくは、試料は、容器の向きに関係なく、試料が試薬中に浸漬された状態のままになるように、容器の内部キャビティの所定位置又は領域に保持される。
【0046】
一実施形態において、生体試料を試薬で処理する方法は、生体試料を収集し、該試料を速やかに試薬中に入れるステップを含む。典型的には、試料は、何の中間段階もなく試薬中に完全に浸漬される。試料は、空気との接触を最小にするために、収集後にできるだけ速やかに試薬によって完全に覆われる、すなわち試薬中に完全に浸漬されることが好ましい。試料は、容器の取扱い及び輸送中に試料が空気に露出されることなく浸漬されたままになるように、試薬が入った容器内の保持領域に保持される。
【0047】
図1から図10までを参照すると、本発明は、第1の実施形態において、容器組立体10に向けられる。容器組立体10は、容器12と、閉鎖キャップ14と、試料受入ホルダ16とを含む。
【0048】
図示された実施形態において、容器12は、側壁18及び底部壁20によって形成されたほぼ円筒形の形状を有する。側壁18は、容器12の開口した頂端部22から底縁部24まで延在している。複数の凹部領域26が、底縁部24に当接した側壁18に形成されている。凹部26は、操作者が容器組立体10を開閉するのを助けるために、操作者が容器をつかむのを助ける寸法を有する。
【0049】
側壁18は、キャップ14上の相補的なねじ山と嵌合するための、開口した頂端部22に隣接した雄ねじ28を含む。リブ30は、側壁18から半径方向外向きに延びており、開口した頂端部22から軸方向に間隔をおいて配置されている。リブ30は、開口した頂端部22から閉鎖キャップ14の寸法を補完する距離だけ離間され、容器12を取り囲むことが好ましい。
【0050】
図4を参照すると、容器12は、生体試料を安定化させるのに十分な有効量の液体安定化剤を収容するのに十分な寸法をもつ内部キャビティ32を有する。図示された実施形態においては、底部壁20は、容器12の底部に凹部34を形成するために、円筒部分33により側壁18の底縁部24から離間されている。代替的な実施形態においては、容器12の底部は、ほぼ平坦とすることができる。
【0051】
側壁18は、容器12の中心軸線に対して実質的に半径方向に延びているレッジ36を含む。レッジ36は、後でより詳細に説明されるように、試料ホルダ16を支持するのに十分な幅を有する。図示された実施形態においては、レッジ36は、側壁18の頂端部に位置されており、容器12の頂縁部38に実質的に平行に向けられている。好ましくは、レッジ36は側壁18に形成される。代替的な実施形態においては、リブは、試料ホルダ16を支える距離だけ側壁18の内面から内向きに延びることができる。
【0052】
キャップ14は、容器12と嵌合するために、容器12の側壁18を補完する寸法を有する。図3及び図4に示すように、キャップ14は、外面42及び内面44をもつほぼ円筒形の形状を有する側壁40を含む。図3に示すように、外面42は、操作者がキャップ14を取り扱うのを助ける複数のくぼみ46を含む。内面44は、容器12のねじ山28と嵌合するねじ山48を含む。
【0053】
キャップ14は、側壁40に連結された頂部壁50を含む。環状リブ52は、頂部壁50からキャップ14に対してほぼ軸方向下向きに延びている。リブ52は、底部壁55によって連結された軸方向内側の側壁54と軸方向外側の側壁56とを含む。後で説明されるように、リブ52の底部壁55は、容器12内における試料ホルダ16の移動を制限しつつ、試料ホルダ16に接触するように向けられている。軸方向外側の側壁56は、側壁40にほぼ平行に延びており、容器12の頂縁部38と嵌合するために、凹部58を形成する距離だけ側壁40から内向きに離間されている。
【0054】
キャップ14の頂部壁50は、ほぼ切頭円錐形の形状をした底部壁62、及び頂部壁50と底部壁62との間に延びる環状側壁64を有するプランジャ60を定める、中央に配置された本体を含む。後で説明されるように、プランジャ60は試料ホルダ16の閉鎖部材を定める。図4に示すように、プランジャ60の側壁64は、プランジャ60の底部壁62が側壁40の底縁部から軸方向外向きに離間されるように、側壁40及びリブ52の軸方向の長さよりも僅かに長い軸方向の長さを有する。プランジャ60の側壁64は、環状の形状をした凹部66を形成するために、リブ52の軸方向内側の側壁54から離間されている。1つの好ましい実施形態においては、プランジャ60の側壁64は、僅かにテーパした切頭円錐形の形状を有する。
【0055】
図4に示すように、環状リップ68は、頂部壁50から外縁部に軸方向に隣接して上向きに延びている。リップ68は、頂部壁50と共にレッジを形成し、容器12の側壁18の底縁部24に対して相補的な寸法にされている。このように、幾つかの容器組立体10は、壁18の底縁部24がリップ68によって定められた領域に受け入れられた状態で垂直に積み重ねることができる。
【0056】
試料ホルダ16は、容器12内に受け入れられ、かつ生体試料を支持する寸法にされている。図1から図10までの実施形態における試料ホルダ16は、円形の外縁部72と内縁部74とを有する頂部壁70を含む。内縁部74は、生体試料を受け入れるためのキャビティ78への中央開口部76を定める。頂部壁70の外縁部72は、容器12の内寸を補完する寸法を有する。環状リッジ80は、頂部壁70の頂面81から内縁部74に隣接して軸方向上向きに延び、中央開口部76を取り囲んでいる。図1及び図2に示すように、複数の開口部82が環状リッジ80に隣接して頂部壁70に形成されている。一対のタブ84が、頂部壁70に連結されており、頂面81から頂部壁70に対してほぼ軸方向に延びている。タブ84は、操作者が試料ホルダ16を持ち上げ、操作することを可能にする寸法を有し、かつそれを可能にするように向けられている。
【0057】
試料ホルダ16のキャビティ78は、開口した底端部88と複数の側部開口部90とを有する本体86により形成される。開口した底端部88は、スクリーン又は多孔性メッシュのような透過性材料を含み、キャビティ78の底端部を定める。側部開口部90もまた、本体86の多孔性側部を形成する透過性又は多孔性メッシュ94を含む。好ましくは、多孔性メッシュ92及び94は、生体試料をキャビティ78内に保持し、かつ液体が透過できるようにする孔径をもつナイロンメッシュから製造される。キャビティ78を囲み、生体試料を保持するために、濾紙のような他の透過性材料を用いることができる。
【0058】
複数の脚部96は、頂部壁70の底面83から下向きに延び、本体86と一体的に形成されている。図示された実施形態においては、脚部96は、ほぼ平坦な形状を有し、試料ホルダ16の中心軸線から半径方向外向きに延びる平面に向けられている。脚部96は、水平面上に置かれたときに、試料ホルダ16を支持し安定させる距離だけ間隔をおいて配設されている。
【0059】
図3及び図4に示すように、好ましくは、脚部96は、本体86の軸方向の長さよりも大きい軸方向の長さを有し、本体86を軸方向に越えて延びている。脚部96は、頂部壁70に連結された頂端部98と、脚部96の底部及び外縁部に沿って形成されたノッチ102をもつ底端部100とを有する。
【0060】
容器組立体10は、安定化剤と反応せず、生体試料を損なわない適切なプラスチック材料で製造されることが好ましい。容器組立体10の構成部品は、一般的には、当該技術分野において公知の適切な射出成形法により製造される。
【0061】
本発明の一実施形態において、容器組立体10は、液体試薬106で予め充填されている。容器組立体10は、生体試料を受け入れ、輸送するために、シールされ、包装されて、医師又は臨床医のもとに送られる。容器組立体10は、適切なシール又は不正開封防止インジケータを含むことができる。他の実施形態においては、容器組立体10は、試薬なしで包装され、空の状態で消費者のもとへ送られてもよい。キャップ14が取り外され、容器12は使用時に適切な試薬で充填される。一実施形態においては、容器12に試薬106が予め充填され、試薬ホルダ16は適切な滅菌パッケージに別個に包装される。試料ホルダを滅菌パッケージから取り出し、生体試料を該ホルダに入れる。試薬の入った容器を滅菌パッケージから取り出し、生体試料の入った試料ホルダを試薬の中に入れる。
【0062】
使用の際に、操作者がキャップ14を取り外して試料ホルダ16を露出させる。キャップ14は、図10に示すように、裏返しにして水平面106上に置くことができる。次に、試料ホルダ16は、試料ホルダ16を試薬から取り出すためにタブ84をつかんで上向きに持ち上げることにより容器12から取り出される。試料ホルダ16の脚部96の底端部100は、図10に示すように、キャップ14の凹部66に入れ子にされるように向けられている。このように、試料ホルダ16に付着している液体試薬がキャップ14の凹部の中に排出されることになる。さらに、脚部96の底端部100は、使用中に試料ホルダ16を安定させるために、キャップ14の凹部66に係合する。
【0063】
次に、生体試料108を試料ホルダ16のキャビティ78に入れる。代替的な実施形態においては、試料ホルダ16を容器12に入ったままにし、生体試料108を直接キャビティ78に及び試薬106中に入れることができる。一般的には、試薬の液飛びを防止するために、生体試料を試料ホルダ16に入れるときには、試料ホルダ16を容器12から分離させることが望ましい。
【0064】
図5に示すように、試料ホルダ16の頂部壁70の外縁部72は、容器12のレッジ36によって支持される。図示された実施形態においては、容器12及び試料ホルダ16は、脚部96の底端部100が容器12の底部壁20から離間されるように寸法決めされている。頂部壁70の外縁部72は、側壁18の内寸に対して相補的な寸法を有し、容器12内での試料ホルダ16の移動を制限する。
【0065】
代替的な実施形態においては、脚部96は、容器12内で試料ホルダ16を支持するために容器12の底部壁20の上に載せることができる。この実施形態においては、容器の側壁は、レッジなしで形成され得る。試料ホルダ16の頂部壁70の外寸は、容器内に嵌合し、かつ容器の側部間の横方向移動を制限する寸法を有する。
【0066】
試料ホルダ16が容器12内に位置された状態で、キャップ14が容器12に嵌められて、開口した頂端部22が閉鎖される。図5に示すように、キャップ14のプランジャ60は、試料ホルダ16の頂部壁70の開口部76に対して相補的な寸法を有する。プランジャ60は、キャップ14が容器12に連結されたときに、生体試料108をキャビティ78内に保持するべくキャビティ78を効果的に閉鎖する。リブ52の底部壁55が、図5に示すように試料ホルダ16と係合して、容器12内における試料ホルダ16の軸方向移動を制限する。
【0067】
図5に示すように、プランジャ60は、側壁18の頂端部22より下方に容器12内へ軸方向内向きに延びるように向けられている。キャップ14が容器12にねじ込まれる際に、プランジャ60が或る体積の空気及び或る体積の試薬を押し退け、頂部壁70の中央開口部76を閉鎖しつつ、試薬106上のヘッドスペースを減少させる。プランジャ60は、生体試料108を試薬106の中に下向きに押し込んで、生体試料108を試薬106中に浸漬された状態に保ち、かつ容器12内の試薬106の液面を上昇させる寸法にされることが好ましい。好ましくは、プランジャ60は、試料が試薬中に浸漬されたままになるような位置にキャビティ78内の保持領域を形成する寸法を有する。
【0068】
容器組立体10は、生体試料を保存し安定化させる液体試薬を収容するのに特に適している。生体試料108の試薬106との十分な接触を確実なものにするために、試料ホルダ16の本体86は、キャビティ78を通る試薬106の連続的な循環を可能にする透過性メッシュ92及び94を含むことが好ましい。生体試料108を効果的に処理するのに必要な試薬106の体積は、安定化剤の性質及び濃度によって決まる。好ましい実施形態においては、容器12の体積とキャビティ78の体積との比は、少なくとも5:1であり、通常は約5:1から約12:1までの範囲にわたる。好ましくは、容器12内の安定化剤104の体積と生体試料108を収容するキャビティ78の体積との比は、約10:1である。このことが、少なくとも10:1である試薬の体積と生体試料の体積との好適な比を確実なものにする。
【0069】
試料ホルダ16のキャビティ78は、適切なサイズ及び寸法の生体試料を収容する寸法を有する。一実施形態において、キャビティ78は、直径が約2cmで、約0.75cmの深さである。キャビティ78は、1mmから約5cmまでの範囲にわたる少なくとも1つの寸法を有する試料を受け入れる寸法を有することが好ましい。例えば、キャビティ78は、約3cmの長さと約1mmから2mmまでの直径とを有するコアニードル生体試料を受け入れる寸法を有することができる。キャビティ78はまた、少なくとも1つの寸法が約3.5cmから約5mmまでの範囲にわたる、より大きな試料を受け入れるように寸法決めされてもよい。
【0070】
生体試料108は、キャップ14を取り外してキャビティ78を露出させることにより試料ホルダ16から取り出すことができる。通常、図10に示すように、キャップ14は水平面106上に置かれ、試料ホルダ16は容器12から取り出されてキャップ14の上に置かれる。透過性メッシュ92及び94は、ホルダ16が生体試料の小片を漉せるようにするのに十分なくらい小さい孔径を有することが好ましい。試料ホルダ16の頂部壁70は、ほぼ切頭円錐形の形状を有し、中央開口部76に向かってほぼ下向きの方向に傾斜されている。試薬106は、排出開口部82に向かって頂部壁70に沿って向けられる。試薬106は、キャップ14の凹部内に回収され、捨てられるか又は容器12内に再び注がれるかのいずれかである。次に、生体試料108をキャビティ78から容易に取り出し、当該技術分野において周知の標準分析法にしたがって分析することができる。
【0071】
本発明の方法は、組織試料と、該試料を処理するのに十分な有効量の試薬との接触を保証するために、処理試薬と生体試料を最小の所定の割合で接触させるものである。組織試料の体積は、試薬の量に対する生体試料の相対的な量を調整するために、該試薬の量に対して制御される。本発明の好ましい実施形態において、試薬対生体試料の相対的な体積の比は、少なくとも5:1である。通常は、試薬の体積対生体試料の体積の比は、少なくとも約10:1である。生体試料を効果的に処理するための試薬の臨界量は、特定の試料及び特定の試薬に応じて変えることができる。試料を効果的に処理するのに必要とされる試薬の量は、試料の重量、体積及び密度によって左右される。例えば、或る組織試料は、他の組織と比較して密度が高く、あまり密度の高くない、すなわち多孔性組織によって必要とされるものよりも多い又は少ない量の特定の試薬を必要とすることもある。
【0072】
本発明の方法によって処理される生体試料は、典型的には組織試料である。処理することができる生体試料の例には、臓器試験片、腫瘍試験片、骨試験片、並びに腱及び膜といった結合組織試験片が含まれる。
【0073】
生体試料を処理する試薬は、液体であることが好ましいが、ゲル又は粘性物質とすることができる。処理試薬は、一般的には安定化剤又は固定試薬といった適切な試薬を含有する水溶液又はアルコール溶液である。好適な試薬の例は、安定化剤、溶解剤、乾燥剤、保存剤及び陽性洗剤などが含まれる。試薬は、有機又は無機化合物とすることができる。一実施形態において、試薬は、10体積%の水性ホルマリン溶液である。
【0074】
本発明の方法及び装置は、試料を安定化し保存しながら、生体試料を、遠隔の実験室といった別の場所に輸送する際に用いるのに特に適している。一実施形態における本発明の方法は、組織試料といった生体試料を収集し、該試料を速やかに容器組立体に入れて、該試料を容器組立体内に入れられた試薬中に浸漬させる。容器組立体は、輸送される間、生体試料を試薬中に浸漬された状態に保持し、該試料を処理するのに十分な量の試薬を提供することができる。一実施形態において、試薬は、長期間にわたって試料の細胞内の核酸を保存することができる核酸安定化試薬である。核酸の高品質の定量及び定性分析を可能にするために、試料を収集されたら速やかに安定化試薬中に浸漬されることが好ましい。
【0075】
試薬は、生体試料を処理する1つ又はそれ以上の成分を含有する水性媒体又はアルコールであることが好ましい。一実施形態において、試薬は、細胞及び生体試料を安定化させるためのものである。1つの好ましい実施形態において、保存及び安定化試薬は、細胞から単離する前に長期間にわたって核酸を保存することができる。容器に入っている安定化剤は、細胞及び生体試料に浸透して、ヌクレアーゼが核酸を分解するのを防止する又は抑制するのに有効な量である。
【0076】
一実施形態において、試薬は、試料中の核酸及び細胞タンパク質を沈殿させて、ヌクレアーゼの作用を阻害するか又は不活化することができる。この実施形態において、安定化剤は、核酸及び細胞タンパク質を沈殿させることができる塩を含有する水性媒体である。好適な塩の例は、硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、硫酸セシウム、硫酸カドミウム、硫酸セシウム鉄(II)、硫酸クロム(III)、硫酸コバルト(II)、硫酸銅(II)、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム及び硫酸亜鉛といった硫酸塩である。塩濃度は、約0.10g/mlから約1.50g/mlまでの範囲にわたることができ、好ましくは約0.7g/mlである。他の実施形態においては、安定化剤は、ホルマリン又はクアニジウム化合物のようなカオトロピック塩を含むことができる。
【0077】
試薬はさらに、幾らかのエタノール、メタノール、アセトン、トリクロロ酢酸、プロパノール、ポリエチレングリコール、酢酸及びEDTAのようなキレート剤を含むこともできる。酢酸ナトリウムのような緩衝剤が添加されてもよい。一般的に、安定化剤は、約4から8までのpHを有する。
【0078】
試薬は、一般的には、試料ホルダの多孔性メッシュを透過して生体試料に接触することができる液体である。他の実施形態においては、試薬は、ゲル、ビード若しくは粒子の形態の固体又は半固体とすることができる。ゲル及びビードは、試料ホルダの多孔性メッシュに対して透過性又は不透過性とすることができる。典型的には、ビード又は粒子は、試料ホルダのメッシュの開口部のサイズより大きい粒径を有し、該メッシュを透過することができない。ゲル又はビードが試料ホルダのメッシュに対して不透過性である場合の実施形態においては、試料ホルダのキャビティは、生体試料に接触させるために、或る量のゲル、ビード又は粒子を収容することができる。生体試料対試薬の必要な体積比を与えるようにキャビティ寸法が選択される。ゲルは、試料ホルダの壁を透過して試薬中で生体試料に接触し浸漬させるように、試料ホルダの透過性メッシュに対して透過性とすることができる。ビード又は粒子のような固体又は半固体試薬は、単独で用いられ得るが、それらは一般的には固体又は半固体試薬を補うために液体又はゲル試薬と組み合わせて用いられ、それで生体試料は試薬中に浸漬された状態に維持される。この実施形態においては、試料ホルダのキャビティは、固体又は半固体試薬を含むことができ、容器は、試料容器の壁に対して透過性である液体又はゲル試薬を含むことができる。このように、生体試料は、固体又は半固体試薬に接触した状態で試料ホルダ内に置かれる。次に、試料ホルダは、試薬が該試料ホルダの壁を通って流れ、ビード又は粒子間のスペースを満たし、かつ生体試料を取り囲むことを可能にするために、液体又はゲル試薬入りの容器内に配置される。
【0079】
容器組立体10は、容器12の所定の領域に生体試料108を収容するべく、該容器12内に内部閉じ込め領域を定めるように構成されている。閉じ込め領域109は、試料ホルダ16のキャビティ78により定められることが好ましい。図11から図13までを参照すると、試料閉じ込め領域109が、容器12内の想像線によって概略的に示されている。図11に示すように、閉じ込め領域109は、容器12の側部とキャップ14と底部壁20との間の容器12のほぼ中央に配向されている。図示のように、試薬106は、閉じ込め領域109を完全に浸漬させるレベルまで充填されている。図12及び図13に示されるように、閉じ込め領域109及び試薬106は、容器12の向きに関係なく、該閉じ込め領域109を該試薬106中に完全に浸漬された状態に維持するように選択され制御される。このように、生体試料は、容器の取扱い及び輸送の間にわたって試薬中に完全に浸漬されたままにされる。容器の向きに関係なしに、生体試料を常に処理試薬の液面より下の領域内に閉じ込めることは、該生体試料が容器内の空気に接触することを実質的に防止する。生体試料を処理試薬中に完全に浸漬された状態に保持することは、試薬を用いた該試料の完全な処理を向上させ、該試料が短期間でも空気に曝されたときに生じ得る試験結果の不正確さを最小限にする。核酸安定化試薬のような特定の試薬は、試料が試薬中に速やかに浸漬される際に最も効果がある。生体試料を空気に曝すと、核酸分析の正確さが低下することがある。
【0080】
図14から図17までの実施形態
図14から図17までは、本発明による容器組立体110の第2の実施形態を示している。容器組立体110は、容器112と、閉鎖キャップ114と、試料ホルダ116とを含む。容器112及びキャップ114は、図1から図10までの実施形態の容器12及びキャップ14と実質的に同じであり、それにより同じ構成部品が、プライムを付した同じ参照番号によって示されている。この実施形態においては、容器112は、僅かに切頭円錐形の形状をした底部壁と、ほぼ直線的な側壁とを有する。
【0081】
試料ホルダ116は、図14及び図15に示すように、中央開口部120に向かって収束するほぼ切頭円錐形の形状を有する頂部壁118を含む。環状壁122は、中央開口部120の周りの頂部壁118からほぼ軸方向下向きに延びている。液体透過性メッシュ124は、環状壁122の底端部126に連結され、生体試料を受け入れるキャビティ128を定める。環状リッジ130は、中央開口部120から軸方向上向きに延びている。複数の排出開口部132が、リッジ130に隣接して頂部壁118に形成されている。一対のタブ134が、試料ホルダ116を持ち上げ且つ操作するために頂部壁118の頂面から上向きに延びている。
【0082】
脚部136が、頂部壁118の底面からほぼ軸方向下向きに延びている。図17に示すように、脚部136は、環状壁122から半径方向外向きに離間されており、環状壁122の軸方向の長さより大きい軸方向の長さを有する。図示された実施形態における脚部136は、中心軸線の周りに延びるほぼ弧状の形状を有し、試料ホルダ116を直立位置に支持するために試料ホルダ116の両側において方向付けられている。
【0083】
試料ホルダ116は、頂部壁118の外縁部138が図17に示すように容器112のレッジ36'に入れ子にされるようにするべく容器112内に嵌合するように寸法決めされている。好ましくは、試料ホルダ116の脚部136は、底端部140が容器112の底部壁20'から離間されるような長さを有する。図17に示すように、キャップ114は、プランジャ60'がキャビティ128を閉鎖し、容器112内の空気を押し退けて、安定化剤の液面をキャビティ128より上に上昇させるように容器112に連結される。プランジャ60'は、生体試料を試薬中に浸漬された状態に保つべく生体試料をキャビティ128に下向きに押し込む軸方向の長さを有することが好ましい。
【0084】
図1から図10まで及び図14から図17までの実施形態において、生体試料を受け入れるためのキャビティを有する試料ホルダが、液体安定化剤を収容するために容器内に嵌合される。試料ホルダは、閉鎖キャップにより容器内に保持される。閉鎖キャップは、試料ホルダのキャビティの開口した頂端部を閉鎖し、生体試料が試薬中に完全に浸漬された状態に保たれるように容器を閉鎖する。好ましい実施形態において、キャップは、ヘッドスペースから十分な量の空気を押し退け、容器内の試薬の一部を押し退けて、試薬の液面を試料ホルダのキャビティより上に上昇させる。さらに、試薬の上のヘッドスペース内の空気を押し退けることにより、生体試料が試薬中に完全に浸漬されることが確実なものとなる。好ましくは、容器は、生体試料が容器組立体の向きに関係なく浸漬されたままにされるように十分な量の試薬を収容する。試料ホルダは、容器の側壁にあるレッジに対して押し付けられて、容器内での試料ホルダの軸方向及び横方向移動を制限する。試料ホルダのキャビティが、生体試料を試薬の表面より下に保持するべく容器内に閉じ込め領域を定める。
【0085】
図18から図24までの実施形態
本発明の別の実施形態が、図18から図24までに示されている。図18を参照すると、容器組立体150は、容器152と、閉鎖キャップ154と、試料ホルダ156とを含む。
【0086】
容器152は、開口した頂端部162を定める上端部160をもつ円筒形の側壁158を有する。底部壁164が、側壁158の底端部166に連結されている。側壁158と底部壁164は、試料容器156を受け入れる内部キャビティ168を定める。側壁158の上端部160は、その外面にキャップ154と嵌合するためのねじ山170を有する。
【0087】
キャップ154は、頂部壁72と、垂下している側壁174とを有する。側壁174は、図23に示すように、その内面にねじ山176を有する。側壁174は、容器152の上端部160と嵌合する寸法を有する。
【0088】
試料ホルダ156は、容器152内に嵌合するように寸法決めされており、キャビティ168から容易に取り出される。好ましくは、試料ホルダ156は、キャップ154が容器152に連結されたときに、容器152に入れ子にされて容器152内での試料ホルダ156の横方向及び軸方向移動を制限する幅を有する。図23を参照すると、試料ホルダ156は、容器152内に保持されて、容器152内に収容された状態で試料容器156の移動を制限する。
【0089】
試料ホルダ156は、内部キャビティ180と開口した頂端部182とをもつ本体178を有する。本体178は、開口した頂端部182から基部186まで延びている側壁184を含む。図19に示すように、基部186は、側壁184から実質的に平坦な底部まで全体的に外向き方向に広がっている。
【0090】
図22を参照すると、内部レッジ188は、側壁184の内面から半径方向内向きに延びている。多孔性メッシュ190のような透過性材料が、キャビティ180の液体透過性底部を定めるレッジ188に連結されている。レッジ188及びメッシュ190は、試料ホルダ156が容器152内に位置されたときに、基部186の中空部分192からキャビティ180を離し、容器152の底部からキャビティ180を離間させる。
【0091】
側壁184は、試薬がキャビティ180を通って流れることを可能にするために、多孔性メッシュ196によって覆われた、間隔をおいて配設された複数の開口部194を含む。基部186もまた、液体試薬が中空部分192の中に及びメッシュ190を通ってキャビティ180の中に流れることを可能にするために、間隔をおいて配設された複数の開口部198を含む。
【0092】
複数のタブ200が、本体178の側壁184から半径方向外向きに延びている。図示された実施形態においては、4つのタブ200が、側壁184の周りに均等に離して配設されている。タブ200は、ほぼ平坦な平面形状を有し、本体178の中心軸線に対して軸方向に及び半径方向に延びる平面内に向けられている。図23に示すように、タブ200は、試料ホルダ156の幅を定める外縁部202を有し、容器152内での試料ホルダ156の位置を定める。タブ200は、容器152内に試料ホルダ156を位置させるための安定化部材として機能する。
【0093】
本体178の側壁184は、開口した頂端部182から離間された半径方向に延びるフランジ204を含み、環状カラー206を定める。試料ホルダ156は、キャビティ180の開口した頂端部182を閉鎖するキャップ208のような閉鎖部材を含む。好ましい実施形態において、キャップ208は、可撓性のあるヒンジ210によって本体178に連結されている。好ましくは、キャップ208は、好適なプラスチック成形法により本体178と一体的に形成される。ヒンジ210は、タブ212によりキャップ208に連結され、タブ214によりフランジ204に連結されている。
【0094】
キャップ208は、外向きに延びている半径方向のフランジ220をもつ底端部218を有する環状側壁216を含む。側壁216は、カラー206の外寸に対して相補的な内寸を有する。図示された実施形態においては、側壁216は、その内面に、キャップ208とフランジ204の締まり嵌めを与えるための戻り止め部222を有する。
【0095】
側壁216は、内向きに延びている半径方向のフランジ226を有する頂端部224を含む。フランジ226は、透過性メッシュ230によって覆われた開口部228を形成する。ハンドルを形成するタブ232は、試料ホルダ156に対して軸方向にフランジ226から上向きに延びている。タブ232は、試料ホルダ156の高さを定める頂端部234を含む。好ましくは、試料ホルダ156の高さは、キャップ154が容器152に連結されたときに、試料ホルダ156が容器152内での制限された軸方向移動を許可され、キャビティ180が容器152の所定領域内に保持されるように、容器152の高さに対して相補的なものとされる。
【0096】
一実施形態において、容器152には、容器組立体150の組み立て及び包装時に液体試薬が予め充填される。図24に示すように、技術者又は科学者によって用いられる用意ができた状態にあるときに、キャップ154が容器152から取り外され、水平面上に置かれる。試料ホルダ156が容器152から取り出され、裏返しにされたキャップ154の中に入れられる。この方法においては、キャビティ180内の安定化剤をキャップ154内に排出させることができる。試料ホルダ156のキャップ208が、ヒンジ210の周りを回転することにより開けられる。次いで、生体試料をキャビティ180に入れることができる。キャップ208が、閉鎖位置に回転され、カラー206上に嵌められる。次いで、図23に示すように、試料ホルダ156が容器152に再び入れられ、それによりキャビティ180が液体試薬136中に浸漬される。
【0097】
試料ホルダ156は、標準手順による分析にとって十分なサイズの生体試料を収容するように寸法決めされている。好ましくは、キャビティ180は、生体試料を受け入れるのに十分なくらいの寸法を有し、安定化剤がキャビティを通って流れることを可能にして、生体試料が試薬中に完全に浸漬されることを保証するのに十分なくらい試薬に対して開放される。典型的には、容器152の体積対キャビティ180の体積の比は、約10:1である。キャップ208のタブ232は、容器152から試料ホルダ156を持ち上げるために、技術者が鉗子又は他のツールを用いて容易につかめる寸法を有することが好ましい。孔238は、試料ホルダ156を操作するべくタブ232をつかむ助けとするために設けることができる。
【0098】
図25から図28までの実施形態
図25から図28までは、生体試料を受け入れる容器組立体250の別の実施形態を示している。容器組立体250は、容器252と、容器252用の閉鎖キャップ254と、試料ホルダ256とを含む。
【0099】
容器252は、前の実施形態の容器と同様のものであり、閉鎖キャップ254と嵌合する雄ねじ262をもつ、頂部開口260を有する円筒形の側壁258を含む。容器252は、底部壁を有し、試料ホルダ256を受け入れ、且つ有効量の処理液体を収容できるように寸法決めされている。キャップ254は、頂部壁266と、容器252のねじ山262と嵌合する雌ねじ270をもつ側壁268とを有する。
【0100】
この実施形態における試料ホルダ256は、試料ホルダ256が試薬の中に沈み、全ての向きにおいて容器の底に維持されるように、処理試薬272の密度よりも高い密度を有する。前の実施形態の場合のように、試料ホルダ256は、図27及び図28に示すように容器252内に、並びに図26に示すようにキャップ254に嵌合する寸法を有する。
【0101】
図25及び図26を参照すると、試料ホルダ256は、内部キャビティ278を定める側壁276によって形成された本体274を有する。本体274は、取り外し可能な閉鎖部材282によって閉鎖される開口した頂端部280を有する。
【0102】
試料ホルダ256の本体274は、軸方向の通路286と、僅かに丸みを帯びた底端部288とを有する基部284を含む。基部284は、試料ホルダ256が試薬272中に沈むことを確実なものにするべく加重部分を定める。図示された実施形態において、側壁276は、透過性スクリーン又はメッシュ292を支持する内部レッジ290を含む。側壁276は、内部キャビティ278を囲むために透過性スクリーン296によって閉鎖された複数の開口部294を含む。試薬が軸方向の通路286に流れることを可能にするべく、複数の開口部296が本体274に設けられている。
【0103】
複数のタブ298が、本体274の側壁276から外向きに延びている。タブ298は、平面形状を有し、本体274のほぼ軸方向に向けられている。好ましくは、タブ298は、容器252内での試料ホルダ256の横方向移動を制限するために、容器252の内寸に対して相補的な寸法を有する。
【0104】
本体274の側壁276は、閉鎖部材282と連結するためのカラー300を含む。閉鎖部材282は、閉鎖部材282をカラー300に連結するための、カラー300に対して相補的な内寸をもつ環状壁302を有する。閉鎖部材282は、摩擦嵌め又は締まり嵌めによってカラー300に連結することができる。好ましくは、閉鎖部材282は、本体274及び閉鎖部材282と一体的に成形された可撓性のあるヒンジ304によって本体274に連結される。或いは、ヒンジピンを備えた2部品ヒンジを用いることができる。
【0105】
閉鎖部材282は、その頂端部に開口部306が形成されており、開口部306を閉鎖するために液体透過性メッシュ308を含む。ハンドル310は、閉鎖部材282に連結されており、試料ホルダ256を持ち上げ、操作する際の助けとなる。
【0106】
試料ホルダ256のキャビティ278は、生体試料を収容するように寸法決めされている。キャビティ278は、生体試料のサイズを制限する内部体積を有し、それにより生体試料のサイズは容器252内の試薬の体積に関連して制御される。好ましくは、容器252内の試薬の体積対生体試料の体積の比は、少なくとも5:1であり、好ましくは少なくとも10:1である。
【0107】
容器組立体250は、前の実施形態と同様に用いられる。試料ホルダ256は、図26に示すようにキャップ254に入れることができ、それにより試薬を回収することができる。閉鎖部材282が開けられ、生体試料が試料ホルダ256のキャビティ278に入れられる。試料ホルダ256が閉鎖され、試薬272が入っている容器252に入れられる。容器252は、図27及び図28に示すように、容器252の如何なる向きにおいても試料ホルダ256を覆うように或る量の液体試薬272を収容する。試料ホルダ256は、図27及び図28に示すように、試料ホルダ256に収容された生体試料の密度に関係なく、容器252の底部に沈むのに十分なくらいの密度を有する。
【0108】
図29の実施形態
図29は、医師又は臨床医によって用いられる予め包装された滅菌キット310の形態の本発明の実施形態を示している。キット310は、容器314を取り囲むパッケージ312と、試料ホルダ316と、一対の鉗子318のような1つ又はそれ以上の器具とを含む。これらの部品は、使える状態にするべく、清潔で、滅菌されていることが好ましい。図示された実施形態におけるパッケージ312は、1つ又はそれ以上の縁部320の周りにヒートシールされ得るプラスチックフィルム又は材料のシートから形成されたプラスチックパウチである。ヒートシールされた縁部320は、内容物を取り出すために、操作者によって容易に分離され得る剥離層として形成することができる。
【0109】
一実施形態において、容器314は液体試薬で予め充填されており、試料ホルダ316は、図29に示すように容器314と別箇に包装されている。或いは、試料ホルダ316は、容器314内に包装されて、使用する前に容器314から取り出される。図示された実施形態においては、一対の鉗子がパッケージ312に入れられるが、外科用メス及び計器といった他の器具及び外科用器具が入れられてもよい。
【0110】
図30及び図31の実施形態
図30及び図31は、本発明の別の実施形態を示している。容器組立体330は、容器332と、閉鎖キャップ334と、試料ホルダ336とを含む。
【0111】
容器332は、前の実施形態の容器と同様のものであり、開口した頂部342と底部壁344とを定める上端部340を有する円筒形の側壁338を含む。上端部340には、閉鎖キャップ334を容器332に連結するねじ山346がある。キャップ334は、頂部壁348と、垂下する側壁350とを有する。側壁350には、容器332のねじ山346と嵌合する雌ねじがある。
【0112】
試料ホルダ336は、容器332内に嵌合して、生体試料を容器332に入れられた試薬中に保持するように寸法決めされている。一実施形態において、試料ホルダ336は、容器332内における横方向及び長手方向移動を制限する幅及び高さを有する。
【0113】
試料ホルダ336は、内部キャビティと開口した頂端部354とを有する本体352を有する。本体352は、開口した頂端部から基部358まで延びている側壁356を含む。図30及び31に示すように、基部358は、側壁356から実質的に平坦な底部までほぼ外向き方向に広がっている。
【0114】
前の実施形態の場合のように、試料ホルダ336の底部壁は、液体透過性の底部を定める、多孔性メッシュ360のような透過性材料を有する。
【0115】
側壁356は、試薬がキャビティを通って流れることを可能にする、多孔性メッシュ364のような透過性材料によって覆われた、間隔をおいて配設された複数の開口部362を含む。基部358もまた、液体試薬がメッシュを通ってキャビティに流れ込むことを可能にする、間隔をおいて配設された複数の開口部366を含む。
【0116】
本体352の側壁356は、開口した頂端部354から離して配設された半径方向に延びるフランジ368を含み、環状カラー370を定める。試料ホルダ336は、キャビティの開口した頂端部354を閉鎖するキャップ372のような閉鎖部材を含む。好ましい実施形態において、キャップ372は、可撓性のあるヒンジ374によって本体352に連結されている。好ましくは、キャップ372は、適切なプラスチック成形法により本体352と一体的に形成される。
【0117】
キャップ372は、外向きに延びる半径方向のフランジをもつ底端部を有する環状側壁376を含む。側壁376は、カラー370の外寸に対して相補的な内寸を有する。支柱371は、生体試料を試料ホルダ336のキャビティに位置させて、生体試料を試薬中に浸漬された状態に保つのに十分な距離だけキャップ372から下向きに延びている。
【0118】
ハンドルを形成するタブ378は、試料ホルダ336に対して軸方向にキャップ372の頂面から上向きに延びている。タブ378は、試料ホルダ330の高さを定める頂端部を含む。好ましくは、試料ホルダ336の高さは、キャップ372が容器に連結されたときに、試料ホルダ336が容器内での制限された軸方向移動を許され、キャビティが容器の所定領域内に保持されるように、容器の高さに対して相補的なものとされる。一実施形態において、試料ホルダ336は、生体試料の輸送中、容器332の底部壁に取り外し可能に連結されて、試料ホルダ336を定位置に維持することができる。
【0119】
図30及び図31の実施形態において、試料ホルダ336は、図30の場合の容器332に、又は図31の場合のキャップ334に係留される。可撓性材料のストリング380又はストリップは、キャップ334又は容器332に連結された第1端と、タブ378の穴382を通って延びる第2端とを有する。この実施形態においては、試料ホルダ336は、生体試料を識別するためのラベル又は他の識別表示を支持する組立体330の構成部品に連結されている。このように、試料ホルダは、キャップ又は容器の識別マーカに常に係留されている。別の実施形態においては、容器又は蓋には、容器又はキャップ上に識別子を書く又は印刷することができるように、書き込み可能表面が設けられている。
【0120】
図32から図37までの実施形態
本発明の別の実施形態が、図32から図37までに示されている。図32を参照すると、容器組立体386は、容器388と、閉鎖キャップ390と、試料ホルダ392とを含む。図32から図36までの実施形態においては、試料ホルダ392は、試料ホルダ392が容器388内の定位置に維持されるように容器388に取り外し可能に連結されている。図32から図36までの試料ホルダ392は、生体試料と共にファイリングするために容器388から分離可能であり、その後に試料ホルダ392が戻され、容器388に連結される。図37の実施形態において、試料ホルダ392は、容器388に恒久的に固定されている。典型的には、試料ホルダ392は、図37の実施形態においては、容器388と一体的に成形されている。
【0121】
容器388は、開口した頂端部398を定める上端部396をもつ円筒形の側壁394を有する。底部壁400が、側壁394の底端部に連結されている。側壁394及び底部壁400が、試料ホルダ392を収容する内部キャビティ402を定める。側壁394の上端部396は、その外面にキャップ390と嵌合するねじ山402を有する。
【0122】
キャップ390は、頂部壁404と、垂下する側壁406とを有する。側壁406は、図33に示すように、その内面にねじ山を有する。側壁406は、容器388の上端部396と嵌合する寸法を有する。
【0123】
試料ホルダ392は、容器388内に嵌まる寸法にされており、キャビティ402から容易に取り出される。試料ホルダ392は、内部キャビティ410と開口した頂端部412とをもつ本体408を有する。本体408は、開口した頂端部412から基部416まで延びている側壁414を含む。図33に示されるように、基部416は、外向きに延びている半径方向のリブ418をもつほぼ円筒形の形状を有する。容器388の底部壁400は、連結関係で試料ホルダ392の基部416を受け入れる寸法にされた環状の凹部420を含む。図示された実施形態においては、凹部420は、同軸壁422により定められる。最外壁422は、基部416のリブ418を受け入れて、試料ホルダ392を容器388にしっかりと連結する内向きに開いた溝424を有する。試料ホルダ392は、締まり嵌め又は摩擦嵌めといった圧力嵌めにより容器388に取り外し可能に連結される。
【0124】
1つの好ましい実施形態において、試料ホルダ392は、試料ホルダ392の位置を容器388内に固定するために、リブ418と溝424との間のスナップ嵌めによって容器388にしっかりと取り付けられる。壁422によって形成された凹部420が、試料ホルダ392を容器388に取り外し可能に連結する連結部材を定める。試料ホルダ392は、リブ418と溝424との間の抵抗に打ち勝つのに十分な力で上向きに引き上げることにより容器388から分離可能である。図37に示される実施形態においては、試料ホルダ392は、容器388と一体的に形成されており、分離可能なものではない。容器388は、生体試料の識別のための書き込み可能な表面を含む。試料ホルダ392は、容器388に対して試料ホルダ392を上向きに引き上げることにより容器388から分離することができる。
【0125】
図33及び図34を参照すると、内側レッジ426が、側壁414の内面から半径方向内向きに延びている。多孔性メッシュ428のような透過性材料が、キャビティ410の液体透過性底部を定めるレッジ426に連結されている。図33及び図34に示すように、試料ホルダ392が容器388に連結されたときに、レッジ426及びメッシュ428がキャビティ410を基部416の中空部分430から分離し、容器388の底部からキャビティ402を離間させる。
【0126】
側壁414は、試薬がキャビティ402を通って流れることを可能にする、多孔性メッシュ434によって覆われた、間隔をおいて配設された複数の開口部432を含む。基部416もまた、液体試薬が中空部分430の中に及びメッシュ428を通ってキャビティ402の中に流れ込むことを可能にする間隔をおいて配設された複数の開口部436を含む。
【0127】
本体408の側壁414は、環状カラー440を定める開口した頂端部から離間された半径方向に延びるフランジ438を含む。試料ホルダ392は、キャビティ410の開口した頂端部を閉鎖するキャップの形態の閉鎖部材442を含む。図示された実施形態においては、キャップ442は、本体408から分離可能であり、スナップ嵌めにより本体408に取り外し可能に連結されている。
【0128】
キャップ442は、外向きに延びる半径方向のフランジ446をもつ底端部を有する環状側壁444を含む。側壁444は、カラー440の外寸に対して相補的な内寸を有する。図示された実施形態においては、側壁444は、その内面に、キャップ442と本体408のカラー440との締まり嵌めを与えるリブ448を有する。
【0129】
図33を参照すると、キャップ442の側壁444は、内向きに延びる半径方向のフランジ450を有する頂端部を含む。フランジ450が、透過性メッシュ454によって覆われた開口部452を形成する。ハンドルを形成するタブ456は、試料ホルダ392に対して軸方向にフランジ450から上向きに延びている。タブ456は、試料ホルダ392の高さを定める頂端部を含む。好ましくは、試料ホルダ392の高さは、キャップ442が容器388に連結されるときに、試料ホルダ392がキャップ390に対して僅かに間隔をあけて位置されるように、容器388の高さに対して相補的なものにされる。
【0130】
一実施形態において、容器388は、容器組立体の組み立て及び包装時に液体試薬で予め充填される。技術者又は科学者によって用いられる用意ができた状態にあるときに、キャップ390が容器388から取り外され、キャップ442が試料ホルダ392の本体408から取り外されて、キャビティ410が露出される。一実施形態において、容器388は、図34に示すように、キャビティ410を完全に満たすレベルまで満たされている。典型的には、試薬のレベルは、試料がキャビティ410の外に浮くことなく、生体試料を試薬中に浸漬させる深さを有する。生体試料がキャビティ410に入れられ、キャップ390がホルダ392の本体408に嵌められる。
【0131】
生体試料は、試料ホルダ392が容器388に連結されたままの状態で試料ホルダ392に入れることができる。試料ホルダ392のキャップ442は、容器388から試料ホルダ392を取り外すことなく、試料ホルダ392から取り外すことができる。この実施形態において、試料ホルダ392のキャビティには試薬が充填されている。生体試料が収集され、生体試料の汚染及び空気への露出を最小にするべく試料ホルダ392のキャビティの試薬中に直接入れられる。代替的な実施形態においては、試料ホルダ392が凹部420から分離され、容器388から取り外される。試料ホルダ392は、試薬を回収するために、裏返しにされたキャップ390の中に置くことができる。生体試料を試料ホルダ392に入れることができる。キャップ442を試料ホルダ392に設置する。次に、試料ホルダ392を容器388に戻して、生体試料を試薬中に浸漬させる。好ましくは、試料ホルダ392は、組立体の輸送及び取り扱い中に試料ホルダ392を定位置に維持するために、容器388内の凹部に固定される。
【0132】
図示された実施形態においては、キャップ442は、図34に示すように、タブ456から試料ホルダ392のキャビティ410の中へと下向きに延びる支柱458を含む。典型的には、支柱458は、キャビティ410の軸線に沿って延び、概ねキャビティ410の軸方向中心に向けられている。支柱458は、軸方向端部460をもつほぼ円筒形の形状を有する。軸方向端部460は、生体試料464に係合し、該試料464を容器388内の液体試薬466中に浸漬された状態に保つための歯462を含む。一実施形態において、支柱458は、支柱458の軸方向端部460と底部メッシュ428との間に生体試料464を捕捉して、保管中に生体試料464の位置を固定する幅及び長さを有する。
【0133】
種々の実施形態が本発明を説明するために選ばれたが、添付の特許請求の範囲において定められるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者により、種々の修正及び追加がなされ得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】第1の実施形態における容器組立体の分解斜視図である。
【図2】容器内に受け入れられた試料ホルダを示す容器組立体の分解斜視図である。
【図3】図1の組立体の分解側面図である。
【図4】容器組立体の分解断面側面図である。
【図5】組み立てられた容器組立体の断面図である。
【図6】試料ホルダの平面図である。
【図7】図6の線7−7に沿って切り取られた図6の試料ホルダの断面図である。
【図8】容器の閉鎖部材の平面図である。
【図9】容器の底面図である。
【図10】閉鎖部材上に支持された試料ホルダの側断面図である。
【図11】試薬表面の下にある閉じ込め領域を示す直立状態の容器の側断面図である。
【図12】斜めに位置された図11の容器の側断面図である。
【図13】横に位置された図11の容器の側断面図である。
【図14】第2の実施形態における試料ホルダの側面図である。
【図15】図14の試料ホルダの断面図である。
【図16】図14の試料ホルダ及び容器の斜視図である。
【図17】図14の試料ホルダを含む容器組立体の側断面図である。
【図18】本発明の別の実施形態における容器組立体の分解斜視図である。
【図19】図18の実施形態の試料ホルダの側面図である。
【図20】開位置にある図19の実施形態の試料ホルダの平面図である。
【図21】閉じられた試料ホルダの平面図である。
【図22】試料ホルダの側断面図である。
【図23】容器内の試料ホルダの側面図であり、容器が断面で示されている。
【図24】試料ホルダを支持する閉鎖部材を示す容器組立体の側面図である。
【図25】本発明の別の実施形態における試料ホルダの側断面図である。
【図26】図25の実施形態の容器組立体の側面図である。
【図27】直立位置にある図27の容器組立体の部分断面側面図である。
【図28】倒立位置にある図27の容器組立体の部分断面側面図である。
【図29】容器と試料ホルダと鉗子とを含んでいる包装されたキットの部分断面平面図である。
【図30】試料ホルダが容器に係留されている一実施形態における容器の分解側面図である。
【図31】試料ホルダが容器のキャップに係留されている一実施形態における容器の分解側面図である。
【図32】本発明のさらなる実施形態における容器の側面図である。
【図33】図32の容器組立体の側断面図である。
【図34】容器に連結された試料ホルダを示している図32の容器組立体の側断面図である。
【図35】容器内の試料ホルダに連結されたキャップを示している側断面図である。
【図36】生体試料と液体試薬とを収容している容器組立体の側断面図である。
【図37】容器に固定された試料ホルダを示している別の実施形態における容器組立体の断面図である。
【符号の説明】
【0135】
10 容器組立体
12 容器
14 閉鎖キャップ
16 試料受入ホルダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞又は生体試料を保管するための容器組立体であって、
側部、開口した頂端部、及び生体試料を処理するのに十分な体積の試薬を収容する内寸を有する容器と、
該容器の該開口した頂端部に連結し、該開口した頂端部を閉鎖するためのキャップと、
閉鎖部材と、生体試料を受け入れる寸法をもつ内部キャビティとを有する試料ホルダであって、該キャビティへの該試薬の自由な流れを可能にするべく該キャビティへの複数の流体開口部を有し、該閉鎖体の下で該容器内に嵌まり、該キャビティを該試薬中に浸漬させる寸法を有する該試料ホルダと、
を備え、
該キャップは、該容器内の該試薬の液面を上昇させて、該容器の向きに関係なく、該生体試料を該試薬中に完全に浸漬された状態に維持するように、該容器内の該試薬の一部を押し退ける部材を含むことを特徴とする容器組立体。
【請求項2】
該試料ホルダは、該容器に取り外し可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項3】
該容器は凹部をもつ底部壁を有し、該凹部は、摩擦嵌め又は締まり嵌めによって該試料ホルダを受け入れる寸法を有していることを特徴とする請求項2に記載の容器組立体。
【請求項4】
該試料ホルダは、該容器の該底部壁の該凹部内に嵌まる寸法にされた基部を有し、該試料ホルダを該基部に取り外し可能に連結することを特徴とする請求項3に記載の容器組立体。
【請求項5】
該試料ホルダは該キャップに係留されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項6】
該試料ホルダは該容器に係留されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項7】
該閉鎖部材は、該試料ホルダを該容器内の所定位置に保持するように、該試料ホルダと協働することを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項8】
該試料ホルダは、該流体開口部を定める透過性材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項9】
該試料ホルダは、該試料ホルダを該容器内に沈めるように該試薬の密度より高い密度を有することを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項10】
該試料ホルダは、底部及び側部と、開口した頂端部と、該試料ホルダを該容器内の選択された位置に位置させるべく該容器の該側部と協働する距離だけ該試料ホルダの該側部から延びている少なくとも1つの安定化部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項11】
該試料ホルダの該側部からほぼ半径方向外向きに延びている複数の該安定化部材を備えていることを特徴とする請求項10に記載の容器組立体。
【請求項12】
該閉鎖部材は、内面と、該内面から延び、該試料ホルダの該内部キャビティ内に延びるように配向されている支柱とを有することを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項13】
該支柱は、該試料ホルダの底端部に向かって該内部キャビティ内に軸方向に延びるように配向されていることを特徴とする請求項12に記載の容器組立体。
【請求項14】
該支柱は、該支柱と該試料ホルダの底端部との間に生体試料を捕捉するべく該試料ホルダの該内部キャビティへと延びていることを特徴とする請求項12に記載の容器組立体。
【請求項15】
該支柱は、軸方向の端部と、生体試料を捕捉するための該軸方向の端部からの少なくとも1つの突出部とを有することを特徴とする請求項12に記載の容器組立体。
【請求項16】
該閉鎖部材は、開位置と閉位置との間で回転するように、該試料ホルダに回転可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項17】
該閉鎖部材は、該試料ホルダへの該試薬の流れを可能にするべく透過性材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項18】
該試料ホルダの該側部及び該底部は、該試料ホルダへの該試薬の流れを可能にするべく透過性材料を含むことを特徴とする請求項17に記載の容器組立体。
【請求項19】
該試料ホルダは、該容器の該底部に接触し、該試料ホルダの該内部キャビティを該容器の底部から離間して配置させるための基部を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項20】
該容器は内部体積を有し、該試料ホルダは内部体積を有し、該容器の該内部体積と該試料ホルダの該内部体積との比は少なくとも10:1であることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項21】
該試料ホルダの該閉鎖部材は、頂面と、該頂面から延びているハンドル部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項22】
該ハンドル部材は、該容器の該キャップと協働するための高さを有することを特徴とする請求項21に記載の容器組立体。
【請求項23】
該試料ホルダは、該試料ホルダの該側部から外向きに延びている複数の安定化部材を含み、該安定化部材は、該試料ホルダを該容器内に位置させるべく該容器の該側部と協働するための寸法を有していることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項24】
該試料ホルダは、該試料ホルダを支持するために下向きに延びている複数の脚部を含むことを特徴とする請求項10に記載の容器組立体。
【請求項25】
該安定化部材は、該試料ホルダの該側部から半径方向外側に延びているリング形状の部材を含み、該安定化部材は、該容器を補完する形状及び寸法を有していることを特徴とする請求項24に記載の容器組立体。
【請求項26】
該試料ホルダは、上向きに延び、該試料ホルダを取り扱うための寸法を有する少なくとも1つのタブを含むことを特徴とする請求項10に記載の容器組立体。
【請求項27】
該キャップは、該試料ホルダの該内部キャビティの内寸を補完する寸法を有するプランジャ部材を含み、該プランジャ部材は、該試料ホルダのための該閉鎖部材を定めることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項28】
該プランジャ部材は、該容器内の該試料ホルダを接触させ、安定化させ、該試料ホルダの該開口した頂端部を閉鎖するための軸方向の寸法を有することを特徴とする請求項27に記載の容器組立体。
【請求項29】
該プランジャ部材は、該試薬の一部を押し退けるために、該試料ホルダの該キャビティ内に延びる寸法を有することを特徴とする請求項28に記載の容器組立体。
【請求項30】
該試料ホルダは、該容器に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項31】
該試料ホルダは、該容器と一体成形され、該容器に固定されることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項32】
該試料ホルダは、底部、側部、及び開口した頂端部を含み、該閉鎖部材は、該試料ホルダの該開口した頂端部を閉鎖するように配置されることを特徴とする請求項31に記載の容器組立体。
【請求項33】
該閉鎖部材は、該試料ホルダと取り外し可能に係合可能であることを特徴とする請求項32に記載の容器組立体。
【請求項34】
該閉鎖部材は、該試料ホルダの該開口した頂端部と固定的に係合可能であり、該閉鎖部材は、該内部キャビティへの選択的なアクセス可能性を与えることを特徴とする請求項32に記載の容器組立体。
【請求項35】
容器組立体であって、
底部、側部、及び開口した頂端部を有し、試薬を収容する寸法にされている容器と、
該容器に取り外し可能に連結され、該開口した頂端部を閉鎖する閉鎖キャップであって、外面と内面とを有する閉鎖キャップと、
生体試料を受け入れるための内部キャビティを有する試料ホルダであって、該内部キャビティへの少なくとも1つの流体開口部を有し、該容器内に嵌まり、該内部キャビティを該試薬中に完全に浸漬させ、該容器内での該試料ホルダの直線運動を制限し、該内部キャビティを該試薬中に浸漬された状態に維持する寸法を有する試料ホルダと、
該容器内の該試薬の液面を上昇させて、該容器の向きに関係なく、該生体試料を該試薬中に完全に浸漬された状態に維持するように、該容器内の該試薬の一部を押し退けるべく該閉鎖体の該内面に連結された本体と、
を備えることを特徴とする容器組立体。
【請求項36】
該本体は、該キャップと一体形成され、該内面からほぼ軸方向に延びることを特徴とする請求項35に記載の容器組立体。
【請求項37】
該試料ホルダの該キャビティは開口した頂端部を有し、該本体は、該試料ホルダの該開口した頂端部を閉鎖するための軸方向の長さ及び幅を有することを特徴とする請求項36に記載の容器組立体。
【請求項38】
該試料ホルダは、該容器の該底部に係合するように該底部から延びている複数の支持脚部を含むことを特徴とする請求項36に記載の容器組立体。
【請求項39】
該試料ホルダは、該試料ホルダの側部から延びている安定化部材を含み、該安定化部材は、該キャビティを該容器内の所定位置に位置させるために該容器の該側部と協働するような寸法を有していることを特徴とする請求項38に記載の容器組立体。
【請求項40】
液体試薬を用いて生体試料を処理する方法であって、
容器内に入れられ、該生体試料を処理するのに有効な量で与えられた液体試薬中に、生体試料を浸漬させる段階と、
該容器の向きに関係なく、該液体試薬中に該生体試料を完全に浸漬された状態に維持するために、該生体試料を該容器の所定領域内に保持する段階と、そして、
該液体試薬の液面を上昇させて、該容器の向きに関係なく、該生体試料を該液体試薬中に完全に浸漬された状態に維持するように、該容器内の該液体試薬の一部を押し退ける段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
該液体試薬と該生体試料との少なくとも5:1の体積比を与えることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
該液体試薬と該生体試料との少なくとも10:1の体積比を与えることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
該生体試料の寸法を制限する所定のサイズを有する試料ホルダを準備し、該ホルダを該容器内に配置することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
該ホルダは、該生体試料を受け入れ、該生体試料を該容器の該所定領域に配向させるべく内部キャビティを有することを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項45】
該生体試料が該容器内の空気と接触するのを抑制するように十分に低い該液面の上のヘッドスペースを与えるために、該容器内の該液体試薬の液面を維持することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
該容器は、該液体試薬の液面の上の空気ヘッドスペースを有し、該方法は、該空気を押し退けて、該容器内の該ヘッドスペースを減少させることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
該容器は、本体部分を有するキャップを含み、該方法は、該キャップを該容器に連結して、該液体試薬の上の空気の一部を押し退けることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
該キャップは、該生体試料を該液体試薬中に完全に浸漬された状態に保持することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
該生体試料は、臓器試験片、腫瘍試験片、骨試験片、及び結合組織試験片からなる群から選択されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項50】
該生体試料は組織試験片であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項51】
該液体試薬は、核酸安定化剤、溶解剤、組織保存剤、及び乾燥剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項52】
該液体試薬は陽性洗剤を含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項53】
液体試薬は、水溶液及びアルコール溶液からなる群から選択されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項54】
生体試料を処理する方法であって、
生体試料を容器に入った処理試薬中に浸漬させる段階と、
該容器内の該処理試薬の一部を押し退け、該容器内の該処理試薬の液面を上昇させて、該容器の向きに関係なく、該生体試料を該処理試薬中に完全に浸漬された状態に維持する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項55】
該処理試薬対該生体試料の少なくとも5:1の体積比を与える段階を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
該処理試薬対該生体試料の少なくとも10:1の体積比を与えることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
該生体試料を、該生体試料を受け入れるための内部キャビティを有し、かつ該キャビティへの流体開口部を有する試料ホルダ内に置き、
該試料ホルダを該容器内に配置し、該内部キャビティを該処理試薬中に完全に浸漬させ、
該容器内の該試料ホルダの運動を制限し、該内部キャビティを該処理試薬内に浸漬された状態に保持するように、該試料ホルダと協働する閉鎖部材を該容器上に配置し、該容器
を閉鎖する、
段階を含む請求項54に記載の方法。
【請求項58】
該閉鎖部材は、ほぼ軸方向に延び、該容器内の或る体積の該処理液体を押し退ける寸法を有する凸形本体部分を備えた内面を含み、該方法は、該閉鎖部材を該容器に連結させて、該処理液体の一部を押し退け、該処理液体の流体の液面を該試料ホルダより上に上昇させることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項1】
細胞又は生体試料を保管するための容器組立体であって、
側部、開口した頂端部、及び生体試料を処理するのに十分な体積の試薬を収容する内寸を有する容器と、
該容器の該開口した頂端部に連結し、該開口した頂端部を閉鎖するためのキャップと、
閉鎖部材と、生体試料を受け入れる寸法をもつ内部キャビティとを有する試料ホルダであって、該キャビティへの該試薬の自由な流れを可能にするべく該キャビティへの複数の流体開口部を有し、該閉鎖体の下で該容器内に嵌まり、該キャビティを該試薬中に浸漬させる寸法を有する該試料ホルダと、
を備え、
該キャップは、該容器内の該試薬の液面を上昇させて、該容器の向きに関係なく、該生体試料を該試薬中に完全に浸漬された状態に維持するように、該容器内の該試薬の一部を押し退ける部材を含むことを特徴とする容器組立体。
【請求項2】
該試料ホルダは、該容器に取り外し可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項3】
該容器は凹部をもつ底部壁を有し、該凹部は、摩擦嵌め又は締まり嵌めによって該試料ホルダを受け入れる寸法を有していることを特徴とする請求項2に記載の容器組立体。
【請求項4】
該試料ホルダは、該容器の該底部壁の該凹部内に嵌まる寸法にされた基部を有し、該試料ホルダを該基部に取り外し可能に連結することを特徴とする請求項3に記載の容器組立体。
【請求項5】
該試料ホルダは該キャップに係留されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項6】
該試料ホルダは該容器に係留されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項7】
該閉鎖部材は、該試料ホルダを該容器内の所定位置に保持するように、該試料ホルダと協働することを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項8】
該試料ホルダは、該流体開口部を定める透過性材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項9】
該試料ホルダは、該試料ホルダを該容器内に沈めるように該試薬の密度より高い密度を有することを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項10】
該試料ホルダは、底部及び側部と、開口した頂端部と、該試料ホルダを該容器内の選択された位置に位置させるべく該容器の該側部と協働する距離だけ該試料ホルダの該側部から延びている少なくとも1つの安定化部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項11】
該試料ホルダの該側部からほぼ半径方向外向きに延びている複数の該安定化部材を備えていることを特徴とする請求項10に記載の容器組立体。
【請求項12】
該閉鎖部材は、内面と、該内面から延び、該試料ホルダの該内部キャビティ内に延びるように配向されている支柱とを有することを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項13】
該支柱は、該試料ホルダの底端部に向かって該内部キャビティ内に軸方向に延びるように配向されていることを特徴とする請求項12に記載の容器組立体。
【請求項14】
該支柱は、該支柱と該試料ホルダの底端部との間に生体試料を捕捉するべく該試料ホルダの該内部キャビティへと延びていることを特徴とする請求項12に記載の容器組立体。
【請求項15】
該支柱は、軸方向の端部と、生体試料を捕捉するための該軸方向の端部からの少なくとも1つの突出部とを有することを特徴とする請求項12に記載の容器組立体。
【請求項16】
該閉鎖部材は、開位置と閉位置との間で回転するように、該試料ホルダに回転可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項17】
該閉鎖部材は、該試料ホルダへの該試薬の流れを可能にするべく透過性材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項18】
該試料ホルダの該側部及び該底部は、該試料ホルダへの該試薬の流れを可能にするべく透過性材料を含むことを特徴とする請求項17に記載の容器組立体。
【請求項19】
該試料ホルダは、該容器の該底部に接触し、該試料ホルダの該内部キャビティを該容器の底部から離間して配置させるための基部を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項20】
該容器は内部体積を有し、該試料ホルダは内部体積を有し、該容器の該内部体積と該試料ホルダの該内部体積との比は少なくとも10:1であることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項21】
該試料ホルダの該閉鎖部材は、頂面と、該頂面から延びているハンドル部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項22】
該ハンドル部材は、該容器の該キャップと協働するための高さを有することを特徴とする請求項21に記載の容器組立体。
【請求項23】
該試料ホルダは、該試料ホルダの該側部から外向きに延びている複数の安定化部材を含み、該安定化部材は、該試料ホルダを該容器内に位置させるべく該容器の該側部と協働するための寸法を有していることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項24】
該試料ホルダは、該試料ホルダを支持するために下向きに延びている複数の脚部を含むことを特徴とする請求項10に記載の容器組立体。
【請求項25】
該安定化部材は、該試料ホルダの該側部から半径方向外側に延びているリング形状の部材を含み、該安定化部材は、該容器を補完する形状及び寸法を有していることを特徴とする請求項24に記載の容器組立体。
【請求項26】
該試料ホルダは、上向きに延び、該試料ホルダを取り扱うための寸法を有する少なくとも1つのタブを含むことを特徴とする請求項10に記載の容器組立体。
【請求項27】
該キャップは、該試料ホルダの該内部キャビティの内寸を補完する寸法を有するプランジャ部材を含み、該プランジャ部材は、該試料ホルダのための該閉鎖部材を定めることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項28】
該プランジャ部材は、該容器内の該試料ホルダを接触させ、安定化させ、該試料ホルダの該開口した頂端部を閉鎖するための軸方向の寸法を有することを特徴とする請求項27に記載の容器組立体。
【請求項29】
該プランジャ部材は、該試薬の一部を押し退けるために、該試料ホルダの該キャビティ内に延びる寸法を有することを特徴とする請求項28に記載の容器組立体。
【請求項30】
該試料ホルダは、該容器に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項31】
該試料ホルダは、該容器と一体成形され、該容器に固定されることを特徴とする請求項1に記載の容器組立体。
【請求項32】
該試料ホルダは、底部、側部、及び開口した頂端部を含み、該閉鎖部材は、該試料ホルダの該開口した頂端部を閉鎖するように配置されることを特徴とする請求項31に記載の容器組立体。
【請求項33】
該閉鎖部材は、該試料ホルダと取り外し可能に係合可能であることを特徴とする請求項32に記載の容器組立体。
【請求項34】
該閉鎖部材は、該試料ホルダの該開口した頂端部と固定的に係合可能であり、該閉鎖部材は、該内部キャビティへの選択的なアクセス可能性を与えることを特徴とする請求項32に記載の容器組立体。
【請求項35】
容器組立体であって、
底部、側部、及び開口した頂端部を有し、試薬を収容する寸法にされている容器と、
該容器に取り外し可能に連結され、該開口した頂端部を閉鎖する閉鎖キャップであって、外面と内面とを有する閉鎖キャップと、
生体試料を受け入れるための内部キャビティを有する試料ホルダであって、該内部キャビティへの少なくとも1つの流体開口部を有し、該容器内に嵌まり、該内部キャビティを該試薬中に完全に浸漬させ、該容器内での該試料ホルダの直線運動を制限し、該内部キャビティを該試薬中に浸漬された状態に維持する寸法を有する試料ホルダと、
該容器内の該試薬の液面を上昇させて、該容器の向きに関係なく、該生体試料を該試薬中に完全に浸漬された状態に維持するように、該容器内の該試薬の一部を押し退けるべく該閉鎖体の該内面に連結された本体と、
を備えることを特徴とする容器組立体。
【請求項36】
該本体は、該キャップと一体形成され、該内面からほぼ軸方向に延びることを特徴とする請求項35に記載の容器組立体。
【請求項37】
該試料ホルダの該キャビティは開口した頂端部を有し、該本体は、該試料ホルダの該開口した頂端部を閉鎖するための軸方向の長さ及び幅を有することを特徴とする請求項36に記載の容器組立体。
【請求項38】
該試料ホルダは、該容器の該底部に係合するように該底部から延びている複数の支持脚部を含むことを特徴とする請求項36に記載の容器組立体。
【請求項39】
該試料ホルダは、該試料ホルダの側部から延びている安定化部材を含み、該安定化部材は、該キャビティを該容器内の所定位置に位置させるために該容器の該側部と協働するような寸法を有していることを特徴とする請求項38に記載の容器組立体。
【請求項40】
液体試薬を用いて生体試料を処理する方法であって、
容器内に入れられ、該生体試料を処理するのに有効な量で与えられた液体試薬中に、生体試料を浸漬させる段階と、
該容器の向きに関係なく、該液体試薬中に該生体試料を完全に浸漬された状態に維持するために、該生体試料を該容器の所定領域内に保持する段階と、そして、
該液体試薬の液面を上昇させて、該容器の向きに関係なく、該生体試料を該液体試薬中に完全に浸漬された状態に維持するように、該容器内の該液体試薬の一部を押し退ける段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
該液体試薬と該生体試料との少なくとも5:1の体積比を与えることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
該液体試薬と該生体試料との少なくとも10:1の体積比を与えることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
該生体試料の寸法を制限する所定のサイズを有する試料ホルダを準備し、該ホルダを該容器内に配置することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
該ホルダは、該生体試料を受け入れ、該生体試料を該容器の該所定領域に配向させるべく内部キャビティを有することを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項45】
該生体試料が該容器内の空気と接触するのを抑制するように十分に低い該液面の上のヘッドスペースを与えるために、該容器内の該液体試薬の液面を維持することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
該容器は、該液体試薬の液面の上の空気ヘッドスペースを有し、該方法は、該空気を押し退けて、該容器内の該ヘッドスペースを減少させることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
該容器は、本体部分を有するキャップを含み、該方法は、該キャップを該容器に連結して、該液体試薬の上の空気の一部を押し退けることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
該キャップは、該生体試料を該液体試薬中に完全に浸漬された状態に保持することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
該生体試料は、臓器試験片、腫瘍試験片、骨試験片、及び結合組織試験片からなる群から選択されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項50】
該生体試料は組織試験片であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項51】
該液体試薬は、核酸安定化剤、溶解剤、組織保存剤、及び乾燥剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項52】
該液体試薬は陽性洗剤を含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項53】
液体試薬は、水溶液及びアルコール溶液からなる群から選択されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項54】
生体試料を処理する方法であって、
生体試料を容器に入った処理試薬中に浸漬させる段階と、
該容器内の該処理試薬の一部を押し退け、該容器内の該処理試薬の液面を上昇させて、該容器の向きに関係なく、該生体試料を該処理試薬中に完全に浸漬された状態に維持する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項55】
該処理試薬対該生体試料の少なくとも5:1の体積比を与える段階を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
該処理試薬対該生体試料の少なくとも10:1の体積比を与えることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
該生体試料を、該生体試料を受け入れるための内部キャビティを有し、かつ該キャビティへの流体開口部を有する試料ホルダ内に置き、
該試料ホルダを該容器内に配置し、該内部キャビティを該処理試薬中に完全に浸漬させ、
該容器内の該試料ホルダの運動を制限し、該内部キャビティを該処理試薬内に浸漬された状態に保持するように、該試料ホルダと協働する閉鎖部材を該容器上に配置し、該容器
を閉鎖する、
段階を含む請求項54に記載の方法。
【請求項58】
該閉鎖部材は、ほぼ軸方向に延び、該容器内の或る体積の該処理液体を押し退ける寸法を有する凸形本体部分を備えた内面を含み、該方法は、該閉鎖部材を該容器に連結させて、該処理液体の一部を押し退け、該処理液体の流体の液面を該試料ホルダより上に上昇させることを含む、請求項54に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
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【図18】
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【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2009−31300(P2009−31300A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230154(P2008−230154)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【分割の表示】特願2003−534085(P2003−534085)の分割
【原出願日】平成14年10月11日(2002.10.11)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【分割の表示】特願2003−534085(P2003−534085)の分割
【原出願日】平成14年10月11日(2002.10.11)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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