説明

生体高分子分析支援装置

【課題】サンプルDNAの配列を容易に特定できるようにする。
【解決手段】生体高分子分析支援装置80は、固体撮像デバイス10と、既知の生体高分子からなり、固体撮像デバイス10の受光面上に点在した複数種のスポット60と、固体撮像デバイス10を駆動し、固体撮像デバイス10の画素の受光量に応じた信号を出力する駆動回路70と、駆動回路70の出力の減算をして、その差分を出力する減算器87と、減算器87の出力を増幅する可変利得増幅器88と、可変利得増幅器88の出力を量子化するA/D変換器89と、を備える。減算器87が、駆動回路70の出力レンジの最小値を可変利得増幅器88の入力ダイナミックレンジの下限値に揃える。可変利得増幅器88が、減算器87の出力レンジを調整してA/D変換器89の入力ダイナミックレンジに収める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像デバイスを用いた生体高分子分析支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な生物種の遺伝子の発現解析を行っている。遺伝子の発現解析とは、細胞で発現している遺伝子を同定することであり、具体的には、遺伝子をコードするDNAから転写されているmRNAを同定することである。
【0003】
遺伝子の発現解析のためにDNAマイクロアレイ及びその読取装置が開発されている。DNAマイクロアレイは、プローブとなる既知の塩基配列のcDNAをスライドガラス等の固体担体上にマトリックス状に整列固定させたものである(例えば特許文献1参照)。ここで、既知の塩基配列のcDNAとしては、検体において既知のmRNAと同一、またはその一部と同一の塩基配列のcDNAが用いられる。DNAマイクロアレイ及びその読取装置を用いた遺伝子の発現解析は次のようにして行う。
【0004】
まず、複数種類の配列既知のcDNA(以下、プローブDNAという)をスライドガラス等の固体担体に整列固定させたDNAマイクロアレイを準備する。次に、検体からmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いて蛍光物質で標識したcDNA(以下、サンプルDNAという)を合成する。次に、サンプルDNAを蛍光物質で標識化してからDNAマイクロアレイ上に添加すると、サンプルDNAが相補的なプローブDNAとハイブリダイズすることによりDNAマイクロアレイ上に固定される。サンプルDNAを標識する蛍光物質は励起されるとサンプルDNAが結合したプローブDNAの位置から蛍光を発することになる。
【0005】
次いで、DNAマイクロアレイを読取装置にセッティングし、読取装置にて分析する。読取装置は、励起光の照射点をDNAマイクロアレイに対して二次元的に移動し、それと共に集光レンズ及びフォトマルチプライヤーによってDNAマイクロアレイを二次元走査する。励起光により励起された蛍光物質から発した蛍光を集光レンズで集光させ、蛍光強度をフォトマルチプライヤーで計測することで、DNAマイクロアレイの面内の蛍光強度分布を計測し、これにより、DNAマイクロアレイ上の蛍光強度分布が二次元の画像として出力される。出力された画像内で蛍光強度が大きい部分には、プローブDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有したサンプルDNAが含まれていることを表している。従って、二次元画像中のどの部分の蛍光強度が大きいかによって、配列既知のmRNAのうち、どれが検体で発現しているかを同定することができる。
【特許文献1】特開2000−131237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、発明者等は、固体撮像デバイスの受光面にプローブDNAをスポットした生体高分子分析チップを開発している。このような生体高分子分析チップでは、固体撮像デバイスによって取得した画像のうち明るい部分が、サンプルDNAの付着したスポットに相当する。そのため、その明るい部分を特定することで、サンプルDNAの付着したスポットを特定することができ、サンプルDNAの配列を特定することができる。かかる生体高分子分析チップではスポットが固体撮像デバイスの受光面に点在しているから、レンズ等を必要とせず、装置が小型になるという利点がある。
【0007】
ところが、スポットから発する光が微弱であるので、固体撮像デバイスによって取得した画像のうち明るい部分と暗い部分の識別が困難であり、サンプルDNAの配列を特定するのが困難である。
そこで、本発明は、このような問題点を解決しようとしてなされたものであり、サンプルDNAの配列を容易に特定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明によれば、
固体撮像デバイスと、
既知の生体高分子からなり、前記固体撮像デバイスの受光面上に点在した複数種のスポットと、
前記固体撮像デバイスを駆動し、前記固体撮像デバイスの画素の受光量に応じた信号を出力する駆動回路と、
前記駆動回路の出力の減算をして、その差分を出力する減算器と、
前記減算器の出力を増幅する増幅器と、
前記増幅器の出力を量子化するA/D変換器と、を備え、
前記減算器が、前記駆動回路の出力レンジの最小値を前記増幅器の入力ダイナミックレンジの下限値に揃え、
前記増幅器が、前記減算器の出力レンジを調整して前記A/D変換器の入力ダイナミックレンジに収めることを特徴とする生体高分子分析支援装置が提供される。
【0009】
好ましくは、前記増幅器が、前記減算器の出力レンジを調整して前記A/D変換器の入力ダイナミックレンジに等しくする。
好ましくは、前記増幅器が可変利得増幅器であり、
前記増幅器が、前記固体撮像デバイスの画素に最大強度の光が入射している状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照上限電圧と、前記固体撮像デバイスの画素に光が入射していない状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照下限電圧との差分に応じた利得で前記減算器の出力を増幅する。
好ましくは、前記生体高分子分析支援装置が、
前記参照上限電圧及び前記参照下限電圧を記憶した記憶装置と、
前記記憶装置から前記参照上限電圧及び前記参照下限電圧を読み込み、それらの差に基づき前記増幅器の利得を設定するコントローラと、を備える。
好ましくは、前記減算器が、前記固体撮像デバイスの画素に光が入射していない状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照下限電圧を前記駆動回路の出力から減算する。
好ましくは、前記生体高分子分析支援装置が、
前記参照下限電圧を記憶した記憶装置と、
前記記憶装置から前記参照下限電圧を読み込み、その参照下限電圧を前記減算器の反転入力端子に出力するコントローラと、を備え、
前記駆動回路の出力が前記減算器の非反転入力端子に入力される。
好ましくは、前記減算器が、前記固体撮像デバイスの画素に光が入射していない状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照下限電圧を前記駆動回路の出力から減算し、
前記増幅器が可変利得増幅器であり、
前記増幅器が、前記固体撮像デバイスの画素に最大強度の光が入射している状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照上限電圧と前記参照下限電圧との差分に応じた利得で前記減算器の出力を増幅する。
好ましくは、前記生体高分子分析支援装置が、
前記参照上限電圧及び前記参照下限電圧を記憶した記憶装置と、
前記記憶装置から前記参照上限電圧及び前記参照下限電圧を読み込み、読み込んだ前記参照下限電圧を前記減算器の反転入力端子に出力し、読み込んだ前記参照上限電圧と前記参照下限電圧の差に基づき前記増幅器の利得を設定するコントローラと、を備え、
前記駆動回路の出力が前記減算器の非反転入力端子に入力される。
好ましくは、前記記憶装置が前記固体撮像デバイスに搭載されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、A/D変換器の出力の分解能を最大限利用することができる。従って、A/D変換器から出力される画像のうち蛍光を発した部分とそうでない部分との明暗の差が大きくなる。そうすると、出力された画像の中から蛍光を発した部分の特定が容易である。つまり、蛍光標識DNAと相補的なプローブDNAのスポットを特定することが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
〔1〕生体高分子分析チップの全体構成
図1は、本発明の実施形態における生体高分子分析装置に用いられる生体高分子分析チップ1及び励起光照射装置81を示した概略斜視図である。
図1に示すように、この生体高分子分析チップ1は、固体撮像デバイス10、スポット60,60…、駆動回路70及び記憶装置82を有する。
【0013】
固体撮像デバイス10は、励起光照射装置81の下に取り付けられている。また、固体撮像デバイス10は、励起光照射装置81の下の位置から取り外し可能とされている。
スポット60,60…は、固体撮像デバイス10の有効画素領域11の受光面に点着されている。
駆動回路70及び記憶装置82は、有効画素領域11の周囲の領域12に搭載されている。駆動回路70及び記憶装置82には、フレキシブル配線シート83が接続されている。
【0014】
〔2〕固体撮像デバイス
図2〜図4を用いて固体撮像デバイス10について説明する。図2は、図1における1つのスポット60を拡大した平面図である。図3は、1つのダブルゲートトランジスタ20を示す平面図である。図4は、図3に示されたIV−IVに沿った面の矢視断面図である。
【0015】
図2に示すように、固体撮像デバイス10には、複数のダブルゲートトランジスタ20,20,…が縦横に配列されている。また、固体撮像デバイス10には、複数のボトムゲートライン41、ソースライン42、ドレインライン43及びトップゲートライン44が設けられている。
【0016】
図4に示すように、固体撮像デバイス10は、透明基板13と、ボトムゲート絶縁膜22と、トップゲート絶縁膜29と、保護絶縁膜32と、励起光遮蔽膜33と、スポット固定層34とを積層してなる。
【0017】
透明基板13は、光を透過する性質(以下、光透過性という。)を有するとともに絶縁性を有し、ガラス基板(例えば、石英ガラス製の基板)、プラスチック基板(例えば、ポリカーボネート又はPMMA製の基板)その他の絶縁性透明基板である。
【0018】
ボトムゲート絶縁膜22、トップゲート絶縁膜29及び保護絶縁膜32は、絶縁性及び光透過性を有する。ボトムゲート絶縁膜22、トップゲート絶縁膜29及び保護絶縁膜32は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン膜、酸化シリコン膜である。
励起光遮蔽膜33は、励起光照射装置81から放射される励起光(例えば、紫外線波長域の光)を遮蔽するとともに蛍光(例えば、可視光波長域の光)を透過する性質を有する。
スポット固定層34は、スポット60となるプローブとシランカップリング剤等によって共有結合することで、スポット60を固定する。
【0019】
この固体撮像デバイス10においては、ダブルゲートトランジスタ20が光電変換素子として利用され、ダブルゲートトランジスタ20が画素である。複数のダブルゲートトランジスタ20,20,…が透明基板13上において二次元アレイ状に特にマトリクス状に配列されている。これらダブルゲートトランジスタ20,20,…が保護絶縁膜32によってまとめて被覆されている。なお、図3では10行×10列の100個のダブルゲートトランジスタ20,20,…が示されている。
【0020】
図4、図5に示すように、ダブルゲートトランジスタ20は、ボトムゲート電極21、半導体膜23、チャネル保護膜24、不純物半導体膜25、不純物半導体膜26、ソース電極27、ドレイン電極28及びトップゲート電極31を有する。
【0021】
ボトムゲート電極21は透明基板13とボトムゲート絶縁膜22との間に形成されている。半導体膜23、チャネル保護膜24、不純物半導体膜25、不純物半導体膜26、ソース電極27及びドレイン電極28はボトムゲート絶縁膜22とトップゲート絶縁膜29との間に形成されている。トップゲート電極31はトップゲート絶縁膜29と保護絶縁膜32との間に形成されている。
【0022】
ボトムゲート電極21は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに透明基板13上に形成されている。また、透明基板13とボトムゲート絶縁膜22との間には、複数本のボトムゲートライン41,41,…が形成され、これらボトムゲートライン41,41,…が互いに平行となって横方向に延在している。横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20,…のボトムゲート電極21が共通のボトムゲートライン41と一体となって形成されている。ボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41は、導電性及び遮光性を有し、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
【0023】
半導体膜23は、ボトムゲート電極21との間にボトムゲート絶縁膜22を挟んで、ボトムゲート電極21に相対している。半導体膜23は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立して形成されている。半導体膜23が受光部であり、半導体膜23に入射した光量に応じた量の電子−正孔対が半導体膜23に形成される。半導体膜23は、アモルファスシリコンからなる。
【0024】
チャネル保護膜24は、半導体膜23の中央部上に形成されている。チャネル保護膜24は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立してパターニングされたものである。チャネル保護膜24は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。チャネル保護膜24は、パターニングに用いられるエッチャントから半導体膜23を保護するものである。半導体膜23に光が入射すると、入射した光量に従った量の電子−正孔対がチャネル保護膜24と半導体膜23との界面付近を中心に発生する。
【0025】
不純物半導体膜25は、半導体膜23の一部に重なるように形成されている。不純物半導体膜25の一部は、チャネル保護膜24に重なっている。不純物半導体膜26は、半導体膜23の別の部分に重なるように形成されている。不純物半導体膜26の一部は、チャネル保護膜24に重なっている。不純物半導体膜25,26は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに独立してパターニングされている。不純物半導体膜25,26は、n型の不純物(例えば、ホスフィン)を含むアモルファスシリコン(n+シリコン)からなる。
【0026】
ソース電極27は、不純物半導体膜25に重なっている。ドレイン電極28は、不純物半導体膜26に重なっている。ソース電極27及びドレイン電極28はダブルゲートトランジスタ20ごとに形成されている。ボトムゲート絶縁膜22とトップゲート絶縁膜29との間には、複数本のソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…が形成され、これらソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…が縦方向に延在している。縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…のソース電極27は共通のソースライン42と一体となって形成されており、縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…のドレイン電極28は共通のドレインライン43と一体なって形成されている。ソース電極27、ドレイン電極28、ソースライン42及びドレインライン43は、導電性及び遮光性を有しており、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
【0027】
トップゲート電極31は、半導体膜23との間にチャネル保護膜24及びトップゲート絶縁膜29を挟んで、半導体膜23に相対している。トップゲート電極31は、ダブルゲートトランジスタ20ごとにトップゲート絶縁膜29上に形成されている。また、トップゲート絶縁膜29と保護絶縁膜32との間には、複数本のトップゲートライン44,44,…が形成され、これらトップゲートライン44,44,…が互いに平行となって横方向に延在している。横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20,…のトップゲート電極31が共通のトップゲートライン44と一体となって形成されている。トップゲート電極31及びトップゲートライン44は、導電性及び光透過性を有し、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム)で形成されている。
【0028】
以上のように構成された固体撮像デバイス10はスポット固定層34の表面を受光面としており、固体撮像デバイス10が駆動されることによってダブルゲートトランジスタ20の半導体膜23において受光した光量が電気信号に変換される。
【0029】
〔3〕スポット
図1、図2に示すように、固体撮像デバイス10の受光面(スポット固定層34の表面)には複数のスポット60が形成されている。各スポット60は、プローブとなる既知の塩基配列のcDNA(プローブDNA)や抗体等の溶液を固体撮像デバイス10の受光面に滴下し、乾燥して形成される。以下ではプローブとして既知の塩基配列のcDNAを用いた場合について説明する。
【0030】
1つのスポット60では同じ塩基配列の一本鎖のプローブDNAが多数集まった群集が固定化され、スポット60ごとにプローブDNAの塩基配列が異なっている。プローブDNAとしては、既知のmRNAの塩基配列が用いられたり、その一部と同一の又は相補的な塩基配列のDNAが用いられたりする。具体的には、例えば、蛍光標識DNAで用いるのと同じ細胞検体から作成したcDNAライブラリを用いることができる。
図2に示すように、1つのスポット60は複数のダブルゲートトランジスタ20上に重なるように形成されている。
【0031】
〔4〕駆動回路
図5は、固体撮像デバイス10及びその周辺回路を示した回路図である。
図1に示された駆動回路70は、図5に示すようにトップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73を有する。
【0032】
固体撮像デバイス10のトップゲートライン44,44,…がトップゲートドライバ71の端子に接続され、ボトムゲートライン41,41,…がボトムゲートドライバ72の端子に接続され、ドレインライン43,43,…がドレインドライバ73の端子に接続されている。また、固体撮像デバイス10のソースライン42,42,…が一定電圧源に接続され、この例ではソースライン42,42,…が接地されている。トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73は、協同して固体撮像デバイス10を駆動するものである。
【0033】
図6は、固体撮像デバイス10を駆動するための信号の推移を示したタイミングチャートである。
図6に示すように、トップゲートドライバ71はトップゲートライン44,44,…にリセットパルスを順次出力するようになっている。リセットパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルである。一方、トップゲートドライバ71は、リセットパルスを出力しない時にローレベルの−20〔V〕の電位をそれぞれのトップゲートライン44に印加するようになっている。トップゲートドライバ71としては、シフトレジスタを用いることができる。
【0034】
ボトムゲートドライバ72は、ボトムゲートライン41,41,…にリードパルスを順次出力するようになっている。リードパルスのレベルは+10〔V〕のオンレベル(ハイレベル)であり、リードパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のオフレベル(ローレベル)である。ボトムゲートドライバ72としては、シフトレジスタを用いることができる。
【0035】
トップゲートドライバ71が何れかの行のトップゲートライン44にリセットパルスを出力した後にキャリア蓄積期間を経てボトムゲートドライバ72が同じ行のボトムゲートライン41にリードパルスを出力するように、トップゲートドライバ71及びボトムゲートドライバ72が出力信号をシフトする。つまり、各行では、リードパルスが出力されるタイミングは、リセットパルスが出力されるタイミングより遅れている。また、何れかの行のトップゲートライン44へのリセットパルスの入力が開始してから、同じ行のボトムゲートライン41へのリードパルスの入力が終了するまでの期間は、その行の選択期間である。リセットパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルであり、リセットパルスが出力されていない時のレベルは−20〔V〕のローレベルである。
【0036】
ドレインドライバ73は、それぞれの行の選択期間において、リセットパルスが出力されてからリードパルスが出力されるまでの間に、全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力するようになっている。プリチャージパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルであり、プリチャージパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のローレベルである。ドレインドライバ73は、プリチャージパルスの出力後にドレインライン43,43,…の電圧を列順次に出力するようになっている。
【0037】
駆動回路70による固体撮像デバイス10の撮像動作について説明する。
トップゲートドライバ71が1行目のトップゲートライン44から最終行目のトップゲートライン44へと順次リセットパルスを出力し、ボトムゲートドライバ72がボトムゲートライン41,41,41,…に順次リードパルスを出力する。その際、ドレインドライバ73が各行でリセットパルスが出力されているリセット期間と各行でリードパルスが出力されている期間との間に、プリチャージパルスを全てのドレインライン43,43,…に出力する。
【0038】
i行目の各ダブルゲートトランジスタ20の動作について詳細に説明する。トップゲートドライバ71がi行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力すると、i行目のトップゲートライン44がハイレベルになる。i行目のトップゲートライン44がハイレベルになっている間(この期間をリセット期間という。)、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20では、半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積されたキャリア(ここでは、正孔である。)が、トップゲート電極31の電圧により反発して吐出される。
【0039】
次に、トップゲートドライバ71がi行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力することを終了して、半導体膜23に蛍光が入射することによって半導体膜23内に生成された電子−正孔対のうちの正孔を電気的に捕捉するためのするため負電位(−20〔V〕)をトップゲートライン44に出力する。つまり、i行目のトップゲートライン44のリセットパルスが終了してから、i行目のボトムゲートライン41にリードパルスが出力されるまでの間(この期間をキャリア蓄積期間という。)、光量に従った量の電子−正孔対が半導体膜23内で生成されるが、そのうちの正孔がトップゲート電極31の電界により半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積される。
【0040】
次に、キャリア蓄積期間中に、ドレインドライバ73が全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力する。プリチャージパルスが出力されている間(プリチャージ期間という。)では、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20においては、トップゲート電極31に印加されている電位が−20〔V〕である。そうすると、この負電界によって半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積された正孔による電界は、必然的に負電界を完全に相殺して半導体膜23のチャネル領域にnチャネルを形成する程度の正電界には成り得ない。そうすると、ボトムゲート電極21に印加されている電位が±0〔V〕であるため、ドレイン電極28とソース電極27との間にプリチャージパルスの電位差が生じても半導体膜23にはチャネルが形成されず、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流は流れない。プリチャージ期間において、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流が流れないため、ドレインライン43,43,…に出力されたプリチャージパルスによってi行目の各ダブルゲートトランジスタ20のドレイン電極28に電荷がチャージされる。
【0041】
次に、ドレインドライバ73がプリチャージパルスの出力を終了するとともに、ボトムゲートドライバ72がi行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力する。ボトムゲートドライバ72がi行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力している間(この期間を、リード期間という。)では、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20のボトムゲート電極21に+10〔V〕の電位が印加されているため、i行目の各ダブルゲートトランジスタ20がオン状態になる。
【0042】
リード期間においては、キャリア蓄積期間において蓄積されたキャリアがトップゲート電極31の負電界を緩和するように働くため、入射される光量が十分であってキャリアの量が十分であれば、ボトムゲート電極21の正電界とあわせて半導体膜23にnチャネルが形成されて、ドレイン電極28からソース電極27に電流が流れるようになる。従って、リード期間では、ドレインライン43,43,…の電圧は、ドレイン−ソース間電流によって時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
【0043】
キャリア蓄積期間において半導体膜23に入射した光量が多くなるにつれて、蓄積されるキャリアも多くなり、蓄積されるキャリアが多くなるにつれて、リード期間においてドレイン電極28からソース電極27に流れる電流のレベルも大きくなる。従って、リード期間におけるドレインライン43,43,…の電圧の減少傾向は、キャリア蓄積期間で半導体膜23に入射した光量に深く関連する。
【0044】
そして、i行目のリード期間から次の(i+1)行目のプリチャージ期間までの間に、リード期間が開始してから所定の時間経過後のドレインライン43,43,…の電圧がドレインドライバ73によって検出される。その電圧が光量を示す。ドレインドライバ73は、ドレインライン43,43,…の電圧を列順次に出力する(Vout)。
【0045】
上述した一連の画像読み取り動作を1サイクルとして、全ての行の各ダブルゲートトランジスタ20にも同等の処理手順を繰り返すことにより、固体撮像デバイス10の受光面における光量分布が得られる。
【0046】
〔5〕記憶装置
図1に示された記憶装置82は、ハードディスクドライブ又は半導体記憶装置である。
記憶装置82には、参照上限電圧Vmax及び参照下限電圧Vminが格納されている。
【0047】
参照下限電圧Vminは、固体撮像デバイス10のダブルゲートトランジスタ20に光が入射していない状態において、そのダブルゲートトランジスタ20の光電変換による駆動回路70の出力電圧である。参照下限電圧Vminは、予備試験により得る。具体的には、固体撮像デバイス10を光で照射せずに、固体撮像デバイス10を駆動回路70によって駆動し、その時のドレインドライバ73から出力されたダブルゲートトランジスタ20の出力電圧を測定し、その測定電圧が参照下限電圧Vminである。
【0048】
参照上限電圧Vmaxは、固体撮像デバイス10のダブルゲートトランジスタ20に最大強度の光が入射している状態において、そのダブルゲートトランジスタ20の光電変換による駆動回路70の出力電圧である。参照上限電圧Vmaxは予備試験により得る。具体的には、何れかのスポット60のプローブDNAと相補的なcDNAを調整し、そのcDNAを蛍光体で標識し、蛍光標識したcDNAをそのスポット60に塗布して、そのスポット60のプローブDNAと蛍光標識後のcDNAをハイブリダイゼーションさせる。ハイブリダイゼーション後、そのスポット60に励起光を照射すると、蛍光体によってスポット60から蛍光が発する。スポット60のプローブDNAと相補的なcDNAを調整したので、ほぼ100%のプローブDNAにcDNAが結合し、スポット60から発する蛍光の強度が最大となる。その状態で、固体撮像デバイス10を駆動回路70によって駆動し、その時のドレインドライバ73から出力されたダブルゲートトランジスタ20(最大強度の蛍光を発したスポット60の下にあるもの)の出力電圧を測定し、その測定電圧が参照上限電圧Vmaxである。
【0049】
〔6〕生体高分子分析装置
生体高分子分析チップ1を生体高分子分析支援装置80にセッティングして生体高分子分析チップ1を用いるので、生体高分子分析支援装置80について図7を用いて説明する。図7は生体高分子分析支援装置80の構成を示すブロック図である。
【0050】
生体高分子分析支援装置80は、生体高分子分析チップ1のほか、励起光照射装置81、コントローラ84、出力装置85、メモリ86、減算器87、可変利得増幅器88及びA/D変換器89を備える。
【0051】
図1に示されたフレキシブル配線シート83によって記憶装置82、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73がコントローラ84に接続される。また、ドレインドライバ73の出力端子は、フレキシブル配線シート83によって減算器87の非反転入力端子に接続される。
【0052】
コントローラ84は、励起光照射装置81の点灯・消灯を行う機能を有する。
コントローラ84は、記憶装置82に格納された参照上限電圧Vmax及び参照下限電圧Vminを読み込む機能を有する。
コントローラ84は、読み込んだ参照下限電圧Vminを減算器87の反転入力端子に出力する機能を有する。
また、コントローラ84は、読み込んだ参照上限電圧Vmaxと参照下限電圧Vminの差に基づき可変利得増幅器88の利得
を設定する機能を有する。
また、コントローラ84は、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73に制御信号を出力することによって、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73に固体撮像デバイス10の駆動動作を行わせる機能を有する。
【0053】
減算器87は、ドレインドライバ73の出力のレベルを調整して、ドレインドライバ73の出力レンジの最小値を可変利得増幅器88の入力ダイナミックレンジの下限値に等しくする。具体的には、減算器87は、ドレインドライバ73の出力から参照下限電圧Vminを減算して、その差分結果を出力する。これにより、減算器87の出力の下限値が、可変利得増幅器88の入力ダイナミックレンジの下限値に等しくなる。
【0054】
可変利得増幅器88は、減算器87の出力レンジを調整(圧縮・伸長)して、その出力レンジをA/D変換器89の入力ダイナミックレンジに収める。具体的には、可変利得増幅器88は、コントローラ84によって設定された利得(増幅度)に従って減算器87の出力を増幅する。ここで、A/D変換器89の入力ダイナミックレンジをVrange(単位:電圧)としたら、可変利得増幅器88の利得Gは、以下のように設定される。
G≦Vrange/(Vmax−Vmin)
これにより、可変利得増幅器88の出力レンジがA/D変換器89の入力ダイナミックレンジに収まる。特に、G=Vrange/(Vmax−Vmin)であれば、可変利得増幅器88の出力レンジの最大値がA/D変換器89の入力ダイナミックレンジの上限値に等しくなるとともに、可変利得増幅器88の出力レンジの最小値がA/D変換器89の入力ダイナミックレンジの下限値に等しくなる。そのため、A/D変換器89の出力の分解能を最大限利用することができる。
【0055】
A/D変換器89は、可変利得増幅器88の出力を量子化して出力する。
【0056】
コントローラ84は、A/D変換器89の出力をメモリ86に記録する機能を有する。これにより、固体撮像デバイス10の受光面に沿った光量分布が二次元の画像データとしてメモリ86に記録される。
【0057】
また、コントローラ84は、メモリ86に記録された画像データに従った画像を出力装置85に出力させる機能を有する。これにより出力装置85によって画像が出力される。出力装置85は、例えばプロッタ、プリンタ又はディスプレイである。
【0058】
〔7〕分析手順
生体高分子分析支援装置80を用いて試料を分析する方法について説明するとともに、生体高分子分析支援装置80の使用方法及び動作方法について説明する。
【0059】
〔7−1〕蛍光標識DNAの作成
分析する試料としては、DNAを用いることができる。試料となるDNAとしては、任意の細胞検体内で発現しているmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いるRT−PCR反応により得られたcDNAを用いることができる。cDNAは蛍光体で標識する。蛍光体としては、例えばGEヘルスケア バイオサイエンス株式会社製のCy2(吸収波長491nm、蛍光波長509nm)、Cy3(吸収波長553nm、蛍光波長569nm)、Cy5(吸収波長645nm、蛍光波長664nm)等を用いることができる。
【0060】
cDNAを蛍光体で標識するには、例えば、蛍光体で標識されたオリゴdTプライマや、標識されたdNTPミックスを用いてRT−PCR反応を実施すればよい。以下では、この標識されたcDNAを蛍光標識DNAという。
【0061】
〔7−2〕ハイブリダイゼーション
まず、作業者が、蛍光標識DNAを含有した溶液(以下、蛍光標識DNA)を固体撮像デバイス10の受光面に塗布する。蛍光標識DNA溶液を各スポット60,60,…に順次又は同時に滴下してもよい。
【0062】
このとき、DNAが一本鎖となるように蛍光標識DNA溶液を加熱する。また、スポット60のDNAが一本鎖となるように固体撮像デバイス10の受光面も加熱する。
【0063】
次いで、固体撮像デバイス10を冷却する。すると、蛍光標識DNA溶液内の蛍光標識DNAのうち、スポット60のプローブDNAと相補的な蛍光標識DNAは、そのプローブDNAとハイブリダイズする。一方、プローブDNAと相補的ではない蛍光標識DNAは、このスポット60には結合しないか、結合したとしても僅かである。
【0064】
その後、洗浄用バッファー溶液で蛍光標識DNA溶液を固体撮像デバイス10の受光面から洗い流し、蛍光標識DNAのうちハイブリダイズしなかったものを固体撮像デバイス10の受光面から除去する。
【0065】
〔7−3〕サンプルの検出
上記処理を行った後、生体高分子分析チップ1を生体高分子分析支援装置80にセッティングする。これにより、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72、ドレインドライバ73及び記憶装置82がコントローラ84に接続され、ドレインドライバ73が減算器87に接続される。その後、コントローラ84を起動させる。
【0066】
コントローラ84が起動すると、記憶装置82に格納された参照上限電圧Vmax及び参照下限電圧Vminがコントローラ84によって読み取られる。
コントローラ84は、参照下限電圧Vminを減算器87の反転入力端子に出力する。これにより、減算器87の出力レンジの最小値が可変利得増幅器88の入力ダイナミックレンジの下限値に揃えられる。
コントローラ84は、参照上限電圧Vmaxと参照下限電圧Vminの差に基づき可変利得増幅器88の利得を利得Gに設定する。これにより可変利得増幅器88の出力のレンジがA/D変換器89の入力ダイナミックレンジに収められ、より具体的には、可変利得増幅器88の出力レンジがA/D変換器89の入力ダイナミックレンジに等しくなる。
【0067】
続いて、コントローラ84が励起光照射装置81を点灯させる。励起光照射装置81によってスポット60,60,…が照射される。そうすると、蛍光標識DNAがプローブDNAに結合したスポット60からは、蛍光が放出される。一方、蛍光標識DNAがプローブDNAに結合したスポット60からは、蛍光が放出されない。
【0068】
そして、コントローラ84は、励起光照射装置81を点灯した状態で、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73に制御信号を出力する。そうすると、上述のように、固体撮像デバイス10がトップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73によって駆動され、ダブルゲートトランジスタ20,20,…において光電変換が起こる。そして、ダブルゲートトランジスタ20,20,…における光量に従った電圧(ドレイン電極28の電圧)がドレインドライバ73から順次出力される。
【0069】
ドレインドライバ73の出力と参照下限電圧Vminの差が減算器87によってとられ、その差分が減算器87から出力される。減算器87の出力が可変利得増幅器88によって利得Gだけ増幅されて、増幅された信号が可変利得増幅器88から出力される。可変利得増幅器88の出力がA/D変換器89によってアナログ・デジタル変換され、デジタル信号がコントローラ84に入力される。
【0070】
以上により、ダブルゲートトランジスタ20,20,…における光量を表すデジタル信号が、順次コントローラ84に入力される。コントローラ84は、A/D変換器89の出力をメモリ86に記録することによって、固体撮像デバイス10の受光面に沿った光量分布が二次元の画像データとしてメモリ86に記録される。
【0071】
コントローラ84は、画像入力後、励起光照射装置81を消灯し、メモリ86に記録された画像データに従った画像を出力装置85に出力させる。
【0072】
本実施形態によれば、ドレインドライバ73の出力が減算器87によって減算され、更に可変利得増幅器88によって増幅されることで、可変利得増幅器88の出力レンジの最大値がA/D変換器89の入力ダイナミックレンジの上限値以下になるとともに、可変利得増幅器88の出力レンジの最小値がA/D変換器89の入力ダイナミックレンジの下限値以上になる。そのため、A/D変換器89の出力の分解能を最大限利用することができる。つまり、A/D変換器89の分解能が8ビットであれば、256階調ほぼすべてがデータとして使用することができるようになる。そのことに伴い、バックグラウンドノイズレベルとシグナルの絶対値の差が大きくなるという利点がある。
【0073】
従って、A/D変換器89からコントローラ84に入力される画像のうち蛍光を発した部分とそうでない部分との明暗の差(コントラスト)が大きくなる。そうすると、出力された画像の中から蛍光を発した部分の特定が容易である。つまり、蛍光標識DNAと相補的なプローブDNAのスポット60を特定することが容易である。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更をおこなっても良い。
上記実施形態では、光電変換素子としてダブルゲートトランジスタ20,20,…を用いた固体撮像デバイス10を例にして説明したが、光電変換素子としてフォトダイオードを用いた固体撮像デバイスに本発明を適用しても良い。フォトダイオードを用いた固体撮像デバイスとしては、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサがある。CCDイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲には、フォトダイオードで光電変換された電気信号を転送するための垂直CCD、水平CCDが形成されている。CMOSイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲にはフォトダイオードで光電変換された電気信号を増幅するための画素回路が設けられている。
【0075】
固体撮像デバイス10がCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサである場合には、駆動回路70の回路構成はCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサに適したものに変更するのは勿論である。CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサの駆動回路は周知であるので、ここでは説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】生体高分子分析チップ及び照射装置を示した斜視図である。
【図2】生体高分子分析チップの一部を示した平面図である。
【図3】固体撮像デバイスの画素を示した平面図である。
【図4】IV−IV矢視断面図である。
【図5】固体撮像デバイス及びその周辺回路を示した図面である。
【図6】固体撮像デバイスの信号の推移を示したチャートである。
【図7】生体光高分子分析支援装置の構成を概略的に示したブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
10 固体撮像デバイス
20 ダブルゲートトランジスタ
60 スポット
70 駆動回路
80 生体高分子分析支援装置
82 記憶装置
84 コントローラ
87 減算器
88 可変利得増幅器
89 A/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像デバイスと、
既知の生体高分子からなり、前記固体撮像デバイスの受光面上に点在した複数種のスポットと、
前記固体撮像デバイスを駆動し、前記固体撮像デバイスの画素の受光量に応じた信号を出力する駆動回路と、
前記駆動回路の出力の減算をして、その差分を出力する減算器と、
前記減算器の出力を増幅する増幅器と、
前記増幅器の出力を量子化するA/D変換器と、を備え、
前記減算器が、前記駆動回路の出力レンジの最小値を前記増幅器の入力ダイナミックレンジの下限値に揃え、
前記増幅器が、前記減算器の出力レンジを調整して前記A/D変換器の入力ダイナミックレンジに収めることを特徴とする生体高分子分析支援装置。
【請求項2】
前記増幅器が、前記減算器の出力レンジを調整して前記A/D変換器の入力ダイナミックレンジに等しくすることを特徴とする請求項1に記載の生体高分子分析支援装置。
【請求項3】
前記増幅器が可変利得増幅器であり、
前記増幅器が、前記固体撮像デバイスの画素に最大強度の光が入射している状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照上限電圧と、前記固体撮像デバイスの画素に光が入射していない状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照下限電圧との差分に応じた利得で前記減算器の出力を増幅することを特徴とする請求項1又は2に記載の生体高分子分析支援装置。
【請求項4】
前記参照上限電圧及び前記参照下限電圧を記憶した記憶装置と、
前記記憶装置から前記参照上限電圧及び前記参照下限電圧を読み込み、それらの差に基づき前記増幅器の利得を設定するコントローラと、を備えることを特徴とする請求項3に記載の生体高分子分析支援装置。
【請求項5】
前記減算器が、前記固体撮像デバイスの画素に光が入射していない状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照下限電圧を前記駆動回路の出力から減算することを特徴とする請求項1又は2に記載の生体高分子分析支援装置。
【請求項6】
前記参照下限電圧を記憶した記憶装置と、
前記記憶装置から前記参照下限電圧を読み込み、その参照下限電圧を前記減算器の反転入力端子に出力するコントローラと、を備え、
前記駆動回路の出力が前記減算器の非反転入力端子に入力されることを特徴とする請求項5に記載の生体高分子分析支援装置。
【請求項7】
前記減算器が、前記固体撮像デバイスの画素に光が入射していない状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照下限電圧を前記駆動回路の出力から減算し、
前記増幅器が可変利得増幅器であり、
前記増幅器が、前記固体撮像デバイスの画素に最大強度の光が入射している状態においてその画素の光電変換による前記駆動回路の出力を表す参照上限電圧と前記参照下限電圧との差分に応じた利得で前記減算器の出力を増幅することを特徴とする請求項1又は2に記載の生体高分子分析支援装置。
【請求項8】
前記参照上限電圧及び前記参照下限電圧を記憶した記憶装置と、
前記記憶装置から前記参照上限電圧及び前記参照下限電圧を読み込み、読み込んだ前記参照下限電圧を前記減算器の反転入力端子に出力し、読み込んだ前記参照上限電圧と前記参照下限電圧の差に基づき前記増幅器の利得を設定するコントローラと、を備え、
前記駆動回路の出力が前記減算器の非反転入力端子に入力されることを特徴とする請求項7に記載の生体高分子分析支援装置。
【請求項9】
前記記憶装置が前記固体撮像デバイスに搭載されていることを特徴とする請求項4、6又は8に記載の生体高分子分析支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−85114(P2010−85114A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251436(P2008−251436)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】