説明

生加工食品用除菌・静菌剤及び生加工食品

【課題】大掛かりな装置や複雑な除菌・静菌処理工程を不要とし、加熱処理のできない魚介類等の生加工食品に対して、十分な除菌・静菌作用を確実容易に行う。
【解決手段】生加工食品用除菌・静菌剤(酵素製剤)は、グルコース、グルコースオキシダーゼ及びカタラーゼを含み、且つ、グルコースをグルコースオキシダーゼの50倍以上含有して成る。グルコースオキシダーゼによるグルコースの酸化反応に伴って、活性酸素が生成し、生加工食品たとえば、加熱処理できない魚介類(味付け数の子、塩辛、松前漬け、筋子など)中の生菌に対して、除菌又は静菌作用を惹起させる。前記カタラーゼは、活性酸素が過酸化水素になることを防止し、かつ過酸化水素を速やかに分解させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生加工食品用除菌・静菌剤及び生加工食品に関するものであり、特に、加熱処理のできない魚介類等に存在する細菌の増殖を効果的に抑制することができる除菌・静菌剤及び生加工食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生加工食品の細菌の増殖抑制については、衛生管理などの面から、種々の加工処理工程を含む方式が採用されている。たとえば、カセイソーダ等のアルカリ性電解質と食塩、塩化カリウム等の塩類電解質の水溶液を隔膜のない電解層装置で電気分解し、生成したアルカリ性の電解水を水道水で希釈・混合した洗浄殺菌水により、生加工食品中の細菌を除菌(殺菌)する技術がある。(例えば、特許文献1等)。
【特許文献1】特開2003−250436号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来技術は、装置が大掛かりとなり、複雑な工程を必要とするうえに、コスト高を招くという欠点があった。また、このような加工処理工程で生産された生加工食品であっても、必ずしも満足した細菌増殖抑制効果を期待できないのが実情である。特に、加熱処理のできない魚介類、例えば、味付け数の子、塩辛などの生加工食品については、十分な除菌・静菌処理を実施しがたいという問題があった。そのため、このような生加工食品においては、温度の高い夏季になると、消費者の段階で細菌による品質劣化が見られることもあった。
【0004】
又、前記食品の鮮度保持又は保存性を向上させる方法として、pHを所定範囲に調整した溶液に食品を浸漬処理する方法も知られている(例えば、特開昭63−230036号等)。しかし、溶液浸漬の処理方法では、溶液の味が食品に残るために、食品を生食したときに違和感を生ずるという問題があった。更に、この技術によれば、細菌の増殖抑制を持続的に長い時間維持持することができず、しかも、加工中又は加工後に細菌が食品に入ると、細菌の増殖を抑制できないという問題があった。
【0005】
そこで、大掛かりな装置や複雑な工程を不要とし、特に加熱処理のできない魚介類等の生加工食品に関して、加工処理中の除菌だけでなく、消費者へ搬入するまでの流通段階での除菌・静菌をも確実に行えるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、グルコース及びグルコースオキシダーゼを含有して成り、該グルコースオキシダーゼによるグルコースの酸化反応で副生する発生期の酸素により細菌の増殖を抑制する除菌・静菌剤を提供する。
【0007】
この構成によれば、生加工食品に除菌・静菌剤を添加して使用される。この除菌・静菌剤は、グルコース及びグルコースオキシダーゼGODを含有するので、グルコースオキシダーゼがグルコースに作用し、グルコノラクトン(グルコン酸)を副生すると同時に、発生期の酸素も副生する。この発生期の酸素は強い酸化力を有し、生加工食品中に存在する生菌に対して、優れた除菌作用又は静菌作用を呈する。
【0008】
請求項2記載の発明は、グルコース、グルコースオキシダーゼ及びカタラーゼを含有して成り、該グルコースオキシダーゼによるグルコースの酸化反応で副生する発生期の酸素により細菌の増殖を抑制すると共に、前記発生期の酸素が過酸化水素に変化することを阻止する除菌・静菌剤を提供する。
【0009】
この構成によれば、グルコース及びグルコースオキシダーゼの他に、過酸化水素を分解除去するカタラーゼが配合されているので、グルコースの酸化反応で副生した発生期の酸素が過酸化水素に変化することを阻止できる。また、カタラーゼによって過酸化水素を水と酸素に分解する。
【0010】
本発明に係る除菌・静菌剤中の各成分の濃度は、特に制限されるものではなく、食品中の成分、又はその濃度、pH、使用形態(使用時の希釈など)などによって異なる。また、本発明を適用しうる食品としては、特に制限がないが、魚の切身やフィレー、イカ、たこ、数の子、いくら、及びししゃもの卵、塩辛、水産物の漬物や練製品等の他に、タレまたは調味液を挙げることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、上記グルコースの含有量は、上記グルコースオキシダーゼの含有量の50倍以上である請求項1又は2記載の除菌・静菌剤を提供する。
【0012】
この構成によれば、グルコースの含有量をグルコースオキシダーゼの含有量の50倍以上にすると、グルコースとグルコースオキシダーゼの反応において、発生期の酸素が効率良く生成される。
【0013】
請求項4記載の発明は、加熱処理のできない魚介類等の生加工食品であって、請求項1,2又は3記載の除菌・静菌剤を添加してなる生加工食品を提供する。
【0014】
この構成によれば、グルコース及びグルコースオキシダーゼを含有する除菌・静菌剤を生加工食品に添加したので、加熱処理できない魚介類、例えば、味付け数の子、塩辛、松前漬け、筋子などの生加工食品であっても、十分な除菌・静菌作用が可能になる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明は、グルコースオキシダーゼの酸化反応で副生する発生期の酸素(活性酸素active oxygen)が、生加工食品中の生菌に対して、所望の除菌又は静菌作用を有効に行うので、加熱処理のできない魚介類等であっても、加工処理中の除菌、並びに、消費者へ搬入するまでの流通段階で除菌・静菌が可能になり、特に、夏季に細菌による生食品の品質劣化の発生を未然に防止できるという格別の効果がある。
【0016】
又、細菌の増殖抑制を持続的に長い時間(温度により2日から30日以上)維持することができ、しかも、加工中又は加工後に細菌が食品に入っても、細菌の増殖を効果的に抑制できる。更に、大掛かりな装置や複雑な工程を必要とせず、生加工食品の保管中および流通過程の搬送中に、優れた細菌増殖抑制効果を簡単かつ低コストで行える。
【0017】
また、生加工食品を溶液に浸漬する必要がないので、従来のように、溶液の味が食品に残らず、生加工食品を生食したときに違和感を生ぜず、生加工食品の鮮度保持又は保存性を著しく向上させることができる。実際には、必要により希釈剤が配合できるが、生加工食品の温度によって、48時間から1月以上の長期に渡り、生菌の増殖抑制効果を維持することができる。
【0018】
請求項2記載の発明は、カタラーゼを添加したので、生加工食品中に有害な過酸化水素が存在することを確実に防止できるという特有の効果を有する。
【0019】
請求項3記載の発明は、グルコースとグルコースオキシダーゼとの反応において、発生期の酸素が効率良く生成されるので、請求項1又は2記載の発明の効果に比べて、発生期の酸素による除菌効果又は静菌効果が更に増大する。
【0020】
請求項4記載の発明は、十分な除菌・静菌処理が困難であった水産加工食品、例えば、味付け数の子、塩辛、松前漬け、筋子等の魚介類であっても、食品加工中及び消費者市場に搬送中においても、発生期の酸素の雰囲気下にて除菌・静菌処理を実施でき、鮮度保持又は保存性に優れた生加工食品を安価に提供できるという格別のメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の最良の実施形態に係る除菌・静菌剤(酵素製剤)は、グルコース、グルコースオキシダーゼ及びカタラーゼを含み、且つ、グルコースの含有量をグルコースオキシダーゼの50倍以上とし、この除菌・静菌剤を魚介類等の生加工食品に添加させることにより、大掛かりな装置や複雑な工程を不要とし、食品加工処理中の除菌および消費者へ搬送するまでの除菌・静菌を簡易に行えるという目的を達成した。
【0022】
本発明の除菌・静菌剤は、グルコースオキシダーゼGODによるグルコースの酸化反応に伴って、グルコノラクトンGDL(水に溶けてグルコン酸になる)と共に発生期の酸素(活性酸素)が副生し、この活性酸素は、生加工食品中に存在する生菌に対して、優れた除菌又は静菌作用を迅速に行う。この除菌又は静菌作用は、活性酸素が生菌の細胞膜に障害を与えることにより生ずると考えられる。酵素製剤の成分配合比率について言えば、グルコースは、好ましくはグルコースオキシダーゼの50倍以上の比率で配合するのが良い。これにより、活性酸素が一層効率よく生成される。
【0023】
活性酸素は、過酸化水素に変化しやすいが、除菌・静菌剤に添加したカタラーゼによって、過酸化水素の生成を阻止すると共に過酸化水素を分解する。即ち、除菌・静菌剤には、必要に応じて、活性酸素が過酸化水素になることを防止するため、並びに、過酸化水素を速やかに分解するために、抗酸化酵素カタラーゼが含有される。
【0024】
本発明は、生加工食品が加熱滅菌処理できない魚介類(味付け数の子、塩辛、松前漬け、筋子など)であっても、これに前記除菌・静菌剤を混合することにより、非加熱状態のまま常温領域下で除菌又は静菌作用を発揮する。この除菌・静菌剤で処理された食品は、加工処理工程や食品流通工程などにおける細菌の増殖を長期間良好に抑制する。
【0025】
構成成分のグルコースオキシダーゼ及びグルコースを含有する酵素製剤は、グルコースオキシダーゼがグルコースに作用し、グルコノラクトンを生成する際、副生した活性酸素の環境下で、生加工食品の保管中及び流通における細菌の増殖を未然に抑制する。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明の酵素製剤は、生珍味、練り製品、調味剤など色々な生加工食品に添加でき、例えば、食品を加工処理する際に、本酵素製剤を0.5%〜3.0%の割合で混ぜ込むことで、生加工食品中の一般生菌数を減らすことができる。本酵素製剤は、前記食品中の細菌の繁殖抑制及び減少、並びに、水溶液中の細菌の繁殖抑制及び減少を可能にする。
【0027】
所定の初発菌数を含む水溶液中の細菌、及びイカの塩辛についてそれぞれ、本酵素製剤を1%、2%混入して、常温で除菌効果試験を実施した。具体的には、水溶液中の細菌を対象とする除菌試験では、一般細菌に汚染された食品加工用水を4つ準備し、酵素製剤を添加しない場合、酵素製剤を1%添加した場合、酵素製剤を2%添加した場合、濃度70%のアルコールを1%添加した場合について、48時間後の一般細菌の生菌数を各々測定した。
【0028】
又、イカの塩辛を対象とする除菌試験では、一般細菌に汚染されたイカの塩辛を3つ準備し、酵素製剤を添加しない場合、酵素製剤を1%添加した場合、酵素製剤を2%添加した場合について、48時間後の一般細菌の生菌数を各々測定した。各試験結果を表1及び表2に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
前記試験験結果から判るように、酵素製剤を添加した場合は、添加しない場合又はアルコール添加の場合に比べて生菌数が大幅に減少した。また、酵素製剤を1%添加した場合よりも、酵素製剤を2%添加した場合のほうが、一般細菌に対する除菌効果が顕著になった。尚、イカの塩辛については、酵素製剤を添加しても風味、香りなどの品質の劣化はみられなかった。
【0032】
本実施例について更に詳しく説明する。先ず、グルコース(食品素材)99.90%、グルコースオキシダーゼ0.05%及びカタラーゼ0.05%を含有する酵素製剤(除菌・静菌剤)AEを作製した。ここでは、バレイショデンプン91.0%、グルコースオキシダーゼ4.5%及びカタラーゼ4.5%を配合して成るハイデラーゼ15(商品名、天野エンザイム株式会社の製品)1.1部と、純度95%以上のグルコースの食品素材であるグルファイナル(商品名、株式会社ニッシの製品)98.9部を混合して作製した。
【0033】
一方、平成17年4月23日に仕込んだイカ塩辛200gを3つ用意し、各イカ塩辛200gを用いて、酵素製剤AEを混入しない無添加の試料S1、酵素製剤AEを2g混入した1%添加の試料S2、酵素製剤AEを4g混入した2%添加の試料S3を同年4月25日に作製した。
【0034】
又、同年4月8日に仕込んだ松前漬け200gを3つ用意し、上記同様に、酵素製剤AEを混入しない無添加の試料S4、酵素製剤AEを2g混入した1%添加の試料S5、酵素製剤AEを4g混入した2%添加の試料S6を作製した。これら試料S1〜6を+8°〜10°の冷蔵庫室内に入れて保管した。
【0035】
保管後、3日目、12日目、25日目及び39日目にそれぞれ、pH、一般細菌数及び大腸菌群数を各別に検査した。その結果を表3及び表4に示す。
【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
試験の結果、pHについては、酵素製剤AEを添加するとpHが低下し、この場合、酵素製剤AEの添加量が多いほどpHの低下が大きくなった。これは、酵素製剤AEの添加量が多くなると、グルコースとグルコースオキシダーゼの反応で生成するグルコン酸の量が増えて、酸性が強くなったことを示す。
【0039】
又、一般細菌数については、酵素製剤AEを添加したことにより、一般細菌数が明らかに減少し、2%添加の試料S3,6は、1%添加の試料S2,5よりも、一般細菌数の減少効果が大きくなった。更に、大腸菌群数についても、酵素製剤AEを添加したことにより、大腸菌群数が明らかに減少し、一般細菌数の検査結果と同様に、2%添加の試料S3,6は、1%添加の試料S2,5よりも、大腸菌群数の減少効果が著大であった。
【0040】
次に、酵素製剤AEを調味液に混入し、この調味液を数の子に添加して除菌した工程を含む生食品加工処理工程例について、図1に従って詳述する。尚、本処理工程では、亜塩素酸ナトリウム製剤:スーパーフレッシュ(商品名、太洋化学工業株式会社、販売品)、スーパーフレッシュ助剤:マスコリンPH−55B(商品名、太洋化学工業株式会社、販売品)、塩素除去剤:ノンクロール(商品名、太洋化学工業株式会社、販売品)、表皮除去酵素製剤:ディスクリンTN(商品名、太洋化学工業株式会社、販売品)を使用した。
【0041】
最初に、検体である数の子原卵(ブルストル、株式会社丸三北栄商会、提供品)を室温解凍後、処理Aと処理Bの2つに区分し(原卵の解凍処理工程S1)、そのうち処理Aの検体については5%食塩水に6時間浸漬した(脱血処理工程S2)。この後、処理A,Bを施したもの(以下、検体A,Bという)をそれぞれ20%食塩水に24時間浸漬した(身締め処理工程S3)。
【0042】
そして、20%食塩水に前記亜塩素酸ナトリウム製剤0.4%とその助剤1%を添加し、検体A,Bをそれぞれ浸漬した(除菌処理工程S4)後、検体A,Bをそれぞれ12時間水道水でオーバフロー(脱塩処理工程S5)させ、ついで、0.5%ノンクロール液に1時間浸漬した(残留塩素除去処理工程S6)。
【0043】
このあと、45〜50℃のディスクリンTN液に検体A,Bをそれぞれ5〜10分間浸漬した(表皮除去処理工程S7)。この後、検体A,Bそれぞれについて、2倍濃縮タレを希釈した調味液によって味付けした。この場合、酵素製剤AE(アンバーキープE)添加の調味液600cc、及び、酵素製剤AE無添加の調味液600ccに対して、それぞれ数の子400gの割合でポリエチレン袋に充填したのち、空気を抜いてパッキングした(味付け処理工程S8)。前記酵素製剤AE添加の調味液は、2倍濃縮タレを希釈した調味液に対して、酵素製剤AEを1%溶解させた。
【0044】
尚、前記各工程1〜7の処理後に、各検体A,B中の一般細菌数を測定し(測定結果は表5参照)。この場合、測定試験は混釈平板培養法にて行った(測定単位は個/g)。
【0045】
続いて、検体A,Bを冷凍保存(冷凍保存処理工程S9)してから3週間後、8℃の冷蔵庫内に一晩置き、解凍させた(味付け数の子の解凍処理工程S10)。この解凍後、一般細菌数の測定を行った(測定結果は表6参照)。
【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
この測定結果から判るように、表皮除去処理工程S7の終了後、検体A中の生菌は370個/g、検体Bの生菌は320個/gであったのが、酵素製剤AE添加の調味液で味付けすると、各検体A,Bの生菌は共に300個/g以下に低下した。この生菌の低減効果は、鯑とタレの双方にみられた。特に、酵素製剤AE無添加の検体Aのタレ中の生菌は、160個/gであったが、酵素製剤AE添加の検体Aのタレ中の生菌は、30個/g以下に減少した。また、大腸菌群については、全て陰性であった。
【0049】
上記本実施例に述べたように、味付け数の子、塩辛、松前漬け等の魚介類に、グルコース及びグルコースオキシダーゼを含有する酵素製剤AEを添加すると、グルコースの酸化反応で副生した活性酸素が、魚介類中の生菌に対して除菌又は静菌作用を惹起し、加熱のできない魚介類であっても、食品加工中及び保管中(流通過程)において、細菌の増殖を効果的に抑制できた。
【0050】
また、グルコース及びグルコースオキシダーゼの他にカタラーゼを配合した場合、カタラーゼの作用により、グルコースの酸化反応で生成した活性酸素が過酸化水素に変化することを阻止すると共に、過酸化水素を速やかに分解除去できた。よって、有害な過酸化水素が生加工食品中に存在することを確実に抑制できた。
【0051】
実験によれば、グルコースオキシダーゼの含有量に対して、グルコースを50倍以上に含有させた場合は、そうでない場合に比べて、グルコースの酸化反応において活性酸素が効率良く生成し、細菌の増殖抑制効果が一層増大することが確認された。
【0052】
又、検体である上記味付け数の子、塩辛、松前漬けに代えて、筋子、練り製品について上記同様の除菌実験を行ったところ、筋子、練り製品に対しても十分な除菌・静菌作用が得られることが確認された。このように、本発明の除菌・静菌剤は、除菌・静菌処理が従来困難であった魚介類などであっても、食品加工工程中あるいは流通・運送中に、食品に存する細菌の増殖を確実かつ安価に抑制することができた。特に、高温高湿の夏季においても、消費者の段階で細菌による品質劣化は見られなかった。
【0053】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、味付け数の子の加工処理を説明する工程図。
【符号の説明】
【0055】
S1 原卵の解凍処理工程




【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコース及びグルコースオキシダーゼを含有し、該グルコースオキシダーゼによるグルコースの酸化反応で副生する発生期の酸素により細菌の増殖を抑制することを特徴とする生加工食品用除菌・静菌剤。
【請求項2】
グルコース、グルコースオキシダーゼ及びカタラーゼを含有し、該グルコースオキシダーゼによるグルコースの酸化反応で副生する発生期の酸素により細菌の増殖を抑制すると共に、前記発生期の酸素が過酸化水素に変化することを阻止することを特徴とする生加工食品用除菌・静菌剤。
【請求項3】
上記グルコースの含有量は、上記グルコースオキシダーゼの含有量の50倍以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の除菌・静菌剤。
【請求項4】
加熱処理のできない魚介類等の生加工食品であって、請求項1,2又は3記載の除菌・静菌剤を添加して成ることを特徴とする生加工食品。



【図1】
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【公開番号】特開2007−68406(P2007−68406A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255419(P2005−255419)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(390026044)太洋化学工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】