説明

生化学分析装置

【課題】
多項目の生化学成分を少量で計測する際にもちいられる希釈液を含む担体の取り扱いを簡易にし、より身近な体内情報を得るための検査装置を実現する。
【解決手段】検体を供給した後、これを加工操作して、複数の検査を行うための状態に配置する担体において、前記検体を希釈する為の希釈部材を担体内に上下可動に配置し、前記希釈部材が下方向に移動したとき、希釈部材の下方向を開口状態を形成するための開口部材を配置してなる。その他、担体に凹凸を形成することで、振動子と凹凸の接触による撹拌操作、磁性材料と摩擦部材をもちいたチャッキング構成を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学反応を示す部位を複数有する担体を計測する生化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今般、糖尿病、がん、脳梗塞など生活習慣にかかわる疾病は、食生活、ストレス等、生活上の要件が深くかかわることから、これら疾病の早期発見の為に、血液、尿などの体液成分を多項目にわたって迅速に計測でき、診断できる環境がより身近なところで実現されることが希求されている。
この様な体液を分析して診断する装置は、特殊な操作をしなくても、体液成分さえ、供給すれば 在宅での利用や、設備がない場所でも、手軽に短時間で診断可能となる事が好ましい。
生体成分計測において、代表される血液、尿、汗等の体液と酵素試薬とを発色反応させた反応槽に光を照射して、反射光又は透過光を受光し、受光した光を計測して、吸光度を求めることで、グルコース、総コレステロール、クレアチニン、低比重リポ蛋白質、総ビリルビン成分濃度を光学的に計測する成分分析装置では、複数の試薬反応槽を配列した一つの担体について、計測を行う際、個々の試薬反応槽の発色データについて電気的に認識する必要がある。
【0003】
ロータ状又はシート状の担体に、流路を形成して微量定量した検体の検査を行う担体は、より微量な検体を利用し、微小な空間で均一に混合しなければならないことから、単に液体と固体を混ぜただけでは容易には混ざらない場合が多く、何らかの撹拌構成が必要である。
又、希釈液の安定保存と、外部への漏れ出しの防止を図ったりする必要がある。
更に検体の漏れだし等を防止するため担体と読み取り装置との機械的結合の簡易さが希求される。
【特許文献1】USP5160702号公報
【特許文献2】特表平10−501340号公報
【特許文献3】特表平7−503794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
USP5160702号公報、特表平10−501340号公報は、何れも円盤状の体液分析装置が開示され、毛管力、遠心力を駆使して、血球分離、定量希釈、定量分配を行い複数の試薬反応槽に血漿成分を定量供給して発色反応させ、外部から個々の発色値を計測し、その計測値から成分の分析を行うことを開示する。
特表平7−503794号公報には、中心部に、希釈容器を配置し、ロータを固定する芯材にロータが装着される際に生じるずれを利用して希釈容器を破壊する構成が記載されている。
USP5160702には、ロータと回転装置の接続構成、チャッキング構成が開示されている。
これらは、より頑強な結合を図るべく、複雑な構成を採るなど、シンプルな構成とは言い難いのである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み本発明は、
1.検体を供給した後、これを加工操作して、複数の検査を行うための状態に配置する担体において、前記検体を希釈する為の希釈部材を担体内に上下可動に配置し、前記希釈部材が下方向に移動したとき、希釈部材の下方向に開口状態を形成するための開口部材を配置することで、未使用時の希釈液の漏れを防ぎながら、担体上での希釈液の安定的保存を実現する。
【0006】
2.更に本発明は、検体を供給した後、これを加工操作して、複数の検査を行うための状態に配置する担体の側面、上面又は底面のうち、いずれか一面又は複数面に対しその一部、又は全部が連続した凹凸を形成してなる環状凹凸部材、前記環状凹凸部材に接触する際、前記担体の撹拌を要する部位に振動を与える振動用部材の組み合わせ構成により、簡単な操作で担体に振動を与えることで、試薬と検体との混合を充分に行うことを可能とする。
【0007】
3.検体を供給した後、これを加工操作して、複数の検査を行うための状態に配置する担体において、前記担体内に収容された撹拌を要する部位内に、前記担体の回転によって内側方向へ変形する撹拌部材よりなる組み合わせ構成により、遠心力だけで、試薬と検体の十分な混合を実現する。
【0008】
4.検体を供給した後、加工操作して、複数の検査を行うための状態に配置する担体、前記担体を回転させるための回転体、前記担体の裏面の前記回転体と接触する部位に配置された金属部材、前記回転体と前記担体との接触面を形成する摩擦部材、前記金属部材に対し磁力的結合を非接触的に与える磁性部材を有する構成により、回転体上に担体を簡単に装着できながら、両者の結合は強く、取り外しも手軽に行えるようなチャッキング構成を実現する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、希釈液の保存性を確保しながら、その取り扱いを容易にすることができ、また、簡易な手法で、検体と試料の撹拌を容易に行い、また担体と、操作装置との接続を容易に行いながら、強固な結合が行われる等の効果を有することから一枚の担体上で微量な検体から、多項目の成分検査を行う際、手軽で、簡易な担体を構成可能とする。

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
.希釈液リザーバの組み込み構成
本発明における希釈液は、血液であれば、生理食塩水、食塩水、その他、希釈を目的とした溶液が例示される。
本発明における希釈部材とは、例えば、希釈液を封入したカップ状の硬質部材の開口縁部と、穿刺可能な柔軟性シートの熱溶着、超音波溶着、接着剤等による貼り合わせ構成や、柔軟性シートにより形成される袋状体に希釈液を入れたもの等が示される。
本発明における 「検体を希釈する為の希釈部材を担体内に上下可動に配置」とは、例えば、担体上に形成される蓋部の一部を薄いシート状に一体的に又は別体的に円状の蛇腹を形成し、蛇腹の中心を希釈液リザーバの開口目的部とは反対側に接続したり、蓋部の一部に延伸部材を配置した構成が示される。
前記希釈部材が下方向に移動したとき、希釈部材の下方向を開口状態を形成するための開口部材とは、例えば、希釈部材の穿刺可能領域に対して設けられる穿刺部材、押圧時、希釈部材のずれにより、一部が破れるように希釈液部材の一部が固定的に接続したもの等が例示される。
【0011】
2.撹拌構成1
本発明おける「この側面、上面又は底面のうち、いずれか一面又は複数面に対しその一部、又は全部が連続した凹凸を形成してなる環状凹凸部材」とは、担体の表面であって、少なくとも混合撹拌を行う部位近傍に、三角状、矩形状、円状でピッチが、振動の大きさによって形成される連続した又は一部連続した凹凸を示すものであり、これらの凹凸は、振動の大きさが他の構成要素に影響を与えない程度の高さを持つことが好ましい。
当該凹凸に接触して振動を与える振動体は、要時のみ、凹凸に接触する状態が形成されることが好ましく、そのタイミングだけ移動するような移動手段が併せて設けられる事が好ましいが、手動であっても良い場合もある。
【0012】
3.撹拌構成2
前記担体内に収容された撹拌を要する部位内に、前記担体の回転によって内側方向へ変形する撹拌部材は、少なくとも混合撹拌が行われる領域に、一部遠心力によって、移動可能な部位ができ、遠心力が無い場合又は、ある一定の回転以下(例えば700RPM以下)であれば、元の位置に復元固定され、計測に支障がない状態となることが好ましい。
撹拌部材としては、例えば、ゴム、樹脂等により撹拌部材内部に一部可動可能に貼り付けられた状態で形成されていることが好ましい。
尚、回動可能な部分には、質量が異なる鉄球、プラスチック球等が接続していることが好ましい。
【0013】
4.チャッキング構成

本発明における金属部材は、磁性部材と結合可能なもの(ステンレス板、銅板等)であれば良い。
本発明おける磁性部材は、回転体を中心として、環状である事が好ましいが、磁力が強い場合は、その一部であっても良い。
本発明おける摩擦部材とは、天然ゴム、人工ゴム、樹脂等で形成され、金属部材又は担体表面と摩擦が大きい部材であれば良い。
尚、摩擦部材を基準面として使用する場合は、非変形性を有することが好ましい。
本発明おける環状凸部材は、少なくとも回転体の側面と一様に接触する様な高さと内面積を持つものであれば良く、担体と一体的に形成されることが好ましい。
担体底面の金属部材は、磁性体との間で、吸引力があれば良く、スチールや磁性ステンレス等の他、金属とセラミックスとの複合材、金属とプラスチックの複合材、磁性金属、磁性金属と、プラスチック、紙、セラミックス、非磁性金属との複合材であってもよい。
本発明は、担体と回転体との接触部分を摩擦部材で行い、結合を、非接触状態の磁性部材と金属部材間で働く磁力によって行うが、磁性部材と金属との距離は、0.1 mm〜1.0mmが例示される。
【実施例1】
【0014】
本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例を示す図である。
101は、シート状の蓋部であり、PP、PET、ポリエステル等の透光性部材、半透光性部材よりなり、血液分析用担体の表面を一様に覆い接着剤、粘着材、等で貼り付けられるものである。蓋部101は、透明な両面テープ、片面テープが取り扱いが容易な点で好ましい。
102は、担体用基板であって、PP、PET、ポリエステル等の透光性部材、半透光性部材よりなり、表面に形成した溝によって希釈液貯留部、血液貯留部、流路、混合槽等を構成する。
図1では、希釈液リザーバ保持空間のみ示している。
103は、蛇腹部であり、蓋部101の一部を同心円状の蛇腹に加工したものである。
104は、希釈液リザーバであり、下方向に開口した硬質性カップ106とこの硬質性カップの開口面の周縁部に熱圧着、接着剤などで接続した薄膜107が結合した構成を有している。
105は、希釈液であり、生理食塩水よりなり、場合によっては保存剤等の各種添加剤が含まれている。
108は、係止部材であり、担体と一体的に構成され、中心から外方向に変形可能な状態で、前記希釈液リザーバが内挿可能な位置の2方向、4方向、その他の方向に設けられる。
109は、穿刺部材であり、好ましくは担体と一体的に構成され、薄膜107を穿刺破壊可能な程度の硬度と、鋭角度を有するものが好ましい。
110は、希釈液用流路であり、溝状及びある程度幅の広い流路が例示される。
【0015】
次に図1で示す実施例の動作を説明する。
使用前、希釈液リザーバは、蛇腹部103の中心部に結合された状態で、係止部材108の先端内側に固定されている。
担体に血液を導入し使用する際、図1(b)で示すように希釈液リザーバ104の上部を押圧(F)する。
この押圧力Fは、希釈液リザーバ104の縁部を、係止部材108を外方向に押し開かせると共に、希釈液リザーバ104を穿刺部材109方向に押圧する(図1(b))。蛇腹部103が延びることで、希釈液リザーバ104は移動し、希釈液リザーバ104の薄膜107は、穿刺部材109により穿刺破壊されると共に、係止部材108の内側にに係止固定される。
図1(c)で示すように担体用基板102は、中心軸Oを中心として回転する。薄膜107が破れて、希釈液Bは外部へ表出し、遠心力により外部方向へ移動する(図1(c))。
もともと担体基板102と蓋部101が密閉状態で結合されているため、希釈液リザーバ104の薄膜107が破れ、内部の希釈液が表出したとしても、外部へ漏れることが無く、安全且つ安定している。

【実施例2】
【0016】
図2は、本発明の他の実施例を示す図である。
201は、円盤状の担体であり、中央に血液供給部を設け、血球分離部、希釈液との混合部、定量部、血球分離部、試薬反応槽201aを外周方向に複数配置している。
202は、担体操作装置と結合するための結合用孔であり、中心から所定の間隔で2つ穿設されている。
203は、凹凸部であり、例えば、鋸状波状、三角波状を有している。凹凸のピッチや、高さは、特に限定されていないが、ピッチが短い場合は、細かい振動を発生させ、ピッチが長い場合は、大きな振動が発生させることができる。
204は、振動用凸部205及び板バネ状の弾性部材206の組み合わせよりなる振動体を摺動駆動させるための駆動部であり、例えば摺動モータ等を組み込んだ状態を示す。
振動子の振動用凸部205、弾性部材の組み合わせは、あくまで一例であり、担体読み取り装置の大きさなどにより様々な形状が適宜選択される。
【0017】
次に図2で示す実施例の動作を説明する。
撹拌動作が必要な場合、駆動部204を駆動させて振動子の振動用凸部205を凹凸部203に当接する(図2(b))。
図2(c)で示すように担体の凹凸部203に接触した振動用凸部205が、回転する担体の山部により外側に押され(図2(d))、更に凹凸部203の移動により、谷部が到来すると弾性部材206の復元力により振動用凸部205が、担体201の凹凸部203の表面を打つ(図2(e))ことで、振動を与える。
この繰り返しにより、連続した振動が、複数の外周状の試薬反応槽201aの周辺に生じ、撹拌運動を増加させる。
【実施例3】
【0018】
図3は、本発明の他の実施例を示す図である。
図3(a)は、例えば図2(a)でしめした 血液分析用担体201の裏面であり、試薬反応槽周辺部位には、吸光性、吸熱性を有する黒色部材210が配置され、試薬反応槽直下には、測定用光が通過するための観察窓210aが設けられている。
図3で示す207は、環状凹凸部であり、図3(b)にその一部を示した。図3(b)、(c)は、担体201を側面から見た図である。
図3(c)で示す209は、振動用凸部であり、208は、弾性部材である。
本実施例も図2で示した実施例と同様、要時、振動用凸部209が、環状凹凸部207と接触させるための移動部を設けているが、図3では省略した。
図3で示す実施例も図2で示す実施例と同様、振動用凸部209が、環状凹凸部207表面を移動する(図3(d))際、環状凹凸部207の凸部が、振動用凸部209を押しやり(図3(e))、担体201の回転により、環状用凹凸部209の凹部が、押しやられた振動用凸部209の部位にくると、弾性部材208の復元力で、振動用凸部209が、環状用凹凸部207を打ち付けることで振動を生じさせる(図3(f))。
この様に、担体に振動を与えることで、試薬と血漿成分の撹拌混合を確実に行う。
【実施例4】
【0019】
図4は、本発明の他の実施例である。
図4は、例えば図2で示した試薬反応槽201aを拡大した状態を示す。
301は、試薬反応槽であり、担体に円柱状の凹部として形成されている。大きさは、直径1mm、深さが2mm前後が例示され、中心方向の内側面に、血漿等の検体が供給される供給用流路302が接続している。試薬反応槽には予め試薬の粉末、顆粒、液体などが含まれている。
303は、撹拌用リングであり、ゴム、樹脂等の弾性素材で形成され、中心方向の一部を除き、試薬反応槽301の内周に接続固定されている。304は、金属などの比較的重い粒子よりなる金属粒であって、担体の回転により生じる遠心力を一番有効に受ける部位に埋入などされ、配置されている。
図4(b)のX−X’で示す断面を図4(c)に示した。撹拌用リング303は、試薬反応槽301の底面と、供給用流路302の流路口との間に配置されている。
305は、蓋部であり、PP、PET等の透光性部材、半透光性部材よりなる。
306は、黒色シートであり、吸熱性、吸光性を有し、試薬反応槽直下は、計測光を通過させるための観察孔307が形成されている。

【0020】
次に図4の動作を説明する。試薬反応槽301内に、検体が供給され、予め配置した試薬と接触して溶解を始める。
担体の回転を高めることにより、試薬反応槽内の撹拌用リング303は、遠心力を受け、一部試薬反応槽内に接合していない部位であって、金属粒304を含む部位が、遠心方向に移動する。
その際、図4(b)で示すように撹拌用リング303と、試薬反応槽301内に間隙が形成され、この部分に検体等が流入する。
担体の回転数を下げると、撹拌用リング303が元に戻り、間隙に入った検体等は、押し出されるように元の位置に戻る(図4(a))。
以上の動作を繰り返すことで、光学的測定にも支障が無く簡易に撹拌を行うことができる。
【実施例5】
【0021】
以下、本発明の一実施例である担体を、担体読み取り装置へ装着する部分、即ちチャッキング構成について詳細に説明する。
図5(a)(b)において、
401は、担体であり、円盤状の基材に、血液供給口、希釈液貯留部、血球分離部、混合撹拌部、定量分配部、試薬反応槽等が溝状又は凹状に形成されている。
担体401の上部には、透光性を有する蓋部が全体を覆うように配置されている。
図5(c)に、担体401上に構成される構成要件中、試薬反応槽404の一例を示した。
402は、環状凸部であり、回転体405の側面と一致する様な内径を持つ環状体であり、好ましくは担体401と一体的に形成されている。
403は、金属部材であり、磁性材との結合可能な金属、セラミックス、その他の複合材の薄板よりなり、担体401の底面であって、環状凸部402の内側に接着剤、機械的嵌合等によって結合されている。金属部材403は、好ましくは、摩擦係数の高い表面を有することが好ましい。
405は、回転体であり、その底面部でモータ、変速ギヤ等と接続する。回転体405は、樹脂、プラスチック形成されており軽量化を図ることが好ましい。回転体405は、読み取り装置(図示せず)内に配置され、図5では、その一部を示している。
406は、摩擦部材であり、環状のゴム、ビニール樹脂等で形成され、回転体405の上部より均一に突出して接着剤、機械的嵌合等によって結合配置されている。環状の摩擦部材406の幅は、その幅が広ければ、担体401との接触面積が広くなるため摩擦力も強くなるが、 1 mm 〜 3 mmくらいが担体駆動用として好ましい。
407は、磁性部材であり、環状に形成された、永久磁石、又は電磁石により構成されている。磁性部材407の幅も、広ければ担体との結合が密になるが、取り扱いを手軽にするため、2 mm〜4 mmが適当である。
尚、磁性部材407の幅、摩擦部材406の幅の何れもが、担体の表面状態、磁性部材の材質などにより、上述の範囲外の方が適当な場合もある。
磁性部材407の高さは、摩擦部材406の高さよりも低く、図5(b)で示すように担体を装着した際も、担体の金属部材とは、非接触状態を形成している。
408は、回転体凸部であり、回転体405と一体的に形成され、その外周側面は、前記環状凸部402の内周側面に接触して結合し、垂直基準面408aを形成する。
回転体凸部408の上面と金属部材403との接触面が水平基準面408bを形成する。
垂直基準面408a及び水平基準面408bの何れもが、担体401の底面との一様な接触であって、互いに直角な関係を維持することで担体401に安定的な回転を生じさせる。
【0022】
図5で示す実施例では、読み取り装置内の回転体405を担体401の環状凸部402の内側に挿入し、垂直基準面408aと環状凸部402の内面及び水平基準面408bと金属部材403の表面が接触すると共に摩擦部材406と、金属部材403が接触した状態で、磁性部材407と、金属部材403間が非接触状態で磁力結合することで、読み取り装置内の回転体405と担体401が結合固定される。
図5(b)に結合した状態を示す。
その際、垂直基準面408aと、水平基準面408bのそれぞれの担体401への均一な接触により、安定した回転が行われ、回転体405が回転する場合も、摩擦部材406の接触摩擦によって、担体401は、すべることなく回転する。
この様に、回転体405に、担体401の環状凸部402を挿入するだけで、チャッキングが終了し、取り外しも、磁性部材407と金属部材403が接触していない為に比較的容易な取り外しができる等、取り扱いも容易である。
【0023】
図6は、図5と同様、担体401に環状凸部402を設けたものを用いた場合の他の実施例を示す。
図6(a)で示す回転体405の外周には、段差状の結合部409を形成し、結合部409の下面と、環状凸部402の先端平面部が接触して図6(b)で示す水平基準面409aを形成し、結合部409の側面部と環状凸部402の内側側面部が接触することで、図6(b)で示す垂直基準面409bを形成する。
406は、摩擦部材であり、図5で示したものと同一の構成を有し、407は、環状の磁性部材であり、図5で示したものと同一の構成を有する。磁性部材407の高さは、摩擦部材406が、結合し収縮した状態であっても、金属部材403と接触しない程度の高さを維持する事が好ましい。図6(b)は、担体401と、回転体405を結合した状態を示す。簡単な結合関係ではあるが、磁性部材407と金属部材403の磁力による結合による結合力と摩擦部材406と担体底面との摩擦力により、激しい回転環境においても滑ることなく、安定した回転が実現される。
図6で示す実施例は、図5で示す実施例よりも水平基準面と垂直基準面の構成をより簡素化させ、更に担体401を回転体405へ容易に結合させたり離脱させたりすることができる。
【実施例6】
【0024】
図7は、本発明のチャッキング構成の他の一例を示す図である。
図7において、401は担体であり、図5で示した構成と同様の構成を有し、例えば、図7(c)で示すような、試薬反応槽413、分配流路等の組み合わせによって構成されている。
411は、金属部材であり、好ましくは担体401の底面に埋入されている。金属部材411の中央には、担体401にも一部通じるような挿入口410が形成されている。
挿入口410は、円柱状に形成され、回転体412の回転軸416が挿入可能な大きさを有する。
412は、回転体であり、中心に、突出した回転軸416が形成されている。回転軸416の側面は、挿入口410へ挿入接触した状態で、図7(b)で示す垂直基準面416aを形成する。
417は、摩擦部材であり、摩擦係数が高い弾力性を有する部材、ゴム、天然樹脂、合成樹脂等で形成されている。本実施例における摩擦部材417は、摩擦部材417と、担体401の底面とが接触する部分で、図7(b)で示す水平基準面417aを形成するために、なるべく非変形性を有する事が好ましく、より硬質な部材が好ましい。
本実施例では、他の実施例に比べ比較的幅の広い摩擦部材417が配置されることが好ましく、その幅は例えば 3 mm〜 5 mmの幅が例示されるが、担体401の底面の状態、大きさ等によりこの範囲以外でも設定される場合もある。
414は磁性部材であり、永久磁石、電磁石によって形成され、摩擦部材417の高さより低い高さで配置されている。
【0025】
図7で示す実施例は、図5,図6の実施例をより簡素化するものであって、回転体412の回転軸416を担体401の挿入口410に挿入すると、金属部材411と磁性部材414の磁力結合が非接触状態で形成され、回転軸416の側面と挿入口410の側面の接触により図7(b)で示す垂直基準面416aを形成すると共に担体401の底面と摩擦部材417が摩擦接触して図7(b)で示す水平基準面417aを形成する。回転体412の回転は、担体401に伝達され、回転方向を変化させたり、停止させたり、急激な回転を開始させたりする過酷な担体401の回転に対しても、ぶれることなく安定した回転をさせることができる。
【0026】
図8は、本発明における他の実施例を示す図である。
図8において、担体401は、図7の担体と同じであり、同一の番号を付して説明を省略する。回転体412も同様に、他の実施例と同一の部分は、同じ番号を付して説明を省略する。
回転体412の上部外周面には、環状凸部418が付設され、環状凸部418の上面部は、担体401の底面と接触した際、図8(b)で示すように水平基準面418aを形成する部分である。
摩擦部材419は、図5、図6で示した実施例の摩擦部材と同様のものであって、環状のゴム、ビニール樹脂等で形成されている。
414は、磁性部材であり、図5、図6及び図7と同様の材質、形状を具えたものである。
磁性部材414の高さは、摩擦部材419の高さよりも低く、担体と回転体が結合した際も、磁性部材414は、担体401の金属部材411とは非接触状態を保つ。
回転体412の中心に一体的に形成された回転軸416の側面は、担体401の挿入口410に挿入された際、挿入口410の内周面と接触し、垂直基準面416aを形成する。
【0027】
図8で示す実施例も、図7で示すものと同様に、回転軸416を担体401の挿入口410に挿入するだけで、磁性部材414と、金属部材411の磁力結合による結合がされ、
図8(b)で示すように回転体412の外周に配置した環状凸部418の上面が担体401と接触した際、水平基準面418aを形成し、回転軸416の側面と挿入口410の内周面との接触面が垂直基準面416aを形成することから、安定的な担体と回転体の結合が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、血液検査、感染検査等の生化学分析装置において、より正確な生化学情報を迅速に得ることができることから、よりスピーデイな生化学分析装置が構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例を示す図。
【図2】本発明の他の実施例を示す図。
【図3】本発明の他の実施例を示す図。
【図4】本発明の他の実施例を示す図。
【図5】本発明の他の実施例を示す図。
【図6】本発明の他の実施例を示す図。
【図7】本発明の他の実施例を示す図。
【図8】本発明の他の実施例を示す図。
【符号の説明】
【0030】
101 蓋部
102 担体用基板
103 蛇腹部
104 希釈液リザーバ
105 希釈液
108 係止部材
109 穿刺部材
110 希釈液用流路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を供給した後、加工操作して、複数の検査を行うための状態に配置する担体において、前記検体を希釈する為の希釈部材を担体内に上下可動に配置し、前記希釈部材が下方向に移動したとき、希釈部材の下方向に開口状態を形成するための開口部材を配置してなる生化学分析装置用担体。
【請求項2】
前記希釈部材は、蛇腹状等の押圧可能なシート部剤を介して担体内に収容されている請求項1に記載の生化学分析装置用担体。
【請求項3】
前記希釈部材は、希釈液を収容したカップ部材の開口面を薄膜シートで覆う構成を有し、前記開口部材は、前記薄膜シートを穿刺可能な穿刺具で形成される生化学分析装置用担体。
【請求項4】
検体を供給した後、加工操作して、複数の検査を行うための状態に配置する担体の側面、上面又は底面のうち、いずれか一面又は複数面に対しその一部、又は全部が連続した凹凸を形成してなる環状凹凸部材、前記環状凹凸部材に接触して、前記担体の撹拌を要する部位に振動を与える振動用部材よりなる生化学分析装置。
【請求項5】
検体を供給した後、加工操作して、複数の検査を行うための状態に配置する担体において、前記担体内に収容された撹拌を要する部位内に、前記担体の回転によって内側方向へ変形する撹拌部材よりなる生化学分析装置。
【請求項6】
検体を供給した後、加工操作して、複数の検査を行うための状態に配置する担体、前記担体を回転させるための回転体、前記担体の裏面の前記回転体と接触する部位に配置された金属部材、前記回転体と前記担体との接触面を形成する摩擦部材、前記金属部材に対し磁力的結合を非接触的に与える磁性部材を有する生化学分析装置。
【請求項7】
前記担体と、前記回転体との水平接触面が前記回転体上に設けられた摩擦部材と前記担体の底面である請求項6に記載の生化学分析装置。
【請求項8】
前記金属部材は、前記担体の底面に埋め込まれている請求項6に記載の生化学分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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