説明

生姜茎切断処理装置

【課題】生姜等の一塊の塊部から不規則に多数の茎が出ている生姜について、個々の茎を根元から切り落とすことができる生姜茎切断処理装置を提供する。
【解決手段】生姜茎切断処理装置1は、塊部Rと茎部Sとからなる生姜Wを搬送する搬送機構2と、該搬送機構2で搬送される生姜Wを画像として入力する撮像手段5と、搬送される生姜Wの茎部Sを切断する切断装置3とを備え、前記切断装置3は前記撮像手段5に入力された画像の情報に基づいて前記搬送機構2の搬送方向と交差する方向に進退移動して切断位置を変更し、個々の茎部Sの根元部を切断する構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塊部から不規則に多数の茎部が出ている生姜について、個々の茎部をその根元から切り落とすことができる生姜茎切断処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野菜切断処理装置として、特許文献1に示すものが、従来、知られている。この野菜切断処理装置は、長ネギやアスパラガス等の長物野菜を1本ずつ受け皿にセットすることにより、備えたカッターにより根元から一定寸法長さに揃えてカットすることができる。
【0003】
しかし、生姜等は、塊根状の塊部から不規則に多数の茎部が出ているので、個々の茎部を根元から切り落とした状態で塊部を出荷するためには、上記の如くの野菜切断処理装置が適用できないので、ハサミを使用して切り落とす手作業が必要となり、生姜の収穫作業において大きな負荷を強いられていた。
【特許文献1】特開昭62−241585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、塊部から不規則に多数の茎部が出ている生姜について、個々の茎部をその根元から切り落とすことができる生姜茎切断処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、塊部(R)と茎部(S)とからなる生姜(W)を搬送する搬送機構(2)と、該搬送機構(2)で搬送される生姜(W)を画像として入力する撮像手段(5)と、搬送される生姜(W)の茎部(S)を切断する切断装置(3)とを備え、前記切断装置(3)は前記撮像手段(5)に入力された画像の情報に基づいて前記搬送機構(2)の搬送方向と交差する方向に進退移動して切断位置を変更し、個々の茎部(S)の根元部を切断する構成としたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記搬送機構(2)は、塊部(R)を受ける本体搬送部(2a)と、この本体搬送部(2a)から離間して生姜(W)の茎部(S)を受ける茎搬送部(2b)とから構成し、両者の間の間隙(G)内に前記切断装置(3)を配置してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明においては、搬送機構によって連続して搬送される生姜を撮像手段で順次撮像し、撮像手段の画像データに基づき切断装置が搬送機構の搬送方向と交差する方向に進退移動し、個々の生姜の茎の根元部に応じた切断位置で切断することができる。
そのため、作業者がハサミを使用して個々の茎部を根元から切り落とす手作業が不要となり、生姜茎の切断作業に要する負荷や工数を軽減することができる。
【0008】
請求項2に係る発明においては、切断装置を本体搬送部と茎部搬送部との間に配置されることから、生姜を安定して搬送できるものでありながら、搬送機構との干渉無しに、多様な切断位置で、かつ的確に茎部を切断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
生姜茎切断処理装置1のシステム構成は、その要部平面図(a)、側面図(b)を図1に示すように、生姜Wを搬送するベルトコンベヤ等による搬送機構2と、この搬送機構2に臨んでその搬送動作により切断する丸鋸等のカッター(切断装置)3を搬送方向に対してその左右幅方向に進退移動可能な進退軸3sによって支持する切断機構4とを備えるほか、搬送機構2によって搬送された生姜Wを画像として入力するカメラ等による撮像手段5を付加して構成される。また、切断機構4には、撮像手段5により入力された画像に基づき生姜Wの茎部Sの根元位置Pを個々に特定し、この根元位置Pにカッター3を進退移動制御するカッター位置制御手段6を設ける。
【0010】
上記構成の生姜茎切断処理装置1は、搬送機構2の幅方向に茎部Sを寝かせた姿勢で生姜Wが搬送されると、撮像手段5によって生姜Wの寝姿画像が入力される。この画像データに基づきカッター位置制御手段6が、図2(a)の画像処理図に示すように、茎部Sの根元位置Pを個々に特定してその位置Pに応じて切断機構4のカッター3を進退移動制御する。このカッター3の進退移動により、図2(b)の切断処理図に示すように、生姜Wが搬送されて切断機構4を通過する際に個々の茎部Sがその根元位置Pから切り落とされる。
【0011】
したがって、上記構成の生姜茎切断処理装置1により、塊部Rから不規則に多数の茎部Sが出ている生姜Wについて、個々の茎部Sを根元位置Pで切断することができるので、ハサミを使用して個々の茎部Sを根元から切り落とす手作業が不要となり、生姜Wの収穫作業における作業負荷を軽減することができる。
【0012】
次に、生姜茎切断処理装置の別の構成例のシステム構成について、図3の要部平面図により説明する。以下において、前記同様の部材はその符号を付すことによって説明を省略する。
生姜茎切断処理装置11の搬送機構は、生姜Wの本体部Rを受ける幅の狭いベルトコンベヤ等による本体搬送部2aと、この本体搬送部2aから所定の幅寸法の間隙Gを形成して生姜Wの茎部Sを受けるための細幅の茎搬送部2bとから構成する。本体搬送部2aは、茎搬送部2bより幅広く構成し、これら本体搬送部2aと茎搬送部2bとの間で茎搬送部2bの終端部にカッター3を配置する。また、本体搬送部2aには、その外側縁に沿って搬送ガイド7を設けるとともに、同本体搬送部2aの終端位置には、カッター3で茎部Sを切り落とした生姜Wの塊部Rを収容するコンテナCを配置する。また、茎搬送部2bの搬送終端部は切断機構4の手前までとすることで、カッターで切断された茎が切断後落下し、コンテナCに入り込まないよう構成している。
【0013】
上記のとおり生姜茎切断処理装置11を構成することにより、生姜Wは、搬送ガイド7に沿って撮像手段5から切断機構4に確実に搬送され、切断後はコンテナCに収容される。コンテナCを本体搬送部2aの終端位置にセットする際は、本体搬送部2aが切断位置よりも延長して構成されていることから、カッター3との干渉を防止することができ、安全なセット作業を行うことができる。
【0014】
この場合において、図3におけるA―A線断面図を図4に示すように、茎搬送部2bに生姜Wの茎部Sを受けた際に、その外側方への突出長さLより間隙の幅寸法Gを小さく設定することにより、カッター3が間隙Gの本体搬送部2aに近接して切断したときを含め、切断後の茎部Sをその場で確実に落下排除することができる。
【0015】
また、カッター3は、本体搬送部2aと茎搬送部2bとの間に配置されることから、搬送機構2a,2bとの干渉なしに切断機構4を構成することができるので、十分な切断性能を確保することができる。したがって、カッター3を丸鋸によって構成した場合において、生姜Wの茎部Sの根元が搬送機構2a,2bに接する位置にあっても、同搬送機構2a,2bとの干渉なしに、確実に切断処理することができる。そのほか、次に述べるように多様な切断機構を構成することができる。
【0016】
別例1による切断機構4aは、要部平面図(a)およびそのA―A線断面(b)を図5に示すように、上下のスプロケット軸13a,13b間に架設した帯鋸13によるカッターを備え、これを支持軸13sにより間隙Gの幅方向に進退可能に構成したものである。上記構成の切断機構4aは、帯鋸13により優れた切断性能を確保することができる。
【0017】
また、別例2による切断機構4bは、要部平面図(a)およびその側面図(b)を図6に示すように、上下のスプロケット軸14a,14b間に架設した糸鋸14によるカッターを備え、これを支持軸14sにより間隙Gの幅方向に進退可能に構成したものである。本体搬送部2aの終端からコンテナCまでの間は、必要により、シュータ2cを設ける。
【0018】
上記構成の切断機構4bにより、糸鋸14によるカッターは、搬送機構2a,2bに臨んでその搬送方向に切断するとともに、塊茎間で容易に進退動作することができるので、個々の茎部Sの根元位置Pを迅速かつ高精度で切断処理することができる。
【0019】
本実施例では生姜の塊部と茎とを分離切断する装置について記載したが、生姜のように不規則な形状の塊部(果実)と茎又は葉とからなるその他野菜や果実類においても同様に分離切断するとき使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】生姜茎切断処理システムの要部平面図(a)及び側面図(b)である。
【図2】画像処理図(a)及び切断処理図(b)である。
【図3】別の構成例のシステム構成の要部平面図である。
【図4】図3におけるA―A線断面図である。
【図5】別例1の切断機構の要部平面図(a)とそのA―A線断面図(b)である。
【図6】別例2の切断機構の要部平面図(a)とその側面図(b)である。
【符号の説明】
【0021】
1 生姜茎切断処理装置
2 搬送機構
2a 本体搬送部(搬送機構)
2b 茎搬送部(搬送機構)
3 カッター(切断装置)
3s 進退軸
4、4a、4b 切断機構
5 撮像手段
6 カッター位置制御手段
11 生姜茎切断処理装置
13 帯鋸(切断装置)
13s 支持軸
14 糸鋸(切断装置)
14s 支持軸
R 塊部(本体部)
G 間隙(幅寸法)
P 根元位置
W 生姜
S 茎部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊部(R)と茎部(S)とからなる生姜(W)を搬送する搬送機構(2)と、該搬送機構(2)で搬送される生姜(W)を画像として入力する撮像手段(5)と、搬送される生姜(W)の茎部(S)を切断する切断装置(3)とを備え、前記切断装置(3)は前記撮像手段(5)に入力された画像の情報に基づいて前記搬送機構(2)の搬送方向と交差する方向に進退移動して切断位置を変更し、個々の茎部(S)の根元部を切断する構成としたことを特徴とする生姜茎切断処理装置。
【請求項2】
前記搬送機構(2)は、塊部(R)を受ける本体搬送部(2a)と、この本体搬送部(2a)から離間して生姜(W)の茎部(S)を受ける茎搬送部(2b)とから構成し、両者の間の間隙(G)内に前記切断装置(3)を配置してなることを特徴とする請求項1記載の生姜茎切断処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−296330(P2006−296330A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124806(P2005−124806)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】