生活行動記憶装置
【課題】利用者の種類毎に必要な観測対象者の生活行動を提示できる生活行動記憶装置を提供することを目的とする。
【解決手段】生活行動記憶装置1は、観測対象者の観測情報を観測する観測部10と、前記観測情報を記憶する1次記憶部20と、利用者の種類毎に必要な生活行動データを前記観測情報から求めるための観測知識を記憶する知識記憶部30と、前記観測知識に基づいて、前記1次記憶部20に記憶された前記観測情報から前記利用者の種類毎に必要な生活行動データをそれぞれ抽出する抽出部40と、前記生活行動データを記憶する2次記憶部50と、前記利用者の種類に応じて、前記2次記憶部50に記憶した前記生活行動データを提示する提示部60とを具備する。
【解決手段】生活行動記憶装置1は、観測対象者の観測情報を観測する観測部10と、前記観測情報を記憶する1次記憶部20と、利用者の種類毎に必要な生活行動データを前記観測情報から求めるための観測知識を記憶する知識記憶部30と、前記観測知識に基づいて、前記1次記憶部20に記憶された前記観測情報から前記利用者の種類毎に必要な生活行動データをそれぞれ抽出する抽出部40と、前記生活行動データを記憶する2次記憶部50と、前記利用者の種類に応じて、前記2次記憶部50に記憶した前記生活行動データを提示する提示部60とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、利用者毎に記憶した生活行動を変換して提示する生活行動記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者などの観測対象者を、見守りモニタリング装置を用いて監視する場合、見守りモニタリング装置を用いる利用者の種類毎に知りたい観測対象者の生活行動は異なっている。例えば、セキュリティ担当者は観測対象者の心停止、転倒、不審者の侵入などの緊急に対応が必要な異常状態を知る必要があり、医師は患者(観測対象者)の生体情報が通常範囲から外れている異常値を知る必要があり、デイケアマネジャは高齢者(観測対象者)の通常の行動とは異なる行動を知る必要があり、また、遠方の家族は高齢となった身内(観測対象者)の日々の生活での様子を知る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−296855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、病態や予防医学に応じて随時適切な観測対象者の生活行動を記憶したい場合、医師などの用語や分野によってその生活行動が微妙に異なってくる。ところが、従来の見守りモニタリング装置における監視対象は、どれか一つの生活行動に限られ、利用者の種別が異なる観測対象者の生活行動を同時に監視することは困難であるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明では、利用者の種類毎に必要な観測対象者の生活行動を提示できる生活行動記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、観測対象者の観測情報を観測する観測部と、前記観測情報を記憶する1次記憶部と、利用者の種類毎に必要な生活行動データを前記観測情報から求めるための観測知識を記憶する知識記憶部と、前記観測知識に基づいて、前記1次記憶部に記憶された前記観測情報から前記利用者の種類毎に必要な生活行動データをそれぞれ抽出する抽出部と、前記生活行動データを記憶する2次記憶部と、前記利用者の種類に応じて、前記2次記憶部に記憶した前記生活行動データを提示する提示部と、を具備したことを特徴とする生活行動記憶装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1の生活行動記憶装置のブロック図。
【図2】観測部のブロック図。
【図3】規則記憶部に記憶されている変換規則の一例。
【図4】2次記憶部に記憶されている1週間分の観測対象者の生活行動データ。
【図5】生活行動データを抽出するまでのフローチャート。
【図6】提示内容を提示するまでのフローチャート。
【図7】提示内容の一例。
【図8】新しい変換規則が追加された場合の変換規則の一例。
【図9】変換規則が追加された場合の2次記憶部の生活行動データ。
【図10】実施例2の生活行動記憶装置のブロック図。
【図11】実施例2に対応する変換規則の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例の生活行動記憶装置1について図面に基づいて説明する。
【0009】
まず、本明細書において使用する用語について説明する。
【0010】
「メタボリックシンドローム」とは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいい、非特許文献1(Compendium of physical activities: an update of activity codes and METs (Metabolic equivalents ) intensities METs are defined by ACSM(American College of Sports Medicine),Ainsworth BE,et.al.,Sci Sports Exerc.20000,32(9 Suppl):S498-504)に記載されたメッツに基づく分類がなされている。
【0011】
「メッツ」とは、安静時の運動量を1メッツとする単位系を意味する。
【0012】
「ICF」とは、非特許文献2(International Classification of Functioning,Disability and Health by WHO)における生活機能障害を記述するための分類を意味する。
【0013】
「ADL」とは、非特許文献3(Mahoney FI 、Barthel D.,Functional evaluation:The Barthel Index, Maryland State Medical Journal ,14,56-61,1965)に記載された物理的な介護必要性のための分類(ADL:activities of daily livingのBarthel指標)を意味する。
【0014】
「IADL」とは、非特許文献4(Lawton,M.P and Brody,E.M.,Assessment of older people : Self-Maintaining and instrumental activities of daily living,Gerontologist,-9,179-186,1969.)に記載された認知症などの精神的な介護必要性のための分類(IADL:instrumental activities of daily living)を意味する。
【0015】
「観測対象者」とは、本実施例の生活行動記憶装置1によって生活行動が観察される人物を意味し、例えば、高齢者、患者、メタボリックシンドロームの解消の指導を受けている人物などである。
【0016】
「利用者」とは、本実施例の生活行動記憶装置1によって観測対象者を観察、監視、見守る人物を意味し、例えば、医師、介護ケアプランナ、遠方の家族などである。
【0017】
「識別行動」とは、観測対象者の歩行、生活リズムなどの行動を意味する。
【0018】
「生活行動データ」とは、識別行動をさらに細分化したものであり、例えば、観測対象者の歩行に関しては、歩行の開始又は停止、歩数、歩行距離を意味し、生活リズムに関しては食事の回数、睡眠時間、洗面の有無を意味する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1の生活行動記憶装置1について図1〜図9に基づいて説明する。
【0020】
本実施例の生活行動記憶装置1の構成について図1のブロック図に基づいて説明する。
【0021】
生活行動記憶装置1は、観測部10、1次記憶部20、知識記憶部30、抽出部40、2次記憶部50、提示部60、変換部70、規則記憶部80、制御部90とを具備する。
【0022】
観測部10は、観測対象者の生活行動に関する観測情報を観測するための種々のセンサを有している。すなわち、観測部10は、図2に示すように、加速度センサにより観測対象者の身体の動きを取得する動き情報入力部11、マイクにより観測対象者が発する音声や周囲環境の音を取得する音情報入力部12、カメラから観測対象者や周囲環境の画像を取得する画僧情報入力部13を有し、観測対象者の観測情報(加速度、音、画像など)を取得する。加速度センサは、観測対象者が身につける。また、マイクは、観測対象者が生活する部屋である寝室、リビング、キッチン、洗面所などにそれぞれ取り付けられ、観測対象者が発生する音を検出し、カメラも、同様に寝室、リビング、キッチン、洗面所などにそれぞれ取り付けられ、観測対象者自身や観測対象者の食事を撮影する。観測部10が観測した観測情報は、1次記憶部20に記憶される。
【0023】
知識記憶部30は、医師、介護ケアプランナなどの利用者の種類毎に、観測対象者から入手する必要がある生活行動データや、この生活行動データの計測間隔などが記述された観測知識を記憶している。この観測知識は、ADL、IADL、ICFなどの利用者毎に必要な識別行動(例えば、歩行や生活リズムなど)毎に記憶されている。
【0024】
抽出部40は、知識記憶部30に記憶された観測知識に基づいて、1次記憶部20に記憶された観測対象者の観測情報から、利用者の種類毎に必要な生活行動データを抽出する。すなわち、抽出部40は、1次記憶部20に記憶された観測情報に基づいて、観測対象者の静止状態、歩行状態(歩行あるいは走行)などの動作状態、歩行数、歩行数と歩幅から求めた歩いた距離などの生活行動データを抽出する。抽出した生活行動データは、観測対象者の生活行動データとして2次記憶部50に記憶される。
【0025】
規則記憶部80は、利用者の種類毎に生活行動データを、行動表現用語や提示形式に変換するための変換規則を記憶している。この規則記憶部80について、図3に基づいて説明する。図3の表は、規則記憶部80に記憶されている変換規則の一例である。
【0026】
図3の表の列方向に並ぶ各項目は、知識記憶部30に記憶した識別行動毎に分かれている。行方向は、利用者種別に分かれている。
【0027】
列方向の各識別行動は、例えば、ADL、IADL、ICFなど利用者毎に必要な項目(歩行や生活リズムなど)が記憶されている。
【0028】
行方向の利用者種別として、ADL、IADL、ICF、メタボリックシンドロームなどの利用者の種別が記憶されている。ADL、IADL、ICFの利用者は、介護の担当医、介護ケアプランナであり、また、ICFの利用者は通常のホームドクターであり、メタボリックシンドロームの利用者は生活病管理センターなどの専門家である。この変換規則には、自治体毎、又は、デイケアサービスセンターなどでケアに関して独自の評価基準がある場合に、その評価基準が記述されることが想定されている。
【0029】
ADLでは、観測対象者が認知症かどうかを判断する指標であるため、歩行に関しては、観測対象者が45m以上の歩行が可能かどうかを一つの認知症の判断基準としている。そこで、規則記憶部80の項目「値」には「45」、項目「単位」には「m」、項目「大小」には「≧」、項目「計測方法」には「サイクル」、項目「計測期間」には「1週間」、項目「提示内容」には「歩行困難ではない」が記憶されている。そして、観測対象者が、1週間の計測期間の間に、1回の連続歩行(1サイクル)が45m以上になったかどうかを観測部10が観測し、45m以上が達成されれば「歩行困難ではない」という提示を、提示部60がADLの利用者(例えば、介護の担当医)に提示する。
【0030】
ICFでは、同じ歩行であっても、身体機能の欠損の有無に関する記述であるため、短距離歩行(ICFのコードがd4500)かどうかは、1000mの歩行が可能かどうかが基準になっている。そのため、各項目はADLとは異なる値である。すなわち、「値」は、利用者毎に設定された閾値であり、45のときはADLの利用者、1000のときはICFの利用者にとって意味のある提示内容を行えることとなるので、この閾値を変えることにより、利用者毎に必要な提示内容が得られる。
【0031】
メタボリックシンドロームでは、同じ歩行であっても、1サイクルの歩行ではなく、1日の合計の歩数が1万歩になるかどうかが一つの基準となっている。そのため、規則記憶部80の項目「値」には「10,000」、項目「単位」には「歩」、項目「計測方法」には「積算」、項目「計測期間」には「1日」が記憶され、提示内容には「目標達成」「目標未達成」が記憶されている。
【0032】
なお、IADLにおいて、各項目が「NA(非適応)」となっているのは、IADLには、歩行や生活リズムの食事には、該当する識別行動項目がないためである。
【0033】
変換部70は、規則記憶部80に記憶された変換規則に基づき2次記憶部50に記憶された生活行動データを提示内容に変換する。
【0034】
提示部60は、各利用者に対応した生活行動データと提示内容を提示する。
【0035】
制御部90は、変換規則で必要な生活行動データを抽出するために観測部10と観測記憶部30を制御したり、新たな変換規則を追加したりする。
【0036】
生活行動記憶装置1が、観測対象者の生活行動データ(歩行に関する情報、動作に関する情報、生活音など)を検出する方法について説明する。
【0037】
第1の歩行検出方法について説明する。
【0038】
制御部90の制御に基づいて、観測部10における動き情報入力部11の加速度センサが、観測対象者の静止、又は、動きに合わせてXYZの3軸加速度の生波形を検出する。
【0039】
観測部10は、検出したXYZの3軸加速度の生波形を微分(前後の加速度の差分)し、微分加速度を求める。1次記憶部20は、3軸加速度の生波形、又は、微分加速度を観測情報として記憶する。
【0040】
抽出部40は、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて、1次記憶部20に記憶した少なくとも1軸以上の微分加速度に閾値を設定し、所定時間内にその閾値を超える加速度変化の発生の有無で、観測対象者の静止状態、又は、動作状態かを識別する。生波形には重力加速度(例えば、Z軸方向に顕著に現れる)が観測されるが、微分波形を求めることで差分だけを簡単に取り出すことができる。これにより、抽出部40は、第1の閾値を超える加速度の変化が発生すれば、観測対象者の歩行の開始、第1の閾値を超える加速度の変化がなくなれば観測対象者の歩行の終了を検出できる。さらに、第1の閾値より大きい第2の閾値を超えれば、抽出部40は、観測対象者が走行状態と検出できる。
【0041】
この場合に、抽出部40は、第1の歩行検出方法を用いるために、知識記憶部30から第1の歩行検出方法に対応する観測知識を呼び出す。この第1の歩行検出方法において、知識記憶部30が記憶している観測知識とは、識別行動が「歩行」に関するものであり、1次記憶部20に記憶した少なくとも1軸以上の微分加速度に閾値を設定し、所定時間内にその閾値を超える加速度変化の発生の有無を検出するアプリケーションである。
【0042】
次に、第2の歩行検出方法について説明する。
【0043】
制御部90の制御に基づいて、観測部10における動き情報入力部11の加速度センサが、観測対象者の静止、又は、動きに合わせてXYZの3軸加速度の生波形を検出する。
【0044】
観測部10は、検出したXYZの3軸加速度の生波形を微分(前後の加速度の差分)し、微分加速度を求める。1次記憶部20は、3軸加速度の生波形、又は、微分加速度を観測情報として記憶する。
【0045】
抽出部40は、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて、1次記憶部20が記憶したXYZの3軸加速度の生波形から次の式(1)を用いて加速度スカラー量Aを求める。
【0046】
A=√{(Xn−Xn−1)2+(Yn−Yn−1)2+(Zn−Zn−1)2} ・・・(1)
ここで、X、Y、Zは、それぞれX軸、Y軸、Z軸の加速度を表す。すなわち、加速度スカラー量Aは、前サンプリング(n−1)と現サンプリングnの間に発生した各軸の加速度の合計スカラー量を示す。
【0047】
抽出部40は、この加速度スカラー量Aに対し、所定時間内にその閾値を超える加速度変化の発生の有無で、観測対象者の静止状態、又は、歩行状態かを識別する。これにより、抽出部40は、第1の閾値を超える加速度の変化が発生すれば観測対象者の歩行の開始、第1の閾値を超える加速度の変化がなくなれば観測対象者の歩行の終了を検出できる。さらに、第1の閾値より大きい第2の閾値を超えれば、抽出部40は、観測対象者が走行状態と検出できる。
【0048】
この場合に、抽出部40は、第2の歩行検出方法を用いるために、知識記憶部30から第2の歩行検出方法に対応する前記観測知識を呼び出す。この第2の歩行検出方法において、知識記憶部30が記憶している観測知識とは、識別行動が「歩行」に関するものであり、加速度スカラー量Aを計算し、この加速度スカラー量Aに対し、所定時間内にその閾値を超える加速度変化の発生の有無を検出するアプリケーションである。
【0049】
次に、観測対象者の動作認識方法について説明する。
【0050】
制御部90の制御に基づいて、観測部10における動き情報入力部11の加速度センサが、観測対象者の静止、又は、動きに合わせてXYZの3軸加速度の生波形XYZの3軸加速度の生波形を検出する。
【0051】
観測部10は、検出したXYZの3軸加速度の生波形を微分(前後の加速度の差分)し、微分加速度を求める。1次記憶部20は、3軸加速度の生波形、又は、微分加速度を観測情報として記憶する。
【0052】
抽出部40は、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて、1次記憶部20が記憶したXYZの3軸加速度の生波形から、観測対象者の動作状態(歩行、走行、乗り物、静止など)を推定し、その上で静止状態を検出する。
【0053】
動作認識方法としては、非特許文献5(K. Ouchi, et al.”LifeMinder:A wearable healthcare support system with timely instruction based on the user’s context,”IEICE Transactions on Information and Systems,Vol.E87-D,No.6,pp.1361-1369,2004.)、非特許文献6(T.Iso,et al.,Gait Analyzer based on a Cell Phone with a Single Threeaxis Accelerometer,Proceedings of MobileHCI'06, pp.141-144,2006.)、非特許文献7(池谷他、3軸加速度センサを用いた移動状況推定方式、情報処理学会研究報告2008-UBI-19(14)、pp.78-80,2008.)などを用いる。なお、もちろんこれらに方法には限らない。
【0054】
これにより、抽出部40は、観測対象者の動作状態を認識できる。
【0055】
この場合に、抽出部40は、動作認識方法を用いるために、知識記憶部30から動作認識方法に対応する前記観測知識を呼び出す。この動作認識方法において、知識記憶部30が記憶している観測知識とは、識別行動が例えば「歩行」に関するものであり、前記各非特許文献5〜7に記載された方法を表したアプリケーションである。
【0056】
観測対象者の生活音の検出方法について説明する。
【0057】
生活音検出方法は、観測部10の音情報入力部12が入力した音情報を、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて音響シーンクラスタリングするものである。なお、「生活音」とは、観測対象者の日常の生活によって発生する音であり、例えば、食事の音、洗面による音、掃除機をかける音、調理による音などである。
【0058】
まず、制御部90の制御に基づいて、観測部10における音情報入力部12のマイクが、観測対象者の音情報を入力する。
【0059】
次に、観測部10は、この音情報に関して、22kHzで音の波形をサンプリングする。
【0060】
次に、観測部10は、サンプリングした音の波形から音響認識に必要な特徴量を抽出する。1次記憶部20は、生の音の波形、抽出された特徴量、又は、生の波形を圧縮して、観測情報として記憶する。
【0061】
次に、抽出部40は、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて、音源辞書とマッチングさせるために、1次記憶部20に記憶した特徴量を1秒単位に分割する。音源辞書は、生活音毎に生成されている。
【0062】
次に、抽出部40は、特徴量の分割単位毎に音源辞書とマッチングを行い、尤度が高いものを選定する。
【0063】
次に、抽出部40は、音源辞書と同一のものが並んでいる部分の始端と終端を検出する。
【0064】
次に、観測部10は、検出部分の始終端で切り取り、切り取った部分が取得したい生活音が発生したシーンとなる。
【0065】
この場合に、抽出部40は、生活音検出方法を用いるために、知識記憶部30から生活音検出方法に対応する前記観測知識を呼び出してくる。この生活音検出方法において、知識記憶部30が記憶している観測知識とは、識別行動が例えば「生活リズムの食事」に関するものであり、食事時の音情報を記憶した音源辞書に基づいて音響シーンクラスタリングするアプリケーションである。
【0066】
上記で説明した生活行動データの抽出方法について、図5のフローチャートに基づいて改めて説明する。
【0067】
ステップS100において、観測部10は、動き情報入力部11の加速度センサを用いて観測対象者の加速度を計測し、ステップS101に進む。なお、加速度センサは、リアルタイムに観測対象者の加速度を計測し続けるとものとする。
【0068】
ステップS101では、抽出部40が、前記加速度に基づいて、観測対象者が歩行あるいは走行(以下、単にまとめて「歩行」と呼ぶ)を開始したと判断すればステップS102に進み(Yesの場合)、歩行の開始を検出できなければステップS110に進む(Noの場合)。
【0069】
ステップS102において、抽出部40が観測対象者の歩数及び歩行距離を計測し、ステップS103に進む。
【0070】
ステップS103において、抽出部40が、計測を続けている現在の加速度に基づいて、観測対象者が歩行を終了したか否かを判断し、終了していればステップS104に進み(Yesの場合)、終了していなければステップS102に戻る(Noの場合)。
【0071】
ステップS104において、抽出部40は、2次記憶部50に歩行の開始時刻、終了時刻、歩数、歩行距離を記憶する。そして、ステップS101に戻る。
【0072】
ステップS111において、歩行の開始を検出できないので、観測部10は、音情報入力部12のマイクを用いて、音情報を入力し、抽出部40は、上記したように音響シーンクラスタリングを行い、観測対象者が、現在どのような生活音を出しているかを検出する。検出が終わればステップS111に進む。
【0073】
ステップS111において、観測部10は、観測対象者が静止状態から歩行を開始したか否かを加速度センサを用いて計測し、歩行を開始していれば、上記生活音を出している観測対象者の動作(例えば、洗面、食事、身繕いなど)が終了したとしてステップS112に進み(Yesの場合)、引続き停止状態であれば観測対象者の動作が終了してないとしてステップS110に戻る(Noの場合)。
【0074】
ステップS111において、観測対象者が歩行を開始したため、抽出部40は、2次記憶部50に音響シーンクラスタリングによって求められた生活音に対応した識別行動(例えば、洗面、食事、身繕いなど)を記憶し、ステップS102に戻る。
【0075】
以上により、生活行動記憶装置1は、観測対象者が、歩行を開始した場合の歩数、歩行距離、識別行動を、開始時刻と終了時刻と合わせて生活行動データを検出し、記憶ができる。
【0076】
上記したように、生活行動記憶装置1が検出した観測対象者の生活行動データを、変換部70が、規則記憶部80に記憶されている変換規則を用いてどのように利用者に提示するかを図4に基づいて説明する。図4は、2次記憶部50に時刻単位に記憶されている2月20日~2月26日までの1週間分の観測対象者の生活行動データであって、1日の最後にその日の合計のデータが記憶されている。
【0077】
ADLに関しては、変換部70は、図3におけるADLの変換規則に基づいて、図4の1週間分の生活行動データから、観測対象者に45m以上の歩行があったかどうかを解析する。2月25日に1サイクルで観測対象者が600m歩行しており、1サイクルで45mを越えている。したがって、変換部70は、図3におけるADLの変換規則の提示内容「歩行は困難ではない」という項目を呼出し、提示部60は、ADLの利用者(例えば、介護の担当医)に対して、図7に示すように、歩行距離600mと「歩行困難ではない」を提示する。逆に、1週間の間に一度も観測対象者に45mを越える歩行がなければ、この「歩行困難ではない」という提示がされないので、ADLの利用者は、観測対象者が歩行困難と判断できる。
【0078】
上記で説明したADLの提示に関して、図6のフローチャートに基づいて更に説明する。
【0079】
ステップS200において、生活行動記憶部1は、ADLに関する判定を開始し、ステップS201に進む。
【0080】
ステップS201において、変換部70は、観測対象者が、1サイクルで45m以上の歩行距離が有ったか否かを検出し、有ればステップS202に進み(Yesの場合)、無ければステップS201に進む(Noの場合)。
【0081】
ステップS202において、1サイクルで45m以上の歩行距離が有ったため、提示部60は、観測対象者が歩行が困難でないと提示する。そしてステップS203に進む。
【0082】
ステップS210において、1サイクルの歩行距離が45m未満であるため、観測対象者が歩行困難であると提示部60が提示し、ステップS203に進む。
【0083】
ステップS203において、観測対象者が1日の食事を3回取っているか否かを検出し、3回以上であればステップS204に進み(Yesの場合)、3回未満の場合にはステップS2011に進む(Noの場合)。
【0084】
ステップS211において、観測対象者の食事回数が3回でない日の日付と食事回数とを提示部60が提示し、ステップS204に進む。
【0085】
ステップS204において、変換部70は、他のADLの判定へ移行する。
【0086】
以上により、ADLに関する判定を行い、ADLの利用者に確実に観測対象者の生活行動を提示できる。
【0087】
メタボリックシンドロームに関しては、変換部70は、図3におけるメタボリックシンドロームの変換規則に基づいて、図4の1週間分の生活行動データから、1日に1万歩を越えるかどうかを解析する。2月20日における観測対象者の合計歩数が5312歩なので、図3のメタボリックシンドロームの変換規則の中の1万歩未満に一致する。したがって、変換部70は、図3におけるメタボリックシンドロームの変換規則の提示内容「目標未達成」という項目を呼出し、提示部60が5312歩と「目標未達成」を提示する。これに対し、2月25日は1万歩を越えているので、1004歩と「目標達成」と提示する。
【0088】
このように、本実施例の生活行動記憶装置1は、観測対象者の生活行動データに関して、異なる利用者毎にそれぞれ必要な生活行動データと提示内容を提示できる。
【0089】
図3に示す規則記憶部80に記憶されている変換規則に対し、新たに変換規則が追加される場合について、図8と図9に基づいて説明する。
【0090】
図8は図3の変換規則に対し、見守りの利用者に関する変換規則が追加されている。「見守りの利用者」とは、本明細書では、遠隔に暮らす家族などが想定されている。追加された変換規則は、項目「提示内容」に観測対象者の食事写真と、その観測対象者自身の食事風景の写真を撮影することであり、この追加は、例えば、見守りの利用者自身が、制御部90を用いて行う。
【0091】
規則記憶部80に新たな変換規則が追加されたことにより、制御部90は、観測部10の画像取得部13のカメラを用いて、観測対象者の食事時の写真を撮影するアプリケーションを観測知識部30に追加する。
【0092】
この結果、抽出部40が、2次記憶部50に記憶する生活行動データの内容は、図4から図9のように変更される。すなわち、観測対象者の食事を検出したときに、食事写真の撮影だけでなく、観測対象者自身の写真撮影も行う。そして、提示部60は、見守りの利用者に対して、食事写真に加えて、その観測対象者の撮影写真を提示する。これにより、見守りの利用者は、この提示によって観測対象者が元気か否かを知ることができる。
【0093】
このように本実施例の生活行動記憶装置1は、規則記憶部80に変換規則を追加することで、新たな利用者が増えたときにも対応できる。
【実施例2】
【0094】
次に、本発明の実施例2の生活行動記憶装置1について図10と図11に基づいて説明する。
【0095】
図10は、本実施例の生活行動記憶装置1のブロック図である。本実施例の生活行動記憶装置1と実施例1の生活行動記憶装置1の異なる点は、通信部70が追加され、さらに複数の提示部61,62,63を有している点にある。
【0096】
実施例1では、利用者毎に変換規則と表示内容が異なっていたが、本実施例では、制御部90が各利用者に各提示部61,62,63から連絡するかどうかをリアルタイムに制御できる。
【0097】
図8は、本実施例に対応する変換規則の例を示している。
【0098】
識別行動項目として「転倒」、利用者の種別として転倒の利用者が追加されている。転倒の利用者は、この場合、ホームセキュリティセンターの監視員などを想定している。
【0099】
制御部90は、観測部10と知識記憶部30に対し、観測対象者の転倒を生活行動データとして検出するように制御する。この検出方法としては、例えば、加速度センサの値と、カメラで撮影した観測対象者の画像から検出する。
【0100】
観測対象者の転倒を生活行動データとして検出したときに、見守りの利用者は、転倒後の観測対象者の反応の有無にかかわらず、リアルタイムに転倒したことを連絡する。すなわち、観測対象者の転倒を検出すると、制御部90は、通信部70を介して、見守りの利用者の提示部61に観測対象者が転倒したことの連絡を送信する。
【0101】
これに対し、転倒の利用者では、観測対象者の転倒を検出したときに、観測対象者の意識があるかどうかの確認を、提示部62を介して観測対象者に対して問い合わせる。そして、転倒した観測対象者から応答がなければ、リアルタイムに転倒の利用者の提示部63にその旨を連絡する。連絡を受け取った転倒の利用者は、救急車の手配などを行う。一方、観測対象者から応答があり、観測対象者が動けることが確認できれば、転倒の回数を2次記憶部50に記憶し、提示部61は転倒の利用者にその回数を提示する。
【0102】
本実施例によれば、利用者毎の提示部にそれぞれ必要な生活行動データと提示内容を提示することにより、より細かく観測対象者の生活行動を取得できる。
【変更例】
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1・・・生活行動記憶装置、10・・・観測部、20・・・1次記憶部、30・・・知識記憶部、40・・・抽出部、50・・・2次記憶部、60・・・提示部、70・・・変換部、80・・・規則記憶部、90・・・制御部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、利用者毎に記憶した生活行動を変換して提示する生活行動記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者などの観測対象者を、見守りモニタリング装置を用いて監視する場合、見守りモニタリング装置を用いる利用者の種類毎に知りたい観測対象者の生活行動は異なっている。例えば、セキュリティ担当者は観測対象者の心停止、転倒、不審者の侵入などの緊急に対応が必要な異常状態を知る必要があり、医師は患者(観測対象者)の生体情報が通常範囲から外れている異常値を知る必要があり、デイケアマネジャは高齢者(観測対象者)の通常の行動とは異なる行動を知る必要があり、また、遠方の家族は高齢となった身内(観測対象者)の日々の生活での様子を知る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−296855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、病態や予防医学に応じて随時適切な観測対象者の生活行動を記憶したい場合、医師などの用語や分野によってその生活行動が微妙に異なってくる。ところが、従来の見守りモニタリング装置における監視対象は、どれか一つの生活行動に限られ、利用者の種別が異なる観測対象者の生活行動を同時に監視することは困難であるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明では、利用者の種類毎に必要な観測対象者の生活行動を提示できる生活行動記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、観測対象者の観測情報を観測する観測部と、前記観測情報を記憶する1次記憶部と、利用者の種類毎に必要な生活行動データを前記観測情報から求めるための観測知識を記憶する知識記憶部と、前記観測知識に基づいて、前記1次記憶部に記憶された前記観測情報から前記利用者の種類毎に必要な生活行動データをそれぞれ抽出する抽出部と、前記生活行動データを記憶する2次記憶部と、前記利用者の種類に応じて、前記2次記憶部に記憶した前記生活行動データを提示する提示部と、を具備したことを特徴とする生活行動記憶装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1の生活行動記憶装置のブロック図。
【図2】観測部のブロック図。
【図3】規則記憶部に記憶されている変換規則の一例。
【図4】2次記憶部に記憶されている1週間分の観測対象者の生活行動データ。
【図5】生活行動データを抽出するまでのフローチャート。
【図6】提示内容を提示するまでのフローチャート。
【図7】提示内容の一例。
【図8】新しい変換規則が追加された場合の変換規則の一例。
【図9】変換規則が追加された場合の2次記憶部の生活行動データ。
【図10】実施例2の生活行動記憶装置のブロック図。
【図11】実施例2に対応する変換規則の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例の生活行動記憶装置1について図面に基づいて説明する。
【0009】
まず、本明細書において使用する用語について説明する。
【0010】
「メタボリックシンドローム」とは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいい、非特許文献1(Compendium of physical activities: an update of activity codes and METs (Metabolic equivalents ) intensities METs are defined by ACSM(American College of Sports Medicine),Ainsworth BE,et.al.,Sci Sports Exerc.20000,32(9 Suppl):S498-504)に記載されたメッツに基づく分類がなされている。
【0011】
「メッツ」とは、安静時の運動量を1メッツとする単位系を意味する。
【0012】
「ICF」とは、非特許文献2(International Classification of Functioning,Disability and Health by WHO)における生活機能障害を記述するための分類を意味する。
【0013】
「ADL」とは、非特許文献3(Mahoney FI 、Barthel D.,Functional evaluation:The Barthel Index, Maryland State Medical Journal ,14,56-61,1965)に記載された物理的な介護必要性のための分類(ADL:activities of daily livingのBarthel指標)を意味する。
【0014】
「IADL」とは、非特許文献4(Lawton,M.P and Brody,E.M.,Assessment of older people : Self-Maintaining and instrumental activities of daily living,Gerontologist,-9,179-186,1969.)に記載された認知症などの精神的な介護必要性のための分類(IADL:instrumental activities of daily living)を意味する。
【0015】
「観測対象者」とは、本実施例の生活行動記憶装置1によって生活行動が観察される人物を意味し、例えば、高齢者、患者、メタボリックシンドロームの解消の指導を受けている人物などである。
【0016】
「利用者」とは、本実施例の生活行動記憶装置1によって観測対象者を観察、監視、見守る人物を意味し、例えば、医師、介護ケアプランナ、遠方の家族などである。
【0017】
「識別行動」とは、観測対象者の歩行、生活リズムなどの行動を意味する。
【0018】
「生活行動データ」とは、識別行動をさらに細分化したものであり、例えば、観測対象者の歩行に関しては、歩行の開始又は停止、歩数、歩行距離を意味し、生活リズムに関しては食事の回数、睡眠時間、洗面の有無を意味する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1の生活行動記憶装置1について図1〜図9に基づいて説明する。
【0020】
本実施例の生活行動記憶装置1の構成について図1のブロック図に基づいて説明する。
【0021】
生活行動記憶装置1は、観測部10、1次記憶部20、知識記憶部30、抽出部40、2次記憶部50、提示部60、変換部70、規則記憶部80、制御部90とを具備する。
【0022】
観測部10は、観測対象者の生活行動に関する観測情報を観測するための種々のセンサを有している。すなわち、観測部10は、図2に示すように、加速度センサにより観測対象者の身体の動きを取得する動き情報入力部11、マイクにより観測対象者が発する音声や周囲環境の音を取得する音情報入力部12、カメラから観測対象者や周囲環境の画像を取得する画僧情報入力部13を有し、観測対象者の観測情報(加速度、音、画像など)を取得する。加速度センサは、観測対象者が身につける。また、マイクは、観測対象者が生活する部屋である寝室、リビング、キッチン、洗面所などにそれぞれ取り付けられ、観測対象者が発生する音を検出し、カメラも、同様に寝室、リビング、キッチン、洗面所などにそれぞれ取り付けられ、観測対象者自身や観測対象者の食事を撮影する。観測部10が観測した観測情報は、1次記憶部20に記憶される。
【0023】
知識記憶部30は、医師、介護ケアプランナなどの利用者の種類毎に、観測対象者から入手する必要がある生活行動データや、この生活行動データの計測間隔などが記述された観測知識を記憶している。この観測知識は、ADL、IADL、ICFなどの利用者毎に必要な識別行動(例えば、歩行や生活リズムなど)毎に記憶されている。
【0024】
抽出部40は、知識記憶部30に記憶された観測知識に基づいて、1次記憶部20に記憶された観測対象者の観測情報から、利用者の種類毎に必要な生活行動データを抽出する。すなわち、抽出部40は、1次記憶部20に記憶された観測情報に基づいて、観測対象者の静止状態、歩行状態(歩行あるいは走行)などの動作状態、歩行数、歩行数と歩幅から求めた歩いた距離などの生活行動データを抽出する。抽出した生活行動データは、観測対象者の生活行動データとして2次記憶部50に記憶される。
【0025】
規則記憶部80は、利用者の種類毎に生活行動データを、行動表現用語や提示形式に変換するための変換規則を記憶している。この規則記憶部80について、図3に基づいて説明する。図3の表は、規則記憶部80に記憶されている変換規則の一例である。
【0026】
図3の表の列方向に並ぶ各項目は、知識記憶部30に記憶した識別行動毎に分かれている。行方向は、利用者種別に分かれている。
【0027】
列方向の各識別行動は、例えば、ADL、IADL、ICFなど利用者毎に必要な項目(歩行や生活リズムなど)が記憶されている。
【0028】
行方向の利用者種別として、ADL、IADL、ICF、メタボリックシンドロームなどの利用者の種別が記憶されている。ADL、IADL、ICFの利用者は、介護の担当医、介護ケアプランナであり、また、ICFの利用者は通常のホームドクターであり、メタボリックシンドロームの利用者は生活病管理センターなどの専門家である。この変換規則には、自治体毎、又は、デイケアサービスセンターなどでケアに関して独自の評価基準がある場合に、その評価基準が記述されることが想定されている。
【0029】
ADLでは、観測対象者が認知症かどうかを判断する指標であるため、歩行に関しては、観測対象者が45m以上の歩行が可能かどうかを一つの認知症の判断基準としている。そこで、規則記憶部80の項目「値」には「45」、項目「単位」には「m」、項目「大小」には「≧」、項目「計測方法」には「サイクル」、項目「計測期間」には「1週間」、項目「提示内容」には「歩行困難ではない」が記憶されている。そして、観測対象者が、1週間の計測期間の間に、1回の連続歩行(1サイクル)が45m以上になったかどうかを観測部10が観測し、45m以上が達成されれば「歩行困難ではない」という提示を、提示部60がADLの利用者(例えば、介護の担当医)に提示する。
【0030】
ICFでは、同じ歩行であっても、身体機能の欠損の有無に関する記述であるため、短距離歩行(ICFのコードがd4500)かどうかは、1000mの歩行が可能かどうかが基準になっている。そのため、各項目はADLとは異なる値である。すなわち、「値」は、利用者毎に設定された閾値であり、45のときはADLの利用者、1000のときはICFの利用者にとって意味のある提示内容を行えることとなるので、この閾値を変えることにより、利用者毎に必要な提示内容が得られる。
【0031】
メタボリックシンドロームでは、同じ歩行であっても、1サイクルの歩行ではなく、1日の合計の歩数が1万歩になるかどうかが一つの基準となっている。そのため、規則記憶部80の項目「値」には「10,000」、項目「単位」には「歩」、項目「計測方法」には「積算」、項目「計測期間」には「1日」が記憶され、提示内容には「目標達成」「目標未達成」が記憶されている。
【0032】
なお、IADLにおいて、各項目が「NA(非適応)」となっているのは、IADLには、歩行や生活リズムの食事には、該当する識別行動項目がないためである。
【0033】
変換部70は、規則記憶部80に記憶された変換規則に基づき2次記憶部50に記憶された生活行動データを提示内容に変換する。
【0034】
提示部60は、各利用者に対応した生活行動データと提示内容を提示する。
【0035】
制御部90は、変換規則で必要な生活行動データを抽出するために観測部10と観測記憶部30を制御したり、新たな変換規則を追加したりする。
【0036】
生活行動記憶装置1が、観測対象者の生活行動データ(歩行に関する情報、動作に関する情報、生活音など)を検出する方法について説明する。
【0037】
第1の歩行検出方法について説明する。
【0038】
制御部90の制御に基づいて、観測部10における動き情報入力部11の加速度センサが、観測対象者の静止、又は、動きに合わせてXYZの3軸加速度の生波形を検出する。
【0039】
観測部10は、検出したXYZの3軸加速度の生波形を微分(前後の加速度の差分)し、微分加速度を求める。1次記憶部20は、3軸加速度の生波形、又は、微分加速度を観測情報として記憶する。
【0040】
抽出部40は、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて、1次記憶部20に記憶した少なくとも1軸以上の微分加速度に閾値を設定し、所定時間内にその閾値を超える加速度変化の発生の有無で、観測対象者の静止状態、又は、動作状態かを識別する。生波形には重力加速度(例えば、Z軸方向に顕著に現れる)が観測されるが、微分波形を求めることで差分だけを簡単に取り出すことができる。これにより、抽出部40は、第1の閾値を超える加速度の変化が発生すれば、観測対象者の歩行の開始、第1の閾値を超える加速度の変化がなくなれば観測対象者の歩行の終了を検出できる。さらに、第1の閾値より大きい第2の閾値を超えれば、抽出部40は、観測対象者が走行状態と検出できる。
【0041】
この場合に、抽出部40は、第1の歩行検出方法を用いるために、知識記憶部30から第1の歩行検出方法に対応する観測知識を呼び出す。この第1の歩行検出方法において、知識記憶部30が記憶している観測知識とは、識別行動が「歩行」に関するものであり、1次記憶部20に記憶した少なくとも1軸以上の微分加速度に閾値を設定し、所定時間内にその閾値を超える加速度変化の発生の有無を検出するアプリケーションである。
【0042】
次に、第2の歩行検出方法について説明する。
【0043】
制御部90の制御に基づいて、観測部10における動き情報入力部11の加速度センサが、観測対象者の静止、又は、動きに合わせてXYZの3軸加速度の生波形を検出する。
【0044】
観測部10は、検出したXYZの3軸加速度の生波形を微分(前後の加速度の差分)し、微分加速度を求める。1次記憶部20は、3軸加速度の生波形、又は、微分加速度を観測情報として記憶する。
【0045】
抽出部40は、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて、1次記憶部20が記憶したXYZの3軸加速度の生波形から次の式(1)を用いて加速度スカラー量Aを求める。
【0046】
A=√{(Xn−Xn−1)2+(Yn−Yn−1)2+(Zn−Zn−1)2} ・・・(1)
ここで、X、Y、Zは、それぞれX軸、Y軸、Z軸の加速度を表す。すなわち、加速度スカラー量Aは、前サンプリング(n−1)と現サンプリングnの間に発生した各軸の加速度の合計スカラー量を示す。
【0047】
抽出部40は、この加速度スカラー量Aに対し、所定時間内にその閾値を超える加速度変化の発生の有無で、観測対象者の静止状態、又は、歩行状態かを識別する。これにより、抽出部40は、第1の閾値を超える加速度の変化が発生すれば観測対象者の歩行の開始、第1の閾値を超える加速度の変化がなくなれば観測対象者の歩行の終了を検出できる。さらに、第1の閾値より大きい第2の閾値を超えれば、抽出部40は、観測対象者が走行状態と検出できる。
【0048】
この場合に、抽出部40は、第2の歩行検出方法を用いるために、知識記憶部30から第2の歩行検出方法に対応する前記観測知識を呼び出す。この第2の歩行検出方法において、知識記憶部30が記憶している観測知識とは、識別行動が「歩行」に関するものであり、加速度スカラー量Aを計算し、この加速度スカラー量Aに対し、所定時間内にその閾値を超える加速度変化の発生の有無を検出するアプリケーションである。
【0049】
次に、観測対象者の動作認識方法について説明する。
【0050】
制御部90の制御に基づいて、観測部10における動き情報入力部11の加速度センサが、観測対象者の静止、又は、動きに合わせてXYZの3軸加速度の生波形XYZの3軸加速度の生波形を検出する。
【0051】
観測部10は、検出したXYZの3軸加速度の生波形を微分(前後の加速度の差分)し、微分加速度を求める。1次記憶部20は、3軸加速度の生波形、又は、微分加速度を観測情報として記憶する。
【0052】
抽出部40は、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて、1次記憶部20が記憶したXYZの3軸加速度の生波形から、観測対象者の動作状態(歩行、走行、乗り物、静止など)を推定し、その上で静止状態を検出する。
【0053】
動作認識方法としては、非特許文献5(K. Ouchi, et al.”LifeMinder:A wearable healthcare support system with timely instruction based on the user’s context,”IEICE Transactions on Information and Systems,Vol.E87-D,No.6,pp.1361-1369,2004.)、非特許文献6(T.Iso,et al.,Gait Analyzer based on a Cell Phone with a Single Threeaxis Accelerometer,Proceedings of MobileHCI'06, pp.141-144,2006.)、非特許文献7(池谷他、3軸加速度センサを用いた移動状況推定方式、情報処理学会研究報告2008-UBI-19(14)、pp.78-80,2008.)などを用いる。なお、もちろんこれらに方法には限らない。
【0054】
これにより、抽出部40は、観測対象者の動作状態を認識できる。
【0055】
この場合に、抽出部40は、動作認識方法を用いるために、知識記憶部30から動作認識方法に対応する前記観測知識を呼び出す。この動作認識方法において、知識記憶部30が記憶している観測知識とは、識別行動が例えば「歩行」に関するものであり、前記各非特許文献5〜7に記載された方法を表したアプリケーションである。
【0056】
観測対象者の生活音の検出方法について説明する。
【0057】
生活音検出方法は、観測部10の音情報入力部12が入力した音情報を、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて音響シーンクラスタリングするものである。なお、「生活音」とは、観測対象者の日常の生活によって発生する音であり、例えば、食事の音、洗面による音、掃除機をかける音、調理による音などである。
【0058】
まず、制御部90の制御に基づいて、観測部10における音情報入力部12のマイクが、観測対象者の音情報を入力する。
【0059】
次に、観測部10は、この音情報に関して、22kHzで音の波形をサンプリングする。
【0060】
次に、観測部10は、サンプリングした音の波形から音響認識に必要な特徴量を抽出する。1次記憶部20は、生の音の波形、抽出された特徴量、又は、生の波形を圧縮して、観測情報として記憶する。
【0061】
次に、抽出部40は、知識記憶部30が記憶した観測知識に基づいて、音源辞書とマッチングさせるために、1次記憶部20に記憶した特徴量を1秒単位に分割する。音源辞書は、生活音毎に生成されている。
【0062】
次に、抽出部40は、特徴量の分割単位毎に音源辞書とマッチングを行い、尤度が高いものを選定する。
【0063】
次に、抽出部40は、音源辞書と同一のものが並んでいる部分の始端と終端を検出する。
【0064】
次に、観測部10は、検出部分の始終端で切り取り、切り取った部分が取得したい生活音が発生したシーンとなる。
【0065】
この場合に、抽出部40は、生活音検出方法を用いるために、知識記憶部30から生活音検出方法に対応する前記観測知識を呼び出してくる。この生活音検出方法において、知識記憶部30が記憶している観測知識とは、識別行動が例えば「生活リズムの食事」に関するものであり、食事時の音情報を記憶した音源辞書に基づいて音響シーンクラスタリングするアプリケーションである。
【0066】
上記で説明した生活行動データの抽出方法について、図5のフローチャートに基づいて改めて説明する。
【0067】
ステップS100において、観測部10は、動き情報入力部11の加速度センサを用いて観測対象者の加速度を計測し、ステップS101に進む。なお、加速度センサは、リアルタイムに観測対象者の加速度を計測し続けるとものとする。
【0068】
ステップS101では、抽出部40が、前記加速度に基づいて、観測対象者が歩行あるいは走行(以下、単にまとめて「歩行」と呼ぶ)を開始したと判断すればステップS102に進み(Yesの場合)、歩行の開始を検出できなければステップS110に進む(Noの場合)。
【0069】
ステップS102において、抽出部40が観測対象者の歩数及び歩行距離を計測し、ステップS103に進む。
【0070】
ステップS103において、抽出部40が、計測を続けている現在の加速度に基づいて、観測対象者が歩行を終了したか否かを判断し、終了していればステップS104に進み(Yesの場合)、終了していなければステップS102に戻る(Noの場合)。
【0071】
ステップS104において、抽出部40は、2次記憶部50に歩行の開始時刻、終了時刻、歩数、歩行距離を記憶する。そして、ステップS101に戻る。
【0072】
ステップS111において、歩行の開始を検出できないので、観測部10は、音情報入力部12のマイクを用いて、音情報を入力し、抽出部40は、上記したように音響シーンクラスタリングを行い、観測対象者が、現在どのような生活音を出しているかを検出する。検出が終わればステップS111に進む。
【0073】
ステップS111において、観測部10は、観測対象者が静止状態から歩行を開始したか否かを加速度センサを用いて計測し、歩行を開始していれば、上記生活音を出している観測対象者の動作(例えば、洗面、食事、身繕いなど)が終了したとしてステップS112に進み(Yesの場合)、引続き停止状態であれば観測対象者の動作が終了してないとしてステップS110に戻る(Noの場合)。
【0074】
ステップS111において、観測対象者が歩行を開始したため、抽出部40は、2次記憶部50に音響シーンクラスタリングによって求められた生活音に対応した識別行動(例えば、洗面、食事、身繕いなど)を記憶し、ステップS102に戻る。
【0075】
以上により、生活行動記憶装置1は、観測対象者が、歩行を開始した場合の歩数、歩行距離、識別行動を、開始時刻と終了時刻と合わせて生活行動データを検出し、記憶ができる。
【0076】
上記したように、生活行動記憶装置1が検出した観測対象者の生活行動データを、変換部70が、規則記憶部80に記憶されている変換規則を用いてどのように利用者に提示するかを図4に基づいて説明する。図4は、2次記憶部50に時刻単位に記憶されている2月20日~2月26日までの1週間分の観測対象者の生活行動データであって、1日の最後にその日の合計のデータが記憶されている。
【0077】
ADLに関しては、変換部70は、図3におけるADLの変換規則に基づいて、図4の1週間分の生活行動データから、観測対象者に45m以上の歩行があったかどうかを解析する。2月25日に1サイクルで観測対象者が600m歩行しており、1サイクルで45mを越えている。したがって、変換部70は、図3におけるADLの変換規則の提示内容「歩行は困難ではない」という項目を呼出し、提示部60は、ADLの利用者(例えば、介護の担当医)に対して、図7に示すように、歩行距離600mと「歩行困難ではない」を提示する。逆に、1週間の間に一度も観測対象者に45mを越える歩行がなければ、この「歩行困難ではない」という提示がされないので、ADLの利用者は、観測対象者が歩行困難と判断できる。
【0078】
上記で説明したADLの提示に関して、図6のフローチャートに基づいて更に説明する。
【0079】
ステップS200において、生活行動記憶部1は、ADLに関する判定を開始し、ステップS201に進む。
【0080】
ステップS201において、変換部70は、観測対象者が、1サイクルで45m以上の歩行距離が有ったか否かを検出し、有ればステップS202に進み(Yesの場合)、無ければステップS201に進む(Noの場合)。
【0081】
ステップS202において、1サイクルで45m以上の歩行距離が有ったため、提示部60は、観測対象者が歩行が困難でないと提示する。そしてステップS203に進む。
【0082】
ステップS210において、1サイクルの歩行距離が45m未満であるため、観測対象者が歩行困難であると提示部60が提示し、ステップS203に進む。
【0083】
ステップS203において、観測対象者が1日の食事を3回取っているか否かを検出し、3回以上であればステップS204に進み(Yesの場合)、3回未満の場合にはステップS2011に進む(Noの場合)。
【0084】
ステップS211において、観測対象者の食事回数が3回でない日の日付と食事回数とを提示部60が提示し、ステップS204に進む。
【0085】
ステップS204において、変換部70は、他のADLの判定へ移行する。
【0086】
以上により、ADLに関する判定を行い、ADLの利用者に確実に観測対象者の生活行動を提示できる。
【0087】
メタボリックシンドロームに関しては、変換部70は、図3におけるメタボリックシンドロームの変換規則に基づいて、図4の1週間分の生活行動データから、1日に1万歩を越えるかどうかを解析する。2月20日における観測対象者の合計歩数が5312歩なので、図3のメタボリックシンドロームの変換規則の中の1万歩未満に一致する。したがって、変換部70は、図3におけるメタボリックシンドロームの変換規則の提示内容「目標未達成」という項目を呼出し、提示部60が5312歩と「目標未達成」を提示する。これに対し、2月25日は1万歩を越えているので、1004歩と「目標達成」と提示する。
【0088】
このように、本実施例の生活行動記憶装置1は、観測対象者の生活行動データに関して、異なる利用者毎にそれぞれ必要な生活行動データと提示内容を提示できる。
【0089】
図3に示す規則記憶部80に記憶されている変換規則に対し、新たに変換規則が追加される場合について、図8と図9に基づいて説明する。
【0090】
図8は図3の変換規則に対し、見守りの利用者に関する変換規則が追加されている。「見守りの利用者」とは、本明細書では、遠隔に暮らす家族などが想定されている。追加された変換規則は、項目「提示内容」に観測対象者の食事写真と、その観測対象者自身の食事風景の写真を撮影することであり、この追加は、例えば、見守りの利用者自身が、制御部90を用いて行う。
【0091】
規則記憶部80に新たな変換規則が追加されたことにより、制御部90は、観測部10の画像取得部13のカメラを用いて、観測対象者の食事時の写真を撮影するアプリケーションを観測知識部30に追加する。
【0092】
この結果、抽出部40が、2次記憶部50に記憶する生活行動データの内容は、図4から図9のように変更される。すなわち、観測対象者の食事を検出したときに、食事写真の撮影だけでなく、観測対象者自身の写真撮影も行う。そして、提示部60は、見守りの利用者に対して、食事写真に加えて、その観測対象者の撮影写真を提示する。これにより、見守りの利用者は、この提示によって観測対象者が元気か否かを知ることができる。
【0093】
このように本実施例の生活行動記憶装置1は、規則記憶部80に変換規則を追加することで、新たな利用者が増えたときにも対応できる。
【実施例2】
【0094】
次に、本発明の実施例2の生活行動記憶装置1について図10と図11に基づいて説明する。
【0095】
図10は、本実施例の生活行動記憶装置1のブロック図である。本実施例の生活行動記憶装置1と実施例1の生活行動記憶装置1の異なる点は、通信部70が追加され、さらに複数の提示部61,62,63を有している点にある。
【0096】
実施例1では、利用者毎に変換規則と表示内容が異なっていたが、本実施例では、制御部90が各利用者に各提示部61,62,63から連絡するかどうかをリアルタイムに制御できる。
【0097】
図8は、本実施例に対応する変換規則の例を示している。
【0098】
識別行動項目として「転倒」、利用者の種別として転倒の利用者が追加されている。転倒の利用者は、この場合、ホームセキュリティセンターの監視員などを想定している。
【0099】
制御部90は、観測部10と知識記憶部30に対し、観測対象者の転倒を生活行動データとして検出するように制御する。この検出方法としては、例えば、加速度センサの値と、カメラで撮影した観測対象者の画像から検出する。
【0100】
観測対象者の転倒を生活行動データとして検出したときに、見守りの利用者は、転倒後の観測対象者の反応の有無にかかわらず、リアルタイムに転倒したことを連絡する。すなわち、観測対象者の転倒を検出すると、制御部90は、通信部70を介して、見守りの利用者の提示部61に観測対象者が転倒したことの連絡を送信する。
【0101】
これに対し、転倒の利用者では、観測対象者の転倒を検出したときに、観測対象者の意識があるかどうかの確認を、提示部62を介して観測対象者に対して問い合わせる。そして、転倒した観測対象者から応答がなければ、リアルタイムに転倒の利用者の提示部63にその旨を連絡する。連絡を受け取った転倒の利用者は、救急車の手配などを行う。一方、観測対象者から応答があり、観測対象者が動けることが確認できれば、転倒の回数を2次記憶部50に記憶し、提示部61は転倒の利用者にその回数を提示する。
【0102】
本実施例によれば、利用者毎の提示部にそれぞれ必要な生活行動データと提示内容を提示することにより、より細かく観測対象者の生活行動を取得できる。
【変更例】
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1・・・生活行動記憶装置、10・・・観測部、20・・・1次記憶部、30・・・知識記憶部、40・・・抽出部、50・・・2次記憶部、60・・・提示部、70・・・変換部、80・・・規則記憶部、90・・・制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測対象者の観測情報を観測する観測部と、
前記観測情報を記憶する1次記憶部と、
利用者の種類毎に必要な生活行動データを前記観測情報から求めるための観測知識を記憶する知識記憶部と、
前記観測知識に基づいて、前記1次記憶部に記憶された前記観測情報から前記利用者の種類毎に必要な生活行動データをそれぞれ抽出する抽出部と、
前記生活行動データを記憶する2次記憶部と、
前記利用者の種類に応じて、前記2次記憶部に記憶した前記生活行動データを提示する提示部と、
を具備したことを特徴とする生活行動記憶装置。
【請求項2】
前記生活行動データから、前記利用者の種類毎に必要な提示内容に変換するための変換規則を記憶する規則記憶部と、
前記変換規則に基づいて、前記生活行動データを前記提示内容に変換する変換部と、
をさらに具備し、
前記提示部は、前記生活行動データと共に前記提示内容を提示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の生活行動記憶装置。
【請求項3】
異なる利用者毎に、前記生活行動データと前記提示内容をそれぞれ送信する通信部をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項2に記載の生活行動記憶装置。
【請求項4】
前記観測部は、少なくとも加速度センサを有し、前記観測部は、前記加速度センサを用いて、前記観測対象者の加速度を前記観測情報として検出し、
前記抽出部は、前記観測知識と前記加速度に基づいて、前記観測対象者の歩行距離、又は、歩数を生活行動データとして抽出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の生活行動記憶装置。
【請求項5】
前記規則変換部が記憶している前記変換規則は、前記歩行距離、又は、前記歩数が、前記利用者の種類毎に設定された閾値を超えた場合に、前記利用者の種類毎に提示する前記提示内容がそれぞれ記述されており、
前記変換部は、前記歩行距離、又は、前記歩数と、前記利用者の種類毎の前記閾値とを比較して、前記歩行距離、又は、前記歩数が前記利用者の種類毎の前記閾値を超えている場合は、前記閾値を超えた前記利用者の種類に対応した前記提示内容を前記変換規則から呼び出す、
ことを特徴とする請求項4に記載の生活行動記憶装置。
【請求項1】
観測対象者の観測情報を観測する観測部と、
前記観測情報を記憶する1次記憶部と、
利用者の種類毎に必要な生活行動データを前記観測情報から求めるための観測知識を記憶する知識記憶部と、
前記観測知識に基づいて、前記1次記憶部に記憶された前記観測情報から前記利用者の種類毎に必要な生活行動データをそれぞれ抽出する抽出部と、
前記生活行動データを記憶する2次記憶部と、
前記利用者の種類に応じて、前記2次記憶部に記憶した前記生活行動データを提示する提示部と、
を具備したことを特徴とする生活行動記憶装置。
【請求項2】
前記生活行動データから、前記利用者の種類毎に必要な提示内容に変換するための変換規則を記憶する規則記憶部と、
前記変換規則に基づいて、前記生活行動データを前記提示内容に変換する変換部と、
をさらに具備し、
前記提示部は、前記生活行動データと共に前記提示内容を提示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の生活行動記憶装置。
【請求項3】
異なる利用者毎に、前記生活行動データと前記提示内容をそれぞれ送信する通信部をさらに具備する、
ことを特徴とする請求項2に記載の生活行動記憶装置。
【請求項4】
前記観測部は、少なくとも加速度センサを有し、前記観測部は、前記加速度センサを用いて、前記観測対象者の加速度を前記観測情報として検出し、
前記抽出部は、前記観測知識と前記加速度に基づいて、前記観測対象者の歩行距離、又は、歩数を生活行動データとして抽出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の生活行動記憶装置。
【請求項5】
前記規則変換部が記憶している前記変換規則は、前記歩行距離、又は、前記歩数が、前記利用者の種類毎に設定された閾値を超えた場合に、前記利用者の種類毎に提示する前記提示内容がそれぞれ記述されており、
前記変換部は、前記歩行距離、又は、前記歩数と、前記利用者の種類毎の前記閾値とを比較して、前記歩行距離、又は、前記歩数が前記利用者の種類毎の前記閾値を超えている場合は、前記閾値を超えた前記利用者の種類に対応した前記提示内容を前記変換規則から呼び出す、
ことを特徴とする請求項4に記載の生活行動記憶装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−63977(P2012−63977A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207634(P2010−207634)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、「高齢者・障害者のためのユビキタスネットワークロボット技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、「高齢者・障害者のためのユビキタスネットワークロボット技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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