説明

生物が生育する水域の水の処理方法及び装置

【課題】 薬品を用いずに、生育生物が機器類に付着せず、また、植物プランクトンを容易に除去できる生物が生育する水域の水の処理方法と装置を提供する。
【解決手段】 生物が生育する水域の水の処理方法において、該水域の水に衝突処理及び/又は減圧処理もしくは破砕処理を施すことで該水中の生物の卵や幼生を、内部からの気泡膨張圧力と衝撃によって体内器官を損傷し、外殻を破損して死滅させることとしたものであり、前記生物は、貝類及び植物プランクトンとすることができ、また、生物が生育する水の処理装置において、該水域の水を処理する容器と、該容器内に設けた垂直軸を中心にして回転可能に支持された分散盤又は羽根車と、該分散盤に前記生育水域の水を供給する手段と、前記分散盤を高速回転する手段とを有することとしたものであり、該処理装置には、真空発生装置を接続し、減圧処理を可能にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物が生育する水域の水、特に、海水を取水する時に配管や槽及びポンプなど機械類に付着するカキ類、フジツボ類、イガイ類などの水中生物に苦慮している発電所の取水設備、海水を利用したアメニティー施設、海水浄化プラントなどにおいて、そうした汚損生物の付着を抑制する技術分野又は閉鎖系水域などにおいて赤潮やアオコ発生時に大量に存在する植物プランクトンを除去して水域を浄化する処理方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来海水を取水する設備では、貝などの汚損生物の付着を防止する手段として、次亜塩素酸ナトリウムやオゾンなどの酸化剤の添加による防除、もしくは付着可能箇所に防汚塗装を施して、付着量を抑制する手段がとられてきた。
次亜塩素酸ソーダや銅イオンを用いる方法の公知例として、特開2001−225788号公報、オゾンを用いる公知例として、特開平9−20675号公報、特開平10−244276号公報がある。
また、防汚塗装として、過去に有機スズを原材料とした塗料が利用されてきたが、環境ホルモン作用によって海中生物がメス化する問題が発覚した。近年では、そうした問題点を解決した塗料が実用化されている(特開平7−291812号、特開2003−226845号各公報など)。
【0003】
植物プランクトンの増殖を抑制する手段として、船底から吸入した海水に対して、船内においてポンプ吐出口から噴水ノズルに至る配管ルートに複数の拡大室を直列に設けて、複数回4.3→6.1→4.7→6.5→5.1→6.9→5.5kg/cmという順序で加圧状態を振幅させることで、細胞壁にダメージを与えて処理水を噴水ノズルから散水する方法が公知例としてある(特開平9−118290号公報)。
プランクトンを含む液体の浄化方法及び装置として、プランクトンを含む水を加圧して、その加圧されたプランクトンを含む液体を噴射して、噴流を形成し、固体衝撃面に当てて、プランクトンのフロックや細胞の一部を破壊する方法がある。(特開平8−57478号公報)
【0004】
これらの公知技術には、次のような問題があった。
すなわち、取水した海水に次亜塩素酸ソーダやオゾンなどの薬品を添加した場合、その添加量による維持管理費の増大、添加量によっては後段の機器に腐食を及ぼすと共に、利用後海水に戻す際に、残留塩素など生態系への影響を考慮する必要が生じる。
また、防汚塗料を用いる場合、貝類の付着を完全に抑制できず、剥離しやすくはするものの定期的な機械もしくは人力による防除作業を要する。また、その防汚メカニズムは、塗料が徐々に溶出することで貝類の付着を抑制するため、海水に化学物質を溶解させることの生態系への影響の考慮、及び、定期的に再塗装を要することによる維持管理費の増大が問題である。
【0005】
取水した海水に含まれる植物プランクトンの細胞壁に対して、加圧状態を振幅させることによるダメージは予想できるが、公知例(特開平9−118290号公報)の手段によると、常に植物プランクトンは加圧を与えており、細胞壁には外圧しか加わらないことになる。赤潮の原因となる植物プランクトンについては、体内に体を浮かせるための「浮袋」が存在する。浮袋が加圧操作のみによっては破壊されずに、もし植物プランクトンの外郭が損傷を受けても、死骸は浮遊し続けてしまう可能性がある。
噴射ノズルで加圧する処理を行なう場合、対象液にプランクトン以外に含まれるSSやし渣分が除去されていなくては、ノズルが閉塞する原因になり、また処理量が少ないため、大量の海水を取水して処理することとは困難である。
【特許文献1】特開2001−225788号公報
【特許文献2】特開平9−206758号公報
【特許文献3】特開平10−244276号公報
【特許文献4】特開平7−291812号公報
【特許文献5】特開平9−118290号公報
【特許文献6】特開平8−57478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の問題点を解消し、薬品を用いることなく、生育する生物が機器類に付着することなく容易に除去できる生物が生育する水域の水の処理方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、生物が生育する水域の水の処理方法において、該水域の水に衝突処理及び/又は減圧処理もしくは破砕処理を施すことで、該水中の生物を損傷させることを特徴とする生育水域の水の処理方法としたものであり、また、本発明では、生物が生育する水域の水の処理方法において、該水域の水に、湿式の破砕機又は分散機に備えられた歯切りされた回転子及び固定子により、破砕又は正圧・負圧の繰り返しによるキャビテーション効果によるせん断ずり速度を施すことで、該水中の生物を損傷させることを特徴とする生育水域の水の処理方法としたものであり、前記生物は、貝類の幼生と卵及び植物プランクトンとすることができる。
また、本発明では、生物が生育する水域の水の処理装置において、該水域の水を衝突処理する容器と、該容器内に設けた垂直軸を中心にして回転可能に支持された分散盤又は羽根車と、該分散盤又は羽根車に前記生育水域の水を供給する手段と、前記分散盤又は羽根車を高速回転する手段とを有することを特徴とする生育水域の水の処理装置としたものである。
【0008】
さらに、本発明では、生物が生育する水域の水の処理装置において、該水域の水を連続で減圧処理する容器と、該容器を減圧にする真空発生装置と、該容器内に設けた垂直軸を中心にして回転可能に支持された分散盤又は羽根車と、該分散盤又は羽根車に前記生育水域の水を供給する手段と、前記分散盤又は羽根車を高速回転する手段とを有することを特徴とする生育水域の水の処理装置としたものであり、前記分散盤又は羽根車が支持された垂直軸には、水の飛散防止のためガイド板が備えられてもよい。また、本発明では、生物が生育する水域の水の処理装置において、該水域の水を連続で減圧処理する容器と、該容器を減圧にする真空発生装置と、該容器内に設けた垂直軸に支持された下向きの円錐形の噴出整流体と、該噴出整流体の下向きの円錐形に向って円周方向へ噴出するように上向きに設置された前記生育水域の水を供給する供給管吐出口とを有することを特徴とする生育水域の水の処理装置としたものであり、前記噴出整流体を支持する垂直軸には、該噴出整流体を上側にスライドするスプリングが備えられていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、取水した生物が生育する水域の水、特に、海水に、衝突処理もしくは減圧処理、又は破砕又は正圧・負圧の繰り返しによるキャビテーション効果によるせん断ずり速度によって、該水域中の生物の卵や幼生に損傷を与え、後段の配管や槽及びポンプなど機械類に付着することを抑制することができる。また、赤潮やアオコの原因となる植物プランクトンに対しても同じ処理によって植物プランクトンの持つ浮袋を破壊し固液分離を容易にすることができる。また、処理水には、次亜塩素酸ソーダを添加した場合の残留塩素などの問題もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、 取水した水を衝突処理及び/又は減圧処理もしくは破砕処理して汚損生物の付着を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、水を取水し利用する場合において、取水した水に衝突処理及び/又は減庄処理もしくは破砕処理を施すことで水中生物の卵や幼生を衝撃又は内部からの気泡膨張庄力にて体内器官を損傷、外殻を破損し、配管や槽及びポンプなど機械類に付着するのを防止することができる。
また、水を浄化する手段として、上記処理により植物プランクトンが体内に持つ浮袋を破壊し、容易に固液分離可能とし、分離水を閉鎖系水域に戻すことで水を浄化することができる。
【0011】
さらに、本発明では、連続で減圧処理を施す手段として真空発生装置を有してもよい処理装置で、該容器内に分散盤又は羽根車が垂直軸を中心にして回転可能に支持され、高速回転中の該分散盤又は羽根車に供給された水に遠心力と容器壁面への衝突効果により衝撃を与え損傷させ、更に真空の環境により液中の気泡類を脱泡、脱気すると同時に水中生物の卵や幼生の内部に溶存するガスを気泡化させ、気泡を膨張させることで幼生及び卵の外殻を破損、殺傷させることができる。
また、連続で減圧処理を施す手段として真空発生装置を有してもよい処理装置で、該容器内に処理液供給管吐出口を上向きに設置し、流入する水を円錐形の噴出整流体で円周方向へ噴出するように整流して、噴出しながら真空の環境に曝されることで効率よく水中生物の卵や幼生が損傷を受け、また、吐出口と該噴出整流体の間にし渣等が閉塞した場合に、その閉塞圧力によってスプリングが力を受けて該噴出整流体を支持する軸が上側にスライドすることで汚物の閉塞を防止することができる。
【0012】
連続して取水した水をできる限り取水地点に近い地点において、衝突処理装置を用いて、500min−1以上の回転速度を有する回転体に衝突させ、装置容器壁面に衝突させて処理水を連続的に排出することで、連続的に衝突処理を施すか、あるいは、減圧処理装置を用いて−93.3kPaに減圧した真空容器に1分程度保持して連続的に排出することで、連続的に減圧処理を施す。汚損生物の一種であるフジツボの場合、節足動物門甲殻綱蔓脚亜綱完胸目に属し、卵から艀化した後、ノープリウス幼生を経てキプリス幼生となり、配管などに付着する。大きさは0.3〜0.4mmであり、付着する以前の状態で、減庄処理によって卵や幼生を内部からの気泡膨張圧力て、体内器官を損傷、外殻を破損することで減圧処理装置後段への付着を抑制する。
赤潮やアオコの原因となる植物プランクトンは、体内にもつ浮袋を発達させており、自らの比重を調節しながら水中を自由に浮遊することができる。それを浄化する場合に、固液分離が容易ではない。そのため、減圧処理を行うことでこの浮き袋を膨張破壊し、沈降性を高めてから固液分離を施すことで浄化を行なう。
また、プランクトンに損傷を与える手段として、湿式の破砕機及び分散機に備えられた歯切りされた回転子及び固定子系により、破砕又は正圧・負圧の繰り返しによるキャビテーション効果によるせん断ずり速度により、プランクトンに損傷を与える方法を用いる。
【0013】
次に、本発明の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の衝突兼減圧処理装置の部分構成図を、図2は、本発明の減圧処理装置の部分構成図を、また、図3は、本発明に用いた湿式の分散機の断面構成図をそれぞれ示す。図4は、本発明の貝類及び植物プランクトンを含む水の衝突処理方法もしくは減圧処理方法を示すフロー構成図である。
各図毎に、その詳細を以下に述べる。すなわち、本発明で用いる減圧処理装置では、図1に示すように容器1の上部にある蓋2に、処理水が流入する処理液供給管3が付いており、処理水はモーター4によって主軸5を介して回転する回転平板6に衝突し、ガイドスカート7によって容器上部への飛散を防止する。処理水にし渣等の閉塞がない場合、分散盤及びガイドスカートの代わりに羽根車が適用される。減圧処理する場合は、真空ポンプやエジェクターへ続く配管へ引かれないよう措置が施されている。すなわち、処理水は回転する遠心力方向のみに平面にて飛散し、容器1の壁面に衝突し、汚損生物の卵や幼生は衝撃を受ける。そして、容器1の壁面に薄膜を形成し、重力によって容器1下部へ移動し滞留する。減圧処理を施す場合、この薄膜の間に、容器1が真空に維持されることにより、効率良く汚損生物の卵や幼生を減圧し、体内の器官を破壊し、外殻に損傷を与える。
【0014】
図2では、海水は容器1内部で上方向を向いた処理液供給管3から流入し、管端の絞り効果により加速される。加速した海水は、円錐形かもしくは図2に示すように円錐形にRの付いた形状を有する噴出整流体8に衝突し、噴出整流体8の側面に沿って飛散、容器1の壁面に衝突する。噴出整流体8は、スプリング9を要した軸12に支えられており、軸12は、容器1上部の蓋2に固定された支持台10により支持されている。噴出整流体8は、スプリング9により上下運動が可能であり、処理液供給管3から噴出する海水の圧力、及び、海水に含まれる海藻類やゴミといったし渣等の閉塞による圧力上昇によって上部ヘスライドする。軸12は、往復動シール13によってシールされ、容器1の気密は保たれる。壁面に衝突した海水は、図1の装置と同様に減圧され、汚損生物の幼生や卵に損傷を与える。
図3では、電動機34によって回転する主軸38は、軸封部35によってケーシングとの間をシールされており、主軸と共に回転する歯切りされた回転子36と、固定されて動かない同じく歯切りされた固定子37を有する。処理液は、処理液供給口39から流入し、回転子36の回転により処理液排出口40より排出される。プランクトンは、この2つの歯切りされた部分の間を通過する際に、正圧・負圧の繰り返しで発生するキャビテーション効果によるせん断ずり速度によって破砕される。
【0015】
図4におけるブロック図では、海水14を海から海水取水ポンプ15により取水し、クラゲや浮遊ゴミなどを捕捉するスクリーン16を通した後、衝突処理装置もしくは減圧処理装置17によって処理することで、海中生物の幼生や卵及び植物プランクトンに損傷を与え、後段の配管や槽及びポンプなど機械類に付着するのを防止したり、後段で植物プランクトンを固液分離する場合にそれを容易にする。
【実施例】
【0016】
以下に、本発明を実際に組み込んだ実施例について説明する。
実施例1
この実施例は、衝突効果の影響を調査するものである。
甲殻を持つ貝類の幼生に近い魚餌用のアルテミアの孵化後、1〜2日経過したノープリウス幼生を用いて、物理的衝突効果の影響を回分的に調査した。体長は0.3〜0.4mmである。
図1に示す構造を有する衝突処理装置を用いて、分散盤6の回転速度を変更する試験を行った。生きた幼生は活発に泳ぎ回る習性があり、顕微鏡を用いて単位容積当たりの生きて泳ぐ幼生数をカウントした。
原水中には43匹/2mLの幼生が存在した。結果を表1にまとめる。衝突処理を施すことで、幼生は死亡もしくは損傷を受けて瀕死の状態でいる様子が観察された。回転速度の上昇に伴い、正常に泳げる幼生数は減少し、1000min−1以上の回転速度で3匹/2mLになり、1500min−1以上では0匹/2mLであった。
【0017】
【表1】

【0018】
実施例2
この実施例は、減圧処理を組込んだ影響を調査するものである。
図5に、本発明の方法による処理フローと、比較例として無処理と次亜塩素酸ソーダを添加する処理フローを示す。
水深2.5mの海辺において、海底から1mの地点で原水を海水取水ポンプ20によって取水し、目幅4mmのスクリーン21によってろ過することで、クラゲやゴミを捕捉する。スクリーン21を通過した海水を、分配槽22によって3系列に均等に分配し、各々40L/minで流した。3系例は、比較例1として無処理のフロー、比較例2として次亜塩素酸ソーダ添加装置23によって次亜塩素酸ソーダを3mg/Lで連続添加するフロー、本発明方法として図2に示す構造を有する減圧処理装置24によって連続的に−93.3kPaにて減圧処理を施すフローの3種類が並列している。各々の系列には異なった4種類の径の1本30cm長の硬質塩化ビニル配管を直列に設置し、3系例各々で同じ材質、同じ流速で海水が流れる構造としたテストピース25を設置した。配管の径と流速を表2に示す。
【0019】
4月〜11月の8ケ月間連続通水し、配管内の汚損生物付着状況を調査した。
表3に、各テストピースに付着した貝類の種類と総湿重量について、比較例1、比較例2及び本発明方法の結果をまとめる。
【表2】

【0020】
【表3】

【0021】
比較例1の無処理の場合、管内流速が遅くなるにつれて付着する貝が増えた。管内流速が0.94m/秒ではイガイ類が多く、0.53m/秒及び0.33m/秒ではイガイ類の他フジツボ類が付着した。0.08m/秒ではカキ類が多くなった。この時の貝の総湿重量は841.8gに及んだ。比較例2の次亜塩素酸ソーダを添加した場合、管内流速が0.33m/秒未満においてテストピースごとに2〜3個のフジツボ類が付着した。本発明方法の減圧処理を施した場合、管内流速0.08m/秒のテストピースに4個のフジツボ類が付着した。
以上の結果、取水した海水に減圧処理を施すことで、次亜塩素酸ソーダとほぼ同等の貝付着抑制効果を得ることができた。
【0022】
実施例3
この実施例は、減圧処理による植物プランクトンの固液分離性の向上を調査するものである。
図6に、本発明の方法による処理フローを示す。海水26を海水取水ポンプ27によって汲み上げ、スクリーン(目幅4mm)28を通した後に、図2に示す構造を有する減圧処理装置27によって減圧処理を施して、植物プランクトンの浮袋を破壊する。その結果、得られた減圧処理海水30を沈殿槽31に導入し、固液分離した。実験条件を表4に、実験結果を表5に示す。
【0023】
実施の実験は、夏期の最高気温33℃の赤潮発生時に閉鎖系水域から取水した赤潮を減圧処理した。海水処理量は4.0m/hとし、減圧処理装置27の真空度は−93.3kPaとした。減圧処理した海水を直径0.3mの沈殿槽31にて固液分離した。沈殿槽の水面積負荷は57m/(m・h)とした。0.3m/hで汚泥(植物プランクトン)を引抜くことで、3.7m/hで分離水(処理水)を得た。この時、原水となる赤潮のSS濃度は、140〜210mg/Lであったが、減圧処理することで植物プランクトンの沈降性が著しく向上し、沈殿槽31下部から引抜かれる濃縮汚泥のSS濃度は1260mg/L〜2470mg/Lに達した。分離水のSS濃度は5〜14mg/Lであった。
【0024】
【表4】

【0025】
【表5】

【0026】
実施例4
この実施例は、分散機の影響を調査するものである。
甲殻を持つ貝類の幼生に近い魚餌用のアルテミアの孵化後、1〜2日経過したノープリウス幼生を用いて、せん断ずり速度の影響を回分的に調査した。体長は0.3〜0.4mmである。
図3示す構造を有する分散機を用いて、ロータの回転速度の変更による効果確認を行っ
た。
原水中には56匹/2mLの幼生が存在した。結果を表6にまとめる。処理流量は2L/minとした。せん断ずり速度を与えることにより、幼生は完全に分散されることを確認した。処理後正常な生幼生数は500min−1でも0匹/2mLであった。
規定回転速度12000min−1に対し、1/4速度の3000min−1まで効果は変わらなかった。
【0027】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の減圧処理装置の一例を示す部分構成図。
【図2】本発明の減圧処理装置の他の例を示す部分構成図。
【図3】本発明に用いる分散機の断面構成図。
【図4】本発明の水の処理方法を示すフロー構成図。
【図5】実施例2に用いた水の処理方法を示すフロー構成図。
【図6】実施例3に用いた水の処理方法を示すフロー構成図。
【符号の説明】
【0029】
1:真空容器、2:蓋、3:処理液供給管、4:モータ、5:主軸、6:分散盤、7:ガイドスカート、8:噴出整流体、9:スプリング、10:支持台、11:調整ボルト、12:軸、13:往復動シール、14、:海水、15:海水取水ポンプ、16:スクリーン、17:衝突減圧処理装置、18:処理海水、19:海水、20:海水取水ポンプ、21:スクリーン(目幅4mm)、22:分配槽、23:次亜塩素酸ソーダ添加装置、24:減圧処理装置、25:テストピース、26:海水、27:海水取水ポンプ、28:スクリーン(目幅4mm)、29:減圧処理装置、30:減圧処理海水、31:沈殿槽、32:分離水(処理水)、33:濃縮汚泥(植物プランクトン)、34:電動機、35:軸封部、36:回転子、37:固定子、38:主軸、39:処理液供給口、40:処理液排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物が生育する水域の水の処理方法において、該水域の水に衝突処理及び/又は減圧処理もしくは破砕処理を施すことで、該水中の生物を損傷させることを特徴とする生育水域の水の処理方法。
【請求項2】
生物が生育する水域の水の処理方法において、該水域の水に、湿式の破砕機又は分散機に備えられた歯切りされた回転子及び固定子により、破砕又は正圧・負圧の繰り返しによるキャビテーション効果によるせん断ずり速度を施すことで、該水中の生物を損傷させることを特徴とする生育水域の水の処理方法。
【請求項3】
前記生物が、貝類の幼生と卵及び植物プランクトンであることを特徴とする請求項1又は2記載の生育水域の水の処理方法。
【請求項4】
生物が生育する水域の水の処理装置において、該水域の水を衝突処理する容器と、該容器内に設けた垂直軸を中心にして回転可能に支持された分散盤又は羽根車と、該分散盤又は羽根車に前記生育水域の水を供給する手段と、前記分散盤又は羽根車を高速回転する手段とを有することを特徴とする生育水域の水の処理装置。
【請求項5】
生物が生育する水域の水の処理装置において、該水域の水を連続で減圧処理する容器と、該容器を減圧にする真空発生装置と、該容器内に設けた垂直軸を中心にして回転可能に支持された分散盤又は羽根車と、該分散盤又は羽根車に前記生育水域の水を供給する手段と、前記分散盤又は羽根車を高速回転する手段とを有することを特徴とする生育水域の水の処理装置。
【請求項6】
生物が生育する水域の水の処理装置において、該水域の水を連続で減圧処理する容器と、該容器を減圧にする真空発生装置と、該容器内に設けた垂直軸に支持された下向きの円錐形の噴出整流体と、該噴出整流体の下向きの円錐形に向って円周方向へ噴出するように上向きに設置された前記生育水域の水を供給する供給水吐出口とを有することを特徴とする生育水域の水の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−802(P2006−802A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182125(P2004−182125)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(591043581)東京都 (107)
【Fターム(参考)】