説明

生物培養装置および培養方法

簡便に調製することができ、長期にわたって保存することができ、作業効率が良好で、培養する生物の種類や培養条件を制限することなく広範な生物および条件下で培養することができ、また、再利用可能な生物培養装置を提供する。該静物培養装置は、培養基を保持した微多孔質体を含み、該微多孔質体の表面上で生物を培養する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、生物を培養するための生物培養装置および培養方法に関する。より詳細には、本発明は、食品などに存在する微生物を検査培養するための生物培養装置および培養方法に関する。また、本発明は、長期間にわたって生物を簡便かつ効率的に培養し得る生物培養装置および培養方法に関する。
【背景技術】
食品検査や、医療関連製品および衛生関連製品を取り扱う現場における衛生検査は、検体から採取した微生物を寒天平板培地上にプレートして培養したり、採取した微生物の懸濁液を溶解した寒天に混濁して培養し、出現したコロニーを肉眼または実態顕微鏡などで計数する方法が一般的に行われている。
このような微生物培養を目的とする微生物培養器材として、水分保持力を有する微生物培養器材および培地が開示されている(WO97/024432参照)。
しかしながら、WO97/024432に開示されている培地は乾燥培地であり、水分を加えることによって微生物が生育し得る培地となるが、加える水分量が明確に規定されていないため、水分量が変化すると培地濃度が変動して微生物にとって不適当な培地濃度となり得る。
また、WO97/024432には、微生物は多孔質マトリックス層に浸透するが、粘性の高い水溶性ポリマーが被検液の水分で溶け出して多孔質マトリックス層に浸潤してゆく際に水溶性ポリマーが高粘度であるため、多孔質マトリックス層の表面に微生物が押出されて、正確なコロニーを計数できると記載されている。しかし、通常、多孔質マトリックス内の空隙は単純な構造を有していないと考えられるため、少なくとも一部分の微生物は空隙内に引っかかり、水溶性ポリマーによって押出されずに空隙内にとどまるために、正確なコロニー計数ができない可能性が高い。
また、多孔質炭素素材からなる生物培養用多孔質炭素材料が開示されている(日本国特許公開公報平成09−188574号参照)。
しかしながら、特開平09−188574号公報には、気孔径が5〜50μmと記載されており、また、微生物のサイズは1〜2μmでありその5倍のサイズの空隙が必要であるとも記載されている。したがって、これらの記載からは多孔質炭素素材内の空隙中で微生物を培養するための培養器材であると考えられる。しかし、空隙中で微生物を増殖させる場合、基材が透明であればコロニーを目視で計数できるが、基材が不透明である場合には不可能であり、検査を目的とする培養装置としては不適当である。また、植物細胞または植物体を培養する場合にも、このサイズの気孔では根などの組織が気孔内に侵入してしまい、植え替えなどの作業の際に植物を損傷する危険性が高い。
従来、一般的に用いられている検査培養では、通常は寒天培地などの固体培地を用いているために、培地を溶解し、ペトリ皿などの容器に分注して固化させた後に使用しなければならず、また、培地を調製した後は培地中の水分が蒸散し易いために長期間保存することができず、培地調製後は比較的短時間のうちに使用する必要があった。また、かかる検査を行なう現場では、培地をその場で調製する作業は非常に効率が悪く、事実上不可能であった。また、乳酸菌などの生育pHが酸性に強く傾いている微生物が検査対象となる場合は、かかるpH領域で寒天培地を固化させて寒天平板培地にすることはできなかった。また、タバコ(Nicotiana tabacum)の葯培養時などのように培養する生物によっては培地中に存在する寒天によって不定胚の分化が阻害される場合もあり、このような生物を従来の寒天培地で培養するには高純度の寒天や特別な処理が必要であった。また、通常、シャーレなどの容器に入れた寒天培地もしくは液体培地は、微生物などの培養後に滅菌されて廃棄されるが、これは環境汚染やコストなどの観点から有利でない。
さらに、将来、惑星間移動や宇宙ステーション内の実験などの無重力条件下における微生物および植物などの生物の培養ないし生育も想定されるが、そのような場合に溶解・加熱を調製に要する寒天培地や土壌を要する鉢植えは、安全性・酸素消費や重量増加に伴うコスト増の観点から困難であると考えられる。また、無重力条件下では、液体が球形となって浮遊するため振盪や攪拌などを必要とする液体培地も困難であり、生物の培養や生育に不都合となる場合が考えられる。
そこで、前記の課題を解決し得るような微生物などの検査に用いる培養装置に対する要望があった。また、同じ装置を用いて、短期間の検査培養のほか、微生物や植物を長期間にわたって培養し得る生物培養装置に対する要望があった。
【発明の開示】
本発明者らは、前記の問題点に鑑みて鋭意検討した結果、特定の微多孔質体が有する毛細管力により培養基を保持させ、その表面上で生物を培養し、所望により培養基を補充して培養を継続することによって前記の問題点を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第1の態様において、培養基を保持した微多孔質体を含み、該微多孔質体の表面上で生物を培養する生物培養装置を提供する。
本発明の第1の態様によれば、簡便に調製することができ、長期間にわたって保存しておくことができ、温度や圧力、使用する培養基の種類およびpHや培養する生物の種類を制限することなく、滅菌して洗浄した後に再利用が可能な生物培養装置を提供できる。また、培養する生物は微多孔質体の表面上で増殖ないし生育するため、表面上の微生物のコロニーなどを計数することにより正確に検査することができ、また、培養した植物などを微多孔質体から無傷で分離することができる。さらに、宇宙空間などでの微生物ないし植物などの生物の培養ないし生育に関しても、安全性が高く、調製する際の酸素消費や重量増加に伴うコスト増を抑えることができ、培養基が微多孔質体から遊離することなく生物を好適に培養ないし生育することができる。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、微多孔質体が、該微多孔質体に対して5〜300%(wt/wt)、より好ましくは7〜250%(wt/wt)、最も好ましくは8〜200%(wt/wt)の培養基または水を保持する。これにより、第1の態様の利点に加えて、微多孔質体が保持する培養基の量を、培養する生物の種類、期間、培養後の用途に応じて適宜調整することができる。また、例えば、微多孔質体の表面に培養基が遊離して表面に置床した微生物などが流出することや、宇宙空間に運搬する際の重量増加をさらに抑えることができる。微多孔質体が保持し得る培養基が5%未満である場合には培養する生物が十分な培養基を利用することができなくなる可能性があるので好ましくない。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、微多孔質体が有する毛細管力により保持される量の培養基を保持する。これにより、前記の態様の利点に加えて、生物の培養に必要かつ十分な量の培養基のみを微多孔質体に保持させて生物を培養することができ、培養する生物が微多孔質体表面から流出することを防ぐことができる。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、土壌を含まない。これにより、前記の態様の利点に加えて、植物を生育させる場合、土壌による重量増加をも抑えることができ、また、生育した植物の根などを損傷することなく生物培養装置から分離することができる。また、土壌の緩衝能やイオン交換能などの化学的な不安定要素を排除もしくは制御することができる。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、微多孔質体の空隙径が5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらにより好ましくは2μm以下、最も好ましくは1μm以下である。また、微多孔質体の空隙径分布は、好ましくは1μm以下の空隙が体積比で全空隙体積の70%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上存在する。これにより、前記の態様の利点に加えて、微生物などの生物は微多孔質体の内部に侵入することなく表面のみで増殖または生育するため、正確な微生物などの数を計数することができ、また、植物などを生育させる場合には、微多孔質体から分離する際に根などが引っかかって損傷することなく、無傷で分離することができる。空隙径が5μmを超えると微生物が空隙内に侵入するためコロニーの正確な計数ができず、また植物の毛根などが侵入するため微多孔質体から分離する際に損傷するおそれがあるので好ましくない。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、微多孔質体の空隙率が10〜80%(vol/vol)、さらに好ましくは15〜60%(vol/vol)、最も好ましくは18〜50%(vol/vol)である。これにより、前記の態様の利点に加えて、微多孔質体に保持される培養基の量を制御することができ、また、微多孔質体自体の重量を抑えることができる。空隙率が10%未満では生物の培養に好適な培養基を保持することができず、一方、80%を超えると微多孔質体の強度が低下するため好ましくない。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、微多孔質体が、非金属無機質固体材料の焼成物である。これにより、前記の態様の利点に加えて、非金属無機質固体材料の焼成物を微多孔質体に用いることにより、成型性に優れ、軽量で、耐久性に優れた生物培養装置を得ることが可能となる。また、本発明の生物培養装置の微多孔質体が非金属無機質固体材料の焼成物である場合、好ましくは5〜50%(wt/wt)、より好ましくは7〜25%(wt/wt)、最も好ましくは8〜20%(wt/wt)の水または培養基を保持し、好ましくは10〜50%(vol/vol)、より好ましくは15〜40%(vol/vol)、最も好ましくは18〜37%(vol/vol)の空隙率を有する。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、微多孔質体が、連続気泡型プラスチックフォームである。これにより、前記の態様の利点に加えて、連続気泡型プラスチックフォームを微多孔質体に用いることにより、より成型性に優れ、種々の形状に形成でき、さらには軽量な微多孔質体とすることができるため、本発明の生物培養装置を多様な用途に適用できる。また、本発明の生物培養装置の微多孔質体が連続気泡型プラスチックフォームである場合、好ましくは、10〜300%(wt/wt)、より好ましくは20〜250%(wt/wt)、最も好ましくは30〜200%(wt/wt)の培養基を保持し、好ましくは10〜80%(vol/vol)、より好ましくは15〜60%(vol/vol)、最も好ましくは18〜50%(vol/vol)の空隙率を有する。
また、前記の非金属無機質固体材料の焼成物や連続気泡型プラスチックフォームは薄く成型することもできるため、本発明の生物培養装置を、薄い形状のものとすることができ、培養面積および重量が制限される宇宙ステーションなどでの生物の培養ないし生育にも好適に適用することができる。
また、本発明の生物培養装置は、無菌状態に密封する。これにより、前記の態様の利点に加えて、長期間にわたる保存が可能であり、また、通常の環境下または無菌条件下で密閉した状態から取出すだけで簡便に生物培養装置を使用し得る。本発明の生物培養装置は、例えば、予め培養基を保持させた微多孔質体をレトルトパウチなどの簡易な密閉手段により無菌状態で密閉して保存しておき、現場で取出して微生物などを簡便に培養することができる。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、培養する生物が微生物である。これにより、前記の態様の利点に加えて、目的の微生物を培養し、その後、その存在を検査したり、単離することができる。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、微生物が細菌、酵母または糸状菌である。これにより、前記の態様の利点に加えて、より詳細な微生物を検査することができる。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、食品検査用である。これにより、前記の態様の利点に加えて、食品を摂取するヒトなどの動物に有害となり得る微生物などを定性的または定量的に検査することができる。あるいは、食品中に存在する有用な微生物などの存在を検査ないし単離することもできる。
また、本発明の生物培養装置は、好ましくは、培養する生物が植物である。これにより、前記の態様の利点に加えて、目的の植物を培養または生育させ、その後、所望により脱分化、再分化、形質転換などの処理を行なうことができる。
また、本発明は、第2の態様において、保持した培養基を乾燥させて培養基中の水分を実質的に除去した微多孔質体を含む生物培養装置であって、使用する前に乾燥させた量の水分、すなわち、微多孔質体が保持し得る水分量を添加することにより培養基を再生して生物を培養する生物培養装置を提供する。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の利点に加えて、さらに長期間にわたって保存することができ、より軽量な状態で輸送して、使用する前に所定量の水を添加するだけで簡便に使用することができる。
また、本発明は、第3の態様において、培養基を保持した1またはそれを超える微多孔質体と、該微多孔質体を密閉可能な状態で保持する保持手段とを含み、該微多孔質体の表面上で生物を培養する生物培養装置を提供する。
本発明の第3の態様によれば、第1の態様および第2の態様の利点に加えて、同一または異なる培養基を複数の微多孔質体に保持させて、複数の種類の生物を培養ないし生育することができ、また、複数の異なる条件下で1またはそれを超える種類の生物を培養ないし生育することができる。また、外部環境下での生物の採取に好適な持運びが可能な携帯性の生物培養装置とすることができる。
また、本発明は、第4の態様において、
(1)微多孔質体の毛細管力によって培養基を保持させた微多孔質体を滅菌し、あるいは、予め滅菌した微多孔質体に予め滅菌した培養基を無菌条件下で保持させ;
(2)検体を該微多孔質体と接触させ;ついで
(3)該微多孔質体を一定条件下で一定期間培養した後に、該微多孔質体上に形成されたコロニーを計数する
ことを含む微生物の検査方法を提供する。
本発明の第4の態様によれば、簡便に調製することができ、温度や圧力、使用する培養基の種類およびpHや培養する微生物の種類を制限することがない検査方法を提供できる。また、培養する微生物は微多孔質体の表面上で増殖ないし生育するため、表面上の微生物のコロニーなどを計数することにより正確に検査することができ、また、宇宙ステーションなどでの微生物の検査に関しても、安全性が高く、調製する際の酸素消費や重量増加に伴うコスト増を抑えることができ、無重力条件下でも培養基が微多孔質体から遊離することなく微生物を好適に培養することができる。
また、本発明の検査方法は、好ましくは、前記工程(3)の培養を−50〜300℃にて6ヶ月未満行う。これにより、短期間で検体に存在する微生物を検査することができる。
また、本発明の検査方法は、好ましくは、微生物が細菌、酵母または糸状菌である。これにより、培養基を利用することにより増殖し、コロニーを形成する微生物を検査することができる。
また、本発明の検査方法は、好ましくは、食品に存在する微生物を検査する。これにより、食品を摂取するヒトなどの動物に有害となり得る微生物を定性的または定量的に検査することができる。あるいは、食品中に存在する有用な微生物の存在を検査することもできる。
また、本発明は、第5の態様おいて、(1)微多孔質体の毛細管力によって培養基を保持させた微多孔質体を滅菌し、あるいは、予め滅菌した微多孔質体に予め滅菌した培養基を無菌条件下で保持させ;
(2)生物を該微多孔質体の表面に付着させ;ついで
(3)該微多孔質体を一定条件下で一定期間培養した後に、該微多孔質体が保持する培養基の量が該微多孔質体の毛細管力により保持される量となるように、該微多孔質体に培養基を順次補充することを含む生物培養方法を提供する。
本発明の第5の態様によれば、生物の培養に必要かつ十分な量の培養基のみを微多孔質体に保持させて生物を培養することができる。
また、本発明の生物培養方法は、好ましくは、培養する生物が微生物である。これにより、第5の態様の利点に加えて、目的の微生物を培養し、その後、その存在を検査したり、単離することができる。
また、本発明の生物培養方法は、好ましくは、微生物が細菌、酵母または糸状菌である。これにより、前記の態様の利点に加えて、より詳細な微生物を検査することができる。
また、本発明の生物培養方法は、好ましくは、培養する生物が植物である。これにより、前記の態様の利点に加えて、目的とする植物の細胞や組織を培養または植物体を生育させ、所望により脱分化、再分化、形質転換などの処理を行なうことができる。
本明細書中で用いる「生物」なる語には、一般的に、微生物、菌類、植物、および動物由来の組織または細胞が含まれ、ここに「微生物」なる語には細菌、酵母および糸状菌が含まれ、また、「植物」なる語には植物細胞および組織と植物体とが含まれ、植物細胞および植物組織には1またはそれを超える細胞や植物カルスなどが含まれ、植物体には未発芽状態の種子、発芽した幼植物、各種生育段階の植物、およびそれらの植物から分離した葉片、葯などの部分が含まれる。
また、本明細書で用いる「空隙」とは、生物培養装置の微多孔質体を水または培養基に浸漬することにより、水または培養基が侵入し得るすべての連通する孔を意味し、「空隙径」とはかかる孔の直径を意味し、「空隙率」とは微多孔質の体積に対するかかる孔が占める割合を意味する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の生物培養装置の一実施形態を示す斜視図である。
図2は、本発明に生物培養装置の別の実施形態を示す斜視図である。
図3は、本発明に生物培養装置の別の実施形態を示す斜視図である。
図4は、本発明の生物培養装置の別の実施形態を示す斜視図である。
図5は、本発明の生物培養装置を用いた培養0日後のシロイヌナズナcolumbiaのリーフピースを示す図面代用写真である。
図6は、本発明の生物培養装置を用いた培養10日後のカルス化したシロイヌナズナcolumbiaのリーフピースを示す図面代用写真である。
図7は、本発明の生物培養装置を用いた培養21日後のカルス化したシロイヌナズナcolumbiaのリーフピースを示す図面代用写真である。
図8は、本発明の生物培養装置を用いた培養4日後の糸状菌(Penicillium chrysogenum)の菌叢を示す図面代用写真である。
図9は、本発明の生物培養装置を用いた培養10日後の糸状菌(Penicillium chrysogenum)の菌叢を示す図面代用写真である。
図10は、本発明の生物培養装置を用いた培養13日後の糸状菌(Penicillium chrysogenum)の菌叢を示す図面代用写真である。
図11は、本発明の生物培養装置を用いた培養0日後の糸状菌(Penicillium chrysogenum)の菌叢を示す図面代用写真である。
図12は、本発明の生物培養装置を用いた培養13日後の糸状菌(Penicillium chrysogenum)の菌叢を示す図面代用写真である。
図13は、本発明の生物培養装置を用いた培養21日後の糸状菌(Penicillium chrysogenum)の菌叢を示す図面代用写真である。
図14は、本発明の生物培養装置を用いた培養24日後の糸状菌(Penicillium chrysogenum)の菌叢を示す図面代用写真である。
図15は、本発明の生物培養装置を用いた培養6日後の細菌(Bacillus subtilis)の菌叢を示す図面代用写真である。
図16は、本発明の生物培養装置を用いた培養13日後の細菌(Bacillus subtilis)の菌叢を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
つぎに、本発明に係る生物培養装置の実施形態を、図面に参照して説明する。
まず、本発明に係る生物培養装置の第1の実施形態は、図1に示すように、培養基を保持した微多孔質体1からなり、培養する生物2は、該微多孔質体1の表面に置床すると、微多孔質体に保持される培養基を吸収して増殖、脱分化、再分化、分化または生育することができる生物培養装置である。
本発明の生物培養装置に用いる培養基としては、目的に応じて種々のアミノ酸、ビタミン類、酵素類、抗生物質、浸透圧調整剤、緩衝剤、天然物質(酵母抽出物など)、不凍剤を添加し得る、微多孔質体が保持し得、かつ、目的とする生物を増殖、脱分化、分化、再生、保存、選択、分離、交雑、生育などし得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ジャガイモ・蔗糖培地、BL培地、CW培地、CCFA改良培地、B−CYEα培地、WYOα培地、DNエース培地、PSラテックス培地、TCBS培地、BGLB培地、EC培地、CVT寒天培地、EMB培地、BCM O157培地、NAC寒天培地、OF基礎培地、ブドウ糖リン酸ペプトン培地、ラッセル培地、クリグラー培地、TSI培地、SIM培地、シモンズ・クエン酸ナトリウム培地、マロン酸塩培地、尿素培地、クリステンゼン尿素培地、リジン鉄寒天培地、リジン脱炭素試験用培地、LIM培地、OIML培地、VPOF培地、SS培地、SS−SB培地、マッコンキー培地、DHL培地、ブリリアントグリーン培地、XLD培地、ラパポート培地、ハーナ・テトラチオン酸塩基礎培地、セレナイト基礎培地、SBGスルファ基礎培地、テトラチオネート液体培地、EEMブイヨン培地、ハートインフュジョン培地、ブレインハートインフュジョン培地、SCD培地、SCDLP培地、BTB乳糖培地、ドリガルスキー培地、SCDLPブイヨン培地、乳糖ブイヨンJP培地、メタン菌用の牛糞、高度好塩性細菌用のMS−1(1.5%カザミノ酸、0.01%システイン、0.01%トリプトファン、0.05%クエン酸ソーダ、0.2%コハク酸ソーダ、0.05% KHPO、0.05% KHPO、30.01% KNO、2.0% MgSO・7HO、0.005% FeSO・7HO、22〜26% NaCl)、MS−2(0.5%カザミノ酸、1.0%酵母エキス、0.5%ペプトン、0.3%クエン酸ソーダ、0.5% KCl、2.0% MgSO・7HO、0.005% FeSO・7HO、25% NaCl)およびMS−3培地(1.0%酵母エキス、0.5% MgCl・6HO、0.5% NHCl、25% NaCl)、好アルカリ性高度好塩菌用のMSA−4培地(1.0%ペプトン、0.3%クエン酸ソーダ、2.0% MgSO・7HO、0.2% KCl、5.0% NaCO・10HO、25% NaCl)、高温好酸性菌用のYSG培地、好熱性古細菌用のMH−1(蒸留水1L中、Yeast Extract 1.0g、Tryptone 1.0g、NaCl 30g、MgSO・7HO 3.5g、MgCl・6HO 2.8g、FeSO・7HO 0.2g、KCl 0.33g、NHCl 0.2g、NaBr 50mg、HBO 20mg、KHPO 0.5g、SrCl・6HO 7.5mg、(NHSO 10mg、NaWO・2HO 0.1mg、KI 50mg、CaCl・2HO 0.75g、NiCl・6HO 2mg、Resazurine 1mg、微量成分(蒸留水1L中、三酢酸ニトリロ 1.5g、MgSO・7HO 3g、MnSO・7HO 0.5g、NaCl 1g、ZnSO・7HO 0.18g、CuSO・5HO 10mg、KAl(SO・7HO 20mg、HBO 10mg、NaMoO・2HO 10mg、NiCl・6HO 25mg、NaSeoO・5HO 0.3mg)10ml、Sulfer 25g、NaS・9HO 25g)、MH−2(0.01%酵母エキス、0.01%カザミノ酸、0.1%炭素源、0.02% NaCl、0.03% KHPO、0.13% (NHSO、0.025% MgSO・7HO、0.005% CaCl・2HO、グルコース)およびMH−3培地(蒸留水1L中、Bacto Peptone 5g、Bacto Yeast Extract 1g、FeC 0.1g、NaCl 19.45g、MgCl 5.9g、NaSO 3.24g、CaCl 1.8g、KCl 0.55g、NaHCO 0.16g、KBr 0.08g、SrCl 0.034g、HBO 0.022g、ケイ酸ナトリウム 0.004g、NaF 0.0024g、NHNO 0.0016g、NaHPO 0.008g、カゼインまたはデンプン 10g)などの細菌用の培地;目的に応じて種々のアミノ酸、ビタミン類、酵素類、抗生物質、浸透圧調整剤、緩衝剤、天然物質(酵母抽出物など)、不凍剤を添加し得る、改太田培地、濱田エビオス・ブドー糖培地、M培地、MYP培地、PDA培地、太田培地、モーゼルのb−培地、ウエゼルスとニーダプルエムの交配用最少培地、ケルイシュとダ・コスタの培地、グッディとルセトホールの培地、ツァペック培地、Yeast infusion培地、Wickerham合成培地、MY培地、オートミール培地、改良Gorodkowa培地、クリステンセンの尿素培地、Henneberg培地、Czapek−Dox培地、Uschinsky培地、嫌気性菌チオグリコール酸塩培地、Kleyn酢酸ソーダ培地、酵母完全合成培地(Wickerham)、コハク酸−硝酸塩培地、Gorodkowa培地、コーンミール培地、硝酸塩培地、Fowells酢酸ソーダ培地、Lindegren培地などの菌類培養用の培地;目的に応じて種々の植物ホルモン、アミノ酸、ビタミン類、抗生物質、浸透圧調整剤、緩衝剤、天然物質(酵母抽出物など)、酵素類、不凍剤を添加し得る、MS(Murashige−Skoog)培地、B5培地、W培地、NT培地、Kao8P培地、LS培地、H培地、KC培地、HB培地、WPM、カッサニスの培地、ニールセンの培地、ガルジーの培地、ニッシュ−ニッシュの培地、農試培地などの植物組織培養用の培地;ならびに水、または植物種子を発芽・生育させるために必要な硝酸態窒素、アンモニア態窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄およびマンガン、銅、亜鉛、モリブデン、ホウ素などの無機要素、チアミン、ピリドキシン、ニコチン酸、ビオチン、葉酸などの各種ビタミン、ココナットミルク、カゼイン加水分解物、酵母抽出物などの天然物質、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニンなどの有機窒素源、オーキシン、サイトカイン、ジベレリンなどの植物生長調節物質、ブドウ糖、ショ糖、果糖、麦芽糖などの炭素源、カナマイシン、ハイグロマイシンなどの抗生物質、バスタなどの農薬などを含有する水溶液などの植物生育用の培地などが挙げられる。
つぎに、本発明の生物培養装置に用いる微多孔質体1は、使用する培養基の種類によっても変動するが、好ましくは20℃において5〜300%(wt/wt)、さらに好ましくは7〜250%(wt/wt)、最も好ましくは8〜200%(wt/wt)の培養基を保持し得、また、同量の水を保持する吸水能を有する。本発明の生物培養装置に用いる微多孔質体が後記する非金属無機質固体材料の焼成物である場合には、好ましくは5〜50%(wt/wt)、より好ましくは7〜25%(wt/wt)、最も好ましくは8〜20%(wt/wt)の水または培養基を保持し、一方、微多孔質体がプラスチックフォームである場合には、好ましくは10〜300%(wt/wt)、より好ましくは20〜250%(wt/wt)、最も好ましくは30〜200%(wt/wt)の水または培養基を保持する。また、本発明の生物培養装置に用いる微多孔質体は好ましくは10〜80%(vol/vol)、より好ましくは15〜60%(vol/vol)、最も好ましくは18〜50%(vol/vol)の空隙率を有する。本発明の生物培養装置に用いる微多孔質体が後記する非金属無機質固体材料の焼成物である場合には、好ましくは10〜50%(vol/vol)、より好ましくは15〜40%(vol/vol)、最も好ましくは18〜37%(vol/vol)の空隙率を有し、一方、微多孔質体がプラスチックフォームである場合には、好ましくは10〜80%(vol/vol)、より好ましくは15〜60%(vol/vol)、最も好ましくは18〜50%(vol/vol)の空隙率を有する。このように、微多孔質体は連続する多数の空隙を含み、その毛細管力によって水を吸収して保持し得る。好ましくは、微多孔質体はそれが有する毛細管力によって保持し得る量の培養基を吸収して保持する。培養基を微多孔質体に保持させるためには、乾燥状態の微多孔質体を十分な量の培養基に数時間ないし数日間浸漬して取出した後に表面に付着した培養基を拭くなどして除去するか、または所定量の培養基を乾燥させた微多孔質体の表面から吸収させる。
微多孔質体は、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらにより好ましくは2μm以下、最も好ましくは1μm以下の空隙径を有する空隙を含む。また、微多孔質体の空隙径分布は、好ましくは、1μm以下の空隙が体積比で全空隙体積の70%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を占める。微多孔質体の空隙径分布は、0.3μm以下の空隙が30〜50%、0.3〜0.5μmの空隙が10〜20%、0.5〜1μmの空隙が20〜40%、1〜3μmの空隙が5〜15%を占める。また、微多孔質体は、通常、0.1〜3.0g/cm、好ましくは0.2〜2.5g/cm、最も好ましくは0.3〜2.2g/cmの嵩密度を有する。詳細には、微多孔質体が後記する非金属無機質固体材料の焼成物である場合には、好ましくは1.5〜3.0g/cm、好ましくは1.8〜2.5g/cm、最も好ましくは1.9〜2.2g/cmの嵩密度を有し、一方、微多孔質体が後記するプラスチックフォームである場合には、好ましくは0.1〜1.5g/cm、より好ましくは0.2〜1.0g/cm、最も好ましくは0.3〜0.7g/cmの嵩密度を有する。
この微多孔質体の空隙径、空隙率、空隙分布および嵩密度は、後記する微多孔質体の原料や製造条件によって制御することができる。また、このように、微多孔質体の空隙径、空隙率および空隙分布を製造条件によって制御することにより、前記した微多孔質体が有する毛細管力を調整し、微多孔質体が保持し得る培養基の量を変化させることができる。
また、微多孔質体は、前記の特性を有するものであればよいが、好ましくはオートクレーブなどの高温高圧滅菌処理や、強アルカリ性、強酸性、高温、低温、高塩濃度、加圧、減圧、有機溶媒、放射線照射または重力を加えるなどの種々の培養条件または培養基条件に耐性の材質からなり、例えば10号土、磁器2号土(城山セラポット株式会社)、村上粘土(新潟県産)、PCTG No.1土(東濃碍子株式会社)などの非金属無機質固体原料などを通常の方法に従って混練、成型、焼成することによって得られる非金属無機質固体材料や、ポリビニルアルコールフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、フェノール樹脂フォーム、ユリア樹脂フォームなどの連続気泡型プラスチックフォーム材料を材質とするものが挙げられる。特に非金属無機質固体原料から、微多孔質であって、水分を吸収および放出し易い多孔質体を製造する場合には、例えば、ペタライト、アルミナなどを50〜60重量%含有させて焼成することが好ましい。なお、一般的に、前記のペタライトとしては、76.81重量%のSiO、16.96重量%のAl、4.03重量%のLiO、0.26重量%のKO、1.94重量%の不可避的不純物を含むものが好ましい。また、非金属無機質固体原料には、粉状無機質発泡体を含有させておいてもよい。さらに、本発明の生物培養装置に用いる微多孔質体は、吸水した場合においても実質的にその強度が低下しないもしくは形状が変化しない非金属無機質材料からなる。
非金属無機質固体原料の成型方法としては、例えば、鋳込み成型、押し出し成型、プレス成型、ろくろ成型などの当該技術分野で知られている成型方法が挙げられるが、特に大量生産およびコスト削減の見地から押し出し成型が好ましい。また、成型後の乾燥は、当該技術分野で知られている通常の方法および条件を用いて行うことができる。つづく成型体の焼成は、通常行われている条件および方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、所望の空隙が得られやすい酸化焼成などを選択し得、焼成温度は1000℃〜2000℃、好ましくは1100℃〜1500℃、より好ましくは1150〜1300℃、最も好ましくは1250℃である。非金属無機質固体原料の焼成温度が1000℃未満である場合には硫黄成分が残留し易く、一方、2000℃を超える場合には所望の培養基を保持する能力が得られない。
一方、連続気泡型プラスチックフォームを材料とする微多孔質体の成型方法としては、例えば、溶融発泡成型、固相発泡成型、注型発泡成型などの方法が挙げられる。
溶融発泡成型の主な工程は、溶融混練、未発泡シート成型、加熱発泡または押し出し発泡、冷却、裁断および加工である。固相発泡成型では、ポリマーを固相または固相に近い状態で発泡させる。また、注型発泡成型では、液体原料(モノマーまたはオリゴマー)を使用して大気中で反応させながら注型して発泡させる。また、連続気泡型プラスチックフォームを発泡させるためには、一般的に発泡剤が用いられる。
また、微多孔質体1は、培養の目的に応じて、プレート型、ディスク型、筒状型または柱状型などの形状とすることができるが、好ましくは取扱いやすく、効率的に生物を培養することができ、また、培養中にコンパクトに収納し得るディスク型の微多孔質体を用いる。
培養基は、微多孔質体1と接触することにより、微多孔質体が有する毛細管力により微多孔質体内部の連通孔を介して吸収され、その内部に保持され、微多孔質体の表面に置床された生物2に供給されて、生物の増殖、脱分化、分化、再生などを誘導することができる。
本発明の生物培養装置を用いて培養する生物2としては、例えば、光合成細菌(Rhodospillum molischianum、Rhodopseudomonas acidophila、Rhodomicrobium vannielii、Chromatium vinosum、Thiocapsa roseopersicina、Thiopedia rosea、Chlorobium limicola、Chlorobium phaeovibrioides、Pelodictyon clathratiforme、紅色光合成細菌(Ectothiorhodospira halophila))、滑走細菌(Myxococcus fulvus、Myxococcus coralloides、Myxococcus stipitatus、Myxococcus xanthus)、菌鞘細菌(Sphearotilus natans)、発芽細菌、付属器官をもつ細菌(Hyphomonas neptunium、Gallionella ferruginea)、スピロヘータ(Spirochaeta icterohaemorrhagiae、Spirochaeta pallida、Spirochaeta aurantia)、らせん状、わん曲型細菌、グラム陰性菌、好気性の桿菌、球菌(Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas ovalis、Pseudomonas gluconicum、Xanthomonas oryzae、Gluconobacter oxydans)、空中窒素固定菌(Azotobacter chroococcum、Rhizobium leguminosarum、Rhizobium trifolii、Rhizobium meliloti、Rhizobium phaseoli、Rhizobium japonicum、Clostridium pasteurianum)、Methylomonadaceae科(Methylomonas methanica)、酢酸菌(Acetobacter aceti)、通性嫌気性桿菌(Escherichia coil、Enterobacter aerogenes、腸チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ゲルトネル菌(Salmonella enteritidis)、赤痢菌(Shigella typhimurium)、Serratia marcescescens、Proteus vulgaris、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus))、嫌気性細菌(Bacteroide s succinogenes)、好気性球菌、球桿菌(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、腐性ブドウ球菌(Staphylococcus saprophyticus)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、B群レンサ球菌(Streptococcus agalactiae)、緑色レンサ球菌(Streptococcus viridans)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、大腸レンサ球菌(Enterococcus faecalis)、ヘシュウム菌(Enterococcus faecium)、アビュウム菌(Enterococcus avium)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、枯草菌(Bacillus subtilis)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、嫌気性球菌(Nesseria gonorrhoeae)、グラム陰性の無機栄養型細菌(Nitrosomonas europaea、Nitrosococcus oceani、Nitrobacter hamburgensis、Nitrobacter vulgaris、Nitrobacter winogradskyi、Thiobacillus thiooxydans)、グラム陽性菌、グラム陽性球菌(グルタミン酸生産菌(Micrococcus glutamicus)、Staphylococcus aureus、Spreptococcus lactis、Streptococcus bovis、Streptococcus mutans、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc lactis、Pediococcus cerevisiae、Pediococcus acidilactici、Pediococcus pentosaceus、Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus rimae、Sporolactobacillus inulinus)、Bacillus coagulans、Bacillus subtilis、Bacillus polymyxa、Bacillus maercerans、Bacillus pycnoticus、炭疽菌(Bacillus anthracis)、酪酸菌(Clostridium butyrium)、アセトン・ブタノール菌(Clostridium acetobutylicum)、Clostridium sporogenes、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ウェルシー菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、イオウ還元細菌(Desulfotomaculum rumimis)、有胞子八連球菌(Sporosarcina ureae)、放線菌に関連のある細菌(ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、Corynebacterium fascians、Corynebacterium rathayi、Corynebacterium sepedonicum、Corynebacterium insidiosum、Corynebacterium flaccumfaciens、Actinomyces bovis、Nocardia farcinica、Streptomyces griseus、Streptomyces rameus、Streptomyces venezuelae、Streptomyces omiyaensis、Streptomyces aureofaciens、Streptomyces avellaneus、Streptomyces lutianus)、好熱性菌(Aeropyrum pernix、Aquifex aeolicus、Archaeoglobs fulgidus、Bacillus thermoleovorans、Methanococcus jannaschii、Methanothermus fervidus、Pyrobaculum aerophilum、Pyrobaculum calidifontis、Pyrobaculum islandicum、Pyrobaculum oguniense、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus horikoshii、Pyrococcus kodakaraensis、Pyrococcus shinkaj、Pyrolobus fumarii、Rhodothermus obamensis、Saccharopolyspora rectivirgula、Sulfolobus acidocaldarius、Sulfolobus shibatae、Sulfolobus shibatae、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus tokodaii、Thermoactinomyces vulgaris、Thermococcus celer、Thermococcus kodakaraensis、Thermococcus litoralis、Thermococcus profundus、Thermococcus strain、Thermoplasma acidophilum、Thermoplasma volcanium、Thermotoga maritima、Thermotoga neapolitana、Thermus thermophilus)、メタン生成菌(Methanobacterium formicicum、Methanobacterium thermoautotrophicum、Methanobrevibacter arboriphilus、Methanobrevibacter ruminantium、Methanobrevibacter smithii、Methanococcus jannaschii、Methanoculleus chikugoensis、Methanopyrus kandleri、Methanosaeta concilii、Methanosarcina barkeri、Methanosarcina mazeii、Methanosphaera stadmaniae、Methanother mobacter thermautotrophicus)、好塩性菌(Haloarcula japonica、Haloarcula marismortui、Halobacterium halobium、Halobacterium salinarium、Haloferax mediterranei、Haloferax volcanii、Halomonas variabilis、Natronobacterium pharaonis、Tetragenococcus halohila、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio vulnificus)、好冷性菌(Colwellia psychrerythraea、Moritella marina、Yersinia enterocolitica、Yersinia pseudotuberculosis、Shewanella benthica)、好圧性菌(Moritella japonica、Moritella yayanosii、Photobacterium profundum、Shewanella benthica、Shewanella violacea、Shewanella oneidensis)、好酸性菌(Aeropyrum pernix、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus tokodaii、Sulfolobus acidocaldarius、Thermoplasma acidophilum、Alicyclobacillus acidocaldarius、Alicyclobacillus acidoterrestris、Alicyclobacillus cycloheptanicus、Thiobacillus acidophilus、Acidianus brierleyi)、好アルカリ性菌(Bacillus alcalophilus、Bacillus halodurans、Bacillus pasturii、Exiguobacterium aurantiacum)、放射線耐性菌(Deinococcus radiodurans、Micrococcus radiodurans、Bacillus cereus)、静岡県の油田で採取された石油代謝細菌HD−1株(CO固定型石油合成・分解細菌)、TK−122株、および有機溶媒耐性細菌(Pseudomonas putida IH−2000株)などの細菌、ケカビ属(Mucor)、クモノスカビ属(Rhizopus)、ユミケカビ属(Absidia)、ユゲカビ属(Phycomyces)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリザ(Aspergillus oryzae)およびアスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamarii)などのコウジカビ属(Aspergillus)、アオカビ属(Penicillium)、アカカビ属(Fusarium)、ツチアオカビ属(Trichoderma)、モニリア属(Monilia)、ならびに酵母(Saccharomyces cerevisiae)などの糸状菌の菌体または細胞などの微生物、またはエノキタケ(Flammlina velutipes)、シイタケ(Lentinula edodes)、ブナシメジ(Hypsizygus marmoreus)、ハタケシメジ(Lyophyllum decastes)、ナメコ(Pholiota nameko)、ヒトヨタケ(Coprinus atramentarius)、クリタケ(Naematoloma sublateritium)、ホコリタケ(Lycoperdon gemmatum)、マンネンタケ(Ganoderma lucidum)、スエヒロタケ(Schizophyllum commune)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、マイタケ(Grifola frondosa)、マツタケ(Tricholoma matsutake)、ヤナギマツタケ(Agrocybe cylindracea)、カワラタケ(Coriolus versicolor)、ヌメリイグチ(Suillus luteus)、ハナイグチ(Suillus grevillei)、アミハナイグチ(Boletinus cavipes)、オンシメジ(Lyophyllum shimeji)などの菌類、ドクゼリモドキ(Ammi majus)、タマネギ(Allium cepa)、ニンニク(Allium sativum)、セロリ(Apium graveolens)、アスパラガス(Asparagus officinalis)、テンサイ(Beta vulgaris)、カリフラワー(Brassica oleracea var.botrytis)、メキャベツ(Brassica oleracea var.gemmifera)、キャベツ(Brassica oleracea var.capitata)、セイヨウアブラナ(Brassica napus)、ヒメウイキョウ(Carum carvi)、キク(Chrysanthemum morifolium)、ドクニンジン(Conium maculatum)、オウレン(Coptis japonica)、キクニガナ(Cichorium intybus)、カザリカボチャ(Curcurbita pepo)、アメリカチョウセンアサガオ(Datura meteloides)、ニンジン(Daucus carota)、カーネーション(Dianthus caryophyllus)、ソバ(Fagopyrum esculentum)、ウイキョウ(Foeniculum vulgare)、イチゴ(Fragaria chiloensis)、ダイズ(Glycine max)、ヒヤシンス(Hyacinthus orientalis)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、レタス(Lactuca sativa)、セイヨウミヤコグサ(Lotus corniculatus)、ミヤコグサ(Lotus japonicus)、トマト(Lycopersicon esculentum)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)、タバコ(Nicotiana tabacum)、イネ(Oryza sativa)、パセリ(Petroselinum hortense)、エンドウ(Pisum sativum)、セイヨウバラ(Rosa hybrida)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、コムギ(Triticum aestivum)、トウモロコシ(Zea mays)などの有用植物、キンギョソウ(Antirrhinum majus)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、クロトン(Codiaeum variegatum)、シクラメン(Cyclamen persicum)、ポインセチア(Euphorbia pulcherrima)、ガーベラ(Gerbera jamesonii)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ゼラニウム(Pelargonium hortorum)、ペチュニア(Petunia hybrida)、セントポーリア(Saintpaulia ionatha)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)、トレニア(Torenia fournieri)、シロツメクサ(Trifolium repens)、シンビジウム属(Cymbidium)などの観賞植物、インドセンダン(Azadirachta indica)、ミカン属(Citrus)、アラビアコーヒーノキ(Coffea arabica)、ユーカリ属(Eucalyptus)、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)、セイヨウヒイラギ(Ilex aquifolium)、カラタチ(Poncirus trifoliata)、アーモンド(Prunus amygdalus)、カナダポプラ(Populus canadensis)、コノテガシワ(Biota orientalis)、スギ(Cryptomeria japonica)、ドイツトウヒ(Picea abies)、マツ属(Pinus)、ブドウ(Vitis vinifera)、リンゴ(Malus pumila)、アンズ(Prunus armeniaca)、カキ(Diospyros kaki)、イチジク(Ficus carica)、ニホングリ(Castanea crenata)などの有用樹木などの種子、葉部、茎頂部、茎部、根部、葯、花糸、成長点(頂芽、側芽、茎頂、根端)、腋芽、りん片、子房、胚珠、胚、花粉、不定芽、不定胚、不定根などの植物組織もしくは植物細胞などが挙げられる。
本発明の生物培養装置は、前記したような生物を培養する工程を含む広範な分野への適用が可能であり、例えば、食品検査、水質検査、土壌検査、微生物の自然界からの分離、無菌苗の生産、食中毒検査、器具・機械などの細菌検査、水産物のウイルス検査、畜産物のウイルス検査、農産物のウイルス検査、飲料水検査、疫学調査、食料生産、酸素生産、アミノ酸・ビタミン類・酵素類の生産、抗生物質生産などに用いる生物の培養に適用し得る。
なお、本発明の生物培養装置は、本発明の効果からみて無菌条件下で種々の操作を行なうのが好ましく、無菌状態で密封して保存されていることが好ましい。
また、もう1の実施形態において、本発明の生物培養装置は、一旦前述のように培養基を保持させた微多孔質体から水分を実質的に除去し、生物の培養に使用する前にその除去した量の水分を添加して再生させることもできる。微多孔質体からの水分の除去は加熱、減圧、凍結乾燥など通常行われている方法を用いることができる。なお、ここで培養基の水分を実質的に除去するとは、培養基を保持した微多孔質体を加熱乾燥するか、または減圧条件に付す、好ましくは凍結乾燥に付して培養基中の大部分、好ましくは微多孔質体に保持される培養基重量の70〜100%の水分を除去した状態をいう。
さらに、もう1の実施形態において、本発明の生物培養装置は、前記の培養基を保持した1またはそれを超える微多孔質体と、該微多孔質体を密閉可能な状態で保持する保持手段とを含む生物培養装置とすることもできる。この実施形態の生物培養装置としては、例えば、図2に示すような培養基を保持した複数のディスク型の微多孔質体1とそれを密閉可能に保持し得る保持体3からなるラック型の生物培養装置が挙げられる。このラック型の生物培養装置は、使用する前または培養する期間は、微多孔質体1を層状に保持できるため、空間を有効に利用することができる。また、図3に示すような培養基を保持した複数のディスク型の微多孔質体1を密閉可能に保持し得るパレット型の生物培養装置ともし得る。このパレット型の生物培養装置においては、微多孔質体1は取り外しが可能であり、蓋を閉めることによって各々の区画内に独立して収容することができ、それによって、複数の種類の異なる生物や培地組成などの培養条件を変化させた状態で比較しつつ培養することができる。
また、本発明の生物培養装置は、図4に示すような微多孔質体がキャップ4によって密封される携帯性ペン型の生物培養装置とすることもできる。この携帯性ペン型の生物培養装置は、外部での生物の採取に適し、採取時にキャップを外して、培養基を保持した微多孔質体の先端部分を目的とする検体に接触させることにより生物を採取することができる。その後、再度キャップを被せて研究室などに持ち帰り、キャップを外してより規模の大きな培地などに微多孔質体の先端をストリークするなどして生物を移し、そこで培養することができる。この態様の生物培養装置でも、微多孔質体1は取り外しが可能であり、採取後に取り外して新たな微多孔質体を装着することが可能である。
また、本発明は、前記の生物培養装置を用いて微生物を定性的または定量的に検査する方法も提供する。最初に、前記の微多孔質体の毛細管力によって培養基を保持させた微多孔質体を滅菌するか、あるいは、予め滅菌した微多孔質体に予め滅菌した培養基を無菌条件下で保持させる。ついで、目的とする検体、すなわち、培養する微生物が存在する食品、河川水、海水、土壌、器具、機械、飲料水、水産物、畜産物、農産物、人体試料、ならびに動物および植物試料などの物体を該微多孔質体と直接接触させるか、または綿棒または白金針などを用いて該物体から分離した微生物などの生物を該微多孔質体に間接的に付着させる。あるいは、その綿棒または白金針などに付着した生物を水に懸濁し、その一定量を該微多孔質体に平板する。その後、目的の生物が付着した微多孔質体をかかる生物に適した条件下で一定の期間培養して、該微多孔質体の表面上に形成されたコロニーまたは細胞塊などを目視または実体顕微鏡などの下で観察または計数する。観察または計数する際には、所望により種々の色素を用いて生物を染色することもできる。
また、本発明の検査方法では、微多孔質体に保持させた培養基のみで培養を行なうため、培養する継続期間は−50〜300℃にて6ヶ月未満、好ましくは3ヶ月未満、より好ましくは30日未満である。
また、本発明は、前記の生物培養装置を用いて生物を比較的長期間にわたって培養する方法も提供する。この培養方法では、前記の検査方法と同様に微多孔質体に目的の生物を付着させた後、かかる生物に適した条件下で培養し、一定の間隔で一定量の培養基を外部から補充する。添加する培養基の量は、微多孔質体の重量減少などを測定することによって求めることができる。
上述した本発明の培養方法では、順次、一定量の培養基を補充するため、原則的には永続的な培養が可能であるが、培養する継続期間は、対象となる生物にもよるが、通常−50〜300℃にて2年未満、好ましくは1年未満、より好ましくは6ヶ月未満である。
【実施例】
本発明に係る生物培養装置を用いて生物細胞の培養が可能であることを明確にするために、以下の装置および試料を用いて実験を行った。
植物組織の培養実験
(1)生物培養装置
村上粘土(新潟県産)にアルミナ(Al)を50重量%含有させて、1250℃で24時間焼成させることによって製造した外径2.1cm、内径1.5cm、高さ6.5cmの円筒型の微多孔質体(河鈴窯業合資会社製、製造番号CP0652115KS、水分保持率18.03%(wt/wt)、空隙率36.80%(vol/vol)、嵩密度2.041(g/cm))を1L容量のビーカーに入れてその開口部をアルミホイルで密閉し、161℃にて2時間乾熱滅菌した。一方、ナフタレン酢酸(NAA)およびベンジルアデニン(BA)を各々2ppm含有する脱分化用MS液体培養基をオートクレーブで滅菌し、クリーンベンチ内で、前記の滅菌した微多孔質体を十分な量の該培養基に浸漬した。6時間放置して微多孔質体に培養基を保持させた後に、微多孔質体を培養基から取出して、表面に付着した余分な培養基を除去し、上記と同様の条件で乾熱滅菌した培養試験管に入れて生物培養装置−1とした。
PCTG No.1土(東濃碍子株式会社)を1300℃にて48時間焼成させることによって製造した、直径8.0cm、厚さ0.8cmのディスク型の微多孔質体(東濃碍子株式会社製、製造番号CD0088000 TG(T1)、水分保持率8.95%(wt/wt)、空隙率18.20%(vol/vol)、嵩密度2.03g/cm)))に、前記と同様にしてMS培養基を保持させ、ペトリ皿に入れて生物培養装置−2とした。
(2)供試材料
供試材料として、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)columbiaの幼植物体および糸状菌(Penicillium chrysogenum)、ならびに細菌(Bacillus subtilis)を用いた。シロイヌナズナ幼植物体(5mm)は、流水で洗浄した後、70%エタノール中に数秒間浸漬し、5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬して滅菌処理したリーフピースを用いた。
(3)培養
無菌条件下で円筒型の生物培養装置−1の上端部にシロイヌナズナのリーフピースを置床し、試験管の開口部を再度密閉して26℃、3000lux連続照明下で培養した。また、同様にして円筒型の生物培養装置−1の上端部に糸状菌を植菌し、同条件下で培養した。また、糸状菌はディスク型の生物培養装置−2の中央部にも植菌し、同条件下で培養した。さらに、細菌である枯草菌の懸濁液をディスク型の生物培養装置−2の中央部に塗布し、同条件下で培養した。
(4)結果
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)columbiaリーフピース
上記のようにして生物培養装置−1に置床したシロイヌナズナ・リーフピースのカルス化の有無およびカルスの直径を表1および2に示す。また、培養0、10および21日後の状態を、各々、図5〜7に示す。


糸状菌(Penicillium chrysogenum)菌叢
上記のようにして生物培養装置−1および−2に植菌した糸状菌の菌叢拡大の推移を表3および4に示す。また、円筒型の生物培養装置−1において培養した糸状菌の培養4、10および13日後の状態を、各々、図8〜10に、ディスク型の生物培養装置−2において培養した糸状菌の培養0、13、21および24日後の状態を、各々、図11〜14に示す。


細菌(Bacillus subtilis)菌叢
上記のようにして生物培養装置−2に塗布した細菌の菌叢拡大の推移を表5に示す。また、ディスク型の生物培養装置−2において培養した細菌の培養6および13日後の状態を、各々、図15および16に示す。

これらの結果より、本発明の生物培養装置により、実際に、生物培養装置の形状に拘束されることなく、植物を脱分化させることができ、また、糸状菌および細菌を増殖させて菌叢を目視で検査できることが確認された。
産業上の利用分野
簡便に調製することができ、長期間にわたって保存しておくことができ、温度や圧力、使用する培養基の種類およびpHや培養する生物の種類を制限することなく、滅菌して洗浄した後に再利用が可能な生物培養装置を提供できる。また、表面上の微生物のコロニーなどを計数することにより正確に検査することができ、また、培養した植物などを微多孔質体から無傷で分離することができる。さらに、宇宙空間などでの微生物ないし植物などの生物の培養ないし生育に関しても、安全性が高く、調製する際の酸素消費や重量増加に伴うコスト増を抑えることができ、無重力条件下でも培養基が微多孔質体から遊離することなく生物を好適に培養ないし生育することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養基を保持した微多孔質体を含み、該微多孔質体の表面上で生物を培養する生物培養装置。
【請求項2】
微多孔質体が、該微多孔質体に対して5〜300%(wt/wt)の培養基を保持する請求項1記載の生物培養装置。
【請求項3】
微多孔質体が有する毛細管力により保持される量の培養基を保持する請求項1または2記載の生物培養装置。
【請求項4】
土壌を含まない請求項1〜3いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項5】
微多孔質体の空隙径が5μm以下である請求項1〜4いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項6】
微多孔質体の空隙率が10〜80%(vol/vol)である請求項1〜5いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項7】
該微多孔質体が非金属無機質固体材料の焼成物であって、5〜50%(wt/wt)の培養基を保持する請求項1〜6いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項8】
該微多孔質体が非金属無機質固体材料の焼成物であって、空隙率が10〜50%(vol/vol)である請求項1〜7いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項9】
該微多孔質体が連続気泡型プラスチックフォームであって、10〜300%(wt/wt)の培養基を保持する請求項1〜6いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項10】
該微多孔質体が連続気泡型プラスチックフォームであって、空隙率が10〜80%(vol/vol)である請求項1〜6または9いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項11】
無菌状態に密封した請求項1〜10いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項12】
培養する生物が微生物である請求項1〜11いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項13】
微生物が細菌、酵母または糸状菌である請求項12記載の生物培養装置。
【請求項14】
食品検査用である請求項13記載の生物培養装置。
【請求項15】
培養する生物が植物である請求項1〜11いずれか1項記載の生物培養装置。
【請求項16】
保持した培養基を乾燥させて培養基中の水分を実質的に除去した微多孔質体を含む生物培養装置であって、生物を培養する前に乾燥させた量の水分を添加した微多孔質体の表面上で生物を培養する生物培養装置。
【請求項17】
培養基を保持した1またはそれを超える微多孔質体と、該微多孔質体を密閉可能な状態で保持する保持手段とを含み、該微多孔質体の表面上で生物を培養する生物培養装置。
【請求項18】
(1)微多孔質体の毛細管力によって培養基を保持させた微多孔質体を滅菌し、あるいは、予め滅菌した微多孔質体に予め滅菌した培養基を無菌条件下で保持させ;
(2)検体を該微多孔質体と接触させ;ついで
(3)該微多孔質体を一定条件下で一定期間培養した後に、該微多孔質体上に形成されたコロニーを計数する
ことを含む微生物の検査方法。
【請求項19】
工程(3)の培養を、−50〜300℃にて6ヶ月未満行う請求項18記載の検査方法。
【請求項20】
微生物が細菌、酵母または糸状菌である請求項18または19記載の検査方法。
【請求項21】
食品に存在する微生物を検査する請求項18〜20いずれか1項記載の検査方法。
【請求項22】
(1)微多孔質体の毛細管力によって培養基を保持させた微多孔質体を滅菌し、あるいは、予め滅菌した微多孔質体に予め滅菌した培養基を無菌条件下で保持させ;
(2)生物を該微多孔質体の表面に付着させ;ついで
(3)該微多孔質体を一定条件下で一定期間培養した後に、該微多孔質体が保持する培養基の量が該微多孔質体の毛細管力により保持される量となるように、該微多孔質体に培養基を順次補充することを含む生物培養方法。
【請求項23】
培養する生物が微生物である請求項22記載の生物培養方法。
【請求項24】
微生物が細菌、酵母または糸状菌である請求項22または23記載の生物培養方法。
【請求項25】
該生物が植物である請求項22記載の生物培養方法。

【国際公開番号】WO2004/101736
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506259(P2005−506259)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006870
【国際出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【出願人】(594161884)ハイトカルチャ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】