説明

生物学的に活性なペプチド

【課題】免疫応答を変調することのできる生物学的に活性なポリペプチドを提供する。
【解決手段】30個の実質的に純粋かつ生物学的に活性なペプチド、生物学的に活性なペプチドをコードしている配列を有する核酸およびそれから生産される医薬処方。該ペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫学の分野に関する。特に、本発明は、免疫応答を変調することのできるペプチドおよびその医薬組成物に向けられる。
【背景技術】
【0002】
ペプチドは、疾患の治療の分野において、医薬組成物として知られている。例えば、特許文献1は、平滑筋細胞の成長に対する阻害活性を有し、したがって、動脈硬化症、血管形成後の再狭窄、血管移植後の管腔狭窄および平滑筋肉腫などの平滑筋細胞の成長に関連する病理学的状態の予防および治療に有用なペプチドを開示する。特許文献2は、重量増加、上皮増殖帯の活性および毛髪成長などの生理学的プロセスを変調することが見出された別のペプチドを開示する。
【特許文献1】米国特許第6,191,113号
【特許文献2】米国特許第6,184,208号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、生物学的に活性なポリペプチドを同定することにある。多くのペプチドが、標準的な化学的方法によって合成され、その生物学的活性についてスクリーンされた。該ペプチドには、CMSの後に番号を付したコードを与える。全部で30個のペプチドが、イン・ビボ生物学的活性を有すると同定された。これらの生物学的に活性なペプチドの配列および対応するID番号を表Aに示す。
【0004】
【表1】

【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の1の態様は、配列番号1ないし配列番号30として同定された配列を有する実質的に純粋なペプチドに関する。かくして、本発明は、また、配列番号1−30からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドに関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されたアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチドに関する。特定の具体例において、該ペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調することができる。
【0006】
本発明の別の態様は、配列番号1−30として同定された配列を有するペプチドの機能的誘導体である実質的に純粋なペプチドに関する。かくして、本発明は、また、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸の機能的誘導体であるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドに関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列の機能的誘導体であるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチドに関する。特定の具体例において、機能的誘導体である該ペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調することができる。
【0007】
本発明の別の態様は、配列番号1ないし30として上記で同定されたペプチドをコードしている配列を有する核酸に関する。本発明のさらなる態様は、配列番号1ないし30として下記に示されるペプチドの核酸配列を含有する発現ベクターに関する。かくして、本発明の該態様は、また、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターに関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、ペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターに関する。本発明は、また、配列番号1−30からなる群から選択される生物学的に活性なアミノ酸配列の機能的誘導体を含むペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターに関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択される生物学的に活性なアミノ酸配列の機能的誘導体である機能的アミノ酸配列からなる、ペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターに関する。
【0008】
また、本発明の別の態様は、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドの隣りにリーダーまたはシグナルペプチドを含有するハイブリッドペプチドに関する。本発明は、また、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドの機能的誘導体を含むペプチドの隣りにリーダーペプチドを含有するハイブリッドペプチドに関する。
【0009】
本発明は、また、配列番号1−30からなる群から選択される生物学的に活性なアミノ酸配列の機能的誘導体である機能的アミノ酸配列を含むペプチドの隣りにリーダーアミノ酸配列を含むペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターに関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択される生物学的に活性なアミノ酸配列の機能的誘導体である機能的アミノ酸配列からなる、ペプチドの隣りにリーダーアミノ酸配列を含むペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターに関する。
【0010】
特定の具体例において、上記の遺伝子ベクターのいずれかにおいて生産されたペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調することができる。
また、本発明の別の態様は、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含むゲノムを有する微生物に関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、ペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含むゲノムを有する微生物に関する。
【0011】
また、本発明の別の態様は、配列番号1−30からなる群から選択される生物学的に活性なアミノ酸配列の機能的誘導体である機能的アミノ酸配列を含む外来性ペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝物質を有する微生物に関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択される生物学的に活性なアミノ酸配列の機能的誘導体である機能的アミノ酸配列からなる、外来性ペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝的構成物を有する微生物に関する。本明細書で使用される場合、外来性ペプチドなる語は、天然の非修飾形態の微生物によって正常に発現されるいずれか他のペプチドとは異なるアミノ酸配列を有するペプチドをいう。
【0012】
また、本発明の別の態様は、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドの隣りにリーダーアミノ酸配列を含む外来性ハイブリッドペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝的構成物を有する微生物に関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、ペプチドの隣りにリーダーアミノ酸配列を含むハイブリッドペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含むゲノムを有する微生物に関する。
【0013】
また、本発明の別の態様は、配列番号1−30からなる群から選択される生物学的に活性なアミノ酸配列の機能的誘導体である機能的アミノ酸配列を含むペプチドの隣りにリーダーアミノ酸配列を含む外来性ハイブリッドペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝的構成物を有する微生物に関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択される生物学的に活性なアミノ酸配列の機能的誘導体である機能的アミノ酸配列からなる、ペプチドの隣りにリーダーアミノ酸配列を含む外来性ハイブリッドペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝的構成物を有する微生物に関する。
【0014】
特定の具体例において、上記の微生物のいずれかにおいて生産されたペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調することができる。
【0015】
また、本発明の別の態様は、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物に関する。本発明は、また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物に関する。
本発明は、また、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列の機能的誘導体を含む実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物に関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列の機能的誘導体からなる、実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物に関する。さらに、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列の機能的誘導体からなる、実質的に純粋なペプチドからなる医薬組成物に関する。
【0016】
特定の具体例において、上記の医薬組成物のいずれかにおいて存在するペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調することができる。
【0017】
また、本発明のさらに別の態様は、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドを提供し;次いで、該実質的に純粋なペプチドを医薬上許容される担体と混合することを特徴とする、医薬組成物の製造法に関する。また、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチドを提供することを特徴とする、医薬組成物の製造法に関する。
本発明の別の態様は、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列の機能的誘導体であるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドを提供し;次いで、該実質的に純粋なペプチドを医薬上許容される担体と混合することを特徴とする、医薬組成物の製造法である。
【0018】
さらに、本質的に、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列の機能的誘導体であるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチドを提供することを特徴とする、医薬組成物の製造法に関する。
上記の方法のいずれかに関し、該ペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調することができる。
【0019】
また、本発明のさらなる態様は、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドの医薬上有効量をヒトに投与することを特徴とする、ヒトの治療法に関する。また、配列番号1−30からなる群から選択されるアミノ酸配列の機能的誘導体であるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドの医薬上有効量を投与することを特徴とする、ヒトの治療法に関する。
特定の具体例において、上記のヒトの治療に使用されるペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調するために使用されうる。
【0020】
上記の核酸配列に関し、これらの核酸配列から発現されるペプチドおよび/またはハイブリッドペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調することができる。
本発明の別の態様は、配列番号1ないし配列番号30の配列を有する実質的に純粋なペプチドの医薬上有効量を投与することを特徴とする、疾患の治療法に関する。特定の具体例において、そのように投与されるペプチドは、限定するものではないが、免疫活性;限定するものではないが、B型肝炎感染を包含する肝炎感染;腎炎;限定するものではないが、肉腫、肝臓癌、白血病および黒色腫を包含する癌の成長;および体重のうち1以上を変調することができる。
【0021】
上記のように、本発明の別の具体例は、本質的に本発明のペプチドからなる、ペプチドまたはポリペプチドである。本明細書で使用される場合、「本質的に、・・・からなる」なる語は、カルボキシおよび/またはアミノ末端に付加的なアミノ酸を有する本発明のペプチドのアミノ酸配列を包含し、かつ、本明細書において提供される本発明のペプチドの活性を維持するペプチドまたはポリペプチドをいう。かくして、非制限的な例として、本発明のペプチドの活性が免疫活性を変調することである場合、「本質的に、本発明のペプチドからなる」ペプチドまたはポリペプチドは、該ペプチドに関して本明細書において提供されるような免疫活性を変調する活性を有し、かつ、該ペプチドまたはポリペプチドの免疫活性変調能を著しく減少するかまたは免疫活性のモジュレーターとしての該ペプチドの基本的かつ新規な特徴の具体的変化を構成するいずれの特徴も有さないであろう。かくして、上記の例において、免疫活性の変調以外の一次活性を有し、本発明のペプチドのアミノ酸配列をどこかに含有する全長の天然ポリペプチドは、「本質的に、本発明のペプチドからなる」ペプチドまたはポリペプチドを構成しない。同様に、上記の例において、免疫活性の変調以外の一次活性を有するが、本発明のペプチドのアミノ酸配列をどこかに含む遺伝子操作されたペプチドまたはポリペプチドは、「本質的に、本発明のペプチドからなる」ペプチドまたはポリペプチドを構成しない。
【0022】
上記の説明に用いられた免疫活性変調の例のほかに、本発明のペプチドのために提供された活性に関する全てのペプチドに、上記の定義が適用される。特に、上記の定義は、下記に詳述されるように、ウイルス感染の程度の変調、肝炎感染の程度の変調、腎炎の程度の変調、癌の成長の変調または体重の変調における活性を有する本発明のペプチドに適用する。
当業者は、上記の定義のもとに、本発明の特定のペプチドに関して本明細書に提供される免疫活性の変調、ウイルス感染の程度の変調、肝炎感染の程度の変調、腎炎の程度の変調、癌の成長の程度の変調または体重の変調に関するアッセイを用いてペプチドまたはポリペプチドの活性を測定することによって、ペプチドまたはポリペプチドが本質的に本発明のペプチドからなるかどうかを容易に決定できる。
【0023】
好ましい具体例において、「本質的に、・・・からなる」なる語は、本発明のペプチドのほかに20個未満のアミノ酸残基を有するペプチドまたはポリペプチドをいう。より好ましい具体例において、該用語は、本発明のペプチドのほかに15個未満のアミノ酸残基を有するペプチドをいう。まだより好ましい具体例において、該用語は、本発明のペプチドのほかに10個未満のアミノ酸残基を有するペプチドをいう。別の好ましい具体例において、該用語は、本発明のペプチドの1つのほかに6個未満のアミノ酸を有するペプチドまたはポリペプチドをいう。別の好ましい具体例において、該用語は、本発明のペプチドの1つのほかに4個未満のアミノ酸を有するペプチドまたはポリペプチドをいう。最も好ましい具体例において、本発明のペプチドの1つのほかに2個未満のアミノ酸を有するペプチドまたはポリペプチドをいう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ペプチドは、標準的な合成法によって、L−アミノ酸から容易に合成できるが、また、個々のペプチドをコードしている配列を有する核酸を用いて遺伝子操作方法によって合成してもよい。
【0025】
I.生物学的活性
ペプチドの可能性のある生物学的活性を研究するために、動物モデルに対するペプチドの免疫学的影響を、中華人民共和国の衛生部によって発行された「新規薬物の前臨床研究の原理」[1]に従う手法で調べた。
Tリンパ球形質転換試験、NK細胞細胞毒活性試験およびTリンパ球IL−2およびIFN−γ分泌試験を用いて、特異的細胞免疫機能に対するペプチドのいずれかの可能性のある影響を検出した。炭素粒子クリアランス試験を用いて、非特異的細胞免疫機能に対するペプチドのいずれかの可能性のある影響を検出した。ヒツジ赤血球(SRBC)溶血試験を用いて、体液性免疫機能に対するペプチドのいずれかの可能性のある影響を検出した。免疫器官重量試験を用いて、該器官レベルにてペプチドのいずれかの可能性のある影響を検出した。
【0026】
該研究において、セーライン群を負の対照として用い、一方、IL−2およびIFN−γはよく研究された免疫賦活剤なので[10]、IL−2およびIFN−γ群を正の対照として用いた。1000倍投与量範囲に及ぶまでの4つの任意の濃度の試料ペプチドを該研究に用いた。イン・ビボ免疫学的応答の内因性の複雑さのため、および投与量対応答機能における事前知識の欠如のため、いずれかの投与量群における負の対照を超えるいずれかの統計学的に有意な差を、正の生物学的活性として記録した。
【0027】
該研究の結果は下記のとおりであった:
1.ペプチドCMS001、CMS002、CMS003、CMS007、CMS008、CMS009、CMS010、CMS011、CMS012、CMS015、CMS019、CMS021、CMS029およびCMS034は、Tリンパ球形質転換を増強することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見いだされた。ペプチドCMS014およびCMS036はまた、Tリンパ球形質転換を阻害することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見いだされた。
【0028】
2.ペプチドCMS001、CMS002、CMS003、CMS008、CMS009、CMS010、CMS011、CMS012、CMS013、CMS015、CMS016、CMS020、CMS021、CMS022、CMS023、CMS024、CMS026、CMS027、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、NK細胞の細胞毒活性を増加することができ、セーライン正常対照群に対する統計学に有意な差を有することが見いだされた。ペプチドCMS008およびCMS012はまた、適当な濃度で、NK細胞の細胞毒活性を減少することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された。
【0029】
3.ペプチドCMS001、CMS003、CMS007、CMS009、CMS010、CMS011、CMS012、CMS015、CMS020、CMS022およびCMS034は、Tリンパ球によるインターロイキン−2(IL−2)の分泌を増強することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された。
【0030】
4.ペプチドCMS001、CMS003、CMS009、CMS010、CMS011、CMS012、CMS013、CMS016、CMS021、CMS022およびCMS028は、Tリンパ球によるIFNの分泌を増強することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された。
【0031】
5.ペプチドCMS001、CMS002、CMS003、CMS007、CMS008、CMS009、CMS010、CMS011、CMS012、CMS013、CMS014、CMS015、CMS016、CMS018、CMS019、CMS020、CMS021、CMS022、CMS023、CMS024、CMS026、CMS027、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、抗原性攻撃における抗−SRBC抗体の合成を増強することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された。ペプチドCMS002、CMS003、CMS009、CMS010、CMS011、CMS013、CMS014、CMS015、CMS018、CMS019、CMS020、CMS026、CMS028、CMS029、CMS030、CMS034およびCMS036は、適当な濃度にて、抗原性攻撃における抗−SRBC抗体の合成を阻害することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された。
【0032】
6.ペプチドCMS003、CMS008、CMS009、CMS010、CMS011、CMS013、CMS016、CMS018、CMS019、CMS020、CMS022、CMS024、CMS027、CMS030、CMS035、CMS036は、単核食細胞の食作用活性を増強することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的有意差を有することが見出された。
【0033】
7.ペプチドCMS001、CMS002、CMS008、CMS010、CMS012、CMS013、CMS014、CMS015、CMS016、CMS018、CMS019、CMS020、CMS021、CMS022、CMS023、CMS024、CMS026、CMS027、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、胸腺の重量を増加することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された。
【0034】
8.ペプチドCMS019、CMS020およびCMS030は、脾臓の重量を増加することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された。ペプチドCMS001、CMS003、CMS007、CMS008、CMS009、CMS010、CMS011、CMS013、CMS014、CMS015、CMS021、CMS023、CMS024、CMS027、CMS029およびCMS036はまた、適当な濃度にて、脾臓の重量を減少することができ、セーライン正常対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された。
【0035】
マウスに対する該ペプチドの影響を分析するために使用された材料および方法を下記する。
【0036】
材料
1.実験動物
中華人民共和国の国立医学研究所(National Institute of Medical Science)、実験動物センターによって提供されたBALB/cマウス、体重18−22g、50%雌および50%雄。
2.投与
組み換えマウスIFN−γ(rmIFN−γ)群:3x10IU/kg/日
組み換えヒトIL(rhIL)−2群:3x10IU/kg/日
セーライン群:0.5ml/各/日
ペプチド投与量I群:500μg/kg/日
ペプチド投与量II群:50μg/kg/日
ペプチド投与量III群:5μg/kg/日
ペプチド投与量IV群:0.5μg/kg/日
上記物質を全て、0.5mlセーライン中に溶解し、1日に1回、15日間連続で、腹膜内(i.p.)注射した。
【0037】
3.主要な試薬
ペプチドは、American Peptide Company, Inc., USAで注文製造した。
胎仔ウシ血清およびRPMI−1640細胞培養培地(Gibco, USA)
MTTおよびConA(Sigma, USA)
rmIFN−γ(Beijing Biotech Inc., China)
rhIL−2(Shanghai Huaxin Biotech Inc., China)
リンパ球分離溶液(Research Institute of Hematologic Disease, National Institute of Medical Science, PR China)
水疱性口内炎ウイルス(VSV)、IFN−γおよびIL−2標準試料(National Institute For Control of Pharmaceutical and Biological Products, PR China)
HT−2細胞およびL929細胞(中華人民共和国、北京大学免疫学部のWF Chen教授からの贈与物)
【0038】
方法
1.細胞性免疫に対するペプチドの影響
1.1脾臓細胞懸濁の調製[1,2]
BALB/cマウスを無作為に、ペプチド、IFN、IL−2、およびセーライン群に分けた。1群あたりマウス10匹。最後の試験物質投与の次の日に、マウスを頚部脱臼によって殺した。脾臓を無菌状態で単離し、注射針を用いて、冷D−Hank溶液中に手動で分散させた。分散した細胞懸濁をさらに、100ゲージ150μm直径のステンレススチールシーブにより篩い分けした。200gで10分間の遠心分離後、上清を廃棄した。細胞ペレットを10容量のTris−NHClバッファー中に再懸濁し、次いで、室温で10分間静置させた。懸濁した細胞を150gで10分間の遠心分離によって収集した。細胞を、再懸濁および上記条件の遠心分離による収集によって、冷D−Hank溶液で2−4回洗浄した。洗浄した細胞を次いで、10%胎仔ウシ血清を含有するRPMI−1640培養培地により、所望の細胞密度に希釈した。
【0039】
1.2Tリンパ球形質転換に対するペプチドの影響[1,2]
1x10/ml密度の脾臓細胞を96ウェル細胞培養プレート上に、100μl/ウェルにて、マウス1匹あたりアッセイ試料および対照試料の各々を3つの並行したウェルに置いた。アッセイウェルに、RPMI−1640中100μg/mlのConA 100μl/ウェルを加え、無添加のRPMI−1640 100μl/ウェルを対照に用いた。細胞を37℃、5%COで66時間インキュベートした。次いで、細胞を150gで10分間遠心分離によりペレット化した。上清を収集し、サイトカインIL−2およびIFN測定のために、−20℃で保存した。
【0040】
RPMI−1640中1mg/mlのMTT 50μl/ウェルを細胞ペレットに加え、2分間の振盪によって細胞を再懸濁させた。インキュベーションを4時間続けた。150gで10分間の遠心分離後に、上清を廃棄した。120μlの40mM HCl−2−プロパノールを細胞ペレットに加え、3分間振盪して、630nmをリファレンスとして各ウェルのOD570nmを得た。ELISAリーダーを用いた。
計算:
各マウスは、3つのアッセイウェルおよび3つの対照ウェルを構成した。各マウスの刺激指数(Stimulation Index(SI))を、まず、3つの並行ウェルの平均ODを求め、次いで、アッセイウェルの値を対照ウェルで除することによって得た。
【0041】
1.3NK細胞活性に対するペプチドの影響[3,4]
マウス脾臓細胞を上記セクション1.1に記載のように、4x10/mlに調製した。標的細胞YAC−1を対数期に導き、1x10/mlに調整した。96ウェル細胞培養プレートを用い、100μlのマウス脾臓細胞および100μlの培養培地を、脾臓細胞のみを含有する対照ウェルに加え;100μlの標的細胞および100μlの培養培地を、標的細胞のみを含有する対照ウェルに加え;100μlのマウス脾臓細胞および100μlの標的細胞をNK活性アッセイウェルに加えた。上記の3つの並行セットをマウス毎に調製した。
試料を150gで10分間遠心分離して、細胞を収集した。上清を廃棄し、1mg/mlのMTT 50μl/ウェルを加えた。次いで、反応混合物を2分間振盪し、37℃、5%COで4時間インキュベートした。150gで10分間の遠心分離後に、上清を廃棄した。120μlの40mM HCL−2−プロパノールを加え、3分間振盪した。ELISAリーダーを用いて、630nmをリファレンスとして各ウェルのOD570nmを得た。
【0042】
計算:
各マウスは、9ウェルを有した:3つが脾臓細胞のみの対照であり、3つが標的細胞のみの対照であり、3つが脾臓および標的細胞の両方を有するアッセイウェルであった。各マウスのNK細胞活性指数は、まず、各組合せの3つの並行ウェルの平均ODを求め、次いで、該平均ODを下記の式:
NK細胞活性指数=[1 − (脾臓および標的細胞ウェルの平均OD − 脾臓細胞のみのウェルの平均OD) ÷ (標的細胞のみのウェルの平均OD)] x 100%
に当てはめることによって得た。
【0043】
1.4 IL−2分泌における活性Tリンパ球に対するペプチドの影響[5]
対数期のHT−2細胞を150gで10分間の遠心分離によって収集し、再懸濁および遠心分離を用いて、冷Hank溶液で3回洗浄した。収集したHT−2細胞をRPMI−1640中に再懸濁し、37℃、5%COで30分間インキュベートした。再懸濁および遠心分離を用いて、細胞をRPMI−1640でさらに2回洗浄し、RPMI−1640を用いて2x10/mlの最終濃度に再懸濁した。
セクション1.2で得られた上清を、RPMI−1640を用いて下記のパーセンテージに希釈した:100%、50%、25%、12.5%、6.25%および3.125%。
rIL−2を、RPMI−1640を用いて下記の濃度に希釈した:500IU/ml、250IU/ml、125IU/ml、62.5IU/ml、31.25IU/mlおよび15.51IU/ml。
96ウェル細胞培養プレートに、1つの組合せにつき3つの並行ウェルを準備した。
【0044】
負の対照:100μl RPMI−1640+100μl HT−2細胞懸濁
rIL−2標準:100μl rIL−2溶液+100μl HT−2細胞懸濁
アッセイウェル:100μl 希釈した上清+100μl HT−2細胞懸濁
プレートを37℃、5%COで68時間インキュベートし、次いで、150gで15分間遠心分離し、上清を除去した。フェノールスルホンフタレイン不含のRPMI−1640中における0.5mg/mlMTT 100μlを各ウェルに加えた。3−4分間振盪させて細胞を再懸濁した後、さらに4時間インキュベートを続けた。次いで、試料を150gにて15分間遠心分離し、上清を除去した。各ウェルに、40mM HCl−2−プロパノール 120μlを加え、3−4分間混合し、ELISAプレートリーダーを用いて、630nmをリファレンスとして570nmでODを分析した。
【0045】
計算:
各希釈の3つの並行ウェルの平均ODを得、半対数方眼紙に濃度に対してプロットした(X軸に濃度)。50%OD飽和での濃度を、試験している上清およびrIL−2の両方について得た。
試料IL−2活性 = (50%最大作用での試料希釈度 ÷ 50%最大作用でのrIL−2標準希釈度) x 50%最大作用でのrIL−2標準の活性(IU/ml)
【0046】
1.5インターフェロン(IFN)の分泌におけるTリンパ球の活性に対するペプチドの影響[6]
セクション1.2由来の上清をRPMI−1640培養培地を用いて下記のパーセンテージに希釈した:100%、50%、25%、12.5%、6.25%および3.125%。
組み換えインターフェロン(rIFN)標準をRPMI−1640を用いて下記の濃度に希釈した:500IU/ml、250IU/ml、125IU/ml、62.5IU/ml、31.25IU/mlおよび15.51IU/ml。
対数期の標的細胞L929を、セクション1.4に記載のHT−2細胞と同じ処理を用いて、RPMI−1640で2x10/mlに調整した。ストックVSVもまた、RPMI−1640で100 TCID50に調整した。
【0047】
96ウェル培養プレートにおいて、下記のように、1組合せあたり3つの並行ウェルを準備した:
負の対照ウェル:150μl RPMI−1640 + 100μl L929
正の対照ウェル:100μl RPMI−1640 + 100μl L929 + 50μl VSV
rIFN活性ウェル:100μl rIFN標準 + 100μl L929 + 50μl VSV
アッセイウェル:100μl 希釈上清 + 100μl L929 + 50μl VSV
【0048】
試料を37℃にて5%COで24時間インキュベートした。正の対照ウェルを倒立顕微鏡下で周期的に観察して細胞溶解を確認し、次いで、収集、洗浄し、全ウェルのODをセクション1.4に記載のように読み取った。
計算:
50%最大作用での濃度をセクション1.4と同様に得た。試料のIFN活性を下記のように計算する:
試料IFN活性 = (50%最大作用での試料希釈度 ÷ 50%最大作用でのrIFN標準希釈度) x 50%最大作用での標準rIFN活性(IU/ml)
【0049】
2.抗体形成に対するペプチドの影響[7]
ヒツジ赤血球(SRBC)を、頚静脈から血液を採取することによって調製し、ガラスビーズが入った滅菌フラスコ中に置いた。該フラスコを3分間振盪し、次いで、血液をAlsever溶液(グルコース2.05g、NaCl0.4g、Naレモネード0.8g、蒸留水で100mlに調整)と混合し、4℃で保存した。使用直前に、試料を130gで5分間遠心分離して、SRBCを収集した。細胞を正常セーライン中、再懸濁および遠心分離によって2回洗浄した。次いで、細胞ペレットを180gで10分間の遠心分離によって収集し、セーライン中で再懸濁して、最終的に用いられるSRBC懸濁2%(v/v)を作成した。
【0050】
補体は、10容量の新鮮なテンジクネズミ血清を1容量の遠心分離パックしたSRBCに加え、次いで、4℃で30分間穏やかに振盪することによって、調製された。SRBCを200gで10分間の遠心分離によって除去した。10容量の正常セーラインを加えて、補体溶液を得た。
BALB/cマウスを無作為に、ペプチド群、IFN群、IL−2群およびセーライン群に1群あたり10匹で分けた。試験物質をセクション1.1に記載のように投与し、さらに、12日目に、1マウスあたり0.2ml SRBCを腹膜内注射した。最後の試験物質投与の次の日(16日目)に、血液を眼角から採取し、血清滲出のために、室温で1時間放置した。200gで10分間の遠心分離後、正常セーラインで血清を500倍希釈した。
【0051】
各マウスの1mlの希釈したマウス血清に、0.5ml SRBC懸濁を加えた。氷冷した。次いで、1mlの補体溶液を加え、37℃水浴で10分間インキュベートした。氷冷によって反応を停止させた。次いで、試料を200gで10分間遠心分離して、上清を得た。
1mlの該上清に、3ml Drabkin溶液を加え、室温で10分間放置した。OD540nmを得た。
計算:
リファレンスOD540nmを、0.25ml SRBC懸濁をDrabkin溶液と4mlに混合することによって得、室温で10分間放置した後、OD540nmを得た。
試料血清指数 = (試験試料のOD540nm ÷ リファレンスOD540nm) x 500
【0052】
3.単核食細胞の食作用機能および免疫器官の重量に対するペプチドの影響[8,9]
最後の試験物質投与の次の日(16日目)に、マウスに0.1ml/kg体重の墨汁(正常セーラインでの5倍希釈物)を尾の静脈から注射した。
墨汁注射の1分および5分後、ヘパリン処理した管を用いて、20μlの血液を眼角から得た。血液を2ml 0.1%w/v NaCOと混合し、次いで、OD680nmを得た。アウトライン・クリア指数Kを下記の式から算出した:
K=(lgA−lgA)÷(t2−t1)
キー:
A1:1分目のOD680nm
A2:5分目のOD680nm
t2:5分
t2:1分
【0053】
最後の試験物質投与の次の日(16日目)に、肝臓、脾臓および胸腺を分離し、ろ紙でブロットドライし、計量した。食作用指数αを下記のとおり算出した。
α=(3√K)(W÷WLS
キー:
W:体重
LS:肝臓および脾臓の重量
胸腺指数(%)=(胸腺重量/体重)x100%
脾臓指数(%)=(脾臓重量/体重)x100%
【0054】
結果
関与する大量の生データのため、実施した最終結果のみを提供する。また、セーライン負の対照に対する統計学的に有意な差のない群は省略する。
1.Tリンパ球形質転換に対するペプチドの影響
500μg/kg/日にて、CMS002、CMS007、CMS008、CMS010、CMS012、CMS015、CMS019、CMS021およびCMS029は、Tリンパ球形質転換を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS010およびCMS015は、下記の表1に示すように、IFN−γ群およびIL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0055】
【表2】

【0056】
50μg/kg/日にて、CMS001、CMS002およびCMS003は、Tリンパ球形質転換を刺激することができ、セーライン群、IFN−γ群およびIL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。CMS014およびCMS036は、Tリンパ球形質転換を阻害することができ、セーライン群に対する統計学的有意差(P<0.05)を有することが見出された。下記表2にデータを詳述する。
【0057】
【表3】

【0058】
5μg/kg/日にて、CMS001、CMS003、CMS007およびCMS034は、Tリンパ形質転換を刺激することができ、表3に示すように、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0059】
【表4】

【0060】
0.5μg/kg/日にて、CMS008、CMS010およびCMS011は、表4に示すように、Tリンパ形質転換を刺激でき、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0061】
【表5】

【0062】
2.NK細胞細胞毒活性に対するペプチドの影響
500μg/kg/日にて、CMS010、CMS013、CMS016、CMS023、CMS024、CMS026、CMS027、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、NK細胞細胞毒活性を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS010、CMS016およびCMS030は、表5に示すように、IFN−γ群およびIL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0063】
【表6】

【0064】
50μg/kg/日にて、CMS001、CMS003、CMS015、CMS021、CMS026およびCMS035は、NK細胞細胞毒活性を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS021は、IFN−γ群およびIL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。CMS012は、NK細胞細胞毒活性を阻害することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。下記表6にデータを詳述する。
【0065】
【表7】

【0066】
5μg/kg/日にて、CMS008、CMS009、CMS010、CMS011、CMS012、CMS020、CMS024、CMS034およびCMS036は、NK細胞細胞毒活性を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS008およびCMS009は、表7に示すように、IFN−γ群およびIL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有するとが見出された。
【0067】
【表8】

【0068】
0.5μg/kg/日にて、CMS002、CMS011、CMS012、CMS022、CMS028およびCMS035は、NK細胞細胞毒活性を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。CMS008は、NK細胞細胞毒活性を阻害することができ、セーライン群に対する統計学的有意差(P<0.05)を有することが見出された。下記表8にデータを詳述する。
【0069】
【表9】

【0070】
3.IL−2分泌におけるTリンパ球の活性に対するペプチドの影響
500μg/kg/日にて、CMS007、CMS009、CMS010およびCMS015は、Tリンパ球からのIL−2分泌を促進することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS007およびCMS015は、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS009およびCMS010は、表9に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0071】
【表10】

【0072】
50μg/kg/日にて、CMS001およびCMS003は、IL−2分泌におけるTリンパ球の活性を促進することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS003は、表10に示すように、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0073】
【表11】

【0074】
5μg/kg/日にて、CMS007、CMS012およびCMS020は、表11に示すように、IL−2分泌においてTリンパ球を促進することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0075】
【表12】

【0076】
0.5μg/kg/日にて、CMS010、CMS011、CMS012、CMS022およびCMS034は、IL−2分泌においてTリンパ球を促進することがで、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS034は、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS011およびCMS022は、表12に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0077】
【表13】

【0078】
4.IFN分泌におけるTリンパ球の活性に対するペプチドの影響
500μg/kg/日にて、CMS010、CMS013およびCMS016は、表13に示すように、インターフェロン(IFN)分泌においてTリンパ球を促進することができ、セーライン群、IFN−γ群およびIL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0079】
【表14】

【0080】
50μg/kg/日にて、CMS001、CMS003およびCMS021は、IFN分泌においてTリンパ球を促進することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS021は、表14に示すように、IFN−γ群およびIL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0081】
【表15】

【0082】
5μg/kg/日にて、CMS009およびCMS012は、IFN分泌においてTリンパ球を促進でき、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS009は、表15に示すように、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0083】
【表16】

【0084】
0.5μg/kg/日にて、CMS010、CMS011、CMS022およびCMS028は、IFN分泌においてTリンパ球を促進することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS010およびCMS022は、表16に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0085】
【表17】

【0086】
5.抗体形成に対するペプチドの影響
500μg/kg/日にて、CMS002、CMS003、CMS007、CMS008、CMS009、CMS010、CMS011、CMS012、CMS013、CMS014、CMS015、CMS016、CMS018、CMS019、CMS020、CMS022、CMS023、CMS024、CMS029、MS033およびCMS035は、抗−SRBC抗体形成を促進することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS002、CMS003、CMS007、CMS008、CMS013、CMS019、CMS024およびCMS035は、IFN−γ群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS009、CMS010、CMS011、CMS012、CMS014、CMS015、CMS016、CMS020、CMS023、CMS029およびCMS033は、表17に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0087】
【表18】

【0088】
50μg/kg/日に、CMS003、CMS011、CMS012、CMS013、CMS015、CMS021、CMS022、CMS023、CMS026、CMS027、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、抗−SRBC抗体形成を促進することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS011、CMS013およびCMS015は、IFN−γ群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS021、CMS022、CMS023、CMS026、CMS027、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。CMS009は、抗−SRBC抗体形成を阻害することができ、セーライン群に対する統計学的有意差(P<0.05)を有することが見出された。表18にデータを詳述する。
【0089】
【表19】

【0090】
5μg/kg/日にて、CMS001、CMS003、CMS007、CMS008、CMS009、CMS011、CMS012、CMS013、CMS015、CMS016、CMS019、CMS020、CMS021、CMS023、CMS024、CMS026、CMS027、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、抗−SRBC抗体形成を促進することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS003、CMS008、CMS009、CMS012、CMS015、CMS016、CMS020およびCMS021は、IFN−γ群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS001、CMS007、CMS011、CMS019、CMS023、CMS024、CMS026、CMS027、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、表19に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0091】
【表20】

【0092】
0.5μg/kg/日にて、CMS021、CMS023、CMS024、CMS027およびCMS033は、抗−SRBC抗体形成を促進することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS021およびCMS033は、IFN−γ群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS023、CMS024およびCMS027は、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS002、CMS003、CMS009、CMS010、CMS011、CMS013、CMS014、CMS015、CMS018、CMS019、CMS020、CMS026、CMS028、CMS029、CMS030、CMS034およびCMS036は、抗−SRBC抗体形成を阻害することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。下記表20にデータを詳述する。
【0093】
【表21】

【0094】
6.単核食細胞の食作用活性に対するペプチドの影響
500μg/kg/日にて、CMS003、CMS008、CMS020、CMS022およびCMS024は、単核食細胞の食作用活性を増強することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS022は、表21に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0095】
【表22】

【0096】
50μg/kg/日にて、CMS019、CMS024およびCMS030は、単核食細胞の食作用活性を増強することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS019は、表22に示すように、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0097】
【表23】

【0098】
5μg/kg/日にて、CMS003*、CMS008、CMS009、CMS010、CMS011、CMS013、CMS016、CMS018、CMS019およびCMS035は、単核食細胞の食作用活性を増強することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS003、CMS009、CMS010、CMS016、CMS019およびCMS035は、表23に示すように、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0099】
【表24】

【0100】
0.5μg/kg/日にて、CMS024、CMS027およびCMS036は、単核食細胞の食作用活性を増強することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS024は、表24に示すように、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0101】
【表25】

【0102】
7.免疫器官の重量に対するペプチドの影響
500μg/kg/日にて、CMS008、CMS010、CMS016、CMS019、CMS020、CMS022、CMS026、CMS027、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、胸腺の重量を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS027およびCMS034は、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS008、CMS022、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033およびCMS035は、表25に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差 (P<0.05)を有することが見出された。
【0103】
【表26】

【0104】
500μg/kg/日にて、CMS019は、表26に示すように、脾臓の重量を増加させることができ、セーライン対照群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。CMS001、CMS003、CMS007、CMS009、CMS011、CMS013、CMS014、CMS015、CMS021、CMS023、CMS024、CMS027およびCMS036は、脾臓の重量を減少することができ、セーライン対照群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。下記表26にデータを詳述する。
【0105】
【表27】

【0106】
50μg/kg/日にて、CMS002、CMS008、CMS012、CMS014、CMS016、CMS018、CM019、CMS020、CMS022、CMS023、CMS024、CMS026、CMS027、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034およびCMS036は、胸腺の重量を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS034は、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS002、CMS008、CMS012、CMS014、CMS016、CMS018、CMS019、CMS020、CMS022、CMS023、CMS024、CMS026、CMS027、CMS030、CMS032およびCMS036は、表27に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0107】
【表28】

【0108】
50μg/kg/日にて、CMS008、CMS010およびCMS029は、脾臓の重量を減少することができ、セーライン対照群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。下記表28にデータを詳述する。
【0109】
【表29】

【0110】
5μg/kg/日にて、CMS001、CMS002、CMS010、CMS011、CMS012、CMS013、CMS014、CMS015、CMS016、CMS018、CMS019、CMS020、CMS021、CMS022、CMS023、CMS024、CMS026、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034およびCMS036は、胸腺の重量を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS002、CMS014、CMS024およびCMS030は、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS010、CMS012、CMS018、CMS019、CMS020、CMS022、CMS026、CMS028、CMS032、CMS034およびCMS036は、表29に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0111】
【表30】

【0112】
5μg/kg/日にて、CMS030は、脾臓の重量を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。CMS015は、脾臓の重量を減少することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。下記表30にデータを詳述する。
【0113】
【表31】

【0114】
0.5μg/kg/日にて、CMS002、CMS008、CMS010、CMS012、CMS014、CMS018、CMS020、CMS022、CMS026、CMS028、CMS030およびCMS032は、胸腺の重量を増加することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。これらのペプチドの中でも、CMS008およびCMS012は、IL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、CMS002、CMS020およびCMS030は、表31に示すように、IFN−γ群およびIL−2群の両方に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0115】
【表32】

【0116】
0.5μg/kg/日にて、CMS020は、脾臓の重量を増加することができ、セーライン群、IFN−γ群およびIL−2群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。CMS001は、脾臓の重量を減少することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。下記表32にデータを詳述する。
【0117】
【表33】

【0118】
まとめると、発明者らは、ペプチドCMS001、CMS002、CMS003、CMS007、CMS008、CMS009、CMS010、CMS011、CMS012、CMS013、CMS014、CMS015、CMS016、CMS018、CMS019、CMS020、CMS021、CMS022、CMS023、CMS024、CMS026、CMS027、CMS028、CMS029、CMS030、CMS032、CMS033、CMS034、CMS035およびCMS036は、試験した動物モデルにおいて、イン・ビボで生物学的活性を有することを見出した。
【0119】
II.ペプチドのイン・ビボ抗ウイルス効果
これらのペプチドがウイルス感染に対して可能性のある治療効果を有するか否かを見出すために、発明者らは、該研究において、動物モデル アヒルB型肝炎感染を用いて、病気の動物に対する上記ペプチドのイン・ビボでの影響を試験した。
重慶(Chongqing)アヒルB型肝炎モデルを用意し、4週間、腹膜内注射(50μg/kg/日、1日1回)によってペプチド処理した。DHBV DNAの血清レベルを血清ドット−ブロットハイブリダイゼーションによって分析した。ラミブジン(lamivudine)および正常セーライン処理を各々、正および負の対照として用いた。ペプチドCMS001は、該処理の4週目に、DHBV DNAの血清レベルを減少させることができ、セーライン対照群に対する統計学的に有意な差(p<0.05)を有することが見出された。結果として、CMS001は適当な投与量レベルで、一部として、または単独で、ウイルス性肝炎感染管理に用いることができる。
【0120】
材料および方法
1.ペプチドは、American Peptide Company, Inc., USAでL−アミノ酸から注文製造した。
2.動物モデル[1]
1日齢の重慶アヒルに、アヒルB型肝炎ウイルス(DHBV)DNA陽性のストック血清(5×10コピー/ml)0.1mlを腹膜内注射によって接種した。1週間後、血液試料を外頚静脈から採取し、感染を、ジゴキシンで標識したDHBV DNAプローブを用いるドット−ブロットハイブリダイゼーションによって確認した[2]。アヒルは、研究に入るために、2週齢まで飼育した。
【0121】
3.グループ分けおよび処理
DHBV感染アヒルを下記の群に無作為化した:
a)負の対照群(n=9):アヒル1匹当たり1mlの正常セーラインを1日に1回、腹膜内注射した。
b)ラミブジン群(n=8):正の対照群とする。ラミブジン[4]50mg/kg/日を1日に1回、経口投与した。
c)ペプチド群(n=9):50μg/kg/日のペプチド(正常セーラインを用いて、最終容量を0.5ないし1mlに調整)を1日に1回、腹膜内注射した。
処理を4週間続け、処理の終了後さらに1週間、観察を続けた。処理を開始したとき、0、7、14、21、28および35日目に、1mlの血液試料をアヒルの外頚静脈から採取した。血液試料の血清をすぐに単離し[3]、分析まで−20℃で保存した。
【0122】
4.血清DHBV DNAレベル測定
キット製造元(Amersham Pharmacia Biotech Co.)の標識キットプロトコールにしたがって、DHBV DNAプローブを蛍光標識した。40μlのアヒル血清をニトロセルロース膜上にドット−ブロットし(1試料あたり2連のドット)、定量のために、蛍光標識したDHBV DNAプローブでハイブリダイズした[2]。ハイブリダイゼーション完了後、ブロットをCDP−Starフルオロメトリー試薬RPN3690中で発現させ、Vuego Scan(Brisa-620st)スキャナーでスキャンした。ImageMaster TotalLab v1.11.Inkソフトウェアをブロットの定量分析に用いた。統計分析は、SPSSソフトウェアを用いて、対応のあるt−検定によって行った。
【0123】
結果
【表34】

【0124】
負(正常セーライン)および正(ラミブジン)の対照群は、肝炎動物モデルの確立の成功を示した。50μg/kg/日にて、ペプチドCMS001は、4週間の処理後の血清DHBV DNA力価を減少させることができ、同じ動物の処理前の値に対する統計学的に有意な差(p<0.05)を有することが見出された。処理終了時に、血清DHBV DNA力価は、処理前と統計学的差のない値にリバウンドし、それは、ペプチドCMS001の影響が可逆性であり、および/またはウイルス撲滅のためにより長い処理期間を必要としうることを示した。
【0125】
考察
アヒル肝炎動物モデル[1]は、ヒトB型肝炎病因研究のため、およびB型肝炎治療剤のスクリーニングのための確立された実験モデルである。該研究において、CMS001は、4週間の処理後に、DHBV DNAの血清力価を減少させることができることが見出され、それは、ペプチドCMS001が適当な投与量レベルおよび適当な応用スキームで、単独または他の物質と組み合わせて、ヒトB型肝炎管理のための薬剤として有用であることを示した。
【0126】
本研究において、腹膜内注射による投与が試験されたが、これは、他の別の経路を介して投与した場合の該ペプチドの可能性のある効果を除外するものではない。該ペプチドは、また、リポソーム、徐放性保護などの送達促進デバイスを用いて、または用いない、静脈内注射、筋内注射、皮下注射および皮下埋め込みによって投与してもよい。該ペプチドはまた、修飾を用いない通常の形態において、または徐放性形態において、または胃腸保護を用いてもしくは用いないで、錠剤、カプセル、懸濁、溶液などの経口投与のいずれかの形態で投与してもよい。該ペプチドは、さらに、経皮促進デバイスを用いるまたは用いない軟膏、クリーム、ゲルなどの局所塗布のいずれかの形態において、または粉末、溶液の吸入薬として、またはリポソーム保護形態として適用されてもよい。該ペプチドは、また、その遺伝子配列に解読され、単独または他のペプチド配列と組み合わせて発現系中にクローン化して、得られるペプチド分子を作成して、該得られるペプチドを精製して、または精製しないで、本明細書中に記載されるような該ペプチドの活性を利用してもよい。
【0127】
【表35】

【0128】
引用文献
1.Chen Yaxi, Guo shuhua, Zhang Dingfengら、「重慶アヒルB型肝炎モデルの基礎および応用(Foundation and application of Chongqing duck hepatitis B model)」、Chinese Journal of Hepatology. 1993; 1(2): 89-91
2.Chen Yaxi, Guo shuhua, Chen Xuehua、「ジゴキシンで標識したDHBV DNAプローブの調製および応用(Preparation and application of DHBV DNA probe labeled with digoxin)」、Journal of Chongqing University of Medical Sciences. 1994; 19(4): 295-297
3.Tang Ni, Huang Ailong, Guo shuhuaら、「アヒルB型肝炎ウイルスに対する体液性免疫の血清学的パラメーターの体系的基礎および応用(Systemic foundation and application of serological parameters of humoral immunity to duck hepatitis B virus)」、Chinese Journal of Hepatology. 2001; 9(1): 13-15
4.Chen Yaxi, Guo shuhua, Qi Zhenyuanら、「ファムシクロビルと組み合わせた、アヒルB型肝炎ウイルスに対するラミブジンの実験的研究(An experimental study of lamivudine against duck hepatitis B virus in combination with famciclovir)」、Chinese Journal of Hepatology. 2001; 9(4): 209-211
【0129】
III.腎炎に対するペプチドの影響
これらのペプチドが腎炎に対する可能性のある治療効果を有するか否かを見出すために、発明者らは、動物モデル ラットMasugi腎炎を該研究に用いて、病気の動物に対する上記ペプチドのイン・ビボでの影響を試験した[3,4]
本研究の目的は、慢性糸球体腎炎に対するペプチドのイン・ビボでの治療効果を調べることにある。Masugi腎炎ラットモデルは、ウサギ抗−ラット−腎−皮質IgGを健康なSprague Dawleyラットに注射した後、直ちに、1日に1回、3週間、50μg/kg/日でペプチドの腹膜内注射で処理することによって構築された。ヒドロコルチゾンを正の対照として用いた。CMS014、CMS018、CMS030およびCMS036で処理したラットの蛋白尿、血清クレアチニンレベルおよび脾臓指数は、対照群と比べて低下しており、統計学的差を有した(p<0.05)。腎臓の死後顕微鏡試験は、これらのペプチドの治療効果がヒドロコルチゾン処理に類似していたことを示した。結果として、CMS014、CMS018、CMS030およびCMS036は慢性腎炎管理の手段として用いられうる。
【0130】
材料
Sprague Dawley(SD)ラット、雄、体重120±20gは、広州中医薬大学、実験動物センター(Center of Experimental Animal, Guangzhou University of Traditional Chinese Medicine)および第一軍医大学(First Military Medical University)から得た。体重3kgのチンチラウサギは、広州中医薬大学、実験動物センターから得た。
L−アミノ酸由来のペプチドは、American Peptide Company, Inc, USAで注文製造し、滅菌正常セーライン中10μg/mlに希釈した。ヒドロコルチゾンは、Yangzhou Pharmaceutical Factory, Chinaから得た。
血清クレアチニンレベル測定キットは、Shanghai Rongsheng Biological Technique Company, PR Chinaから得た。
【0131】
方法
1.ウサギ抗−ラット−腎−皮質抗血清の調製[1]:20匹の健康なSDラットを3%ペントバルビタールナトリウム40mg/kgの静脈内注射で麻酔した。腹部大動脈を露出し、血液が清浄するまで、腎臓を正常セーラインで潅流した。腎皮質を単離し、5容量の0.01M Tris−HClバッファー、pH8.1中でホモジナイズし、140−ゲージのステンレススチールメッシュでろ過した。ろ液を収集し、GIBCO−RRE完全または不完全フロイントアジュバンドのいずれかと1:1で混合し、乳化して、免疫化溶液を得た。
【0132】
10匹の健康なウサギを、最初は完全フロイントアジュバンドを用いた該免疫化溶液、ついで、不完全フロイントアジュバンドを用いた該免疫化溶液で免疫した。抗原を6つの無作為な箇所から、1箇所につき0.1mlを10日に1回、皮下注射した。6週目以後、血液を耳静脈から採取し、抗体価を二重拡散法によって決定した[2]。免疫開始後8週目に、ウサギを3%ペントバルビタールナトリウム20mg/kgの静脈内注射で麻酔し、血液を頚動脈から採取した。次いで、抗−血清を滲出させ、単離した。
【0133】
全血を15匹の健康なSDラットから採取した。赤血球を単離し、正常セーラインで3回洗浄した。清浄した赤血球を250mlのウサギ抗血清と混合し、4℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、血液細胞を遠心分離によって除去し、上清をさらに56℃で30分間不活化した。遠心分離によっていずれかの沈殿物を除去後、粗IgGを単離し、3回の(NHSO沈殿(50%、33%および33%)によって上清から部分的に精製した[5]。粗IgGを125mlの2回蒸留した水中に再溶解し、硫酸アンモニウムで透析により清浄した。抗−ラット−腎−皮質抗体価を二重拡法によって決定した[2]
【0134】
2.ラット糸球体腎炎の誘導[5]:誘導の5日前に、0.25mlのプライミング溶液(完全フロイントアジュバンドを用いた4mgの非特異的ウサギIgGを含有している)を健康なSDラットに腹膜内注射して、ラットをプライムした。正常セーラインを与えられた正常な健康な対照群を除き、全群はその後に、方法1において記載したように調製された1mlのウサギ抗−ラット−腎−皮質IgGの腹膜内注射によって誘導された。
【0135】
3.グループ分けおよび投与:雄SDラットを正常な健康対照(正常)、腎炎プラシーボ処理対照(プラシーボ)、腎炎ペプチド処理および腎炎ヒドロコルチゾン処理対照(ヒドロコルチゾン)の群に、1群につき12匹で無作為化した。処理は誘導日に開始した。ペプチド50μg/kg/日、ヒドロコルチゾン3.3mg/kg/日、およびプラシーボとして正常セーラインを用い、全て、1日に1回腹膜内投与し、3週間続けた。
【0136】
4.モニターされるパラメーター[4]
(a)尿蛋白レベル:各ラットを個々に、1つのケージ中で維持した。十分な飲料水を供給した。1週間に1回、1回につき24時間、尿を収集した。尿の蛋白質含量は、クーマシーブルー法によって測定した。
(b)血清クレアチニンレベル:3週間の処理後に、血液を採取し、血清クレアチニンレベルを測定した。クレアチニンキットは、Shanghai Rongsheng Biological Technique Companyから供給された。
(c)脾臓重量指数:脾臓重量指数は、下記の式によって決定された:
脾臓重量指数=平均脾臓重量÷平均体重
(d)腎臓の病理学的顕微鏡試験:病理学的試験のために、6個の最大重量の腎臓を各群から選択した。
【0137】
統計分析
群間の比較のためにt−検定を用い、カットオフをp<0.05に定める。全群に関し、最も低い尿蛋白レベルを有する2匹のラットを統計分析から排除した。
【0138】
結果
1.尿蛋白レベルに対するペプチド処理の影響
【表36】

【0139】
ペプチドCMS014、CMS018、CMS030およびCMS036は、1日に1回の50μg/kg/日にて、Masugi腎炎ラットモデルの尿蛋白レベルを低下させることができ、プラシーボ処理対照群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された(p<0.05)。また、群CMS014、CMS030、CMS036およびヒドロコルチゾンは、正常群よりもゆっくりと成長することが注目された。ヒドロコルチゾン群の成長速度は、第1週後に、重篤な不耐性を回避するために、該処理投与量が二等分されなくてはならないような程度まで減少した。
【0140】
2.血清クレアチニンレベルに対するペプチド処理の影響
【表37】

【0141】
プラシーボ処理を受けているMasugi腎炎ラットの血清クレアチニンレベルは、正常対照群よりも非常に高く、腎炎ラットの腎機能が異常であることを示した。ペプチドCMS014、CMS018、CMS030およびCMS036は、1日に1回の50μg/kg/日にて、血清クレアチニンのレベルを低下させることができ、プラシーボ処理腎炎ラットに対する統計学的に有意な差を有することが見出された。
【0142】
3.脾臓指数に対するペプチドの影響
【表38】

【0143】
全ての誘導したラットの脾臓は、正常ラットと比較して大きく、腎炎の誘導が免疫応答に関連することを示した。ペプチドCMS014、CMS018、CMS030およびCMS036は、1日に1回の50μg/kg/日にて、脾臓指数を減少させることができ、プラシーボ処理を受けている腎炎ラットの群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された(p<0.05)。これは、該ペプチドが免疫抑制メカニズムを介して腎炎に対するその矯正的な影響を働かせたかもしれないことを示唆した。
【0144】
4.腎病理学的顕微鏡試験に対するペプチドの影響
正常ラットと比較すると、プラシーボ処理を受けている腎炎ラット(プラシーボ群)は、糸球体カプセルにおける繊維組織形成、糸球体上皮の過形成、半月の形成、糸球体キャピラリーの膨張および密集、近位曲尿細管上皮の浮腫、および遠位曲尿細管および集合管における円柱の形成の徴候を示した。これらの病理学的変化は、腎炎誘導の成功を確証した。群CMS014において、たった1匹のラットだけが糸球体カプセルにおける繊維組織形成および糸球体上皮の過形成の徴候を示したことが観察された。同じラットの他のパラメーターおよび同じ群の他のラットは、本質的に、正常ラットと同じ腎臓組織学を有した。群CMS018、CMS030およびCMS036において、全ラットの全ての病理学的パラメーターは正常であった。
【0145】
結論
結果として、50μg/kg/日にて1日1回、腹膜内投与されたペプチドCMS014、CMS018、CMS030およびCMS036は、実験的Masugi腎炎ラットモデルに対して治療効果を有することができた。処理されたラットの蛋白尿、クレアチニン排出および腎組織学は、これらのペプチドによって治され、プラシーボ処理を受けている対照群に対する統計学的に有意な差を有した。これらのペプチドは、脾臓重量指数に対するその影響によって示されるように、免疫学的メカニズムを介して作用しうるが、他のメカニズムを介するその作用の可能性を排除することはない。
【0146】
考察
ペプチドCMS014、CMS018、CMS030およびCMS036は、一部として、または単独で、ヒトにおける腎炎管理において有用でありうる。例えば、該ペプチドは、蛋白尿を治すために、または腎炎患者の排泄機能を復活させるために用いてもよい。該ペプチドは、また、腎炎患者におけるさらなる腎臓機能欠陥を予防するために用いてもよい。該ペプチドは、単独で、または2以上のペプチドを組み合わせて、または他の医薬もしくは食物サプリメントと組み合わせて、腎炎管理の全過程として用いてもよい。
【0147】
【表39】

【0148】
引用文献
1.SDA(State Drug Administration, P.R.China)、「新薬の前臨床リサーチのガイドライン(The guideline of preclinical researches of new drugs)」、1994, 第1版, Page 96
2.Xu Shuyunら、「薬理学的実験の方法(The methodology of pharmacological experiment)」、the People's Sanitation Publishing Company, Beijing, 第2版, 1991:1071
3.Chen Qiら、「漢方の薬理学的リサーチの方法(The methodology of pharmacological researches of traditional Chinese medicine)」、the People's Sanitation Publishing Company, Beijing, 第1版、1993:390
4.Du Guanhua、「薬理学的実験のためのガイドライン−新薬の発見と薬理学的評価(The guideline for pharmacological experiment ---the discovery and pharmacological evaluation of new drugs)」、Science Publishing Company, Beijing, 第1版, 2001:598
5.Wang Shuxian、「腎臓病学(Nephrology)」、the People’s Sanitation Publishing Company, Beijing, 第11版, 1987:244
【0149】
IV.癌に対するCMSペプチドの影響
これらのペプチドが癌を治療できるか否かを見出すために、発明者らは、種々の標準的動物癌モデルを該研究に用いて、病気の動物に対する上記ペプチドの生物学影響を試験した。
【0150】
材料
1.実験動物
BALB/cマウス、C57BL/6マウス、およびDBA/2マウス、体重18−22g(China Medical Science Institute, PR China)。
2.細胞系統
マウス肉腫S180細胞、B16細胞およびL1210細胞(Cancer Research Department, China Medical Science Institute)。
YAC−1細胞(Yao Zhi教授、天津医科大学(Tianjin Medical University)からの贈与物)。
【0151】
3.主要な薬物および試薬
該研究に使用されたペプチドは、American Peptide Company, Inc., USAによって注文製造された。
胎仔ウシ血清、RPMI−1640細胞培養培地(Gibco, USA)。
MTT、ConA(Sigma, USA)。
組み換えマウスインターフェロン−γ(rmIFN−γ)(Beijing Biotech Inc., PR China)。
組み換えヒトインターロイキン−2(rhIL−2)(Shanghai Huaxin Biotech Inc., PR China)。
リンパ球分離溶液(Research Institute of Hematologic Disease, National Institute of Medical Science, PR China)。
シクロホスファミド(The 12th pharmaceutical factory of Shanghai, PR China)。
【0152】
方法
1.試験物質の投与
1日1回の腹膜内注射。シクロホスファミド群をのぞき、全群は、癌細胞を移植する5日前に処理を開始した。シクロホスファミド群は、癌細胞を移植した次の日に処理した。試験物質を用いる全群の処理は、別記しないかぎり、30日間または動物が死亡するまで続けた。
【0153】
2.BALB/cマウスにおける移植したS180肉腫細胞の成長速度に対するペプチドの影響、および宿主の免疫学的機能に対するその影響
BALB/cマウスは、ペプチド群、シクロホスファミド群、rmIFN−γ群、rhIL−2群、およびセーライン群に、1群につき20匹で無作為化した。
ストックS180に肉腫細胞を10%胎仔ウシ血清を補足したDMEM/F12培地中、37℃、5%COで72時間インキュベートし、次いで、Hank溶液で3−4回、室温で洗浄した。Hank溶液を用いて、細胞濃度を1リットルにつき1−2x10に調整した。0.2mlの細胞懸濁をいくつかのBALB/cマウスに、10−12日間、腋窩を介して移植した。マウスを頚椎脱臼によって殺した。活発に成長している非崩壊性の腫瘍塊が得られ、滅菌セーラインで清浄した。該組織をセーライン中に分散させて、4mlセーラインに対して組織1gの割合で均一な細胞懸濁を得た。肉腫を有するマウスモデルは、0.2mlの細胞懸濁を腋窩を介して注射して用意した[1]。試験物質の投与処理は、方法1のセクションに記載したとおりに開始した。
【0154】
2.1
180肉腫を有するマウス[2,3]における単核食細胞の食作用機能に対するペプチドの影響を、最後の試験物質投与の2日後に、0.1ml/10g体重の墨汁(正常セーラインを用いる1:5希釈)を尾部静脈からマウスに注射することによって分析した。注射後1分および5分で、ヘパリン処理した管系を用いて、20μlの血液を眼角から得た。該血液を2mlの0.1%w/v NaCOと混合し、次いで、OD680nmを得た。アウトライン・クリア指数Kを下記の式から算出した:
K=(lgA−lgA)÷(t2−t1)
キー:
A1:1分目のOD680nm
A2:5分目のOD680nm
t2:5分
t2:1分
【0155】
食作用指数研究の後、マウスを頚椎脱臼によって殺した。肝臓、脾臓および癌組織を切り出し、ブロットドライし、計量した。
食作用指数αは下記のように算出された:
α=(√K)x(W÷WLS
キー:
W:体重
LS:肝臓および脾臓の重量
【0156】
2.2下記の式にしたがって、腫瘍成長阻害指数を算出した:
腫瘍成長阻害指数=(対照群の平均腫瘍重量−処理群の平均腫瘍重量)÷対照群の平均腫瘍重量
【0157】
3.移植した腹水型肝臓癌H22を有するBALB/cマウスの生存に対するペプチドの影響
BALB/cマウスは、ペプチド群、シクロホスファミド群、rmIFN−γ群、rhIL−2群およびセーライン群に、1群につき20匹で無作為にグループ分けされた。
ストックH22細胞は、10%胎仔ウシ血清を補足したDMEM/F12培地中、37℃/5%COで72時間インキュベートし、次いで、Hank溶液を用いて3−4回、室温で洗浄した。Hank溶液を用いて、細胞濃度を1リットルあたり1−2x10に調整した。0.2mlの細胞懸濁を数匹のBALB/cマウスの腹腔に6−8日間移植した[1]。該マウスを頚椎脱臼により殺した。該マウスの腹水を無菌的に採取し、Hank溶液を用いて、細胞濃度を1mlあたり1x10に調整した。0.2mlの細胞懸濁を健康なマウスの腹腔に移植して、腹水型肝臓癌のH22担持マウスを作成した。試験物質の投与は、方法1のセクションに記載したとおりに開始した。マウスの生存データを記録した。動物が実験期間よりも長く生存した場合、生存日数を実験期間として記録した。平均生存日数は、SPSSソフトウェアのSurvivalオプションにおけるカプラン−マイヤー(Kaplan-meier)法によって得られた。生存指数は、下記の式にしたがって算出された:
生存指数=(処理群の平均生存日数−対照群の平均生存日数)÷対照群の平均生存日数x100%
【0158】
4.移植した腹水型肝臓癌H22を有するBALB/cマウスの細胞性免疫に対するペプチドの影響
4.1脾臓細胞懸濁の調製[1,4]
健康なBALB/cマウスを、ペプチド群、rmIFN−γ群、rhIL−2群、およびセーライン群に1群あたり15匹で無作為化し、方法3のセクションに記載のとおりに、H22担持マウスモデルに調製した。癌細胞の移植後、試験物質を15日間投与し、マウスを頚脱臼によって殺した。脾臓を無菌的に単離し、注射針を用いて手動で冷D−Hank溶液中に分散させた。分散させた細胞懸濁をさらに、100−ゲージ150μm直径のステンレススチールシーブによって篩い分けした。200gで10分間の遠心分離後、上清を廃棄した。細胞ペレットを10容量のTris−NHClバッファー中で再懸濁し、次いで、室温で10分間静置した。懸濁した細胞を150gで10分間の遠心分離によって収集した。細胞を冷D−Hank溶液を用いて2−4回、再懸濁および上記条件の遠心分離による収集によって洗浄した。次いで、洗浄した細胞を、10%胎仔ウシ血清を含有するRPMI−1640培養培地によって、所望の細胞密度に希釈した。
【0159】
4.2腹水型肝臓癌H22を有するマウスにおけるTリンパ球形質転換に対するペプチドの影響
密度1x10/mlの脾臓細胞を96ウェル細胞培養プレート上、100μl/ウェルにて、1マウスあたりアッセイ試料および対照試料毎に3つの並行ウェルに置いた。アッセイウェルに、RPMI−1640中における100μg/mlのConA 100μl/ウェルを加え、100μl/ウェルの無添加RPMI−1640を対照に用いた。細胞を37℃、5%COにて、66時間インキュベートした。次いで、細胞を150gで10分間の遠心分離によってペレット化した。上清を収集し、サイトカインIL−2およびIFN測定のために−20℃で保存した。
RPMI−1640中における1mg/mlのMTT 50μl/ウェルを細胞ペレットに加え、2分間の振盪によって細胞を再懸濁した。4時間インキュベーションを続けた。150gで10分間の遠心分離後に、上清を廃棄した。40mM HCl−2−プロパノール120μlを細胞ペレットに加え、3分間振盪させた。ELISAリーダーを用いて、630nmをリファレンスとして各ウェルのOD570nmを得た。
各マウスは、3つのアッセイウェルおよび3つの対照ウェルを形成した。各マウスの刺激指数(SI)は、まず、3つの並行ウェルの平均ODを求め、次いで、アッセイウェルの値を対照ウェルで除することによって得られた。
【0160】
4.3腹水型肝臓癌H22[5,6]を有するマウスにおけるNK細胞活性に対するペプチドの影響
マウス脾臓細胞は、上記セクション4.1に記載のように、4x10/mlに調製した。標的細胞YAC−1を対数期に導き、1x10/mlに調整した。96ウェル細胞培養プレートを用いて、100μlのマウス脾臓細胞および100μlの培養培地を、脾臓細胞のみを含有する対照ウェルに加え;100μlの標的細胞および100μlの培養培地を標的細胞のみを含有する対照ウェルに加え;100μlのマウス脾臓細胞および100μlの標的細胞をNK活性アッセイウェルに加えた。上記の3つの並行セットをマウス毎に調製した。その後、96ウェル細胞培養プレートを37℃、5%COにて4時間インキュベートした。
試料を150gで10分間遠心分離して、細胞を収集した。上清を廃棄し、1mg/mのMTT l50μl/ウェルを加えた。次いで、反応混合物を2分間振盪し、37℃、5%COにて4時間インキュベートした。150gで10分間の遠心分離後、上清を廃棄した。120μlの40mM HCl−2−プロパノールを加え、3分間振盪させた。ELISAリーダーを用いて、630nmをリファレンスとして各ウェルのOD570nmを得た。
各マウスは9ウェルを有した:脾臓細胞のみの対照が3つ、標的細胞のみの対照が3つ、脾臓および標的細胞の両方を含有するアッセイウェルが3つ。各マウスのNK細胞活性指数は、まず、各組合せの3つの並行ウェルの平均ODを求め、次いで、該平均ODを下記の式に当てはめることによって得られた:
NK細胞活性指数=[1−(脾臓および標的細胞ウェルの平均OD−脾臓細胞のみのウェルの平均OD)÷(標的細胞のみのウェルの平均OD)]x100%
【0161】
5.移植したL1210白血病を有するDBA/2マウスの生存に対するペプチドの影響
DBA/2マウス、6−8週齢をペプチド群、シクロホスファミド群、rmIFN−γ群、rhIL−2群およびセーライン群に、1群あたり20匹で無作為化した。
ストックL1210細胞を、10%胎仔ウシ血清を補足したDMEM/F12培地中、37℃/5%COで72時間インキュベートし、次いで、Hank溶液で3−4回洗浄し、1リットルあたり1x10細胞に調整した。0.1mlの細胞懸濁を数匹の健康なDBAマウスの腹腔中に、6−8日間移植した。次いで、該マウスを頚椎脱臼によって殺し、その腹水を無菌的に収集した。収集した腹水の細胞濃度は、Hank溶液で1mlあたり1x10に調整した。0.1mlの細胞懸濁を各試験動物に移植し、動物の生存データを記録した。方法1のセクションに記載のとおりに、試験動物において処理を開始した。平均生存日数は、SPSSソフトウェアのSurvivalオプションにおけるカプラン−マイヤー法によって得られた。動物が実験期間よりも長く生存した場合、生存日数は実験期間として記入した。生存指数は下記の式にしたがって算出された:
生存指数=(処理群の平均生存日数−対照群の平均生存日数)÷対照群の平均生存日数
【0162】
6.移植したB16黒色腫を有するC57BL/6マウスの体液性免疫に対するペプチドの影響および接種した黒色腫細胞の転移ポテンシャルに対するその影響
57BL/6マウス、6−8週齢、体重18−22gを、ペプチド群、シクロホスファミド群、rmIFN−γ群、rhIL−2群およびセーライン群に、1群あたり20匹で無作為化した。
ストックB16マウス黒色腫細胞を、10%胎仔ウシ血清を補足したDMEM/F12培地中、37℃/5%COで72時間インキュベートし、次いで、Hank溶液で3−4回洗浄した。細胞濃度をHank溶液で1mlあたり1x10に調整し、0.1mlの細胞懸濁を尾静脈を介して試験マウス中へ注射して、B16黒色腫担持動物モデルを作成した[7,8]。試験物質での処理は、方法1のセクションに記載のとおりに開始した。
【0163】
6.1移植したB16黒色腫を有するC57BL/6マウスの体液性免疫に対するペプチドの影響[9]
ヒツジ赤血球(SRBC)を頚静脈から血液を採取することによって調製し、ガラスビーズを有する滅菌フラスコ中に入れた。該フラスコを3分間振盪させ、次いで、該血液とAlsever溶液(グルコース2.05g、NaCl 0.4g、Naレモネード 0.8g、蒸留水で100mlに調整)を混合し、4℃で保存した。使用直前に、試料を130gで5分間遠心分離して、SRBCを収集した。正常セーライン中での再懸濁および遠心分離によって、細胞を2回洗浄した。次いで、細胞ペレットを180gで10分間の遠心分離によって収集し、セーライン中に再懸濁して、最終的なSRBC懸濁、2%(v/v)を作成した。
【0164】
補体を、新鮮なテンジクネズミ血清10容量を1容量の遠心分離パックしたSRBC中に加えることによって調製し、4℃で30分間、穏やかに振盪させた。SRBCを200gで10分間の遠心分離によって除去した。10容量の正常セーラインを加えて、補体溶液を得た。
試験動物において、試験物質処理27日目に、0.2mlのSRBC細胞懸濁を各動物に注射して抗体を産生させた。最後の試験物質投与の次の日に、血液を眼角から採取し、血清滲出のために室温で1時間放置した。200gで10分間の遠心分離後、収集した血清を正常セーラインで500倍に希釈した。
【0165】
各マウスの1mlの希釈したマウス血清に、0.5mlのSRBC懸濁を加えた。氷冷した。次いで、1mlの補体溶液を加え、37℃水浴で10分間インキュベートした。氷冷によって反応を停止させた。次いで、試料を200gで10分間遠心分離して、上清を得た。
該上清1mlに、3mlのDrabkin溶液を加え、室温で10分間放置した。OD540nmを得た。
リファレンスOD540nmを、0.25mlのSRBC懸濁とDrabkin溶液とを4mlに混合し、室温で10分間放置後にOD540nmを測定することによって得た。
溶血指数=(試験試料のOD540nm÷リファレンスOD540nm)x500
【0166】
6.2 体液性免疫研究後に、マウスを頚椎脱臼によって殺した。動物の死後試験を行った。病理学的変化を記録し、黒色腫肺転移病巣の数を数えた。
【0167】
結果
1.移植したS180肉腫を有するBALB/cマウスにおける細胞性食作用に対するペプチドの影響(方法2.1)
【表40】

【0168】
50μg/kg/日および5μg/kg/日のCMS001、および5μg/kg/日および0.5μg/kg/日のCMS034は、食作用指数を増加させることができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された。
【0169】
2.BALB/cマウスにおける移植したS180肉腫の成長速度に対するペプチドの影響(方法2.2)
【表41】

【0170】
500μg/kg/日のCMS010、0.5μg/日のCMS034、および5μg/kg/日のCMS035は、移植したS180肉腫の成長を減少させることができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0171】
3.移植した腹水型肝臓癌H22を有するBALB/cマウスの生存に対するペプチドの影響(方法3)
【表42】

【0172】
5μg/kg/日のCMS008、5μg/kg/日のCMS011、50μg/kg/日のCMS024、0.5μg/kg/日のCMS024および0.5μg/kg/日のCMS032は、移植したH22腹水型肝臓癌を有するBALB/cマウスの生存を延長することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。また、群CMS024 0.5μg/kg/日において、30%(n=6)以上のマウスが90日より長く生存することができた(実験が終わった後2ヶ月)ことが観察された。マウスの死後試験は、腫瘍確立の徴候を示さなかった。したがって、0.5μg/kg/日のCMS024は、その確立を妨害するか、またはその確立した癌の完全な治癒を誘導することにより、移植したH22の成長を妨害しうる。
【0173】
4.移植した腹水型肝臓癌H22を有するBALB/cマウスにおけるTリンパ球形質転換に対するペプチドの影響(方法4.2)
【表43】

【0174】
500μg/kg/日のCMS010、0.5μg/kg/日のCMS019、0.5μg/kg/日および5μg/kg/日のCMS024、および0.5μg/kg/日および5μg/kg/日のCMS035は、Tリンパ球の刺激指数を増加させることができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差を有することが見出された(P<0.05)。
【0175】
5.移植した腹水型肝臓癌H22を有するBALB/cマウスにおけるNK細胞活性に対するペプチドの影響(方法4.3)
【表44】

【0176】
500μg/kg/日のCMS003、0.5μg/kg/日のCMS014、0.5μg/kg/日、5μg/kg/日および50μg/kg/日のCMS024、および50μg/kg/日のCMS034は、試験動物モデルにおいてNK細胞細胞毒活性を増加させることができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0177】
6.移植したL1210白血病を有するDBA/2マウスに対するペプチドの影響(方法5)
【表45】

【0178】
0.5μg/kg/日のCMS019、および0.5μg/kg/日のCMS035は、移植したL1210白血病を有するDBA/2マウスの生存を延長することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0179】
7.移植したB16黒色腫を有するC57BL/6マウスの体液性免疫に対するペプチドの影響(方法6.1)
【表46】

【0180】
CMS001、CMS003、CMS008、CMS010、CMS011、CMS016、CMS019、CMS024、CMS034およびCMS035は、移植したB16黒色腫を有するC57BL/6マウスの体液性応答(溶血指数における増加)を表IV.7に示すような投与量で増強することができ、セーライン群に対する統計学的に有意な差(P<0.05)を有することが見出された。
【0181】
8.C57BL/6マウスにおける接種したB16黒色腫細胞の生存に対するペプチドの影響(方法6.2)
試験物質処理の終了後の動物の死後試験は、0.5μg/kg/日、5μg/kg/日および50μg/kg/日のCMS008、および5μg/kg/日および500μg/kg/日のCMS016で処理したマウスの肺におけるB16転移病巣の存在のいずれの徴候も示さなかった。
【0182】
結論
1993年にBranch of Drug Administration, Department of Health, PR Chinaによって発行された「前臨床新薬リサーチガイダンス(the Preclinical New Drug Research Guidelines)」にしたがって、移植した癌細胞を有するマウスに対するペプチドの影響を研究した。結論として、
1.CMS010、CMS034およびCMS035は、適当な投与量で、マウスにおける移植したS180肉腫の発現を有意に阻害することができた;
2.CMS001およびCMS034は、適当な投与量で、S180肉腫を移植したマウスの食作用免疫活性を増強することができた;
3.CMS008、CMS011、CMS024およびCMS032は、適当な投与量で、腹水型肝臓癌H22を移植したマウスの生存を延長することができた;
4.CMS010、CMS019、CMS024、CMS034およびCMS035は、適当な投与量で、腹水型肝臓癌H22を移植したマウスにおいてTリンパ球形質転換を増強することができた;
5.CMS003、CMS014、CMS024、CMS032およびCMS034は、適当な投与量で、腹水型肝臓癌H22を移植したマウスのNK細胞細胞毒活性を増加することができた;
6.CMS019およびCMS035は、適当な投与量で、L1210白血病を移植したマウスの生存を延長することができた;
7.CMS008およびCMS016は、適当な投与量で、マウスにおいて移植したB16黒色腫の発現を阻害することができた;
8.CMS001、CMS003、CMS008、CMS010、CMS011、CMS016、CMS019、CMS024、CMS034およびCMS035は、適当な投与量で、B16黒色腫を移植したマウスの体液性免疫応答を増強することができた。
【0183】
考察
CMS001、CMS003、CMS008、CMS010、CMS011、CMS014、CMS016、CMS019、CMS024、CMS032、CMS034、CMS035は、一部として、または単独で、ヒトにおける癌管理において有用でありうる。例えば、CMS001、CMS003、CMS008、CMS010、CMS011、CMS014、CMS016、CMS019、CMS024、CMS032、CMS034およびCMS035は、癌患者の免疫を増加するために使用されうる。CMS008、CMS010、CMS016、CMS034およびCMS035は、患者における癌細胞の成長を妨害するために使用されうる。CMS008、CMS011、CMS019、CMS024、CMS032およびCMS035は、癌患者の期待余命を延長するために使用されうる。該ペプチドは、単独で、2以上のペプチドを組み合わせて、または他の医薬もしくは食物サプリメントと組み合わせて、癌管理の全過程として使用されうる。
【0184】
【表47】

【0185】
引用文献
1.「新薬の前臨床リサーチの原理(Principles of Pre-clinical Research of New Drugs)」、中華人民共和国、1993、7:137-143
2.「新薬の前臨床リサーチの原理(Principles of Pre-clinical Research of New Drugs)」、中華人民共和国、1993、7:128-129
3.Yuanpei Zhang, Huaide Su. 「薬理学的実験(第二版)(Pharmacological experiment (second edition))」、People's Health Publishing House、1998、137-138
4.Shuyun Xu, Rulian Bian, Xiu Chen、「薬理学的実験の方法(Methodology of pharmacological experiment)」、People's Health Publishing House、1991、1221-1234
5.「新薬の前臨床リサーチの原理(Principles of Pre-clinical Research of New Drugs)」、中華人民共和国、1993、7:140
6.Jinsheng He, Ruizhu Li, Tingyi Zong、「NK細胞活性を試験するMTT還元法における研究(The study on MTT reduction method of testing NK cell activity)」、China Immunology Journal、1996、1(6): 356-358
7.Yaoqin Yang, Huchuan Yang, Huihong Taoら、「高体温の抗腫瘍に対するTween−80の相乗効果−マウス黒色腫の実験的研究(The synergic effect of Tween-80 on the antitumor of hyperthermiaExperimental studies of mouse melanoma)」、Cancer Research on Prevention and Treatment、1999、26(4): 8-12
8.Jian Fu, Jie Zheng, Weigang Fangら、ネズミB16黒色腫細胞中へのインターロイキン−12遺伝子トランスフェクションは腫瘍形成を抑制し、転移ポテンシャルを減少させる(Interleukin-12 gene transfection into murine B16 melanoma cells suppresses tumorigenicity and decreases metastatic potential)」、National Medical Journal of China、1998、78(8): 627-629
9.Qian Wang、「現代の医学実験法(Modern medical experiment method)」、People's Health Publishing House、1998、482-483
10.Qichao Pan, Bin Xu、「癌薬理学および化学療法(Cancer pharmacology and chemotherapy)」、Henan medical university Publishing House、2000、66-69
11.Yuanpei Zhang, Huaide Su、「薬理学的実験(第二版)(Pharmacological experiment (second edition))」、People's Health Publishing House、1998、131
【0186】
V.体重に対する影響
健康なラットに、同時にペプチド処理(筋内300μg/kg/日)を行って、または行わないで、高栄養食餌を5週間与えた。セーライン注射をした通常の食餌におけるラットを負の対照として用いた。処理の5週後、注射を止め、同じ食餌をさらに3週間維持した。週1回の間隔で、体重データを集めた。ラットの行動も観察した。ペプチドCMS015を受けているラットは、ペプチド処理過程の間、対照と比べて統計学的に有意に低い体重増加を有することが見出された。この減少した体重の傾向は、CMS015処理を止めた後に徐々に減少した。結論として、CMS015は、適当な投与量レベルで、食べ過ぎによって誘導される肥満発現を可逆的に調節することができる。
【0187】
材料
体重145±10gのSprague−Dawley(SD)ラットは、中華人民共和国の広州中医薬大学の実験動物センター(the Center of Experimental Animal of Guangzhou University of Traditional Chinese Medicine)によって提供された(証明番号:2000A019)。ペプチドはAmerican Peptide Company, Inc., USAによって(L−アミノ酸起源から)注文製造され、正常セーライン中における10μg/mlに希釈された。高および並栄養食餌を、中華人民共和国のSDA(国家薬品監督管理局(State Drug Administration))によって発行された抗肥満薬の前臨床リサーチのためのガイドライン(the guideline for pre-clinical research of anti-obesity drug)にしたがって、調製した[1]
【0188】
方法
健康なラットを、実験、正の対照および負の対照群に無作為化した。1群あたり10匹のラットであり、半分が雄、半分が雌であった。ラットの実験群に、高栄養食餌を5週間与え、同時に、1日に1回、300μg/kg/日のペプチドの筋内注射を行った。正の対照群は、同じ高栄養食餌を受けたが、プラシーボセーライン注射を受け、一方、肥満モデルの確立の成功を証明するために使用される負の対照群は、並栄養食餌およびプラシーボセーライン注射を受けた。5週間処理後、注射を止め、同じ食餌をさらに3週間維持した。週1回の間隔で、ラットを計量した。ラットの行動も観察した。
【0189】
統計
データは、平均±標準偏差として表された。対応のあるt検定または単一因子ANOVAを、群間および群内比較に用いた。統計学的有意カットオフはP0.05であった。
【0190】
結果
1.SDラットの体重に対するペプチドの影響
【表48】

【0191】
300μg/kg/日の投与量で、CMS015は、食べ過ぎによって誘導される肥満ラットの体重増加を制限することができ、対照群に対する統計学的に有意な差(p<0.05)を有することが見いだされた。処理群と対照群の差は、処理の長さによって増加した。処理群におけるペプチドCMS015処理の終了時、処理群と対照群の差は、徐々に減少し、3週後、統計学的に有意差がなくなり、このことは、SDラット体重に対するペプチドの影響が可逆的であることを示した。
実験の全過程の間、ラットの全群の食欲および活動は正常に維持されたことが観察された。
【0192】
考察
結論として、CMS015は、適当な投与量レベルで、食べ過ぎによって誘導される肥満の発現を制限することができる。該ペプチドは、肥満の調節のためにヒトでの使用に付してもよい。該ペプチドは、単独で、2以上のペプチドを組み合わせて、または他の医薬もしくは食物サプリメントと組み合わせて、肥満管理の全過程として用いてもよい。
本研究において、筋内注射による投与が試験されたが、これは、他の別の経路を介して投与された場合のペプチドの可能性のある効力を排除するものではない。該ペプチドは、リポソーム、徐放性保護などの送達促進デバイスを用いる、または用いない、静脈内注射、筋内注射、腹膜内注射、皮下注射、および皮下埋め込みを介して投与されてもよい。該ペプチドは、また、錠剤、カプセル、懸濁、溶液などの経口投与のいずれかの形態において、修飾を用いない通常の形態または徐放性形態において、または胃腸保護を用いて、または用いないで、投与されてもよい。該ペプチドは、さらに、経皮促進デバイスを用るまたは用いない、軟膏、クリーム、ゲルなどの局所塗布のいずれかの形態において、または、粉末、溶液の吸入剤として、またはリポソーム保護形態として、塗布されてもよい。該ペプチドは、また、その遺伝子配列に解読され、単独または他のペプチド配列と組み合わせて発現系中にクローン化して、得られるペプチド分子を作成し、該得られるペプチドを精製して、または精製せずに、本明細書中に記載するようなペプチドの活性を利用してもよい。
【0193】
【表49】

【0194】
引用文献
1.SDA, 中華人民共和国、「新薬の前臨床リサーチのためのガイドライン(The guideline for pre-clinical research of new drugs)」、1993
【0195】
本発明を実施する別の方法として、上記に開示したペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端に付加的なアミノ酸を付加することが可能であることは理解される。例えば、1または2個のアミノ酸が、開示されたペプチドに、その生物学的機能に影響を及ぼさずに付加されうる。また、3または4個のアミノ酸を付加し、依然としてペプチドの機能を維持することも可能である。これらは全て、同じペプチドの変種といわれる。別法では、1または2個のアミノ酸を該ペプチドから、その生物学的活性に影響を及ぼさずに欠失させてもよい。さらに、3または4個のアミノ酸をそのペプチドの生物学的機能に影響を及ぼさずに欠失させることも可能である。これらは、該ペプチドのフラグメントといわれる。さらに、1のアミノ酸の同じ官能クラス内の別のアミノ酸での保存的置換などのペプチドの誘導体を用いて、本発明の別の態様を実施してもよい。例えば、非極性または疎水性側鎖を有するペプチドは、生物学的活性を減じることなく、1の側鎖基を別の基で置換することが可能である。さらなる例として、リンカー/スペーサーをペプチド中に挿入して、変種を形成してもよい。ただし、該変種は、該研究において用いられる元々のペプチドとして、その活性部分を依然として維持したままである。これらは、また、該ペプチドの変種と考えられる。本明細書で使用される場合、ペプチド類似体は、天然アミノ酸の構造を模倣するアミノ酸分子を有するペプチド、例えば、異なる骨格構造またはD−アミノ酸置換を有する類似体を包含する。さらなる例として、ペプチドの合成に用いられるアミノ酸はそのL光学異性体であるが、配列中、1以上のアミノ酸がD−形態で置換されたペプチドは類似の生物学的活性を有しうる。本請求の範囲で使用される場合、「機能的誘導体」なる語は、ペプチドのフラグメント、類似体または化学的誘導体を包含することを意味する。
【0196】
本明細書で使用される場合、「ハイブリッドペプチド」なる語は、配列番号1−30を有する元々の生物学的に活性なペプチド中に挿入された付加的なペプチドまたはその機能的誘導体を含有するが、依然として、実質的に類似の活性を維持しているペプチドをいう。付加的なペプチドは、例えば、細胞中または細胞外へのハイブリッド蛋白質の分泌のためのシグナルとして、1以上の原核生物または真核生物細胞によって認識されるアミノ酸配列を含有するリーダーペプチドを包含する。該分泌は、直接的な分泌であってもよく、または分泌小胞を介して間接的であってもよい。
「実質的に純粋なペプチド」なる語は、少なくとも10%w/w純粋、より好ましくは20%、さらにより好ましくは40%、非常により好ましくは60%、はるかにより好ましくは90%以上純粋であるペプチドをいう。最も好ましい具体例において、純粋とは、99%以上のことである。実質的に純粋なペプチドは、下記のような複雑な混合物であってもよい医薬および栄養処方を調製するために用いることができる。
【0197】
医薬処方における上記で定義付けられたのペプチドの使用は、免疫に対する二次的影響を有する免疫学的障害または疾患、例えば、癌または感染または上記状態のいずれかのための可能性のある治療として用いてもよい。該処方は、他のペプチドを包含する他の活性または不活性な成分と混合した同定されたペプチドの1つを含有していてもよい。例えば、列挙されたペプチドのうち2ないし数個(例えば、3−5)を、他の成分を用いる、または用いない同じ処方に加えてもよい。別法では、列挙されたペプチドのうち1つを用いて、本明細書に列挙されていないペプチドと一緒に処方を調製してもよい。それらは、静脈内、筋内、皮内、皮下または皮内形態において投与することができる。投与様式は、また、目的の器官に直接導く動脈内注射であってもよい。他の投与様式は、経皮、粉末またはスプレーとして吸入、および当業者に知られた送達の他の形態である。該処方はまた、経口によって服用されてもよく、経口摂取後のペプチドの胃での消化を防ぐために用いることのできる担体または当該分野で既知のいずれか他の担体(リポソームなどの経皮のための)を含有していてもよい。
【0198】
医薬処方は、既知の医薬担体のいずれかを包含しうる。適当な担体の例は、当業者に知られた標準的な医薬上許容される担体のいずれかを包含する。これらは、限定するものではないが、生理学的セーライン溶液、水、油および水混合物またはトリグリセリドエマルジョンを包含するエマルジョン、および他の型の薬剤、充填剤、被覆錠剤およびカプセルを包含する。適当な担体は、医薬組成物の投与様式に基づいて選択されうる。
【0199】
該ペプチドは、静脈内注射、筋内注射、腹膜内注射、皮下注射および皮下埋め込みを介して投与されうる。該ペプチドは、また、錠剤、カプセル、懸濁、溶液などの経口投与のいずれかの形態において、修飾を用いない通常の形態または徐放性形態において、あるいは胃腸保護を伴う、または伴わないで、投与されうる。さらに、該ペプチドは、軟膏、クリーム、ゲルなどの、経皮促進デバイスを用いるまたは用いない、局所塗布のいずれかの形態において塗布されてもよい。該ペプチドは、また、その遺伝子配列に解読され、単独または他のペプチド配列と組み合わせて発現系中にクローン化されて、得られるペプチド分子を作成して本明細書に記載のような該ペプチドの活性を利用してもよい。
【0200】
各ペプチドの投与量は、体重1kgあたり1ng−10gでありうる。好ましい投与量は、注射投与様式の場合、10ng−10mg/kg、より好ましくは1μg−1mg/kgである。しかしながら、1以上のペプチドが正常な生理学的応答のカスケードを包含するレセプターによって作動しうるので、有効量は、体重1kgあたり1ngと低くてもよい。別法では、1以上のペプチドは、単に、全カスケード反応の開始剤である。経口摂取の場合、該量は、体重1kgあたり1ng−10g、より好ましくは体重1kgあたり0.1μg−1g、さらにより好ましくは1μg−10mg/日であってもよい。
【0201】
VI.遺伝子療法および治療法
見出されたペプチド配列に基づく遺伝子療法は、これらのペプチドの1つをコードする核酸を設計することによって行う。核酸は、化学的に合成され、プロモーターに作動可能に連結され、発現ベクター中にクローン化されうる。次いで、該発現ベクターを、ヒト細胞中での発現のための遺伝子療法の形態として、人体に投与する。本明細書中で使用される場合、「遺伝子ベクター」なる語は、これらの発現ベクターを包含する。遺伝子療法に使用できるベクターは、アデノ随伴ウイルス (Mizuno, M.ら、(1998) Jpn J Cancer Res 89, 76-80) 、LNSXベクター (Miller, A.D.ら、(1993) Methods Enzymol 217, 581-599) およびレンチウイルス (Goldman, M.J. ら、 (1997) Hum Gene Ther 8, 2261-2268) を包含する。
【0202】
ペプチド送達のための他のビヒクルは、宿主生物の健康に対して重大な有害な影響を伴わないで該ペプチドを投与することが望まれる宿主生物中で複製することのできる生物中に運ばれることのできる所望のペプチドをコードしている発現ベクターを包含する。例えば、該発現ベクターは、該ペプチドを投与することが望まれる宿主生物に対して病原性ではない生物中に運ばれうる。いくつかの具体例において、該発現ベクターは、該ペプチドが投与されるべき宿主生物の健康に対して重大な有害な影響を有さない細菌または真菌生物中で、所望のペプチドを生産する。例えば、所望のペプチドをコードしている発現ベクターは、乳酸菌、イー・コリ(E.coli)または酵母のような生物中で所望のペプチドを生産する発現ベクターであってもよい。1の具体例において、発現ベクターは、哺乳動物の胃において通常見出される微生物または哺乳動物消化管に耐性のある微生物中で、所望のペプチドを生産する。所望のペプチドが発現されることのできる微生物種のいくつかは、限定するものではないが、乳酸桿菌(Lactobacillus)種、例えば、エル・アシドフィルス(L. acidophilus)、エル・アミロボルス(L. amylovorus)、エル・カセイ(L. casei)、エル・クリスパタス(L. crispatus)、エル・ガリナルム(L. gallinarum)、エル・ガセリ(L. gasseri)、エル・ジョンソニイ(L. johnsonii)、エル・パラカセイ(L. paracasei)、エル・プランタラム(L. plantarum)、エル・ロイテリ(L. reuteri)、エル・ラムノサス(L. rhamnosus)など;ビフィズス菌(Bifidobacterium)種、例えば、ビー・アドレスセンチス(B. adolescentis)、ビー・アニマルス(B. animalus)、ビー・ビフィダム(B. bifidum)、ビー・ブレブ(B. breve)、ビー・インファンティス(B. infantis)、ビー・ラクチス(B. lactis)、ビー・ロンガム(B. longum)など;エンテロカッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)またはエンテロカッカス・ファシウム(Ent. facium);スポロラクトバシラス・イヌリナス(Sporolactobacillus inulinus);バシラス・サチルス(Bacillus subtilis)またはバシラス・セレウス(Bacillus cereus;エシェリキア・コリ(Escherichia coli);プロピオニバクテリウム・フロイデンレイチ(Propionibacterium freudenreichii);またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはサッカロミセス・ボウラルディイ(Saccharomyces boulardii)を包含する。
【0203】
化学的に合成されたか、または限定するものではないが、mRNAの逆転写を包含するcDNA分子を製造するための他の手段によって製造された本発明のペプチドをコードする核酸配列は、当業者によく知られている遺伝子操作法によって、所望の生物中への遺伝子移入のための発現ベクター中に組み込まれる。該発現ベクターは、DNAベクターまたはRNAベクターであってもよい。例えば、発現ベクターは、プラスミドまたはウイルス性遺伝子エレメントに基づくベクターであってもよい。発現ベクターは、染色体外で複製するベクターであってもよく、または染色体中に一体化するベクターであってもよい。
【0204】
発現ベクターは、本発明のペプチドをコードしている核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含む。該プロモーターは、調節可能なプロモーター、例えば、誘導可能なプロモーター、または構造性プロモーターであってもよい。いくつかの具体例において、該プロモーターは、所望のレベルのペプチド発現を提供するために選択されうる。さらに、所望により、発現ベクターは、ペプチドの生産、提示および/または分泌を促進するための他の配列を含んでいてもよい。いくつかの具体例において、本発明のペプチドをコードしている核酸は、ペプチドの分泌を指示する核酸配列に作動可能に連結される。例えば、本発明のペプチドをコードしている核酸は、シグナルペプチドをコードしている核酸に作動可能に連結されうる。
【0205】
いくつかの具体例において、本発明のペプチドをコードするように操作される発現ベクターは、哺乳動物の通常の腸管内菌叢を構成する細菌種、例えば、乳酸桿菌種およびバシラス・サチルス中で、本発明のペプチドを発現するように適応させた発現ベクターであってもよい。かかる発現ベクターの例は、Casasの米国特許第6,100,388号およびBelliniの米国特許第5,728,571号において、各々、見出すことができる。これらの特許文献は、出典明示により、全体として明白に本明細書の一部とされる。ペプチドが投与されるべき宿主生物の健康に対して有害ではない、生物中で本発明のペプチドの発現を容易にするいずれの発現ベクターを使用してもよいことは、当業者に明らかであろう。
【0206】
いくつかの具体例において、本発明にペプチドをコードするように操作された発現ベクターは、ヒトの胃においてコロニーを形成することができ、ある特定の形態の下痢を治療するのに使用される、哺乳動物の胃に対してよく耐性のある酵母種、例えば、サッカロミセス・セレビシエ;または好ましくは、サッカロミセス・ボウラルディイ中において、本発明のペプチドを発現するように適応させた発現ベクターであってもよい。異種蛋白質およびペプチドを構造発現し、非常に安定しており、それゆえ、有糸分裂および減数分裂の間、子孫細胞によく伝達され、高レベルの組み換え蛋白質分泌を指示するシグナルペプチドのコーディング配列を含みうる酵母発現ベクターを使用することができる。かかる酵母ベクターの一例は、Jangらの米国特許第6,391,585号(出典明示により、全体として明白に本明細書の一部とされる)に提供される。
【0207】
本発明のペプチドをコードしている発現ベクターは、当該分野で既知の技術によって、ペプチドを発現することを意図された生物中に導入されうる。これらの技術は、化学的にコンピテントな細菌細胞、エレクトロポレーションまたは酢酸リチウム形質転換(酵母用)の使用によって、細菌、酵母または他の微生物を形質転換する伝統的な方法、ならびに、例えば、これらの手法に不応性の細菌種の形質転換における最近の進歩を包含する。いくつかの具体例において、発現ベクターは、Leerら(WO95/35389)に開示される方法を用いて(その開示は、出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)、形質転換に対して不応性であることが知られた乳酸菌中に導入される。導入された配列は、微生物の染色体DNA中に組み込まれるか、または染色体外DNAエレメントとして留まっていてもよい。
【0208】
該発現ベクターを含有するこの遺伝子操作された微生物を、次いで、消化管、膣、気管などに接種して、持続性免疫療法を達成することができる。いくつかの具体例において、本発明のペプチドを発現している生物は、不活性形態で、または好ましくは、生きている形態で摂取される。胃において、これらの微生物は、該ペプチドを生産し、分泌または微生物の溶解によって、管腔中にそれらを放出し、または別の方法で該ペプチドを宿主に提供し、それにより、該ペプチドはその目的の効果を宿主生物において生じる。他の具体例において、ペプチドは、鼻道、膣または小腸の粘膜にて宿主に提供される。
【0209】
別の治療法は、人体において細胞に特定の核酸を送達するための手段としてのリポソームの使用である。核酸(配列番号1〜30のペプチドをコードする核酸配列を含有する発現ベクターのような)は、Gao, X. および Huang, L. (1995) Gene Ther 2, 710-722およびUS6,207,456に記載のような細胞の取り込みおよび染色体の組み込みを促進する環境において送達される。別法では、US6,245,427に記載の方法を用いて、ペプチド自体がリポソーム中に包まれ、直接送達されることができる。上記の科学出版物および特許は全て、出典明示により本明細書の一部とされる。
上記の遺伝子療法および治療法に有用な核酸配列は、これらのペプチドおよびその機能的誘導体をコードする配列を包含する。多くの核酸配列のうちどれでも、これらのペプチドおよび縮重コドン系に基づくその誘導体をコードするために用いられうる。
【0210】
下記の引用文献は、出典明示により、全体として本明細書の一部とされる。
1.「新薬の前臨床リサーチの原理(Principles of Pre-clinical Research of New Drugs)」、中華人民共和国、1993、7:134-135
2.Shuyun Xu, Rulian Bian, Xiu Chen、「薬理学的実験の方法(Methodology of pharmacological experiment)」、People's Health Publishing House、1991、1221-1234
3.中華人民共和国の衛生部によって発行された「前臨床における新薬リサーチの原理(Principle of new drug research in pre-clinic)」、1993、7:140
4.Jinsheng He, Ruizhu Li, Tingyi Zong、「NK細胞活性を試験するMTT還元法における研究(The study on MTT reduction method of testing NK cell activity)」、China Immunology Journal、1996、1(6): 356-358
5.Qian Wang、「現代の医学実験法(Modern medical experiment method)」、People's Health Publishing House、1998、482-483
6.中華人民共和国の衛生部によって発行された「前臨床における新薬リサーチの原理(Principle of new drug research in pre-clinic)」、1993、7: 141
7.中華人民共和国の衛生部によって発行された「前臨床における新薬リサーチの原理(Principle of new drug research in pre-clinic)」、1993、7: 132-133
8.中華人民共和国の衛生部によって発行された「前臨床における新薬リサーチの原理(Principle of new drug research in pre-clinic)」、1993、7: 128-129
9.Yuanpei Zhang, Huaide Su、「薬理学実験(第二版)(Phamalogical experiment (second edition)」、People's Health Publishing House、1998、137-138
10.Jiatai Li、「臨床薬理学(第二版)(clinical pharmacology(second edition))」、People's Health Publishing House、1998、1338-1339
【実施例1】
【0211】
遺伝子操作した乳酸桿菌細菌種によるペプチドの送達
下記に、上記のような宿主へ本発明のペプチドを送達するための一例の方法を提供する。上記の表Aに列挙したペプチドのうち1つをコードするDNA配列は、化学的手段によって合成され、該DNA配列は、当業者によく知られた遺伝子操作の標準的技術を用いて、発現ベクター中へ挿入される。選択された発現ベクターは、乳酸桿菌において機能的な構造性プロモーター、特定の5’ないし3’配向におけるDNA配列の導入のためのマルチプルクローニングサイト、ならびに抗生物質耐性(クローニング法において助けるための)を与える選択マーカー遺伝子を含有し、ペプチドの生産および/または分泌を補助するための他の配列、例えば、シグナルペプチド配列を含みうる。かかるベクターの例は、Pavlaの米国特許第5,592,908号(出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)によって提供される。簡単に言うと、該特許は、乳酸桿菌種において機能する数個の既知のプロモーター、ならびに該細菌中の新規なプロモーター(そのいずれも、乳酸桿菌中でペプチドを発現するように、本発明のペプチドをコードしている核酸に作動可能に連結されていてもよい)を見出す方法を論じる。上記の米国特許第5,529,908号に記載のようなラクトバシラス・ラクチス中で活性な16ないし35個のほとんど疎水性のアミノ酸よりなるペプチドのようなシグナルペプチドをコードしている核酸は、プロモーターと本発明のペプチドをコードしている核酸との間に挿入され、その結果、シグナルペプチドをコードしている核酸は、本発明のペプチドをコードしている核酸を有するフレーム内にある。
【0212】
ペプチドのコーディング配列のほかに、合成されたDNA配列は、該DNAの発現ベクター中への連結およびクローニングにおいて助けとなる配列を含んでいてもよい。例えば、ベクターのマルチプルクローニングサイトにおいて見出される配列に対応する制限酵素認識部位を、該配列の5’および3’末端にて該合成DNA中に組み込むことができ、その結果、該配列をベクター内で適当な配向でクローン化することができる。ベクターおよび合成DNAの両方とも、特定の制限酵素で消化され、次いで、精製される。ベクターおよび合成DNAとの連結反応の後、イー・コリの適当な株に形質転換する。形質転換された細菌は、ベクターが耐性を与える抗生物質を含有する培地に植える。形質転換された細菌のコロニーを、生育培養およびプラスミド調製法について選択し;正しい配向の合成DNAの存在を確認する。
【0213】
次いで、発現ベクターを乳酸桿菌種、例えば、エル・アシドフィルスの細菌宿主細胞中に形質転換する。形質転換細胞は、ベクター配列内に見出される選択マーカーによって選択され、該ペプチドの分泌は、ウェスタン・ブロットを行い、成長培地中に存在するペプチドのゲル電気泳動を行い、または他の標準的な技術によって証明されうる。細菌の形質転換コロニーを選択し、遺伝子操作した細菌の大量培養を調製するために用いる。所望のペプチドを発現している遺伝子操作した細菌の培養物を増殖させ、少なくとも、その一部を、その中で細菌が複製することのできる宿主生物の消化管、膣、気管または他の領域に投与する。所望により、細菌培養物は、宿主による腸での消費のためのサプリメントを生産するための種々の方法において処理することができる。これらの処理は、凍結乾燥または細菌を保存するための他の方法を包含し、さらに、細菌と担体薬剤、例えば、溶液、溶媒、分散培地、遅延剤、エマルジョンなどと組み合わせる。サプリメントを調製するためのこれらの薬剤の使用は、当該分野でよく知られている。例えば、細菌を用いて、ヒト消費用の発酵乳製品または他の食品を製造することができ、その結果、該ペプチドを発現している生物は宿主生物の胃でコロニー形成する。乳酸菌の特定の株をヨーグルト、キムチ、チーズおよびバターなどの食品中に組み込むための多くの異なる方法が、Ohの米国特許第6,036,952号(出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)において開示される。多くの経路のうち1つによる細菌の消費において、操作された生物は胃でコロニー形成でき、胃の粘膜層を介する本発明のペプチドの提示および/または吸収を可能にする。
【実施例2】
【0214】
バシラス・サチルスの遺伝子操作形態によるペプチドの送達
下記に、上記のような宿主へ本発明のペプチドを送達するための別例の方法を提供する。上記の表Aに列挙したペプチドのうち1つをコードするDNA配列は、化学的手段によって合成され、該DNA配列は、遺伝子操作技術(全ての技術は当該分野で知られている)によって、発現ベクター中へ挿入される。選択される発現ベクターは、イー・コリおよびビー・サチルスの両方において増殖することができ、形質転換細菌のコロニーを選択するための抗生物質耐性遺伝子を含有するシャトルベクター、例えば、pTZ18R(Pharmacia, Piscataway, NJ)を含む。該ベクターは、ビー・サチルスにおいて活性な構造性プロモーター、例えば、ビー・サチルスのSac B遺伝子由来のプロモーターならびに細菌細胞からの発現した異種蛋白質の有効な輸送を指示するビー・サチルスにおいて活性なシグナルまたはリーダーペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含有することができる。かかるベクターの一例は、Fahnestockの米国特許第6,268,169号(出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)に開示される。簡単に言うと、上記のように、本発明のペプチドをコードしているDNAは、当業者によく知られた技術によって、DNAのクローニングを容易にするための制限酵素部位および/または他の配列を用いて合成されるであろう。イー・コリ中への形質転換、播種、選択およびプラスミドを増殖してプラスミドストックを作成後、該プラスミドをビー・サチルス中に形質転換し、播種培地において、形質転換体を抗生物質耐性によって選択する。
【0215】
遺伝子操作したビー・サチルスにおけるペプチドの生産および該細菌からのその分泌は、当業者によく知られた技術、例えば、SDS−PAGE分析またはウェスタンブロット後のオートラジオグラフィック検出のためのペプチドの放射能標識を用いて証明される。
遺伝子操作された細菌の培養物を増殖させ、少なくともその一部を細菌が増殖することのできる宿主生物の消化管、膣、気管または他の領域に投与する。
【実施例3】
【0216】
遺伝子操作されたサッカロミセス酵母種によるペプチドの送達
下記に、上記のような宿主へ本発明のペプチドを送達するための別例の方法を提供する。上記の表Aに列挙されたペプチドのうち1つをコードするDNA配列は、化学的手段によって合成され、該DNA配列は、遺伝子操作技術(全ての技術は当該分野で知られている)によって発現ベクター中へ挿入される。選択される発現ベクターは、安定に維持された酵母蛋白質発現ベクターを含み、それは、pADH1のような構造性酵母プロモーター、酵母およびイー・コリの両方におけるベクターの複製のための部位、選択目的のために栄養要求性酵母突然変異体に栄養を与える遺伝子、マルチプルクローニングサイト(MCS)および、所望により、シグナルペプチドをコードする配列を含む。このようなベクターは、商業的に入手可能であり、当該分野でよく知られているか、または標準的な技術を用いて容易に構築できる。合成DNAの酵母ベクター中への挿入、イー・コリ中への形質転換、形質転換したイー・コリの選択培地への播種、形質転換した細菌コロニーの選択および該コロニー由来の細菌の成長培養物からのプラスミドDNAの調製後、よく知られた技術、例えば、酢酸リチウム形質転換またはエレクトロポレーションによって、ベクターをサッカロミセス・セレビシエ中に形質転換する。形質転換のために選択されたサッカロミセス・セレビシエの株は、最少培地プレート上で生育するために、プラスミド上の遺伝子を必要とするであろう突然変異体栄養要求株である。形質転換された酵母コロニーは、ベクター上に提供される遺伝子を欠く成長培地上に酵母を播種することによって、単離される。ベクターおよびその選択遺伝子を受け取り、その遺伝子産物を発現している酵母だけが、最少培地上でコロニーに成長できるであろう。ペプチド分泌の証明は、ウェスタンブロットを行い、成長培地に存在するペプチドのゲル電気泳動を行うことによって、または他の標準的技術によって、得ることができる。
【0217】
酵母の形質転換コロニーを選択し、大量培養物を調製するために使用する。所望のペプチドを発現している遺伝子操作した酵母の培養物を増殖させ、少なくともその一部を、細菌が複製することのできる宿主生物の消化管、膣、気管または他の領域に投与する。所望により、酵母培養物は、宿主による腸での消化のためのサプリメントを生産する種々の方法において処理できる。これらの処理は、凍結乾燥または酵母を保存する他の方法を包含し、さらに、溶液、溶媒、分散培地、遅延剤、エマルジョンなどの担体物質と細菌を組み合わせることを含む。サプリメントを調製するためのこれらの薬剤の使用は、当該分野でよく知られている。別の具体例において、形質転換した酵母を、当業者によく知られた技術によって、食品、例えば、ヨーグルトおよびケフィールなどの発酵乳製品の生産に用いる。これらの食品中の生きている乳酸菌培養物と同様に、形質転換した酵母は、少なくとも一時的に胃でコロニー形成し、胃の管腔を介してペプチドを宿主へ提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチド。
【請求項2】
下記の状態:免疫活性、肝炎感染、B型肝炎感染、腎炎の程度および癌の成長のうち少なくとも1つを変調する請求項1記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項3】
本質的に配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチド。
【請求項4】
下記の状態:免疫活性、肝炎感染、B型肝炎感染、腎炎の程度および癌の成長のうち少なくとも1つを変調する請求項3記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項5】
配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチド。
【請求項6】
配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体を含む、実質的に純粋なペプチド。
【請求項7】
下記の状態:免疫活性、肝炎感染、B型肝炎感染、腎炎の程度および癌の成長のうち少なくとも1つを変調する請求項6記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項8】
本質的に配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体からなる、実質的に純粋なペプチド。
【請求項9】
下記の状態:免疫活性、肝炎感染、B型肝炎感染、腎炎の程度および癌の成長のうち少なくとも1つを変調する請求項8記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項10】
配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体からなる、実質的に純粋なペプチド。
【請求項11】
下記の状態:免疫活性、肝炎感染、B型肝炎感染、腎炎の程度および癌の成長のうち少なくとも1つを変調する請求項10記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項12】
配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクター。
【請求項13】
ペプチドが下記の状態:免疫活性、肝炎感染、B型肝炎感染、腎炎の程度および癌の成長のうち少なくとも1つを変調する請求項12記載のベクター。
【請求項14】
本質的に配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクター。
【請求項15】
配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体を含むペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクター。
【請求項16】
本質的に配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列の機能的誘導体からなるペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクター。
【請求項17】
ペプチドをコードしている核酸配列を含む遺伝的構成物を有する微生物であって、該ペプチドが生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体を含み、該生物学的に活性なペプチドが配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する微生物。
【請求項18】
配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物。
【請求項19】
配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体を含む実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物。
【請求項20】
本質的に配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体からなる実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物。
【請求項21】
本質的に配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体からなる実質的に純粋なペプチドからなる医薬組成物。
【請求項22】
配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドを提供し、次いで、該実質的に純粋なペプチドと医薬上許容される担体とを混合することを特徴とする、医薬組成物の製造法。
【請求項23】
本質的に配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチドを提供することを特徴とする、医薬組成物の製造法。
【請求項24】
生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体であるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドを提供し、該生物学的に活性なペプチドが配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し;次いで、該実質的に純粋なペプチドと医薬上許容される担体とを混合することを特徴とする、医薬組成物の製造法。
【請求項25】
本質的に配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体であるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチドを提供することを特徴とする、医薬組成物の製造法。
【請求項26】
癌の治療において有用なヒトに対して医薬上有効投与量の、配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチド。
【請求項27】
免疫学的障害の治療において有用なヒトに対して医薬上有効投与量の、配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチド。
【請求項28】
癌の治療において有用なヒトに対して医薬上有効投与量の、配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体を含む実質的に純粋なペプチド。
【請求項29】
免疫学的障害の治療において有用なヒトに対して医薬上有効投与量の、配列番号1−15および17−30からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する生物学的に活性なペプチドの機能的誘導体を含む実質的に純粋なペプチド。

【公開番号】特開2007−312785(P2007−312785A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187713(P2007−187713)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【分割の表示】特願2003−512262(P2003−512262)の分割
【原出願日】平成14年7月11日(2002.7.11)
【出願人】(506263398)シーエムエス・ペプチズ・パテント・ホールディング・カンパニー・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CMS Peptides Patent Holding Company Limited
【Fターム(参考)】