説明

生物学的サンプルにおける蛍光信号を検出する方法

処理された生物学的サンプルからの蛍光信号を自動式顕微鏡で検出および分析する光学的手段。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2006年8月4日に出願された米国仮出願第60/821,557号の優先権の特典を主張するものであり、該出願は言及したことにより全体的に本明細書中に援用される。
発明の背景
本明細書において引用される全ての文献およびそれらの言及文献は、付加的もしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に対して適切である場合、言及したことにより本明細書中に援用される。
発明の分野
本発明は概略的に、生物学的構造用の蛍光タグを用いる斯かる生物学的構造の自動的顕微鏡式検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
習用の光学的顕微鏡検査法は概略的に、生物学的サンプルが固着された顕微鏡スライドと、細胞、核などの如き関心構造の吟味において斯かる生物学的サンプルの各個別領域に焦点を合わせるべく使用される単一の対物レンズとを採用する。上記対物レンズを通して視認される画像の寸法は、該対物レンズの倍率および開口数に依存する。上記顕微鏡スライド上の試料は上記対物レンズに関して手動的に移動され、複数の視野に帰着する。各視野において上記対物レンズを通して視認される関心構造は分析され、画像詳細が記録される。画像は、カメラによる捕捉により記憶され得る。上記複数の視野は、上記サンプルを全体として特性解析するために用いられる。当然乍ら斯かる処理は、試料の完全な概観を必要とする一切の用途に対して時間が掛かることがあり得る。
【0003】
顕微鏡検査法においては、分解能、コントラスト、焦点深度、作動距離、倍率、同焦点性、および、同中心性などの多くの要因が対処されねばならない。分解能は、画像中における2つの点を2つの点として区別する能力である。分解能は、サンプルにおける特定形状を決定して区別するために重要である。分解能は、倍率と共に減少することがあり、且つ、典型的には対物レンズの開口数に関連する。コントラストもまた、画像の評価において必要とされる。コントラストは、画像中における最も明るい点と最も暗い点との間の差であり、すなわち、各回折次数に対するゼロ次の相対強度である。十分なコントラストがなければ、画像は、良くても“平坦”に見え、または、最悪の場合には視認不能となり得る。習用的にコントラストは手動顕微鏡においては集光レンズ・ダイヤフラムにより制御される。焦点深度とは、焦点における画像の深さを指している。対物レンズの開口数が変化するにつれ且つ対物レンズの作動距離が変化するにつれて焦点深度は変化する(対物レンズの作動距離が増大するにつれて、焦点深度は増大する)。焦点深度は重要である、と言うのも、焦点深度の外側の試料内の物体は検出されないからである。作動距離とは、対物レンズの前部から試料平面までの距離を指している。対物レンズが交換されたとき(特に対物レンズが異なる開口数を有するとき)、作動距離ならびに焦点は変化し得る。概略的に、対物レンズが試料により阻害されないように、作動距離を十分に適切に維持することが重要である。対物レンズが交換されたときに焦点に留まりつつある試料である同焦点性、および、視野の中央における物体であって、どの対物レンズが使用されているかに関わらずに視野の中央に留まるという物体であるという同中心性もまた、概略的に好適である。
【0004】
サンプルの顕微鏡的分析を支援する多くの方法が知られている。たとえば限定的なものとしてで無く、一定の染料は一定の細胞構造に対する親和力を有することは知られている。故に斯かる染料は、斯かる構造の更なる明示を助力することにより分析を支援すべく使用され得る。
【0005】
細胞および組織の蛍光顕微鏡検査法は、当業界において公知である。細胞を蛍光試薬により処理して細胞を画像化することは、当業界において公知である。顕微鏡において複数の蛍光細胞を画像化すると共に、これらの細胞において生ずる空間分布および時間的変化に関する情報を抽出する方法が開発された。これらの方法の幾つか、および、それらの用途は、非特許文献1に記述されている。これらの方法は、細胞中における蛍光レポータ分子の分布、量および生化学的環境の空間的および時間的に高い分解能での画像化測定に対して数個の試料を調製すべく設計かつ最適化されてきた。(習用の反射顕微鏡は散乱された照明光を用いて画像を形成するが、)蛍光信号の検出は、放出された蛍光を用いて画像を形成する落射蛍光顕微鏡によるものとされ得る。落射蛍光顕微鏡の励起光は、サンプル中の蛍光タグを励起して該蛍光タグに蛍光を放出させるべく用いられる。落射蛍光顕微鏡の利点は、問題となる生物学的構造に対して蛍光分子が選好的に付着することで、問題となる斯かる生物学的構造の識別が許容される如く、サンプルが調製され得ることである。
【0006】
蛍光顕微鏡検査法において使用されるひとつの蛍光染料は、DNAに対して強力に結合する蛍光着色剤であるDAPIすなわち4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールである[CAS番号:[28718−90−3];SMILES構造:NC(C2=CC1=C(C=C2)C=C(C3=CC=C(C(N)=N)C=C3)N1)=N]。DAPIは無傷の細胞膜を通過することから、それは生きている固定細胞を着色すべく使用され得る。DAPIは紫外光により励起される。二本鎖のDNAに対して結合されたとき、その吸収最大値は約358nmであり、且つ、その発光最大値は約461nmである。DAPIはRNAに対しても結合するが、それほど強く蛍光的ではない。RNAに対して結合されたとき、その発光は約400nmへとシフトする。DAPIの青色発光は、単一サンプルにおいて複数の蛍光着色剤を使用せんとする顕微鏡使用者に対して好都合である。DAPIと、フルオレセインなどの緑色蛍光分子および緑色蛍光タンパク質(GFP)、または、テキサスレッドなどの赤色蛍光着色剤との間に蛍光の重なり合いは殆どない。他の生物学的構造を検出するためには、他の蛍光染料が用いられる。
【0007】
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)においては、他の形式の蛍光材料が用いられる。FISH法は、蛍光タグを使用して染色体構造を検出する。斯かるタグは、特異的な染色体および特異的な染色体領域に対して指向され得る。斯かる技術は、染色体の異常性および遺伝子マッピングを特定すべく使用され得る。たとえば染色体21に対するFISHプローブによれば、トリソミー21を有する細胞、すなわち、ダウン症候群の原因である余分な染色体21を備えた細胞の識別が許容される。多色式DNAプローブを備えるFISHキットは市販されている。たとえば、アボット・ラボラトリズ社(Abbott Laboratories)のVysis部により販売されているAneuVysion(登録商標)多色式DNAプローブ・キットは、羊水サンプル中における染色体13、18、21、XおよびYの異常性に対し、中期細胞および静止核内の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を介した試験管内での診断試験に対して設計されている。AneuVysion(登録商標)検定(CEP18、X、Y−アルファサテライト、LSI13および21)多色式プローブパネルは、CEP18/X/Yプローブを使用して染色体18、XおよびYのセントロメア領域におけるアルファサテライト配列を検出し、且つ、LSI13/21プローブを使用して13q14領域および21q22.13〜21q22.2領域を検出する。AneuVysionキットは、高リスクの妊娠と推定される対象者における羊水から獲得された中期細胞および静止核における蛍光in situハイブリダイゼーションを介して染色体13、18、21、XおよびYを特定して計数するために有用である。各タグにより発光される色の組み合わせは、通常的な染色体数が在るかトリソミーが在るかを決定すべく用いられる。
【0008】
同様の趣旨で、アボット・ラボラトリズ社のVysis部によるUroVysion(登録商標)キットは、膀胱癌があると推測される血尿症の対象者からの尿試料における蛍光in situハイブリダイゼーションを介して染色体3、7、17に対する異数性と9p21遺伝子座の喪失とを検出することにより、膀胱癌の発生および進行に伴う染色体異常を検出すべく設計される。上記UroVysionキットは、染色体3、7、9および17上の特異領域と相同のDNAプローブ配列の4色の4種のプローブ混合物から成る。上記UroVysionプローブ混合物は、染色体計数プローブ(CEP)としてのCEP3であるSpectrumRed、CEP7であるSpectrumGreen、CEP17であるSpectrumAqua、および、領域特異的プローブ(LSI9p21)であるSpectrumGoldから成る。
【0009】
手動式の顕微鏡検査法の面倒なプロセスを克服すべく、本発明者を含む多数の研究者は、顕微鏡スライドまたは(多重ウェル・プレートの如き)他のサンプル保持デバイス上の生物学的サンプルの複数の画像視野を捕捉かつ分析するための自動式顕微鏡検査システムを提案している。斯かるシステムは、顕微鏡分析の効率を相当に改善し且つサンプルの顕微鏡分析に影響する主観的な入力の幾つかを排除する可能性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】なし
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】アメリカン・サイエンティスト(American Scientist)80(1992)、第322〜335頁にけるテイラー等(Tailor, et al.)による論文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
自動式顕微鏡検査法には多数の困難性が伴う。たとえば、手動式顕微鏡検査法において実施される多くの機能は、人間の目および脳の制御下における漠然とした方法論により左右される。これらの機能の各々は、必要な明瞭性を以てスライドが吟味されるのを許容すべく対処される必要がある。更に、習用的な手動式顕微鏡検査法において行われる分析の多くは、先行する経験に基づく人間の理由付けを伴う。たとえば顕微鏡使用者は多くの場合、実際の生物学的構造からアーチファクトもしくは誤処理サンプルを識別し得るが、それを言葉で示すことを要求されたときに斯かる判断に対する根拠を表現することは困難である。更に自動式顕微鏡検査法は、自動式デバイスであって、スライドを取扱う機能、研究されるべき生物学的構造を解釈すると共に該解釈を実施するためのプロトコルを読み取る機能、対物レンズに関してスライドを調節する機能、斯かる生物学的構造に対してスライド上の多くの領域を検索する機能、スライド上にて関心構造が存在する領域を決定する機能、構造からの所望信号を無関係の信号から処理する機能、各信号を解釈する機能などを有するという自動式デバイスを必要とする。
【0013】
本発明者等は、複数のサンプルの自動式顕微鏡検査法を実施する際のこれらの要件および関連要件であって、高スループットの顕微鏡分析において使用され得る如き要件を認識し、且つ、本明細書においてはこれらの要件に対処した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
各実施例においては、以下のものが包含される:
【0015】
第1に、
(a)スライド載荷台と、少なくともひとつの対物レンズと、画像捕捉手段と、所定プロトコルに従い当該自動式顕微鏡を操作するプログラム可能手段と、分析結果を提供するプログラム可能手段とを備えて成る自動式顕微鏡を配備する段階と、
(b)自身上にサンプルと照会可能データとを含む顕微鏡スライドを配備する段階であって、上記照会可能データは上記サンプルの分析に対するプロトコルに関する情報を提供するという段階と、
(c)上記データを照会する段階と、
(d)上記スライドを上記スライド載荷台上で位置決めする段階と、
(e)上記照会可能データ中に符号化された上記分析プロトコルに従い、上記顕微鏡により上記サンプルを分析する段階と、
(f)上記顕微鏡により、上記サンプルを表す分析結果を提供する段階とを備えて成る顕微鏡分析のための方法である。
【0016】
第2に、
(a)スライド載荷台と、少なくともひとつの対物レンズと、少なくとも一枚の顕微鏡スライドを自身内に含む少なくともひとつのスライド・カセットと、所定プロトコルに従い当該自動式顕微鏡を操作するプログラム可能手段と、分析結果を提供するプログラム可能手段とを備えて成る自動式顕微鏡を配備する段階と、
(b)複数の顕微鏡スライドであって、各々が自身上にサンプルと照会可能データとを含む複数の顕微鏡スライドを配備する段階であって、上記複数のスライドは上記スライド・カセットの内のひとつ以上のスライド・カセット内に含まれ、上記照会可能データは上記サンプルの分析に対するプロトコルに関する情報を提供するという段階と、
(c)上記顕微鏡載荷台へとスライドを搬送するに適した位置へと第1カセットを搬送する段階と、
(d)上記第1カセットから第1スライドを上記顕微鏡載荷台へと搬送する段階と、
(e)上記第1スライド上に見出されるデータを照会する段階と、
(f)上記スライド載荷台上で上記第1スライドを位置決めする段階と、
(g)上記照会可能データ中に符号化された上記分析プロトコルに従い、上記顕微鏡により上記第1スライド上の上記サンプルを分析する段階と、
(h)上記顕微鏡により、上記第1スライド上の上記サンプルを表す分析結果を提供する段階と、
(i)分析されるべき別のスライドが上記第1カセット内に残存するなら、段階(d)〜(h)を反復する段階と、
(j)別のカセットが残存するなら、段階(c)〜(i)を反復する段階とを備えて成る、
高スループットの顕微鏡分析のための方法である。
【0017】
第3に、
スライド載荷台と、少なくともひとつの対物レンズと、画像捕捉手段と、所定プロトコルに従い当該自動式顕微鏡を操作するプログラム可能手段と、分析結果を提供するプログラム可能手段とを備えて成る自動式顕微鏡を使用する顕微鏡分析のための方法に対し、コンピュータにより実行可能な命令のプログラムを具現するコンピュータ可読記憶媒体であって、
上記プログラムは、
a)顕微鏡スライド上のデータであって、該照会可能データは上記スライド上に含まれたサンプルの分析のためのプロトコルに関する情報を提供するというデータを照会するための一群の命令と、
b)上記スライドを上記スライド載荷台上で位置決めするための一群の命令と、
c)上記照会可能データ中に符号化された上記分析プロトコルに従い、上記顕微鏡により上記サンプルを分析するための一群の分析命令と、
d)上記顕微鏡により、上記サンプルを表す分析結果を提供するための一群の命令とを備えて成る、
コンピュータ可読記憶媒体である。
【0018】
第4に、
スライド載荷台と、少なくともひとつの対物レンズと、少なくとも一枚の顕微鏡スライドを自身内に含む少なくともひとつのスライド・カセットと、所定プロトコルに従い当該自動式顕微鏡を操作するプログラム可能手段と、分析結果を提供するプログラム可能手段とを備えて成る自動式顕微鏡を使用する高スループットの顕微鏡分析のための方法に対し、コンピュータにより実行可能な命令のプログラムを具現するコンピュータ可読記憶媒体であって、
上記プログラムは、
a)上記顕微鏡載荷台へとスライドを搬送するに適した位置へと第1カセットを搬送するための一群の命令と、
b)上記第1カセットから第1スライドを上記顕微鏡載荷台へと搬送するための一群の命令と、
c)顕微鏡スライド上のデータであって、該照会可能データは上記スライド上に含まれたサンプルの分析のためのプロトコルに関する情報を提供するというデータを照会するための一群の命令と、
d)上記スライドを上記スライド載荷台上で位置決めするための一群の命令と、
e)上記照会可能データ中に符号化された上記分析プロトコルに従い、上記顕微鏡により上記サンプルを分析するための一群の分析命令と、
f)上記顕微鏡により、上記サンプルを表す分析結果を提供するための一群の命令と、
g)分析されるべき別のスライドが上記第1カセット内に残存するか否かを決定し、もしそうであれば、(b)〜(f)における上記命令を反復するための一群の命令と、
h)別のカセットが残存するか否かを決定し、もしそうであれば、(a)〜(g)における上記命令を反復するための一群の命令とを備えて成る、
コンピュータ可読記憶媒体である。
【0019】
第5に、
当該スライドに記録された電子的に照会可能なデータを含むと共に当該スライド上に生物学的サンプルを有するスライドを準備する段階と、
上記電子的に照会可能なデータを上記スライドから読取る段階と、
上記生物学的サンプルが自動式顕微鏡により如何に走査されるべきかを、上記電子的に照会可能なデータから決定する段階と、
上記スライドに記録された上記電子的に照会可能なデータにより指示される様式にて、上記スライドを自動式顕微鏡により走査する段階と、
上記走査から、上記生物学的サンプルを表す試験結果を決定する段階とを備えて成る方法である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例における各ステップの概観を与えるフローチャートである。
【図2】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図3】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図4】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図5】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図6】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図7】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図8】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図9】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図10】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図11】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図12】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図13】本発明の実施例における各ステップの詳細を与えるフローチャートである。
【図14】本発明の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、本発明の実施例の主要な概略的フローチャートが開示される。図1は、複数のスライド上の各サンプルの自動的な読み取りおよび分析を協働して実現する種々の演算モジュールの概観を示している。斯かるスライドの集合は、研究設定または診断設定において生じ得る。多数のスライドが、本明細書に開示される自動的方法により好適に検証かつ分析される。生物学的試料、細胞もしくは組織の調製物、および、同様の研究対象物は、本発明の上記方法による顕微鏡分析に対する対象物の非限定的な例を構成する。本明細書においてこれらは概略的に、“サンプル”または“試料”と称される。共通して、各サンプルは顕微鏡分析を支援する標識を含む。多くの場合、斯かる標識は蛍光標識である。更に、サンプルはひとつより多い蛍光標識を含むこともあり、その場合に各標識は、特定の区別可能な蛍光特性、特に区別可能な励起および発光波長を有する。斯かるサンプルの適切な顕微鏡分析を行うために、該サンプルを照射する光線内には適切な励起フィルタが載置されるか、または、異なる波長の複数のレーザ源の内のひとつのレーザ源が選択され、且つ、サンプルと、カメラもしくは荷電結合素子(CCD)の如き画像捕捉デバイスとの間には対応する発光フィルタが載置される。斯かるサンプルの自動顕微鏡分析を統御する処置において、コンピュータもしくは同様の制御デバイスは、検証されるべき各プローブの性質を記述する利用可能情報を有さねばならない。この必要情報を含むサンプル識別情報、ならびに、付加的なサンプル識別子は、バーコードもしくは縞状配列の如き照会可能な符号手段を用いて、各スライド上に符号化され得る。上記照会可能符号はスライドが顕微鏡内に位置されるときに読み取られ、且つ、対応情報は上記コンピュータもしくは制御デバイスに対して通信される。
【0022】
図1に見られる如く顕微鏡の載荷台上の所定位置に一旦装填されたなら(15)、特定のスライドに対する分析は、該スライド上に存在するバーコードを読み取ることにより開始される(20)。上記バーコードは、実施されるべき顕微鏡分析の性質を表す情報を含む。多様な分析プロトコルに対する詳細は、上記コンピュータもしくは制御デバイスによる参照のためにデータベース内に記憶される。スライドのバーコードが一旦読み取られたなら、該バーコード中に符号化された情報に従い、データベース(DB)内の正しい実験プロトコルが特定される(25)。顕微鏡の操作を制御すべくこの情報が今や利用可能とされると、連続する一連の操作であって、焦点合わせを調整し、且つ、開始するための低倍率から実際の分析のための高倍率まで変更する調節などを含め、適切な画像を提供するために走査されるべきスライド上の領域を最適化するという一連の操作が実施される(ステップ30、35、40、45および50を参照)。このプロトコルに包含された種々のモジュールを好首尾に実施すると、図1において“試験結果”と表された結果が提供される(55)。図1に示された残りのループは、所定のカセットにおいて最後のスライドが検証されたか否かの決定(65および85)、および、最後のカセット内のスライドが分析されたか否かの決定(70および80)に関する。最後のカセットが検証されたとき、顕微鏡の操作は終了する(75)。
【0023】
図1に示された如くdatabridgeアプリケーションは、実行されつつある他の処理と並行してファイル取扱いのためのシステム・サービスとして実行が開始される(ステップ5)。斯かるサービスは図13に示された如き方法であり、その場合に該サービスは、各パラメータと、該アプリケーションが実行される環境との設定を含んで開始される(ステップ300)。図13の方法において、IKoDataBridge.exe.configにより提供され得る如き設定ファイル(ステップ305)が読み取られる(ステップ310)。必須条件が満足されなければ、アプリケーション・イベント・ログの如きファイル内にはエラーが記録され(ステップ320)、且つ、処理は作動停止される(ステップ325)。ソース・フォルダの存在の如き必須条件が満足される(ステップ315)なら、作動停止が要求されるまでループは実施される(ステップ335)。上記ループを開始させると、ログ・ファイルは、たとえば“.txt”ファイルなどのファイルのリストに対して質問される(ステップ340)。各ファイルが見出された(ステップ345)なら、別のループが開始され(ステップ350)、その場合には“.nvc”形式ファイルの如き対応ファイルに対する更なるチェックが実施される。対応ファイルの存在は次に、斯かる“.nvc”ファイル内の成功カウントの読み取りに繋がり、且つ、オリジナル・ファイル内のエントリのスキップを引き起こす(ステップ360)。たとえば“.txt”ファイルなどのオリジナル・ファイルからのエントリの読み取り(ステップ365)の後、完了マーカが見出されるか否かに関する質問が実施され(ステップ370)、すると直ちに、テキスト・ファイルが削除される(ステップ375)。更なるファイルの照会が行われ(ステップ380)、その結果、“.txt”ファイルの如き見出された各ファイルに対して開始された上記ループの戻りおよび継続が行われる(ステップ350)。もし更なるファイルが見出されないならば(ステップ380)、上記システムは代替的経路(ステップ385、385’)により示された如く、たとえば“.config”の如き設定ファイル内で指定された時間に基づき活動休止とされる(ステップ330)。活動休止期間(ステップ330)が完了する結果、作動停止されたループへの戻りおよび継続が開始される(ステップ335)。ステップ370において完了マーカの見出しが不首尾であれば、ステップ425においては特定の命令がトリガされて実行される。その実行が好首尾であれば(ステップ405)、ステップ365に見られる如く、たとえば“.txtファイル”などからのエントリの読み取りが再開される。ステップ425の命令の実行においてステップ405にて不成功なら、アプリケーション・イベント・ログの如きログ・ファイルにエントリが記録され(ステップ410)、エラー形式およびカウントが質問され(ステップ415)、且つ、ステップ430にては再試行カウントが可能的にインクリメントされ、425の実行ステップに戻る。ステップ415において検証される如く命令のエラーもしくは再試行カウントが十分に多い結果、ステップ420における如きスキャナ・アプリケーションに対して通知が行われ、且つ、“.txt”ファイルの如き別のファイルに対するループの継続のためにステップ350に戻る。“.nvc”ファイルの如き対応ファイルが存在しない場合(ステップ355)、ゼロを含むファイルが作成され(ステップ400)、その後、ステップ365から継続して、上記で実施された如く処理が行われる。ステップ345で見出されたファイルが存在しないと、たとえばデータベース・ログ・フォルダなどのフォルダからファイル・リストが読み取られ(ステップ390)、各ファイルに対して上記リストの質問が行われる。ファイルが何ら見出されなければ、上記サービスはステップ330に示された如く活動休止モードに置かれ、または、各ファイルが見出されたなら上記処理はステップ350におけるファイル・ループに戻る。
【0024】
図1に戻ると、バーコードまたは他の電子的に読取可能な目印を有するスライドは、複数のスロットを有するカセット内へと装填され(ステップ10)、各スライドはそこから獲得され得る。次に、分析のためのスライドは自動式顕微鏡内へと装填される(ステップ15)。上記バーコードまたは他の電子的に読取可能な目印が読み取られ(ステップ20)、データベースを参照することで、該スライド上で要求される処理の形式(たとえば、要求されるアプリケーションの形式)が決定される(ステップ25)。上記自動式顕微鏡は次に、要求された処理に基づきサンプル内の関心物体を検出する多数の段階の実行を模索する。
【0025】
先ず、上記サンプルは対物レンズに関して焦点合わせされる。焦点合わせは、焦点が達成され得るスライド縁部の如き既知の基準点を用いて行われ得る。斯かる焦点合わせは図7に示された如き方法とされ得、その場合、幾つかのパラメータが焦点外状況のフラグを立てるならばz範囲における焦点深度が再定義され(ステップ11)、または、再定義しない(ステップ19、終了)。図7に記述された方法において、スライドはたとえば100ミリ秒の時的間隔に亙る照会に対して露光され(ステップ12)、ビニング・モードは相当の領域を覆うべく設定され、たとえば4×4に設定される(ステップ13)。照会スポットは次に、スライドの頂部中央縁部の如きスライド縁部上の基準点に設定される(ステップ14)。次に自動焦点が実施されることで、Z基点(Zbase)、すなわちスライド縁部の頂面における如きZ軸に沿う基点が決定される(ステップ16)。上記Z基点から、焦点深度に25を乗算した積だけ離間した如きz焦点の上限値が定義され(ステップ17)、且つ、z焦点の下限値が定義される(ステップ18)。
【0026】
図1に戻ると、焦点合わせの後、所定アルゴリズムに基づいて走査領域が決定される(ステップ35)。たとえば図2は、スライド上のバーコードもしくは他の電子的に読取可能な目印に基づく2つの異なるFISH系試験、すなわちAneuVysion(22)およびUroVysion(23)に基づく走査領域定義に対する2つの異なる方式を示している(ステップ21)。斯かる試験はサンプルを装着する様式が異なり、AneuVysionサンプルはスライド上に塗沫標本として載置されると共に、UroVysionスライドに対してサンプルは滴下された球状塊として適用される。
【0027】
図2に示された如く、もしAneuVysion試験が表されたなら(22)、走査領域はステップ24にてスライド上の全体的走査可能領域として定義されることで、スライド上の塗沫標本の位置が決定される。図示された様に、たとえば27にて示される如く、スライドの垂直軸心に沿う順序に従う可能的候補の迅速検出に対しては、低倍率の視野滞在(“探査滞在”)が行われる。次に、孤立した可能的候補の照会が、高倍率により実施され得る(“吟味モード”)。
【0028】
図2に更に示される如く、UroVysionスライド28に関し、可能的候補の吟味は、多数のステップを採用し得る。ステップ29にては、サンプルと相互作用するDAPIの如き標識からの蛍光信号を選択的に決定するフィルタが設定される。ステップ31にて露光値は事前定義値に設定され、且つ、カメラのビニング・モード(別個の複数のピクセルの併合)は4×4の如き事前定義レベルに設定され(ステップ32)、スライドの適切な走査が許容される。次に、スライド上の箇所の固定的なz位置であって、たとえば全体的なz移動範囲の中央に設定されたz位置の読取値を許容すべく、Zモータが位置決めされる。たとえば、整列箇所の2、8、11および5に示された如く、UroVysionスライド28上の事前記録位置の読取りが行われる(ステップ34)。たとえば位置1、2および3を包含する位置決定視野の如きスライド28上の事前プログラム箇所領域の照会が行われ(36)、ステップ36にては、斯かる事前プログラム視野におけるDAPI信号の画像化が行われ、且つ、各位置における平均ピクセル値が決定される。ステップ37にては、ステップ38/39、41/42および43/44にて反復される如く、各々の事前プログラム位置決定視野に対し、最大の平均ピクセル値(上限)を有する位置が選択される。最大の平均ピクセル値を有すると識別された各位置を用いて、囲繞境界が定義される(ステップ46)。その様に定義された囲繞境界内において、次に、(たとえば円形などの)定義された境界の中央から開始し、渦巻きがひとつずつ外側となるにつれて順序番号が増加するという低倍率の視野視察系列が割当てられる(ステップ47)。
【0029】
図1に戻ると、ステップ40にては、次に低倍率走査が実施される。斯かる低倍率走査は、図3に示された個別ステップを伴い得る。ステップ49において、倍率はたとえば10Xの倍率を有する対物レンズなどの低い値に設定される。次に、ステップ51にては、たとえば図5に示された方法を用いて、対物レンズの再現精度の如き品質管理尺度、または、他の形態の品質検査基準が決定され得る。
【0030】
対物レンズ再現精度は、図5に示された如き方法の実施例を用いて決定され得る。先ず、各走査領域を走査すべく使用される夫々の倍率レベル(たとえば、139に示された如く10Xもしくは100X)に対してビニング・モードが設定される。たとえばビニング・モードは、図5に示された如く、2×2(141)、または代替的に4×4(142)に設定され得る。143にて示された如く、対物レンズをたとえば10Xなどの適切な倍率に設定し、幾つかの可能的な関心特定形状を含むと決定された事前定義位置に対して照会が行われる144。自動焦点および自動露光が実施されてひとつの画像が捕捉され(ステップ146)、且つ、たとえば、光学的勾配の如き勾配を決定することにより少なくとも一個の特定形状が識別される(ステップ147)。ステップ148にて特定形状が決定されなければ、低倍率の視野は更に下方移動され、ステップ146の自動焦点および自動露光が反復される。ステップ148にて特定形状が決定されたなら、ステップ149にては倍率が確認され、事前定義された同焦点性オフセットを適用して関心特定形状が中心合わせされ(ステップ152)、且つ、ステップ153にて対物レンズ倍率はたとえば100Xへと変更される。再び自動焦点および自動露光が実施され(ステップ154)、且つ、勾配が使用されて関心特定形状が見出される(ステップ155)。次に、孤立した上記特定形状の回りに、相関整合のためのテンプレートが生成され得る(ステップ157)。次に対物レンズは最初の対物レンズおよび位置にもう一度変更され、画像が捕捉され、且つ、相関に基づいて先の画像からオフセットが決定される(ステップ159)。オフセットが容認可能であり(ステップ161)、且つ、オフセットが3回の如き複数の連続的回数に対して容認可能であれば(ステップ162)、対物レンズ再現精度試験は終了される(ステップ164)。連続的である所定の最大回数の試みにおいて上記容認可能性がオフセット容認可能性に到達しなければ(ステップ163)、対物レンズが変更されて元の位置に戻される(ステップ158)。148にて特定形状が見出されなければ、低倍率視野がひとつだけ下方移動され(151)、且つ、流れはステップ146へと継続する。
【0031】
図3に戻ると、ステップ51にて対物レンズ再現精度が確認された後、画像処理スレッドが生成される(ステップ52)。同時的処理として、上記画像処理スレッドは先ず初期化され(ステップ73)、且つ、待ち行列における画像処理ジョブを待機した後で(ステップ74)、画像は保存される(ステップ76)。各画像は次に処理されると共に、所定アルゴリズムに従い、候補核が選択され、且つ、候補核目標物の各々のx−y位置が決定される(ステップ77)。決定された各x−y位置から、視野毎の核の個数を最大化すべく、且つ、斯かる核候補を訪れるために必要な高倍率視野の総数を最小化すべく、使用されるべき高倍率に基づいて照会戦略が設定される(ステップ78)。各画像の受信時に、上記スレッドが終了されるべきか否かの決定が為され(ステップ79)、そうでなければ画像処理は継続し(ステップ74)、且つ、もし終了が決定されたなら(ステップ81)、たとえば示された如きAneuVysionまたはUroVysionなどの試験選別プロトコルに基づき(ステップ83)、各視野は必要な情報を提供する様式でソートされる。たとえば、AneuVysion試験に関しては(ステップ82)、高倍率視野のリストが当該視野内の核の個数に基づいてソートされ得る(ステップ86)と共に、UroVysion試験に関しては(ステップ84)、その視野内の最大の核サイズに基づいて高倍率視野のリストがソートされ得(ステップ87)、終了が追随する(ステップ88)。
【0032】
次に図3のステップ53に移ると、上記で論じた如き画像処理スレッドの生成(ステップ52)の後で、システムは画像の獲得に対して設定される。先ず、画像化のために必要なディスク空間などのパラメータがチェックされ、且つ、(たとえば照明などの)光源が起動される。サンプルは次に、事前決定された視察系列順序により低倍率視野の吟味を以て視察される(ステップ54)。これと併せて、たとえば核タグを決定するDAPIフィルタなどのフィルタが達成され得ると共に、ビニング・モードは適切な分解能に対して調節される(ステップ56)。次に、低倍率の対物レンズは、たとえば図10に記述された如き方法により調節される(ステップ57)。
【0033】
図10には、低倍率焦点を調節する方法が示される。先ず、低倍率視野が系列順序における第1の低倍率視野であるか否かが決定される(ステップ232)。ステップ236にて、上記低倍率視野が系列順序における第1の低倍率視野であるなら、“スライド縁部上の検出焦点”から発見されるz焦点範囲を取入れたデータベースを使用する内挿により、上記低倍率視野におけるz範囲、および、可能であれば頂縁部から底縁部までのz差(234)が再計算され(233)、可能でない(ステップ237)ならば終了される(ステップ186)。上記低倍率視野が上記系列順序における第1の低倍率視野でなければ、可能的な関心構造の近傍視野が所定数に設定される(ステップ239)と共に各近傍視野は低倍率で照会される(ステップ241)ことで、有効なz焦点値を以て一個以上の近傍視野が在るか否かが決定され(ステップ244)、もしそうであれば、全てのz焦点値の平均値が取られ(ステップ247)、もしそうでなければ、拡張される近傍視野が無くなるまで(243)近傍視野の個数もしくはサイズが拡張され(ステップ243)、且つ、フラグ(237)が送信されて処理列が完了される(186)。
【0034】
図3に戻ると、ステップ58にては自動焦点および自動露光が実施される。次にビニング・モードは、示された如くたとえば1×1へと変更され得(ステップ59)、たとえばDAPI画像が獲得され得る(ステップ71)。関心物体を明示すべく使用される例えばAneuVysion試験の如き試験に依存し(72)、斯かる物体を明示すべく他の顕微鏡パラメータへと変更する必要があり得る。たとえば、サンプルから発する信号のフィルタリングを変更し(ステップ61)、且つ、サンプルの露光値を変更する(ステップ62)必要があり得る。画像が一旦獲得されたなら(ステップ63)、それは上記で論じられた処理スレッドを用いて処理され得る(64)と共に、全ての候補が位置決定され(ステップ66)かつ視野の各々が照会された(ステップ67)なら、画像処理スレッドは終了される(ステップ81)。
【0035】
使用される試験プロトコル(たとえば82、83、84のAneuVysionもしくはUroVysion)に依存して、処理された各画像は、たとえば、AneuVysion試験に関しては視野における核の個数に基づき複数の高倍率視野のリストをソートし(ステップ86)、且つ、UroVysion試験に関しては視野内の最大の核サイズに基づき高倍率視野のリストをソートする(ステップ87)ことにより、所定様式で取扱われる。もし全ての候補が位置決定されるのでは無く(ステップ66)、且つ、視野の各々が照会されるので無ければ(ステップ67)、走査領域は再定義され得る(ステップ68、69)。
【0036】
走査領域の再定義は図8の方法によるものとされ得、その場合には中心点が選択され、其処から、図14に示された順序の如き渦巻き状の走査技術が実施される。斯かる渦巻き状の走査は、ステップ181の式により定義され得る。斯かる方法にてステップ179においては、垂直中心線に沿い走査された各視野における核の個数Nyを獲得する。ステップ182にては、重み付けされた平均値を用いて上記中心のy座標Cyを計算する。引き続きステップ183にて、スライドの垂直中央軸心が位置するx座標Cxを計算する。次にステップ184にて、スライドの幅と同様の直径を有する走査領域を(Cx,Cy)の回りに定義する。最後にステップ185にて、終了(ステップ187)の前に、円の内側の低倍率視野の各々に対して走査順序番号を割当てる。順序番号は領域の中心から開始し、渦巻き状に外方に進むにつれて増加する。該番号は、既に走査された領域を省かねばならない。
【0037】
低倍率走査領域が一旦定義され(図1のステップ35)、且つ、サンプルが低倍率で走査されたなら(図1のステップ40)、高倍率での走査が実施され得る(図1のステップ45)。
【0038】
高倍率走査は、図4に示された如き方法を採用し得る。対物レンズは高倍率に設定され、且つ、カメラ利得を最高利得に設定する(ステップ89)。次に、高倍率に対する画像処理スレッド(ステップ91)は、先ず初期化し(ステップ129)、待ち行列における画像処理ジョブを待機し(ステップ131)、画像を保存し(ステップ132)、(DAPIおよびFISH画像の如き)一群の画像を処理し(ステップ133)、高倍率視野の確率マップを更新し(ステップ134)、たとえば核などの関心目標物を分類し(ステップ136)、且つ、適切であれば最後にスレッドを終了し(ステップ137/124)て126に継続することにより、生成される。ステップ134における高倍率視野の確率マップの更新は、図12のフローチャートに示された方法によるものとされ得る。
【0039】
示された如く、ステップ300にては、(DAPI物体の如き)物体が(FISH物体の如き)他の関心物体を有する確率に関する入力、および、各高倍率視野に対する物体の個数に関する入力が提供される。次に、各高倍率視野においてFISH信号を有するDAPI物体の如く、他の関心物体を伴う関心信号の個数の期待値の計算が在る(ステップ305)。次に、各高倍率視野はDAPI物体の如き有用な物体の個数に従いソートされ(ステップ310)、DAPI物体の如き有用な物体の最大数を有する高倍率視野が走査され、且つ、低倍率視野に対するDAPI物体の如き有用な物体の確率が調節される(ステップ315)。ステップ320においては、高倍率視野の各々において(たとえばFISH信号を有するDAPI物体などの)所望信号を有する物体の個数の期待値が計算される。
【0040】
たとえば、FISH信号を有するDAPI物体に関する高倍率視野の確率マップが決定され得る。最小限の時間内で十分な個数の有用なDAPI物体を見出すために走査されるべき視野の個数を減少するために、上記高倍率視野内に含まれた物体の個数に基づき、高倍率走査のためにDAPI物体がソートされ得る。良好なFISH信号を有するDAPI物体(すなわち、最大数の有用なDAPI物体を含む物体)が更にソートされることで、高倍率分析に必要な時間が減少され得る。FISH物体を有すべく適切に処理された高倍率視野に対する確率がp=m/nであると仮定すると、DAPI物体がFISH物体を含むことが見出される毎に、上記確率はp=(m+1)/(n+1)となるべく処理され得る。また、DAPI物体がFISH物体を含むことが見出される毎に、確率をp=m/(n+1)と調節する。その場合、各高倍率視野における有用な物体の個数の期待値は、DAPI物体の個数と上記確率との乗積である。物体の個数の最大の期待値を有する高倍率視野が、走査されるべく選択され得る。pの値は、典型的なスライド上での実験により統計的に求められ得ることを銘記されたい。固定されたpとするなら、各物体がFISH信号を有するか否かに関わらず、該物体が確率調節に関して適切な影響要因を有し得る如く、m(もしくはn)の値は慎重に選択される必要がある。
【0041】
使用され得るDAPI/FISHシステムに対するアルゴリズムの擬似コードは、以下に示される:
1.最初の低倍率視野の品質指標を、p=m/n=p=m/nとする。
2.各高倍率視野における物体の個数の期待値を計算し、それらをソートする。
3.物体の最大の期待個数を有する高倍率視野を選択する。
4.物体の期待個数がNmin未満であれば、停止する。
5.選択された高倍率視野を走査して分析する。
6.上記高倍率視野における各物体に対し、それがFISH信号を含むか否かを判断する。n=n+1とする。もし上記物体がFISH信号を含むなら、m=m+1である。
7.十分な個数の有用なDAPI物体が見出されたら、停止する。
8.新たな視野品質指標p=m/nを計算する。
9.現在の低倍率視野内で残りの高倍率視野における視野品質指標に基づいて物体の個数の期待値を更新する。
10.残りの高倍率視野をソートし、3.に行く。
【0042】
mおよびnから適切な値を選択することにより、多数の走査方策を達成し得る。高倍率走査アプリケーションに対し、上記アルゴリズムは、FISH信号の無い物体が在る視野を断念し得ることが望ましいこともある。その様にするために、mおよびnに対して小さな値を選択しても良い(たとえば、m=1、n=2とし;または、視野の断念を更に迅速としたいならばm=0.5、n=1とする)。Nminは、たとえば=0.2〜0.3と選択され得る。
【0043】
ステップ136における核の分類に関し、分類は、たとえば図11のAneuVysion/UroVysion(209、211、212)の如き、採用される特定の試験プロトコルにより指定され得る。たとえば、AneuVysion試験スライド上の核がカウントされつつあるとき、FISHチャネルの内の任意のチャネルにおけるドット・カウントがカウント可能フラグを含まないか否か(ステップ213)という単純な決定は、提案された核ドットがカウントされるべきであるか(216)カウントされるべきでないか(214)を決定すべく使用され得る。同様に、UroVysion試験スライド上の核がカウントされつつあるとき、チャネル・カウントは核の分類に関して使用され得る。たとえば、3つのチャネルなどである複数のチャネルの内の2つ以上のチャネルが2個より多いドットを有する(217)なら、異常分類(223)が与えられ得、または、最初の3つのチャネルが2個のドットを有し且つ最後の(たとえばgoldの)チャネルがゼロ個のドットを有する(219)なら、異常の分類(226)が与えられ得る一方、最初の3つのチャネルが2個のドットを有し且つ最後の(たとえばgoldの)チャネルが2個のドットを有する(221)なら、正常の分類(227)が確保され得る。上記複数のチャネルにおけるひとつのチャネルのみが2個より多いドットを有する(218)なら分類は単一利得とされ(224)得る一方、最初の3つのチャネルにおける少なくとも2つのチャネルが1個より多いドットを有し且つgoldにおいてはゼロ個のドットであるなら、goldはゼロの分類(228)もしくは未分類(229)が行われ得る。核の各々を分類したなら、分類処理は終了され得る(231)。
【0044】
画像処理スレッドの生成(ステップ91)の後、図4に示された方法を採用する高倍率での走査(図1のステップ45)は、たとえば上記にて図5に関して論じられた如く、対物レンズ再現精度試験(92)を処理し得る。ディスク空間および照明の如き顕微鏡のパラメータが再び実施され(ステップ93)、且つ、停止条件がチェックされる(94)。
【0045】
停止条件のチェック(94)は、たとえばAneuVysionまたはUroVysionなどの採用されつつある特定の試験プロトコルに依存し得る(166、167、168;図6を参照)。
【0046】
たとえば、もしAneuVysion(167)なら、全体的な走査領域が走査されたか否かの決定(169)が行われ得ると共に、もしそうであれば、停止条件が設定され(173)、且つ、処理は終了される(174)。他方、全体的な走査領域が為されていないとの決定が行われたなら(169)、高倍率で収集された核の合計は、500以上である如き閾値と比較され得る(171)。この閾値が満足されているなら、停止条件が満足されていると決定され得る(173)。上記閾値が満足されていることは見出されず、且つ、全ての細胞範疇における核の最大数が(50以上である如き)所定の最小閾値より大きいと決定されるなら(172)、停止条件は同様に満足されていると決定され得る(173)。それが所定の最小閾値より小さいなら、停止条件は未だ満足されていないと決定され得る(176)。
【0047】
採用された特定プロトコルがUroVysionであるなら(168)、全体的な走査領域が走査されたか否かの決定が為され得(177)、もしそうであれば、停止条件が満足されており、もしそうでなければ、停止条件を満足すべく別のパラメータが求められる(173)。たとえば、停止条件が満足されている(173)ことの条件として、高倍率にて収集された核の合計が、ユーザ指定の値より大きいこと(178)とし得る(もしそうでなければ、停止条件は満足されていない176)。
【0048】
図4に戻ると、サンプルに対して実施された試験の形式(たとえば、AneuVysion(ステップ96))は、高倍率走査のステップ(図1のステップ45)に影響し得る。たとえば、AneuVysionが上記試験であるなら(ステップ96)、次に最大である期待個数の核を有する高倍率視野を走査のために選択(ステップ138)し得る一方、斯かる試験が採用されていなければ、上記リストにおける次の高倍率視野が走査され得る(ステップ97)。上記処理においては、たとえば50番目毎の高倍率視野にて照明タイマをリセットするなどして、顕微鏡の各パラメータを定期的に調節することが必要であり得る(ステップ98)。画像を撮る前に、画像処理待ち行列が利用可能であることを確認することが好適である(ステップ99)。適切なフィルタが設定される必要があり得(ステップ102)、シャッタはオンに設定され(ステップ103)、且つ、高倍率視野が入力される(ステップ101)。次に、適切な照会波長に対する露光時間が、ビニング・モードの設定により見積もられ得る(ステップ104)。自動露光および自動焦点を調節した後(ステップ106)、見出された焦点位置および露光値にてDAPI画像の如き画像が撮られ得る(ステップ107)。同中心性オフセットを決定することにより同中心性が確認されるべきであり(ステップ108)、もし上記オフセットが大きすぎるなら(ステップ109)、対物レンズは低倍率と高倍率との間で転回され(ステップ127)、チェック処理は反復され、または、最後の高倍率視野に到達したと決定されたなら(ステップ123)、画像処理スレッドは終了される(ステップ124)。上記オフセットが大きすぎなければ、DAPIマスクの如き他のマスクが採用され得ると共に、同中心性オフセットが更新される(ステップ111)。たとえば9枚などの一群の画像を必要とした後、最適に焦点合わせされた平面が決定され得(ステップ112)、更に、FISH信号を検出するためのフィルタの如きフィルタが設定され(ステップ113)、且つ、露光時間が再計算されてビニング・モードが設定される(ステップ114)。最適に焦点合わせされた平面上の自動露光が行われ得(ステップ116)、次に、画像群を生成する所望数のフィルタが完了する(ステップ119)まで、ビニング・モードを新たな値に設定して露光を適用する(ステップ117)ことにより、上記フィルタが設定されたFISH信号などの一群の画像の信号が獲得される(ステップ118)。次に画像獲得デバイスのシャッタがOFFに設定され得(ステップ121)、獲得された画像は画像処理スレッドへと送られ(ステップ122)、最後の高倍率視野が照会されたことを決定した後(ステップ123)、画像処理スレッドは終了される(ステップ124)。図6に関して上述された如き停止条件のチェック(図1のステップ50)時における高倍率走査の完了(ステップ126)によれば、自動式顕微鏡が試験結果を生成することが促進され得る(図1のステップ55)。
【0049】
図9には、AneuVysionまたはUroVysion試験(188、189、191)に関する試験結果(図1のステップ55)を決定する代表的な自動的方法が示される。AneuVysion試験(189)に関して描かれた如く、各蛍光標識剤(CEP対LSI)は、斯かる標識剤に対する目標染色体領域への結合に関して分析される。たとえばCEPに関しては(193)、X、Yおよび18のドット・カウントが決定され(ステップ196)、且つ、LSIに関しては(194)、染色体13および21にに関するドット・カウントが獲得される(ステップ197)。決定されたドット・カウントは次に、CEP標識化(201)またはLSI標識化(202)に対する可能的な結果のデータベースに対して突き合わされる(ステップ198)。獲得されたドット・カウントが有効なCEP標識化に対する可能的なドット・カウント結果と一致するなら(201)、一致した出力は試験結果として送られる。但し、獲得されたドット・カウントが有効なCEP標識化に対する可能的なドット・カウント結果と一致しなければ、一致しない理由は少なすぎる核の分析に起因するか否かが決定され(ステップ199)、もしそうであれば試験結果出力は“50個未満の核画像”として送られ(206)、且つ、もしそうでなければ試験結果は“再吟味を推奨”として送られる(204)。試験結果は208にて終了される。
【0050】
図1に戻ると、試験結果の生成(ステップ55)の後に、照会されたスライドは降荷され(ステップ60)、且つ、そのスライドが上記カセット内の最後のスライドでなければ(ステップ65、70)、該カセットから新たなスライドが装填される(ステップ85)。もしそれが上記カセット内の最後のスライドなら(ステップ70)、次のカセットが利用可能であれば該カセットが装填され得(ステップ80)、または、利用可能でなければ操作は終了され得る(ステップ75)。
【0051】
好適実施例に関する陳述
本発明は好適実施例に関して記述されたが、当業者であれば、本発明に対しては添付の各請求項により定義された本発明の精神または有効範囲から逸脱せずに種々の変更および/または改変が為され得ることを容易に理解し得よう。付加的もしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に対して適切な場合、本明細書において引用された全ての文献は言及したことにより本明細書中に援用される。
【符号の説明】
【0052】
27 AneuVysionスライド
28 UroVysionスライド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該スライドに記録された電子的に照会可能なデータを含むと共に当該スライド上に生物学的サンプルを有するスライドを準備する段階と、
上記電子的に照会可能なデータを上記スライドから読取る段階と、
上記生物学的サンプルが自動式顕微鏡により如何に走査されるべきかを、上記電子的に照会可能なデータから決定する段階と、
上記スライドに記録された上記電子的に照会可能なデータにより指定される様式にて、上記スライドを自動式顕微鏡により走査する段階と、
上記走査から、上記生物学的サンプルの状態を表す試験結果を決定する段階とを備えて成る、方法。
【請求項2】
スライド載荷台と、少なくともひとつの対物レンズと、画像捕捉手段と、所定プロトコルに従い当該自動式顕微鏡を操作するプログラム可能手段と、分析結果を提供するプログラム可能手段とを備えて成る自動式顕微鏡を配備する段階と、
自身上にサンプルと照会可能データとを含む顕微鏡スライドを配備する段階であって、上記照会可能データは上記サンプルの分析に対するプロトコルに関する情報を提供するという段階と、
上記データを照会する段階と、
上記スライドを上記スライド載荷台上で位置決めする段階と、
上記照会可能データ中に符号化された上記分析プロトコルに従い、上記顕微鏡により上記サンプルを分析する段階と、
上記顕微鏡により、上記サンプルを表す分析結果を提供する段階とを備えて成る、顕微鏡分析のための方法。
【請求項3】
前記顕微鏡により前記サンプルを分析する前記段階は、ひとつ以上の特定可能なプロトコルを備えるデータベースからのデータを照会することにより特定されたプロトコルを獲得する段階を備えて成る、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記顕微鏡により前記サンプルを分析する前記段階は、上記顕微鏡により、上記サンプルに対し、または、該サンプル内に包含される焦点面に対して焦点合わせする段階を備えて成る、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記顕微鏡により前記サンプルを分析する前記段階は、上記サンプルの画像を獲得する段階を備えて成る、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記画像を獲得する前記段階は、
低倍率を有するレンズを用いて画像走査を行う段階と、
上記低倍率走査の一部分を、高倍率を有するレンズを使用して画像を走査するために選択する段階と、
上記高倍率にて画像走査を行う段階と、
上記高倍率走査を最適化する段階とを備えて成る、請求項5記載の方法。
【請求項7】
(a)スライド載荷台と、少なくともひとつの対物レンズと、少なくとも一枚の顕微鏡スライドを自身内に含む少なくともひとつのスライド・カセットと、所定プロトコルに従い当該自動式顕微鏡を操作するプログラム可能手段と、分析結果を提供するプログラム可能手段とを備えて成る自動式顕微鏡を配備する段階と、
(b)複数の顕微鏡スライドであって、各々が自身上にサンプルと照会可能データとを含む複数の顕微鏡スライドを配備する段階であって、上記複数のスライドは上記スライド・カセットの内のひとつ以上のスライド・カセット内に含まれ、上記照会可能データは上記サンプルの分析に対するプロトコルに関する情報を提供するという段階と、
(c)上記顕微鏡載荷台へとスライドを搬送するに適した位置へと第1カセットを搬送する段階と、
(d)上記第1カセットから第1スライドを上記顕微鏡載荷台へと搬送する段階と、
(e)上記第1スライド上に見出されるデータを照会する段階と、
(f)上記スライド載荷台上で上記第1スライドを位置決めする段階と、
(g)上記照会可能データ中に符号化された上記分析プロトコルに従い、上記顕微鏡により上記第1スライド上の上記サンプルを分析する段階と、
(h)上記顕微鏡により、上記第1スライド上の上記サンプルを表す分析結果を提供する段階と、
(i)分析されるべき別のスライドが上記第1カセット内に残存するなら、段階(d)〜(h)を反復する段階と、
(j)別のカセットが残存するなら、段階(c)〜(i)を反復する段階とを備えて成る、
高スループットの顕微鏡分析のための方法。
【請求項8】
前記顕微鏡により前記サンプルを分析する前記段階は、ひとつ以上の特定可能なプロトコルを備えるデータベースからのデータを照会することにより特定されたプロトコルを獲得する段階を備えて成る、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記顕微鏡により前記サンプルを分析する前記段階は、上記顕微鏡により、上記サンプルに対し、または、該サンプル内に包含される焦点面に対して焦点合わせする段階を備えて成る、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記顕微鏡により前記サンプルを分析する前記段階は、上記サンプルの画像を獲得する段階を備えて成る、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記画像を獲得する前記段階は、
低倍率を有するレンズを用いて画像走査を行う段階と、
上記低倍率走査の一部分を、高倍率を有するレンズを使用して画像を走査するために選択する段階と、
上記高倍率にて画像走査を行う段階と、
上記高倍率走査を最適化する段階とを備えて成る、請求項10記載の方法。
【請求項12】
スライド載荷台と、少なくともひとつの対物レンズと、画像捕捉手段と、所定プロトコルに従い当該自動式顕微鏡を操作するプログラム可能手段と、分析結果を提供するプログラム可能手段とを備えて成る自動式顕微鏡を使用する顕微鏡分析のための方法に対し、コンピュータにより実行可能な命令のプログラムを具現するコンピュータ可読記憶媒体であって、
上記プログラムは、
顕微鏡スライド上のデータであって、該照会可能データは上記スライド上に含まれたサンプルの分析のためのプロトコルに関する情報を提供するというデータを照会するための一群の命令と、
上記スライドを上記スライド載荷台上で位置決めするための一群の命令と、
上記照会可能データ中に符号化された上記分析プロトコルに従い、上記顕微鏡により上記サンプルを分析するための一群の分析命令と、
上記顕微鏡により、上記サンプルを表す分析結果を提供するための一群の命令とを備えて成る、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
顕微鏡スライド上のサンプルを分析するためのひとつ以上の特定可能なプログラム化プロトコルを備えるデータベースを更に備えて成る、請求項12記載の記憶媒体。
【請求項14】
前記分析命令群は、前記データベースからのデータを照会することにより特定されたプロトコルを獲得するための命令を備えて成る、請求項13記載の記憶媒体。
【請求項15】
前記分析命令群は、前記顕微鏡により、前記サンプルに対し、または、該サンプル内に包含される焦点面に対して焦点合わせするための命令を備えて成る、請求項12記載の記憶媒体。
【請求項16】
前記分析命令群は、前記サンプルの画像を獲得するための命令を備えて成る、請求項12記載の記憶媒体。
【請求項17】
前記画像を獲得するための前記命令は、
低倍率を有する顕微鏡レンズを用いて画像走査を行うための命令と、
上記低倍率走査の一部分を、高倍率を有する顕微鏡レンズを使用して画像を走査するために選択するための命令と、
上記高倍率にて画像走査を行うための命令と、
上記高倍率走査を最適化するための命令とを備えて成る、請求項16記載の記憶媒体。
【請求項18】
スライド載荷台と、少なくともひとつの対物レンズと、少なくとも一枚の顕微鏡スライドを自身内に含む少なくともひとつのスライド・カセットと、所定プロトコルに従い当該自動式顕微鏡を操作するプログラム可能手段と、分析結果を提供するプログラム可能手段とを備えて成る自動式顕微鏡を使用する高スループットの顕微鏡分析のための方法に対し、コンピュータにより実行可能な命令のプログラムを具現するコンピュータ可読記憶媒体であって、
上記プログラムは、
(a)上記顕微鏡載荷台へとスライドを搬送するに適した位置へと第1カセットを搬送するための一群の命令と、
(b)上記第1カセットから第1スライドを上記顕微鏡載荷台へと搬送するための一群の命令と、
(c)顕微鏡スライド上のデータであって、該照会可能データは上記スライド上に含まれたサンプルの分析のためのプロトコルに関する情報を提供するというデータを照会するための一群の命令と、
(d)上記スライドを上記スライド載荷台上で位置決めするための一群の命令と、
(e)上記照会可能データ中に符号化された上記分析プロトコルに従い、上記顕微鏡により上記サンプルを分析するための一群の分析命令と、
(f)上記顕微鏡により、上記サンプルを表す分析結果を提供するための一群の命令と、
(g)分析されるべき別のスライドが上記第1カセット内に残存するか否かを決定し、もしそうであれば、(b)〜(f)における上記命令を反復するための一群の命令と、
(h)別のカセットが残存するか否かを決定し、もしそうであれば、(a)〜(g)における上記命令を反復するための一群の命令とを備えて成る、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
顕微鏡スライド上のサンプルを分析するためのひとつ以上の特定可能なプログラム化プロトコルを備えるデータベースを更に備えて成る、請求項18記載の記憶媒体。
【請求項20】
前記分析命令群は、前記データベースからのデータを照会することにより特定されたプロトコルを獲得するための命令を備えて成る、請求項19記載の記憶媒体。
【請求項21】
前記分析命令群は、前記顕微鏡により、前記サンプルに対し、または、該サンプル内に包含される焦点面に対して焦点合わせするための命令を備えて成る、請求項18記載の記憶媒体。
【請求項22】
前記分析命令群は、前記サンプルの画像を獲得するための命令を備えて成る、請求項18記載の記憶媒体。
【請求項23】
前記画像を獲得するための前記命令は、
低倍率を有するレンズを用いて画像走査を行うための命令と、
上記低倍率走査の一部分を、高倍率を有するレンズを使用して画像を走査するために選択するための命令と、
上記高倍率にて画像走査を行うための命令と、
上記高倍率走査を最適化するための命令とを備えて成る、請求項22記載の記憶媒体。
【請求項24】
当該スライドに記録された電子的に照会可能なデータを含むと共に当該スライド上に生物学的サンプルを有するスライドを準備する段階と、
上記電子的に照会可能なデータを上記スライドから読取る段階と、
上記生物学的サンプルが自動式顕微鏡により如何に走査されるべきかを、上記電子的に照会可能なデータから決定する段階と、
上記スライドに記録された上記電子的に照会可能なデータにより指示される様式にて、上記スライドを自動式顕微鏡により走査する段階と、
上記走査から、上記生物学的サンプルを表す試験結果を決定する段階とを備えて成る、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−500574(P2010−500574A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523926(P2009−523926)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/075210
【国際公開番号】WO2008/019324
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(504133615)イコニシス インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】