説明

生物学的サンプル中の標的分子を試験するためのマイクロ流体システムおよび方法

試験分子を含む生物試験サンプル中の標的分子の存在のための、マイクロ流体チップ、ならびに照射および検出装置を含む、試験のためのシステムおよび方法。試験分子は、標的分子と抱合可能な生体認識分子、および対応する複合体を含む。マイクロ流体チップは、サンプルチャネル、およびサンプルチャネルを接続する流れ集束チャネルを含む。集束チャネルから出るバッファは、サンプルチャネルの1つを通る試験分子の縦一列の流れに方向付けられる。照射装置は、縦一列の流れにおける試験分子による吸収のために照射を送達する。吸収後、試験分子は各々の複合体に対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光を放出する。検出装置は、弁別的な蛍光スペクトルを監視することにより複合体の存在を監視および同定する。これにより、試験システム、および試験方法は、試験サンプル中の標的分子の存在を同定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体工学の分野に関する。具体的には、本発明は、蛍光マイクロビーズを読み取るためのマイクロ流体チャネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年間、マイクロテクノロジーおよびナノテクノロジーの分野において多くの進歩が見られた。これらの進歩によって生じた課題の1つは、発見された科学現象に対する実用的用途の開発である。
【0003】
生体分子またはウイルス検出のためにナノテクノロジーをマイクロテクノロジーと統合する試みに関するいくつかの公開報告が説明されている[W.Liu et al.,Lab Chip,5,1327(2005)、K.Yun,D.Lee,H.Kim,E.Yoon,Meas.Sci.Technol.,17,3178(2006)、J.Steigert et al.,JALA,10,331(2005)]。これらの研究において、研究者らは、検出のためにナノ粒子、マイクロビーズ、およびマイクロ流体工学の組み合わせを使用した。すべての例において、検出感度は、生産可能な商品に対して望ましい感度よりも低かった。さらに、分析は、血液成分からの干渉によって感度を減少される可能性がある血清中で行われなかった[E.D.Goluch et al.,Lab Chip,6,1293(2006)]。
【0004】
同様に、ゲノムまたはプロテオーム診断法における用途に関して、金ナノ粒子を使用したバイオバーコードが示されている[J.Tate,G.Ward,Clin.Biochem.Rev.,25,105(2004)、S.I.Stoeva,J.Lee,C.S.Thaxton,C.A.Mirkin,Angew.Chem.Int.Ed.,45,3303(2006)、P.Mitchell,Nat.Biotech.,20,225(2002)])。これらの方法において、検出戦略は、分析検出を達成するための複数のステップ、および良好な感度を達成するための増幅を必要とする。したがって、少数のステップのみを必要とし、かなり高レベルの感度を達成することができる検出システムの必要性がある。
【0005】
Stavisらの米国特許出願公報第US2007/0020779号は、サブマイクロメートル流体チャネルにおける量子ドット複合体を検出する方法を開示する。Stavisにおいて使用されるチャネルの断面寸法は、約500nmであり、検出された複合体は、約5〜10nmである。さらに、単一複合体検出を達成するために、サンプルの濃度はフェムトモルレベルまで低下され、これによりサンプル調製の困難および検出システムの制限が増加した。理想的には、より容易に扱われる微小分子とともに使用することを目的とした、代替的かつより効率的な単一複合体検出システムおよび方法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的が達成されることが好ましいが、必ずしも記載される通りではない場合があり、すべての目的が、本発明の単一の実施形態によって達成される必要もない。本明細書に記載されないさらなる目的が、達成され得る。
【0007】
試験分子の縦一列の流れからの蛍光放出を照射し、かつ検出することによって、1つ以上の標的型の標的分子の多重検出を可能にすることが、本発明の一目的である。
感染性疾病に対する生物学的サンプルの試験を可能にすることが、本発明の一目的である。血液、血清、唾液および/または尿の具体的な生物学的サンプルの試験を可能にすることが、さらなる目的である。
生物学的サンプル中の感染性疾病に対する多重試験を可能にすることが、本発明の一目的である。B型肝炎、C型肝炎、およびHIVに対する任意の組み合わせの多重試験を可能にすることが、さらなる目的である。
チャネルを通じた流動を容易にする改善されたマイクロ流体チャネル構造を提供することが、本発明の一目的である。
試験システムにおける照射装置として、488nmレーザー等の固定波長EMF放射装置を提供し、放出された蛍光が検出装置に入る前に、入射EMF放射線および標的分子から放出された蛍光が、同一の光学経路に沿って移動するようにすることが、本発明の一目的である。
【0008】
上記の目的のうちの1つ以上を部分的にまたは完全に達成し、先行技術のいずれかの不利点を緩和および/または改善することが本発明の一目的であるが、そのような不利点のいずれかが本明細書に記載されるかどうかは問わない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在を試験するために、バッファを伴う使用を目的とした試験システムが開示される。該試験システムは、第1の組の試験分子と、マイクロ流体チップと、照射装置と、検出装置とを含む。第1の組の試験分子は、試験サンプル中にある場合、生体認識分子(BRM)および、BRMと標的分子との複合体を含む群から選択される。BRMは、1つ以上のBRM型である。各々のBRM型はそれぞれの標的型の1つと結合可能である。複合体は、1つ以上の複合体型であり、各々の複合体型はそれぞれの標的型の1つと結合しているBRM型の異なる1つに対応する。マイクロ流体チップは、その中に1つ以上の細長いサンプルチャネルと1つ以上の流れ集束チャネルとを画定するように成形されるチップ基板部を含む。サンプルチャネルは、試験分子の流路がその中を通過することを可能にするようにサイズ決定される。流れ集束チャネルは、動作可能なバッファの流路がその中を通過することを目的とする。1つ以上の流れ集束チャネルは、1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する。バッファは、流れ集束チャネルから出て、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じて試験分子の縦一列の流れを動作可能に方向付ける。照射装置は、縦一列の流れにおける試験分子による吸収のために、サンプルチャネルのうちの上記の少なくとも1つに沿った照射位置において、電磁波(EMF)放射線を動作可能に送達する。試験分子は、EMF放射線の吸収後に蛍光を放出する。試験分子の蛍光は、各々の複合体型に対して弁別的な蛍光スペクトルを含む。検出装置は、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する。検出装置は、複合体型のそれぞれの弁別的な蛍光スペクトルを監視することによって、第1の組の試験分子における複合体の存在を同定する。このようにして、試験システムは、試験サンプル中の標的分子の存在を同定する。
【0010】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、各々のBRMは、そのマイクロビーズと結合した1つ以上のBRMフルオロフォアで標識されたマイクロビーズを含む。BRMフルオロフォアは、EMF放射線の吸収後に、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の少なくともBRM部分を放出する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、BRMフルオロフォアは、1つ以上の量子ドット型の1つ以上の量子ドットを含む。量子ドットはともに、EMF放射線の吸収後に、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の少なくともBRM部分を放出する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、量子ドットは、量子ドット型のうちの2つ以上である。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、BRMフルオロフォアは、1つ以上の蛍光色素型の1つ以上の蛍光色素を含む。蛍光色素はともに、EMF放射線の吸収後に、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の少なくともBRM部分を放出する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、複合体は、約10マイクロメートル(μm)未満、好ましくは約5μm未満、より好ましくは約1μm未満のサイズである。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、各々の複合体は、それぞれの標的分子の1つに結合した標的マーカーフルオロフォアをさらに含む。標的マーカーフルオロフォアは、EMF放射線の吸収後に、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の標的部分を放出する。
【0011】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、各々のBRMは、そのマイクロビーズと結合した1つ以上のBRMフルオロフォアで標識されたマイクロビーズを含む。各々の複合体は、それぞれの標的分子の1つに結合した標的マーカーフルオロフォアをさらに含む。各々の複合体に対して、EMF放射線の吸収後に、BRMフルオロフォアは、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光のBRM部分を放出し、標的マーカーフルオロフォアは、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の標的部分を放出する。したがって、BRMフルオロフォアおよび標的マーカーフルオロフォアはともに、EMF放射線の吸収後に、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光を放出する。
【0012】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、検出装置は、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する、少なくとも2つのアバランシェ光検出器(APD)を含む。第1のAPDの1つは、前記各々の複合体に対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光のBRM部分の存在を受信および同定するように適合され、第2のAPDの1つは、前記各々の複合体に対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の標的部分の存在を受信および同定するように適合される。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、各々の複合体に対する異なる蛍光スペクトルの蛍光の標的部分は、BRM部分よりも低い強度を有する。第2のAPDの1つは、第1のAPDの1つを上回る感度を有する。
【0013】
本発明によると、生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在に対して試験するための、バッファを伴い使用することを目的とした別の試験システムが開示される。本発明のこの実施形態によると、試験システムはまた、試験サンプル中にある場合、生体認識分子(BRM)、およびBRMと標的分子との複合体を含む群から選択される、第1の組の試験分子とともに使用することを目的とする。BRMは、1つ以上のBRM型である。各々のBRM型は、それぞれの標的型の1つと結合可能である。試験分子は、EMF放射線の吸収後に蛍光を放出するものなどである。複合体は、1つ以上の複合体型であり、各々の複合体型はそれぞれの標的型の1つと結合しているBRM型のうちの異なる1つに対応する。本発明のこの実施形態によると、試験システムは、マイクロ流体チップと、照射装置と、検出装置とを含む。マイクロ流体チップは、1つ以上の細長いサンプルチャネルと1つ以上の流れ集束チャネルとをその中に画定するように成形されるチップ基板部を含む。サンプルチャネルは、試験分子の流路がその中を通過することを可能にするようにサイズ決定される。流れ集束チャネルは、動作可能なバッファの流路がその中を通過することを目的とする。流れ集束チャネルは、サンプルチャネルに接続する。バッファは、流れ集束チャネルから出て、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じて試験分子の縦一列の流れを動作可能に方向付ける。照射装置は、縦一列の流れにおける試験分子による吸収のために、サンプルチャネルのうちの上記の少なくとも1つに沿った照射位置において、電磁波(EMF)放射線を動作可能に送達する。試験分子の蛍光は、各々の複合体型に対して弁別的な蛍光スペクトルを含む。検出装置は、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する。検出装置は、各々の複合体型の弁別的な蛍光スペクトルを監視することによって、第1の組の試験分子における複合体の存在を同定する。このようにして、試験システムは、試験サンプル中の標的分子の存在を同定する。
【0014】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプルチャネルのうちの前記少なくとも1つは、チップ基板部の1つ以上の細長いチャネル壁によって画定される。チャネル壁は、2つの対向する側面チャネル部を含む。流れ集束チャネルから出るバッファは、少なくとも上記の2つの対向する側面チャネル部から離間した関係にあるサンプル経路に沿って、試験分子の縦一列の流れを動作可能に方向付ける。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、マイクロ流体チップは、チップ基板部を下に置くスライドガラスをさらに含む。スライドガラスは、サンプルチャネルのうちの前記少なくとも1つの底部チャネル部を画定する。チャネル壁は、頂部チャネル部をさらに含む。サンプル経路は、動作可能に、底部チャネル部および頂部チャネル部の両方から上記の離間した関係にある。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプルチャネルのうちの上記の少なくとも1つは、サンプル集束チャネルを含む。サンプルチャネルはまた、サンプル集束チャネルと流体連通しているサンプル供給チャネルを含む。サンプル集束チャネルは、流れ集束チャネルの下流にある。したがって、流れ集束チャネルから出るバッファおよび試験分子の縦一列の流れは、サンプル集束チャネルを通じて動作可能に流動する。
【0015】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプル集束チャネルを通じて動作可能に流動するバッファのバッファ流速は、縦一列の流れにおける試験分子の試験流速よりも高い。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、流れ集束チャネルは、少なくとも2つの流れ集束チャネルを含み、サンプルチャネルのうちの上記の少なくとも1つの上流にあるサンプルチャネルに接続する。2つの流れ集束チャネルは、上記少なくとも1つのサンプルチャネルの反対側からサンプルチャネルに接続する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、2つの流れ集束チャネルは、共通交差部においてサンプルチャネルに接続する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、流れ集束チャネルから出るバッファは、共通交差部の下流において、約10マイクロメートル(μm)未満で、試験分子を縦一列の流れに動作可能に集束する。
【0016】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、各々の流れ集束チャネルは、約90度の接続角度でサンプルチャネルに接続する。
本発明の別の好適な実施形態の態様によると、各々の流れ集束チャネルは、約45度の接続角度でサンプルチャネルに接続する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、チップ基板部は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から製造される。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプルチャネルのうちの上記の少なくとも1つを通じた試験分子の通過は、動電学的流動により促進される。
【0017】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、流れ集束チャネルは、サンプルチャネルと流体連通している。チップ基板部は、バッファウェルと、サンプルウェルと、末端ウェルとを画定するようにさらに成形される。各バッファウェルは、各々の流れ集束チャネルのバッファ開始点に接続する。サンプルウェルは、流れ集束チャネルの上流にあるサンプルチャネルのサンプル開始点に接続する。末端ウェルは、流れ集束チャネルの下流にあるサンプルチャネルのうちの上記の少なくとも1つの終点に接続する。試験システムはまた、サンプルウェル電極と、バッファウェル電極と、末端ウェル電極とを含む。サンプルウェル電極は、サンプルウェルに動作可能に配設される。各バッファウェル電極は、1つの上記のバッファウェルに動作可能に配設される。末端ウェル電極は、末端ウェルに動作可能に配設される。サンプルウェル電極は、第1の極性の第1の電位を動作可能に供給される。末端ウェル電極は、反対の第2の極性の第2の電位を動作可能に供給される。各バッファウェル電極は、第1の極性の第3の電位を動作可能に供給される。
【0018】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、第3の電位は、第1の電位よりも高い。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、第1の電位に対する第3の電位の比率は、約1.8:1(9:5)である。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、縦一列の流れにおける試験分子の試験流速は、毎分少なくとも約30個の試験分子、好ましくは毎分少なくとも約60個の試験分子、より好ましくは毎分少なくとも約500個の試験分子である。
【0019】
本発明によると、生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在を試験するための、さらなる試験システムも開示される。本発明のこの実施形態によると、試験サンプル中に存在する場合、試験システムは、生体認識分子(BRM)および、BRMと標的分子との複合体(conjugate)を含む群から選択される、第1の組の試験分子とともに使用することを目的とする。BRMは、1つ以上のBRM型である。各々のBRM型は、それぞれの標的型の1つと結合可能である。複合体は、1つ以上の複合体型であり、各々、その上記の標的型のそれぞれの1つと結合している異なるBRM型の1つに対応する。試験システムはまた、1つ以上の細長いサンプルチャネルをその中に画定するように成形されるチップ基板部を含む、マイクロ流体チップとともに使用することを目的とする。サンプルチャネルは、試験分子の流路がその中を通過することを可能にするようにサイズ決定される。試験分子の縦一列の流れは、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通過する。本発明のこの実施形態によると、試験システムは、照射装置と検出装置とを含む。照射装置は、縦一列の流れにおける試験分子による吸収のために、サンプルチャネルのうちの上記の少なくとも1つに沿った照射位置において、電磁波(EMF)放射線を動作可能に送達する。試験分子は、EMF放射線の吸収後に蛍光を放出する。試験分子の蛍光は、各々の複合体型に対する弁別的な蛍光スペクトルを含む。検出装置は、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する。検出装置は、各々の複合体型の弁別的な蛍光スペクトルについて監視することによって、第1の組の試験分子における複合体の存在を同定する。このようにして、試験システムは、試験サンプル中の標的分子の存在を同定する。
【0020】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、照射装置は、縦一列の流れにおける試験分子による吸収のために、EMF放射線を動作可能に放出するLEDを含む。
本発明の別の好適な実施形態の態様によると、照射装置は、縦一列の流れにおける試験分子による吸収のために、EMF放射線を動作可能に放出するレーザーを含む。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、レーザーは、約2メガワット(MW)から約50メガワット(MW)の間、より好ましくは約20メガワット(MW)から約25メガワット(MW)の間の動作電力を有する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、照射装置によって動作可能に送達されるEMF放射線は、約488nmのEMF波長を有する。
【0021】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、検出装置は、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する、少なくとも3つのアバランシェ光検出器(APD)を含む。各々のAPDは、試験分子によって放出される蛍光における異なる波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、第1のAPDの1つは、緑色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。第2のAPDの1つは、黄色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。第3のAPDの1つは、赤色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。
本発明の別の好適な実施形態の態様によると、上記の少なくとも3つのAPDは、少なくとも4つのAPDを含む。第1のAPDの1つは、緑色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。第2のAPDの1つは、黄色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。第3のAPDの1つは、オレンジ色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。第4のAPDの1つは、赤色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。
本発明のさらに別の好適な実施形態の態様によると、少なくとも3つのAPDは、少なくとも4つのAPDを含む。第1のAPDの1つは、青色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。第2のAPDの1つは、緑色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。第3のAPDの1つは、黄色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。第4のAPDの1つは、赤色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。
【0022】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、検出装置は、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する電荷結合素子を含む。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、検出装置は、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する、少なくとも2つのアバランシェ光検出器(APD)を含む。各々のAPDは、試験分子によって放出される蛍光における異なる波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。検出装置は、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する電荷結合素子をさらに含む。さらに、検出装置は、APDまたは電荷結合素子のいずれかを使用した前記縦一列の流れの監視を切り替えるための切り替え手段を含む。
【0023】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、検出装置は、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する、少なくとも1つのトリップセンサを含む。各上記のトリップセンサは、蛍光の強度に対応するデジタル信号を生成する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、各上記のトリップセンサは、蛍光の強度が最小強度を超えた場合のみデジタル信号を生成する。各上記のトリップセンサは、異なる所定の前記最小強度を有する。
【0024】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験システムはまた、上記少なくとも1つのサンプルチャネルに沿った照射位置の実質的に近傍から、検出装置に蛍光を送達する光ファイバーケーブルを含む。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験システムはまた、照射装置および検出装置を包納する筐体を含む。筐体は、可搬用および臨床現場診断用途のためにサイズ決定および適合される。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、筐体は、携帯型用途のためにサイズ決定および適合される。
【0025】
本発明によると、生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在に対して試験するために、バッファを伴う使用を目的としたさらに別の試験システムがさらに開示される。本発明のこの実施形態によると、試験システムはまた、試験サンプル中に存在する場合、生体認識分子(BRM)および、BRMと標的分子との複合体を含む群から選択される、第1の組の試験分子を伴う使用を目的とする。BRMは、1つ以上のBRM型である。各々のBRM型は、それぞれの標的型の1つと結合可能である。複合体は、1つ以上の複合体型であり、各々の複合体型は上記の標的型のそれぞれの1つと結合している異なるBRM型の1つに対応する。試験システムはさらに、試験分子による吸収のために、電磁波(EMF)放射線を送達することができる照射および検出装置を伴う使用を目的とする。試験分子は、EMF放射線の吸収後に、蛍光を放出するようなものである。試験分子の蛍光は、各々の複合体型に対する独特な蛍光スペクトルを含む。照射および検出装置はまた、各々の複合体型に対する独特な蛍光スペクトルの存在によって、複合体を監視および同定することができる。本発明のこの実施形態によると、試験システムは、1つ以上の細長いサンプルチャネルと1つ以上の流れ集束チャネルとをその中に画定するように成形されるチップ基板部を有する、マイクロ流体チップを含む。サンプルチャネルは、試験分子の流路がその中を通過することを可能にするようにサイズ決定される。流れ集束チャネルは、バッファがその中を通過する動作可能な流路を目的とする。流れ集束チャネルは、サンプルチャネルに接続する。バッファは、流れ集束チャネルから出て、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じて、試験分子の縦一列の流れを動作可能に方向付ける。マイクロ流体チップは、縦一列の流れにおける試験分子による吸収のために、上記少なくとも1つのサンプルチャネルに沿った照射位置において、照射および検出装置からEMF放射線を動作可能に受信するように適合される。マイクロ流体チップは、照射および検出装置が、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視することを可能にするように適合される。このようにして、複合体は、各々の複合体型に対する弁別的な蛍光スペクトルの存在によって、動作可能に同定可能である。したがって、試験サンプル中の標的分子の存在は、試験システムによって動作可能に同定可能である。
【0026】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験システムは、血液、尿、唾液、および血清から成る群から選択される、1つ以上の生物学的試験サンプルでの使用に特に適合される。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験システムは、細菌性疾病状態、ウイルス性疾病状態、真菌性疾病状態、およびベクター誘導性疾病状態から成る群から選択される疾病状態の診断のために使用され得る。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験システムは、1つ以上の感染性疾病の診断のために使用され得る。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験システムは、HIV、HBV、およびHCVから成る群から選択される症状の診断のために使用され得る。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験システムは、HIV、HBV、およびHCVから成る群から選択される症状のうちの2つ以上の同時診断のために使用され得る。
【0027】
本発明によると、生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在に対する試験を容易にするために、分子を集束する方法も開示される。該方法は、サンプル流動ステップと、バッファ流動ステップと、バッファ流動ステップ後のサンプル集束ステップとを含む。サンプル流動ステップにおいて、試験分子は、マイクロ流体チップのチップ基板部に形成される、1つ以上の細長いサンプルチャネルを通過する。バッファ流動ステップにおいて、バッファは、マイクロ流体チップのチップ基板部に形成される、1つ以上の流れ集束チャネルを通過する。流れ集束チャネルは、1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する。サンプル集束ステップにおいて、試験分子の縦一列の流れは、流れ集束チャネルから1つ以上の細長いサンプルチャネルへのバッファの流路によって、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じて方向付けられる。
【0028】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、該方法はまた、サンプル流動ステップの前に試験分子形成ステップを含む。試験分子形成ステップにおいて、試験分子は、1つ以上のBRM型の生体認識分子(BRM)を導入することによって形成される。各々のBRM型は、標的型のそれぞれの1つと結合可能である。したがって、試験分子は、BRMおよび標的分子(試験サンプル中に存在する場合)の複合体を含む。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験分子形成ステップにおいて、複合体は、約10マイクロメートル(μm)未満、好ましくは約5μm未満、より好ましくは約1μm未満のサイズである。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験分子形成ステップにおいて、標的マーカーフルオロフォアが導入される。標的マーカーフルオロフォアは、標的型のうちの1つ以上と結合可能である。したがって、試験分子は、BRM、標的マーカーフルオロフォア、および標的分子(試験サンプル中に存在する場合)の複合体を含む。
【0029】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプル集束ステップにおいて、試験分子の縦一列の流れは、上記少なくとも1つのサンプルチャネルの、少なくとも2つの対向する側面チャネル部から離間した関係にある、サンプル経路に沿って方向付けられる。
本発明の別の好適な実施形態の態様によると、サンプル集束ステップにおいて、試験分子の縦一列の流れは、上記少なくとも1つのサンプルチャネルの少なくとも頂部チャネル部および底部チャネル部から離間した関係にある、サンプル経路に沿って方向付けられる。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプル集束ステップにおいて、バッファは、縦一列の流れにおける試験分子の試験流速よりも高いバッファ流速で、上記少なくとも1つのサンプルチャネルに流入する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプル集束ステップにおいて、少なくとも2つの流れ集束チャネルは、上記少なくとも1つのサンプルチャネルの上流において、その対向する側からサンプルチャネルに接続する。
【0030】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプル集束ステップにおいて、2つの流れ集束チャネルは、共通交差部においてサンプルチャネルに接続する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプル集束ステップにおいて、1つ以上の流れ集束チャネルの各々は、約90度の接続角度でサンプルチャネルに接続する。
本発明の別の好適な実施形態の態様によると、サンプル集束ステップにおいて、1つ以上の流れ集束チャネルの各々は、約45度の接続角度でサンプルチャネルに接続する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、サンプル集束ステップにおいて、上記の少なくとも1つのサンプルチャネルを通じた試験分子の縦一列の流れの流路は、動電学的流動によって促進される。
【0031】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、該方法はまた、サンプル集束ステップの前に動電学的ステップを含む。動電学的ステップにおいて、第1の極性の第1の電位は、流れ集束チャネルの上流においてサンプルチャネルに供給される。動電学的ステップにおいて、反対の第2の極性の第2の電位は、流れ集束チャネルの下流において上記少なくとも1つのサンプルチャネルに供給される。動電学的ステップにおいて、第1の極性の第3の電位は、各々の流れ集束チャネルに供給される。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、動電学的ステップにおいて、第3の電位は、第1の電位よりも高い。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、動電学的ステップにおいて、第1の電位に対する第3の電位の比率は、約1.8:1(9:5)である。
【0032】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験分子形成ステップにおいて、複合体は、1つ以上の複合体型であり、各々の複合体型は前記それぞれの標的型の1つと結合している異なるBRM型の1つに対応する。該方法はまた、サンプル集束ステップ後の照射ステップと、照射ステップ後の蛍光検出ステップと、照射ステップ後の複合体同定ステップとを含む。照射ステップにおいて、電磁波(EMF)放射線は、縦一列の流れにおける試験分子に送達される。蛍光検出ステップにおいて、縦一列の流れは、試験分子によって放出される蛍光に関して監視される。複合体のそれぞれは、EMF放射線の吸収後に、各々の複合体型に対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光を放出する。複合体同定ステップにおいて、試験サンプル中の標的分子の存在は、各々の複合体型の弁別的な蛍光スペクトルに関して監視することによって同定される。
【0033】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、試験分子形成ステップにおいて、標的マーカーフルオロフォアは、それぞれの標的分子の1つに結合する。したがって、蛍光検出ステップにおいて、標的マーカーフルオロフォアは、各々の複合体型に対する弁別的な蛍光スペクトルの標的部分を放出する。該方法は、試験分子形成ステップの前に、マイクロビーズと結合した1つ以上のBRMフルオロフォアでそのマイクロビーズを標識する、BRM形成ステップをさらに含む。したがって、蛍光検出ステップにおいて、BRMフルオロフォアは、各々の複合体型に対する弁別的な蛍光スペクトルのBRM部分を放出する。
【0034】
本発明の好適な一実施形態の態様によると、蛍光検出ステップにおいて、複合体によって放出される蛍光は、少なくとも2つのアバランシェ光検出器(APD)によって受信される。第1のAPDの1つは、前記各々の複合体に対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光のBRM部分の存在を受信および同定し、第2のAPDの1つは、前記各々の複合体に対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の標的部分の存在を受信および同定する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、照射ステップにおいて、約2メガワット(MW)から約50メガワット(MW)の間の動作電力を有するレーザーは、縦一列の流れにおける試験分子にEMF放射線を送達する。より好ましくは、動作電力は、約20メガワット(MW)から約25メガワット(MW)の間である。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、照射ステップにおいて、EMF放射線は、約488nmのEMF波長を有する。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、蛍光検出ステップにおいて、複合体によって放出される蛍光は、電荷結合素子によって受信される。
本発明の好適な一実施形態の態様によると、蛍光検出ステップにおいて、複合体によって放出される蛍光は、電荷結合素子および1つ以上のアバランシェ光検出器(APD)のうちの少なくとも1つによって選択的に受信される。
【0035】
本発明の他のさらなる利点および特徴は、添付図面と併せた、その以下の発明を実施するための形態から、当業者には明らかとなろう。
ここで、本発明を、同様の番号が同様の要素を意味する添付図面を参照して、ほんの一例としてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】本発明に従った第1のBRM(生体認識分子)複合体の図解である。
【図1B】本発明に従った第2のBRM複合体の図解である。
【図1C】本発明に従った第3のBRM複合体の図解である。
【図2A】本発明に従ったマイクロ流体チップの斜視図である。
【図2B】本発明に従った代替のマイクロ流体チップの斜視図である。
【図2C】図2Bのマイクロ流体チップの交差点の拡大上面図である。
【図3A】本発明に従った試験システムの概略図である。
【図3B】図3Aの照射装置の概略図である。
【図3C】図3Aの検出装置の概略図である。
【図4A】システム筐体の斜視図である。
【図4B】筐体が取り外されたシステムの斜視図である。
【図4C】サンプルハッチが閉じているマイクロチッププラットフォームおよび照射装置の斜視図である。
【図4D】サンプルハッチが開いているマイクロチッププラットフォームの上面図である。
【図4E】レンズ、モーター、およびマイクロチッププラットフォームの側面図である。
【図4F】図4Eの線4F−4Fに沿った、レンズおよびマイクロ流体チッププラットフォームの断面概略図である。
【図4G】図4Fの指示された箇所および図2Cの線4G−4Gに沿った断面の拡大概略図である。
【図5A】蛍光性量子ドットの図解である。
【図5B】蛍光性量子ドットの図解である。
【図6A】本明細書に記載する実験で使用する量子ドットおよびバンドパスフィルタのスペクトルである。
【図6B】図5Bの量子ドットのスペクトルである。
【図7A】図1AのBRM複合体に対する生および近似された蛍光放出波長データのグラフである。
【図7B】図1BのBRM複合体に対する生および近似された蛍光放出波長データのグラフである。
【図7C】図1CのBRM複合体に対する生および近似された蛍光放出波長データのグラフである。
【図8A】図1AのBRM複合体に対する強度対時間の測定のグラフである。
【図8B】図1BのBRM複合体に対する強度対時間の測定のグラフである。
【図8C】図1CのBRM複合体に対する強度対時間の測定のグラフである。
【図9】図8Aの指示された箇所の拡大図である。
【図10A】図1AのBRM複合体に対する強度対濃度の測定のグラフである。
【図10B】図1AのBRM複合体に対する強度対濃度の測定のグラフである。
【図10C】図1AのBRM複合体に対する強度対濃度の測定のグラフである。
【図11A】図1AのBRM複合体に対するR/Y信号比のヒストグラムである。
【図11B】図1BのBRM複合体に対するR/Y信号比のヒストグラムである。
【図11C】図1CのBRM複合体に対するR/Y信号比のヒストグラムである。
【図11D】図11A、11B、および11Cの統合ヒストグラムである。
【図12】使用する実験サンプルの表である。
【図13A】2病原体多重結果のグラフである。
【図13B】3病原体多重結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
ここで図1Aから図4Gを参照すると、本発明の好適な実施形態に従った試験システム100が示される。試験システム100は、生物学的試験サンプル40における1つ以上の標的型の標的分子46a、46b、46c(46a〜c)の存在に対して試験するために、バッファ50を伴う使用を目的とする。試験システム100は、好ましくは、第1の組の試験分子102と、マイクロ流体チップ200と、照射装置300と、検出装置400とを含む。試験システム100はまた、好ましくは、照射装置300および検出装置400を包納する筐体500を含み、筐体500は、可搬用、携帯型、および臨床現場診断用途のためにサイズ決定および適合される。
【0038】
システムについて
好ましくは、第1の組の試験分子102は、生体認識分子106a、106b、106c(BRM106a〜c)と、(ii)試験サンプル40中に存在する場合、BRM106a〜cおよび標的分子46a〜cの複合体126a、126b、126cとを含む群から選択される。
【0039】
図1Aから図1Cに最もよく見られるように、BRM106a〜cは、1つ以上のBRM型である。各々のBRM型は、それぞれの標的型の1つと結合可能である。各々のBRM106a〜cは、好ましくは、マイクロビーズ108と結合した1つ以上のBRMフルオロフォア112a〜cで標識されるマイクロビーズ108を含む。BRMフルオロフォア112a〜cは、好ましくは、1つ以上の量子ドット型の、1つ以上の量子ドット112a、112b,112cを含む。場合によっては、また図1Cに最もよく見られるように、量子ドット112a、112b,112cは、例えば、赤色量子ドット112bおよび黄色量子ドット112a等の、2つ以上の量子ドット型であってもよい。あるいは、BRMフルオロフォア112a〜bは、1つ以上の蛍光色素型の1つ以上の蛍光色素(図示せず)を含み得る。
【0040】
図1Aから図1Cに最もよく見られるように、複合体126a、126b、126cは、1つ以上の複合体型であり、各々の複合体型は対応するBRMと結合している検出分子型のうちの異なる1つに対応する。複合体126a、126b、126cは、好ましくは、約10マイクロメートル(μm)未満のサイズである。一部の実施形態においては、複合体126a、126b、126cは、約5μm未満、または約1μm未満のサイズでさえあってもよい。好ましくは、また図1Aから図1Cに最もよく見られるように、各々の複合体のそれぞれ126a、126b、126cはまた、標的分子46a、46b、46cの1つにそれぞれに結合した標的マーカーフルオロフォア130を含む。
【0041】
図2Aおよび図2Bに最もよく見られるように、マイクロ流体チップ200は、好ましくは、チップ基板部202と、チップ基板部202を下に置くスライドガラス250を含む。チップ基板部202は、好ましくは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から製造され、1つ以上の細長いサンプルチャネル204と1つ以上の流れ集束チャネル220a、220bとをその中に画定するように成形される。流れ集束チャネル220a、220bは、少なくとも1つのサンプルチャネル204と流体連通している。好ましくは、チップ基板部202は、サンプルウェル242と、2つのバッファウェル244a、244bと、末端ウェル246とをその中に画定するようにさらに成形される。
【0042】
図2Cに最もよく見られるように、サンプルチャネル204は、試験分子102の流路がその中を通過することを可能にするようにサイズ決定される。図2Aから図2Cに最もよく見られるように、サンプルチャネル204は、サンプル供給チャネル206と、サンプル供給チャネル206と流体連通しているサンプル集束チャネル208とを含む。サンプルウェル242は、サンプル供給チャネル206のサンプル開始点212、すなわち、流れ集束チャネル220a、220bの上流(すなわち、矢印「A」に概して反対方向)に接続される。サンプル集束チャネル208は、流れ集束チャネル220a、220bの下流(矢印「A」によって概して表示される方向)にある。末端ウェル246は、サンプル集束チャネル208の終点216、すなわち、流れ集束チャネル220a、220bの下流(矢印「A」によって概して表示される方向)に接続される。図4Gに最もよく見られるように、サンプル集束チャネル208は、チップ基板部202の1つ以上の細長いチャネル壁284によって画定される。チャネル壁284は、頂部チャネル部282aと2つの対向する側面チャネル部282cとを含む。図4Gに最もよく見られるように、スライドガラス250は、サンプル集束チャネル208の底部チャネル部282bを画定する。
【0043】
流れ集束チャネル220a、220bは、その中を通過するバッファ50の動作可能な流路を目的とする。図2Cに最もよく見られるように、好ましくは、2つの流れ集束チャネル220a、220bがあり、サンプル集束チャネル208の上流(すなわち、矢印「A」に概して反対方向)において、サンプル集束チャネル208の対向する側壁282c、282cからサンプルチャネル204に接続する。図2Aに示すように、各バッファウェル244a、244bは、流れ集束チャネル220a、220bのそれぞれのバッファ開始点214a、214bの1つに接続する。各々の流れ集束チャネル220a、220bは、約90度(図2Aに示す通り)、約45度(図2Cに最もよく見られる通り)、または別の潜在的に有利な接続角度「E」の接続角度(図2Aおよび図2Cにおいて矢印「E」によって概して表示される通り)で、サンプルチャネル204に接続し得る。図2Aおよび図2Bに示すように、2つの流れ集束チャネル220a、220bは、好ましくは、共通交差部230においてサンプルチャネル204に接続する。
【0044】
図2Cに示すように、バッファ50は、好ましくは、共通交差部230の約10マイクロメートル(μm)未満「A」方向の下流において、流れ集束チャネル220a、220bから出て、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つ(すなわち、サンプル集束チャネル208)を通じて、試験分子102の縦一列の流れ140を動作可能に方向付ける。バッファ50はまた、サンプル集束チャネル208を通じて動作可能に流動する。図2Cに矢印「B」、「D1」、および「D2」の相対的長さによって概して表示されるように、バッファ50のバッファ流速(矢印「D1」、「D2」によって概して表示される通り)は、典型的には、縦一列の流れ140における試験分子102の試験流速(矢印「B」によって概して表示される通り)よりも高い。縦一列の流れ140は、好ましくは、対向する側面チャネル部282c、282c(図2Cに最もよく見られる通り)から、かつ底部チャネル部282bおよび頂部チャネル部282a(図4Gに最もよく見られる通り)から離間した関係にある、サンプル経路(矢印「B」によって概して表示される通り)に沿って方向付けられる。
【0045】
サンプル集束チャネル208の中の試験分子102の流路は、好ましくは、動電学的流動によって促進される。したがって、また図4Dに最もよく見られるように、試験システム100はまた、好ましくは、サンプルウェル電極262と、2つのバッファウェル電極264a、264bと、末端ウェル電極266とを含む。電極262、264a、264bおよび266の位置決定は、図4Dおよび図4Eの方策から最もよく理解されることができる。サンプルウェル電極262は、サンプルウェル242内に動作可能に配設される。各バッファウェル電極264a、264bは、バッファウェル244a、244bのうちの1つ内に動作可能に配設される。末端ウェル電極266は、末端ウェル246内に動作可能に配設される。
【0046】
サンプルウェル電極262は、第1の極性の第1の電位を持って動作可能に供給される。末端ウェル電極266は、反対の第2の極性の第2の電位を持って動作可能に供給される。各バッファウェル電極264a、264bは、第1の極性の第3の電位を持って動作可能に供給される。好ましくは、第3の電位は、第1の電位よりも高く、第1の電位に対する第3の電位の比率は、約1.8:1(9:5)である。
【0047】
好ましくは、縦一列の流れ140における試験分子102の試験流速「B」は、毎分少なくとも約30個の試験分子102である。より好ましくは、試験流速「B」は、毎分少なくとも約60個の試験分子102であり得る。好ましくは、さらに高い試験流速「B」、例えば、毎分約500個の試験分子102は、さらに有利な有用性を提供し得る。
【0048】
図3Aおよび図3Bに最もよく見られるように、照射装置300は、縦一列の流れ140における試験分子102による吸収のために、サンプル集束チャネル208に沿った照射位置210(図2Aおよび図2Bに最もよく見られる通り)において、電磁波(EMF)放射線302を動作可能に送達する。照射装置300は、EMF放射線302を動作可能に放出するための、LED312(図4Eおよび図4Fに最もよく見られる通り)および/またはレーザー310(図3Aおよび図3Bに最もよく見られる通り)を含み得る。好ましくは、レーザー310は、約2メガワット(MW)から約50MWの間、より好ましくは、約20MWから約25MWの間の動作電力を有する。好ましくは、EMF放射線302は、約488nmのEMF波長を有し得る。
【0049】
図3Aから図3Cに最もよく見られるように、試験分子102は、EMF放射線302の吸収後に、蛍光304を放出する。試験分子102の蛍光304は、各々の複合体型に対する弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726c(図7Aから図7Cに最もよく見られる通り)を含む。好ましくは、また図6Aから図7Cに最もよく見られるように、EMF放射線302の吸収後に、量子ドット112a、112b、112cであるかまたは蛍光色素(図示せず)であるかにかかわらず、BRMフルオロフォア112a〜cは、弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cの蛍光304の少なくともBRM部分604a、604b、604cを放出し、標的マーカーフルオロフォア130は、EMF放射線302の吸収後に、弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cの蛍光304の標的部分604dを放出する。(標的部分604dは、各々の複合体126a、126b、126cに対する独自の蛍光スペクトル726a、726b、726cの蛍光304のBRM部分604a、604b、604cよりも低い強度を有し得る。)BRMフルオロフォア112a、112bおよび標的マーカーフルオロフォア130はともに、EMF放射線302の吸収後に、弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cの蛍光304を放出する。
【0050】
図面に示されないが、試験システム100は、照射位置210の実質的に近傍から(すなわち、サンプル集束チャネル208に沿って)、検出装置400に蛍光304を送達する光ファイバーケーブルを代わりに含み得る。
【0051】
図3A、図3C、図6A、および図7A〜図9の方策から最もよく理解されることができるように、検出装置400は、縦一列の流れ140を試験分子102によって放出される蛍光304に関して監視する。一般的に言うと、検出装置400は、各々の複合体型の独特な蛍光スペクトル726a、726b、726c(図7Aから図7Cに最もよく見られる通り)について監視することによって、第1の組の試験分子102における複合体126a、126b、126cの存在を同定する。
【0052】
図3Cに最もよく見られるように、検出装置400は、好ましくは、縦一列の流れ140を試験分子102によって放出される蛍光304に関して監視するための、アバランシェ光検出器410a、410b、410c、410d(APD410a〜d)、電荷結合素子420、および/または1つ以上のトリップセンサ(図示せず)を含み得る。好ましくは、検出装置400は、縦一列の流れ140を試験分子102によって放出される蛍光304に関して監視する、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のAPD410a〜dを含む。APD410a〜dの各々は、好ましくは、例えば、波長範囲が青色(図示せず)、緑色602d、黄色602a、オレンジ色の602c、または赤色602b等の異なる波長範囲の存在を受信および同定するように適合される。
【0053】
本発明の一部の実施形態においては、第1のAPD410a〜dの中の1つは、好ましくは、複合体126a、126b、126cの各々に対する弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cの蛍光304のBRM部分604a、604b、604cの存在を受信および同定するように適合され得、第2のAPD410a〜dの中の1つについては、複合体126a、126b、126cの各々に対する弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cの蛍光304の標的部分604dの存在を受信および同定するように適合される。そのような実施形態においては、第2のAPD410a〜dの中の1つは、第1のAPD410a〜dの中の1つを上回る感度を有し得る。検出装置400が、電荷結合素子420をさらに含む場合、それはまた、APD410a〜dまたは電荷結合素子420のいずれかを使用した縦一列の流れ140の監視を切り替えるための、切り替え手段464(図3Cに最もよく見られる通り)を含み得る。
【0054】
上記のように、また図面には図示されないが、検出装置400は、一連の1つ以上のトリップセンサを含み得る。各々のそのようなトリップセンサは、好ましくは、蛍光304の強度802a、802b、802c(図8A〜図9に最もよく見られる通り)に対応するデジタル信号を生成し得るが、蛍光304の強度が、最小トリップ強度を超えた場合のみである。一連の各トリップセンサは、好ましくは、異なる所定の最小トリップ強度により提供され得る。一連のトリップセンサは、好ましくは、最小トリップ強度の昇順または降順に配列され得る。
【0055】
このようにして、試験システム100は、試験サンプル40中の標的分子46a、46b、46cの存在を同定する。好ましくは、試験システム100は、血液、尿、唾液、および血清試験サンプルでの使用に特に好適である。それは、感染性疾病、ならびに/または細菌性疾病状態、ウイルス性疾病状態、真菌性疾病状態、および/もしくはベクター誘導性疾病状態の診断に使用されることを目的とする。特に、試験システム100は、生命体がHIV、HBV、またはHCVに感染しているかどうかの同時診断に特に有用であり得る。
【0056】
この段階において、本発明の範囲内に入る一部の実施形態においては、試験システム100は、その上記の構成部品のうちの1つ以上がなくても(それでもなおともに使用されることが好ましいが)提供され得ることに特に留意することは、有意義であり得る。つまり、例えば、試験システム100は、試験分子102なしで提供され得るが、それでもなお試験分子102を用いて使用することを意図する。同様に、試験システム100は、マイクロ流体チップ200、照射装置300、および検出装置400のうちの1つ以上なしで提供され得るが、当然のことながら、それでもなお、それらとの使用を目的とし得る。例えば、試験システム100が、照射装置300も検出装置400もなしで提供される場合、複合型の照射および検出装置300、400との使用が意図される場合がある。
【0057】
方法について
本発明によると、特に、生物学的試験サンプル40中の1つ以上の標的型の標的分子46a、46b、46cの存在に対する試験を容易にするために、とりわけ、分子を集束する方法が開示される。該方法は、好ましくは、
BRM形成ステップ、
BRM形成ステップ後の試験分子形成ステップ、
動電学的ステップ、
試験分子形成ステップ後のサンプル流動ステップ、
バッファ流動ステップ、
動電学的ステップおよびバッファ流動ステップ後のサンプル集束ステップ、
サンプル集束ステップ後の照射ステップ、
照射ステップ後の蛍光検出ステップ、および/または
照射ステップ後の複合体同定ステップ、
を含む。
【0058】
BRM形成ステップにおいて、マイクロビーズ108は、マイクロビーズ108と結合した1つ以上のBRMフルオロフォア112a、112bで標識される。試験分子形成ステップにおいて、試験分子102は、好ましくは、生物学的試験サンプル中に(1つ以上のBRM型の)標的マーカーフルオロフォア130およびBRM106a〜cを導入することによって形成される。各々のBRM型は、それぞれ1つの標的型と結合可能であり、標的マーカーフルオロフォア130は、好ましくは、標的型のうちの1つ以上の(および/またはすべて)と抱合可能/結合可能である。したがって、標的分子46a、46b、46cが試験サンプル中に存在する場合、試験分子102は、BRM106a〜cの複合体126a、126b、126c、標的マーカーフルオロフォア130、および標的分子46a、46b、46cを含む。好ましくは、試験分子形成ステップにおいて形成される複合体126a、126b、126cは、約10マイクロメートル(μm)未満のサイズである。一部の実施形態においては、形成される複合体126a、126b、126cは、約5μm未満、または約1μm未満のサイズでさえあってもよい。そのように形成される複合体126a、126b、126cは、1つ以上の複合体型であり、各々の複合体型は対応する標的型と結合しているBRM型のうちの異なる1つに対応する。
【0059】
動電学的ステップにおいて、(i)第1の極性の第1の電位は、サンプル供給チャネル206、すなわち、流れ集束チャネル220a、220bの上流(すなわち、矢印「A」に概して反対方向)に供給され、(ii)反対の第2の極性の第2の電位は、サンプル集束チャネル208、すなわち、流れ集束チャネル220a、220bの「A」方向の下流に供給され、(iii)第1の極性の第3の電位は、流れ集束チャネル220a、220bのそれぞれに供給される。第3の電位は、好ましくは、第1の電位よりも高い。第1の電位に対する第3の電位の比率は、好ましくは、約1.8:1(9:5)である。サンプル流動ステップにおいて、試験分子102は、サンプル供給チャネル206を通過する。バッファ流動ステップにおいて、バッファ50は、サンプルチャネル204に接続した流れ集束チャネル220a、220bを通過する。
【0060】
サンプル集束ステップにおいて、試験分子102の縦一列の流れ140は、接続する共通交差部230を介した2つの流れ集束チャネル220a、220bからサンプル集束チャネル208へバッファ50の流路によって、サンプル集束チャネル208を通じて方向付けられる。縦一列の流れ140は、サンプル集束チャネル208の対向する側面チャネル部282c、282cから、頂部チャネル部282aから、および底部チャネル部282bから離間した関係にある、サンプル経路「B」に沿って方向付けられる。典型的には、バッファ50は、縦一列の流れ140における試験分子102の試験流速「B」よりも高いバッファ流速「D1」、「D2」で、サンプル集束チャネル208に流入する。サンプル集束ステップにおいて、バッファ50は、約90度(図2Aに示す通り)の接続角度「E」、約45度(図2Cに最もよく見られる通り)の接続角度「E」、または別の潜在的に有利な接続角度「E」の接続角度から、サンプル集束チャネルに流入し得る。好ましくは、サンプル集束ステップにおいて、サンプル集束チャネル208の中の試験分子102の縦一列の流れ140の流路は、動電学的ステップによって促進される。
【0061】
照射ステップにおいて、電磁波(EMF)放射線302は、好ましくは、約2MWから約50MWの間の動作電力を有するレーザー310によって、縦一列の流れ140における試験分子102に送達される。より好ましくは、動作電力は、約20MWから約25MWの間であってもよい。好適な一実施形態においては、EMF放射線302は、約488nmのEMF波長を有する。
【0062】
EMF放射線302の吸収後に、各々の複合体126a、126b、126c(すなわち、各複合体型の)は、弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cの蛍光304を放出する。標的マーカーフルオロフォア130は、各複合体型に対する弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cの標的部分604dを放出し、BRMフルオロフォア112a、112b、112cは、各複合体型に対する弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cのBRM部分604a、604b、604cを放出する。
【0063】
蛍光検出ステップにおいて、縦一列の流れ140は、試験分子102によって放出される蛍光304について監視される。複合体126a、126b、126cによって放出される蛍光304は、好ましくは、2つ以上のAPD410a〜dによって受信され、第1および第2のAPD410a〜dは、各々の複合体126a、126b、126cに対する弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cの蛍光304のBRM部分604a、604b、604cおよび標的部分604dのそれぞれを受信および同定する。あるいは、複合体126a、126b、126cによって放出される蛍光304は、電荷結合素子420によって受信され得る。さらに、蛍光検出ステップにおいて、複合体126a、126b、126cによって放出される蛍光304は、APD410a〜d、電荷結合素子420、または両方によって選択的に受信され得る。
【0064】
最後に、複合体同定ステップにおいて、複合体型の弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、726cが検出された場合、試験サンプル40中の標的分子46a、46b、46cの存在が同定される。
【0065】
システムの詳細
ここで、本発明に従った試験システム100を、非常に詳細に説明する。
【0066】
試験システム100は、サンプルを提供した宿主における種々の症状および感染性疾病に対して、生物学的試験サンプル(すなわち、血液、唾液、血清、尿等)を試験するように設計されている。試験された感染性疾病は、細菌性疾病状態、ウイルス性疾病状態、真菌性疾病状態、ベクター誘導性疾病状態、およびそれらの組み合わせを含むことができるが、それらに限定されない。試験は、試験サンプル40を形成するために、試験分子102を生物学的サンプルと混合することによって実行される。
【0067】
試験分子102は、好ましくは、図1A、図1B、および図1Cに図示されるような生体認識分子(以下、BRM)複合体126a〜cである。試験分子102は、各BRMに関連する固有のスペクトルパターンまたは「バーコード」を生成する量子ドット112a〜c等の埋め込みBRMフルオロフォアを有する、ポリママイクロビーズ108を含む。BRMは、カルボン酸118によってマイクロビーズ108の表面に結合した結合分子116をさらに含む。したがって、その標的マーカーフルオロフォア130を有する標的分子46a〜cは、BRM複合体126a〜cを形成するために、結合分子116を通じてマイクロビーズ108の外側に結合する。
【0068】
より具体的には、図1Aを参照すると、マイクロビーズ108は、黄色量子ドット112aとして示される埋め込みBRMフルオロフォアを有する。図1Bおよび図1Cは、赤色(112b)、赤色(112b)、および黄色(112a)の別の種々の組み合わせを示す。また、図5Aおよび図5Bに参照のために示すように、オレンジ色(112c)、緑色(112d)、および青色(112e)量子ドットも使用されることができる。蛍光色素等の代替のフルオロフォアは、量子ドットの代わりに使用されることができる。各BRMフルオロフォアは、例えば、赤色量子ドットに対する604b等の図6Aに示すような、弁別的な蛍光スペクトルを生成する。標的型46aは、BRM複合体126aを形成するために、BRM106aに抱合される。同様に、図1Bおよび図1Cにおいて、標的型46bおよび46cは、BRM複合体126bおよび126cのそれぞれを形成するために、BRM106bおよび106cに抱合される。
【0069】
アセンブリ
図3Aは、本発明のシステム100の一実施形態の概略図を示す。試験システム100は、概して、マイクロ流体チップ200と、照射装置300と、検出装置400とから成る。
【0070】
図2Aおよび図2Bに最もよく示されるようなマイクロ流体チップ200は、スライドガラス250上に取り付けられたチップ基板部202を備える。チップ基板は、多数のウェルおよび接続チャネルから成る。図2Bに示すように、例示的なチップ200は、サンプルウェル242、2つのバッファウェル244aおよび244b、および末端ウェル246の4つのウェルを有する。サンプルウェル242は、サンプル開始点212において、サンプル供給チャネル206およびサンプル集束チャネル208の2つの部分を有するサンプルチャネル204に接続される。同様に、バッファウェル244aおよび244bはそれぞれ、バッファ開始点214aおよび214bにおいて、流れ集束チャネル220aおよび220bに接続される。サンプル供給チャネル206は、共通交差点230において流れ集束チャネル220bおよび220bに連結し、得られた集束バッファ/サンプル流動は、サンプル集束チャネル208に入り、終点216で終端し、末端ウェル246に入る。サンプル集束チャネル208に沿って、照射装置300のための照射位置210がある。
【0071】
流れ集束チャネル220aおよび220bの2つの変化形を、図2Aおよび図2Bのそれぞれに示す。図2Aにおいて、流れ集束チャネル220aおよび220bは、サンプル供給チャネル206およびサンプル集束チャネル208に対して実質的に90度の角度で交差点230に入る。図2Bにおいて、流れ集束チャネル220aおよび220bは、サンプル供給チャネル206に対して実質的に45度の角度で交差点230に入る。交差点230におけるチャネル204および角度の配置は、好ましくは、30度から90度の間の交差角度であるが、正確な角度は、試験サンプル40およびバッファ50、ならびに望ましい流速の特徴に基づいた経験的測定によって、最もよく決定される。
【0072】
図2Bに基づいて、図2Cは、交差点230、ならびにサンプル40およびバッファ50の流動パターンの拡大断面概略図を提供する。末端ウェル246へ向かう流動の概略的な方向は、下流方向を表す矢印Aによって示される。サンプル供給チャネル206に沿ったサンプル流動は、サンプル経路を表す矢印Bによって示される。流れ集束チャネル220aおよび220bに沿ったバッファ流動は、矢印C2およびC1のそれぞれによって示される。サンプル集束チャネル208におけるバッファ流動は、矢印D2およびD1によって示される。流れ集束チャネル220aおよび220bとサンプル供給チャネル206との間の入射角は、Eとして示される。
【0073】
バッファ50が流れ集束チャネル220aおよび220bを出て交差点に入ると、流動しているバッファ50の力によって、流動サンプル40は、サンプル供給チャネル206から狭小化し、試験分子102を縦一列の流れ140へと押し入れる。図4Gは、サンプル集束チャネル208の断面を示し、サンプル40へのバッファ50の流れ集束効果が、チャネル壁284による拘束を受け、両方の方向に機能することを図示する。サンプル40は、スライドガラス250によって画定される底部チャネル部282bまで延在するが、底部チャネル部282bへの試験分子102の接着を防止するために、狭小ではあることに留意されたい。バッファ50およびサンプル40の両方が、頂部チャネル部282aを覆う一方で、バッファ50は、対向する側面チャネル部282cを覆う。
【0074】
マイクロ流体チップ200は、図4Eに詳細に最もよく示されるようなプラットフォーム270上に取り付けられる。サンプル40およびバッファ50に対する動電学的駆動力は、ウェルのそれぞれに挿入される電極によって提供される。したがって、示されるチップ200に対して、サンプルウェル電極262と、2つのバッファウェル電極264aおよび264bと、末端ウェル電極266とがある。それらのそれぞれのチャネルに沿ってサンプル40およびバッファ50を搬送する動電学的駆動力を生成するために、電圧差が電極を介して印加される。
【0075】
マイクロ流体チップ200は、既知の方法に従って製造される。そのような一方法は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)マイクロ流体チップを使用する。PDMSマイクロ流体チップは、好ましくは、従来のソフトリソグラフィ微細加工技術を使用して製造される。望ましいマイクロチャネルパターンのフォトマスクは、透明スライド上で準備および印刷される。マスタは、フォトレジスト層でコーティングされたSiウエハ上に製造され、予備焼成される。次いで、各ウエハは、フォトレジスト上に、インク面を下向きにして、フォトマスクを配置し、短時間紫外線に曝露される。標準的な焼成後手技に従って、紫外線に曝露されていないいかなるフォトレジストも溶解除去するために、ウエハは、ナノ現像液に浸漬される。次いで、マスタは、イソプロパノールで洗浄され、圧縮N2ガスで乾燥される。
【0076】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、概して、2つの部分に分けられたプレポリマキットとして供給され、A部分はプレポリマであり、B部分は、架橋剤を含有する。マスタを、パイレックス(登録商標)のシャーレに置き、混合プレポリマを、各々の上に注いだ。次いで、プレポリマのガス抜きをする(プレポリマから気泡を除去する)ために、サンプルは、真空下に配置される。次にオーブン内でインキュベーション期間をとる。オーブンから取り出されると、硬化したPDMSスラブを、マスタから剥離し、マイクロチャネルパターンの外側の周囲にある過剰なポリマは、除去される。1つのマスタは、2つのポリママイクロチャネルのためのパターンを保持する。次いで、PDMS基板およびガラスカバースリップの表面を、粘着テープを用いて清掃する。
【0077】
次いで、PDMSチャネルのプラズマ酸素事前処理を使用して、壁を親水性にすることができる。PDMS基板202およびスライドガラス250の両方は、プラズマクリーナーのチャンバ内に装填され、酸素プラズマに曝露される。直後に、2つの基板を組み合わせて不可逆的に密閉するように、PDMS202の表面およびスライド250の表面を接触させる。チャネル表面を親水性に保つために、再蒸留水をマイクロチャネル204内に添加する。最後に、水が蒸発することを防止し、チップ200の長期間の保存を可能にするために、ガラスの小片を、チャネルウェル242、244a、244b、および246の上に配置する。
【0078】
図3Bにより詳細に示される照射装置300は、上記に説明するようにサンプル集束チャネル208内を流動する試験分子102に照射するために、照射位置210に方向付けられるEMF(電磁波)放射線302の流れを放出する。示されるように、レーザー310は、EMF放射線を生成するために使用されるが、LED等の代替の源を使用することもできる。LEDは、レーザー310と同一の位置か、またはLED312によって示される位置に配設することができる。
【0079】
図4Fに示すように、放出されたEMF放射線302は、照射位置210に光線を集束するために、対物レンズ330を通じたミラー320を介して方向付けられる。レンズの焦点距離は、放射線302を照射位置210と方向合わせするために、モーター280aおよび280bを使用したチッププラットフォーム270の移動によって、x、y、およびz軸(図4Cおよび図4Dにも示される通り)に沿って調整されることができる。方向合わせは、自動的に、または手動で実行することができる。自動位置合わせは、LED312を駆動し、信号強度を測定し、サンプル集束チャネル208と照射位置210との適切な方向合わせのために、xおよびz軸でプラットフォームを調整することによって実行される。代替として、y軸調整は、信号結果を最適化するために手動で行うことができる。手動の方向合わせは、調整ノブ506、入力インターフェース504、またはそれらの組み合わせによって、ユーザによって制御される。
【0080】
レンズ330の方向合わせおよび焦点調整は、図4Gにより明確に示され、レンズ330と試験分子102との間のz軸焦点距離Fzは、試験分子102が、EMF放射線302によって十分に励起されることを確実にするために調整される。同様に、x軸焦点距離Fxを調節し、試験分子102のサイズ(幅)を考慮する。
【0081】
図3Cにより詳細に示される検出装置400は、概して、照射された試験分子102から放出された蛍光304を蛍光検出装置に方向付けるために、ミラーおよびフィルタの集合体を備える。図3Cに示すように、入射蛍光304は、一次ミラー462によって検出チャネル450に沿って方向付けられる。次いで、蛍光信号は、光線分割ミラー464によって分割される。分割された蛍光信号の一部は、強度チャネル422に沿って、全信号強度を決定する電荷結合素子(「CCD」)420に方向付けられる。
【0082】
分割された蛍光信号のもう一方の部分は、一連のバンドパスフィルタ440a〜dを通過する検出チャネル450に沿って方向付けられる。各フィルタ440a〜dは、試験分子102における各々のBRMのフルオロフォア110および標的マーカーフルオロフォア130によって放出される蛍光信号304に対応する特定の波長を対象とする。フィルタリングされた信号442a〜dは各々、検出チャネル452a〜dに沿って、蛍光信号を電気信号に変換し、その後その電気信号を分析のために信号プロセッサ490に出力する、APD(アバランシェ光検出器)410a〜dに方向付けられる。
【0083】
1つの信号を一例として挙げると、緑色の波長バンドパスフィルタ440aを使用して、蛍光信号304のフィルタリングされた部分442aを検出チャネル452a方向に方向転換する。このフィルタリングされた信号442aは、APD410aを打撃し、結果は、分析のための緑色の波長出力信号である。同様のプロセスが、黄色のバンドパスフィルタ440b、オレンジ色のバンドパスフィルタ440c、および赤色のバンドパスフィルタ440dを用いて行われ、対応するAPD410b〜dは、黄色、オレンジ色、および赤色の波長に対する出力信号を生成する。組み合わされた信号は、蛍光を発している試験粒子102の同定を決定するために解釈されるスペクトルを集合的に生成する。
【0084】
標的フルオロフォア130は、概して、BRMフルオロフォア112a〜cよりも強度が低く、しばしば実質的に強度が低いため、BRM複合体スペクトルの生成に関与するAPDよりも高い感度で動作するために、標的フルオロフォアスペクトルの生成に関与するAPDを有することは有利であり得る。示される概略図において、APD410aは、標的フルオロフォア130のスペクトルの生成に関与し、BRMフルオロフォア112a〜cで使用されるAPD410b〜dを上回る感度で動作する。示されるように、APD410aは、APDを冷却するためにヒートシンク470を使用するタイプであり、冷却されないAPD410b〜dを上回る感度を提供する。ヒートシンク470の代用として、またはこれに加えて、APD410aを周囲よりも低い一定温度に維持するために、温度制御システム472を実装することができる。
【0085】
システム全体は、筐体500に包納され、サンプル装填済みマイクロ流体チップ200の挿入および取り外しのためのサンプルアクセスポート502と、好ましくは、ディスプレイとデータ入力装置としての二重機能を可能にする、タッチパネル装置である、ディスプレイ504とを含む。筐体はまた、チップ200の位置の調整のための手動方向合わせを実行するために使用される、ノブ506を含む。
【0086】
操作
使用に際して、生物学的試験サンプル(血液、唾液、血清、尿等)は、マイクロ流体チップ200のサンプルウェル242への挿入のために調製される。生物学的試験サンプルは、試験の性質によって決定される、1つ以上の標的型の標的分子46の存在に関して、システムによって試験される試験サンプル40を形成するために、第1の組の試験分子と組み合わされる。使用される試験分子は、標的分子のうちの1つと個々に結合可能である1つ以上のBRM型のBRM106、および異なるBRMおよび標的分子に対応する異なる複合体を伴う、BRMおよび標的分子の複合体を含むことができる。
【0087】
非抱合サンプル分子等の試験分子の第2の組もまた、サンプル中に存在し得、第2の組の試験分子は、第1の組の試験分子を有するサンプル流動内に移動するであろう。試験分子の第2の組は、別途のBRMの多重試験、もしくはキャリブレーションおよびエラーチェック等のシステム試験に使用することができるか、または無関係として無視され得る。
【0088】
次いで、マイクロ流体チップ200は、筐体500内のサンプルアクセスポート502を通じて、試験システム100に挿入される。次いで、レンズ330と照射位置210との方向合わせは、上記に説明されたように実行される。操作パラメータは、ディスプレイ504によって入力され、サンプル40およびバッファ50の流動を開始するために、必要な電位は、電極262、264a、264b、および266を通じて印加される。第1の電位は、サンプルウェル電極262に、第2の電位は、バッファウェル電極264aおよび264bに、第3の電位は、末端ウェル電極266に印加される。
【0089】
次いで、サンプル40およびバッファ50は、図2Cに示すように、サンプル供給チャネル206を、また流れ集束チャネル220aおよび220bのそれぞれを通じて流動する。チャネル206、220aおよび220bは、共通交差点230で交わり、サンプル40の流動は、試験分子102の縦一列の流れ140に集束する。
【0090】
次いで、試験分子102は、照射装置300によって照射位置210において照射される。好ましくは、レーザー310またはLED等の固定波長のEMF放射装置が使用される。次いで、試験分子は、それらのBRM型およびBRM複合体型に応じて蛍光を放出し、各々、弁別的な蛍光スペクトルを有する。
【0091】
次いで、蛍光は、上記に説明されたようにAPDまたはCCD等の光検出装置によって検出され、得られた信号は、試験サンプル中の複合体型を同定するために、信号プロセッサに出力することができる。
【0092】
実験結果
本明細書に記載する実施例において、3つの病原体(それぞれ図1A、図1B、および図1Cに図示されるような、B型肝炎ウイルス‐HBV、C型肝炎ウイルス‐HCV、およびヒト免疫不全ウイルス‐HIV)が、感染性疾病診断のための本統合装置の有用性を説明するために選択された。これらの3つの病原体は、すべて同様の感染ルートを使用する血液感染性ウイルスであり、ID罹患率および死亡率全体に著しい影響を及ぼす世界で最も流行している疾病に含まれている。例えば、世界中で、HIVは、4000万人に感染し、HBVは、4億人に感染し、HCVは、1億7000万人に感染し、推定罹患率は、HIVに対して3950万人、慢性HBV感染に対して3億5000万人、慢性HCV感染に対して1億3000万人である。これらの症例の大部分は、発展途上諸国にある。現在の診断計画は、3つの個々の試験、および病原体検出のための比較的大量の血液を必要とする。これらの必要条件は、分析の費用および分析の速さに著しい悪影響を生じる。発展途上諸国にとって、共通診断装置の実現は、多くの命を救う可能性がある。
【0093】
量子ドット合成
前述(S1〜S4)の有機金属法を使用して、CdSeのコアでZnSでキャップされた量子ドット(「Qdot」)を合成した。簡潔に、12〜20gのトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO、98%純粋、Sigma Aldrich、St.Louis、MO)を、三つ口フラスコ内で、Arガス下で150℃まで加熱した。160μLのジメチルカドミウム(97%、Strem Chemicals、Newburyport、MA)を注入し、約15分間加熱したTOPOと混合した。真空下での3回のパージ後、三つ口フラスコの内容物を350℃まで加熱した。次いで、セレン(Se粉末、99.5%、Sigma Aldrich)およびトリ−n−オクチルホスフィン(TOP、Sigma Aldrich)の2モルの前駆体溶液を三つ口フラスコに注入し、温度を300℃まで急速に低下させた。1.5:1から2.5:1の範囲のCd:Se比を使用した。蛍光光度計(FluoroMax3、Jobin Yvon Horiba、Edison、NJ)を使用して、三つ口フラスコ内の溶液の一定分量の放出プロファイルを測定することによって、増殖期の間、Qdot放出を追跡記録した。望ましいピーク放出波長に到達すると、ジエチル亜鉛(Sigma Aldrich)、ヘキサメチルジシラチアン(TMS2(S)、Sigma Aldrich)、およびTOPから成るキャッピング前駆体溶液を、約1mL/分の速度で三つ口フラスコに滴下添加した。
【0094】
Qdotキャッピングに続いて、三つ口フラスコの温度を<60℃まで低下させ、クロロホルムを添加した。未反応前駆体からナノ粒子を沈殿させるために、メタノールおよびクロロホルム(2:1の比率)で数回洗浄した。最終TOPO被覆Qdotを使用するまでクロロホルム中に保存した。
【0095】
量子ドットバーコード合成
既知の方法(M.Han,X.Gao,J.Z.Su,S.Nie,Nat.Biotech.,19,631(2001)、X.Gao,S.Nie,Anal.Chem.,76,2406(2004))を使用して、QdotバーコードまたはBRM部分(以下、「QdotB」)を調製した。簡潔に述べると、表面にカルボン酸官能基を有する直径5μmのポリスチレンマイクロビーズ(Bangs Laboratories、Fishers、IN)をプロパノール中で膨張し、クロロホルム中のTOPO被覆Qdotを添加した(1mLのプロパノール中の約1.5×107のビーズ、およびクロロホルム中の<100μLのQdot)。疎水性−疎水性相互作用によって、Qdotは、マイクロビーズ内部に拡散した。QdotB1(570nm放出Qdotのみ)およびQdotB2(615nm放出Qdotのみ)サンプルに対して、インキュベーションは1時間続いたが、QdotB3に対しては、インキュベーションは2つのステップに分かれ、570nm放出Qdotを一時間のインキュベーションの全体の間添加し、615nm放出Qdotを後半30分間のみ添加した。サンプルをプロパノールで数回(7〜10回)洗浄し、アッセイのために使用するまで冷蔵庫で4℃で保存した。ビーズ調製からアッセイ開始までの時間間隔は、12時間を超えなかった。
【0096】
抗原サンプル調製
次いで、N−ジメチルアミノプロピル−N’−エチルカルボジイミド(EDC)補助架橋結合を使用して、病原体抗原(BRM)をマイクロビーズ表面に共有結合した。使用した抗原は、HBV、HCV、およびHIVのそれぞれに対して、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、非構造タンパク質4(NSP4)、および糖タンパク質41(gp41)であった。
【0097】
プロパノール中で調製したQdotBをボルテックスし、10秒間超音波分解し、次いで、5mLフィルタ(Falcon、VWR)を通過させた。最初に1.5×107ビーズ/mLの濃度で1mLのプロパノール中に懸濁したサンプルを250μLの一定分量に分け、8000rpmで3分間遠心分離した。浮遊物を吸引し、QdotBを100μLの0.1M MESバッファ(pH5.5)中に再懸濁した。MESバッファによるビーズのさらに2回の洗浄を完了し、次いで、サンプルを90μLのMESバッファ中に再懸濁した。1mLのMESバッファ中に0.0092gのN−ジメチルアミノプロピル−N’−エチルカルボジイミド(EDC、Sigma Aldrich)の原液を調製し、5μLを各サンプルに添加した。次いで、15分間、軽い振とうを生じさせながらサンプルをボルテックス上でインキュベーションした。
【0098】
EDCインキュベーションに続いて、サンプルを9000rpmで3分間遠心分離し、吸引した。9000rpmでの再遠心分離を用いた、100μLのMESバッファによる洗浄が続いた。炭酸−重炭酸バッファ(pH9.4)中に34.4μg/mLの濃度で、抗原溶液を調製した。使用した抗原は、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)のそれぞれに対して、B型肝炎表面抗原(HBsAg、Advanced Immunochemical、Long Beach、CA)、非構造タンパク質4(NSP4、Advanced Immunochemical)、および糖タンパク質41(gp41、Advanced Immunochemical)であった。100μLの最終体積になるまで希釈された抗原原液をサンプルに添加し、次に、ボルテックス上で15分間インキュベーションした。
【0099】
抗原溶液を伴うインキュベーション後、6500rpmで3分間サンプルを遠心分離し、次いで、吸引した。次いで、QdotBを100μLのクエンチングバッファ(50mMグリシンおよび0.1%Tween)中に再懸濁し、ボルテックス上でさらに15分間インキュベーションした。このインキュベーションに続いて、5500rpmで3分間サンプルを遠心分離し、吸引し、リン酸バッファ食塩水(PBS)中の100μLの3%ミルク中に再懸濁した。次の30分間のボルテックス上でのインキュベーションは、乳タンパク質でQdotBを阻害する働きをする。最後に、5000rpmでの遠心分離を使用して、TRIS洗浄バッファ(pH8.0)でQdotBをもう一度洗浄した。このサンプルは、必要であれば一晩乾燥保存することが可能である。
【0100】
次いで、ヒト血清中に標的抗体溶液の原液を調製した。HBVに対して、クローンX12 抗HBsAg(Advanced Immunochemical)が使用され、HCVに対して、クローン8A1 抗HCV NS−4(Biodesign International、Saco、ME)が使用され、HIVに対して、クローン5A1 抗HIV−1 gp41(Biodesign International)が使用された。100μLの最終体積になるまで、抗原被覆QdotBをスパイクヒト血清サンプル中に再懸濁した。次いで、それらを15分間ボルテックス上でインキュベーションし、続いて、TRIS洗浄バッファを使用して2回洗浄し、5000rpmでサンプルを遠心分離した。
【0101】
AlexaFluor−488色素結合ヤギ抗マウスIgG抗体(Invitrogen、Burlington、ON)の原液をTRIS洗浄バッファ中で1:300に希釈した。各サンプルを再懸濁するために、100μLのこの溶液を使用した。(有機色素退色を防止するために)スズ箔でサンプルを被覆し、15分間ボルテックス上に置いた。短期間の保存のために、サンプルを500μLのTRIS洗浄バッファ中に再懸濁する前に、100μLのTRIS洗浄バッファを使用した、QdotB複合体の2回の最終洗浄を完了した。
【0102】
アッセイ準備
多重アッセイのために、抗原被覆QdotBを上に記載するように調製した。すべての実験は、抗体捕捉の間ほぼ同数の全ビーズを使用した。2つの種類の抗原QdotBが使用されていた場合、サンプル中のマイクロビーズの半分が1つのコードに対応し、残りがもう一方に対応した。3つの異なるQdotBを使用したサンプルに対して、同一の方法を使用した。
【0103】
標的抗体スパイクヒト血清でのQdotBのインキュベーションのために、100μLの全体積をすでに使用した。したがって、2つの異なる標的抗体でサンプルをインキュベーションした場合、50μLの各スパイク血清溶液を添加した。同様に、3つの異なる標的抗体をインキュベーションした場合、33μLの各溶液を添加した。
【0104】
図12は、どの抗原被覆QdotBを、どの標的抗体スパイクヒト血清サンプルでインキュベーションするかを列挙する。対照(標的抗体なし)サンプルのために、標的抗体のないヒト血清を代わりに添加した。標的抗体捕捉アッセイの残りは、上に記載する方法に従った。
【0105】
マイクロチップ製造
上記に説明したように、マイクロチャネル製造は、標準的なソフトリソグラフィ技術(Y.Xia,G.M.Whitesides,Annu.Rev.Mater.Sci.,28,153(1998)、D.C.Duffy,J.C.McDonald,O.J.A.Schueller,G.M.Whitesides,Anal.Chem.,70,4974(1998)、M.A.Unger,H.Chou,T.Thorsen,A.Scherer,S.R.Quake,Science,288,113(2000))に従った。
【0106】
AutoCADソフトウェア(San Rafael、CA)を使用して、望ましいマイクロチャネルパターンのフォトマスクを準備し、Photoplot Store(Colorado Springs、CO)によって透明スライド上に印刷した。印刷解像度は、1.59μm(2つの画素間の距離)であった。マスタ製造は、直径3.5インチのSiウエハ(Virginia Semiconductor、Fredericksburg、VI)上に2015シリーズSU8フォトレジスト(MicroChem Corp.、Newton、MA)の厚さ15μmの層をスピンコーティングし、サンプルを予備焼成することから開始した。次いで、各ウエハは、フォトレジスト上に、インク面を下向きにして、フォトマスクを配置し、SUSS MA6 マスクアライナ(SUSS MicroTec Inc.、Waterbury Center、VT)を使用して、約4秒間の間35mW/cm2の出力密度で365nm紫外線に曝露した。標準的な焼成後手技に従って、紫外線に曝露されていないいかなるフォトレジストも溶解除去するために、ウエハをSU8 Nanodeveloper(MicroChem Corp.)に約1分間浸漬した。次いで、マスタをイソプロパノールで洗浄し、圧縮N2ガスで乾燥した。
【0107】
使用したポリジメチルシロキサン(PDMS)プレポリマキット(RTV615、General Electric Silicones、Wilton、CT)は、2つの部分があり、A部分はプレポリマであり、B部分は、架橋剤を含有する。プレポリマを10A:1Bの比率で混合した。マスタをパイレックス(登録商標)のシャーレに置き、22gのプレポリマをそれぞれの上に注いだ。次いで、プレポリマのガス抜きをする(プレポリマから気泡を除去する)ために、サンプルを真空下に約2時間置いた。次に80℃に設定したオーブンで、3時間のインキュベーションを行った。オーブンから取り出すと、硬化したPDMSスラブをマスタから剥離し、マイクロチャネルパターンの外側の周囲にある過剰なポリマを除去した。1つのマスタは、2つのポリママイクロチャネルのためのパターンを有する。次いで、PDMS基板およびガラスカバースリップ(170μm厚、VWR、Mississauga、ON)の表面を粘着テープを用いて入念に清掃した。PDMS基板およびガラスカバースリップの両方をプラズマクリーナー(Harrick Plasma、Ithaca、NY)のチャンバ内に装填し、1分間酸素プラズマに曝露した。直後に、2つの基板を合わせて不可逆的に密閉するために、PDMSの表面およびカバースリップの表面を接触させた。チャネル表面を親水性に保つために、再蒸留水をマイクロチャネルに添加した。最後に、水が蒸発することを防止し、サンプルの長期間の保存を可能にするために、ガラスの小片をチャネルウェル上に配置した。
【0108】
検出実験
最初に、500μLのTRIS洗浄バッファ中のQdotB複合体を4000rpmで3分間遠心分離し、吸引した。次いで、それらを30μLの再蒸留水中に再懸濁した。
【0109】
バッファおよび廃棄ウェルを充填し、カスタムツールを使用してサンプルウェルにおいて吸引を行うことによって、使用前に一度、マイクロチャネルを再蒸留水で洗い流した。チップへのサンプルの導入前に、すべてのウェルから流体を除去した。20μLのサンプルをサンプルウェル内に装填し、続いて、各バッファおよび各廃棄ウェルに20μLの再蒸留水を添加した。次いで、倒立型落射蛍光顕微鏡(IX71、Olympus、Center Valley、PA)の試料台上にマイクロ流体チップを方向を合わせて置き、60X対物レンズ(1.35NA、Olympus)に油浸した。対物レンズの焦点をサンプルウェルの入口に合わせた。
【0110】
ウェルのそれぞれに電極を配置し、リードは、電圧調節回路の出力に接続した(図S2を参照)。電圧調節回路の入力を高圧電源(CZE1000R、Spellman High Voltage Electronics Corp.、Hauppauge、NY)に接続し、典型的な実験の間中、調節回路に300Vおよび60μAを供給した。バッファチャネルとサンプルチャネルとの間の電圧比を1.8に設定した。
【0111】
QdotB複合体が、上に記載するようにマイクロチャネル206に流入し始めると、バッファチャネル208およびサンプルチャネル206の交差点230から下流に位置するサンプル集束流れと方向合わせするために、対物レンズの焦点を移動した。次いで、約10μm幅の縦一列のサンプル流れ140に対して、約8μmの直径であり、TEM00モードのマルチラインAr/Krガスレーザー(COHERENT Inc.、Santa Clara、CA)からの488nmArレーザー310のラインを使用した、レーザースポットの焦点を合わせるために、対物レンズ330を使用した。レーザー出力を一定の25mWに設定した。収集した蛍光304から励起光302を分離するために、二色性ミラー(U−N41001、Olympus)および500nmロングパス放出フィルタ320(7512、Chroma Technology Corp.、Rockingham、VT)を使用した。ソリッドステート光検出器410a〜dの活性領域に焦点を合わせる前に、二色性ミラー(q555lpおよび610dlp、Chroma Technology Corp.)およびバンドパスフィルタ440a〜dを使用して、蛍光放出304をスペクトルバンドに分離した(図3Aを参照)。
【0112】
使用されたQdotおよびバンドパスフィルタのスペクトルを図6Aに示す。赤色、黄色、およびオレンジ色のQdotBに対するスペクトルピークの比較を図6Bに示す。フィルタに対してピーク602dとして、および未加工の蛍光に対して604dとして示される、緑色の範囲の波長に対して、PINフォトダイオード検出器410a(818Series、Newport Corp.、Irvine、CA)にこれらの放出を集束するために、500〜540nmバンドパスフィルタ440a(HQ520/40、Chroma Technology Corp.)を両凸レンズ(LB1761−A、Thorlabs Inc.、Newton、NJ)とともに使用した。この検出器を光強度測定器(1830−C、Newport Corp.)に接続した。同様に、バンドパスフィルタ440bおよび440d(HQ575/30およびHQ630/60、Chroma Technology Corp.)とレンズ(それぞれLB1811−AおよびLA1027−A、Thorlabs Inc.)とを、2つのアバランシェフォトダイオード(黄色および赤色チャネルのそれぞれに対してC4777−01およびC5460、Hamamatsu Corp.、Bridgewater、NJ)に使用した。黄色の波長範囲をフィルタに対してピーク602a、および未加工の蛍光に対して604aとして示し、赤色の波長範囲をフィルタに対してピーク602b、および未加工の蛍光に対して604bとして示す。3つの検出器すべてに対する電圧出力を、コンピュータに接続し、Labviewソフトウェア(National Instruments)を使用して動作するデータ収集カード(NI USB−6251、National Instruments、Austin、TX)のポートに接続した。データ収集カードの機能は、約1MS/sであるが、1kHzにおけるサンプリングを使用した。比較のために、図6Aはまた、フィルタに対してピーク602c(上記を参照)、および未加工のQdotスペクトルに対して604cとして、オレンジ色の波長範囲を示す。赤色612b、黄色612a、およびオレンジ色の612cのQdotB複合体に対するスペクトルを、比較の目的で図6Bに重ね合わせた。
【0113】
典型的な実験を15分間実施し、約30MBのデータおよび約1000の検出事象の収集を可能にした。実験後、サンプルチャネル中に残っているQdotB複合体を収集し、細胞計数器(Vi−Cell XR、Beckman−Coulter、Fullerton、CA)を使用して計数したが、マイクロチャネルは破棄した。サンプルウェル中のQdotB複合体濃度は、典型的な実験の間、1.5×107/mL(9×106標準偏差)であった。
【0114】
CCDアレイカメラを使用したスペクトル収集
図7A〜図7Cに示すようなスペクトル収集は、上記のものと同様のステップを使用した。しかしながら、50.0mm焦点距離レンズ(LA1131−A、Thorlabs Inc.)を使用して、スペクトルグラフ(Acton Research Inc.、Acton、MA)の入口スリットに蛍光放出を方向付け集束した。スペクトルグラフの内側で、熱電冷却されたCCDカメラ(7481−0002、Princeton Instruments、Trenton、NJ)の画素を照明する前に、波長による放出光を分散させるために、1mmあたり150の溝を有する格子を使用した。この格子の選択により、570nmの中心波長に対して方向合わせした場合、約450〜700nmのスペクトルの検査が可能になる。典型的な読み取り時間が約250msecであった一方で、機械シャッターで設定されたCCDアレイの積分時間は、50msecであった。カメラによって撮られたデータを、WinSpecソフトウェア(Princeton Instruments)によって収集および分析した。複数の連続スペクトルを収集することによって、背景および検出信号を互いから区別することが可能であった。HBV、HIV、およびHCVサンプルに対する生データは、それぞれ弁別的な蛍光スペクトル726a、726b、および726cとしての生データに一致する近似曲線とともに、724a、724b、および724cとしてそれぞれ示される。それぞれの近似曲線は、合わせてオレンジ色のピーク604cになる、黄色ピーク604a、赤色ピーク604bを示す。標的フルオロフォアに対する緑色ピーク604dも存在する。
【0115】
理論
サンプルおよびバッファチャネルの下流において、チャネルは、流れ集束を受ける。流動内のマイクロビーズが、Qdotバーコード測定値に大きな影響を及ぼす可能性があるPDMSに非特異的に吸着する傾向があるため、流れ集束は、本技術の重要な側面である。流れ集束によって、PDMS基板とのQdotバーコード相互作用は、最小限に抑えられる。
【0116】
検出しているビーズおよび複合体のサイズによって、マイクロ流体チップ内のチャネルのサイズおよび形状は決定される。例えば、5μmのビーズは、機能化および抱合後に約7〜8μmの流動するための空間を必要とするため、10μmを超えない幅の集束流動チャネルは、一度に1つのビーズのみがチャネルを通過することを可能にすると同時に、ビーズの正常な流動を可能にする。
【0117】
集束流れマイクロビーズが、集塊化または凝集がないように流速を維持すると同時に、1つずつ検出点を通過することを可能にするために、チャネルの構成は最適化される。構成は、集束チャネルに印加される電圧、サンプルチャネルに印加される電圧、および種々のチャネルの長さ等のいくつかの要因に依存する。
【0118】
ビーズの速度は、

によって決定される。
【0119】
式中、Eは、電場であり、εは、誘電率であり、ζeofは、チャネル壁のゼータ電位であり、μは、流体の粘度であり、ζephは、ビーズ表面のゼータ電位である。
【0120】

は、流動性とも呼ばれる。
【0121】
流動性

は、バッファおよびチャネル壁の材料によって決定され、ε、ξ、μは、バッファ溶液のpH、温度、および別の特性と関係を有する。上記の方程式(1)から、マイクロビーズの速度は、安定した流動を構築するために>0でなければならず、それは、バッファを選択するための基準を設定することが示される。
【0122】
(サンプルウェルにおける)サンプルチャネルに対する集束チャネルの電圧比率(絶対電圧ではない)、

は、
α最少≦α≦α最大 (2)
を条件とする。
【0123】
α最小およびα最大は、チャネルの各部分の長さに関連する。



であり、ここで

である。
o、Li、Lfは、それぞれ出口、入口、および集束チャネルの長さである。好ましいチップ設計における集束チャネルが、L字型を有する場合、Lfは、チャネルの2つのアーム、Lf1およびLf2の和として定義される。
【0124】
理論的には、チャネル(集束またはサンプル)のうちの1つに印加される電圧に対して制限はない。方程式(1)に示すように、より高い電圧がより大きい流速をもたらすように、流速は、電圧に比例する。しかしながら、方程式(2)に示すように、電圧比率に対しては制限がある。この範囲を超えて、流動は生成されることができない。
【0125】
したがって、サンプル流動の集束された幅、Wfの比率は、方程式、
Wf/W=(1 + 2β-2βα)/(1 + 2γα) (3)
に従って、入口チャネルの幅に関連する。
【0126】
使用されるサンプルチップにおいて、Li=8mm、Lo=10mm、Lf1+Lf2=18mmである。したがって、W=100μmのチャネルに対して、αの種々の値は、
α=1.5:Wf/W=0.19、Wf=19μm
α=1.6:Wf/W=0.14、Wf=14μm
α=1.7:Wf/W=0.09、Wf=9μm
α=1.8:Wf/W=0.04、Wf=4μm
であり、α最大=1.93、α最小=0.59である。
【0127】
上記の式は、すべてのチャネルが、縮小および拡大を有さず一直線であり、高さが、すべての分岐に対して同一であるという仮定に基づいている。仮定が間違っている場合、式は変化するが、概説された同一の原理に従う。加えて、異なる長さの組み合わせは、単に集束された流体に対して異なる幅をもたらすに過ぎないため、各分岐の長さに対して制限はない。
【0128】
データ分析
図8A〜図8Cは、検出器の出力電圧の大きな変動がリアルタイムで検出事象を示す実験の間に収集される生データの10秒の間隔を示す。これらの実験に対して、図7A〜図7Cにおいて604dとして示されるスペクトルの標的フルオロフォア部分に対応する、緑色(500〜540nm)の波長802a〜cを試験するために、光強度測定器および増幅器と連結したPINフォトダイオードを使用した一方で、図7A〜図7Cにおいて604a〜cとして示される、スペクトルのBRM部分に対応する、黄色804a〜cおよび赤色チャネル806a〜c(それぞれ、550〜590nm、および600〜650nm)に対して、APDを使用した。3つの検出器すべてからの出力を、データ収集カードを使用してコンピュータにリンクし、Labviewソフトウェアを使用して実行した。バーコードがレーザースポットを横断する速度が、検出器によって測定されるピーク強度に反比例するため、信号分析のために、時間に対する正規化電圧ピーク値を使用した。例えば、標的抗体検出を示す緑色チャネルは、測定基準G=∫ピークV(t)dt/∫ピークdtを使用し、式中V(t)は、時間関数tとしての電圧信号である。図9は、電圧範囲を明示するために、一連のピークの拡大図を提供する。
【0129】
擬陽性は、診断の検出感度限界に近づく標的分子レベルにおいて実行されているアッセイに関する、臨床的に直面する日常的な問題である。したがって、プラットフォームの検出限界を評価することは重要であり、HBV HBsAg、HCV NSP4、およびHIV gp41標的抗体に対する連続希釈感度曲線を準備し、市販のELISAキットと比較した。検出アルゴリズムは、最初に、ピークに対する緑色チャネルをスキャンし、次いで、検出事象が確認される前に、適切なピークが黄色および赤色チャネルにも存在したことを確認した。検出ピークに対する値を図10A〜図10Cに示す。対数曲線1000a、1000b、および1000cはそれぞれ、HBV、HIV、およびHCVに対するデータに近似し、拡大図1002a、1002b、および1002cはそれぞれ、曲線の末端におけるさらなる詳細を示す。HBsAg抗体に対しては、フェムトモル(10-13〜10-15M)範囲で検出感度限界を測定したが、NSP4およびgp41に対する限界は、ピコモル単位(10-10〜10-12M)で測定した。
【0130】
必要なビーズ濃度は、単一ビーズ信号を測定するための必要性に基づき、高いビーズ濃度は、より高速の検出器およびデータ収集システムを必要とする。ビーズ間相互作用は、ビーズ間の小さい分離によって要因となり、流動に影響を及ぼす。低いビーズ濃度に対しては、統計分析のために十分な総数(現在の実験において1000を超える)を生成するために、より時間がかかる。平均ビーズ濃度は、15×106m/Lであり、標準偏差は、示される実施例において9×106m/Lであり、>1000の総数を得るために約15分かかる。したがって、許容可能な濃度範囲は、15×107m/Lから15×105m/Lの間と推定され、対応する時間変化が総数収集のために必要とされる。ビーズの実際のサイズは、100nmほどの小さいものから最大で5μmの範囲であることができる。
【0131】
蛍光バーコードを使用する主な利点は、それらの多重検出能力、およびそれを病原体検出に適用できる能力である。図11A〜図11D、図12、および図13A〜図13Bは、2つ(HBVおよびHIV)および3つの(HBV、HCV、およびHIV)病原体の多重実験の結果を示す。最初に、緑色チャネルピークがどこに存在したかを示すことによって検出器データを分析し、次いで、正規化された値の比率R/Yに基づいて、HBV、HCV、またはHIV検出事象として分類した。図11A〜図11Cは、HBV、HIV、およびHCVからの検出事象のヒストグラム1100a、1100b、1100cが、それぞれどのようにして、低、中、高と明確に区別できるR/Y比の差異を有するのかを、図11Dの3つすべての比較により示す。この方法を使用することによって、同一サンプル中の異なる病原体の検出事象を同定することが可能であり、アッセイが修飾されている間に標的分子が存在するとき、この変化が結果に反映された。
【0132】
図12は、図13Aおよび図13Bに対して使用される実験の表を示す。図13Aは、HBVおよびHIVの2つの病原体の多重実験の結果を示す。図13Bは、HBV、HCV、およびHIVの3つの病原体の多重実験の結果を示す。これらの結果は、これらの3つの病原体マーカーに対する無視できる程度の交差反応性を示す。この実験に対するHBV、HIV、およびHCV抗体の濃度は、すべて4.74×10−9Mであった。示されるエラーバーは、1つの標準偏差を表す。
【0133】
マイクロ流体検出システムは、分子診断学でのナノテクノロジーおよびマイクロテクノロジーの、多重感染性疾病の生物分析ツールへの成功した統合を表す。システムを特定の分子の検出または特定の抗体での使用に適合するために、システムに特定の修正を行うことができる。マイクロ流体チップを組み込むシステム全体のサイズおよび構造を調整するために、他の修正を行うことができる。例えば、LEDまたは他の放射線放出要素は、分子を励起する目的でレーザーの代わりに使用され得る。すべてが当業者に容易に明らかとはならないが、さらなる開発および改良が想到され得る。
【0134】
上記の方法は、量子ドットに基づくバーコードに照らして示されてきたが、該方法は、蛍光色素および他の種類の発光粒子にも同様に適用できる。
【0135】
これで、本発明の現時点で好適な実施形態の説明を終了する。上記の記述は説明を目的として示したものであり、本発明を開示した精密な形態を網羅、または制限することを意図したものではない。本発明の範囲は本明細書ではなく、特許請求の範囲により制限されることを意図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在を試験するために、バッファとともに使用するための試験システムであって、
(a)第1の組の試験分子であって、
i)1つ以上の生体認識分子(BRM)型のBRMであって、各々の前記BRM型は、標的型のそれぞれと抱合可能であるBRMと、
ii)前記BRMと、試験サンプル中に存在する場合、前記標的分子との複合体であって、各々が前記標的型のうちそれぞれ1つと結合しているBRM型のうちの異なる1つに対応する1つ以上の複合体型である前記複合体、
とからなる群から選択される第1の組の試験分子と、
(b)マイクロ流体チップであって、
i)マイクロ流体チップ内の1つ以上の細長いサンプルチャネルであって、前記試験分子の流路が通過することを可能にするようにサイズ決定された、前記細長いサンプルチャネルと、
ii)バッファの動作可能な流路が通過するための、マイクロ流体チップ内の1つ以上の流れ集束チャネルであって、前記1つ以上の流れ集束チャネルは、前記1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続し、前記流れ集束チャネルから出る前記バッファが前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じて、縦一列の流れの前記試験分子を動作可能に方向付ける、1つ以上の流れ集束チャネル
、とを画定するように成形されたチップ基板部を備える、マイクロ流体チップと、
(c)前記縦一列の流れにおける前記試験分子による吸収のために、前記サンプルチャネルのうちの前記少なくとも1つに沿った照射位置において、電磁波(EMF)放射線を動作可能に送達する照射装置であって、前記試験分子は、前記EMF放射線の吸収後に蛍光を放出し、前記試験分子の前記蛍光は、各々前記複合体型の1つに対する弁別的な蛍光スペクトルを含む、照射装置と、
(d)前記縦一列の流れを前記試験分子によって放出される前記蛍光に関して監視する検出装置であって、各々の前記複合体型の1つの前記弁別的な蛍光スペクトルに関して監視することによって、前記第1の組の試験分子の中の前記複合体の存在を同定する、検出装置、
とを備え、
それによって、前記試験サンプル中の前記標的分子の存在を同定する、前記試験システム。
【請求項2】
各々のBRMが、前記マイクロビーズに連結した1つ以上のBRMフルオロフォアにより標識されたマイクロビーズを含み、前記BRMフルオロフォアは、前記EMF放射線の吸収後に、前記弁別的な蛍光スペクトルの前記蛍光の少なくともBRM部分を放出する、請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
BRMフルオロフォアは、1つ以上の量子ドット型の1つ以上の量子ドットを含み、前記量子ドットはともに、前記EMF放射線の吸収後に、前記弁別的な蛍光スペクトルの前記蛍光の少なくとも前記BRM部分を放出する、請求項2に記載の試験システム。
【請求項4】
量子ドットが量子ドット型のうちの2つ以上である、請求項3に記載の試験システム。
【請求項5】
BRMフルオロフォアが1つ以上の蛍光色素型の1つ以上の蛍光色素を含み、前記蛍光色素はEMF放射線の吸収後に、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の少なくとも前記BRM部分を放出する、請求項2に記載の試験システム。
【請求項6】
複合体が約10マイクロメートル(μm)未満のサイズである、請求項1から5のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項7】
複合体が約5μm未満のサイズである、請求項6に記載の試験システム。
【請求項8】
複合体が約1μm未満のサイズである、請求項7に記載の試験システム。
【請求項9】
各々の複合体が標的分子のそれぞれ1つに結合した標的マーカーフルオロフォアをさらに含み、前記標的マーカーフルオロフォアがEMF放射線の吸収後に、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の標的部分を放出する、請求項1から8のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項10】
各々のBRMが、マイクロビーズに連結した1つ以上のBRMフルオロフォアにより標識されたマイクロビーズを含み、各々の複合体は標的分子のそれぞれに結合した標的マーカーフルオロフォアをさらに含み、各々の前記複合体に対して、EMF放射線の吸収後にBRMフルオロフォアが弁別的な蛍光スペクトルの蛍光のBRM部分を放出し、前記標的マーカーフルオロフォアは、弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の標的部分を放出し、これによって前記BRMフルオロフォアおよび前記標的マーカーフルオロフォアがともに、前記EMF放射線の吸収後に前記弁別的な蛍光スペクトルの蛍光を放出する、請求項1に記載の試験システム。
【請求項11】
検出装置が、前記縦一列の流れを前記試験分子によって放出される前記蛍光に関して監視する少なくとも2つのアバランシェ光検出器(APD)を備え、第1の前記APDの1つが各々の複合体に対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光のBRM部分の存在を受信および同定するように適合され、第2の前記APDの1つが各々の複合体に対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光の標的部分の存在を受信および同定するように適合される、請求項10に記載の試験システム。
【請求項12】
標的部分が各々の複合体に対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光のBRM部分よりも低い強度を有し、第2のAPDの1つが第1のAPDの1つを上回る感度を有する、請求項11に記載の試験システム。
【請求項13】
生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在に対して試験するためにバッファとともに使用する試験システムであって、(i)1つ以上の生体認識分子(BRM)型のBRMであって、各々のBRM型が前記標的型のうちのそれぞれ1つと抱合可能なBRMと、(ii)前記BRMと(前記試験サンプル中に存在する場合)標的分子との複合体であり、前記試験分子は電磁波(EMF)放射線を吸収後蛍光を放出するような試験分子であり、前記複合体は各々が異なる前記BRM型のうちの1つにその前記それぞれの標的型の1つと結合する1つ以上の複合体型である複合体、とからなる群より選択される分子の第1の組とともに使用され、
a)マイクロ流体チップであって、
i)試験分子が通過することを可能にするようにサイズ決定された1つ以上の細長いサンプルチャネルと、
ii)バッファの動作可能な流路が通過するための1つ以上の流れ集束チャネルであって、前記1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続し、前記流れ集束チャネルから出るバッファが前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じて縦一列の流れの前記試験分子を動作可能に方向付ける、1つ以上の流れ集束チャネルと、
を画定するように成形されたチップ基板部を備える、マイクロ流体チップと、
b)前記縦一列の流れにおける前記試験分子による吸収のために、前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つに沿った照射位置において前記EMF放射線を動作可能に送達する照射装置であって、前記試験分子の蛍光が各々前記複合体型の1つに対する弁別的な蛍光スペクトルを含む、照射装置と、
c)前記縦一列の流れを前記試験分子によって放出される前記蛍光に関して監視する検出装置であって、各々の前記複合体型の1つの前記弁別的な蛍光スペクトルについて監視することによって第1の組の試験分子内の複合体の存在を同定する検出装置、
とを備え、
それによって、試験サンプル中の前記標的分子の存在を同定する、前記試験システム。
【請求項14】
サンプルチャネルのうちの少なくとも1つがチップ基板部の1つ以上の細長いチャネル壁によって画定され、前記チャネル壁は2つの対向する側面チャネル部を備え、流れ集束チャネルから出る前記バッファが、少なくとも前記2つの対向する側面チャネル部から離間した関係にあるサンプル経路に沿って縦一列の流れの試験分子を動作可能に方向付ける、請求項1から10および13のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項15】
マイクロ流体チップが、チップ基板部を下に置くスライドガラスをさらに備え、前記スライドガラスがサンプルチャネルのうちの少なくとも1つの底部チャネル部を画定し、チャネル壁が頂部チャネル部をさらに備え、サンプル経路が、動作可能に、前記底部チャネル部および前記頂部チャネル部の両方から離間した関係におかれる、請求項14に記載の試験システム。
【請求項16】
サンプルチャネルのうちの少なくとも1つがサンプル集束チャネルを備え、前記サンプルチャネルは、サンプル集束チャネルと流体連通しているサンプル供給チャネルをさらに備え、前記サンプル集束チャネルは流れ集束チャネルの下流にあり、前記流れ集束チャネルから出るバッファおよび縦一列の流れの前記試験分子が、前記サンプル集束チャネルを通じて動作可能に流動する、請求項1から10および13から15のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項17】
サンプル集束チャネルを動作可能に流動するバッファのバッファ流速が前記縦一列の流れにおける前験分子の試験流速よりも高い、請求項16に記載の試験システム。
【請求項18】
流れ集束チャネルが少なくとも2つの流れ集束チャネルを備え、前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つの上流にある1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続し、前記2つの流れ集束チャネルは、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つの反対側から、前記1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する、請求項1から10および13から17のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項19】
2つの流れ集束チャネルが、共通交差部において前記1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する、請求項18に記載の試験システム。
【請求項20】
流れ集束チャネルから出るバッファが、共通交差部の約10マイクロメートル(μm)未満下流において、試験分子を縦一列の流れに動作可能に集束する、請求項19に記載の試験システム。
【請求項21】
各々の1つ以上の流れ集束チャネルが、約90度の接続角度で1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する、請求項1から10および13から20のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項22】
各々の1つ以上の流れ集束チャネルが、約45度の接続角度で1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する、請求項1から10および13から20のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項23】
チップ基板部がポリジメチルシロキサン(PDMS)から製造される、請求項1から10および13から22のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項24】
サンプルチャネルのうちの前記少なくとも1つを通じた前記試験分子の流路が動電学的流動によって促進される、請求項1から10および13から23のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項25】
流れ集束チャネルがサンプルチャネルと流体連通し、チップ基板部が流れ集束チャネルの各々1つずつのバッファ開始点に接続したバッファウェルと、前記流れ集束チャネルの上流にある前記サンプルチャネルのサンプル開始点に接続したサンプルウェルと、前記流れ集束チャネルの下流にある前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つの終点に接続した末端ウェルとを画定するようにさらに成形され、前記サンプルウェルに動作可能に配設されるサンプルウェル電極と、各前記バッファウェルに動作可能に配設されるバッファウェル電極と、前記末端ウェルに動作可能に配設される末端ウェル電極とをさらに備え、前記サンプルウェル電極は第1の極性の第1の電位を動作可能に供給され、前記末端ウェル電極は反対の第2の極性の第2の電位を動作可能に供給され、各前記バッファウェル電極は前記第1の極性の第3の電位を動作可能に供給される、請求項24に記載の試験システム。
【請求項26】
第3の電位が第1の電位よりも高い、請求項25に記載の試験システム。
【請求項27】
第1の電位に対する第3の電位の比率が約1.8:1(9:5)である、請求項26に記載の試験システム。
【請求項28】
縦一列の流れにおける試験分子の試験流速が毎分少なくとも約30個の試験分子である、請求項1から10、13から16、および18から27のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項29】
前記試験流速は、毎分少なくとも約60個の試験分子である、請求項28に記載の試験システム。
【請求項30】
試験流速が毎分約500個の試験分子である、請求項29に記載の試験システム。
【請求項31】
生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在に対して試験するための試験システムであって、
(i)1つ以上の生体認識分子(BRM)型のBRMであって、各々の前記BRM型はそれぞれ前記標的型のうちの1つと抱合可能であるBRMと、(ii)前記BRMと(試験サンプル中に存在する場合)標的分子との複合体であって、各々がそれぞれの前記標的型のうちの1つと結合している前記BRM型のうちの異なる1つに対応する1つ以上の複合体型である前記複合体、からなる群から選択される第1の組の試験分子
とともに使用され、
前記試験分子の流路が通過することを可能にするようにサイズ決定された1つ以上の細長いサンプルチャネルを画定するように成形されるチップ基板部を含み、縦一列の流れの前記試験分子が前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通過するマイクロ流体チップ、とともにさらに使用され、
a)前記縦一列の流れにおける前記試験分子による吸収のために、前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つに沿った照射位置において電磁波(EMF)放射線を動作可能に送達する照射装置であって、前記試験分子は前記EMF放射線の吸収後に蛍光を放出し、前記試験分子の前記蛍光は前記複合体型の各々に対する弁別的な蛍光スペクトルを含む、前記照射装置と、
b)前記縦一列の流れを前記試験分子によって放出される前記蛍光に関して監視する検出装置であって、前記複合体型の各々に対する前記弁別的な蛍光スペクトルについて監視することによって、試験分子の前記第1の組の中の前記複合体の存在を同定する、検出装置と、
を備え、
それによって、試験サンプル中の前記標的分子の存在を同定する、前記試験システム。
【請求項32】
照射装置が、前記縦一列の流れにおける前記試験分子による吸収のために、EMF放射線を動作可能に放出するLEDを備える、請求項1から10および13から31のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項33】
照射装置が、縦一列の流れにおける前記試験分子による吸収のために、EMF放射線を動作可能に放出するレーザーを備える、請求項1から10および13から31のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項34】
レーザーが約2メガワット(MW)から約50メガワット(MW)の間の動作電力を有する、請求項33に記載の試験システム。
【請求項35】
レーザーの前記動作電力が約20メガワット(MW)から約25メガワット(MW)の間である、請求項34に記載の試験システム。
【請求項36】
照射装置によって動作可能に送達される前記EMF放射線が、約488nmのEMF波長を有する、請求項1から10および13から35のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項37】
検出装置が、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する少なくとも3つのアバランシェ光検出器(APD)を備え、各々の前記APDが記試験分子によって放出される前記蛍光における異なる波長範囲の存在を受信および同定するように適合される、請求項1から10および13から36のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項38】
第1の前記APDの1つが緑色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合され、第2の前記APDの1つが黄色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合され、第3の前記APDの1つが赤色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される、請求項37に記載の試験システム。
【請求項39】
少なくとも3つのAPDが少なくとも4つのAPDを備え、第1のAPDの1つが緑色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合され、第2のAPDの1つが黄色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合され、第3の前記APDの1つがオレンジ色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合され、第4の前記APDの1つが赤色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される、請求項37に記載の試験システム。
【請求項40】
少なくとも3つのAPDが少なくとも4つのAPDを備え、第1のAPDの1つが青色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合され、第2のAPDの1つが緑色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合され、第3の前記APDの1つが黄色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合され、第4の前記APDの1つが赤色の波長範囲の存在を受信および同定するように適合される、請求項37に記載の試験システム。
【請求項41】
検出装置が、試験分子によって放出される蛍光に対して縦一列の流れを監視する電荷結合素子を備える、請求項1から10および13から36のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項42】
検出装置が、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する少なくとも2つのアバランシェ光検出器(APD)を備え、各々の前記APDは、前記試験分子によって放出される前記蛍光において異なる波長範囲の存在を受信および同定するように適合され、検出装置が、前記縦一列の流れを前記試験分子によって放出される前記蛍光に関して監視する電荷結合素子をさらに備え、検出装置が、前記APDまたは前記電荷結合素子のいずれかを使用した前記縦一列の流れの監視を切り替えるための切り替え手段をさらに備える、請求項1から10および13から36のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項43】
検出装置が、縦一列の流れを試験分子によって放出される蛍光に関して監視する少なくとも1つのトリップセンサを備え、各前記トリップセンサは前記蛍光の強度に対応するデジタル信号を生成する、請求項1から10および13から36のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項44】
各トリップセンサが、蛍光の強度が最小強度を超えた場合のみデジタル信号を生成し、各トリップセンサが異なる所定の最小強度を有する、請求項43に記載の試験システム。
【請求項45】
光ファイバーケーブルをさらに備え、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つに沿って、照射位置の実質的に近傍から検出装置に蛍光を送達する、請求項1から44のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項46】
照射装置および検出装置を包納する筐体をさらに備え、前記筐体は、可搬用および臨床現場診断用途のためにサイズ決定および適合される、請求項1から45のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項47】
筐体が携帯型用途のためにサイズ決定および適合される、請求項46に記載の試験システム。
【請求項48】
生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在に対して試験するためのバッファとともに使用するための試験システムであって、
(i)1つ以上の生体認識分子(BRM)型のBRMであって、各々の前記BRM型はそれぞれ1つの前記標的型と抱合可能であるBRMと、(ii)前記BRMおよび(試験サンプル中に存在する場合)標的分子の複合体であって、前記複合体は各々が前記標的型のうちのそれぞれ1つと結合している前記BRM型のうちの異なる1つに対応する1つ以上の複合体型である前記複合体、
とからなる群から選択される第1の組の検出分子とともに使用される試験システムであって、
試験分子による吸収のために電磁波(EMF)放射線を送達することができる照射および検出装置、前記EMF放射線の吸収後に蛍光を放出するようになっている前記試験分子、各々前記複合体型の1つに対する弁別的な蛍光スペクトルを含む前記試験分子の前記蛍光、および各々の前記複合体型に対する弁別的な蛍光スペクトルの存在によって前記複合体を監視および同定することがさらにできる前記照射および検出装置とともにさらに使用される試験システムであって、
i)前記試験分子の流路が通過することを可能にするようにサイズ決定された1つ以上の細長いサンプルチャネルと、
ii)前記バッファの動作可能に通過するための1つ以上の流れ集束チャネルであって、前記1つ以上の流れ集束チャネルは前記1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続し、前記流れ集束チャネルから出る前記バッファが前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じて、縦一列の流れの前記試験分子を動作可能に方向付ける、前記1つ以上の流れ集束チャネルと、
を画定するように成形されたチップ基板部を備える、マイクロ流体チップを備え、
前記マイクロ流体チップは、前記縦一列の流れにおける前記試験分子による吸収のために、前記サンプルチャネルのうちの前記少なくとも1つに沿った照射位置において、前記照射および検出装置から前記EMF放射線を動作可能に受信するように適合され、
前記マイクロ流体チップは、前記照射および検出装置が、前記縦一列の流れを前記試験分子によって放出される前記蛍光に関して監視することを可能にするように適合され、
それによって、前記複合体が前記複合体型のそれぞれに対する前記弁別的な蛍光スペクトルの存在によって動作可能に同定可能であり、試験サンプル中の前記標的分子の存在が動作可能に同定可能である、
前記試験システム。
【請求項49】
サンプルチャネルの少なくとも1つがチップ基板部の1つ以上の細長いチャネル壁によって画定され、前記チャネル壁が2つの対向する側面チャネル部を備え、流れ集束チャネルから出るバッファが少なくとも前記2つの対向する側面チャネル部から離間した関係にあるサンプル経路に沿って縦一列の流れの試験分子を動作可能に方向付ける、請求項48に記載の試験システム。
【請求項50】
マイクロ流体チップがチップ基板部の下に置くスライドガラスをさらに備え、前記スライドガラスは、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つの底部チャネル部を画定し、チャネル壁が頂部チャネル部をさらに備え、サンプル経路が動作可能に前記底部チャネル部および前記頂部チャネル部の両方から離間した関係にされる、請求項49に記載の試験システム。
【請求項51】
サンプルチャネルのうちの少なくとも1つがサンプル集束チャネルを備え、前記サンプルチャネルは前記サンプル集束チャネルと流体連通しているサンプル供給チャネルをさらに備え、前記サンプル集束チャネルは前記流れ集束チャネルの下流にあり、前記流れ集束チャネルから出るバッファおよび縦一列の流れの試験分子がサンプル集束チャネルを通じて動作可能に流動する、請求項48から50のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項52】
流れ集束チャネルが少なくとも2つの流れ集束チャネルを備え、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つの上流にある1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続し、前記2つの流れ集束チャネルが、前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つの反対側から前記1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する、請求項48から51のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項53】
2つの流れ集束チャネルが共通交差部において1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する、請求項52に記載の試験システム。
【請求項54】
流れ集束チャネルから出る前記バッファが、共通交差部の下流約10マイクロメートル(μm)未満において試験分子を縦一列の流れに動作可能に集束する、請求項53に記載の試験システム。
【請求項55】
1つ以上の流れ集束チャネルの各々が約90度の接続角度で前記1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する、請求項48から54のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項56】
1つ以上の流れ集束チャネルの各々が約45度の接続角度で前記1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する、請求項48から54のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項57】
チップ基板部がポリジメチルシロキサン(PDMS)から製造される、請求項48から56のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項58】
サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じた前記試験分子の流路が動電学的流動によって促進される、請求項48から57のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項59】
流れ集束チャネルがサンプルチャネルと流体連通し、チップ基板部が前記流れ集束チャネルのそれぞれのバッファ開始点に接続したバッファウェルと、前記流れ集束チャネルの上流にある前記サンプルチャネルのサンプル開始点に接続したサンプルウェルと、前記流れ集束チャネルの下流にある前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つの終点に接続した末端ウェルとを画定するようにさらに成形され、試験システムが、前記サンプルウェルに動作可能に配設されるサンプルウェル電極と、各前記バッファウェルに動作可能に配設されるバッファウェル電極と、前記末端ウェルに動作可能に配設される末端ウェル電極とをさらに備え、前記サンプルウェル電極は第1の極性の第1の電位を動作可能に供給され、前記末端ウェル電極は反対の第2の極性の第2の電位を動作可能に供給され、各前記バッファウェル電極は前記第1の極性の第3の電位を動作可能に供給される、請求項58に記載の試験システム。
【請求項60】
第3の電位が前記第1の電位よりも高い、請求項59に記載の試験システム。
【請求項61】
第1の電位に対する前記第3の電位の比率が約1.8:1(9:5)である、請求項60に記載の試験システム。
【請求項62】
縦一列の流れにおける試験分子の試験流速が毎分少なくとも約30個の試験分子である、請求項61に記載の試験システム。
【請求項63】
試験流速が毎分少なくとも約60個の試験分子である、請求項62に記載の試験システム。
【請求項64】
試験流速が毎分約500試験分子の複合体である、請求項63に記載の試験システム。
【請求項65】
サンプル集束チャネルを動作可能に通って流れるバッファのバッファ流速が縦一列の流れにおける試験分子の試験流速よりも高い、請求項1から61のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項66】
血液、尿、唾液、および血清から成る群から選択される1つ以上の生物学的試験サンプルでの使用に特に適合される、請求項1から65のいずれか1項に記載の試験システム。
【請求項67】
細菌性疾病状態、ウイルス性疾病状態、真菌性疾病状態、およびベクター誘導性疾病状態から成る群から選択される疾病状態の診断のための、請求項1から66のいずれか1項に記載の試験システムの使用。
【請求項68】
1つ以上の感染性疾病の診断のための、請求項1から66のいずれか1項に記載の試験システムの使用。
【請求項69】
HIV、HBV、およびHCVから成る群から選択される症状の診断のための、請求項1から66のいずれか1項に記載の試験システムの使用。
【請求項70】
HIV、HBV、およびHCVから成る群から選択される症状のうちの2つ以上の同時診断のための、請求項1から66のいずれか1項に記載の試験システムの使用。
【請求項71】
生物学的試験サンプル中の1つ以上の標的型の標的分子の存在に対する試験を容易にするために分子を集束する方法であって、
マイクロ流体チップのチップ基板部に形成される1つ以上の細長いサンプルチャネルを通じて試験分子を通過させる、サンプル流動ステップであって、
前記マイクロ流体チップの前記チップ基板部に形成される1つ以上の流れ集束チャネルを通じてバッファを通過させる、バッファ流動ステップであって、前記流れ集束チャネルは、前記1つ以上の細長いサンプルチャネルに接続する、バッファ流動ステップと、
前記バッファ流動ステップ後に、前記流れ集束チャネルから前記1つ以上の細長いサンプルチャネルへ前記バッファを通過させることによって、前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じて、縦一列の流れの前記試験分子を方向付ける、サンプル集束ステップと、
を含む、前記方法。
【請求項72】
サンプル流動ステップの前に、
1つ以上の生体認識分子(BRM)型のBRMを試験サンプル中に導入することによって、各々の前記BRM型をそれぞれ標的型の1つと抱合可能にして、前記試験分子が前記BRMと(前記試験サンプル中に存在する場合)標的分子との複合体を含むように、試験分子を形成する、試験分子形成ステップ、
をさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記試験分子形成ステップにおいて、複合体が約10マイクロメートル(μm)未満のサイズである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
試験分子形成ステップにおいて、複合体が約5マイクロメートル(μm)未満のサイズである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
試験分子形成ステップにおいて、複合体が約1マイクロメートル(μm)未満のサイズである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
試験分子形成ステップにおいて、前記試験分子がBRMの複合体、標的マーカーフルオロフォア、および、試験分子内に存在する場合、標的分子を含むように、前記標的の型のうちの1つ以上と抱合可能な標的マーカーフルオロフォアが導入される、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
サンプル集束ステップにおいて、縦一列の流れの前記試験分子がサンプルチャネルのうちの少なくとも1つの少なくとも2つの対向する側面チャネル部から離間した関係でサンプル経路に沿って方向付けられる、請求項71から76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
サンプル集束ステップにおいて、縦一列の流れの前記試験分子がサンプルチャネルのうちの少なくとも1つの少なくとも頂部および底部チャネル部から離間した関係にあるサンプル経路に沿って方向付けられる、請求項71から76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
サンプル集束ステップにおいて、バッファが縦一列の流れの試験分子の試験流速よりも高いバッファ流速でサンプルチャネルのうちの少なくとも1つに流入する、請求項71から78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
サンプル集束ステップにおいて、流れ集束チャネルのうちの少なくとも2つが、サンプルチャネルのうちの少なくとも1つの上流において、その反対側から前記サンプルチャネルに接続する、請求項71から79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
サンプル集束ステップにおいて、2つの流れ集束チャネルが共通交差部においてサンプルチャネルに接続する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
サンプル集束ステップにおいて、前記それぞれ1つ以上の流れ集束チャネルが約90度の接続角度で前記サンプルチャネルに接続する、請求項71から79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
サンプル集束ステップにおいて、前記それぞれ1つ以上の流れ集束チャネルが約45度の接続角度で前記サンプルチャネルに接続する、請求項71から79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
サンプル集束ステップにおいて、前記サンプルチャネルのうちの少なくとも1つを通じた前記縦一列の流れの試験分子の流路が動電学的流動によって促進される、請求項71から79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
サンプル集束ステップの前に、(i)前記流れ集束チャネルの上流において前記サンプルチャネルに第1の極性の第1の電位と、(ii)前記流れ集束チャネルの下流において前記サンプルチャネルのうちの前記少なくとも1つに反対の第2の極性の第2の電位と、(iii)前記流れ集束チャネルのそれぞれに前記第1の極性の第3の電位とを供給する、動電学的ステップをさらに含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
動電学的ステップにおいて、前記第3の電位が前記第1の電位よりも高い、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
動電学的ステップにおいて、前記第1の電位に対する前記第3の電位の比率が約1.8:1(9:5)である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
試験分子形成ステップにおいて、複合体はそれぞれの標的型と抱合する各々が異なるBRM型の1つに対応する1つ以上の複合体型であり、
サンプル集束ステップ後に、縦一列の流れにおける試験分子に電磁波(EMF)放射線を送達する、照射ステップと、
前記照射ステップ後に、前記縦一列の流れを前記試験分子によって放出される蛍光に関して監視する、蛍光検出ステップであって、前記複合体のそれぞれが前記EMF放射線の吸収後に前記複合体型のそれぞれに対する弁別的な蛍光スペクトルの蛍光を放出する、蛍光検出ステップと、
前記試験サンプル中の前記標的分子の存在を同定するように、前記照射ステップ後に、前記複合体型のそれぞれの前記弁別的な蛍光スペクトルについて監視する、複合体同定ステップと、
をさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項89】
試験分子形成ステップにおいて、標的マーカーフルオロフォアは、前記標的分子のそれぞれと結合し、蛍光検出ステップにおいて、前記標的マーカーフルオロフォアが複合体型のそれぞれに対する弁別的な蛍光スペクトルの標的部分を放出し、前記方法は試験分子形成ステップの前にBRM形成ステップをさらに含み、蛍光検出ステップにおけるように、マイクロビーズに連結した1つ以上のBRMフルオロフォアにより前記マイクロビーズに標識し、前記BRMフルオロフォアが前記複合体型のそれぞれに対する異なる蛍光スペクトルのBRM部分を放出する、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
蛍光検出ステップにおいて、記複合体によって放出される蛍光が少なくとも2つのアバランシェ光検出器(APD)によって受信され、第1の前記APDの1つが各々の前記複合体に対する前記異なる蛍光スペクトルの前記蛍光の前記BRM部分の存在を受信および同定し、第2の前記APDの1つが各々の前記複合体に対する前記弁別的な蛍光スペクトルの前記蛍光の前記標的部分の存在を受信および同定する、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
照射ステップにおいて、約2メガワット(MW)から約50メガワット(MW)の間の動作電力を有するレーザーが、縦一列の流れにおける試験分子にEMF放射線を送達する、請求項88から90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
照射ステップにおいて、動作電力が約20メガワット(MW)から約25メガワット(MW)の間である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
照射ステップにおいて、EMF放射線が約488nmのEMF波長を有する、請求項88から92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
蛍光検出ステップにおいて、複合体によって放出される蛍光が電荷結合素子によって受信される、請求項88から93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
蛍光検出ステップにおいて、複合体によって放出される蛍光が電荷結合素子および1つ以上のアバランシェ光検出器(APD)のうちの少なくとも1つによって選択的に受信される、請求項88に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2010−513876(P2010−513876A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541715(P2009−541715)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/CA2007/002317
【国際公開番号】WO2008/074146
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(509172538)フィオ コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】