説明

生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末とその製造方法

本発明は、疎水相および任意選択の親水相と、少なくとも1種の界面活性剤と、前記相の少なくとも一方に溶解した少なくとも1種の活性成分とを含み、前記活性成分が、前記相の少なくとも一方に懸濁液としても存在している液媒体を含浸させた、粒子形状の固体不活性支持体を含む、少なくとも1種の活性成分の生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末に関する。
そのような含浸粉末は、医薬品、準医薬品、および化粧品の分野、食品補助剤の分野、および食品加工業での様々な製剤の基材として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種または複数の活性成分の生物学的利用能および/または可溶化を増大させるための含浸粉末を生成する方法に関し、あるいはその含浸粉末の投与形態をより容易にし、製造を安価にし、かつ実施を容易にするための含浸粉末を生成する方法に関する。活性成分は、医薬品、準医薬品(parapharmaceutical)、および化粧品の分野、パーソナルケア、食品補助剤、または食品加工業の分野に属して得るもので、脂溶性および/または水溶性である。そのような粉末には、1種または複数の活性成分をベースにした液体を含浸させる。そのような液体は、任意選択で、溶液および分散系の形を有してもよい。
【背景技術】
【0002】
生物学的利用能は、投与されて体循環に至る活性成分の量に対応する。活性成分の効率は、その生物学的利用能に依存する。
【0003】
多くの活性成分は、経口投与を経ると、生物学的利用能が低くなる。
【0004】
活性成分は、大静脈に到達する前に、胃腸管内を運搬され、腸壁および肝臓を通過する。肝臓レベルでは、活性成分が不活性な形に代謝される可能性があり、体循環に至る前に、肝臓での初回通過効果を受ける。そのような肝臓での初回通過効果は、ほとんどの活性成分の経口生物学的利用能が低くなる原因となっている。
【0005】
生物学的利用能が低い別の原因は、活性成分の溶解度が低いことであり、特にその水溶性は、ほとんどない。したがって吸収様式が非常に長く、または不完全であり、治療応答がランダムになる。
【0006】
胃腸管内での滞留時間が短くても、生物学的利用能は低くなる可能性がある。活性成分が素早く溶解せず、または上皮膜に浸透しない場合(これは、大量にイオン化し、または極性活性である場合)、吸収時間が不十分になる可能性がある。そのような場合、生物学的利用能は変わり易く、非常に低い。生物学的利用能が低い別の原因は、吸収現象、すなわち錯体の形成、胃酸または消化酵素による加水分解、腸壁での結合、その他の活性成分の吸収、管腔微生物叢を介する代謝の競合反応にある。
【0007】
生物学的利用能に関する他の情報については、Merck Manual of diagnostic and therapy、section 22、Clinical pharmacology;chapter 298を参照されたい。
【0008】
活性成分の物理化学的性質は、その吸収能力を支配するが、広く実施されている生薬(galenic)形態の特性が、活性成分の生物学的利用能および/または溶解度を決定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の目的は、前に定義したような生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末であり、より詳細には、脂肪体を固体支持体に吸着させる従来技術において一般に使用される凍結乾燥および噴霧法とは異なって、脂溶性および/または水溶性の分子(一般に生物学的利用能が低い)の投与を促進させるために、活性成分の吸収、溶解度、および/または保護を増大させることが可能であり、生成を容易にかつ安価にすることが可能な含浸粉末である。
【0010】
本発明の目的は、疎水相および親水相と、少なくとも1種の界面活性剤と、少なくとも1種の活性成分とを含み、前記活性成分が、前記親水相または疎水相の一方に溶解しかつ前記相の他方に懸濁した懸濁液形態をとるものである液媒体を含浸させた、粒子形態の固体不活性支持体を含む、少なくとも1種の活性成分の生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための粉末である。
【0011】
本発明の別の目的は、生物学的利用能および/または溶解度を増大させることが可能であり、より詳細には、脂溶性および/または水溶性の分子(一般に生物学的利用能が低い)の投与をより容易にするために、活性成分の吸収、溶解度、および/または保護を増大させることが可能であり、また活性成分の完全性を維持することが可能である含浸粉末を製造するための方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、様々な製剤の配合を目的として、前に定義したような生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の使用であり、より詳細には、脂溶性および/または水溶性の分子(一般に、生物学的利用能が低い)の投与をより容易にするために、活性成分の吸収、溶解度、および/または保護を増大させることが可能な含浸粉末の使用である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的は、疎水相および任意選択の親水相と、少なくとも1種の界面活性剤と、前記相の少なくとも一方の相に溶解させた少なくとも1種の活性成分とを含み、前記活性成分が、懸濁液形態で前記相の少なくとも一方にも存在しているものである液媒体を含浸させた粒子形態をとる固体不活性支持体を含む、少なくとも1種の活性成分の生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末による本発明によって達成される。
【0014】
本明細書で「懸濁液」は、固体粒子を液媒体に分散させた分散体を意味する。
【0015】
疎水相または親水相の一方は、他方の相に分散された形をとることが好ましい。
【0016】
液媒体は、さらに任意選択で、1種または複数の補助界面活性剤、あるいは、浸透用ビルダー(penetration
builder)や粘膜付着剤、保存剤、染料、香味料、またはこれらの混合物など、調製に必要な任意のその他のビルダーを含んでよい。
【0017】
活性成分を溶解する相は、飽和溶液であることが好ましい。
【0018】
含浸粉末は、以下のステップ、すなわち
疎水相および任意選択の親水相と、少なくとも1種の界面活性剤と、前記相の少なくとも一方に溶解しかつ前記相の少なくとも一方に懸濁液形態で存在する少なくとも1種の活性成分とを含む、液媒体を得るステップと、
適切な量の液媒体と、液媒体を吸収し易い粒子形態をとる適切な量の不活性固体支持体とを混合するステップと、
含浸粉末を回収するステップと
を含む方法により得ることができる。
【0019】
溶解した活性成分、および懸濁液形態をとる活性成分は、異なる層に含まれることが好ましい。
【0020】
第1の実施形態で、液媒体は、ある量の活性成分を前記相の一方に可溶化し、溶解した活性成分を含有する相を前記相の他方と混合し、活性成分の懸濁液が形成されるように追加量の活性成分を2相ブレンドに添加することによって得られる。
【0021】
別の実施形態で、液媒体は、両方の相を混合し、前記相の少なくとも一方への活性成分の溶解と、その他の相の少なくとも一方への活性成分の懸濁とをもたらすのに十分な量の活性成分を添加することによって得られる。
【0022】
活性成分は、疎水相または親水相あるいはその両方に、可溶化しまたは分散させることができる。
【0023】
これらすべての成分の組合せによって、活性成分の生物学的利用能および/または溶解度を増大させることが可能になる。
【0024】
生物学的利用能および/または溶解度を増大させる含浸粉末の製造方法には、実施が容易でありかつ安価であるという利点がある。当業者に知られる液体および粉末の攪拌方法のすべてが、使用可能である。
【0025】
本発明による含浸粉末の重要な特徴は、そこに含有される活性成分の、生物学的利用能および/または溶解度の増大である。
【0026】
本発明による、生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末は、そのまま使用することができ、または様々な製剤に含めることができる。
【0027】
したがって、本発明による生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の別の特徴は、様々な生薬形態の製造が可能になることであり、より詳細には、局所作用または全身作用を目的として、経口経路または経年膜経路(口、鼻、膣)、あるいは経皮膚経路で送達可能であることである。生薬形態は、一般に乾燥形態であり、例えば剥き出しのまたはブリスター包装された錠剤、糖衣錠、コーティング錠(可溶性コーティング、pH依存性または非依存性のコーティングで胃や腸管などで放出するもの)、基質錠、浸透錠、多層錠、発泡錠、二重コア錠(dual core tablet)、フローティング錠、胃に滞留および/またはフローティングする形態、粘膜付着形態、カプセル、粉末、多粒子形態であり、例えば顆粒、コーティングされた、またはコーティングされていない微粒剤(糖衣、可溶性のpH依存性コーティングを持つもの)、粘膜付着形態、噴霧化された固形分などである。そのような含浸粉末は、体表面などに付着されるよう、布製支持体(ワイパー)表面に塗布してもよい。
【0028】
得られる生薬形態は、任意の包装形態を有してよい。
【0029】
本発明による、生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末には、活性物質の含量が高くなるという利点もある。したがって液媒体は、活性物質を飽和させた、または飽和させない状態で、また活性物質と共に分散させた状態で、得ることができる。このように得られた液媒体は、不活性支持体表面に含浸させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の疎水相は、油相を形成するために従来から使用されている、任意の非毒性化合物から作製してもよい。
【0031】
詳細には、疎水相は、植物油、動物油、鉱油、あるいは合成油または半合成油、モノ、ジ、またはトリグリセリド、脂肪アルコール、およびこれらの任意の誘導体、ポリオールエステル、液体パラフィン、スクアランやスクアレンなどの長鎖炭化水素、トコフェロール、およびこれらの誘導体、脂肪族脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーン油、リン脂質化合物、これらの誘導体、およびこれらの混合物から選択することができる。
【0032】
油相を構成する油は、極性油、または無極性油でよい。
【0033】
植物油には、ヒマワリ油、オリーブ油、大豆油、トウモロコシ油、ゴマ油、スイートアーモンド油、ピーナツ油、菜種精製油、ならびにアボガド油、小麦胚芽油、ヒマシ油、ココナツ油などを含めることができる。
【0034】
動物油には、タラ肝油、サメ肝油、およびラノリン油を含めることができる。
【0035】
鉱油には、パラフィン油を含めることができる。
【0036】
脂肪アルコールには、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、2−オクチル−ドデカノール、オレイルアルコール、メリスチルアルコール、およびステアリルアルコールを含めることができる。
【0037】
脂肪族脂肪酸には、イソステアリン酸、ラウリン酸、リノール酸、オレイン酸を含めることができる。
【0038】
脂肪エステルには、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソプロピル、ダイマー酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソステアリル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、およびコハク酸ジオクチル、イソノナン酸2−エチルヘキシルやミリスチン酸2−エチルヘキシル、オキシステアリン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ペラルゴン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、イソデカン酸イソセチル、パルミチン酸イソセチル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸イソプロピル、リノール酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、乳酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、イソノナン酸イソプリデシル、およびリノール酸トコフェリルなどの分子鎖脂肪エステル、クエン酸トリイソセチルやトリリノール酸トリイソプロピル、トリリノール酸トリイソステアリル、クエン酸トリラウリル、およびクエン酸トリオクチルなどの3塩基酸、乳酸ラウリルやミリスチン酸ラウリル、パルミチン酸ラウリル、ステアリン酸ラウリル、乳酸メリスチル、メリスチン酸ミリスチル、ネオペンタン酸ミリスチル、プロピオン酸ミリスチル、プロピオン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、エルカ酸オレイル、リノール酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、乳酸ステアリル、およびオレイン酸ステアリルなどの直鎖脂肪エステルを含めることができる。
【0039】
トリグリセリドには、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリイソノナノイン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレイン、およびトリオレインを含めることができる。
【0040】
シリコーン油には、ポリジメチルシロキサン油を含めることができ、より詳細には、例えばシクロメチコンなどの、ケイ素原子を3〜6個有する環状ポリジメチルシロキサン油、ならびに線状ポリジメチルシロキサンなどの、揮発性または不揮発性のポリオルガノシロキサン油が含まれる。
【0041】
一般に、疎水相は、活性成分を含有する液媒体の総重量に対して0.1重量%〜99.9重量%、好ましくは5重量%〜60重量%である。
【0042】
生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の親水相は、当業者により従来から使用されている、任意の水性の無毒相でよい。
【0043】
したがって親水相は、水(蒸留水または脱イオン水)、含水アルコール混合物、特にエタノールなどの水/アルカノール混合物、緩衝水溶液、生理食塩水溶液、グルコース水溶液、および水−ポリエチレングリコール、水−プロピレングリコール、水−グリコール混合物にあるものでよい。
【0044】
一般に、水相は、活性成分を含有する液媒体の総重量に対して0.1重量%〜99.9重量%、好ましくは5重量%〜60重量%である。
【0045】
前述のように、活性成分を含む液媒体は、少なくとも1種の無毒性界面活性剤を含む。界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、または両親媒性でよい。そのような液媒体は、必要とされる機能に応じ、任意選択で中性でもよくまたは負に帯電してもよい。
【0046】
(i)非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤も、それ自体が周知の化合物であり(より詳細に関しては、「Handbook of Surfactants」、M.R.PORTER、Blackie & Son編(GlasgowおよびLondon)、1991、第116〜178頁参照)、その性質は、本発明の範囲においていかなる重要な特徴も示していない。したがってこの界面活性剤は、より具体的に、アルコール、αジオール、アルキルフェノール、あるいはポリエトキシル化、ポリプロポキシル化、またはポリグリセロール化脂肪酸であって、1つの脂肪鎖が例えば炭素原子を8〜18個含み、プロピレンオキシド基またはエチレンオキシド基の数がおそらくは2個から50個に及び、グリセロール基の数がおそらくは2個から30個に及ぶものの中から(非限定的なリスト)選択することができる。エチレンおよびプロピレンオキシドコポリマー、脂肪アルコール上のエチレンおよびプロピレンオキシド縮合物;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリオキシル化脂肪アミド、平均して1〜5個のグリセロール基を含み、より詳細には1.5〜4個のグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2〜30モルのエチレンオキシドを有するオキシエチレン化ソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N−アルキルグルカミン誘導体、(C10〜C14)アルキルアミンのオキシドなどのアミンオキシド、またはN−アシルアミノプロピルモルホリンオキシドを挙げることもできる。
【0047】
非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ショ糖グリセリド、ラウリルエーテルおよび誘導体、ポリソルベート、ソルビタンエステル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ビス−2−エチルヘキシルナトリウムおよび誘導体、すべてのソルビタン誘導体、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテルを含む。
【0048】
(ii)陰イオン界面活性剤
この活性剤の性質は、本発明の範囲において非常に重要な特徴をまったく示していない。
【0049】
したがって本発明の範囲では、単独でまたは混合した状態で使用可能な陰イオン界面活性剤の例として、とりわけ(非限定的リストとして)塩を、より詳細にはアルカリ塩を挙げることができ、以下の化合物、すなわちアルキルスルフェート、アルキル−エーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、硫酸モノグリセリド;アルキルスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルアミド−スルホネート、アルキルアリールスルホネート、α−オレフィン−スルホネート、パラフィン−スルホネート;アルキル−スルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート;アルキルスルホスクシナメート;アルキルスルホアセテート;アルキルエーテルホスフェート;アシル−サルコシネート;アシルイセオチオネート、およびN−アチルタウレートであって、これら様々な化合物すべてのアルキルまたはアシル部分が、好ましくは炭素原子を12〜20個含み、アリール部分が好ましくはフェニルまたはベンジル基を表す化合物の、ナトリム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩、またはアルカリ土類(マグネシウム)塩を含めたものを挙げることができる。さらに使用可能な陰イオン界面活性剤には、オレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ココヤシ油酸、または硬化ココヤシ油酸の塩などの脂肪酸塩;アシル−ラクチレートであって、アシル部分が8〜20個の炭素原子を有するものを含めてもよい。ウロン酸ガラクトシドDアルキル酸やその塩、ならびにポリオキシアルキル化カルボン酸エーテル(C〜C24)アルキル酸、ポリオキシアルキル化カルボン酸エーテルアリール(C〜C24)アルキル酸、ポリオキシアルキル化カルボン酸エーテルアミド(C〜C24)アルキル酸、およびこれらの塩などであって、特に2〜50個のエチレンオキシド基を含むものと、これらの混合物などの、低陰イオン界面活性剤を使用することもできる。
【0050】
陰イオン界面活性剤には、石油スルホネート、スルホン化グリセリド、αスルホネート、および石けんも含まれる。
【0051】
陰イオン界面活性剤の中で、アルキル硫酸塩(例えばアルキル硫酸ナトリウム)およびアルキルエーテル硫酸塩、およびこれらの混合物を、本発明により使用することが好ましい。
【0052】
(iii)両性界面活性剤
両性界面活性剤は、その性質が、本発明の範囲において重要な特徴をまったく示しているものではないが、より詳細には(非限定的リストとして)、脂肪族第2級または第3級アミン誘導体でよく、この脂肪族部分は、8〜22個の炭素原子を含み、かつ少なくとも1個の水溶性陰イオン基(例えばカルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、またはホスホン酸基)を含有する、直鎖状または分枝鎖状であり、(C〜C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C〜C)アルキルアミドアルキル(C〜C20)ベタイン、または(C〜C)アルキルアミドアルキル(C〜C20)スルホベタインを挙げることもできる。
【0053】
両性界面活性剤は、グラフトを持つ、合成、半合成、天然改質(natural
modified)、天然のリン脂質(リシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、フィトグリコリピド、リソホスファチド、スフィンゴミエリン)、アルキルアミノカルボン酸を含む。
【0054】
(iv)陽イオン界面活性剤
陽イオン界面活性剤は、その性質が、本発明の範囲において重要な特徴をまったく示していないが、より詳細には(非限定的リストとして)、アルキル化第4級アンモニウム、アルキルアミン塩、およびアミンオキシドでよい。
【0055】
陽イオン界面活性剤には、セトリミド、第1級アミン、脂肪アミン酢酸および塩酸、第4級アンモニウム塩、置換ジアミンアミドおよび誘導体、ジエチレントリアミンアミドが含まれる。
【0056】
一般に、含まれる界面活性剤の量は、液媒体の総重量に対して少なくとも1重量%であり、一般に2重量%〜70重量%であり、好ましくは10重量%〜60重量%である。
【0057】
液媒体は、少なくとも1種の補助界面活性剤も含有することが好ましい。補助界面活性剤は、その分子が一般に界面活性剤よりも著しく小さい化合物であり、その役割は、液媒体の形成が積極的に促進されるよう、液滴界面の分子の重なりに作用するものである。
【0058】
好ましい補助界面活性剤には、アルカノールを含めることができ(非限定的リストとして)、より詳細には、C〜Cアルカノール、グリコールエーテル、グリコールおよびその誘導体、プロピレングリコールおよびその誘導体、プロピレングリコールのラウリン酸エステル、ポリグリセロールおよびその誘導体、ポリグリセロールおよびエチルジグリコールのオレイン酸エステルが含まれる。
【0059】
補助界面活性剤には、ポリオキシル化ヒマシ油、硬化ポリオキシル化ヒマシ油、ポリグリセリルおよび誘導体、有機酸(オレイン酸、ナフタレン酸、樹脂酸、二酸アルコール(酒石酸...)、三酸アルコール(クエン酸)、二酸(マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸)、親水性および/または親油性アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール...)、親水性および/または疎水性グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ブチレングリコール、2−3ブタンジオール、イソブテングリコール、2−4ブタンジオール、ヘキシレングリコール...)、脂肪酸およびその誘導体(ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸)、ポリオール(グリセロール、トリメチロールプロパン、2−3−4−ペンタントリオール)、アミンおよびポリアミンおよびその誘導体(ジメチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン...)、アミノ−アルコール(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミンエタノール...)が含まれる。
【0060】
補助界面活性剤は、使用する場合、一般に、少なくとも1種の活性成分を含有する液媒体の総重量に対して0.01重量%〜60重量%である。
【0061】
液媒体に含まれる活性物質は、医薬品、準医薬品、および化粧品の分野、食品補助剤の分野、または食品加工業で、特に、化粧品および/または治療の分野、好ましくは治療の分野において、活性を有する任意の活性成分でよい。そのような活性成分は、液媒体成分の1種またはその他に対して可溶性でありかつ/または分散性があるものでよい。特に、活性成分は、水溶性、脂溶性、または両親媒性にすることができる。
【0062】
本発明により使用される、化学由来、天然由来、または生物由来の活性成分は、以下の薬物療法の分野、すなわちアレルギー学、麻酔/蘇生術、癌腫科および血液科、心臓病科および脈管科、避妊および妊娠中絶、皮膚科、内分泌科、胃腸肝臓学、婦人科学および産科学、免疫科および移植治療薬(transplantation drug)、感染症科および寄生虫学、糖尿病の代謝および栄養法、神経科/精神科、眼科、耳鼻咽喉科、呼吸器科、リウマチ科、口腔科、毒物科、泌尿器科/腎臓病科で従来から使用されているものの中から、ならびに鎮痛薬/解熱薬および鎮痙薬、抗炎症薬、放射線科で使用される造影剤、止血剤および血液治療剤および誘導体の中から選択することができる。
【0063】
活性成分は、酢酸シプロテロンやΔ−4−アンドロステンジオン、3−ケト−デソゲストレル、デソゲストレル、ゲストデン、エストラジオールおよびその誘導体、酢酸ノルエチステロン、プロゲステロン、テストステロン、ジヒドロ−テストステロン、トリニトリン、フェンタニル、ニトログリセリン、ニコチン(S(−)ニコチン)、スコポラミン、クロニジン、二硝酸イソソルビド、エチニルエストラジオールまたはエストラジオールと併用したレボノルゲストレル、アンドロスタノロン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、フロルグルシノール、モルシドミン、ならびにこれらの組合せなど、粘膜障壁を通過しかつ体循環に到達する活性成分を含む群の中から選択することが有利である。
【0064】
このような活性成分は、アセタゾラミドやアシクロビル、アダパレン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アムシノニド、アメレイン、硫酸バメタン+エスシン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、ブフェキサマク、カフェイン、カルシポトリオール一水和物、臭化セトリモニウム、プロピオン酸クロベタゾル、クリラノマー、デソニド、デキスパンテノール、ジクロフェナク、吉草酸ジフルコルトノール、ジフルプレドネート、塩酸ジフェニドラミン、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、ピバル酸フルメタゾン、フルシノロンアセトニド、フルシノジン、フルオコルトロン、ヘキサン酸フルオコルトロン、ピバル酸フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、イバシタビン、イブプロフェン、イミキモド、ケトコナゾール、ケトプロフェン、リドカイン、メトロニダゾール、硝酸ミコナゾール、ミノキシジル、酸性ニフルミド、ペンシクロビル、過酸化ベンゾイル、ピロキサム、ヨード化ポビドン、プロメストリエン、ピラゾニブタゾン、ロキシスロマイシン、スルファセタルミド、トリアムシノロン、タザロテン、トレチノインおよびイソトレチノイン、トリクロカルバン、一リン酸ビダラビン、ならびにこれらの組合せなど、粘膜障壁を通過しかつ局所作用を有する活性成分の中から選択してもよい。
【0065】
このような活性成分は、以下の活性成分、すなわちアドレナリン性β−3作動薬、成長ホルモン、オキシブチニン、ブプレノルフィン、ペルゴリド、ネストロン、7α−メチル−19−ノルテステロン、メカミラミン、サルブタモール、セレギリン、ブスピロン、ケトチフェン、リドカイン、ケトロラク、エプタゾシン、インスリン、α−インターフェロン、プロスタグランジン、5−アミノレブリン酸、ベンゾジアゼピンアルプロゾラム、ジクロフェナク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、ケトプロフェン、メチルフェニデート、ミコナゾール、ピロクシカム、ブプレノルフィン、アルプロゾラム、デキスメデトミジン、プラゾシン(α−アドレナリン性拮抗薬)、アルプロスタジル、ツロブテロール(β−アドレナリン性作動薬)、チニルエストラジオール+ノルエルゲストロミン、ケトロラク、フィソスチグミン、メジンドロール(β−アドレナリン性作用薬)、ロチゴチン(D2ドーパミン拮抗薬)、チアトルセリン、ならびにこれらの組合せの中から選択してもよい。
【0066】
このような活性成分は、以下の活性成分、すなわちエソメプラゾール、メラガトラン(血栓症の場合)、ロスバスタチン、エゼチミド、ピタバスタチン(高脂血症)、ミチグリニド(II型糖尿病)、シロミラスト、ビオザン(喘息)、アリピパゾール(精神科)、オマパトリレート(昇圧薬)、オルゼル(癌腫科)、酢酸カプスポフォンジン、ボリコナゾール(感染症)、エトリコキシブ(炎症)やバルデコキシブ(関節炎)およびパレコキシブなどの新COX阻害剤、P−拮抗薬物質(うつ病)、ダリフェナシン(泌尿器科)、エレトリプタン(片頭痛)、アロセトロン、テガセロド、カプラビリン(HIV)、ならびにこれらの組合せなどの中から選択してもよい。
【0067】
本発明による好ましい活性成分には、ビタミンA誘導体(例えばイソトレチノインや補酵素Q10)、抗ウイルス薬(例えばアシクロビル)、鎮痛薬(例えばインドメタシンやナプロキセン)、抗潰瘍薬(例えばオメプラゾールやランゾプラゾール)、抗カビ剤(例えばシクロスポリン)、抗生物質(セファクロル、アモキシシリン、クロキサシリン)、性ホルモン(抗エストロゲン薬、例えばラロキシフェン;エストロゲン、例えばエストラジオール、ヘキサヒドロ安息香酸エストラジオール、ウンデシル酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、エストラジオールエチニル;プロゲスチン、例えばエナント酸ノルエチステロン、プロゲステロン;アンドロゲン、例えばプロピオン酸テストステロン、テストステロンシクロヘキシルメチルカーボネート、および抗アンドロゲン、例えば酢酸シプロテロンを含めることができる。
【0068】
活性成分は、化粧品、準医薬品、および食品補助剤に従来から使用されているものの中から選択してもよい。そのような活性成分の含量は、前述の分野で従来から使用されてきた通りである。
【0069】
化粧品および準医薬品の活性成分には、皮膚軟化薬、湿潤剤、顔料および染料、皺防止剤(レチノール)、抗真菌薬、にきび防止剤、柔軟剤、香料、およびビタミンを含めることができる。
【0070】
食品補助剤の活性物質には、ビタミン(A、B、E、C、B1、B2、B3、B6、B9、B12、B8H、B5、...)、ミネラル(カルシウム、リン、鉄、マグネシウム、亜鉛、ヨウ素)、カロテノイド(α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、リコペン、...)、フィトエストロゲン、イソフラボン(ゲニステイン、ジアドゼイン、ビオカニンA、フォルモノネチン)、リグナン(エンテロラクトン、エンテロジオール、...)、クメスタン(クメストロール)、植物エキス(ウイキョウ、ヒース、クロフサスグリ、ブドウの種のエキス、ヒバマタ、チョウセンニンジン、炒っていないコーヒー豆、ショウガ、...)、油(マツヨイグサ、麦芽、ルリヂシャ、マロウ種、...)、クレイ(ジオスメスタイト−モントモリロナイト、...)、酵素、および酵母、ならびにリンゴペクチンを含めることができる。
【0071】
選択された活性成分(または活性成分混合物)に応じ、いくつかの液媒体配合物を所望の放出プロフィルに合わせて利用することができる。
【0072】
一般に、本発明による生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の活性物質含量は、その活性物質の性質に応じて、液媒体の総重量に対し0.001重量%から70重量%に及び、好ましくは0.5重量%から60重量%に及ぶ。
【0073】
液媒体は、浸透用ビルダー、または当該膜を活性分子が通過するのを改善することが意図されるビルダーの混合物を、含有してもよい。浸透用ビルダーには、ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪族脂肪酸エステル、オレイン酸などの脂肪酸;エタノールやプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコールまたはポリオール;精油およびテルペン誘導体成分(オイゲノール、ゲラニオール、ネロール、ユーカリプトール、メントールなど);好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタン(脂肪酸エステル)やポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヒマシ油から得られたポリオキシエチレン、ならびにこれらの混合物などの、非イオン性界面活性剤;グリセリンや尿素などの水和剤;角質溶解剤、例えばαヒドロキシ酸、23−ラウリルエーテル、アプロチニン、窒素、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、シクロデキストリン、硫酸デキストラン、ラウリン酸、リソホスファジジルコリン、メトキサリチレート、メチルオレエート、オレイン酸、ホスファチジルコリン、ポリオキシエチレン、ポリソルベート80、ナトリウムEDTA、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、スルホキシド、およびアルキルグリコシドからなる群の中から選択できるものを含めることができる。
【0074】
液媒体は、生物学的利用能および/または生体接着性溶解度を増大させる含浸粉末が最終的に得られるように、接着剤(粘膜、皮膚)を含んでもよい。接着剤には、カルボマー、ポリオキエチレン、メチルセルロース、カルボキシメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリイソブテン、ポリイソプレン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、キトサン、ポリカルボキシレート、アクリル/メタクリル酸コポリマー、アクリル酸/アクリルアミドコポリマー、アクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー、アクリル酸/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリアクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、2−ヒドロキシ−エチルメタクリレート(HEMA)、3M社からCYDOT(登録商標)という商標で市販されている化合物(ポリイソブチレンと結合したカルボポール)、(低粘度)ペクチン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、トラガカント、モノエチルエーテル、モノメチルエーテル、蝋様コーンスターチ、ステアリルフマル酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、グアールガム、アルギン酸ナトリウム、デンプン、デキストランおよびその誘導体、アクリルポリマー、シリコーンおよびシリコーン化誘導体、コロファン樹脂、およびこれらの混合物を含めることができる。
【0075】
一般に、液媒体中に存在する接着剤の量は、この液媒体の総重量に対して0.01重量%〜70重量%である。
【0076】
特に経粘膜または経皮経路による投与を行うために、LUTROL(登録商標)およびXULOGLUCAN(登録商標)という商標で入手可能な化合物など、1種または複数の熱可逆性ポリマーを液媒体に導入することも興味深いと考えられる。したがって、本発明による含浸粉末は、粘膜または上皮との接触によってゲル化することができる。一般にそのようなポリマーは、液媒体の総重量に対して0.01重量%から70重量%に及ぶ量で存在する。
【0077】
本発明には、活性成分の含量を高くすることができるという利点もある。
【0078】
液媒体は、生物学的利用能および/または溶解度を増大させる含浸粉末の総重量に対し、一般に1%〜99%であり、好ましくは20%〜90%、より好ましくは40%〜90%、最も好ましくは50%〜80%である。
【0079】
粒子形態の不活性支持体は、活性成分を含有する液媒体およびその構成成分に対して化学的に不活性であり、また企図される適用例に適切でありかつその完全性を損なうことなく液媒体を含浸させることが可能な、任意の無毒性の支持体でよい。
【0080】
この粉末は、一般に、それ自体の重量に等しい液体を数回吸着することのできる、強力な吸着力を有する無毒性の不活性粉末である。
【0081】
適切な粒子不活性支持体には、天然シリカ、シリカゲル、フュームドシリカ、沈降シリカ、クレイ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース粉末などのいくつかのセルロース誘導体、およびこれらの混合物を含めることができる。
【0082】
好ましい粒子不活性支持体は、シリカである。シリカは、親水性、疎水性、または両親媒性でよい。適切なシリカは、AEROSIL(登録商標)(親水性、疎水性)、AEROPERL(登録商標)(親水性、疎水性)、SYLOID(登録商標)およびSIPERNAT(登録商標)(両親媒性)という商標で入手可能である。
【0083】
クレイの中で、モントモリロナイトおよびベントナイトを挙げることができる。
【0084】
マルトデキストリンは、LYCATAB(登録商標)という商標で入手可能である。
【0085】
本発明による粒子不活性支持体の平均粒径は、一般に0.001μmから300μmに及び、好ましくは1μmから100μmに及ぶ。
【0086】
一般に、粒子不活性支持体は、生物学的利用能および/または溶解度を増大させる含浸粉末の総重量に対して1重量%〜90重量%であり、好ましくは10重量%〜80重量%であり、より好ましくは10重量%〜60重量%であり、最も好ましくは20重量%〜50重量%である。
【0087】
含浸粉末は、一般に、香味料や香料、精油、染料、酸化防止剤、保存剤、甘味料、充填剤など、またはこれらの混合物など(非限定的リスト)、調剤に必要な任意のその他のビルダーを含んでよい。
【0088】
一般に、本発明による生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の粒径は、1μmから100μmに及び、好ましくは20μmから50μmに及ぶ。
【0089】
本発明による、生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末は、以下の一般的な形態によって、容易に製造することができる。すなわち最初に、少なくとも1種の活性成分を溶解した形でかつ懸濁液形態で含有する液媒体を生成する。少なくとも1種の活性成分を含有する液媒体を、攪拌しながら粒子不活性支持体に徐々に含浸させる。この混合物を均質化した後、生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の形で製剤を回収する。
【0090】
図1〜4は、本発明による、生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末に関する、代替の製造方法の主なステップのブロック図を示す。
【0091】
図1を参照すると、疎水性活性成分を含む、本発明による生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の、主な製造ステップが示されている。
【0092】
図1に示すように、まず、親和性を持つすべての成分(疎水性媒体、界面活性剤、および任意選択で補助界面活性剤)を混合し、その後、この疎水性媒体に、疎水性活性成分を攪拌しながら可溶化する。最大の熱力学的活性を持つために、活性成分を飽和状態まで可溶化するが、この可溶化が飽和状態に至らない場合も考えられる。
【0093】
疎水性活性成分を可溶化した後、水性媒体を攪拌しながら導入する。場合により飽和状態までの、またはそれ未満の活性成分を含有する液体が得られる。この段階で、所望の活性成分含量が得られるまで、追加量の疎水性活性成分を攪拌しながら添加する。それによって、一般に、クリーム状で不透明な半固体の形の懸濁液が得られる。
【0094】
次いでそのような懸濁液を、単に攪拌するだけで不活性固体支持体に含浸させる。それによって、生物学的利用能を増大させるための含浸粉末が得られる。
【0095】
図2は、図1の方法の代替例に関し、まず親水性媒体を攪拌しながら疎水性媒体に添加し、その後、懸濁液が得られるまで、所望量の疎水性活性成分を攪拌しながら添加する点が、図1とは異なっている。所望の活性成分の量は、このように得ることができる。次いで前述の場合と同様に、懸濁液を、単に攪拌しながら不活性支持体に含浸させる。
【0096】
図3および4の方法は、図1および2の方法とそれぞれ同様であるが、親水性活性成分の取込みに関するものであり、そのためには、疎水性媒体および水性媒体の調製および取込み順序を逆にした。
【0097】
前述のように、本発明による生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末は、様々な形態を調製するのに使用することができ、特に、経口または経粘膜経路で投与される生薬形態、ならびに化粧品工業、食品補助剤、食品化工業、および準医薬品工業で使用される形態を調製するのに使用することができる。
【0098】
両親媒性活性成分の場合、その製造方法は、前述の方法と同様のままである。
【0099】
生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末は、そのまま単独で使用してもよく、バッグ、スティック状パック、加圧されまたは加圧されていないフラスコであって、アプリケータやワイパーなどを備えまたは備えていない、様々な形態(本発明の非限定的リスト)で使用してもよい。
【0100】
液媒体の組成、不活性粉末の中から選択された含浸支持体、選択された生薬形態に応じて、即時放出、調節放出、遅延放出、双峰性放出、パルス状放出などの様々な放出プロフィルを得ることができる。
【0101】
本発明の、生物学的利用能を増大させるための含浸粉末は、カプセル、スティック状パック(粉末形態のまま)、バッグ、経鼻、経口、または経膣経路用の粉末スプレー、特殊な用途に向けた粉末スプレーなどに転換してもよい。
【0102】
錠剤を得るには、1種または複数の希釈剤(例えば微結晶性セルロース、ラクトース、セルロース粉末、リン酸二カルシウム、スクロース、デンプン、重炭酸塩、マンニトール、...)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、...)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポビドン、...)、崩壊剤(デンプンおよび誘導体、グリコール酸ナトリウムデンプン、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、...)、または錠剤の製造に必要なその他の賦形剤を添加するだけで十分である。
【0103】
錠剤は、直接圧縮、ウエットルート(wet route)顆粒化、ドライルート(dry
route)顆粒化、または当業者に知られる任意のその他の技法によって得ることができる。
【0104】
多層または二重コア錠、コーティング錠(腸溶コーティング、味隠し(taste-concealing)コーティング)、発泡錠、胃に滞留する錠剤、またはフローティング錠を作製することが可能である。
【実施例1】
【0105】
速放性プロゲステロンをベースにした錠剤の製造
活性成分を飽和させた溶液、溶液A
ヒマワリ油をベースにした溶液(Lesieur)に、プロゲステロンを飽和させる。界面活性剤/補助界面活性剤の比を、75/25に設定する。Tween(登録商標)80(Seppic)とMontane(登録商標)80(Seppic)との混合物を使用する。補助界面活性剤はTranscutol(登録商標)P(Gattefosse)であり、これは吸収促進剤としての役割も果たし、粘膜の通過を改善する。
【0106】
【表1】

【0107】
ヒマワリ油、Montane(登録商標)80、Tween(登録商標)80、およびTranscutol(登録商標)Pは、Heidolph Bioblock RZR 2051スターラーを使用して、500rpmで6分間、このように混合する。
【0108】
半透明の相が得られ、そこにプロゲステロンを投入して、その混合物を飽和させるようにする。室温で、Bioblock Heidolph RZR 2051スターラーを用いて700rpmで4分間機械的に攪拌した状態で、活性成分の可溶化プロセスを促進させるためにこの溶液を超音波浴内に数分間(6分30秒)置くことが可能である。
【0109】
活性成分が溶解したら、水を添加する。この混合物を、Bioblock Heidolph RZR 2051スターラーを用いて500rpmで5分間、均質化する。
【0110】
それによって、澄んで黄味がかった透明な液状プロゲステロンで飽和させた溶液Aが得られる。
【0111】
溶液Aによって得られたプロゲステロン懸濁液:懸濁液B
活性成分が40%量の懸濁液が得られるように、プロゲステロンを、前述の溶液62.5重量%に添加する。この目的で、プロゲステロンを、Bioblock Heidolph RZR 2051スターラーを用いて700rpmで5分間機械的に攪拌しながら、溶液Aに添加する。
【0112】
そのような懸濁液Bは、一般にクリーム状で不透明な半固形であり、以下の組成を有する。
【0113】
【表2】

【0114】
得られた混合物は、白色不透明の濃厚なクリームである。
【0115】
不活性支持体への懸濁液Bの含浸
前記懸濁液Bが得られたら、Sipernat(登録商標)50(Degussa)などのシリカに含浸させる。この操作では、Zanchettaミキサー−造粒乾燥機を使用する。
パラメータ:
− パドル速度:300rpm
− 懸濁液導入時間=20分
− 均質化時間=7分
【0116】
プロゲステロン懸濁液Bを、シリカに含浸するよう徐々に装置に取り込む。
【0117】
生物学的利用能および/または溶解度を増大させる含浸粉末は、以下の組成を有する。
【0118】
【表3】

【0119】
市販の剤形:Utrogestan(登録商標)100mg(Besins)と比較した、上記定義された生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の溶解プロフィル
生体外溶解試験を、ガラス製溶解ビーカーを備えたAT7 Sotax dissolutestで行った。使用する溶解媒体は、1%クレプトースである。浴の温度を37℃に維持し、パドル回転速度は150rpmである。
【0120】
計量は、UV分光分析でオンラインで行う。
【0121】
結果を、図5に概略的に示す。
【0122】
本発明の生物学的利用能を増大させるための含浸粉末の場合、全用量が1時間以内で放出されるのに対し、市販の製剤は、6時間以内で50%を超える量の放出にはほとんど達しない。
【0123】
本発明の、生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の特性決定
流動性(pouring ability)
この試験は、欧州薬局方試験4.2、2.9.16に従って行う。
サンプル質量=63.42g
流動時間=無限
【0124】
バルク体積(bulk volume)
この試験は、欧州薬局方試験4.2、2.9.15に従って行う。
サンプル質量=64g
V0でのバルク体積=122ml
V10でのバルク体積=114ml
V500でのバルク体積=104ml
沈降能力=10ml
【0125】
相対湿潤率(relative humidity rate)の測定
この測定は、Sartorius MA30湿潤率分析計を使用して行う。
パラメータ:サンプル質量=1.69g
温度=100℃
乾燥時間=15分
結果:相対湿潤率=9.70%
【0126】
粒度分析
この試験は、Sirocco 2000振動子を備えたMastersizer 2000 Malvernレーザー粒度計を使用して行う。
パラメータ:圧力=2バール、70%振動
平均粒度分布=27.5μm
【0127】
錠剤の製造
使用する希釈剤は、Vivapur(登録商標)102(Rettenmaier)とEncompress(登録商標)(Penwest)との混合物である。
【0128】
Turbulaミキサーを用い、希釈剤と含浸粉末とを5分間混合する。代替の加圧機に補助された11R11スタンプで、前述のブレンド20%を含んだ錠剤を製造する。
【0129】
錠剤の組成は以下の通りである。
【0130】
【表4】

【0131】
錠剤の特徴
− 質量=460mg
− 硬さ=40N
− 崩壊=20秒
【実施例2】
【0132】
生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための、速放性フェノフィブラートをベースにした含浸粉末の製造
A1懸濁液を、Labrafac(登録商標)CC(Gattedosse)、Montanox(登録商標)85(Seppic)、プロピレングリコール(Copper)、および蒸留水をベースにして作製する。最初の3つの成分を、Bioblock Heidolph RZR2051スターラーを使用して、700rpmで混合する。
【0133】
次いで蒸留水を添加し、Bioblock Heidolph RZR2051スターラーを使用して、700rpmで機械的に攪拌する。
【0134】
活性成分を前述のブレンドに添加し、その配合物を、超音波浴内に5分間送り、次いでBioblockによる1200rpmの機械的な攪拌に、45分間かける。
【0135】
配合は以下の通りである。
【0136】
【表5】

【0137】
かなり濃厚な白色溶液が得られる。
【0138】
フェノフィブラートを充填した懸濁液A1の含浸
前記懸濁液が得られたら、Sipernat(登録商標)50(Degussa)などのシリカに含浸させる。この操作では、Zanchettaミキサー−造粒乾燥機を使用する。
パラメータ:
− パドル速度:300rpm
− 懸濁液導入時間=20分
− 均質化時間=7分
【0139】
【表6】

【0140】
フェノフィブラートを充填した配合物を、シリカに含浸するよう徐々に装置に取り込む。
【0141】
市販の剤形:Lipanthyl(登録商標)160mgと比較した、上記定義された生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の溶解プロフィル
生体外溶解試験を、回転パドルを備えたAT7 Sotax dissolutestで行った。使用する溶解媒体は、0.1M SLSである。浴の温度を37℃に維持し、パドル回転速度は75rpmである。
【0142】
計量は、UV分光分析でオンラインで行う。結果を、図6に概略的に示す。
【0143】
本発明の、生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末では、最初の10分間で、Lipanthyl(登録商標)160よりも非常に速く活性成分を放出することが可能になる。
【0144】
本発明の、生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末の、特性決定
流動性
この試験は、欧州薬局方試験4.2;2.9.16に従って行う。
サンプル質量=65.64g
流動時間=無限
【0145】
バルク体積
この試験は、欧州薬局方試験4.2;2.9.15に従って行う。
サンプル質量=65.64g
V0でのバルク体積=154ml
V10でのバルク体積=148ml
V500でのバルク体積=128ml
V500でのバルク体積=126ml
沈降能力=20ml
【0146】
相対湿潤率の測定
この測定は、Sartorius MA30湿潤率分析計を使用して行う。
パラメータ:サンプル質量=1.002g
温度=100℃
乾燥時間=15分
結果:相対湿潤率=5.69%
【0147】
粒度分析
この試験は、Sirocco 2000振動子を備えたMastersizer 2000 Malvernレーザー粒度計を使用して行う。
パラメータ:圧力=2バール、70%振動
平均粒度分布=20.89μm
【実施例3】
【0148】
生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための、速放性アシクロビルをベースにした含浸粉末の製造
A2懸濁液を、pH2のHCl水溶液、精製した大豆油(Sictia)、Tween(登録商標)80(Fluka)、プロピレングリコール(Cooper)から生成する。終わりの3つの成分を、Bioblock Heidolph RZR 2051スターラーを使用して、500rpmで混合する。
【0149】
次いでpH2のHCl水溶液を、Bioblock Heidolph RZR 2051スターラーにより700rpmで機械的に攪拌しながら添加する。
【0150】
活性成分を前述のブレンドに添加し、その配合物を超音波浴内に5分間送り、次いでBioblockにより、900rpmで20分間機械的に攪拌する。
【0151】
配合は以下の通りである。
【0152】
【表7】

【0153】
かなり濃厚な白色溶液が得られる。
【0154】
アシクロビルを充填したA2懸濁液の含浸
前記懸濁液が得られたら、これを、Aeroperl(登録商標)300(Degussa)などのシリカに含浸させる。この操作では、Zanchettaミキサー−造粒乾燥機を使用する。
パラメータ:
− パドル速度=350rpm
− 懸濁液導入時間=25分
− 均質化時間=9分
【0155】
アシクロビルを充填した配合物を、シリカに含浸するよう徐々に装置に取り込む。
【0156】
生物学的利用能および/または溶解度を増大させるために得られた含浸粉末配合物は、以下の通りである。
【0157】
【表8】

【実施例4】
【0158】
速放性プロゲステロンをベースにした錠剤の製造
活性成分を飽和させた溶液、溶液A
ヒマワリ油をベースにした疎水相(Lesieur)に、プロゲステロンを飽和させる。界面活性剤/補助界面活性剤の比を、75/25に設定する。Tween(登録商標)80(Seppic)とMontane(登録商標)80(Seppic)との混合物を使用する。補助界面活性剤はTranscutol(登録商標)(Gattefosse)であり、これは吸収促進剤としての役割も果たし、胃腸粘膜への通過を改善する。
【0159】
【表9】

【0160】
ヒマワリ油、Montane80、Tween80、およびTranscutolは、Heidolph Bioblock RZR 2051スターラーを使用して、500rpmで6分間、室温で混合する。
【0161】
半透明の相が得られ、そこに、700rpmで4分間攪拌しながら飽和状態になるまでプロゲステロンを投入する。
【0162】
活性成分が溶解したら、親水相(精製水)を添加する。この混合物を、Bioblock Heidolph RZE 2051スターラーを用いて500rpmで5分間、均質化する。
【0163】
それによって、澄んで黄味がかった透明な液状プロゲステロンで飽和させた溶液Aが得られる。
【0164】
溶液Aにより得られるプロゲステロン懸濁液:懸濁液B
【0165】
【表10】

【0166】
プロゲステロンが45.28%の懸濁液が得られるまで、Bioblock Heidolph RZR 2051スターラーを使用して700rpmで5分間攪拌しながら、プロゲステロンを溶液Aに分散させる。
【0167】
得られた懸濁液は、わずかに粘性があり白色である。
【0168】
懸濁液Bの、不活性支持体への含浸
懸濁液を、シリカ(Aeroperl(登録商標)300、Degussa)などの不活性支持体に吸着させる。
【0169】
【表11】

【0170】
吸着は、Rotolab、Zanchetaミキサー−造粒機で行う。
【0171】
含浸パラメータは、以下の通りである。
− パドル速度:300rpm
− 懸濁液導入時間:20s
− 均質化時間=5分
【0172】
プロゲステロンをベースにした含浸粉末の特性決定
【0173】
【表12】

【0174】
プロゲステロンをベースにした含浸粉末の生体外溶解
生物学的利用能および可溶化が改善された、プロゲステロンをベースにした含浸粉末の溶解プロフィルを、Utrogestran(登録商標)市販製剤の場合と比較する。
【0175】
溶解試験を、ガラス製溶解ビーカーを備えたAT7 Sotax dissolutestで行う。
【0176】
使用する溶解媒体は、1%Kleptose溶液である。
【0177】
浴の温度を37℃に維持し、パドル回転速度は150rpmである。
【0178】
計量は、UV分光分析でオンラインで行う。
【0179】
結果を図7に示すが、この図は、100mgで投与された、本発明によるプロゲステロンをベースにした含浸粉末と市販の製剤との溶解プロフィル(1%Kleptose 150rpm)の比較を示している。
【0180】
1時間後、含浸粉末では全用量が放出されるが、市販の製剤では、わずか10%のプロゲステロンしか放出されない。
【0181】
プロゲステロン含浸粉末による錠剤の取得
含浸粉末を、Rotolab(登録商標)(Zanchetta)スターラーを用いて150rpmで3分間、希釈剤(Vivapur(登録商標)12 JRS Pharma)および崩壊剤(Lycatab(登録商標)C、Roquette)と混合する。
【0182】
次いでこの混合物を、代替のFrogerais打錠機で錠剤にする。
【0183】
【表13】

【0184】
錠剤の生体外溶解
生物学的利用能および可溶化が改善されたプロゲステロン錠剤の溶解プロフィルを、Utrogestran(登録商標)市販製剤の場合と比較する。
【0185】
溶解試験を、ガラス製溶解ビーカーを備えたAT7 Sotax dissolutestで行う。
【0186】
使用する溶解媒体は、1%Kleptose溶液である。
【0187】
浴の温度を37℃に維持し、パドル回転速度は150rpmである。
【0188】
計量は、UV分光分析でオンラインで行う。
【0189】
結果を図8に示すが、この図は、それぞれプロゲステロンの用量を100mgとして、(i)本発明による含浸粉末と、(ii)本発明による含浸粉末錠剤と、(iii)市販の製剤との、溶解プロフィル(1%Kleptose 150rpm、37℃)の比較を示している。
【0190】
60分後、含浸粉末錠剤では約95%のプロゲステロンが放出されたが、市販の製剤ではわずか10%のプロゲステロンしか放出されない。
【0191】
プロゲステロンをベースにした含浸粉末の粒径分析結果を図9に示すが、この図は、粉末粒子の粒度分布を示している。
【実施例5】
【0192】
速放性アシクロビルをベースにした錠剤の製造
アシクロビル懸濁液
アシクロビルを、500rpmで10分間、室温で、親水相(HCl緩衝液、pH2)に可溶化する。
【0193】
得られたA溶液は、透明で流動性がある。
【0194】
疎水相(Captex(登録商標)300、Abitec)、界面活性剤(Acconon(登録商標)CC6、Abitec)、および補助界面活性剤(oleic Plurol、Gattefosse)を、500rpmで5分間、室温で混合する。
【0195】
得られたB溶液は、やや黄味がかり、流動性がある。
【0196】
アシクロビルで飽和させたA溶液と、B溶液とを、500rpmで5分間混合する。
【0197】
得られたC混合物は、流動性があり、わずかに黄味がかっている。
【0198】
残りのアシクロビルを、700rpmで10分間攪拌しながら懸濁液に入れる。
【0199】
65%のアシクロビルを含んだ状態で得られたD懸濁液は、白色で、クリーム状である。
【0200】
前記試験を、Heidolph Bioblock RZE 2051スターラーで行う。
【0201】
【表14】

【0202】
懸濁液Dの不活性支持体への含浸
懸濁液を、シリカ(Aeroperl(登録商標)300 Degussa)などの不活性支持体に吸着させる。
【0203】
この吸着は、Rotolab、Zanchettaミキサー−造粒機によって行う。
【0204】
含浸パラメータは、以下の通りである。
− パドル速度:250rpm
− 懸濁液導入時間:20秒
− 均質化時間=5分
【0205】
【表15】

【0206】
アシクロビルをベースにした含浸粉末の特性決定
【0207】
【表16】

【0208】
アシクロビルをベースにした含浸粉末の生体外溶解
生物学的利用能および可溶化が改善された、アシクロビル含浸粉末の溶解プロフィルを、ZOVIRAX(登録商標)市販製剤の場合と比較する。
【0209】
溶解試験を、ガラス製溶解ビーカーを備えたAT7 Sotax dissolutestで行う。
【0210】
使用する溶解媒体は、0.01NのHCl溶液である。
【0211】
浴の温度を37℃に維持し、パドル回転速度は100rpmである。
【0212】
計量は、UV分光分析でオンラインで行う。
【0213】
溶解比較プロフィルの結果を図10に示すが、この図は、用量を200mgとして、本発明によるアシクロビルをベースにした含浸粉末と市販のアシクロビル製剤との溶解プロフィル(媒体 0.01N HCl、100rpm、37℃)の比較を示している。
【0214】
含浸粉末では、2分未満で用量の100%が放出される。
【0215】
市販の製剤では、2分後に、わずか55%のアシクロビルしか放出しない。
【0216】
アシクロビル含浸粉末による錠剤の取得
含浸粉末を、Rotolab(登録商標)(Zanchetta)スターラーを用いて150rpmで3分間、希釈剤(Vivapur(登録商標)12、JRS Pharma)および崩壊剤(Lycatab(登録商標)C、Roquette)と混合する。
【0217】
次いでこの混合物を、代替のFrogerais打錠機で錠剤にする。
【0218】
【表17】

【0219】
含浸粉末をベースにした錠剤の生体外溶解
生物学的利用能および可溶化が改善される、含浸粉末をベースにした錠剤の溶解プロフィルを、Zovirax(登録商標)市販製剤の場合と比較する。
【0220】
溶解試験を、ガラス製溶解ビーカーを備えたAT7 Sotax dissolutestで行う。
【0221】
使用する溶解媒体は、HClの0.01N溶液である。
【0222】
浴の温度を37℃に維持し、パドル回転速度は100rpmである。
【0223】
計量は、UV分光分析でオンラインで行う。
【0224】
溶解プロフィルの結果を図11に示すが、この図は、用量を200mgとして、(i)本発明によるアシクロビルをベースにした含浸粉末と、(ii)そのような含浸粉末から作製された錠剤と、(iii)ZOVIRAX(登録商標)市販製剤との間の溶解プロフィル(HCl 0.01N、100rpm)の比較を示している。
【0225】
前記アシクロビルをベースにした含浸被膜粉末の粒径分析結果を、図12に示すが、この図は、前記粉末粒子の粒度分布を示している。
【実施例6】
【0226】
ラウリル硫酸ナトリウムを含む、速放性の共微粉化(co-micronized)フェノフィブラートをベースにした錠剤の製造
Capryol(登録商標)90(Gattefosse)、Acconon(登録商標)CC6(Abitec)、Transcutol(登録商標)(Gattefosse)を、Bioblock Heidolph RZE 2051スターラーを使用して、500rpmで5分間、室温で混合する。
【0227】
半透明の相が得られ、そこに、700rpmで10分間攪拌しながら飽和状態になるまで、共微粉化フェノフィブラートを投入する。
【0228】
活性成分が溶解したら、親水相(精製水)を添加する。この混合物を、Bioblock Heidolph RZE 2051スターラーを用いて500rpmで5分間、均質化する。
【0229】
それによって、澄んで黄味がかった透明な、液状の共微粉化フェノフィブラートで飽和させた、溶液Aが得られる。
【0230】
共微粉化フェノフィブラートが41.52%として投与された懸濁液が得られるまで、bioblock Heidolph R2R 2051スターラーを使用して700rpmで10分間攪拌しながら、残りの共微粉化フェノフィブラートを溶液Aに分散させる。
【0231】
得られたB懸濁液は、粘性があり、白色である。
【0232】
【表18】

【0233】
懸濁液を、シリカ(Aeroperl(登録商標)300 Degussa)などの不活性支持体に吸着させる。
【0234】
この吸着は、Rotolab、Zanchettaミキサー−造粒機で行う。
【0235】
含浸パラメータは、以下の通りである。
− パドル速度:300rpm
− 懸濁液導入時間:20秒
− 均質化時間=5分
【0236】
【表19】

【0237】
共微粉化フェノフィブラートをベースにした含浸粉末の、生体外溶解
生物学的利用能および可溶化が改善される、共微粉化フェノフィブラートをベースにした含浸粉末の溶解プロフィルを、Lipanthyl市販製剤の場合と比較する。
【0238】
溶解試験を、ガラス製溶解ビーカーを備えたAT7 Sotax dissolutestで行う。
【0239】
使用する溶解媒体は、ラウリル硫酸ナトリウムの0.1M溶液である。
【0240】
浴の温度を37℃に維持し、パドル回転速度は100rpmである。
【0241】
計量は、UV分光分析でオンラインで行う。
【0242】
生体外溶解プロフィルの結果を図13に示すが、この図は、用量を160mgとして、本発明によるフェノフィブラートをベースにした含浸粉末と、LIPANTHYL(登録商標)市販製剤との間の溶解プロフィル(SLS 0.1M、100rpm)の比較を示している。
【0243】
フェノフィブラートの放出は、最初の6分間で、市販製剤よりも含浸粉末のほうが速い。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】、
【図2】、
【図3】および
【図4】本発明による、生物学的利用能および/または可溶化を増大させる含浸粉末の、様々な製造方法の主なステップのフローチャートである。
【図5】、
【図6】、
【図7】、
【図8】、
【図10】、
【図11】および
【図13】市販製品の溶解プロフィルと比較した、本発明による生物学的利用能および/または可溶化を増大させる含浸粉末の、溶解プロフィルである。
【図9】および
【図12】本発明による含浸粉末の篩い分けを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水相および親水相と、少なくとも1種の界面活性剤と、少なくとも1種の活性成分とを含む液媒体を含浸させた、粒子形態の固体不活性支持体を含み、少なくとも1種の活性成分の生物学的利用能および/または溶解度を増大させるための含浸粉末において、前記活性成分が、前記親水相または疎水相の一方に溶解し、かつ前記2つの相の他方中では懸濁状態となっていることを特徴とする含浸粉末。
【請求項2】
前記液媒体が、少なくとも1種の補助界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の含浸粉末。
【請求項3】
前記補助界面活性剤が、アルコール、グリコールエーテル、グリコールおよびその誘導体、プロピレングリコールおよびその誘導体、プロピレングリコールのラウリルエステル、ポリグリセロールおよびその誘導体、ポリグリセロールおよびエチルジグリコールのオレイルエステルから選択される、請求項1または2に記載の含浸粉末。
【請求項4】
前記界面活性剤が、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、および両親媒性界面活性剤から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項5】
前記界面活性剤が、液体マイクロエマルジョンの重量に対して少なくとも1%であり、好ましくは2%〜70%であり、より好ましくは10%〜60%である、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項6】
前記液媒体の前記疎水相が、植物油、動物油、鉱油、あるいは合成油、モノ−、ジ−、またはトリグリセリド、脂肪アルコールおよびこれらの誘導体、ポリオールエステル、液体パラフィン、長鎖炭化水素、トコフェロールおよびこれらの誘導体、脂肪族脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーン油、リン脂質化合物およびこれらの誘導体と、これらの混合物の中から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項7】
前記液媒体の前記親水相が、水、含水アルコール混合物、生理食塩水溶液、緩衝水溶液、水−ポリエチレングリコール混合物、水−グリセロール混合物、グルコース水溶液、および水−プロピレングリコール混合物の中から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項8】
前記活性成分が、水溶性活性成分、脂溶性活性成分、および両親媒性活性物質の中から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項9】
前記活性成分が、医薬品、準医薬品、および化粧品の分野と、食品補助剤および食品加工業の分野で使用されるものの中から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の乾燥含浸粉末。
【請求項10】
前記活性物質が、以下の薬物療法の分野、すなわちアレルギー学、麻酔/蘇生術、癌腫科および血液科、心臓病科および脈管科、避妊および妊娠中絶、皮膚科、内分泌科、胃腸病理科、産婦人科、免疫科、感染症科、代謝および栄養法、神経科/精神科、眼科、耳鼻咽喉科、呼吸器科、リウマチ科、口腔科、毒物科、泌尿器科/腎臓病科で使用されているもの、ならびに鎮痛薬および鎮痙薬、抗炎症薬、放射線科で使用される造影剤、止血剤および血液治療剤、およびこれらの誘導体の中から選択される、請求項9に記載の含浸粉末。
【請求項11】
前記液媒体が、前記液体系の総重量に対して活性物質を0.001重量%〜70重量%、好ましくは0.5重量%〜60重量%含有する、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項12】
前記液媒体が、少なくとも1種の接着剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項13】
前記液媒体が、少なくとも1種の浸透用ビルダーをさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項14】
前記液媒体が、少なくとも1種の熱可逆性ポリマーをさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項15】
前記液媒体が、含浸粉末の総重量に対して1%〜99%であり、好ましくは20%〜90%であり、より好ましくは40%〜90%であり、最も好ましくは50%〜80%である、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項16】
前記不活性固体支持体が、天然シリカ、シリカゲル、フュームドシリカ、沈降シリカ、クレイ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、シクロデキストリン、セルロース誘導体、およびこれらの混合物の中から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項17】
前記活性成分を溶解する相が、活性成分で飽和された溶液である、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項18】
香味料、香料、精油、染料、酸化防止剤、保存剤、甘味料、および充填剤の中から選択された1種または複数のビルダーを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項19】
疎水相および親水相と、少なくとも1種の界面活性剤と、前記2相の少なくとも一方に溶解しかつ前記2相の少なくとも他方に懸濁状態で存在する少なくとも1種の活性成分とを含む、液媒体を得るステップと、
適切な量の液媒体と、該液媒体を吸収し易い粒子形態をした適切な量の不活性固体支持体とを混合するステップと、
含浸粉末を回収するステップと
を含む、含浸粉末を製造するための方法。
【請求項20】
前記液媒体が、所定量の活性成分を前記一方の相に可溶化し、溶解した活性成分を含有する相を前記他方の相に混合し、懸濁液を得るために該2相の混合物に追加量の活性成分を添加することによって得られる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記液媒体が、前記2相を混合し、前記相の少なくとも一方への活性成分の溶解と、その他の相の少なくとも一方への活性成分の懸濁とをもたらすのに十分な量の活性成分を添加することによって得られる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
そのような含浸粉末のすべてまたは一部の投与に適合し、当業者に既知の容器中に供給される、請求項1から18のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項23】
そのような「含浸粉末」のすべてまたは一部が、バッグ、スティック状パック、ワイパー、カプセルの形態をとるか、加圧されまたは加圧されていないフラスコ中にあるか、あるいは鼻、口、または膣経路用の粉末スプレー中にある、請求項1から18のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項24】
そのような「含浸粉末」のすべてまたは一部が、剥き出しのまたはブリスター包装された錠剤、糖衣錠、コーティング錠(可溶性コーティング、pH依存性または非依存性のコーティングであって、胃、腸管などで放出するもの)、基質錠、浸透錠、多層錠、発泡錠、二重コア錠、フローティング錠、胃に滞留および/またはフローティングする形態、粘膜付着形態、カプセル、粉末、多粒子形態であり、例えば顆粒、コーティングされた微粒剤(糖衣付き、可溶性のpH依存性コーティングを持つもの)、またはコーティングされていない微粒剤であるもの、粘膜付着形態、噴霧化された固形分の形を有することができる、請求項1から18のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項25】
即時放出、調節放出、遅延放出、双峰性放出、またはパルス状放出の中から選択された放出プロフィルを有する生薬形態である、請求項1から18と請求項22から24のいずれか一項に記載の含浸粉末。
【請求項26】
剥き出しのまたはブリスター包装された錠剤、糖衣錠、コーティング錠(可溶性コーティング、pH依存性または非依存性のコーティングであって、胃、腸管などで放出するもの)、基質錠、浸透錠、多層錠、発泡錠、二重コア錠、フローティング錠、胃に滞留および/またはフローティングする形態、粘膜付着形態、カプセル、粉末、多粒子形態であり、例えば顆粒、コーティングされた微粒剤(糖衣付き、可溶性のpH依存性コーティングを持つもの)、またはコーティングされていない微粒剤、粘膜付着形態、および噴霧化された固形分を製造するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の「含浸粉末」の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−519820(P2006−519820A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505704(P2006−505704)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000541
【国際公開番号】WO2004/080381
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505325213)ソシエテ ア レスポンサビリテ リミテ ガルニクス イノヴァシオン (3)
【Fターム(参考)】