説明

生物学的起原の出発材料中に見出される複数の検体のスタンダードを作成する方法

本発明は、
対象となる検体を実質的に除去するためにサンプルの一部を処理して特異的に欠損したサンプルのシリーズを産生すること、
特異的に欠損したサンプルのシリーズの適切な量を決定し混合してスタンダードを作成すること
を含む、複数の検体についてのスタンダードを作成する方法を提供する。
検体は測定される任意の物質であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2008年4月23日に出願された米国仮出願第61/047,232号に対する優先権の利益を請求し、その全体の内容は引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般的には分子生物学の分野に関する。より詳細には、マルチプレックス分析のために有用なスタンダードを作成する方法に関する。具体的実施形態において、本発明は、実質的に均一のスタンダードを複数の出発材料から作成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近現れたマルチプレックス化分析は、この分析のスタンダードを製作する場合、特有の問題を引き起こした。解析が1検体である単一の分析において(すなわちシングレックス分析において)、既知の濃度の検体の1セットのスタンダードを「スタンダードカーブ」(それに対して未知のサンプルを測定する)を作成するために使用する。一般的には、以下の2つの方法を、スタンダードの作成のために使用する。a)標的検体を欠いているマトリックスを見出すかまたは作成し、その中へ精製検体(スタンダード)を添加する、またはb)既知の高レベルの検体を持つサンプルを「高」スタンダードとして使用し、より低レベルのものは、標的検体が欠けているかまたは少ないマトリックスの中へこの高スタンダードを希釈することによって作成される。
【0004】
マルチプレックス分析において、検体が「添加」を可能にするような純粋な形式で容易に利用可能な場合、上記のリストのアプローチa)が、しばしば使用される。純粋な形式でそれぞれの標的検体を得ることができ、添加プロセスで扱うことができる場合、これは完全に適切である。マルチプレックスプロフィールにおける各々の検体についてプロセスを単純に繰り返し、その結果、検体のx、yおよびzが必要とされるならば、単一のスタンダードが、分析に適切なレベルで必要な検体をすべて有することを保証するように、各々を同じマトリックスの中へ添加する。
【0005】
検体を生物学的にのみ得ることができ、および/または容易に精製することができないか、またはそれ以外では扱うことができない場合には、特に複雑な問題が生じる。かかる事例において、典型的には、様々なレベルの対象となる検体を有する非常に多数の異なるサンプルが同定され、すべての検体の与えられた目標値を達成するように材料を混合するプロセスが続く。これは、1つの検体について高スタンダードが選ばれるならば、そのスタンダードはマルチプレックス化分析を構成する他の検体を妥当なレベルで有することも有しないこともあり、容易に再現することができないスタンダードおよび/または所望の目標値を有していないスタンダードをもたらすことを意味する。したがって、マルチプレックス分析による使用のための一貫して実質的に均一のスタンダードを作成する方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの態様において、本発明は、複数の対象となる検体を含むサンプルを得ることと;各々の対象となる検体の濃度を決定することと;1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルを作成することと;各々の検体の実質的に均一な濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するのに必要な、もしあれば開始サンプルの量および各々の特異的に欠損したサンプルの量を決定することと;その量の開始サンプルおよび特異的に欠損したサンプルを混合してマルチプレックススタンダードを作成することとを含む、複数の検体についてマルチプレックススタンダードを開始サンプルから作成する方法を提供する。
【0007】
開始サンプルは対象となる検体を含有する任意の組成物でありえる。開始サンプルは、実質的に均一な濃度または高度に変化した濃度で存在する様々な対象となる検体を含有することができる。本発明の特定の態様において、サンプルは、体液(全血、血清、唾液、尿、精子を含むがこれらに限定されない)でありえる。いくつかの特定の実施形態において、開始サンプルは血液サンプルである。検体は測定される任意の物質でありえる。特定の実施形態において、検体はタンパク質、抗体、またはプロテアーゼである。
【0008】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成は、少なくとも第1の対象となる検体を実質的に除去するために開始サンプルの一部または特異的に欠損したサンプルを処理することを含むことができる。対象となる検体は、その特定の検体を欠いているか、またはその特定の検体が少なくとも低い濃度である生物学的サンプルを作成するために、除去することができる。これは、一般的には他の検体の検体レベルに対して最小の効果で行われるが、このプロセスは100%特異的である必要がない。特定の実施形態において、別の検体における非特異的減少が、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%未満である。対象となる検体を完全に除去する必要はない。検体の少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%が除去される場合、検体は「実質的に除去される」。サンプルは、標的検体を実質的に除去する任意の方式で処理することができる。特定の実施形態において、処理は、検体の中和、検体の物理的な除去、検体の破壊、または検体の隔離を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、検体は抗体でありえる。本明細書において使用される時、用語「抗体」は、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEなどの任意の免疫結合剤を広範囲に指すように意図される。いくつかの実施形態において、抗体は、例えば、ヘモフィルス(Haemophilus)インフルエンザタイプb(Hib)ポリサッカライド、ならびに破傷風菌(Clostridium tetani)(Tet)およびジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)(Dip)(肺炎連鎖球菌)のトキソイド、髄膜炎菌、ポリオ、ジフテリア、破傷風、HIV、HBV、HCVに対する抗体でありえる。当業者は、開始サンプルまたは特異的に欠損したサンプルから抗体を除去するために、様々な方法が存在することを承知している。特定の実施形態において、抗体は、抗体の中和によって、例えば、対象となる抗体に特異的な抗原をサンプルに対して提供することによって、サンプルまたはスタンダードから除去される。他の実施形態において、抗体は、抗体を物理的に除去することによって、例えば、抗体に特異的な抗原を有するカラム上での抗体の固定化によって、サンプルまたはスタンダードから除去される。別の実施形態において、抗体は、抗体の破壊によって、例えば、破壊剤または技術(プロテアーゼ処理または熱処理など)でサンプルを処理することによって、サンプルまたはスタンダードから除去される。なおさらなる実施形態において、抗体は、抗体の隔離によって、例えば、リポソームの中への抗体の取り込みによって、サンプルまたはスタンダードから除去される。
【0010】
いくつかの実施形態において、検体はタンパク質でありえる。いくつかの実施形態において、タンパク質は、例えば、インスリン、TSH、破傷風毒素もしくはトキソイド、ジフテリア毒素もしくはトキソイド、脳下垂体ホルモン、トリプシンまたはトリプシノゲンでありえる。当業者は、開始サンプルまたは特異的に欠損したサンプルからタンパク質を除去するために、様々な方法が存在することを承知している。特定の実施形態において、タンパク質は、タンパク質の中和によって、例えば、対象となるタンパク質に特異的な標的をサンプルに対して提供することによって、サンプルまたはスタンダードから除去される。他の実施形態において、タンパク質は、タンパク質を物理的に除去することによって、例えば、タンパク質を結合する標的を有するカラム上でのタンパク質の固定化によって、サンプルまたはスタンダードから除去される。別の実施形態において、タンパク質はタンパク質の破壊によって、例えば、破壊剤または技術(プロテアーゼ処理または熱処理など)でサンプルを処理することによって、サンプルまたはスタンダードから除去される。なおさらなる実施形態において、タンパク質は、タンパク質の隔離によって、例えば、リポソームの中へのタンパク質の取り込みまたは固体表面(シリカ、モレキュラーシーブ、または類似したものなどの)上へのタンパク質の吸着によって、サンプルまたはスタンダードから除去される。
【0011】
いくつかの実施形態において、検体はプロテアーゼでありえる。本明細書において使用される時、用語「プロテアーゼ」は、タンパク質分解を行う任意の酵素を広範囲に指すように意図される。いくつかの実施形態において、プロテアーゼはトリプシンまたはキモトリプシンでありえる。当業者は、開始サンプルまたは特異的に欠損したサンプルからプロテアーゼを除去または不活性化するために、様々な方法が存在することを承知している。特定の実施形態において、プロテアーゼは、プロテアーゼの中和によって、例えば、サンプルに対して対象となるプロテアーゼに特異的な阻害剤の提供によって、サンプルまたはスタンダードから除去される。他の実施形態において、プロテアーゼはプロテアーゼを物理的に除去することによって、例えばプロテアーゼを結合する阻害剤を有するカラム上でのプロテアーゼの固定化によって、サンプルまたはスタンダードから除去される。別の実施形態において、プロテアーゼはプロテアーゼの破壊によって、例えば、より容易に不活性化または破壊できることができる別のプロテアーゼによるタンパク質分解によって、サンプルまたはスタンダードから除去される。なおさらなる実施形態において、プロテアーゼはプロテアーゼの隔離によって、例えば、リポソームの中へのプロテアーゼの隔離によって、サンプルまたはスタンダードから除去される。
【0012】
特定の実施形態において、本発明は、複数の対象となる検体を含むサンプルを得ることと;各々の対象となる検体の濃度を決定することと;第1の検体を実質的に除去するためにサンプルの一部を処理して第1の特異的に欠損したサンプルを作成することと;第2の検体を実質的に除去するために第1の特異的に欠損したサンプルの一部を処理して第2の特異的に欠損したサンプルを作成することと;次の特異的に欠損したサンプルから次の検体を除去するためにプロセスを繰り返して、それによって特異的に欠損したサンプルのシリーズを産生することと;各々の検体の所望の濃度を有するスタンダードを作成するのに必要な開始サンプルの量および特異的に欠損したサンプルのシリーズの量を決定することと;その量の特異的に欠損したサンプルのシリーズを混合してスタンダードを作成することとを含む、複数の検体についてのスタンダードを作成する方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1の対象となる検体を除去するために開始サンプルを処理して第1の特異的に欠損したサンプルを作成する。次いで第2の対象となる検体を除去するために第1の(または前の)特異的に欠損したサンプルを処理することができ、第2の(または後続の)特異的に欠損したサンプル、または特異的に欠損したサンプルを作成する。このプロセスは、対象となる検体を除去するために、処理されている前の特異的に欠損したサンプルの各々で繰り返して、後続の特異的に欠損したサンプルを作成することができる。
【0014】
例えば、いくつかの実施形態において、本発明は、3個の対象となる検体を含むサンプルを得ることと;各々の対象となる検体の濃度を決定することと;第1の対象となる検体を除去するために開始サンプルの一部を処理して第1の特異的に欠損したサンプルを作成することと;第2の対象となる検体を除去するために第1の特異的に欠損したサンプルの一部を処理して第2の特異的に欠損したサンプルを作成することと;各々の検体の実質的に均一な濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するのに必要な開始サンプルの量および各々の特異的に欠損したサンプルの量を決定することと;その量の開始サンプルおよび特異的に欠損したサンプルを混合してマルチプレックススタンダードを作成することとを含む、3個の対象となる検体についてのマルチプレックススタンダードを開始サンプルから作成する方法を提供する。
【0015】
他の実施形態において、開始サンプルは5個の対象となる検体を含む。かかる実施形態において、方法は、5個の対象となる検体を含むサンプルを得ることと;各々の対象となる検体の濃度を決定することと;第1の対象となる検体を除去するために開始サンプルの一部を処理して第1の特異的に欠損したサンプルを作成することと;第2の対象となる検体を除去するために第1の特異的に欠損したサンプルの一部を処理して第2の特異的に欠損したサンプルを作成することと;第3の対象となる検体を除去するために第2の特異的に欠損したサンプルの一部を処理して第3の特異的に欠損したサンプルを作成することと;第4の対象となる検体を除去するために第3の特異的に欠損したサンプルの一部を処理して第4の特異的に欠損したサンプルを作成することと;各々の検体の実質的に均一な濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するのに必要な開始サンプルの量および各々の特異的に欠損したサンプルの量を決定することと;その量の開始サンプルおよび特異的に欠損したサンプルを混合してマルチプレックススタンダードを作成することとを含む。
【0016】
対象となる検体は任意の順序でスタンダードから除去することができる。いくつかの実施形態において、除去される検体は開始サンプル中の任意の検体である。他の実施形態において、第1の対象となる検体は開始サンプル中で最も高い濃度を持つ検体であり、第2の対象となる検体は第1の特異的に欠損したサンプル中で最も高い濃度を持つ検体であり、第3の対象となる検体は第2の特異的に欠損したサンプル中で最も高い濃度を持つ検体であり、第4の対象となる検体は第3の特異的に欠損したサンプル中で最も高い濃度を持つ検体である。
【0017】
本発明の方法は、各々の検体の実質的に均一な濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するのに必要な開始サンプルの量および各々の特異的に欠損したサンプルの量を決定することを提供する。これは、当業者に対して公知の任意の方法によって達成することができる。例えば、各々の検体の実質的に均一な濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するのに必要な開始サンプルの量および各々の特異的に欠損したサンプルの量は、各々の検体について所望の濃度を選択すること、およびその所望の濃度または標的値に基づいた開始サンプルの量および必要とされる各々の特異的に欠損したサンプルの量を決定することによって決定することができる。各々の検体の、検体の標的値に対する検体の実際値の比(「標的値対実際値の比」)は、混合されたマルチプレックススタンダードについての平均比(スタンダードの均一性の指標である)を与えるように平均化することができる。例えば、検体が各々所望の濃度と全く同じ濃度を有する完全に均一のマルチプレックススタンダードは、1.0乃至1.0の標的値対実際値の比の範囲で1.0の平均の標的値対実際値の比を有する。標的値対実際値の比の範囲が0.30乃至1.90であるそれほど均一でないマルチプレックススタンダードは0.74の平均の標的値対実際値の比を有しうる。濃度の特定の実施形態において、実質的に均一のマルチプレックススタンダードは0.50乃至1.50の範囲の標的値対実際値の比を有しうる。さらなる実施形態において、実質的に均一のマルチプレックススタンダードは0.75乃至1.25の範囲の標的対実際の比を有しうる。
【0018】
所望の濃度は、調査または測定される検体および行なわれる分析に生物学的に関連する濃度に基づいて決定されるべきである。例えば、いくつかの例示的な実施形態において、マルチプレックススタンダード中の各々の検体の所望の濃度は25,000μg/mlでありえる。かかる実施形態において、マルチプレックススタンダード中の各々の検体は、例えば、1,000乃至過剰量で50,000μg/mlの間の濃度を有することができる。これは、0.04乃至2.0以上の平均の標的対実際の比を提供するだろう。各々の検体の実質的に均一な濃度を有するマルチプレックススタンダードにおいて、各々の検体の濃度は20,000乃至30,000μg/mlの間でありうる。これは、0.80乃至1.20の平均の標的対実際の比を提供するだろう。他の実施形態において、マルチプレックススタンダード中の各々の検体の所望の濃度は5,000μg/mlでありえる。かかる実施形態における、マルチプレックススタンダード中の各々検体は、1,000乃至50,000μg/mlの間の濃度を有することができる。これは、0.20乃至10以上の平均の標的対実際の比を提供するだろう。各々の検体の実質的に均一な濃度を有するマルチプレックススタンダードにおいて、各々の検体の濃度は3,000乃至7,000μg/mlの間でありえる。これは、0.60乃至1.40の平均の標的対実際の比を提供するだろう。
【0019】
特定の実施形態において、本発明の方法は、外れ値濃度を有する対象となる検体を同定することをさらに含む。外れ値とは、値が著しく異なるか、または与えられたサンプルの値の残りから数値的に離れている統計的観測である。例示的に、外れ値濃度は所望の濃度と比較して決定することができる。例えば、所望の濃度よりも有意に高いかまたは低い濃度を有するサンプルを外れ値濃度として同定することが望ましいだろう。例示的な実施形態において、外れ値は、所望の濃度よりも有意に高いかまたは低い濃度を有し、0.50未満または1.50以上の標的値対実際値の比を有しうる。他の実施形態において、外れ値は、0.75未満または1.25以上の標的値対実際値の比を有する濃度を有しうる。他の実施形態において、外れ値は、当業者に公知の任意のスタンダードと比較して同定することができる。
【0020】
かかる実施形態において、開始サンプルまたはサンプルを、外れ値濃度を有する検体のみを除去するために処理することができる。例えば、方法は、複数の対象となる検体を含むサンプルを得ることと;各々の対象となる検体の濃度を決定することと;外れ値濃度を有する対象となる検体を同定することと;外れ値濃度を有するとして同定された少なくとも1つの検体を除去するために開始サンプルまたは特異的に欠損したサンプルを処理することによって、1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルを作成することと;各々の検体の実質的に均一な濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するのに必要な開始サンプルの量および各々の特異的に欠損したサンプルの量を決定することと;その量の開始サンプルおよび特異的に欠損したサンプルを混合してマルチプレックススタンダードを作成することとを含みうる。あるいは、最初に外れ値濃度を有する検体を除去するために開始サンプルまたは特異的に欠損したサンプルを処理し、次いで開始サンプルまたは特異的に欠損したサンプルは所望の任意の追加の検体を除去するために処理することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成は、特異的に欠損したN−1サンプルのシリーズを作成することを含み、各々の後続の特異的に欠損したサンプルは、前の開始サンプルまたは前の特異的に欠損したサンプル中で最も高い濃度を有する対象となる検体を実質的に除去している。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明はマルチプレックススタンダードの希釈物のシリーズを製造することをさらに含む。希釈物のこのシリーズは未知のサンプルの解析のためのスタンダードカーブを作成するために使用することができる。スタンダードカーブは、経験的な値に対して検体の既知の濃度に関する分析データをプロットすることによって生成され、物質(特にタンパク質およびDNA)の濃度を決定するために使用される。
【0023】
なおさらなる実施形態において、本発明は、複数の対象となる検体を含む複数の開始サンプルを得ることと;各々の開始サンプル中の各々の対象となる検体の濃度を決定することと;1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルを作成することと;各々の検体の所望の濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するのに必要な各々の特異的に欠損したサンプルの量を決定することと;この量の開始サンプルおよび特異的に欠損したサンプルを混合してマルチプレックススタンダードを作成することとを含む、複数の検体についてのマルチプレックススタンダードを複数の開始サンプルから作成する方法を提供する。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成は、対象となる検体の少なくとも1つを実質的に除去するために開始サンプルの少なくとも1つの一部を処理することを含む。
【0024】
本発明は、複数の開始サンプルを利用するマルチプレックススタンダードの作成をさらに提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20またはそれ以上の開始サンプル、またはその中で推論可能な任意の範囲を提供する。特定の実施形態において、マルチプレックススタンダードは5個の開始サンプルから作成される。かかる実施形態において、1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成は少なくとも1つの、対象となる検体を開始サンプルから除去するために、第1、第2、第3、第4、および/または第5の開始サンプルの一部を処理して第1、第2、第3、第4、および/または第5の特異的に欠損したサンプルを作成することを含むことができる。別の実施形態において、マルチプレックススタンダードは10個の開始サンプルから作成され、1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成は、少なくとも1つの対象となる検体を開始サンプルから除去するために、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、および/または第10の開始サンプルの一部を処理して第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、および/または第10の特異的に欠損したサンプルを作成することを含む。
【0025】
本明細書において記載された任意の方法または組成物は、本明細書において記載された他の方法または組成物に対して実行できることが意図される。
【0026】
請求項における用語「または」の使用は、選択肢の一つのみを指すかまたは選択肢が互いに排他的であることが明瞭に示されない限り、「および/または」を意味するように使用されるが、本開示は選択肢の一つのみおよび「および/または」を指すという定義も支持する。
【0027】
本出願の全体にわたって、用語「約」は、ある値が、その値を決定するために用いられている装置または方法に関する誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。
【0028】
長年にわたる特許法に従い、単語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、請求項または明細書において単語「含む(comprising)」と併用して使用される場合、特に示されない限り、1つまたは複数を示す。
【0029】
本発明の他の目的、特色および利点は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体的な例は本発明の具体的な実施形態を示してはいるものの、本発明の趣旨および範囲内の様々な変化および修飾は、この詳細な説明から当業者には明らかになるので、単なる例示として与えられることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】PS−1親和性カラムの使用の結果を示した図である。PS−1に対する抗体のシグナルはもとのシグナルの30%未満に減少した。
【図2】PS−4親和性カラムの使用の結果を示した図である。PS−4に対する抗体のシグナルはもとのシグナルの20%未満に減少した。
【図3】PS−9親和性カラムの使用の結果を示した図である。PS−9に対する抗体のシグナルはもとのシグナルの5%未満に減少した。
【図4】PS−12親和性カラムの使用の結果を示した図である。PS−12親和性カラムはすべてのPS抗体を非特異的に減少させた。
【図5】PS−23親和性カラムの使用の結果を示した図である。PS−23親和性カラムはすべてのPS抗体を非特異的に減少させた。
【図6】PS−57親和性カラムの使用の結果を示した図である。PS−57に対する抗体のシグナルはもとのシグナルの10%未満に減少した。
【図7】対照で検出された抗体レベルのパーセンテージ。サンプルを対応するポリサッカライドでインキュベーションした。
【発明を実施するための形態】
【0031】
I. 本発明について
本発明は、標的検体を合成的に作成することができない生物学的分析、または産生設定において容易にこれらの標的検体を精製および/または操作することができない生物学的分析のためのスタンダードカーブの確立における使用のための材料の調製に対するアプローチを提供する。1つの例は血清学分析であり、その場合は生物(ヒトなどの)において様々な検体に対する抗体レベルを産生しなければならないが、そのように産生された各々の抗体のレベルは制御または調節することができない。本発明は、特異的に欠損した溶液を産生するために標的検体の除去を利用し、次いで、それは特異的かつ実質的に均一のレベルの標的検体を含有する混合物を調製するのに使用することができる。
【0032】
特定の実施形態において、本発明は、マルチプレックス分析のためのスタンダードを作成する方法を提供する。本明細書において使用される時、語句「マルチプレックス」または文法的な同意語は、1つのサンプルあたり1つ以上の対象となる標的検体の並列の検出、解析または増幅を指す。複数の異なる検体(マルチプレックス)の解析は同時に行なうことができる。検出は、マイクロアレイおよびビーズアレイを含むが、これらに限定されない様々なプラットフォーム上で行なわれる。
【0033】
II. 特異的に欠損したサンプルの産生
いくつかの態様において、本発明は対象となる検体を実質的に除去するために開始サンプルまたは特異的に欠損したサンプルの一部を処理することを含む、1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルを作成することを提供する。検体は、測定される任意の物質(例えばタンパク質、抗体またはプロテアーゼ)でありえる。サンプルからタンパク質、抗体またはプロテアーゼを除去する方法は、当業者に周知であり、以下に記載される方法を含むが、これらに限定されない。特異的に欠損したサンプルを作成するために特異的検体を除去する前に、それらの対象となる検体の濃度は既知である/定量されうる。
【0034】
A. 対象となる検体の定量化
本発明の方法は、各々の対象となる検体の濃度を決定することを提供する。当業者は、以下に記載されたものを含むが、これらに限定されない対象となる任意の検体の定量のための、様々な方法が存在することを理解するだろう。
【0035】
1.ELISA
いくつかの免疫検出方法は、少し記述すると、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、放射免疫分析(RIA)、免疫放射定量分析、蛍光免疫分析、化学発光分析、生物発光分析およびウエスタンブロットを含む。様々な有用な免疫検出方法の工程は、例えば、Doolittle and Ben-Zeev, 1999; Gulbis and Galand, 1993; De Jager et al., 1993;およびNakamura et al., 1987などの科学文献において記載され、各々は参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0036】
効果的な条件下で、および免疫複合体の形成を可能にするのに十分な期間で、抗体と選択された生物学的サンプルを接触させること(一次免疫複合体)は、一般的にはサンプルに抗体組成物を単純に加えて、抗体が任意の存在する抗原と免疫複合体を形成する(すなわち、結合する)のに十分な長さの期間で混合物をインキュベーションする事である。この後に、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウエスタンブロットなどのサンプル−抗体組成物を、一般的には、任意の非特異的に結合された抗体種を除去するために洗浄し、一次免疫複合体内の特異的に結合された抗体のみの検出を可能にする。
【0037】
一般に、免疫複合体形成の検出は当技術分野において周知であり、多数のアプローチの適用を介して達成することができる。これらの方法は、一般的には、放射性タグ、蛍光タグ、生物学的タグおよび酵素的タグのいずれかのような標識またはマーカーの検出に基づく。かかる標識の使用に関する特許は、米国特許第3,817,837号、第3,850,752号、第3,939,350号、第3,996,345号、第4,277,437号、第4,275,149号、および第4,366,241号を含み、各々は参照することにより本明細書に組み入れられる。当然、当技術分野において公知であるように、第2の抗体および/またはビオチン/アビジンリガンド結合構成などの二次結合するリガンドの使用を介して追加の利点を見出すことができる。
【0038】
検出において用いられた選択的な抗体は、検出可能な標識にそれ自体を連結することができ、次いで単純にこの標識を検出し、それによって組成物中の一次免疫複合体の量の決定を可能にする。あるいは、一次免疫複合体内で結合されるようになる第1の抗体は、抗体に対する結合親和性を有する第2の結合リガンドを使って検出することができる。これらの事例において、第2の結合リガンドは、検出可能な標識に連結することができる。第2の結合リガンドはしばしばそれ自体が抗体であり、したがって「二次」抗体と呼ぶことができる。一次免疫複合体は、効果的な条件下で、および二次免疫複合体の形成を可能にするのに十分な期間で、標識された二次結合するリガンドまたは抗体と接触させる。次いで一般的には、任意の非特異的に結合された標識二次抗体またはリガンドを除去するために二次免疫複合体を洗浄し、次いで二次免疫複合体中の残存する標識を検出する。
【0039】
さらなる方法は、2工程のアプローチによる一次免疫複合体の検出を含む。上記されるように、抗体などの第2の結合リガンド(抗体に対する結合親和性を有する)は二次免疫複合体を形成するために使用される。洗浄の後に、二次免疫複合体を、効果的な条件下で、および免疫複合体(三次免疫複合体)の形成を可能にするのに十分な期間で、第2の抗体に対する結合親和性が有する、第3の結合リガンドまたは抗体と再び接触させることができる。典型的には第3のリガンドまたは抗体を検出可能な標識に連結し、それにより形成された三次免疫複合体の検出を可能にする。所望されるならば、このシステムはシグナル増幅を提供することができる。
【0040】
上で詳述されるように、免疫分析は、それらの最も単純および/または直接的な意味では、抗体結合分析である。特定の好ましい免疫分析は、当技術分野において公知の様々なタイプの酵素結合免疫吸着分析(ELISA)および/または放射免疫分析(RIA)である。
【0041】
1つの例示的なELISAにおいて、本発明の選択的な抗体は、ポリスチレンマイクロタイタープレート中のウェルなどのタンパク質親和性を示す選択された表面上に固定化されている。次いで、臨床サンプルなどの抗原を含有しうる試験組成物をウェルに加える。結合および/または非特異的に結合された免疫複合体を除去するために洗浄した後に、結合された抗原を検出することができる。検出は、一般的には、検出可能な標識に連結した別の抗体の添加によって達成される。このタイプのELISAは単純な「サンドイッチELISA」である。検出は第2の選択的な抗体の添加、続いて第2の抗体に対する結合親和性を有する第3の抗体(第3の抗体は検出可能な標識に連結されている)の添加によって達成することができる。
【0042】
抗原が固定化された別のELISAは、検出における抗体競合の使用を含む。このELISAにおいて、抗原に対する標識抗体をウェルに加え、結合させ、および/またはそれらの標識によって検出する。次いで、未知のサンプル中の抗原の量は、コーティングしたウェルとインキュベーションする間にサンプルを抗原に対する標識抗体と混合することによって決定される。サンプル中の抗原の存在は、ウェルへの結合に利用可能な、抗原に対する抗体の量を減少させるように作用し、それにより最終的なシグナルを減少させる。未標識抗体が抗原でコーティングしたウェルに結合し、標識抗体を結合することができる抗原の量も減少させる場合は、未知のサンプル中の抗原に対する抗体の検出についても適切である。
【0043】
用いられた形式に関係なく、ELISAは、コーティング、インキュベーションおよび結合、非特異的に結合された種の除去のための洗浄、ならびに結合された免疫複合体の検出などの特定の特色を共通に有している。これらは以下に記載される。
【0044】
抗原または抗体のいずれかによるプレートのコーティングにおいて、プレートのウェルを一般的には抗原または抗体の溶液で一晩または規定の時間インキュベーションする。次いで、プレートのウェルを不完全に吸着された材料を除去するために洗浄する。次いで、ウェルの残存する利用可能な表面は、試験抗血清に関して抗原性的に中立の非特異的タンパク質で「コーティング」される。これらは、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたは粉乳の溶液を含む。コーティングは、固定化表面上での非特異的吸着部位のブロッキングを可能にし、それにより表面上への抗血清の非特異的結合によって引き起こされるバックグラウンドを減少させる。
【0045】
ELISAにおいて、直接的な手順ではなく、二次的または三次的な検出手段の使用がたいてい慣例である。したがって、ウェルにタンパク質または抗体を結合させ、バックグラウンドを減少させるために非反応性材料によりコーティングし、未結合の材料を除去するために洗浄した後に、固定化表面を、免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするのに効果的な条件下で、検査される生物学的サンプルと接触させる。次いで、免疫複合体の検出は、標識された二次結合するリガンドまたは抗体、および標識された三次抗体または第3の結合リガンドと併用した二次結合するリガンドまたは抗体を必要とする。「免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするのに効果的な条件下」は、BSA、ウシγグロブリン(BGG)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)/ツイーンなどの溶液により抗原および/または抗体を希釈することを好ましくは含む条件であることを意味する。これらの追加薬剤は、非特異的バックグラウンドの減少を支援する傾向もある。「適切な」条件は、インキュベーションが効果的な結合を可能にするのに十分な温度または期間であることも意味する。インキュベーション工程は、典型的には、好ましくは25℃乃至27℃のオーダーの温度で約1乃至2乃至4時間程度、または約4℃程度で一晩でありえる。
【0046】
ELISAにおけるすべてのインキュベーション工程後に、接触させた表面を複合体化していない材料を除去するために洗浄する。好ましい洗浄手順は、PBS/ツイーンまたはホウ酸塩緩衝液などの溶液による洗浄を含む。試験サンプルと初めに結合された材料との間の特異的免疫複合体の形成、および続いて行なわれる洗浄の後に、免疫複合体の微量の産出でさえ決定することができる。
【0047】
検出手段の提供のために、第2の抗体または第3の抗体は、検出を可能にする関連の標識を有するだろう。好ましくは、これは、適切な色素形成基質によるインキュベーションに際して発色現像を生成する酵素であろう。したがって、例えば、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼまたは水素ペルオキシダーゼ(hydrogen peroxidase)をコンジュゲートした抗体と第1および第2の免疫複合体を、さらなる免疫複合体形成の発達を支援する期間および条件下で(例えばPBS−ツイーンなどのPBS含有溶液中の室温で2時間のインキュベーション)、接触またはインキュベーションすることが望まれる。
【0048】
標識抗体によるインキュベーション、および続いて行なわれる未結合の材料を除去するための洗浄後に、標識の量は、例えば、尿素、またはブロモクレゾールパープル、または2,2’−アジノ−ジ−(3−エチル−ベンゾチアゾリン−6−スルホン酸、または酵素標識としてペルオキシダーゼの事例においてはH2O2などの色素形成基質とのインキュベーションによって定量化される。次いで定量化は、例えば、可視スペクトル分光光度計を使用し、検体の既知量を使用して生産された類似した値に当該値を相関させて、生成された色の程度を測定することによって達成される。
【0049】
2.質量分析
質量分析は、減圧下での分子のイオン化および蒸発によりそれらを「飛行させる」ことによって、個別の分子を「量る」手段を提供する。電場および磁場の組み合わせの影響下で、イオンは、それらの個別の質量(m)および電荷(z)に応じた軌道に従う。質量分析(MS)は非常に高い選択性および感度があるので、製剤、代謝物質、ペプチドおよびタンパク質を含む広範囲の生物検体の定量化のための有力なツールになった。
【0050】
質量分析による定量化は、当業者に公知の特異的にデザインされた技術の使用によって達成される。1つの例は添加済み対照の使用である。所望の検体のアイソトープで標識した形式の既知量を、対照を作成するために溶液に加え、次いでピーク高さを分子濃度と相関させるためにそれを使用することができる。質量分析計は、対象となる検体の質量および電荷のみをモニタリングするようにセットされうる(選択イオンモニタリング(SIM)として公知である)。
【0051】
3.ウエスタンブロット解析
ウエスタンブロット解析はタンパク質の分析および同定のために一般に用いられる、確立した技術である。タンパク質を最初にポリアクリルアミドゲル中の電気泳動によって分離し、次いでニトロセルロース膜または処理されたペーパー上へ転写(「ブロット」)し、そこではタンパク質はゲル中で形成されたものと同じパターンで結合する。抗原は最初に抗体により、次いで放射性同位体、蛍光色素または酵素で標識した抗免疫グロブリンまたはプロテインAにより覆われる。当業者は、サンプル中のタンパク質の定量のためのこの一般に使用される技術に精通しているだろう。
【0052】
B. 対象となる検体のレベルの変更
開始サンプルまたは特異的に欠損したサンプルから検体を除去する方法は、当業者に周知であり、以下に記載された方法を含むが、これらに限定されない。
【0053】
1.対象となる検体の中和
特定の実施形態において、検体は、抗体の中和によってサンプルまたはスタンダードから除去される。検体を結合する分子をサンプルの中へ導入することを含むがこれに限定されない当業者に公知の任意の方法によって、検体を中和または不活性化することができる。
【0054】
2.対象となる検体の物理的な除去
他の実施形態において、検体は、対象となる検体を物理的に除去することによってサンプルまたはスタンダードから除去される。以下に記載される方法を含むがこれらに限定されない当業者に公知の任意の方法によって、検体を物理的に除去することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、対象となる検体は、検体を結合する標的を有する固体支持体上での検体の固定化によって、サンプルまたはスタンダードから除去することができる。固体支持体は、カラム、ビーズまたは当業者に公知の他の固体支持体でありえる。
【0056】
他の具体例は、様々な種類のクロマトグラフィーの使用を含む。HPLCに加えてキャピラリー吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、分子篩クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフイー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、およびガスクロマトグラフィーを含む、本発明の実施において使用することができる多くの種類のクロマトグラフィーがある。特に、対象となる検体はシリカまたは分子篩などの固体表面上への検体の吸着によって除去することができる。クロマトグラフィーは、それらの電荷、サイズ、形状および可溶性に基づいて有機化合物を分離するために使用される。クロマトグラフィーは、移動相(分離される溶媒および分子)、および移動相が進む、ペーパー(ペーパークロマトグラフィー中の)または樹脂と呼ばれるガラスビーズ(カラムクロマトグラフイー中の)のいずれかの固定相からなる。分子は化学的性質のために異なる速度で固定相を通って進む。本発明において用いることができるクロマトグラフィーのタイプは、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)および逆相クロマトグラフィー(RP)を含むが、これらに限定されない。他の種類のクロマトグラフィーは、吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび分子篩クロマトグラフィー、ならびにカラムクロマトグラフイー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーを含むそれらを使用するための多くの専門技術を含む(Freifelder, 1982)。
【0057】
a.高速液体クロマトグラフィー
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は逆相クロマトグラフィーに類似しており、この方法でのみ、プロセスは高い速度および圧力損失で行なわれる。カラムは短く直径は小さいが、それは非常に多数の平衡段階を持つことに相当する。
【0058】
他のタイプのクロマトグラフィー(例えばペーパークロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィー)があるが、クロマトグラフィーの大部分の適用はカラムを用いたものである。カラムは実際の分離が行なわれる場所である。それは、通常両端に加えられうる圧力に耐える十分な強度のガラスまたは金属のチューブである。カラムは固定相を含有する。移動相はカラムを通って動き、固定相に吸着される。カラムは、充填ベッドまたはオープンチューブカラムでありえる。充填ベッドカラムは、顆粒状の形式の固定相からなり、均質なベッドとしてカラムへと充填される。固定相は完全にカラムを満たす。オープンチューブカラムの固定相はカラム壁上の薄膜または薄層である。カラムの中心を通る通路が存在する。
【0059】
移動相は、サンプルが注入される溶媒からなる。溶媒およびサンプルはともにカラムを通って流れ、したがって移動相はしばしば「キャリア流体」と呼ばれる。固定相はカラム中の材料であり、分離される成分はそれに対して変動する親和性を有する。移動相および固定相を構成する材料は、行なわれているクロマトグラフィープロセスの一般的なタイプに応じて変動する。液体クロマトグラフィー中の移動相は、固定相ベッドを通して流れる低粘度の液体である。このベッドは、多孔性支持体上にコーティングされた不混和液体、収着剤の表面に結合された液相の薄膜、または制御された孔サイズの収着剤を含むことができる。
【0060】
高速クロマトフォーカシング(HPCF)はタンパク質分離の一次元目として液体のpI画分を産生し、続いて二次元目として各pI画分の高分解能逆相(RP)HPLCが行われる。タンパク質はここでマッピングされるが(ゲルなど)、液体画分は、タンパク消化によらずにより選択的な基準でのインタクトなタンパク質の詳細な特徴評価および同定のための(ゲルではない)質量分析(MS)に容易に結びつく。
【0061】
b.逆相クロマトグラフィー
逆相クロマトグラフィー(RPC)は、親水性溶媒と疎水性溶媒との間でサンプルを分配することによって、サンプルの溶解特性を利用する。二相の間でのサンプル成分の分配はそれぞれの溶解性に依存する。高疎水性成分は親油性相中に見出されるが、低疎水性成分は主として親水性相中にある。RPCにおいて、化学的に結合された炭化水素鎖(2〜18の炭素)により覆われる微粒子シリカは親油性相を表わすが、粒子の周囲の有機溶媒の水性混合物は親水性相を表わす。
【0062】
サンプル成分がRPCカラムを通過する場合、分配機構は連続的に作用する。溶出液の抽出能力に依存して、サンプル成分の多くの部分または少ない部分は、この事例において固定相と呼ばれる粒子の脂質層によって可逆的に保持されるだろう。脂質層で保持される画分が多いほど、サンプル成分は、ゆっくりとカラムを下降する。移動相は固定相よりも高親水性であるので、親水性化合物は疎水性化合物よりも速く移動する。
【0063】
化合物は、高水系移動相中で逆相HPLCカラムに固着し、高有機系移動相で逆相HPLCカラムから溶出される。逆相HPLCにおいて、化合物は疎水性性質に基づいて分離される。ペプチドは有機溶媒の直線的勾配の実行によって分離することができる。
【0064】
分配機構と共に、吸着は、移動相と固定相との間の界面で作用する。吸着機構は親水性サンプル成分でより顕著であるが、疎水性サンプル成分については液−液分配機構が優勢である。したがって、疎水性成分の保持は、脂質層の厚さに大きく影響を受ける。18炭素層は、8炭素層または2炭素層よりも高疎水性の材料を提供することができる。
【0065】
移動相は有機溶媒の水溶液と見なすことができ、そのタイプおよび濃度が抽出能力を決定する。いくつかの一般に使用される有機溶媒は、疎水性を増加させる順序で、メタノール、プロパノール、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランである。
【0066】
固定相として用いられる粒子のサイズが非常に小さいために、非常に狭いピークが得られる。いくつかの実施形態において、逆相HPLCピークは、HPLCから溶出されるピークの強度に従って、二次元画像において異なる強度のバンドで表わされる。いくつかの実例において、ピークは、液相中でHPLC分離の溶出液として回収される。クロマトグラフィーピーク形状を改善し、逆相クロマトグラフィーにおけるプロトンソースを提供するために、酸を一般に使用する。かかる酸は、ギ酸、トリフルオロ酢酸および酢酸である。
【0067】
c.イオン交換クロマトグラフィー
イオン交換クロマトグラフィー(IEC)は、巨大タンパク質から小さなヌクレオチドおよびアミノ酸まで、ほとんどいかなるタイプの荷電分子の分離に適用可能である。それは、大きく変動する条件下で、タンパク質およびペプチドのために非常に頻繁に使用される。タンパク質の構造研究において、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)およびIECを連続して使用することはかなり一般的である。
【0068】
イオン交換クロマトグラフィーにおいて、荷電粒子(マトリックス)は、サンプル分子(タンパク質など)に可逆的に結合する。次いで脱離は、塩濃度を増加することによってまたは移動相のpHを変更することによって、引き起こされる。ジエチルアミノエチル基(DEAE)またはカルボキシメチル基(CM)を含有するイオン交換は、最も頻繁に生化学において使用される。DEAEおよびCMの両方のイオン特性はpHに依存的であるが、両者は、大部分のタンパク質分離が起こるpH領域の4乃至8内で、イオン交換体として良好に機能するように十分に荷電している。
【0069】
イオン交換体への吸着を支配するタンパク質の特性は、正味の表面電荷である。表面電荷がタンパク質の弱酸性基および弱塩基性基の結果であるので、分離は高度にpH依存的である。低pH値から高pH値に進むと、タンパク質の表面電荷は正電荷から負電荷の表面電荷に移行する。pH対正味表面の曲線はタンパク質の個別の特性であり、IECにおける選択性の根拠である。
【0070】
液体クロマトグラフィーのすべての形式と同様に、サンプル成分が異なる速度でカラムを通して移動できる条件が用いられる。低イオン強度では、イオン交換体に対して親和性のある成分はすべてイオン交換体のトップで強く吸着され、移動相に残存するものはない。移動相のイオン強度が中性塩を加えることによって増加した場合、塩イオンはタンパク質と競合し、より多くのサンプル成分が部分的に脱離され、カラムを下降し始める。イオン強度をさらに増加させると、多数のサンプル成分の脱離を引き起こされ、カラムを下降する速度は増加する。タンパク質の正味電荷が高いほど、脱離を引き起こすために必要とされるイオン強度は高い。特定の高レベルのイオン強度では、サンプル成分はすべて完全に脱離され、移動相として同じ速度でカラムを下降する。完全な吸着と完全な脱離の間のどこかで、移動相の与えられたpH値に最適な選択性が見出される。したがって、イオン交換クロマトグラフィーにおける選択性を最適化するために、サンプル成分の間で十分に大きな正味電荷差を生成するようなpH値が選択される。次いで、成分を部分的に脱離することによってこれらの電荷差を完全に利用するイオン強度が選択される。各々の成分がカラムを下降するそれぞれの速度は、移動相において見出される成分の割合に比例する。
【0071】
しばしば、サンプル成分はイオン交換体への吸着が非常に異なるので、単一値のイオン強度では、遅いサンプル成分は適切な時間でカラムを通過させることができない。かかる事例において、移動相中のイオン強度を連続的に増加させるために塩勾配をかける。
【0072】
3.対象となる検体の破壊
別の実施形態において、検体は、対象となる検体の破壊によってサンプルまたはスタンダードから除去される。対象となる検体は、検体を分解するために当業者に公知の任意の方法によって破壊することができる。かかる方法は、破壊剤または技術(プロテアーゼ処理または熱処理など)でサンプルを処理することを含むが、これらに限定されない。
【0073】
4.対象となる検体の隔離
さらなる実施形態において、検体は、対象となる検体の隔離によってサンプルまたはスタンダードから除去される。対象となる検体は、リポソームなどのベヒクルの中への検体の取り込みを含むが、これらに限定されない当業者に公知の任意の方法で隔離することができる。
【0074】
本発明の特定の広範囲の実施形態において、対象となる検体は、リポソーム中への検体のトラップによって隔離することができる。リポソームは、リン脂質二重層膜および内側の水性媒質によって特徴づけられる小胞構造である。多重層リポソームは、水性媒質によって分離される複数の脂質層を有する。リン脂質を過剰量の水溶液中に懸濁すると多重層リポソームは自然に形成される。脂質成分は閉じた構造を形成する前に自己再構成し、脂質二重層の間に水および溶解された溶質をトラップする(Ghosh and Bachhawat, 1991)。さらに、リポフェクタミン−核酸複合体などの陽イオン性脂質−核酸複合体が意図される。
【0075】
「リポソーム」は、封入された脂質二重層の生成によって形成された様々な単一層状および多重層状の脂質ベヒクルを包含する総称である。リン脂質は本発明に従ってリポソームの調製のために使用され、正味の正電荷もしくは正味の負電荷を保有することができるか、または中性である。リン酸ジセチルはリポソームに負電荷を与えるために用いることができ、ステアリルアミンはリポソームに正電荷を与えるために使用することができる。本発明に記載の使用のために適切な脂質は商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)はシグマ・ケミカル(Sigma Chemical)社から得ることができ、リン酸ジセチル(「DCP」)はK&Kラボラトリーズ(K&K Laboratories)社(プレーンビュー、ニューヨーク)から得られ、コレステロール(「Chol」)はカルビオケム(Calbiochem)社(ラ・ホーヤ、カリフォルニア)から得られ、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質はアヴァンティ・ポーラー・リピッド(Avanti Polar Lipids)社(バーミンガム、アラバマ)から得ることができる。クロロホルム、クロロホルム/メタノールまたはt−ブタノール中の脂質のストック溶液は、約−20℃で保存することができる。好ましくは、メタノールよりも容易に蒸発するので、クロロホルムは唯一の溶媒として使用される。
【0076】
卵または大豆ホスファチジルコリン、脳ホスファチジン酸、脳または植物ホスファチジルイノシトール、心臓カルディオリピン、および植物または細菌ホスファチジルエタノールアミンなどの天然源からのリン脂質は、もたらされるリポソームの不安定性および漏出性のために、主要ホスファチド(すなわち、全ホスファチド組成物の50%以上を構成する)として、好ましくは使用されない。
【0077】
本発明に従って使用されるリポソームは、異なる方法によって製造することができる。リポソームのサイズは合成の方法に応じて変動する。水溶液中に懸濁されたリポソームは、一般的には、脂質二重層分子の1つまたは複数の同心層を有する球形小胞の形状である。各々の層は、式XY(式中、Xは親水性モイエティであり、Yは疎水性モイエティである)によって表わされる分子の並列のアレイからなる。水性懸濁物において、同心層は、親水性モイエティが水相に接してとどまり、疎水性領域が自己会合するようにアレンジされる。例えば、水相がリポソームの内外の両方に存在する場合、脂質分子は構成XY−YXの二重層(ラメラとして公知)を形成する。
【0078】
本発明の範囲内のリポソームは公知の検査室手技に従って調製することができる。1つの好ましい実施形態において、リポソームは、容器(例えばガラスの洋ナシ形フラスコ)中の溶媒中のリポソーム脂質の混合によって調製される。容器はリポソームの予想される懸濁物の体積よりも10倍大きな体積を有するのがよい。溶媒は回転蒸発装置を使用して約40℃の陰圧下で除去される。溶媒は、リポソームの所望の体積に応じて、約5分乃至2時間以内に通常は除去される。組成物は、真空下でデシケーター中でさらに乾燥することができる。乾燥した脂質は、一般的には時間と共に質が下がる傾向があるので約1週間後に廃棄する。
【0079】
乾燥した脂質は、脂質薄膜がすべて再懸濁されるまで振盪することによって、滅菌されたパイロジェン不含有水中の約25〜50mMリン脂質で水和されうる。次いで、水性リポソームは、真空下で凍結乾燥し、密封されたアリコート(各々はバイアル中に置いた)へと分割することができる。
【0080】
別の方法では、リポソームは、以下の他の公知の実験手順に従って調製することができる。Bangham et al. (1965)の方法(その内容は参照することにより本明細書に組み入れられる);Drug Carriers in Biology and Medicine (1979)中に記載されるようなGregoriadisの方法(その内容は参照することにより本明細書に組み入れられる);Deamer and Uster (1983)の方法(その内容は参照することにより組み入れられる);およびSzoka and Papahadjopoulos (1978)によって記載されるような逆相蒸発法。前記の方法は、水性材料をトラップするそれぞれの能力およびそれぞれの水性空間対脂質の比で異なる。
【0081】
上記されるように調製された乾燥した脂質または凍結乾燥したリポソームは、核酸の溶液中で再構成され、適切な溶媒(例えば、DPBS)で適切な濃度に希釈するこができる。次いで、その混合物をボルテックスミキサーにおいて強く振盪する。カプセル化されていない核酸を29,000×gの遠心分離によって除去し、リポソーム沈殿を洗浄する。洗浄したリポソームを適切な全リン脂質濃度(例えば約50〜200mM)で再懸濁する。カプセル化された核酸の量は標準的な方法に従って決定することができる。リポソーム調整物中のカプセル化された核酸の量の測定の後に、リポソームを適切な濃度に希釈し、使用まで4℃で保存することができる。
【0082】
III. マルチプレックス分析
一旦作成されたならば、特異的に欠損したサンプルは、各々の対象となる検体の所定の濃度を含有するマルチプレックススタンダード溶液を産生するために適切な比率で混合することができる。いくつかの実施形態において、本発明は、マルチプレックススタンダードの希釈物のシリーズを製造することをさらに含む。希釈物のこのシリーズは、未知のサンプルのマルチプレックス解析のためのスタンダードカーブを作成するために使用することができる。スタンダードカーブは、検体の既知濃度を代表する経験的な測定値などの分析データのプロットによって生成することができる。スタンダードカーブに対して、サンプル中の未知の濃度の検体のために同様に導出される経験的な値を相関させることによって、サンプル中の検体(複数可)の濃度(特にタンパク質およびDNA)を計算することができる。分析データは、以下に言及されたものを含むが、これらに限定されない当業者に公知の任意の方法によって得ることができる。
【0083】
A.アレイ
本発明は、本発明で使用される分析データを生成するためのアレイの使用を含むことができる。アレイ技術は、遺伝子発現および分子間相互作用のためのハイスループットスクリーニングを可能にする。タンパク質アレイ技術は、Pandey and Mann (2000)およびMacBeath and Schreiber (2000)中に詳細に論じられ、その各々は参照することによって本明細書に特に組み入れられる。これらのアレイ(典型的には、スライドグラス上にスポットされたかまたは小さなウェルにおいて固定化された何千もの異なるタンパク質または抗体を含有する)は、非常に多数のタンパク質の生物化学的活性および結合プロフィールを一度に調べることを可能にする。かかるアレイでタンパク質相互作用を検討するために、標識タンパク質をアレイに固定化された各々の標的タンパク質とインキュベーションする。次いで、アレイは、標識分子が多くのタンパク質のうちのどれを結合するか、タンパク質の量もしくは濃度、またはタンパク質の他の特徴を決定するために解析される。当業者は、アレイを分析することができる様々な方法を承知している。
【0084】
1.タンパク質のバイオチップ分析
バイオチップは、一般に、選択した検出方法によってアドレス可能であるように、かかる様式で基材表面上の分離した識別可能な位置でそれぞれ捕捉分子のアレイが付着されている基材を含む。捕捉分子が解析サンプルに暴露される場合、サンプル中の検体は、親和性を有する表面上の捕捉分子に結合することができる。検体分子と捕捉分子との間の捕捉または相互作用は、様々な手段のいずれかによって検出または特徴づけられる。かかる検出または特徴評価方法は、当業者に対して公知であり、蛍光、発光、吸収、反射、透過、または屈折率の検出(例えば、表面プラズモン共鳴、偏光解析法、共振ミラー法、回折格子カプラー導波管法または干渉法)、免疫分析(例えばELISA)、気相イオン分光測定法、原子間力顕微鏡または質量分析および、特にSELDIを含むが、これらに限定されない。サンプル中の検体の定量化は検出の適切な方法の選択によって達成することができる。
【0085】
2.ビーズアレイ
ミクロスフェアベースの分析も、ビーズアレイプラットフォーム上で分析することができる。一般に、ビーズアレイプラットフォームは、アレイ上に分布させたビーズおよび検体をイメージングする。この方法において、ビーズアレイのイメージングは上で検討された遺伝子チップに類似する。しかしながら、検体がアレイ上の空間位置によって同定される遺伝子チップとは対照的に、ビーズアレイは、典型的には検体が結合されるコード化ミクロスフェアによって検体を同定する。
【0086】
例えば、ルミネックス(Luminex)社(オースティン、テキサス)は、Fulton et al, 1997, Clin. Chem. 43:1749-1756および米国特許第5,736,330号(その両者は参照することにより本明細書に組み入れられる)中に教示されるように、それらの蛍光に従ってミクロスフェアをコード化する方法を記載する。この方法論は、特有の蛍光プロフィールを持つ蛍光ミクロスフェア(ビーズ)は、異なる検体特異的結合剤に対して固定化され、検体特異的ビーズの蛍光ベースのアレイ(各々のビーズタイプは特有の検体に特異的である)を作成するために使用されるという原理に基づく。この技術は、各々のビーズが独立して同定されることを可能にする蛍光色素の組み合わせを用いる。検体特異的ミクロスフェアをともに混合し、異なる蛍光色で標識されたプローブと接触させる。プローブは標識されたミクロスフェア上のそれらのリガンドまたは受容体に結合し、各々のビーズの表面では特異的な分子間相互作用を決定するために使用される。サンプルは、フローサイトメーター(各々のミクロスフェアが個別に同定されることを可能にし、対応するプローブ結合シグナルが読み取られることを可能にする)で読み取られる。
【0087】
ミクロスフェアは、各々のセットの特有のオレンジ色/赤色放射プロフィールによって分類される64の別個のセットで利用可能である。異なる濃度の各々の2個の蛍光色素(オレンジ色の放射および赤色の放射)を使用して、特有のオレンジ色/赤色の放射プロフィールを持つ64個のミクロスフェアセットを調製した。ミクロスフェアは、表面のカルボキシラート基を介して事実上任意のアミン含有分子に共有結合でカップリングすることができる。あるいは、アビジンカップリングミクロスフェアは、ビオチン化分子の固定化のために利用可能である(Fulton et al, 1997, Clin. Chem. 43: 1749-1756)。
【0088】
市販で入手可能なビーズアレイの他の実例は、イルミナ(Illumina)社のBeadXpress(商標)読取り装置およびBeadStation 500(商標)を含む。
【0089】
3.抗体マイクロアレイ
抗体マイクロアレイはタンパク質マイクロアレイの特異的な形式である。抗体マイクロアレイは、細胞溶解物からのタンパク質発現を検出するために一般的な研究においてしばしば使用され、例えば血清または尿からの特殊なバイオマーカーの検出のための診断適用のために使用することができる。
【0090】
IV. 実施例
以下の実施例は本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。続く実施例において開示された技術が、本発明の実施において良好に機能するように本発明者によって見出された技術を代表すること、およびしたがってその実施のための好ましい様式を構成すると判断できることは当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される具体的な実施形態において多くの変更を行なうことができ、それでもなお本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、同様なまたは類似した結果を得ることができることを認識すべきである。
【0091】
実施例1 − 1個の開始サンプル
以下の例は、14個の検体を有する分析のためのマルチプレックススタンダードの作成を実証する。14個の検体の評価のためのマルチプレックススタンダードを、単一サンプル(S0)から作成する。S0で各々の検体のレベルは表1中に与えられる。
【0092】
【表1】

【0093】
マルチプレックススタンダードを作成するために、1セットのスタンダードが、対象となる検体をサンプルから系統的に除去することによって最初に作成される。対象となる検体は、例えば、固体支持体に結合されていることによって除去され、それによって生物学的サンプルを欠いているようにするか、または少なくともその特定の検体を低濃度にする。これは、一般的には、他の検体の検体レベルに影響せずに行われるが、このプロセスは残留量が許容されてもよいので、特定の検体の除去が100%特異的でも100%効果的でもある必要がない。スタンダードのセットは14個の検体をサンプルから連続して除去することによって作成することができる。例えば、1つの検体(PS−57)を除去するためにS0を処理することができる。これは第1の特異的に欠損したサンプル(S1)を作成する。次いで、第2の検体(PS−51)を除去するためにS1を処理し、第2の特異的に欠損したサンプル(S2)を作成する。次いで、第3の検体(PS−08)を除去するためにS2を処理し、第3の特異的に欠損したサンプル(S3)を作成する。次いで、第4の検体(PS−14)を除去するためにS3を処理し、第4の特異的に欠損したサンプル(S4)を作成する。次いで、第5の検体(PS−56)を除去するためにS4を処理し、第5の特異的に欠損したサンプル(S5)を作成する。次いで、第6の検体(PS−12)を除去するためにS5を処理し、第6の特異的に欠損したサンプル(S6)を作成する。次いで、第7の検体(PS−19)を除去するためにS6を処理し、第7の特異的に欠損したサンプル(S7)を作成する。次いで、第8の検体(PS−01)を除去するためにS7を処理し、第8の特異的に欠損したサンプル(S8)を作成する。次いで、第9の検体(PS−26)を除去するためにS8を処理し、第9の特異的に欠損したサンプル(S9)を作成する。次いで、第10の検体(PS−09)を除去するためにS9を処理し、第10の特異的に欠損したサンプル(S10)を作成する。次いで、第11の検体(PS−68)を除去するためにS10を処理し、第11の特異的に欠損したサンプル(S11)を作成する。次いで、第12の検体(PS−03)を除去するためにS11を処理し、第12の特異的に欠損したサンプル(S12)を作成する。次いで、第13の検体(PS−23)を除去するためにS12を処理し、第13の特異的に欠損したサンプル(S13)を作成する。したがって、このプロセス後に14個のスタンダード(S0〜S13)は表2中に見出される検体のレベル(μg/ml)を有する。
【0094】
【表2】

【0095】
第二に、特異的な計算されたスタンダードの混合(ここで各々は特定の検体を欠損する)が実行される。特に、マルチプレックススタンダードを作成するのに必要とされる各々のスタンダードの量は各々のスタンダード中の検体のレベルに基づいて計算される。各々のスタンダードについて計算された量が混合される場合、実質的に均一のマルチプレックススタンダードが生成される。したがって、100mlのマルチプレックススタンダードを作成するために、7.008mlのS0プラス2.951mlのS1プラス7.995mlのS2、など、表3中に示されるように、合計100mlに混合する。
【0096】
【表3】

【0097】
表4中に示される100mlのマルチプレックススタンダード中の各々の検体の濃度は、2つ(PS−23およびPS−04)を例外として、5,000μg/mlの標的値である。生物学的材料の性質のために、標的値が入力サンプルのいずれかの最高レベルで見出されるとき、標的値は与えられた検体の値を上回ることができない。したがって、S0が5,000μg/ml以上のPS−23またはPS−04の値を有していないので、PS−23およびPS−04は5,000μg/mlレベルの所望の濃度でありえない。
【0098】
【表4】

【0099】
各々の検体が標的値であるマルチプレックススタンダードを作成するために、標的値は、最低の濃度の検体の値以下で設定されるべきである。それらの状況下で、S0〜S13プールに基づいた異なる混合ストラテジーを使用して、マルチプレックススタンダードの標的値を達成することができる。100mlを製造するために、表5中に見出されるような各々のスタンダード(S0〜S13)の量を混合して、すべての14個の検体が約2,793μg/mlの濃度であるマルチプレックススタンダードを産生する。
【0100】
【表5】

【0101】
次いで、マルチプレックススタンダードはマルチプレックススタンダードのプールを作成するために系統的に希釈される。
【0102】
すべての分析が、減少させたサンプル内容を持つスタンダードの完全なセットの作成を必要とするとは限らないだろう。所望のレベルを達成するスタンダードの「部分的」セットの作成のみに必要であってもよい。これは所望の標的値に加えて実際の出発材料にも依存的である。検体レベルをゼロまで低下させることも必要ではなく、残留値はいくつかの状況において完全に許容することができる。
【0103】
実施例2 − 5個の開始サンプル
血清サンプルにおける肺炎球菌の血清型(PS)に対する14個の異なる血清型特異的抗体を代表する抗体の同定のためのマルチプレックススタンダードは、5個の開始サンプル(P1〜P5)から作成される。
【0104】
サンプルP1〜P5のセット中の14個の血清型特異的抗体の各々のレベルは、表6中に与えられる。5個の開始サンプルはマルチプレックススタンダードを作成するためにともにブレンドされる。これは、表7中に示される値を有する血清型特異的抗体の濃度をもたらす。各々の血清型特異的抗体は異なる濃度で存在し、したがってマルチプレックススタンダードは抗体濃度に関して同じではない。標的値が5,000μg/mlであるならば、血清型特異的抗体の標的濃度値に対する血清型特異的抗体の実際濃度値の比(「標的値対実際値の比」)は、0.74の平均の標的値対実際値の比で、0.30乃至1.90にわたる。1の比は、各々の血清型特異的抗体が5,000μg/mlの平均濃度を持つマルチプレックススタンダードを反映する。
【0105】
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
これとは対照的に、選択した検体の除去は、標的検体の濃度がより均一のマルチプレックススタンダードの作成を可能にし、5個の開始サンプルの混合によって得られるよりも低い標的値対実際値の比に反映される。特に、スタンダードのセットは選択した検体を開始サンプル(P1〜P5)から除去することによって作成される。例えば、P1は血清型1特異的抗体を除去するために処理され、P2は血清型3特異的抗体を除去するために処理され、P3は血清型14特異的抗体を除去するために処理され、P4は血清型5特異的抗体を除去するために処理され、P5は血清型2特異的抗体を除去するために処理される。次いで、P1〜P5は、表8中に見出される標的検体(血清型特異的抗体)のレベル(μg/ml)を有する。
【0108】
【表8】

【0109】
次いで、5個の特異的に欠損したサンプルは、マルチプレックススタンダードを作成するためにともにブレンドされる。これは、表9中で実証された濃度値を持つ血清型特異的抗体を有するスタンダードをもたらす。標的値が5,000μg/mlであるならば、標的値対実際値の比は、0.86の平均の標的値対実際値の比で、0.40乃至1.71にわたる。標的値に対する実際値の理想的な比は1.0である。したがって、このアプローチは、未修飾の開始サンプルのスタンダード混合を使用して得ることができるものよりも、所定の理想的な濃度値に近い平均実際濃度値を達成することを可能にする。
【0110】
この実施例において、追加の血清型特異的抗体の除去は、よりよい標的対実際比およびより狭い範囲の濃度値をもたらす。同様に、1つのサンプルあたり複数の除去される血清型特異的抗体を選択することは、さらに標的対実際比をより改善しかつ範囲を狭くし、したがってより均一なスタンダードを作成する。
【0111】
【表9】

【0112】
実施例3 − 10個の開始サンプル
所定の濃度で存在する14個の検体を有するマルチプレックススタンダードは、10個の開始サンプル(P1〜P10)から調製されている。実施例2でのように、マルチプレックススタンダードは複数の肺炎球菌の血清型の同定に有用でありえ、このスタンダードは、血清サンプル中の肺炎球菌の血清型に対する14個の異なる血清型特異的抗体のレベルを評価することができる。
【0113】
1セットのサンプルP1〜P10中の14個の血清型特異的抗体の各々のレベルは、表10中で提供される。10個の開始サンプルはマルチプレックススタンダードを作成するためにともにブレンドされる。これは、表10中で示される濃度値で存在する血清型特異的抗体をもたらす。各々の血清型特異的抗体は異なる濃度で存在し、したがってマルチプレックススタンダードは、14個の異なる血清型特異的抗体の濃度に関して同じではない。標的濃度値が5,000μg/mlであるならば、標的値対実際値の比は、1.01の平均の標的値対実際値の比で、0.59乃至1.73にわたる。
【0114】
【表10】

【0115】
【表11】

【0116】
これとは対照的に、選択した検体(この実施例において血清型特異的抗体)の除去は、14個の異なる検体のより均一な濃度を有するスタンダードの調製を可能にし、10個の未修飾の開始サンプルのスタンダード混合によって得られるものよりも低い標的値対実際値の比に反映される。特に、スタンダードのセットは、選択した検体を開始サンプル(P1〜P10)から連続して除去することによって作成される。例えば、P2は血清型1特異的抗体を除去するために処理され、P4は血清型5特異的抗体を除去するために処理され、P5は血清型2特異的抗体を除去するために処理され、P6は血清型3特異的抗体を除去するために処理され、P8は血清型4特異的抗体を除去するために処理され、P9は血清型6特異的抗体を除去するために処理され。次いで、P1〜P10は、表12中で示される検体(μg/ml)のレベルを有する。
【0117】
【表12】

【0118】
次いで、10個の特異的に欠損したサンプルは複数の検体の所定の濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するためにともにブレンドされる。これは、表13中で示される濃度値で存在する血清型特異的抗体を有するスタンダードをもたらす。標的値が5,000μg/mlであるならば、標的値対実際値の比は、0.95の平均の標的値対実際値の比で、0.62乃至1.3にわたる。5個の開始サンプルで作成されたスタンダードでのように、追加の血清型特異的抗体の除去、または1つのサンプルあたり複数の血清型特異的抗体の除去は、よりよい標的対実際比およびより狭い範囲をもたらし、したがってより均一のスタンダードを作成する。
【0119】
【表13】

【0120】
実施例4 − 特異的に欠損したサンプルを作成するための肺炎球菌ポリサッカライド結合抗体の除去
特定の肺炎球菌ポリサッカライドに対する抗体が特異的に欠損したサンプルを作成するために2つのアプローチを使用した。1つのアプローチにおいて、抗体血清型の除去は、血清型中に存在する肺炎球菌抗体に特異的な肺炎球菌の抗原を有するカラム上の抗体の固定化によって達成された。カラムは、ヒドロジン(hydrozine)/酸化炭水化物化学を使用して、架橋されたアガロースビーズに個別の肺炎球菌ポリサッカライドをコンジュゲートすることによって調製された。次いで、親和性クロマトグラフィー媒質を1mlのスピンカラムへとロードした。もたらされたサンプルは対象となる検体を除去するカラムの能力について検査され、親和性クロマトグラフィー樹脂の効果を、特異的なポリサッカライドなしの対照樹脂と比較した。
【0121】
図1〜3および6において示されるように、PS−1、PS−4、PS−9、およびPS−57に対する抗体を、特異的な親和性カラムを使用して、サンプル中にもともと存在する抗体の30%未満に特異的に減少させた。上で検討されるように、多重検体スタンダードにおける使用のために特異的に欠損したサンプルを作成するために特異的な検体を完全に除去することは必要ではない。サンプル中にもともと存在する抗体の30%未満まで、PS−1、PS−4、PS−9およびPS−57抗体を減少させることは、この実施例においては十分な減少である。図4中で示されるように、PS−12親和性カラムは、ほとんどすべての抗原に対する抗体を非特異的に減少させた。PS−23親和性カラムは、すべての肺炎球菌抗体に限定的な効果を有していた(図5)。
【0122】
別のアプローチにおいて、肺炎球菌の血清型の特異的な除去は、結合剤が対象となる血清型中に存在する肺炎球菌抗体に特異的な肺炎球菌ポリサッカライド抗原である場合、対象となる検体を除去するためにサンプルに結合剤を加えることによって達成された。もたらされたサンプルは、対象となる検体を除去する結合剤の能力について検査された。
【0123】
サンプルに抗原を加えることによって、対象となる検体は抗原に結合され、利用不可能な対象となる検体をもたらす。表14、15および16ならびに図7中で示されるように、1ug/mlの対応するポリサッカライドが抗体を結合するために使用される場合、対象となる検体が特異的に欠損したサンプルは、PS−1、PS−4、PS−9、PS−12、PS−23およびPS−57の血清型について成功して作成された。より少ない量のポリサッカライドは、さらに特定の検体について特異的に欠損したサンプルをもたらした(表14、15および16ならびに図7)。
【0124】
【表14】

【0125】
【表15】

【0126】
【表16】

【0127】
本明細書において開示および請求された組成物および方法はすべて、不必要な実験なしに本開示に照らして製造および実施することができる。本発明の組成物および方法は好ましい実施形態に関して記載されているが、本発明の概念、趣旨および範囲から逸脱せずに、本明細書において記載された組成物および方法に、ならびに方法の工程または工程の連続において変化を適用できることは当業者に明らかだろう。より具体的には、化学的および生理的の両方に関連する特定の薬剤が、同じまたは類似した結果を達成しながら、本明細書において記載された薬剤を置換できることは明らかだろう。当業者に明らかなかかる類似した代替物および修飾はすべて、添付された請求項によって定義されるような、本発明の趣旨、範囲および概念内であると考えられる。
【0128】
参照文献
以下の参照文献は、本明細書において示したものへの補足として例示的な手順の詳細または他の詳細を提供する程度に、具体的に参照することにより本明細書に組み入れられる。
・米国特許 3,817,837
・米国特許 3,850,752
・米国特許 3,939,350
・米国特許 3,996,345
・米国特許 4,275,149
・米国特許 4,277,437
・米国特許 4,366,241
・Bangham et al., J. Mol. Biol., 13(l):238-252; 253-259, 1965.
・De Jager et al, Semin. Nucl. Med., 23(2):165-179, 1993.
・Deamer and Uster, In: Liposome Preparation: Methods and Mechanisms, Ostro (Ed.), Liposomes, 1983.
・Doolittle and Ben-Zeev, Methods MoI, Biol,, 109:215-237, 1999.
・Freifelder, In: Physical Biochemistry Applications to Biochemistry and Molecular Biology, 2nd Ed. Wm. Freeman and Co., NY, 1982.
・Ghosh and Bachhawat, In: Liver Diseases, Targeted Diagnosis and Therapy Using Specific Receptors and Ligands, Wu et al. (Eds.), Marcel Dekker, NY, 87-104, 1991.
・Gregoriadis, In: Drug Carriers in Biology and Medicine, Gregoriadis (Ed.), 287-341, 1979.
・Gulbis and Galand, Hum. Pathol, 24(12):1271-1285, 1993.
・MacBeath and Schreiber, Science, 289(5485):1760-1763, 2000.
・Nakamura et al., In: Handbook of Experimental Immunology (4th Ed.), Weir et al., (Eds). 1:27, Blackwell Scientific Publ, Oxford, 1987.
・Pandey and Mann, Nature, 405(6788):837-846, 2000.
・Szoka and Papahadjopoulos, Proc. Natl. Acad. Sd. USA, 75:4194-4198, 1978.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体についてのマルチプレックススタンダードを開始サンプルから作成する方法であって、
(a)複数の対象となる検体を含むサンプルを得ること;
(b)各々の対象となる検体の濃度を決定すること;
(c)1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルを作成すること;
(d)各々の検体の実質的に均一な濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するのに必要な開始サンプルの量および各々の特異的に欠損したサンプルの量を決定すること;
(e)その量の開始サンプルおよび特異的に欠損したサンプルを混合してマルチプレックススタンダードを作成すること
を含む方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成が、第1の対象となる検体の少なくとも70%を除去するために開始サンプルの一部を処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成が、
(a)第1の対象となる検体を除去するために開始サンプルの一部を処理して第1の特異的に欠損したサンプルを作成すること、
(b)第2の対象となる検体を除去するために第1の特異的に欠損したサンプルの一部を処理して第2の特異的に欠損したサンプルを作成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の対象となる検体が前記開始サンプル中で最も高い濃度を有する検体であり、前記第2の対象となる検体が前記第1の特異的に欠損したサンプル中で最も高い濃度を有する検体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルを作成することが、
(c)第3の対象となる検体を除去するために第2の特異的に欠損したサンプルの一部を処理して第3の特異的に欠損したサンプルを作成すること;
(d)第4の対象となる検体を除去するために第3の特異的に欠損したサンプルの一部を処理して第4の特異的に欠損したサンプルを作成すること
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の対象となる検体が前記開始サンプル中で最も高い濃度を有する検体であり、前記第2の対象となる検体が前記第1の特異的に欠損したサンプル中で最も高い濃度を有する検体であり、前記第3の対象となる検体が前記第2の特異的に欠損したサンプル中で最も高い濃度を持つ検体であり、前記第4の対象となる検体が前記第3の特異的に欠損したサンプル中で最も高い濃度を持つ検体である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記処理が、前記検体を物理的に除去することまたは前記検体を中和することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記検体を物理的に除去することが、固体支持体上で検体を固定化することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記検体の中和が、前記検体の反応性を除去する標的分子を検体に提供することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記開始サンプルが、少なくとも3個の対象となる検体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記開始サンプルが血液サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの対象となる検体が抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記マルチプレックススタンダード中の各々の検体が、0.5乃至1.5の標的濃度に対する実際濃度の比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記マルチプレックススタンダードの希釈物のシリーズを製造することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成が、
(i)外れ値濃度を有する1つまたは複数の対象となる検体を同定すること;
(ii)外れ値濃度を有する1つまたは複数の対象となる検体の少なくとも70%を除去するために開始サンプルの一部を処理して1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルを作成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
複数の検体についてのマルチプレックススタンダードを複数の開始サンプルから作成する方法であって、
(a)複数の対象となる検体を含む複数の開始サンプルを得ること;
(b)各々の開始サンプル中の各々の対象となる検体の濃度を決定すること;
(c)1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルを作成すること;
(d)各々の検体の所望の濃度を有するマルチプレックススタンダードを作成するのに必要な各々の特異的に欠損したサンプルの量を決定すること;
(e)その量の開始サンプルおよび特異的に欠損したサンプルを混合してマルチプレックススタンダードを作成すること
を含む方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成が、少なくとも1つの対象となる検体の少なくとも70%を除去するために開始サンプルの少なくとも1つの一部を処理することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成が、
(a)第1の対象となる検体を除去するために第1の開始サンプルの一部を処理して第1の特異的に欠損したサンプルを作成すること;
(b)第2の対象となる検体を除去するために第2の開始サンプルの一部を処理して第2の特異的に欠損したサンプルを作成すること
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の対象となる検体が前記第1の開始サンプル中で最も高い濃度を有する検体であり、前記第2の対象となる検体が前記第2の開始サンプル中で最も高い濃度を有する検体である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記マルチプレックススタンダードが、少なくとも5つの開始サンプルから作成される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルの作成が、
(i)外れ値濃度を有する1つまたは複数の対象となる検体を同定すること;
(ii)外れ値濃度を有する1つまたは複数の対象となる検体の少なくとも70%を除去するために開始サンプルの少なくとも1つの一部を処理して1つまたは複数の特異的に欠損したサンプルを作成すること
を含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−519034(P2011−519034A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506419(P2011−506419)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/041401
【国際公開番号】WO2009/132100
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(500174502)ルミネックス コーポレーション (15)
【Fターム(参考)】