生物活性のあるヌクレアーゼの迅速なスクリーニングおよびヌクレアーゼ修飾細胞の単離
活性のあるヌクレアーゼおよびヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞を迅速に同定するための方法および組成物を本明細書に開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2009年6月30日に出願された米国特許仮出願第61/269,871号の利益を主張し、これにより、この開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示はゲノム工学およびヌクレアーゼ同定の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
標的部位に特異的に結合するように遺伝子操作されたジンクフィンガーヌクレアーゼおよびI−SceIなどのホーミングエンドヌクレアーゼを含むヌクレアーゼは、基礎研究の中のゲノム工学ならびに薬学的および生物工学的な適用に有用であることが示されている。例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ヌクレアーゼドメインに結合するように遺伝子操作部位特異的ジンクフィンガーを含むタンパク質である。このようなZFNは、様々な異なる種におけるゲノムの修飾に用いられることに成功してきた。例えば、米国特許出願公開第20030232410号、同第20050208489号、同第20050026157号、同第20050064474号、同第20060188987号、同第20060063231号、および国際公開第07/014275号を参照されたく、これらの開示は、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらのZFNを用いて、標的ヌクレオチド配列の二本鎖切断(DSB)を行うことができ、これにより、この標的遺伝子座における相同組み換え(標的組み込み)の頻度が1000倍を上回って増加する。さらに、非相同末端結合(NHEJ)による部位特異的DSBの不正確な修復も、遺伝子の破壊をもたらし得る。2つのこのようなDSBが起こると、任意の大きな領域の欠失が結果的に生じる。
【0004】
ヌクレアーゼによるゲノムの修飾は基礎科学研究および治療の開発を促進させ、インビトロおよびインビボのアッセイが、ZFN活性を測定するために開発されている。例えば、国際公開第2009/042163を参照されたい。これらのアッセイは、真核細胞のゲノムの所定の位置にZFNを動員することによって触媒されるDNA二本鎖切断(DSB)を修復する異なる経路に基づく。DSBは、非保存的非相同末端結合(NHEJ)経路または保存された相同指向修復(homology directed repair(HDR))のいずれか一方によって修復される。さらに、一本鎖アニーリング(SSA)と呼ばれる非保存的HDR経路もほとんどの細胞に存在する。このSSA経路は、HR経路を有する細胞機構のいくつかを共有する。
【0005】
ゲノム中のヌクレアーゼが目的とする遺伝子座に結合し、切断するヌクレアーゼの能力の向上を測定することによって生物活性のあるヌクレアーゼを検出することに加えて、所望のヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞を同定し、濃縮することも望ましい。現在、多くの現存する方法は、所望の遺伝子座への薬剤選択マーカーの組み込みおよび発現を頼りにしている。このマーカーおよび/または薬剤選択遺伝子は、永久的に細胞ゲノムに組み込まれるか、または長期間、エピソーム型で存在する場合が多い。最終細胞クローンの中にこれらの遺伝因子が存在することは、望ましくない場合が多い。ランダム組み込みの発生率が高いと、所望の標的遺伝子座での修飾がない細胞クローンのバックグラウンドが高くなり得る。
【0006】
したがって、ゲノムに組み込まれる薬剤選択または永久マーカーを用いることなく、ヌクレアーゼ活性をスクリーニングし、かつ所望のゲノムが修飾された細胞を同定するための追加のアッセイのニーズが依存としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゲノムに永久的に組み込まれる薬剤選択またはマーカーを使用することなく、ヌクレアーゼ(例えば、ZFN)活性をスクリーニングするための方法および組成物、ならびに内因性遺伝子座においてゲノムが修飾された細胞株、すなわちクローンの効率的濃縮のための方法および組成物を本明細書に記載する。これらのアッセイは、機能しない遺伝子、好ましくは、レポーター遺伝子の部位(例えば、遺伝子操作部位)で切断するヌクレアーゼを利用する。この機能しない遺伝子は、好ましくは、エピソームである(すなわち、コンストラクトの中に位置し、内因性遺伝子座の中にはない)。ヌクレアーゼがこの遺伝子操作部位を切断することにより、相同領域は、この機能しない遺伝子をSSAにより修復および再構成することが可能になる。この機能しない遺伝子の中の遺伝子操作部位は、切断が望まれる内因性標的遺伝子座の中の標的部位と同じ配列を有し、その結果、このコンストラクトの機能しないレポーター遺伝子が切断されると、この内因性部位で切断が生じる。したがって、SSA修復の相対的効率は、この内因性標的遺伝子座におけるヌクレアーゼ活性の相対的効率と十分に相関する。本明細書に記載のアッセイにおいて、SSAによる修復を行う個々の細胞は、内因性標的遺伝子座における修飾の増加も示すので、所望のゲノムが修飾された細胞の迅速な同定が可能になる。本明細書に記載の方法および組成物は、選択または他のマーカーのゲノムへの組み込みに関連する障害を著しく軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、1つ以上のヌクレアーゼによる標的配列のSSAによる切断を検出するためのレポーターコンストラクトを本明細書に記載する。このレポーターコンストラクトは、遺伝子をコードする配列およびこの遺伝子をコードする配列の中に挿入されるヌクレアーゼの1つ以上の標的部位を含む配列を含み、その結果、この遺伝子は、この標的部位がSSAによって切断および修復されるまで非機能的である(機能しない)。この標的部位の切断後、この遺伝子をコードする配列はSSAにより再構成され、遺伝子機能が回復する。
【0009】
したがって、特定の実施形態において、このレポーターコンストラクトは、5’から3’方向に、レポーター遺伝子の第1の部分をコードする第1のヌクレオチド配列、このレポーター遺伝子の第2の部分をコードする第2のヌクレオチド配列、ヌクレアーゼの1つ以上の標的配列を含む配列、このレポーター遺伝子の第2の部分をコードする第3のヌクレオチド配列、およびこのレポーター遺伝子の第3の部分をコードする第4のヌクレオチド配列を含む。このレポーター遺伝子の第1、第2、および第3の部分は、機能的なレポーター遺伝子をコードする。本明細書に記載のレポーターコンストラクトのいずれも、このレポーター遺伝子に作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルおよび/またはプロモーター(例えば、構成的プロモーター)をさらに含み得る。さらに、このレポーター遺伝子は、光生成タンパク質(例えば、GFP)、酵素、細胞表面受容体、および/または選択可能なマーカーをコードすることができる。
【0010】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のレポーターコンストラクトのいずれかを含む宿主細胞を提供する。特定の実施形態において、この細胞は、真核細胞(例えば、哺乳類細胞)である。このレポーターコンストラクトを、この宿主細胞において一過的にまたは安定的に発現させてもよい。これらの宿主細胞のいずれも、ヌクレアーゼ、例えば、ホーミングヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、またはヌクレアーゼドメインと融合したTALエフェクタードメインを含むヌクレアーゼをコードする配列をさらに含み得る。
【0011】
さらに別の態様において、特異的標的部位で切断を引き起こす1つ以上のヌクレアーゼを同定する方法であって、このヌクレアーゼを発現させる1つ以上の発現コンストラクトを本明細書に記載の宿主細胞のいずれかに導入するステップ(その際、このレポーターコンストラクトはこのヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、このヌクレアーゼが発現するような条件下でこれらの細胞を培養するステップ、ならびにこれらの細胞におけるレポーター遺伝子発現のレベルを測定するステップ(その際、レポーター遺伝子発現のレベルの増加は、ヌクレアーゼが引き起こすこの標的配列の切断の増加と相関する)を含む方法を本明細書に提供する。
【0012】
さらに別の態様において、特異的標的部位で切断を引き起こすヌクレアーゼを同定する方法を提供する。特定の実施形態において、これらの方法は、1つ以上のヌクレアーゼおよび/またはヌクレアーゼもしくは一対のヌクレアーゼをコードする1つ以上のヌクレアーゼ発現コンストラクトを、本明細書に記載のレポーターコンストラクトを含む宿主細胞に導入すること(このレポーターコンストラクトは、このヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、このヌクレアーゼが発現する条件下でこれらの細胞を培養すること、ならびにこれらの細胞におけるレポーター遺伝子発現のレベルを測定すること(その際、レポーター遺伝子発現のレベルの増加は、ヌクレアーゼが引き起こすこの標的配列の切断の増加と相関する)を含む。このヌクレアーゼは、例えば、天然に存在しないDNA結合ドメイン(例えば、遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質、ホーミングエンドヌクレアーゼに由来する遺伝子操作されたDNA結合ドメイン、またはTALエフェクタードメインとヌクレアーゼドメインとの間の融合を含む遺伝子操作されたヌクレアーゼ)を含んでもよい。特定の実施形態において、このヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)または一対のZFNである。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞について細胞の集団を濃縮する方法を含み、この方法は、ヌクレアーゼまたは一対のヌクレアーゼをコードする1つ以上の発現コンストラクトを本明細書に記載の宿主細胞に導入するステップ(その際、これらの宿主細胞の中のレポーターコンストラクトは、このヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、これらのヌクレアーゼが発現するような条件下でこれらの細胞を培養するステップ、これらの細胞におけるレポーター遺伝子発現のレベルを測定するステップ、ならびにこのレポーター遺伝子を発現する細胞を選択し、それによって、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞について細胞の集団を濃縮するステップを含む。さらに、ヌクレアーゼのパネルを、全てが同じ標的配列を認識するかを同時に比較してもよい。このパネルを、並行して、SSAレポーターと共にトランスフェクトし、この試験パネルの中のそれらのヌクレアーゼ活性の迅速な指標および順位を提供してもよい。これらの方法のいずれも、この宿主細胞に外来配列を導入することをさらに含んでもよく、その結果、このヌクレアーゼは、ゲノムへのこの外来配列の標的組み込みを媒介する。特定の実施形態において、これらの方法は、このレポーター遺伝子を発現する細胞を単離することをさらに含む。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、ゲノムの修飾は遺伝子の破壊および/または遺伝子の付加である。
【0014】
本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、レポーター遺伝子活性を、例えば、レポーター遺伝子産物活性(例えば、GFP蛍光)のレベルを直接アッセイすることによって直接測定してもよい。同様に、このレポーター遺伝子を発現する細胞を、直接選択、例えば、GFPなどのレポーターの場合はFACSに基づいて、または細胞表面タンパク質、すなわち受容体をコードするレポーター遺伝子を対象とする蛍光リガンドを用いて、単離または選択してもよい。磁気選別も利用することができる。このレポーターが薬剤選択マーカーである時、薬剤選択も用いて細胞を選択してもよい。もう1つの方法として、このレポーター遺伝子のレベルを、このレポーター遺伝子がコードするタンパク質の機能を必要とする反応の下流の生成物(例えば、酵素生成物)のレベルに基づいて測定または選択することによってアッセイすることができる。
【0015】
さらに、本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、このヌクレアーゼ(例えば、ZFN、ZFN対、遺伝子操作されたホーミングエンドヌクレアーゼ、および/または天然に存在するか、もしくは遺伝子操作されたホーミングエンドヌクレアーゼDNA結合ドメインと異種性の切断ドメインの融合体、またはTALエフェクタードメインとヌクレアーゼドメインとの間の融合を含むヌクレアーゼ)は、例えば、インビトロアッセイ実験から得られる結果から、内因性標的配列を認識することが知られ得る。別の態様において、活性についてヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガータンパク質、遺伝子操作されたホーミングエンドヌクレアーゼ、またはTALエフェクタードメインとヌクレアーゼドメインとの間の融合を含むヌクレアーゼ)をスクリーニングするキットについて本明細書に記載し、このキットは、本明細書に記載のレポーターコンストラクト、付属の試薬、ならびに任意選択で、取扱説明書および適切な容器を含む。このキットは、1つ以上のヌクレアーゼも含んでもよい。
【0016】
さらに別の態様において、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞を調製するキットについて本明細書に記載し、このキットは、本明細書に記載のレポーターコンストラクトおよびこのレポーターコンストラクトの中の標的部位を認識するヌクレアーゼ、ならびに任意選択で、取扱説明書および適切な容器を含む。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に記載のキットのいずれも、機能しない遺伝子を有するコンストラクト、および既知の遺伝子操作部位で、この機能しない遺伝子の中を切断することができる既知のヌクレアーゼを少なくとも含み得る。このようなキットは、切断条件を最適化するのに有用である。他のこのようなキットは、使用者が、このような遺伝子操作部位で切断することができるヌクレアーゼを同定する、かつ/またはスクリーニングするのに使用するための、目的の遺伝子操作部位を挿入することができるコンストラクトを提供し得る。いくつかの実施形態において、この機能しない遺伝子はスクリーニングマーカー(例えば、GFP)であり、他の実施形態において、この機能しない遺伝子は抗生物質耐性をコードするマーカーなどの選択マーカーである。さらなる実施形態において、この機能しない遺伝子は細胞表面マーカー、すなわち受容体をコードし、その際、SSAによる再構成後に、このレポーターがこの細胞表面で発現し、このレポーターを用いて、SSAによる遺伝子再構成が生じたそれらのクローンを(例えば、FACSまたは磁気ビーズ選別により)同定することができる。本発明が意図する全てのキットにおいて、このレポーター遺伝子は、ポリアデニル化シグナルおよび/または調節要素(例えば、プロモーター)と作動可能に連結してもよい。本発明が提供するこのようなキットは、アッセイ条件の最適化、ヌクレアーゼのパネルのスクリーニングまたは既知のヌクレアーゼの特徴づけに有用であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】パネルA〜Dは、CHO−S細胞におけるSSAレポーターアッセイの最適化を示す図および表である。図1Aは、1本鎖アニーリングに基づくZFNスクリーニングアッセイ(SSAアッセイ)の略図である。一番上の列は、レポーターGFP遺伝子を破壊する(無能にする)ZFN部位を含むレポータープラスミドを示す。矢印はプロモーター配列を示し、「pA」はポリA配列を表す。独特の5’gfp配列、中央のgfp反復配列、および独特の3’gfp配列を、それぞれ、G、F、およびPと命名する。適切なヌクレアーゼを用いた切断およびSSAによる修復後に(中央および下の列)、機能的なgfp翻訳領域を、2つの同一の5’F配列と3’F配列との間の配列の喪失によって再構成する。
【図1B】図1Bは、CHO−S細胞におけるZFN用量最適化を示すグラフである。100万個のCHO−S細胞を、様々な量のCCR5−特異的ZFNおよび500ngのCCR5−特異的SSAレポーターを用いてAmaxaヌクレオフェクションによりトランスフェクトした。トランスフェクション後3日目に試料をアッセイし、シグナルをgfp+細胞の割合として測定した。
【図1C】図1Cは、CHO−S細胞におけるZFNスクリーニングアッセイのレポーター用量最適化を示すグラフである。様々な量のレポータープラスミドおよび1μgのCCR5ZFNプラスミドでトランスフェクトしたCHO−S細胞を、トランスフェクション後3日目にアッセイし、Guava分析によって、シグナルをgfp+細胞の割合として測定した。2本の棒の各々のセットの左側の棒はレポーターのみでトランスフェクトした細胞を示し、右側の棒は、レポーターおよびZFNでトランスフェクトした細胞を示す。
【図1D】図1Dは、ZFNスクリーニングアッセイの経時変化を示すグラフである。1μgのCCR5ZFNおよび500ngのSSAレポーターでトランスフェクトした試料のgfpシグナルを、トランスフェクション後1日目、2日目、および3日目に測定する。2本の棒の各々のセットの左側の棒はレポーターのみでトランスフェクトした細胞を示し、右側の棒は、レポーターおよびZFNでトランスフェクトした細胞を示す。
【図2】(GFPレポーターの読み取りを用いる)SSAアッセイを用いて測定した、ヌクレアーゼのNHEJ活性に対するZFN活性の相関を示すグラフである。NHEJ活性を遺伝子の修飾の割合として表す。このデータは、NHEJ活性が増加するにつれて、GFPシグナルが増加することを示す。
【図3】K562細胞のFACS選別前後のNHEJ活性を示すゲルの写真である。Cel−I分析を、GFPプラスミドのみでトランスフェクトした細胞(G)、および第IX因子特異的ZFNおよびレポーターを発現するプラスミドでトランスフェクトした細胞において行い、これらの細胞をレポーター活性に基づいて選別する(S)か、または未選別のままにしておいた(U)。レーンの番号をゲルの下に印す。レーン1はマーカー(M)であり、レーン2はブランクである。選別したレーンは、ヌクレアーゼを受け取らなかった細胞か、または未選別の細胞集団のいずれかと比較して、ZFN活性において増加を示す。
【図4】パネルA〜Cは、Hela細胞およびPBMCにおける、ZFNによるNHEJ活性の濃縮を示す写真である。図4Aは、GFPプラスミドのみ(G)で処理したHeLa細胞、またはZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトしたHeLa細胞において行ったCel−I分析の結果を示し、試料を、選別の前(U)か、またはGFP活性に基づく選別(S)の後のいずれかにおいて分析した。図4Bは、PBMC細胞におけるNHEJ活性の濃縮を示す。A0〜A4は、アデノウイルスレポーターのみで形質導入した試料である。B1〜B4は、CCR5−特異的ZFNおよびGFP−SSAアデノウイルスレポーターで形質導入した試料である。NHEJ活性の割合(%)を、レーンB1〜B4について示す。図4Cは、CCR5−特異的ZFNおよびGFP−SSAレポーターを発現するアデノウイルスで形質導入し、GFP発現に従ってFACSによって選別したPBMC細胞における結果を示す(試料を、図4Bに示すようにB1〜B4と命名した)。Cel−I分析のために、最も高いGFPを発現するものを示差的にゲーティングし、収集した。示した試料のNHEJ活性の割合(%)を各レーンの下に示す。このデータは、最もGFP発現が高い細胞が高率のNHEJも有することを示す。
【図5】パネルA〜Cは、標的組み込みを用いたK562細胞クローンの濃縮および単離を示すゲルの写真である。図5Aは、FACS選別前後のNHEJ活性を示す。Cel−I分析を、模擬トランスフェクト試料(C)、レポータートランスフェクト試料(R)、ならびに選別する(S)か、または未選別(U)のいずれか一方のZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトトランスフェクト試料において行った。レーン1はマーカー(M)である。図5Bは、FACS選別前後のパッチドナーの標的組み込みを示す。標的組み込みを、パッチドナーの遺伝子操作したBglII部位におけるPCRベースのRFLP分析によって測定した。模擬トランスフェクションを「C」と表示したレーンに示し、レポーターコンストラクトのみのトランスフェクションを「R」と表示したレーンに示す。選別する(S)か、または未選別(U)のいずれか一方のZFNおよびレポータートランスフェクト試料も示す。レーン6および7はマーカー(M)である。図5Cは、標的組み込み(TI)クローン解析の結果を示す。レーンの番号を以下に示す。個々のクローンを単離し、増殖させ、PCRベースのRFLP分析を行った。レーン1はマーカー(M)であり、レーン3はヘテロ接合クローンである。レーン4および6は、修飾された全ての対立遺伝子を有するクローン(K)である。レーン3はヘテロ接合クローン(H)である。レーン5は野生型クローン(W)である。レーン7は、選別前のプールの活性である。このデータは、最もGFP発現が高い細胞が高率の標的組み込みも有することを示す。
【図6】トランスフェクション後3日目および14日目に、Cel−I分析によって測定したZFNのNHEJ活性の濃縮比較を示す写真である。レーンの番号をゲルの下に付ける。示すように、レーン4、5、6はZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトし、その後、GFP活性によって選別した試料である。レーン7、8、9はGFP発現プラスミドでトランスフェクトし、GFP活性によって選別もした試料である。「U3」は3日目の選別前の試料を意味する。「S3」は、3日目の選別後の試料を意味する。「S14」は、トランスフェクション後14日目に選別した試料を意味する。
【図7】パネルAおよびBは、第IX因子標的化ZFN修飾細胞クローンの分析を示す写真である。図7Aは、第IX因子ZFN修飾クローンのゲノムDNAをPvuIIで消化し、146bpの独特の5’gfp配列を用いて探索したサザン解析を示す。レーン「R」は、PvuIIで消化した1ngのレポータープラスミドを示す。レーンRの主要シグナルは、このレポーターの5.8kb断片である。白色の矢印は、おそらく、組み換えレポータープラスミドの4.0kb断片である低分子の弱いバンドを指し示す。黒色の矢印は、これらのクローンに組み込まれたgfp配列のバンドを示す。クローン106において、白い横矢印は、組み換えレポータープラスミドのエピソーム型を示す。図7Bは、第IX因子ZFN修飾クローンのゲノムDNAのPCR分析を示す。増幅産物は、独特の5’gfp配列の146bp断片である。レーン7は、トランスフェクション後41日目にgfpシグナルを保持していたクローンである。
【図8】ピューロマイシンSSAレポーターを用いたCHO Bax標的化ZFN修飾HeLa細胞の結果を示す写真である。この実験において、ZFNを切断すると、ピューロマイシン耐性遺伝子の再構成が結果的に生じる。細胞を、ZFN発現プラスミドおよびピューロマイシンSSAレポーターでのトランスフェクション後24時間目に、ピューロマイシンを含む培地に蒔いた。試料を1日後または15日後に収集し、Cel−I分析を用いるミスマッチ分析に使用した。「M」はSSAレポーターを含まない模擬トランスフェクト細胞を示し、「R」は、トランスフェクションにSSAレポーターを使用したことを示す。「+」または「−」は、培地中のピューロマイシンの有無を示す。レーンの下の番号は、生じたNHEJの量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
機能的なヌクレアーゼを同定するハイスループットなインビボスクリーニングシステムのための組成物および方法、ならびに本明細書に記載の組成物を含み、本明細書に記載の方法を実行するためのキットについて本明細書に記載する。特に、これらのアッセイはレポーターシステムを用いて、標的部位における二本鎖切断を引き起こすヌクレアーゼの能力を監視する。さらに、本明細書に記載の組成物および方法を用いて、最も高い活性を有するヌクレアーゼを同定するためにヌクレアーゼのパネルをスクリーニングし、ヌクレアーゼ切断条件を最適化し、かつヌクレアーゼに引き起こされる遺伝子の破壊および/または遺伝子の付加を行った修飾細胞株、すなわち修飾クローンを迅速に濃縮することもできる。
【0020】
遺伝子操作されたヌクレアーゼ技術は、天然に存在するDNA結合タンパク質の遺伝子操作に基づく。例えば、適合したDNA結合特異性を有するホーミングエンドヌクレアーゼの遺伝子操作について記載されている。Chames et al.(2005)Nucleic Acids Res 33(20):e178;Arnould et al.(2006)J.Mol.Biol.355:443−458。さらに、ZFPの遺伝子操作についても記載されている。例えば、米国特許第6,534,261号、同第6,607,882号、同第6,824,978号、同第6,979,539号、同第6,933,113号、同第7,163,824号、および同第7,013,219号を参照されたい。
【0021】
さらに、ZFPは、ZFN、すなわちその遺伝子操作された(ZFP)DNA結合ドメインを介してその所望の遺伝子標的を認識することができる機能的実体を作製するためにヌクレアーゼドメインに付着し、このヌクレアーゼは、このZFP結合部位の近くで遺伝子の切断を引き起こす。例えば、Kim et al.(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93(3):1156−1160を参照されたい。最近になって、ZFNは様々な生物においてゲノム修飾のために使用されている。例えば、米国特許出願公開第20030232410号、同第20050208489号、同第20050026157号、同第20050064474号、同第20060188987号、同第20060063231号、および国際公開第07/014275号を参照されたい。
【0022】
植物病原体のキサントモナスから単離されたTALエフェクターDNA結合ドメインについて、最近記載された(Boch et al,(2009)Science 29 Oct 2009(10.1126/science.117881)およびMoscou and Bogdanove,(2009)Science 29 Oct 2009(10.1126/science.1178817)参照)。これらのDNA結合ドメインを遺伝子操作して、所望の標的に結合させてもよく、ヌクレアーゼドメイン(例えば、Fok1)と融合させて、TALエフェクタードメイン−ヌクレアーゼ融合タンパク質を得てもよい。したがって、本発明の方法および組成物を、TALエフェクターDNA結合ドメイン−ヌクレアーゼ融合タンパク質と共に用いて、目的の活性および他の特徴についてスクリーニングしてもよい。
【0023】
インビトロアッセイを用いる生物活性のあるヌクレアーゼの同定は、必ずしも正確には予測されない。したがって、インビボでヌクレアーゼを評価するためのアッセイが開発されている。例えば、国際公開第2009/042163号を参照されたい。しかし、これらのアッセイは、この受容体コンストラクトが宿主細胞のゲノムに安定して組み込まれた時に、最も効率的に機能する。このように、ヌクレアーゼのみでゲノムが修飾された細胞(すなわち、レポーターは組み込まれない)を容易に同定または単離することはできない。さらに、全ての生物系が、簡便な、または頑強なスクリーニングのための、容易に利用できるか、または実験的に細工しやすい細胞株を有するとは限らない。
【0024】
さらに、全てのインビボシステムがそれ独自の特色を有するので、ZFN作用を見つけ出すための特異的検出アッセイを開発する必要がある。したがって、天然に存在するホーミングエンドヌクレアーゼとは異なる結合特異性を有するホーミングエンドヌクレアーゼをスクリーニングするこれまでに記載されたインビボスクリーニング方法とは異なり、本明細書に記載の方法は、ヌクレアーゼのインビボ機能ならびに所望のヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞を迅速に同定し、単離する能力について、特定の標的部位に結合することが知られるヌクレアーゼを評価する迅速で効率的な方法を提供する。
【0025】
したがって、本明細書に記載の方法および組成物は、インビボで生物活性のあるヌクレアーゼを同定するための、高効率で迅速な方法を提供する。ヌクレアーゼ機能をインビボで正確に予測することに加えて、本明細書に記載のアッセイを用いて、組み込まれたレポーターコンストラクトを含まない、ヌクレアーゼ修飾細胞をスクリーニングし、単離することもできる。これらの方法および組成物は、単に、再構成されたレポーター遺伝子の活性の測定を通して、細胞において最も活性のあるヌクレアーゼの順位付けも可能にする。本明細書に記載の方法および組成物は、細胞内のヌクレアーゼのスクリーニング、最適化、および特徴づけを可能にするキットの成分も提供する。
【0026】
概要
本明細書に開示する方法の実施、ならびに本明細書に開示する組成物の調製および使用は、特に示されない限り、分子生物学、生化学、クロマチン構造およびクロマチン分析、計算化学、細胞培養、組み換えDNAならびに当該技術分野の範囲にある関連分野の従来技術を使用する。これらの技術は、文献の中で十分に説明されている。例えば、Sambrook et al.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989およびThird edition,2001;Ausubel et al.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York,1987 and periodic updates;the series METHODS IN ENZYMOLOGY,Academic Press,San Diego;Wolffe,CHROMATIN STRUCTURE AND FUNCTION,Third edition,Academic Press,San Diego,1998;METHODS IN ENZYMOLOGY,Vol.304,“Chromatin”(P.M.Wassarman and A.P.Wolffe,eds.),Academic Press,San Diego,1999;ならびにMETHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol.119,“Chromatin Protocols”(P.B.Becker,ed.)Humana Press,Totowa,1999を参照されたい。
【0027】
定義
「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は互換的に用いられ、直鎖状構造もしくは環状構造の、1本鎖もしくは2本鎖のいずれか一方の形態のデオキシリボヌクレオチドポリマーまたはリボヌクレオチドポリマーを表す。本開示の目的のために、これらの用語は、ポリマーの長さに関して限定するように解釈されるべきではない。これらの用語は、天然のヌクレオチドの既知の類似体、ならびに塩基部分、糖部分および/またはリン酸部分(例えば、ホスホロチオエート骨格)が修飾されたヌクレオチドを含み得る。一般に、特定のヌクレオチドの類似体は、同じ塩基対形成特異性を有する。すなわち、Aの類似体は、Tと塩基対を形成する。
【0028】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は互換的に用いられ、アミノ酸残基のポリマーを表す。この用語は、1つ以上のアミノ酸が、天然に存在する対応するアミノ酸の化学的類似体または修飾された誘導体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。
【0029】
「結合」とは、巨大分子間(例えば、タンパク質と核酸との間)の配列特異的な、非共有結合の相互作用を表す。全体としての相互作用が配列特異的である限り、結合相互作用の全ての成分が配列特異的である(例えば、DNA骨格の中のリン酸残基と接触する)必要はない。このような相互作用は、一般に、10-6M-1以下の解離定数(Kd)によって特徴づけられる。「親和性」とは結合の強さを表し、結合親和性の増加は低いKdと相関する。
【0030】
「結合タンパク質」は、別の分子に非共有結合することができるタンパク質である。結合タンパク質は、例えば、DNA分子(DNA結合タンパク質)、RNA分子(RNA結合タンパク質)および/またはタンパク質分子(タンパク質結合タンパク質)に結合することができる。タンパク質結合タンパク質の場合、結合タンパク質は(ホモ二量体、ホモ三量体などを形成するために)それ自身に結合することができ、かつ/または1つまたは複数の異なるタンパク質の1つ以上の分子に結合することができる。結合タンパク質は、2種類以上の結合活性を有し得る。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA結合活性、RNA結合活性およびタンパク質結合活性を有する。
【0031】
「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」(または結合ドメイン)は、1つ以上のジンクフィンガーを介して、配列特異的な方法でDNAに結合するタンパク質または巨大タンパク質の中のドメインであり、このジンクフィンガーは、構造が亜鉛イオンの配位により安定化される結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語は、ジンクフィンガータンパク質またはZFPと省略される場合が多い。
【0032】
ジンクフィンガー結合ドメイン(例えば、認識ヘリックス領域)を「遺伝子操作」し、所定のヌクレオチド配列に結合させることができる。このジンクフィンガーの遺伝子操作される領域は、典型的には、認識ヘリックス、特に、−1〜+6の番号のαヘリックス領域の部分である。遺伝子操作される認識ヘリックスの骨格配列は当該技術分野で公知である。例えば、Miller et al.(2007)Nat Biotechnol 25,778−785を参照されたい。ジンクフィンガータンパク質を遺伝子操作する方法の限定されない例として、設計および選択が挙げられる。設計されたジンクフィンガータンパク質は天然に存在しないタンパク質であり、その設計/組成物は、主として合理的基準に由来する。設計のための合理的基準には、置換規定、ならびに既存のZFP設計および結合データのデータベース保管情報の中の情報を処理するコンピューターアルゴリズムの適用が含まれる。例えば、米国特許第6,140,081号、同第6,453,242号、および同第6,534,261号を参照されたい。国際公開第98/53058号;同第98/53059号;同第98/53060号;同第02/016536号および同第03/016496号も参照されたい。
【0033】
「選択された」ジンクフィンガータンパク質は天然には見出されないタンパク質であり、その産生は、主として、ファージディスプレイ、相互作用トラップまたはハイブリッド選択などの実験過程からもたらされる。例えば、米国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,200,759号、国際公開第95/19431号;同第96/06166号;同第98/53057号;同第98/54311号;同第00/27878号;同第01/60970号;同第01/88197号および同第02/099084号を参照されたい。
【0034】
「TALエフェクター反復配列」は、TALエフェクターのその同族の標的DNA配列への結合に関与する構造配列である。これらの反復は、典型的には34アミノ酸長であり、ほとんど常に、TALエフェクタータンパク質の中の他のTALエフェクター反復配列と非常に高い配列相同性を示す。12位および13位は高頻度可変性を示し、この反復がどのDNAヌクレオチドと相互作用するのかを決定するアミノ酸であると考えられている。これらのアミノ酸の同一性は、この反復配列が相互作用するDNA塩基を主として決定する。ほとんどのC末端反復は、最初の20個のアミノ酸とのみ配列類似性を示す場合が多く、それゆえに、半反復と呼ばれることもある。ほとんどのN末端反復は、構造レベルでこの反復配列と類似性を示す配列をその直前に有するので、R0反復と呼ばれる。
【0035】
「TALエフェクターDNA結合ドメイン」は、1つ以上の縦列反復ドメインを介して配列特異的な方法でDNAと相互作用するタンパク質、または巨大タンパク質の中のドメインである。
【0036】
「切断」とは、DNA分子の共有結合骨格の破損を表す。切断は、リン酸ジエステル結合の酵素的または化学的な加水分解を含むが、これらに限定されない様々な方法によって開始させることができる。1本鎖切断および2本鎖切断の両方が可能であり、2本鎖切断は、2つの異なる1本鎖切断事象の結果として生じ得る。DNA切断は、平滑末端またはジグザグ末端のいずれか一方を結果的に生成することができる。特定の実施形態において、融合ポリペプチドが標的化2本鎖DNA切断に用いられる。
【0037】
「切断半ドメイン」は、(同一か、または異なるかのいずれか一方の)第2のポリペプチドと共に、切断活性(好ましくは、2本鎖切断活性)を有する複合体を形成するポリペプチド配列である。「第1および第2の切断半ドメイン」、「+および−の切断半ドメイン」および「右および左の切断半ドメイン」という用語は互換的に用いられ、二量体化する切断半ドメインの対を表す。
【0038】
「遺伝子操作された切断半ドメイン」は、別の切断半ドメイン(例えば、別の遺伝子操作された切断半ドメイン)と偏性ヘテロ2量体(obligate heterodimer)を形成するように修飾された切断半ドメインである。例えば、米国特許出願公開第2005/0064474号、同第20070218528号および同第2008/0131962号も参照されたく、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0039】
ジンクフィンガーDNA結合ドメインまたはTALエフェクターDNA結合ドメインを「遺伝子操作」して、例えば、TALエフェクタータンパク質内の天然の反復ドメインの12位および13位における高頻度可変性二残基領域(hypervariable diresidue region)の遺伝子操作により、または、ジンクフィンガータンパク質のDNA認識ヘリックスのDNA結合部分を遺伝子操作することによって、所定のヌクレオチド配列に結合させることができる。したがって、遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質およびTALエフェクタータンパク質は、天然に存在しないタンパク質である。ジンクフィンガータンパク質およびTALエフェクタータンパク質を遺伝子操作する方法の限定されない例として、設計および選択が挙げられる。設計されたジンクフィンガータンパク質またはTALエフェクタータンパク質は、その設計/組成物が主に合理的基準に由来する天然に存在しないタンパク質である。設計のための合理的基準には、置換規定の適用、ならびに既存のジンクフィンガータンパク質またはTALエフェクターの設計および結合データのデータベース保管情報の中の情報を処理するコンピューターアルゴリズムが含まれる。
【0040】
「クロマチン」は、細胞ゲノムを含む核タンパク質構造である。細胞のクロマチンは、核酸、主としてDNA、およびをヒストン染色体タンパク質および非ヒストン染色体タンパク質含むタンパク質を含む。真核細胞のクロマチンの大部分はヌクレオソームの形態で存在し、その際、ヌクレオソームコアは、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4の各々2つずつを含む8量体と会合した約150塩基対のDNAを含み、(生物によって様々な長さの)リンカーDNAがヌクレオソームコア間に伸びている。ヒストンH1の分子は、一般に、このリンカーDNAと会合している。本開示の目的のために、「クロマチン」という用語は、原核生物および真核生物の両方の細胞核タンパク質の全ての種類を含むと意図される。細胞のクロマチンには、染色体クロマチンおよびエピソームクロマチンの両方が含まれる。
【0041】
「染色体」は、細胞のゲノムの全てまたは一部を含むクロマチン複合体である。細胞のゲノムは、この細胞のゲノムを含む全ての染色体の集合体である染色体の核型によって特徴づけられる場合が多い。細胞のゲノムは、1つ以上の染色体を含み得る。
【0042】
「エピソーム」は、複製する核酸、核タンパク質複合体、または細胞の染色体の核型の部分ではない核酸を含む他の構造体である。エピソームの例として、プラスミドおよび特定のウイルスゲノムが挙げられる。
【0043】
「標的部位」または「標的配列」は、結合のための十分な条件が存在するという条件で、結合分子が結合する核酸の一部を規定する核酸配列である。例えば、5’−GAATTC−3’という配列は、Eco RI制限エンドヌクレアーゼの標的部位である。
【0044】
「外来」分子は、通常は細胞に存在しないが、1つ以上の遺伝学的方法、生化学的方法、または他の方法によって細胞に導入することができる分子である。「通常細胞に存在する」とは、細胞の特定の発生段階および環境条件に関して決定される。したがって、例えば、筋肉の胚発生の間にのみ存在する分子は、成人の筋肉細胞に関して外来分子である。同様に、熱ショックによって誘導される分子は、熱ショックを受けていない細胞に関して外来分子である。外来分子は、例えば、機能不全の内因性分子の機能型、または正常に機能する内因性分子の機能不全型を含み得る。
【0045】
外来分子は、とりわけ、例えば、コンビナトリアルケミストリー過程によって生成される小分子、またはタンパク質、核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、多糖、上記の分子の任意の修飾された誘導体、もしくは上記の分子の1つ以上を含む任意の複合体などの巨大分子であり得る。核酸は、DNAおよびRNAを含み、1本鎖または2本鎖であり得、直鎖状、分岐状、または環状であり得、かつ任意の長さであり得る。核酸には、二重鎖を形成することができる核酸、および三重鎖を形成する核酸が含まれる。例えば、米国特許第5,176,996号および同第5,422,251号を参照されたい。タンパク質には、DNA結合タンパク質、転写因子、クロマチン再構成因子、メチル化DNA結合タンパク質、ポリメラーゼ、メチル化酵素、脱メチル化酵素、アセチル化酵素、脱アセチル化酵素、キナーゼ、ホスファターゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、リガーゼ、トポイソメラーゼ、ジャイレース、およびヘリカーゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
外来分子は、内因性分子と同じ種類の分子、例えば、外来のタンパク質または核酸であり得る。例えば、外来核酸は、細胞に導入された感染性ウイルスゲノム、プラスミドもしくはエピソーム、または通常は細胞に存在しない染色体を含み得る。外来分子を細胞に導入するための方法は、当業者に公知であり、脂質を介する導入(すなわち、中性および陽イオン性の脂質を含むリポソーム)、エレクトロポレーション、直接的注入、細胞融合、微粒子銃、リン酸カルシウム共沈殿、DEAEデキストランを介する導入、およびウイルスベクターを介する導入を含むが、これらに限定されない。
【0047】
対照的に、「内因性」分子は、特定の環境条件下の特定の発生段階にある特定の細胞に通常存在する分子である。例えば、内因性核酸は、染色体、ミトコンドリアゲノム、葉緑体ゲノムもしくは他のオルガネラゲノム、または天然に存在するエピソーム性核酸を含み得る。さらなる内因性分子には、タンパク質、例えば、転写因子および酵素が含まれ得る。
【0048】
「融合」分子は、2つ以上のサブユニット分子が、好ましくは共有結合で連結している分子である。サブユニット分子は同じ化学的種類の分子であり得るか、または異なる化学的種類の分子であり得る。第一の種類の融合分子の例として、融合タンパク質(例えば、ZFP DNA結合ドメインと切断ドメインとの間の融合体、またはTALエフェクターDNA結合ドメインと切断ドメインとの間の融合体)および融合核酸(例えば、前記の融合タンパク質をコードする核酸)が挙げられるが、これらに限定されない。第2の種類の融合分子の例として、三重鎖を形成する核酸とポリペプチドとの間の融合体、およびマイナーグルーブバインダーと核酸との間の融合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
細胞内での融合タンパク質の発現は、融合タンパク質の細胞への送達から、または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの細胞への送達によって生じ得、その際、このポリヌクレオチドが転写され、転写産物が翻訳されて、融合タンパク質が産生される。トランススプライシング、ポリペプチド切断、およびポリペプチドライゲーションも、細胞内でのタンパク質の発現に関与し得る。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの細胞への送達のための方法を、本開示中の他の場所で提示する。
【0050】
「真核」細胞には、(酵母などの)真菌細胞、植物細胞、動物細胞、哺乳類細胞、およびヒト細胞(例えば、T細胞)が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
「作動的連結」および「作動可能に連結される(operatively linked)」(または「作動可能に連結される(operably linked)」)という用語は、並列している2つ以上の構成要素(例えば、配列エレメント)に関して互換的に用いられ、その際、これらの構成要素は、両方の構成要素が正常に機能し、かつこれらの構成要素の少なくとも1つが他の構成要素の少なくとも1つに対して影響を与える機能を媒介することができる可能性を与えるように配置されている。例として、転写調節配列が、1つ以上の転写調節因子の有無に応答してコード配列の転写のレベルを制御する場合、プロモーターなどの転写調節配列は、コード配列に作動可能に連結される。転写調節配列は、一般に、コード配列とシスで作動可能に連結されるが、それに直接的に隣接する必要はない。例えば、エンハンサーは、たとえエンハンサーとコード配列が隣接していなくても、コード配列に作動可能に連結される転写調節配列である。
【0052】
融合ポリペプチドに関して、「作動可能に連結される」という用語は、構成要素の各々が他の構成要素と連結して、もしそのように連結していなければそれが果たすであろう機能と同じ機能を果たすという事実を表し得る。例えば、ZFP DNA結合ドメインが切断ドメインに融合している融合ポリペプチドに関して、この融合ポリペプチドにおいて、ZFP DNA結合ドメイン部分がその標的部位および/またはその結合部位に結合することができる一方で、この切断ドメインがこの標的部位付近のDNAを切断することができる場合、このZFP DNA結合ドメインおよび切断ドメインは作動可能に連結されている。同様の例として、TALエフェクターDNA結合ドメインが切断ドメインに作動可能に連結していると、その結果、DNAの切断が、このTALエフェクターDNA結合ドメインの標的部位付近で生じる。
【0053】
「ベクター」は、遺伝子配列を標的細胞に導入することができる。典型的には、「ベクターコンストラクト」、「発現ベクター」、および「遺伝子導入ベクター」は、目的の遺伝子の発現を導くことができ、かつ遺伝子配列を標的細胞に導入することができる任意の核酸コンストラクトを意味する。したがって、この用語には、クローニング媒体、発現媒体、および組み込みベクターが含まれる。
【0054】
「レポーター遺伝子」または「レポーター配列」とは、好ましくは、必ずしも通例のアッセイにおいて測定されるわけではないが、容易に測定されるタンパク質産物を産生する任意の配列を表す。適切なレポーター遺伝子には、抗生物質耐性(例えば、アンピシリン耐性、ネオマイシン耐性、G418耐性、ピューロマイシン耐性)をもたらすタンパク質をコードする配列、着色タンパク質または蛍光タンパク質もしくは発光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、高感度緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ)をコードする配列、ならびに細胞増殖および/または遺伝子増幅の増強をもたらすタンパク質(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素)をコードする配列が含まれるが、これらに限定されない。エピトープタグには、例えば、FLAG、His、myc、Tap、HAまたは任意の検出可能なアミノ酸配列の1つ以上のコピーが含まれる。
【0055】
概説
最も高い頻度でヌクレアーゼの標的部位を切断するヌクレアーゼをインビボで同定するための組成物および方法を本明細書に記載する。本明細書に記載の組成物および方法を用いて、レポーターを組み込むことなく、所望のゲノムが修飾された細胞を単離することもできる。本明細書に記載の方法において、ヌクレアーゼの標的部位を含むレポーターコンストラクトを宿主細胞に導入する。このヌクレアーゼをこの細胞内で発現させ、それらの標的配列において2本鎖切断(DSB)を引き起こす(例えば、2本鎖切断を引き起こす)時、このレポーター遺伝子は、この宿主細胞の1本鎖アニーリング(SSA)機構により再構成される。このレポーター遺伝子の発現は、標準的な技術によって容易に決定され、レポーター遺伝子発現のレベルは、このヌクレアーゼがこの標的部位で切断する能力を反映する。さらに、このSSAレポーターシステムは、内因性標的部位におけるZFN、メガヌクレアーゼまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質活性を正確に評価するので、ヌクレアーゼによるSSAレポーター発現について細胞を選別することは、ヌクレアーゼ(例えば、ZFN、メガヌクレアーゼまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質)修飾細胞のハイスループットスクリーニングおよび単離を可能にする。
【0056】
それゆえに、活性のあるヌクレアーゼを測定し、所望のゲノムが修飾された細胞を選択するための迅速で、効率的なハイスループットスクリーニング法および単離法について本明細書に記載する。したがって、本明細書に記載の組成物および方法は、使用者がヌクレアーゼをスクリーニングし、所望のゲノムが修飾された細胞を選択することを可能にするキットに利用することもできる。
【0057】
レポーターコンストラクト
本明細書に記載の方法およびシステムは、試験されるヌクレアーゼの標的配列を含む配列を含むレポーターコンストラクトを利用する。このヌクレアーゼがこの標的配列を切断し、このレポーター遺伝子が一本鎖アニーリング(SSA)修復機構により再構成される時にのみこのレポーター遺伝子が機能的になるように、このレポーターコンストラクトを設計する。
【0058】
典型的には、任意のヌクレアーゼ標的配列を機能しないレポーター遺伝子配列の中央に容易に挿入できるように、レポーターコンストラクトを作製する(図1参照)。好ましくは、この標的配列をこのレポーター遺伝子の2つの同一の部分配列間に挿入する。このヌクレアーゼ標的部位のいずれかの部位における2つの同一の部分配列に、このレポーター遺伝子の独特の3’および5’コード領域が隣接する。この標的部位の切断およびSSA修復機構後に、この2つの同一の部分配列間の配列が無くなり、このレポーター遺伝子が機能的な翻訳領域に再構成される。図1Aを参照されたい。
【0059】
スクリーニングされるヌクレアーゼの1つ以上の標的部位を、PCRまたはTOPO(登録商標)および/またはGateway(登録商標)のクローニングシステムなどの市販のクローニングシステムを含む任意に適切な方法によって、このレポーターコンストラクトの中に挿入することができる。特定の実施形態において、この標的部位は、標的部位のコンカテマーを含む。標的部位は、原核生物の遺伝子または真核生物の遺伝子、例えば、哺乳類(例えば、ヒト)、酵母または植物細胞に由来し得る。このレポーターコンストラクト中の標的部位は、宿主細胞のゲノムに存在することが好ましいが、必須ではない。
【0060】
任意のレポーター遺伝子を、本明細書に記載のSSAコンストラクトの中で用いることができる。特定の実施形態において、このレポーター遺伝子は、すぐに検出可能なシグナル、例えば、GFP(緑色蛍光タンパク質)などの蛍光タンパク質のシグナルを提供する。蛍光を、例えば、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)システムを含む様々な市販の蛍光検出システムを用いて検出する。レポーター遺伝子は、検出可能な産物の産生を触媒する酵素(例えば、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、リパーゼ、ホスファターゼ、糖加水分解酵素およびエステラーゼ)でもあり得る。酵素をコードする適切なレポーター遺伝子の限定されない例として、例えば、MEL1、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ;Alton and Vapnek(1979)Nature 282:864 869)、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、β-ラクタマーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが挙げられる(例えば、Toh,et al.(1980)Eur.J. Biochem.182:231 238;およびHall et al.(1983)J.Mol.Appl.Gen.2:101)。
【0061】
さらなるレポーター遺伝子には、FACSまたは抗体がコーティングされた磁気ビーズのいずれか一方によって濃縮することができる細胞表面ベースのマーカー(例えば、受容体)、ならびに薬剤ベースの選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ネオマイシン耐性、G418耐性、ピューロマイシン耐性などの抗生物質耐性)が含まれる。細胞表面受容体のリガンドを保有する磁気ビーズまたは細胞表面受容体と相互作用することができる化合物を保有する磁気ビーズを、本発明の方法と共に用いることができる。例えば、市販のニッケル装填磁気ビーズを用いて、再構成された細胞表面タンパク質がHisタグを含む細胞を濃縮することができる。もう1つの方法として、市販の臭化シアン磁気ビーズを活性化し、選択したリガンドに結合させ、その後、本明細書に記載の方法に用いて、再構成されたSSA細胞表面レポータータンパク質を含む細胞を濃縮または精製することができる。
【0062】
このレポーターコンストラクトには、典型的には、ヌクレアーゼによって切断され、その後、SSAが機能レポーターを修復する際に、このレポーター遺伝子の発現を促進するプロモーターが含まれる。任意の適切なプロモーター、好ましくは、宿主細胞内で機能的なプロモーターが用いられ得る。特定の場合において、誘導プロモーターを使用してもよいが、好ましくは、このプロモーターは、CMVなどの構成的プロモーターである。ポリアデニル化シグナルも、このレポーターコンストラクトに含まれ得る(例えば、図1A参照)。
【0063】
宿主細胞
ヌクレアーゼが標的配列を切断する際に、機能レポーターを再構成する任意の宿主細胞を、本開示の実施で用いることができる。細胞型は、細胞株または例えば、初代細胞などの天然の(例えば、単離された)細胞であり得る。細胞株を、例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection (ATCC))から入手するか、または、例えば、Freshney et al.,Culture of Animal Cells,A Manual of Basic Technique,3rd ed.,1994、およびそこで引用されている参考文献に記載されているような、当該技術分野で公知の方法によって作製することができる。同様に、細胞を、当該技術分野で公知の方法によって単離することができる。他の限定されない細胞型の例として、癌性細胞および形質転換細胞などの病態を有するかまたは病態にかかりやすい細胞、病原体に感染した細胞、幹細胞、完全に分化した細胞、部分的に分化した細胞、不死化細胞などが挙げられる。原核(例えば、細菌)細胞または真核細胞(例えば、酵母細胞、植物細胞、真菌細胞、魚類細胞、ならびにネコ、イヌ、マウス、ウシ、ブタおよびヒトなどの哺乳類細胞)を用いることができ、真核細胞が好ましい。適切な哺乳類細胞株には、K562細胞、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、HEP−G2細胞、BaF−3細胞、シュナイダー細胞、COS細胞(SV40 T抗原を発現するサル腎細胞)、CV−1細胞、HuTu80細胞、NTERA2細胞、NB4細胞、HL−60細胞およびHeLa細胞、293細胞(例えば、Graham et al.(1977)J.Gen.Virol.36:59参照)、ならびにSP2またはNS0のような骨髄腫細胞(例えば、Galfre and Milstein(1981)Meth.Enzymol.73(B):3 46)参照)が含まれる。末梢血単核球(PBMC)またはT細胞も宿主として役立ち得る。他の真核細胞には、例えば、昆虫(例えば、sp.frugiperda)、酵母(例えば、S.cerevisiae,S.pombe,P.pastoris,K.lactis,h.polymorpha)を含む真菌細胞、および植物細胞が含まれる(Fleer,R.(1992)Current Opinion in Biotechnology 3:486 496)。
【0064】
ヌクレアーゼ
本明細書に記載の方法および組成物は広く適用可能であり、任意の目的のヌクレアーゼを含み得る。ヌクレアーゼの限定されない例として、メガヌクレアーゼおよびジンクフィンガーヌクレアーゼが挙げられる。このヌクレアーゼは、異種DNA結合ドメインおよび切断ドメイン(例えば、異種切断ドメインを有するジンクフィンガーヌクレアーゼDNA結合ドメイン、異種切断ドメインを有するメガヌクレアーゼDNA結合ドメインまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合)を含んでもよく、あるいは、天然に存在するヌクレアーゼのDNA結合ドメインを、選択された標的部位に結合するように変化させてもよい(例えば、同族の結合部位とは異なる部位に結合するように遺伝子操作したメガヌクレアーゼまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合体)。
【0065】
特定の実施形態において、このヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ(ホーミングエンドヌクレアーゼ)である。天然に存在するメガヌクレアーゼは、15〜40塩基対の切断部位を認識し、一般に4つのファミリー、すなわちLAGLIDADGファミリー、GIY−YIGファミリー、His−Cystボックスファミリー、およびHNHファミリーに分類される。例示的なホーミングエンドヌクレアーゼには、I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−Sce、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevIIおよびI−TevIIIが挙げられる。これらの認識配列は公知である。米国特許第5,420,032号;同第6,833,252号;Belfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379−3388;Dujon et al.(1989)Gene 82:115−118;Perler et al.(1994)Nucleic Acids Res.22,1125−1127;Jasin(1996)Trends Genet.12:224−228;Gimble et al.(1996)J.Mol.Biol.263:163−180;Argast et al.(1998)J.Mol.Biol.280:345−353、およびNew England Biolabs catalogueも参照されたい。
【0066】
天然に存在するメガヌクレアーゼ、主としてLAGLIDADGファミリーのDNA結合ドメインが、植物、酵母、ショウジョウバエ、哺乳類細胞およびマウスにおいて、部位特異的なゲノムの修飾を促進するために用いられているが、このアプローチは、メガヌクレアーゼ認識配列を保存している相同遺伝子(Monet et al.(1999),Biochem.Biophysics.Res.Common.255:88−93)または事前に遺伝子操作され、認識配列が導入されたゲノム(Route et al.(1994),Mol.Cell.Biol.14:8096−106;Chilton et al.(2003),Plant Physiology.133:956−65;Puchta et al.(1996),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:5055−60;Rong et al.(2002),Genes Dev.16:1568−81;Gouble et al.(2006),J.Gene Med.8(5):616−622)のいずれか一方の修飾に限定されている。したがって、医学的または生物工学的に関連する部位に新規の結合特異性を示すメガヌクレアーゼを遺伝子操作して作製する試みがなされている(Porteus et al.(2005),Nat.Biotechnol.23:967−73;Sussman et al.(2004),J.Mol.Biol.342:31−41;Epinat et al.(2003),Nucleic Acids Res.31:2952−62;Chevalier et al.(2002)Molec.Cell 10:895−905;Epinat et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:2952−2962;Ashworth et al.(2006)Nature 441:656−659;Paques et al.(2007)Current Gene Therapy 7:49−66;米国特許出願公開第20070117128号;同第20060206949号;同第20060153826号;同第20060078552号;および同第20040002092号)。さらに、メガヌクレアーゼの天然に存在するか、または遺伝子操作されたDNA結合ドメインもまた、異種ヌクレアーゼ(例えば、Fok I)の切断ドメインと作動可能に連結されている。
【0067】
いくつかの実施形態において、このヌクレアーゼはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合体である。最もよく特徴づけられているTALエフェクターの1つは、キサントモナスカンペストリス(Xanthomonas campestgris pv.Vesicatoria)のAvrBs3である(Bonas et al(1989)Mol Gen Genet 218:127−136参照)。TALエフェクターは、中心に集められた縦列反復のドメインであり、各々の反復は、これらのタンパク質のDNA結合特異性に重要である約34個のアミノ酸を含む。さらに、TALエフェクターは核局在化配列および酸性の転写活性化ドメインを含む(概説としてSchornack S,et al(2006)J Plant Physiol 163(3):256−272を参照)。さらに、植物病原性細菌ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)において、brg11およびhpx17と命名された2つの遺伝子が発見され、これらは、R.solanacearum次亜種1株GMI1000および次亜種4株RS1000において、キサントモナスのAvrBs3ファミリーに相同性がある(Heuer et al(2007)Appl and Envir Micro 73(13):4379−4384参照)。これらのTALエフェクターの特異性は、縦列反復の中で見出される配列によって決まる。この反復配列は約102bpを含み、これらの反復は、典型的には、互いに91〜100%相同である(Bonas et al,ibid)。これらの反復の多型は、通常、12位および13位に位置し、12位および13位の高頻度可変性二残基の独自性とTALエフェクター標的配列中の近接するヌクレオチドの独自性との間に一対一対応があるように思われる(Moscou and Bogdanove,(2009)Science 326:1501およびBoch et al(2009)Science 326:1509−1512参照)。したがって、TALエフェクタードメインを切断ドメイン(例えば、Fok I)と融合し、TALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質を作製することができ、これは、本発明の方法および組成物と共に用いることができる。他の実施形態において、このヌクレアーゼはジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)である。ZFNは、選択した遺伝子の中の標的部位および切断ドメインまたは切断半ドメインに結合するように遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質を含む。
【0068】
ジンクフィンガー結合ドメインは、選択した配列に結合するように遺伝子操作することができる。例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135−141;Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313−340;Isalan et al.(2001)Nature Biotechnol.19:656−660;Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632−637;Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411−416を参照されたい。遺伝子操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然に存在するジンクフィンガータンパク質と比較して、新規の結合特異性を有することができる。遺伝子操作法には、合理的設計および様々な種類の選択が含まれるが、これらに限定されない。合理的設計には、例えば、三つ組(または四つ組)のヌクレオチド配列および個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースを用いることが含まれ、その際、各々の三つ組または四つ組のヌクレオチド配列は、特定の三つ組または四つ組の配列に結合するジンクフィンガーの1つ以上のアミノ酸配列と結合する。例えば、共同所有の米国特許第6,453,242号および同第6,534,261号を参照されたく、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
ファージディスプレイおよびツーハイブリッドシステムを含む例示的な選択法は、米国特許第5,789,538号;同第5,925,523号;同第6,007,988号;同第6,013,453号;同第6,410,248号;同第6,140,466号;同第6,200,759号;および同第6,242,568号;ならびに国際公開第98/37186号;同第98/53057号;同第00/27878号;同第01/88197号、および英国特許出願公開第2,338,237号に開示されている。さらに、ジンクフィンガー結合ドメインの結合特異性の増強は、例えば、共同所有の国際公開第02/077227号に記載されている。
【0070】
標的部位の選択、ZFN、ならびに融合タンパク質(およびそれをコードするポリヌクレオチド)の設計および構築の方法は当業者に公知であり、米国特許出願公開第20050064474号および同第20060188987号に詳細に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0071】
さらに、これらおよび他の参考文献に開示されているように、ジンクフィンガードメインおよび/またはマルチフィンガー型のジンクフィンガータンパク質は、例えば、5個以上のアミノ酸長のリンカーを含む任意の適切なリンカー配列を用いて、共に連結されてもよい。6個以上のアミノ酸長の例示的なリンカー配列については、例えば、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、および同第7,153,949号を参照されたい。本明細書に記載のタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の適切なリンカーの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0072】
ZFNおよび/もしくはメガヌクレアーゼなどのヌクレアーゼならびに/またはTALエフェクタードメイン融合体は、ヌクレアーゼ(切断ドメイン、切断半ドメイン)も含む。上記のように、この切断ドメインは、DNA結合ドメインに対して異種であってもよく、例えば、ジンクフィンガーDNA結合ドメインとヌクレアーゼの切断ドメイン、メガヌクレアーゼDNA結合ドメインと異なるヌクレアーゼの切断ドメイン、またはTALエフェクタードメイン−ヌクレアーゼ融合体であってもよい。異種切断ドメインは、任意のエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼから得ることができる。切断ドメインを得ることができる例示的なエンドヌクレアーゼには、制限エンドヌクレアーゼおよびホーミングエンドヌクレアーゼが含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、New England Biolabs,Beverly,MAの2002−2003版のカタログ;およびBelfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379−3388を参照されたい。DNAを切断するさらなる酵素は公知である(例えば、S1ヌクレアーゼ;マングビーンヌクレアーゼ;膵臓DNaseI;小球菌ヌクレアーゼ;酵母HOエンドヌクレアーゼ;Linn et al.(eds.)Nucleases,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照)。これらの酵素(またはその機能的断片)のうちの1つ以上を、切断ドメインおよび切断半ドメインの供給源として用いることができる。
【0073】
同様に、切断半ドメインは、切断活性に二量体化を必要とする、上記で説明したような、任意のヌクレアーゼまたはその部分から得ることができる。一般に、融合タンパク質が切断半ドメインを含む場合、切断には2つの融合タンパク質が必要である。あるいは、2つの切断半ドメインを含む単一のタンパク質を用いることができる。この2つの切断半ドメインは、同じエンドヌクレアーゼ(もしくはその機能的断片)から得るか、または各々の切断半ドメインは、異なるエンドヌクレアーゼ(もしくはその機能的断片)から得ることができる。さらに、この2つの融合タンパク質の標的部位を、互いに関して好ましく配置し、その結果、この2つの融合タンパク質がそれらのそれぞれの標的部位に結合することによって、この切断半ドメインは互いに空間的定位に置かれ、この切断半ドメインは、例えば、二量体化によって機能的な切断ドメインを形成することが可能になる。したがって、特定の実施形態において、標的部位の近くの末端を、5〜8ヌクレオチドまたは15〜18ヌクレオチド分隔てる。しかし、任意の整数のヌクレオチドまたはヌクレオチド対(例えば、2〜50ヌクレオチド対以上)が、2つの標的部位の間に介在することができる。一般に、切断の部位は、標的部位の間にある。
【0074】
制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は多くの種に存在しており、(認識部位で)DNAに配列特異的に結合し、結合部位または結合部位の近くでDNAを切断することができる。特定の制限酵素(例えば、IIS型)は、認識部位から隔たりのある部位でDNAを切断し、分離可能な結合ドメインおよび切断ドメインを有する。例えば、IIS型酵素Fok Iは、一方の鎖上においてはその認識部位から9ヌクレオチドの位置で、他方の鎖上においてはその認識部位から13ヌクレオチドの位置で、DNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号;同第5,436,150号;および同第5,487,994号;ならびにLi et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4275−4279;Li et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2764−2768;Kim et al.(1994a)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:883−887;Kim et al.(1994b)J.Biol.Chem.269:31,978−31,982を参照されたい。したがって、一実施形態において、融合タンパク質は、少なくとも1種類のIIS型制限酵素の切断ドメイン(または切断半ドメイン)および1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインを含み、これは遺伝子操作されても、されなくてもよい。
【0075】
切断ドメインがこの結合ドメインから分離可能である、例示的なIIS型制限酵素は、Fok Iである。この特定の酵素は二量体として活性がある。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10,570−10,575。したがって、本開示の目的のために、開示した融合タンパク質に用いられるFok I酵素の部分は、切断半ドメインと考えられる。したがって、ジンクフィンガー−Fok I融合体を用いる細胞配列の標的化二本鎖切断および/または標的化置換のために、各々がFok I切断半ドメインを含む2つの融合タンパク質を用いて、触媒活性のある切断ドメインを再構成することができる。あるいは、1つのジンクフィンガー結合ドメインおよび2つのFok I切断半ドメインを含む単一のポリペプチド分子を用いることもできる。ジンクフィンガー−Fok I融合体を用いる標的化切断および標的化配列変更のためのパラメータを、本開示中の他の場所で提供する。
【0076】
切断ドメインまたは切断半ドメインは、切断活性を保持するか、または多量体化(例えば、二量体化)して、機能的な切断ドメインを形成する能力を保持するタンパク質の任意の部分であり得る。
【0077】
例示的なIIS型制限酵素は、国際公開第2007/014275号に記載されており、これはその全体が本明細書に組み込まれる。さらなる制限酵素も分離可能な結合ドメインおよび切断半ドメインを含み、これらは本開示によって熟考される。例えば、Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:418−420を参照されたい。
【0078】
特定の実施形態において、この切断ドメインは、例えば、米国特許出願公開第20050064474号および同第20060188987号ならびに(2007年5月23日に出願された)米国特許出願第11/805,850号(これらの全ての開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような、ホモ二量体化を最小限に抑えるか、またはホモ二量体化を妨げる1つ以上の遺伝子操作された切断半ドメイン(二量体化ドメイン変異体とも呼ばれる)を含む。Fok Iの446位、447位、479位、483位、484位、486位、487位、490位、491位、496位、498位、499位、500位、531位、534位、537位、および538位のアミノ酸残基は全て、Fok I切断半ドメインの二量体化に影響を与える標的である。
【0079】
偏性ヘテロ二量体を形成するFok Iの遺伝子操作された例示的な切断半ドメインには、第一の切断半ドメインがFok Iの490位および538位のアミノ酸残基において変異を含み、第二の切断半ドメインが486位および499位のアミノ酸残基において変異を含む一対が含まれる。
【0080】
したがって、一実施形態において、490位における変異はGlu(E)をLys(K)と置き換え、538位における変異はIso(I)をLys(K)と置き換え、486位における変異はGln(Q)をGlu(E)と置き換え、499位における変異はIso(I)をLys(K)と置き換える。具体的には、本明細書に記載の遺伝子操作した切断半ドメインを、一方の切断半ドメインの490位(E→K)および538位(I→K)を変異させることによって、「E490K:I538K」と命名する遺伝子操作した切断半ドメインを産生し、もう一方の切断半ドメインの486(Q→E)位および499位(I→L)を変異させることによって、「Q486E:I499L」と命名する遺伝子操作した切断半ドメインを産生することによって調製した。本明細書に記載の遺伝子操作した切断半ドメインは、偏性ヘテロ二量体変異体であり、この変異体において、異常な切断は最小限に抑えられているか、または無効になっている。例えば、米国特許出願公開第2008/0131962号を参照されたく、その開示は全ての目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0081】
本明細書に記載の遺伝子操作した切断半ドメインは、偏性ヘテロ二量体の変異体であり得、この変異体において、異常な切断は最小限に抑えられているか、または無効になっている。例えば、国際公開第07/139898の実施例1を参照されたい。特定の実施形態において、この遺伝子操作した切断半ドメインは、(野生型Fok Iに対して番号付けした)486位、499位および496位に変異を含み、例えば、486位の野生型Gln(Q)残基をGlu(E)残基と置き換え、499位の野生型Iso(I)残基をLeu(L)残基と置き換え、496位の野生型Asn(N)残基をAsp(D)残基またはGlu(E)残基と置き換える変異(それぞれ、「ELD」ドメインおよび「ELE」ドメインとも称する)を含む。他の実施形態において、この遺伝子操作した切断半ドメインは、(野生型Fok Iに対して番号付けした)490位、538位および537位に変異を含み、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基と置き換え、538位の野生型Iso(I)残基をLys(K)残基と置き換え、537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基と置き換える変異(それぞれ、「KKK」ドメインおよび「KKR」ドメインとも称する)を含む。他の実施形態において、この遺伝子操作した切断半ドメインは、(野生型Fok Iに対して番号付けした)490位および537位に変異を含み、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基と置き換え、537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基と置き換える変異(それぞれ、「KIK」ドメインおよび「KIR」ドメインとも称する)を含む(2010年2月8日に出願した米国特許仮出願第61/337,769号参照)。
【0082】
本明細書に記載の遺伝子操作した切断半ドメインを、任意の適切な方法を用いて、例えば、米国特許公開第20050064474号および同第20080131962号に記載されているような野生型切断半ドメイン(Fok I)の部位特異的変異誘発によって調製することができる。
【0083】
もう1つの方法として、ヌクレアーゼを、インビボで、いわゆる「開裂酵素」技術を用いる核酸標的部位で集合させてもよい(例えば、米国特許出願公開第20090068164号参照)。このような開裂酵素の構成要素を、別々の発現コンストラクトのいずれかで発現させるか、または個々の構成要素が、例えば、自己切断2Aペプチド配列またはIRES配列によって分離されている1つの翻訳領域の中に連結させることができる。構成要素は、個々のジンクフィンガー結合ドメインまたはメガヌクレアーゼ核酸結合ドメインのドメインであってもよい。
【0084】
ヌクレアーゼ(例えば、ZFN)を、使用前に、例えば、国際公開第2009/042163に記載の酵母ベースの染色体システムにおいて、活性についてスクリーニングすることができる。
【0085】
ヌクレアーゼ発現コンストラクトを、当該技術分野で公知の方法を用いて容易に設計することができる。例えば、米国特許出願公開第20030232410号;同第20050208489号;同第20050026157号;同第20050064474号;同第20060188987号;同第20060063231号;および国際公開第07/014275号を参照されたい。ヌクレアーゼの発現は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター、例えば、ラフィノースおよび/またはガラクトースの存在下で活性化(抑制解除)され、グルコースの存在下で抑制されるガラクトキナーゼプロモーターの制御下にあってもよい。
【0086】
キット
上記の方法のいずれかを実施するためのキットも提供する。これらのキットは、典型的には、本明細書に記載の1つ以上のレポーターコンストラクトを含み、各々のレポーターは、目的のヌクレアーゼの標的部位の挿入のためのクローニング部位を含む。例えば、特定の遺伝子に対して活性のあるヌクレアーゼをスクリーニングするキットは、所望の標的部位を含む1つ以上のレポーターコンストラクトを提供する。同様に、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞の集団について細胞を濃縮するためのキットは、これらの細胞のゲノム中に存在する標的部位を含むレポーターコンストラクトおよび目的の標的部位に特異的な1つ以上のヌクレアーゼを含む。
【0087】
これらのキットは、細胞、細胞の形質転換用緩衝液、細胞の培地、および/またはアッセイを実施するための緩衝液も含み得る。典型的には、これらのキットは、取扱説明書、包装またはこのキットの他の構成要素に取り付けられるか、もしくはそうでなければ添付される広告ビラなどの任意の物質を含むラベルも含む。
【0088】
適用
開示する方法および組成物を、任意の宿主細胞のゲノムにレポーターコンストラクトを組み込むことなく、ヌクレアーゼの内因性標的に活性のあるヌクレアーゼの迅速な同定に対して用いることができる。このようなヌクレアーゼの同定を、2つの長く伸びた相同なレポーター配列の間に挿入されるヌクレアーゼ(例えば、ZFN)結合部位で構成されるレポーターコンストラクト、好ましくは、エピソームの作製から始める。ヌクレアーゼによって切断されると、2つの相同配列はSSAを介して機能的なレポーターを修復および再構成をすることが可能になる。このレポーターの発現を可能にするこの修復の相対的効率は、内因性標的遺伝子座におけるヌクレアーゼ活性の相対的効率と十分に相関する。したがって、本明細書に記載の方法および組成物は、活性のあるヌクレアーゼのハイスループットなスクリーニングを可能にする。
【0089】
さらに、本明細書に記載の方法および組成物は、ヌクレアーゼによって修飾されたゲノムを含む細胞の効率的な単離を可能にする。エピソームプラスミドに基づくまたはウイルスに基づく(例えば、アデノウイルス、AAVもしくはレンチウイルス由来の)レポーターのSSAによる修復を実行する細胞は、NHEJ活性とドナー配列の標的組み込みの両方を含む内因性標的遺伝子座における修飾のレベルの増加も示す。したがって、修飾された細胞クローンを、このレポーター遺伝子を発現する細胞を選択することによって再構成されたSSAマーカーを用いる濃縮後に、効率的に単離することができる。例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いて、再構成されたGFPレポーターを発現する細胞を選択することができる。さらに、修復されたマーカーの発現について選択される、非常に高い割合の細胞を、この標的遺伝子の全てのコピーの位置で修飾(遺伝子の破壊または遺伝子の付加)するので、標的遺伝子の全てのコピーが破壊された細胞クローンを効率的に単離する方法を提供する。もう1つの方法として、SSAマーカーが再構成された細胞を、薬剤選択スキームを用いて濃縮または精製してもよく、その際、この再構成されたSSAマーカーは耐性マーカーをコードする。細胞を、磁気ビーズを用いて濃縮してもよく、その際、これらのビーズは、再構成された細胞表面タンパク質、すなわち受容体に対するリガンドまたは抗体を含む。
【0090】
さらに、本発明の方法および組成物を用いて、目的の配列の標的化挿入を増加させることができる。細胞を、受容体およびドナー配列の存在下で所望のヌクレアーゼの1つ以上で修飾させることができ、その際、このヌクレアーゼによってDNA切断が成功した後に、このドナー配列を、相同指向修復(HDR)か、または末端結合による捕獲のいずれか一方によって組み入れる。
【0091】
本明細書に記載の方法および組成物は、ヌクレアーゼの同定、単離および最適化に適するキット、ならびに細胞のゲノムへの標的化核酸挿入または標的化核酸欠失に適するキットの中でも用いられる。
【0092】
以下の実施例は本開示の例示的な実施形態に関し、その際、このヌクレアーゼはジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を含む。このヌクレアーゼは例証の目的のためだけであり、他のヌクレアーゼ、例えば、遺伝子操作したDNA結合ドメインを有するホーミングエンドヌクレアーゼ(メガヌクレアーゼ)、および/または天然に存在するか、もしくは遺伝子操作したホーミングエンドヌクレアーゼ(メガヌクレアーゼ)DNA結合ドメインと異種性の切断ドメインの融合体、またはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質を用いることができる。
【0093】
実施例
実施例1:ZFNの調製
基本的には、Urnov et al.(2005)Nature 435(7042):646−651,Perez et al(2008)Nature Biotechnology 26(7):808−816および米国特許出願公開第2008/0131962号に記載のとおりに、CCR5、GFP、WASおよび第IX因子を標的とするZFNを設計し、プラスミドベクターに組み入れるか、シグマアルドリッチ社から入手した。これらのZFNを、Miller et al.(2007)Nat.Biotechnol.25:778−785、米国特許出願公開第20050064474号、および国際公開第2005/014791号に記載のとおりに、ELISAおよびSurveyor(商標)(Transgenomics)Cel-Iアッセイ(「Cel-I」)によって構築し、試験をした。さらに、第IX因子を標的とするZFNに関しては米国特許仮出願第61/212,265号を、CCR5特異的ZFNに関しては米国特許出願公開第2008/0159996号を参照されたい。
【0094】
実施例2:SSAレポーターコンストラクトの作製および試験
1本鎖アニーリング(SSA)レポーターコンストラクトを、中央のZFN結合配列で分離したgfp遺伝子の2等分を用いて作った(図1A)。簡単に説明すると、このコンストラクトにおいて、3’末端にある第1の半分の430塩基対(bp)は、第2の半分の5’配列の430bpと同一である。この第1の半分は、最初のMetコドンATGから始まる146bpの独特の配列を有し、この第2の半分は、終止コドンで終わる146bpの独特の配列を有する。中央のZFN結合配列は、試験するZFNの標的配列に応じて変化する。1つ以上のZFN結合部位をこのコンストラクトの中に挿入することにより、1つのレポーターコンストラクトが2つ以上のヌクレアーゼをスクリーニングするのに用いられることを可能にすることができる。例えば、コンストラクトは、対照の一対のZFNに対する標的配列、ならびに未知のヌクレアーゼに対する標的配列を含み得る。CMVプロモーターはgfp配列の前に位置し、ポリA配列はgfp配列の第2の半分に続く。このプラスミドは、細菌の中で増殖するカナマイシン耐性遺伝子も含む。
【0095】
CCR5特異的ZFN結合部位を上記に記載のSSAレポーターに挿入し、Amaxaヌクレオフェクション(nucleofection)によって、レポーターコンストラクト、およびこの挿入配列を標的とする一対のZFNでトランスフェクションした後に、GFP活性をCHO−S細胞においてアッセイした。レポーター活性を、GFPを発現する細胞の割合として測定した。
【0096】
図1Bおよび1Cに示すように、このアッセイは、ZFN量およびSSAレポーター量の両方に対して良好な用量反応を示した(図1Bおよび1C)。このGFPシグナルはトランスフェクション後48〜72時間に最も強い(図1D)。測定したZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトの最適量を次の実験に用いた。
【0097】
実施例3:SSAレポーターにおけるZFN活性と内因性NHEJ活性との相関
SSAレポーターにおけるZFN活性と、ゲノム中の内因性標的配列におけるZFN活性との相関も測定した。簡単に説明すると、実施例2に記載のとおりに、ヒトWAS遺伝子(NCBI遺伝子ID7454)の複数のZFN標的部位を有するレポーターを作製し、適切なZFN発現プラスミドの導入に際し、GFP発現を評価した。簡単に説明すると、K562細胞を、最適量のZFN発現プラスミドおよびWAS GFP−SSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトした。トランスフェクション後2日目に、これらの細胞の1/3を取り、GFPシグナルを測定した。これらの細胞の残りを、トランスフェクション後3日目に収集し、これらを用いて、ZFN処理の結果としての内因性WAS遺伝子におけるNHEJ活性を分析し、ここで、NHEJ活性を、例えば、米国特許出願公開第20080015164号、同第20080131962号および同第20080159996号に記載のとおりに、Surveyor(商標)ヌクレアーゼを用いてアッセイした(本明細書中、以下で「Cel-Iアッセイ」という)。
【0098】
図2に示すように、このレポーターコンストラクトにおけるZFN活性とこの内因性部位の中の所望の標的遺伝子座におけるZFN活性の強い正の相関がある。
【0099】
実施例4:ZFN修飾細胞の濃縮
このレポーターコンストラクトにおけるZFN活性とこの内因性標的部位におけるZFN活性の強い正の相関を考慮すると、(GFPレポーターの補正によって測定されるように)SSAを行う細胞は、内因性標的遺伝子座を切断するのに十分な量のZFNを発現しているので、2本鎖切断の修復(DSB修復)を生じさせることは当然のことだと思われた。
【0100】
K562細胞を、第IX因子の遺伝子を標的とするZFNおよび(第IX因子のZFN標的配列を含む)適切なSSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトし、その後、トランスフェクション3日目にFACSによって選別した。ZFNおよびレポーターコンストラクトをトランスフェクトしたK562細胞を、FACS分析の5分前に、ヨウ化プロピジウム(PI)で染色した。ゲーティングしたFACS分析は、この集団の0.3%が最高レベルのGFPを発現し、この集団の0.9%が中間レベルの量のGFPを発現し、これらの細胞の2.3%が、低いが検出可能なレベルのGFPを発現したことを示した。
【0101】
図3および以下の表1に示すように、Cel-Iアッセイによって測定したNHEJ活性は、レポータープラスミドのみ(G)でトランスフェクトした細胞と比較して、ZFNの存在下で、FACS選別(S)細胞およびFACS未選別(U)細胞の両方において増加した。選別細胞が、より高いNHEJ活性を示した(図3および以下の表1参照)。
【0102】
【表1】
【0103】
このSSAレポーターシステムも、CCR5特異的ZFNを有するHeLaおよびPBMC細胞において試験した。簡単に説明すると、K562細胞について上記に記載したとおりに、HeLa細胞において実験を行った。さらに、PBMC細胞を、CCR5特異的ZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトを発現するアデノウイルスで形質導入した。
【0104】
図4Aおよび以下の表2に示すように、HeLa細胞の選別プールにおいて、Cel-Iアッセイによって測定した時に、NHEJ活性は約2倍向上した。
【0105】
【表2】
【0106】
同様に、GFP陽性細胞を選別し、分析した時に、HeLa細胞(図4B)およびPBMC(図4C)の両方において、SSAシグナルとNHEJ活性との間に定量的相関があった。選別プールにおいてGFPシグナルが高いほど、内因性遺伝子修飾が多いことと相関する。さらに、このSSAレポーターアッセイは、Hep3B、293T、およびT細胞における試験も成功した。一般に、高いレポーター活性を示した全ての細胞型において、異なるZFNを用いて、2〜6倍のNHEJ活性の向上が観察された。NHEJ活性は、レポーターのみ(レーンA0〜A4)で形質導入した細胞試料にはなかった。ZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトで形質導入した細胞の4つの異なる細胞試料は全て、Cel-Iアッセイによって測定した時、NHEJ活性の証拠を示した(レーンB1〜B4参照)。NHEJ活性の割合(%)をレーンB1〜B4の下に示し、14.4〜32.3%の範囲にある。
【0107】
これのデータは、様々なウイルス性のおよび非ウイルス性の核酸送達法を用いて、様々な細胞株において、このSSAに基づくアッセイを用いてZFNをスクリーニングし、反応条件を最適化し、修飾細胞を濃縮し、かつ修飾細胞クローンを効率的に得ることができることを示す。
【0108】
実施例5:標的遺伝子の全コピーが破壊された細胞クローンの単離
標準的な限界希釈法によるZFN修飾ノックアウト細胞の単一細胞クローニングは、数千クローンとは言わないまでも、数百クローンのスクリーニングを必要とし得る。ZFNの支援なしに遺伝子をノックアウトする従来の遺伝子標的戦略を用いて、数ラウンドのスクリーニングを行うことができ、その際、研究者は100,000を超える細胞クローンをスクリーニングしなければならない。それゆえに、SSAによりレポーター遺伝子を成功裏に再構成した細胞を濃縮することによって、ノックアウト細胞クローンを効率的に単離することが可能である場合に、さらに試験をした。
【0109】
形質導入後3日目に、実施例4に記載の第IX因子特異的ZFN発現ベクターおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトで形質導入した単一細胞を、96ウェルプレート中で、GFP活性に基づいてFACS選別した。3つの異なるGFPゲーティング(低、中、高)から選別し、その後、核酸抽出したクローンの遺伝子型を、標的対立遺伝子のPCR産物のTOPOクローニング、続いて配列解析を行うことによって同定した。クローンは野生型(WT)、ヘテロ接合(HET)、ノックアウト(KO)の3種類がある。配列解析は、非常に高率のクローンが、標的配列の全コピーが破壊された完全な「ノックアウト」クローンであることを示した(以下の表3)。さらに、トランスフェクション41日目に、GFP発現についてクローンをFACS分析した。結果を以下の表3に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
31つのSSA/CCR5特異的ZFN修飾HeLa細胞クローンの遺伝子型も上記で説明したとおりに決定した。これらのクローンのうち、13個が野生型(WT)遺伝子型を示し、11つがZFN修飾のヘテロ接合(HET)であり、7個がノックアウト(KO)であった。
【0112】
したがって、再構成されたレポーター活性に基づくSSAによるFACS選別後に単離し、その後、単一細胞クローニングをした修飾の頻度は、標準的な限界希釈スクリーニングをよりもはるかに高かった。
【0113】
実施例6:ZFNにより標的化挿入された細胞の濃縮および単離
内因性標的は、おそらく、ZFNによる相同指向修復(HDR)を用いて、外来配列(ドナー分子)の標的化挿入により修飾されてきた。例えば、米国特許出願公開第20070134796号を参照されたい。
【0114】
したがって、このSSAアッセイを用いて、このような標的化組み込み事象を次のように濃縮することができるかどうかを決定するために、このSSAアッセイを試みた。K562細胞を、CCR5特異的ZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトに加えて、小さい「パッチ」ドナー分子を用いる標準的な技術を用いてトランスフェクトした。この「パッチ」ドナーは、2つのZFN結合部位の間に51bpの外来配列を含んでおり、両サイドにCCR5遺伝子配列が隣接し、このCCR5遺伝子配列は、内因性CCR5遺伝子座にこのパッチドナーを導入するための相同のアームとして役立った。このパッチドナーには、PCRベースの制限断片長多型(RFLP)解析のための新規のBglII制限部位も含めた(Urnov et.al.(2005)Nature 435:646−651.Moehle et.al.(2006)PNAS 104:3055−3060;U.S.参照)。
【0115】
図5Aおよび5Bならびに以下の表4に示すように、Cel-Iアッセイによって測定した時、NHEJ活性は、模擬トランスフェクション(DNAなし)またはレポーターコンストラクトのみのトランスフェクション(ZFNなし)のいずれか一方の対照反応と比較して、FACS選別細胞およびFACS未選別細胞の両方において増加した(図5A)。さらに、パッチドナーの標的組み込みも、対照と比較して選別細胞および未選別細胞の両方において増加した(図5B)。細胞プールをGFP活性にしたがって選別した時、NHEJの割合およびHDRの割合の両方において増加が観察された。これらの結果を、以下の表4にも示す。
【0116】
【表4】
【0117】
したがって、選別および未選別の試料を比較した時、HDRによる標的化組み込み(TI)によるパッチ配列の標的化挿入が行われた細胞を、本方法によって濃縮することができる。
【0118】
さらに、所望の標的化組み込み(TI)事象を有する単一細胞クローンを次のように単離した。トランスフェクション後3日目に、単一細胞を、ゲーティングしたgfpシグナルにしたがって96ウェルプレート中で選別し、増殖させた。上記に記載のPCRベースのRFLP解析を用いて、これらのクローンの遺伝子型を同定した。
【0119】
図5Cおよび以下の表5に示すように、野生型クローンには示したBgl IIバンドがないが(図5Cのレーン5、「W」と表示した)、全ての対立遺伝子が修飾されたクローンは、唯一完全に消化されたバンドを示した(図5Cのレーン4および6、「K」と表示した)。この修飾のヘテロ接合クローンは、野生型対立遺伝子、およびBgl II制限部位を含む挿入されたドナーパッチを含む対立遺伝子の両方を示す部分消化を示した(図5Cのレーン3、「H」と表示した)。表5に示すように、TIが生じた細胞の同定は、標準的な限界希釈スクリーニングと比較してはるかに高かった(調べた10株中7株はTI活性を幾分か示した)。
【0120】
【表5】
【0121】
これらの結果は、本明細書に記載の方法および組成物を用いて、ZFNによる標的化組み込み事象が高頻度で起きた細胞を濃縮し、単離することができる。
【0122】
実施例7:SSA濃縮と、GFP発現を用いる濃縮の比較
上記で測定したように(例えば、実施例4参照)、ZFN修飾細胞の濃縮を、機能的SSAレポーターの発現について細胞を選別することによって達成することができる。したがって、GFP発現による濃縮と比較して、SSA選別の濃縮能力を次のとおりに比較した。
【0123】
K562細胞をgfp発現プラスミドと共にZFN発現プラスミドでトランスフェクトし、ZFNによって再構成されるGFP−SSAレポーターシステムを用いて達成されるGFP発現レベルを模倣した。ZFN発現プラスミドでトランスフェクトし、その後、GFP発現プラスミドまたはGFP−SSAレポーターのいずれか一方でトランスフェクトした細胞を、トランスフェクション後3日目に同一の設定でFACSによって選別した。
【0124】
GFP−SSAレポーターコンストラクト中のgfp遺伝子の再構成の結果としてGFP活性によって選別される細胞は、トランスフェクション後3日目に高い濃縮レベルを示し、この活性は、GFP発現プラスミドを受け取ったトランスフェクタントと比較して、後の時点(14日目)で高いレベルを保持していた(図6)。さらに、SSAレポーター選別から得られた単一細胞クローンは、GFP発現ベクターを受け取ったそれらのトランスフェクタントよりも高頻度のノックアウトクローン(表6)を示した。
【0125】
【表6】
【0126】
これらの結果は、SSAレポーターを発現する細胞の選別がZFN修飾細胞について優れた濃縮を提供することを示す。
【0127】
実施例8:レポーター発現
本明細書に記載の方法は薬剤選択を含まないので、得られた単一細胞クローンが、それらのゲノムの中に組み込まれるSSAレポーター遺伝子を有することは期待されない。
【0128】
この考えを評価するために、第IX因子特異的ZFNクローンを、トランスフェクション後41日目においてGFP発現について評価した。たった1つのクローン(番号106)が、トランスフェクション後41日目においてGFP発現を保持していた(表3参照)。
【0129】
さらに、ゲノム中のSSAレポーターの有無を、サザンブロットおよびPCR解析によってさらに調べた。サザンブロット解析では、これらのクローンをPvuIIで消化し、146bpの独特の5’gfp配列で探索した。図7Aで示すように、これらのクローンの約半分(96、98、101および103)には、SSAレポーター発現に対応するバンドがなかった。これらの結果をPCR解析によって確かめ、その際、gfp特異的PCRプライマーを、ゲノムの中に組み込まれた全てのgfp配列を増幅する試みで用いた(図7B)。
【0130】
これらのクローンのほぼ半分がレポーター遺伝子組み込みのいかなる証拠も示さないので、この方法を用いて、組み込まれるレポーターがない単一細胞クローンを容易に単離することができる。
【0131】
実施例9:ハイスループットスクリーニングおよびクローニング
本明細書に記載のSSAアッセイも用いて、いくつかの異なる標的遺伝子に特異的な多数のセットのZFNをスクリーニングし、この標的においてNHEJを誘導する能力をGFP−SSAレポーター活性と比較した。これらのZFNに適切なSSAレポーターコンストラクトを上記に記載のとおりに作製し、96ウェルプレート中のK562細胞において、上記に記載のとおりに試験した。試験した特定の標的遺伝子に特異的なZFN対の数を「ZFN対」として表7にまとめる。CCR5特異的ZFNシグナルの50%より高いGFPシグナル産生量を与えるZFNを陽性として記録した(以下の表7参照、「SSA+」)。これらのZFNが1%を超えるNHEJ活性を示した場合、これらのZFNをNHEJ陽性と記録した。GFP活性は示すが、NHEJのいかなる証拠も示さなかった細胞を「偽陽性」と判断し、CCR5特異的ZFN活性が50%を下回るが、Cel-IアッセイによるNHEJの証拠を有する細胞を「偽陰性」と名付けた。その後、これらの2つアッセイを用いて、各々の標的についてZFN対を順位付けした。NHEJによって決定した時の順位を、GFP−SSAレポーターアッセイによって決定したそれらの順位と比較した。表7、最後の段を参照されたい。SSAの順位を括弧内に示す。ほとんどの場合、これらのSSAの順位およびNHEJの順位は非常に似ていた。
【0132】
表7に示すように、SSAに基づくスクリーニングは、NHEJによって決定した時の陽性ヒットをいつも正確に同定した。さらに、このSSAアッセイにおいて高いと記録されたZFNも、内因性遺伝子座におけるNHEJ活性がより高い傾向にあった。
【0133】
【表7】
【0134】
このSSAレポーターシステムも用いて、ハイスループット様式で単一細胞クローンを得た。簡単に説明すると、K562細胞を、Amaxaシャトルを用いて、96ウェル形式で、異なる遺伝子を標的にするZFNのパネルおよびそれらの対応するSSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトした。これらのZFNのNHEJ活性を、トランスフェクション後3日目にCel-Iアッセイによって測定した。細胞を、96ウェルプレート中の個々のクローンへのトランスフェクション後3日目にFACS選別も行った。これらのクローンが増殖した時、実施例5に記載のとおりに、この標的配列のPCR増幅、続いてPCR産物のクローニングおよび配列解析によって、これらの遺伝子型を同定した。ZFN標的配列の全コピーが修飾された細胞クローンをKOクローンと命名する。解析した全クローンのうちのKOクローンの頻度を表8の最後の段にまとめる。
【0135】
これらの結果を表8にまとめる。
【0136】
【表8】
【0137】
本方法の一般性を試験するために、異なるNHEJ活性を有するZFNを用いてKOクローンを得た。このNHEJ活性は2.7%〜20.0%の範囲にある。これらの結果は、本明細書に記載のZFN/SSAアッセイシステムを用いて、2.7%程度の低さのNHEJ活性を有するZFN修飾細胞クローンをスクリーニングし、単離することができること、かつノックアウトクローンの同定頻度が標準的な限界希釈法よりもはるかに高いことを示す。
【0138】
実施例10:抗生物質耐性SSAレポーターを用いる細胞の濃縮
SSAレポーター遺伝子を、ピューロマイシン遺伝子を用いて構築した。このコンストラクトの中で、ピューロマイシンSSAレポーターを、上記の記載のGFP SSAレポーターと同様に構築した。このピューロマイシン耐性遺伝子の最初の452bpおよび最後の422bpをZFN標的部位と連結した。この実施例において、用いたZFNはCHO Bax遺伝子を標的にする(米国特許出願第12/456,043号参照)。
【0139】
HeLa細胞を、図8に示すプラスミドで、Amaxaヌクレオフェクションによりトランスフェクトした。1試料あたり500ngのレポーターおよび400ngのZFNを用いた(M=模擬、R=レポーター、Z+R=ZFNおよびレポーター)。細胞を、トランスフェクション後24時間の時、1μg/mLのピューロマイシンを含むか、または含まないかのいずれか一方の培地中に再び蒔いた。細胞培地を、トランスフェクション後72時間の時に通常の培地と置き換えた。異なる時点の試料を収集し、本明細書に記載のCel-Iアッセイ分析を行った。図8は、Cel-Iアッセイによって測定した時、トランスフェクション後15日目のSSA濃縮試料におけるNHEJ活性の明らかな増加を示す。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2009年6月30日に出願された米国特許仮出願第61/269,871号の利益を主張し、これにより、この開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示はゲノム工学およびヌクレアーゼ同定の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
標的部位に特異的に結合するように遺伝子操作されたジンクフィンガーヌクレアーゼおよびI−SceIなどのホーミングエンドヌクレアーゼを含むヌクレアーゼは、基礎研究の中のゲノム工学ならびに薬学的および生物工学的な適用に有用であることが示されている。例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ヌクレアーゼドメインに結合するように遺伝子操作部位特異的ジンクフィンガーを含むタンパク質である。このようなZFNは、様々な異なる種におけるゲノムの修飾に用いられることに成功してきた。例えば、米国特許出願公開第20030232410号、同第20050208489号、同第20050026157号、同第20050064474号、同第20060188987号、同第20060063231号、および国際公開第07/014275号を参照されたく、これらの開示は、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらのZFNを用いて、標的ヌクレオチド配列の二本鎖切断(DSB)を行うことができ、これにより、この標的遺伝子座における相同組み換え(標的組み込み)の頻度が1000倍を上回って増加する。さらに、非相同末端結合(NHEJ)による部位特異的DSBの不正確な修復も、遺伝子の破壊をもたらし得る。2つのこのようなDSBが起こると、任意の大きな領域の欠失が結果的に生じる。
【0004】
ヌクレアーゼによるゲノムの修飾は基礎科学研究および治療の開発を促進させ、インビトロおよびインビボのアッセイが、ZFN活性を測定するために開発されている。例えば、国際公開第2009/042163を参照されたい。これらのアッセイは、真核細胞のゲノムの所定の位置にZFNを動員することによって触媒されるDNA二本鎖切断(DSB)を修復する異なる経路に基づく。DSBは、非保存的非相同末端結合(NHEJ)経路または保存された相同指向修復(homology directed repair(HDR))のいずれか一方によって修復される。さらに、一本鎖アニーリング(SSA)と呼ばれる非保存的HDR経路もほとんどの細胞に存在する。このSSA経路は、HR経路を有する細胞機構のいくつかを共有する。
【0005】
ゲノム中のヌクレアーゼが目的とする遺伝子座に結合し、切断するヌクレアーゼの能力の向上を測定することによって生物活性のあるヌクレアーゼを検出することに加えて、所望のヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞を同定し、濃縮することも望ましい。現在、多くの現存する方法は、所望の遺伝子座への薬剤選択マーカーの組み込みおよび発現を頼りにしている。このマーカーおよび/または薬剤選択遺伝子は、永久的に細胞ゲノムに組み込まれるか、または長期間、エピソーム型で存在する場合が多い。最終細胞クローンの中にこれらの遺伝因子が存在することは、望ましくない場合が多い。ランダム組み込みの発生率が高いと、所望の標的遺伝子座での修飾がない細胞クローンのバックグラウンドが高くなり得る。
【0006】
したがって、ゲノムに組み込まれる薬剤選択または永久マーカーを用いることなく、ヌクレアーゼ活性をスクリーニングし、かつ所望のゲノムが修飾された細胞を同定するための追加のアッセイのニーズが依存としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゲノムに永久的に組み込まれる薬剤選択またはマーカーを使用することなく、ヌクレアーゼ(例えば、ZFN)活性をスクリーニングするための方法および組成物、ならびに内因性遺伝子座においてゲノムが修飾された細胞株、すなわちクローンの効率的濃縮のための方法および組成物を本明細書に記載する。これらのアッセイは、機能しない遺伝子、好ましくは、レポーター遺伝子の部位(例えば、遺伝子操作部位)で切断するヌクレアーゼを利用する。この機能しない遺伝子は、好ましくは、エピソームである(すなわち、コンストラクトの中に位置し、内因性遺伝子座の中にはない)。ヌクレアーゼがこの遺伝子操作部位を切断することにより、相同領域は、この機能しない遺伝子をSSAにより修復および再構成することが可能になる。この機能しない遺伝子の中の遺伝子操作部位は、切断が望まれる内因性標的遺伝子座の中の標的部位と同じ配列を有し、その結果、このコンストラクトの機能しないレポーター遺伝子が切断されると、この内因性部位で切断が生じる。したがって、SSA修復の相対的効率は、この内因性標的遺伝子座におけるヌクレアーゼ活性の相対的効率と十分に相関する。本明細書に記載のアッセイにおいて、SSAによる修復を行う個々の細胞は、内因性標的遺伝子座における修飾の増加も示すので、所望のゲノムが修飾された細胞の迅速な同定が可能になる。本明細書に記載の方法および組成物は、選択または他のマーカーのゲノムへの組み込みに関連する障害を著しく軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、1つ以上のヌクレアーゼによる標的配列のSSAによる切断を検出するためのレポーターコンストラクトを本明細書に記載する。このレポーターコンストラクトは、遺伝子をコードする配列およびこの遺伝子をコードする配列の中に挿入されるヌクレアーゼの1つ以上の標的部位を含む配列を含み、その結果、この遺伝子は、この標的部位がSSAによって切断および修復されるまで非機能的である(機能しない)。この標的部位の切断後、この遺伝子をコードする配列はSSAにより再構成され、遺伝子機能が回復する。
【0009】
したがって、特定の実施形態において、このレポーターコンストラクトは、5’から3’方向に、レポーター遺伝子の第1の部分をコードする第1のヌクレオチド配列、このレポーター遺伝子の第2の部分をコードする第2のヌクレオチド配列、ヌクレアーゼの1つ以上の標的配列を含む配列、このレポーター遺伝子の第2の部分をコードする第3のヌクレオチド配列、およびこのレポーター遺伝子の第3の部分をコードする第4のヌクレオチド配列を含む。このレポーター遺伝子の第1、第2、および第3の部分は、機能的なレポーター遺伝子をコードする。本明細書に記載のレポーターコンストラクトのいずれも、このレポーター遺伝子に作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルおよび/またはプロモーター(例えば、構成的プロモーター)をさらに含み得る。さらに、このレポーター遺伝子は、光生成タンパク質(例えば、GFP)、酵素、細胞表面受容体、および/または選択可能なマーカーをコードすることができる。
【0010】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のレポーターコンストラクトのいずれかを含む宿主細胞を提供する。特定の実施形態において、この細胞は、真核細胞(例えば、哺乳類細胞)である。このレポーターコンストラクトを、この宿主細胞において一過的にまたは安定的に発現させてもよい。これらの宿主細胞のいずれも、ヌクレアーゼ、例えば、ホーミングヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、またはヌクレアーゼドメインと融合したTALエフェクタードメインを含むヌクレアーゼをコードする配列をさらに含み得る。
【0011】
さらに別の態様において、特異的標的部位で切断を引き起こす1つ以上のヌクレアーゼを同定する方法であって、このヌクレアーゼを発現させる1つ以上の発現コンストラクトを本明細書に記載の宿主細胞のいずれかに導入するステップ(その際、このレポーターコンストラクトはこのヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、このヌクレアーゼが発現するような条件下でこれらの細胞を培養するステップ、ならびにこれらの細胞におけるレポーター遺伝子発現のレベルを測定するステップ(その際、レポーター遺伝子発現のレベルの増加は、ヌクレアーゼが引き起こすこの標的配列の切断の増加と相関する)を含む方法を本明細書に提供する。
【0012】
さらに別の態様において、特異的標的部位で切断を引き起こすヌクレアーゼを同定する方法を提供する。特定の実施形態において、これらの方法は、1つ以上のヌクレアーゼおよび/またはヌクレアーゼもしくは一対のヌクレアーゼをコードする1つ以上のヌクレアーゼ発現コンストラクトを、本明細書に記載のレポーターコンストラクトを含む宿主細胞に導入すること(このレポーターコンストラクトは、このヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、このヌクレアーゼが発現する条件下でこれらの細胞を培養すること、ならびにこれらの細胞におけるレポーター遺伝子発現のレベルを測定すること(その際、レポーター遺伝子発現のレベルの増加は、ヌクレアーゼが引き起こすこの標的配列の切断の増加と相関する)を含む。このヌクレアーゼは、例えば、天然に存在しないDNA結合ドメイン(例えば、遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質、ホーミングエンドヌクレアーゼに由来する遺伝子操作されたDNA結合ドメイン、またはTALエフェクタードメインとヌクレアーゼドメインとの間の融合を含む遺伝子操作されたヌクレアーゼ)を含んでもよい。特定の実施形態において、このヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)または一対のZFNである。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞について細胞の集団を濃縮する方法を含み、この方法は、ヌクレアーゼまたは一対のヌクレアーゼをコードする1つ以上の発現コンストラクトを本明細書に記載の宿主細胞に導入するステップ(その際、これらの宿主細胞の中のレポーターコンストラクトは、このヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、これらのヌクレアーゼが発現するような条件下でこれらの細胞を培養するステップ、これらの細胞におけるレポーター遺伝子発現のレベルを測定するステップ、ならびにこのレポーター遺伝子を発現する細胞を選択し、それによって、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞について細胞の集団を濃縮するステップを含む。さらに、ヌクレアーゼのパネルを、全てが同じ標的配列を認識するかを同時に比較してもよい。このパネルを、並行して、SSAレポーターと共にトランスフェクトし、この試験パネルの中のそれらのヌクレアーゼ活性の迅速な指標および順位を提供してもよい。これらの方法のいずれも、この宿主細胞に外来配列を導入することをさらに含んでもよく、その結果、このヌクレアーゼは、ゲノムへのこの外来配列の標的組み込みを媒介する。特定の実施形態において、これらの方法は、このレポーター遺伝子を発現する細胞を単離することをさらに含む。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、ゲノムの修飾は遺伝子の破壊および/または遺伝子の付加である。
【0014】
本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、レポーター遺伝子活性を、例えば、レポーター遺伝子産物活性(例えば、GFP蛍光)のレベルを直接アッセイすることによって直接測定してもよい。同様に、このレポーター遺伝子を発現する細胞を、直接選択、例えば、GFPなどのレポーターの場合はFACSに基づいて、または細胞表面タンパク質、すなわち受容体をコードするレポーター遺伝子を対象とする蛍光リガンドを用いて、単離または選択してもよい。磁気選別も利用することができる。このレポーターが薬剤選択マーカーである時、薬剤選択も用いて細胞を選択してもよい。もう1つの方法として、このレポーター遺伝子のレベルを、このレポーター遺伝子がコードするタンパク質の機能を必要とする反応の下流の生成物(例えば、酵素生成物)のレベルに基づいて測定または選択することによってアッセイすることができる。
【0015】
さらに、本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、このヌクレアーゼ(例えば、ZFN、ZFN対、遺伝子操作されたホーミングエンドヌクレアーゼ、および/または天然に存在するか、もしくは遺伝子操作されたホーミングエンドヌクレアーゼDNA結合ドメインと異種性の切断ドメインの融合体、またはTALエフェクタードメインとヌクレアーゼドメインとの間の融合を含むヌクレアーゼ)は、例えば、インビトロアッセイ実験から得られる結果から、内因性標的配列を認識することが知られ得る。別の態様において、活性についてヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガータンパク質、遺伝子操作されたホーミングエンドヌクレアーゼ、またはTALエフェクタードメインとヌクレアーゼドメインとの間の融合を含むヌクレアーゼ)をスクリーニングするキットについて本明細書に記載し、このキットは、本明細書に記載のレポーターコンストラクト、付属の試薬、ならびに任意選択で、取扱説明書および適切な容器を含む。このキットは、1つ以上のヌクレアーゼも含んでもよい。
【0016】
さらに別の態様において、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞を調製するキットについて本明細書に記載し、このキットは、本明細書に記載のレポーターコンストラクトおよびこのレポーターコンストラクトの中の標的部位を認識するヌクレアーゼ、ならびに任意選択で、取扱説明書および適切な容器を含む。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に記載のキットのいずれも、機能しない遺伝子を有するコンストラクト、および既知の遺伝子操作部位で、この機能しない遺伝子の中を切断することができる既知のヌクレアーゼを少なくとも含み得る。このようなキットは、切断条件を最適化するのに有用である。他のこのようなキットは、使用者が、このような遺伝子操作部位で切断することができるヌクレアーゼを同定する、かつ/またはスクリーニングするのに使用するための、目的の遺伝子操作部位を挿入することができるコンストラクトを提供し得る。いくつかの実施形態において、この機能しない遺伝子はスクリーニングマーカー(例えば、GFP)であり、他の実施形態において、この機能しない遺伝子は抗生物質耐性をコードするマーカーなどの選択マーカーである。さらなる実施形態において、この機能しない遺伝子は細胞表面マーカー、すなわち受容体をコードし、その際、SSAによる再構成後に、このレポーターがこの細胞表面で発現し、このレポーターを用いて、SSAによる遺伝子再構成が生じたそれらのクローンを(例えば、FACSまたは磁気ビーズ選別により)同定することができる。本発明が意図する全てのキットにおいて、このレポーター遺伝子は、ポリアデニル化シグナルおよび/または調節要素(例えば、プロモーター)と作動可能に連結してもよい。本発明が提供するこのようなキットは、アッセイ条件の最適化、ヌクレアーゼのパネルのスクリーニングまたは既知のヌクレアーゼの特徴づけに有用であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】パネルA〜Dは、CHO−S細胞におけるSSAレポーターアッセイの最適化を示す図および表である。図1Aは、1本鎖アニーリングに基づくZFNスクリーニングアッセイ(SSAアッセイ)の略図である。一番上の列は、レポーターGFP遺伝子を破壊する(無能にする)ZFN部位を含むレポータープラスミドを示す。矢印はプロモーター配列を示し、「pA」はポリA配列を表す。独特の5’gfp配列、中央のgfp反復配列、および独特の3’gfp配列を、それぞれ、G、F、およびPと命名する。適切なヌクレアーゼを用いた切断およびSSAによる修復後に(中央および下の列)、機能的なgfp翻訳領域を、2つの同一の5’F配列と3’F配列との間の配列の喪失によって再構成する。
【図1B】図1Bは、CHO−S細胞におけるZFN用量最適化を示すグラフである。100万個のCHO−S細胞を、様々な量のCCR5−特異的ZFNおよび500ngのCCR5−特異的SSAレポーターを用いてAmaxaヌクレオフェクションによりトランスフェクトした。トランスフェクション後3日目に試料をアッセイし、シグナルをgfp+細胞の割合として測定した。
【図1C】図1Cは、CHO−S細胞におけるZFNスクリーニングアッセイのレポーター用量最適化を示すグラフである。様々な量のレポータープラスミドおよび1μgのCCR5ZFNプラスミドでトランスフェクトしたCHO−S細胞を、トランスフェクション後3日目にアッセイし、Guava分析によって、シグナルをgfp+細胞の割合として測定した。2本の棒の各々のセットの左側の棒はレポーターのみでトランスフェクトした細胞を示し、右側の棒は、レポーターおよびZFNでトランスフェクトした細胞を示す。
【図1D】図1Dは、ZFNスクリーニングアッセイの経時変化を示すグラフである。1μgのCCR5ZFNおよび500ngのSSAレポーターでトランスフェクトした試料のgfpシグナルを、トランスフェクション後1日目、2日目、および3日目に測定する。2本の棒の各々のセットの左側の棒はレポーターのみでトランスフェクトした細胞を示し、右側の棒は、レポーターおよびZFNでトランスフェクトした細胞を示す。
【図2】(GFPレポーターの読み取りを用いる)SSAアッセイを用いて測定した、ヌクレアーゼのNHEJ活性に対するZFN活性の相関を示すグラフである。NHEJ活性を遺伝子の修飾の割合として表す。このデータは、NHEJ活性が増加するにつれて、GFPシグナルが増加することを示す。
【図3】K562細胞のFACS選別前後のNHEJ活性を示すゲルの写真である。Cel−I分析を、GFPプラスミドのみでトランスフェクトした細胞(G)、および第IX因子特異的ZFNおよびレポーターを発現するプラスミドでトランスフェクトした細胞において行い、これらの細胞をレポーター活性に基づいて選別する(S)か、または未選別のままにしておいた(U)。レーンの番号をゲルの下に印す。レーン1はマーカー(M)であり、レーン2はブランクである。選別したレーンは、ヌクレアーゼを受け取らなかった細胞か、または未選別の細胞集団のいずれかと比較して、ZFN活性において増加を示す。
【図4】パネルA〜Cは、Hela細胞およびPBMCにおける、ZFNによるNHEJ活性の濃縮を示す写真である。図4Aは、GFPプラスミドのみ(G)で処理したHeLa細胞、またはZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトしたHeLa細胞において行ったCel−I分析の結果を示し、試料を、選別の前(U)か、またはGFP活性に基づく選別(S)の後のいずれかにおいて分析した。図4Bは、PBMC細胞におけるNHEJ活性の濃縮を示す。A0〜A4は、アデノウイルスレポーターのみで形質導入した試料である。B1〜B4は、CCR5−特異的ZFNおよびGFP−SSAアデノウイルスレポーターで形質導入した試料である。NHEJ活性の割合(%)を、レーンB1〜B4について示す。図4Cは、CCR5−特異的ZFNおよびGFP−SSAレポーターを発現するアデノウイルスで形質導入し、GFP発現に従ってFACSによって選別したPBMC細胞における結果を示す(試料を、図4Bに示すようにB1〜B4と命名した)。Cel−I分析のために、最も高いGFPを発現するものを示差的にゲーティングし、収集した。示した試料のNHEJ活性の割合(%)を各レーンの下に示す。このデータは、最もGFP発現が高い細胞が高率のNHEJも有することを示す。
【図5】パネルA〜Cは、標的組み込みを用いたK562細胞クローンの濃縮および単離を示すゲルの写真である。図5Aは、FACS選別前後のNHEJ活性を示す。Cel−I分析を、模擬トランスフェクト試料(C)、レポータートランスフェクト試料(R)、ならびに選別する(S)か、または未選別(U)のいずれか一方のZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトトランスフェクト試料において行った。レーン1はマーカー(M)である。図5Bは、FACS選別前後のパッチドナーの標的組み込みを示す。標的組み込みを、パッチドナーの遺伝子操作したBglII部位におけるPCRベースのRFLP分析によって測定した。模擬トランスフェクションを「C」と表示したレーンに示し、レポーターコンストラクトのみのトランスフェクションを「R」と表示したレーンに示す。選別する(S)か、または未選別(U)のいずれか一方のZFNおよびレポータートランスフェクト試料も示す。レーン6および7はマーカー(M)である。図5Cは、標的組み込み(TI)クローン解析の結果を示す。レーンの番号を以下に示す。個々のクローンを単離し、増殖させ、PCRベースのRFLP分析を行った。レーン1はマーカー(M)であり、レーン3はヘテロ接合クローンである。レーン4および6は、修飾された全ての対立遺伝子を有するクローン(K)である。レーン3はヘテロ接合クローン(H)である。レーン5は野生型クローン(W)である。レーン7は、選別前のプールの活性である。このデータは、最もGFP発現が高い細胞が高率の標的組み込みも有することを示す。
【図6】トランスフェクション後3日目および14日目に、Cel−I分析によって測定したZFNのNHEJ活性の濃縮比較を示す写真である。レーンの番号をゲルの下に付ける。示すように、レーン4、5、6はZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトし、その後、GFP活性によって選別した試料である。レーン7、8、9はGFP発現プラスミドでトランスフェクトし、GFP活性によって選別もした試料である。「U3」は3日目の選別前の試料を意味する。「S3」は、3日目の選別後の試料を意味する。「S14」は、トランスフェクション後14日目に選別した試料を意味する。
【図7】パネルAおよびBは、第IX因子標的化ZFN修飾細胞クローンの分析を示す写真である。図7Aは、第IX因子ZFN修飾クローンのゲノムDNAをPvuIIで消化し、146bpの独特の5’gfp配列を用いて探索したサザン解析を示す。レーン「R」は、PvuIIで消化した1ngのレポータープラスミドを示す。レーンRの主要シグナルは、このレポーターの5.8kb断片である。白色の矢印は、おそらく、組み換えレポータープラスミドの4.0kb断片である低分子の弱いバンドを指し示す。黒色の矢印は、これらのクローンに組み込まれたgfp配列のバンドを示す。クローン106において、白い横矢印は、組み換えレポータープラスミドのエピソーム型を示す。図7Bは、第IX因子ZFN修飾クローンのゲノムDNAのPCR分析を示す。増幅産物は、独特の5’gfp配列の146bp断片である。レーン7は、トランスフェクション後41日目にgfpシグナルを保持していたクローンである。
【図8】ピューロマイシンSSAレポーターを用いたCHO Bax標的化ZFN修飾HeLa細胞の結果を示す写真である。この実験において、ZFNを切断すると、ピューロマイシン耐性遺伝子の再構成が結果的に生じる。細胞を、ZFN発現プラスミドおよびピューロマイシンSSAレポーターでのトランスフェクション後24時間目に、ピューロマイシンを含む培地に蒔いた。試料を1日後または15日後に収集し、Cel−I分析を用いるミスマッチ分析に使用した。「M」はSSAレポーターを含まない模擬トランスフェクト細胞を示し、「R」は、トランスフェクションにSSAレポーターを使用したことを示す。「+」または「−」は、培地中のピューロマイシンの有無を示す。レーンの下の番号は、生じたNHEJの量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
機能的なヌクレアーゼを同定するハイスループットなインビボスクリーニングシステムのための組成物および方法、ならびに本明細書に記載の組成物を含み、本明細書に記載の方法を実行するためのキットについて本明細書に記載する。特に、これらのアッセイはレポーターシステムを用いて、標的部位における二本鎖切断を引き起こすヌクレアーゼの能力を監視する。さらに、本明細書に記載の組成物および方法を用いて、最も高い活性を有するヌクレアーゼを同定するためにヌクレアーゼのパネルをスクリーニングし、ヌクレアーゼ切断条件を最適化し、かつヌクレアーゼに引き起こされる遺伝子の破壊および/または遺伝子の付加を行った修飾細胞株、すなわち修飾クローンを迅速に濃縮することもできる。
【0020】
遺伝子操作されたヌクレアーゼ技術は、天然に存在するDNA結合タンパク質の遺伝子操作に基づく。例えば、適合したDNA結合特異性を有するホーミングエンドヌクレアーゼの遺伝子操作について記載されている。Chames et al.(2005)Nucleic Acids Res 33(20):e178;Arnould et al.(2006)J.Mol.Biol.355:443−458。さらに、ZFPの遺伝子操作についても記載されている。例えば、米国特許第6,534,261号、同第6,607,882号、同第6,824,978号、同第6,979,539号、同第6,933,113号、同第7,163,824号、および同第7,013,219号を参照されたい。
【0021】
さらに、ZFPは、ZFN、すなわちその遺伝子操作された(ZFP)DNA結合ドメインを介してその所望の遺伝子標的を認識することができる機能的実体を作製するためにヌクレアーゼドメインに付着し、このヌクレアーゼは、このZFP結合部位の近くで遺伝子の切断を引き起こす。例えば、Kim et al.(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93(3):1156−1160を参照されたい。最近になって、ZFNは様々な生物においてゲノム修飾のために使用されている。例えば、米国特許出願公開第20030232410号、同第20050208489号、同第20050026157号、同第20050064474号、同第20060188987号、同第20060063231号、および国際公開第07/014275号を参照されたい。
【0022】
植物病原体のキサントモナスから単離されたTALエフェクターDNA結合ドメインについて、最近記載された(Boch et al,(2009)Science 29 Oct 2009(10.1126/science.117881)およびMoscou and Bogdanove,(2009)Science 29 Oct 2009(10.1126/science.1178817)参照)。これらのDNA結合ドメインを遺伝子操作して、所望の標的に結合させてもよく、ヌクレアーゼドメイン(例えば、Fok1)と融合させて、TALエフェクタードメイン−ヌクレアーゼ融合タンパク質を得てもよい。したがって、本発明の方法および組成物を、TALエフェクターDNA結合ドメイン−ヌクレアーゼ融合タンパク質と共に用いて、目的の活性および他の特徴についてスクリーニングしてもよい。
【0023】
インビトロアッセイを用いる生物活性のあるヌクレアーゼの同定は、必ずしも正確には予測されない。したがって、インビボでヌクレアーゼを評価するためのアッセイが開発されている。例えば、国際公開第2009/042163号を参照されたい。しかし、これらのアッセイは、この受容体コンストラクトが宿主細胞のゲノムに安定して組み込まれた時に、最も効率的に機能する。このように、ヌクレアーゼのみでゲノムが修飾された細胞(すなわち、レポーターは組み込まれない)を容易に同定または単離することはできない。さらに、全ての生物系が、簡便な、または頑強なスクリーニングのための、容易に利用できるか、または実験的に細工しやすい細胞株を有するとは限らない。
【0024】
さらに、全てのインビボシステムがそれ独自の特色を有するので、ZFN作用を見つけ出すための特異的検出アッセイを開発する必要がある。したがって、天然に存在するホーミングエンドヌクレアーゼとは異なる結合特異性を有するホーミングエンドヌクレアーゼをスクリーニングするこれまでに記載されたインビボスクリーニング方法とは異なり、本明細書に記載の方法は、ヌクレアーゼのインビボ機能ならびに所望のヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞を迅速に同定し、単離する能力について、特定の標的部位に結合することが知られるヌクレアーゼを評価する迅速で効率的な方法を提供する。
【0025】
したがって、本明細書に記載の方法および組成物は、インビボで生物活性のあるヌクレアーゼを同定するための、高効率で迅速な方法を提供する。ヌクレアーゼ機能をインビボで正確に予測することに加えて、本明細書に記載のアッセイを用いて、組み込まれたレポーターコンストラクトを含まない、ヌクレアーゼ修飾細胞をスクリーニングし、単離することもできる。これらの方法および組成物は、単に、再構成されたレポーター遺伝子の活性の測定を通して、細胞において最も活性のあるヌクレアーゼの順位付けも可能にする。本明細書に記載の方法および組成物は、細胞内のヌクレアーゼのスクリーニング、最適化、および特徴づけを可能にするキットの成分も提供する。
【0026】
概要
本明細書に開示する方法の実施、ならびに本明細書に開示する組成物の調製および使用は、特に示されない限り、分子生物学、生化学、クロマチン構造およびクロマチン分析、計算化学、細胞培養、組み換えDNAならびに当該技術分野の範囲にある関連分野の従来技術を使用する。これらの技術は、文献の中で十分に説明されている。例えば、Sambrook et al.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989およびThird edition,2001;Ausubel et al.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York,1987 and periodic updates;the series METHODS IN ENZYMOLOGY,Academic Press,San Diego;Wolffe,CHROMATIN STRUCTURE AND FUNCTION,Third edition,Academic Press,San Diego,1998;METHODS IN ENZYMOLOGY,Vol.304,“Chromatin”(P.M.Wassarman and A.P.Wolffe,eds.),Academic Press,San Diego,1999;ならびにMETHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol.119,“Chromatin Protocols”(P.B.Becker,ed.)Humana Press,Totowa,1999を参照されたい。
【0027】
定義
「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は互換的に用いられ、直鎖状構造もしくは環状構造の、1本鎖もしくは2本鎖のいずれか一方の形態のデオキシリボヌクレオチドポリマーまたはリボヌクレオチドポリマーを表す。本開示の目的のために、これらの用語は、ポリマーの長さに関して限定するように解釈されるべきではない。これらの用語は、天然のヌクレオチドの既知の類似体、ならびに塩基部分、糖部分および/またはリン酸部分(例えば、ホスホロチオエート骨格)が修飾されたヌクレオチドを含み得る。一般に、特定のヌクレオチドの類似体は、同じ塩基対形成特異性を有する。すなわち、Aの類似体は、Tと塩基対を形成する。
【0028】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は互換的に用いられ、アミノ酸残基のポリマーを表す。この用語は、1つ以上のアミノ酸が、天然に存在する対応するアミノ酸の化学的類似体または修飾された誘導体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。
【0029】
「結合」とは、巨大分子間(例えば、タンパク質と核酸との間)の配列特異的な、非共有結合の相互作用を表す。全体としての相互作用が配列特異的である限り、結合相互作用の全ての成分が配列特異的である(例えば、DNA骨格の中のリン酸残基と接触する)必要はない。このような相互作用は、一般に、10-6M-1以下の解離定数(Kd)によって特徴づけられる。「親和性」とは結合の強さを表し、結合親和性の増加は低いKdと相関する。
【0030】
「結合タンパク質」は、別の分子に非共有結合することができるタンパク質である。結合タンパク質は、例えば、DNA分子(DNA結合タンパク質)、RNA分子(RNA結合タンパク質)および/またはタンパク質分子(タンパク質結合タンパク質)に結合することができる。タンパク質結合タンパク質の場合、結合タンパク質は(ホモ二量体、ホモ三量体などを形成するために)それ自身に結合することができ、かつ/または1つまたは複数の異なるタンパク質の1つ以上の分子に結合することができる。結合タンパク質は、2種類以上の結合活性を有し得る。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA結合活性、RNA結合活性およびタンパク質結合活性を有する。
【0031】
「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」(または結合ドメイン)は、1つ以上のジンクフィンガーを介して、配列特異的な方法でDNAに結合するタンパク質または巨大タンパク質の中のドメインであり、このジンクフィンガーは、構造が亜鉛イオンの配位により安定化される結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語は、ジンクフィンガータンパク質またはZFPと省略される場合が多い。
【0032】
ジンクフィンガー結合ドメイン(例えば、認識ヘリックス領域)を「遺伝子操作」し、所定のヌクレオチド配列に結合させることができる。このジンクフィンガーの遺伝子操作される領域は、典型的には、認識ヘリックス、特に、−1〜+6の番号のαヘリックス領域の部分である。遺伝子操作される認識ヘリックスの骨格配列は当該技術分野で公知である。例えば、Miller et al.(2007)Nat Biotechnol 25,778−785を参照されたい。ジンクフィンガータンパク質を遺伝子操作する方法の限定されない例として、設計および選択が挙げられる。設計されたジンクフィンガータンパク質は天然に存在しないタンパク質であり、その設計/組成物は、主として合理的基準に由来する。設計のための合理的基準には、置換規定、ならびに既存のZFP設計および結合データのデータベース保管情報の中の情報を処理するコンピューターアルゴリズムの適用が含まれる。例えば、米国特許第6,140,081号、同第6,453,242号、および同第6,534,261号を参照されたい。国際公開第98/53058号;同第98/53059号;同第98/53060号;同第02/016536号および同第03/016496号も参照されたい。
【0033】
「選択された」ジンクフィンガータンパク質は天然には見出されないタンパク質であり、その産生は、主として、ファージディスプレイ、相互作用トラップまたはハイブリッド選択などの実験過程からもたらされる。例えば、米国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,200,759号、国際公開第95/19431号;同第96/06166号;同第98/53057号;同第98/54311号;同第00/27878号;同第01/60970号;同第01/88197号および同第02/099084号を参照されたい。
【0034】
「TALエフェクター反復配列」は、TALエフェクターのその同族の標的DNA配列への結合に関与する構造配列である。これらの反復は、典型的には34アミノ酸長であり、ほとんど常に、TALエフェクタータンパク質の中の他のTALエフェクター反復配列と非常に高い配列相同性を示す。12位および13位は高頻度可変性を示し、この反復がどのDNAヌクレオチドと相互作用するのかを決定するアミノ酸であると考えられている。これらのアミノ酸の同一性は、この反復配列が相互作用するDNA塩基を主として決定する。ほとんどのC末端反復は、最初の20個のアミノ酸とのみ配列類似性を示す場合が多く、それゆえに、半反復と呼ばれることもある。ほとんどのN末端反復は、構造レベルでこの反復配列と類似性を示す配列をその直前に有するので、R0反復と呼ばれる。
【0035】
「TALエフェクターDNA結合ドメイン」は、1つ以上の縦列反復ドメインを介して配列特異的な方法でDNAと相互作用するタンパク質、または巨大タンパク質の中のドメインである。
【0036】
「切断」とは、DNA分子の共有結合骨格の破損を表す。切断は、リン酸ジエステル結合の酵素的または化学的な加水分解を含むが、これらに限定されない様々な方法によって開始させることができる。1本鎖切断および2本鎖切断の両方が可能であり、2本鎖切断は、2つの異なる1本鎖切断事象の結果として生じ得る。DNA切断は、平滑末端またはジグザグ末端のいずれか一方を結果的に生成することができる。特定の実施形態において、融合ポリペプチドが標的化2本鎖DNA切断に用いられる。
【0037】
「切断半ドメイン」は、(同一か、または異なるかのいずれか一方の)第2のポリペプチドと共に、切断活性(好ましくは、2本鎖切断活性)を有する複合体を形成するポリペプチド配列である。「第1および第2の切断半ドメイン」、「+および−の切断半ドメイン」および「右および左の切断半ドメイン」という用語は互換的に用いられ、二量体化する切断半ドメインの対を表す。
【0038】
「遺伝子操作された切断半ドメイン」は、別の切断半ドメイン(例えば、別の遺伝子操作された切断半ドメイン)と偏性ヘテロ2量体(obligate heterodimer)を形成するように修飾された切断半ドメインである。例えば、米国特許出願公開第2005/0064474号、同第20070218528号および同第2008/0131962号も参照されたく、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0039】
ジンクフィンガーDNA結合ドメインまたはTALエフェクターDNA結合ドメインを「遺伝子操作」して、例えば、TALエフェクタータンパク質内の天然の反復ドメインの12位および13位における高頻度可変性二残基領域(hypervariable diresidue region)の遺伝子操作により、または、ジンクフィンガータンパク質のDNA認識ヘリックスのDNA結合部分を遺伝子操作することによって、所定のヌクレオチド配列に結合させることができる。したがって、遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質およびTALエフェクタータンパク質は、天然に存在しないタンパク質である。ジンクフィンガータンパク質およびTALエフェクタータンパク質を遺伝子操作する方法の限定されない例として、設計および選択が挙げられる。設計されたジンクフィンガータンパク質またはTALエフェクタータンパク質は、その設計/組成物が主に合理的基準に由来する天然に存在しないタンパク質である。設計のための合理的基準には、置換規定の適用、ならびに既存のジンクフィンガータンパク質またはTALエフェクターの設計および結合データのデータベース保管情報の中の情報を処理するコンピューターアルゴリズムが含まれる。
【0040】
「クロマチン」は、細胞ゲノムを含む核タンパク質構造である。細胞のクロマチンは、核酸、主としてDNA、およびをヒストン染色体タンパク質および非ヒストン染色体タンパク質含むタンパク質を含む。真核細胞のクロマチンの大部分はヌクレオソームの形態で存在し、その際、ヌクレオソームコアは、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4の各々2つずつを含む8量体と会合した約150塩基対のDNAを含み、(生物によって様々な長さの)リンカーDNAがヌクレオソームコア間に伸びている。ヒストンH1の分子は、一般に、このリンカーDNAと会合している。本開示の目的のために、「クロマチン」という用語は、原核生物および真核生物の両方の細胞核タンパク質の全ての種類を含むと意図される。細胞のクロマチンには、染色体クロマチンおよびエピソームクロマチンの両方が含まれる。
【0041】
「染色体」は、細胞のゲノムの全てまたは一部を含むクロマチン複合体である。細胞のゲノムは、この細胞のゲノムを含む全ての染色体の集合体である染色体の核型によって特徴づけられる場合が多い。細胞のゲノムは、1つ以上の染色体を含み得る。
【0042】
「エピソーム」は、複製する核酸、核タンパク質複合体、または細胞の染色体の核型の部分ではない核酸を含む他の構造体である。エピソームの例として、プラスミドおよび特定のウイルスゲノムが挙げられる。
【0043】
「標的部位」または「標的配列」は、結合のための十分な条件が存在するという条件で、結合分子が結合する核酸の一部を規定する核酸配列である。例えば、5’−GAATTC−3’という配列は、Eco RI制限エンドヌクレアーゼの標的部位である。
【0044】
「外来」分子は、通常は細胞に存在しないが、1つ以上の遺伝学的方法、生化学的方法、または他の方法によって細胞に導入することができる分子である。「通常細胞に存在する」とは、細胞の特定の発生段階および環境条件に関して決定される。したがって、例えば、筋肉の胚発生の間にのみ存在する分子は、成人の筋肉細胞に関して外来分子である。同様に、熱ショックによって誘導される分子は、熱ショックを受けていない細胞に関して外来分子である。外来分子は、例えば、機能不全の内因性分子の機能型、または正常に機能する内因性分子の機能不全型を含み得る。
【0045】
外来分子は、とりわけ、例えば、コンビナトリアルケミストリー過程によって生成される小分子、またはタンパク質、核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、多糖、上記の分子の任意の修飾された誘導体、もしくは上記の分子の1つ以上を含む任意の複合体などの巨大分子であり得る。核酸は、DNAおよびRNAを含み、1本鎖または2本鎖であり得、直鎖状、分岐状、または環状であり得、かつ任意の長さであり得る。核酸には、二重鎖を形成することができる核酸、および三重鎖を形成する核酸が含まれる。例えば、米国特許第5,176,996号および同第5,422,251号を参照されたい。タンパク質には、DNA結合タンパク質、転写因子、クロマチン再構成因子、メチル化DNA結合タンパク質、ポリメラーゼ、メチル化酵素、脱メチル化酵素、アセチル化酵素、脱アセチル化酵素、キナーゼ、ホスファターゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、リガーゼ、トポイソメラーゼ、ジャイレース、およびヘリカーゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
外来分子は、内因性分子と同じ種類の分子、例えば、外来のタンパク質または核酸であり得る。例えば、外来核酸は、細胞に導入された感染性ウイルスゲノム、プラスミドもしくはエピソーム、または通常は細胞に存在しない染色体を含み得る。外来分子を細胞に導入するための方法は、当業者に公知であり、脂質を介する導入(すなわち、中性および陽イオン性の脂質を含むリポソーム)、エレクトロポレーション、直接的注入、細胞融合、微粒子銃、リン酸カルシウム共沈殿、DEAEデキストランを介する導入、およびウイルスベクターを介する導入を含むが、これらに限定されない。
【0047】
対照的に、「内因性」分子は、特定の環境条件下の特定の発生段階にある特定の細胞に通常存在する分子である。例えば、内因性核酸は、染色体、ミトコンドリアゲノム、葉緑体ゲノムもしくは他のオルガネラゲノム、または天然に存在するエピソーム性核酸を含み得る。さらなる内因性分子には、タンパク質、例えば、転写因子および酵素が含まれ得る。
【0048】
「融合」分子は、2つ以上のサブユニット分子が、好ましくは共有結合で連結している分子である。サブユニット分子は同じ化学的種類の分子であり得るか、または異なる化学的種類の分子であり得る。第一の種類の融合分子の例として、融合タンパク質(例えば、ZFP DNA結合ドメインと切断ドメインとの間の融合体、またはTALエフェクターDNA結合ドメインと切断ドメインとの間の融合体)および融合核酸(例えば、前記の融合タンパク質をコードする核酸)が挙げられるが、これらに限定されない。第2の種類の融合分子の例として、三重鎖を形成する核酸とポリペプチドとの間の融合体、およびマイナーグルーブバインダーと核酸との間の融合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
細胞内での融合タンパク質の発現は、融合タンパク質の細胞への送達から、または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの細胞への送達によって生じ得、その際、このポリヌクレオチドが転写され、転写産物が翻訳されて、融合タンパク質が産生される。トランススプライシング、ポリペプチド切断、およびポリペプチドライゲーションも、細胞内でのタンパク質の発現に関与し得る。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの細胞への送達のための方法を、本開示中の他の場所で提示する。
【0050】
「真核」細胞には、(酵母などの)真菌細胞、植物細胞、動物細胞、哺乳類細胞、およびヒト細胞(例えば、T細胞)が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
「作動的連結」および「作動可能に連結される(operatively linked)」(または「作動可能に連結される(operably linked)」)という用語は、並列している2つ以上の構成要素(例えば、配列エレメント)に関して互換的に用いられ、その際、これらの構成要素は、両方の構成要素が正常に機能し、かつこれらの構成要素の少なくとも1つが他の構成要素の少なくとも1つに対して影響を与える機能を媒介することができる可能性を与えるように配置されている。例として、転写調節配列が、1つ以上の転写調節因子の有無に応答してコード配列の転写のレベルを制御する場合、プロモーターなどの転写調節配列は、コード配列に作動可能に連結される。転写調節配列は、一般に、コード配列とシスで作動可能に連結されるが、それに直接的に隣接する必要はない。例えば、エンハンサーは、たとえエンハンサーとコード配列が隣接していなくても、コード配列に作動可能に連結される転写調節配列である。
【0052】
融合ポリペプチドに関して、「作動可能に連結される」という用語は、構成要素の各々が他の構成要素と連結して、もしそのように連結していなければそれが果たすであろう機能と同じ機能を果たすという事実を表し得る。例えば、ZFP DNA結合ドメインが切断ドメインに融合している融合ポリペプチドに関して、この融合ポリペプチドにおいて、ZFP DNA結合ドメイン部分がその標的部位および/またはその結合部位に結合することができる一方で、この切断ドメインがこの標的部位付近のDNAを切断することができる場合、このZFP DNA結合ドメインおよび切断ドメインは作動可能に連結されている。同様の例として、TALエフェクターDNA結合ドメインが切断ドメインに作動可能に連結していると、その結果、DNAの切断が、このTALエフェクターDNA結合ドメインの標的部位付近で生じる。
【0053】
「ベクター」は、遺伝子配列を標的細胞に導入することができる。典型的には、「ベクターコンストラクト」、「発現ベクター」、および「遺伝子導入ベクター」は、目的の遺伝子の発現を導くことができ、かつ遺伝子配列を標的細胞に導入することができる任意の核酸コンストラクトを意味する。したがって、この用語には、クローニング媒体、発現媒体、および組み込みベクターが含まれる。
【0054】
「レポーター遺伝子」または「レポーター配列」とは、好ましくは、必ずしも通例のアッセイにおいて測定されるわけではないが、容易に測定されるタンパク質産物を産生する任意の配列を表す。適切なレポーター遺伝子には、抗生物質耐性(例えば、アンピシリン耐性、ネオマイシン耐性、G418耐性、ピューロマイシン耐性)をもたらすタンパク質をコードする配列、着色タンパク質または蛍光タンパク質もしくは発光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、高感度緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ)をコードする配列、ならびに細胞増殖および/または遺伝子増幅の増強をもたらすタンパク質(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素)をコードする配列が含まれるが、これらに限定されない。エピトープタグには、例えば、FLAG、His、myc、Tap、HAまたは任意の検出可能なアミノ酸配列の1つ以上のコピーが含まれる。
【0055】
概説
最も高い頻度でヌクレアーゼの標的部位を切断するヌクレアーゼをインビボで同定するための組成物および方法を本明細書に記載する。本明細書に記載の組成物および方法を用いて、レポーターを組み込むことなく、所望のゲノムが修飾された細胞を単離することもできる。本明細書に記載の方法において、ヌクレアーゼの標的部位を含むレポーターコンストラクトを宿主細胞に導入する。このヌクレアーゼをこの細胞内で発現させ、それらの標的配列において2本鎖切断(DSB)を引き起こす(例えば、2本鎖切断を引き起こす)時、このレポーター遺伝子は、この宿主細胞の1本鎖アニーリング(SSA)機構により再構成される。このレポーター遺伝子の発現は、標準的な技術によって容易に決定され、レポーター遺伝子発現のレベルは、このヌクレアーゼがこの標的部位で切断する能力を反映する。さらに、このSSAレポーターシステムは、内因性標的部位におけるZFN、メガヌクレアーゼまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質活性を正確に評価するので、ヌクレアーゼによるSSAレポーター発現について細胞を選別することは、ヌクレアーゼ(例えば、ZFN、メガヌクレアーゼまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質)修飾細胞のハイスループットスクリーニングおよび単離を可能にする。
【0056】
それゆえに、活性のあるヌクレアーゼを測定し、所望のゲノムが修飾された細胞を選択するための迅速で、効率的なハイスループットスクリーニング法および単離法について本明細書に記載する。したがって、本明細書に記載の組成物および方法は、使用者がヌクレアーゼをスクリーニングし、所望のゲノムが修飾された細胞を選択することを可能にするキットに利用することもできる。
【0057】
レポーターコンストラクト
本明細書に記載の方法およびシステムは、試験されるヌクレアーゼの標的配列を含む配列を含むレポーターコンストラクトを利用する。このヌクレアーゼがこの標的配列を切断し、このレポーター遺伝子が一本鎖アニーリング(SSA)修復機構により再構成される時にのみこのレポーター遺伝子が機能的になるように、このレポーターコンストラクトを設計する。
【0058】
典型的には、任意のヌクレアーゼ標的配列を機能しないレポーター遺伝子配列の中央に容易に挿入できるように、レポーターコンストラクトを作製する(図1参照)。好ましくは、この標的配列をこのレポーター遺伝子の2つの同一の部分配列間に挿入する。このヌクレアーゼ標的部位のいずれかの部位における2つの同一の部分配列に、このレポーター遺伝子の独特の3’および5’コード領域が隣接する。この標的部位の切断およびSSA修復機構後に、この2つの同一の部分配列間の配列が無くなり、このレポーター遺伝子が機能的な翻訳領域に再構成される。図1Aを参照されたい。
【0059】
スクリーニングされるヌクレアーゼの1つ以上の標的部位を、PCRまたはTOPO(登録商標)および/またはGateway(登録商標)のクローニングシステムなどの市販のクローニングシステムを含む任意に適切な方法によって、このレポーターコンストラクトの中に挿入することができる。特定の実施形態において、この標的部位は、標的部位のコンカテマーを含む。標的部位は、原核生物の遺伝子または真核生物の遺伝子、例えば、哺乳類(例えば、ヒト)、酵母または植物細胞に由来し得る。このレポーターコンストラクト中の標的部位は、宿主細胞のゲノムに存在することが好ましいが、必須ではない。
【0060】
任意のレポーター遺伝子を、本明細書に記載のSSAコンストラクトの中で用いることができる。特定の実施形態において、このレポーター遺伝子は、すぐに検出可能なシグナル、例えば、GFP(緑色蛍光タンパク質)などの蛍光タンパク質のシグナルを提供する。蛍光を、例えば、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)システムを含む様々な市販の蛍光検出システムを用いて検出する。レポーター遺伝子は、検出可能な産物の産生を触媒する酵素(例えば、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、リパーゼ、ホスファターゼ、糖加水分解酵素およびエステラーゼ)でもあり得る。酵素をコードする適切なレポーター遺伝子の限定されない例として、例えば、MEL1、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ;Alton and Vapnek(1979)Nature 282:864 869)、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、β-ラクタマーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが挙げられる(例えば、Toh,et al.(1980)Eur.J. Biochem.182:231 238;およびHall et al.(1983)J.Mol.Appl.Gen.2:101)。
【0061】
さらなるレポーター遺伝子には、FACSまたは抗体がコーティングされた磁気ビーズのいずれか一方によって濃縮することができる細胞表面ベースのマーカー(例えば、受容体)、ならびに薬剤ベースの選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ネオマイシン耐性、G418耐性、ピューロマイシン耐性などの抗生物質耐性)が含まれる。細胞表面受容体のリガンドを保有する磁気ビーズまたは細胞表面受容体と相互作用することができる化合物を保有する磁気ビーズを、本発明の方法と共に用いることができる。例えば、市販のニッケル装填磁気ビーズを用いて、再構成された細胞表面タンパク質がHisタグを含む細胞を濃縮することができる。もう1つの方法として、市販の臭化シアン磁気ビーズを活性化し、選択したリガンドに結合させ、その後、本明細書に記載の方法に用いて、再構成されたSSA細胞表面レポータータンパク質を含む細胞を濃縮または精製することができる。
【0062】
このレポーターコンストラクトには、典型的には、ヌクレアーゼによって切断され、その後、SSAが機能レポーターを修復する際に、このレポーター遺伝子の発現を促進するプロモーターが含まれる。任意の適切なプロモーター、好ましくは、宿主細胞内で機能的なプロモーターが用いられ得る。特定の場合において、誘導プロモーターを使用してもよいが、好ましくは、このプロモーターは、CMVなどの構成的プロモーターである。ポリアデニル化シグナルも、このレポーターコンストラクトに含まれ得る(例えば、図1A参照)。
【0063】
宿主細胞
ヌクレアーゼが標的配列を切断する際に、機能レポーターを再構成する任意の宿主細胞を、本開示の実施で用いることができる。細胞型は、細胞株または例えば、初代細胞などの天然の(例えば、単離された)細胞であり得る。細胞株を、例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection (ATCC))から入手するか、または、例えば、Freshney et al.,Culture of Animal Cells,A Manual of Basic Technique,3rd ed.,1994、およびそこで引用されている参考文献に記載されているような、当該技術分野で公知の方法によって作製することができる。同様に、細胞を、当該技術分野で公知の方法によって単離することができる。他の限定されない細胞型の例として、癌性細胞および形質転換細胞などの病態を有するかまたは病態にかかりやすい細胞、病原体に感染した細胞、幹細胞、完全に分化した細胞、部分的に分化した細胞、不死化細胞などが挙げられる。原核(例えば、細菌)細胞または真核細胞(例えば、酵母細胞、植物細胞、真菌細胞、魚類細胞、ならびにネコ、イヌ、マウス、ウシ、ブタおよびヒトなどの哺乳類細胞)を用いることができ、真核細胞が好ましい。適切な哺乳類細胞株には、K562細胞、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、HEP−G2細胞、BaF−3細胞、シュナイダー細胞、COS細胞(SV40 T抗原を発現するサル腎細胞)、CV−1細胞、HuTu80細胞、NTERA2細胞、NB4細胞、HL−60細胞およびHeLa細胞、293細胞(例えば、Graham et al.(1977)J.Gen.Virol.36:59参照)、ならびにSP2またはNS0のような骨髄腫細胞(例えば、Galfre and Milstein(1981)Meth.Enzymol.73(B):3 46)参照)が含まれる。末梢血単核球(PBMC)またはT細胞も宿主として役立ち得る。他の真核細胞には、例えば、昆虫(例えば、sp.frugiperda)、酵母(例えば、S.cerevisiae,S.pombe,P.pastoris,K.lactis,h.polymorpha)を含む真菌細胞、および植物細胞が含まれる(Fleer,R.(1992)Current Opinion in Biotechnology 3:486 496)。
【0064】
ヌクレアーゼ
本明細書に記載の方法および組成物は広く適用可能であり、任意の目的のヌクレアーゼを含み得る。ヌクレアーゼの限定されない例として、メガヌクレアーゼおよびジンクフィンガーヌクレアーゼが挙げられる。このヌクレアーゼは、異種DNA結合ドメインおよび切断ドメイン(例えば、異種切断ドメインを有するジンクフィンガーヌクレアーゼDNA結合ドメイン、異種切断ドメインを有するメガヌクレアーゼDNA結合ドメインまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合)を含んでもよく、あるいは、天然に存在するヌクレアーゼのDNA結合ドメインを、選択された標的部位に結合するように変化させてもよい(例えば、同族の結合部位とは異なる部位に結合するように遺伝子操作したメガヌクレアーゼまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合体)。
【0065】
特定の実施形態において、このヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ(ホーミングエンドヌクレアーゼ)である。天然に存在するメガヌクレアーゼは、15〜40塩基対の切断部位を認識し、一般に4つのファミリー、すなわちLAGLIDADGファミリー、GIY−YIGファミリー、His−Cystボックスファミリー、およびHNHファミリーに分類される。例示的なホーミングエンドヌクレアーゼには、I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−Sce、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevIIおよびI−TevIIIが挙げられる。これらの認識配列は公知である。米国特許第5,420,032号;同第6,833,252号;Belfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379−3388;Dujon et al.(1989)Gene 82:115−118;Perler et al.(1994)Nucleic Acids Res.22,1125−1127;Jasin(1996)Trends Genet.12:224−228;Gimble et al.(1996)J.Mol.Biol.263:163−180;Argast et al.(1998)J.Mol.Biol.280:345−353、およびNew England Biolabs catalogueも参照されたい。
【0066】
天然に存在するメガヌクレアーゼ、主としてLAGLIDADGファミリーのDNA結合ドメインが、植物、酵母、ショウジョウバエ、哺乳類細胞およびマウスにおいて、部位特異的なゲノムの修飾を促進するために用いられているが、このアプローチは、メガヌクレアーゼ認識配列を保存している相同遺伝子(Monet et al.(1999),Biochem.Biophysics.Res.Common.255:88−93)または事前に遺伝子操作され、認識配列が導入されたゲノム(Route et al.(1994),Mol.Cell.Biol.14:8096−106;Chilton et al.(2003),Plant Physiology.133:956−65;Puchta et al.(1996),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:5055−60;Rong et al.(2002),Genes Dev.16:1568−81;Gouble et al.(2006),J.Gene Med.8(5):616−622)のいずれか一方の修飾に限定されている。したがって、医学的または生物工学的に関連する部位に新規の結合特異性を示すメガヌクレアーゼを遺伝子操作して作製する試みがなされている(Porteus et al.(2005),Nat.Biotechnol.23:967−73;Sussman et al.(2004),J.Mol.Biol.342:31−41;Epinat et al.(2003),Nucleic Acids Res.31:2952−62;Chevalier et al.(2002)Molec.Cell 10:895−905;Epinat et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:2952−2962;Ashworth et al.(2006)Nature 441:656−659;Paques et al.(2007)Current Gene Therapy 7:49−66;米国特許出願公開第20070117128号;同第20060206949号;同第20060153826号;同第20060078552号;および同第20040002092号)。さらに、メガヌクレアーゼの天然に存在するか、または遺伝子操作されたDNA結合ドメインもまた、異種ヌクレアーゼ(例えば、Fok I)の切断ドメインと作動可能に連結されている。
【0067】
いくつかの実施形態において、このヌクレアーゼはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合体である。最もよく特徴づけられているTALエフェクターの1つは、キサントモナスカンペストリス(Xanthomonas campestgris pv.Vesicatoria)のAvrBs3である(Bonas et al(1989)Mol Gen Genet 218:127−136参照)。TALエフェクターは、中心に集められた縦列反復のドメインであり、各々の反復は、これらのタンパク質のDNA結合特異性に重要である約34個のアミノ酸を含む。さらに、TALエフェクターは核局在化配列および酸性の転写活性化ドメインを含む(概説としてSchornack S,et al(2006)J Plant Physiol 163(3):256−272を参照)。さらに、植物病原性細菌ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)において、brg11およびhpx17と命名された2つの遺伝子が発見され、これらは、R.solanacearum次亜種1株GMI1000および次亜種4株RS1000において、キサントモナスのAvrBs3ファミリーに相同性がある(Heuer et al(2007)Appl and Envir Micro 73(13):4379−4384参照)。これらのTALエフェクターの特異性は、縦列反復の中で見出される配列によって決まる。この反復配列は約102bpを含み、これらの反復は、典型的には、互いに91〜100%相同である(Bonas et al,ibid)。これらの反復の多型は、通常、12位および13位に位置し、12位および13位の高頻度可変性二残基の独自性とTALエフェクター標的配列中の近接するヌクレオチドの独自性との間に一対一対応があるように思われる(Moscou and Bogdanove,(2009)Science 326:1501およびBoch et al(2009)Science 326:1509−1512参照)。したがって、TALエフェクタードメインを切断ドメイン(例えば、Fok I)と融合し、TALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質を作製することができ、これは、本発明の方法および組成物と共に用いることができる。他の実施形態において、このヌクレアーゼはジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)である。ZFNは、選択した遺伝子の中の標的部位および切断ドメインまたは切断半ドメインに結合するように遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質を含む。
【0068】
ジンクフィンガー結合ドメインは、選択した配列に結合するように遺伝子操作することができる。例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135−141;Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313−340;Isalan et al.(2001)Nature Biotechnol.19:656−660;Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632−637;Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411−416を参照されたい。遺伝子操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然に存在するジンクフィンガータンパク質と比較して、新規の結合特異性を有することができる。遺伝子操作法には、合理的設計および様々な種類の選択が含まれるが、これらに限定されない。合理的設計には、例えば、三つ組(または四つ組)のヌクレオチド配列および個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースを用いることが含まれ、その際、各々の三つ組または四つ組のヌクレオチド配列は、特定の三つ組または四つ組の配列に結合するジンクフィンガーの1つ以上のアミノ酸配列と結合する。例えば、共同所有の米国特許第6,453,242号および同第6,534,261号を参照されたく、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
ファージディスプレイおよびツーハイブリッドシステムを含む例示的な選択法は、米国特許第5,789,538号;同第5,925,523号;同第6,007,988号;同第6,013,453号;同第6,410,248号;同第6,140,466号;同第6,200,759号;および同第6,242,568号;ならびに国際公開第98/37186号;同第98/53057号;同第00/27878号;同第01/88197号、および英国特許出願公開第2,338,237号に開示されている。さらに、ジンクフィンガー結合ドメインの結合特異性の増強は、例えば、共同所有の国際公開第02/077227号に記載されている。
【0070】
標的部位の選択、ZFN、ならびに融合タンパク質(およびそれをコードするポリヌクレオチド)の設計および構築の方法は当業者に公知であり、米国特許出願公開第20050064474号および同第20060188987号に詳細に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0071】
さらに、これらおよび他の参考文献に開示されているように、ジンクフィンガードメインおよび/またはマルチフィンガー型のジンクフィンガータンパク質は、例えば、5個以上のアミノ酸長のリンカーを含む任意の適切なリンカー配列を用いて、共に連結されてもよい。6個以上のアミノ酸長の例示的なリンカー配列については、例えば、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、および同第7,153,949号を参照されたい。本明細書に記載のタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の適切なリンカーの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0072】
ZFNおよび/もしくはメガヌクレアーゼなどのヌクレアーゼならびに/またはTALエフェクタードメイン融合体は、ヌクレアーゼ(切断ドメイン、切断半ドメイン)も含む。上記のように、この切断ドメインは、DNA結合ドメインに対して異種であってもよく、例えば、ジンクフィンガーDNA結合ドメインとヌクレアーゼの切断ドメイン、メガヌクレアーゼDNA結合ドメインと異なるヌクレアーゼの切断ドメイン、またはTALエフェクタードメイン−ヌクレアーゼ融合体であってもよい。異種切断ドメインは、任意のエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼから得ることができる。切断ドメインを得ることができる例示的なエンドヌクレアーゼには、制限エンドヌクレアーゼおよびホーミングエンドヌクレアーゼが含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、New England Biolabs,Beverly,MAの2002−2003版のカタログ;およびBelfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379−3388を参照されたい。DNAを切断するさらなる酵素は公知である(例えば、S1ヌクレアーゼ;マングビーンヌクレアーゼ;膵臓DNaseI;小球菌ヌクレアーゼ;酵母HOエンドヌクレアーゼ;Linn et al.(eds.)Nucleases,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照)。これらの酵素(またはその機能的断片)のうちの1つ以上を、切断ドメインおよび切断半ドメインの供給源として用いることができる。
【0073】
同様に、切断半ドメインは、切断活性に二量体化を必要とする、上記で説明したような、任意のヌクレアーゼまたはその部分から得ることができる。一般に、融合タンパク質が切断半ドメインを含む場合、切断には2つの融合タンパク質が必要である。あるいは、2つの切断半ドメインを含む単一のタンパク質を用いることができる。この2つの切断半ドメインは、同じエンドヌクレアーゼ(もしくはその機能的断片)から得るか、または各々の切断半ドメインは、異なるエンドヌクレアーゼ(もしくはその機能的断片)から得ることができる。さらに、この2つの融合タンパク質の標的部位を、互いに関して好ましく配置し、その結果、この2つの融合タンパク質がそれらのそれぞれの標的部位に結合することによって、この切断半ドメインは互いに空間的定位に置かれ、この切断半ドメインは、例えば、二量体化によって機能的な切断ドメインを形成することが可能になる。したがって、特定の実施形態において、標的部位の近くの末端を、5〜8ヌクレオチドまたは15〜18ヌクレオチド分隔てる。しかし、任意の整数のヌクレオチドまたはヌクレオチド対(例えば、2〜50ヌクレオチド対以上)が、2つの標的部位の間に介在することができる。一般に、切断の部位は、標的部位の間にある。
【0074】
制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は多くの種に存在しており、(認識部位で)DNAに配列特異的に結合し、結合部位または結合部位の近くでDNAを切断することができる。特定の制限酵素(例えば、IIS型)は、認識部位から隔たりのある部位でDNAを切断し、分離可能な結合ドメインおよび切断ドメインを有する。例えば、IIS型酵素Fok Iは、一方の鎖上においてはその認識部位から9ヌクレオチドの位置で、他方の鎖上においてはその認識部位から13ヌクレオチドの位置で、DNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号;同第5,436,150号;および同第5,487,994号;ならびにLi et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4275−4279;Li et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2764−2768;Kim et al.(1994a)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:883−887;Kim et al.(1994b)J.Biol.Chem.269:31,978−31,982を参照されたい。したがって、一実施形態において、融合タンパク質は、少なくとも1種類のIIS型制限酵素の切断ドメイン(または切断半ドメイン)および1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインを含み、これは遺伝子操作されても、されなくてもよい。
【0075】
切断ドメインがこの結合ドメインから分離可能である、例示的なIIS型制限酵素は、Fok Iである。この特定の酵素は二量体として活性がある。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10,570−10,575。したがって、本開示の目的のために、開示した融合タンパク質に用いられるFok I酵素の部分は、切断半ドメインと考えられる。したがって、ジンクフィンガー−Fok I融合体を用いる細胞配列の標的化二本鎖切断および/または標的化置換のために、各々がFok I切断半ドメインを含む2つの融合タンパク質を用いて、触媒活性のある切断ドメインを再構成することができる。あるいは、1つのジンクフィンガー結合ドメインおよび2つのFok I切断半ドメインを含む単一のポリペプチド分子を用いることもできる。ジンクフィンガー−Fok I融合体を用いる標的化切断および標的化配列変更のためのパラメータを、本開示中の他の場所で提供する。
【0076】
切断ドメインまたは切断半ドメインは、切断活性を保持するか、または多量体化(例えば、二量体化)して、機能的な切断ドメインを形成する能力を保持するタンパク質の任意の部分であり得る。
【0077】
例示的なIIS型制限酵素は、国際公開第2007/014275号に記載されており、これはその全体が本明細書に組み込まれる。さらなる制限酵素も分離可能な結合ドメインおよび切断半ドメインを含み、これらは本開示によって熟考される。例えば、Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:418−420を参照されたい。
【0078】
特定の実施形態において、この切断ドメインは、例えば、米国特許出願公開第20050064474号および同第20060188987号ならびに(2007年5月23日に出願された)米国特許出願第11/805,850号(これらの全ての開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような、ホモ二量体化を最小限に抑えるか、またはホモ二量体化を妨げる1つ以上の遺伝子操作された切断半ドメイン(二量体化ドメイン変異体とも呼ばれる)を含む。Fok Iの446位、447位、479位、483位、484位、486位、487位、490位、491位、496位、498位、499位、500位、531位、534位、537位、および538位のアミノ酸残基は全て、Fok I切断半ドメインの二量体化に影響を与える標的である。
【0079】
偏性ヘテロ二量体を形成するFok Iの遺伝子操作された例示的な切断半ドメインには、第一の切断半ドメインがFok Iの490位および538位のアミノ酸残基において変異を含み、第二の切断半ドメインが486位および499位のアミノ酸残基において変異を含む一対が含まれる。
【0080】
したがって、一実施形態において、490位における変異はGlu(E)をLys(K)と置き換え、538位における変異はIso(I)をLys(K)と置き換え、486位における変異はGln(Q)をGlu(E)と置き換え、499位における変異はIso(I)をLys(K)と置き換える。具体的には、本明細書に記載の遺伝子操作した切断半ドメインを、一方の切断半ドメインの490位(E→K)および538位(I→K)を変異させることによって、「E490K:I538K」と命名する遺伝子操作した切断半ドメインを産生し、もう一方の切断半ドメインの486(Q→E)位および499位(I→L)を変異させることによって、「Q486E:I499L」と命名する遺伝子操作した切断半ドメインを産生することによって調製した。本明細書に記載の遺伝子操作した切断半ドメインは、偏性ヘテロ二量体変異体であり、この変異体において、異常な切断は最小限に抑えられているか、または無効になっている。例えば、米国特許出願公開第2008/0131962号を参照されたく、その開示は全ての目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0081】
本明細書に記載の遺伝子操作した切断半ドメインは、偏性ヘテロ二量体の変異体であり得、この変異体において、異常な切断は最小限に抑えられているか、または無効になっている。例えば、国際公開第07/139898の実施例1を参照されたい。特定の実施形態において、この遺伝子操作した切断半ドメインは、(野生型Fok Iに対して番号付けした)486位、499位および496位に変異を含み、例えば、486位の野生型Gln(Q)残基をGlu(E)残基と置き換え、499位の野生型Iso(I)残基をLeu(L)残基と置き換え、496位の野生型Asn(N)残基をAsp(D)残基またはGlu(E)残基と置き換える変異(それぞれ、「ELD」ドメインおよび「ELE」ドメインとも称する)を含む。他の実施形態において、この遺伝子操作した切断半ドメインは、(野生型Fok Iに対して番号付けした)490位、538位および537位に変異を含み、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基と置き換え、538位の野生型Iso(I)残基をLys(K)残基と置き換え、537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基と置き換える変異(それぞれ、「KKK」ドメインおよび「KKR」ドメインとも称する)を含む。他の実施形態において、この遺伝子操作した切断半ドメインは、(野生型Fok Iに対して番号付けした)490位および537位に変異を含み、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基と置き換え、537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基と置き換える変異(それぞれ、「KIK」ドメインおよび「KIR」ドメインとも称する)を含む(2010年2月8日に出願した米国特許仮出願第61/337,769号参照)。
【0082】
本明細書に記載の遺伝子操作した切断半ドメインを、任意の適切な方法を用いて、例えば、米国特許公開第20050064474号および同第20080131962号に記載されているような野生型切断半ドメイン(Fok I)の部位特異的変異誘発によって調製することができる。
【0083】
もう1つの方法として、ヌクレアーゼを、インビボで、いわゆる「開裂酵素」技術を用いる核酸標的部位で集合させてもよい(例えば、米国特許出願公開第20090068164号参照)。このような開裂酵素の構成要素を、別々の発現コンストラクトのいずれかで発現させるか、または個々の構成要素が、例えば、自己切断2Aペプチド配列またはIRES配列によって分離されている1つの翻訳領域の中に連結させることができる。構成要素は、個々のジンクフィンガー結合ドメインまたはメガヌクレアーゼ核酸結合ドメインのドメインであってもよい。
【0084】
ヌクレアーゼ(例えば、ZFN)を、使用前に、例えば、国際公開第2009/042163に記載の酵母ベースの染色体システムにおいて、活性についてスクリーニングすることができる。
【0085】
ヌクレアーゼ発現コンストラクトを、当該技術分野で公知の方法を用いて容易に設計することができる。例えば、米国特許出願公開第20030232410号;同第20050208489号;同第20050026157号;同第20050064474号;同第20060188987号;同第20060063231号;および国際公開第07/014275号を参照されたい。ヌクレアーゼの発現は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター、例えば、ラフィノースおよび/またはガラクトースの存在下で活性化(抑制解除)され、グルコースの存在下で抑制されるガラクトキナーゼプロモーターの制御下にあってもよい。
【0086】
キット
上記の方法のいずれかを実施するためのキットも提供する。これらのキットは、典型的には、本明細書に記載の1つ以上のレポーターコンストラクトを含み、各々のレポーターは、目的のヌクレアーゼの標的部位の挿入のためのクローニング部位を含む。例えば、特定の遺伝子に対して活性のあるヌクレアーゼをスクリーニングするキットは、所望の標的部位を含む1つ以上のレポーターコンストラクトを提供する。同様に、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞の集団について細胞を濃縮するためのキットは、これらの細胞のゲノム中に存在する標的部位を含むレポーターコンストラクトおよび目的の標的部位に特異的な1つ以上のヌクレアーゼを含む。
【0087】
これらのキットは、細胞、細胞の形質転換用緩衝液、細胞の培地、および/またはアッセイを実施するための緩衝液も含み得る。典型的には、これらのキットは、取扱説明書、包装またはこのキットの他の構成要素に取り付けられるか、もしくはそうでなければ添付される広告ビラなどの任意の物質を含むラベルも含む。
【0088】
適用
開示する方法および組成物を、任意の宿主細胞のゲノムにレポーターコンストラクトを組み込むことなく、ヌクレアーゼの内因性標的に活性のあるヌクレアーゼの迅速な同定に対して用いることができる。このようなヌクレアーゼの同定を、2つの長く伸びた相同なレポーター配列の間に挿入されるヌクレアーゼ(例えば、ZFN)結合部位で構成されるレポーターコンストラクト、好ましくは、エピソームの作製から始める。ヌクレアーゼによって切断されると、2つの相同配列はSSAを介して機能的なレポーターを修復および再構成をすることが可能になる。このレポーターの発現を可能にするこの修復の相対的効率は、内因性標的遺伝子座におけるヌクレアーゼ活性の相対的効率と十分に相関する。したがって、本明細書に記載の方法および組成物は、活性のあるヌクレアーゼのハイスループットなスクリーニングを可能にする。
【0089】
さらに、本明細書に記載の方法および組成物は、ヌクレアーゼによって修飾されたゲノムを含む細胞の効率的な単離を可能にする。エピソームプラスミドに基づくまたはウイルスに基づく(例えば、アデノウイルス、AAVもしくはレンチウイルス由来の)レポーターのSSAによる修復を実行する細胞は、NHEJ活性とドナー配列の標的組み込みの両方を含む内因性標的遺伝子座における修飾のレベルの増加も示す。したがって、修飾された細胞クローンを、このレポーター遺伝子を発現する細胞を選択することによって再構成されたSSAマーカーを用いる濃縮後に、効率的に単離することができる。例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いて、再構成されたGFPレポーターを発現する細胞を選択することができる。さらに、修復されたマーカーの発現について選択される、非常に高い割合の細胞を、この標的遺伝子の全てのコピーの位置で修飾(遺伝子の破壊または遺伝子の付加)するので、標的遺伝子の全てのコピーが破壊された細胞クローンを効率的に単離する方法を提供する。もう1つの方法として、SSAマーカーが再構成された細胞を、薬剤選択スキームを用いて濃縮または精製してもよく、その際、この再構成されたSSAマーカーは耐性マーカーをコードする。細胞を、磁気ビーズを用いて濃縮してもよく、その際、これらのビーズは、再構成された細胞表面タンパク質、すなわち受容体に対するリガンドまたは抗体を含む。
【0090】
さらに、本発明の方法および組成物を用いて、目的の配列の標的化挿入を増加させることができる。細胞を、受容体およびドナー配列の存在下で所望のヌクレアーゼの1つ以上で修飾させることができ、その際、このヌクレアーゼによってDNA切断が成功した後に、このドナー配列を、相同指向修復(HDR)か、または末端結合による捕獲のいずれか一方によって組み入れる。
【0091】
本明細書に記載の方法および組成物は、ヌクレアーゼの同定、単離および最適化に適するキット、ならびに細胞のゲノムへの標的化核酸挿入または標的化核酸欠失に適するキットの中でも用いられる。
【0092】
以下の実施例は本開示の例示的な実施形態に関し、その際、このヌクレアーゼはジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を含む。このヌクレアーゼは例証の目的のためだけであり、他のヌクレアーゼ、例えば、遺伝子操作したDNA結合ドメインを有するホーミングエンドヌクレアーゼ(メガヌクレアーゼ)、および/または天然に存在するか、もしくは遺伝子操作したホーミングエンドヌクレアーゼ(メガヌクレアーゼ)DNA結合ドメインと異種性の切断ドメインの融合体、またはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質を用いることができる。
【0093】
実施例
実施例1:ZFNの調製
基本的には、Urnov et al.(2005)Nature 435(7042):646−651,Perez et al(2008)Nature Biotechnology 26(7):808−816および米国特許出願公開第2008/0131962号に記載のとおりに、CCR5、GFP、WASおよび第IX因子を標的とするZFNを設計し、プラスミドベクターに組み入れるか、シグマアルドリッチ社から入手した。これらのZFNを、Miller et al.(2007)Nat.Biotechnol.25:778−785、米国特許出願公開第20050064474号、および国際公開第2005/014791号に記載のとおりに、ELISAおよびSurveyor(商標)(Transgenomics)Cel-Iアッセイ(「Cel-I」)によって構築し、試験をした。さらに、第IX因子を標的とするZFNに関しては米国特許仮出願第61/212,265号を、CCR5特異的ZFNに関しては米国特許出願公開第2008/0159996号を参照されたい。
【0094】
実施例2:SSAレポーターコンストラクトの作製および試験
1本鎖アニーリング(SSA)レポーターコンストラクトを、中央のZFN結合配列で分離したgfp遺伝子の2等分を用いて作った(図1A)。簡単に説明すると、このコンストラクトにおいて、3’末端にある第1の半分の430塩基対(bp)は、第2の半分の5’配列の430bpと同一である。この第1の半分は、最初のMetコドンATGから始まる146bpの独特の配列を有し、この第2の半分は、終止コドンで終わる146bpの独特の配列を有する。中央のZFN結合配列は、試験するZFNの標的配列に応じて変化する。1つ以上のZFN結合部位をこのコンストラクトの中に挿入することにより、1つのレポーターコンストラクトが2つ以上のヌクレアーゼをスクリーニングするのに用いられることを可能にすることができる。例えば、コンストラクトは、対照の一対のZFNに対する標的配列、ならびに未知のヌクレアーゼに対する標的配列を含み得る。CMVプロモーターはgfp配列の前に位置し、ポリA配列はgfp配列の第2の半分に続く。このプラスミドは、細菌の中で増殖するカナマイシン耐性遺伝子も含む。
【0095】
CCR5特異的ZFN結合部位を上記に記載のSSAレポーターに挿入し、Amaxaヌクレオフェクション(nucleofection)によって、レポーターコンストラクト、およびこの挿入配列を標的とする一対のZFNでトランスフェクションした後に、GFP活性をCHO−S細胞においてアッセイした。レポーター活性を、GFPを発現する細胞の割合として測定した。
【0096】
図1Bおよび1Cに示すように、このアッセイは、ZFN量およびSSAレポーター量の両方に対して良好な用量反応を示した(図1Bおよび1C)。このGFPシグナルはトランスフェクション後48〜72時間に最も強い(図1D)。測定したZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトの最適量を次の実験に用いた。
【0097】
実施例3:SSAレポーターにおけるZFN活性と内因性NHEJ活性との相関
SSAレポーターにおけるZFN活性と、ゲノム中の内因性標的配列におけるZFN活性との相関も測定した。簡単に説明すると、実施例2に記載のとおりに、ヒトWAS遺伝子(NCBI遺伝子ID7454)の複数のZFN標的部位を有するレポーターを作製し、適切なZFN発現プラスミドの導入に際し、GFP発現を評価した。簡単に説明すると、K562細胞を、最適量のZFN発現プラスミドおよびWAS GFP−SSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトした。トランスフェクション後2日目に、これらの細胞の1/3を取り、GFPシグナルを測定した。これらの細胞の残りを、トランスフェクション後3日目に収集し、これらを用いて、ZFN処理の結果としての内因性WAS遺伝子におけるNHEJ活性を分析し、ここで、NHEJ活性を、例えば、米国特許出願公開第20080015164号、同第20080131962号および同第20080159996号に記載のとおりに、Surveyor(商標)ヌクレアーゼを用いてアッセイした(本明細書中、以下で「Cel-Iアッセイ」という)。
【0098】
図2に示すように、このレポーターコンストラクトにおけるZFN活性とこの内因性部位の中の所望の標的遺伝子座におけるZFN活性の強い正の相関がある。
【0099】
実施例4:ZFN修飾細胞の濃縮
このレポーターコンストラクトにおけるZFN活性とこの内因性標的部位におけるZFN活性の強い正の相関を考慮すると、(GFPレポーターの補正によって測定されるように)SSAを行う細胞は、内因性標的遺伝子座を切断するのに十分な量のZFNを発現しているので、2本鎖切断の修復(DSB修復)を生じさせることは当然のことだと思われた。
【0100】
K562細胞を、第IX因子の遺伝子を標的とするZFNおよび(第IX因子のZFN標的配列を含む)適切なSSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトし、その後、トランスフェクション3日目にFACSによって選別した。ZFNおよびレポーターコンストラクトをトランスフェクトしたK562細胞を、FACS分析の5分前に、ヨウ化プロピジウム(PI)で染色した。ゲーティングしたFACS分析は、この集団の0.3%が最高レベルのGFPを発現し、この集団の0.9%が中間レベルの量のGFPを発現し、これらの細胞の2.3%が、低いが検出可能なレベルのGFPを発現したことを示した。
【0101】
図3および以下の表1に示すように、Cel-Iアッセイによって測定したNHEJ活性は、レポータープラスミドのみ(G)でトランスフェクトした細胞と比較して、ZFNの存在下で、FACS選別(S)細胞およびFACS未選別(U)細胞の両方において増加した。選別細胞が、より高いNHEJ活性を示した(図3および以下の表1参照)。
【0102】
【表1】
【0103】
このSSAレポーターシステムも、CCR5特異的ZFNを有するHeLaおよびPBMC細胞において試験した。簡単に説明すると、K562細胞について上記に記載したとおりに、HeLa細胞において実験を行った。さらに、PBMC細胞を、CCR5特異的ZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトを発現するアデノウイルスで形質導入した。
【0104】
図4Aおよび以下の表2に示すように、HeLa細胞の選別プールにおいて、Cel-Iアッセイによって測定した時に、NHEJ活性は約2倍向上した。
【0105】
【表2】
【0106】
同様に、GFP陽性細胞を選別し、分析した時に、HeLa細胞(図4B)およびPBMC(図4C)の両方において、SSAシグナルとNHEJ活性との間に定量的相関があった。選別プールにおいてGFPシグナルが高いほど、内因性遺伝子修飾が多いことと相関する。さらに、このSSAレポーターアッセイは、Hep3B、293T、およびT細胞における試験も成功した。一般に、高いレポーター活性を示した全ての細胞型において、異なるZFNを用いて、2〜6倍のNHEJ活性の向上が観察された。NHEJ活性は、レポーターのみ(レーンA0〜A4)で形質導入した細胞試料にはなかった。ZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトで形質導入した細胞の4つの異なる細胞試料は全て、Cel-Iアッセイによって測定した時、NHEJ活性の証拠を示した(レーンB1〜B4参照)。NHEJ活性の割合(%)をレーンB1〜B4の下に示し、14.4〜32.3%の範囲にある。
【0107】
これのデータは、様々なウイルス性のおよび非ウイルス性の核酸送達法を用いて、様々な細胞株において、このSSAに基づくアッセイを用いてZFNをスクリーニングし、反応条件を最適化し、修飾細胞を濃縮し、かつ修飾細胞クローンを効率的に得ることができることを示す。
【0108】
実施例5:標的遺伝子の全コピーが破壊された細胞クローンの単離
標準的な限界希釈法によるZFN修飾ノックアウト細胞の単一細胞クローニングは、数千クローンとは言わないまでも、数百クローンのスクリーニングを必要とし得る。ZFNの支援なしに遺伝子をノックアウトする従来の遺伝子標的戦略を用いて、数ラウンドのスクリーニングを行うことができ、その際、研究者は100,000を超える細胞クローンをスクリーニングしなければならない。それゆえに、SSAによりレポーター遺伝子を成功裏に再構成した細胞を濃縮することによって、ノックアウト細胞クローンを効率的に単離することが可能である場合に、さらに試験をした。
【0109】
形質導入後3日目に、実施例4に記載の第IX因子特異的ZFN発現ベクターおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトで形質導入した単一細胞を、96ウェルプレート中で、GFP活性に基づいてFACS選別した。3つの異なるGFPゲーティング(低、中、高)から選別し、その後、核酸抽出したクローンの遺伝子型を、標的対立遺伝子のPCR産物のTOPOクローニング、続いて配列解析を行うことによって同定した。クローンは野生型(WT)、ヘテロ接合(HET)、ノックアウト(KO)の3種類がある。配列解析は、非常に高率のクローンが、標的配列の全コピーが破壊された完全な「ノックアウト」クローンであることを示した(以下の表3)。さらに、トランスフェクション41日目に、GFP発現についてクローンをFACS分析した。結果を以下の表3に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
31つのSSA/CCR5特異的ZFN修飾HeLa細胞クローンの遺伝子型も上記で説明したとおりに決定した。これらのクローンのうち、13個が野生型(WT)遺伝子型を示し、11つがZFN修飾のヘテロ接合(HET)であり、7個がノックアウト(KO)であった。
【0112】
したがって、再構成されたレポーター活性に基づくSSAによるFACS選別後に単離し、その後、単一細胞クローニングをした修飾の頻度は、標準的な限界希釈スクリーニングをよりもはるかに高かった。
【0113】
実施例6:ZFNにより標的化挿入された細胞の濃縮および単離
内因性標的は、おそらく、ZFNによる相同指向修復(HDR)を用いて、外来配列(ドナー分子)の標的化挿入により修飾されてきた。例えば、米国特許出願公開第20070134796号を参照されたい。
【0114】
したがって、このSSAアッセイを用いて、このような標的化組み込み事象を次のように濃縮することができるかどうかを決定するために、このSSAアッセイを試みた。K562細胞を、CCR5特異的ZFNおよびGFP−SSAレポーターコンストラクトに加えて、小さい「パッチ」ドナー分子を用いる標準的な技術を用いてトランスフェクトした。この「パッチ」ドナーは、2つのZFN結合部位の間に51bpの外来配列を含んでおり、両サイドにCCR5遺伝子配列が隣接し、このCCR5遺伝子配列は、内因性CCR5遺伝子座にこのパッチドナーを導入するための相同のアームとして役立った。このパッチドナーには、PCRベースの制限断片長多型(RFLP)解析のための新規のBglII制限部位も含めた(Urnov et.al.(2005)Nature 435:646−651.Moehle et.al.(2006)PNAS 104:3055−3060;U.S.参照)。
【0115】
図5Aおよび5Bならびに以下の表4に示すように、Cel-Iアッセイによって測定した時、NHEJ活性は、模擬トランスフェクション(DNAなし)またはレポーターコンストラクトのみのトランスフェクション(ZFNなし)のいずれか一方の対照反応と比較して、FACS選別細胞およびFACS未選別細胞の両方において増加した(図5A)。さらに、パッチドナーの標的組み込みも、対照と比較して選別細胞および未選別細胞の両方において増加した(図5B)。細胞プールをGFP活性にしたがって選別した時、NHEJの割合およびHDRの割合の両方において増加が観察された。これらの結果を、以下の表4にも示す。
【0116】
【表4】
【0117】
したがって、選別および未選別の試料を比較した時、HDRによる標的化組み込み(TI)によるパッチ配列の標的化挿入が行われた細胞を、本方法によって濃縮することができる。
【0118】
さらに、所望の標的化組み込み(TI)事象を有する単一細胞クローンを次のように単離した。トランスフェクション後3日目に、単一細胞を、ゲーティングしたgfpシグナルにしたがって96ウェルプレート中で選別し、増殖させた。上記に記載のPCRベースのRFLP解析を用いて、これらのクローンの遺伝子型を同定した。
【0119】
図5Cおよび以下の表5に示すように、野生型クローンには示したBgl IIバンドがないが(図5Cのレーン5、「W」と表示した)、全ての対立遺伝子が修飾されたクローンは、唯一完全に消化されたバンドを示した(図5Cのレーン4および6、「K」と表示した)。この修飾のヘテロ接合クローンは、野生型対立遺伝子、およびBgl II制限部位を含む挿入されたドナーパッチを含む対立遺伝子の両方を示す部分消化を示した(図5Cのレーン3、「H」と表示した)。表5に示すように、TIが生じた細胞の同定は、標準的な限界希釈スクリーニングと比較してはるかに高かった(調べた10株中7株はTI活性を幾分か示した)。
【0120】
【表5】
【0121】
これらの結果は、本明細書に記載の方法および組成物を用いて、ZFNによる標的化組み込み事象が高頻度で起きた細胞を濃縮し、単離することができる。
【0122】
実施例7:SSA濃縮と、GFP発現を用いる濃縮の比較
上記で測定したように(例えば、実施例4参照)、ZFN修飾細胞の濃縮を、機能的SSAレポーターの発現について細胞を選別することによって達成することができる。したがって、GFP発現による濃縮と比較して、SSA選別の濃縮能力を次のとおりに比較した。
【0123】
K562細胞をgfp発現プラスミドと共にZFN発現プラスミドでトランスフェクトし、ZFNによって再構成されるGFP−SSAレポーターシステムを用いて達成されるGFP発現レベルを模倣した。ZFN発現プラスミドでトランスフェクトし、その後、GFP発現プラスミドまたはGFP−SSAレポーターのいずれか一方でトランスフェクトした細胞を、トランスフェクション後3日目に同一の設定でFACSによって選別した。
【0124】
GFP−SSAレポーターコンストラクト中のgfp遺伝子の再構成の結果としてGFP活性によって選別される細胞は、トランスフェクション後3日目に高い濃縮レベルを示し、この活性は、GFP発現プラスミドを受け取ったトランスフェクタントと比較して、後の時点(14日目)で高いレベルを保持していた(図6)。さらに、SSAレポーター選別から得られた単一細胞クローンは、GFP発現ベクターを受け取ったそれらのトランスフェクタントよりも高頻度のノックアウトクローン(表6)を示した。
【0125】
【表6】
【0126】
これらの結果は、SSAレポーターを発現する細胞の選別がZFN修飾細胞について優れた濃縮を提供することを示す。
【0127】
実施例8:レポーター発現
本明細書に記載の方法は薬剤選択を含まないので、得られた単一細胞クローンが、それらのゲノムの中に組み込まれるSSAレポーター遺伝子を有することは期待されない。
【0128】
この考えを評価するために、第IX因子特異的ZFNクローンを、トランスフェクション後41日目においてGFP発現について評価した。たった1つのクローン(番号106)が、トランスフェクション後41日目においてGFP発現を保持していた(表3参照)。
【0129】
さらに、ゲノム中のSSAレポーターの有無を、サザンブロットおよびPCR解析によってさらに調べた。サザンブロット解析では、これらのクローンをPvuIIで消化し、146bpの独特の5’gfp配列で探索した。図7Aで示すように、これらのクローンの約半分(96、98、101および103)には、SSAレポーター発現に対応するバンドがなかった。これらの結果をPCR解析によって確かめ、その際、gfp特異的PCRプライマーを、ゲノムの中に組み込まれた全てのgfp配列を増幅する試みで用いた(図7B)。
【0130】
これらのクローンのほぼ半分がレポーター遺伝子組み込みのいかなる証拠も示さないので、この方法を用いて、組み込まれるレポーターがない単一細胞クローンを容易に単離することができる。
【0131】
実施例9:ハイスループットスクリーニングおよびクローニング
本明細書に記載のSSAアッセイも用いて、いくつかの異なる標的遺伝子に特異的な多数のセットのZFNをスクリーニングし、この標的においてNHEJを誘導する能力をGFP−SSAレポーター活性と比較した。これらのZFNに適切なSSAレポーターコンストラクトを上記に記載のとおりに作製し、96ウェルプレート中のK562細胞において、上記に記載のとおりに試験した。試験した特定の標的遺伝子に特異的なZFN対の数を「ZFN対」として表7にまとめる。CCR5特異的ZFNシグナルの50%より高いGFPシグナル産生量を与えるZFNを陽性として記録した(以下の表7参照、「SSA+」)。これらのZFNが1%を超えるNHEJ活性を示した場合、これらのZFNをNHEJ陽性と記録した。GFP活性は示すが、NHEJのいかなる証拠も示さなかった細胞を「偽陽性」と判断し、CCR5特異的ZFN活性が50%を下回るが、Cel-IアッセイによるNHEJの証拠を有する細胞を「偽陰性」と名付けた。その後、これらの2つアッセイを用いて、各々の標的についてZFN対を順位付けした。NHEJによって決定した時の順位を、GFP−SSAレポーターアッセイによって決定したそれらの順位と比較した。表7、最後の段を参照されたい。SSAの順位を括弧内に示す。ほとんどの場合、これらのSSAの順位およびNHEJの順位は非常に似ていた。
【0132】
表7に示すように、SSAに基づくスクリーニングは、NHEJによって決定した時の陽性ヒットをいつも正確に同定した。さらに、このSSAアッセイにおいて高いと記録されたZFNも、内因性遺伝子座におけるNHEJ活性がより高い傾向にあった。
【0133】
【表7】
【0134】
このSSAレポーターシステムも用いて、ハイスループット様式で単一細胞クローンを得た。簡単に説明すると、K562細胞を、Amaxaシャトルを用いて、96ウェル形式で、異なる遺伝子を標的にするZFNのパネルおよびそれらの対応するSSAレポーターコンストラクトでトランスフェクトした。これらのZFNのNHEJ活性を、トランスフェクション後3日目にCel-Iアッセイによって測定した。細胞を、96ウェルプレート中の個々のクローンへのトランスフェクション後3日目にFACS選別も行った。これらのクローンが増殖した時、実施例5に記載のとおりに、この標的配列のPCR増幅、続いてPCR産物のクローニングおよび配列解析によって、これらの遺伝子型を同定した。ZFN標的配列の全コピーが修飾された細胞クローンをKOクローンと命名する。解析した全クローンのうちのKOクローンの頻度を表8の最後の段にまとめる。
【0135】
これらの結果を表8にまとめる。
【0136】
【表8】
【0137】
本方法の一般性を試験するために、異なるNHEJ活性を有するZFNを用いてKOクローンを得た。このNHEJ活性は2.7%〜20.0%の範囲にある。これらの結果は、本明細書に記載のZFN/SSAアッセイシステムを用いて、2.7%程度の低さのNHEJ活性を有するZFN修飾細胞クローンをスクリーニングし、単離することができること、かつノックアウトクローンの同定頻度が標準的な限界希釈法よりもはるかに高いことを示す。
【0138】
実施例10:抗生物質耐性SSAレポーターを用いる細胞の濃縮
SSAレポーター遺伝子を、ピューロマイシン遺伝子を用いて構築した。このコンストラクトの中で、ピューロマイシンSSAレポーターを、上記の記載のGFP SSAレポーターと同様に構築した。このピューロマイシン耐性遺伝子の最初の452bpおよび最後の422bpをZFN標的部位と連結した。この実施例において、用いたZFNはCHO Bax遺伝子を標的にする(米国特許出願第12/456,043号参照)。
【0139】
HeLa細胞を、図8に示すプラスミドで、Amaxaヌクレオフェクションによりトランスフェクトした。1試料あたり500ngのレポーターおよび400ngのZFNを用いた(M=模擬、R=レポーター、Z+R=ZFNおよびレポーター)。細胞を、トランスフェクション後24時間の時、1μg/mLのピューロマイシンを含むか、または含まないかのいずれか一方の培地中に再び蒔いた。細胞培地を、トランスフェクション後72時間の時に通常の培地と置き換えた。異なる時点の試料を収集し、本明細書に記載のCel-Iアッセイ分析を行った。図8は、Cel-Iアッセイによって測定した時、トランスフェクション後15日目のSSA濃縮試料におけるNHEJ活性の明らかな増加を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レポーター遺伝子をコードする配列が隣接し、ヌクレアーゼの少なくとも1つの標的配列を含むエピソーム性レポーターコンストラクト。
【請求項2】
前記レポーター遺伝子に作動可能に連結されるポリアデニル化シグナルおよび/またはプロモーター配列をさらに含む、請求項1に記載のレポーターコンストラクト。
【請求項3】
前記プロモーターが構成的プロモーター、調節可能なプロモーターまたは誘導プロモーターからなる群から選択される、請求項2に記載のレポーターコンストラクト。
【請求項4】
前記レポーター遺伝子が、光生成タンパク質、酵素、細胞表面受容体、または選択可能なマーカーをコードする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレポーターコンストラクト。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のレポーターコンストラクトを含む宿主細胞。
【請求項6】
前記細胞が真核細胞である、請求項5に記載の宿主細胞。
【請求項7】
前記細胞が哺乳類細胞である、請求項6に記載の宿主細胞。
【請求項8】
前記レポーターコンストラクトが前記宿主細胞において一過的に発現する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項9】
ヌクレアーゼをコードする配列をさらに含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項10】
前記ヌクレアーゼが、ジンクフィンガータンパク質、メガヌクレアーゼまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質を含む、請求項9に記載の宿主細胞。
【請求項11】
特異的標的部位で切断を引き起こす1つ以上のヌクレアーゼを同定する方法であって、
前記ヌクレアーゼを発現させる1つ以上の発現コンストラクトを、請求項5〜10のいずれかに記載の宿主細胞に導入するステップ(その際、前記レポーターコンストラクトが前記ヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、
前記ヌクレアーゼが発現するような条件下で、前記細胞を培養するステップ、
前記細胞においてレポーター遺伝子発現のレベルを測定するステップ(その際、レポーター遺伝子の発現のレベルの増加が、ヌクレアーゼが誘導する前記標的配列の切断の増加と相関する)を含む方法。
【請求項12】
ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞について細胞の集団を濃縮する方法であって、
前記ゲノムの標的部位を認識し、切断するように標的化されたヌクレアーゼをコードする1つ以上の発現コンストラクトを、請求項5〜10のいずれか一項に記載の宿主細胞に導入するステップ(その際、前記宿主細胞内のレポーターコンストラクトの中のレポーターコンストラクトが、前記ヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、
前記ヌクレアーゼが発現するような条件下で前記細胞を培養するステップ、
前記細胞におけるレポーター遺伝子発現のレベルを測定するステップ、
前記レポーター遺伝子を発現する細胞を選択し、それによって、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾され、かつ活性のあるヌクレアーゼを有する細胞について細胞の集団を濃縮するステップを含む方法。
【請求項13】
前記レポーター遺伝子を発現する細胞を単離することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲノムの修飾が遺伝子の破壊または遺伝子の付加である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記宿主細胞に外来配列を導入することをさらに含み、その結果、前記外来配列が前記ゲノムに組み込まれる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記レポーター遺伝子が光を発現し、前記選択がFACS分析を含む、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
レポーター遺伝子をコードする配列が隣接し、ヌクレアーゼの少なくとも1つの標的配列を含むエピソーム性レポーターコンストラクト。
【請求項2】
前記レポーター遺伝子に作動可能に連結されるポリアデニル化シグナルおよび/またはプロモーター配列をさらに含む、請求項1に記載のレポーターコンストラクト。
【請求項3】
前記プロモーターが構成的プロモーター、調節可能なプロモーターまたは誘導プロモーターからなる群から選択される、請求項2に記載のレポーターコンストラクト。
【請求項4】
前記レポーター遺伝子が、光生成タンパク質、酵素、細胞表面受容体、または選択可能なマーカーをコードする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレポーターコンストラクト。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のレポーターコンストラクトを含む宿主細胞。
【請求項6】
前記細胞が真核細胞である、請求項5に記載の宿主細胞。
【請求項7】
前記細胞が哺乳類細胞である、請求項6に記載の宿主細胞。
【請求項8】
前記レポーターコンストラクトが前記宿主細胞において一過的に発現する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項9】
ヌクレアーゼをコードする配列をさらに含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の宿主細胞。
【請求項10】
前記ヌクレアーゼが、ジンクフィンガータンパク質、メガヌクレアーゼまたはTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合タンパク質を含む、請求項9に記載の宿主細胞。
【請求項11】
特異的標的部位で切断を引き起こす1つ以上のヌクレアーゼを同定する方法であって、
前記ヌクレアーゼを発現させる1つ以上の発現コンストラクトを、請求項5〜10のいずれかに記載の宿主細胞に導入するステップ(その際、前記レポーターコンストラクトが前記ヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、
前記ヌクレアーゼが発現するような条件下で、前記細胞を培養するステップ、
前記細胞においてレポーター遺伝子発現のレベルを測定するステップ(その際、レポーター遺伝子の発現のレベルの増加が、ヌクレアーゼが誘導する前記標的配列の切断の増加と相関する)を含む方法。
【請求項12】
ヌクレアーゼによってゲノムが修飾された細胞について細胞の集団を濃縮する方法であって、
前記ゲノムの標的部位を認識し、切断するように標的化されたヌクレアーゼをコードする1つ以上の発現コンストラクトを、請求項5〜10のいずれか一項に記載の宿主細胞に導入するステップ(その際、前記宿主細胞内のレポーターコンストラクトの中のレポーターコンストラクトが、前記ヌクレアーゼによって認識される標的配列を含む)、
前記ヌクレアーゼが発現するような条件下で前記細胞を培養するステップ、
前記細胞におけるレポーター遺伝子発現のレベルを測定するステップ、
前記レポーター遺伝子を発現する細胞を選択し、それによって、ヌクレアーゼによってゲノムが修飾され、かつ活性のあるヌクレアーゼを有する細胞について細胞の集団を濃縮するステップを含む方法。
【請求項13】
前記レポーター遺伝子を発現する細胞を単離することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲノムの修飾が遺伝子の破壊または遺伝子の付加である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記宿主細胞に外来配列を導入することをさらに含み、その結果、前記外来配列が前記ゲノムに組み込まれる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記レポーター遺伝子が光を発現し、前記選択がFACS分析を含む、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2012−531909(P2012−531909A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518523(P2012−518523)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/001858
【国際公開番号】WO2011/002503
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(508241200)サンガモ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/001858
【国際公開番号】WO2011/002503
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(508241200)サンガモ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]