説明

生産スケジュール作成装置及び生産スケジュール作成方法

【課題】連続生産を行う工程を含む生産ラインにおいて、1人の監督者が同時に指導を行わなければならない操業者の数が、なるべく少なくなるような生産スケジュールを作成することを目的とする。
【解決手段】生産スケジュール作成装置は、並行して処理を行う複数の設備であって、各設備それぞれが複数の被処理物を連続して処理する各設備のスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、設備毎に、被処理物同士が連続する連続箇所における処理の難易度を、その連続箇所の前後の被処理物それぞれの属性に基づいて算出し、その設備を操業する操業者の熟練度が難易度を下回る連続箇所が、同時期に発生する数が少なくなるように、各設備における被処理物の処理順序としたスケジュールを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数設備によって処理を並行して行う場合の生産スケジューリング技術に関し、特に、連続生産を行う工程を含む場合において、生産効率の良いスケジューリングを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の製品を複数工程によって生産する場合の生産計画は、納期を遵守することはもちろん、生産性を最大化するものであることが望まれる。このような複数工程から成る生産ラインとしては、例えば鉄鋼・銅板・アルミ板等の金属素材系工場の生産ラインが挙げられる。
【0003】
このような生産ラインにおいて、納期を守り、且つ、生産効率を上げるためのスケジュールを作成するための技術が提案されている。
【0004】
例えば、一連の製鋼プロセスにおいて、取鍋1杯の溶鋼に相当するチャージ毎に、工程を遡るようにスケジューリングを行う、いわゆる後引きスケジューリングを行う際に、同一設備において複数チャージによる設備競合が有るとき、その複数チャージに関し、各上流工程の設備における利用時間帯の時間を進めることにより設備競合を解消し、設備競合のない実用的な製鋼スケジュールを得る技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
ここで、生産スケジュールを作成する際に考慮しなければならない競合は、設備に限られたものではない。
【0006】
一般に、工場等の設備において処理を行う場合、設備の操業を行う者、いわゆる操業者が設備毎に配置される。そして、設備での操業の難易度が、その設備に配置された操業者の熟練度に対して高い場合には、監督者がその操業者を指導する。監督者とは、操業に対する経験値が高く、熟練度が比較的高い操業者をいう。このように、自分の熟練度よりも難易度が高い処理を行う操業者(非熟練者)を、監督者(熟練者)が指導することで、処理時間を短縮して生産性を向上させると共に、品質の低下を防いでいる。
【0007】
しかし、近年、団塊の世代が大量に定年を迎えたこと等により、監督者となり得る熟練者の数が少なくなっている。したがって、上述のような生産ラインにおいて、図1に示すように、1人の監督者が複数の操業者の指導を行わなければならない場合が生じている。いうなれば、非熟練者の競合が生じていることになる。
【0008】
1人の監督者が多数の操業者の指導を行う場合には、監督者が十分に指導できなくなる可能性が生じ得、生産性や品質が低下してしまう問題が生じ得る。
【0009】
従って、1人の監督者が指導を行わなければならない操業者の数が、なるべく少なくなるような生産スケジュールを作成することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−122404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、複数の工程のなかには、連続生産を行うことが望ましい工程がある。連続生産とは、ある工程において製品を順次処理する場合に、その工程の設備の入り側で、先行する製品に対して次に処理される製品が何らかの方法で接続されることにより、常に設備の中を切れ目なく製品が製造、処理される生産方式である。尚、連続生産には、先行する製品と次に処理される製品とが物理的に接続されて処理される場合だけでなく、物理的には接続されていないが次々と断続的に処理される場合も含まれる。連続生産は、例えば、金属素材系の生産現場では、鋳造設備、圧延設備、焼鈍設備、めっき設備などで行われる。
【0012】
このような連続生産の工程においては、通常、同じような製品を連続して処理する場合に比べて、異なる製品を連続して処理する場合は処理の難易度が高くなる。
【0013】
従って、連続生産を行う設備を並行して操業する場合、それらの設備に配属された操業者の多くが、同時に、監督者の指導を必要とする場合が生じ得る。このことは、品質や生産性が低下して生産効率の点から好ましくない。
【0014】
そこで、本発明は、連続生産を行う工程を含む生産ラインにおいて、1人の監督者が同時に指導を行わなければならない操業者の数が、なるべく少なくなるような生産スケジュールを作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかる一態様では、生産スケジュール作成装置は、並行して処理を行う複数の設備であって、各設備それぞれが複数の被処理物を連続して処理する各設備のスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、前記被処理物毎に、当該被処理物の属性を記憶している被処理物情報記憶手段と、前記設備毎に、被処理物と当該処理物の次に処理される被処理物とが連続する連続箇所における処理の難易度を、当該連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性に基づいて算出する難易度算出手段と、前記設備毎に、当該設備を操業する操業者を割り当てる割当手段と、前記操業者毎に、設備の操業に関する熟練の度合いを示す熟練度を記憶している熟練度記憶手段と、設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出手段で算出された難易度を下回る前記連続箇所が、同時期に発生する数が少なくなるように、各設備における前記被処理物の処理順序を決定する処理順序決定手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
そして、本発明の他の一態様に係る生産スケジュール作成方法は、並行して処理を行う複数の設備であって、各設備それぞれが複数の被処理物を連続して処理する各設備のスケジュールを作成し、前記被処理物毎に、当該被処理物の属性を記憶している被処理物情報記憶手段と、設備を操業する操業者毎に、設備の操業に関する熟練の度合いを示す熟練度を記憶している熟練度記憶手段とを備える生産スケジュール作成装置で用いられる生産スケジュール方法であって、前記設備毎に、被処理物と当該処理物の次に処理される被処理物とが連続する連続箇所における処理の難易度を、当該連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性に基づいて算出する難易度算出ステップと、前記設備毎に、当該設備を操業する操業者を割り当てる割当ステップと、設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出ステップで算出された難易度を下回る前記連続箇所が、同時期に発生する数が少なくなるように、各設備における前記被処理物の処理順序を決定する処理順序決定ステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる他の一態様では、生産スケジュール作成装置は、並行して処理を行う複数の設備であって、各設備それぞれが複数の被処理物を連続して処理する各設備のスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、前記被処理物毎に、当該被処理物の属性を記憶している被処理物情報記憶手段と、前記設備毎に、被処理物と当該処理物の次に処理される被処理物とが連続する連続箇所における処理の難易度を、当該連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性に基づいて算出する難易度算出手段と、設備を操業するために前記複数の設備それぞれに割り当てられる操業者毎に、設備の操業に関する熟練の度合いを示す熟練度を記憶している熟練度記憶手段と、設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出手段で算出された難易度を下回る前記連続箇所が、同時期に発生する数が少なくなるように、各設備に当該設備を操業する操業者を割り当てる操業者割当手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
そして、本発明の他の一態様に係る生産スケジュール作成方法は、並行して処理を行う複数の設備であって、各設備それぞれが複数の被処理物を連続して処理する各設備のスケジュールを作成し、前記被処理物毎に、当該被処理物の属性を記憶している被処理物情報記憶手段と、設備を操業するために前記複数の設備それぞれに割り当てられる操業者毎に、設備の操業に関する熟練の度合いを示す熟練度を記憶している熟練度記憶手段とを備える生産スケジュール作成装置であって、前記設備毎に、被処理物と当該処理物の次に処理される被処理物とが連続する連続箇所における処理の難易度を、当該連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性に基づいて算出する難易度算出ステップと、設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出ステップで算出された難易度を下回る前記連続箇所が、同時期に発生する数が少なくなるように、各設備に当該設備を操業する操業者を割り当てる操業者割当ステップとを備えることを特徴とする。
【0019】
このような構成の生産スケジュール作成装置及び生産スケジュール作成方法によれば、被処理物とその次に処理する被処理物とが連続する連続箇所における難易度を、連続するこれら2つの被処理物の属性に基づいて算出するので、連続生産を行う設備が並行して操業する場合に、操業者の熟練度が難易度を下回る連続箇所が同時期に発生する数を少なくするようなスケジュールを作成することができるようになる。このような連続箇所が同時期に発生する数が少ないということは、操業者を指導する監督者の負担が減ることになり、結果として品質や生産性の向上を図ることが可能となる。
【0020】
尚、「処理」とは、被処理物を最終製品に製造していく過程で行われる製造行為の総称であり、例えば、被処理物に対して成分調整等の加工を施すこと、鋳造をおこなうこと、あるいは圧延を行う事、更には焼鈍を行う事を意味する。また、被処理物が連続するとは、被処理物同士が物理的に接続されて連続している場合も、物理的に接続されておらずに連続している場合も含まれる。
【0021】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記被処理物情報記憶手段は、更に、被処理物の処理内容を記憶しており、前記難易度算出手段は、前記連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性及び処理内容に基づいて当該連続箇所の難易度を算出することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、連続箇所の難易度を、被処理物の属性に加えて、設備における処理内容に基づいて、その連続箇所の難易度を算出するので、より正確な難易度を算出することが可能となる。
【0023】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記被処理物は、複数の成分を含み、前記被処理物情報記憶手段が記憶している被処理物の属性とは、当該被処理物が含む1成分の量であり、前記難易度算出手段は、前記連続箇所において連続する被処理物それぞれが含む前記1成分の量の差が大きいほど難易度を高く算出することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、連続箇所の前後の被処理物それぞれが含む成分の量に基づいて、その連続箇所の難易度を算出するので、より正確な難易度を算出することが可能となる。
【0025】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記処理内容とは、設備内を移動する速度であり、前記難易度算出手段は、前記連続箇所において連続する被処理物それぞれの前記速度の差が大きいほど難易度を高く算出することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、連続箇所の前後の被処理物それぞれが、設備の中を移動する速度に基づいて、その連続箇所の難易度を算出するので、より正確な難易度を算出することが可能となる。
【0027】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記生産スケジュール作成装置は、更に、操業者の熟練度が、当該操業者が割り当てられている設備が処理する被処理物の連続箇所における難易度を下回る場合に、当該操業者を指導する監督者の数を記憶している監督者数記憶部を備え、前記処理順序決定手段は、設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出手段で算出された難易度を下回る前記連続箇所が、前記監督者数記憶手段に記憶されている監督者の数以下となるように、各設備における前記被処理物の処理順序を決定することが好ましい。
【0028】
この構成によれば、指導が必要となる連続箇所が同時期に発生する数が、予め定められた監督者の数を超えることがないスケジュールを作成できるので、1人の監督者が同時に複数の設備で指導を行うという事態を防止することができる。従って、確実に生産性や品質の低下を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる生産スケジュール生産装置は、連続生産を行う工程を含む生産ラインにおいて、より生産効率の高い生産スケジュールの作成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態における生産ラインにおいて、複数の操業者を1人の監督者が指導することを説明するための図である。
【図2】実施形態1における生産スケジュール作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す生産スケジュール作成装置における開始予定時刻テーブルの構成及び内容の例を示す図である。
【図4】図2に示す生産スケジュール作成装置における被処理物情報テーブルの構成及び内容の例を示す図である。図4(a)は、被処理物aの被処理物情報テーブルの例を示す図であり、図4(b)は、被処理物bの被処理物情報テーブルの例を示す図である。
【図5】図2に示す生産スケジュール作成装置における難易度情報テーブルの構成及び内容の例を示す図である。図5(a)は、設備1の難易度情報テーブルの例を示す図であり、図5(b)は、設備2の難易度情報テーブルの例を示す図であり、図5(c)は、設備3の難易度情報テーブルの例を示す図であり、図5(d)は、設備4の難易度情報テーブルの例を示す図である。
【図6】被処理物1の成分1の許容範囲を説明するための図である。
【図7】被処理物1と被処理物2の成分1の許容範囲と、難易度の関係を説明するための図である。
【図8】図2に示す生産スケジュール作成装置における操業実績テーブルの構成及び内容の例を示す図である。
【図9】図9(a)は、図2に示す生産スケジュール作成装置における成分差対応実績テーブルの構成及び内容の例を示す図であり、図9(b)は、速度差対応実績テーブルの構成及び内容の例を示す図である。
【図10】図2に示す生産スケジュール作成装置における操業者熟練度テーブルの構成及び内容の例を示す図である。
【図11】図11(a)は、図2に示す生産スケジュール作成装置における初期スケジュールの構成及び内容の例を示す図であり、図11(b)は、判定結果テーブルの構成及び内容の例を示す図である。
【図12】操業者の熟練度算出処理のフローチャートである。
【図13】実施形態1における生産スケジュール作成処理のフローチャートである。
【図14】図14(a)及び(b)は、変更スケジュールの判定結果テーブルの例を示す図である。
【図15】実施形態2における生産スケジュール作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図16】実施形態2における、操業者の配置の組み合わせを示す図である。
【図17】実施形態2における生産スケジュール作成処理のフローチャートである。
【図18】変形例の生産スケジュール作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図19】被処理物情報テーブルのバリエーションの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<実施形態1>
実施形態に係る生産スケジュール作成装置は、連続生産を行う工程の設備が複数並行して処理を行う場合に、監督者が同時に指導しなければならない操業者の数、言い換えれば、設備の数をできるだけ減らすような生産スケジュールを作成するものである。詳細には、処理する連続生産の難易度が、配属された操業者の熟練度を超えるような設備が、同時に発生する数を減らすようにスケジューリングを行う。
【0032】
<連続生産の難易度>
まず、連続生産における操業の難易度について説明する。尚、工程における処理(操業)の対象物を、以下、「被処理物」というものとする。
【0033】
一般的に、操業の難易度は、‘被処理物A’の処理方法が難しいといった定義のしかたがなされる。
【0034】
しかし、連続生産は、設備の中を切れ目なく(物理的に接続されているか否かは問わない)製品が製造、処理される生産であるという特徴から、被処理物の処理自体の難しさの他に、被処理物αの次に被処理物βが続くと処理が難しいという場合がある。このような工程(設備)としては、例えば、連鋳機、圧延機、焼鈍設備などがある。
【0035】
被処理物αの次に被処理物βが続く処理の難易度を判断する要素としては、以下の2つがある。一つ目は、被処理物αと被処理物βそれぞれの属性、例えば、形状、成分等である。二つ目は、設備における処理の内容、例えば、処理の温度、設備内を移動する速度(ライン速度)等である。
【0036】
以下、設備での処理対象である被処理物の、物質としての属性情報(板ならば、幅、厚、成分、表面形状、強度等)と、設備での処理内容(焼鈍温度、冷却温度、ライン速度、メッキ処理種類、包装処理種類等)とを合わせて「被処理物情報」と呼ぶものとする。
【0037】
操業の難易度は、連続して処理される被処理物αとβとの差に基づいて判断する。
【0038】
連続生産を行う設備として、板(被処理物)の焼鈍設備を例に難易度を説明する。連続焼鈍設備では、設備の入り側で焼鈍対象の薄板が、先行する薄板に溶接接続される。これにより、次々と焼鈍設備内を薄板が通板、焼鈍される。
【0039】
例えば、板αと板βの属性の1つである板幅が大きく異なると、焼鈍設備での処理(例えば、焼鈍温度、冷却温度、処理速度、等)が全く同じでも、通板には注意が必要となり操業難易度は高くなる。また、これとは逆に、板αとβは全く同じ形状、成分であるが、焼鈍温度や冷却温度が異なる場合がある。このときも、炉や冷却帯の温度管理に注意が必要となり操業難易度が高くなる。
【0040】
すなわち、連続生産工程における操業の難しさは、被処理物と当該処理物の次に処理される被処理物とが連続する箇所である連続箇所における処理において発生する。具体的には、連続箇所の前の被処理物に行う処理内容から、後続する被処理物に行う処理内容に、処理を移行する場合の処理が問題となる。
【0041】
以下、実施形態では、連続生産を行う工程の設備として、製鉄プロセスあるいは非鉄金属製造プロセスの焼鈍設備を例に説明し、監督者の指導が同時に必要な設備を少なくし、結果的に、全体の生産性と質とを向上させる生産スケジュールを作成する装置について説明する。尚、実施形態では、図1に示すように設備1〜設備4が並行して操業し、監督者が1人の場合について説明が、本発明は、N個(N:2以上の自然数)の設備を有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う少なくともN人の操業者の指導をN−1人以下の監督者で行う場合に適用されるものである。
【0042】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
尚、実施形態で説明する連続焼鈍工程では、先行する被処理物と後続する被処理物とが物理的に接続(溶接接続)されて連続して処理される。連続鋳造工程なども同様である。しかし、本発明は、被処理物が断続的に、すなわち、物理的に接続されないで連続して処理される工程、例えば、転炉、二次精錬、薄板熱延、厚板圧延などの工程においても適用可能である。
【0044】
<構成>
実施形態1の生産スケジュール作成装置1000の構成を説明する。
【0045】
図2は、生産スケジュール作成装置1000の機能ブロックの構成を示す図である。
【0046】
生産スケジュール作成装置1000は、生産スケジュール作成制御部1010、入力部1020、及び、出力部1030を備えて構成される。
【0047】
入力部1020は、生産スケジュールを作成するプログラム等を起動するコマンド等の各種コマンド、及び、スケジュールの作成等を行う上で必要な各種データを生産スケジュール作成装置1000に入力する機器である。例えば、キーボードやマウス等である。
【0048】
出力部1030は、入力部1020から入力されたコマンドやデータ、及び、生産スケジュール作成装置1000によって作成されたスケジュール等を出力(提示)する機器である。例えばCRTディスプレイ、LCD、有機ELディスプレイ、及び、プラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0049】
生産スケジュール作成制御部1010は、例えば、マイクロプロセッサおよびその周辺回路等を備えて構成され、機能的に、初期スケジュール作成部1100、難易度算出部1200、熟練度算出部1300、比較判定部1400、処理順序変更部1500、生産計画情報記憶部2100、被処理物情報記憶部2200、操業者情報記憶部2300、スケジュール記憶部2400、難易度情報記憶部2500、及び、熟練度情報記憶部2600を備え、制御プログラムに従い入力部1020、及び、出力部1030を当該機能に応じてそれぞれ制御する。また、生産スケジュール作成制御部1010は、ユーザから入力部1020を介して入力されたコマンドに応じて、スケジュール記憶部2400等の各記憶部の内容を出力部1030に表示させたり、入力部1020を介して非処理物情報記憶部2200等の記憶部の内容を作成、修正等を行う機能も有している。
【0050】
尚、生産スケジュール立案処理部1010内の矢印は、機能ブロック間の主なデータの流れを表す。
【0051】
初期スケジュール作成部1100は、操業者割当部1110を含んで構成され、生産ラインの初期スケジュールを作成する。その作成の際、生産計画情報記憶部2100に記憶されているスケジューリングに必要な各種情報を参照する。操業者割当部1110は、設備1〜4のそれぞれに、操業者を割り当てる機能を有する。割り当ての際、生産計画情報記憶部2100に記憶されている操業者の勤務予定等を参照する。
【0052】
初期スケジュール作成部1100は、例えば、後引きスケジューリングによって各設備に被処理物を割り当て、操業者割当部1110に依頼して、各設備に操業者を割り当てさせて、初期スケジュールを作成する。作成された初期スケジュールは、スケジュール記憶部2400に記憶される。例えば、初期スケジュールの例を、図11(a)に示す。この初期スケジュール2410では、例えば、設備1には操業者Pが割り当てられ、10時から被処理物aの処理を開始し、連続して被処理物bの処理を11時から開始するスケジュールとなっている。以下、この10時から11時、11時から12時等の1時間を、単位処理期間というものとする。
【0053】
難易度算出部1200は、成分差対応難易度算出部1210、及び、速度差対応難易度算出部1220を含んで構成される。難易度算出部1200は、スケジュールから、設備ごとに、被処理物が次に処理する処理物と連続する箇所(連続箇所)それぞれの難易度を算出する機能を有する。難易度を算出する際、被処理物情報記憶部2200に記憶されている被処理物の属性に関する情報、及び、設備における処理内容に関する情報を参照する。例えば、図11(a)に示す初期スケジュール2410では、設備1の10時から開始される単位処理期間に処理予定の被処理物aと、11時から開始される単位処理期間に処理予定の被処理物bとが連続する箇所が、連続箇所の1つとなる。
【0054】
接続箇所の難易度を算出する際には、上述した<連続生産の難易度>で述べたように2つの要素を用いて算出する。すなわち、被処理物の属性、及び、設備における処理の内容を基に算出する。実施形態では、被処理物の属性として、被処理物の成分を用いて難易度を算出し、設備の処理内容として、設備内を移動する被処理物の速度を用いて難易度を算出するものとする。
【0055】
成分差対応難易度算出部1210が、連続する前後の被処理物の成分差に基づいて、その差に対応するために求められる操業の難易度を算出し、速度差対応難易度算出部1220が、連続する前後の被処理物の処理速度の差に基づいて、その差に対応するために求められる操業の難易度を算出する。そして、難易度算出部1200は、成分差対応難易度算出部1210と速度差対応難易度算出部1220とがそれぞれ算出した難易度を、難易度情報記憶部2500に記憶する。難易度の算出方法の詳細は、後の<難易度の算出方法>の項で説明する。
【0056】
熟練度算出部1300は、操業者それぞれの熟練度を算出する機能を有する。すべての操業者の熟練度を算出する場合と、一部の操業者の熟練度を算出する場合とがある。いずれの場合であるかは、生産スケジュール作成制御部1010から指示され、一部の操業者の熟練度を算出する場合は、操業者が指定される。
【0057】
実施形態では、設備1〜4は焼鈍設備であるので、焼鈍設備を操業する際の熟練度を算出する。熟練度を算出する際、操業者情報記憶部2300に記憶されている、各操業者の操業実績を参照する。算出された各操業者の熟練度は、熟練度情報記憶部2600に記憶される。
【0058】
比較判定部1400は、スケジュールにおける各連続箇所において、監督者の指導が必要か否かを判断する機能を有する。難易度算出部1200が算出した連続箇所の難易度と、設備に割り当てられている操業者の熟練度とを比較し、監督者が必要な個所であるか否かを判断する。判断に際し、難易度情報記憶部2500に記憶されている連続箇所の難易度と、熟練度情報記憶部2600に記憶されている操業者の熟練度を参照する。
【0059】
処理順序変更部1500は、初期スケジュールを基に、被処理物の処理順序のすべての組み合わせについて、順次作成する機能を有する。本実施形態においては、4つの各設備でそれぞれ3つの被処理物の処理を行うので、1つの設備において3!=6通りの処理順序がある。したがって、4つの設備における3つの被処理物の処理順序のすべての組み合わせは、6の4乗であり、1296通りとなる。従って、処理順序変更部1500は、生産スケジュール作成制御部1010から依頼があると、1296通りの処理順序のスケジュールのうちの1つであって、スケジュール記憶部2400には記憶されていないスケジュールを作成し、スケジュール記憶部2400に記憶する。実施形態では、この1296通りのスケジュールそれぞれについて、同時に指導が必要な設備の数を求め、最適なスケジュールを決定することになる。
【0060】
生産計画情報記憶部2100は、スケジューリングに必要な各種情報を記憶しておく機能を有する。例えば、全操業者の勤務予定、生産ラインを構成する工程の順序、各工程で用いる設備の数、単位処理時間の開始時刻、段取りにかかる時間、注文の納期等である。段取りにかかる時間とは、各設備において処理を開始する前に行っておくべき準備作業に必要な時間であり、例えば、被処理物を最終製品に製造するための型や、巻き取るコイルの交換等に要する段取り時間である。従って、最も早く被処理物の処理が開始される時刻(例えば、10::00)から、段取り時間、例えば、30分を遡った時刻である9:30分よりも前に、処理順序が決定されたスケジュールを作成することになる。
【0061】
被処理物情報記憶部2200は、設備1〜4で処理する被処理物の属性、および、設備の処理内容に関する情報を記憶しておく機能を有する。
【0062】
操業者情報記憶部2300は、設備1〜4に配置される可能性のある全操業者の操業実績を記憶しておく機能を有する。
【0063】
スケジュール記憶部2400は、初期スケジュール作成部1100が作成した初期スケジュール、及び、処理順序変更部1500が変更したスケジュールである変更スケジュールを記憶しておく機能を有する。
【0064】
難易度情報記憶部2500は、難易度算出部1200が算出した連続箇所の難易度を記憶しておく機能を有する。
【0065】
熟練度情報記憶部2600は、熟練度算出部1300が算出した、操業者ごとの熟練度を記憶しておく機能を有する。
【0066】
尚、生産計画情報記憶部2100、被処理物情報記憶部2200、操業実績情報記憶部2300、スケジュール記憶部2400、難易度情報記憶部2500、及び、熟練度情報記憶部2600に記憶されているデータの詳細については、以下の<データ>の項で説明する。
【0067】
これらの生産計画情報記憶部2100等の記憶部は、その用途に応じて、例えば、生産スケジュール作成装置1000のいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子、ROM(Read Only Memory)や書換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶素子、ハードディスク等により構成される。
【0068】
このような構成の生産スケジュール作成装置1000は、例えば、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いて構成可能であり、ハードディスク等の記憶部に格納されている生産スケジュール作成方法をプログラムしたソフトウェアを実行することによって上述の難易度算出部1200等がコンピュータに機能的に構成される。尚、コンピュータには、図2に示す他の機能部のうちの1または複数が構成されてもよい。
【0069】
生産スケジュール作成方法等をプログラムしたプログラムが生産スケジュール作成装置1000のハードディスク等の記憶部に格納されていない場合には、これらを記録した記録媒体から外部記憶部を介して生産スケジュール作成装置1000内の記憶部にインストールされるように構成してもよく、また、これらプログラムを管理するサーバ(図示していない。)からネットワーク及び通信インタフェース部を介して各プログラムがダウンロードされるように構成してもよい。また、操業実績情報記憶部2300等に記憶されているデータは、このデータを記憶した記録媒体によって外部記憶部を介して生産スケジュール作成装置1000に入力されるように構成してもよく、また、ユーザからネットワーク及び通信インタフェース部を介して生産スケジュール作成装置1000に入力されるように構成してもよい。
【0070】
<データ>
生産スケジュール作成装置1000で用いる主なデータについて、図を用いて説明する。
【0071】
図3は、処理開始時刻テーブル2110の構成及び内容の例を示す図である。開始予定時刻テーブル2110は、生産計画情報記憶部2100に記憶されており、スケジューリングをするために必要な情報の1例である。
【0072】
開始予定時刻テーブル2110は、処理順序2111、及び、処理開始予定時刻2112で構成される。
【0073】
処理順序2111は、単位処理期間を特定するための番号であり、処理の順番も示す。
【0074】
処理開始予定時刻2112は、処理順序2111で示される単位処理期間の開始時刻を示す。
【0075】
例えば、処理順序2111として「1番目」が設定されているレコードには、処理開始予定時刻2112として「10:00」が設定されているので、処理順序2111が「1番目」の単位処理期間は、10時に開始されることになる。また、この単位処理期間に割り当てられている被処理物は、「1番目」に処理されることになる。
【0076】
図4は、被処理物情報テーブル2210の構成及び内容の例を示す図である。この開始予定時刻テーブル2110は、被処理物ごとに1テーブルが被処理物情報記憶部2200に記憶されており、被処理物の属性及び設備での処理内容が登録されている。
【0077】
図4(a)は、被処理物aの被処理物情報テーブル2210aの例を示し、図4(b)は、被処理物bの被処理物情報テーブル2210bの例を示す。以下、これらのテーブルを総称して、被処理物情報テーブル2210というものとする。
【0078】
被処理物情報テーブル2210は、設備2211、被処理物2212、項目2213、区分2214、及び、値2215で構成される。
【0079】
設備2211は、複数の設備の中から設備を特定するための識別子を示す。
【0080】
被処理物2212は、複数の被処理物の中から被処理物を特定するための識別子を示す。
【0081】
項目2213は、設備2211で示される設備における処理内容の項目、及び、被処理物2212で示される被処理物の属性の項目を示す。
【0082】
具体的には、被処理物の属性の項目は、「成分1」及び「成分2」で構成され、処理内容の項目は、「P1での速度」及び「P2での速度」で構成されている。「P1」及び「P2」はそれぞれ、設備2211で示される設備の中の位置を示し、「P1での速度」及び「P2での速度」はそれぞれ、被処理物が設備内を移動しながら処理される際の、設備内の位置P1及びP2における速度を示す。
【0083】
区分2214は、項目2213で示される項目の区分けであり、具体的には、「目標値」、「上限値」、及び、「下限値」で構成されている。
【0084】
値2215は、区分2214で示される構成要素、例えば「目標値」等の値を示す。
【0085】
具体的には、速度とは、連続鋳造機での鋳造速度、圧延機での圧延速度、連続焼鈍設備での炉内走行速度などが考えられる。実施形態における設備では、設備内の場所P1、場所P2の2か所での速度を、上下限値内に収める必要がある場合を説明する。この場所P1、P2は、例えば、焼鈍設備であれば、炉内加熱帯と冷却帯であり、それぞれの場所において速度の目標値、上限値、下限値の値が予め決定されている。
【0086】
例えば、設備2211として「設備1」が設定され、被処理物2212として「被処理物a」が設定され、項目2213として「成分1」が設定され、区分2214として「目標値」が設定されているレコードには、値2215として「0.020%」と設定されているので、設備1で処理される被処理物aに含まれる成分1の目標値は、0.020%であることになる。また、項目2213として「P1での速度」が設定され、区分2214として「目標値」が設定されているレコードには、値2215として「100mpm」と設定されているので、設備1内の位置P1を、被処理物aが移動する際の速度の目標値は、分速100m(メートル)であることになる。
【0087】
次に、図5は、難易度情報テーブル2510の構成及び内容の例を示す図である。この難易度情報テーブル2510は、設備ごとに1テーブルが難易度情報記憶部2500に記憶されており、設備における連続箇所ごとの難易度が登録されている。また、難易度情報テーブル2510は、スケジュールごとに作成される。
【0088】
図5(a)は、設備1の難易度情報テーブル2510−1の例を示し、図5(b)は、設備2の難易度情報テーブル2510−2の例を示す。また、図5(c)は、設備3の難易度情報テーブル2510−3の例を示し、図5(d)は、設備4の難易度情報テーブル2510−4の例を示す。これらのテーブルを総称して、難易度情報テーブル2510というものとする。
【0089】
難易度情報テーブル2510は、設備2511、処理順番2512、被処理物2513、項目2514、及び、難易度2515で構成される。
【0090】
設備2511は、複数の設備の中から設備を特定するための識別子を示す。
【0091】
処理順番2512は、設備2511で示す設備における単位処理期間の順番を示す。
【0092】
被処理物2513は、処理順番2512で示す単位処理期間に処理を行う被処理物の識別子を示す。
【0093】
項目2514は、難易度の種別を表し、「成分差対応」及び「速度差対応」で構成されている。「成分差対応」は、連続箇所の前後の被処理物がそれぞれ含む成分量の差に基づく操業の難易度を示し、「速度差対応」は、連続箇所の前後の被処理物がそれぞれ設備内を移動する速度の差に基づく操業の難易度を示す。
【0094】
難易度2515は、項目2514が示す種別の難易度を示す。難易度2515は、次のレコードに登録されている被処理物との連続箇所の難易度を示す。例えば、処理順番2512が「1番目」のレコードに難易度2515として設定されている難易度は、そのレコードに被処理物2513として設定されている「被処理物a」と、処理順番2512が「2番目」のレコードに被処理物2513として設定されている「被処理物b」とが連続する箇所の難易度を示す。具体的な難易度の求め方は、<難易度算出方法>の項で説明する。
【0095】
図8は、操業実績テーブル2310の構成及び内容の例を示す図である。この操業実績テーブル2310は、ある操業者が連続箇所の操業に従事した場合の結果である操業実績が登録され、操業実績情報記憶部2300に記憶されている。このテーブルは、連続箇所1個につき1つ作成されている。
【0096】
操業実績テーブル2310は、成分差対応2311、速度差対応2312、操業者2313、及び、監督者ガイダンス2314で構成される。
【0097】
成分差対応2311は、「難易度」及び「実績」で構成され、「難易度」は、連続箇所の成分差対応難易度を示し、「実績」は操業の実績を示す。「難易度」は、1、2、3、4、5の5段階で示され、「1」が最も難易度が低く、「5」が最も高いものとする。「実績」は、操業が正確に行われた場合には「OK」が、正確に行われなかった場合は「NG」で示される。
【0098】
速度差対応2312は、「難易度」及び「実績」で構成され、「難易度」は、連続箇所の速度差対応難易度を示し、「実績」は操業の実績を示す。「難易度」及び「実績」に設定される内容は、成分差対応2311と同様である。
【0099】
操業者2313は、連続箇所の操業を行った操業者を示す。
【0100】
監督者ガイダンス2314は、操業者2313で示される操業者が、操業を監督者の指導なしに行ったのか、指導の下に行ったのかを示す。「なし」は、指導なしで行ったことを示し、「あり」は、指導の下に行ったことを示す。
【0101】
例えば、図8の操業実績テーブル2310には、成分差対応2311の「難易度」として「4」、「実績」として「OK」が設定され、速度差対応2312の「難易度」として「2」、「実績」として「OK」が設定され、操業者2313として「操業者A」が設定され、監督者ガイダンス2314として「なし」が設定されているので、このテーブルの連続箇所の成分差対応難易度は「4」であり、速度差対応難易度は「2」であり、操業者Aは監督者の指導なしに、正確に操業を行ったことになる。
【0102】
図9(a)は、成分差対応実績テーブル2610の構成及び内容の例を示す図であり、図9(b)は、速度差対応実績テーブル2620の構成及び内容の例を示す図である。この成分差対応実績テーブル2610は、成分差対応難易度ごとに操業の実績がまとめられたテーブルであり、操業者ごとに作成され、速度差対応実績テーブル2620は、速度差対応難易度ごとに操業の実績がまとめられたテーブルであり、操業者ごとに作成される。この成分差対応実績テーブル2610、及び、速度差対応実績テーブル2620は、熟練度算出部1300が操業者の熟練度を算出する過程で操業者ごとに作成され、熟練度情報記憶部2600に記憶される。
【0103】
成分差対応実績テーブル2610は、操業者ID2611、成分差対応難易度2612、及び、成分調整実績2613で構成される。
【0104】
操業者ID2611は、操業者を特定するための識別子を示す。
【0105】
成分差対応難易度2612は、成分差対応難易度を示す。
【0106】
成分調整実績2613は、操業者ID2611で示される操業者の、成分差対応難易度2612で示される難易度の成分調整の実績を示す。具体的には、「OK回数」、「NG回数」及び「成功率」で構成される。「OK回数」は、監督者の指導なしで操業が正確に行われた、すなわち、成功した回数を示し、「NG回数」は、監督者の指導なしで操業が正確に行われなかった回数を示す。「成功率」は、その成功率を示す。実施形態では、成功率を、OK回数÷(OK回数+NG回数)×100 で求める。
【0107】
例えば、操業者ID2611として「操業者A」が設定され、成分差対応難易度2612として「5」が設定されたレコードの、成分調整実績2613の「成功率」として「71.4%」が設定されている場合、操業者Aの成分差対応難易度が「5」の操業の成功率は「71.4%」であることになる。
【0108】
速度差対応実績テーブル2620は、操業者ID2621、速度差対応難易度2622、及び、速度調整実績2623で構成される。
【0109】
操業者ID2611は、操業者を特定するための識別子を示す。
【0110】
速度差対応難易度2622は、速度差対応難易度を示す。
【0111】
速度調整実績2623は、操業者ID2621で示される操業者の、速度差対応難易度2622で示される難易度の速度調整の実績を示す。具体的には、「OK回数」、「NG回数」及び「成功率」が登録される。
【0112】
図10は、操業者熟練度テーブル2630の構成及び内容の例を示す図である。この操業者熟練度テーブル2630は、各操業者の熟練度が登録され、熟練度情報記憶部2600に記憶されている。このテーブルは、熟練度算出部1300によって作成され、熟練度情報記憶部2600に記憶される。
【0113】
操業者熟練度テーブル2630は、操業者ID2631、成分差対応2632、及び、速度差対応2633で構成される。
【0114】
操業者ID2631は、操業者を特定するための識別子を示す。
【0115】
成分差対応2632は、操業者ID2631が示す操業者の、成分差対応における熟練度を示す。
【0116】
速度差対応2633は、操業者ID2631が示す操業者の、速度差対応における熟練度を示す。
【0117】
図11(a)は、初期スケジュール2410を示す。初期スケジュール2410は、1生産スケジュール作成装置1000によって作成され、スケジュール記憶部2400に記憶される。
【0118】
初期スケジュール2410は、設備ごとに、割り当てられた操業者、及び、各単位処理期間における処理予定の被処理物が記載されている。
【0119】
例えば、初期スケジュール2410では、設備1には操業者Pが割り当てられ、10時から開始される1番目の単位処理期間には、処理予定の被処理物として被処理物aが割り当てられている。
【0120】
図11(b)は、判定結果テーブル2420の構成及び内容の例を示す図である。この判定結果テーブル2420は、初期スケジュール2410における連続箇所ごとに、監督者の必要性の有無を示すテーブルであり、比較判定部1400によって作成され、スケジュール記憶部2400に記憶される。また、判定結果テーブル2420は、スケジュールごとに作成される。
【0121】
判定結果テーブル2420は、処理順番2411、設備1(2412)、設備2(2413)、設備3(2414)、及び、設備4(2415)で構成される。
【0122】
処理順番2411は、単位処理期間の番号を示す。
【0123】
設備1(2412)は、設備1における連続箇所の監督者の必要性の有無を示す。尚、設備1に割り当てられている操業者をかっこ書きで示している。設備1(2412)は、「被処理物」及び「指導必要性」で構成され、「被処理物」は、処理順番2411で示される単位処理期間に割り当てられている被処理物を示す。また、「指導必要性」は、監督者の指導の必要性を示し、「○」は必要を示し、「×」は不要を示す。この「○」、「×」は、テーブルの見やすさを考慮し、処理順番2411が設定されていないレコードに「指導必要性」として設定されており、そのレコードの前後のレコードの「被処理物」として設定されている被処理物が連続する箇所についての、監督者の必要性の有無を示すものとする。
【0124】
設備2(2413)、設備3(2414)、設備4(2415)はそれぞれ、設備1(2412)と同様に、「被処理物」及び「指導必要性」で構成され、「被処理物」は、処理順番2411で示される単位処理期間に割り当てられている被処理物を示し、「指導必要性」は、監督者の指導の必要性を示している。
【0125】
<指導要否判定方法>
ここで、操業者が設備で操業を行う際に、監督者の指導が必要か否かを判定する方法について説明する。
【0126】
この処理は、比較判定部1400が行う処理である。
【0127】
比較判定部1400は、難易度情報記憶部2500から、各設備の連続箇所の難易度を示す難易度情報テーブル2510(図5参照)を読み出し、熟練度情報記憶部2600から、各操業者の熟練度が記載された操業者熟練度テーブル2630(図10参照)を読み出す。また、スケジュール記憶部2400に記憶されている初期スケジュール2410(図11(a)参照)を参照して、各設備に配置されている操業者を取得する。
【0128】
そして、各設備の接続箇所ごとに、監督者の指導が必要か否かを判定し、判定結果テーブル2420(図11(b)参照)を作成してスケジュール記憶部2400に記憶させる。
【0129】
判定は、連続箇所の成分差対応難易度、及び、速度差対応難易度のそれぞれと、設備に配置されている操業者の成分差対応熟練度、及び、速度差対応熟練度のそれぞれとを比較し、双方とも熟練度が難易度以上である場合にのみ、監督者の指導が不要と判定する。
【0130】
例えば、初期スケジュール2410の設備4において、2番目と3番目の単位処理期間で処理する被処理物の連続箇所で、監督者の指導が必要か否かを判定する。
【0131】
設備2511として「設備4」が設定されている難易度情報テーブル2510−4(図5(d)参照)において、処理順番2512として「2番目」が設定され、項目2514として「成分差対応」が設定されているレコードに、難易度2515として「4」が設定されているので、この連続箇所における成分差対応難易度は、「4」である。同様に、項目2514として「速度差対応」が設定されているレコードに、難易度2515として「2」が設定されているので、この連続箇所における速度差対応難易度は、「2」である。
【0132】
そして、設備4には、初期スケジュール2410で示すように操業者Sが配置されている。操業者熟練度テーブル2630の操業者ID2631として「操業者S」が設定されているレコードに、成分差対応2632として「3」が設定され、速度差対応2633として「4」が設定されているので、操業者Pの成分差対応熟練度及び速度差対応熟練度はそれぞれ、「3」、「4」となり、以下の式が成り立つ。
成分差対応熟練度(3)<成分差対応難易度(4)、
速度差対応熟練度(4)>速度差対応難易度(2)、
すなわち、成分差対応の項目で熟練度が不足しているので、この連続箇所は、要指導と判定される。
【0133】
そして、判定結果テーブル2420の該当箇所、ここでは、処理順番2411として「2番目」が設定されているレコードと「3番目」が設定されているレコードの間のレコードに、設備4(2415)の「指導必要性」として、「○」を設定する。
【0134】
<難易度算出方法>
次に、図4〜図7を用いて、連続箇所の難易度の算出方法について説明する。
【0135】
まず、成分差対応の難易度の算出方法を説明する。この処理は、成分差対応難易度算出部1210が行う処理であり、被処理物を連続して処理する場合の成分差対応操業の難易度を算出する。以下、被処理物1と被処理物2とを連続して処理する場合を例に説明する。
【0136】
難易度は、被処理物に含まれるある成分について、被処理物1に含まれる許容範囲と、被処理物2に含まれる許容範囲とから決定する。
【0137】
図6に、被処理物1に含まれる成分1の上限値、及び、下限値から決定される成分1の許容範囲をC11で示す。同様に、被処理物2に含まれる成分1の許容範囲をC21とする。また、被処理物1に含まれる成分2の許容範囲をC12、被処理物2に含まれる成分2の許容範囲をC22とする。
【0138】
被処理物1と被処理物2とを連続して処理する場合の、成分1に関する成分差対応難易度をL1とし、その値を以下のように定義する。難易度は、0、1、2及び3の4段階で示され、「0」が最も難易度が低く、「3」が最も高いものとする。
L1=0 if C11≡C21 :上限値も下限値も同じ(範囲が同じ)
1 else if C11∈C21 or C21∈C11:どちらかの範囲が他方に含まれる
2 else if C11∩C21 ≠ φ :共通部分がある
3 else :共通部分がない
これらの式で示される関係を、図7に、許容範囲の関係と難易度との対応表として示す。被処理物1の許容範囲C11と被処理物2の許容範囲C21とが一致する場合は、難易度を「0」とし、許容範囲C11に許容範囲C21が包含されるか、許容範囲C21に許容範囲C11が包含される場合は、難易度を「1」とする。また、許容範囲C11と許容範囲C21とが一部で重なりがある場合は、難易度を「2」とし、重なりが無い場合は、難易度を「3」とする。
【0139】
この難易度の定義は、同じような成分許容範囲であれば、連続して処理する場合、同様の操業で対応が可能であるので難易度が低く、異なる場合は操業で考えなければならない要素が増えて、難易度が上がることを示している。
【0140】
同様に、被処理物1と被処理物2とを連続して処理する場合の成分2に関する成分差対応難易度をL2とし、その値を以下のように定義する。
L2=0 if C12≡C22 :上限値も下限値も同じ
1 else if C12∈C22 or C22∈C12:どちらかの範囲が他方に含まれる
2 else if C12∩C22 ≠ φ :共通部分がある
3 else :共通部分がない
被処理物1と被処理物2とを連続して処理する場合の成分1、2双方を考慮した、総合的な成分差対応難易度をLとし、その値を以下のように定義する。総合的な難易度は、1、2、3、4及び5の5段階で示され、「1」が最も難易度が低く、「5」が最も高いものとする。
L=1 if L1+L2=0
2 else if L1+L2=1
3 else if L1+L2=2
4 else if L1+L2=3
5 else
成分差対応難易度は、成分1に関する成分差対応難易度と、成分2に関する成分差対応難易度との和に応じて決定される。具体的には、和が0ならば難易度Lを「1」とし、和が1ならば難易度Lを「2」とし、和が2ならば難易度Lを「3」とし、和が3ならば難易度Lを「4」とする。そして、和が4以上ならば難易度Lを「5」とする。
【0141】
例えば、図4(a)の被処理物情報テーブル2210aで示される被処理物aと、図4(b)の被処理物情報テーブル2210bで示される被処理物bとが連続する箇所の難易度を求める。
【0142】
被処理物情報テーブル2210aにおいて、項目2213として「成分1」が設定され、区分2214として「上限値」が設定されたレコードに、値2215として設定されている値が「0.015%」であり、区分2214として「下限値」が設定されたレコードに、値2215として設定されている値が「0.010%」であるので、被処理物aの成分1の許容範囲は「0.010%〜0.015%」となる。そして、被処理物情報テーブル2210bにおいて、項目2213として「成分1」が設定され、区分2214として「上限値」が設定されたレコードに、値2215として設定されている値が「0.015%」であり、区分2214として「下限値」が設定されたレコードに、値2215として設定されている値が「0.010%」であるので、被処理物bの成分1の許容範囲は「0.010%〜0.015%」となる。従って、被処理物aの成分1の許容範囲「0.010%〜0.015%」と、被処理物bの成分1の許容範囲「0.010%〜0.015%」は一致するので、難易度L1は0となる(図7参照)。
【0143】
同様に、成分2に成分差を求めると、被処理物aの成分2の成分差は「0.390%〜0.420%」と、被処理物bの成分2の成分差は「0.370%〜0.380%」は重なりが無いので、難易度L2は3となる。
【0144】
L1が0、L2が3なので、L1とL2との和は3となる。従って、総合的な成分差対応難易度Lは4となる。
【0145】
次に、速度差対応の難易度の算出方法を説明する。この処理は、速度差対応難易度算出部1220が行う処理である。
【0146】
速度差対応難易度は、成分差対応難易度と同様に、被処理物の移動速度について、被処理物1の許容範囲と、被処理物2の許容範囲とから決定する。
【0147】
図6に示す成分1の許容範囲C11と同様に、被処理物1の場所P1での速度上限、下限から導出できるP1での速度許容範囲をD11とする。同じく被処理物2の場所P1での速度許容範囲をD21とする。さらに、被処理物1の場所P2での速度許容範囲をD12、被処理物2の場所P2での速度許容範囲をD22とする。それぞれの速度差対応難易度を、成分の場合と同様に以下のように定義する。
【0148】
場所P1での速度差対応難易度をV1とする。
V1=0 if D11≡D21 :上限値も下限値も同じ
1 else if D11∈D21 or D21∈D11 :どちらかの範囲が他方に含まれる
2 else if D11∩D21 ≠ φ :共通部分がある
3 else :共通部分がない
場所P2での速度差対応難易度をV2とする。
V2=0 if D12≡D22 :上限値も下限値も同じ
1 else if D12∈D22 or D22∈D12 :どちらかの範囲が他方に含まれる
2 else if D12∩D22 ≠ φ :共通部分がある
3 else :共通部分がない
被処理物1と被処理物2とを連続して処理する場合の、場所P1、P2の速度双方を考慮した、総合的な速度差対応難易度をVとし、その値を以下のように定義する。
V=1 if V1+V2=0
=2 else if V1+V2=1
=3 else if V1+V2=2
=4 else if V1+V2=3
=5 else
速度差対応難易度は、場所P1での速度差対応難易度と、場所P2での速度差対応難易度との和に応じて決定される。具体的には、和が0ならば難易度Vを「1」とし、和が1ならば難易度Vを「2」とし、和が2ならば難易度Vを「3」とし、和が3ならば難易度Vを「4」とする。そして、和が4以上ならば難易度Vを「5」とする。
【0149】
例えば、図4(a)の被処理物情報テーブル2210aで示される被処理物aと、図4(b)の被処理物情報テーブル2210bで示される被処理物bとが連続する箇所の速度差対応難易度を求める。
【0150】
被処理物情報テーブル2210aにおいて、項目2213として「P1での速度」が設定され、区分2214として「上限値」が設定されたレコードに、値2215として設定されている値が「110mpm」であり、区分2214として「下限値」が設定されたレコードに、値2215として設定されている値が「90mpm」であるので、被処理物aのP1での速度の許容範囲は「90mpm〜110mpm」となる。そして、被処理物情報テーブル2210bにおいて、項目2213として「P1での速度」が設定され、区分2214として「上限値」が設定されたレコードに、値2215として設定されている値が「100mpm」であり、区分2214として「下限値」が設定されたレコードに、値2215として設定されている値が「90mpm」であるので、被処理物bのP1での速度の許容範囲は「90mpm〜100mpm」となる。従って、被処理物aのP1での速度の許容範囲「90mpm〜110mpm」と、被処理物bのP1での速度の許容範囲「90mpm〜100mpm」は包含関係にあるので、難易度V1は1となる(図7参照)。
【0151】
同様に、P2での速度の許容範囲を求めると、被処理物aのP2での速度の許容範囲は「70mpm〜100mpm%」と、被処理物bのP2での速度の許容範囲は「70mpm〜100mpm%」は一致するので、難易度V2は0となる。
【0152】
V1が1、V2が0なので、V1とV2との和は1となる。従って、総合的な速度差対応難易度Vは2となる。
【0153】
実施形態では、総合的な成分差対応難易度Lを、L1とL2との和の値によって、また、総合的な速度差差対応難易度Vを、V1とV2との和の値によって決定したが、他の方法であってもよく、生産設備に応じて、計算方法を変えてもよい。例えば、最大値を採る、積を求めるといった計算方法が考えられる。また、成分が2種類、場所が2か所の場合の例を示したが、成分種類や場所が1又はそれ以上の場合であってもよい。
【0154】
また、被処理物の属性及び処理内容として、成分と速度以外の項目を用いて難易度を求めてもよい。例えば、図19は被処理物情報テーブル2290の構成及び内容の例を示す図であり、被処理物zの被処理物情報テーブル2290zの例を示す。ここでは、項目2213として、「成分1」及び「成分2」ではなく「幅」及び「厚み」で構成され、「P1での速度」ではなく「温度」で構成されている。幅は、板の幅を示し、厚みは、板の厚みを示し、温度は、設備で処理する温度を示す。さらには、被処理物の属性、すなわち、物質としての情報には、表面形状、強度などがあり、設備での処理内容としては、メッキ処理種類、包装処理種類などがある。
【0155】
<熟練度算出方法>
次に、図8〜図10及び図12を用いて、操業者の難易度の算出方法について説明する。
【0156】
この処理は、熟練度算出部1300が行う処理である。
【0157】
熟練度算出部1300は、まず、操業実績情報記憶部2300に記憶されている操業実績テーブル2310から、各操業者の、成分差対応実績テーブル2610及び速度差対応実績テーブル2620を作成する。
【0158】
具体的には、操業者2313で示される操業者ごとに、操業実績テーブル2310(図8参照)を読み出し、監督者ガイダンス2314として「なし」が設定されている場合の、成分差対応2311の難易度ごとの実績「OK」、「NG」の回数をカウントする。成分差対応実績テーブル2610(図9(a)参照)の成分調整実績2613の「OK回数」、「NG回数」それぞれにカウントした数を設定し、成功率を算出して「成功率」に設定する。同様に、速度差対応2312の難易度ごとの実績「OK」、「NG」の回数をカウントする。速度差対応実績テーブル2620の速度調整実績2623の「OK回数」、「NG回数」それぞれにカウントした数を設定し、成功率を算出して「成功率」に設定する。
【0159】
次に、熟練度算出部1300は、各操業者の成分差対応実績テーブル2610及び速度差対応実績テーブル2620(図9(b)参照)から、操業者熟練度テーブル2630を作成する。
【0160】
熟練度は、0、1、2、3、4の5段階で示すものとし、「0」が最も熟練度が低いことを示し、「4」が最も熟練度が高いことを示す。
【0161】
ここで、熟練度の考え方を説明する。操業の難易度ごとの成功率が、所定の閾値を超えている場合には、その難易度の操業は監督者指導が不要であると判断し、それに応じた熟練度を操業者に付与する。但し、より低い難易度の成功率は、閾値を超えている必要がある。実施形態では、監督者の指導不要と判断される難易度を、熟練度とする。例えば、成分差対応難易度が「3」の操業であるならば監督者の指導は不要と判断される場合は、その操業者の熟練度は「3」となる。
【0162】
例えば、図9(a)の成分差対応実績テーブル2610を例にとると、操業者Aは、監督者ガイダンスなしで難易度1、2の成分差対応作業の場合には成功率100%である。従って、操業者Aは、難易度2までの成分差対応作業は十分こなせるといえる。また、閾値を95%とすると、難易度3では96.8%の成功率、難易度4では91.3%、そして難易度5では71.4%の成功率を示していることから、操業者Aは、成分差対応作業に関しては難易度3まで実行できることになる。成分差対応の作業熟練度、すなわち、成分差対応熟練度は、熟練度3と判定する。
【0163】
尚、難易度が低い作業の成功率が95%未満で、逆に難易度が高い作業の成功率が95%以上といった場合も考えられる。例えば、難易度5の失敗回数が0回であれば、難易
度5の成分差対応作業の成功率は100%となる。このような場合の考え方はいろいろあるが、難易度の低い作業での成功率が閾値を割っている場合は、それ以上の熟練度は得られないものとする。但し、それ以上の熟練度を与えることとしてもよい。
【0164】
図12を用いて、熟練度算出処理を説明する。図12は、熟練度算出処理のフローチャートである。閾値は95%とする。
【0165】
まず、難易度1の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS1)。成功率が95%よりも少ないと判定された場合(ステップS1:NO)には、操業者Aの熟練度は、0であると規定される(ステップS2)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(ステップS1:YES)には、難易度2の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS3)。成功率が95%よりも少ないと判定された場合(ステップS3:NO)には、操業者Aの熟練度は、1であると規定される(ステップS4)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(ステップS3:YES)には、難易度3の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS5)。成功率が95%より少ないと判定された場合(ステップS5:NO)には、操業者Aの熟練度は、2であると規定される(ステップS6)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(ステップS5:YES)には、難易度4の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS7)。成功率が95%より少ないと判定された場合(S7:NO)には、操業者Aの熟練度は、3であると規定される(ステップS8)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(ステップS7:YES)には、難易度5の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS9)。成功率が95%より少ないと判定された場合(ステップS9:NO)には、操業者Aの熟練度は、4であると規定される(ステップS10)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(ステップS9:YES)には、操業者Aの熟練度は、5であると規定される(ステップS11)。
【0166】
また、図9(b)の速度差対応実績テーブル2620から、操業者Aの速度差対応の作業熟練度、すなわち、速度差対応熟練度も同様に導出できる。
【0167】
他の操業者の各作業の熟練度も、上述の操業者Aの場合と同様に導出し、操業者熟練度テーブル2630を作成する。
【0168】
このように、操業者熟練度テーブル2630は、各操業者ごとに蓄積された過去の操業実績である成分差対応実績テーブル2610及び速度差対応実績テーブル2620から算出されるので、常に正確な操業者の熟練度評価に基づく処理順序の決定が実現できる。
【0169】
<動作>
以下、生産スケジュール作成装置1000の生産スケジュール作成処理について、図を用いて説明する。
【0170】
図13は、生産スケジュール作成処理のフローチャートである。
【0171】
まず、ユーザは、生産スケジュール作成処理に必要なデータを、入力部1020を介して入力し、各記憶部に記憶させておく。例えば、各処理物ごとの被処理物情報テーブル2210を、被処理物情報記憶部2200に記憶させておく等である。
【0172】
次に、ユーザは、入力部1020を介してスケジュールの作成を指示するコマンドを入力する。
【0173】
生産スケジュール作成制御部1010は、スケジュールの作成を指示するコマンドが入力された旨の通知を受けると(ステップS11:YES)、初期スケジュール作成部1100に初期スケジュールの作成開始を指示する。
【0174】
指示を受けた初期スケジュール作成部1100は、開始予定時刻テーブル2110等の生産スケジュール作成処理に必要な各種情報を生産計画情報記憶部2100から読み出し、スケジュールを作成する。初期スケジュール作成部1100は、操業者割当部1110に指示し、作成したスケジュールに操業者を割り当てさせ、初期スケジュール2410(図11(a)参照)を作成し、スケジュール記憶部2400に記憶させる。
【0175】
次に、生産スケジュール作成制御部1010は、練度算出部1300に各操業者の熟練度の算出を依頼する。この際、初期スケジュール2410に割り当てられている操業者のIDを渡す。
【0176】
依頼を受けた熟練度算出部1300は、上述した<熟練度算出方法>の項で説明したように、渡されたIDの操業者ごとの熟練度を算出し、操業者熟練度テーブル2630を作成して熟練度情報記憶部2600に記憶させる(ステップS12)。例えば、初期スケジュール2410の場合は、操業者P、操業者Q、操業者R、及び、操業者Sの4人が登録されている操業者熟練度テーブル2630が作成される。尚、生産スケジュール作成処理を開始する前に、配置され得るすべての操業者の熟練度を算出して、すべての操業者が登録されている操業者熟練度テーブル2630を作成して熟練度情報記憶部2600に記憶させておいてもよい。この場合は、ステップS12の処理は不要となる。
【0177】
熟練度算出部1300が操業者熟練度テーブル2630を作成して熟練度情報記憶部2600に記憶させると、生産スケジュール作成制御部1010は、初期スケジュール2410の連続箇所の難易度の算出を、難易度算出部1200に指示する。
【0178】
指示を受けた難易度算出部1200は、スケジュール記憶部2400から初期スケジュール2410を読み出し、各設備の連続箇所の難易度を算出し、難易度情報テーブル2510−1〜4(図5(a)〜(d)参照)を作成して難易度情報記憶部2500に記憶させる(ステップS13)。
【0179】
具体的には、難易度算出部1200は、初期スケジュール2410から連続箇所を検出し、連続箇所の前後の被処理物の識別子の被処理物情報テーブル2210を、被処理物情報記憶部2200から読み出す。そして読み出した被処理物情報テーブル2210を、成分差対応難易度算出部1210及び速度差対応難易度算出部1220のそれぞれに渡して、成分差対応難易度及び速度差対応難易度の算出をそれぞれに依頼する。
【0180】
依頼を受けた成分差対応難易度算出部1210は、難易度算出部1200から渡された被処理物情報テーブル2210を参照し、上述の<難易度算出方法>の項で説明したように成分差対応難易度を算出し、算出した成分差対応難易度を難易度算出部1200に渡す。同様に、速度差対応難易度算出部1220は、難易度算出部1200から渡された被処理物情報テーブル2210を参照し、上述の<難易度算出方法>の項で説明したように速度差対応難易度を算出し、算出した速度差対応難易度を難易度算出部1200に渡す。
【0181】
成分差対応難易度及び速度差対応難易度を渡された難易度算出部1200は、渡された難易度を、難易度情報テーブル2510(図5参照)の該当する連続箇所の難易度2515として設定する。例えば、初期スケジュール2410の設備1において、1番目の単位処理期間に処理する被処理物aと、2番目の単位処理期間に処理する被処理物bとが連続する箇所の難易度を算出する場合は、被処理物情報テーブル2210aと被処理物情報テーブル2210bとを、成分差対応難易度算出部1210及び速度差対応難易度算出部1220それぞれに渡す。そして、成分差対応難易度算出部1210から成分差対応難易度として「4」を受け取り、速度差対応難易度算出部1220から速度差対応難易度として「2」を受け取ると、難易度情報テーブル2510の、設備2511として「設備1」が設定され、処理順番2512として「1番目」が設定され、項目2514として「成分差対応」が設定されたレコードに、難易度2515として「4」を設定する。また、設備2511として「設備1」が設定され、処理順番2512として「1番目」が設定され、項目2514として「速度差対応」が設定されたレコードに、難易度2515として「2」を設定する。
【0182】
難易度算出部1200が難易度情報テーブル2510を作成して難易度情報記憶部2500に記憶させると、生産スケジュール作成制御部1010は、比較判定部1400に、各連続箇所で監督者の指導が必要か否かを判断するよう依頼する。
【0183】
依頼を受けた比較判定部1400は、連続箇所の難易度と、操業者の熟練度を比較して、判定結果テーブル2420(図11(b)参照)を作成してスケジュール記憶部2400に記憶させる(ステップS14、S15)。
【0184】
具体的には、難易度情報記憶部2500から難易度情報テーブル2510−1〜難易度情報テーブル2510−4を読み出し、熟練度情報記憶部2600から操業者熟練度テーブル2630を読み出す。そして、上述した<指導要否判定方法>の項で説明したように、連続箇所ごとに、その箇所の監督者の指導の有無を判定し、判定結果テーブル2420を作成する。
【0185】
比較判定部1400が判定結果テーブル2420を作成してスケジュール記憶部2400に記憶させると、生産スケジュール作成制御部1010は、処理順序変更部1500に処理順序を変えた新しいスケジュールを作成するよう依頼する。
【0186】
依頼を受けた処理順序変更部1500は、処理順序を変えたスケジュールである変更スケジュールを作成して、スケジュール記憶部2400に記憶させる(ステップS17)。例えば、図14(a)に示す判定結果テーブル2430や、図14(b)に示す判定結果テーブル2440で示される被処理物の処理順序のスケジュールある。判定結果テーブル2430で示される被処理物の処理順序のスケジュールは、初期スケジュール2410の設備4における被処理物の順番が変わっている(色つき部分参照)。具体的には、初期スケジュール2410では、「被処理物j」、「被処理物k」、「被処理物l」の順に処理することとなっているが、判定結果テーブル2430で示される処理順序のスケジュールでは、「被処理物l」、「被処理物k」、「被処理物j」の順に処理することとなっている。
【0187】
処理順序変更部1500が処理順序を変えたスケジュールをスケジュール記憶部2400に記憶させると、生産スケジュール作成制御部1010は、処理順序変更部1500が作成したスケジュールについて、ステップS13〜ステップS15の処理を行わせる。
【0188】
被処理物の処理順序を変えた変更スケジュールのすべてのパターン、実施形態では、1296通りのスケジュールの処理が終了したら(ステップS16:YES)、生産スケジュール作成制御部1010は、監督者の指導が同時に必要となる連続箇所が最も少ないスケジュールを、最適なスケジュールとして選択し(ステップS18)、処理を終了する。
【0189】
例えば、判定結果テーブル2420(図11(b))においては、2番目の被処理物から3番目の被処理物に変化する際に、要指導設備が設備1と設備4の2基発生する。これに対して、例えば、判定結果テーブル2430(図14(a))に示すように、設備4において1番目に処理される被処理物jと3番目に処理される被処理物lとの処理順を、初期スケジュール2410に示す順番から入れ替えた場合、同時に監督者の指導が必要となる設備数は、最大1となる。なお、補足すると、被処理物jから被処理物kに変化する場合の難易度は、被処理物kから被処理物jに変化する場合の難易度と等しいことは、上述の<難易度算出方法>の項の説明から明らかである。
【0190】
また、判定結果テーブル2440(図14(b))に示すように、設備1において1番目に処理される被処理物と2番目に処理される被処理物との処理順を、初期スケジュール2410に示す順番から変更した場合にも、同時に要指導設備と決定される設備数は、最大1となる。判定結果テーブル2430で示される変更スケジュール、及び、判定結果テーブル2440で示される変更スケジュールは、初期スケジュール2410に比べると、よいスケジュールであるといえる。
【0191】
尚、4つの設備でそれぞれ4つの被処理物の処理が行われる場合には、331776通りの処理順序の組み合わせがあり、5つの被処理物の処理が行われる場合には、約2億通りの処理順序の組み合わせがある。よって、4つの設備を備えた生産ラインにおいては、各設備で処理を行う被処理物の個数が4つ程度までは特にアルゴリズム的な工夫なしに最適解を導出することができる。しかしながら、各設備で処理される被処理物の数がそれ以上、また生産ラインに備えられた設備の個数がそれ以上である場合には、各設備での被処理物の処理順序の決定に際して、例えば、遺伝的アルゴリズム、模擬焼鈍法、分岐限定法等、何らかのアルゴリズム的工夫や、計算時間打ち切りで暫定解を活用するといった手法を採用して、より最適解に近い変更スケジュールを作成することで、同時に監督者の指導が必要となる設備数を判定するスケジュールの数を少なくする必要がある。また、被処理物の処理順序に制約がある場合には、その制約を記憶部に記憶させておき、その制約に違反した処理順序が最終的な処理順序となることがないようにする。
<実施形態2>
実施形態1では、各設備で処理する被処理物の処理順序を変更して、監督者の指導が必要な接続箇所が同時に発生する数が少なくなるようなスケジュールを作成した。実施形態2では、各設備で処理する被処理物の処理順序は変更せずに、設備で操業を行う操業者を変更することで、監督者の指導が必要な接続箇所が同時に発生する数が少なくなるようなスケジュールを作成するものである。
【0192】
<構成>
実施形態2の生産スケジュール作成装置3000の構成を説明する。
【0193】
図15は、生産スケジュール作成装置3000の機能ブロックの構成を示す図である。
【0194】
生産スケジュール作成装置3000は、生産スケジュール作成制御部3010、入力部1020、及び、出力部1030を備えて構成される。
【0195】
生産スケジュール作成制御部3010は、例えば、マイクロプロセッサおよびその周辺回路等を備えて構成され、機能的に、初期スケジュール作成部1100、難易度算出部1200、熟練度算出部1300、比較判定部1400、操業者配置変更部3500、生産計画情報記憶部2100、被処理物情報記憶部2200、操業者情報記憶部2300、スケジュール記憶部2400、難易度情報記憶部2500、及び、熟練度情報記憶部2600を備え、制御プログラムに従い入力部1020、及び、出力部1030を当該機能に応じてそれぞれ制御する。
【0196】
ここで、生産スケジュール作成装置3000の機能部のうち、図2で示した生産スケジュール作成装置1000の機能部と同じ符号を付したものは、同一の機能を有するものである。従って、生産スケジュール作成装置1000と異なる操業者配置変更部3500について、その差を中心に説明する。
【0197】
操業者配置変更部3500は、初期スケジュールを基に、各設備に配置されている操業者すべての組み合わせについての変更スケジュールを、順次作成する機能を有する。実施形態においては、4つの設備にそれぞれ操業者を配置するので、図16の組み合わせ表の「CASE1」から「CASE24」に示すように、操業者の配置の組み合わせは4!=24通りとなる。従って、操業者配置変更部3500は、生産スケジュール作成制御部3010から依頼があると、24通りのスケジュールのうちの1つであって、スケジュール記憶部2400には記憶されていないスケジュールを作成し、スケジュール記憶部2400に記憶する。実施形態2では、この24通りのスケジュールそれぞれについて、同時に指導が必要な設備の数を求め、最適なスケジュールを決定することになる。
【0198】
尚、実施形態2の生産スケジュール作成装置3000で用いるデータは、実施形態1の生産スケジュール作成装置1000で用いるデータと同様である。
【0199】
<動作>
以下、生産スケジュール作成装置3000の動作について、図17を用いて説明する。
【0200】
図17は、生産スケジュール作成装置3000における生産スケジュール作成処理のフローチャートである。
【0201】
図17のフローチャート、及び、図13で示した実施形態1のフローチャートにおいて、同じ符号を付したステップは同様の処理を行う。従って、異なる符号が付されたステップの処理を中心に説明する。
【0202】
ユーザが、入力部1020を介してスケジュールの作成を指示するコマンドを入力する。
【0203】
生産スケジュール作成制御部3010は、スケジュールの作成を指示するコマンドが入力された旨の通知を受けると(ステップS11:YES)、初期スケジュール作成部1100に初期スケジュールの作成開始を指示する。
【0204】
指示を受けた初期スケジュール作成部1100は、初期スケジュール2410(図11(a)参照)を作成し、スケジュール記憶部2400に記憶させる。
【0205】
次に、生産スケジュール作成制御部3010は、練度算出部1300に各操業者の熟練度の算出を依頼し、依頼を受けた熟練度算出部1300は、上述した<熟練度算出方法>の項で説明したように、渡されたIDの操業者ごとの熟練度を算出し、操業者熟練度テーブル2630を作成して熟練度情報記憶部2600に記憶させる(ステップS12)。
【0206】
次に、生産スケジュール作成制御部3010は、初期スケジュール2410の連続箇所の難易度の算出を、難易度算出部1200に指示し、指示を受けた難易度算出部1200は、難易度情報テーブル2510−1〜4(図5(a)〜(d)参照)を作成して難易度情報記憶部2500に記憶させる(ステップS13)。
【0207】
次に、生産スケジュール作成制御部3010は、比較判定部1400に、各連続箇所で監督者の指導が必要か否かを判断するよう依頼し、依頼を受けた比較判定部1400は、連続箇所の難易度と、操業者の熟練度を比較して、判定結果テーブル2420(図11(b)参照)を作成してスケジュール記憶部2400に記憶させる(ステップS14、S15)。
【0208】
比較判定部1400が判定結果テーブル2420を作成してスケジュール記憶部2400に記憶させると、生産スケジュール作成制御部3010は、操業者配置変更部3500に操業者の配置を変えた新しいスケジュールを作成するよう依頼する。
【0209】
依頼を受けた操業者配置変更部3500は、操業者の配置を変えたスケジュールである変更スケジュールを作成して、スケジュール記憶部2400に記憶させる(ステップS27)。
【0210】
操業者配置変更部3500が操業者の配置を変えたスケジュールをスケジュール記憶部2400に記憶させると、生産スケジュール作成制御部3010は、新しいスケジュールについて、ステップS14及びステップS15の処理を行わせる。実施形態2では、実施形態1では行っていたステップS13の再処理は行わない。実施形態2では、実施形態1とは異なり、各設備が処理する被処理物の処理順序の変更は行わないため、連続箇所の処理の難易度を再度算出する必要が無いからである。
【0211】
操業者の配置を変えたスケジュールのすべてのパターン、実施形態2では、24通りのスケジュールの処理が終了したら(ステップS26:YES)、生産スケジュール作成制御部3010は、監督者の指導が同時に必要となる連続箇所が最も少ないスケジュールを、最適なスケジュールとして選択し(ステップS28)、処理を終了する。
【0212】
以上のように、実施形態2では、実施形態1と同様に、監督者の指導が不十分となることに起因する生産性や品質の低下を抑制することができる。なお、実施形態2の生産スケジュール作成装置3000は、被処理物の処理順序を変更できない場合や、処理順序を変更することでコストが嵩む場合には、実施形態1の生産スケジュール作成装置1000に比べて有用である。
<変形例>
実施形態1及び2においては、4つの設備で操業を行う操業者の指導を1人の監督者が行う場合について説明したが、これには限定されず、本発明は、N個(N:2以上の自然数)の設備を有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う少なくともN人の操業者の指導をN−1人以下で行う場合に適用することができる。このように、監督者が1人に限らない場合には、例えば、実施形態1の変形例として、図18に示すように、監督者数記憶部4100を設け、監督者の人数を記憶させておく。そして、図13のステップS18において、生産スケジュール作成制御部1010が生産スケジュールを選択する際に、同時に指導が必要な設備の数が、監督者数記憶部4100に記憶されている人数以下となるようなスケジュールを選択する。
【0213】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0214】
1000 3000 生産スケジュール作成装置
1010 3010 生産スケジュール作成制御部
1020 入力部
1030 出力部
1100 初期スケジュール作成部
1110 操業者割当部
1200 難易度算出部
1210 成分差対応難易度算出部
1220 速度差対応難易度算出部
1300 熟練度算出部
1400 比較判定部
2100 生産計画情報記憶部
2200 被処理物情報記憶部
2300 操業実績情報記憶部
2400 スケジュール記憶部
2500 難易度情報記憶部
2600 熟練度情報記憶部
3500 操業者配置変更部
4100 監督者数記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並行して処理を行う複数の設備であって、各設備それぞれが複数の被処理物を連続して処理する各設備のスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、
前記被処理物毎に、当該被処理物の属性を記憶している被処理物情報記憶手段と、
前記設備毎に、被処理物と当該処理物の次に処理される被処理物とが連続する連続箇所における処理の難易度を、当該連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性に基づいて算出する難易度算出手段と、
前記設備毎に、当該設備を操業する操業者を割り当てる割当手段と、
前記操業者毎に、設備の操業に関する熟練の度合いを示す熟練度を記憶している熟練度記憶手段と、
設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出手段で算出された難易度を下回る前記連続箇所が、同時期に発生する数が少なくなるように、各設備における前記被処理物の処理順序を決定する処理順序決定手段と
を備えることを特徴とする生産スケジュール作成装置。
【請求項2】
前記被処理物情報記憶手段は、更に、被処理物の処理内容を記憶しており、
前記難易度算出手段は、前記連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性及び処理内容に基づいて当該連続箇所の難易度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項3】
前記被処理物は、複数の成分を含み、
前記被処理物情報記憶手段が記憶している被処理物の属性とは、当該被処理物が含む1成分の量であり、
前記難易度算出手段は、前記連続箇所において連続する被処理物それぞれが含む前記1成分の量の差が大きいほど難易度を高く算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項4】
前記処理内容とは、設備内を移動する速度であり、
前記難易度算出手段は、前記連続箇所において連続する被処理物それぞれの前記速度の差が大きいほど難易度を高く算出する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項5】
前記生産スケジュール作成装置は、更に、操業者の熟練度が、当該操業者が割り当てられている設備が処理する被処理物の連続箇所における難易度を下回る場合に、当該操業者を指導する監督者の数を記憶している監督者数記憶部を備え、
前記処理順序決定手段は、設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出手段で算出された難易度を下回る前記連続箇所が、前記監督者数記憶手段に記憶されている監督者の数以下となるように、各設備における前記被処理物の処理順序を決定する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項6】
並行して処理を行う複数の設備であって、各設備それぞれが複数の被処理物を連続して処理する各設備のスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、
前記被処理物毎に、当該被処理物の属性を記憶している被処理物情報記憶手段と、
前記設備毎に、被処理物と当該処理物の次に処理される被処理物とが連続する連続箇所における処理の難易度を、当該連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性に基づいて算出する難易度算出手段と、
設備を操業するために前記複数の設備それぞれに割り当てられる操業者毎に、設備の操業に関する熟練の度合いを示す熟練度を記憶している熟練度記憶手段と、
設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出手段で算出された難易度を下回る前記連続箇所が、同時期に発生する数が少なくなるように、各設備に当該設備を操業する操業者を割り当てる操業者割当手段と
を備えることを特徴とする生産スケジュール作成装置。
【請求項7】
前記被処理物情報記憶手段は、更に、被処理物の処理内容を記憶しており、
前記難易度算出手段は、前記連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性及び処理内容に基づいて当該連続箇所の難易度を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項8】
前記被処理物は、複数の成分を含み、
前記被処理物情報記憶手段が記憶している被処理物の属性とは、当該被処理物が含む1成分の量であり、
前記難易度算出手段は、前記連続箇所において連続する被処理物それぞれが含む前記1成分の量の差が大きいほど難易度を高く算出する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項9】
前記処理内容とは、設備内を移動する速度であり、
前記難易度算出手段は、前記連続箇所において連続する被処理物それぞれの前記速度の差が大きいほど難易度を高く算出する
ことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項10】
前記生産スケジュール作成装置は、更に、操業者の熟練度が、当該操業者が割り当てられている設備が処理する被処理物の連続箇所における難易度を下回る場合に、当該操業者を指導する監督者の数を記憶している監督者数記憶部を備え、
前記処理順序決定手段は、設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出手段で算出された難易度を下回る前記連続箇所が、前記監督者数記憶手段に記憶されている監督者の数以下となるように、各設備における前記被処理物の処理順序を決定する
ことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項11】
並行して処理を行う複数の設備であって、各設備それぞれが複数の被処理物を連続して処理する各設備のスケジュールを作成し、前記被処理物毎に、当該被処理物の属性を記憶している被処理物情報記憶手段と、設備を操業する操業者毎に、設備の操業に関する熟練の度合いを示す熟練度を記憶している熟練度記憶手段とを備える生産スケジュール作成装置で用いられる生産スケジュール方法であって、
前記設備毎に、被処理物と当該処理物の次に処理される被処理物とが連続する連続箇所における処理の難易度を、当該連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性に基づいて算出する難易度算出ステップと、
前記設備毎に、当該設備を操業する操業者を割り当てる割当ステップと、
設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出ステップで算出された難易度を下回る前記連続箇所が、同時期に発生する数が少なくなるように、各設備における前記被処理物の処理順序を決定する処理順序決定ステップと
を備えることを特徴とする生産スケジュール作成方法。
【請求項12】
並行して処理を行う複数の設備であって、各設備それぞれが複数の被処理物を連続して処理する各設備のスケジュールを作成し、前記被処理物毎に、当該被処理物の属性を記憶している被処理物情報記憶手段と、設備を操業するために前記複数の設備それぞれに割り当てられる操業者毎に、設備の操業に関する熟練の度合いを示す熟練度を記憶している熟練度記憶手段とを備える生産スケジュール作成装置であって、
前記設備毎に、被処理物と当該処理物の次に処理される被処理物とが連続する連続箇所における処理の難易度を、当該連続箇所において連続する被処理物それぞれの、前記被処理物情報記憶手段に記憶されている属性に基づいて算出する難易度算出ステップと、
設備に割り当てられている操業者の熟練度が前記難易度算出ステップで算出された難易度を下回る前記連続箇所が、同時期に発生する数が少なくなるように、各設備に当該設備を操業する操業者を割り当てる操業者割当ステップと
を備えることを特徴とする生産スケジュール作成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2013−101445(P2013−101445A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244095(P2011−244095)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】