生産スケジュール作成装置及び生産スケジュール作成方法
【課題】複数種類の製品を生産する場合に、山崩しの対象として適切な注文の負荷を選択することで、より生産性の高いスケジュールの作成を行うことを目的とする。
【解決手段】生産スケジュール作成装置は、ある設備のある所定時間に山積みされた負荷を崩す際に、当該ある設備の当該ある所定時間に積まれている製品ごとに、次工程の設備の所定時間に積まれている製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程の設備の所定時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出し、最も余裕がないことを示す仕掛指標の製品を、当該ある設備のある所定時間から移動させる製品と決定し、山崩しを行う。
【解決手段】生産スケジュール作成装置は、ある設備のある所定時間に山積みされた負荷を崩す際に、当該ある設備の当該ある所定時間に積まれている製品ごとに、次工程の設備の所定時間に積まれている製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程の設備の所定時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出し、最も余裕がないことを示す仕掛指標の製品を、当該ある設備のある所定時間から移動させる製品と決定し、山崩しを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多品種製品を製造する場合の生産スケジューリング技術に関し、特に、生産効率のより良いスケジューリングを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の製品を生産する場合における各設備での生産スケジュールの作成は、納期の遵守、生産性の最大化、下流工程へのタイムリーな供給といった評価項目を満足したスケジュールを作成する必要がある。
【0003】
生産スケジュールの一つとして設備負荷計画がある。設備負荷計画とは、注文に応じて各工程(または各設備)で生産しなければならない処理量(負荷)を算出し、各工程(または各設備)での能力の範囲内で割り当てるものである。
【0004】
このような生産スケジュールを生成する場合、まず、注文に応じて各工程に製品(負荷)を割り当てる、すなわち、各工程に負荷を山積みする。この際、各設備の処理能力は考慮しない。そして、各設備の処理能力及び納期等を考慮して、山積みされている負荷の一部を他の時間帯や他の設備に変更する、すなわち、負荷の山崩しを行う。
【0005】
この山崩し如何により、生産性の良し悪しが変わってくることになる。生産ラインが複数工程から成り立っている場合、ある工程で、ある注文の負荷を調整して他の時間帯に移動すると、その影響が他の工程に及ぶ可能性が高い。例えば、1つの工程で負荷を崩すことにより、他の設備では処理能力に余裕があるにもかかわらず設備の負荷を崩さねばならない場合が発生し、その設備の処理能力を最大限に利用することができないこととなる可能性がある。また、最悪の場合には、納期遅れが発生するおそれもある。しかし、納期に間に合わせるために、先行して生産すると、仕掛在庫の増加となる可能性が高くなる。そこで、生産性の高いスケジュールを生成するための技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、最も遅く処理を開始しても納期に間に合わすことができる最遅製造着手日と、一旦負荷山積みを行って得た計画製造日との差分を負荷調整の範囲とし、納期遅れを許さずかつ先行生産を可能な限り少なくするように負荷を調整する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−216074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、複数種類の製品を生産する場合には、すべての製品が同じ工程を経て製品となるわけではない。従って、1つの工程で負荷を崩す場合には、どの負荷を崩すかによって、影響を及ぼす設備やその影響度が異なってくることになる。
【0009】
そこで、本発明は、複数種類の製品を生産する場合に、山崩しの対象として適切な負荷を選択することで、より生産性の高いスケジュールの作成を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる一態様では、生産スケジュール作成装置は、複数工程によって生産する複数の製品を、各製品を各納期までに生産するスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、各製品の各工程を所定時間単位で各設備に対応付けて、各製品の注文に応じた負荷を、各製品の各工程で用いる設備に割り当てる山積手段と、各工程で用いる設備それぞれの前記所定時間当たりの処理量を記憶する設備能力記憶手段と、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備の所定時間である次工程設備時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する次工程仕掛指標算出手段と、ある設備のある所定時間に山積手段によって割り当てられた負荷が、前記設備能力記憶手段に記憶されている当該ある設備の処理量を超える場合に、当該ある設備の当該ある所定時間に対応付けられている工程の製品ごとに、前記次工程仕掛指標算出手段にそれぞれの仕掛指数を算出させ、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する製品決定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明の他の一態様に係る生産スケジュール作成方法は、複数工程によって生産する複数の製品を、各製品を各納期までに生産するスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、各工程で用いる設備それぞれの所定時間当たりの処理量を記憶する設備能力記憶手段を備える生産スケジュール作成装置で用いられる生産スケジュール作成方法であって、各製品の各工程を所定時間単位で各設備に対応付けて、各製品の注文に応じた負荷を、各製品の各工程で用いる設備に割り当てる山積ステップと、前記山積ステップによって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備の所定時間である次工程設備時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する次工程仕掛指標算出ステップと、ある設備のある所定時間に山積ステップによって割り当てられた負荷が、前記設備能力記憶手段に記憶されている当該ある設備の処理量を超える場合に、当該ある設備の当該ある所定時間に対応付けられている工程の製品ごとに、前記次工程仕掛指標算出ステップでそれぞれの仕掛指数を算出し、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する製品決定ステップとを備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成の生産スケジュール作成装置及び生産スケジュール作成方法によれば、次工程で用いる設備の余裕の状況を示す仕掛指標を求め、最も余裕がないことを示す仕掛指標の製品を山崩しの対象とするので、過剰な仕掛がなされた設備が発生し難くなり、また、材料切れによって停止を余儀なくされる設備が発生し難くなる。従って、生産効率がより良い生産スケジュールを作成できる可能性が高くなる。
【0013】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記製品決定手段は、前記ある設備の前記ある所定時間に対応付けられている工程の製品が、当該製品の次工程で用いる設備を他の設備に換えることができる場合には、前記次工程仕掛指標算出手段に当該製品の仕掛指数を算出させ、更に、当該製品の次工程が当該他の設備に割り当てられたとした場合の仕掛指標を前記工程仕掛指標算出手段に算出させ、算出されたそれぞれの仕掛指標に基づいて求めた指標を当該製品の仕掛指標とすることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、次工程で用いる設備に置き換えることができる他の設備がある場合には、これらの設備それぞれの仕掛指標に基づいて求めた指標を用いて、山崩しの対象を決定するので、次工程の設備に代替設備がある場合には、代替設備の処理能力を考慮した生産スケジュールが作成できる。すなわち、より生産効率が良いスケジュールを作成できる可能性が高くなる。
【0015】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記生産スケジュール作成装置は、更に、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品の納期に基づいて、当該1製品の日程的な余裕の状況を示す余裕期間を算出する余裕期間算出手段を備え、前記製品決定手段は、前記ある設備の前記ある所定時間に対応付けられている工程の製品のうち、最も余裕がないことを示す仕掛指標の製品が複数ある場合には、当該複数の製品それぞれの余裕期間を前記余裕期間算出手段に算出させ、算出された余裕期間が最も長い製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定することが好ましい。
【0016】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記生産スケジュール作成装置は、更に、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品の納期に基づいて、当該1製品の日程的な余裕の状況を示す余裕期間を算出する余裕期間算出手段を備え、前記製品決定手段は、ある設備のある所定時間に対応付けられている工程の製品それぞれの余裕期間を前記余裕期間算出手段に算出させ、算出された余裕時間が最も長い製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定し、最も余裕期間が長い製品が複数ある場合には、当該複数の製品それぞれの仕掛指数を前記次工程仕掛指標算出手段に算出させ、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、納期に基づいた余裕期間が長い製品を山崩しの対象に決定するので、納期を遵守できる可能性が高く、且つ、生産効率が良い生産スケジュールを作成できる可能性が高くなる。
【0018】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記次工程仕掛指標算出手段は、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備において、当該1所定時間から、当該次工程が対応付けられている所定時間である次工程設備時間までの各所定時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、次工程で用いる設備の余裕の状況を示す仕掛指標をより正確に求める事が可能となるので、より生産効率が良い生産スケジュールを作成できる可能性が高くなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる生産スケジュール生産装置は、複数種類の製品を生産する場合に山崩しの対象として適切な負荷を選択することで、より生産性の高いスケジュールの作成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態における生産スケジュール作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】生産ラインを説明するための図である。
【図3】図1に示す生産スケジュール作成装置における設備情報テーブルの構成及び内容の例を示す図である。
【図4】図1に示す生産スケジュール作成装置における受注情報テーブルの構成及び内容の例を示す図である。
【図5】図1に示す生産スケジュール作成装置における山積み後の初期スケジュールの例を示す図である。
【図6】図1に示す生産スケジュール作成装置における山崩し後の仮スケジュールの例を示す図である。
【図7】図1に示す生産スケジュール作成装置における山崩し後の仮スケジュールの例を示す図である。
【図8】図1に示す生産スケジュール作成装置における山崩し後の仮スケジュールの例を示す図である。
【図9】図1に示す生産スケジュール作成装置における生産スケジュール作成処理のフローチャートを示す図である。
【図10】次工程の負荷率の算出対象となる期間を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
<概要>
多品種多工程の製品を、複数の生産ラインで製造する工場全体の生産スケジュールは、納期を遵守するのはもちろん、工場全体の生産性を最大化するものであることが望まれる。このような生産ラインとしては、例えば鉄鋼・銅板・アルミ板等の素材系工場の生産ラインが挙げられる。
【0023】
このような多品種多工程の製品は、全品種が同じ工程を経て生産されるのではなく、品種によって異なる工程があるのが通常である。従って、ある設備のある時間帯の負荷を山崩ししようとする場合、その設備に積まれている製品の次工程が全て同じとは限らない。例えば、第1製品の次工程はA工程であり、第2製品の次工程がB工程である場合である。この場合、山崩しを行おうとしている工程において、どちらの製品を処理した方が、工場全体として生産効率が良くなるかを判断することが望ましい。
【0024】
例えば、次のA工程に余裕があってすぐに処理できるならば、第1製品を今の時間帯で処理してしまい、次のA工程に渡す方が良いと判断できる。一方、次のB工程が既に過剰仕掛になっているならば、第2製品を今の時間帯で処理したとしても次工程で処理できない可能性が高いので、他の時間帯に処理する、すなわち、第2製品を山崩しの対象とすると判断できる。
【0025】
実施形態の生産スケジュール作成装置は、山崩しの際に、山積みされている製品ごとに、次工程の空き状況を判断して山崩しの対象となる製品を決定するものである。このように山崩しの対象を決定することで、設備の過剰仕掛を防ぎ、また、設備の材料切れによる停止を防いで設備の能力を発揮させることが可能となり、工場全体の生産性を向上させるスケジュールを作成することが可能となる。
【0026】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
<構成>
図1は、生産スケジュール作成装置1000の機能ブロックの構成を示す図である。
【0028】
生産スケジュール作成装置1000は、生産スケジュール作成制御部1001、入力部1002、及び、出力部1003を備えて構成される。
【0029】
入力部1002は、生産スケジュールを作成するプログラム等を起動するコマンド等の各種コマンド、及び、スケジュールの作成等を行う上で必要な各種データを生産スケジュール作成装置1000に入力する機器である。例えば、キーボードやマウス等である。
【0030】
出力部1003は、入力部1002から入力されたコマンドやデータ、及び、生産スケジュール作成装置1000によって作成されたスケジュール等を出力(提示)する機器である。例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、及び、プラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0031】
生産スケジュール作成制御部1001は、例えば、マイクロプロセッサおよびその周辺回路等を備えて構成され、機能的に、マスタ記憶部1100、負荷山積み部1200、負荷判定部1300、次工程仕掛指標算出部1400、負荷山崩し部1500、山崩し処理結果記憶部1600、及び、余裕期間算出部1700を備え、制御プログラムに従い入力部1002、及び、出力部1003を当該機能に応じてそれぞれ制御する。尚、生産スケジュール作成制御部1001内の矢印は、機能ブロック間のデータの流れを表す。
【0032】
マスタ記憶部1100は、スケジュールを生成するために必要な各種情報を記憶しておく機能を有する。例えば、設備の処理能力に関する情報、製品の生産工程に関する情報、注文に関する情報などである。マスタ記憶部1100に記憶されている情報のうち、本実施形態で使用する主な情報(データ)については、<生産スケジュールの対象>の項で説明する。
【0033】
負荷山積み部1200は、全注文について、注文量に応じた製品を製造するための負荷を、納期を基準に仮想的に山積みしたスケジュール(以下、「初期スケジュール」という。)を生成する機能を有する。負荷を山積みするとは、単位期間ごとに設備に負荷を割り当てることである。本実施形態では、単位期間は、1日とする。
【0034】
具体的には、負荷山積み部1200は、注文の納期を基準に、納期から時間の流れを遡るように、注文された製品の各工程を行う作業日を決定する。そして、この決定した作業日の各工程(設備)に対して、注文量に応じた負荷を、仮想的に山積みする。この山積みの際、負荷山積み部1200は、各設備の処理能力を考慮しない。従って、負荷山積み部1200が作成する初期スケジュールでは、過剰仕掛となっている設備、すなわち、処理能力を超える負荷が割り当てられている設備があることになる。
【0035】
尚、本実施形態では、納期から遡るように負荷を各設備に積んでいくこととしているが、他の方法によって、負荷を山積みすることとしてもよい。
【0036】
負荷判定部1300は、負荷山積み部1200が作成した初期スケジュールから、処理能力を超えて負荷が積まれている設備を検出する機能を有する。具体的には、スケジュールの最初の日から時間の流れに沿って、各設備に山積みされた負荷の量が、その設備の処理能力を超えているか否かを判断する。そして、処理能力を超えて負荷が積まれている設備を検出した場合は、その日とその設備とを負荷山崩し部1500に通知して、その日のその設備に積まれた負荷を山崩しするよう依頼する。
【0037】
また。負荷判定部1300は、負荷山崩し部1500が山崩しを行った結果のスケジュール(以下、「仮スケジュール」という。)についても同様に、処理能力を超えて負荷が積まれている設備を検出する機能を有する。但し、この場合は、最初の日からではなく、負荷山崩し部1500が山崩しを行った日の設備の次の設備から行うことになる。負荷山崩し部1500が山崩しを行った設備がその日の最後の設備である場合は、次の日から行うことになる。処理能力を超えた負荷が積まれた設備を検出した場合、負荷判定部1300は、その日のその設備に積まれた負荷を山崩しするように、負荷山崩し部1500に依頼する。
【0038】
この負荷判定部1300が、スケジュールの最後の日まで、処理能力を超えて負荷が積まれている設備を検出できなかった場合は、そのスケジュールを最終生産スケジュールとする。
【0039】
次工程仕掛指標算出部1400は、ある設備に積まれている負荷が、当該ある設備の次に処理される設備、すなわち、次工程の空き状況を示す仕掛指標を算出する機能を有する。この仕掛指標の算出方法は、<次工程仕掛指標算出方法>の項で説明する。
【0040】
負荷山崩し部1500は、負荷判定部1300から依頼された日の依頼された設備に積まれている負荷の山崩しを行う機能を有する。具体的には、まず、負荷山崩し部1500は、その過剰仕掛の設備に積まれている負荷から、山崩しの対象となる負荷を決定する。山崩しの対象とする負荷は、次工程仕掛指標算出部1400が算出する仕掛指標を基に決定する。この決定方法は、<山崩し負荷決定方法>の項で説明する。そして、決定した負荷を時間の流れと順方向に移動させ、この移動に伴う他の設備の負荷調整を行って、仮スケジュールを生成する。この仮スケジュール(山崩し処理結果)は、山崩し処理結果記憶部1600に記憶される。
【0041】
また、負荷山崩し部1500は、負荷山積み部1200が作成した初期スケジュールに対して、積まれている設備以外の設備(代替設備)でも処理可能な負荷がある場合は、その負荷の山崩しを行うこととしてもよい。
【0042】
具体的には、過剰仕掛の設備を検索し、その設備に積まれている負荷の中に代替設備でも処理可能な負荷がある場合は、その負荷を代替設備に山崩しする。この代替設備への山崩しを行うか否かについては、基本的には代替設備に余裕があることが前提となるが、納期に対する逼迫度や、過去の操業実績において代替設備で処理した割合等に基づいて、代替設備への山崩しを行うか否かを判断してもよい。納期がより迫っている注文の負荷や、代替設備で処理した割合が高い注文の負荷を山崩しの対象とする等である。
【0043】
このように、代替設備への山崩しを行う事で、処理を先送りすることなく、納期遅れとなる可能性を減らすことができる。
【0044】
山崩し処理結果記憶部1600は、負荷山積み部1200が作成した初期スケジュール、及び、負荷山崩し部1500が作成した仮スケジュールを記憶しておく機能を有する。
【0045】
余裕期間算出部1700は、ある注文の納期までの余裕を示す余裕期間を算出する機能を有する。この余裕期間の算出方法は、<余裕期間算出方法>の項で説明する。
【0046】
上述したマスタ記憶部1100及び山崩し処理結果記憶部1600は、その用途に応じて、例えば、生産スケジュール作成装置1000のいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子、ROM(Read Only Memory)や書換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶素子、ハードディスク等により構成される。
【0047】
また、生産スケジュール作成装置1000は、ユーザから入力部1002を介して入力されたコマンドに応じて、マスタ記憶部1100に記憶されている設備情報テーブル1110等の内容を出力部1003に表示させたり、入力部1002を介して設備情報テーブル1110等の内容を作成、修正等を行う機能も有している。
【0048】
このような構成の生産スケジュール作成装置1000は、例えば、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いて構成可能であり、ハードディスク等の記憶部に格納されているスケジュール作成方法をプログラムしたソフトウェアを実行することによって上述の負荷山積み部1200等がコンピュータに機能的に構成される。尚、コンピュータには、図1に示す他の機能部のうちの1または複数が構成されてもよい。
【0049】
スケジュール作成方法等をプログラムしたプログラムが生産スケジュール作成装置1000のハードディスク等の記憶部に格納されていない場合には、これらを記録した記録媒体から外部記憶部を介して生産スケジュール作成装置1000内の記憶部にインストールされるように構成してもよく、また、これらプログラムを管理するサーバ(不図示)からネットワーク及び通信インタフェース部を介して各プログラムがダウンロードされるように構成してもよい。また、マスタ記憶部1100に記憶されているデータは、このデータを記憶した記録媒体によって外部記憶部を介して生産スケジュール作成装置1000に入力されるように構成してもよく、また、ユーザからネットワーク及び通信インタフェース部を介して生産スケジュール作成装置1000に入力されるように構成してもよい。
【0050】
<生産スケジュールの対象>
ここで、生産スケジュール立案装置1000が、スケジュールを生成する対象例について説明する。以下、この対象例についてスケジュールを生成する場合を説明する。
【0051】
<設備>
生産スケジュール作成装置1000が、スケジュールを作成する際に対象とする設備は複数あるが、実施形態ではそのうちの4台の設備を用いて説明する。具体的には設備A〜設備Dである。
【0052】
図2に示すように、設備Aを経て、設備B、C、Dのいずれかの設備で処理を行うものとする。設備Aでは、設備B〜設備D以外の設備で処理された製品を処理する。以下、設備Aを用いる工程を「工程A」、設備Bを用いる工程を「工程B」などという。
【0053】
次に、図3に各設備の処理能力を示す。
【0054】
図3は、設備情報テーブル1110の構成及び内容の例を示す図である。
【0055】
設備情報テーブル1110は、各設備の生産能力を示しており、マスタ記憶部1100に予め記憶されている。
【0056】
設備情報テーブル1110は、設備名1111、及び、処理能力1112で構成される。
【0057】
設備名1111は、複数の設備のうち、ある設備を特定し区別するための名称を示す。本実施形態では、設備名1111「設備A」〜「製品D」が示す4つの設備を用いて説明する。尚、実施形態では、設備の名称を用いるものとするが、各設備を識別できるものであればよい。
【0058】
処理能力1112は、設備名1111で示される設備において、1日で生産できる製品の最大量を示す。単位はトンである。例えば、設備名1111として「設備A」が設定されたレコードには、処理能力1112として「20(ton/day)」が設定されているので、設備Aでは、製品を1日に20トン生産できる。
【0059】
<注文>
図4に、受注した注文の例を示す。
【0060】
図4は、注文情報テーブル1120の構成及び内容の例を示す図である。注文情報テーブル1120は、マスタ記憶部1100に予め記憶されている。
【0061】
注文情報テーブル1120は、注文名1121、注文量1122、納期1123、及び、工程1124で構成される。
【0062】
注文名1121は、ある注文を特定し区別するための名称を示す。実施形態では、注文名1121が「注文A」、「注文B」、「注文c」等の14個の注文を用いて説明する。この注文名1121で示す注文に応じて生産する製品を「負荷」として、注文単位で各設備に積んでいくものとする。以下、「注文名1121「注文A」が示す注文」等を、単に、「注文A」等というものとする。また、「注文A」のようにアルファベットが大文字の注文は、「設備A」の次工程は「設備B」であり、「注文c」のようにアルファベットが小文字の注文は、「設備A」の次工程は「設備C」又は「設備D」であることを示すものとする。
【0063】
注文量1122は、注文名1121で示される注文における必要量を示す。単位は、t(トン)である。以下、「注文名1121として「注文A」が設定されているレコードに注文量1122として設定されている必要量」等を、単に、「「注文A」の注文量」等というものとする。
【0064】
納期1123は、注文名1121で示される注文の納品の期日を示す。以下、「注文名1121として「注文A」が設定されているレコードに納期1123として設定されている期日」等を、単に、「「注文A」の納期」等というものとする。
【0065】
工程1124は、注文名1121で示される注文の製品を、生産するための工程を示す。ここでは、設備A〜Dについてのみ記載し、その前後の工程は省略している。工程1124では、設備を矢印でつないで記載し、矢印で示す順に各設備で処理を行って製品を製造するものとする。例えば、注文名1121として「注文A」が設定されているレコードに工程1124として「→設備A→設備B→」と設定されている。これは、注文Aで注文された製品は、複数の設備で順に処理されるが、その途中、設備Aで処理され、その後、設備Bで処理されることを示す。
【0066】
また、注文名1121として「注文i」が設定されているレコードに工程1124として「→設備A→設備C/D→」と設定されている。これは、注文iで注文された製品は、複数の設備で順に処理されるが、その途中、設備Aで処理され、その後、設備C又は設備Dのいずれか一方で処理されればよいことを示す。言い換えれば、設備Cで処理するが、設備Dに換えることができることを示す。尚、本実施形態において、負荷山積み部1200は、注文を山積みしてスケジュールを作成する際、最初に記載されている設備に山積みするものとする。例えば、「設備C/D」の場合は、設備Cに山積みし、設備Dは、代替設備とする。
【0067】
以下、「注文名1121として「注文A」が設定されているレコードに工程1124として設定されている工程」等を、単に、「「注文A」の工程」等というものとする。
【0068】
<山崩し負荷決定方法>
ここで、負荷山崩し部1500が山崩しの対象である負荷を決定する方法について、図5のスケジュールを用いて説明する。
【0069】
図5は、負荷判定部1300が、6月2日の設備A(矢印10参照)が処理能力を超えていることを検出したスケジュールを示す。このスケジュールの6月2日の設備Aに積まれている負荷について、負荷山崩し部1500が山崩しを行う場合を例に説明する。このスケジュールにおいて、矩形は負荷を表し、矩形内に記載されている「注文A」等は、この負荷が注文情報テーブル1120(図4参照)の「注文A」等の負荷であることを示す。「注文x」は、注文情報テーブル1120の「注文A」〜「注文n」以外の注文の負荷であることを示す。また、ある工程(設備)で処理を開始してから、次の工程(設備)で処理を開始するまでの時間、すなわち、工程間時間は1日とする。図6〜図8においても、同様である。以下、「注文A」の負荷を負荷「注文A」、「注文B」の負荷を負荷「注文B」等というものとする。
【0070】
また、矩形1つが負荷5トンを示すものとする。従って、注文情報テーブル1120(図4)で示すように、説明の便宜上実施形態では、各注文の注文量は5トンであるので、各注文が1矩形として表されている。
【0071】
負荷山崩し部1500は、6月2日の設備A(矢印10参照)に積まれている負荷、すなわち、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷(以下、これらを「山崩し候補の負荷」という。)から、設備Aの処理能力を超えた分の負荷を、山崩し対象の負荷として選択する。ここでは、1つの負荷を山崩し対象と決定する。
【0072】
負荷山崩し部1500は、山崩し候補の負荷(製品)それぞれの次工程仕掛指標を求め、その次工程仕掛指標が最も大きい負荷を山崩しの対象として決定する。山崩しの対象の負荷を複数決定する場合は、次工程仕掛指標が大きい方から必要な個数の負荷を決定する。この次工程仕掛指標とは、山崩し候補の負荷(製品)それぞれの、設備Aの次の設備の仕掛状況、言い換えれば、空き具合を示す指標である。実施形態では、指標の値が大きいほど空きが少ないことを示す。
【0073】
<次工程仕掛指標算出方法>
以下、次工程仕掛指標の求め方を説明する。
【0074】
まず、山崩し候補の負荷(製品)それぞれについて、次の工程の負荷率を求める。そして、求めた負荷率から、次工程の仕掛状況を規格化して次工程仕掛指標を求める。
【0075】
実施形態では、次工程仕掛指標は、「0」、「1」、「2」のいずれかで表される。「0」は、設備に余裕があることを示し、「1」は、設備に適度に負荷が積まれていることを示し、「2」は、設備の処理能力を完全に超えるほどの負荷が積まれていることを示す。すなわち、「2」が最も余裕が無いことを示す。尚、負荷率以外の他の基準も同じように規格化することで、さまざまな基準を相互に比較して山崩し対象の負荷を決定することが可能となる。
【0076】
また、実施形態では、設備の余裕の判断基準は、設備の処理内容によって異なることから、設備ごとに、規格化の基準値、MIN及びMAXを設ける。負荷率が基準値MINより小さい場合は、次工程仕掛指標を「0」とし、負荷率が基準値MIN以上で基準値MAXより小さい場合は、次工程仕掛指標を「1」とし、負荷率が基準値MAX以上の場合は、次工程仕掛指標を「2」とする。
【0077】
基準値MIN及びMAXは、日を単位として指定する。設備情報テーブル1110(図3参照)には各設備の1日の処理能力が設定されているが、現実には、設備ごとに処理能力には幅がある。また、設備によっては、稼働する為の最低量や最適量が決められていたり、最大限に稼働しても処理できない限界量があったりと、設備の空き具合を負荷率によって一律には決められないことが多い。そこで、基準値を設備ごとに設けることとしている。基準値MINは、仕掛がこれ以下になってほしくないという思いを示す値であり、基準値MAXは、仕掛がこれ以上になってほしくないという思いを示す値である。例えば、ネック設備では、なるべく多くの量を処理して製品が滞るのを避けるために、基準値MINを大きめに設定する。また、処理能力の幅が大きく余裕がある設備では、基準値MINを小さめに設定する等である。
【0078】
具体例として、図5の初期スケジュールにおける、6月2日の設備A(矢印10参照)に積まれている負荷、すなわち、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷それぞれの次工程仕掛指標を求める。
【0079】
まず、負荷「注文A」の次工程の負荷率を求める。
【0080】
注文情報テーブル1120の「注文A」の工程は「→設備A→設備B→」となっているので、設備Aの次の工程は設備Bであり、次工程である設備Bでは6月3日に処理される予定で負荷「注文A」が積まれている。従って、設備Bにおける6月2日から6月3日までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求める。
【0081】
ここで、上述の設備Bにおける仕掛を求める6月2日から6月3日までの期間、すなわち、次工程の負荷率の算出対象となる期間について説明する。図10は、次工程の負荷率の算出対象となる期間を説明するための図である。
【0082】
図10では、説明の便宜上、6月2日の設備Aに積まれている負荷「注文A」(矢印91参照)は、次工程の設備Bでは6月4日に処理される予定であるとする(矢印92参照)。この場合、設備Bでの処理予定日の6月4日に積まれている負荷は低く、余裕がある。しかし、実施形態における山崩しは、設備単位で、過去方向から将来方向に向けて、山崩しを行っていく。従って、工程Aの次工程である工程Bの6月2日及び3日の負荷が、山崩しされて6月4日に積まれる可能性がある。そこで、山崩ししようとしている負荷が積まれている日(6月2日)から次工程の設備で処理が予定されている日(6月4日)までの期間を、次工程の負荷率の算出対象となる期間とする。すなわち、次工程の負荷が積まれている日の空き状況を、できるだけ正確に予測できるような期間を設定する。尚、正確性はやや劣るとしても、他の期間の負荷率を用いてもよい。例えば、図10において、次工程の設備で処理が予定されている日、6月4日のみの負荷率を算出する等である。
【0083】
本実施形態では、図5において、6月2日の負荷「注文A」(矢印10参照)の次工程の負荷率は、設備Bにおける6月2日から6月3日までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求めるものとする。
【0084】
設備Bにおいて、6月2日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トン(矢印11参照)であり、6月3日の仕掛は矩形が2つ、すなわち、10トン(矢印12参照)である。また、設備Bの処理能力は、設備情報テーブル1110(図3)で示すように20トンである。従って、負荷「注文A」の次工程の負荷率は、以下の式で求められる。
負荷率=(20+10)÷(20+20)=0.75
次に、負荷「注文B」の次工程の負荷率を求める。
【0085】
注文情報テーブル1120の「注文B」の工程は「→設備A→設備B→」となっているので、設備Aの次の工程は設備Bであり、次工程である設備Bでは6月3日に処理される予定で負荷「注文B」が積まれている。従って、負荷「注文A」と同様に、設備Bにおける6月2日から6月3日までの仕掛を求め、負荷率は「0.75」となる。
【0086】
また、「注文c」、「注文d」及び「注文e」の工程は共に「→設備A→設備C→」となっているので、設備Aの次の工程は設備Cである。そして、これら3つの注文は、次工程である設備Cでは6月3日に処理される予定となっている。従って、負荷「注文c」、「注文d」及び「注文e」の次工程の負荷率は、設備Cにおける6月2日から6月3日までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求めることになる。
【0087】
設備Cにおいて、6月2日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トン(矢印13参照)であり、6月3日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トン(矢印14参照)である。また、設備Cの処理能力は、設備情報テーブル1110で示すように15トンである。従って、負荷率は、以下の式で求められる。
負荷率=(20+20)÷(15+15)=1.33
次に、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷それぞれの負荷率から、それぞれの次工程仕掛指標を求める。ここで、設備Bの基準値MIX=1、MAX=2、設備Cの基準値MIX=1、MAX=2とする。負荷「注文A」及び負荷「注文B」の設備Bでの負荷率(0.75)は、設備Bの基準値MIN(1)より小さいので、負荷「注文A」及び負荷「注文B」の次工程仕掛指標は「0」となる。また、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の設備Cでの負荷率(1.33)は、設備Cの基準値MIN(1)以上であり、設備Cの基準値MAX(2)より小さいので、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の次工程仕掛指標は「1」となる。
【0088】
従って、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷の次工程仕掛指標は、それぞれ「0」、「0」、「1」、「1」及び「1」となる。
【0089】
そこで、負荷山崩し部1500は、山崩し候補の負荷(製品)から、次工程仕掛指標が最も大きい負荷を山崩しの対象として決定する。従って、この場合は、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」のうちのいずれかを山崩しの対象として選択する。
【0090】
ここで、山崩しの対象が複数選択された場合は、納期までに最も余裕がある注文を選択して山崩しの対象とする。この選択方法は、以下の<余裕期間算出方法>の項で説明する。
【0091】
次に、次工程の候補が複数ある場合の負荷率を求める方法を説明する。注文情報テーブル1120の「注文i」の工程は「→設備A→設備C/D→」となっているので、設備Aの次の工程は設備C又はDである。この場合、設備C及び設備D(代替設備)の負荷率を求め、平均値を次工程の負荷率とする。
【0092】
図7は、負荷判定部1300が、6月3日の設備A(矢印30参照)が処理能力を超えていることを検出したスケジュールを示す。
【0093】
6月3日の設備Aに積まれている負荷「注文i」の次工程である設備Cでは、6月4日に処理される予定で負荷「注文i」が積まれている(矢印31参照)。従って、設備Cにおける6月3日から6月4日までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求める。また、代替設備である設備Dにおいても、6月3日から6月4日(矢印32参照)までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求める。
【0094】
設備Cにおいて、6月3日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トンであり、6月4日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トンである。また、設備Cの処理能力は、設備情報テーブル1110(図3)で示すように15トンである。従って、負荷率は、以下の式で求められる。
負荷率=(20+20)÷(15+15)=1.33
設備Dにおいて、6月3日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トンであり、6月4日の仕掛は矩形が2つ、すなわち、10トンである。また、設備Dの処理能力は、設備情報テーブル1110(図3)で示すように10トンである。従って、負荷率は、以下の式で求められる。
負荷率=(20+10)÷(10+10)=1.5
そして、設備Cの負荷率と設備Dの負荷率との平均値を負荷率とする。
負荷率=(1.33+1.5)÷2=1.415
次に、仕掛指標を求める。ここで、設備Cの基準値は、MIX=1、MAX=2であるので、負荷「注文i」の次工程仕掛指標は、「1」となる。
【0095】
<余裕期間算出方法>
以下、納期までに最も余裕がある注文を判定するための余裕期間を算出する方法を説明する。余裕期間とは、以下の式で求めた期間をいうものとする。
余裕期間=注文の納期−山積みされている時間帯−残りの処理に係る時間
例えば、注文の納期が6月10日であり、山積みされている時間帯、すなわち、山崩しを行おうとしている時間帯が6月2日であり、残りの処理に係る時間が5日である場合、余裕期間は3日ということになる。
【0096】
従って、注文情報テーブル1120(図4参照)によると、「注文c」の納期は「6月12日」であり、「注文d」の納期は「6月11日」であり、「注文e」の納期は「6月13日」である。残りの処理に係る時間がそれぞれ5日であるとすると、「注文c」の余裕期間は「5日」であり、「注文d」の余裕期間は「4日」であり、「注文e」の余裕期間は「6日」である。従って、負荷「注文e」を山崩しの対象と決定する。尚、各注文の「残りの処理に係る期間」は、工程1124として設定されている工程において、山崩しを行おうとしている設備の後に行う工程(設備)に基づいて求める。本実施形態では、山崩しを行おうとしている設備の後の設備の数をカウントし、その数の日数が「残りの処理に係る期間」となる。尚、他の方法で求めた日数を「残りの処理に係る期間」としてもよい。例えば、最後の工程が処理される日を取得して、その日までの日数を「残りの処理に係る期間」としてもよく、納期までの日数を「残りの処理に係る期間」としてもよい。
【0097】
尚、実施形態では、次工程仕掛指標が同じ場合は、余裕期間が最も大きい注文の負荷を山崩しの対象とすることとしているが、他の条件、例えば、注文量を用いて決定することとしてもよい。また、最初に、余裕期間が最も大きい注文の負荷を山崩しの対象として選択し、複数の負荷が選択された場合に、次工程仕掛指標が最も大きい負荷を山崩しの対象と決定することとしてもよい。
【0098】
<動作>
以下、生産スケジュール作成装置1000の動作について、図9、及び、図5〜図8を用いて説明する。
【0099】
図9は、生産スケジュール作成装置1000の生産スケジュール作成処理のフローチャートである。
【0100】
まず、ユーザは、スケジュールを作成するために必要な情報を、入力部1002を介してマスタ記憶部1100に作成する。具体的には、設備情報テーブル1110(図3参照)、及び、注文情報テーブル1120(図4参照)を作成し、マスタ記憶部1100に記憶させる。また、その他スケジューリングに必要な情報を必要に応じて作成し、マスタ記憶部1100に記憶させる。
【0101】
次に、ユーザは、入力部1002を介してスケジュールの作成を指示するコマンドを入力する。
【0102】
生産スケジュール作成制御部1001は、スケジュールの作成を指示するコマンドが入力された旨の通知を受けると、負荷山積み部1200に生産スケジュールの作成を指示する。
【0103】
指示を受けた負荷山積み部1200は、設備情報テーブル1110、注文情報テーブル1120、及び、負荷山積み処理を行って生産スケジュールを作成するのに必要な各種情報をマスタ記憶部1100から読み出す(ステップS10)。
【0104】
注文情報テーブル1120等を読み出した負荷山積み部1200は、注文情報テーブル1120を基に生産スケジュールを作成する(ステップS11)。具体的には、注文情報テーブル1120からレコードを読み出し、納期1123として設定されている期日を基準に、その期日から時間の流れを遡るように、工程1124として設定されている設備における作業日を決める。そして、決めた作業日の設備に対して、注文量1122として設定されている量に応じた負荷を積み上げる。その負荷には、注文名1121として設定されている注文の名称を対応付ける。負荷山積み部1200が作成した初期スケジュール(図5参照)に示すように、この積み上げた負荷は矩形で表され、注文の名称は矩形の中に記載されている。負荷山積み部1200は、上記処理を、注文情報テーブル1120に登録されている全レコードについて行う。
【0105】
初期スケジュールを作成した負荷山積み部1200は、作成した初期スケジュールを負荷判定部1300に渡し、負荷の判定を依頼する。
【0106】
依頼を受けた負荷判定部1300は、渡された初期スケジュールから負荷が処理能力を超えている設備を検出する(ステップS12)。具体的には、渡された初期スケジュールの最初の日から時間の流れに沿って順に、各設備に積まれた負荷が、その設備の処理能力を超えていないか判断していく。具体的には、設備情報テーブル1110を参照し、設備名1111として設定されている名称が示す設備に積まれた負荷が、処理能力1112として設定されている処理能力を超えているか否かを判断する。例えば、図5に示す初期スケジュールにおいて、6月2日の設備Aには、5つの矩形が積まれており、計25トンの負荷となる(図5の矢印10参照)。設備Aの処理能力は、設備名1111として「設備A」が設定されているレコードの、処理能力1112として設定されている値は「20」トンであるので、負荷判定部1300は、負荷を超えていると判断する。
【0107】
負荷が処理能力を超えている設備を検出せずに(ステップS13:NO)、生産スケジュールの最後の日まで検索を行った場合(ステップS20:YES)、負荷判定部1300は、この初期スケジュールを最終生産スケジュールとして、入力部1002に出力して処理を終了する。
【0108】
一方、負荷が処理能力を超えている設備を検出すると(ステップS13:YES)、負荷判定部1300は、該当する設備を検出した初期スケジュールを山崩し処理結果記憶部1600に記憶させ、また、該当する設備を検出した日とその設備の名称とを負荷山崩し部1500に渡し、山崩しを依頼する。例えば、検出した日として「6月2日」、設備の名称として「設備A」を渡す(図5の矢印10参照)。
【0109】
依頼を受けた負荷山崩し部1500は、山崩し処理結果記憶部1600から最新のスケジュール、ここでは初期スケジュールを読み出し、負荷判定部1300から渡された日に、渡された設備の名称が示す設備に積まれた負荷(山崩し候補の負荷)の山崩しを行う。
【0110】
具体的には、負荷山崩し部1500は、負荷判定部1300から渡された日及び設備の名称と、山崩し候補の負荷の1つの注文名とを、次工程仕掛指標算出部1400に渡して、次工程仕掛指標を算出するよう依頼する。例えば、日として「6月2日」、設備の名称として「設備A」、注文名として「注文A」を渡す。
【0111】
依頼を受けた次工程仕掛指標算出部1400は、負荷「注文A」の次工程の仕掛指標を算出する(ステップS14)。上記<次工程仕掛指標算出方法>で説明したように、仕掛指標を算出する。
【0112】
負荷山崩し部1500は、山崩し候補の負荷について順番に、次工程仕掛指標算出部1400に次工程仕掛指標の算出を依頼する(ステップS15:NO)。負荷山崩し部1500は、山崩し候補の負荷すべてについて次工程仕掛指標を取得すると(ステップS15:YES)、取得した次工程仕掛指標のうち最も大きい指標である負荷を選択する(ステップS16)。
【0113】
例えば、図5に示す生産スケジュールにおいて、6月2日の設備Aの5つの負荷、すなわち、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷の次工程仕掛指標が、それぞれ「0」、「0」、「1」、「1」及び「1」である場合、負荷山崩し部1500は、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の3つの負荷を選択する。
【0114】
ステップS16で選択した負荷が1つである場合(ステップS17:NO)、負荷山崩し部1500は、その負荷を山崩し対象の負荷と決定する。
【0115】
一方、ステップS16で選択した負荷が複数である場合(ステップS17:YES)、負荷山崩し部1500は、これら負荷の注文名を余裕期間算出部1700に渡して、余裕期間を算出を依頼する。依頼を受けた余裕期間算出部1700は、<余裕期間算出方法>の項で説明したようにそれぞれの注文の余裕期間を算出する。具体的には、負荷の注文名が注文名1121として設定されているレコードの、納期1123として設定されている期日と残りの工程とから余裕期間を算出する。
【0116】
負荷山崩し部1500から渡されたすべての負荷について余裕期間を算出した余裕期間算出部1700は、算出した余裕期間を負荷山崩し部1500に渡す。
【0117】
算出された余裕期間を渡された負荷山崩し部1500は、余裕期間が最も長い(余裕が最も大きい)負荷(製品)を、山崩し対象の負荷と決定する(ステップS18)。
【0118】
例えば、「注文c」の余裕期間が「5日」であり、「注文d」の余裕期間が「4日」であり、「注文e」の余裕期間が「6日」である場合、負荷「注文e」を山崩しの対象の負荷と決定する。仮に、余裕期間を用いても山崩し対象が決定できない場合は、予め決めておいた所定の法則、例えば、注文情報テーブル1120に登録されているレコード番号が最も小さい注文の負荷を山崩しの対象の負荷と決定する。
【0119】
山崩しの対象の負荷を決定した負荷山崩し部1500は、その負荷を崩して仮スケジュールを作成し、山崩し処理結果記憶部1600に記憶させる(ステップS19)。
【0120】
図6に仮スケジュールを示す。この仮スケジュールは、図5に示す生産スケジュールにおける6月2日の設備Aの負荷「注文e」を崩して作成した仮スケジュールである。負荷「注文e」が、6月2日から次の日の6月3日に移動している(矢印20参照)。そして、その移動に伴い、次工程の設備Cにおいて、負荷「注文e」が、6月3日から次の日の6月4日に移動している(矢印21参照)。
【0121】
負荷判定部1300から依頼された山崩し処理を終えた負荷山崩し部1500は、その旨を負荷判定部1300に通知する。通知を受けた負荷判定部1300は、山崩し処理結果記憶部1600から仮スケジュールを読み出し、生産スケジュールの最後の日まで設備の負荷判定をしていないので(ステップS20:NO)、読み出した仮スケジュールから、負荷が処理能力を超えている設備を検出する(ステップS12)。この際、前回検出した設備の次の設備から負荷の判断を開始する。
【0122】
図6に示す仮スケジュールにおいては、6月2日の設備C(矢印22参照)が検出され、ステップS13〜ステップS20の処理が行われる。その結果の仮スケジュールを図7に示す。6月3日の設備Cに、負荷「注文x」が積まれている。
【0123】
そして、負荷判定部1300によって負荷判断がなされる(ステップS20:NO、ステップS12)。負荷判定部1300は、6月3日の設備Aを検出し(ステップS13:YES、図7の矢印30参照)、負荷山崩し部1500に山崩し処理を依頼する。
【0124】
依頼を受けた負荷山崩し部1500は、負荷「注文i」〜負荷「注文e」までの6つの負荷の次工程仕掛指標を算出する(ステップS14、ステップS15:YES)。
【0125】
具体的には、負荷「注文i」の負荷率は、次工程は設備C又は設備Dであるので、上記<次工程仕掛指標算出方法>で示すように1.415である。負荷「注文h」及び負荷「注文e」の次工程は設備Cである。6月3日の仕掛が20トン、6月4日の仕掛が20トンであり、設備Cの処理能力は、設備情報テーブル1110(図3)で示すように15トンであるので、負荷率は、(20+20)÷(15+15)=1.33となる。また、負荷「注文G」及び負荷「注文F」の次工程は設備Bである。6月3日の仕掛が10トン、6月4日の仕掛が10トンであり、設備Bの処理能力は、20トンであるので、負荷率は、(10+10)÷(20+20)=0.5となる。従って、負荷「注文i」、負荷「注文h」、負荷「注文e」、負荷「注文G」及び負荷「注文F」の次工程仕掛指標は、それぞれ「1」、「1」、「1」、「0」及び「0」である。
【0126】
次工程仕掛指標が最大、ここでは、「1」である負荷は、負荷「注文i」、負荷「注文h」、負荷「注文e」となる(ステップS16、ステップS17:YES)。そして、それぞれの注文の余裕期間を余裕期間算出部1700に依頼して求め、「注文h」の余裕期間が最も大きい場合、負荷山崩し部1500は、負荷「注文h」を山崩しの対象の負荷と決定する(ステップS18)。
【0127】
山崩しの対象の負荷を決定した負荷山崩し部1500は、その負荷を山崩しして仮スケジュールを作成し、山崩し処理結果記憶部1600に記憶させる(ステップS19)。
【0128】
図8に仮スケジュールを示す。この仮スケジュールは、図7に示す仮スケジュールにおける6月3日の設備Aの負荷「注文h」を崩して作成した仮スケジュールである。負荷「注文h」が、6月3日から次の日の6月4日に移動している(矢印40参照)。そして、その移動に伴い、次工程の設備Cにおいて、負荷「注文h」が、6月4日から次の日の6月5日に移動している(矢印41参照)。
【0129】
このように、負荷判定部1300が仮スケジュールの最後の日まで設備の負荷判定を行い、ステップS13〜ステップS20の処理を繰り返し行う。仮スケジュールの最後の日まで負荷判定を行ったら(ステップS20:YES)、負荷判定部1300はその仮スケジュールを最終生産スケジュールとして入力部1002に出力して、処理を終了する。
【0130】
このように山崩しの対象を決定することで、設備の過剰仕掛、及び、設備の材料切れによる停止を防ぐことが可能となり、工場全体の生産性を向上させるスケジュールを作成することが可能となる。
【0131】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0132】
1000 生産スケジュール作成装置
1001 生産スケジュール作成制御部
1002 入力部
1003 出力部
1100 マスタ記憶部
1200 負荷山積み部
1300 負荷判定部
1400 次工程仕掛指標算出部
1500 負荷山崩し部
1600 山崩し処理結果記憶部
1110 設備情報テーブル
1120 注文情報テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、多品種製品を製造する場合の生産スケジューリング技術に関し、特に、生産効率のより良いスケジューリングを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の製品を生産する場合における各設備での生産スケジュールの作成は、納期の遵守、生産性の最大化、下流工程へのタイムリーな供給といった評価項目を満足したスケジュールを作成する必要がある。
【0003】
生産スケジュールの一つとして設備負荷計画がある。設備負荷計画とは、注文に応じて各工程(または各設備)で生産しなければならない処理量(負荷)を算出し、各工程(または各設備)での能力の範囲内で割り当てるものである。
【0004】
このような生産スケジュールを生成する場合、まず、注文に応じて各工程に製品(負荷)を割り当てる、すなわち、各工程に負荷を山積みする。この際、各設備の処理能力は考慮しない。そして、各設備の処理能力及び納期等を考慮して、山積みされている負荷の一部を他の時間帯や他の設備に変更する、すなわち、負荷の山崩しを行う。
【0005】
この山崩し如何により、生産性の良し悪しが変わってくることになる。生産ラインが複数工程から成り立っている場合、ある工程で、ある注文の負荷を調整して他の時間帯に移動すると、その影響が他の工程に及ぶ可能性が高い。例えば、1つの工程で負荷を崩すことにより、他の設備では処理能力に余裕があるにもかかわらず設備の負荷を崩さねばならない場合が発生し、その設備の処理能力を最大限に利用することができないこととなる可能性がある。また、最悪の場合には、納期遅れが発生するおそれもある。しかし、納期に間に合わせるために、先行して生産すると、仕掛在庫の増加となる可能性が高くなる。そこで、生産性の高いスケジュールを生成するための技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、最も遅く処理を開始しても納期に間に合わすことができる最遅製造着手日と、一旦負荷山積みを行って得た計画製造日との差分を負荷調整の範囲とし、納期遅れを許さずかつ先行生産を可能な限り少なくするように負荷を調整する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−216074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、複数種類の製品を生産する場合には、すべての製品が同じ工程を経て製品となるわけではない。従って、1つの工程で負荷を崩す場合には、どの負荷を崩すかによって、影響を及ぼす設備やその影響度が異なってくることになる。
【0009】
そこで、本発明は、複数種類の製品を生産する場合に、山崩しの対象として適切な負荷を選択することで、より生産性の高いスケジュールの作成を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる一態様では、生産スケジュール作成装置は、複数工程によって生産する複数の製品を、各製品を各納期までに生産するスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、各製品の各工程を所定時間単位で各設備に対応付けて、各製品の注文に応じた負荷を、各製品の各工程で用いる設備に割り当てる山積手段と、各工程で用いる設備それぞれの前記所定時間当たりの処理量を記憶する設備能力記憶手段と、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備の所定時間である次工程設備時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する次工程仕掛指標算出手段と、ある設備のある所定時間に山積手段によって割り当てられた負荷が、前記設備能力記憶手段に記憶されている当該ある設備の処理量を超える場合に、当該ある設備の当該ある所定時間に対応付けられている工程の製品ごとに、前記次工程仕掛指標算出手段にそれぞれの仕掛指数を算出させ、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する製品決定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明の他の一態様に係る生産スケジュール作成方法は、複数工程によって生産する複数の製品を、各製品を各納期までに生産するスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、各工程で用いる設備それぞれの所定時間当たりの処理量を記憶する設備能力記憶手段を備える生産スケジュール作成装置で用いられる生産スケジュール作成方法であって、各製品の各工程を所定時間単位で各設備に対応付けて、各製品の注文に応じた負荷を、各製品の各工程で用いる設備に割り当てる山積ステップと、前記山積ステップによって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備の所定時間である次工程設備時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する次工程仕掛指標算出ステップと、ある設備のある所定時間に山積ステップによって割り当てられた負荷が、前記設備能力記憶手段に記憶されている当該ある設備の処理量を超える場合に、当該ある設備の当該ある所定時間に対応付けられている工程の製品ごとに、前記次工程仕掛指標算出ステップでそれぞれの仕掛指数を算出し、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する製品決定ステップとを備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成の生産スケジュール作成装置及び生産スケジュール作成方法によれば、次工程で用いる設備の余裕の状況を示す仕掛指標を求め、最も余裕がないことを示す仕掛指標の製品を山崩しの対象とするので、過剰な仕掛がなされた設備が発生し難くなり、また、材料切れによって停止を余儀なくされる設備が発生し難くなる。従って、生産効率がより良い生産スケジュールを作成できる可能性が高くなる。
【0013】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記製品決定手段は、前記ある設備の前記ある所定時間に対応付けられている工程の製品が、当該製品の次工程で用いる設備を他の設備に換えることができる場合には、前記次工程仕掛指標算出手段に当該製品の仕掛指数を算出させ、更に、当該製品の次工程が当該他の設備に割り当てられたとした場合の仕掛指標を前記工程仕掛指標算出手段に算出させ、算出されたそれぞれの仕掛指標に基づいて求めた指標を当該製品の仕掛指標とすることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、次工程で用いる設備に置き換えることができる他の設備がある場合には、これらの設備それぞれの仕掛指標に基づいて求めた指標を用いて、山崩しの対象を決定するので、次工程の設備に代替設備がある場合には、代替設備の処理能力を考慮した生産スケジュールが作成できる。すなわち、より生産効率が良いスケジュールを作成できる可能性が高くなる。
【0015】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記生産スケジュール作成装置は、更に、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品の納期に基づいて、当該1製品の日程的な余裕の状況を示す余裕期間を算出する余裕期間算出手段を備え、前記製品決定手段は、前記ある設備の前記ある所定時間に対応付けられている工程の製品のうち、最も余裕がないことを示す仕掛指標の製品が複数ある場合には、当該複数の製品それぞれの余裕期間を前記余裕期間算出手段に算出させ、算出された余裕期間が最も長い製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定することが好ましい。
【0016】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記生産スケジュール作成装置は、更に、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品の納期に基づいて、当該1製品の日程的な余裕の状況を示す余裕期間を算出する余裕期間算出手段を備え、前記製品決定手段は、ある設備のある所定時間に対応付けられている工程の製品それぞれの余裕期間を前記余裕期間算出手段に算出させ、算出された余裕時間が最も長い製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定し、最も余裕期間が長い製品が複数ある場合には、当該複数の製品それぞれの仕掛指数を前記次工程仕掛指標算出手段に算出させ、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、納期に基づいた余裕期間が長い製品を山崩しの対象に決定するので、納期を遵守できる可能性が高く、且つ、生産効率が良い生産スケジュールを作成できる可能性が高くなる。
【0018】
また、上述の生産スケジュール作成装置において、前記次工程仕掛指標算出手段は、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備において、当該1所定時間から、当該次工程が対応付けられている所定時間である次工程設備時間までの各所定時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、次工程で用いる設備の余裕の状況を示す仕掛指標をより正確に求める事が可能となるので、より生産効率が良い生産スケジュールを作成できる可能性が高くなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる生産スケジュール生産装置は、複数種類の製品を生産する場合に山崩しの対象として適切な負荷を選択することで、より生産性の高いスケジュールの作成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態における生産スケジュール作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】生産ラインを説明するための図である。
【図3】図1に示す生産スケジュール作成装置における設備情報テーブルの構成及び内容の例を示す図である。
【図4】図1に示す生産スケジュール作成装置における受注情報テーブルの構成及び内容の例を示す図である。
【図5】図1に示す生産スケジュール作成装置における山積み後の初期スケジュールの例を示す図である。
【図6】図1に示す生産スケジュール作成装置における山崩し後の仮スケジュールの例を示す図である。
【図7】図1に示す生産スケジュール作成装置における山崩し後の仮スケジュールの例を示す図である。
【図8】図1に示す生産スケジュール作成装置における山崩し後の仮スケジュールの例を示す図である。
【図9】図1に示す生産スケジュール作成装置における生産スケジュール作成処理のフローチャートを示す図である。
【図10】次工程の負荷率の算出対象となる期間を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
<概要>
多品種多工程の製品を、複数の生産ラインで製造する工場全体の生産スケジュールは、納期を遵守するのはもちろん、工場全体の生産性を最大化するものであることが望まれる。このような生産ラインとしては、例えば鉄鋼・銅板・アルミ板等の素材系工場の生産ラインが挙げられる。
【0023】
このような多品種多工程の製品は、全品種が同じ工程を経て生産されるのではなく、品種によって異なる工程があるのが通常である。従って、ある設備のある時間帯の負荷を山崩ししようとする場合、その設備に積まれている製品の次工程が全て同じとは限らない。例えば、第1製品の次工程はA工程であり、第2製品の次工程がB工程である場合である。この場合、山崩しを行おうとしている工程において、どちらの製品を処理した方が、工場全体として生産効率が良くなるかを判断することが望ましい。
【0024】
例えば、次のA工程に余裕があってすぐに処理できるならば、第1製品を今の時間帯で処理してしまい、次のA工程に渡す方が良いと判断できる。一方、次のB工程が既に過剰仕掛になっているならば、第2製品を今の時間帯で処理したとしても次工程で処理できない可能性が高いので、他の時間帯に処理する、すなわち、第2製品を山崩しの対象とすると判断できる。
【0025】
実施形態の生産スケジュール作成装置は、山崩しの際に、山積みされている製品ごとに、次工程の空き状況を判断して山崩しの対象となる製品を決定するものである。このように山崩しの対象を決定することで、設備の過剰仕掛を防ぎ、また、設備の材料切れによる停止を防いで設備の能力を発揮させることが可能となり、工場全体の生産性を向上させるスケジュールを作成することが可能となる。
【0026】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
<構成>
図1は、生産スケジュール作成装置1000の機能ブロックの構成を示す図である。
【0028】
生産スケジュール作成装置1000は、生産スケジュール作成制御部1001、入力部1002、及び、出力部1003を備えて構成される。
【0029】
入力部1002は、生産スケジュールを作成するプログラム等を起動するコマンド等の各種コマンド、及び、スケジュールの作成等を行う上で必要な各種データを生産スケジュール作成装置1000に入力する機器である。例えば、キーボードやマウス等である。
【0030】
出力部1003は、入力部1002から入力されたコマンドやデータ、及び、生産スケジュール作成装置1000によって作成されたスケジュール等を出力(提示)する機器である。例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、及び、プラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0031】
生産スケジュール作成制御部1001は、例えば、マイクロプロセッサおよびその周辺回路等を備えて構成され、機能的に、マスタ記憶部1100、負荷山積み部1200、負荷判定部1300、次工程仕掛指標算出部1400、負荷山崩し部1500、山崩し処理結果記憶部1600、及び、余裕期間算出部1700を備え、制御プログラムに従い入力部1002、及び、出力部1003を当該機能に応じてそれぞれ制御する。尚、生産スケジュール作成制御部1001内の矢印は、機能ブロック間のデータの流れを表す。
【0032】
マスタ記憶部1100は、スケジュールを生成するために必要な各種情報を記憶しておく機能を有する。例えば、設備の処理能力に関する情報、製品の生産工程に関する情報、注文に関する情報などである。マスタ記憶部1100に記憶されている情報のうち、本実施形態で使用する主な情報(データ)については、<生産スケジュールの対象>の項で説明する。
【0033】
負荷山積み部1200は、全注文について、注文量に応じた製品を製造するための負荷を、納期を基準に仮想的に山積みしたスケジュール(以下、「初期スケジュール」という。)を生成する機能を有する。負荷を山積みするとは、単位期間ごとに設備に負荷を割り当てることである。本実施形態では、単位期間は、1日とする。
【0034】
具体的には、負荷山積み部1200は、注文の納期を基準に、納期から時間の流れを遡るように、注文された製品の各工程を行う作業日を決定する。そして、この決定した作業日の各工程(設備)に対して、注文量に応じた負荷を、仮想的に山積みする。この山積みの際、負荷山積み部1200は、各設備の処理能力を考慮しない。従って、負荷山積み部1200が作成する初期スケジュールでは、過剰仕掛となっている設備、すなわち、処理能力を超える負荷が割り当てられている設備があることになる。
【0035】
尚、本実施形態では、納期から遡るように負荷を各設備に積んでいくこととしているが、他の方法によって、負荷を山積みすることとしてもよい。
【0036】
負荷判定部1300は、負荷山積み部1200が作成した初期スケジュールから、処理能力を超えて負荷が積まれている設備を検出する機能を有する。具体的には、スケジュールの最初の日から時間の流れに沿って、各設備に山積みされた負荷の量が、その設備の処理能力を超えているか否かを判断する。そして、処理能力を超えて負荷が積まれている設備を検出した場合は、その日とその設備とを負荷山崩し部1500に通知して、その日のその設備に積まれた負荷を山崩しするよう依頼する。
【0037】
また。負荷判定部1300は、負荷山崩し部1500が山崩しを行った結果のスケジュール(以下、「仮スケジュール」という。)についても同様に、処理能力を超えて負荷が積まれている設備を検出する機能を有する。但し、この場合は、最初の日からではなく、負荷山崩し部1500が山崩しを行った日の設備の次の設備から行うことになる。負荷山崩し部1500が山崩しを行った設備がその日の最後の設備である場合は、次の日から行うことになる。処理能力を超えた負荷が積まれた設備を検出した場合、負荷判定部1300は、その日のその設備に積まれた負荷を山崩しするように、負荷山崩し部1500に依頼する。
【0038】
この負荷判定部1300が、スケジュールの最後の日まで、処理能力を超えて負荷が積まれている設備を検出できなかった場合は、そのスケジュールを最終生産スケジュールとする。
【0039】
次工程仕掛指標算出部1400は、ある設備に積まれている負荷が、当該ある設備の次に処理される設備、すなわち、次工程の空き状況を示す仕掛指標を算出する機能を有する。この仕掛指標の算出方法は、<次工程仕掛指標算出方法>の項で説明する。
【0040】
負荷山崩し部1500は、負荷判定部1300から依頼された日の依頼された設備に積まれている負荷の山崩しを行う機能を有する。具体的には、まず、負荷山崩し部1500は、その過剰仕掛の設備に積まれている負荷から、山崩しの対象となる負荷を決定する。山崩しの対象とする負荷は、次工程仕掛指標算出部1400が算出する仕掛指標を基に決定する。この決定方法は、<山崩し負荷決定方法>の項で説明する。そして、決定した負荷を時間の流れと順方向に移動させ、この移動に伴う他の設備の負荷調整を行って、仮スケジュールを生成する。この仮スケジュール(山崩し処理結果)は、山崩し処理結果記憶部1600に記憶される。
【0041】
また、負荷山崩し部1500は、負荷山積み部1200が作成した初期スケジュールに対して、積まれている設備以外の設備(代替設備)でも処理可能な負荷がある場合は、その負荷の山崩しを行うこととしてもよい。
【0042】
具体的には、過剰仕掛の設備を検索し、その設備に積まれている負荷の中に代替設備でも処理可能な負荷がある場合は、その負荷を代替設備に山崩しする。この代替設備への山崩しを行うか否かについては、基本的には代替設備に余裕があることが前提となるが、納期に対する逼迫度や、過去の操業実績において代替設備で処理した割合等に基づいて、代替設備への山崩しを行うか否かを判断してもよい。納期がより迫っている注文の負荷や、代替設備で処理した割合が高い注文の負荷を山崩しの対象とする等である。
【0043】
このように、代替設備への山崩しを行う事で、処理を先送りすることなく、納期遅れとなる可能性を減らすことができる。
【0044】
山崩し処理結果記憶部1600は、負荷山積み部1200が作成した初期スケジュール、及び、負荷山崩し部1500が作成した仮スケジュールを記憶しておく機能を有する。
【0045】
余裕期間算出部1700は、ある注文の納期までの余裕を示す余裕期間を算出する機能を有する。この余裕期間の算出方法は、<余裕期間算出方法>の項で説明する。
【0046】
上述したマスタ記憶部1100及び山崩し処理結果記憶部1600は、その用途に応じて、例えば、生産スケジュール作成装置1000のいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子、ROM(Read Only Memory)や書換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶素子、ハードディスク等により構成される。
【0047】
また、生産スケジュール作成装置1000は、ユーザから入力部1002を介して入力されたコマンドに応じて、マスタ記憶部1100に記憶されている設備情報テーブル1110等の内容を出力部1003に表示させたり、入力部1002を介して設備情報テーブル1110等の内容を作成、修正等を行う機能も有している。
【0048】
このような構成の生産スケジュール作成装置1000は、例えば、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いて構成可能であり、ハードディスク等の記憶部に格納されているスケジュール作成方法をプログラムしたソフトウェアを実行することによって上述の負荷山積み部1200等がコンピュータに機能的に構成される。尚、コンピュータには、図1に示す他の機能部のうちの1または複数が構成されてもよい。
【0049】
スケジュール作成方法等をプログラムしたプログラムが生産スケジュール作成装置1000のハードディスク等の記憶部に格納されていない場合には、これらを記録した記録媒体から外部記憶部を介して生産スケジュール作成装置1000内の記憶部にインストールされるように構成してもよく、また、これらプログラムを管理するサーバ(不図示)からネットワーク及び通信インタフェース部を介して各プログラムがダウンロードされるように構成してもよい。また、マスタ記憶部1100に記憶されているデータは、このデータを記憶した記録媒体によって外部記憶部を介して生産スケジュール作成装置1000に入力されるように構成してもよく、また、ユーザからネットワーク及び通信インタフェース部を介して生産スケジュール作成装置1000に入力されるように構成してもよい。
【0050】
<生産スケジュールの対象>
ここで、生産スケジュール立案装置1000が、スケジュールを生成する対象例について説明する。以下、この対象例についてスケジュールを生成する場合を説明する。
【0051】
<設備>
生産スケジュール作成装置1000が、スケジュールを作成する際に対象とする設備は複数あるが、実施形態ではそのうちの4台の設備を用いて説明する。具体的には設備A〜設備Dである。
【0052】
図2に示すように、設備Aを経て、設備B、C、Dのいずれかの設備で処理を行うものとする。設備Aでは、設備B〜設備D以外の設備で処理された製品を処理する。以下、設備Aを用いる工程を「工程A」、設備Bを用いる工程を「工程B」などという。
【0053】
次に、図3に各設備の処理能力を示す。
【0054】
図3は、設備情報テーブル1110の構成及び内容の例を示す図である。
【0055】
設備情報テーブル1110は、各設備の生産能力を示しており、マスタ記憶部1100に予め記憶されている。
【0056】
設備情報テーブル1110は、設備名1111、及び、処理能力1112で構成される。
【0057】
設備名1111は、複数の設備のうち、ある設備を特定し区別するための名称を示す。本実施形態では、設備名1111「設備A」〜「製品D」が示す4つの設備を用いて説明する。尚、実施形態では、設備の名称を用いるものとするが、各設備を識別できるものであればよい。
【0058】
処理能力1112は、設備名1111で示される設備において、1日で生産できる製品の最大量を示す。単位はトンである。例えば、設備名1111として「設備A」が設定されたレコードには、処理能力1112として「20(ton/day)」が設定されているので、設備Aでは、製品を1日に20トン生産できる。
【0059】
<注文>
図4に、受注した注文の例を示す。
【0060】
図4は、注文情報テーブル1120の構成及び内容の例を示す図である。注文情報テーブル1120は、マスタ記憶部1100に予め記憶されている。
【0061】
注文情報テーブル1120は、注文名1121、注文量1122、納期1123、及び、工程1124で構成される。
【0062】
注文名1121は、ある注文を特定し区別するための名称を示す。実施形態では、注文名1121が「注文A」、「注文B」、「注文c」等の14個の注文を用いて説明する。この注文名1121で示す注文に応じて生産する製品を「負荷」として、注文単位で各設備に積んでいくものとする。以下、「注文名1121「注文A」が示す注文」等を、単に、「注文A」等というものとする。また、「注文A」のようにアルファベットが大文字の注文は、「設備A」の次工程は「設備B」であり、「注文c」のようにアルファベットが小文字の注文は、「設備A」の次工程は「設備C」又は「設備D」であることを示すものとする。
【0063】
注文量1122は、注文名1121で示される注文における必要量を示す。単位は、t(トン)である。以下、「注文名1121として「注文A」が設定されているレコードに注文量1122として設定されている必要量」等を、単に、「「注文A」の注文量」等というものとする。
【0064】
納期1123は、注文名1121で示される注文の納品の期日を示す。以下、「注文名1121として「注文A」が設定されているレコードに納期1123として設定されている期日」等を、単に、「「注文A」の納期」等というものとする。
【0065】
工程1124は、注文名1121で示される注文の製品を、生産するための工程を示す。ここでは、設備A〜Dについてのみ記載し、その前後の工程は省略している。工程1124では、設備を矢印でつないで記載し、矢印で示す順に各設備で処理を行って製品を製造するものとする。例えば、注文名1121として「注文A」が設定されているレコードに工程1124として「→設備A→設備B→」と設定されている。これは、注文Aで注文された製品は、複数の設備で順に処理されるが、その途中、設備Aで処理され、その後、設備Bで処理されることを示す。
【0066】
また、注文名1121として「注文i」が設定されているレコードに工程1124として「→設備A→設備C/D→」と設定されている。これは、注文iで注文された製品は、複数の設備で順に処理されるが、その途中、設備Aで処理され、その後、設備C又は設備Dのいずれか一方で処理されればよいことを示す。言い換えれば、設備Cで処理するが、設備Dに換えることができることを示す。尚、本実施形態において、負荷山積み部1200は、注文を山積みしてスケジュールを作成する際、最初に記載されている設備に山積みするものとする。例えば、「設備C/D」の場合は、設備Cに山積みし、設備Dは、代替設備とする。
【0067】
以下、「注文名1121として「注文A」が設定されているレコードに工程1124として設定されている工程」等を、単に、「「注文A」の工程」等というものとする。
【0068】
<山崩し負荷決定方法>
ここで、負荷山崩し部1500が山崩しの対象である負荷を決定する方法について、図5のスケジュールを用いて説明する。
【0069】
図5は、負荷判定部1300が、6月2日の設備A(矢印10参照)が処理能力を超えていることを検出したスケジュールを示す。このスケジュールの6月2日の設備Aに積まれている負荷について、負荷山崩し部1500が山崩しを行う場合を例に説明する。このスケジュールにおいて、矩形は負荷を表し、矩形内に記載されている「注文A」等は、この負荷が注文情報テーブル1120(図4参照)の「注文A」等の負荷であることを示す。「注文x」は、注文情報テーブル1120の「注文A」〜「注文n」以外の注文の負荷であることを示す。また、ある工程(設備)で処理を開始してから、次の工程(設備)で処理を開始するまでの時間、すなわち、工程間時間は1日とする。図6〜図8においても、同様である。以下、「注文A」の負荷を負荷「注文A」、「注文B」の負荷を負荷「注文B」等というものとする。
【0070】
また、矩形1つが負荷5トンを示すものとする。従って、注文情報テーブル1120(図4)で示すように、説明の便宜上実施形態では、各注文の注文量は5トンであるので、各注文が1矩形として表されている。
【0071】
負荷山崩し部1500は、6月2日の設備A(矢印10参照)に積まれている負荷、すなわち、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷(以下、これらを「山崩し候補の負荷」という。)から、設備Aの処理能力を超えた分の負荷を、山崩し対象の負荷として選択する。ここでは、1つの負荷を山崩し対象と決定する。
【0072】
負荷山崩し部1500は、山崩し候補の負荷(製品)それぞれの次工程仕掛指標を求め、その次工程仕掛指標が最も大きい負荷を山崩しの対象として決定する。山崩しの対象の負荷を複数決定する場合は、次工程仕掛指標が大きい方から必要な個数の負荷を決定する。この次工程仕掛指標とは、山崩し候補の負荷(製品)それぞれの、設備Aの次の設備の仕掛状況、言い換えれば、空き具合を示す指標である。実施形態では、指標の値が大きいほど空きが少ないことを示す。
【0073】
<次工程仕掛指標算出方法>
以下、次工程仕掛指標の求め方を説明する。
【0074】
まず、山崩し候補の負荷(製品)それぞれについて、次の工程の負荷率を求める。そして、求めた負荷率から、次工程の仕掛状況を規格化して次工程仕掛指標を求める。
【0075】
実施形態では、次工程仕掛指標は、「0」、「1」、「2」のいずれかで表される。「0」は、設備に余裕があることを示し、「1」は、設備に適度に負荷が積まれていることを示し、「2」は、設備の処理能力を完全に超えるほどの負荷が積まれていることを示す。すなわち、「2」が最も余裕が無いことを示す。尚、負荷率以外の他の基準も同じように規格化することで、さまざまな基準を相互に比較して山崩し対象の負荷を決定することが可能となる。
【0076】
また、実施形態では、設備の余裕の判断基準は、設備の処理内容によって異なることから、設備ごとに、規格化の基準値、MIN及びMAXを設ける。負荷率が基準値MINより小さい場合は、次工程仕掛指標を「0」とし、負荷率が基準値MIN以上で基準値MAXより小さい場合は、次工程仕掛指標を「1」とし、負荷率が基準値MAX以上の場合は、次工程仕掛指標を「2」とする。
【0077】
基準値MIN及びMAXは、日を単位として指定する。設備情報テーブル1110(図3参照)には各設備の1日の処理能力が設定されているが、現実には、設備ごとに処理能力には幅がある。また、設備によっては、稼働する為の最低量や最適量が決められていたり、最大限に稼働しても処理できない限界量があったりと、設備の空き具合を負荷率によって一律には決められないことが多い。そこで、基準値を設備ごとに設けることとしている。基準値MINは、仕掛がこれ以下になってほしくないという思いを示す値であり、基準値MAXは、仕掛がこれ以上になってほしくないという思いを示す値である。例えば、ネック設備では、なるべく多くの量を処理して製品が滞るのを避けるために、基準値MINを大きめに設定する。また、処理能力の幅が大きく余裕がある設備では、基準値MINを小さめに設定する等である。
【0078】
具体例として、図5の初期スケジュールにおける、6月2日の設備A(矢印10参照)に積まれている負荷、すなわち、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷それぞれの次工程仕掛指標を求める。
【0079】
まず、負荷「注文A」の次工程の負荷率を求める。
【0080】
注文情報テーブル1120の「注文A」の工程は「→設備A→設備B→」となっているので、設備Aの次の工程は設備Bであり、次工程である設備Bでは6月3日に処理される予定で負荷「注文A」が積まれている。従って、設備Bにおける6月2日から6月3日までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求める。
【0081】
ここで、上述の設備Bにおける仕掛を求める6月2日から6月3日までの期間、すなわち、次工程の負荷率の算出対象となる期間について説明する。図10は、次工程の負荷率の算出対象となる期間を説明するための図である。
【0082】
図10では、説明の便宜上、6月2日の設備Aに積まれている負荷「注文A」(矢印91参照)は、次工程の設備Bでは6月4日に処理される予定であるとする(矢印92参照)。この場合、設備Bでの処理予定日の6月4日に積まれている負荷は低く、余裕がある。しかし、実施形態における山崩しは、設備単位で、過去方向から将来方向に向けて、山崩しを行っていく。従って、工程Aの次工程である工程Bの6月2日及び3日の負荷が、山崩しされて6月4日に積まれる可能性がある。そこで、山崩ししようとしている負荷が積まれている日(6月2日)から次工程の設備で処理が予定されている日(6月4日)までの期間を、次工程の負荷率の算出対象となる期間とする。すなわち、次工程の負荷が積まれている日の空き状況を、できるだけ正確に予測できるような期間を設定する。尚、正確性はやや劣るとしても、他の期間の負荷率を用いてもよい。例えば、図10において、次工程の設備で処理が予定されている日、6月4日のみの負荷率を算出する等である。
【0083】
本実施形態では、図5において、6月2日の負荷「注文A」(矢印10参照)の次工程の負荷率は、設備Bにおける6月2日から6月3日までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求めるものとする。
【0084】
設備Bにおいて、6月2日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トン(矢印11参照)であり、6月3日の仕掛は矩形が2つ、すなわち、10トン(矢印12参照)である。また、設備Bの処理能力は、設備情報テーブル1110(図3)で示すように20トンである。従って、負荷「注文A」の次工程の負荷率は、以下の式で求められる。
負荷率=(20+10)÷(20+20)=0.75
次に、負荷「注文B」の次工程の負荷率を求める。
【0085】
注文情報テーブル1120の「注文B」の工程は「→設備A→設備B→」となっているので、設備Aの次の工程は設備Bであり、次工程である設備Bでは6月3日に処理される予定で負荷「注文B」が積まれている。従って、負荷「注文A」と同様に、設備Bにおける6月2日から6月3日までの仕掛を求め、負荷率は「0.75」となる。
【0086】
また、「注文c」、「注文d」及び「注文e」の工程は共に「→設備A→設備C→」となっているので、設備Aの次の工程は設備Cである。そして、これら3つの注文は、次工程である設備Cでは6月3日に処理される予定となっている。従って、負荷「注文c」、「注文d」及び「注文e」の次工程の負荷率は、設備Cにおける6月2日から6月3日までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求めることになる。
【0087】
設備Cにおいて、6月2日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トン(矢印13参照)であり、6月3日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トン(矢印14参照)である。また、設備Cの処理能力は、設備情報テーブル1110で示すように15トンである。従って、負荷率は、以下の式で求められる。
負荷率=(20+20)÷(15+15)=1.33
次に、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷それぞれの負荷率から、それぞれの次工程仕掛指標を求める。ここで、設備Bの基準値MIX=1、MAX=2、設備Cの基準値MIX=1、MAX=2とする。負荷「注文A」及び負荷「注文B」の設備Bでの負荷率(0.75)は、設備Bの基準値MIN(1)より小さいので、負荷「注文A」及び負荷「注文B」の次工程仕掛指標は「0」となる。また、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の設備Cでの負荷率(1.33)は、設備Cの基準値MIN(1)以上であり、設備Cの基準値MAX(2)より小さいので、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の次工程仕掛指標は「1」となる。
【0088】
従って、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷の次工程仕掛指標は、それぞれ「0」、「0」、「1」、「1」及び「1」となる。
【0089】
そこで、負荷山崩し部1500は、山崩し候補の負荷(製品)から、次工程仕掛指標が最も大きい負荷を山崩しの対象として決定する。従って、この場合は、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」のうちのいずれかを山崩しの対象として選択する。
【0090】
ここで、山崩しの対象が複数選択された場合は、納期までに最も余裕がある注文を選択して山崩しの対象とする。この選択方法は、以下の<余裕期間算出方法>の項で説明する。
【0091】
次に、次工程の候補が複数ある場合の負荷率を求める方法を説明する。注文情報テーブル1120の「注文i」の工程は「→設備A→設備C/D→」となっているので、設備Aの次の工程は設備C又はDである。この場合、設備C及び設備D(代替設備)の負荷率を求め、平均値を次工程の負荷率とする。
【0092】
図7は、負荷判定部1300が、6月3日の設備A(矢印30参照)が処理能力を超えていることを検出したスケジュールを示す。
【0093】
6月3日の設備Aに積まれている負荷「注文i」の次工程である設備Cでは、6月4日に処理される予定で負荷「注文i」が積まれている(矢印31参照)。従って、設備Cにおける6月3日から6月4日までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求める。また、代替設備である設備Dにおいても、6月3日から6月4日(矢印32参照)までの仕掛を求め、設備能力に対する割合を求める。
【0094】
設備Cにおいて、6月3日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トンであり、6月4日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トンである。また、設備Cの処理能力は、設備情報テーブル1110(図3)で示すように15トンである。従って、負荷率は、以下の式で求められる。
負荷率=(20+20)÷(15+15)=1.33
設備Dにおいて、6月3日の仕掛は矩形が4つ、すなわち、20トンであり、6月4日の仕掛は矩形が2つ、すなわち、10トンである。また、設備Dの処理能力は、設備情報テーブル1110(図3)で示すように10トンである。従って、負荷率は、以下の式で求められる。
負荷率=(20+10)÷(10+10)=1.5
そして、設備Cの負荷率と設備Dの負荷率との平均値を負荷率とする。
負荷率=(1.33+1.5)÷2=1.415
次に、仕掛指標を求める。ここで、設備Cの基準値は、MIX=1、MAX=2であるので、負荷「注文i」の次工程仕掛指標は、「1」となる。
【0095】
<余裕期間算出方法>
以下、納期までに最も余裕がある注文を判定するための余裕期間を算出する方法を説明する。余裕期間とは、以下の式で求めた期間をいうものとする。
余裕期間=注文の納期−山積みされている時間帯−残りの処理に係る時間
例えば、注文の納期が6月10日であり、山積みされている時間帯、すなわち、山崩しを行おうとしている時間帯が6月2日であり、残りの処理に係る時間が5日である場合、余裕期間は3日ということになる。
【0096】
従って、注文情報テーブル1120(図4参照)によると、「注文c」の納期は「6月12日」であり、「注文d」の納期は「6月11日」であり、「注文e」の納期は「6月13日」である。残りの処理に係る時間がそれぞれ5日であるとすると、「注文c」の余裕期間は「5日」であり、「注文d」の余裕期間は「4日」であり、「注文e」の余裕期間は「6日」である。従って、負荷「注文e」を山崩しの対象と決定する。尚、各注文の「残りの処理に係る期間」は、工程1124として設定されている工程において、山崩しを行おうとしている設備の後に行う工程(設備)に基づいて求める。本実施形態では、山崩しを行おうとしている設備の後の設備の数をカウントし、その数の日数が「残りの処理に係る期間」となる。尚、他の方法で求めた日数を「残りの処理に係る期間」としてもよい。例えば、最後の工程が処理される日を取得して、その日までの日数を「残りの処理に係る期間」としてもよく、納期までの日数を「残りの処理に係る期間」としてもよい。
【0097】
尚、実施形態では、次工程仕掛指標が同じ場合は、余裕期間が最も大きい注文の負荷を山崩しの対象とすることとしているが、他の条件、例えば、注文量を用いて決定することとしてもよい。また、最初に、余裕期間が最も大きい注文の負荷を山崩しの対象として選択し、複数の負荷が選択された場合に、次工程仕掛指標が最も大きい負荷を山崩しの対象と決定することとしてもよい。
【0098】
<動作>
以下、生産スケジュール作成装置1000の動作について、図9、及び、図5〜図8を用いて説明する。
【0099】
図9は、生産スケジュール作成装置1000の生産スケジュール作成処理のフローチャートである。
【0100】
まず、ユーザは、スケジュールを作成するために必要な情報を、入力部1002を介してマスタ記憶部1100に作成する。具体的には、設備情報テーブル1110(図3参照)、及び、注文情報テーブル1120(図4参照)を作成し、マスタ記憶部1100に記憶させる。また、その他スケジューリングに必要な情報を必要に応じて作成し、マスタ記憶部1100に記憶させる。
【0101】
次に、ユーザは、入力部1002を介してスケジュールの作成を指示するコマンドを入力する。
【0102】
生産スケジュール作成制御部1001は、スケジュールの作成を指示するコマンドが入力された旨の通知を受けると、負荷山積み部1200に生産スケジュールの作成を指示する。
【0103】
指示を受けた負荷山積み部1200は、設備情報テーブル1110、注文情報テーブル1120、及び、負荷山積み処理を行って生産スケジュールを作成するのに必要な各種情報をマスタ記憶部1100から読み出す(ステップS10)。
【0104】
注文情報テーブル1120等を読み出した負荷山積み部1200は、注文情報テーブル1120を基に生産スケジュールを作成する(ステップS11)。具体的には、注文情報テーブル1120からレコードを読み出し、納期1123として設定されている期日を基準に、その期日から時間の流れを遡るように、工程1124として設定されている設備における作業日を決める。そして、決めた作業日の設備に対して、注文量1122として設定されている量に応じた負荷を積み上げる。その負荷には、注文名1121として設定されている注文の名称を対応付ける。負荷山積み部1200が作成した初期スケジュール(図5参照)に示すように、この積み上げた負荷は矩形で表され、注文の名称は矩形の中に記載されている。負荷山積み部1200は、上記処理を、注文情報テーブル1120に登録されている全レコードについて行う。
【0105】
初期スケジュールを作成した負荷山積み部1200は、作成した初期スケジュールを負荷判定部1300に渡し、負荷の判定を依頼する。
【0106】
依頼を受けた負荷判定部1300は、渡された初期スケジュールから負荷が処理能力を超えている設備を検出する(ステップS12)。具体的には、渡された初期スケジュールの最初の日から時間の流れに沿って順に、各設備に積まれた負荷が、その設備の処理能力を超えていないか判断していく。具体的には、設備情報テーブル1110を参照し、設備名1111として設定されている名称が示す設備に積まれた負荷が、処理能力1112として設定されている処理能力を超えているか否かを判断する。例えば、図5に示す初期スケジュールにおいて、6月2日の設備Aには、5つの矩形が積まれており、計25トンの負荷となる(図5の矢印10参照)。設備Aの処理能力は、設備名1111として「設備A」が設定されているレコードの、処理能力1112として設定されている値は「20」トンであるので、負荷判定部1300は、負荷を超えていると判断する。
【0107】
負荷が処理能力を超えている設備を検出せずに(ステップS13:NO)、生産スケジュールの最後の日まで検索を行った場合(ステップS20:YES)、負荷判定部1300は、この初期スケジュールを最終生産スケジュールとして、入力部1002に出力して処理を終了する。
【0108】
一方、負荷が処理能力を超えている設備を検出すると(ステップS13:YES)、負荷判定部1300は、該当する設備を検出した初期スケジュールを山崩し処理結果記憶部1600に記憶させ、また、該当する設備を検出した日とその設備の名称とを負荷山崩し部1500に渡し、山崩しを依頼する。例えば、検出した日として「6月2日」、設備の名称として「設備A」を渡す(図5の矢印10参照)。
【0109】
依頼を受けた負荷山崩し部1500は、山崩し処理結果記憶部1600から最新のスケジュール、ここでは初期スケジュールを読み出し、負荷判定部1300から渡された日に、渡された設備の名称が示す設備に積まれた負荷(山崩し候補の負荷)の山崩しを行う。
【0110】
具体的には、負荷山崩し部1500は、負荷判定部1300から渡された日及び設備の名称と、山崩し候補の負荷の1つの注文名とを、次工程仕掛指標算出部1400に渡して、次工程仕掛指標を算出するよう依頼する。例えば、日として「6月2日」、設備の名称として「設備A」、注文名として「注文A」を渡す。
【0111】
依頼を受けた次工程仕掛指標算出部1400は、負荷「注文A」の次工程の仕掛指標を算出する(ステップS14)。上記<次工程仕掛指標算出方法>で説明したように、仕掛指標を算出する。
【0112】
負荷山崩し部1500は、山崩し候補の負荷について順番に、次工程仕掛指標算出部1400に次工程仕掛指標の算出を依頼する(ステップS15:NO)。負荷山崩し部1500は、山崩し候補の負荷すべてについて次工程仕掛指標を取得すると(ステップS15:YES)、取得した次工程仕掛指標のうち最も大きい指標である負荷を選択する(ステップS16)。
【0113】
例えば、図5に示す生産スケジュールにおいて、6月2日の設備Aの5つの負荷、すなわち、負荷「注文A」、負荷「注文B」、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の5つの負荷の次工程仕掛指標が、それぞれ「0」、「0」、「1」、「1」及び「1」である場合、負荷山崩し部1500は、負荷「注文c」、負荷「注文d」及び負荷「注文e」の3つの負荷を選択する。
【0114】
ステップS16で選択した負荷が1つである場合(ステップS17:NO)、負荷山崩し部1500は、その負荷を山崩し対象の負荷と決定する。
【0115】
一方、ステップS16で選択した負荷が複数である場合(ステップS17:YES)、負荷山崩し部1500は、これら負荷の注文名を余裕期間算出部1700に渡して、余裕期間を算出を依頼する。依頼を受けた余裕期間算出部1700は、<余裕期間算出方法>の項で説明したようにそれぞれの注文の余裕期間を算出する。具体的には、負荷の注文名が注文名1121として設定されているレコードの、納期1123として設定されている期日と残りの工程とから余裕期間を算出する。
【0116】
負荷山崩し部1500から渡されたすべての負荷について余裕期間を算出した余裕期間算出部1700は、算出した余裕期間を負荷山崩し部1500に渡す。
【0117】
算出された余裕期間を渡された負荷山崩し部1500は、余裕期間が最も長い(余裕が最も大きい)負荷(製品)を、山崩し対象の負荷と決定する(ステップS18)。
【0118】
例えば、「注文c」の余裕期間が「5日」であり、「注文d」の余裕期間が「4日」であり、「注文e」の余裕期間が「6日」である場合、負荷「注文e」を山崩しの対象の負荷と決定する。仮に、余裕期間を用いても山崩し対象が決定できない場合は、予め決めておいた所定の法則、例えば、注文情報テーブル1120に登録されているレコード番号が最も小さい注文の負荷を山崩しの対象の負荷と決定する。
【0119】
山崩しの対象の負荷を決定した負荷山崩し部1500は、その負荷を崩して仮スケジュールを作成し、山崩し処理結果記憶部1600に記憶させる(ステップS19)。
【0120】
図6に仮スケジュールを示す。この仮スケジュールは、図5に示す生産スケジュールにおける6月2日の設備Aの負荷「注文e」を崩して作成した仮スケジュールである。負荷「注文e」が、6月2日から次の日の6月3日に移動している(矢印20参照)。そして、その移動に伴い、次工程の設備Cにおいて、負荷「注文e」が、6月3日から次の日の6月4日に移動している(矢印21参照)。
【0121】
負荷判定部1300から依頼された山崩し処理を終えた負荷山崩し部1500は、その旨を負荷判定部1300に通知する。通知を受けた負荷判定部1300は、山崩し処理結果記憶部1600から仮スケジュールを読み出し、生産スケジュールの最後の日まで設備の負荷判定をしていないので(ステップS20:NO)、読み出した仮スケジュールから、負荷が処理能力を超えている設備を検出する(ステップS12)。この際、前回検出した設備の次の設備から負荷の判断を開始する。
【0122】
図6に示す仮スケジュールにおいては、6月2日の設備C(矢印22参照)が検出され、ステップS13〜ステップS20の処理が行われる。その結果の仮スケジュールを図7に示す。6月3日の設備Cに、負荷「注文x」が積まれている。
【0123】
そして、負荷判定部1300によって負荷判断がなされる(ステップS20:NO、ステップS12)。負荷判定部1300は、6月3日の設備Aを検出し(ステップS13:YES、図7の矢印30参照)、負荷山崩し部1500に山崩し処理を依頼する。
【0124】
依頼を受けた負荷山崩し部1500は、負荷「注文i」〜負荷「注文e」までの6つの負荷の次工程仕掛指標を算出する(ステップS14、ステップS15:YES)。
【0125】
具体的には、負荷「注文i」の負荷率は、次工程は設備C又は設備Dであるので、上記<次工程仕掛指標算出方法>で示すように1.415である。負荷「注文h」及び負荷「注文e」の次工程は設備Cである。6月3日の仕掛が20トン、6月4日の仕掛が20トンであり、設備Cの処理能力は、設備情報テーブル1110(図3)で示すように15トンであるので、負荷率は、(20+20)÷(15+15)=1.33となる。また、負荷「注文G」及び負荷「注文F」の次工程は設備Bである。6月3日の仕掛が10トン、6月4日の仕掛が10トンであり、設備Bの処理能力は、20トンであるので、負荷率は、(10+10)÷(20+20)=0.5となる。従って、負荷「注文i」、負荷「注文h」、負荷「注文e」、負荷「注文G」及び負荷「注文F」の次工程仕掛指標は、それぞれ「1」、「1」、「1」、「0」及び「0」である。
【0126】
次工程仕掛指標が最大、ここでは、「1」である負荷は、負荷「注文i」、負荷「注文h」、負荷「注文e」となる(ステップS16、ステップS17:YES)。そして、それぞれの注文の余裕期間を余裕期間算出部1700に依頼して求め、「注文h」の余裕期間が最も大きい場合、負荷山崩し部1500は、負荷「注文h」を山崩しの対象の負荷と決定する(ステップS18)。
【0127】
山崩しの対象の負荷を決定した負荷山崩し部1500は、その負荷を山崩しして仮スケジュールを作成し、山崩し処理結果記憶部1600に記憶させる(ステップS19)。
【0128】
図8に仮スケジュールを示す。この仮スケジュールは、図7に示す仮スケジュールにおける6月3日の設備Aの負荷「注文h」を崩して作成した仮スケジュールである。負荷「注文h」が、6月3日から次の日の6月4日に移動している(矢印40参照)。そして、その移動に伴い、次工程の設備Cにおいて、負荷「注文h」が、6月4日から次の日の6月5日に移動している(矢印41参照)。
【0129】
このように、負荷判定部1300が仮スケジュールの最後の日まで設備の負荷判定を行い、ステップS13〜ステップS20の処理を繰り返し行う。仮スケジュールの最後の日まで負荷判定を行ったら(ステップS20:YES)、負荷判定部1300はその仮スケジュールを最終生産スケジュールとして入力部1002に出力して、処理を終了する。
【0130】
このように山崩しの対象を決定することで、設備の過剰仕掛、及び、設備の材料切れによる停止を防ぐことが可能となり、工場全体の生産性を向上させるスケジュールを作成することが可能となる。
【0131】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0132】
1000 生産スケジュール作成装置
1001 生産スケジュール作成制御部
1002 入力部
1003 出力部
1100 マスタ記憶部
1200 負荷山積み部
1300 負荷判定部
1400 次工程仕掛指標算出部
1500 負荷山崩し部
1600 山崩し処理結果記憶部
1110 設備情報テーブル
1120 注文情報テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数工程によって生産する複数の製品を、各製品を各納期までに生産するスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、
各製品の各工程を所定時間単位で各設備に対応付けて、各製品の注文に応じた負荷を、各製品の各工程で用いる設備に割り当てる山積手段と、
各工程で用いる設備それぞれの前記所定時間当たりの処理量を記憶する設備能力記憶手段と、
前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備の所定時間である次工程設備時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する次工程仕掛指標算出手段と、
ある設備のある所定時間に山積手段によって割り当てられた負荷が、前記設備能力記憶手段に記憶されている当該ある設備の処理量を超える場合に、当該ある設備の当該ある所定時間に対応付けられている工程の製品ごとに、前記次工程仕掛指標算出手段にそれぞれの仕掛指数を算出させ、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する製品決定手段と
を備えることを特徴とする生産スケジュール作成装置。
【請求項2】
前記製品決定手段は、前記ある設備の前記ある所定時間に対応付けられている工程の製品が、当該製品の次工程で用いる設備を他の設備に換えることができる場合には、前記次工程仕掛指標算出手段に当該製品の仕掛指数を算出させ、更に、当該製品の次工程が当該他の設備に割り当てられたとした場合の仕掛指標を前記工程仕掛指標算出手段に算出させ、算出されたそれぞれの仕掛指標に基づいて求めた指標を当該製品の仕掛指標とする
ことを特徴とする請求項1に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項3】
前記生産スケジュール作成装置は、更に、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品の納期に基づいて、当該1製品の日程的な余裕の状況を示す余裕期間を算出する余裕期間算出手段を備え、
前記製品決定手段は、前記ある設備の前記ある所定時間に対応付けられている工程の製品のうち、最も余裕がないことを示す仕掛指標の製品が複数ある場合には、当該複数の製品それぞれの余裕期間を前記余裕期間算出手段に算出させ、算出された余裕期間が最も長い製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項4】
前記生産スケジュール作成装置は、更に、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品の納期に基づいて、当該1製品の日程的な余裕の状況を示す余裕期間を算出する余裕期間算出手段を備え、
前記製品決定手段は、ある設備のある所定時間に対応付けられている工程の製品それぞれの余裕期間を前記余裕期間算出手段に算出させ、算出された余裕時間が最も長い製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定し、最も余裕期間が長い製品が複数ある場合には、当該複数の製品それぞれの仕掛指数を前記次工程仕掛指標算出手段に算出させ、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項5】
前記次工程仕掛指標算出手段は、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備において、当該1所定時間から、当該次工程が対応付けられている所定時間である次工程設備時間までの各所定時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項6】
複数工程によって生産する複数の製品を、各製品を各納期までに生産するスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、各工程で用いる設備それぞれの所定時間当たりの処理量を記憶する設備能力記憶手段を備える生産スケジュール作成装置で用いられる生産スケジュール作成方法であって、
各製品の各工程を所定時間単位で各設備に対応付けて、各製品の注文に応じた負荷を、各製品の各工程で用いる設備に割り当てる山積ステップと、
前記山積ステップによって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備の所定時間である次工程設備時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する次工程仕掛指標算出ステップと、
ある設備のある所定時間に山積ステップによって割り当てられた負荷が、前記設備能力記憶手段に記憶されている当該ある設備の処理量を超える場合に、当該ある設備の当該ある所定時間に対応付けられている工程の製品ごとに、前記次工程仕掛指標算出ステップでそれぞれの仕掛指数を算出し、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する製品決定ステップと
を備えることを特徴とする生産スケジュール作成方法。
【請求項1】
複数工程によって生産する複数の製品を、各製品を各納期までに生産するスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、
各製品の各工程を所定時間単位で各設備に対応付けて、各製品の注文に応じた負荷を、各製品の各工程で用いる設備に割り当てる山積手段と、
各工程で用いる設備それぞれの前記所定時間当たりの処理量を記憶する設備能力記憶手段と、
前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備の所定時間である次工程設備時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する次工程仕掛指標算出手段と、
ある設備のある所定時間に山積手段によって割り当てられた負荷が、前記設備能力記憶手段に記憶されている当該ある設備の処理量を超える場合に、当該ある設備の当該ある所定時間に対応付けられている工程の製品ごとに、前記次工程仕掛指標算出手段にそれぞれの仕掛指数を算出させ、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する製品決定手段と
を備えることを特徴とする生産スケジュール作成装置。
【請求項2】
前記製品決定手段は、前記ある設備の前記ある所定時間に対応付けられている工程の製品が、当該製品の次工程で用いる設備を他の設備に換えることができる場合には、前記次工程仕掛指標算出手段に当該製品の仕掛指数を算出させ、更に、当該製品の次工程が当該他の設備に割り当てられたとした場合の仕掛指標を前記工程仕掛指標算出手段に算出させ、算出されたそれぞれの仕掛指標に基づいて求めた指標を当該製品の仕掛指標とする
ことを特徴とする請求項1に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項3】
前記生産スケジュール作成装置は、更に、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品の納期に基づいて、当該1製品の日程的な余裕の状況を示す余裕期間を算出する余裕期間算出手段を備え、
前記製品決定手段は、前記ある設備の前記ある所定時間に対応付けられている工程の製品のうち、最も余裕がないことを示す仕掛指標の製品が複数ある場合には、当該複数の製品それぞれの余裕期間を前記余裕期間算出手段に算出させ、算出された余裕期間が最も長い製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項4】
前記生産スケジュール作成装置は、更に、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品の納期に基づいて、当該1製品の日程的な余裕の状況を示す余裕期間を算出する余裕期間算出手段を備え、
前記製品決定手段は、ある設備のある所定時間に対応付けられている工程の製品それぞれの余裕期間を前記余裕期間算出手段に算出させ、算出された余裕時間が最も長い製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定し、最も余裕期間が長い製品が複数ある場合には、当該複数の製品それぞれの仕掛指数を前記次工程仕掛指標算出手段に算出させ、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項5】
前記次工程仕掛指標算出手段は、前記山積手段によって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備において、当該1所定時間から、当該次工程が対応付けられている所定時間である次工程設備時間までの各所定時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の生産スケジュール作成装置。
【請求項6】
複数工程によって生産する複数の製品を、各製品を各納期までに生産するスケジュールを作成する生産スケジュール作成装置であって、各工程で用いる設備それぞれの所定時間当たりの処理量を記憶する設備能力記憶手段を備える生産スケジュール作成装置で用いられる生産スケジュール作成方法であって、
各製品の各工程を所定時間単位で各設備に対応付けて、各製品の注文に応じた負荷を、各製品の各工程で用いる設備に割り当てる山積ステップと、
前記山積ステップによって1設備の1所定時間に対応付けられた工程の1製品について、当該1製品を生産する複数工程のうちの当該1工程の次の工程である次工程が対応付けられた設備の所定時間である次工程設備時間に割り当てられている次工程製品と、当該次工程で用いる設備の処理量とに基づいて、当該次工程設備時間における処理能力の余裕状況を示す仕掛指標を算出する次工程仕掛指標算出ステップと、
ある設備のある所定時間に山積ステップによって割り当てられた負荷が、前記設備能力記憶手段に記憶されている当該ある設備の処理量を超える場合に、当該ある設備の当該ある所定時間に対応付けられている工程の製品ごとに、前記次工程仕掛指標算出ステップでそれぞれの仕掛指数を算出し、算出された仕掛指標が最も余裕がないことを示す製品を、当該ある設備の当該ある所定時間から移動させる山崩製品と決定する製品決定ステップと
を備えることを特徴とする生産スケジュール作成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
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【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−61758(P2013−61758A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199085(P2011−199085)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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