説明

生産ライン管理方法、生産ライン管理システムおよび生産ライン管理プログラム

【課題】生産性および品質を向上させる。
【解決手段】難易度算出部620が、各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報303、および前後の工程での作業内容を示す状態情報304から被処理物の処理の難易度を算出すると共に、難易度情報305を記憶する。比較部640が、難易度情報305および熟練度情報307から、配置情報308にかかる各設備への操業者の配置で且つ処理順情報309にかかる処理順序で被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の難易度とを比較する。決定部650が、被処理物の難易度に比べて操業者の熟練度が不足した要指導設備を決定する。さらに、変更部660が、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなるように、処理順情報309を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物に対して同種の処理を並行して行う複数の設備を有する生産ラインにおける生産ライン管理方法、生産ライン管理システムおよび生産ライン管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被処理物に対して同種の処理を並行して行う複数の設備を有する生産ラインにおいては、各設備で操業を行う操業者に対して、経験値が比較的高い熟練者が監督者として1人ずつ付き、操業者の熟練度に対して処理の難易度が高い被処理物を処理する場合には、監督者が操業者を指導する。これにより、処理時間を短縮して生産性を向上させると共に、品質の低下を防いでいる。
【0003】
しかしながら、近年、団塊の世代が大量に定年を迎えたことで、監督者となり得る熟練者の数が少なくなっている。したがって、上述のような生産ラインにおいて、1人の監督者が複数の設備で操業を行う操業者の指導を行うことが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−159039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、1人の監督者が複数の設備で操業を行う操業者の指導を行う場合に、指導を行う必要がある設備が同時に多数ある場合には、監督者が十分に指導できなくなる。その結果、生産性や品質が低下するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、生産性および品質を向上させることができる生産ライン管理方法、生産ライン管理システムおよび生産ライン管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる生産ライン管理方法は、被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理方法である。そして、前記各設備で操業を行う操業者の配置を配置記憶部に登録する配置記録ステップと、前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を処理順記憶部に登録する処理順記録ステップと、前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を対象情報記憶部に登録する対象情報記録ステップと、前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を状態情報記憶部に登録する状態情報記録ステップと、前記対象情報記録ステップで登録された前記対象情報および前記状態情報記録ステップで登録された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に登録する難易度算出ステップと、前記各設備で操業する操業者の熟練度を熟練度記憶部に記録する熟練度記録ステップと、前記難易度算出ステップで算出された難易度および前記熟練度記録ステップで記録された熟練度に基づいて、前記配置記録ステップで記録された操業者の配置で、前記処理順記録ステップで記録された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定ステップと、前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記処理順記録ステップで前記処理順記憶部に記録された処理順を変更する変更ステップとを備えている。
【0008】
また、本発明にかかる生産ライン管理システムは、被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理システムである。前記各設備で操業を行う操業者の配置を記憶する配置記憶部と、前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を記憶する処理順記憶部と、前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を記憶するする対象情報記憶部と、前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を記憶する状態情報記憶部と、前記対象情報記憶部に記憶された前記対象情報および前記状態情報記憶部に記憶された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に記憶する難易度算出部と、前記各設備で操業する操業者の熟練度を記憶する熟練度記憶部と、前記難易度算出部で算出された難易度および前記熟練度記憶部に記憶された熟練度に基づいて、前記配置記憶部に記憶された操業者の配置で、且つ前記処理順記憶部に記憶された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較部と、前記比較部での比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定部と、前記決定部で同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記処理順記憶部に記憶された処理順を変更する変更部とを備えている。
【0009】
さらに、本発明にかかる生産ライン管理プログラムは、被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理プログラムである。そして、前記各設備で操業を行う操業者の配置を配置記憶部に登録する配置記録ステップと、前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を処理順記憶部に登録する処理順記録ステップと、前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を対象情報記憶部に登録する対象情報記録ステップと、前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を状態情報記憶部に登録する状態情報記録ステップと、前記対象情報記録ステップで登録された前記対象情報および前記状態情報記録ステップで登録された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に登録する難易度算出ステップと、前記各設備で操業する操業者の熟練度を熟練度記憶部に記録する熟練度記録ステップと、前記難易度算出ステップで算出された難易度および前記熟練度記録ステップで記録された熟練度に基づいて、前記配置記録ステップで記録された操業者の配置で、前記処理順記録ステップで記録された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定ステップと、前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記処理順記録ステップで前記処理順記憶部に記録された処理順を変更する変更ステップとをコンピュータに実行させる。
【0010】
なお、「処理」とは、被処理物を最終製品に製造していく過程で行われる製造行為の総称であり、例えば、被処理物に対して成分調整等の加工を施すことを意味する。
【0011】
これらの構成によると、被処理物に対して行われる作業内容に加えて、前後の工程での作業内容および操業者の熟練度を考慮して、監督者による指導の必要性を判断し、それに基づいて同時に指導が必要となる設備の数が少なくなるように、被処理物の処理順を決定することができる。よって、監督者の指導が不十分となることに起因する生産性や品質の低下を抑制することができる。
【0012】
本発明にかかる生産ライン管理方法では、監督者の人数を監督者数記録部に登録する監督者数記憶ステップをさらに備えており、前記変更ステップにおいて、前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が、前記監督者数記憶ステップで記憶された監督者の人数を超えないように、前記処理順記憶ステップで前記処理順記憶部に記憶された処理順を変更してもよい。
【0013】
この構成によると、1人の監督者が同時に複数の設備で指導を行うという事態を防止することができる。よって、確実に生産性や品質の低下を抑制することができる。
【0014】
本発明にかかる生産ライン管理方法では、前記各設備において処理を開始するための準備作業に必要な段取り時間を段取り時間記憶部に登録する段取り時間記憶ステップと、前記各被処理物の処理開始予定時刻を開始予定時刻記憶部に登録する開始予定時刻記憶ステップとをさらに備えており、前記変更ステップにおいて、前記開始予定時刻記憶ステップで記憶された処理開始予定時刻のうち最も早い時刻から、前記段取り時間記憶ステップで記憶された段取り時間を遡った時刻よりも前に、処理順の変更を行うことが好ましい。
【0015】
この構成によると、処理順記憶部に記憶されている処理順を変更することになっても、各設備において処理を開始するための準備を行う段取り時間を確実に確保することができる。
【0016】
また、別の観点によると、本発明にかかる生産ライン管理方法は、被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理方法である。そして、前記各設備で操業を行う操業者の配置を配置記憶部に登録する配置記録ステップと、前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を処理順記憶部に登録する処理順記録ステップと、前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を対象情報記憶部に登録する対象情報記録ステップと、前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を状態情報記憶部に登録する状態情報記録ステップと、前記対象情報記録ステップで登録された前記対象情報および前記状態情報記録ステップで登録された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に登録する難易度算出ステップと、前記各設備で操業する操業者の熟練度を熟練度記憶部に記録する熟練度記録ステップと、前記難易度算出ステップで算出された難易度および前記熟練度記録ステップで記録された熟練度に基づいて、前記配置記録ステップで記録された操業者の配置で、前記処理順記録ステップで記録された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定ステップと、前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記配置記録ステップで前記配置記憶部に記録された操業者の配置を変更する変更ステップとを備えている。
【0017】
さらに、本発明にかかる生産ライン管理システムは、被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理システムである。そして、前記各設備で操業を行う操業者の配置を記憶する配置記憶部と、前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を記憶する処理順記憶部と、前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を記憶する対象情報記憶部と、前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を記憶する状態情報記憶部と、前記対象情報記憶部に記憶された前記対象情報および前記状態情報記憶部に記憶された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に記憶する難易度算出部と、前記各設備で操業する操業者の熟練度を記憶する熟練度記憶部と、前記難易度算出部で算出された難易度および前記熟練度記憶部に記憶された熟練度に基づいて、前記配置記憶部に記憶された操業者の配置で、且つ前記処理順記憶部に記憶された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較部と、前記比較部での比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定部と、前記決定部で同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記配置記憶部に記憶された操業者の配置を変更する変更部とを備えている。
【0018】
加えて、本発明にかかる生産ライン管理プログラムは、被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理プログラムである。そして、前記各設備で操業を行う操業者の配置を配置記憶部に登録する配置記録ステップと、前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を処理順記憶部に登録する処理順記録ステップと、前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を対象情報記憶部に登録する対象情報記録ステップと、前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を状態情報記憶部に登録する状態情報記録ステップと、前記対象情報記録ステップで登録された前記対象情報および前記状態情報記録ステップで登録された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に登録する難易度算出ステップと、前記各設備で操業する操業者の熟練度を熟練度記憶部に記録する熟練度記録ステップと、前記難易度算出ステップで算出された難易度および前記熟練度記録ステップで記録された熟練度に基づいて、前記配置記録ステップで記録された操業者の配置で、前記処理順記録ステップで記録された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定ステップと、前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記配置記録ステップで前記配置記憶部に記録された操業者の配置を変更する変更ステップとをコンピュータに実行させる。
【0019】
なお、「処理」とは、被処理物を最終製品に製造していく過程で行われる製造行為の総称であり、例えば、被処理物に対して成分調整等の加工を施すことを意味する。
【0020】
これらの構成によると、被処理物に対して行われる作業内容に加えて、前後の工程での作業内容および操業者の熟練度を考慮して、監督者による指導の必要性を判断し、それに基づいて同時に指導が必要となる設備の数が少なくなるように、操業者の配置を決定することができる。よって、監督者の指導が不十分となることに起因する生産性や品質の低下を抑制することができる。
【0021】
本発明にかかる生産ライン管理方法では、監督者の人数を監督者数記憶部に登録する監督者数記憶ステップをさらに備えており、前記変更ステップにおいて、前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が、前記監督者数記憶ステップで記憶された監督者の人数を超えないように、前記配置記憶ステップで前記配置記憶部に記憶された操業者の配置を変更してもよい。
【0022】
この構成によると、1人の監督者が同時に複数の設備で指導を行うという事態を防止することができる。よって、確実に生産性や品質の低下を抑制することができる。
【0023】
本発明にかかる生産ライン管理方法では、各操業者について、過去の被処理物に対する操業実績およびその被処理物の処理の難易度を操業者情報記憶部に登録する操業者情報記憶ステップと、前記操業者情報記憶ステップで記憶された内容から、各操業者の熟練度を算出する熟練度算出ステップとを備えており、前記熟練度記憶ステップにおいて、前記熟練度算出ステップで算出された結果を前記熟練度記憶部に記憶してもよい。
【0024】
この構成によると、各操業者の熟練度が与えられていない場合であっても、過去の操業実績から熟練度を算出することができる。
【0025】
本発明にかかる生産ライン管理方法では、入力デバイスからの信号に基づいて前記熟練度記憶ステップで前記熟練度記憶部に記憶された熟練度を書き換える熟練度書換ステップをさらに備えていてもよい。
【0026】
この構成によると、監督者が各操業者の熟練度を自ら変更できる。よって、監督者の操業者に対する評価を反映することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の生産ライン管理方法、生産ライン管理システムおよび生産ライン管理プログラムは、被処理物に対して行われる作業内容に加えて、前後の工程での作業内容および操業者の熟練度を考慮して、監督者による指導の必要性を判断し、それに基づいて同時に指導が必要となる設備の数が少なくなるように、被処理物の処理順または操業者の配置を決定することができる。よって、監督者の指導が不十分となることに起因する生産性や品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる生産ライン管理方法および生産ライン管理システムが適用される生産ラインを示す図である。
【図2】図1に示す生産ラインで適用される生産ライン管理システムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】図2に示すハードウェア構成を有する生産ライン管理システムに構築される機能部を示すブロック図である。
【図4】図3に示す開始予定時刻情報の一例を示す図である。
【図5】図3に示す難易度算出部の構成を示す図である。
【図6】図3に示す対象情報の一例を示す図である。
【図7】図3に示す状態情報の一例を示す図である。
【図8】図5に示す成分調整難易度算出部における微調整度の算出方法の一例を示す図である。
【図9】図5に示す成分調整難易度算出部における狭幅度の算出方法の一例を示す図である。
【図10】図5に示す成分調整難易度算出部における付加ポイントの算出方法の一例を示す図である。
【図11】図5に示す温度調整難易度算出部における温度調整難易度の算出方法の一例を示す図
【図12】図5に示す時間調整難易度算出部における時間調整難易度の算出方法の一例を示す図
【図13】図3に示す難易度情報の一例を示す図である。
【図14】図3に示す操業者情報の一例を示す図である。
【図15】図14に示す操業者情報から操業者Aについて成分調整実績をまとめたものの一例を示す図である。
【図16】図15に示すデータから熟練度を算出する手順を示すフローチャートである。
【図17】図3に示す熟練度情報の一例を示す図である。
【図18】図3に示す比較部が配置情報にかかる操業者の配置で且つ処理順情報にかかる処理順序で被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の難易度とを比較した結果を示す図である。
【図19】図18に示す被処理物の処理順序を一部変更したものである。
【図20】図2に示す生産ライン管理システムにおいて各設備における被処理物の処理順序を決定する際の手順を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第2の実施形態にかかる生産ライン管理システムに構築される機能部を示すブロック図である。
【図22】図21に示す生産ライン管理システムにおいて操業者の各設備への配置を決定する際に求められる操業者の配置のすべての組み合わせを示す図である。
【図23】図21に示す生産ライン管理システムにおいて操業者の各設備への配置を決定する際の手順を示すフローチャートである。
【図24】本発明の第1の実施形態の一変形例にかかる生産ライン管理システムに構築される機能部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態にかかる生産ライン管理方法、生産ライン管理システムおよび生産ライン管理プログラムについて説明する。
【0030】
<第1の実施形態>
まず、図1に基づいて、本発明の第1の実施形態にかかる生産ライン管理方法、生産ライン管理システムおよび生産ライン管理プログラムが適用される生産ラインについて説明する。なお、以下に説明するものは、説明するために例示したものにすぎず、本発明にかかる生産ライン管理方法、生産ライン管理システムおよび生産ライン管理プログラムの適用限界を示すものではない。
【0031】
本実施形態の生産ライン管理方法、生産ライン管理システムおよび生産ライン管理プログラムは、図1に示すように、被処理物に対して同種の処理を行う4つの設備(設備1〜設備4)を有する生産ラインに適用される。各設備では、例えば、製鉄の製鋼工程等が並列して行われる。また、各設備においては、経験値が比較的低い非熟練者(以下、「操業者」と称する)が操業を行い、経験値が比較的高い1人の熟練者(以下、「監督者」と称する)が操業者の指導を行う。すなわち、1人の監督者が4人の操業者を指導する。本発明は、このようにN個(N:2以上の自然数)の設備を有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う少なくともN人の操業者の指導をN−1人以下の監督者で行う場合に適用されるものである。
【0032】
本実施形態では、上述のような生産ラインにおいて、同時に監督者の指導が必要となる設備の数が最も少なくなるように、各設備における被処理物の処理順序を決定する。
【0033】
次に、生産ライン管理システム100の具体例について説明する。生産ライン管理システム100は、例えば汎用のパーソナルコンピュータによって構成されている。生産ライン管理システム100のハードウェア構成は、図2に示すように、制御部200、記憶部300、および入力操作部400を含んでいる。本実施形態においては、制御部200は、CPU(中央演算処理装置)210で構成されている。また、記憶部300は、ROM(リードオンリメモリ)310、RAM(ランダムアクセスメモリ)320、外部記憶装置330、記録媒体駆動装置340、および入出力インターフェイス350で構成されている。記録媒体360は、CD−ROM(コンパクトディスクリードオンリメモリ)、DVD−ROM(デジタルバーサティルディスクリードオンリメモリ)、フロッピィディスク、USB(ユニバーサルシリアルバス)メモリカード等からなる。さらに、入力操作部400としては、キーボード410およびマウス420がある。
【0034】
ROM310には、システムプログラムが記憶される。記録媒体360には、生産ラインを管理するための生産ライン管理プログラム、すなわち本実施形態においては各設備における被処理物の処理順序を決定するためのプログラムが記録されている。記録媒体駆動装置340は、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ、フロッピィディスクドライブ、USBメモリーカードドライブ等からなり、記録媒体360から生産ライン管理プログラムを読み込んで、外部記憶装置330に記憶させる。なお、生産ライン管理プログラムを通信回線および入出力インターフェイス350を介してダウンロードし、外部記憶装置330に記憶させてもよい。
【0035】
CPU210は、外部記憶装置330に記憶された生産ライン管理プログラムをRAM320上で実行する。生産ライン管理プログラムが実行されることで、生産ライン管理システム100には、図3に示すように、起動制御部610、難易度算出部620、熟練度算出部630、比較部640、決定部650、および変更部660の各機能部が構築される。
【0036】
起動制御部610は、記憶部300に記憶された段取り時間情報301および開始予定時刻情報302を取得し、それらの情報に基づいて、難易度算出部620、熟練度算出部630、比較部640、決定部650、および変更部660によって行われる各設備における被処理物の処理順序を決定するための処理の起動タイミングを制御する。
【0037】
ここで、段取り時間情報301とは、各設備において処理を開始する前に行っておくべき準備作業に必要な時間の情報であり、例えば、被処理物を最終製品に製造するための型や、巻き取るコイルの交換等に要する段取り時間である。なお、ここでは、段取り時間は一律に30分とする。また、開始予定時刻情報302とは、処理順序の入れ替え対象となる各被処理物の処理を開始する予定の時刻の情報である。ここでは、図4に示すように、各設備において1番目〜3番目に処理される被処理物を処理順序の入れ替え対象とし、1番目の被処理物の処理の開始予定時刻は10:00、2番目の被処理物の処理の開始予定時刻は11:00、3番目の被処理物の処理の開始予定時刻は12:00とする。起動制御部610は、最も早く被処理物の処理が開始される時刻(すなわちここでは10::00)から、段取り時間である30分を遡った時刻である9:30分よりも前に、処理順序が決定されるように制御する。
【0038】
難易度算出部620は、記憶部300に記憶された対象情報303および状態情報304を取得し、それらの情報に基づいて、各被処理物の処理の難易度を算出すると共に、難易度情報305を記憶部300に記憶する。ここで、図5に示すように、難易度算出部620は、成分調整難易度算出部621、温度調整難易度算出部622および時間調整難易度算出部623を含んでいる。
【0039】
ここで、対象情報303とは、各設備で処理される被処理物に対して行われる作業内容を示す情報であり、具体的には、当該工程における製品の主材料および添加材料の投入量または成分割合、被処理物の温度等に関するパラメータである。図6に示すように、本実施形態にかかる対象情報303は、成分1、成分2および被処理物温度の個々の測定値、目標値、上限値および下限値を含んでいる。
【0040】
また、状態情報304とは、各被処理物について、当該工程に対する前の工程(以下、上工程と称する)における作業内容、および当該工程に対する後の工程(以下、下工程と称する)における予定作業内容を示す情報である。図7に示すように、本実施形態にかかる状態情報304は、上工程操業実績(または予定)情報(調整剤Xの投入量および調整剤Yの投入量)と、下工程操業予定情報(前の被処理物との連続処理フラグがONまたはOFF)とを含む。
【0041】
成分調整難易度算出部621は、被処理物に対して処理を行う際における成分1および成分2の割合の調整の難易度を算出する。具体的には、まず、対象情報303における成分1および成分2の測定値、目標値、上限値および下限値から指標K1および指標K2をそれぞれ算出する。指標K1は以下の式により算出される。
(数1)
K1=|目標値−測定値|/|測定値| ・・・(1)
【0042】
上式(数1)で示すように、指標K1は、目標値に対する差を現在の値(測定値)で除算し、無次元化させたものである。指標K1は目標値と測定値の差が測定値と比較して小さい場合、調剤投入における微妙な調整が必要となることを示している。
【0043】
この指標K1に基づいて、微調整度を算出する。図8に示すように、本実施形態にかかる微調整度は、指標K1に基づいて5パターンに区分されており、指標K1が0.1以下の場合には微調整度が5であり、指標K1が0.1よりも大きく0.2以下の場合には微調整度を4と規定し、指標K1が0.2よりも大きく0.4以下の場合には微調整度を3と規定し、指標K1が0.4よりも大きく1.0以下の場合には微調整度を2と規定し、指標K1が1.0よりも大きい場合には微調整度を1と規定している。すなわち、微調整度の値が大きい程、調整が困難であることを示し、微調整度の値が小さい程、調整が容易であることを示している。
【0044】
続いて、指標K2は以下の式により算出される。
(数2)
K2=|上限値−下限値|/|目標値| ・・・(2)
【0045】
上式(数2)で示すように、指標K2は、許容される範囲(上限値−下限値)を目標値で除算し、無次元化させたものである。指標K2は許容される範囲が目標値と比較して小さい場合、狭い範囲に絞り込む必要があることを示す。
【0046】
この指標K2に基づいて、狭幅度を算出する。図9に示すように、本実施形態にかかる狭幅度は、指標K2に基づいて5パターンに区分されており、指標K2が0.05以下の場合には狭幅度が5であり、指標K2が0.05よりも大きく0.10以下の場合には狭幅度を4と規定し、指標K2が0.10よりも大きく0.20以下の場合には狭幅度を3と規定し、指標K2が0.20よりも大きく0.50以下の場合には狭幅度を2と規定し、指標K2が0.50よりも大きい場合には狭幅度を1と規定している。すなわち、狭幅度の値が大きい程、調整が困難であることを示し、狭幅度の値が小さい程、調整が容易であることを示している。
【0047】
なお、本実施形態においては、指標K1および指標K2の2個の指標を用いることとしたが、これに限定されず、指標K2だけを用いてもよく、他の任意の指標を用いてもよい。
【0048】
次に、上述のように算出された4つの難易度(成分1の指標K1に基づくもの、成分2の指標K1に基づくもの、成分1の指標K2に基づくもの、成分2の指標K2に基づくもの)のうちの最大値を、静的な成分調整難易度とする。すなわち、本実施形態においては、静的な成分調整難易度=MAX(1,3,2,4)=4である。
【0049】
続いて、状態情報304から上述の静的な成分調整難易度に対して付加ポイントを追加する。図10に示すように、本実施形態にかかる付加ポイントは、上工程での調整剤の総投入量を示す指標K3に基づいて2段階に区分されており、指標K3が100kg以上の場合には成分調整付加ポイントを1と規定し、指標K3が100kgよりも少ない場合には成分調整付加ポイントを0と規定している。すなわち、調整剤の総投入量が多い場合には、対象情報303を得るべく成分1、2の測定を行う際に、上工程で投入された調整剤が解けきっていない、または満遍なく拡散していない可能性があり、成分の調整が困難であることを示している。
【0050】
本実施形態においては、図7の状態情報304に示すように、調整剤の総投入量は、調整剤Xの投入量(50kg)および調整剤Yの投入量(20kg)の計70kgであるため、図10より付加ポイントは0となり、最終的な成分調整難易度(4+0=4)が4となる。以上のように、本実施形態にかかる対象情報303および状態情報304から、成分調整難易度算出部621により難易度4が算出される。
【0051】
なお、上工程での処理が終了する前に難易度の算出を行う場合には、測定値を用いる指標K1は算出できないので、静的な成分調整難易度は指標K2のみで算出する。また、付加ポイントを求める際には、上工程での調整剤投入予定量を用いる。
【0052】
温度調整難易度算出部622は、被処理物に対して処理を行う際における温度調整の難易度を算出する。具体的には、まず、対象情報303における被処理物温度の目標値、上限値および下限値から、以下の式により指標K4を算出する。
(数3)
K4=|上限値−下限値|/目標値 ・・・(3)
【0053】
上式(数3)に示すように、指標K4は、許容される範囲(上限値−下限値)を目標値で除算し、無次元化させたものである。指標K4は許容される範囲が目標値と比較して小さい場合、狭い範囲に絞り込む必要があることを示す。
【0054】
この指標K4に基づいて、温度調整難易度を算出する。図11に示すように、本実施形態にかかる温度調整難易度は、指標K4に基づいて5パターンに区分されており、指標K4が0.01以下の場合には温度調整難易度が5であり、指標K4が0.01よりも大きく0.02以下の場合には温度調整難易度を4と規定し、指標K4が0.02よりも大きく0.03以下の場合には温度調整難易度を3と規定し、指標K4が0.03よりも大きく0.04以下の場合には温度調整難易度を2と規定し、指標K4が0.04よりも大きい場合には温度調整難易度を1と規定している。なお、本実施の形態においては、指標K4を用いることとしたが、これに限定されず、他の任意の指標を用いてもよい。
【0055】
時間調整難易度算出部623は、状態情報304における下工程操業予定情報に基づいて、被処理物に対して処理を行う際における時間の調整の難易度を算出する。図12に示すように、本実施形態にかかる時間調整難易度は、前の被処理物との連続処理フラグがONの場合には4であり、OFFの場合には2である。これは、前の被処理物との連続処理フラグがONであれば、小さな時間遅れが大きな影響を及ぼすので時間調整難易度が高いことを示している。
【0056】
本実施形態においては、図7の状態情報304に示すように、前の被処理物との連続処理フラグはOFFであるので、図12により時間調整難易度は2である。
【0057】
このようにして、対象情報303および状態情報304から、図13に示すように成分調整難易度、温度調整難易度、および時間調整難易度の3つの項目からなる難易度情報305が算出される。そして、難易度算出部620は、この難易度情報305を記憶部300に記憶する。
【0058】
図3に戻って、熟練度算出部630は、記憶部300に記憶された操業者情報306を取得し、その情報に基づいて各操業者の熟練度を算出すると共に、熟練度情報307を記憶部300に記憶する。ここで、操業者情報306とは、各操業者の過去の被処理物に対する操業実績およびその被処理物の処理の難易度の情報であり、図14に示すようなものである。図14に示すデータは、成分調整難易度が4であり、温度調整難易度が2であり、時間調整難易度が2である被処理物を、操業者Aが監督者からのガイダンスなしに、全項目正確に処理した事を示している。操業者情報306として、この図14に示すようなデータが多数蓄積されている。なお、熟練度算出部630は、難易度と同様に、成分調整、温度調整および時間調整の項目別に熟練度を決定するものとし、以下では成分調整熟練度を求める例を示す。
【0059】
まず、熟練度算出部630は、操業者情報306から、監督者によるガイダンスなしのデータを収集し、図15に一例を示すように、それらの成分調整難易度および成分調整実績を操業者ごとにまとめる。図15に示すように、操業者Aは、監督者からの指示(ガイダンス等)を受けずに、過去の成分調整難易度5の被処理物の処理において結果成功を出した回数が5回、および失敗を出した回数が2回、で成功率が71.4%であり、過去の成分調整難易度4の被処理物の処理において結果成功を出した回数が21回、および失敗を出した回数が2回、で成功率が91.3%であり、過去の成分調整難易度3の被処理物の処理において結果成功を出した回数が30回、および失敗を出した回数が1回、で成功率が96.8%であり、過去の成分調整難易度2の被処理物の処理において結果成功を出した回数が35回、および失敗を出した回数が0回、で成功率が100.0%であり、過去の成分調整難易度1の被処理物の処理において結果成功を出した回数が58回、および失敗を出した回数が0回で成功率が100.0%である。
【0060】
上述のように、操業者Aは、監督者ガイダンスなしで難易度1、2の成分調整作業の場合には成功率100%である。したがって、操業者Aは難易度2までの成分調整作業は十分こなせるといえる。また、閾値を95%に設定すれば、難易度3では96.8%の成功率、難易度4では91.3%、そして難易度5では71.4%の成功率を示していることから、操業者Aは成分調整作業に関しては難易度3まで実行できる、熟練度3と判定できる。
【0061】
なお、難易度が低い作業の成功率が95%未満で、逆に難易度が高い作業の成功率が95%以上といった場合も考えられる。例えば、難易度5の失敗回数が0回であれば、難易度5の成分調整作業の成功率は100%となる。このような場合の考え方はいろいろあるが、難易度の低い作業での成功率が閾値を割っている場合は、それ以上の熟練度は得られないものとする。なお、それ以上の熟練度を与えることとしてもよい。
【0062】
ここで、図16を参照しつつ、図15に示すようなデータから熟練度を算出する手順について説明する。なお、閾値は95%とする。まず、難易度1の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS1)。成功率が95%よりも少ないと判定された場合(S1:NO)には、操業者Aの熟練度は、0であると規定される(ステップS2)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(S1:YES)には、難易度2の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS3)。成功率が95%よりも少ないと判定された場合(S3:NO)には、操業者Aの熟練度は、1であると規定される(ステップS4)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(S3:YES)には、難易度3の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS5)。成功率が95%より少ないと判定された場合(S5:NO)には、操業者Aの熟練度は、2であると規定される(ステップS6)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(S5:YES)には、難易度4の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS7)。成功率が95%より少ないと判定された場合(S7:NO)には、操業者Aの熟練度は、3であると規定される(ステップS8)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(S7:YES)には、難易度5の場合の成功率が95%以上であるか否かを判定する(ステップS9)。成功率が95%より少ないと判定された場合(S9:NO)には、操業者Aの熟練度は、4であると規定される(ステップS10)。一方、成功率が95%以上であると判定された場合(S9:YES)には、操業者Aの熟練度は、5であると規定される(ステップS11)。
【0063】
熟練度算出部630は、操業者情報306から操業者Aの温度調整、時間調整の作業熟練度も同様に導出できる。同じく同様に、他の操業者の各作業の熟練度も導出可能である。これにより、図17に示すように各操業者(操業者A〜操業者D)の成分調整、温度調整、および時間調整の作業熟練度からなる熟練度情報307が算出される。そして、熟練度算出部630は、この熟練度情報307を記憶部300に記憶する。このように、熟練度情報307は、蓄積された過去の操業実績である操業者情報306から算出されるので、常に正確な操業者の熟練度評価に基づく処理順序の決定が実現できる。
【0064】
なお、記憶部300に記憶された熟練度情報307は、キーボード410またはマウス420からの入力により書き換え可能である。本実施の形態においては、キーボード410またはマウス420からの入力により熟練度情報307の書き換えが行われた場合には、熟練度算出部630による熟練度情報307の算出は行われない。
【0065】
図3に戻って、比較部640は、記憶部300に記憶された難易度情報305および熟練度情報307に基づいて、操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する。このとき、比較部640は、記憶部300に記憶されている各操業者の設備1〜4への配置の情報である配置情報308、および各設備1〜4で処理される被処理物の処理順序の情報である処理順情報309を参照する。なお、本実施形態においては、被処理物の処理時間は一定であるとする。よって、各設備において同一の順番で処理される被処理物の処理タイミングは同期する。
【0066】
すなわち、例えば図18に示すように、配置情報308が、設備1へは操業者P、設備2へは操業者Q、設備3へは操業者R、設備4へは操業者Sがそれぞれ配置される内容であり、処理順情報309が、設備1では被処理物a、b、cの順、設備2では被処理物d、e、fの順、設備3では被処理物g、h、iの順、設備4では被処理物j、k、lの順で処理されるという内容である場合を考える。このような場合には、比較部640は、操業者Pの熟練度と設備1での処理が予定されている被処理物a、b、cの難易度とを、操業者Qの熟練度と設備2での処理が予定されている被処理物d、e、fの難易度とを、操業者Rの熟練度と設備3での処理が予定されている被処理物g、h、iの難易度とを、操業者Sの熟練度と設備4での処理が予定されている被処理物j、k、lの難易度とをそれぞれ比較する。
【0067】
図3に戻って、決定部650は、比較部640での比較により、その設備で処理される被処理物の難易度に比べて、その設備で操業を行う操業者の熟練度が不足した要指導設備を決定する。例えば、図13に示すような難易度の被処理物の処理を、図17に示すような熟練度の操業者Aが行う場合には、比較部640において比較される被処理物の難易度が、成分調整難易度4、温度調整難易度2、時間調整難易度2であり、操業者の熟練度が、成分調整熟練度3、温度調整熟練度4、時間調整熟練度3である。このような場合には、成分調整熟練度(3)<成分調整難易度(4)、温度調整熟練度(4)>温度調整難易度(2)、時間調整熟練度(3)>時間調整難易度(2)となる。すなわち、成分調整の項目で熟練度が不足しているので、この被処理物の処理が行われる設備は要指導設備に決定される。
【0068】
図18に示す例では、設備1〜設備4において2番目の被処理物の処理を行う際に、設備2および設備3が要指導設備となり、3番目の被処理物の処理を行う際に、設備1が要指導設備となる。すなわち、1番目の被処理物の処理を行う際は、要指導設備の数は0であり、2番目の被処理物の処理を行う際は、要指導設備の数は2であり、3番目の被処理物の処理を行う際は、要指導設備の数は1となる。
【0069】
図3に戻って、変更部660は、決定部650で同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなるように、記憶部300に記憶されている処理順情報309を変更する。具体的には、変更部660は、処理順情報309を順次変更し、被処理物の処理順序のすべての組み合わせについて決定部650において要指導設備を決定させる。そして、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなる処理順序を最終的な処理順情報309として記憶部300に記憶する。
【0070】
本実施形態においては、各設備でそれぞれ3つの被処理物の処理を行うので、1つの設備において3!=6通りの処理順序がある。したがって、4つの設備における3つの被処理物の処理順序のすべての組み合わせは、6=1296通りとなる。よって、変更部660は、1296通りの処理順序の中で、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなる処理順序を求めることになる。
【0071】
図18に示す例においては、設備1では被処理物cを処理する際に、設備2では被処理物eを処理する際に、設備3では被処理物hを処理する際に、要指導設備となる。したがって、これら被処理物c、e、hが同時に処理されないようにし、同時に要指導設備と決定される設備の数を1つにすればよい。例えば、図19(a)に示すように、設備2において1番目に処理される被処理物と2番目に処理される被処理物との処理順を図18に示す順番から変更した場合また、図19(b)に示すように、設備3において1番目に処理される被処理物と2番目に処理される被処理物との処理順を図18に示す順番から変更した場合には、同時に要指導設備と決定される設備の数は1となる。
【0072】
なお、4つの設備でそれぞれ4つの被処理物の処理が行われる場合には、331776通りの処理順序の組み合わせがあり、5つの被処理物の処理が行われる場合には、約2億通りの処理順序の組み合わせがある。よって、4つの設備を備えた生産ラインにおいては、各設備で処理を行う被処理物の個数が4つ程度までは特にアルゴリズム的な工夫なしに最適解を導出することができる。しかしながら、各設備で処理される被処理物の数がそれ以上、また生産ラインに備えられた設備の個数がそれ以上である場合には、各設備での被処理物の処理順序の決定に際して、例えば、遺伝的アルゴリズム、模擬焼鈍法、分岐限定法等、何らかのアルゴリズム的工夫や、計算時間打ち切りで暫定解を活用するといった手法の採用が必要となる。また、被処理物の処理順序に制約がある場合には、その制約を記憶部300に記憶させており、その制約に違反した処理順序が最終的な処理順序となることがないようにする必要がある。
【0073】
ここで、図20に基づいて、各設備における被処理物の処理順序を決定する際に、生産ライン管理システム100で行われる処理の手順について説明する。なお、記憶部300には、段取り時間情報301、開始予定時刻情報302、対象情報303、状態情報304、操業者情報306、配置情報308、および初期の処理順情報309があらかじめ記憶されている(段取り時間記憶ステップ、開始予定時刻記憶ステップ、対象情報記録ステップ、状態情報記録ステップ、操業者情報記憶ステップ、配置記録ステップ、および処理順記録ステップがすでに行われている)ものとする。
【0074】
まず、起動制御部610から処理順を決定するための処理の起動指示が有ったか否かを判断する(ステップS11)。起動制御部610は、被処理物の処理に必要な準備作業を行うための段取り時間を確保すべく、記憶部300に記憶された段取り時間情報301および開始予定時刻情報302を取得し、最も早く被処理物の処理が開始される時刻から段取り時間を遡った時刻よりも前に起動指示を行う。ステップS11の処理は、起動指示が有ったと判断されるまで繰り返し行われる。
【0075】
ステップS11において、起動指示が有ったと判断された場合(S11:YES)には、難易度算出部620が、記憶部300に記憶された対象情報303および状態情報304を取得し、各被処理物の処理の難易度を算出する(ステップS12:難易度算出ステップ)。ステップS12で算出された難易度の情報は難易度情報305として記憶部300に記憶される。続いて、熟練度算出部630が、記憶部300に記憶された操業者情報306を取得し、各操業者の熟練度を算出する(ステップS13:熟練度算出ステップ)。ステップS13で算出された熟練度の情報は熟練度情報307として記憶部300に記憶される(熟練度記録ステップ)。なお、ステップ13が実行されるまでに、キーボード410またはマウス420からの入力により熟練度情報307の書き換えが行われた(熟練度書換ステップが実行された)場合には、ステップ13は行われない。
【0076】
次に、比較部640が、記憶部300に記憶された配置情報308および処理順情報309に加えて、ステップS12で記憶部300に記憶された難易度情報305およびステップS13で記憶部300に記憶された熟練度情報307を取得し、配置情報308にかかる操業者の配置で且つ処理順情報309にかかる処理順序で被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の難易度とを比較する(ステップS14:比較ステップ)。さらに、決定部650が、ステップS14における熟練度と難易度との比較により、その設備で処理される被処理物の難易度に比べて、その設備で操業を行う操業者の熟練度が不足した要指導設備を決定する(ステップS15:決定ステップ)。
【0077】
その後、すべての処理順序の組み合わせについてステップS15での要指導設備の決定が行われたか否かが判断される(ステップS16)。未だ要指導設備の決定が行われていない処理順序がある場合(S16:NO)には、処理順情報309の変更が行われ(ステップS17)、ステップS14に戻る。そして、ステップS14において、配置情報308にかかる操業者の配置で且つ変更された処理順情報309にかかる処理順序で被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の難易度との比較が行われる。
【0078】
一方、すべての処理順序の組み合わせについて要指導設備の決定が行われた場合(S16:YES)には、変更部660が、記憶部300に記憶されている処理順情報309を、ステップS15において同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少ない処理順序に変更する(ステップS18:変更ステップ)。
【0079】
なお、上述の実施形態においては、記憶部300に、段取り時間情報301、開始予定時刻情報302、対象情報303、状態情報304、難易度情報305、操業者情報306、熟練度情報307、配置情報308、および処理順情報309が記憶されている。すなわち、記憶部300は、段取り時間記憶部、開始予定時刻記憶部、対象情報記憶部、状態情報記憶部、難易度記憶部、操業者情報記憶部、熟練度記憶部、配置記憶部、および処理順記憶部として機能する。
【0080】
以上のように、本発明の第1の実施形態では、難易度算出部620が、記憶部300に記憶された各被処理物に対して行われる作業内容の情報である対象情報303、および前後の工程での作業内容の情報である状態情報304を取得し、被処理物の処理の難易度を算出すると共に、難易度情報305を記憶部300に記憶する。比較部640が、記憶部300に記憶された配置情報308、処理順情報309、難易度情報305および熟練度情報307を取得し、配置情報308にかかる操業者の配置で且つ処理順情報309にかかる処理順序で被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の難易度とを比較する。そして、決定部650が、比較部640による熟練度と難易度との比較により、その設備で処理される被処理物の難易度に比べて、その設備で操業を行う操業者の熟練度が不足した要指導設備を決定する。さらに、変更部660が、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなるように、記憶部300に記憶された処理順情報309を変更する。したがって、対象情報303加えて、状態情報304および熟練度情報307を考慮して、監督者による指導の必要性を判断し、それに基づいて同時に指導が必要となる設備の数が最も少なくなるように、被処理物の処理順を決定することができる。よって、監督者の指導が不十分となることに起因する生産性や品質の低下を抑制することができる。
【0081】
また、起動制御部610は、記憶部300に記憶された段取り時間情報301および各被処理物の処理開始予定時刻の情報である開始予定時刻情報302を取得し、最も早く被処理物の処理が開始される時刻から、段取り時間を遡った時刻よりも前に、処理順序が決定されるように制御する。したがって、処理順情報309を変更することになっても、各設備において処理を開始するための準備を行う段取り時間を確実に確保することができる。
【0082】
さらに、熟練度算出部630は、記憶部300に記憶された各操業者の過去の被処理物に対する操業実績およびその被処理物の処理の難易度の情報である操業者情報306を取得し、その情報に基づいて各操業者の熟練度を算出すると共に、熟練度情報307を記憶部300に記憶する。したがって、各操業者の熟練度が与えられていない場合であっても、過去の操業実績から熟練度を算出することができる。
【0083】
加えて、記憶部300に記憶された熟練度情報307は、キーボード410またはマウス420からの入力により書き換え可能である。したがって、監督者は、キーボード410またはマウス420を用いて各操業者の熟練度を自ら変更することができる。よって、監督者の操業者に対する評価を反映することができる。
【0084】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態にかかる生産ライン管理方法、生産ライン管理システムおよび生産ライン管理プログラムは、第1の実施形態と同様に、図1に示すような生産ラインに適用されるものである。第1の実施形態と本実施形態との主な相違点は、第1の実施形態においては、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなるように、被処理物の処理順序を決定するが、本実施形態では、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなるように、操業者の各設備への配置を決定する点である。以下の説明においては、第1の実施形態と同様の構成に相当するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0085】
図21に示すように、本実施形態の生産ライン管理システム1100の起動制御部611は、記憶部300に記憶された開始予定時刻情報302を取得し、それ基づいて、難易度算出部620、熟練度算出部630、比較部640、決定部650、および変更部661によって行われる操業者の各設備への配置を決定するための処理の起動タイミングを制御する。
【0086】
変更部661は、決定部650で同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなるように、記憶部300に記憶されている配置情報308を変更する。具体的には、変更部661は、配置情報308を順次変更し、操業者の配置のすべての組み合わせについて決定部650において要指導設備を決定させる。そして、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなる操業者の配置を最終的な配置情報308として記憶部300に記憶する。
【0087】
本実施形態においては、4つの設備にそれぞれ操業者を配置するので、図22に示すように、操業者の配置の組み合わせは4!=24通りとなる。よって、変更部661は、24通りの操業者の配置の中で、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなる配置を求めることになる。
【0088】
ここで、図23に基づいて、本実施形態の生産ライン管理システム1100において、操業者の各設備への配置を決定する際の処理の手順について説明する。
【0089】
まず、起動制御部611から操業者の配置を決定するための処理の起動指示が有ったか否かを判断する(ステップS21)。起動制御部611は、記憶部300に記憶された段取り開始予定時刻情報302を取得し、最も早く被処理物の処理が開始される時刻よりも前に起動指示を行う。ステップS21の処理は、起動指示が有ったと判断されるまで繰り返し行われる。なお、次のステップS22〜ステップS25での処理は、第1の実施形態での図20に示すステップS12〜ステップS15での処理と同様であるので、説明は省略する。
【0090】
ステップS25において、要指導設備が決定された後、すべての操業者の配置の組み合わせについてステップS25での要指導設備の決定が行われたか否かが判断される(ステップS26:決定ステップ)。未だ要指導設備の決定が行われていない操業者の配置がある場合(S26:NO)には、配置情報308の変更が行われ(ステップS27)、ステップS24に戻る。そして、ステップS24において、変更された配置情報308にかかる操業者の配置で且つ処理順情報309にかかる処理順序で被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の難易度との比較が行われる。
【0091】
一方、すべての操業者の配置の組み合わせについて要指導設備の決定が行われた場合(S26:YES)には、変更部661が、記憶部300に記憶されている配置情報308を、ステップS25において同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少ない操業者の配置に変更する(ステップS28:変更ステップ)。
【0092】
以上のように、本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、監督者の指導が不十分となることに起因する生産性や品質の低下を抑制することができる。なお、本実施形態の生産ライン管理システム1100は、被処理物の処理順序を変更できない場合や、処理順序を変更することでコストが嵩む場合には、第1の実施形態の生産ライン管理システム100に比べて有用である。
【0093】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0094】
例えば、上述の第1および第2の実施形態においては、4つの設備で操業を行う操業者の指導を1人の監督者が行う場合について説明したが、これには限定されず、本発明は、N個(N:2以上の自然数)の設備を有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う少なくともN人の操業者の指導をN−1人以下で行う場合に適用することができる。このように、監督者が1人に限らない場合には、図24に示すように、記憶部300に監督者の人数を監督者数情報310として記憶させ(監督者数記憶ステップ)、変更部660が、決定部650によって要指導設備と決定される設備の数が、記憶部300から取得した監督者数情報310にかかる監督者の人数を超えないように、記憶部300に記憶された処理順情報309または配置情報308を変更するようにしてもよい。なお、この場合、監督者数情報310が記憶される記憶部300は、監督者数記憶部として機能する。
【0095】
また、上述の第1の実施形態においては、変更部660が、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなるように、記憶部300に記憶された処理順情報309を変更する場合について説明した。さらに、上述の第2の実施形態においては、変更部661が、同時に要指導設備と決定される設備の数が最も少なくなるように、記憶部300に記憶された配置情報308を変更する場合について説明した。しかしながら、これには限定されず、変更部660、670は、同時に要指導設備と決定される設備の数が、あらかじめ記憶部300に記憶されている初期の処理順情報309または配置情報308に比べて少なくなるように処理順情報309または配置情報308を変更すればよい。
【0096】
さらに、上述の第1および第2の実施形態においては、操業者情報306を取得し、その情報に基づいて各操業者の熟練度を算出する熟練度算出部630を備えている場合について説明したが、熟練度算出部630はなくてもよい。
【0097】
加えて、上述の第1および第2の実施形態においては、記憶部300に記憶された熟練度情報307を、キーボード410またはマウス420からの入力により書き換え可能である場合について説明したが、熟練度情報307はこれらの入力により書き換え可能でなくてもよい。
【0098】
また、上述の第1の実施形態においては、最も早く被処理物の処理が開始される時刻から、段取り時間を遡った時刻よりも前に、処理順序が決定されるように制御する起動制御部610を備えている場合について、第2の実施形態においては、最も早く被処理物の処理が開始される時刻よりも前に、操業者の配置が決定されるように制御する起動制御部611を備えている場合についてそれぞれ説明したが、これら起動制御部610、611はなくてもよい。
【符号の説明】
【0099】
100、1100 生産ライン管理システム
300 記憶部
620 難易度算出部
630 熟練度算出部
640 比較部
650 決定部
660、661 変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理方法であって、
前記各設備で操業を行う操業者の配置を配置記憶部に登録する配置記録ステップと、
前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を処理順記憶部に登録する処理順記録ステップと、
前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を対象情報記憶部に登録する対象情報記録ステップと、
前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を状態情報記憶部に登録する状態情報記録ステップと、
前記対象情報記録ステップで登録された前記対象情報および前記状態情報記録ステップで登録された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に登録する難易度算出ステップと、
前記各設備で操業する操業者の熟練度を熟練度記憶部に記録する熟練度記録ステップと、
前記難易度算出ステップで算出された難易度および前記熟練度記録ステップで記録された熟練度に基づいて、前記配置記録ステップで記録された操業者の配置で、前記処理順記録ステップで記録された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記処理順記録ステップで前記処理順記憶部に記録された処理順を変更する変更ステップとを備えていることを特徴とする生産ライン管理方法。
【請求項2】
監督者の人数を監督者数記録部に登録する監督者数記憶ステップをさらに備えており、
前記変更ステップにおいて、前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が、前記監督者数記憶ステップで記憶された監督者の人数を超えないように、前記処理順記憶ステップで前記処理順記憶部に記憶された処理順を変更することを特徴とする請求項1に記載の生産ライン管理方法。
【請求項3】
前記各設備において処理を開始するための準備作業に必要な段取り時間を段取り時間記憶部に登録する段取り時間記憶ステップと、
前記各被処理物の処理開始予定時刻を開始予定時刻記憶部に登録する開始予定時刻記憶ステップとをさらに備えており、
前記変更ステップにおいて、前記開始予定時刻記憶ステップで記憶された処理開始予定時刻のうち最も早い時刻から、前記段取り時間記憶ステップで記憶された段取り時間を遡った時刻よりも前に、処理順の変更を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の生産ライン管理方法。
【請求項4】
被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理方法であって、
前記各設備で操業を行う操業者の配置を配置記憶部に登録する配置記録ステップと、
前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を処理順記憶部に登録する処理順記録ステップと、
前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を対象情報記憶部に登録する対象情報記録ステップと、
前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を状態情報記憶部に登録する状態情報記録ステップと、
前記対象情報記録ステップで登録された前記対象情報および前記状態情報記録ステップで登録された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に登録する難易度算出ステップと、
前記各設備で操業する操業者の熟練度を熟練度記憶部に記録する熟練度記録ステップと、
前記難易度算出ステップで算出された難易度および前記熟練度記録ステップで記録された熟練度に基づいて、前記配置記録ステップで記録された操業者の配置で、前記処理順記録ステップで記録された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記配置記録ステップで前記配置記憶部に記録された操業者の配置を変更する変更ステップとを備えていることを特徴とする生産ライン管理方法。
【請求項5】
監督者の人数を監督者数記憶部に登録する監督者数記憶ステップをさらに備えており、
前記変更ステップにおいて、前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が、前記監督者数記憶ステップで記憶された監督者の人数を超えないように、前記配置記憶ステップで前記配置記憶部に記憶された操業者の配置を変更することを特徴とする請求項4に記載の生産ライン管理方法。
【請求項6】
各操業者について、過去の被処理物に対する操業実績およびその被処理物の処理の難易度を操業者情報記憶部に登録する操業者情報記憶ステップと、
前記操業者情報記憶ステップで記憶された内容から、各操業者の熟練度を算出する熟練度算出ステップとを備えており、
前記熟練度記憶ステップにおいて、前記熟練度算出ステップで算出された結果を前記熟練度記憶部に記憶することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の生産ライン管理方法。
【請求項7】
入力デバイスからの信号に基づいて前記熟練度記憶ステップで前記熟練度記憶部に記憶された熟練度を書き換える熟練度書換ステップをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の生産ライン管理方法。
【請求項8】
被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う生産ライン管理システムであって、
前記各設備で操業を行う操業者の配置を記憶する配置記憶部と、
前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を記憶する処理順記憶部と、
前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を記憶するする対象情報記憶部と、
前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を記憶する状態情報記憶部と、
前記対象情報記憶部に記憶された前記対象情報および前記状態情報記憶部に記憶された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に記憶する難易度算出部と、
前記各設備で操業する操業者の熟練度を記憶する熟練度記憶部と、
前記難易度算出部で算出された難易度および前記熟練度記憶部に記憶された熟練度に基づいて、前記配置記憶部に記憶された操業者の配置で、且つ前記処理順記憶部に記憶された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較部と、
前記比較部での比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定部と、
前記決定部で同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記処理順記憶部に記憶された処理順を変更する変更部とを備えていることを特徴とする生産ライン管理システム。
【請求項9】
被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理システムであって、
前記各設備で操業を行う操業者の配置を記憶する配置記憶部と、
前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を記憶する処理順記憶部と、
前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を記憶する対象情報記憶部と、
前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を記憶する状態情報記憶部と、
前記対象情報記憶部に記憶された前記対象情報および前記状態情報記憶部に記憶された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に記憶する難易度算出部と、
前記各設備で操業する操業者の熟練度を記憶する熟練度記憶部と、
前記難易度算出部で算出された難易度および前記熟練度記憶部に記憶された熟練度に基づいて、前記配置記憶部に記憶された操業者の配置で、且つ前記処理順記憶部に記憶された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較部と、
前記比較部での比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定部と、
前記決定部で同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記配置記憶部に記憶された操業者の配置を変更する変更部とを備えていることを特徴とする生産ライン管理システム。
【請求項10】
被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理プログラムであって、
前記各設備で操業を行う操業者の配置を配置記憶部に登録する配置記録ステップと、
前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を処理順記憶部に登録する処理順記録ステップと、
前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を対象情報記憶部に登録する対象情報記録ステップと、
前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を状態情報記憶部に登録する状態情報記録ステップと、
前記対象情報記録ステップで登録された前記対象情報および前記状態情報記録ステップで登録された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に登録する難易度算出ステップと、
前記各設備で操業する操業者の熟練度を熟練度記憶部に記録する熟練度記録ステップと、
前記難易度算出ステップで算出された難易度および前記熟練度記録ステップで記録された熟練度に基づいて、前記配置記録ステップで記録された操業者の配置で、前記処理順記録ステップで記録された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記処理順記録ステップで前記処理順記憶部に記録された処理順を変更する変更ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする生産ライン管理プログラム。
【請求項11】
被処理物に対して同種の処理を並行して行う設備を複数有する生産ラインにおいて、各設備で操業を行う操業者に対して監督者が指導を行う場合の生産ライン管理プログラムであって、
前記各設備で操業を行う操業者の配置を配置記憶部に登録する配置記録ステップと、
前記各設備で処理される複数の被処理物の処理順を処理順記憶部に登録する処理順記録ステップと、
前記各設備で処理される各被処理物に対して行われる作業内容を示す対象情報を対象情報記憶部に登録する対象情報記録ステップと、
前記各被処理物について前工程における作業内容および後工程における予定作業内容を示す状態情報を状態情報記憶部に登録する状態情報記録ステップと、
前記対象情報記録ステップで登録された前記対象情報および前記状態情報記録ステップで登録された前記状態情報を用いて、前記各被処理物の処理の難易度を算出し、難易度記憶部に登録する難易度算出ステップと、
前記各設備で操業する操業者の熟練度を熟練度記憶部に記録する熟練度記録ステップと、
前記難易度算出ステップで算出された難易度および前記熟練度記録ステップで記録された熟練度に基づいて、前記配置記録ステップで記録された操業者の配置で、前記処理順記録ステップで記録された処理順で前記各被処理物の処理を行う場合の操業者の熟練度とその操業者が処理を行う被処理物の処理の難易度とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較により前記難易度に対して前記熟練度が不足した要指導設備を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで同時に要指導設備と決定される設備の数が変更前に比べて少なくなるように、前記配置記録ステップで前記配置記憶部に記録された操業者の配置を変更する変更ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする生産ライン管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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