生産機械のシート補充装置
【課題】 枚葉紙を積載する装置において、下側枚葉シート群及び上側枚葉シート群のドッキング時に、それぞれの枚葉シート群の表面に擦れ傷をいれないシート補充装置を得る。
【解決手段】 複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から準備位置に移動可能であり、複数の補助積みシート支持体が一辺の稜角部に面取を施した方形とした。
【解決手段】 複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から準備位置に移動可能であり、複数の補助積みシート支持体が一辺の稜角部に面取を施した方形とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷機又はその他の枚葉紙を積載する装置において、自動にノンストップで積みシートを補充するための装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
この種の装置としては、特開平１−３２１２２３号公報に開示されたものがある。この公報に開示されたものは、紙が積載され昇降自在に支持された紙積板と、給紙中に予備の紙を積載する予備紙積板とを備え、紙積板の紙積載面に溝を設けるとともに、この溝へ挿抜させるフォークを設け、紙積板の上昇位置で紙積板の溝内にフォークを挿入したのち、紙積板を下降させてフォークの上面で紙を支持し、予備紙積板を上昇させてこの予備の紙の上面をフォークの下面へ当接させたのち、このフォークを抜いて紙を予備の紙の上に載置させ、これによって、機械を止めずに連続して給紙するようにしたものがある。
【０００３】
そして、この種の給紙装置にあっては、紙積板と予備紙積板との昇降の切替え動作時に行うフォークの挿抜動作によって、紙積板の最下位の紙と予備紙積板の最上位の紙にフォークの跡が残り、損紙が発生する場合がある。発生した損紙は、取り除く必要があり、フォークの抜き差し時のタイミングを計って、排紙部より取り除いている。
【０００４】
近年、諸証券印刷においては、複写機等による模造防止手段のひとつとして、特殊なインクを用い、およそ凹版印刷やスクリーン印刷によりインク盛り上がりができるだけ顕著となるようにしている。これらのインク盛り上がり部は、数値や図柄模様の印刷部に施されることが多く、印刷をシートの表裏に実施する場合、先刷りの印刷インクがフォークとの接触による摩擦抵抗により掻き取られ、その一部がシートに付着する「インク汚れ」と称する不具合が発生していた。これらの現象はインク盛り上がり部を有する印刷製品における特有の現象である。
【０００５】
また、損紙の除去はフォークの抜き差し時のタイミングを計っての作業であるため、しばしば、そのタイミングを忘れてしまうこともあり、次工程でのトラブルの原因となっていた。また、損紙の除去をタイミングよく行うには、１人のオペレータが予備の紙が給紙されたことを確認して、これを排紙部にいる他のオペレータに知らせて損紙が排出されるタイミングを見計らって取り出すため、２人のオペレータを必要とし省人化に問題があるとともに、除去作業自体も熟練を要するといった欠点があった。
【０００６】
また、このような事象が生じた場合、フォークそのものを洗浄することや、製品への付着インキを拭き取るといった修正作業が必要となり、この作業が機械停止をともなうことから機械稼働率の低下を招くとともに、オペレータにとって面倒且つ厄介な作業であった。また、製品への汚れ状態によっては、製品そのものが損紙となることから、かかるコストが上昇する。特に、このような不具合は一方の面の印刷が終了した仕掛製品に対して発生することから、コスト上昇に大きく影響する。これらの対策のひとつとして、予め調整用紙をフォーク接触部位に投入し、排紙部において除去することも実施されるが、作業の手間と掛かるコストの観点から有用ではない。
【０００７】
この問題点を解消する方策として、枚葉紙印刷機の給紙装置に設けられた補助パイルと主パイルとを一つにまとめるための装置であって、パレットに載積された主パイルを上昇させるための主パイルリフト装置と、補助パイルを支持するための補助パイル支持装置と、補助パイル支持装置を上昇させるとともに、補助パイル支持装置上に設置された補助パイルを上昇させるための補助パイルリフト装置とを有し、補助パイルと主パイルとを一つにまとめるために、まず、主パイルリフト装置を介して、主パイルの上側が、補助パイルの下側に進入する補助パイル支持装置に向かって移動可能であり、続いて、補助パイル支持装置は、補助パイルを、主パイルの上側に降下させながら、補助パイルの下側の領域から取り出し可能である装置において、補助パイル支持装置はガイド部材を有し、ガイド部材には、支持部材がスライド可能にガイドされており、支持部材は円筒状の棒体として形成されるとともに、チェーン部材を介して連結されており、それによって、補助パイルと主パイルとを一つにまとめる際に、チェーン部材を介して連結された支持部材は、一方で水平方向に補助パイルの下側の領域から取り出し可能であり、その後、補助パイルもしくは主パイルの側方近傍に、巻き付け可能または鉛直方向に導出可能であることを特徴とする装置がある（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００７−２９７２１４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
上述した先行技術である特許文献１の技術を用いた場合、特に支持部材は円筒状の棒体として形成されることから、印刷シートとの接触領域が小さく、シートへの汚れの付着が少なくて済むことから、ひとつの側面から勘案すると有用である。
【００１０】
しかしながら、支持部材はシートの重量を支持するべく高剛性の材料が用いられるので、必然的に重いものとなる。また、近年の印刷機では、大きなサイズのシート（例えば、Ｂ判規格１号；１，０３０ｍｍ×７２８ｍｍ）を用いることも多く、更に模様図柄も複雑化しており、重畳したシートの重量は増加する傾向にある。そこで、先行技術のように支持部材を円筒状の棒体として形成すると、接触領域が小さい分、ひとつの領域に掛かる圧力は大きなものとなることから、シートと支持部材の接触において発生するインク汚れ等の不具合を必ずしも防止することができない。一旦、シートにインク汚れが発生すると、そのインク汚れが下流に存するブランケットシリンダ、プレートシリンダ、プレスシリンダ等、各種シリンダに伝播することになり、このことが更なる損紙の発生を誘発することに留まらず、各シリンダの清掃を不可欠なものとすることから有用でない。
【００１１】
また、シート表面にフイルムや金属（ホログラム）を貼付したシートを給紙部に積載している場合、シート補充の際、フイルムや金属が支持部材と接触し、傷や皺等が入って損傷する場合もある。
【００１２】
これらの理由により必ずしも先行技術に移行しない現状がある。現在まで、インク盛りの多い印刷シートを積載した場合におけるシート補充装置の支持部材（シート支持体、フォーク）に関しては何ら改良が行われておらず、特にシート支持体における表面の材質、形状に関する研究は承知していない。現時点において、上述した問題点への対策が施されておらず、少なからず開発の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
上記のような課題を解決するため、本発明の生産機械のシート補充装置は、枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から準備位置に移動可能であり、複数の補助積みシート支持体が、一辺の稜角部に面取を施した方形である生産機械のシート補充装置とした。
【００１４】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から準備位置に移動可能であり、複数の補助積みシート支持体が、楕円錐台形状又は中空の楕円錐台形状である生産機械のシート補充装置とした。
【００１５】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から準備位置に移動可能であり、複数の補助積みシート支持体が、通気孔を有している生産機械のシート補充装置とした。
【００１６】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、複数の補助積みシート支持体の表面に低摩擦材料を被覆している生産機械のシート補充装置とした。
【００１７】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、複数の補助積みシート支持体の表面に複数の突起状物を有している生産機械のシート補充装置とした。
【００１８】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、補助積みシート支持体の表面に存する突起状物は、規則性を有した千鳥状態に配置している生産機械のシート補充装置とした。
【００１９】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、補助積みシート支持体は、静電気除去装置を連設している生産機械のシート補充装置とした。
【００２０】
さらに、本発明の生産機械のシート補充装置は、補助積みシート支持体は、エア供給装置を連設している生産機械のシート補充装置とした。
【発明の効果】
【００２１】
本発明の生産機械のシート補充装置は、インク盛り上がり部を有しているシート、あるいはフイルム及び／又は金属を貼付したシートを対象とした場合、シート支持体について、該シートとの摩擦抵抗を低減させる種種の措置が施されていることから圧力分散が可能となり、インクの擦れによる汚れや、フイルム及び／又は金属への損傷が発生し難く、製品品質の保全が実現できるという効果を奏する。
【００２２】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、従前技術のように予めインクの擦れ等の不具合に対処するための調整用紙の挿入を行わなくて済むことから、余剰なコストが必要でなく、シートの補充にかかるコストの低廉化が図れるという効果を奏する。
【００２３】
さらに、本発明の生産機械のシート補充装置を用いることで、シートが大判化された場合においても、連続的に良好なシートの供給が可能となるとともに上述した課題における全ての問題点が解消されることから、従前までオペレータにより実施していたインク汚れ等の不具合シートの抜き取り、該シートにおけるインク汚れの修正作業、頻繁なるシート支持体の洗浄作業等、各種の作業が少なくて済み、オペレータの作業負荷の低減及び生産機械の稼動における不稼働時間の低減が図れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】本発明の生産機械のシート補充装置を示す概略図である。
【図２】本発明のシート支持体の一例を示す概略図である。
【図３】本発明のシート支持体の一例を示す概略図である。
【図４】本発明のシート支持体の一例を示す概略図である。
【図５】本発明のシート支持体の一例を示す概略図である。
【図６】本発明のシート支持体のａ−ａ’断面を示す概略図である。
【図７】本発明のシート支持体仕組の一例を示す概略図である。
【図８】本発明のシート支持体仕組の一例を示す概略図である。
【図９】一般的な枚葉印刷機のシート補充装置を示す概略図である。
【図１０】一般的なシート支持体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【００２５】
図１乃至図１０に基づき、この発明の実施形態を説明する。図１は本発明における生産機械のシート補充装置の概略図である。また、図２乃至図５はそれぞれ本発明におけるシート支持体の一例を示す概略図である。また、図６は本発明におけるシート支持体のａ−ａ’にて切断した場合の断面概略図である。さらに、図７及び図８はシート支持体仕組の一例を示す概略図であり、図９、図１０は一般的な枚葉印刷機のシート補充装置の概略図、一般的なシート支持体の概略断面図をそれぞれ示す図面である。
【００２６】
まず、一般的な枚葉印刷機のシート補充装置について詳細に説明する。図９に示す一般的な枚葉印刷機のシート補充装置は、枚葉紙のシート群（１５）を積層するシート載置台（２）と、シート載置台（２）を昇降チェーン（４）により昇降移動させる昇降部材（３）と、給紙部全体を固定するフレーム（５）と、少量となったシート群（１５’）を一時的に保持する補助積みシート支持体（１６）とから構成され、シート載置台（２）には補助積みシート支持体（１６）を挿入するシート支持体挿入口（６）が存する態様であり、新たに積層した枚葉紙のシート群（１５）と予め積層され少量となったシート群（１５’）をドッキングさせ、シートの連続給紙を実現する装置である。ここで、シート支持体（１６）の形状は図１０に示すように円筒状棒体とした態様であり、その材質はおおよそ金属製である。
【００２７】
一方、図１に示すように本発明の生産機械のシート補充装置は、少量となったシート群（１５’）を一時的に保持するシート支持体の態様を一辺の稜角部に面取を施した方形（１）としている。また、シート支持体（１）の材質は、鋳鉄（金属）あるいは硬質樹脂にて作製している。なお、その他の構成部材については、一般的な枚葉印刷機のシート補充装置と類似していることから、その説明を省略する。
【００２８】
また、本発明の生産機械のシート補充装置におけるシート支持体の態様は、図２に示すように単体でなく、複数のシート支持体（１）をシート支持体固定部材（８）によって、シート支持体支持部材（７）にネジあるいは溶接等により固着させた態様とする場合もある。さらにシート支持体（１）については、シートへの挿入時における抵抗を極小化させるために、一方（先端）の外径を他方（後端）の外径より小さく設計している。
【００２９】
また、本発明の生産機械のシート補充装置におけるシート支持体の態様は、図３に示すようにシート支持体（１）の表面に突起状物（９）を複数配置している態様とする場合もある。特に表面に複数配した突起状物（９）の形状を半円球突起とし、規則的に複数配している態様とする場合もある。ここで、半円球突起は、直径２ｍｍ乃至５ｍｍの半円球形状としており、それぞれの半円球突起のピッチを５ｍｍ乃至１０ｍｍに設計している。また、図４においては、一例として突起状物（９）を規則的な千鳥配置としている。これらは積載したシート群（１５、１５’）の図柄模様等に応じて適宜設計することになる。
【００３０】
また、本発明の生産機械のシート補充装置におけるシート支持体の態様は、図５に示すように楕円錐台形状のシート支持体（１１）とする場合もある。楕円錐台とすることで、従前の技術ような円筒状の棒体としたシート支持体（１６）に比して、シート（１５）への接触領域が大きくなることからシート支持体が受ける圧力を緩衝している。当然、シート支持体（１１）については、シートへの挿入時における抵抗を極小化させるために、一方（先端）の外径を他方（後端）の外径より小さく設計している。また、シート支持体の態様を中空の楕円錐台形状（図示しない）とする場合もある。シート支持体を中空部材とすることで、シート支持体そのものの重量を適宜調整することが可能となる。
【００３１】
また、図６は図２に示すシート支持体（１）のａ−ａ’断面図である。図６に示すように本発明の生産機械のシート補充装置は、シート支持体（１、１１）の表面に低摩擦材料である例えばフッ素樹脂（１０）を被覆成形した態様とする場合もある。なお、シート支持体（１、１１）の表面に被覆する材料としては、フッ素以外の材料であってもよく、チタンあるいはタングステン等を用いる場合もある。
【００３２】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、シート支持体（１、１１）の近傍に存する静電気を効果的に除去するため、図７に示すように空気又はガスによりイオンを発生させて電荷中和する静電気除去装置（１２）を連設させた態様とする場合もある。
【００３３】
さらに、本発明の生産機械のシート補充装置は、図８に示すようにシート支持体（１、１１）の表面に複数の通気孔（１４）を有する態様とし、その通気孔（１４）からは、シート支持体（１、１１）に連設したエア供給装置（１３）から任意に設定したエア供給量を吐出させることが可能である。なお、通気孔（１４）の形状としては、図８では円形状としているが、特に限定しているものではなく、楕円形状や方形状あるいはスリット形状に設計する場合もある。
【実施例】
【００３４】
本発明における実施の例示について図面を参酌しながら詳細に説明する。図１に示すような態様である枚葉印刷機のシート補充装置を用いて、自動にノンストップで積みシートの補充（ドッキング）を実施した。まず、シート群としては、一方の面に凹版印刷が施された印刷済み枚葉シートを対象として、もう一方の面に凹版印刷を連続的に実施した。また、シート補充の条件としては、予め積層されたシート群（１５’）が３，０００枚になった時点で新たに積層した枚葉紙のシート群（１５）１０，０００枚をドッキングさせた。なお、シート支持体（１）は、図２に示すような一辺の稜角部に面取を施した方形とした態様とし、そのシート支持体（１）の表面を図６に示すようなフッ素樹脂（１０）を約２０μｍ被覆したものを用いた。
【００３５】
上記条件において、積みシートの補充（ドッキング）１０回目、２０回目、３０回目におけるシート表面及びシート支持体（１）の外観について、インクの付着状態、シートへの皺の発生状態を確認したところ、いずれの水準においても不良の発生は確認できなかった。なお、シートとシート支持体（１）の接触度合いを確認するために、下側積載シート群（１５’）の最上層に位置するシートの上層及び上側積載シート群（１５）の最下層に位置するシートの下層に図示しない加圧シート（プレスケール；富士フイルム社製）を配して、シートの補充（ドッキング）を実施した後の加圧状態を加圧シートの発色結果から確認した。その結果、シート支持体（１）からの押圧はシート表面に均一に分散していることを確認した。
【００３６】
また、図４に示すように、表面へ半円球突起（９）を規則的な千鳥配置に形成し、同様の条件にて積みシートの補充（ドッキング）を実施したところ、シート支持体（１）に対する摩擦抵抗が分散できており、有用な結果を得ることができた。なお、実施例では、半円球突起（９）の直径を２ｍｍ、３ｍｍ、５ｍｍと変更させるとともに、半円球突起（９）の配置ピッチを５ｍｍ、６ｍｍ、７ｍｍ、１０ｍｍと変更させて確認した。その結果、直径３ｍｍの半円球突起（９）であり、ピッチ６ｍｍの規則的な千鳥配置とした水準において、シート（１５、１５’）とシート支持体（１）間におけるインク汚れの発生防止の観点から有用であることを確認した。なお、半円球突起（９）の直径は、３ｍｍより小さく設計するとシート支持体（１）の平面部が接触する場合があり、３ｍｍより大きく設計すると僅かに接触斑が発生することを確認した。また、半円球突起（９）の配置ピッチは、６ｍｍより小さく設計すると接触斑が発生する場合があり、６ｍｍより大きく設計すると僅かにインク汚れが発生する傾向にあることを確認した。
【００３７】
また、図５に示すように、シート支持体（１１）の形状を楕円錐台としたものについても確認したが、シート支持体を円筒状の棒体として形成している従前技術に比して、寡少ではあるが、シート（１５、１５’）への圧力分散が可能であることを確認した。
【００３８】
また、実施例として、シート支持体（１）に連設している静電気除去装置（１２）を稼働させて実施したところ、シート群のドッキング時において発生が顕著である下側積載シート群（１５’）の最上層に位置するシート及び上側積載シート群（１５）の最下層に位置するシートが静電気により横ずれする不具合の発生についても抑制できていたことを確認した。
【００３９】
さらに、実施例として、シート支持体（１）に連設しているエア供給装置（１３）を稼働させた場合についても確認したが、何ら不具合の発生はなく、いたって良好な結果を得ることができた。
【００４０】
なお、用いるシート群をインク盛りが多い（約４５μｍ）スクリーン印刷製品としての確認も行っているが、同様に有用な結果を得ることができた。本実施における詳細については、シート群を凹版印刷製品とした例示と略同様の条件であるので、その詳細を省略する。
【００４１】
上述した実施例において、シート支持体（１）と接触するシートについて、詳細に観察したところ、インク汚れ等の不良は存在しなかった。また、シート支持体（１）の表面についても確認したが、インク汚れ等の不良は存在しなかった。さらに、およそ８０回のシート群（１５、１５’）のドッキングを実施し、インク汚れについて確認したところ、インク汚れ等の不良はまったく存在せず、洗浄を施すことなく、更なるシート群のドッキングを実施することが可能な状態であった。
【００４２】
上述した実施例はあくまで例示の一例に過ぎず、特許請求の範囲に記載されている範囲において、あらゆる実施の形態が存在することは言うまでもない。例えば、シート支持体に突起状物が存する態様であればよく、長円形突起とする場合も容易に推量できる。また、シート補充のドッキング時におけるシートへのインキの付着を観察しやすくするために、シート支持体を着色する場合なども容易に推量でき、当然権利範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【００４３】
１ シート支持体（方形フォーク）
２ シート載置台
３ 昇降部材
４ 昇降チェーン
５ フレーム
６ シート支持体挿入口
７ シート支持体支持部材
８ シート支持体固定部材
９ 突起状物
１０ 低摩擦材料（フッ素樹脂）
１１ シート支持体（楕円錐台フォーク）
１２ 静電気除去装置
１３ エア供給装置
１４ 通気孔
１５ シート群
１５’ シート群
１６ シート支持体（円筒状棒体フォーク）
ａ―ａ’ シート支持体断面
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印刷機又はその他の枚葉紙を積載する装置において、自動にノンストップで積みシートを補充するための装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
この種の装置としては、特開平１−３２１２２３号公報に開示されたものがある。この公報に開示されたものは、紙が積載され昇降自在に支持された紙積板と、給紙中に予備の紙を積載する予備紙積板とを備え、紙積板の紙積載面に溝を設けるとともに、この溝へ挿抜させるフォークを設け、紙積板の上昇位置で紙積板の溝内にフォークを挿入したのち、紙積板を下降させてフォークの上面で紙を支持し、予備紙積板を上昇させてこの予備の紙の上面をフォークの下面へ当接させたのち、このフォークを抜いて紙を予備の紙の上に載置させ、これによって、機械を止めずに連続して給紙するようにしたものがある。
【０００３】
そして、この種の給紙装置にあっては、紙積板と予備紙積板との昇降の切替え動作時に行うフォークの挿抜動作によって、紙積板の最下位の紙と予備紙積板の最上位の紙にフォークの跡が残り、損紙が発生する場合がある。発生した損紙は、取り除く必要があり、フォークの抜き差し時のタイミングを計って、排紙部より取り除いている。
【０００４】
近年、諸証券印刷においては、複写機等による模造防止手段のひとつとして、特殊なインクを用い、およそ凹版印刷やスクリーン印刷によりインク盛り上がりができるだけ顕著となるようにしている。これらのインク盛り上がり部は、数値や図柄模様の印刷部に施されることが多く、印刷をシートの表裏に実施する場合、先刷りの印刷インクがフォークとの接触による摩擦抵抗により掻き取られ、その一部がシートに付着する「インク汚れ」と称する不具合が発生していた。これらの現象はインク盛り上がり部を有する印刷製品における特有の現象である。
【０００５】
また、損紙の除去はフォークの抜き差し時のタイミングを計っての作業であるため、しばしば、そのタイミングを忘れてしまうこともあり、次工程でのトラブルの原因となっていた。また、損紙の除去をタイミングよく行うには、１人のオペレータが予備の紙が給紙されたことを確認して、これを排紙部にいる他のオペレータに知らせて損紙が排出されるタイミングを見計らって取り出すため、２人のオペレータを必要とし省人化に問題があるとともに、除去作業自体も熟練を要するといった欠点があった。
【０００６】
また、このような事象が生じた場合、フォークそのものを洗浄することや、製品への付着インキを拭き取るといった修正作業が必要となり、この作業が機械停止をともなうことから機械稼働率の低下を招くとともに、オペレータにとって面倒且つ厄介な作業であった。また、製品への汚れ状態によっては、製品そのものが損紙となることから、かかるコストが上昇する。特に、このような不具合は一方の面の印刷が終了した仕掛製品に対して発生することから、コスト上昇に大きく影響する。これらの対策のひとつとして、予め調整用紙をフォーク接触部位に投入し、排紙部において除去することも実施されるが、作業の手間と掛かるコストの観点から有用ではない。
【０００７】
この問題点を解消する方策として、枚葉紙印刷機の給紙装置に設けられた補助パイルと主パイルとを一つにまとめるための装置であって、パレットに載積された主パイルを上昇させるための主パイルリフト装置と、補助パイルを支持するための補助パイル支持装置と、補助パイル支持装置を上昇させるとともに、補助パイル支持装置上に設置された補助パイルを上昇させるための補助パイルリフト装置とを有し、補助パイルと主パイルとを一つにまとめるために、まず、主パイルリフト装置を介して、主パイルの上側が、補助パイルの下側に進入する補助パイル支持装置に向かって移動可能であり、続いて、補助パイル支持装置は、補助パイルを、主パイルの上側に降下させながら、補助パイルの下側の領域から取り出し可能である装置において、補助パイル支持装置はガイド部材を有し、ガイド部材には、支持部材がスライド可能にガイドされており、支持部材は円筒状の棒体として形成されるとともに、チェーン部材を介して連結されており、それによって、補助パイルと主パイルとを一つにまとめる際に、チェーン部材を介して連結された支持部材は、一方で水平方向に補助パイルの下側の領域から取り出し可能であり、その後、補助パイルもしくは主パイルの側方近傍に、巻き付け可能または鉛直方向に導出可能であることを特徴とする装置がある（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００７−２９７２１４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
上述した先行技術である特許文献１の技術を用いた場合、特に支持部材は円筒状の棒体として形成されることから、印刷シートとの接触領域が小さく、シートへの汚れの付着が少なくて済むことから、ひとつの側面から勘案すると有用である。
【００１０】
しかしながら、支持部材はシートの重量を支持するべく高剛性の材料が用いられるので、必然的に重いものとなる。また、近年の印刷機では、大きなサイズのシート（例えば、Ｂ判規格１号；１，０３０ｍｍ×７２８ｍｍ）を用いることも多く、更に模様図柄も複雑化しており、重畳したシートの重量は増加する傾向にある。そこで、先行技術のように支持部材を円筒状の棒体として形成すると、接触領域が小さい分、ひとつの領域に掛かる圧力は大きなものとなることから、シートと支持部材の接触において発生するインク汚れ等の不具合を必ずしも防止することができない。一旦、シートにインク汚れが発生すると、そのインク汚れが下流に存するブランケットシリンダ、プレートシリンダ、プレスシリンダ等、各種シリンダに伝播することになり、このことが更なる損紙の発生を誘発することに留まらず、各シリンダの清掃を不可欠なものとすることから有用でない。
【００１１】
また、シート表面にフイルムや金属（ホログラム）を貼付したシートを給紙部に積載している場合、シート補充の際、フイルムや金属が支持部材と接触し、傷や皺等が入って損傷する場合もある。
【００１２】
これらの理由により必ずしも先行技術に移行しない現状がある。現在まで、インク盛りの多い印刷シートを積載した場合におけるシート補充装置の支持部材（シート支持体、フォーク）に関しては何ら改良が行われておらず、特にシート支持体における表面の材質、形状に関する研究は承知していない。現時点において、上述した問題点への対策が施されておらず、少なからず開発の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
上記のような課題を解決するため、本発明の生産機械のシート補充装置は、枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から準備位置に移動可能であり、複数の補助積みシート支持体が、一辺の稜角部に面取を施した方形である生産機械のシート補充装置とした。
【００１４】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から準備位置に移動可能であり、複数の補助積みシート支持体が、楕円錐台形状又は中空の楕円錐台形状である生産機械のシート補充装置とした。
【００１５】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から準備位置に移動可能であり、複数の補助積みシート支持体が、通気孔を有している生産機械のシート補充装置とした。
【００１６】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、複数の補助積みシート支持体の表面に低摩擦材料を被覆している生産機械のシート補充装置とした。
【００１７】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、複数の補助積みシート支持体の表面に複数の突起状物を有している生産機械のシート補充装置とした。
【００１８】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、補助積みシート支持体の表面に存する突起状物は、規則性を有した千鳥状態に配置している生産機械のシート補充装置とした。
【００１９】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、補助積みシート支持体は、静電気除去装置を連設している生産機械のシート補充装置とした。
【００２０】
さらに、本発明の生産機械のシート補充装置は、補助積みシート支持体は、エア供給装置を連設している生産機械のシート補充装置とした。
【発明の効果】
【００２１】
本発明の生産機械のシート補充装置は、インク盛り上がり部を有しているシート、あるいはフイルム及び／又は金属を貼付したシートを対象とした場合、シート支持体について、該シートとの摩擦抵抗を低減させる種種の措置が施されていることから圧力分散が可能となり、インクの擦れによる汚れや、フイルム及び／又は金属への損傷が発生し難く、製品品質の保全が実現できるという効果を奏する。
【００２２】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、従前技術のように予めインクの擦れ等の不具合に対処するための調整用紙の挿入を行わなくて済むことから、余剰なコストが必要でなく、シートの補充にかかるコストの低廉化が図れるという効果を奏する。
【００２３】
さらに、本発明の生産機械のシート補充装置を用いることで、シートが大判化された場合においても、連続的に良好なシートの供給が可能となるとともに上述した課題における全ての問題点が解消されることから、従前までオペレータにより実施していたインク汚れ等の不具合シートの抜き取り、該シートにおけるインク汚れの修正作業、頻繁なるシート支持体の洗浄作業等、各種の作業が少なくて済み、オペレータの作業負荷の低減及び生産機械の稼動における不稼働時間の低減が図れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】本発明の生産機械のシート補充装置を示す概略図である。
【図２】本発明のシート支持体の一例を示す概略図である。
【図３】本発明のシート支持体の一例を示す概略図である。
【図４】本発明のシート支持体の一例を示す概略図である。
【図５】本発明のシート支持体の一例を示す概略図である。
【図６】本発明のシート支持体のａ−ａ’断面を示す概略図である。
【図７】本発明のシート支持体仕組の一例を示す概略図である。
【図８】本発明のシート支持体仕組の一例を示す概略図である。
【図９】一般的な枚葉印刷機のシート補充装置を示す概略図である。
【図１０】一般的なシート支持体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【００２５】
図１乃至図１０に基づき、この発明の実施形態を説明する。図１は本発明における生産機械のシート補充装置の概略図である。また、図２乃至図５はそれぞれ本発明におけるシート支持体の一例を示す概略図である。また、図６は本発明におけるシート支持体のａ−ａ’にて切断した場合の断面概略図である。さらに、図７及び図８はシート支持体仕組の一例を示す概略図であり、図９、図１０は一般的な枚葉印刷機のシート補充装置の概略図、一般的なシート支持体の概略断面図をそれぞれ示す図面である。
【００２６】
まず、一般的な枚葉印刷機のシート補充装置について詳細に説明する。図９に示す一般的な枚葉印刷機のシート補充装置は、枚葉紙のシート群（１５）を積層するシート載置台（２）と、シート載置台（２）を昇降チェーン（４）により昇降移動させる昇降部材（３）と、給紙部全体を固定するフレーム（５）と、少量となったシート群（１５’）を一時的に保持する補助積みシート支持体（１６）とから構成され、シート載置台（２）には補助積みシート支持体（１６）を挿入するシート支持体挿入口（６）が存する態様であり、新たに積層した枚葉紙のシート群（１５）と予め積層され少量となったシート群（１５’）をドッキングさせ、シートの連続給紙を実現する装置である。ここで、シート支持体（１６）の形状は図１０に示すように円筒状棒体とした態様であり、その材質はおおよそ金属製である。
【００２７】
一方、図１に示すように本発明の生産機械のシート補充装置は、少量となったシート群（１５’）を一時的に保持するシート支持体の態様を一辺の稜角部に面取を施した方形（１）としている。また、シート支持体（１）の材質は、鋳鉄（金属）あるいは硬質樹脂にて作製している。なお、その他の構成部材については、一般的な枚葉印刷機のシート補充装置と類似していることから、その説明を省略する。
【００２８】
また、本発明の生産機械のシート補充装置におけるシート支持体の態様は、図２に示すように単体でなく、複数のシート支持体（１）をシート支持体固定部材（８）によって、シート支持体支持部材（７）にネジあるいは溶接等により固着させた態様とする場合もある。さらにシート支持体（１）については、シートへの挿入時における抵抗を極小化させるために、一方（先端）の外径を他方（後端）の外径より小さく設計している。
【００２９】
また、本発明の生産機械のシート補充装置におけるシート支持体の態様は、図３に示すようにシート支持体（１）の表面に突起状物（９）を複数配置している態様とする場合もある。特に表面に複数配した突起状物（９）の形状を半円球突起とし、規則的に複数配している態様とする場合もある。ここで、半円球突起は、直径２ｍｍ乃至５ｍｍの半円球形状としており、それぞれの半円球突起のピッチを５ｍｍ乃至１０ｍｍに設計している。また、図４においては、一例として突起状物（９）を規則的な千鳥配置としている。これらは積載したシート群（１５、１５’）の図柄模様等に応じて適宜設計することになる。
【００３０】
また、本発明の生産機械のシート補充装置におけるシート支持体の態様は、図５に示すように楕円錐台形状のシート支持体（１１）とする場合もある。楕円錐台とすることで、従前の技術ような円筒状の棒体としたシート支持体（１６）に比して、シート（１５）への接触領域が大きくなることからシート支持体が受ける圧力を緩衝している。当然、シート支持体（１１）については、シートへの挿入時における抵抗を極小化させるために、一方（先端）の外径を他方（後端）の外径より小さく設計している。また、シート支持体の態様を中空の楕円錐台形状（図示しない）とする場合もある。シート支持体を中空部材とすることで、シート支持体そのものの重量を適宜調整することが可能となる。
【００３１】
また、図６は図２に示すシート支持体（１）のａ−ａ’断面図である。図６に示すように本発明の生産機械のシート補充装置は、シート支持体（１、１１）の表面に低摩擦材料である例えばフッ素樹脂（１０）を被覆成形した態様とする場合もある。なお、シート支持体（１、１１）の表面に被覆する材料としては、フッ素以外の材料であってもよく、チタンあるいはタングステン等を用いる場合もある。
【００３２】
また、本発明の生産機械のシート補充装置は、シート支持体（１、１１）の近傍に存する静電気を効果的に除去するため、図７に示すように空気又はガスによりイオンを発生させて電荷中和する静電気除去装置（１２）を連設させた態様とする場合もある。
【００３３】
さらに、本発明の生産機械のシート補充装置は、図８に示すようにシート支持体（１、１１）の表面に複数の通気孔（１４）を有する態様とし、その通気孔（１４）からは、シート支持体（１、１１）に連設したエア供給装置（１３）から任意に設定したエア供給量を吐出させることが可能である。なお、通気孔（１４）の形状としては、図８では円形状としているが、特に限定しているものではなく、楕円形状や方形状あるいはスリット形状に設計する場合もある。
【実施例】
【００３４】
本発明における実施の例示について図面を参酌しながら詳細に説明する。図１に示すような態様である枚葉印刷機のシート補充装置を用いて、自動にノンストップで積みシートの補充（ドッキング）を実施した。まず、シート群としては、一方の面に凹版印刷が施された印刷済み枚葉シートを対象として、もう一方の面に凹版印刷を連続的に実施した。また、シート補充の条件としては、予め積層されたシート群（１５’）が３，０００枚になった時点で新たに積層した枚葉紙のシート群（１５）１０，０００枚をドッキングさせた。なお、シート支持体（１）は、図２に示すような一辺の稜角部に面取を施した方形とした態様とし、そのシート支持体（１）の表面を図６に示すようなフッ素樹脂（１０）を約２０μｍ被覆したものを用いた。
【００３５】
上記条件において、積みシートの補充（ドッキング）１０回目、２０回目、３０回目におけるシート表面及びシート支持体（１）の外観について、インクの付着状態、シートへの皺の発生状態を確認したところ、いずれの水準においても不良の発生は確認できなかった。なお、シートとシート支持体（１）の接触度合いを確認するために、下側積載シート群（１５’）の最上層に位置するシートの上層及び上側積載シート群（１５）の最下層に位置するシートの下層に図示しない加圧シート（プレスケール；富士フイルム社製）を配して、シートの補充（ドッキング）を実施した後の加圧状態を加圧シートの発色結果から確認した。その結果、シート支持体（１）からの押圧はシート表面に均一に分散していることを確認した。
【００３６】
また、図４に示すように、表面へ半円球突起（９）を規則的な千鳥配置に形成し、同様の条件にて積みシートの補充（ドッキング）を実施したところ、シート支持体（１）に対する摩擦抵抗が分散できており、有用な結果を得ることができた。なお、実施例では、半円球突起（９）の直径を２ｍｍ、３ｍｍ、５ｍｍと変更させるとともに、半円球突起（９）の配置ピッチを５ｍｍ、６ｍｍ、７ｍｍ、１０ｍｍと変更させて確認した。その結果、直径３ｍｍの半円球突起（９）であり、ピッチ６ｍｍの規則的な千鳥配置とした水準において、シート（１５、１５’）とシート支持体（１）間におけるインク汚れの発生防止の観点から有用であることを確認した。なお、半円球突起（９）の直径は、３ｍｍより小さく設計するとシート支持体（１）の平面部が接触する場合があり、３ｍｍより大きく設計すると僅かに接触斑が発生することを確認した。また、半円球突起（９）の配置ピッチは、６ｍｍより小さく設計すると接触斑が発生する場合があり、６ｍｍより大きく設計すると僅かにインク汚れが発生する傾向にあることを確認した。
【００３７】
また、図５に示すように、シート支持体（１１）の形状を楕円錐台としたものについても確認したが、シート支持体を円筒状の棒体として形成している従前技術に比して、寡少ではあるが、シート（１５、１５’）への圧力分散が可能であることを確認した。
【００３８】
また、実施例として、シート支持体（１）に連設している静電気除去装置（１２）を稼働させて実施したところ、シート群のドッキング時において発生が顕著である下側積載シート群（１５’）の最上層に位置するシート及び上側積載シート群（１５）の最下層に位置するシートが静電気により横ずれする不具合の発生についても抑制できていたことを確認した。
【００３９】
さらに、実施例として、シート支持体（１）に連設しているエア供給装置（１３）を稼働させた場合についても確認したが、何ら不具合の発生はなく、いたって良好な結果を得ることができた。
【００４０】
なお、用いるシート群をインク盛りが多い（約４５μｍ）スクリーン印刷製品としての確認も行っているが、同様に有用な結果を得ることができた。本実施における詳細については、シート群を凹版印刷製品とした例示と略同様の条件であるので、その詳細を省略する。
【００４１】
上述した実施例において、シート支持体（１）と接触するシートについて、詳細に観察したところ、インク汚れ等の不良は存在しなかった。また、シート支持体（１）の表面についても確認したが、インク汚れ等の不良は存在しなかった。さらに、およそ８０回のシート群（１５、１５’）のドッキングを実施し、インク汚れについて確認したところ、インク汚れ等の不良はまったく存在せず、洗浄を施すことなく、更なるシート群のドッキングを実施することが可能な状態であった。
【００４２】
上述した実施例はあくまで例示の一例に過ぎず、特許請求の範囲に記載されている範囲において、あらゆる実施の形態が存在することは言うまでもない。例えば、シート支持体に突起状物が存する態様であればよく、長円形突起とする場合も容易に推量できる。また、シート補充のドッキング時におけるシートへのインキの付着を観察しやすくするために、シート支持体を着色する場合なども容易に推量でき、当然権利範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【００４３】
１ シート支持体（方形フォーク）
２ シート載置台
３ 昇降部材
４ 昇降チェーン
５ フレーム
６ シート支持体挿入口
７ シート支持体支持部材
８ シート支持体固定部材
９ 突起状物
１０ 低摩擦材料（フッ素樹脂）
１１ シート支持体（楕円錐台フォーク）
１２ 静電気除去装置
１３ エア供給装置
１４ 通気孔
１５ シート群
１５’ シート群
１６ シート支持体（円筒状棒体フォーク）
ａ―ａ’ シート支持体断面
【特許請求の範囲】
【請求項１】
枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から前記準備位置に移動可能であり、前記複数の補助積みシート支持体が、一辺の稜角部に面取を施した方形であることを特徴とする生産機械のシート補充装置。
【請求項２】
枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から前記準備位置に移動可能であり、前記複数の補助積みシート支持体が、楕円錐台形状又は中空の楕円錐台形状であることを特徴とする生産機械のシート補充装置。
【請求項３】
枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から前記準備位置に移動可能であり、前記複数の補助積みシート支持体が、通気孔を有していることを特徴とする生産機械のシート補充装置。
【請求項４】
前記複数の補助積みシート支持体の表面に低摩擦材料を被覆していることを特徴とする請求項１乃至請求項３記載のいずれかに記載の生産機械のシート補充装置。
【請求項５】
前記複数の補助積みシート支持体の表面に複数の突起状物を有していることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の生産機械のシート補充装置。
【請求項６】
前記補助積みシート支持体の表面に存する突起状物は、規則性を有した千鳥状態に配置していることを特徴とする請求項５記載の生産機械のシート補充装置。
【請求項７】
前記補助積みシート支持体は、静電気除去装置を連設していることを特徴とする請求項１乃至請求項６のいずれかに記載の生産機械のシート補充装置。
【請求項８】
前記補助積みシート支持体は、エア供給装置を連設していることを特徴とする請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の生産機械のシート補充装置。
【請求項１】
枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から前記準備位置に移動可能であり、前記複数の補助積みシート支持体が、一辺の稜角部に面取を施した方形であることを特徴とする生産機械のシート補充装置。
【請求項２】
枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から前記準備位置に移動可能であり、前記複数の補助積みシート支持体が、楕円錐台形状又は中空の楕円錐台形状であることを特徴とする生産機械のシート補充装置。
【請求項３】
枚葉紙を積載する装置内で自動にノンストップで積みシートを補充するための装置であって、少なくとも複数の補助積みシート支持体が枚葉紙給紙装置内の積みシート空間の外方の水平面から逸脱している準備位置から、積みシート空間の内方の水平な作業位置に移動可能であって、かつ該作業位置から前記準備位置に移動可能であり、前記複数の補助積みシート支持体が、通気孔を有していることを特徴とする生産機械のシート補充装置。
【請求項４】
前記複数の補助積みシート支持体の表面に低摩擦材料を被覆していることを特徴とする請求項１乃至請求項３記載のいずれかに記載の生産機械のシート補充装置。
【請求項５】
前記複数の補助積みシート支持体の表面に複数の突起状物を有していることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の生産機械のシート補充装置。
【請求項６】
前記補助積みシート支持体の表面に存する突起状物は、規則性を有した千鳥状態に配置していることを特徴とする請求項５記載の生産機械のシート補充装置。
【請求項７】
前記補助積みシート支持体は、静電気除去装置を連設していることを特徴とする請求項１乃至請求項６のいずれかに記載の生産機械のシート補充装置。
【請求項８】
前記補助積みシート支持体は、エア供給装置を連設していることを特徴とする請求項１乃至請求項７のいずれかに記載の生産機械のシート補充装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２０１１−１０５４２１（Ｐ２０１１−１０５４２１Ａ）
【公開日】平成２３年６月２日（２０１１．６．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２６０５４５（Ｐ２００９−２６０５４５）
【出願日】平成２１年１１月１６日（２００９．１１．１６）
【出願人】（３０３０１７６７９）独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年６月２日（２０１１．６．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１１月１６日（２００９．１１．１６）
【出願人】（３０３０１７６７９）独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]