生育部材
【課題】藻類の生育段階に合わせた生育環境を藻類増殖部材本体21の表面21Aに簡易な構成で整える。
【解決手段】
藻類を生育するための藻類増殖部材本体21を有する藻類の生育部材において、前記藻類増殖部材本体21の表面21A上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部212a、212b、212cを設ける。
【解決手段】
藻類を生育するための藻類増殖部材本体21を有する藻類の生育部材において、前記藻類増殖部材本体21の表面21A上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部212a、212b、212cを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藻場を形成する藻類を生育するための生育部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磯焼けなどにより消失した藻場をより効率よく回復し、あるいは従前は藻場が存在しなかった箇所に新たに藻場を造成して優良な漁場を創出する方策として、主として藻類の生育機能と海底に固定するための台座機能とを分けて考慮し、生育部材と台座部材とを着脱可能に取り付けられるようにしたいわゆる着脱式藻場増殖礁が考えられている。この着脱式藻場増殖礁では、生育部材を用いて生育に適した生育ゾーンで藻類を胞子から初期培養し或いは幼芽から中間培養し、藻類がある程度まで成育すれば藻場を造成すべき造成ゾーンに生育部材を移設して台座部材に取り付けることによって藻場増殖礁を形成するようにしたものである。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3532865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、藻類は各生育段階で大きさや生態が著しく異なるため、藻類が必要とする環境は生育するに従って徐々に変化する。よって、上述の様に同一の生育部材の上で藻類を胞子や幼芽の段階から藻場を形成する成体等の段階まで育てることは困難であった。また、藻類の各種生育段階に応じた環境が整っていないと、例えば、生育部材上に折角育てた藻類が良好に活着せず海流に流されてしまうこともあり、それまでにかけた多大な労力や月日が無駄になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明の生育部材は、藻類を生育するための生育部材本体を有する藻類の生育部材において、前記生育部材本体の表面上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部を設けていることを特徴とする。
【0005】
このような構成を採用することで、藻類の生育段階に合わせた生育環境を簡易な構成にて生育部材本体の表面に整えることが可能となり、また、当該生育部材を利用することで藻類が良好に育ち藻場においても適切に活着する確率が飛躍的に向上する。
【0006】
更に、製造の簡便性や製造方法の選択自由度を考慮すると、前記突起部を前記生育部材本体の表面に対して垂直に設けることや、前記突起部を円柱形状とすることが望ましい。
【0007】
加えて、前記生育部材本体を樹脂にて成形することで生育部材本体をより簡易に製造できる他、軽量化を図ることが可能となるため取り扱いの利便性が向上し、例えば垂下式中間育成システム等にも好適に利用することができる。
【0008】
また、前記生育部材本体を射出成形することで、量産性に優れ、品質のばらつきが小さい部材を得ることができる。
【0009】
更に、前記生育部材本体から拡張した藻類の根が活着する活着部を有するスペーサ部材を具備し、前記生育部材本体を前記スペーサ部材に対して取り付け、生育部材本体と当該生育部材本体を海底に保持する台座との間に前記スペーサ部材を介在させることが考えられる。
【0010】
これにより、生育した藻類がしっかりとした大きな根を張ることができ、成長した藻類に適した生育環境を活着部に整えておき、藻類の生育環境をより向上させることができる。
【0011】
更には、当該スペーサ部材にて生育部材本体を台座から離間させているため、例えば、海底の砂が舞って前記生育部材本体の上の藻類の胞子等が砂に埋もれてしまうことを防止することや、生育した藻類の根が張る部位を確保することが可能となる。
【0012】
加えて、前記生育部材本体を前記スペーサ部材に対して着脱可能に取り付けることで、例えば、前記生育部材本体から拡張した藻類の根が前記活着部に活着した後に新たな生育部材本体を再び前記スペーサ部材に取り付けて更に藻類を追加することで豊富な藻類を蓄えた藻場を実現することができる。また、当初取り付けた生育部材本体の上で藻類が生育しなかった場合には、良好に育っている生育部材本体に取り替えるなど、個々の生育状況に応じて柔軟な対応をすることも可能である。
【0013】
更には、このようにスペーサ部材を、藻類の胞子等を付着させた生育部材本体と別体とすることで、生育部材本体の形状や重量等の自由度が飛躍的に高まり、当該生育部材本体を軽量且つ取り扱い易い形状とすることができる。
【0014】
また、前記生育部材本体の着脱を容易にするためには、前記スペーサ部材と前記生育部材本体との間に隙間を形成するための凹部を前記スペーサ部材又は前記生育部材本体に設けることが望ましい。
【0015】
加えて、前記突起部に藻類の胞子等を付着させた種糸を掛け回すことによって、種糸を取り付けるように構成することで、生育部材本体に藻類が着生し成育すると、藻類は生育部材本体に形成した突起部を抱きかかえるように根を張ることができるため、藻類を安定的に生育部材本体に活着させることが可能となる。
【0016】
更に、突起部に掛け回した種糸を生育部材に容易に固定するためには、前記種糸を差し入れる差込口と、当該差込口よりも幅狭な固定口と、当該差込口と前記固定口とを連通する連通溝とを有する固定用切欠部を前記生育部材本体に形成し、前記差込口から前記固定口に向って順に前記種糸を差し込んで固定することが望ましい。
【0017】
また、前記生育部材本体に、当該生育部材本体を水中に吊り下げるための吊下げ具を取り付けるための取付部を設けることで、例えば生育部材本体のみを海中に吊り下げて藻類を胞子から初期培養等し藻類をある程度まで生育するような方法を容易に実現し、藻類の生育を更に良好とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、簡易な構成にて藻類の生育段階に合わせた生育環境を生育部材本体の表面に整えることが可能となり、当該生育部材を用いることで藻類が良好に育ち藻場においても適切に活着する確率が飛躍的に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
本発明の藻類増殖部材2(本発明の「生育部材」に相当する。)を採用した増殖礁Aは、海底に沈設して使用されるものであって、例えば、図1に示すように、アワビ、トコブシ、サザエ、ウニ等の磯根資源を稚体から成体まで成育・増殖させることを主目的とする磯根資源増殖ブロック1(本発明の「台座」に相当する。)と、アラメ、クロメ、カジメ等の藻類を生育・増殖させて藻場を形成することを主目的とする藻類増殖部材2と、藻類増殖部材2を磯根資源増殖ブロック1に着脱可能に取り付けるための止着具Xと、海底に接地されてこれら磯根資源増殖ブロック1及び藻類増殖部材2を支持するコンクリートベース3と、磯根資源増殖ブロック1とコンクリートベース3との間に配する中間取付部材4と、磯根資源増殖ブロック1及び藻類増殖部材2を覆うことで覆った内部空間に稚体の成育・増殖に適した磯根資源成育領域及び藻類の生育・増殖に適した藻類生育領域Pを形成する防護ネット装置5と、コンクリートベース3に設けた貫通孔に対して着脱可能な貫通孔用部材6とを具備して成る。以下、各部を具体的に説明する。
【0021】
磯根資源増殖ブロック1は、図1、図2に示すように、平面視ほぼ正方形の平板の下に、下面を上面よりも小さいほぼ正方形状とした正四角錐台を一体に連続させた形状をなすコンクリート製ブロックからなる本体部11を主体としている。そして、その上面に、藻類増殖部材2を取付可能に設定している。なお、当該上面に、さらに他の磯根資源増殖ブロック1を取り付けることもできる。また、この本体部11の下端部には、コンクリートベース3のブロック取付部(図示せず)に挿入するアンカー筋12を下方へ鉛直に突出させて埋設してある。すなわち、このアンカー筋12がブロック取付部内のバネワッシャに引っ掛かる構成により、磯根資源増殖ブロック1が中間取付部材4を介してコンクリートベース3に固定されることとなる。さらに、本体部11の上端部には、隣接する磯根資源増殖ブロック1に向けて突出する半球状の突起13が形成してあり、この突起13により隣接する本体部11同士が直接衝突して欠けたり割れたりすることを防止している。なお、この突起13は、ブロック取付部34に軸着された磯根資源増殖ブロック1が水平方向へ回転することを抑制する機能と、隣接する磯根資源増殖ブロック1の位置決め機能をも有している。また、本体部11の上面には、藻類増殖部材2を着脱可能に取り付けられるようにするために、複数(図示例では4本)のステンレス製のボルト14を起立姿勢で埋設してある。
【0022】
藻類増殖部材2は、図2に示すように、藻類を生育するための藻類増殖部材本体21(本発明の「生育部材本体」に相当する。)と、当該藻類増殖部材本体21から拡張した藻類の根が活着する活着部221を有するスペーサ部材22とを具備し、当該スペーサ部材22を前記藻類増殖部材本体21と当該藻類増殖部材本体21を海底Pに保持する重しとしてのアンカー機能を有する磯根資源増殖ブロック1との間に、着脱可能に介在させる構成としている。
【0023】
藻類増殖部材本体21は、20cm×6cm程度の平面視上下左右対称の略長方形状を有する樹脂製プレートであり、射出成形により製造している。また、当該藻類増殖部材本体21の表面21A上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部212a、212b、212cを互いに接した状態に設けることでアラメ等の海藻B0が活着しやすい構成としている。
【0024】
具体的には、図5、図6に示すように、薄板状の基材部211の表面上に高さが異なる第一突起部212a、第二突起部212b、第三突起部212cを其々複数形成し、当該第三突起部212cにアラメ等の海藻B0の胞子や遊走子等を付着させた種糸Yを掛け回して取り付ける。
【0025】
更に、当該藻類増殖部材本体21は、図4に示すように、前記種糸Yを表面21Aに巻き付けた状態で海中に吊り下げて海藻B0を育成する垂下式中間育成システムに適しているため、図5に示すように、その表面21A上に当該藻類増殖部材本体21を水中に吊り下げるための吊下げ具Hを構成するロープH1を当該藻類増殖部材本体212の表面21Aに添接させる添接路214を形成すると共に、当該吊下げ具Hに当該藻類増殖部材本体212を取り付けるための吊下げ具取付部215を設けている。
【0026】
基材部211は、後述する吊下げ具取付部215を開口した一定(3mm程度)の厚みを有する薄板材である。
【0027】
第一突起部212aは、藻類増殖部材本体21の表面21Aを凸の形状をなすように部分的に盛り上げる隆起部であり、前記基材部211と一体に形成している。複数の第一突起部212aは、前記添接路214や止着具Xの取付面XA等を回避した部位に長手方向に列を成した状態で前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに対して垂直に立設している。
【0028】
更に、当該第一突起部212aは、藻類の根が生える前の生育段階に適した高さを有する突起部である。本実施の形態においては、当該第一突起部212aは、高さ方向に沿って各部等断面形状を成す円柱形状であり、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aからの高さを0.5mm程度、その直径を2mm程度としている。
【0029】
第二突起部212bは、前記第一突起部212aと同様に藻類増殖部材本体21の表面21Aを凸の形状をなすように部分的に盛り上げる隆起部であり、前記基材部211と一体に形成している。複数の第二突起部212bは、前記添接路214や止着具Xの取付面XA等を回避した部位に各々一定間隔を隔てて長手方向に列を成した状態で前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに対して垂直に立設している。
【0030】
更に、当該第二突起部212bは、前記第一突起部212aより高い高さである藻類の根が生え始めた生育段階に適した高さを有する突起部である。本実施の形態においては、当該第二突起部212bは、高さ方向に沿って各部等断面形状を成す円柱形状であり、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aからの高さを3mm程度、その直径を2mm程度としている。
【0031】
第三突起部212cは、前記第一突起部212a等と同様に藻類増殖部材本体21の表面21Aを凸の形状をなすように部分的に盛り上げる隆起部であり、前記基材部211と一体に形成している。複数の第三突起部212cは、前記添接路214や止着具Xの取付面XA等を回避した部位に各々一定間隔を隔てて長手方向に列を成した状態で前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに対して垂直に立設している。
【0032】
更に、当該第三突起部212cは、前記第二突起部212bより高い高さである藻類の根が延びた生育段階に適した高さを有する突起部である。本実施の形態においては、当該第三突起部212cは、高さ方向に沿って各部等断面形状を成す円柱形状であり、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aからの高さを1.5cm程度、その直径を1cm程度としている。
【0033】
ここで、各突起部の配列について説明すると、第二突起部212b及び第三突起部212cの周囲を囲むように前記第一突起部212aを前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに立設している。また、各突起部の個数は、第一突起部212a、第二突起部212b、第三突起部212cの順に多く設けている。
【0034】
固定用切欠部213は、図5に示すように、藻類増殖部材本体21の対向する両側端から中央に向かって藻類増殖部材本体21の一部を長手方向に沿って切り欠いた一対の切欠部である。
【0035】
具体的には、図7に示すように、前記種糸Yを差し入れる差込口213aと、当該差込口213aよりも幅狭な固定口213bと、当該差込口213aと前記固定口213bとを連通する連通溝213cとを有し、前記差込口213aから前記固定口213bに向って順に前記種糸Yを差し込んで固定する構成としている。
【0036】
差込口213aは、前記藻類増殖部材本体21の表面側に設けた幅2mm程度の開口であり、当該開口を藻類増殖部材本体21の表面側から裏面側に向けて漸次幅狭とする勾配を有している。
【0037】
固定口213bは、前記藻類増殖部材本体21の裏面側に設けた前記種糸Yの直径よりも小なる幅0.8mm程度の開口であり、当該開口に前記種糸Yを押し込んで藻類増殖部材本体21に固定できるように構成している。
【0038】
連通溝213cは、前記差込口213aから差し込んだ種糸Yを前記固定口213bに導くための溝であり、前記藻類増殖部材本体21の側面側を開口している。
【0039】
添接路214は、図4に示すように、複数の突起部212a、212b、212cを避けた中央部に設けた藻類増殖部材本体21の平面的な表面21A上の部位であり、藻類増殖部材本体21を吊り下げるロープH1を添接路214に添接させて取り付けた状態で海中に吊す際に、そのロープH1を前記表面21Aに沿って幅方向に亘って通過させる。
【0040】
吊下げ具取付部215は、前記藻類増殖部材本体21を前記吊下げ具Hに取り付けるための取付部である。本実施の形態においては、前記添接路214上、具体的には当該藻類増殖部材本体21の略中央部に位置する厚み方向に貫通する直径1.4cm程度の貫通孔であり、当該貫通孔に前記ロープH1を通すことで、藻類増殖部材本体21を吊下げ具Hに取り付けられるようにしている。
【0041】
また、当該吊下げ具取付部215は、前記藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1に取り付けるための取付部としての機能も有している。具体的には、吊下げ具取付部215である貫通孔に磯根資源増殖ブロック1上に設けたボルト14を挿通させた状態で止着具X及び薄肉略リング状を成すゴム製の弾性体(図示せず)を用いて藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1の上方に着脱可能に固定する。
【0042】
従って本実施形態の場合、当該吊下げ具取付部215を用いてロープH1に藻類増殖部材本体21を吊下げる垂下式中間育成システムを採用し、この藻類増殖部材本体21を、海藻B0が海底でウニ、巻貝、ウミウシ等の植食生物による食害被害に遭いにくくなる大きさ、すなわちフロロタンニン等の苦み成分を分泌できる大きさである目視により海藻B0が3〜10cmとなるまで生長させ、その後当該藻類増殖部材本体21を海中から引き上げて作業船上で当該藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1のボルト14にスペーサ部材22を介在させた状態で着脱可能に取り付ける。
【0043】
尚、前記止着具Xの取付面XA、前記添接路214及び固定用切欠部213の周面213Xは、各種取付性等を考慮して平坦面としている。
【0044】
スペーサ部材22は、前記藻類増殖部材本体21と前記磯根資源増殖ブロック1とを離間させる機能を有するものであり、前記藻類増殖部材本体21と同様に、略中央部に厚み方向に貫通する直径1.4cm程度の貫通孔を形成し、当該貫通孔に前記磯根資源増殖ブロック1上に設けたボルト14を挿通させた状態で止着具Xを用いて前記藻類増殖部材本体21と前記磯根資源増殖ブロック1との間に着脱可能に固定される。また、当該スペーサ部材22を手で取り扱い得る程度の大きさ及び重量(約1.5KG程度)を有するものとすることで、運搬等の取り扱い、メンテナンスの便を向上するようにしている。
【0045】
詳述すると、当該スペーサ部材22は、一辺を20cmとする平面視略正方形状を成し3cm程度の厚みを有するコンクリート製の部材であり、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aよりも広い平面視形状を有する表面22Aと、当該表面22Aと連続して設けた高さ確保部224を形成する側周面22Bと、当該側周面22Bと連続して設けた裏面22Cとを有する。
【0046】
尚、スペーサ部材22を藻類増殖部材本体21と前記磯根資源増殖ブロック1との間に固定した状態で、当該スペーサ部材22の表面22Aと前記藻類増殖部材本体21の裏面21B、当該スペーサ部材22の裏面22Cと磯根資源増殖ブロック1の表面とが当接するため、取付性(取り付けた時の座り等)を考慮して前記スペーサ部材22の表面22Aの一部、スペーサ部材22の裏面22C、前記藻類増殖部材本体21の裏面21B及び磯根資源増殖ブロック1の表面を平坦面としている。
【0047】
活着部221は、複数の突起部221aを有する面であり当該突起部221a等を用いて前記藻類増殖部材本体21から拡張した藻類の根を良好に活着させる。具体的には、後述する藻類増殖部材本体取付部222の周囲を囲む部位であるスペーサ部材22の両側端部に一対の活着部221を形成している。
【0048】
突起部221aは、前記スペーサ部材22の片面上に凸の形状をなすように部分的に盛り上げた隆起部である。本実施の形態においては、数cm程度の自然石を模している。
【0049】
藻類増殖部材本体取付部222は、前記藻類増殖部材本体21を当該スペーサ部材22に取り付けるために形成した溝部であり上方及び側方を開口している。当該藻類増殖部材本体取付部222である溝部は、藻類増殖部材本体21の長手寸法と略同様の長手寸法(20cm)と、当該藻類増殖部材本体21の短手寸法よりやや幅広な短手寸法(6.4cm)を有する平面視略長方形状の底面と、当該底面から前記活着部221に向けて開口が漸次広くように所定角度の傾斜をつけた側面とを有している。更に、前記藻類増殖部材本体21の厚みと略同一程度の深さを有し、藻類増殖部材本体21を取り付けた状態で当該藻類増殖部材本体21の表面21Aと前記活着部221とが略面一となるようにしている。
【0050】
凹部223は、前記藻類増殖部材本体21を前記藻類増殖部材本体取付部222に取り付けた状態で藻類増殖部材本体21とスペーサ部材22との間に指等を挿入可能な程度、具体的には、指等の挿入方向に10mm、当該挿入方向と直行する方向に20mm、当該スペーサ部材22の厚み方向に10mm程度の寸法を有するように当該スペーサ部材22の表面21Aを凹ませて形成している。
【0051】
本実施の形態においては、一対の凹部223をスペーサ部材22の対向する辺の略中央部に各々設けている。また、当該凹部223を前記固定用切欠部213の下方に設けることで藻類増殖部材本体21をスペーサ部材22に取り付ける際に前記固定用切欠部213に固定した種糸Yの端部が邪魔にならないようにしている。
【0052】
高さ確保部224は、前記藻類増殖部材本体21と台座となる前記磯根資源増殖ブロック1とを離間させて、前記磯根資源増殖ブロック1から前記藻類増殖部材本体21までに一定の高さを確保するための部位である。
【0053】
止着具Xは、図3に示すように、握った状態で操作可能な操作部X2および前記磯根資源増殖ブロック1に設けたボルト14に取り付けるためのナット部X3を有し、前記ボルト14と前記ナット部X3とを螺合させた状態で前記操作部X2を操作することにより、前記藻類増殖部材本体21及び前記スペーサ部材22を前記ボルト14に着脱可能に固定するものである。
【0054】
詳述すると、略円板状の台座部X1と、この台座部X1の上面側に設けた操作部X2とを具備するものである。
【0055】
操作部X2は、台座部X1の略中央部から起立する略円柱状の起立部X21と、この起立部X21を挟み込む位置に設けられ上方に向けて二股に分かれる一対の薄板状の鍔部X22とを具備して成るものであって、操作部X2全体を把持して操作することもできるし、操作部X2の一部(例えば、一方の鍔部X22)を把持して操作することもできる。
【0056】
また、本実施形態では、台座部X1の裏面から起立部X21の略中央高さ位置にかけてナット部X3を形成し、このナット部X3を利用してボルト14に螺着可能にしている。
【0057】
ここで、当該止着具X及び前記藻類増殖部材本体21の材質について詳述する。
【0058】
前記止着具X及び前記藻類増殖部材本体21は、樹脂からなり、本実施の形態においては加熱により融解し、冷却すると固化する熱可塑性樹脂を用いる。
【0059】
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ABS樹脂、AES樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル、PEEK、PEN、パラフィンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、脂肪酸エステル、グリセライト、変性ワックス及びシラン変性ポリオレフィン重合体等、公知の熱可塑性樹脂の中から、耐海水性、耐候性、藻類との相性を鑑みて選定した樹脂を使用する。
【0060】
尚、特に好ましいものは、シンジオタクチックポリスチレン、AES樹脂である。
【0061】
本体を構成する樹脂部は、天然に産出される無機フィラーと、総容量に対し一定量以下の樹脂とを含有することが好ましい。
【0062】
具体的には、前記無機フィラーは通常の樹脂と比較して環境への負荷が小さいため、前記無機フィラーの含有率を、50重量%以上(好ましくは、60重量%以上、より好ましくは、70重量%以上)としている。当該無機フィラーの含有率は、例えば衝撃強度など、得られる成形品に必要な物性を鑑みて判断する。また、当該無機フィラーの粒径は、成形に支障が無い程度、例えば、平均粒径数百μm以下程度であれば良い。
【0063】
更に、当該無機フィラーは天然に産出される無機フィラーであり、特に前記止着具X及び藻類増殖部材本体21は、自然界、更には海中で使用されるため、当該無機フィラーを海中に存在する資源に由来する無機フィラーとすることが望ましい。
【0064】
ここで、天然に産出される無機フィラーとしては、珪石粉末、炭酸カルシウム粉末、石灰石粉末、シラス粉末、骨石粉末、珪藻土粉末、粘土粉末等が考えられる。また、海中に存在する資源に由来する無機フィラーとしては、牡蠣、ホタテ、サザエ、赤貝、つぶ貝、アサリ、しじみ等の貝殻粉末や、サンゴ粉末等が挙げられる。
【0065】
その他、強度向上のための添加物として、弾性率、強度、弾性回復率等の力学特性に優れた短繊維、ウィスカ、フィブリッド等の繊維状のものであり、例えばガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウムやホウ酸アルミニウム等のウイスカ、ボロン繊維やチタン繊維等の金属繊維、アラミド繊維等の有機繊維、ヤシ、もみがら、ケナフ、麻、木綿、絹や納豆等の天然由来の繊維状物質を止着具X及び前記藻類増殖部材本体21に混在することが考えられる。
【0066】
コンクリートベース3は、図1に示すように、海底において当該増殖礁Aを安定設置するためのアンカー機能を有する部材であって、コンクリートにより一体形成されたベース本体31及び三本の支持脚32から構成されるものを基本構成としている。
【0067】
中間取付部材4は、図1に示すように、平面視略矩形状を成す薄板状の基板部41と、この基板部41の上面に突設した4つの隙間調節用突起部42とを具備し、これら各部をコンクリートにより一体に形成したものである。
【0068】
防護ネット装置5は、図1に示すように、コンクリートベース3に立設した柱状部材51と、これら柱状部材51を利用して取り付けられる防護ネット52と、この防護ネット52を柱状部材51に留める留め具53とを具備して成るものである。なお、同図における防護ネット52及び留め具53は作図の都合上一部を省略して図示している。以下、各部をより具体的に説明する。
【0069】
防護ネット52は、可撓性を有する化繊製のものであって、図1に示すように、4つの柱状部材51の上端部間を結んでなる面と略同じ大きさを有する上面網521と、隣接する柱状部材51間にそれぞれ配される計4つの起立網522とを備えてなり、且つ、上面網521の各辺とこれら上面網521の各辺にそれぞれ隣接する起立網522の辺とを連続させた単一のものである。
【0070】
そして、上面網521の網目寸法を、アイゴ、イスズミ、ブダイ等の藻食性魚類が通過できない程度の大きさに設定している。また、起立網522を、上下2段を成すように構成し、下段側の網目寸法を、稚体の通過を妨げ得るとともにヒトデ、タコ等の肉食性海中動物の侵入を防ぎ得る程度に設定する一方、上段側の網目寸法を、下段側の網目寸法よりも拡開させつつ藻食性魚類が通過できない程度の大きさに設定している。さらに、フジツボや貝等の付着物が防護ネット52に付着することを防止するために防護ネット52全体にシリコンを塗布している。
【0071】
また、本実施形態では、留め具53として、いわゆるインシュロックタイプの結束バン
ドを用いている。そして、この留め具53は、カッターナイフや鋏等刃部を有する道具を用いて切断できるよう、一般的な合成樹脂製のものとしている。
【0072】
貫通孔用部材6は、図1に示すように、剛性のある平面視略矩形状の枠体とこの枠体に周縁部を支持させた化繊製の網部とを備えるものである。そして、当該貫通孔用部材6の網目寸法を、稚体の通過を妨げ得る程度に設定している。また、本実施形態では、フジツボや貝等の付着物が貫通孔用部材6に付着することを防止するために貫通孔用部材6全体にシリコンを塗布している。
【0073】
次に、藻類増殖部材2を磯根資源増殖ブロック1に取り付ける方法について説明する。
【0074】
なお、防護ネット52は、その一部又は全部が柱状部材51から取り外されており、作業者が、藻類増殖部材2及び磯根資源増殖ブロック1に容易にアクセスできるものとして説明を進めることとする。
【0075】
まず、図4に示すように、垂下式中間育成システムにて前記藻類増殖部材本体21の上に藻類を育成した後、当該藻類増殖部材本体21を海中から引き上げて吊下げ具Hから藻類増殖部材本体21を取り外す。そして、図2に示すように、当該藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1のボルト14にスペーサ部材22を介在させた状態で貫通させる。
【0076】
その後、当該藻類増殖部材本体21の上から止着具Xをボルト14に嵌め、止着具Xの操作部X2を用いて止着具Xを締まる向きへ回すことで、ボルト14とナット部X3が螺着し、当該藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1にスペーサ部材22を介在させた状態で固定することができる。
【0077】
尚、本実施の形態においては、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aから拡張した藻類の根が前記活着部221に活着可能な状態に、前記藻類増殖部材本体21を前記スペーサ部材22に対して取り付け、藻類増殖部材本体21と当該藻類増殖部材本体21を海底に保持する磯根資源増殖ブロック1との間に前記スペーサ部材22を介在させる構成としている。
【0078】
以上のように、前記藻類増殖部材本体21の表面21A上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部212a、212b、212cを設けていることで、藻類の生育段階に合わせた生育環境を藻類増殖部材本体21の表面21Aに簡易に構成することができる。また、前記藻類増殖部材2を利用することにより、藻類が良好に育ち藻場においても適切に活着する確率が飛躍的に向上する。
【0079】
前記突起部212a、212b、212cを前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに対して垂直に設けると共に、前記突起部212a、212b、212cを円柱形状としているため前記藻類増殖部材本体21を簡便に製造でき、更には製造方法の選択自由度が増す。
【0080】
加えて、前記藻類増殖部材本体21を樹脂にて成形していることで藻類増殖部材本体21をより簡易に製造できる他、軽量化を図ることが可能となるため取り扱いの利便性が向上し、例えば垂下式中間育成システム等にも好適に利用することができる。
【0081】
また、前記藻類増殖部材本体21を射出成形していることで、量産性に優れ、品質のばらつきが小さい部材を得ることができる。
【0082】
更に、前記藻類増殖部材本体21から拡張した藻類の根が活着する活着部221を有するスペーサ部材22を具備し、前記藻類増殖部材本体21を前記スペーサ部材22に対して取り付け、藻類増殖部材本体21と当該藻類増殖部材本体21を海底に保持する磯根資源増殖ブロック1との間に前記スペーサ部材22を介在させている。
【0083】
これにより、生育した藻類が徐々に根を拡張して、藻類が成長し、成長した藻類に適した生育環境を活着部221に整えておき、藻類の生育環境をより向上させることができる。
【0084】
更には、当該スペーサ部材22にて藻類増殖部材本体21を離間させているため、例えば、海底の砂が舞って前記藻類増殖部材本体21の上の藻類の胞子等が砂に埋もれてしまうことを防止することや、生育した藻類の根が張る部位を確保することが可能となる。
【0085】
加えて、前記藻類増殖部材本体21を前記スペーサ部材22に対して着脱可能に取り付ける構成としていることにより、例えば、前記藻類増殖部材本体21から拡張した藻類の根が前記活着部221に活着した後に新たな藻類増殖部材本体21を再び前記スペーサ部材22に取り付けて更に藻類を追加することで豊富な藻類を蓄えた藻場を実現することができる。また、当初取り付けた藻類増殖部材本体21の上で藻類が生育しなかった場合には、良好に育っている藻類増殖部材本体21に取り替えるなど、個々の生育状況に応じて柔軟な対応をすることも可能である。
【0086】
更には、このようにスペーサ部材22を、藻類の胞子等を付着させた藻類増殖部材本体21と別体とすることで、藻類増殖部材本体21の形状や重量等の自由度が飛躍的に高まり、当該藻類増殖部材本体21を軽量且つ取り扱い易い形状とすることができる。
【0087】
また、前記スペーサ部材22と前記藻類増殖部材本体21との間に隙間を形成するための凹部223を前記スペーサ部材22に設けているため、容易に前記藻類増殖部材本体21をスペーサ部材22に対して着脱できる。
【0088】
加えて、前記突起部212cに藻類の胞子等を付着させた種糸Yを掛け回すことによって、種糸Yを取り付けるように構成していることで、藻類増殖部材本体21に藻類が着生し成育すると、藻類は藻類増殖部材本体21に形成した突起部212a、212b、212cを抱きかかえるように根を張ることができるため、藻類を安定的に藻類増殖部材本体21に活着させることが可能となる。
【0089】
更に、前記種糸Yを差し入れる差込口213aと、当該差込口213aよりも幅狭な固定口213bと、当該差込口213aと前記固定口213bとを連通する連通溝213cとを有する固定用切欠部213を前記藻類増殖部材本体21に形成し、前記差込口213aから前記固定口213bに向って順に前記種糸Yを差し込んで固定する構成を採用しているため、突起部212a、212b、212cに掛け回した種糸Yを生育部材に容易に固定できる。
【0090】
また、前記藻類増殖部材本体21に、当該藻類増殖部材本体21を水中に吊り下げるための吊下げ具Hを取り付けるための吊下げ具取付部215を設けていることで、例えば藻類増殖部材本体21のみを海中に吊り下げて藻類を胞子から初期培養等し藻類をある程度まで生育するような方法を容易に実現し、藻類の生育を更に良好とすることができる。
【0091】
尚、本発明は上記したこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0092】
本実施の形態においてはカジメ等の藻類について説明したが、仮盤状の付着器にて前記藻類増殖部材本体21に付着するホンダワラ、アカモク等の藻類を生育・増殖させて藻場を形成してもよいのは勿論である。その際には、前記突起部212a、212b、212cの高さ等を藻類の生態に合わせて変更すると良い。
【0093】
また、本実施の形態においては、台座として磯根資源増殖ブロック1を利用しているが、その他、海中に存在する岩などを台座として利用することも考えられる。
【0094】
前記藻類増殖部材本体21や止着具Xを製造する成形方法としては、射出成形法、押出成形法、加圧成形法等を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の成形法を利用することができる。
【0095】
更に、本実施の形態においては、凹部223をスペーサ部材22に設けているが、例えば前記藻類増殖部材本体21の裏面21Bを凹ませるなどして前記凹部223を前記藻類増殖部材本体21に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施形態に係る増殖礁を示す斜視図。
【図2】同実施形態における止着具及び藻類増殖部材等の取付関係を示す斜視図。
【図3】同実施形態における藻類増殖部材を磯根資源増殖ブロックに取り付けた状態を示す斜視図。(藻類が活着部に活着した状態を示す斜視図)
【図4】同実施形態における藻類増殖部材の取り扱い方法を示す模式図。
【図5】同実施形態における藻類増殖部材本体の平面図。
【図6】同実施形態における藻類増殖部材本体の正面図。
【図7】同実施形態における藻類増殖部材本体の拡大側面図。
【図8】同実施形態におけるスペーサ部材の平面図。
【図9】同実施形態におけるスペーサ部材の側面図。
【図10】同実施形態における止着具及び藻類増殖部材の平面図。
【図11】同実施形態における止着具及び藻類増殖部材のA−A線断面図。
【符号の説明】
【0097】
BO・・・藻類
Y・・・種糸
H・・・吊下げ具
1・・・台座(磯根資源増殖ブロック)
2・・・生育部材(藻類増殖部材)
21・・・生育部材本体(藻類増殖部材本体)
21A・・・表面
22・・・スペーサ部材
212a・・・突起部(第一突起部)
212b・・・突起部(第二突起部)
212c・・・突起部(第三突起部)
213・・・固定用切欠部
213a・・・差込口
213b・・・固定口
213c・・・連通溝
215・・・取付部(吊下げ具取付部)
221・・・活着部
223・・・凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、藻場を形成する藻類を生育するための生育部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磯焼けなどにより消失した藻場をより効率よく回復し、あるいは従前は藻場が存在しなかった箇所に新たに藻場を造成して優良な漁場を創出する方策として、主として藻類の生育機能と海底に固定するための台座機能とを分けて考慮し、生育部材と台座部材とを着脱可能に取り付けられるようにしたいわゆる着脱式藻場増殖礁が考えられている。この着脱式藻場増殖礁では、生育部材を用いて生育に適した生育ゾーンで藻類を胞子から初期培養し或いは幼芽から中間培養し、藻類がある程度まで成育すれば藻場を造成すべき造成ゾーンに生育部材を移設して台座部材に取り付けることによって藻場増殖礁を形成するようにしたものである。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3532865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、藻類は各生育段階で大きさや生態が著しく異なるため、藻類が必要とする環境は生育するに従って徐々に変化する。よって、上述の様に同一の生育部材の上で藻類を胞子や幼芽の段階から藻場を形成する成体等の段階まで育てることは困難であった。また、藻類の各種生育段階に応じた環境が整っていないと、例えば、生育部材上に折角育てた藻類が良好に活着せず海流に流されてしまうこともあり、それまでにかけた多大な労力や月日が無駄になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明の生育部材は、藻類を生育するための生育部材本体を有する藻類の生育部材において、前記生育部材本体の表面上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部を設けていることを特徴とする。
【0005】
このような構成を採用することで、藻類の生育段階に合わせた生育環境を簡易な構成にて生育部材本体の表面に整えることが可能となり、また、当該生育部材を利用することで藻類が良好に育ち藻場においても適切に活着する確率が飛躍的に向上する。
【0006】
更に、製造の簡便性や製造方法の選択自由度を考慮すると、前記突起部を前記生育部材本体の表面に対して垂直に設けることや、前記突起部を円柱形状とすることが望ましい。
【0007】
加えて、前記生育部材本体を樹脂にて成形することで生育部材本体をより簡易に製造できる他、軽量化を図ることが可能となるため取り扱いの利便性が向上し、例えば垂下式中間育成システム等にも好適に利用することができる。
【0008】
また、前記生育部材本体を射出成形することで、量産性に優れ、品質のばらつきが小さい部材を得ることができる。
【0009】
更に、前記生育部材本体から拡張した藻類の根が活着する活着部を有するスペーサ部材を具備し、前記生育部材本体を前記スペーサ部材に対して取り付け、生育部材本体と当該生育部材本体を海底に保持する台座との間に前記スペーサ部材を介在させることが考えられる。
【0010】
これにより、生育した藻類がしっかりとした大きな根を張ることができ、成長した藻類に適した生育環境を活着部に整えておき、藻類の生育環境をより向上させることができる。
【0011】
更には、当該スペーサ部材にて生育部材本体を台座から離間させているため、例えば、海底の砂が舞って前記生育部材本体の上の藻類の胞子等が砂に埋もれてしまうことを防止することや、生育した藻類の根が張る部位を確保することが可能となる。
【0012】
加えて、前記生育部材本体を前記スペーサ部材に対して着脱可能に取り付けることで、例えば、前記生育部材本体から拡張した藻類の根が前記活着部に活着した後に新たな生育部材本体を再び前記スペーサ部材に取り付けて更に藻類を追加することで豊富な藻類を蓄えた藻場を実現することができる。また、当初取り付けた生育部材本体の上で藻類が生育しなかった場合には、良好に育っている生育部材本体に取り替えるなど、個々の生育状況に応じて柔軟な対応をすることも可能である。
【0013】
更には、このようにスペーサ部材を、藻類の胞子等を付着させた生育部材本体と別体とすることで、生育部材本体の形状や重量等の自由度が飛躍的に高まり、当該生育部材本体を軽量且つ取り扱い易い形状とすることができる。
【0014】
また、前記生育部材本体の着脱を容易にするためには、前記スペーサ部材と前記生育部材本体との間に隙間を形成するための凹部を前記スペーサ部材又は前記生育部材本体に設けることが望ましい。
【0015】
加えて、前記突起部に藻類の胞子等を付着させた種糸を掛け回すことによって、種糸を取り付けるように構成することで、生育部材本体に藻類が着生し成育すると、藻類は生育部材本体に形成した突起部を抱きかかえるように根を張ることができるため、藻類を安定的に生育部材本体に活着させることが可能となる。
【0016】
更に、突起部に掛け回した種糸を生育部材に容易に固定するためには、前記種糸を差し入れる差込口と、当該差込口よりも幅狭な固定口と、当該差込口と前記固定口とを連通する連通溝とを有する固定用切欠部を前記生育部材本体に形成し、前記差込口から前記固定口に向って順に前記種糸を差し込んで固定することが望ましい。
【0017】
また、前記生育部材本体に、当該生育部材本体を水中に吊り下げるための吊下げ具を取り付けるための取付部を設けることで、例えば生育部材本体のみを海中に吊り下げて藻類を胞子から初期培養等し藻類をある程度まで生育するような方法を容易に実現し、藻類の生育を更に良好とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、簡易な構成にて藻類の生育段階に合わせた生育環境を生育部材本体の表面に整えることが可能となり、当該生育部材を用いることで藻類が良好に育ち藻場においても適切に活着する確率が飛躍的に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
本発明の藻類増殖部材2(本発明の「生育部材」に相当する。)を採用した増殖礁Aは、海底に沈設して使用されるものであって、例えば、図1に示すように、アワビ、トコブシ、サザエ、ウニ等の磯根資源を稚体から成体まで成育・増殖させることを主目的とする磯根資源増殖ブロック1(本発明の「台座」に相当する。)と、アラメ、クロメ、カジメ等の藻類を生育・増殖させて藻場を形成することを主目的とする藻類増殖部材2と、藻類増殖部材2を磯根資源増殖ブロック1に着脱可能に取り付けるための止着具Xと、海底に接地されてこれら磯根資源増殖ブロック1及び藻類増殖部材2を支持するコンクリートベース3と、磯根資源増殖ブロック1とコンクリートベース3との間に配する中間取付部材4と、磯根資源増殖ブロック1及び藻類増殖部材2を覆うことで覆った内部空間に稚体の成育・増殖に適した磯根資源成育領域及び藻類の生育・増殖に適した藻類生育領域Pを形成する防護ネット装置5と、コンクリートベース3に設けた貫通孔に対して着脱可能な貫通孔用部材6とを具備して成る。以下、各部を具体的に説明する。
【0021】
磯根資源増殖ブロック1は、図1、図2に示すように、平面視ほぼ正方形の平板の下に、下面を上面よりも小さいほぼ正方形状とした正四角錐台を一体に連続させた形状をなすコンクリート製ブロックからなる本体部11を主体としている。そして、その上面に、藻類増殖部材2を取付可能に設定している。なお、当該上面に、さらに他の磯根資源増殖ブロック1を取り付けることもできる。また、この本体部11の下端部には、コンクリートベース3のブロック取付部(図示せず)に挿入するアンカー筋12を下方へ鉛直に突出させて埋設してある。すなわち、このアンカー筋12がブロック取付部内のバネワッシャに引っ掛かる構成により、磯根資源増殖ブロック1が中間取付部材4を介してコンクリートベース3に固定されることとなる。さらに、本体部11の上端部には、隣接する磯根資源増殖ブロック1に向けて突出する半球状の突起13が形成してあり、この突起13により隣接する本体部11同士が直接衝突して欠けたり割れたりすることを防止している。なお、この突起13は、ブロック取付部34に軸着された磯根資源増殖ブロック1が水平方向へ回転することを抑制する機能と、隣接する磯根資源増殖ブロック1の位置決め機能をも有している。また、本体部11の上面には、藻類増殖部材2を着脱可能に取り付けられるようにするために、複数(図示例では4本)のステンレス製のボルト14を起立姿勢で埋設してある。
【0022】
藻類増殖部材2は、図2に示すように、藻類を生育するための藻類増殖部材本体21(本発明の「生育部材本体」に相当する。)と、当該藻類増殖部材本体21から拡張した藻類の根が活着する活着部221を有するスペーサ部材22とを具備し、当該スペーサ部材22を前記藻類増殖部材本体21と当該藻類増殖部材本体21を海底Pに保持する重しとしてのアンカー機能を有する磯根資源増殖ブロック1との間に、着脱可能に介在させる構成としている。
【0023】
藻類増殖部材本体21は、20cm×6cm程度の平面視上下左右対称の略長方形状を有する樹脂製プレートであり、射出成形により製造している。また、当該藻類増殖部材本体21の表面21A上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部212a、212b、212cを互いに接した状態に設けることでアラメ等の海藻B0が活着しやすい構成としている。
【0024】
具体的には、図5、図6に示すように、薄板状の基材部211の表面上に高さが異なる第一突起部212a、第二突起部212b、第三突起部212cを其々複数形成し、当該第三突起部212cにアラメ等の海藻B0の胞子や遊走子等を付着させた種糸Yを掛け回して取り付ける。
【0025】
更に、当該藻類増殖部材本体21は、図4に示すように、前記種糸Yを表面21Aに巻き付けた状態で海中に吊り下げて海藻B0を育成する垂下式中間育成システムに適しているため、図5に示すように、その表面21A上に当該藻類増殖部材本体21を水中に吊り下げるための吊下げ具Hを構成するロープH1を当該藻類増殖部材本体212の表面21Aに添接させる添接路214を形成すると共に、当該吊下げ具Hに当該藻類増殖部材本体212を取り付けるための吊下げ具取付部215を設けている。
【0026】
基材部211は、後述する吊下げ具取付部215を開口した一定(3mm程度)の厚みを有する薄板材である。
【0027】
第一突起部212aは、藻類増殖部材本体21の表面21Aを凸の形状をなすように部分的に盛り上げる隆起部であり、前記基材部211と一体に形成している。複数の第一突起部212aは、前記添接路214や止着具Xの取付面XA等を回避した部位に長手方向に列を成した状態で前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに対して垂直に立設している。
【0028】
更に、当該第一突起部212aは、藻類の根が生える前の生育段階に適した高さを有する突起部である。本実施の形態においては、当該第一突起部212aは、高さ方向に沿って各部等断面形状を成す円柱形状であり、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aからの高さを0.5mm程度、その直径を2mm程度としている。
【0029】
第二突起部212bは、前記第一突起部212aと同様に藻類増殖部材本体21の表面21Aを凸の形状をなすように部分的に盛り上げる隆起部であり、前記基材部211と一体に形成している。複数の第二突起部212bは、前記添接路214や止着具Xの取付面XA等を回避した部位に各々一定間隔を隔てて長手方向に列を成した状態で前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに対して垂直に立設している。
【0030】
更に、当該第二突起部212bは、前記第一突起部212aより高い高さである藻類の根が生え始めた生育段階に適した高さを有する突起部である。本実施の形態においては、当該第二突起部212bは、高さ方向に沿って各部等断面形状を成す円柱形状であり、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aからの高さを3mm程度、その直径を2mm程度としている。
【0031】
第三突起部212cは、前記第一突起部212a等と同様に藻類増殖部材本体21の表面21Aを凸の形状をなすように部分的に盛り上げる隆起部であり、前記基材部211と一体に形成している。複数の第三突起部212cは、前記添接路214や止着具Xの取付面XA等を回避した部位に各々一定間隔を隔てて長手方向に列を成した状態で前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに対して垂直に立設している。
【0032】
更に、当該第三突起部212cは、前記第二突起部212bより高い高さである藻類の根が延びた生育段階に適した高さを有する突起部である。本実施の形態においては、当該第三突起部212cは、高さ方向に沿って各部等断面形状を成す円柱形状であり、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aからの高さを1.5cm程度、その直径を1cm程度としている。
【0033】
ここで、各突起部の配列について説明すると、第二突起部212b及び第三突起部212cの周囲を囲むように前記第一突起部212aを前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに立設している。また、各突起部の個数は、第一突起部212a、第二突起部212b、第三突起部212cの順に多く設けている。
【0034】
固定用切欠部213は、図5に示すように、藻類増殖部材本体21の対向する両側端から中央に向かって藻類増殖部材本体21の一部を長手方向に沿って切り欠いた一対の切欠部である。
【0035】
具体的には、図7に示すように、前記種糸Yを差し入れる差込口213aと、当該差込口213aよりも幅狭な固定口213bと、当該差込口213aと前記固定口213bとを連通する連通溝213cとを有し、前記差込口213aから前記固定口213bに向って順に前記種糸Yを差し込んで固定する構成としている。
【0036】
差込口213aは、前記藻類増殖部材本体21の表面側に設けた幅2mm程度の開口であり、当該開口を藻類増殖部材本体21の表面側から裏面側に向けて漸次幅狭とする勾配を有している。
【0037】
固定口213bは、前記藻類増殖部材本体21の裏面側に設けた前記種糸Yの直径よりも小なる幅0.8mm程度の開口であり、当該開口に前記種糸Yを押し込んで藻類増殖部材本体21に固定できるように構成している。
【0038】
連通溝213cは、前記差込口213aから差し込んだ種糸Yを前記固定口213bに導くための溝であり、前記藻類増殖部材本体21の側面側を開口している。
【0039】
添接路214は、図4に示すように、複数の突起部212a、212b、212cを避けた中央部に設けた藻類増殖部材本体21の平面的な表面21A上の部位であり、藻類増殖部材本体21を吊り下げるロープH1を添接路214に添接させて取り付けた状態で海中に吊す際に、そのロープH1を前記表面21Aに沿って幅方向に亘って通過させる。
【0040】
吊下げ具取付部215は、前記藻類増殖部材本体21を前記吊下げ具Hに取り付けるための取付部である。本実施の形態においては、前記添接路214上、具体的には当該藻類増殖部材本体21の略中央部に位置する厚み方向に貫通する直径1.4cm程度の貫通孔であり、当該貫通孔に前記ロープH1を通すことで、藻類増殖部材本体21を吊下げ具Hに取り付けられるようにしている。
【0041】
また、当該吊下げ具取付部215は、前記藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1に取り付けるための取付部としての機能も有している。具体的には、吊下げ具取付部215である貫通孔に磯根資源増殖ブロック1上に設けたボルト14を挿通させた状態で止着具X及び薄肉略リング状を成すゴム製の弾性体(図示せず)を用いて藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1の上方に着脱可能に固定する。
【0042】
従って本実施形態の場合、当該吊下げ具取付部215を用いてロープH1に藻類増殖部材本体21を吊下げる垂下式中間育成システムを採用し、この藻類増殖部材本体21を、海藻B0が海底でウニ、巻貝、ウミウシ等の植食生物による食害被害に遭いにくくなる大きさ、すなわちフロロタンニン等の苦み成分を分泌できる大きさである目視により海藻B0が3〜10cmとなるまで生長させ、その後当該藻類増殖部材本体21を海中から引き上げて作業船上で当該藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1のボルト14にスペーサ部材22を介在させた状態で着脱可能に取り付ける。
【0043】
尚、前記止着具Xの取付面XA、前記添接路214及び固定用切欠部213の周面213Xは、各種取付性等を考慮して平坦面としている。
【0044】
スペーサ部材22は、前記藻類増殖部材本体21と前記磯根資源増殖ブロック1とを離間させる機能を有するものであり、前記藻類増殖部材本体21と同様に、略中央部に厚み方向に貫通する直径1.4cm程度の貫通孔を形成し、当該貫通孔に前記磯根資源増殖ブロック1上に設けたボルト14を挿通させた状態で止着具Xを用いて前記藻類増殖部材本体21と前記磯根資源増殖ブロック1との間に着脱可能に固定される。また、当該スペーサ部材22を手で取り扱い得る程度の大きさ及び重量(約1.5KG程度)を有するものとすることで、運搬等の取り扱い、メンテナンスの便を向上するようにしている。
【0045】
詳述すると、当該スペーサ部材22は、一辺を20cmとする平面視略正方形状を成し3cm程度の厚みを有するコンクリート製の部材であり、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aよりも広い平面視形状を有する表面22Aと、当該表面22Aと連続して設けた高さ確保部224を形成する側周面22Bと、当該側周面22Bと連続して設けた裏面22Cとを有する。
【0046】
尚、スペーサ部材22を藻類増殖部材本体21と前記磯根資源増殖ブロック1との間に固定した状態で、当該スペーサ部材22の表面22Aと前記藻類増殖部材本体21の裏面21B、当該スペーサ部材22の裏面22Cと磯根資源増殖ブロック1の表面とが当接するため、取付性(取り付けた時の座り等)を考慮して前記スペーサ部材22の表面22Aの一部、スペーサ部材22の裏面22C、前記藻類増殖部材本体21の裏面21B及び磯根資源増殖ブロック1の表面を平坦面としている。
【0047】
活着部221は、複数の突起部221aを有する面であり当該突起部221a等を用いて前記藻類増殖部材本体21から拡張した藻類の根を良好に活着させる。具体的には、後述する藻類増殖部材本体取付部222の周囲を囲む部位であるスペーサ部材22の両側端部に一対の活着部221を形成している。
【0048】
突起部221aは、前記スペーサ部材22の片面上に凸の形状をなすように部分的に盛り上げた隆起部である。本実施の形態においては、数cm程度の自然石を模している。
【0049】
藻類増殖部材本体取付部222は、前記藻類増殖部材本体21を当該スペーサ部材22に取り付けるために形成した溝部であり上方及び側方を開口している。当該藻類増殖部材本体取付部222である溝部は、藻類増殖部材本体21の長手寸法と略同様の長手寸法(20cm)と、当該藻類増殖部材本体21の短手寸法よりやや幅広な短手寸法(6.4cm)を有する平面視略長方形状の底面と、当該底面から前記活着部221に向けて開口が漸次広くように所定角度の傾斜をつけた側面とを有している。更に、前記藻類増殖部材本体21の厚みと略同一程度の深さを有し、藻類増殖部材本体21を取り付けた状態で当該藻類増殖部材本体21の表面21Aと前記活着部221とが略面一となるようにしている。
【0050】
凹部223は、前記藻類増殖部材本体21を前記藻類増殖部材本体取付部222に取り付けた状態で藻類増殖部材本体21とスペーサ部材22との間に指等を挿入可能な程度、具体的には、指等の挿入方向に10mm、当該挿入方向と直行する方向に20mm、当該スペーサ部材22の厚み方向に10mm程度の寸法を有するように当該スペーサ部材22の表面21Aを凹ませて形成している。
【0051】
本実施の形態においては、一対の凹部223をスペーサ部材22の対向する辺の略中央部に各々設けている。また、当該凹部223を前記固定用切欠部213の下方に設けることで藻類増殖部材本体21をスペーサ部材22に取り付ける際に前記固定用切欠部213に固定した種糸Yの端部が邪魔にならないようにしている。
【0052】
高さ確保部224は、前記藻類増殖部材本体21と台座となる前記磯根資源増殖ブロック1とを離間させて、前記磯根資源増殖ブロック1から前記藻類増殖部材本体21までに一定の高さを確保するための部位である。
【0053】
止着具Xは、図3に示すように、握った状態で操作可能な操作部X2および前記磯根資源増殖ブロック1に設けたボルト14に取り付けるためのナット部X3を有し、前記ボルト14と前記ナット部X3とを螺合させた状態で前記操作部X2を操作することにより、前記藻類増殖部材本体21及び前記スペーサ部材22を前記ボルト14に着脱可能に固定するものである。
【0054】
詳述すると、略円板状の台座部X1と、この台座部X1の上面側に設けた操作部X2とを具備するものである。
【0055】
操作部X2は、台座部X1の略中央部から起立する略円柱状の起立部X21と、この起立部X21を挟み込む位置に設けられ上方に向けて二股に分かれる一対の薄板状の鍔部X22とを具備して成るものであって、操作部X2全体を把持して操作することもできるし、操作部X2の一部(例えば、一方の鍔部X22)を把持して操作することもできる。
【0056】
また、本実施形態では、台座部X1の裏面から起立部X21の略中央高さ位置にかけてナット部X3を形成し、このナット部X3を利用してボルト14に螺着可能にしている。
【0057】
ここで、当該止着具X及び前記藻類増殖部材本体21の材質について詳述する。
【0058】
前記止着具X及び前記藻類増殖部材本体21は、樹脂からなり、本実施の形態においては加熱により融解し、冷却すると固化する熱可塑性樹脂を用いる。
【0059】
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ABS樹脂、AES樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル、PEEK、PEN、パラフィンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、脂肪酸エステル、グリセライト、変性ワックス及びシラン変性ポリオレフィン重合体等、公知の熱可塑性樹脂の中から、耐海水性、耐候性、藻類との相性を鑑みて選定した樹脂を使用する。
【0060】
尚、特に好ましいものは、シンジオタクチックポリスチレン、AES樹脂である。
【0061】
本体を構成する樹脂部は、天然に産出される無機フィラーと、総容量に対し一定量以下の樹脂とを含有することが好ましい。
【0062】
具体的には、前記無機フィラーは通常の樹脂と比較して環境への負荷が小さいため、前記無機フィラーの含有率を、50重量%以上(好ましくは、60重量%以上、より好ましくは、70重量%以上)としている。当該無機フィラーの含有率は、例えば衝撃強度など、得られる成形品に必要な物性を鑑みて判断する。また、当該無機フィラーの粒径は、成形に支障が無い程度、例えば、平均粒径数百μm以下程度であれば良い。
【0063】
更に、当該無機フィラーは天然に産出される無機フィラーであり、特に前記止着具X及び藻類増殖部材本体21は、自然界、更には海中で使用されるため、当該無機フィラーを海中に存在する資源に由来する無機フィラーとすることが望ましい。
【0064】
ここで、天然に産出される無機フィラーとしては、珪石粉末、炭酸カルシウム粉末、石灰石粉末、シラス粉末、骨石粉末、珪藻土粉末、粘土粉末等が考えられる。また、海中に存在する資源に由来する無機フィラーとしては、牡蠣、ホタテ、サザエ、赤貝、つぶ貝、アサリ、しじみ等の貝殻粉末や、サンゴ粉末等が挙げられる。
【0065】
その他、強度向上のための添加物として、弾性率、強度、弾性回復率等の力学特性に優れた短繊維、ウィスカ、フィブリッド等の繊維状のものであり、例えばガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウムやホウ酸アルミニウム等のウイスカ、ボロン繊維やチタン繊維等の金属繊維、アラミド繊維等の有機繊維、ヤシ、もみがら、ケナフ、麻、木綿、絹や納豆等の天然由来の繊維状物質を止着具X及び前記藻類増殖部材本体21に混在することが考えられる。
【0066】
コンクリートベース3は、図1に示すように、海底において当該増殖礁Aを安定設置するためのアンカー機能を有する部材であって、コンクリートにより一体形成されたベース本体31及び三本の支持脚32から構成されるものを基本構成としている。
【0067】
中間取付部材4は、図1に示すように、平面視略矩形状を成す薄板状の基板部41と、この基板部41の上面に突設した4つの隙間調節用突起部42とを具備し、これら各部をコンクリートにより一体に形成したものである。
【0068】
防護ネット装置5は、図1に示すように、コンクリートベース3に立設した柱状部材51と、これら柱状部材51を利用して取り付けられる防護ネット52と、この防護ネット52を柱状部材51に留める留め具53とを具備して成るものである。なお、同図における防護ネット52及び留め具53は作図の都合上一部を省略して図示している。以下、各部をより具体的に説明する。
【0069】
防護ネット52は、可撓性を有する化繊製のものであって、図1に示すように、4つの柱状部材51の上端部間を結んでなる面と略同じ大きさを有する上面網521と、隣接する柱状部材51間にそれぞれ配される計4つの起立網522とを備えてなり、且つ、上面網521の各辺とこれら上面網521の各辺にそれぞれ隣接する起立網522の辺とを連続させた単一のものである。
【0070】
そして、上面網521の網目寸法を、アイゴ、イスズミ、ブダイ等の藻食性魚類が通過できない程度の大きさに設定している。また、起立網522を、上下2段を成すように構成し、下段側の網目寸法を、稚体の通過を妨げ得るとともにヒトデ、タコ等の肉食性海中動物の侵入を防ぎ得る程度に設定する一方、上段側の網目寸法を、下段側の網目寸法よりも拡開させつつ藻食性魚類が通過できない程度の大きさに設定している。さらに、フジツボや貝等の付着物が防護ネット52に付着することを防止するために防護ネット52全体にシリコンを塗布している。
【0071】
また、本実施形態では、留め具53として、いわゆるインシュロックタイプの結束バン
ドを用いている。そして、この留め具53は、カッターナイフや鋏等刃部を有する道具を用いて切断できるよう、一般的な合成樹脂製のものとしている。
【0072】
貫通孔用部材6は、図1に示すように、剛性のある平面視略矩形状の枠体とこの枠体に周縁部を支持させた化繊製の網部とを備えるものである。そして、当該貫通孔用部材6の網目寸法を、稚体の通過を妨げ得る程度に設定している。また、本実施形態では、フジツボや貝等の付着物が貫通孔用部材6に付着することを防止するために貫通孔用部材6全体にシリコンを塗布している。
【0073】
次に、藻類増殖部材2を磯根資源増殖ブロック1に取り付ける方法について説明する。
【0074】
なお、防護ネット52は、その一部又は全部が柱状部材51から取り外されており、作業者が、藻類増殖部材2及び磯根資源増殖ブロック1に容易にアクセスできるものとして説明を進めることとする。
【0075】
まず、図4に示すように、垂下式中間育成システムにて前記藻類増殖部材本体21の上に藻類を育成した後、当該藻類増殖部材本体21を海中から引き上げて吊下げ具Hから藻類増殖部材本体21を取り外す。そして、図2に示すように、当該藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1のボルト14にスペーサ部材22を介在させた状態で貫通させる。
【0076】
その後、当該藻類増殖部材本体21の上から止着具Xをボルト14に嵌め、止着具Xの操作部X2を用いて止着具Xを締まる向きへ回すことで、ボルト14とナット部X3が螺着し、当該藻類増殖部材本体21を磯根資源増殖ブロック1にスペーサ部材22を介在させた状態で固定することができる。
【0077】
尚、本実施の形態においては、前記藻類増殖部材本体21の表面21Aから拡張した藻類の根が前記活着部221に活着可能な状態に、前記藻類増殖部材本体21を前記スペーサ部材22に対して取り付け、藻類増殖部材本体21と当該藻類増殖部材本体21を海底に保持する磯根資源増殖ブロック1との間に前記スペーサ部材22を介在させる構成としている。
【0078】
以上のように、前記藻類増殖部材本体21の表面21A上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部212a、212b、212cを設けていることで、藻類の生育段階に合わせた生育環境を藻類増殖部材本体21の表面21Aに簡易に構成することができる。また、前記藻類増殖部材2を利用することにより、藻類が良好に育ち藻場においても適切に活着する確率が飛躍的に向上する。
【0079】
前記突起部212a、212b、212cを前記藻類増殖部材本体21の表面21Aに対して垂直に設けると共に、前記突起部212a、212b、212cを円柱形状としているため前記藻類増殖部材本体21を簡便に製造でき、更には製造方法の選択自由度が増す。
【0080】
加えて、前記藻類増殖部材本体21を樹脂にて成形していることで藻類増殖部材本体21をより簡易に製造できる他、軽量化を図ることが可能となるため取り扱いの利便性が向上し、例えば垂下式中間育成システム等にも好適に利用することができる。
【0081】
また、前記藻類増殖部材本体21を射出成形していることで、量産性に優れ、品質のばらつきが小さい部材を得ることができる。
【0082】
更に、前記藻類増殖部材本体21から拡張した藻類の根が活着する活着部221を有するスペーサ部材22を具備し、前記藻類増殖部材本体21を前記スペーサ部材22に対して取り付け、藻類増殖部材本体21と当該藻類増殖部材本体21を海底に保持する磯根資源増殖ブロック1との間に前記スペーサ部材22を介在させている。
【0083】
これにより、生育した藻類が徐々に根を拡張して、藻類が成長し、成長した藻類に適した生育環境を活着部221に整えておき、藻類の生育環境をより向上させることができる。
【0084】
更には、当該スペーサ部材22にて藻類増殖部材本体21を離間させているため、例えば、海底の砂が舞って前記藻類増殖部材本体21の上の藻類の胞子等が砂に埋もれてしまうことを防止することや、生育した藻類の根が張る部位を確保することが可能となる。
【0085】
加えて、前記藻類増殖部材本体21を前記スペーサ部材22に対して着脱可能に取り付ける構成としていることにより、例えば、前記藻類増殖部材本体21から拡張した藻類の根が前記活着部221に活着した後に新たな藻類増殖部材本体21を再び前記スペーサ部材22に取り付けて更に藻類を追加することで豊富な藻類を蓄えた藻場を実現することができる。また、当初取り付けた藻類増殖部材本体21の上で藻類が生育しなかった場合には、良好に育っている藻類増殖部材本体21に取り替えるなど、個々の生育状況に応じて柔軟な対応をすることも可能である。
【0086】
更には、このようにスペーサ部材22を、藻類の胞子等を付着させた藻類増殖部材本体21と別体とすることで、藻類増殖部材本体21の形状や重量等の自由度が飛躍的に高まり、当該藻類増殖部材本体21を軽量且つ取り扱い易い形状とすることができる。
【0087】
また、前記スペーサ部材22と前記藻類増殖部材本体21との間に隙間を形成するための凹部223を前記スペーサ部材22に設けているため、容易に前記藻類増殖部材本体21をスペーサ部材22に対して着脱できる。
【0088】
加えて、前記突起部212cに藻類の胞子等を付着させた種糸Yを掛け回すことによって、種糸Yを取り付けるように構成していることで、藻類増殖部材本体21に藻類が着生し成育すると、藻類は藻類増殖部材本体21に形成した突起部212a、212b、212cを抱きかかえるように根を張ることができるため、藻類を安定的に藻類増殖部材本体21に活着させることが可能となる。
【0089】
更に、前記種糸Yを差し入れる差込口213aと、当該差込口213aよりも幅狭な固定口213bと、当該差込口213aと前記固定口213bとを連通する連通溝213cとを有する固定用切欠部213を前記藻類増殖部材本体21に形成し、前記差込口213aから前記固定口213bに向って順に前記種糸Yを差し込んで固定する構成を採用しているため、突起部212a、212b、212cに掛け回した種糸Yを生育部材に容易に固定できる。
【0090】
また、前記藻類増殖部材本体21に、当該藻類増殖部材本体21を水中に吊り下げるための吊下げ具Hを取り付けるための吊下げ具取付部215を設けていることで、例えば藻類増殖部材本体21のみを海中に吊り下げて藻類を胞子から初期培養等し藻類をある程度まで生育するような方法を容易に実現し、藻類の生育を更に良好とすることができる。
【0091】
尚、本発明は上記したこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0092】
本実施の形態においてはカジメ等の藻類について説明したが、仮盤状の付着器にて前記藻類増殖部材本体21に付着するホンダワラ、アカモク等の藻類を生育・増殖させて藻場を形成してもよいのは勿論である。その際には、前記突起部212a、212b、212cの高さ等を藻類の生態に合わせて変更すると良い。
【0093】
また、本実施の形態においては、台座として磯根資源増殖ブロック1を利用しているが、その他、海中に存在する岩などを台座として利用することも考えられる。
【0094】
前記藻類増殖部材本体21や止着具Xを製造する成形方法としては、射出成形法、押出成形法、加圧成形法等を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の成形法を利用することができる。
【0095】
更に、本実施の形態においては、凹部223をスペーサ部材22に設けているが、例えば前記藻類増殖部材本体21の裏面21Bを凹ませるなどして前記凹部223を前記藻類増殖部材本体21に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施形態に係る増殖礁を示す斜視図。
【図2】同実施形態における止着具及び藻類増殖部材等の取付関係を示す斜視図。
【図3】同実施形態における藻類増殖部材を磯根資源増殖ブロックに取り付けた状態を示す斜視図。(藻類が活着部に活着した状態を示す斜視図)
【図4】同実施形態における藻類増殖部材の取り扱い方法を示す模式図。
【図5】同実施形態における藻類増殖部材本体の平面図。
【図6】同実施形態における藻類増殖部材本体の正面図。
【図7】同実施形態における藻類増殖部材本体の拡大側面図。
【図8】同実施形態におけるスペーサ部材の平面図。
【図9】同実施形態におけるスペーサ部材の側面図。
【図10】同実施形態における止着具及び藻類増殖部材の平面図。
【図11】同実施形態における止着具及び藻類増殖部材のA−A線断面図。
【符号の説明】
【0097】
BO・・・藻類
Y・・・種糸
H・・・吊下げ具
1・・・台座(磯根資源増殖ブロック)
2・・・生育部材(藻類増殖部材)
21・・・生育部材本体(藻類増殖部材本体)
21A・・・表面
22・・・スペーサ部材
212a・・・突起部(第一突起部)
212b・・・突起部(第二突起部)
212c・・・突起部(第三突起部)
213・・・固定用切欠部
213a・・・差込口
213b・・・固定口
213c・・・連通溝
215・・・取付部(吊下げ具取付部)
221・・・活着部
223・・・凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
藻類を生育するための生育部材本体を有する藻類の生育部材において、
前記生育部材本体の表面上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部を設けていることを特徴とする藻類の生育部材。
【請求項2】
前記突起部を、前記生育部材本体の表面に対して垂直に設けていることを特徴とする請求項1記載の藻類の生育部材。
【請求項3】
前記突起部を円柱形状としていることを特徴とする請求項1又は2記載の藻類の生育部材。
【請求項4】
前記生育部材本体を樹脂にて成形していることを特徴とする請求項1乃至3記載の藻類の生育部材。
【請求項5】
前記生育部材本体を射出成形していることを特徴とする請求項1乃至4記載の藻類の生育部材。
【請求項6】
前記生育部材本体から拡張した藻類の根が活着する活着部を有するスペーサ部材を具備し、
前記生育部材本体を前記スペーサ部材に対して取り付け、生育部材本体と当該生育部材本体を海底に保持する台座との間に前記スペーサ部材を介在させることを特徴とする請求項1乃至5記載の藻類の生育部材。
【請求項7】
前記生育部材本体を前記スペーサ部材に対して着脱可能に取り付けることを特徴とする請求項6記載の藻類の生育部材。
【請求項8】
前記スペーサ部材と前記生育部材本体との間に隙間を形成するための凹部を前記スペーサ部材又は前記生育部材本体に設けていることを特徴とする請求項7記載の藻類の生育部材。
【請求項9】
前記突起部に藻類の胞子等を付着させた種糸を掛け回すことによって、種糸を取り付けるように構成していることを特徴とする請求項1乃至8記載の藻類の生育部材。
【請求項10】
前記種糸を差し入れる差込口と、当該差込口よりも幅狭な固定口と、当該差込口と前記固定口とを連通する連通溝とを有する固定用切欠部を前記生育部材本体に形成し、
前記差込口から前記固定口に向って順に前記種糸を差し込んで固定することを特徴とする請求項9記載の藻類の生育部材。
【請求項11】
前記生育部材本体に、当該生育部材本体を水中に吊り下げるための吊下げ具を取り付けるための取付部を設けていることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至10記載の藻類の生育部材。
【請求項1】
藻類を生育するための生育部材本体を有する藻類の生育部材において、
前記生育部材本体の表面上に、前記藻類の生育段階に合わせて少なくとも3段階に高さを異ならせた複数の突起部を設けていることを特徴とする藻類の生育部材。
【請求項2】
前記突起部を、前記生育部材本体の表面に対して垂直に設けていることを特徴とする請求項1記載の藻類の生育部材。
【請求項3】
前記突起部を円柱形状としていることを特徴とする請求項1又は2記載の藻類の生育部材。
【請求項4】
前記生育部材本体を樹脂にて成形していることを特徴とする請求項1乃至3記載の藻類の生育部材。
【請求項5】
前記生育部材本体を射出成形していることを特徴とする請求項1乃至4記載の藻類の生育部材。
【請求項6】
前記生育部材本体から拡張した藻類の根が活着する活着部を有するスペーサ部材を具備し、
前記生育部材本体を前記スペーサ部材に対して取り付け、生育部材本体と当該生育部材本体を海底に保持する台座との間に前記スペーサ部材を介在させることを特徴とする請求項1乃至5記載の藻類の生育部材。
【請求項7】
前記生育部材本体を前記スペーサ部材に対して着脱可能に取り付けることを特徴とする請求項6記載の藻類の生育部材。
【請求項8】
前記スペーサ部材と前記生育部材本体との間に隙間を形成するための凹部を前記スペーサ部材又は前記生育部材本体に設けていることを特徴とする請求項7記載の藻類の生育部材。
【請求項9】
前記突起部に藻類の胞子等を付着させた種糸を掛け回すことによって、種糸を取り付けるように構成していることを特徴とする請求項1乃至8記載の藻類の生育部材。
【請求項10】
前記種糸を差し入れる差込口と、当該差込口よりも幅狭な固定口と、当該差込口と前記固定口とを連通する連通溝とを有する固定用切欠部を前記生育部材本体に形成し、
前記差込口から前記固定口に向って順に前記種糸を差し込んで固定することを特徴とする請求項9記載の藻類の生育部材。
【請求項11】
前記生育部材本体に、当該生育部材本体を水中に吊り下げるための吊下げ具を取り付けるための取付部を設けていることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至10記載の藻類の生育部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−61563(P2008−61563A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242288(P2006−242288)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】
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