説明

産業用機械

【課題】簡単な構成で確実にねじの締結による筐体の閉塞状態を確保し、蓋を開けた状態では安全性を確保できる構成とする。
【解決手段】ロボットのコントローラ3は、筐体本体を閉塞する蓋を4個の取り付け用ねじ14a〜14dでとりつける。筐体本体の開口面の対角位置の取り付け用ねじ14a、14cに対応して筐体内部にレバー型スイッチ15が設けられる。蓋を取り付け用ねじ14a、14cにより固定するとレバー型スイッチ15がオン状態に移行する。高電圧が印加されるモータ駆動回路26a、26bへの給電経路には、リレースイッチ回路23が設けられる。給電許可回路24は、リレーコイル23c、レバー型スイッチ15、15を介してグランドに接続され、取り付け用ねじ14aおよび14cの締め付け状態でリレースイッチ回路23がオン状態となり、安全性の確保を図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内に動力用電源ラインを有する構成の産業用機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工場などで使用される産業用機械は、筐体内部に動力用電源あるいはその給電経路が設けられている。人体が触れると危険であるから、組み付け作業やメンテナンス作業などで筐体内部が開放された状態にあるときは、作業の安全性のため給電状態とならないようにする必要がある。換言すれば、筐体を閉塞する蓋の装着や他の筐体との連結をする際に、ねじの締結により筐体内部に手指などが入らない状態となったことを給電条件とする必要がある。
【0003】
そこで、たとえば特許文献1あるいは特許文献2の技術を利用できる。特許文献1の技術は、製品の組み立て時の作業でねじの締結忘れを防止するために、電動ドライバーの稼働回数をカウントして必要な個数のねじの締結作業がなされたか否かを検出するものである。特許文献2の技術は、ねじの締め付け方向をエリアセンサにより検出し、確実に鉛直方向に締め付けが行われたことを判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−150338号公報
【特許文献2】特開平10−9851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1のものでは、組み立てラインでの状況を想定しているものであるから、メンテナンス時に使用するには新たな検出設備などを導入する必要があり現実的には適用が困難である。また、特許文献2のものでは、ねじの検出にエリアセンサを用いるため、判断制御が複雑になり、製品に搭載するには部品数の点やセンサの検出精度を高めるためにコストが高くなる不具合がある。
【0006】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、簡単な構成を採用しつつ確実にねじの締結による筐体の閉塞状態を確保することができ、これによって筐体内部の電気部品に給電状態で人体が触れるのを極力防止することができるようにした産業用機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、筐体の内部を閉塞するためのねじをねじ孔に締結している状態では、ねじの先端部がレバー型スイッチのレバー部の作用位置に当接して押圧することでスイッチ本体のスイッチ動作部がオン状態となっている。この状態で、給電許可回路は筐体内部の電気部品への給電を可能な状態に切り替えている。これによって、筐体がねじを締結して内部が閉塞されている状態では電気部品への給電が可能な状態となり、通常の動作を実施できる。
【0008】
そして、筐体のねじ孔に取り付けているねじを取り外すことでレバー型スイッチのレバー部への押圧が無くなると、スイッチ本体がオフ状態となり、給電許可回路は電気部品への給電を不能な状態に切り替える。これにより、筐体が開放された状態では自動的に電気部品への給電が不能な状態となることで、人体が電気部品に触れるなどの事態が生じても感電などの不具合を生ずることなく、安全に作業を行うことができる。
【0009】
なお、筐体のねじ孔は蓋あるいは他の筐体を結合するのに必要な個数のねじを締結可能に設けるが、その場合に、すべてのねじ孔に対応してレバー型スイッチを設ける構成とすることもできるし、要となるねじ孔についてのみレバー型スイッチを設ける構成とすることもできるし、筐体を開放するのに必要な所定のねじ孔に対応してレバー型スイッチを設ける構成とすることもできる。また、筐体を開放するのにねじを不要とした係合構造部を設けることで必要なねじを1個だけとしてねじ孔を1個設ける構成とした場合には、そのねじ孔に対応してレバー型スイッチを設ける構成とすることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、上記発明において、筐体に複数のねじ孔を設けると共に、レバー型スイッチを、筐体への蓋あるいは他の筐体の結合面に対応して設けられた複数のねじ孔のうちその結合面の対角位置に配置される少なくとも2個のねじ孔に対応して設ける構成としたので、その少なくとも2個のねじ孔にねじを締結している状態では、他のすべてのねじを取り外した状態としても、蓋あるいは他の筐体を取り外そうとしても一方側を取り外そうとすると他方側が筐体に密着するようになってそれ以上取り外す方向に開くことができない。したがって、この構成でレバー型スイッチが設けられているねじ孔のねじを締結した状態では筐体の蓋あるいは他の筐体を取り外して開くことができず、これによって筐体内に手指を誤って入れてしまうことも回避でき、安全性を確保することができる。また、この構成により、レバー型スイッチの配設個数を最小限としながら筐体を開放した場合には確実に電気部品への給電を不能とすることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、上記各発明において、レバー型スイッチの構成として、レバー部の作用位置に、ねじの先端部の径よりも大きい径で且つ軸部の径よりも小さい径を有する挿入孔を形成しているので、筐体の内部の閉塞状態を長期間継続している場合に、たとえば油ミストなどが付着してレバー型スイッチのレバー部が動きにくい状態となっている場合でも、ねじを取り外す際にねじの先端部がレバー部の挿入孔に引っかかり、これによってレバー部が油で固着された状態から解消され、スイッチ本体をオフ状態に移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す給電系統の電気的構成図
【図2】ロボットシステムの構成を示す斜視図
【図3】コントローラの筐体の外観斜示図
【図4】異なる方向から見た筐体内部のねじ取付け部の縦断面図
【図5】取り付け用ねじとレバー型スイッチとの位置関係を示す作用説明図
【図6】レバー部の挿入孔の異なる態様を示す断面図
【図7】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図8】図3相当図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明を産業用ロボットに適用した場合の第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
【0014】
図2は、一般的な産業用ロボットのシステムの構成を示している。この図2に示すロボットシステム1は、ロボット本体2と、このロボット本体2を制御するコントローラ3と、このコントローラ3に接続されたティーチングペンダント4および例えば液晶表示器を主体とする表示装置5とから構成されている。
ティーチングペンダント4は、ロボットアームの動作点を教示する機能の外、各種データを入力する入力手段およびロボット本体2を遠隔操作するための操作手段として機能するもので、各種の操作スイッチ4aおよび表示部4bを備えている。
【0015】
ロボット本体2は6軸の多関節型として構成されたもので、ベース6と、このベース6に水平方向に旋回可能に支持されたショルダ部7と、このショルダ部7に上下方向に旋回可能に支持された下アーム8と、この下アーム8に上下方向に旋回可能に且つ回転(捻り動作)可能に支持された上アーム9と、この上アーム9に上下方向に旋回可能に支持された手首10とから構成されている。手首10は、先端部に回転(捻り動作)可能なフランジ11を備えている。上記ショルダ部7、下アーム8、上アーム9、手首10およびフランジ11はロボットアームを構成するもので、アーム先端の手先部であるフランジ11には、カメラ12が取り付けられている。
【0016】
図3はコントローラ3の外観を示すもので、筐体13は、上面が開口可能に形成された矩形容器状をなす筐体本体13aと、その上面を閉塞する蓋13bとから構成されている。蓋13bは、4個の取り付け用ねじ14a〜14dにより四隅で筐体本体13aに締結されている。筐体13内には交流電源から供給される電力を直流電源に変換すると共にロボット本体2を駆動制御するための各種の電気的構成が収容されている。
【0017】
上記した筐体13の構成において、取り付け用ねじ14a〜14dのうち、対角位置に取り付けられる取り付け用ねじ14aおよび14cを締め付ける部分には、その取り付け用ねじ14a、14cを締結した状態を検知するための構成が設けられている。図4(a)、(b)は、コントローラ3の筐体13の取り付け用ねじ14a(あるいは14c)の取り付け部分の内部構造を異なる断面で示すものである。
【0018】
筐体本体13aの上面開口部には、水平方向に突出するねじ取り付け部13cが設けられており、取り付け用ねじ14aに対応したねじ孔が形成されている。このねじ取り付け部13cの下部で筐体本体13aの内側の側面にスイッチ固定部13dが設けられており、このスイッチ固定部13dにレバー型スイッチ15が取り付け部材16により固定されている。レバー型スイッチ15の2つの端子16a、16bはハーネス17を介してコネクタ18aに接続されている。筐体本体13aの内底部には基板固定ステー13eが設けられており、この基板固定ステー13eに回路基板19が取り付け固定されている。回路基板19にはコネクタ18bが設けられており、レバー型スイッチ15のコネクタ18aが接続される。回路基板19は、後述する各種の電気的な構成部品が実装されている。
【0019】
レバー型スイッチ15は、図5(a)、(b)に模式的に示しているように、矩形状をなす本体部15aの上部に本体部15aの上面を覆い且つ突出する長尺板状のレバー部15bが回動可能に取り付けられ、ばね15cにより復帰位置に付勢されている。レバー部15bは、本体部15aから突出する位置に取り付け用ねじ14aの先端部が当接させるように配置されており、この位置に対応して挿入孔15dが形成されている。この挿入孔15dの直径Dは、取り付け用ねじ14a〜14dのねじ径D1よりも小さく(D<D1)、先細りの先端部の直径D2よりも大きい直径(D1>D>D2)となるように形成されている。
【0020】
図5(a)に示すように、レバー型スイッチ15は、レバー部15bに下方に向けて押圧力が作用していない状態すなわち取り付け用ねじ14aが装着されていない状態では、レバー部15bがばね15cの付勢によりオフ位置である復帰位置に保持されていてオフ状態である。この状態で、取り付け用ねじ14aが蓋13bのねじ孔13fを介して筐体13aのねじ取り付け部13cに締め付けられると、取り付け用ねじ14aの先端部がレバー部15bの挿入孔15d部分で下方に押圧力が作用してレバー部15bを押し下げる。図5(b)に示すように、レバー部15bがオン位置まで到達すると、レバー型スイッチ15はオン状態に移行する。このとき、レバー部15bの取り付け用ねじ14aの先端部が当接する挿入孔15dの位置では、レバー型スイッチ15の本体部15aのスイッチ動作を行う位置から外れているので、取り付け用ねじ14aが深く締め付けられた場合でも、本体部15aのスイッチ機能を損なうことを防止できる。
【0021】
次に、図1を参照してコントローラ3の電気的構成について説明する。なお、コントローラ3の電気的構成は、筐体13の内部に収容された回路基板19などに設けられた電気的部品や上述したレバー型スイッチ15などからなるものである。図1においては、電気的構成のうち、ロボットの制御に係る構成については省略し、電源供給系統を中心として示している。
【0022】
三相の交流電源AC(たとえば200Vあるいは250V)から図示しない電流ヒューズなどを介してダイオードブリッジからなる三相全波整流回路20に接続され、その出力端子は平滑コンデンサからなる平滑回路21に接続されている。この三相全波整流回路20および平滑回路21により、三相の交流電源ACは直流電源に変換される。平滑回路21の出力端子はDC−DCコンバータ22に接続されると共に、リレースイッチ回路23に接続されている。
【0023】
DC−DCコンバータ22は、平滑回路21の直流出力電圧を制御電源用の所定電圧に降圧して出力するもので、給電許可回路24を含めて図示しない制御回路に給電するものである。リレースイッチ回路23は、2つのリレー接点23a、23bおよびリレーコイル23cから構成され、リレーコイル23cに通電されると2つのリレー接点23a、23bを共にオン状態に保持するように構成されている。
【0024】
給電許可回路24は、リレーコイル23c、2つのレバー型スイッチ15、15および電流制限用の抵抗24aを直列に介した状態でグランドに接続されている。2つのレバー型スイッチ15、15は、それぞれ取り付け用ねじ14a、14cの締結によりオン状態に移行されるものである。
【0025】
リレースイッチ回路23のリレー接点23a、23bには正負の各給電線25a、25bが接続されている。この給電線25a、25b間にはロボット本体1を駆動するためのモータ駆動回路26a、26bなどが接続されている。これらモータ駆動回路26a、26bは図示しない制御回路により動作が制御されるもので、前述したショルダ部7、下アーム8、上アーム9、手首10およびフランジ11などのロボットアームを構成する各部のモータを駆動制御するためのものである。
【0026】
さて、上記構成において、コントローラ3の筐体13aは、蓋13bを4個の取り付け用ねじ14a〜14dにより締結されており、この状態で、取り付け用ねじ14aおよび14cに対応して設けられたレバー型スイッチ15、15がオン状態となっているので、給電許可回路24にはDC−DCコンバータ22から給電される状態である。これにより、リレーコイル23cに通電され、リレースイッチ回路23はオン状態となっている。そして、三相交流電源ACから直流電源に変換された出力が正負の電源線25a、25b間に供給された状態となる。この状態では、制御回路により通電の制御が可能な状態であり、モータ駆動回路26a、26bの通電制御を行ってロボット本体2の動作制御が実施される。
【0027】
メンテナンスあるいは故障などでコントローラ3の筐体13の蓋13bを取り外すときには、4本の取り付け用ねじ14a〜14dを取り外す。このとき、取付用ねじ14aと14cとに対応してレバー型スイッチ15が筐体13内に設けられているので、たとえばレバー型スイッチ15が設けられていない取り付け用ねじ14b、14dの2本を取り外した状態としても、対角位置に締め付けられている取り付け用ねじ14a、14cが残っているため、蓋13bは筐体本体13aから取り外すことはできず、また、蓋13bの開放のための要となる取り付け用ねじ14a、14cが残っているので、隙間が発生するような開放状態とすることもできないので手指が入るおそれも生じない。
【0028】
そして、取り付け用ねじ14aあるいは14cのいずれか一方でも取り外すと、筐体13内の対応するレバー型スイッチ15がオフするので、給電許可回路24はオープン状態となり、リレーコイル23cへの通電が停止し、リレースイッチ回路23がオフして正負の電源線25a、25b間への給電が停止する。これにより、取り付け用ねじ14aもしくは14cのいずれかが取り外された場合には筐体13内の高電圧の直流出力が供給されている正負の電源線25a、25bへの給電が停止しているので、蓋13bが部分的に筐体本体13aから開放状態とされて隙間が生じて作業者が誤って触ってしまう恐れがある場合でも感電事故などの発生を防止して安全性を確保することができる。
【0029】
また、取り付け用ねじ14a、14cの取り外し作業の際には、レバー型スイッチ15のレバー部15bに、取り付け用ねじ14aの直径D1よりも小さく先端部の直径D2よりも大きい径Dの挿入孔15dを設けているので、、コントローラ3の使用が長期間に渡って継続し、たとえば油ミストなどがレバー型スイッチ15に付着してレバー部15bがオン位置に固定された状態となる場合でも、取り付け用ねじ14a、14cと取り外すときに、取り付け用ねじ14a、14cの先端部がレバー部の挿入孔15dに引っかかり、これによってレバー部15bが油で固着された状態から解消され、レバー型スイッチ15をオフ状態に移行させることができる。
【0030】
さらに、筐体13の蓋13bを取り付ける場合には、4個の取り付け用ねじ14a〜14dのうち、少なくとも取り付け用ねじ14a、14cの両方を確実に締め付けた状態としたときに、レバー型スイッチ15が共にオン状態となるので、蓋13bと筐体13との間に隙間が生じないようにすることができ、これによって、締め付け忘れなどによる蓋13bの不確実な取り付け状態での給電を防止し、安全性を確保することができる。
【0031】
なお、上記実施形態においては、レバー型スイッチ15のレバー部15bに設けた係合孔15dは、図6(a)に示したように、挿入孔15dを設けるようにしているが、このような貫通する挿入孔15dに限らず、たとえば図6(b)に示すような挿入孔15dを有し、押し出し形成した壺状の凹部15eを有するような形状に形成することもできる。
【0032】
また、レバー型スイッチ15は、対角位置に締結される取り付け用ねじ14a、14cに対応して設けたが、これに代えて他方の対角位置に締結される取り付け用ねじ14b、14dに対応して設けることもできる。さらには、取り付け用ねじ14a〜14dのうちの3個あるいは4個すべてに対応してレバー型スイッチ15を設ける構成としても良い。
【0033】
(第2の実施形態)
図7および図8は本発明の第2の実施形態を示すもので、第1の実施形態と異なるところは、コントローラ3は、筐体を異にする3つのコントローラ3a〜3cを組み合わせて連結した構成とされているところである。以下、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0034】
図8に示すように、各コントローラ3a〜3cは、それぞれ筐体30a〜30cに収容された構成とされている。筐体30aは主として電源系統が収容され、これにモータ駆動回路26a、26bをそれぞれ備えた駆動系統が収容された筐体30b、30cが連結されている。筐体30a、30cは、いずれも一方の側面が開口されており、筐体30bは、両側面が開口されている。
【0035】
筐体30bは、筐体30aに側面の4方の位置で取り付け用ねじ31a〜31dにより締め付け固定され、連結された状態とされている。筐体30a側の取り付け開口部の対角位置の関係にある取り付け用ねじ31a、31cを取り付ける部分にはレバー型スイッチ15p、15qが設けられている。取り付け用ねじ31a、31cが締め付け固定されると、それぞれレバー型スイッチ15p、15qがオン状態に移行するように設けられている。
【0036】
同様に、筐体30cは、筐体30bの他方の側面開口部に4方の位置で取り付け用ねじ32a〜32dにより締め付け固定され、連結された状態とされている。筐体30b側の取り付け開口部の対角位置の関係にある取り付け用ねじ32a、32cを取り付ける部分にはレバー型スイッチ15r、15sが設けられている。取り付け用ねじ32a、32cが締め付け固定されると、それぞれレバー型スイッチ15r、15sがオン状態に移行するように設けられている。
【0037】
図7は電気的構成を示すもので、コントローラ3aは、正負の給電線25a、25bを導出してコネクタ33に接続されている。また、コントローラ3aは、レバー型スイッチ15pの一端子がコネクタ34aに接続され、レバー型スイッチ15qの一端子がコネクタ34bに接続されている。コントローラ3bは、コネクタ33を介してモータ駆動回路26aが給電される構成であり、給電線25a、25bはコネクタ35に接続されている。またコントローラ3bは、レバー型スイッチ15rの一端子がコネクタ34aに接続され、他端子がコネクタ36aに接続され、レバー型スイッチ15sの一端子がコネクタ34bに接続され、他端子がコネクタ36bに接続されている。コントローラ3cは、コネクタ35を介してモータ駆動回路26bが給電される構成であり、コネクタ36aと36bとの間を短絡線37で短絡するように配線されている。給電許可回路38は、DC−DCコンバータ22の直流出力端子からリレーコイル23、レバー型スイッチ15p、15r、15s、15q、抵抗24aを介してグランドに接続される構成である。
【0038】
上記構成においては、筐体30aに筐体30bを取り付け用ねじ31a、31cを締め付け固定すると、レバー型スイッチ15p、15qがオン状態に移行する。これら少なくとも2個の取り付け用ねじ31a、31bが締め付けられた状態では、筐体30aと30bとは隙間なく連結された状態となり、手指などを内部に挿入することはできない状態となる。
【0039】
また、筐体30bに筐体30cを取り付け用ねじ32a32cを締め付け固定すると、レバー型スイッチ15r、15sがオン状態に移行する。同じく、これら少なくとも2個の取り付け用ねじ32a、32bが締め付けられた状態では、筐体30bと30cとは隙間なく連結された状態となり、手指などを内部に挿入することはできない状態となる。
【0040】
そして、筐体30a〜30cがすべて連結された状態で、すべてのレバー型スイッチ15p〜15sがオン状態となると、給電許可回路38が給電状態となってリレーコイル23cに通電し、これによってリレースイッチ回路23がオンして正負の給電線25a、25b間に高電圧の直流電源を供給するようになる。
【0041】
以上のように構成されているので、コントローラ3a〜3cを連結する際に、筐体30a〜30cを取り付け用ねじ31a〜31d、32a〜32dにより締め付け固定して確実に取り付けた状態で給電可能な状態に移行する構成としたので、安全に作業を行うことができるようになる。
【0042】
(他の実施形態)
本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
【0043】
筐体本体13aの開口部の対角位置に締め付ける取り付け用ねじ14a、14cに対応してレバー型スイッチ15を設ける構成として最小限の個数のレバー型スイッチ15で目的を達成できるようにしているが、さらに他の取り付け用ねじ14b、14dなどあるいは全ての取り付け用ねじ14a〜14dに対応してレバー型スイッチを設ける構成としても良い。
【0044】
また、筐体本体13aへの蓋13bの結合に際して、蓋13bを取り付け面の四方位置に取り付け用ねじ14a〜14dを固定する構成の蓋としているが、一方の辺部は係合構造を採用し、他方の辺部に対応して取り付け用ねじを締めつける構成としても良い。この場合には、筐体の開放に必要となる取り付け用ねじの個数を減らすことができると共に、レバー型スイッチ15の個数も減らすことができる。
【0045】
レバー型スイッチは、実施形態で示したレバー型スイッチ15以外に、いわゆるレバースイッチや、マイクロスイッチ、リミットスイッチ、スライドスイッチなどを用いることができ、取り付け用ねじにより押圧している状態でオン状態となり、押圧状態を開放するとオフ状態に移行するモーメンタリタイプの構成ものであればよい。
【0046】
またレバー型スイッチの動作として、オンオフの接点動作を逆に作用する用い方をしてもよい。この場合には、取り付け用ねじに対して設けた全てのレバー型スイッチを並列に接続し、取り付け用ねじが装着された状態でオフ状態となり、取り付け用ねじをすべて装着してすべてのレバー型スイッチがオフ状態となったときに短絡状態が解除され、給電する状態に移行するようにした構成でもよい。
【0047】
レバー型スイッチのレバー部は、上記実施形態で説明したような本体部15aの長手方向に突出する構成でも良いし、本体部15aの幅方向に突出する構成としても良く、取り付け用ねじの締めつけ方向の位置に本体部15aの作用部が一致しないようにすることで、過剰な締め付け力が及ばないようにできる。
【0048】
レバー型スイッチのレバー部に形成した挿入孔は、丸孔以外にも、前述のように取り付け用ねじを外すときに引っかかりを生じさせることができるのであれば、角孔あるいはレバー部を折り曲げ加工して引っかかり部を形成する構成とすることもできる。
【0049】
産業用機械は、ロボットシステムに限らず、他の作業機械や工作機械、あるいは製造装置など筐体内部に給電系統が設けられ筐体を開放可能な構成を有する種々の産業用機械に適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
図面中、1はロボットシステム、2はロボット本体、3、3a、3b、3cはコントローラ、13、30a、30b、30cは筐体、13aは筐体本体、13bは蓋、13cはねじ取り付け部、13dはスイッチ固定部、13fはねじ孔、14a〜14d、31a〜31d、32a〜32dは取り付け用ねじ、15、15p〜15sはレバー型スイッチ、15bはレバー部、15dは挿入孔、18a、18b、33、35、34a、34b、36a、36bはコネクタ、19は回路基板、20は三相全波整流回路、21は平滑回路、22はDC−DCコンバータ、23はリレースイッチ回路、24、38は給電許可回路、25a、25bは正負の電源線、26a、26bはモータ駆動回路である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に電気部品が収容され、前記筐体に設けられたねじ孔にねじを締結することにより蓋もしくは他の筐体を結合して前記筐体の内部を閉塞する構成の産業用機械において、
前記筐体の内部の前記ねじ孔の位置に対応して設けられレバー部およびスイッチ本体を備えたレバー型スイッチと、
前記電気部品への給電経路に設けられ前記レバー型スイッチのオン状態で前記電気部品への給電を可能な状態に切り替える給電許可回路とを備え、
前記レバー型スイッチは、前記筐体のねじ孔への前記ねじの締結時に当該ねじの先端部が前記レバー部の作用位置に当接して押圧し、その押圧による変位状態で前記レバー部の作用位置とずれた位置に設けられた前記スイッチ本体のスイッチ動作部がオン操作された状態となるように構成されていることを特徴とする産業用機械。
【請求項2】
請求項1に記載の産業用機械において、
前記ねじ孔は前記筐体に複数設けられ、
前記レバー型スイッチは、前記筐体への前記蓋あるいは前記他の筐体の結合面に対応して設けられた前記複数のねじ孔のうち前記結合面の対角位置に配置される少なくとも2個のねじ孔に対応して設けられ、
前記給電許可回路は、前記2個以上のレバー型スイッチがすべてオン状態とのときに前記電気部品への給電を可能とするように切り替える構成とされていることを特徴とする産業用機械。
【請求項3】
請求項1または2に記載の産業用機械において、
前記レバー型スイッチは、前記レバー部の作用位置に前記ねじの先端部の径よりも大きい径で且つ前記ねじの軸部の径よりも小さい径を有する挿入孔が形成されていることを特徴とする産業用機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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