説明

産業車両の安全装置

【課題】フォークリフトに搭載された警報コントローラからトリガー波を送信し、作業員の持つRFIDタグで受信して警報を安定して発する。
【解決手段】フォークリフトのRFIDリーダから発するトリガー波αを長波帯域の電磁波とし、ヘッドガード16の上部に水平姿勢で取り付けられた送信アンテナ22は、周長が3.0以上で10.0m以下のループ状で、複数回に巻回されアンテナ線の全長が、送信波の波長の0.005〜0.015倍の範囲となる多重巻きのループ体22aとし、このループ体22aが樹脂製カバー体51内に収容された磁界ループアンテナとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場内などで搬送作業や荷役作業、走行を行う産業車両において、産業車両に設置したコントローラ(RFIDリーダ)から発する送信波(電磁波、電波)により、作業員が所持したRFIDタグから作業員に、車両の接近を知らせたり、RFIDタグからの反射波を受信したコントローラにより車両の操縦者に、作業者の接近を知らせる安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identificationの略)システムにおいて、RFIDリーダとRFIDタグとを使用した産業車両用の安全装置が提案されている。
たとえば特許文献1には、車両の後部に、電波タグを持たせた従業員がいるかどうかを検出するために、車両の荷台の背面に、水平ダイポール型の受信アンテナを配置し、受信アンテナによる受信領域を、車両後部から後方に伸びる楕円形としたものが開示されている。
【0003】
また特許文献2では、フォークリフトのヘッドガードに、通信エリアが前後方向に広がる直進時用アンテナと、通信エリアが幅方向に広がる旋回時用アンテナとを配置し、ハンドルの切れ角に基づいてアンテナを切り替え、通信エリアを変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−152001
【特許文献2】特開2009−1388
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、RFIDタグの利用周波数は、電磁誘導方式として、長波帯域(134kHz,125kHz)と短波帯域(13.56MHz)があり、また電波方式として、UHF帯域(868MHz、915MHz)、SHF1帯域(2.45GHz)、SHF2帯域(5GHz)があり、それぞれの周波数により特性がある。たとえば長波帯域(134kHz,125kHz)の場合、平面視の指向性が穏やかでかつ回折が大きく通信範囲が広い、また雨や人体、非導電体の影響を受けにくいという長所がある反面、通信距離が短く、通信速度が遅い、アンテナが大きくなる、または巻き数が多く複雑、高価になりやすいという短所がある。またSHF1帯域(2.45GHz)の場合、通信距離が長く、通信速度も速い、またアンテナの指向性が高く、通信範囲を限定可能で、アンテナを含めて小型化が可能な長所がある反面、回折が小さいために通信範囲が限定されやすいく、雨、氷、塵埃などの影響を受けやすい。また無線LANや電子レンジとの混信を受けやすいという短所がある。
【0006】
フォークリフトやコンテナクレーンなどの産業車両は、ある程度大きいアンテナを使用できるものの、金属製フレームからなる導電体が多く接近して配置されることから、電磁波や電波の均一な指向性が確保しにくく、安定したRFIDタグの受信領域が形成しにくい。また屋外での使用が多いことから、雨の影響が少ないものが望まれる。このため産業車両から送信する送信波は、混信や雨などの影響を受けにくく、アンテナの大きさを確保できることから、長波(134kHz,125kHz)を選択することができる。またRFIDタグからの反射波は、アンテナの小形化や通信距離を十分に確保することが必要なことから、UHF帯域やSHF帯域が最適である。
【0007】
本発明は、作業環境に適した状態でRFIDリーダから送信波を送信して、作業員の持つRFIDタグの受信領域を安定して形成できる産業車両の安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、
産業車両に搭載したRFIDリーダから送信アンテナを介して所定範囲に送信波を送信し、作業者が所持するRFIDタグで前記送信波を受信して警報を出力するとともに、RFIDタグから送信された反射波を前記RFIDリーダで受信して操縦者に警報を出す産業車両の安全装置であって、
前記送信波を長波帯域の電磁波とし、
送信アンテナを、周長が3.0以上で10.0m以下のループ状で、複数回に巻回されたアンテナ線の全長が、送信波の波長の0.005〜0.015倍の範囲となる多重巻きのループ体とし、当該ループ体が非導電性材質のカバー体内に収容された磁界ループアンテナとし、
前記送信アンテナを、操縦席の上方部に設置されたヘッドガート上に、所定間隔をあけて水平姿勢で配置したものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、
産業車両に搭載したRFIDリーダから送信アンテナを介して所定範囲に送信波を送信し、作業者が所持するRFIDタグで前記送信波を受信して警報を出力するとともに、RFIDタグから送信された反射波を前記RFIDリーダで受信して操縦者に警報を出す産業車両の安全装置であって、
前記送信波を長波帯域の電磁波とし、
送信アンテナを、周長が3.0以上で10.0m以下のループ状で、複数回に巻回されたアンテナ線の全長が、送信波の波長の0.005〜0.015倍の範囲となる多重巻きのループ体とし、当該ループ体が非導電性材質のカバー体内に収容された磁界ループアンテナとし、
前記送信アンテナを、前記バランスウェイト上に、垂直姿勢または上端が前方に傾斜する前傾姿勢で配置したものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、
産業車両に搭載したRFIDリーダから送信アンテナを介して所定範囲に送信波を送信し、作業者が所持するRFIDタグで前記送信波を受信して警報を出力するとともに、RFIDタグから送信された反射波を前記RFIDリーダで受信して操縦者に警報を出す産業車両の安全装置であって、
前記送信波を長波帯域の電磁波とし、
送信アンテナを、周長が3.0以上で10.0m以下のループ状で、複数回に巻回されたアンテナ線の全長が、送信波の波長の0.005〜0.015倍の範囲となる多重巻きのループ体とし、当該ループ体が非導電性材質のカバー体内に収容された磁界ループアンテナとし、
前記送信アンテナを、
産業車両は、車体前部に配置された荷役装置と、車体上の中間位置に架台を介して所定高さに配置されたキャビンと、車体後端部に配置されたバランスウェイトを有する荷役車両であり、
前記送信アンテナを、前記架台上でキャビン後方のデッキ背面に垂直姿勢で配置したものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の構成において、
ループ体の複数のアンテナ線の少なくとも一箇所をそれぞれ切断して、各アンテナ線を互いに接続分離可能な接続体を介在させ、
磁界ループアンテナ内に、駆動用バッテリの吊下索体を出入り自在としたものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成において、
RFIDリーダは、走行速度信号に基づき、送信アンテナに給電する送信波の送信電力を制御してRFIDタグが受信可能な受信領域を制御する送信波制御部と、RFIDタグからタグIDを含む反射波を受信してタグIDを記憶し、前記反射波に基づいて警報信号を出力するする警報制御部を具備し、
RFIDタグは、受信した送信波に基づいて警報信号を出力するタグ警報出力部と、当該RFIDタグのIDを含む反射波を出力する反射波出力部を具備し、
前記送信波制御部は、産業車両の走行速度に基づいて、走行速度が増加されるに従って送信波の電力を増加しRFIDタグの受信可能な範囲を拡張するものである。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の構成において、
RFIDリーダは、
走行操作信号に基づいて、車両の発進時に、送信波の電力を増加してRFIDタグの受信可能な範囲を、停止時および低速走行時より拡張し、
荷役信号により、RFIDタグの受信可能な範囲を、空荷時に比べて拡張するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、長波帯域の送信波を送信する送信アンテナを、アンテナ線が複数回巻回されてループ状とした多重磁界ループアンテナとしたので、送信アンテナの周囲の障害物の影響が少なく、かつ障害物に対する回折も大きくかつ反射も小さいため、穏やかな指向性が得られてRFIDタグの受信領域を安定して形成することができる。また送信アンテナを、ヘッドガード上に水平姿勢で配置することにより、平面視の指向性を略円形として、RFIDタグの受信領域を安定させることができるので、送信波の電力を制御することにより、RFIDタグの受信領域を、産業車両周囲の危険度に対応して精度良く制御することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、長波帯域の送信波を送信する送信アンテナを、アンテナ線が複数回巻回されてループ状とした多重磁界ループアンテナとしたので、送信アンテナの周囲の障害物の影響が少なく、かつ障害物に対する回折も大きくかつ反射も小さいため、穏やかな指向性が得られてRFIDタグの受信領域を安定して形成することができる。また送信アンテナを、バランスウェイト上に垂直姿勢または上端が前方に傾斜する前傾姿勢で配置することにより、安定した前後に幾分広い略円形として、RFIDタグの受信領域を安定させることができ、送信波の電力を制御することにより、RFIDタグの受信領域を精度良く制御することができる。さらにメンテナンス時のボンネットなどの開閉などに支障を来たすことなく、メンテナンスを容易に行うことができ、さらに排ガス管との干渉を避けかつ排ガスの悪影響を受けるのを防止することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、長波帯域の送信波を送信する送信アンテナを、アンテナ線が複数回巻回されてループ状とした多重磁界ループアンテナとしたので、送信アンテナの周囲の障害物の影響が少なく、かつ障害物に対する回折も大きくかつ反射も小さいため、穏やかな指向性が得られてRFIDタグの受信領域を安定して形成することができる。また車体に架台を介してキャビンが配置された大型の産業車両では、送信アンテナを、キャビン後方のデッキに垂直姿勢で配置することにより、指向性を幾分前後に長い略長円形として、RFIDタグの受信領域を広く確保することができ、送信波の電力を制御することにより、RFIDタグの受信領域の制御を精度良く実施することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、バッテリ駆動式の産業車両では、車体外側とヘッドガード内との間で、バッテリを吊下索体により吊り下げて交換することになるが、ループ体の各アンテナ線の一部を接続体により分離することができるので、送信アンテナ内に吊下索体を挿入することができ、吊下索体を使用したバッテリの交換に支障を来たすこともない。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、RFIDリーダでは、産業車両の走行速度が増大するに従って、RFIDタグの受信領域を拡張するので、安全性を向上させることができる。
請求項6記載の発明によれば、前後進などの走行操作信号により、一時的にRFIDタグの受信領域を拡張することにより、安全を確認した後に発進することができ、低速走行時にRFIDタグの受信し過ぎによる煩わしさを解消することができる。また視界が制限される荷役状態でのRFIDタグの受信領域を、空荷時に比較して拡張するので、安全性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る安全装置を有するフォークリフトの実施例1を示す側面図である。
【図2】フォークリフトの平面図である。
【図3】送信アンテナを示す概略平面図である。
【図4】送信アンテナのカバー体を示す斜視図である。
【図5】送信アンテナの横断面図である。
【図6】送信アンテナの取付状態を示す部分横断面図である。
【図7】取付具を示す斜視図である。
【図8】安全装置の構成を示すブロック図である。
【図9】(a)〜(f)は、RFIDタグの受信領域を示す平面図で、(a)は停止時、(b)は発進時、(c)は低速走行時、(d)は高速走行時、(e)は荷役発進時、(f)は荷役低速走行時である。
【図10】安全装置の動作を説明するフロー図である。
【図11】実施例1の変形例を示すフォークリフトの側面図である。
【図12】送信アンテナの平面図である。
【図13】本発明に係る安全装置を有する大型フォークリフトの実施例2を示す側面図である。
【図14】フォークリフトの背面図である。
【図15】アンテナ設置具を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る安全装置を有する超大型フォークリフトの実施例3を示す側面図である。
【図17】フォークリフトの背面図である。
【図18】(a)〜(c)は、実施例1〜3に係る送信アンテナの実験例を示し、(a)は実施例1の送信アンテナによるRFIDタグの受信領域を示す平面図、(b)は実施例2の送信アンテナによるRFIDタグの受信領域を示す平面図、(c)は実施例3の送信アンテナによるRFIDタグの受信領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施例1]
以下、本発明に係る産業車両の安全装置の実施例1を図1〜図10、図18(a)に基づいて説明する。
【0021】
(フォークリフト)
図1,図2に示すように、この産業車両は、たとえば小型のカウンターバランス式フォークリフトである。車体1の前部に左右一対の前輪2が配置されるとともに、後部に走行駆動および操向を行う左右一対の後輪3が配置されている。また車体1の前部に左右一対のマスト部材5が立設され、リフトシリンダ4によりマスト部材5を伸縮し、巻き掛け伝動装置を介して左右一対のフォーク6を昇降駆動するリフト装置7が配置されている。車体1には、エンジンと油圧装置が内装されるとともに、後端部にバランスウェイト8が設けられている。またバランスウェイト8前部のボンネット9上に操縦席11が配置され、車体1前部のフロントパネル12にステアリングハンドル13や荷役シフトレバー14、走行操作レバー15が配置されている。フロントパネル12後方で操縦席11の上方部には、ヘッドガード16が設置されており、フロントパネル12両側から立設された一対の前部ポスト17Fおよびボンネット9後部両側から立設された一対の後部ポスト17Rにより、ヘッドガード16が支持されている。
【0022】
このヘッドガード16は金属製で、前後ポスト16F,16Rの上端部間がサイドフレーム17Sでそれぞれ連結され、サイドフレーム17S間に複数の横ビーム17Bが幅方向に連結されている。また前後の横ビーム17B間に、幅方向に一定間隔をあけて複数の縦ロッド17Rが取り付けられて安全性が確保されている。さらに後側の横ビーム17B間に雨よけプレート16Pが取り付けられ、前側は縦ロッド17Rからなる窓部16Wが形成されて、操縦席11からマスト部材5の上方部の視界が確保されている。
【0023】
(安全装置)
図8に示すように、本発明に係る安全装置20は、フォークリフトに設置された警報コントローラ(RFIDリーダ)21と、この警報コントローラ21から送信電力が供給されて所定範囲に低波帯域(たとえば125kHz)の電磁波からなるトリガー波(送信波)αを一定時間ごとに出力する送信アンテナ22と、このフォークリフトの周辺で作業する複数の作業員がそれぞれ所持し、前記トリガー波αを受信して警報を出力するとともに反射波βを送信するRFIDタグ41と、フォークリフトに設置されRFIDタグ41から送信された極超短波(たとえば2.45GHzの電波)からなる反射波βを受信し警報コントローラ21により作動される車両警報ブザー(車両警報出力装置)23を具備している。
【0024】
またこの警報コントローラ21は、走行操作レバー15の操作信号および車速センサ24の検出信号ならびに油圧センサ38の荷役信号に基づいて、トリガー波αの出力を制御し、状況に応じてRFIDタグ41の受信領域を調整するトリガー波電力制御部(送信波制御部)25と、反射波βに基づいて、タグIDおよび停止信号により車両警報ブザー23を作動する警報制御部26とを具備している。
【0025】
前記トリガー波電力制御部25は、走行操作レバー15の操作信号(前進、停止、後進)を検出する走行操作信号入力部27と、車速センサ24からの走行速度信号を検出する走行速度信号入力部28と、リフトシリンダ4の油圧センサ38からの信号に基づいて荷役信号を入力する荷役信号入力部39と、走行速度に対応するRFIDタグ41の受信領域を形成するための送信電力を設定した電力制御テーブル29と、前記操作信号に基づいて適正な範囲のRFIDタグ41に検知させる電磁波の送信電力を求めるとともに、走行速度により電力制御テーブル29に基づいて電磁波の送信電力を求める出力判断部31とを具備している。そして、出力判断部31から出力された制御信号は、高周波発生回路32から設定高周波が入力された電力調整器33に入力され、送信アンテナ22から適正なRFIDタグ41の受信領域を形成する送信電力により電磁波が送信アンテナ22から送信される。前記電力制御テーブル29は、車速軸と送信アンテナ22に給電する給電電力の電圧軸とからなり、車速軸は、停止:0〜最高速度の間が複数の任意間隔で分割され、フォークリフトの走行速度に対応する給電電力の電圧を割り当てている。
【0026】
警報制御部26は、反射波受信アンテナ34で受信した反射波βの信号が入力される車両警報判断部35と、反射波βの信号に含まれるタグIDを記憶するタグID記憶部36と、タグIDを含む反射波βを受信しない時間を計測するタイマー37とを具備している。
【0027】
なお、ここで警報音を発する車両警報ブザー23を設けたが、警報ランプや警報表示器であってもよい。
RFIDタグ41は、トリガー波αを受信する受信アンテナ42と、受信アンテナ42によりトリガー波αを検出するトリガー波検出部43と、タグ警報ブザー(タグ警報出力部)45を作動して警報音を出す反射波判断部44と、トリガー波αの信号に含まれる車両IDを記憶する車両ID記憶部47と、反射波判断御部44を介して警報音を停止する警報停止ボタン48と、高周波回路からの高周波をタグIDや警報停止信号を含む反射波βを出力し、反射波送信アンテナ50から送信させる反射波出力部49とを具備している。
【0028】
なお、ここでタグ警報ブザー45を、警報音声発生器や警報ランプやバイブレーション発生器とすることもできる。
前記送信アンテナ22は、低波帯域の電磁波を効率よく送信できる微小磁界ループアンテナが採用されている。この送信アンテナ22は、図3に示すように、たとえば線径が1〜2mm程度で柔軟性のある耐熱ビニル被覆単電線(縒り線も可)を、周長3〜10m/回で複数回(4〜10回)の多重ループ状に巻回して結束したもので、このループ体22aは、図4および図5に示すカバー体51内に挿入されて、カバー体51の開口部に詰め込まれた部厚い樹脂製の絶縁テープ52により保持されている。カバー体51は非導電性樹脂からなり、平面視が角アール形の矩形枠で、円弧状頂部51aの両側から幅の狭い内壁51bと幅の広い外壁51cが下方に連続する山形断面に形成されており、図4に示すように、前辺部分の外壁51cで、底辺から上方に視界を確保する削除部51dが形成されている。
【0029】
このループ体22aの単電線(アンテナ線)を全長は、たとえば約20m〜56mの範囲から、送信アンテナ22の設置位置とRFIDタグ41の検知範囲に対応して選択される。ここで周波数125kHzのトリガー波αの波長λは3750mであり、波長λに対するアンテナ線の長さは、約0.005λ〜0.015λである。
【0030】
また前記ループ体22aの周回経路の少なくとも1箇所に、各単電線を互いに分離接続可能な非導電材に覆われた接続体(コネクタ)22bが介在されて、ループ体22aを分離して直線状にすることができ、カバー体51への装着などの取り扱い性を向上させている。22cは給電ケーブルのコネクタである。
【0031】
この送信アンテナ22は、図2、図6および図7に示すように、ヘッドガード16のサイドフレーム17Sに、複数の取付具53を介してループ体22aがヘッドガード16から所定距離(たとえば10cm以上)離れて設置されている。これら取付具53は、下方からサイドフレーム17Sに外嵌可能なチャンネル形断面の固定部材53aと、この固定部材53aをサイドフレーム17Sに固定する固定ねじ53bと、固定部材53に立設されたL形ブラケット53cにより構成され、L形ブラケット53cの上部にカバー体51の外壁51cが取付ボルト53dにより取り付けられている。53eは、固定部材53aの内面に取り付けられたクッション材である。
【0032】
(トリガー波受信領域)
次にトリガー波αによるRFIDタグ41の受信領域について、図9を参照して説明する。
【0033】
停止時[図9(a)]
フォークリフトの停止時には、たとえば半径1m程度の最も狭いRFIDタグ41の受信領域を発生させる。ここでは、操縦者が乗り込んだ時に、操縦者が所持するRFIDタグ41も、タグ警報ブザー45が作動されて警報音が出る。
【0034】
発進時[図9(b)]
走行操作レバー15により検出される走行開始時、すなわちN(中立)→F(前進)、N(中立)→R(後進)、F(前進)⇔R(後進)の切換信号により、この走行開始(変更)時のRFIDタグ41の受信領域が、図9(a)に示す停止時(走行速度0)の受信領域および図9(c)に示す(最)低速走行時の受信領域より大きくなるようにトリガー波αの出力が制御されている。この走行開始(変更)時は、走行操作レバー15の切換信号が検出され、かつ走行速度が0になった時に、送信アンテナ22への給電電圧が制御され、発進操作が行われかつ走行速度が0の時に、一時的に受信領域がたとえば7m程度を半径とする範囲まで拡大される
低速走行時[図9(c)]
低速走行時には、フォークリフトの全長(以下ではフォーク6の前端から車両本体20の後端までの水平距離をいう)の1.5倍程度(たとえば5m程度)を半径とする狭い受信領域となるように送信アンテナ22への給電電圧が制御される。したがって、低速走行時のRFIDタグ41の受信領域は、発進時より狭くなる。
【0035】
高速走行時[図9(d)]
高速走行になると、低速走行時の受信領域よりも受信領域が広くなるように、走行速度に応じて、送信アンテナ22への給電電圧が制御され、RFIDタグ41の受信領域がフォークリフトの全長の3倍以上、たとえば半径10m以上となる。
【0036】
荷役発進時[図9(e)]
フォーク6に荷Mが支持されて油圧センサ38によりリフトシリンダ4の油圧が検出されて、荷役信号入力部39に荷役信号が入力され、設定値以上になると、図9(b)に示す空荷(無負荷)状態の発進時に比較してRFIDタグ41の受信領域が広くなるように、送信アンテナ22への給電電圧が制御される。
【0037】
荷役低速走行時[図9(f)]
フォーク6に荷Mが支持された荷役低速走行時には、(c)に示す空荷(無負荷)状態の低速走行時に比較して、RFIDタグ41の受信領域が広くなるように、送信アンテナ22への給電電圧が制御される。もちろん、図示しないが、高速走行時にも、RFIDタグ41の受信領域が広くなるように制御してもよい。
【0038】
上記発進時および荷役発進時に、停止時および低速走行時ならびに荷役低速走行時よりそれぞれ広くなるように、RFIDタグ41の受信領域を制御するので、フォークリフトの危険性に応じて、適切にタグ警報ブザー45および車両警報ブザーを作動させて危険を知らせておくことができ、走行を開始した時に、必要以上に車両警報ブザー23やタグ警報ブザー45が作動して、操縦者や作業者に煩わしさを感じさせることなくフォークリフトと作業者との接触事故を未然に防止することができる。
【0039】
(動作)
次に、図10を参照して安全装置20の動作を説明する。
警報コントローラ21から送信アンテナ22を介してトリガー波αが送信される(STEP.1)と、このトリガー波αがRFIDタグ41の受信アンテナ42で受信される(STEP.2)。RFIDタグ41では、トリガー波αに含まれる車両IDを記録し(STEP.3)、タグ警報ブザー45を作動して警報音を出し(STEP.4)、作業員に危険を知らせるとともに、反射波送信アンテナ50からタグIDを含む反射波βを送信する(STEP.5)。
【0040】
警報コントローラ21で反射波βを受信する(STEP.6)と、反射波βに含まれるタグIDを記憶し(STEP.7)、車両警報ブザー23から警報音を発して操縦者に危険を知らせる。
警報コントローラ21からトリガー波αを送信し(STEP.9)、RFIDタグ41で再度トリガー波αが受信される(STEP.10)。この時、RFIDタグ41で設定時間を超えてその車両IDを含むトリガー波αが検出されない(STEP.11)と、車両ID記憶部47からその車両IDが消去される(STEP.12)。
【0041】
トリガー波αに含まれる車両IDが記憶された車両IDであると確認され(STEP.13)、さらに警報停止ボタン48が押されている(STEP.14)と、タグ警報ブザー45が停止される(STEP.15)。そして、RFIDタグ41の反射波送信アンテナ50からタグIDと警報停止信号を含む反射波βが送信される(STEP.16)。
【0042】
警報コントローラ21では、反射波βが反射波受信アンテナ34で受信されると、反射波βに含まれるタグIDと、警報停止信号の有無が確認され(STEP.20,21)、警報停止信号を含む場合には、車両警報ブザー23が停止される。この時、設定時間を超えてそのタグIDを含む反射波βが検出されない(STEP.18)と、タグID記憶部36からそのタグIDが消去される(STEP.19)。
【0043】
(実験)
次に小型フォークリフトのヘッドガード16の上部に送信アンテナ22を取り付けて、RFIDタグ41の受信実験を行った結果を、図18(a)を参照して説明する。
【0044】
ここで、送信アンテナ22は、900mm×750mm□の7回巻き(単電線の総延長約23m)の磁界ループアンテナを使用した。またヘッドガード16から10cm離して設置した。
【0045】
ループアンテナや磁界ループアンテナの面を水平に配置した場合、その平面視の指向性は、ほぼ均等な円形であるが、今回の場合でも、RFIDダグ41がトリガー波αを受信できる受信領域が、半径約8m前後の略円形を示した。送信アンテナ22の水平方向の周囲に接近して導電体はないものの、前方のリフト装置7の構成部材が平面視の指向性に幾分影響を与えており、他の方向と比較して前方の電界強度がやや小さいことが判明したものの、指向性は理想的な円形に近い形状を示している。
【0046】
上記実施例1によれば、送信アンテナ22から送信するトリガー波αとして、平面視の指向性が穏やかで、かつ回折が大きくて通信範囲が広く、雨や人体、非導電体の影響を受けにくい125kHzの長波帯域を選択し、平面視で指向性の穏やかな多重磁界ループアンテナを採用して送信アンテナ22とし、この送信アンテナ22を、ヘッドガード16上に所定間隔をあけて水平姿勢で配置したので、トリガー波αの平面視の指向性を略円形として、荷役環境や自然環境の影響を小さくでき、RFIDダグ41がトリガー波αを受信できる受信領域を安定させることができる。
【0047】
また警報コントローラ21では、フォークリフトの走行速度に応じて、電力制御テーブル29に基づき送信アンテナ22への給電電圧を制御することにより、フォークリフトの危険度に対応したRFIDタグ41の受信領域を精度良く制御することができ、安全性を向上させることができる。
【0048】
さらに警報コントローラ21では、操向操作レバー15による前後進などの走行操作信号により、一時的にRFIDタグ41の受信領域を拡張するので、安全を確認した後に発進することができて安全性を向上させるとともに、低速走行時にRFIDタグ41の受信し過ぎによる煩わしさを解消することができる。
【0049】
さらにまた、警報コントローラ21では、油圧センサ38による荷役信号により、視界が制限される荷役状態での送信時および走行時のRFIDタグ41の受信領域を、空荷時に比較して拡張するので、安全性をさらに向上させることができる。
【0050】
[実施例1の変形例]
この変形例は、図11,図12に示すように、バッテリ駆動式のフォークリフトで、ボンネット9内に複数のバッテリを収容したバッテリケース61が収容され、バッテリ交換時に、ホイストや他のフォークリフトを使用して、バッテリケース61をワイヤロープ(吊下索体)62により吊り下げて車体1内に出し入れするもので、このため、ヘッドガード16の右(または左)側部に開放された挿通窓63が、中間の横ビーム17B間に形成され、ワイヤロープ62が通過可能に構成されている。
【0051】
このため、このようなバッテリ駆動式フォークリフトに設置される送信アンテナ22は、挿通窓63に対応してカバー体51に切り欠き部64が形成されている。そして、この切り欠き部64にループ体22aの接続体22bが配置されている。
【0052】
したがって、バッテリ交換に際して、接続体22bを分離することにより、バッテリケース61を吊り下げたワイヤロープ63を、切り欠き部64を介して挿通窓63に出入りさせ、送信アンテナ22のループ体22aを通過させることができる。これにより、バッテリ交換時に送信アンテナ22により支障がでることがない。
【0053】
上記変形例によれば、バッテリ駆動式のフォークリフトにおいて、車体1の外側とヘッドガード16内との間で、バッテリケース61をワイヤロープ62で吊り下げて交換する時に、ループ体22aの各アンテナ線の一部を接続体22bにより分離することができるので、送信アンテナ22のループ体22a内にワイヤロープ62を挿入することができ、ワイヤロープ62を使用したバッテリの交換に支障を来たすこともない。
【0054】
[実施例2]
次に、車体が長い大型フォークリフトに安全装置20を設けた実施例2を、図13〜図15および図17(b)を参照して説明する。なお、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
この大型フォークリフトは、図13,図14に示すように、車体71の前部に操縦席11を有するキャビン72を備えたもので、リフト装置7の揚程が高いため、キャビン72の天井前部に荷役を監視する窓(図示せず)が設けられている。またキャビン72後部には、ボンネット73とバランスウェイト74が設置されており、またバランスウェイト74から立設された排気管75を具備している。そして、図15に示すように、ボンネット73は、エンジンなどのメンテナンスのため、車体後部に設けられたヒンジ76を介して所定角度まで、開閉可能に構成されている。また警報コントローラ21および車両警報ブザー23は図示しないが、キャビン72内に設置されている。
【0056】
ところで、実施例1のように、キャビン72の天井部に送信アンテナ22を取り付けると、キャビン72から視界を遮るため、送信アンテナ22を設置できない。またメンテナンスも難しい。またキャビン72の後方に配置しようとすると、ボンネット73の開閉に支障を来たすことがないように設置する必要がある。さらに高温の排気管75に接触することがないように、また腐食性ガスに晒されないように設置する必要もある。
【0057】
そこで、発明者等は、アンテナ設置具81を使用して、バランスウェイト74上にループ体22aの面を前後に向けて、所定角度たとえば15°〜45°の範囲で前方に傾斜する前傾姿勢で送信アンテナ82を設置した。もちろん、排気管75に対する障害がない場合には、送信アンテナ82を垂直姿勢としてもよし、所定角度たとえば15°〜45°の範囲で後傾する姿勢でもよい。
【0058】
このアンテナ設置具81は、車体後部上に取り付けられた左右一対の立設部材83にそれぞれ支柱84を立設固定し、これら支柱84の上端部と支柱84の中間部から水平後方に張り出された支持ロッド85との間に、ループ体22aと略同一形状の矩形状の支持枠86を取り付けている。86aは支持枠86の中央部の上下方向に掛け渡された補強ロッドである。そして支持枠86に取付具(図示せず)を介してループ体22aを保護する樹脂製のカバー体51R,51Lが、所定間隔たとえば10cm以上の間隔をあけて取り付けられている。これらカバー体51R,51Lは、ループ体22aの左右両側をそれぞれ半分ずつ収納するコの字形の円筒体により形成されている。
【0059】
またバランスウェイト74から直立された排気管75は、傾斜したカバー体51L内を貫通した状態となり、送信アンテナ82に接触することなく、かつ排気管75から排出される排ガスも後方に排出されるので、送信アンテナ82が排ガスの悪影響も受けることがない。
【0060】
(実験)
次に大型フォークリフトのバランスウェイト74の上部に送信アンテナ22を取り付けて、RFIDタグ41の受信実験を行った結果を、図18(b)を参照して説明する。
【0061】
ここで、送信アンテナ22は、900mm×1300mm□の周長4400mmで単電線6回巻きのループ体22aで、単電線の総延長約26mの磁界ループアンテナを使用した。またアンテナ設置具81の支持枠86から10cm離して設置した。
【0062】
ループアンテナや磁界ループアンテナの面を垂直に設置した場合、ループ体22aの面に対して、平面視で8の字形の指向性を示すことが知られているが、今回の場合も、波長に対してループ径が極めて小さい微小ループであるため、RFIDダグ41がトリガー波αを受信できる受信領域が、半径約10m前後で前後にやや長い略円形を示した。
【0063】
また送信アンテナ22の水平方向の周囲に接近して金属部材(導電体)はないものの、前方のキャビン72やリフト装置7の構成部材が平面視の指向性に幾分影響を与えており、他の方向と比較して電界強度がやや小さいことがわかる。また、破線で示したものは、リフト装置7にコンテナを保持した状態での実験値であり、コンテナに影響を受けて前方の電界強度が大きくなり、受信領域が広がっているのが確認された。
【0064】
上記実施例2によれば、送信アンテナ22から送信するトリガー波αとして、平面視の指向性が穏やかでかつ回折が大きいために通信範囲が広く、雨や人体、非導電体の影響を受けにくい125kHzの長波帯域を選択するとともに、平面視の指向性の穏やかな磁界ループアンテナを送信アンテナ22とし、さらにこの送信アンテナ22をバランスウェイト74の上部に垂直または上端が前方に傾斜する前傾姿勢で設置することにより、平面視の指向性が前後に幾分広い略円形として、RFIDタグ41の受信領域を安定させることができる。したがって、送信波の電力を制御することにより、RFIDタグ41の受信領域の制御を精度良く実施することができる。
【0065】
[実施例3]
次に、車体長が長い超大型フォークリフトに安全装置20を設けた実施例3を、図15,図16および図17(c)を参照して説明する。なお、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
この産業車両はコンテナを段積み可能な超大型フォークリフト(スタッカクレーン車ともいう)で、左右一対の前輪92および後輪93を有する車体91前部に、左右一対のマスト部材94を有するリフト装置(荷役装置)95が配置され、車体91上の中間位置に架台96を介して所定高さに配置されて操縦席を収容するキャビン97と、車体91後端側に配置されたバランスウェイト98を具備している。リフト装置95には、昇降部材に、コンテナを側面から保持可能なサイドスプレッダ(コンテナ保持具)99が取り付けられている。
【0067】
前記架台96の前部には乗降階段96aが設置され、上面で中央部に配置されたキャビン97の側部と後部にデッキ96bが配置されている。そして実施例2と同様に形成された送信アンテナ22は、デッキ96bの後部手摺96cに所定間隔、たとえば10cm以上あけて垂直姿勢で取り付けられている。また警報コントローラ21および車両警報ブザー23は、キャビン72内に設置されている。
【0068】
送信アンテナ22のカバー体51R,51Lは、実施例2と同様に、ループ体22aの左右両側をそれぞれ半分ずつ収納するコの字形の円筒体により形成されている。
(実験)
次にこの超大型フォークリフトのデッキ96bの背面に、送信アンテナ22を垂直姿勢で取り付けて、RFIDタグ41の受信実験を行った結果を、図18(c)を参照して説明する。
【0069】
ここで、送信アンテナ22は、約1500mm×2500mm□の周長約8000mmで単電線を4回巻きしたループ体22aで、単電線の全長約32mの磁界ループアンテナを使用した。なお、この実験は、降水量2mmの雨天で実施された。
【0070】
ループアンテナや磁界ループアンテナの面を垂直に設置した場合、ループ体22aの面に対して、平面視で8の字形の指向性を示すことが知られているが、今回の場合、RFIDダグ41で検出できる受信領域が、車体91の後方に約18mに達するように拡張される傾向が顕著に現れた。車体91の前方には、金属性のキャビン97および昇降マスト94があるため、受信領域が約15m前後に留まっていた。左右両サイドは、受信領域が約13〜14m前後であり、磁界ループアンテナを垂直姿勢とした傾向が少し現れており、この送信アンテナ22の平面視の指向性として、全体に前後方向に拡張された略長円形となっていた。この安全装置20では、車体91の前後は、フォークリフトの走行方向であり、左右両サイドより受信領域が広くなるほうが好ましい。
【0071】
上記実施例3によれば、送信アンテナ22から送信するトリガー波αとして、平面視の指向性が穏やかでかつ回折も大きいため通信範囲が広く、雨や人体、非導電体の影響を受けにくい125kHzの長波帯域を選択するとともに、平面視の指向性の穏やかな磁界ループアンテナを送信アンテナ22とし、車体91に架台96を介してキャビン97が配置された超大型のフォークリフトで、送信アンテナ22を、キャビン97後方のデッキ96bに垂直姿勢で配置することにより、平面視の指向性を前後に長い略長円形として、RFIDダグ41がトリガー波αを受信できる受信領域を広く安定して確保することができ、トリガー波αの送信電力を制御することにより、RFIDタグ41の受信領域の制御を精度良く実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
α トリガー波(送信波)
β 反射波
1 車体
7 リフト装置
8 バランスウェイト
9 ボンネット
11 操縦席
15 走行操作レバー
16 ヘッドガード
20 安全装置
21 警報コントローラ(RFIDリーダ)
22 送信アンテナ
22a ループ体
22b 接続体
22c コネクタ
23 車両警報ブザー(車両警報出力装置)
24 車速センサ
25 トリガー波電力制御部(送信波制御部)
26 警報制御部
27 走行操作信号入力部
28 走行速度信号入力部
29 電力制御テーブル
31 出力判断部
32 高周波発生回路
33 電力調整器
34 反射波受信アンテナ
35 車両警報判断部
36 タグID記憶部
37 タイマー
38 油圧センサ
39 荷役信号入力部
41 RFIDタグ
42 受信アンテナ
43 トリガー波検出部
44 反射波判断部
45 タグ警報ブザー(タグ警報出力部)
47 車両ID記憶部
48 警報停止ボタン
49 反射波出力部
50 反射波送信アンテナ
51 カバー体
51d 削除部
51R,51L カバー体
61 バッテリケース
62 ワイヤロープ(索体)
63 挿通窓
64 切り欠き部
71 車体
72 キャビン
73 ボンネット
74 バランスウェイト
75 排気管
81 アンテナ設置具
91 車体
96 架台
96b デッキ
96c 後部手摺
97 キャビン
99 サイドスプレッダ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両に搭載したRFIDリーダから送信アンテナを介して所定範囲に送信波を送信し、作業者が所持するRFIDタグで前記送信波を受信して警報を出力するとともに、RFIDタグから送信された反射波を前記RFIDリーダで受信して操縦者に警報を出す産業車両の安全装置であって、
前記送信波を長波帯域の電磁波とし、
送信アンテナを、周長が3.0以上で10.0m以下のループ状で、複数回に巻回されたアンテナ線の全長が、送信波の波長の0.005〜0.015倍の範囲となる多重巻きのループ体とし、当該ループ体が非導電性材質のカバー体内に収容された磁界ループアンテナとし、
前記送信アンテナを、操縦席の上方部に設置されたヘッドガート上に、所定間隔をあけて水平姿勢で配置した
ことを特徴とする産業車両の安全装置。
【請求項2】
産業車両に搭載したRFIDリーダから送信アンテナを介して所定範囲に送信波を送信し、作業者が所持するRFIDタグで前記送信波を受信して警報を出力するとともに、RFIDタグから送信された反射波を前記RFIDリーダで受信して操縦者に警報を出す産業車両の安全装置であって、
前記送信波を長波帯域の電磁波とし、
送信アンテナを、周長が3.0以上で10.0m以下のループ状で、複数回に巻回されたアンテナ線の全長が、送信波の波長の0.005〜0.015倍の範囲となる多重巻きのループ体とし、当該ループ体が非導電性材質のカバー体内に収容された磁界ループアンテナとし、
前記送信アンテナを、前記バランスウェイト上に、垂直姿勢または上端が前方に傾斜する前傾姿勢で配置した
ことを特徴とする産業車両の安全装置。
【請求項3】
産業車両に搭載したRFIDリーダから送信アンテナを介して所定範囲に送信波を送信し、作業者が所持するRFIDタグで前記送信波を受信して警報を出力するとともに、RFIDタグから送信された反射波を前記RFIDリーダで受信して操縦者に警報を出す産業車両の安全装置であって、
前記送信波を長波帯域の電磁波とし、
送信アンテナを、周長が3.0以上で10.0m以下のループ状で、複数回に巻回されたアンテナ線の全長が、送信波の波長の0.005〜0.015倍の範囲となる多重巻きのループ体とし、当該ループ体が非導電性材質のカバー体内に収容された磁界ループアンテナとし、
前記送信アンテナを、
産業車両は、車体前部に配置された荷役装置と、車体上の中間位置に架台を介して所定高さに配置されたキャビンと、車体後端部に配置されたバランスウェイトを有する荷役車両であり、
前記送信アンテナを、前記架台上でキャビン後方のデッキ背面に垂直姿勢で配置した
ことを特徴とする産業車両の安全装置。
【請求項4】
産業用車両は、車体に着脱自在に搭載したバッテリにより駆動される電気駆動式車両であり、
ループ体の複数のアンテナ線の少なくとも一箇所をそれぞれ切断して、各アンテナ線を互いに接続分離可能な接続体を介在させ、
送信アンテナ内に、前記バッテリの吊下索体を出入り自在とした
請求項1記載の産業車両の安全装置。
【請求項5】
RFIDリーダは、走行速度信号に基づき、送信アンテナに給電する送信波の送信電力を制御してRFIDタグが受信可能な受信領域を制御する送信波制御部と、RFIDタグからタグIDを含む反射波を受信してタグIDを記憶し、前記反射波に基づいて警報信号を出力するする警報制御部を具備し、
RFIDタグは、受信した送信波に基づいて警報信号を出力するタグ警報出力部と、当該RFIDタグのIDを含む反射波を出力する反射波出力部を具備し、
前記送信波制御部は、産業車両の走行速度に基づいて、走行速度が増加されるに従って送信波の電力を増加しRFIDタグの受信可能な範囲を拡張する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の産業車両の安全装置。
【請求項6】
RFIDリーダは、
走行操作信号に基づいて、車両の発進時に、送信波の電力を増加してRFIDタグの受信可能な範囲を、停止時および低速走行時より拡張し、
荷役信号により、空荷時に比べてRFIDタグの受信可能な範囲を空荷時に比べて拡張する
ことを特徴とする請求項5記載の産業車両の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−52947(P2013−52947A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191154(P2011−191154)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】