説明

用紙処理装置及び画像形成システム

【課題】補助トレイを設けることなく、また、排紙速度を制御することなくZ折り用紙をステープルトレイへ適正にスタックすること、及び小サイズ用紙を直接外部積載トレイへの搬送することの両者を両立させる。
【解決手段】搬入されてきた用紙Pを下流側に搬送する第2の搬送ローラ対12と、第2の搬送ローラ対12によって搬送された用紙Pを一時的に積載するステープルトレイ21と、用紙搬送方向と直交する方向に往復動し、ステープルトレイ21上に積載される用紙の搬送方向と直交する方向を整合する整合機能、及び用紙幅方向の用紙側部より内側の用紙下方支持位置22−1,23−1に移動し、ジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uが搬送される用紙の下面に接触して搬送する搬送機能を有するジョガーフェンス22,23と、を備えた

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置及び画像形成システムに係り、特に搬入されてきた用紙、転写紙、印刷紙、OHPシートなどのシート状記録媒体(本明細書では、「用紙」と称す)に対して所定の処理を施す用紙処理装置、及びこの用紙処理装置と複写機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機などの画像形成装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたレーザプリンタやカラー画像複写機等の画像形成装置においては、一般に、パソコンあるいは画像入力装置から入力された画像データをレーザ等により露光して感光体ドラム等の像坦持体に対して静電潜像を形成する。次いで、現像装置によりトナーを現像した後に用紙に転写し、その後、加熱ローラ方式の定着装置によってトナーを用紙に溶融させて画像を定着させ、排紙させるように構成されている。なお、画像形成装置自体は、電子写真方式の他に液滴吐出方式(例えば、インクジェット)、熱転写方式などの公知の作像エンジンが使用され、画像形成が行われる。
【0003】
このような画像形成装置に対して、ステープル(綴じ)、パンチ穴あけ、ソート丁合い、製本、折り等の後処理を実行させる装置を接続させて作業の自動化を図った用紙処理装置も提供されている。このような画像形成装置で画像記録されたシートの後処理を行う用紙処理装置は、画像形成後の用紙に対して処理を行うため、用紙後処理装置と称されている。以下、本明細書では用紙後処理装置として説明する。
【0004】
この種の用紙後処理装置として、例えば搬送される用紙を搬送ローラによりステープルトレイ上に排紙し、整合手段によって整合し、綴じ手段によって綴じ処理を行った後、排紙ローラにより排紙トレイ上に順次積載する装置がある。このような用紙後処理装置では、ステープルトレイ上に通常の用紙の他に、フェイスダウン(折り部が下側)のZ折りされた用紙を積載し、整合して排紙トレイに排紙することができるようになっているものもある。
【0005】
しかし、Z折り用紙のステープルトレイ上のスタックにおいて、Z折り用紙の内側の折り部が搬送ローラ対から排紙口までの距離より長い場合、その折り部が排紙口よりも外側に位置して、整合位置に揃える際に排紙ローラ(エンドフェンス)に引っ掛かり、Z折り用紙がステープルトレイ上に適正にスタックされないことがある。そこで、このような状態を引き起こさないようにした技術として、例えば、特許文献1あるいは2に記載された発明が知られている。
【0006】
このうち、特許文献1(特開2001−26345号公報)には、Z折りシートが排出される際、第1及び第2の排出手段間の距離、Z折りシートの長さ、Z折りシートの後端からZ折りシートの内側の折り部までの距離を勘案して設定された所定の速度で排出し、Z折りシートの内側の折り部が、常に、第2の排出手段よりも内側(第1の排出手段側)に位置しながら排紙トレイ上に積載され、内側の折り部が第2の排出手段に引っ掛かることなく、適正に第1の積載手段上に積載されるようにした発明が記載されている。
【0007】
また、特許文献2(特開平11−116121号公報)には、Z折り用紙の内側の折り部が排紙ローラ(エンドフェンス)に引っ掛からないようするため、例えば排紙口近傍から補助トレイが進退可動するようにし、後続のシートが排紙トレイに排出されるとき、補助トレイが排紙トレイ上のシートの先端部の既積載の折りシートの折り開口部への入り込み、積載されている折りシートの折り開口部を覆うようにしてシート積載不良の発生を防止するようにした発明が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、Z折り用紙を積載し、後処理する用紙後処理装置では、Z折り用紙の内側の折り部が排紙ローラ(エンドフェンス)に引っ掛からないようするため、例えば特許文献1記載のように適正にステープルトレイにスタックできるよう搬送ローラの排紙速度を制御し、あるいは特許文献2記載のように排紙口近傍から補助トレイが進退するように制御している。
【0009】
しかし、適正にステープルトレイにスタックできるように搬送ローラの排紙速度を制御するようにすると、生産性が低下し、また、排紙口近傍から補助トレイが進退するようにすると、可動部を設けるので大型になり、当然、部品点数も多くなり、コストの上昇を招くことになる。
【0010】
さらに、Z折り用紙の内側の折り部が排紙ローラ(エンドフェンス)に引っ掛からないよう搬送ローラ対から排紙口までの距離を設定すると、補助トレイが不要となり、部品点数もその分少なくなり、コストを低減することはできるが、小サイズの用紙を直接機械外部に搬送できなくなる。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、補助トレイを設けることなく、また、排紙速度を制御することなくZ折り用紙をステープルトレイへ適正にスタックすること、及び小サイズ用紙を直接外部積載トレイへ搬送することの両者を両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、第1の手段は、用紙に対して予め設定された処理を施す用紙処理装置であって、搬入されてきた用紙を下流側に搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された用紙を一時的に積載する一時積載手段と、用紙搬送方向と直交する方向に往復動し、前記一時積載手段上に積載される用紙の前記用紙搬送方向と直交する方向を整合する整合機能、及び用紙の搬送方向と直交する方向の用紙側部より内側の用紙下方支持位置に移動し、当該整合手段の上部端面が搬送される用紙の下面に接触して搬送する搬送機能を有する整合手段と、前記一時積載手段上で前記処理が施された用紙束を排紙する排紙手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
第2の手段は、第1の手段に係る用紙処理装置を画像形成システムが備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、補助トレイを設けることなく、また、排紙速度を制御することなくZ折り用紙をステープルトレイへ適正にスタックすること、及び小サイズ用紙を直接外部積載トレイへ搬送することの両者を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置と用紙折り装置と用紙後処理装置とからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1の排紙部近傍の構成及び動作を示す図で、排紙ローラ対を開状態にしてZ折り用紙を搬送する状態を示す。
【図3】図1の排紙部近傍の構成及び動作を示す図で、ステープルトレイにZ折り用紙を積載する状態を示す。
【図4】図1の排紙部近傍の構成を示す図で、搬送ローラと排紙ローラ間の距離とZ折り用紙との寸法関係を示す。
【図5】図1の排紙部近傍の構成を示す図で、Z折りされた用紙が排紙ローラに引っ掛かるときの寸法関係を示す。
【図6】図1の排紙部近傍の構成を示す図で、小サイズの用紙を搬送するときの状態を示す。
【図7】Z折り用紙の長さ関係を示す説明図である。
【図8】実施例1に係る後処理部の構成と動作を示す説明図で、ジョガーフェンスが用紙の搬送経路として使用されている状態を示す。
【図9】実施例1に係る後処理部の構成と動作を示す説明図で、ジョガーフェンスが用紙の幅方向を整合するときの状態を示す。
【図10】実施例1におけるジョガーフェンスと用紙の搬送状態を示す正面図である。
【図11】ジョガーフェンスの上部端面が搬送ガイドとなるように用紙の下面側にジョガーフェンスを位置させた状態を示す図である。
【図12】ジョガーフェンスが用紙の中央寄りに移動し、搬送ガイドとして機能できなくなった状態を示す図である。
【図13】ジョガーフェンスの上部端面に広幅のガイド部材を上部端面から外側に片持ち状に設けた例を示す図である。
【図14】ジョガーフェンスの上部端面に広幅のガイド部材を上部端面の両側に延びるように設けた例を示す図である。
【図15】ガイド部材の外側にリブを用紙案内面から突出するように設けた例を示す図である。
【図16】図15のガイド部材にガイドローラを設けた例を示す図である。
【図17】図16のガイドローラを設けたガイド部材の要部斜視図である。
【図18】実施例1における画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図19】実施例1における用紙後処理装置の制御部の制御手順を示すフローチャートである。
【図20】実施例2に係る後処理部の構成と動作を示す説明図で、用紙先端が入口センサによって検知されたときの状態を示す。
【図21】実施例2に係る後処理部の構成と動作を示す説明図で、用紙がジョガーフェンスの上部端面を搬送ガイドとして搬送され、戻しローラによって搬送力が付与されている状態を示す。
【図22】実施例2に係る後処理部の構成と動作を示す説明図で、用紙がジョガーフェンスの上部端面を搬送ガイドとして搬送されているが、戻しローラが搬送力を付与しない状態を示す。
【図23】実施例2における画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図24】実施例2における用紙後処理装置の制御部の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ステープルトレイ上に排紙される小サイズの用紙の下方に、用紙搬送方向と直交する方向を整合するジョガーフェンス(整合手段)を移動させ、ジョガーフェンスの上部端面で搬送ガイドを形成し、用紙を支持することを特徴とする。
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同等と見なせる各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置PRと用紙折り装置FDと用紙後処理装置FRとからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。
【0019】
画像形成装置PRは用紙に対して画像形成エンジンにより画像を形成し、画像が形成さ
れた用紙を用紙折り装置FDに搬出する。具体的には、画像形成装置PRは、用紙に画像を形成する機能を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、印刷機、あるいはこれらの機能が複合された複合機のいずれかからなる。これらの機能を有する画像形成装置については、公知のものであり、この画像形成装置の機能は本願発明の要旨ではないので、ここでの説明は省略する。
【0020】
用紙折り装置FDは2つ折り、3つ折り(Z折りなど)、4つ折り等の複数の折り処理が可能な装置である。用紙折り装置FDは画像形成装置PRから受け入れた画像形成済みの用紙を例えばZ折りし、Z折り用紙PとしてZ折り部側を用紙搬送方向下流側に向けて用紙後処理装置FRに送り込む。用紙後処理装置FRは受け入れたZ折り用紙Pに対して穿孔などの後処理を施し、例えば排紙トレイ5あるいはプルーフトレイ6に排紙する。これらの折り機能を有する用紙折り装置FDも公知のものであり、この用紙折り装置FDの機能及び構成は本願発明の要旨ではないので、ここでの説明は省略する。
【0021】
用紙後処理装置FRは、用紙折り装置FDからZ折り用紙Pを受け入れる導入経路1と、導入経路1から分岐する3つの経路、すなわちプルーフトレイ6へ向かう上搬送経路2と、シフト処理や端綴じ、2箇所綴じ処理を行うストレート搬送経路3と、中綴じ・折り処理を行う下搬送経路4とを有する。
【0022】
導入経路1には入口ローラ10、入口センサ13が配置されている。入口センサ13は用紙Pが用紙後処理装置FR内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ10の下流には用紙穿孔ユニット19が配置され、画像形成装置PRのCPUの指示に基づいて用紙Pにパンチ孔を穿孔する。用紙穿孔ユニット19の下流には、第1の搬送ローラ11が配置され、これを経て上搬送経路2へと用紙Pは搬送され、上排紙ローラ30からプルーフトレイ6に排紙される。導入経路1の終端部の分岐部に位置する分岐爪7は切り替え動作により上搬送経路2、ストレート搬送経路3、下搬送経路4へ用紙の搬送方向を仕分ける。
【0023】
ストレート搬送経路3には第2の搬送ローラ対12が配置され、この搬送ローラ対12によりステープルトレイ21及び排紙トレイ5へと用紙Pは搬送される。ストレート搬送経路3には図示しない駆動モータ及び駆動機構によって正逆方向に駆動される排紙ローラ対26,27及び排紙センサ28が配置され、ソートモード時は、シフト機構を有する第2の搬送ローラ対12が図示しない駆動モータ及び駆動機構により、搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動することによって用紙Pは一定量シフトし、排紙ローラ対26,27により排紙トレイ5に排紙され、排紙トレイ5に順次スタックされていく。
【0024】
なお、排紙ローラ対26,27は排紙トレイ5への排出口部に設けられ、駆動側の排紙ローラ26と排紙従動ローラ27とによって用紙P又は用紙束を挟持して排出する対構造となっている。この対構造では、排紙従動ローラ27を備えた排出ガイドの排紙ローラ26に対する接離動作で、用紙P又は用紙束を挟持して排出可能な閉状態と挟持しない開状態とを選択的に取り得るようになっており、用紙Pのシフト動作が完了した後、用紙Pを挟持し、搬送力を付与して排紙する。
【0025】
排紙口上方付近には、フィラー40が設けられており、スタックされた用紙Pの中央付近位置の上面に先端が接触するようにフィラー40の根元側が揺動自在に支持されている。フィラー40の根元付近には、フィラー40の先端の高さ位置を検知する図示しない上面検知センサが設けられ、フィラー40の根元の位置を検知することによりスタック用紙Pの紙面高さを検知している。
【0026】
排紙トレイ5上の堆積枚数の増大により用紙の高さが上昇するに従って、上面検知センサがオンすると、後述の図18に示す用紙後処理装置FRの制御部(CPU)60は排紙トレイ5を上下動させる図示しない駆動モータを駆動制御して排紙トレイ5を下降させる。排紙トレイ5が下降し、上面検知センサがオフすると、下降を停止させる。この動作を繰り返し、排紙トレイ5が規定のトレイ満杯高さまで達すると、用紙後処理装置FRの制御部60から画像形成装置PRの制御部(CPU)に停止信号を出し、画像形成装置PRの制御部は、この停止信号に基づいて画像形成動作を停止させるとともに、システム全体の動作も停止させる。
【0027】
ストレート搬送経路3の最下流側にはステープルトレイ21が設けられている。ステープルトレイ21の終端位置には用紙後端に沿って用紙搬送方向と直交する方向(用紙幅方向)に移動し、綴じ処理を行うステープラ50が配置されている。ステープルトレイ21の上面には、用紙搬送方向と直交する方向に近接離間動作し、用紙幅方向を整合する整合部材としてのジョガーフェンス22,23が設けられている。ステープルトレイ21の最下流側の端部には用紙の後揃えの基準となる基準フェンス24,25が配置されている。また、ステープルトレイ21の上部には、振り子運動を行って用紙に接触して用紙Pを移動させ、用紙後端を基準フェンス24,25に突き当てることによって用紙の搬送方向を整合する戻しローラ41が設けられている。さらに、ステープルトレイ21から上方に突出し、ステープルされた用紙束を排紙ローラ対26,27方向に移動させる放出爪29も設けられている。
【0028】
このように構成された用紙後処理装置FRでは、ストレート搬送経路3に搬送されてきた用紙Pはステープルトレイ21上に排出され、ジョガーフェンス22,23によって用紙の幅方向の位置が揃えられる。また、戻しローラ41によって基準フェンス24,25に用紙後端を突き当て、用紙束の縦方向位置が揃えられる。このようにして揃えられた用紙束は、端綴じモード時はステープラ50が用紙幅方向に移動して用紙束の下縁部の予め設定された位置をステープルすることにより綴じられ、排紙ローラ26,27が用紙束をニップして搬送力を付与し、排紙トレイ5上に排紙する。
【0029】
下搬送経路4には第1ないし第3の下搬送ローラ61,62,63、中綴じステープラ51、紙折りプレート71、紙折りストッパ64、紙折り板72、及び排紙ローラ73が設けられている。用紙束は中綴じ位置まで搬送され、用紙の中央で綴じ処理される。そして、第2及び第3の下搬送ローラ62,63により紙折り部の紙折りストッパ64に搬送され、紙折りブレード71、紙折り板72により中折りされ、排紙ローラ73によって中綴じトレイ9に放出される。
【0030】
下搬送経路4への用紙の搬送するときは、用紙Pがストレート搬送経路3を通過し、用紙先端検知センサ14で用紙先端を検知し、用紙後端が下搬送経路4の分岐部を通過する時間を待って、分岐爪8が切り替わる。分岐爪8が切り替わると、第2の搬送ローラ対12が逆回転をし、用紙をスイッチバックさせて下搬送経路4へと搬送する。
【0031】
図2ないし図6は、図1に示す用紙後処理装置FRの後処理部に相当する部分の詳細と動作の一例を示す説明図であり、図7は、Z折り用紙の長さ関係を説明する図である。ここで、図2ないし図6を参照して、本願発明が解決しようとしている用紙後処理装置の問題点に関する後処理動作と、本願発明で解決するための実施形態について対応づけて具体的に説明する。
【0032】
図2は図1の排紙部近傍の構成を示す図で、図1の構成に対してジョガーフェンス22a,23aの構成が異なるだけで基本的に同一である。このように構成された排紙部を備えた用紙後処理装置FRでは、入口センサ13で用紙Pの先端を検知すると、図2に示すように排紙ローラ対26,27を開状態にしてZ折りされた用紙を搬送する。その後、用紙Pの後端が第2の搬送ローラ対12を抜けると同時に、図3に示すように戻しローラ41を下降させ,用紙Pをステープルトレイ21に積載する。
【0033】
ここで、図7に示すように用紙PのZ折りの長辺寸法をLy、図4に示すように装置の仕様上、Z折り可能な最長寸法をLy(max)、第2の搬送ローラ対12のニップ(ローラとローラの接点)と排紙ローラ対26,27のニップ距離をHx、第2の搬送ローラ対12を抜けたときの用紙Pの飛び出し距離(搬送ローラの半径(図示r)も含む)をLαとすると、排紙ローラ26でのZ折り用紙Pの下側の折り先端部Aの引っ掛かりがないようにするには、
Hx>Ly(max)/4+Lα ・・・(1)
となるようレイアウトすればよい(図4)。
【0034】
一方で、仕様の多様化に伴い、同装置で例えば葉書やハーフレターのような小サイズの用紙を処理することが求められている。葉書やハーフレターは、後処理(ステープル)する必要がないため、第2の搬送ローラ対12から排紙され、排紙ローラ対26,27に受け渡され、排紙トレイ5に排紙されるため(図6)、例えば、葉書の搬送方向の寸法をLhとすると、第2の搬送ローラ対12及び排紙ローラ対26,27が、
Hx≦Lh ・・・(2)
の関係を満足するような配置にする必要がある。
【0035】
しかし、Z折り用紙では、
Hx≦Lh<Ly(max)/4+Lα ・・・(3)
となり、図5に示すようにZ折り用紙Pの下側先端部P1が搬送ローラ26のニップを越えることになる。そのため、下側折り先端部Aの排紙ローラ26での引っ掛かりを解消することはできない。当然、戻しローラ41で戻しても、Z折り用紙Pをステープルトレイ21上で基準フェンス24,25に押し当てることはできない。
【0036】
そこで、本実施形態では、(1)式の関係が成り立っても、小サイズの用紙が搬送可能となるように構成した。以下、後処理部の各実施例について説明する。
【実施例1】
【0037】
図8及び図9は、実施例1に係る後処理部の構成と動作を示す説明図、図10は実施例1におけるジョガーフェンスと用紙の搬送状態を示す正面図である。
【0038】
本実施例におけるジョガーフェンス22,23は、整合部材としての機能と搬送経路としての機能を兼ね備えたものである。そのため、図10に示すように、ジョガーフェンス22は正面視略三角形に形成され、下流側の端部22pは鋭角に形成され、当該端部22pから下部に下部端面22d、上部に上部端面22uが形成されている。下部端面22dはステープルトレイ21の上面に沿って用紙搬送方向D1と直交する方向に往復動し(駆動機構は省略)、上部端面22uは上流側が下流側の端面22dに対して高さHだけ高くなった下り勾配の斜面となっている。このような下り勾配(H>0)とすることにより、第2の搬送ローラ対12を抜けた用紙Pは、第2の搬送ローラ対12のローラニップに噛んでなくても自重で排紙ローラ対26,27側へ搬送される。図10では、上部端面22u上を用紙Pが上流側から下流側に向かって搬送されている状態が図示されているが、この装置前面側のジョガーフェンス22の背後側には装置後部側のジョガーフェンス23が配置され、両者は用紙搬送中心に対して対称に移動する。
【0039】
なお、図10では、上部端面22uは上流側が下流側の端面22dに対して高さHだけ高くなった下り勾配(H>0)の斜面とした例について説明しているが、水平(H=0)あるいは登り勾配(H<0)であっても、L<Lのときに、搬送ローラ対12の駆動速度を加速するようにすれば、排紙ローラ対26,27に用紙Pを受け渡すことは可能である。
【0040】
図8(a)の正面図に示すように、用紙折り装置FDから搬送されてきた用紙P先端を入口センサ13が検知すると、この検知信号をトリガとして、図8(b)の平面図に示すようにジョガーフェンス22,23は、ホームポジション22−0,23−0から用紙下方支持位置22−1,23−1に移動する。用紙下方支持位置とは、用紙Pを用紙下面で支持し、搬送ガイドとして機能する位置で、詳細は後述する。
【0041】
後処理なしの場合は、第2の搬送ローラ対12から排紙された用紙Pは、ジョガーフェンス22,23の上部端面22uを搬送ガイドとして、排紙ローラ対26,27に受け渡され、直接機外の排紙トレイ8に排紙される。
【0042】
これに対し、後処理ありの場合は、第2の搬送ローラ対12から、ステープルトレイ5に排紙され、ジョガーフェンス22,23により用紙の幅方向端面が整合される。図9(a)は用紙がステープルトレイ21に収納された状態を、図9(b)はステープルトレイ21に収納された状態でジョガーフェンス22,23をホームポジション22−0,23−0から矢印D2方向の一時退避位置22−2,23−2からさらに内側に移動させ、用紙若しくは用紙束の幅方向を整合するときの動作状態をそれぞれ示す。この場合、幅方向の整合動作と並行して、あるいは先行して戻しコロ41によって基準フェンス24,25側に用紙Pを移動させることにより用紙搬送方向を整合する。両方向の整合が終了した後、ステープラ50によって後処理、ここでは綴じ処理を実行し、綴じられた用紙束は、排紙ローラ対26,27によって挟持され、機外の排紙トレイ8に排紙され、あるいは、放出爪29により用紙束の後端を押して機外の排紙トレイ8に排紙する。
【0043】
図11は図8に示すようにジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uが搬送ガイドとなるようにジョガーフェンス22,23を用紙Pの下面側に位置させた状態を示す説明図で、図8(a)y−y’線断面を搬送ローラ26,27側から見た図である。
【0044】
ジョガーフェンス22,23の用紙下方支持位置22−1,23−1間の間隔H2は、用紙サイズ(用紙の幅方向の寸法)に応じて適切な位置に予め設定される。例えば、図12に示すようにジョガーフェンス22,23が用紙Pの中央寄りに移動した場合、搬送のばらつきによりジョガーフェンス22の外側に大きくズレて、ジョガーフェンス22,23の上側端面22u,23uで支持することができなくなる場合がある。このような場合には、当然、搬送ガイドとして機能することができなくなる。
【0045】
そのため、本実施例では、用紙Pの短辺寸法をLx(図7参照)、ジョガーフェンス22,23のホームポジション間隔をH1、用紙Pを上部端面22u,23uで支持する用紙下方支持位置22−1,23−1の間隔をH2とすると、図11に示すように
H2<Lx<H1
H2=Lx・X (ただし、X<1)
H1=Lx・Y (ただし、Y>1)
の関係になるようにする。なお、H1,H2は搬送中心を基準として設定される。Xについては、用紙をジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uで支持するために搬送方向と直交する方向の搬送ばらつきを考慮しつつ、ジョガーフェンス22,23が用紙端寄りに位置するように設定するのが好ましい。
【0046】
例えば、搬送ばらつきが、Lxの5%以下の場合、マージンを踏まえて、例えばX=0.8、Y=1.2とし、
H2=0.8Lx
(片側10%(5%×2*)、両側で20%、なお、*はマージンを示す。)
H1=1.2Lx
のように設定する。
【0047】
なお、本実施例では、図11及び図12に示すようジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23u、ジョガーフェンス22,23の端面幅しかないので、図11及び図12に示したように、支持幅が狭く、コシの弱い用紙であれば、図12に示すように用紙Pは平面形状を保持することが難しい。これは、ジョガーフェンス22,23の用紙下面の支持面積が小さいからである。
【0048】
そこで、支持面積を大きくしたのが図13及び図14に示す例である。図13及び図14も、図11と同様に図8(a)y−y’線断面を搬送ローラ26,27側から見た図である。
【0049】
図13は、ジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uに広幅のガイド部材22g,23gを上部端面22u,23uから外側に片持ち状に設けた例である。図14は、ジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uに広幅のガイド部材22h,23hを上部端面22u,23uの両側に延びるように設けた例である。いずれにしても、ジョガーフェンス22,23の上端部の幅Wよりも広い幅W1,W2を有する形状となり、用紙下面の支持面積が大きくなる。これにより、ジョガーフェンス22,23の上端部で用紙(腰の弱い用紙)のたわみを抑制し、図12に示したように用紙の平面度を損なうことなく支持することができる。その結果、用紙Pは安定した状態で搬送可能となる。
【0050】
なお、ガイド部材22g,23g、22h,23hの幅W1,W2は、第2の搬送ローラ対12側と排紙ローラ26側が同じでなくてもよく、排紙ローラ対26,27のニップにスムーズに搬送できるように、排紙ローラ26側が広い方が好ましい。また、図13及び図14では、ジョガーフェンス22,23とガイド部材22g,23g,22h,23hが別部材のように図示しているが、同一部材で一体に形成してもよい。
【0051】
さらに、図15に示すように、ガイド部材22h,23hの外側にリブ22r,23rを用紙案内面から突出するように設けてもよい。このように、リブ22r、23rを設けると、ジョガーフェンス22,23の上端部のガイド部材22h,23h上での搬送中の用紙Pのズレを抑制することができる。なお、図15も、図11と同様に図8(a)y−y’線断面を搬送ローラ26,27側から見た図である。なお、リブ22r,23rはいずれも搬送方向と平行である。
【0052】
図11、図13、図14及び図15に示した例では、用紙Pはいずれもジョガーフェンス22,23の下り勾配の上部端面22u,23uの上を搬送ガイドとして慣性で移動する。その際、用紙Pが上部端面22u,23uの全面と接触すると、摩擦力が大きくなって搬送不良を生じるおそれがある。そこで、図16及び図17に示すように、図15のガイド部材22h,23hにガイドローラ22i,23iを設けてもよい。その際、ガイドローラ22i,23iはガイド部材22h,23hの上面よりも高く、リブ22r,23rの上面よりも低くなるようにする。すなわち、ガイドローラ22i,23iのガイド部材22h,23h上面からの高さをh0、リブ22r,23rのガイド部材22h,23hの上面からの高さをh1とした場合、h1>h0となるように設定する。
【0053】
なお、図16は図11と同様に図8(a)y−y’線断面を搬送ローラ26,27側から見た図、図17は要部斜視図である。図17では、ガイドローラ22i,23iは2個設けられているが、少なくとも1個設ければよい。このようにガイドローラ22i,23iをガイド部材22h,23hに設けると、第2の搬送ローラ対12のニップと排紙ローラ対26,27のニップ間の長さより小さい用紙を搬送する際、ガイドローラ22i,23iによってガイド部材22h,23hの上面と用紙Pとの接触面積が減るとともに、ガイドローラ22i,23iによって転がり摩擦となるので、用紙Pに作用する摩擦力を最小限に抑えることができる。さらに、リブ22r,23rによって用紙Pの幅方向を規制するので、用紙のスキューを抑制することができ、安定した用紙搬送が可能となる。
【0054】
図18は、実施例1における画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。同図において、画像形成システムは、画像形成装置PRの制御部(不図示)、用紙折り装置FDの制御部(不図示)及び用紙後処理装置FRの制御部60は電装ケーブル等で相互に通信可能に接続されており、用紙後処理装置FR及び用紙折り装置FDは画像形成装置PRの操作パネルPR1から入力された処理情報に応じ、画像形成装置PRの画像形成動作に連動して画像形成後の用紙に対して各種の後処理動作を実行する。
【0055】
用紙後処理装置FRの本実施例に関係する制御構成は、制御部60、入口センサ13、ステープラ50、ジョガーフェンス駆動モータ35、搬送モーラ駆動モータ36及び排紙ローラ駆動モータ37からなる。ジョガーフェンス駆動モータ35はジョガーフェンス22,23を用紙幅方向に往復動させるモータである。搬送ローラ駆動モータ36は第2の搬送ローラ対12を回転駆動し、用紙をステープルトレイ21あるいは排紙トレイ5側に搬送するモータである。排紙ローラ駆動モータ37は排紙ローラ26を駆動し、ステープルトレイ21上の用紙束を排紙トレイ5上に排紙するモータである。なお、制御部60によるジョガーフェンス駆動モータ35、搬送ローラ駆動モータ36及び排紙ローラ駆動モータ37のそれぞれの駆動タイミングは、入口センサ13が用紙Pの導入経路1への搬入を検知したタイミングをトリガとして設定されている。
【0056】
また、制御部60はCPU、ROM、RAMを少なくとも備え、CPUはROMに格納されたプログラムをRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながらプログラムで定義された制御を実行する。
【0057】
図19は本実施例1における用紙後処理装置の制御部(CPU)の制御手順を示すフローチャートである。用紙後処理装置FRの制御部60は、画像形成装置PRの本体制御部から送信されてくる用紙のサイズ情報に基づいて、このフローチャートに示した処理を実行する。
【0058】
この制御手順では、まず、画像形成装置PRの本体制御部から送信されてくる用紙サイズ情報を受信し、受信した用紙サイズ情報Lが既定サイズLと比較する(ステップS101)。既定サイズは、例えば、葉書サイズの搬送方向の長さ148mmである。この既定サイズL=148mmと受信した用紙サイズLとを比較し、比較結果が、
L≦L
であれば(ステップS101:YES)、ジョガーフェンス駆動モータ35を駆動してジョガーフェンス22,23を図8(b)、図13、図14、図15及び図16に示す用紙下方支持位置22−1,23−1へ移動させ、その位置で待機させ、ジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23u、あるいはガイド部材22g,23g、22h,23hの上面を搬送ガイドとして用紙Pを搬送する(ステップS103)。この処理を1枚ごとに繰り返す(ステップS106)。もしも、最終紙になるまで既定サイズ以下であれば、ジョガーフェンス22,23は用紙下方支持位置22−1,23−1で待機のままとなる。すなわち、ステップS101→S103→S106を繰り返す。そして、最終紙になると(ステップS106:YES)、ジョガーフェンス22,23はホームポジション22−0,23−0へ移動する(ステップS107)。
【0059】
一方、ステップ101で画像形成装置PR本体から受信した用紙サイズ情報Lが、既定サイズLより大きい場合、すなわち、
L>L
の場合には(ステップS101:NO)、さらに、後処理の有無を判断し(ステップS102)、後処理なしであれば(ステップS102:YES)、ステップS103でジョガーフェンス22,23を用紙下方支持位置へ移動させ、ステップS106以降の処理を実行する。この後処理なしの場合、ジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uあるいはガイド部材22g,23g、22h,23hの上面を搬送することにより、先端にフェイスダウンのカールがついている用紙がステープルトレイ上に先端から着地して丸まるなどの整合不良を防止でき、安定して排紙トレイ(外部積載トレイ)5に直接搬送することができる。
【0060】
ステップS102で後処理ありであれば(ステップS102:NO)、ステープルトレイ21上でジョガーフェンス22,23をホームポジション22−0,23−0から移動させて用紙Pの整合処理を行う(ステップS104:図9(b))。整合処理後は、一時退避位置(図9(b)22−2,23−2)に移動する(ステップS105)。
【0061】
次いで、最終紙かどうかを判断するが(ステップS106)、最終紙になるまでは、既定サイズより大きく(ステップS101:NO)、後処理ありであれば(ステップS102:NO)、用紙Pがステープルトレイ21上にスタックされる度に用紙整合処理を行う(S101→S102→S104→S105→S106を繰り返す)。そして、最終紙になると(ステップS106:YES)、ジョガーフェンス22,23はホームポジションへ移動する。(ステップS107)。
【0062】
この処理手順では、用紙サイズの大小、後処理の有無に応じて3つのケースが想定され、その想定されたケースにおいて、1部の用紙束の中でサイズと後処理の有無が変わらない場合には、ステップS101,S103,S106及びS107の処理群、ステップS101,S102,S103,S106及びS107の処理群、及びステップS101,S102,S104,S105,S106及びS107の処理群の各処理群がそれぞれ一連の処理として実行される。また、1部の用紙束がサイズ混載の場合には、サイズ判断に加えて後処理の有無も判断し、整合処理と外部への直接排紙処理がそれぞれサイズ判断に基づいて実行される。
【実施例2】
【0063】
実施例1では、図8に示したように第2の搬送ローラ対12と排紙ローラ対26,27間の距離よりも短いサイズの用紙Pは、第2の搬送ローラ対12と排紙ローラ対26,27間では、積極的に搬送力が付与されず、第2の搬送ローラ対12によって送り出された後、排紙ローラ対26,27にニップされるまで慣性で搬送される。そこで、この実施例2では、実施例1に対して特別な装置や機構を設けることなくこの間も積極的に搬送力を付与することができるようにしたものである。
【0064】
図20、図21及び図22は、実施例2に係る後処理部の構成と動作を示す説明図である。実施例2では、用紙Pの搬送方向の整合動作に戻しローラ41を使用する。戻しローラ41の機能は、通常、ステープルトレイ21に排紙された用紙を、用紙後端が基準フェンス24,25に突き当たるまで戻し、基準フェンス24,25を基準として用紙搬送方向を整合することにある。本実施例2では、この機能に加えて用紙搬送方向に搬送力を与えることができるようにしたものである。すなわち、戻しローラ41は図1、図20及び図21の記載からも分かるように、第2の搬送ローラ対12と排紙ローラ対26,27の間の搬送経路上に位置している。そこで、この間の用紙Pに対して戻しローラ41を接触させ、用紙Pを整合させるときとは逆方向に回転させて搬送力を付与するようにした。
【0065】
具体的には、図20(b)に示すように入口センサ13が用紙Pの先端を検知したのをトリガにして、第2の搬送ローラ対12、排紙ローラ26を駆動し、さらに、図20(a)に示す位置から図20(b)に示すジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uに接触する位置まで戻しローラ41を移動させる。戻しローラ41は支軸41bに関して戻しローラアーム41aによって揺動可能に支持され、戻しローラ41の移動は、図示しない駆動モータによって戻しローラアーム41aを回転させることによって行われる。同時に、ジョガーフェンス22,23を図20(b)のホームポジションから図21(b)に示す用紙下方支持位置22−1,23−1へ移動させる。この移動制御は、図23に示す制御部60からの指示によって行われる。
【0066】
戻しローラ41は、用紙先端が戻しローラ41位置に到達する前に時計回り方向(図示R1方向)に回転駆動される。これにより、用紙Pは、戻しローラ41とジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uとの間で挟持され、戻しローラ41から搬送力を得て、下流側に搬送される。このとき第2の搬送ローラ対12、排紙ローラ対26,27及び戻しローラ41は、同じ線速で回転駆動される。
【0067】
このように戻しローラ41は用紙Pの搬送方向の寸法が第2の搬送ローラ対12と排紙ローラ対26,27間の距離よりも短いサイズの用紙Pに対して図21に示す位置に移動し、用紙Pに対して搬送力を付与する。しかし、用紙Pの搬送方向の寸法が第2の搬送ローラ対12と排紙ローラ対26,27間の距離よりも長いサイズの用紙Pに対しては、図22(b)に示すように用紙後端側が第2の搬送ローラ対12にニップされた状態で用紙前端側において排紙ローラ対26,27にニップされ、搬送力が常に付与されるので、図22(a)に示すように戻しローラ41はホームポジションに位置したまま移動することはない。これにより、搬送力を二重に付与するという無駄を省くことができる。
【0068】
図23は実施例2における画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。実施例2における制御構成は、図18に示した実施例1における制御構成に対して戻しローラ駆動モータ38を設け、戻しローラ41の回転駆動と戻しローラアーム41aの揺動駆動を行うことができるようにしたものである。なお、戻しローラ駆動モータ38は、1つのモータで戻しローラ41の回転駆動と戻しローラアーム41aの揺動駆動を行うことができるような機構を採用した場合には1個であり、戻しローラ41の回転駆動と戻しローラアーム41aの揺動駆動を別駆動源とした場合には2個設けられる。これらのいずれを選択するかは設計的事項である。その他の各制御要素は実施例1と同一である。
【0069】
図24は本実施例における用紙後処理装置の制御部(CPU)の制御手順を示すフローチャートである。用紙後処理装置FRの制御部60は、実施例1と同様に画像形成装置PRの本体制御部から送信されてくる用紙のサイズ情報に基づいて、このフローチャートに示した処理を実行する。
【0070】
この制御手順では、まず、画像形成装置PRの本体制御部から送信されてくる用紙サイズ情報を受信し、受信した用紙サイズ情報Lが既定サイズLと比較する(ステップS101)。既定サイズは、例えば、葉書サイズの搬送方向の長さ148mmである。この既定サイズL=148mmと受信した用紙サイズLの比較結果が、
L≦L
であれば(ステップS101:YES)、ジョガーフェンス駆動モータ35を駆動してジョガーフェンス22,23を図20(b)に示す位置から図21(b)に示す用紙下方支持位置22−1,23−1へ移動させ、同時に図20(a)に示すホームポジションから図20(b)に搬送位置まで戻しローラ41を移動させ、さらに戻しローラ41を用紙搬送方向に回転させる(ステップS103a)。これにより、ジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uに沿って用紙Pを搬送することができる。この処理を1枚ごとに繰り返す(ステップS106)。もしも、最終紙になるまで既定サイズ以下であれば、ジョガーフェンス22,23は用紙下方支持位置で待機のままとなる。すなわち、ステップS101→S103a→S106を繰り返す。そして、最終紙になると(ステップS106:YES)、ジョガーフェンス22,23はホームポジションへ移動する(ステップS107)。
【0071】
一方、ステップ101で画像形成装置PR本体から受信した用紙サイズ情報Lが、既定サイズLより大きい場合、すなわち、
L>L
の場合には(ステップS101:NO)、さらに、後処理の有無を判断し(ステップS102)、後処理なしであれば(ステップS102:YES)、ステップS103でジョガーフェンス22,23を用紙下方支持位置22−1,23−1へ移動させ、ステップS106以降の処理を実行する。
【0072】
ステップS102で後処理ありであれば(ステップS102:NO)、ステープルトレイ21上でジョガーフェンス22,23をホームポジション位置から移動させて用紙Pの整合処理を行う(ステップS104:図9(b))。整合処理後は、一時退避位置(図9(b)22−2,23−2)に移動する(ステップS105)。
【0073】
次いで、最終紙かどうかを判断するが(ステップS106)、最終紙になるまでは、既定サイズより大きく(ステップS101:NO)、後処理ありであれば(ステップS102:NO)、用紙Pがステープルトレイ21上にスタックされる度に用紙整合処理を行う(S101→S102→S104→S105→S106を繰り返す)。そして、最終紙になると(ステップS106:YES)、ジョガーフェンス22,23はホームポジションへ移動する(ステップS107)。
【0074】
この処理手順では、用紙サイズの大小、後処理の有無に応じて3つのケースが想定され、その想定されたケースにおいて、1部の用紙束の中でサイズと後処理の有無が変わらない場合には、ステップS101,S103a,S106及びS107の処理群、ステップS101,S102,S103,S106及びS107の処理群、ステップS101,S102,S104,S105,S106及びS107の各処理群がそれぞれ一連の処理として実行される。また、1部の用紙束がサイズ混載の場合には、サイズ判断に加えて後処理の有無も判断し、整合処理と外部への直接排紙処理がそれぞれサイズ判断に基づいて実行される。
【0075】
なお、図1に示した画像形成システムでは、画像形成装置PR、用紙折り装置FD及び用紙後処理装置FRを連結したシステムとしているが、用紙折り装置FD及び用紙後処理装置FRを画像形成装置PR本体と一体的に設ければ、用紙後処理装置FR及び用紙折り装置FDを備えた画像形成装置PRとなる。いずれにしても複数の装置により画像形成システムが構成されることになる。また、用紙折り装置FDを省略したシステムとして構成することも可能である。
【0076】
その他、特に説明しない各部は実施例1と同様に構成され、同様に機能する。
【0077】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0078】
1)ステープルトレイ(一時積載トレイ)21上に排紙される用紙Pの下方の用紙下方支持位置22−1,23−1に、ジョガーフェンス(整合手段)22,23を移動させ、ジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uによって搬送ガイドを形成し、用紙を支持して搬送可能な状態とするので、新たな機構や駆動源を設けることなく、小サイズ用紙を直接排紙トレイ(外部積載トレイ)5に搬送することができ、かつ、ジョガーフェンス22,23を用紙Pの幅方向外側に位置させ、整合動作を行わせることによりZ折り用紙をステープルトレイ21上に適正に積載することができる。
【0079】
2)1)の結果、補助トレイを設けることなく、また、排紙速度を制御することなくZ折り用紙Pをステープルトレイ21へ適正にスタックすること、及び小サイズ用紙を直接排紙トレイ(外部積載トレイ)5へ搬送することの両者を両立させることができる。
【0080】
3)ジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uに幅広のガイド部材(ガイド部)22g,23g、22h,23hを設けたので、用紙Pの下方における接触面積が大きくなり、コシの弱い用紙Pであっても確実に搬送することができる。
【0081】
4)幅広のガイド部材22g,23g、22h,23hの外側の端部にリブ(幅方向ガイド部材)22r,23rを設けたので、搬送時の用紙ズレを抑制することができる。
【0082】
5)ガイド部材22h、23hの表面から突出したガイドローラ22i,23iを設けたので用紙搬送中の摩擦を軽減することができ、確実かつ安定した搬送が可能となる。
【0083】
6)後処理が不要な用紙で先端にフェイスダウンのカールがついているとステープルトレイ21上に先端から着地して丸まるなどの整合不良となるが、後処理を行わない用紙を搬送する間、ジョガーフェンス22,23を用紙下方に移動させ、待機させるので、フェイスダウンのカールを矯正した状態で直接排紙トレイ5へ搬送することができる。
【0084】
7)ジョガーフェンス22,23を用紙Pの下方位置に位置させ、戻しローラ41によってジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23u上を搬送ガイドとして移動する用紙Pの上面から接触して用紙Pに搬送力を付与するので、搬送中の用紙ズレを抑制し、直接排紙トレイ5に搬送することができる。
【0085】
8)ジョガーフェンス22,23の上部端面22u,23uの上面を移動する用紙Pの上面に戻しローラ41を接触させて搬送する際、用紙Pの搬送方向の長さが搬送ローラ12と排紙ローラ26,27間の距離よりも短い場合にのみ、戻しローラ41の搬送力が付与されるので、不必要な駆動が排除され、その分の消費電力を抑制することができる。
【0086】
なお、特許請求の範囲における用紙は実施形態では符号Pに、予め設定された処理は綴じ処理に、用紙処理装置は符号FRに、搬送手段は第2の搬送ローラ対12に、一時積載手段はステープルトレイ21に、整合手段はジョガーフェンス22,23に、排紙手段は排紙ローラ対26,27に、整合手段の上部端面は符号22u,23uに、ガイド部はガイド部材22g,23g,22h,23hに、幅方向ガイド部材はリブ22r,23rに、ガイドローラは符号22i、23iに、用紙搬送方向整合手段は戻しローラ41に、画像形成システムは画像形成装置PR、用紙折り装置FD及び用紙処理装置FRからなるシステムに、それぞれ対応する。
【符号の説明】
【0087】
12 搬送ローラ対
21 ステープルトレイ
22,23 ジョガーフェンス
22−1,23−1 用紙下方支持位置
22g,23g,22h,23h ガイド部材
22i、23i ガイドローラ
22r,23r リブ
22u,23u 上部端面
26,27 排紙ローラ対
41 戻しローラ
P 用紙
PR 画像形成装置
FD 用紙折り装置
FR 用紙処理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2001−26345号公報
【特許文献2】特開平11−116121号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して予め設定された処理を施す用紙処理装置であって、
搬入されてきた用紙を下流側に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された用紙を一時的に積載する一時積載手段と、
用紙搬送方向と直交する方向に往復動し、前記一時積載手段上に積載される用紙の前記用紙搬送方向と直交する方向を整合する整合機能、及び用紙の搬送方向と直交する方向の用紙側部より内側の用紙下方支持位置に移動し、当該整合手段の上部端面が搬送される用紙の下面に接触して搬送する搬送機能を有する整合手段と、
前記一時積載手段上で前記処理が施された用紙束を排紙する排紙手段と、
を備えたこと
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の用紙処理装置であって、
前記整合手段の上部端面に当該整合手段の用紙搬送方向と直交する方向の幅寸法より大寸のガイド部が設けられていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の用紙処理装置であって、
前記ガイド部の前記用紙搬送方向と直交する方向の外側の端部に、前記ガイド部の上面よりも上方に突出した幅方向ガイド部材を備えていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の用紙処理装置であって、
前記ガイド部に前記ガイド部の上面に沿って搬送される用紙に接触し、当該上面から用紙を持ち上げて搬送するガイドローラを備えていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の用紙処理装置であって、
前記ガイドローラの用紙との接触位置は、前記幅方向ガイド部材の上部端面より低く設定されていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記整合手段は、用紙に前記処理が施されない場合には、前記用紙下方支持位置に移動し、用紙を前記搬送手段から前記排紙手段へと搬送すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の用紙処理装置であって、
前記一時積載トレイ上の用紙に接触し、用紙の用紙搬送方向を整合する搬送方向整合機能、及び前記整合手段の上端端面との間で用紙を挟持して用紙に前記搬送手段から前記排紙手段側に搬送する搬送力を付与する搬送力付与機能を備えた用紙搬送方向整合手段を備えていること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の用紙処理装置であって、
前記用紙搬送方向整合手段は、用紙の搬送方向の長さに応じて、前記搬送方向整合機能又は前記搬送力付与機能のいずれかが選択されること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項9】
請求項8記載の用紙処理装置であって、
用紙の搬送方向の長さが前記搬送手段と前記排紙手段間の距離よりも短い場合には、前記搬送力付与機能が選択されること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の用紙処理装置を備えていること
を特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−63826(P2013−63826A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203907(P2011−203907)
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】