説明

用紙後処理装置

【課題】画像が形成された用紙を排紙トレイの上に積載させるにあたり、排紙トレイに排出された用紙を押圧部材により押圧させて、排紙トレイの上に用紙を適切に積載させるようにすると共に、押圧部材が排紙トレイの上に積載された用紙と接触する際に、圧接音などが発生するのを適切に防止する。
【解決手段】排紙トレイ11の上に積載された用紙Pを押圧させる押圧部材20と、この押圧部材20を上下方向に移動させる移動手段とを設けた用紙後処理装置10において、押圧部材20として、その上部側の保持部21から下方に向けてアーチ状に突出されて排紙トレイ11の上に積載された用紙Pを押圧する弾性変形部材22を、保持部21との間に隙間を有するように設けたものを用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置において、画像が形成された用紙を積み重ねるようにして排紙トレイの上に積載させる用紙後処理装置に関するものである。特に、排紙トレイに排出された用紙を排紙トレイの上に適切に積載させるようにするために、排紙トレイに排出されて積載された用紙を押圧部材により押圧させる際に、圧接音などが発生するのを適切に防止するようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、画像形成された用紙を排紙トレイの上に排出させて、この排紙トレイの上に用紙を積み重ねるようにして積載させるようにしている。
【0003】
ここで、このように画像形成された用紙を排紙トレイの上に積み重ねるようにして積載させる場合において、加熱定着時における熱によって両端部がカールした用紙や、ステープル装置によってステープルされて針の部分が厚くなった用紙等が排紙トレイに排紙されると、排紙トレイの上に排紙された用紙がずれたりして、用紙が排紙トレイの上に適切な状態で積載されなくなる等の問題があった。
【0004】
そして、従来においては、排紙トレイの上に積み重ねるようにして積載された用紙を押圧させるために、特許文献1,2等に示されるように、パドル等の押圧部材を回転させて、この押圧部材により排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させるようにしたものが提案されている。
【0005】
しかし、このように押圧部材を回転させて、この押圧部材により排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させる場合、この押圧部材の回転力を強くしなければ用紙を適切に押圧させることができなくなる一方、この押圧部材の回転力を強くすると、押圧部材が排紙トレイの上に積載された用紙と接触する際における音が大きくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−120276号公報
【特許文献2】特開2003−128339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画像が形成された用紙を積み重ねるようにして排紙トレイの上に積載させる用紙後処理装置における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0008】
すなわち、本発明においては、排紙トレイに排出された用紙を押圧部材により押圧させて、排紙トレイの上に用紙を適切に積載させるようにすると共に、押圧部材が排紙トレイの上に積載された用紙と接触する際に、圧接音などが発生するのを適切に防止することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、画像が形成された用紙を積み重ねるようにして排紙トレイの上に積載させる用紙後処理装置において、排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させる押圧部材と、この押圧部材を上下方向に移動させる移動手段とが設けられ、上記の押圧部材は、その上部側の保持部から下方に向けてアーチ状に突出されて排紙トレイの上に積載された用紙を押圧する弾性変形部材が、上記の保持部との間に隙間を有するように設けられていることを特徴とする。
【0010】
そして、この用紙後処理装置においては、上記の押圧部材によって排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させるにあたり、上記の移動手段により押圧部材を下方に移動させ、この押圧部材において、保持部との間に隙間を有するように下方に向けてアーチ状に突出された弾性変形部材により排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させるようにする。
【0011】
このようにすると、この押圧部材においてアーチ状に突出された弾性変形部材が弾性変形して、排紙トレイの上に積載された用紙がこの弾性変形部材により適切に押圧されるようになると共に、弾性変形部材が用紙と接触する際に圧接音などが発生するのも抑制される。
【0012】
ここで、上記のように押圧部材によって排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させるにあたり、この押圧部材を用紙の排紙方向と交差する排紙トレイの幅方向に所要間隔を介して少なくとも2つ設けると、排紙トレイの上に積載された用紙が、この2つ以上の押圧部材によって適切に押圧されるようになる。
【0013】
また、用紙を押圧する上記の弾性変形部材の先端側を円弧状に彎曲した形状にすると、この弾性変形部材によって用紙を押圧する場合、この弾性変形部材の先端側が円弧状に彎曲した状態から平坦な状態になるように徐々に変形して排紙トレイの上に積載された用紙が押圧されるようになる。このため、この弾性変形部材が用紙と接触する際における圧接音などがより一層抑制されると共に、弾性変形部材によって用紙を押圧する際に用紙がずれたりするのも抑制される。
【0014】
また、上記の弾性変形部材により用紙を押圧させた場合に、この弾性変形部材における用紙を押圧する先端側が平坦になるようにすると、排紙トレイの上に積載された用紙が、この弾性変形部材の平坦になった先端部によりさらに適切に押圧されるようになる。
【0015】
また、このようにして押圧部材により排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させるにあたり、弾性変形部材と保持部との隙間がなくなる位置まで押圧部材を移動手段により下方に移動させることもできる。このようにすると、移動手段による押圧部材の移動量を検出して、排紙トレイの上に積載された用紙の量を適切に検知することができるようになる。
【0016】
また、上記の排紙トレイを上下方向に移動可能に設けると、排紙トレイの上に積載された用紙の量が所定量以上になった場合に、この排紙トレイを下方に移動させて、さらに排紙トレイの上に積載された用紙を上記の押圧部材によって押圧させることができ、多量の用紙を排紙トレイの上に適切に積載させることができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の用紙後処理装置においては、上記のように移動手段により押圧部材を下方に移動させ、この押圧部材において、保持部材との間に隙間を有するように下方に向けてアーチ状に突出された弾性変形部材により排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させるようにしたため、排紙トレイの上に積載された用紙がこの弾性変形部材により適切に押圧されて、排紙トレイの上に用紙がずれたりすることなく適切に積載されるようになると共に、弾性変形部材が用紙と接触する際に圧接音などが発生するのも抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る用紙後処理装置を用いる画像形成装置を示した概略説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る用紙後処理装置において、押圧部材とこの押圧部材を上下方向に移動させる移動手段等の配置状態を示した概略正面図である。
【図3】上記の実施形態に係る用紙後処理装置において、押圧部材を下方に移動させて排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させる前の状態を示した部分拡大説明図である。
【図4】上記の実施形態に係る用紙後処理装置において、押圧部材を下方に移動させて、保持部から下方に向けてアーチ状に突出した弾性変形部材の先端部を弾性変形させながら、排紙トレイの上に積載された用紙を弾性変形部材により押圧させる状態を示した部分拡大説明図である。
【図5】上記の実施形態に係る用紙後処理装置において、弾性変形部材と保持部との間の隙間がなくなるまで、押圧部材をさらに下方に移動させた状態を示した部分拡大説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、この発明の実施形態に係る用紙後処理装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る用紙後処理装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0020】
この実施形態においては、図1に示すように、原稿のスキャン画像を用紙Pに画像形成するコピー機能や、外部からネットワーク等を介してデータ入力された画像データやテキストデータに基づく画像を用紙Pに画像形成するプリント機能などを有する画像形成装置1において、画像が形成された用紙Pを送りローラ2a,2bによって搬送し、このように画像が形成された用紙Pを排紙ローラ3によって直接、用紙後処理装置10における排紙トレイ11の上に排出させ、或いは画像が形成された複数枚の用紙Pを整合用トレイ4の上に積層させて整合し、このように積層された複数枚の用紙Pをステープル装置5によりステープルした後、上記の排紙ローラ3によって用紙後処理装置10における排紙トレイ11の上に排出させるようになっている。
【0021】
また、この実施形態においては、上記の排紙トレイ11を昇降装置(図示せず)によって上下に移動できるようにしている。
【0022】
そして、この実施形態における用紙後処理装置10においては、図2に示すように、排紙トレイ11の上に積載された用紙Pを押圧させる押圧部材20を、モータやカム等が設けられた移動手段30により上下方向に移動させるようにしている。
【0023】
また、この実施形態においては、上記の移動手段30によって上下方向に移動する押圧部材20を、プレート12から上方に延出するようにして排紙トレイ11の幅方向に所要間隔を介して2つ設けると共に、各押圧部材20をそれぞれバネ部材13により下方に付勢するようにしている。
【0024】
また、上記の押圧部材20においては、図3に示すように、上部側の保持部21に所要間隔を介して設けられた一対の取付凹部21a内に、ゴム等の弾性材料で構成された弾性変形部材22の両端部における膨出部22aを嵌め込み、この弾性変形部材22における用紙Pを押圧する先端側が円弧状に彎曲するようにして、弾性変形部材22を保持部21から下方に向けてアーチ状に突出するように設け、この弾性変形部材22と保持部21との間に隙間を有するようにしている。
【0025】
ここで、この実施形態における用紙後処理装置10において、排紙トレイ11の上に積載された用紙Pを押圧部材20によって押圧させるにあたっては、上記の移動手段30により押圧部材20を下方に移動させ、保持部21から下方に向けてアーチ状に突出されて先端側が円弧状に彎曲した弾性変形部材22を排紙トレイ11の上に積載された用紙Pの上に導くようにする。
【0026】
そして、この押圧部材20を移動手段30によってさらに下方に移動させ、円弧状に彎曲した弾性変形部材22の先端部を排紙トレイ11の上に積載された用紙Pの上に接触させ、さらに移動手段30により押圧部材20を下方に移動させて、上記のバネ部材13により押圧部材20を下方に付勢させるようにする。
【0027】
このようにすると、図4に示すように、保持部21との間に隙間を有するようにして保持部21から下方に向けてアーチ状に突出した上記の弾性変形部材22の先端側における円弧状に彎曲した部分が押しつぶされるように弾性変形しながら、排紙トレイ11の上に積載された用紙Pがこの弾性変形部材22により押圧されるようになる。
【0028】
この結果、弾性変形部材22が用紙Pと接触する際に圧接音などが発生するのが抑制されると共に、上記のように弾性変形した弾性変形部材22により排紙トレイ11の上に積載された用紙Pが適切に押圧されて、用紙Pが排紙トレイ11の上でずれたりするのが防止される。
【0029】
また、このようにして弾性変形部材22を弾性変形させながら排紙トレイ11の上に積載された用紙Pをこの弾性変形部材22により押圧させるにあたり、さらに移動手段30により押圧部材20を下方に移動させて、弾性変形部材22をさらに弾性変形させ、図5に示すように、弾性変形部材22と保持部21との間の隙間がなくなるまで、移動手段30により押圧部材20を下方に移動させて、移動手段30により押圧部材20を下方に移動させた量をセンサ(図示せず)等により検知させるようにすることもできる。
【0030】
そして、このように弾性変形部材22と保持部21との間の隙間がなくなるまで押圧部材20を下方に移動させた量を検知することにより、排紙トレイ11の上に積載された用紙Pの厚みを正確に検知できるようになる。
【0031】
また、このようにして検知した排紙トレイ11の上に積載された用紙Pの厚みが所定値に達した場合、この排紙トレイ11を昇降装置によって下方に移動させて、さらにこの排紙トレイ11の上に用紙Pを積載させ、このように積載された用紙Pを上記のように押圧部材20により押圧させることもできる。このようにすると、多量の用紙Pを排紙トレイ11の上に適切に積載させることができるようになる。
【符号の説明】
【0032】
1 画像形成装置
2a,2b 送りローラ
3 排紙ローラ
4 整合用トレイ
5 ステープル装置
10 用紙後処理装置
11 排紙トレイ
12 プレート
13 バネ部材
20 押圧部材
21 保持部
21a 取付凹部
22 弾性変形部材
22a 膨出部
30 移動手段
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された用紙を積み重ねるようにして排紙トレイの上に積載させる用紙後処理装置において、排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させる押圧部材と、この押圧部材を上下方向に移動させる移動手段とが設けられ、上記の押圧部材は、その上部側の保持部から下方に向けてアーチ状に突出されて排紙トレイの上に積載された用紙を押圧する弾性変形部材が、上記の保持部との間に隙間を有するように設けられていることを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の用紙後処理装置において、上記の押圧部材が、用紙の排紙方向と交差する排紙トレイの幅方向に所要間隔を介して少なくとも2つ設けられていることを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の用紙後処理装置において、上記の弾性変形部材における用紙を押圧する先端側が、円弧状に彎曲していることを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙後処理装置において、上記の弾性変形部材における用紙を押圧する先端側が、用紙を押圧させた状態で平坦になることを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の用紙後処理装置において、上記の押圧部材により排紙トレイの上に積載された用紙を押圧させるにあたり、押圧部材における弾性変形部材と保持部との隙間がなくなる位置まで押圧部材を上記の移動手段により移動させることを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の用紙後処理装置において、上記の排紙トレイが上下方向に移動可能に設けられていることを特徴とする用紙後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−144314(P2012−144314A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2703(P2011−2703)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】