説明

用紙折り装置及び制御プログラム

【課題】用紙サイズや用紙搬送速度が異なった場合でも、折り品質を一定に保つ。
【解決手段】用紙の搬送経路から外れた位置に設けられた対となる折りローラ31、32が互いに接触して回転するとともに、用紙を巻き込んで折り曲げるための折りローラ対33と、用紙の搬送経路内に突没可能とされ、搬送経路内に突出されて当該搬送経路内を搬送されている用紙を撓ませ、当該用紙を前記折りローラ対の接触位置に導く第1撓み補助部材35と、用紙の用紙サイズ又は用紙搬送速度に基づいて、第1撓み補助部材35を前記搬送経路内に突出させるタイミングを設定するタイミング設定ユニットと、設定されたタイミングで第1撓み補助部材35を駆動する駆動ユニットと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙折り装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、印刷機等の画像形成装置で画像形成された紙葉類としてのシートに対し、用紙折り装置を用いて用紙折り処理を施すことが、画像形成後の用紙後処理として実施されている。
【0003】
例えば、画像形成装置の付属装置として用いられる用紙折り装置では、2個のローラを対向して構成される折りローラ対を配置し、折りローラ対を構成するローラ間に用紙を導入した後に、折りローラ対で用紙導入方向に沿って搬送することにより、ローラ対間で用紙を屈曲させて折り畳む用紙折り装置が知られている。
【0004】
また、用紙に湾曲部を作りこの湾曲部をローラ対に巻き込むことによりこの用紙に折り処理を施す処理において、用紙折り精度を向上する目的でローラ対に巻き込む用紙の湾曲部を押さえ込む部材を備えた用紙折り装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−052074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の用紙折り装置では、用紙サイズや用紙搬送速度が異なると、折り位置精度がばらついたり、しわが発生したりして折り品質が低下する場合があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、用紙サイズや用紙搬送速度が異なった場合でも、折り品質を一定に保つことが可能な用紙折り装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、対となるローラが互いに接触して回転するとともに、用紙を巻き込んで折り曲げるための折りローラ対と、前記用紙の搬送経路内に突没可能とされ、前記搬送経路内に突出されて当該搬送経路内を搬送されている用紙を撓ませ、当該用紙を前記折りローラ対の接触位置に導く撓み補助部材と、前記用紙の用紙サイズ又は用紙搬送速度に基づいて、前記撓み補助部材を前記搬送経路内に突出させるタイミングを設定するタイミング設定ユニットと、前記設定されたタイミングで前記撓み補助部材を駆動する駆動ユニットと、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙サイズや用紙搬送速度が異なった場合でも、折り位置精度のばらつき及びしわの発生を抑制し、折り品質を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる用紙折り装置を備えた画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、用紙折り装置の概略を示す図である。
【図3】図3は、用紙折り装置の制御系のブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態における用紙折り処理時の条件と用紙送りの遅れ量との関係を説明する図である。
【図5】図5は、実施形態の用紙折り処理時の動作説明図である。
【図6】図6は、第1実施形態の処理フローチャートである。
【図7】図7は、あらかじめコントローラが記憶している用紙送り遅延テーブルの説明図である。
【図8】図8は、第1実施形態の動作説明図である。
【図9】図9は、第2実施形態における用紙折り処理時の条件と用紙送りの遅れ量との関係を説明する図である。
【図10】図10は、第2実施形態の処理フローチャートである。
【図11】図11は、用紙折り装置のコントローラにあらかじめ格納している用紙送り遅れ量(時間)の一例を示す図である。
【図12】図12は、第3実施形態における用紙折り処理時の動作説明図である。
【図13】図13は、第3実施形態の処理フローチャートである。
【図14】図14は、用紙の搬送遅れ量の補正の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる用紙折り装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態にかかる用紙折り装置を備えた画像形成装置の全体構成を示す図である。
画像形成装置10は、図1に示すように、用紙折り装置11が、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機として構成された画像形成装置本体12の排紙側の側部に設けられ、画像形成装置本体12において画像形成済みの用紙に対して用紙折り処理を施し、用紙折り処理後の用紙(束)が排紙トレイ28あるいは後続の後処理装置13(例えば、ソータ装置、ステプラー装置など)に搬送される。
【0013】
図2は、用紙折り装置の概略を示す図である。
用紙折り装置11は、画像形成装置本体12から用紙Pが導入される導入口21を備えており、この導入口21には、導入された用紙Pを用紙折り装置11内に導入するための入口搬送ローラ22が設けられている。入口搬送ローラ22の下流側には、用紙Pに用紙折り処理を施さずにそのまま排紙トレイ28に排紙するか、あるいは、用紙折り処理を施すかを切り替えるために用紙搬送経路を切り替える入口切替爪23が設けられている。この場合において、用紙折り処理がなされた用紙Pは、排紙トレイ28あるいは後述するスタッカ部70に排紙されることとなる。
【0014】
さらに、入口切替爪23の下流には、水平搬送路24が設けられており、用紙Pに用紙折り処理を施さずにそのまま排紙トレイ28に排紙する場合には、入口切替爪23は、この水平搬送路24側に切り替えられて、用紙Pを排紙搬送ローラ25に導く。これにより排紙搬送ローラ25は、導入口21に導入された用紙Pを排紙トレイ28に搬送することとなる。
【0015】
一方、用紙Pに用紙折り処理を施す場合には、入口切替爪23は、導入口21から斜め下方向に延在する第1ストッパ搬送路26側に切り替えられ、用紙Pが第1ストッパ搬送路26を介して第1ストッパ27に当接するように導く。
第1ストッパ27は、導入口21から導入された用紙Pの先端が、当該第1ストッパ27に当接するまでの搬送距離を可変とするように、図示しない回動機構により回動可能に設けられている。
【0016】
入口切替爪23の直後には、紙折り処理を行う駆動側の第1折りローラ31と、第1折りローラ31と対となって、第1折りローラ対33として機能する従動側の第2折りローラ32と、が設けられている。ここで、第1折りローラ31及び第2折りローラ32は、用紙Pの搬送経路(ここでは、第1ストッパ搬送路26)内における搬送を妨げないように搬送経路から外れた位置に設けられている。さらに、第1折りローラ31に対して、第1ストッパ搬送路26を介して対向する位置には、第1折りローラ31と共働して用紙Pを第1ストッパ27に搬送する搬送従動ローラ34が設けられている。なお、第1折りローラ31を駆動する駆動源としては、図示しないDCブラシレスモータやステッピングモータ等が用いられている。
【0017】
また、第1ストッパ搬送路26の第1折りローラ31と第2折りローラ32との接触部(ニップ部)33Aに対向する位置には、第1撓み補助部材35が設けられている。この第1撓み補助部材35は、第1折りローラ対33による折り処理時に、第1折りローラ対33に近づくように図示しない回動機構により回動させられ、用紙Pの接触部33A側への撓みを増大させるように補助動作を行って、第1折りローラ対33に用紙Pを導く。この第1撓み補助部材35は、ソレノイドコイルあるいはステッピングモータなどで構成された後述の回動ユニット(駆動ユニット)89により駆動され、回動される。
【0018】
また、第1撓み補助部材35の設置位置に対し、第1折りローラ対33の背面側には、第1折りローラ対33により、第1回目の折り処理がなされた用紙P(便宜上、第1回目の折り処理がなされた用紙を用紙P1という。)を第1折りローラ対33と同様の構成を有する第2折りローラ対43に搬送するための第1中継搬送路36が設けられている。
第2折りローラ対43は、第2回目の紙折り処理を行う駆動側の第3折りローラ41と、第3折りローラ41と対となる従動側の第4折りローラ42と、を備えている。この場合においても、第1折りローラ対33と同様に、第3折りローラ41及び第4折りローラ42は、用紙Pの搬送経路(ここでは、後述の第2ストッパ搬送路47)内における搬送を妨げないように搬送経路から外れた位置に設けられている。
【0019】
さらに、第3折りローラ41に対して、第1中継搬送路36を介して対向する位置には、第3折りローラ41と共働して用紙Pを第2ストッパ搬送路47を介して第2ストッパ46に当接させるために搬送する搬送従動ローラ44が設けられている。なお、第3折りローラ41を駆動する駆動源としては、図示しないDCブラシレスモータやステッピングモータ等が用いられている。
【0020】
また、第1中継搬送路36の第3折りローラ41と第4折りローラ42との接触部(ニップ部)43Aに対向する位置には、第2撓み補助部材45が設けられている。この第2撓み補助部材45は、第2折りローラ対43による折り処理時に、第2折りローラ対43に近づくように図示しない回動機構により回動させられ、用紙Pを接触部43A側に撓ませて、第2折りローラ対43に用紙Pを導く。この第2撓み補助部材45も、第1撓み補助部材35と同様に、ソレノイドコイルあるいはステッピングモータなどで構成された後述の回動ユニット(駆動ユニット)89により駆動され、回動される。
【0021】
また、第2撓み補助部材45の設置位置に対して、第2折りローラ対43の背面側には、第2折りローラ対43により、第2回目の折り処理がなされた用紙P(便宜上、第2回目の折り処理がなされた用紙を用紙P2という。)を第1折りローラ対33と同様の構成を有する第3折りローラ対53に搬送するための第2中継搬送路48が設けられている。
【0022】
第3折りローラ対53は、第3回目の紙折り処理を行う駆動側の第5折りローラ51と、第5折りローラ51と対となる従動側の第6折りローラ52と、を備えている。この場合においても、第5折りローラ51及び第6折りローラ52は、用紙Pの搬送経路(ここでは、後述の第3ストッパ搬送路57)内における搬送を妨げないように搬送経路から外れた位置に設けられている。
【0023】
さらに、第5折りローラ51に対して、第2中継搬送路48を介して対向する位置には、第5折りローラ51と共働して用紙Pを第3ストッパ搬送路57を介して第3ストッパ56に当接させるために搬送する搬送従動ローラ54が設けられている。なお、第5折りローラ51を駆動する駆動源としては、図示しないDCブラシレスモータやステッピングモータ等が用いられている。
【0024】
また、第2中継搬送路48の第5折りローラ51と第6折りローラ52との接触部(ニップ部)53Aに対向する位置には、第3撓み補助部材55が設けられている。この第3撓み補助部材55は、第3折りローラ対53による折り処理時に、第3折りローラ対53に近づくように図示しない回動機構により回動させられ、用紙Pを接触部53A側に撓ませて、第3折りローラ対53に用紙Pを導く。この第3撓み補助部材55も、第1撓み補助部材35と同様に、ソレノイドコイルあるいはステッピングモータなどで構成された後述の回動ユニット(駆動ユニット)89により駆動され、回動される。
【0025】
また、第3撓み補助部材55の設置位置に対し、第3折りローラ対53の背面側には、第3折りローラ対53により、第3回目の折り処理がなされた用紙P(便宜上、第3回目の折り処理がなされた用紙を用紙P3という。)を昇降トレイ71を有するスタッカ部70に搬送し、排紙するための搬送ローラ61、スタッカ排紙搬送路62及びスタッカ排紙搬送ローラ63と、が設けられている。
【0026】
さらにスタッカ部70の昇降トレイ71に用紙P3をスタッカ排紙搬送ローラ63により排紙する場合に、用紙P3を押さえるための可動板64を備えている。
スタッカ部70の昇降トレイ71は、図示しない昇降機構により昇降可能に設けられている。
【0027】
図3は、用紙折り装置の制御系のブロック図である。
用紙折り装置11は、図示しないCPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータとして構成され、用紙折り装置11全体を制御するタイミング設定ユニットとして機能するコントローラ81と、先端検知センサを含む各種センサを含むセンサ群82と、センサ群82の出力信号を増幅する複数のセンサアンプを有するセンサアンプユニット83と、を備えている。
センサアンプユニット83と、コントローラ81とは、両者のインタフェース動作を行う入出力インタフェース(IF)84を介して接続されている。
【0028】
また、用紙折り装置11は、入口搬送ローラ22、排紙搬送ローラ25、第1折りローラ31、第3折りローラ41、第5折りローラ51、搬送ローラ61及びスタッカ排紙搬送ローラ63を含む用紙搬送ユニット85を制御して、用紙折り装置11内で用紙搬送制御を行う用紙搬送ユニットドライバ86を備えている。この用紙搬送ユニットドライバ86は、コントローラ81の制御下で動作している。
【0029】
さらにまた、用紙折り装置11は、第1ストッパ27、第2ストッパ46及び第3ストッパ56を含む用紙整合ユニット87を制御して、用紙P(=用紙P1、P2あるいはP3)の整合を行って、揃えるための制御を行う用紙整合ユニットドライバ88を備えている。この用紙整合ユニットドライバ88は、コントローラ81の制御下で動作している。
【0030】
また、用紙折り装置11は、図示しないステッピングモータなどのモータあるいはソレノイドコイルを有する回動ユニット89を制御して、第1撓み補助部材35、第2撓み補助部材45及び第3撓み補助部材55を回動させる回動ユニットドライバ90を備えている。この回動ユニットドライバ90も、コントローラ81の制御下で動作している。
【0031】
ところで、本第1実施形態は、用紙折り処理時における用紙送りの遅れ量を補正して正しい位置で用紙処理を行うための実施形態である。
そこで、実施形態の詳細な動作説明に先立ち、用紙折り処理時における用紙送りの遅れ量について説明する。
【0032】
図4は、第1実施形態における用紙折り処理時の条件と用紙送りの遅れ量との関係を説明する図である。
用紙送りの遅れ量は、用紙処理対象の用紙サイズと、用紙搬送速度(線速)とにより定まり、用紙サイズが大きいほど、用紙搬送速度(線速)が遅いほど、用紙遅れの遅れ量が大きくなる。
【0033】
すなわち、用紙搬送速度が一定の場合、例えば、用紙搬送速度(線速)=250mm/secで同一であれば、図4の左側部分に示すように、よりサイズの大きいA3用紙(用紙送り遅れ量=130msec)の方が、よりサイズの小さいA4用紙(用紙遅れ量=120msec)よりも用紙送りの遅れ量が大きくなる。
【0034】
同様に用紙搬送速度(線速)=650mm/secで同一であれば、図4の右側部分に示すように、よりサイズの大きいA3用紙(用紙送り遅れ量=110msec)の方が、よりサイズの小さいA4用紙(用紙遅れ量=90msec)よりも用紙送りの遅れ量が大きくなる。
【0035】
一方、用紙サイズが一定の場合、例えば、用紙サイズA3の場合には、より用紙搬送速度が遅い(用紙搬送速度=250mm/sec、用紙遅れ量130msec)の方が、搬送速度が速い(用紙搬送速度=650mm/sec、用紙遅れ量110msec)よりも用紙送りの遅れ量が大きくなる。
【0036】
そこで、本第1実施形態においては、用紙サイズ及び用紙搬送速度(線速度)に基づいて、用紙送りの遅れ量に基づいて、用紙Pを折りローラ対33、43、53に導入するタイミングを補正して、より正確な折り位置で用紙Pを折れるように制御を行っている。
【0037】
次に用紙折りの基本動作を説明する。
第1折りローラ対33、第2折りローラ対43及び第3折りローラ対53の基本動作は同様であるので、以下の説明においては、第1折りローラ対33を例として説明する。
【0038】
第1ストッパ搬送路26には、用紙Pの先端が通過したことを検知する先端検知センサTS1が設けられている。この先端検知センサTS1としては、例えば、反射型光センサが用いられている。
【0039】
コントローラ81は、第1折りローラ31と搬送従動ローラ34とが共働して用紙Pが第1ストッパ27に当接するように搬送する。このとき、用紙Pの先端が先端検知センサTS1に対向する位置を通過すると、先端検知センサTS1は、センサアンプユニット83および入出力インタフェース84を介してコントローラ81に先端位置検出信号を出力する。
【0040】
第1ストッパ27は、導入口21から導入された用紙Pの先端が、当該第1ストッパ27に当接するまでの搬送距離を可変とするように、図示しない回動機構により回動可能に設けられている。
【0041】
入口切替爪23の直後には、紙折り処理を行う駆動側の第1折りローラ31と、第1折りローラ31と対となって、第1折りローラ対33として機能する従動側の第2折りローラ32と、が設けられている。さらに、第1折りローラ31に対して、第1ストッパ搬送路26を介して対向する位置には、第1折りローラ31と共働して用紙Pを第1ストッパ27に搬送する搬送従動ローラ34が設けられている。
【0042】
図5は、実施形態の用紙折り処理時の動作説明図である。
第1ストッパ搬送路26には、用紙Pの先端が通過したことを検知する先端検知センサ(先端検知手段)TS1が設けられており、この先端検知センサTS1には、例えば反射型センサを用いる。
【0043】
そして、用紙Pは、先端検知センサTS1(先端検知手段)を通過した後、第1ストッパ搬送路26を遮断する第1ストッパ27(折り位置決め手段)に当接する。
【0044】
コントローラ81は、用紙Pの先端が第1ストッパ27に当接した後も、第1折りローラ31及び搬送従動ローラ34は、それぞれ、図5(a)中、矢印方向に回転し、用紙Pを送り続ける。この結果、用紙Pは、撓み始め、特に第1折りローラ対33に対応する位置付近で撓むこととなる。
【0045】
コントローラ81は、先端検知センサTS1による用紙Pの先端検出タイミングをトリガとして、用紙Pが撓み始めたと推定される規定のタイミングで回動ユニットドライバ90を介して、回動ユニット89を構成する図示しないソレノイドコイルあるいはステッピングモータを駆動し、第1撓み補助部材35を第1折りローラ対33の接触部33A側に用紙Pの撓んだ部分を押し込むように、回動させる。
【0046】
そして、コントローラ81は、回動ユニットドライバ90を介して、用紙Pが第1折りローラ対33の接触部33Aに押し込まれた後、第1撓み補助部材35が元の位置(図5(a)参照)に戻るように、回動ユニット89を駆動する。
【0047】
なお、本第1実施形態において、第1ストッパ27は、円弧状の第1ストッパ搬送路26に対し、円弧の中心付近に固定の回動軸27Aを持ち、この回動軸27Aを中心に回動される。このとき、第1ストッパ27の回動後の固定位置は、先端検知センサTS1により検出される用紙Pの先端位置からの搬送距離と、用紙搬送速度(線速)と、に基づいて算出される。また、第1ストッパ27の駆動源としては、用紙サイズや後述の折りモードにより異なる折り位置により、用紙Pの先端位置を決める必要があるため、位置制御が容易に行えるステッピングモータを用いることが好ましい。さらに、先端検知センサTS1は、用紙のサイズや折りモードにより異なる折り位置により固定位置が変化する第1ストッパ27の位置に合わせて設けることは困難なため、第1ストッパ27の可動範囲AR外に設けられている。なお、図5(a)においては、図示の都合上、先端検知センサTS1が可動範囲ARと重なっているように見えるが、実際には、先端検知センサTS1は、可動範囲AR外に設けられている。
【0048】
次に第1実施形態の動作について説明する。
以下の説明においては、用紙Pの折りモードがZ折り、用紙PのサイズがA3である場合に、第1折りローラ対33で行われる場合の具体的な処理の流れについて説明する。
図6は、第1実施形態の処理フローチャートである。
図7は、あらかじめコントローラが記憶している用紙送り遅延テーブルの説明図である。
図8は、第1実施形態の動作説明図である。
【0049】
まず、コントローラ81は、画像形成装置本体12から用紙情報として用紙Pの用紙サイズ=「A3」を取得する(ステップS11)。
【0050】
続いて、コントローラ81は、画像形成装置本体12から用紙Pの折りモード情報=「Z折り」を取得する(ステップS12)。この場合において、用紙Pの搬送速度は、折りモード情報=「Z折り」に基づく用紙情報として、650mm/secとする。この用紙搬送速度の情報については、あらかじめ折りモード情報に対応づけて、コントローラ81が記憶しているものとするが、画像形成装置本体12からの指示により設定するように構成することも可能である。
【0051】
上記用紙折り処理の条件は、用紙情報としての用紙サイズ=「A3」と、折りモード情報=「Z折り」とに基づくと、第1回目の折り位置は、A3縦用紙の先端から、A3縦用紙の長さの1/4の位置となる。よって、コントローラ81は、第1ストッパ27から第1ストッパ搬送路26を介して、第1折りローラ対33の接触部33A(ニップ)までの距離がA3縦用紙の長さの1/4となるように、用紙整合ユニットドライバ88を介して、第1ストッパ27を回動し、当該位置で固定する(ステップS13:図8(a)〜(b)参照)
【0052】
その後、コントローラ81は、画像形成装置本体12に対し、用紙受け入れ許可信号を送信する(ステップS14)。
これにより、画像形成装置本体12から用紙Pが排紙されると、入口搬送ローラ22は、用紙Pを用紙折り装置11内に導入する。
【0053】
このとき、入口切替爪23は、用紙折り処理を行ってからスタッカ部70に排紙するために、導入口21から斜め下方向に延在する第1ストッパ搬送路26側に切り替えられており、用紙Pが第1ストッパ搬送路26を介して第1ストッパ27に当接するように、入口搬送ローラ22並びに第1折りローラ31及び搬送従動ローラ34により搬送される。
【0054】
そして、コントローラ81は、先端検知センサTS1により用紙Pの先端が検知されたときに出力される先端検知信号が入出力IF84を介して、入力され、受信されると(ステップS15)、この受信をトリガとして、第1撓み補助部材35を所定位置に回動させるタイミングを算出する(ステップS16)。
【0055】
具体的には、用紙Pの先端を先端検知センサTS1により検知したタイミングからの用紙Pの搬送距離をLh[mm]、用紙Pの搬送速度(線速)をVs[mm/sec]、用紙Pの搬送遅れ量をTs[msec]とした場合に、用紙Pの先端を先端検知センサTS1により検知したタイミングから第1撓み補助部材35の回動開始までの時間T1[msec]は、次式1により算出できる。
T1=(Lh/Vs)×10+Ts (式1)
【0056】
なお、上述の例の場合、用紙Pの搬送遅れ量Tsは、用紙サイズ=「A3」、用紙搬送速度=650mm/secであるから、図7に示す用紙送り遅延テーブルを参照すると、
Ts=110[msec]
となる。
【0057】
次にコントローラ81は、用紙Pの先端を先端検知センサTS1により検知したタイミングから時間T1[msec]が経過した時刻において、第1撓み補助部材35を第1折りローラ対33の接触部33A側に回動し、所定位置で固定し、用紙Pのたわみ量を増大させる補助動作を行う(ステップS17)。
そして、コントローラ81は、用紙Pが確実に第1折りローラ対33内に導入されるとされた規定時間が経過したか否かを判別する(ステップS18)。
【0058】
ステップS18の判別において、未だ規定時間が経過していない場合には(ステップS18;No)、第1撓み補助部材35を所定位置で固定し続ける。
一方、ステップS18の判別において、規定時間が経過した場合には(ステップS18;Yes)、既に用紙Pが第1折りローラ対33内に導入されていると考えられるので、第1撓み補助部材35を元の位置(図5(a)に示す位置)へ戻すよう回動させる退避動作を行う(ステップS19)。
【0059】
続いて、コントローラ81は、第1折りローラ対33による1回目の折り完了後、第1折りローラ対33並びに第3折りローラ41及び搬送従動ローラ44により、第1中継搬送路36から第2ストッパ搬送路47へ用紙P1を搬送する。
【0060】
そして、1回目の折りと同様に、第2ストッパ搬送路47内の第2ストッパ46に用紙P1の先端を突き当てて撓ませ、第3折りローラ41と第4折りローラ42とによって形成される第2折りローラ対43の接触部43Aで2回目の折りを行い(図8(c)〜(d)参照)、第2中継搬送路48側に通すことで、Z折りが完了となる。
【0061】
第2折りローラ対43による2回目の折り完了後、用紙P2は、第3ストッパ搬送路57を通り、排紙搬送ローラ25によって排紙され、必要に応じて、排紙トレイ28あるいは下流に位置する各種の用紙処理装置(例えば、ステープラ装置等)へ搬送される(図8(e)〜(f)参照)。
【0062】
以上の説明は、用紙Pに対して、Z折りを行う場合のものであったが、本第1実施形態の用紙折り装置によれば、Z折りの他、二つ折り、外三つ折り、内三つ折りの各折り動作を行うことが可能である。
そして、各折り動作において、用紙情報、線速情報を基にコントローラ81にあらかじめ格納している用紙送り遅れ量(時間)を踏まえて制御、また長さ計測結果を元に可動タイミングを補正して制御する。以下に、二つ折り、外三つ折り、内三つ折りの各折り動作について説明する。
【0063】
<二つ折り>
まず、二つ折り動作について説明する。
画像形成装置本体12より受け入れた用紙Pは、入口切替爪23と、用紙Pを第1折りローラ対33側に導く経路案内部材として機能する第1撓み補助部材35と、によって、第1ストッパ搬送路26へは進入せずに、第1折りローラ31と第2折りローラ32との接触部(ニップ)33Aを通過し、第1中継搬送路36を介して、第2ストッパ搬送路47へ案内される。
【0064】
第2ストッパ搬送路47内の第2ストッパ46に用紙Pの先端を突き当てて撓ませ、第3折りローラ41と第4折りローラ42によって形成される接触部(ニップ)43Aで1回目の折りを行い第2中継搬送路48において、二つ折り完了となる。
【0065】
第2折りローラ対43による1回の折り完了後、用紙P1は、第3ストッパ搬送路57を通り、排紙搬送ローラ25によって排紙され、Z折りの場合と同様に、必要に応じて、排紙トレイ28あるいは下流に位置する各種の用紙処理装置(例えば、ステープラ装置等)へ搬送される。
この場合において、二つ折りモードでは、第3ストッパ56は使用しないため、第3ストッパ搬送路57から退避した位置にある。
【0066】
<外三つ折り、内三つ折り>
次に、外三つ折り及び内三つ折り動作について説明する。
画像形成装置本体12より受け入れた用紙Pは、入口切替爪23と、用紙Pを第1折りローラ対33側に導く経路案内部材として機能する第1撓み補助部材35と、によって、第1ストッパ搬送路26へは進入せずに、第1折りローラ31と第2折りローラ32との接触部(ニップ)33Aを通過し、第1中継搬送路36を介して、第2ストッパ搬送路47へ案内される。
【0067】
続いて、コントローラ81は、第2ストッパ搬送路47内の第2ストッパ46に用紙先端を突き当てて撓ませ、第3折りローラ41と第4折りローラ42によって形成される接触部(ニップ)43Aで1回目の折りを行い第2中継搬送路48において、1回目の折りが完了となり、用紙Pは、用紙P1とされる。
【0068】
そして、コントローラ81は、1回目の折り完了後、用紙P1を第3ストッパ搬送路57へ搬送し、第3ストッパ搬送路57内の第3ストッパ56に用紙P1の先端を突き当てて撓ませ、第5折りローラ51と第6折りローラ52によって形成される接触部(ニップ)53Aで2回目の折りを行い、スタッカ排紙搬送路62にて内三つ折り、外三つ折り完了となり、用紙P2となる。
2回目の折り完了後、コントローラ81は、用紙P2をスタッカ排紙搬送ローラ63によってスタッカ部70に収納させる。
【0069】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、用紙サイズおよび用紙折りモードに拘わらず、常に所定の折り位置で用紙を折ることが可能となり、用紙サイズおよび用紙折りモードの影響による折り品質を向上することが可能となる。
【0070】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態における用紙折り処理時の条件と用紙送りの遅れ量との関係を説明する図である。
図9においては、用紙送りの遅れ量(時間)が用紙Pの厚さにより差が生じることを示している。すなわち、用紙A、B、Cは、厚さが異なっており、各用紙A、B、Cの厚さはA>B>Cの関係にある。
【0071】
より、具体的には、線速が650mm/secで用紙サイズがA4の場合、厚さによる用紙送りの遅れ量の差は小さいが、用紙サイズがA3の場合、用紙Bと用紙Cとの差は小さいが、用紙Aになると10msecの差が生じる。また、線速が250mm/secでは、用紙の厚さ及び用紙サイズによる用紙Bと用紙Cとの差は小さいことがわかる。
【0072】
図10は、第2実施形態の処理フローチャートである。
図11は、用紙折り装置のコントローラにあらかじめ格納している用紙送り遅れ量(時間)の一例を示す図である。
以下の説明においては、折りモードをZ折り、用紙Bは用紙サイズ=「A3」、用紙厚さtがt1>t≧t2の場合を例として、Z折りのうち、1回目の折り動作に関する処理について説明する。
【0073】
まず、コントローラ81は、画像形成装置本体12から用紙情報として用紙Bの用紙サイズ=「A3」を取得する(ステップS21)。
【0074】
続いて、コントローラ81は、画像形成装置本体12から用紙Bの折りモード情報=「Z折り」を取得する(ステップS22)。この場合において、用紙Pの搬送速度は、折りモード情報=「Z折り」に基づく用紙情報として、650mm/secとしている。
【0075】
上記用紙折り処理の条件は、用紙情報としての用紙Bの用紙サイズ=「A3」と、折りモード情報=「Z折り」とに基づくと、第1回目の折り位置は、A3縦用紙の先端から、A3縦用紙の長さの1/4の位置となる。よって、コントローラ81は、第1ストッパ27から第1ストッパ搬送路26を介して、第1折りローラ対33の接触部(ニップ)33Aまでの距離がA3縦用紙の長さの1/4となるように、用紙整合ユニットドライバ88を介して、第1ストッパ27を回動し、当該位置で固定する(ステップS23)。
【0076】
その後、コントローラ81は、画像形成装置本体12に対し、用紙受け入れ許可信号を送信する(ステップS24)。
これにより、画像形成装置本体12から用紙Pが排紙されると、入口搬送ローラ22は、用紙Pを用紙折り装置11内に導入する。
【0077】
このとき、入口切替爪23は、用紙折り処理を行ってからスタッカ部70に排紙するために、導入口21から斜め下方向に延在する第1ストッパ搬送路26側に切り替えられており、用紙Pが第1ストッパ搬送路26を介して第1ストッパ27に当接するように、入口搬送ローラ22並びに第1折りローラ31及び搬送従動ローラ34により搬送される。
【0078】
続いて、コントローラ81は、用紙搬送路に設けた超音波センサなどで構成された厚さ検知センサUS1(図2参照)により、用紙厚さtを計測する(ステップS25)。
【0079】
そして、コントローラ81は、先端検知センサTS1により用紙Pの先端が検知されたときに出力される先端検知信号が入出力IF84を介して、入力され、受信されると(ステップS26)、この受信をトリガとして、第1撓み補助部材35を所定位置に回動させるタイミングを算出する(ステップS27)。
【0080】
この場合においては、用紙厚さtがt1>t≧t2であり、用紙サイズ=「A3」、用紙搬送速度650mm/secであるので、第1実施形態で説明した式1における用紙Pの搬送遅れ量Tsは、図11に示すように、100msecとなる。
【0081】
次にコントローラ81は、用紙Pの先端を先端検知センサTS1により検知したタイミングから時間T1[msec]が経過した時刻を回動タイミングとして、第1撓み補助部材35を第1折りローラ対33の接触部33A側に回動し、所定位置で固定し、用紙Pのたわみ量を増大させる補助動作を行う(ステップS28)。
【0082】
そして、コントローラ81は、用紙Pが確実に第1折りローラ対33内に導入されるとされた規定時間が経過したか否かを判別し(ステップS29)、規定時間が経過すると(ステップS29;Yes)、既に用紙Pが第1折りローラ対33内に導入されているので、第1撓み補助部材35を元の位置へ戻すよう回動させる退避動作を行う(ステップS30)。
【0083】
以上の説明のように、本第2実施形態によれば、折り処理の対象となる用紙の厚さに起因して、折り位置精度が低下する場合でも、用紙の搬送遅れ量を補正して、折り処理を行うので、より正確な折り位置で折り処理を行うことが可能となる。
したがって、用紙の厚さに起因して、折り位置精度がばらついたり、しわが発生したり等の折り品質の低下を抑制して、折り品質の向上を図ることができる。
【0084】
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態における用紙折り処理時の動作説明図である。図12において、図5と同様の部分には、同一の符号を付すものとし、その詳細な説明を援用する。
本第3実施形態の折り処理装置においては、図5に示した構成に加えて、折り長さを計測するための折り長さ計測センサBLSが、第1折りローラ対33の下流側に位置する第1中継搬送路36に設けられている。この折り長さ計測センサBLSとしては、例えば反射型センサを用いる。
【0085】
そして、折り長さ計測センサBLSにより、1回の折り処理がなされた用紙P1の先端(折り部)を検出してから用紙P1の後端を検出するまでの時間T2[msec]を計測する。そして、コントローラ81は、折り長さ計測センサBLSにより計測された時間T2[msec]及び設定されている用紙搬送速度Vs[mm/sec]から折り長さLs[mm]を算出することとなる。この折り長さLsをどのように用いるかについては、動作説明において詳細に説明する。
【0086】
図13は、第3実施形態の処理フローチャートである。
以下の説明においては、折りモードを外三つ折り、用紙Pは用紙サイズ=「A3」の場合を例として、外三つ折りのうち、1回目の折り動作に関する処理について説明する。
【0087】
まず、コントローラ81は、画像形成装置本体12から用紙情報として用紙Pの用紙サイズ=「A3」を取得する(ステップS41)。
【0088】
続いて、コントローラ81は、画像形成装置本体12から用紙Pの折りモード情報=「外三つ折り」を取得する(ステップS42)。この場合において、用紙Pの搬送速度は、折りモード情報=「外三つ折り」に基づく用紙情報として、250mm/secとしている。
【0089】
上記用紙折り処理の条件は、用紙情報としての用紙Pの用紙サイズ=「A3」と、折りモード情報=「外三つ折り」とに基づくと、第1回目の折り位置は、A3縦用紙の先端から、A3縦用紙の長さの1/3の位置となる。よって、コントローラ81は、第1ストッパ27から第1ストッパ搬送路26を介して、第1折りローラ対33の接触部(ニップ)33Aまでの距離がA3縦用紙の長さの1/3となるように、用紙整合ユニットドライバ88を介して、第1ストッパ27を回動し、当該位置で固定する(ステップS43)。
【0090】
その後、コントローラ81は、画像形成装置本体12に対し、用紙受け入れ許可信号を送信する(ステップS44)。
これにより、画像形成装置本体12から用紙Pが排紙されると、入口搬送ローラ22は、用紙Pを用紙折り装置11内に導入する。
【0091】
このとき、入口切替爪23は、用紙折り処理を行ってからスタッカ部70に排紙するために、導入口21から斜め下方向に延在する第1ストッパ搬送路26側に切り替えられており、用紙Pが第1ストッパ搬送路26を介して第1ストッパ27に当接するように、入口搬送ローラ22並びに第1折りローラ31及び搬送従動ローラ34により搬送される。
【0092】
続いて、コントローラ81は、先端検知センサTS1により用紙Pの先端が検知されたときに出力される先端検知信号が入出力IF84を介して、入力され、受信されると(ステップS45)、この受信をトリガとして、第1撓み補助部材35を所定位置に回動させるタイミングを算出する(ステップS46)。
【0093】
この場合においては、用紙サイズ=「A3」、用紙搬送速度250mm/secであるので、第1実施形態で説明した式1における用紙Pの搬送遅れ量Tsは、図14(a)に示すように、130msecとなる。
【0094】
次にコントローラ81は、用紙Pの先端を先端検知センサTS1により検知したタイミングから時間T1[msec]が経過した時刻を回動タイミングとして、第1撓み補助部材35を第1折りローラ対33の接触部33A側に回動し、所定位置で固定し、用紙Pのたわみ量を増大させる補助動作を行う(ステップS47)。
【0095】
そして、コントローラ81は、用紙Pが確実に第1折りローラ対33内に導入されるとされた規定時間が経過したか否かを判別し(ステップS48)、規定時間が経過すると(ステップS48;Yes)、既に用紙Pが第1折りローラ対33内に導入されているので、第1撓み補助部材35を元の位置へ戻すよう回動させる退避動作を行う(ステップS49)。
【0096】
次にコントローラ81は、折り長さ計測センサBLSにより、1回の折り処理がなされた用紙P1の先端(折り部)を検出してから用紙P1の後端を検出するまでの時間T2[msec]を計測する。そして、コントローラ81は、折り長さ計測センサBLSにより計測された時間T2[msec]及び設定されている用紙搬送速度Vs[mm/sec]から折り長さLs[mm]を算出することとなる(ステップS50)。
【0097】
続いてコントローラ81は、計測した折り長さLs[mm]が、所定の規定値(=本実施形態の場合、A3縦用紙の長さの1/3)±所定の許容誤差値(本実施形態では、2mm)以内であるか否かを判別する(ステップS51)。
【0098】
ステップS51の判別において、計測した折り長さLsが、所定の規定値±所定の許容誤差値以内である場合には(ステップS51;Yes)、第1実施形態で説明した式1における用紙Pの搬送遅れ量Tsを補正する必要はないので、処理を終了する。
【0099】
一方、ステップS51の判別において、計測した折り長さLsが、所定の規定値±所定の許容誤差値を超えた場合には(ステップS51;No)、用紙Pの搬送遅れ量Tsを補正する補正処理を行う(ステップS52)。
【0100】
図14は、用紙の搬送遅れ量の補正の説明図である。
具体的には、例えば、用紙サイズ=「A3」、用紙搬送速度Vs=250[mm/sec]、折り長さが所定の規定値+3[mm]である場合には、コントローラ81は、計測した折り長さLsが、所定の規定値±2[mm]を越えていると判別する。したがって、例えば、図14(a)に示すように、補正前の用紙Pの搬送遅れ量Ts=130[msec]である場合には、図14(b)に示すように、補正後の用紙Pの搬送遅れ量Ts=132[msec]と補正する。
【0101】
そして、コントローラ81は、当該用紙については、1回目の折り処理を終了することとなるが、次回搬送されてきた用紙について折り長さの差が所定の規定値(本実施形態では、±2mm)以内であるか否かを判別して、徐々により適切な用紙Pの搬送遅れ量Tsを設定することとなる。
【0102】
以上の説明のように、本第3実施形態によれば、実際の折り位置が、予定する折り位置とずれている場合でも、折り位置の長さの差が所定の規定値以内となるように用紙Pの搬送遅れ量Tsを徐々に補正することとなるので、より正確な折り位置で折り処理を行うことが可能となる。
【0103】
以上の本第3実施形態の説明においては、計測した折り長さが増加する側(プラス側)にずれた場合において、補正により搬送遅れ量Tsを大きく、すなわち、撓み補助部材の回動タイミングを遅くしていたが、この場合の補正量(上述の例の場合、2msec)については、設計時にあらかじめ固定値として適宜定めておくことが可能である。また、固定値に代えて、あるいは、加えて各工程における作業者、サービスマンあるいはユーザが画像形成装置本体12の操作パネル(コントロールパネル)で変更可能に構成することも可能である。
【0104】
(実施形態の変形例)
上述した制御は、コントローラ81で実行される綴じ処理用の制御プログラムは、あらかじめROMに格納されているものとして説明したが、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて、画像形成装置本体12側から更新可能に提供されるようにすることも可能である。
【0105】
同様に、コントローラ81で実行される綴じ処理用の制御プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で画像形成装置本体12にダウンロードさせ、画像形成装置本体12側から更新可能に提供されるようにすることも可能である。
【0106】
さらに以上の説明においては、画像形成装置本体を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明したが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置本体であっても、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 画像形成装置
11 用紙折り装置
12 画像形成装置本体
21 導入口
22 入口搬送ローラ
23 入口切替爪
24 水平搬送路
25 排紙搬送ローラ
26 第1ストッパ搬送路
27 第1ストッパ
31 第1折りローラ
32 第2折りローラ
33 第1折りローラ対
33A 接触部
34 搬送従動ローラ
35 第1撓み補助部材
36 第1中継搬送路
41 第3折りローラ
42 第4折りローラ
43 第2折りローラ対
43A 接触部
44 搬送従動ローラ
45 第2撓み補助部材
46 第2ストッパ
47 第2ストッパ搬送路
48 第2中継搬送路
51 第5折りローラ
52 第6折りローラ
53 第3折りローラ対
53A 接触部
54 搬送従動ローラ
55 第3撓み補助部材
56 第3ストッパ
57 第3ストッパ搬送路
61 搬送ローラ
62 スタッカ排紙搬送路
63 スタッカ排紙搬送ローラ
64 可動板
81 コントローラ(タイミング設定ユニット)
82 センサ群
83 センサアンプユニット
84 入出力インタフェース
85 用紙搬送ユニット
86 用紙搬送ユニットドライバ
87 用紙整合ユニット
88 用紙整合ユニットドライバ
89 回動ユニット
90 回動ユニットドライバ
P、P1、P2 用紙
TS1 先端検知センサ
US1 厚さ検知センサ
BLS 折り長さ計測センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の搬送経路から外れた位置に設けられた対となるローラが、互いに接触して回転するとともに、用紙を巻き込んで折り曲げるための折りローラ対と、
前記用紙の搬送経路内に突没可能とされ、前記搬送経路内に突出されて当該搬送経路内を搬送されている用紙を撓ませ、当該用紙を前記折りローラ対の接触位置に導く撓み補助部材と、
前記用紙の用紙サイズ又は用紙搬送速度に基づいて、前記撓み補助部材を前記搬送経路内に突出させるタイミングを設定するタイミング設定ユニットと、
前記設定されたタイミングで前記撓み補助部材を駆動する駆動ユニットと、
を備えたことを特徴とする用紙折り装置。
【請求項2】
前記タイミング設定ユニットは、前記用紙サイズが大きいほど、前記撓み補助部材を前記搬送経路内に突出させるタイミングを遅く設定することを特徴とする請求項1記載の用紙折り装置。
【請求項3】
前記タイミング設定ユニットは、前記用紙搬送速度が大きいほど、前記撓み補助部材を前記搬送経路内に突出させるタイミングを早く設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の用紙折り装置。
【請求項4】
前記タイミング設定ユニットは、前記用紙の用紙厚さに基づいて、前記撓み補助部材を前記搬送経路内に突出させるタイミングを設定し、前記用紙厚さが厚いほど、前記撓み補助部材を前記搬送経路内に突出させるタイミングを遅く設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の用紙折り装置。
【請求項5】
前記折りローラ対により折られた用紙の折り長さを計測する折り長さ計測ユニットを備え、
前記タイミング設定ユニットは、前記折り長さ計測ユニットの計測結果に基づいて前記タイミングを補正する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の用紙折り装置。
【請求項6】
対となるローラが互いに接触して回転するとともに、用紙を巻き込んで折り曲げるための折りローラ対と、前記用紙の搬送経路内に突没可能とされ、前記搬送経路内に突出されて当該搬送経路内を搬送されている用紙を撓ませ、当該用紙を前記折りローラ対の接触位置に導く撓み補助部材と、前記撓み補助部材を駆動する駆動ユニットと、を備える用紙折り装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記用紙の用紙サイズ又は用紙搬送速度に基づいて、前記撓み補助部材を前記搬送経路内に突出させるタイミングを設定する手段と、
前記設定されたタイミングで、前記撓み補助部材を駆動するために前記駆動ユニットの制御を行う手段と、
して機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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