説明

用紙排出装置、用紙排出方法、画像形成装置および画像形成方法

【課題】 用紙を最適のタイミングで排出できる用紙排出装置、用紙排出方法、画像形成装置、画像形成方法を提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る用紙排出装置は、用紙を搬送路に沿って搬送する第1の搬送部と、第1の搬送部よりも用紙搬送方向下流側に設けられたピンチローラ及びフィードローラを有する第2の搬送部と、所定形状の面部を、ピンチローラに当接しない第1位置、ピンチローラと当接してピンチローラをフィードローラから離間するまで押し込む第2位置の間で移動させる可動機構と、可動機構により面部を第2位置に移動させてピンチローラ及び面部にて用紙を狭持させ、この状態で第1の搬送部により用紙を搬送させて用紙を撓ませ、可動機構により面部を第1位置に移動させてピンチローラ及びフィードローラに用紙を狭持させ、フィードローラを回転させて用紙を排出させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、印刷物を排出する用紙排出装置、用紙排出方法、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置等においては、その後段において設けられた用紙排出機能によって、印刷された用紙が搬送路を用いて外部に排出される。これにより、ユーザは排出された用紙を受け取ることができる。
【0003】
このような用紙排出機能においては、印字が完了する以前に用紙が外部に露出すると、誤ってユーザが用紙を引き出してしまう等の虞がある。従って、上記画像形成装置等においては、印字等の必要な処理が完了した後に用紙が排出されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−73095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、画像形成装置等においては、印刷が完了する前にユーザが用紙を引き出してしまうという不具合を解消するためには、印字等の必要な処理が完了した後に、用紙が装置の外部に排出されなければならない。
【0006】
本発明は、用紙を最適のタイミングで排出することができる用紙排出装置、用紙排出方法、画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決する一実施形態は、
用紙の搬送路と、
前記用紙を前記搬送路に沿って搬送する第1の搬送部と、
この第1の搬送部よりも前記用紙の搬送方向の下流側に設けられたピンチローラ及びフィードローラを有し、これらピンチローラ及びフィードローラにて前記用紙を狭持して前記搬送路に沿って搬送する第2の搬送部と、
所定形状の面部を有し、この面部を、前記ピンチローラに当接しない第1位置と、前記用紙を介して前記ピンチローラと当接し、前記ピンチローラを前記フィードローラから離間するまで押し込む第2位置と、の間で移動させる可動機構と、
この可動機構により前記面部を前記第2位置に移動させて前記ピンチローラ及び前記面部にて前記用紙を狭持させ、この状態で前記第1の搬送部により前記用紙を搬送させることで前記用紙を撓ませ、その後、前記可動機構により前記面部を前記第1位置に移動させて前記ピンチローラ及びフィードローラに前記用紙を狭持させ、この状態で前記フィードローラを回転させて前記用紙を前記搬送路から排出させる制御部と、
を備えた用紙排出装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す断面図。
【図2】同画像形成装置の一例を示すブロック図。
【図3】同画像形成装置において、待機位置にあるプレスパッド等を示す模式図。
【図4】図3におけるA−A断面図。
【図5】同画像形成装置において、離間位置にあるプレスパッド等を示す模式図。
【図6】図4におけるA−A断面図。
【図7】同画像形成装置において、用紙に印刷する様子を示す断面図。
【図8】同画像形成装置において、印刷した用紙を移動する様子を示す断面図。
【図9】同画像形成装置において、プレスパッドを上昇させた様子を示す断面図。
【図10】同画像形成装置において、用紙が撓んだ様子を示す断面図。
【図11】同画像形成装置において、プレスパッドを下降させた様子を示す断面図。
【図12】同画像形成装置において、カットした用紙を排出する様子を示す断面図。
【図13】同画像形成装置において、排出を完了して待機する様子を示す断面図。
【図14】同画像形成装置において、用紙を装置内に回収する様子を示す断面図。
【図15】同画像形成装置において、用紙の回収が完了した様子を示す断面図。
【図16】同画像形成装置の動作の一例を説明するためのフローチャート。
【図17】同画像形成装置の動作の一例を説明するためのフローチャート。
【図18】同画像形成装置の動作の一例を説明するためのフローチャート。
【図19】変形例に係るプレスパッド等を示す模式図。
【図20】変形例に係る画像形成装置の構成の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、本実施形態においては、例えば商取引の会計に関わる諸情報が印刷された用紙(レシート)を発行するレシートプリンタである画像形成装置Aを例示する。この画像形成装置Aのうち、用紙の排出に関わる要素にて本実施形態に係る用紙排出装置が構成される。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す断面図、図2は、同じく画像形成装置の一例を示すブロック図である。
【0011】
画像形成装置A(または用紙排出装置)には、図1に示されるように、用紙Pを給紙するためのロールペーパー1と、このロールペーパー1から給紙される用紙Pを後段に搬送するための搬送路Lが設けられている。さらに画像形成装置Aは、プリンタ部の構成として、搬送路Lに沿って上流側から下流側に、用紙エンドセンサ14と、サーマルプリントヘッド2と、プラテンローラ3と、カッター4とを有している。
【0012】
用紙エンドセンサ14は、用紙の有無を例えば光学的に検出するセンサである。この検出結果に基づいて、用紙切れが検出される。
【0013】
サーマルプリントヘッド2は、プラテンローラ3に向けて弾性体により付勢されており、用紙Pを介して同ローラ3に当接している。プラテンローラ3は、プラテンモータ32(図2参照)によって駆動される。このプラテンローラ3にて用紙Pを搬送しつつ、サーマルプリントヘッド2を駆動することで、用紙Pに対して文字や図形等の画像が印字される。
【0014】
カッター4は、カッターモータ33(図2参照)によって駆動されて、用紙Pを切断する。
【0015】
さらに、画像形成装置Aは、転送部の構成として、搬送路Lに沿って上流側から下流側に、第1フィードローラ5と、第1ピンチローラ6と、第2フィードローラ7と、第2ピンチローラ8と、用紙放出センサ12と、用紙Pを排出するための排出口13aをもつ画像形成装置Aの筐体13を有している。
【0016】
第1フィードローラ5および第2フィードローラ7は、フィードモータ34(図2参照)によって駆動される。第1ピンチローラ6および第2ピンチローラ8は、それぞれ第1フィードローラ5および第2フィードローラ7に向けて、弾性体により付勢されている。第1フィードローラ5および第1ピンチローラ6は、本実施形態における第1の搬送部として機能するものであり、装置前段から搬送路Lに沿って搬送される用紙Pを狭持し、第1フィードローラ5の回転によりこの用紙Pを装置後段へと送り込む。第2フィードローラ7および第2ピンチローラ8は、本実施形態における第2の搬送部として機能するものであり、第1フィードローラ5および第1ピンチローラ6によって送り込まれる用紙Pを狭持し、第2フィードローラ7の回転によりこの用紙Pを排出口13aに向けて搬送する。
【0017】
図1に示すように、搬送路Lは、第1フィードローラ5および第1ピンチローラ6が設けられた位置と、第2フィードローラ7および第2ピンチローラ8が設けられた位置との間で下方が開放されている。この開放部の下方には、後述の動作において印字済みの用紙Pが画像形成装置A内に回収された際に、当該回収された用紙Pを格納するためのキャプチャビン15が設けられている。
【0018】
また、第2フィードローラ7および第2ピンチローラ8の近傍には、プレスパッド9が設けられている。このプレスパッド9の下方には、一面に直線歯車が設けられたラック部材9aが取り付けられている。このラック部材9aの直線歯車は、パッドモータ35(図2参照)によって駆動されるピニオン10と歯合し、ピニオン10の回転に伴ってプレスパッド9が昇降する。また、プレスパッド9の近傍には、プレスパッド9の位置、あるいは昇降量を検出するプレスパッドセンサ11が設けられている。なお、プレスパッド9、ラック部材9a、ピニオン10等は、本実施形態に係る可動機構を構成する。
【0019】
この実施形態の画像形成装置(またはサーマルプリントヘッド2がない場合は用紙排出装置)Aは、その電気的構成として図2に示すように、全体の動作を制御する制御ユニット20を備える。この制御ユニット20はCPU21を有し、このCPU21に制御情報や操作情報、管理情報、制御プログラム等を格納したRAM22およびROM23と、インタフェース24とを接続し、インタフェース24に各種ドライバ25〜30を接続して構成されている。CPU21がRAM22やROM23に記憶された制御プログラムを実行することにより、後述の各種動作が実現される。
【0020】
インタフェース24には、CPU21およびドライバ25〜30の他に、外部のホストコンピュータHや、上記用紙エンドセンサ14、用紙放出センサ12、プレスパッドセンサ11等が接続される。
【0021】
ドライバ25にはサーマルプリントヘッド2が接続され、ドライバ26にはプラテンローラ3を回転させるプラテンモータ32が接続され、ドライバ27にはカッタ−4を駆動する正逆回転可能なカッターモータ33が接続され、ドライバ28には第1フィードローラ5および第2フィードローラ7を回転させる正逆回転可能なフィードモータ34が接続され、ドライバ29にはピニオン10を回転させる正逆回転可能なパッドモータ35が接続され、ドライバ30には各種の操作情報や管理情報等を表示する表示部36が接続される。
【0022】
各ドライバ25〜30は、それぞれサーマルヘッド31、プラテンモータ32、カッターモータ33、フィードモータ34、パッドモータ35、および、表示部36を制御する。
【0023】
ここで、プレスパッド9を昇降させた際の作用について説明する。
図3,図5は用紙Pの搬送方向(図1中の矢印D方向)から見たプレスパッド9、第2フィードローラ7、第2ピンチローラ8を示す模式図であり、図4,図6はそれぞれ図3,図5におけるA−A断面図である。図3,図5はプレスパッド9が待機位置(ホームポジション)にある状態を示し、図4,図6はプレスパッド9が待機位置から上昇した後の状態を示す。
【0024】
図3に示すように、フィードローラ7は一対の円筒状のローラ7aを回転可能に軸支されたシャフト7bに取り付けて構成され、ピンチローラ8は一対の円筒状のローラ8aをフィードモータ34に連結されたシャフト8bに取り付けて構成される。シャフト7b,8bは平行に配置され、ローラ7aはローラ8aよりも短尺に形成されている。シャフト8bは、例えば一対の弾性体8cによってフィードローラ7に向けて付勢され、これによりローラ8aとローラ7aとが当接する。
【0025】
プレスパッド9は、一対のローラ7aの間に設けられ、図3に示すように中央が窪んだ凹形状を成し、図4に示すように左右の突出部9bの上面部9cが用紙Pの搬送方向に対して上流側に傾斜している。上面部9cは、用紙Pに対して高い摩擦力を有する材料、例えばEPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)にて形成されている。
【0026】
また、プレスパッド9は長孔9dを有し、この長孔9dにシャフト7bを挿通することで、シャフト7bによって昇降動作が妨げられないようになっている。
【0027】
プレスパッド9が待機位置にある場合、上面部9cとピンチローラ8は接しない。これに対し、上述したラック部材9aおよびピニオン10によってプレスパッド9を待機位置から上昇させると、やがて上面部9cがピンチローラ8に接し、さらにプレスパッド9を上昇させると上面部9cによってピンチローラ8が押され、図5,図6に示すように弾性体8cが縮んでピンチローラが持ち上げられる。これにより、フィードローラ7とピンチローラ8が離間する。以下の説明においては、上昇時のプレスパッド9の位置を、離間位置と称す。
【0028】
(動作)
このような構成をもった画像形成装置Aの動作を、図1、図7乃至図15の断面図および図16乃至図18のフローチャートを用いて、以下に詳細に説明する。ここで、画像形成装置Aから印刷機能を除いた場合の動作が、用紙排出装置の動作となる。
【0029】
初めに、制御ユニット20の制御によって、ロールペーパー1の用紙Pが搬送路Lに搬送され、サーマルプリントヘッド2で印刷する速度、すなわちプラテンモータ32と同速度でフィードモータ34が正回転される(ステップS1)。これにより、第1フィードローラ5および第2フィードローラ7がプラテンローラ3と同速度で回転する。
【0030】
次に、制御ユニット20は、サーマルプリントヘッド2を駆動して用紙P上に例えば1ラインの印字を行わせる(ステップS2)。1ラインの印字が済めば、用紙Pを1ライン分フィードする(ステップS3)。
【0031】
その後、制御ユニット20は、用紙放出センサ12が用紙Pの先端を検知したかどうかを判断する(ステップS4)。そして、制御ユニット20は、用紙放出センサ12が用紙Pの先端を検知していない場合(ステップS4のNO)、n(n=自然数)ラインの印刷が完了したかどうかを判断する(ステップS5)。ここに、nは、現在の処理対象の印刷ジョブにおける総印字ライン数である。
【0032】
nラインの印刷が完了していない場合(ステップS5のNO)、制御ユニット20は、サーマルプリントヘッド2を駆動して用紙P上に例えば1ラインの印字を行わせ(ステップS6)、1ラインの印字が済めば、用紙Pを1ライン分フィードして(ステップS7)、ステップS4に戻る。
【0033】
このようにステップS4〜S7の処理が繰り返されると、図7に示すように用紙Pが搬送路Lに沿って排出口13aに向け搬送される。やがて、図8に示すように用紙Pの先端が用紙放出センサ12の位置に到達すると、同センサ12によって用紙の先端が検知される(ステップS4のYES)。このとき制御ユニット20は、パッドモータ35を正回転させてプレスパッド9を上昇させ(ステップS8)、プレスパッド9が離間位置に達したか否かを判断する(ステップS9)。この判断は、例えばプレスパッドセンサ11からの出力に基づいて行えばよい。あるいは、予めプレスパッド9が待機位置から離間位置まで上昇するのに必要なパッドモータ35の回転量を求めておき、この回転量だけパッドモータを正回転させたことに応じてプレスパッド9が離間位置に達したと判断するようにしてもよい。プレスパッド9が離間位置に達したと判断したならば(ステップS9のYES)、制御ユニット20は、パッドモータ35を停止させる(ステップS10)。その後、ステップS5の処理が行われる。
【0034】
ステップS8〜S10の処理を経ると、図9に示すようにプレスパッド9によって第2ピンチローラ8が押し上げられ、第2フィードローラ7と第2ピンチローラ8が離間する。さらに用紙Pはプレスパッド9の上面部9cと第2ピンチローラ8によって狭持される。
【0035】
プレスパッド9を上昇させた後、ステップS4〜S7の処理が繰り返されると、第1フィードローラ5によって用紙Pが排出口13aに向けて送り続けられるが、第2ピンチローラ8およびプレスパッド9によって狭持された部分にて抵抗力を受けるので、用紙Pが図10に示すように撓むことになる。
【0036】
特に本実施形態においてはプレスパッド9の上面部9cが傾斜しているので、第1フィードローラ5および第1ピンチローラ6によって用紙Pが送り込まれるにつれこの傾斜に沿って用紙Pが曲がり、その結果、用紙Pを搬送路Lの下方に設けられた上記開放部に向けてスムーズに撓ませることができる。
【0037】
このように用紙Pを撓ませることにより、印刷が行われている間は、用紙Pが排出口13aから露出しない。
【0038】
用紙Pが撓んだ状態でステップS4〜S7の処理が繰り返されると、やがてnラインの印字が完了する(ステップS5のYES)。このとき制御ユニット20は、プラテンローラ3および第1フィードローラ5により用紙Pを必要な長さm(m=自然数)ラインだけ移動して(ステップS11)、プラテンモータ32およびフィードモータ34を停止させる(ステップS12)。さらに、制御ユニット20は、カッターモータ33を正回転させてカッター4を駆動し、用紙Pをカットする(ステップS13)。
【0039】
ここで図17のフローチャートの説明に移る。ステップS13にて用紙Pをカットした後、制御ユニット20は、パッドモータ35を逆回転させてプレスパッド9を下降させ始め(ステップS14)、プレスパッド9が待機位置に達したか否かを判断する(ステップS15)。この判断は、ステップS9の場合と同様に、例えばプレスパッドセンサ11からの出力に基づいて行えばよい。あるいは、予めプレスパッド9が離間位置から待機位置まで下降するのに必要なパッドモータ35の回転量を求めておき、この回転量だけパッドモータを逆回転させたことに応じてプレスパッド9が待機位置に達したと判断するようにしてもよい。プレスパッド9が待機位置に達したと判断したならば(ステップS15のYES)、制御ユニット20は、パッドモータ35を停止させる(ステップS16)。
【0040】
ステップS14〜S16の処理を経ると、図11に示すように第2ピンチローラ8が元の位置に戻り、第2フィードローラ7と第2ピンチローラ8によって用紙Pが狭持される。この状態で、制御ユニット20は、フィードモータ34を正回転させ(ステップS17)、n−x(x=自然数,x<n)ラインだけ用紙Pがフィードされたか否かを判断する(ステップS18)。用紙Pがn−xライン分フィードされるまではフィードモータ34の正回転は継続され(ステップS18のNO)、その結果、図12に示すようにカットされた用紙Pが排出口13aから露出し始める。
【0041】
やがてn−xラインだけ用紙Pがフィードされると(ステップS18のYES)、制御ユニット20は、フィードモータ34を停止させる(ステップS19)。これにより第2フィードローラ7の回転が停止し、用紙Pの排出が完了する。このとき図13に示すように、印刷された用紙P(例えばレシート)は、その一部が排出口13aから垂れ下がり、他の一部が第2フィードローラ7および第2ピンチローラ8にて狭持された状態で静止する。この状態で、ユーザは印刷された用紙Pを取得することができる。なお、上記xラインは、少なくとも印刷された用紙Pの先端が排出口13aから露出し、かつ当該印刷された用紙Pの一部が第2フィードローラ7および第2ピンチローラ8にて狭持されるように、第2フィードローラ7および第2ピンチローラ8から排出口13aまでの距離等を考慮して定めればよい。
【0042】
ここで図18のフローチャートの説明に移る。印刷された用紙Pの排出が完了した後、制御ユニット20は、排出完了から所定時間(例えば1分間等)が経過したか否かを判断する(ステップS20)。所定時間が経過したならば(ステップS20のYES)、制御ユニット20は、用紙放出センサ12が用紙Pを検知しているか否かを判断する(ステップS21)。用紙放出センサ12によって用紙Pが検知されていないならば(ステップS21のNO)、制御ユニット20は、印刷された用紙Pがユーザによって取り除かれたとの判断の下に、当該印刷ジョブに係る一連の処理を終了する。
【0043】
一方、用紙放出センサ12によって用紙Pが検知されているならば(ステップS21のYES)、制御ユニット20は、この用紙Pを筐体の内部に収納しようとする。すなわち制御ユニット20は、フィードモータ34を逆回転させ(ステップS22)、用紙放出センサ12による用紙Pの先端の検知を待つ(ステップS23)。このとき図14に示すように第2フィードローラ7が逆回転し、印刷された用紙Pが筐体内へと引き込まれる。
【0044】
やがて用紙放出センサ12によって用紙Pの先端が検知されると(ステップS23のYES)、制御ユニット20は、用紙Pの先端が第2フィードローラ7および第2ピンチローラ8の当接位置を完全に通過するまでに必要な時間の経過を待ち(ステップS24)、当該時間が経過したならば(ステップS24のYES)、フィードモータ34を停止させる(ステップS25)。以上で用紙Pの回収に関わる処理が終了し、図15に示すように、印刷された用紙Pが搬送路Lから離脱してキャプチャビン15に回収される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置(用紙排出装置)Aは、プレスパッド9の上面部9cを離間位置に移動させて第2フィードローラ7と第2ピンチローラ8とを離間させるとともに第2ピンチローラ8およびプレスパッド9の上面部9cにて用紙Pを狭持させ、この状態で第1フィードローラ5および第1ピンチローラ6により用紙Pを搬送させることで用紙Pを撓ませ、その後、プレスパッド9の上面部9cを待機位置に移動させて第2フィードローラ7および第2ピンチローラ8に用紙Pを狭持させ、この状態で第2フィードローラ7を回転させて用紙Pを搬送路Lから排出させる。
【0046】
このような構成であれば、印刷された用紙Pを排出口13aから排出するタイミングを調整できるようになる。したがって、本実施形態のように印刷が完了するまではプレスパッド9を離間位置に移動させ、印刷が完了した後にプレスパッド9を待機位置に戻すようにすれば、印刷が完了した後に限り用紙Pが排出口13aから露出することになるので、印刷途中でユーザが用紙Pを引き抜いてしまうような事態は生じない。
【0047】
また、プレスパッド9の上面部9cは第1フィードローラ5および第1ピンチローラ6等による用紙Pの搬送方向に対して傾斜しているため、用紙Pをスムーズに撓ませることができる。
【0048】
また、排出口13aから排出された用紙Pが取り残された場合であっても、所定時間が経過すると自動的にこの用紙Pが筐体の内側に回収される。したがって、ユーザは、取り残された用紙Pをいちいち手作業で回収する必要がない。
【0049】
さらに、このような用紙Pの回収は、フィードモータ34を逆回転させることで実行されるので、特別な機構を設ける必要がない。
【0050】
これらの他にも、本実施形態に係る構成からは、種々の好適な効果が得られる。
【0051】
[変形例]
上記実施形態に開示された構成は、実施段階において各構成要素を適宜変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0052】
(1)上記実施形態では、ラック部材9aと、ピニオン10とを用いてプレスパッド9を可動させる場合を例示した。しかしながら、プレスパッド9を可動させる機構はこれに限られず、例えばカム機構を用いてプレスパッド9が待機位置と離間位置との間で移動するようにしてもよい。
【0053】
(2)また、上記実施形態の構成においては、用紙Pが第2ピンチローラ8と上面部9cによって狭持された場合においても、第1フィードローラ5等による搬送力によって第2ピンチローラ8が回転し、用紙Pが下流に送られる可能性がある。これに対処すべく、例えば図19に示すように第2ピンチローラ8とプレスパッド9の上面部9cに微小な凹凸を設けてもよい。このようにすれば、第2ピンチローラ8と上面部9cが用紙Pを介して当接した際に、第2ピンチローラ8の凹凸がプレスパッド9の凹凸からの反力を得て、第2ピンチローラ8の回転が防がれる。
【0054】
(3)また、上記実施形態の構成において、第1フィードローラ5および第1ピンチローラ6と、第2フィードローラ7および第2ピンチローラ8との間に設けられるとした搬送路Lの開放部を開閉式にしてもよい。上記開放部を開閉式とする場合の画像形成装置Aの構成例を図20に示す。この例では、上記開放部を開閉するフラッパ100と、このフラッパ100を回転させる回転軸101と、フラッパ100が待機位置(ホームポジション)にあるか否かを検知するフラッパセンサ102とを設けている。回転軸101は、制御ユニット20に接続されたフラッパモータにて駆動される。
【0055】
このような構成を採用する場合には、例えばステップS8〜S10においてプレスパッド9を離間位置まで上昇させた際にフラッパ100が十分開くまで上記フラッパモータを正回転させる。これにより、例えばフラッパ100が図20中に破線で示した位置まで回転し、搬送路Lの開放部が開放されて、用紙Pを撓ませるための空間が確保される。その後、ステップS14〜S16にてプレスパッド9を待機位置に下降させる際に、フラッパセンサ102によってフラッパ100が検知されるまで上記フラッパモータを逆回転させる。これにより、フラッパ100によって搬送路Lの開放部が閉じられる。
【0056】
このように、搬送路Lの空間を必要な場合にのみ拡大する構成とすれば、用紙Pを撓ませる必要がない場合における用紙Pの搬送がスムーズになる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
A…画像形成装置、P…用紙、L…搬送路、1…ロールペーパー、2…サーマルプリントヘッド、3…プラテンローラ、4…カッター、5…フィードローラ、6…ピンチローラ、7…フィードローラ、8…ピンチローラ、9…プレスパッド、9a…ラック部材、10…ピニオン、11…プレスパッドセンサ、12…用紙放出センサ、13a…排出口、13…筐体、14…用紙エンドセンサ、15…キャプチャビン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の搬送路と、
前記用紙を前記搬送路に沿って搬送する第1の搬送部と、
この第1の搬送部よりも前記用紙の搬送方向の下流側に設けられたピンチローラ及びフィードローラを有し、これらピンチローラ及びフィードローラにて前記用紙を狭持して前記搬送路に沿って搬送する第2の搬送部と、
所定形状の面部を有し、この面部を、前記ピンチローラに当接しない第1位置と、前記用紙を介して前記ピンチローラと当接し、前記ピンチローラを前記フィードローラから離間するまで押し込む第2位置と、の間で移動させる可動機構と、
この可動機構により前記面部を前記第2位置に移動させて前記ピンチローラ及び前記面部にて前記用紙を狭持させ、この状態で前記第1の搬送部により前記用紙を搬送させることで前記用紙を撓ませ、その後、前記可動機構により前記面部を前記第1位置に移動させて前記ピンチローラ及びフィードローラに前記用紙を狭持させ、この状態で前記フィードローラを回転させて前記用紙を前記搬送路から排出させる制御部と、
を備えていることを特徴とする用紙排出装置。
【請求項2】
前記面部は、前記用紙の搬送方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の用紙排出装置。
【請求項3】
前記制御部は、当該用紙排出装置の筐体に設けられた排出口から前記用紙の少なくとも一部が露出した状態において、所定時間が経過すると、前記用紙を前記筐体の内側に回収することを特徴とする請求項1に記載の用紙排出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記用紙を前記搬送路から排出させる際に、前記排出口から前記用紙の一部が露出するとともに前記用紙の他の一部が前記ピンチローラ及びフィードローラにて狭持された状態で前記フィードローラを停止させ、この状態で前記所定時間が経過すると、前記フィードローラを前記搬送方向とは逆方向に前記用紙が搬送されるよう回転させて前記用紙を前記筐体の内側に回収することを特徴とする請求項3に記載の用紙排出装置。
【請求項5】
前記ピンチローラの表面及び前記面部には凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の用紙排出装置。
【請求項6】
用紙の搬送路と、
前記用紙を前記搬送路に沿って搬送する第1の搬送部と、
この第1の搬送部よりも前記用紙の搬送方向の下流側に設けられたピンチローラ及びフィードローラを有し、これらピンチローラ及びフィードローラにて前記用紙を狭持して前記搬送路に沿って搬送する第2の搬送部と、
所定形状の面部を有し、この面部を、前記ピンチローラに当接しない第1位置と、前記用紙を介して前記ピンチローラと当接し、前記ピンチローラを前記フィードローラから離間するまで押し込む第2位置と、の間で移動させる可動機構と、を備えた用紙排出装置において、
前記可動機構により前記面部を前記第2位置に移動させて前記ピンチローラ及び前記面部にて前記用紙を狭持させ、この状態で前記第1の搬送部により前記用紙を搬送させることで前記用紙を撓ませ、その後、前記可動機構により前記面部を前記第1位置に移動させて前記ピンチローラ及びフィードローラに前記用紙を狭持させ、この状態で前記フィードローラを回転させて前記用紙を前記搬送路から排出させることを特徴とする用紙排出方法。
【請求項7】
前記用紙排出装置の筐体に設けられた排出口から前記用紙の少なくとも一部が露出した状態において、所定時間が経過すると、前記用紙を前記筐体の内側に回収することを特徴とする請求項6に記載の用紙排出方法。
【請求項8】
前記用紙を前記搬送路から排出させる際に、前記排出口から前記用紙の一部が露出するとともに前記用紙の他の一部が前記ピンチローラ及びフィードローラにて狭持された状態で前記フィードローラを停止させ、この状態で前記所定時間が経過すると、前記フィードローラを前記搬送方向とは逆方向に前記用紙が搬送されるよう回転させて前記用紙を前記筐体の内側に回収することを特徴とする請求項7に記載の用紙排出方法。
【請求項9】
用紙の搬送路と、
前記用紙上に印刷を行う印刷部と、
前記用紙を前記搬送路に沿って搬送する第1の搬送部と、
この第1の搬送部よりも前記用紙の搬送方向の下流側に設けられたピンチローラ及びフィードローラを有し、これらピンチローラ及びフィードローラにて前記用紙を狭持して前記搬送路に沿って搬送する第2の搬送部と、
所定形状の面部を有し、この面部を、前記ピンチローラに当接しない第1位置と、前記用紙を介して前記ピンチローラと当接し、前記ピンチローラを前記フィードローラから離間するまで押し込む第2位置と、の間で移動させる可動機構と、
この可動機構により前記面部を前記第2位置に移動させて前記ピンチローラ及び前記面部にて前記用紙を狭持させ、この状態で前記第1の搬送部により前記用紙を搬送させることで前記用紙を撓ませ、前記印刷部が前記用紙への印刷を完了した後、前記可動機構により前記面部を前記第1位置に移動させて前記ピンチローラ及びフィードローラに前記用紙を狭持させ、この状態で前記フィードローラを回転させて前記用紙を前記搬送路から排出させる制御部と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記面部は、前記用紙の搬送方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、当該画像形成装置の筐体に設けられた排出口から前記用紙の少なくとも一部が露出した状態において、所定時間が経過すると、前記用紙を前記筐体の内側に回収することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記用紙を前記搬送路から排出させる際に、前記排出口から前記用紙の一部が露出するとともに前記用紙の他の一部が前記ピンチローラ及びフィードローラにて狭持された状態で前記フィードローラを停止させ、この状態で前記所定時間が経過すると、前記フィードローラを前記搬送方向とは逆方向に前記用紙が搬送されるよう回転させて前記用紙を前記筐体の内側に回収することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ピンチローラの表面及び前記面部には凹凸が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記用紙をカットするカッターをさらに備え、
前記制御部は、前記印刷部が前記用紙への印刷を完了し、前記カッターにより前記用紙をカットした後に、前記可動機構により前記面部を前記第1位置に移動させて前記ピンチローラ及びフィードローラに前記用紙を狭持させ、この状態で前記フィードローラを回転させて前記用紙を前記搬送路から排出させることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記ピンチローラ及びフィードローラよりも前記用紙の搬送方向の下流側に設けられ、前記用紙を検出するセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記センサが前記用紙を検出したときに、前記可動機構により前記面部を前記第2位置に移動させることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項16】
用紙の搬送路と、
前記用紙上に印刷を行う印刷部と、
前記用紙を前記搬送路に沿って搬送する第1の搬送部と、
この第1の搬送部よりも前記用紙の搬送方向の下流側に設けられたピンチローラ及びフィードローラを有し、これらピンチローラ及びフィードローラにて前記用紙を狭持して前記搬送路に沿って搬送する第2の搬送部と、
所定形状の面部を有し、この面部を、前記ピンチローラに当接しない第1位置と、前記用紙を介して前記ピンチローラと当接し、前記ピンチローラを前記フィードローラから離間するまで押し込む第2位置と、の間で移動させる可動機構とを備えた画像形成装置において、
前記可動機構により前記面部を前記第2位置に移動させて前記ピンチローラ及び前記面部にて前記用紙を狭持させ、この状態で前記第1の搬送部により前記用紙を搬送させることで前記用紙を撓ませ、前記印刷部が前記用紙への印刷を完了した後、前記可動機構により前記面部を前記第1位置に移動させて前記ピンチローラ及びフィードローラに前記用紙を狭持させ、この状態で前記フィードローラを回転させて前記用紙を前記搬送路から排出させることを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
前記画像形成装置の筐体に設けられた排出口から前記用紙の少なくとも一部が露出した状態において、所定時間が経過すると、前記用紙を前記筐体の内側に回収することを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
【請求項18】
前記用紙を前記搬送路から排出させる際に、前記排出口から前記用紙の一部が露出するとともに前記用紙の他の一部が前記ピンチローラ及びフィードローラにて狭持された状態で前記フィードローラを停止させ、この状態で前記所定時間が経過すると、前記フィードローラを前記搬送方向とは逆方向に前記用紙が搬送されるよう回転させて前記用紙を前記筐体の内側に回収することを特徴とする請求項17に記載の画像形成方法。
【請求項19】
前記印刷部が前記用紙への印刷を完了すると、所定のカッターを用いて前記用紙をカットした後に、前記可動機構により前記面部を前記第1位置に移動させて前記ピンチローラ及びフィードローラに前記用紙を狭持させ、この状態で前記フィードローラを回転させて前記用紙を前記搬送路から排出させることを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
【請求項20】
前記ピンチローラ及びフィードローラよりも前記用紙の搬送方向の下流側に設けられたセンサによって前記用紙が検出されたときに、前記可動機構により前記面部を前記第2位置に移動させることを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−18606(P2013−18606A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153169(P2011−153169)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】